(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ブプレノルフィンとその塩とから選択される少なくとも1つの活性剤は、ブプレノルフィン(ブプレノルフィン遊離塩基として計算)が21重量%超(例えば、31〜50重量%など、30重量%超)の濃度で存在する、請求項1または2に記載の注射用液体製剤。
前記脂質制御放出マトリックスa)におけるトリアシル脂質(複数も可):リン脂質(複数も可)(w/w)の割合が、90:10〜100:0の範囲内、好ましくは95:5〜100:0の範囲内である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の注射用液体製剤。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここ数年にわたって、非常に効果的な脂質ベースの制御放出製剤が開示されており、例えば、投与後に相変化を起こす製剤を生成するように適した混合物中にジアシル脂質およびリン脂質を含む国際公開第2005/117830号(特許文献1)のものなどの製剤が挙げられる。これにより、低粘度製剤を注射し、in vivoにおいて、活性剤を捕捉し徐放性効果を呈する高粘度デポー組成物を生成することが可能となる。このような組成物は、さまざまな活性剤に効果的であり、主として脂質マトリックスにより活性剤の放出を制御する。
【0018】
本発明者らは、脂質ベースの制御放出製剤の研究中、一般に、上述の脂質混合物と注射後の相変化とが、ほとんどの活性剤の制御放出に通常必要であることを見出した。しかしながら、治療濃度域(すなわち、治療効果が得られ且つ副作用が許容範囲内である血漿濃度域)によって、より簡便な脂質製剤の使用に適し得る特定の生物活性剤がある。より簡便な系の使用は、医学分野において常に有益である。というのも、これにより、厳密な材料調達や品質管理手順を確立しなければならない成分の数が少なくなるからである。より簡便な系はまた、特に、残留賦形剤が一般に安全と認められる(GRAS)又は製薬における使用(例えば、登録済み注射剤において既に使用されていることなど)の実証記録を有する場合、毒性評価や規制当局による承認プロセスを簡素化する。
【0019】
ある一定のオピオイド活性剤、特にブプレノルフィンや関連化合物(例えば、それらの塩及び構造類似体)は、ブプレノルフィン化合物の濃度(本明細書において使用される「ブプレノルフィン」は、状況に応じて、適切な塩および構造類似体を全て包含する)が、ある一定の閾値を超えている場合において、トリアシル脂質含有製剤から制御しながら放出できることが本発明者らにより立証されている。
【0020】
制御放出製剤における薬物放出は、一般に、担体マトリックスにより制御されるため、ブプレノルフィンが高濃度である必要性自体、予想外のことである。活性剤は、生物学的作用においては、活発な役割を果たすが、典型的には、制御放出におけるその役割は不活発である。また、高濃度の活性剤は一般に、制御放出マトリックスの機能を妨げるため、活性剤の濃度は、当該活性剤が制御放出に及ぼす悪影響により制限されることが多い。本件は、確立されている標準の正反対であり、少なくとも16%のブプレノルフィンを含む製剤が、活性剤含有量の少ない同様の製剤に比べ、より効果的な放出を実現することが分かっている。
【0021】
本発明は、
a)少なくとも50%のトリアシル脂質を含む脂質制御放出マトリックスと、
b)少なくとも1つの酸素含有有機溶媒と、
c)ブプレノルフィン遊離塩基として計算した、少なくとも16重量%の、ブプレノルフィンとその塩とから選択される少なくとも1つの活性剤と、
を含む注射用液体製剤を提供する。
【0022】
ブプレノルフィン成分がこの系の制御放出作用に及ぼすプラス効果の点から、本発明の全ての態様及び実施形態において、活性剤(一般に、ブプレノルフィン、その構造類似体及びそれらの塩から選択される)は、16%を超える濃度で存在する。これは、好ましくはブプレノルフィンが21重量%を超える(例えば、31〜50重量%など、30重量%を超える)(全て、ブプレノルフィン遊離塩基として計算)。60%以下の濃度のブプレノルフィンを使用してもよいが、好ましくは50%以下、例えば、45%以下のものが使用される。
【0023】
高ブプレノルフィン濃度の利点は、添付の
