特許第6768640号(P6768640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6768640分枝状生分解性低起泡性非イオン性界面活性剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768640
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】分枝状生分解性低起泡性非イオン性界面活性剤
(51)【国際特許分類】
   B01F 17/42 20060101AFI20201005BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20201005BHJP
   C08G 65/28 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   B01F17/42ZBP
   C11D1/722
   C08G65/28
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-515200(P2017-515200)
(86)(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公表番号】特表2017-536434(P2017-536434A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】US2015050549
(87)【国際公開番号】WO2016048764
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2018年9月4日
(31)【優先権主張番号】62/054,402
(32)【優先日】2014年9月24日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ワンリン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】カラ・エス・ウェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・イー・シャルマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヘイズ
【審査官】 山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05612305(US,A)
【文献】 特表2011−524940(JP,A)
【文献】 特表2003−530368(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0245131(US,A1)
【文献】 特開昭58−147500(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0198101(US,A1)
【文献】 米国特許第04317940(US,A)
【文献】 特表2014−526603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 17/00−17/56
C09K 3/00
C11D 1/00−19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(I):
【化1】


を有し、式中、mはであり、nは9〜15の範囲内の値であり、zは5〜25の範囲内の値である、界面活性剤。
【請求項2】
更に、n対zの比が1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の界面活性剤。
【請求項3】
更に、zが10〜25の範囲内の値であることを特徴とする、請求項1または2に記載の界面活性剤。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の界面活性剤を使用する方法であって、前記界面活性剤を含有する洗剤組成物を自動食器洗い機に入れることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドトリブロックポリマーである、非イオン性界面活性剤に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用食器洗い機などの自動食器洗い機用のものを含む、硬質表面用クリーナーとして有用な洗剤及びすすぎ補助製品においては、低起泡性の非イオン性界面活性剤が望ましい。環境への長期的な影響を避けるためには、生分解性で低起泡性の非イオン性界面活性剤が特に望ましい。低起泡性で生分解性の非イオン性界面活性剤のいくつかの例が知られているが、それらは、生分解性を達成するために、いくつかの技術的制限を有する。
【0003】
米国特許第55662号は、ポリプロピレンオキシド(PO)−ポリエチレンオキシド(EO)ジブロックコポリマーを開示しており、これらは、報告によると生分解性である。ジブロックコポリマーは、分子のPO末端に直鎖脂肪族炭化水素を有するように、直鎖開始剤を用いて開始されている。
【0004】
米国特許第4,925,587号もまた、直鎖脂肪族炭化水素末端を有するジブロックコポリマーを開示している。
【0005】