図1で説明している。この図は、33.8%製剤(A1)及び1.06%製剤(C1)のラットへの投与後の投与量補正後ブプレノルフィン血漿濃度を示す。製剤A1は、実験期間の14日間にわたって濃度が有意に変化していないため、はるかに持続的で安定してブプレノルフィンを血漿中に放出させ、且つはるかに長期間放出させる可能性のあることが
図1から明白である。
【0024】
本発明の液体製剤及び制御放出組成物における他の必須成分は、脂質マトリックス成分a)である。本発明の全ての実施形態の注射用液体製剤において、成分a)は、典型的には、前駆体製剤全体の10%〜70%を成す。これは、15重量%〜64重量%又は20〜50重量%であってもよい。
【0025】
脂質成分a)において、脂質の少なくとも50%は、トリアシル脂質から形成される。よって、一般に、前記脂質制御放出マトリックス(成分b)の50%〜100%(例えば、少なくとも80%など)、好ましくは60〜90%又は60%〜95%、より好ましくは70〜90%が、トリアシル脂質から形成される。成分a)は、本質的にはトリアシル脂質から形成されてもよい(例えば、トリアシル脂質が95%以上であってもよい)。
【0026】
成分a)の一部又は全体を形成するトリアシル脂質は、任意の適切なトリアシル脂質であってもよく、通常、1つの極性「頭部」基と3つの非極性「尾部」基を有する。典型的には、これらはエステル部分により結合されるが、炭素‐炭素結合、エーテル、アミド等を使用してもよい。通常、(トリアシル成分及び存在する任意の他の脂質に)適した極性頭部基は、非イオン性であり、グリセロール、ジグリセロール(及びジグリセロール〜デカグリセロールなどのオリゴ/ポリグリセロール)などのポリオール及び糖部分又は炭水化物部分(例えば、ソルビタン部分、ソルビトール部分、トレハロース部分、イノシトール部分、グルコース部分、マルトース部分及びスクロース部分を含む単糖、二糖及び三糖並びにそれらの誘導体など)及び酢酸エステル又はコハク酸エステルなどのポリオールのエステルが挙げられる。好ましい極性基は、グリセロール及びジグリセロール、特にグリセロールである。
【0027】
典型的には、(トリアシル成分及び存在する任意の他の脂質に)適した非極性「尾部」基は、C8〜C20アシル基であり、これらは、炭素鎖に1つ又は複数の不飽和を有し得る。好ましい一実施形態において、成分a)は、C8〜C12アシル鎖(特に、0、1又は2つの不飽和を有するもの)などの「中鎖」脂肪アシル成分を有する脂質(特に、トリアシル脂質)を含んでいてもよい。そのような成分は、例えば、トリアシル脂質成分を1〜100%(例えば、1〜70%又は10〜50%など)など、トリアシル脂質成分の一部または全てを含んでいてもよい。そのような成分は、50%未満のトリアシル脂質を含むのが好ましい。別のより好ましい実施形態において、トリアシル脂質及び存在する任意の他の脂質は、12〜22個の炭素を有する脂肪アシル鎖、特に、C16〜C20脂肪アシル鎖、とりわけ、0、1又は2つの不飽和を有するものを含む。
【0028】
一実施形態において、本発明の態様のいずれかの注射用液体製剤において、成分a)は、少なくとも50重量%のトリアシル脂質を含み、当該トリアシル脂質は、0、1又は2つの不飽和を有するC16〜C20アシル基を含む。中でも、特に好ましい基としては、C16:0、C16:1、C18:0、C18:1、C18:2、C18:3及び/又はC20:1アシル基が挙げられる。
【0029】
更なる実施形態において、本発明の成分a)のトリアシル脂質は、25%以下のC12未満のアシル基を含む。すなわち、トリアシル成分のアシル基の少なくとも75%は、C12以上である(典型的には、0、1又は2つの不飽和を有する又はそれらの混合物)。これは、少なくとも85%のアシル基がC12以上又は少なくとも90%のアシル基がC12以上であってもよい。
【0030】
更なる実施形態において、成分a)のトリアシル脂質は、アシル基を含んでいてもよく、当該アシル基の少なくとも25%は、不飽和である(例えば、アシル鎖に1つ、2つ又は3つの不飽和、好ましくは1つ又は2つの不飽和を有する)。これは、好ましくは、トリアシル成分(例えば、トリアシルグリセロール又は本明細書に記載の他のもの)中、少なくとも50%(例えば、50〜100%又は50〜95%)が不飽和アシル部分、より好ましくは、少なくとも75%が不飽和部分である。同様の実施形態において、成分a)中の少なくとも50重量%のトリアシル脂質は、少なくとも1つの不飽和アシル部分(例えば、アシル鎖に12個以上の炭素及び1つ又は2つの不飽和を有する少なくとも1つのアシル部分)を含んでいてもよい。
【0031】
本発明の種々実施形態における使用に適した非極性基のいくつかの例としては、カプロイル(C6:0)基、カプリロイル(C8:0)基、カプリル(C10:0)基、ラウロイル(C12:0)基、ミリストイル(C14:0)基、パルミトイル(C16:0)基、フィタノリ(phytanoly)(C16:0)基、パルミトレオイル(C16:l)基、ステアロイル(C18:0)基、オレオイル(C18:l)基、エライドイル(C18:l)基、リシノレオイル(ricinoleoyl)(C18:1)基、リノレオイル(C18:2)基、リノレノイル(C18:3)基、アラキドノイル(C20:4)基、ベヘノイル(C22:0)基及びリグノセロイル(C24:9)基が挙げられる。従って、典型的な非極性鎖は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、フィタン酸、パルミトール酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ベヘン酸若しくはリグノセリン酸を含めた天然エステル脂質の脂肪酸又は対応するアルコールをベースとする。好ましい非極性鎖としては、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸、オレイン酸及びリノール酸、特にオレイン酸が挙げられる。
【0032】
更に好ましい実施形態において、本発明の態様のいずれかの注射用液体製剤は、0、1又は2つの不飽和を有するC16〜C18アシル基を有するトリアシル脂質を少なくとも60%含んでいてもよい。すなわち、存在するトリアシル脂質のうち、非極性基の少なくとも60%が、C16〜C18であり、好ましくは、0、1又は2つの不飽和を有するものである。存在する全トリアシル脂質(例えば、トリアシルグリセロール)成分は、本明細書における実施形態のいずれかに記載の通りである。
【0033】
トリアシルグリセロールなどのトリアシル脂質は、合成であってもよいが、典型的には、天然源から誘導される。多くの天然物油は、トリアシル脂質を多く含み、これらは、抽出形態又は部分若しくは完全精製形態のいずれかで使用してもよい。動物油又は好ましくは植物油は、非常に適したトリアシル脂質(特に、トリアシルグリセロール)源であり、オリーブ油、コーン油、サンフラワー油、ナタネ(キャノーラ)油、パーム油、ダイズ油、ゴマ油、ヒマシ油およびそれらの混合物が挙げられる。ゴマ油、ダイズ油、ヒマシ油及びそれらの混合物が好ましい。
【0034】
一実施形態において、脂質マトリックス成分a)は、50%以下のトリアシル脂質以外の脂質を含む。当該脂質は、モノグリセリド及びジグリセリド、リン脂質(ジアシル及び/又は「リゾ」モノアシル)、コレステロール、トコフェロールなどを含む任意の適切な成分であってもよい。好ましい一実施形態は、
i)少なくとも1つの中性ジアシル脂質、
ii)少なくとも1つのトコフェロール、及び/又は
iii)少なくとも1つのリン脂質
を含む非トリアシル脂質を提供する。
【0035】
トリアシル脂質以外の脂質が、トリアシル脂質により構成されない成分a)の部分を含むことは明らかであり、よって、非トリアシル脂質の量は、例えば、1〜40%又は3〜30%など、0〜49%であり得る。一実施形態において、成分a)の10%未満(例えば、0.5〜10%)は、非トリアシル脂質であり、例えば、上記i)〜iii)又はそれらの混合物などである。
【0036】
上記成分i)は、任意の中性ジアシル脂質であってもよく、典型的には、本明細書に記載のアシル基などの2つの非極性「尾部」基に(例えば、エステル、エーテル、C−C結合又はアミドにより)結合された上述の非イオン性極性「頭部」基を含む。本明細書における上述の好ましい極性頭部基及び非極性尾部基は、ジアシル脂質成分(及び同様に、存在し得る任意のモノアシル脂質)にも当てはまる。
【0037】
上記成分ii)は、「トコフェロール」であり、本明細書における適合する態様又は実施形態のいずれかにおいて、成分a)の一部として使用し得るクラスの化合物である。本明細書において使用する用語「トコフェロール」は、ビタミンEとしてよく知られている非イオン性脂質トコフェロール並びに/又はそれらの任意の適切な塩及び/若しくは構造類似体を示すべく使用されている。適切な類自体は、トコフェロール自体と同等の又は非常に類似した物性、毒性の欠如及び構造を呈するものである。そのような類自体は、通常、水中で純粋な化合物としての液晶相構造を形成しない。トコフェロールの最も好ましいものは、下記構造を有するトコフェロール自体である。特に天然源からトコフェロールを精製する場合、ごく一部の非トコフェロール「混入物」が含まれ得ることは明白であるが、これは、有益な物性又は毒性の欠如を変化させるほど十分な量ではない。典型的には、トコフェロールは、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、最も好ましくは2重量%以下の非トコフェロール類自体化合物を含む。