米国特許第3,955,401号及び同第4,317,940号は、それぞれ、コポリマーのPO末端に直鎖脂肪族炭化水素を有するように、直鎖開始剤を用いて調製されたPO−EO−POトリブロックコポリマーについて記載している。
【0006】
注目すべきことに、これらの参考文献中の界面活性剤はそれぞれ、最終的な界面活性剤において直鎖の炭化水素基を達成するために、直鎖開始剤を用いて開始されている。直鎖炭化水素基が非常に重要である理由は、界面活性剤では分枝状であることが界面活性剤の生分解性に確実に影響を及ぼすことが以前から知られていたためである。例えば、米国特許第3,955,401号及び同第4,317,940号は、それぞれ、「生成物の生分解性は、分枝状であることにより悪影響を受ける」と教示している。したがって、生分解性を達成するために、これらの界面活性剤は直鎖アルコールを開始剤として使用して調製されている。分枝状であることの生分解性への悪影響は、更に、エトキシレートポリマーに関する研究でも確認されており、この研究は、単一または複数の分枝アルコールを用いて開始されたポリマーが有意な分解を示さず、一方で直鎖アルコール及びイソ−アルコールを用いたエトキシレートには有意な分解が観察されたと結論付けている。(M.T Muller,M.Siegfried and Urs Bauman;“Anaerobic Degradation and Toxicity of Alcohol Ethoxylates in Anaerobic Screening Test Systems”,presented at 4th World Surfactants Congress,1996を参照されたい)。
【0007】
分枝アルキル末端基を有する生分解性で低起泡性の非イオン性界面活性剤を発見することは、当該技術分野では予想外であろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、分枝アルキル末端基を有する、予想されていなかった生分解性で低起泡性の非イオン性界面活性剤を提供する。一般的な理解とは対照的に、本界面活性剤は、分枝アルキル末端基を有するにもかかわらず容易に生分解可能である。分枝アルキル末端基は、驚くべきことに、それぞれの分枝に2つ以上の炭素を有し得るため、分枝は、メチル基よりも大きい。
【0009】
本発明の発見の一部として、生分解性を達成するためには、非イオン性界面活性剤がアルキルPO/EO/POトリブロックでなければならないことが発見された。類似のPO/EOジブロック非イオン性コポリマーでは、許容できるほどの生分解性は示されない。
【0010】
第1の態様において、本発明は、以下の構造(I):
【0011】
【化1】
【0012】
を有する界面活性剤であり、式中、mは3〜10の範囲内の値であり、nは5〜20の範囲内の値であり、zは5〜30の範囲内の値である。
【0013】
第2の態様において、本発明は、先行請求項のいずれかに記載の界面活性剤を使用する方法であり、この方法は、本界面活性剤を含有する組成物を、例えば家庭用自動食器洗い機などの自動食器洗い機に入れることを含む。
【0014】
本発明は、クリーニング溶液などの用途のための低起泡性非イオン性界面活性剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「及び/または」は、「及び、または代替として」を意味する。全ての範囲は、別途示されない限り、端点を含む。百万分率(ppm)は、別途示されない限り、水溶液の総重量に基づく重量部を指す。ポリマー式中の下付きの値は、ポリマーの指定成分の平均モル値を指す。
【0016】
試験方法は、日付がハイフンでつながれた2桁の数字として試験方法番号に示されていない限り、本文書の優先日の時点で最新の試験方法を指す。試験方法への参照は、試験団体への参照及び試験方法番号の両方を含む。試験方法の機関は、以下の略語のうちのいずれかによって参照される:ASTMは、ASTM International(以前のAmerican Society for Testing and Materialsとして知られている)を指し、ENはEuropean Normを指し、DINはDeutsches Institut fur Normungを指し、ISOはInternational Organization for Standardsを指す。
【0017】
本発明の界面活性剤は、以下の構造(I):
【0018】
【化2】
【0019】
を有し、式中、
mは、3以上、好ましくは4以上、より好ましくは5以上の値であり、6以上であってもよいが、同時に10以下、好ましくは9以下、より好ましくは8以下、更により好ましくは7以下、なおも更により好ましくは6以下、最も好ましくは5以下である。最も望ましくは、mは5である。
【0020】
nは、5以上、好ましくは7以上、より好ましくは9以上の値であり、同時に30以下、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、更により好ましくは15以下、なおも更により好ましくは10以下であり、9以下、更には7以下であってもよい。
【0021】
zは、5以上、好ましくは10以上の値であり、同時に30以下、好ましくは25以下である。生分解性を達成するためにはzの値が0でないことが重要である。以下の実施例の節においてデータが示すように、zが0である場合、結果として得られる界面活性剤は、許容できるほどの生分解性を示さない。したがって、界面活性剤が生分解性を達成するためには、zが0以外でなければならない。これは、本発明の予想外の発見の1つである。
【0022】
最適な消泡性能を達成するためには、n対zの比(すなわち、n/zの値)が1または1未満であることが望ましい。
【0023】
本界面活性剤は、2−エチルヘキシル(2EH)部分を一端に有し、ヒドロキシル部分を他端に有する。2EH部分は分枝アルキルであり、各分枝は長さが2炭素以上である。2EH末端基部分は、プロピレンオキシド(PO)及びエチレンオキシド(EO)のブロックを重合するための開始剤として2−エチルヘキサノールを用いることによって、分子に導入することができる。分枝アルキル末端基を有するにも関わらず、本界面活性剤は、生分解性である。分枝アルキルを有することが生分解性に悪影響を及ぼすという先行技術の教示に基づくと、これは予想外の結果である。驚くべきことに、分枝アルキル末端基を有する本界面活性剤は、PO/EO/POトリブロック構造にあるときに生分解性であることがわかった。消泡が特に優れていることもわかった。
【0024】
本発明の界面活性剤は、自動食器洗い機用の食器洗い洗剤など、硬質表面クリーニング製剤において、完全に製剤化された洗剤中の構成成分として有用である。本発明の界面活性剤を食器洗い機用洗剤として使用するには、本界面活性剤を含有する洗剤組成物を自動食器洗い機に入れる。
【0025】
以下の実施例により、本発明の態様を更に例示する。
【実施例】
【0026】
以下の手順を使用して、表1に記載される構造(I)の7つの異なる界面活性剤を調製する。
【0027】
780.0グラムの2−エチルヘキサノール及び10.81グラムの85%水酸化カリウムペレットを、窒素でパージした9リットルの反応容器に充填する。100ミリメートル水銀柱に達するように、2時間にわたり反応容器に徐々に真空を適用する。15.8グラムの混合物を反応容器から取り出し、カール・フィッシャー滴定法によって含水量を測定する(411重量百万分率(ppm))。乾燥窒素により反応容器の加圧及び換気を7回行って、大気中の酸素を除去し、窒素により25℃で110〜139キロパスカル(kPa)に加圧する。撹拌しながら反応容器の内容物を130℃に加熱し、次いで、4時間にわたって1660グラムのプロピレンオキシドを計量投入する。プロピレンオキシドの供給が完了した後、反応容器の内容物を130℃で更に2時間撹拌し、次いで60℃に冷却する。反応容器内容物を142.9グラム取り出す。反応容器内容物を130℃に加熱し、4時間にわたって2070グラムのエチレンオキシドを反応容器に計量投入する。エチレンオキシドの供給が完了した後、反応容器の内容物を130℃で2時間撹拌し、次いで60℃に冷却する。反応容器内容物を142.9グラム取り出す。反応容器内容物を130℃に加熱し、4時間にわたって1475グラムのプロピレンオキシドを計量投入した後、130℃での撹拌を更に2時間継続する。反応容器内容物を60℃に冷却する。
【0028】
反応容器内容物を158.2グラム取り出し、酢酸で中和してpH4〜8(10%水溶液中)を達成し、実施例(Ex)1の界面活性剤を得る。
【0029】
反応容器内容物を再び130℃に加熱し、4時間にわたって1170gのプロピレンオキシドを反応容器に計量投入する。130℃で更に2時間撹拌を継続した後、60℃に冷却する。反応容器内容物を118.7グラム取り出し、酢酸(10%水溶液中)でpH4〜8に中和して、実施例2の界面活性剤を得る。
【0030】
反応容器内容物を再び130℃に加熱し、4時間にわたって970グラムのプロピレンオキシドを計量投入した後、130℃で更に2時間撹拌を継続する。反応容器内容物を60℃に冷却する。反応容器内容物を酢酸(10%水溶液中)で中和してpH4〜8を達成し、実施例3の界面活性剤を得る。
【0031】
PO及びEO供給物の量を特定の界面活性剤に適したモル比に調整して、類似の様式で実施例4〜7の界面活性剤を調製する。
【0032】
各界面活性剤の特性は、表1に含まれている。各界面活性剤は、構造(I)の構造を有し、それぞれの構造は、各界面活性剤のm、n、及びzの値を指定することによって得られる。
【0033】
ASTM D2024−09に従って、FP90中央処理装置及びFP81測定セルを有するMettler Toledo FP900 ThermalSystemを用いて、1重量パーセント(重量%)の界面活性剤の脱イオン水溶液で曇点を判定する。
【0034】
ASTM D2281−69に従って、ドレーブス濡れ値を判定する。結果は、試験かせを20秒間で濡らすのに必要な最小濃度(重量%)として報告する。より低い値は、界面活性剤の濡れ性がより良好であることに相当する。
【0035】