【0039】
上記成分iii)は、少なくとも1つのリン脂質である。トリアシル脂質及びジアシル脂質と同様に、この成分は、極性頭部基、非極性尾部基(複数も可)を含む。リン脂質の重要な特徴は、主として極性基にある。従って、非極性部分は、トリアシル脂質(例えば、0個〜2個の不飽和を有するC16〜C22アシル基から独立して選択される)に関して既に検討した脂肪酸又は対応するアルコールから適切に誘導してもよい。典型的には、リン脂質は2つの非極性基を含むが、この成分の1つ又は複数の構成物質は、1つの非極性部分を有し得る。2つ以上の非極性基が存在する場合、これらは同一のものであっても異なるものであってもよい。
【0040】
好ましいリン脂質極性「頭部」基としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン及びホスファチジルイノシトールが挙げられる。好ましいリン脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)である。最も好ましくは、ホスファチジルコリン(PC)である。
【0041】
リン脂質部分は、トリアシル脂質及び任意のジアシル脂質部分と同様に、天然源から誘導してもよい。リン脂質の適切な供給源としては、卵、心臓(例えば、ウシ)、脳、肝臓(例えば、ウシ)並びに大豆、トウゴマの種子及びゴマ種子を含めた植物源が挙げられる。このような供給源は、成分iii)の1つ又は複数の構成物質を供給するものであってもよく、リン脂質の任意の混合物を含むものであってもよい。
【0042】
1つ又は複数のリン脂質が、本発明の注射用製剤中に存在する場合には、脂質制御放出マトリックスa)におけるトリアシル脂質(複数も可):リン脂質(複数も可)(w/w)の割合は、50:50〜100:0、好ましくは80:20〜100:0、特に90:10〜100:0、例えば、93:7〜100:0、95:5〜100:0又は97:3〜100:0などの範囲内であることが好ましい。
【0043】
総じて、注射用製剤中に存在するリン脂質(複数も可)の総量は、製剤の8重量%未満、6重量%以下、4重量%以下又は2重量%以下であってもよい。特に、製剤中のリン脂質の量は、製剤全体の(例えば、成分a)〜c)の合計の)5重量%未満、例えば4.5重量%未満(例えば、0%〜4.4%)など、又は4.2重量%未満であってもよい。
【0044】
更なる実施形態において、製剤の成分a)中のトリアシル脂質の量は、90重量%以上であってもよい。これは、95%以上(例えば、96〜100%)又は95.5%以上であってもよい。好ましいトリアシル脂質としては、トリアシルグリセロール及びトリアシルジグリセロールを含め、本明細書に記載のものが挙げられる。対応する一実施形態において、成分a)中のリン脂質の量は、成分a)の5重量%未満、例えば、4.5重量%未満(例えば、0〜4.4重量%)など、又は4.2重量%未満であってもよい。成分b)及びc)が、通常いかなるリン脂質成分も含まないことは明白である。
【0045】
本発明の製剤は、活性剤を制御放出するために対象に投与されることから、成分a及びbは、成分i)〜iii)が存在する場合はこれらも含め、生体適合性であることが好ましい。この点で、モノ−アシル(リゾ)化合物ではなく、例えば、ジアシルリン脂質を使用するのが好ましい。これに対する明らかな例外は、上述の如く、トコフェロールである。これは、アルキル鎖を1つしか持たないが、従来の意味での「リゾ」脂質ではない。十分に耐容性のある必須ビタミンとしてのトコフェロールの性質から、トコフェロールが生体適合性の高いものとなっていることは明らかである。
【0046】
一実施形態において、本発明の製剤は、成分a)として単一の抽出物又は成分のみを含む。すなわち、成分a)は、単一の天然由来混合物又は単一の天然物から単離された単一の混合物であってもよい。従って、成分a)は、単一の植物油から成っていても又は本質的に成っていてもよい。適切な例としては、ヒマシ油又はゴマ油が挙げられる。当該実施形態において、組成物は、品質管理や規制当局の承認などの作業の検証及び調製が比較的簡易である。これにより、それら組成物は、脂質成分の混合物を含有する同等の組成物と比べ、製造がより簡易及び/又はより経済的になる可能性がある。