可動式試料台を有するKruss DSA−100 Drop Shape Analyzer、及び機器の動作を制御しデータ分析を行うためのKrussソフトウェアDSA3.exeを用いて、21〜23℃での接触角を判定する。パラフィルム基質上での静的液滴(static sessile drop)に対して接触角の測定を行う。パラフィルムを顕微鏡ガラススライドに置く(フィルムを固定するためにスライドの各端部に少量の接着剤を用いる)。基質を試料台に置き、DSAソフトウェアによって事前に定められた手順を用いてプログラムによって、基質上に0.1重量%の界面活性剤の脱イオン水溶液を5滴たらす。液滴の体積は、5マイクロリットルである。液滴をたらす速度は1分間に6マイクロリットルであり、液滴の測定は、液滴をたらした直後に行う。液滴をたらすと、液滴の画像が収集され、ベースラインが判定され、左右の接触角がソフトウェアによって判定され、各液滴の左右の接触角の相加平均が計算される。結果は、1群5滴で3つの群からのeth値の平均として報告する(合計15滴の平均)。
【0036】
25℃で0.1重量%の界面活性剤水溶液及びWilhelmyの白金プレートを備えるKruss D12張力計を使用して、界面活性剤の表面張力を判定する。界面活性剤を脱イオン水に溶解させることによって溶液を作製する。溶液を作製するために使用した脱イオン水は、1メートル当たり72〜73ミリニュートンである。結果は、5回反復した試験値の平均値として表し、標準偏差は0.1mN/m未満である。
【0037】
Organization for economic co−operation and development(OECD)の試験方法301Fに従って、生分解性(Biodeg)を判定する。2004年4月13日に採択されたOECD Guidelines for the Testing of Chemicals,“Daphnia sp.,Acute Immobilization Test”,Test Guideline 202に従って、1リットル当たりの水生毒性(A−tox)のミリグラム数(mg/L)を判定する。
【0038】
【表1】
【0039】
生分解性
これらの界面活性剤のそれぞれが、80%以上の生分解性値を呈する。60%の値は、本試験方法下において「容易に生分解可能」とみなされる。したがって、これらの界面活性剤のそれぞれが、容易に生分解可能とみなされる。
【0040】
対照的に、類似の2EH−PO−EOジブロック材料の生分解性は、著しく低い生分解性結果を有する。例えば、2EH(PO)4.5(EO)は、容易に生分解可能としてかろうじて合格する61%の生分解性を呈する。2EH(PO)(EO)は、53%の生分解性を呈し、2EH(PO)(EO)10もまた60%未満であり、いずれも、容易に生分解可能として合格していない。
【0041】
起泡性
以下のミルクソイル(Milk Soil)消泡試験においてこれらの界面活性剤の消泡性能を判定する。各界面活性剤の水溶液を、溶液の重量に基づいて0.01重量%の界面活性剤を充填して調製する。186ミリリットル(mL)の溶液に、0.6グラムの水酸化ナトリウム水溶液を添加する。次いで、結果として得られる溶液を1リットルのWaring(商標)Laboratory Blender(Waring CommercialからのModel 31DM33)容器に入れ、15mLのミルク分散液(水中10重量%の粉ミルク)を添加する。高速で60秒間ブレンダーを作動させる。ブレンダーを停止させ、0、15、30、60、及び120秒の時点での泡の高さを記録する。
【0042】
この試験を、実施例の界面活性剤7つ、界面活性剤を含有しないブランク1つ、及び市販の界面活性剤を含有する参照溶液3つ(全て有効なタンパク質ソイル(protein soil)起泡制御剤として知られている、TRITON(商標)CF−32非イオン性消泡剤(TRITONはThe Dow Chemical Companyの商標である)、PLURAFAC(商標)SLF−180低起泡性アルコールアルコキシレート、及びPLURAFAC(商標)SLF−18低起泡性アルコールアルコキシレート(PLURAFACはBASFの商標である))に行う。
【0043】
表2は、これらの溶液のそれぞれに関して、ミリメートル単位の泡の高さ値を含む。
【0044】
【表2】
【0045】
表2のデータにより、試料の全てが、市販の材料に類似するかまたはそれよりも優れた消泡性能を有し、開始の泡の高さが30ミリメートル未満であることがわかる。
【0046】
自動食器洗い機での性能
ASTM 3566−85試験方法に従い、北米の試験条件下において、自動食器洗い機での界面活性剤の洗浄力を特徴付ける。SearsのKenmoreモデル665.13.04シリーズ2K113食器洗い機を、事前に水を55℃に温め、短時間洗浄サイクルのプログラムで使用する。スケーリング及びスポッティングの特徴付けに4つのLibbey−Collinグラス(モデル番号53)を使用する。食器洗い機の上段の食器洗い機の異なる隅部に下向きにグラスを置く。食器洗い機には、汚れていない磁器、セラミック、メラミン、及びガラス製のプレート及び/またはカップ、ステンレス製のカトラリー、ならびにプラスチック製のタンブラーを含む、消費者に関連する食器洗いを行う追加量の物品が含まれている。
【0047】
研究を行う前に、食器洗い機及びバラスト量を3回の自動食器洗い機ストリップ(55℃で2回の洗浄及び60℃で1回の洗浄)、続いて2サイクルのガラス製品ストリップにかける。初回自動食器洗い機ストリップでは、55℃で1時間の短時間サイクルの自動食器プログラムを使用し、市販の北米の食器洗い洗剤(CASCADE Complete食器洗い機洗剤、CASCADEはProcter & Gambleの商標)を用いる。それに続いて、別個にクエン酸での洗浄を1回行う。クエン酸洗浄については、クエン酸(およそ35グラム)を主カップに満たし、カップを閉める。予備洗浄サイクルを開始するそのときに、およそ15〜20グラムのクエン酸も、食器洗い機のくぼみ(basin)に追加する。3回目の自動食器洗い機ストリップは、衛生的すすぎを伴う所定の通常洗浄の食器洗いプログラムを用いる、60℃での衛生機械ストリップである。次いで、グラスを自動食器洗い機に追加し、1時間の短時間サイクルの自動食器プログラムで55℃で2回の連続したストリップサイクルを行う。
【0048】
実際の試験については、100,000ppmの2:1 Ca:Mgイオンストック溶液を水道水に添加して300重量百万分率の硬度(2:1 Ca:Mg)に特別に調製した水を使用する。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)ストック溶液及びインジケータを用いて滴定することによって硬度を確認し、次いで明確な色の変化が認められるまで滴定する。
【0049】
表3に記載される洗剤製剤を使用して性能を特徴付け、ここで、29重量パーセント(重量%)の硫酸ナトリウム及び0重量%の界面活性剤をベースラインの「洗剤」に使用し、27重量%の硫酸ナトリウム及び2重量%の界面活性剤を各界面活性剤の性能を特徴付けるために使用する。実施例1〜7の界面活性剤のそれぞれに加えて、自動食器洗い機で一般に使用されている参照洗剤としてDOWFAX(商標)20B102直鎖アルコールアルコキシレートを用いた洗剤。DOWFAXはThe Dow Chemical Companyの商標である。PLURAFAC(商標)SLF−180低起泡性アルコールアルコキシレートを用いて、第2の参照も考察する。PLURAFACはBASF Wyandotte Corporationの商標である。
【0050】
【表3】
【0051】
4本のマーガリン(およそ400グラム)をホットプレート/スターラーで溶かし、オーバーヘッドミキサで15〜30分間ゆっくりと混合しながらおよそ90グラムの無脂肪粉乳を添加することによって、バラストソイルを調製する。この混合物を熱源から外し、ゆっくりと混合しながら約25℃に冷ます。約25℃に冷めたら、バラストソイル(すなわち「食物ソイル」)が固まるまで冷蔵庫/冷凍庫に入れる。
【0052】
数点の磁器、プラスチック、及びカトラリーを食器洗い機の下段及び上段に均等に入れることによって、評価実施を行う。Libbey−Collinグラスを上段に配置する。40グラムの「凍結」バラストソイルをビーカーに入れ、次いで食器洗い機の扉にソイルを分散させ、残りのソイルを食器洗い機の下段に置く。「短時間洗浄」の食器洗いサイクル(およそ1時間)を選択する。
【0053】
食器洗い機を5サイクル(毎回、20グラム用量の試験洗剤製剤を添加し、更に40グラムの凍結バラストを記載のように投入する)実行する。1つのLibbey−Collinグラスを1サイクル後、2サイクル後、3サイクル後、及び5サイクル後に取り出し、その清浄さを評価する。
【0054】
表4に示される等級付けシステムを用いてグラスの清浄さを判定する。グラスを冷まし、周囲温度と釣り合わせるように、グラスの評価はグラスを洗浄機から取り出した翌朝に行う。評価は、グラスを照射するライトチャンバ(ボックス)で行う。
【0055】
【表4】
【0056】
2人の別の人物が評価を行い、これらの評価者によるスコアを平均して、各洗剤製剤に値を割り当てる。
【0057】
表5は、ベースライン製剤、参照洗剤、及び各界面活性剤を含有する洗剤のスポッティング特性評価の結果を含む。等級付けは、2人の審査者による等級付けの平均である。
【0058】
表6は、ベースライン製剤、参照洗剤、及び各界面活性剤を含有する洗剤のフィルミング特性の結果を含む。等級付けは、2人の審査者による等級付けの平均である。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
表5及び6のデータから、実施例1〜7のそれぞれが、自動食器洗い機用途において低起泡界面活性剤としていくらかの有効性を示すことがわかる。自動食器洗い機用洗剤での使用に関して、最も良い性能の界面活性剤は、市販の参照界面活性剤よりも優れているとはいかないまでも、それらに匹敵する。
なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1]構造(I):
【化1】
を有し、式中、mは3〜10の範囲内の値であり、nは5〜20の範囲内の値であり、zは5〜30の範囲内の値である、界面活性剤。
[2]更に、mが5であり、nが9〜15の範囲内であり、zが5〜25の範囲内であることを特徴とする、前記[1]に記載の界面活性剤。
[3]更に、n対zの比が1以下であることを特徴とする、前記[1]または[2]のいずれかに記載の界面活性剤。
[4]更に、mが5であり、nが5〜9の範囲内の値であり、zが10〜25の範囲内の値であることを特徴とする、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の界面活性剤。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の界面活性剤を使用する方法であって、前記界面活性剤を含有する洗剤組成物を自動食器洗い機に入れることを含む、方法。