【0047】
本発明の種々態様の成分b)は、少なくとも1つの酸素含有有機溶剤である。有機溶剤は、少なくとも1個の炭素と、通常少なくとも1つの炭素‐水素結合を有し、成分b)の場合、それらの構造内に少なくとも1つの酸素を含む。このような溶剤はまた、窒素、硫黄又はハロゲン化物(塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)などの少なくとも1つの他の「ヘテロ原子」も含んでいてもよい。成分b)は、少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも95%のハロゲン非含有溶剤から成るのが好ましい。逆に、成分b)は、少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄原子をそれらの構造内に有する溶媒を少なくとも50%含むのが好ましい。好ましい成分b)は、これらの溶媒を、少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%含む。
【0048】
好ましい溶剤は、典型的には、モル質量でおよそ45〜500g/mol、より典型的には、およそ50〜200g/molである。好ましい溶剤としては、アルコール、ラクタムを含めたアミド及びスルホキシドが挙げられる。従って、一実施形態において、成分b)は、アミド、スルホキシド又はそれらの混合物を含んでいてもよいし、それらから本質的に成っていてもよいし、又はそれらから成っていてもよい。
【0049】
成分b)に(単独で又は混合物として)含まれ得る2つの非常に好ましい溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)及びジメチルスルホキシド(DMSO)である。本発明の態様または適合する実施形態のいずれかに適用可能な好ましい一実施形態において、成分b)は、NMP及び/又はDMSOを少なくとも50%含む。好ましくは、成分b)は、NMP、DMSO又はそれらの混合物を、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%含む。一実施形態において、成分b)は、NMP、DMSO又はそれらの混合物から成るか又はこれら成分から本質的に成る。
【0050】
本明細書において使用する用語「実質的に」は、一般的に使用されるように、一態様又は成分が、実質上、指定した限定範囲により定義されるが、性質又は作用に何ら重大な影響を及ぼすことのないわずかな差異は容認することを示すべく使用している。このような差異とは、例えば、前記の量、状態又は作用の10%又は好ましくは5%の差異であってもよい。同様に、いずれかの前述の成分「から本質的に成る」成分とは、本質的に、その成分から成るが、少量の、わずかな又は不可避の、意図的な添加剤(例えば、香味料、保存剤、トレーサーなど)などの他の成分又は前述の成分の本質的作用を変化させることのない混入物及び/若しくは不純物を含めた、容易に又は経済的に単離できない成分(例えば、ある鎖長分布を有する脂質など)を含んでいてもよい。前述の化合物又は混合物から「本質的に成る」成分は、当該化合物(複数も可)を、本質的作用を制御する任意の量で含んでいてもよいが、典型的には、90%超(例えば、90%〜100%)、より好ましくは95%超、最も好ましくは98%超含んでいてもよい。用語「約」及び「およそ」は、「実質的に」又は「本質的に」と同等の意味を有する。
【0051】
成分bは、注射(例えば、皮下注射)に適した製剤が得られる任意の量で存在してもよい。このような製剤は、注射用製剤に求められる無菌性、生体適合性などを有するが、更に、注射に適した粘度を有する。このような粘度は、本明細書において検討され、また、溶剤を選択し、任意のこのような粘度が得られる濃度で使用してもよい。この溶剤はまた、活性剤の溶解を促進し適切な制御放出を得るためにも必要とされる。このような特性は、本明細書における実施例および記述から最適化し得る。
【0052】
典型的には、全ての態様において、本発明の製剤は、前駆体製剤の10〜60重量%、特に15〜50重量%の割合で存在する成分b)を含む。これは、好ましくは20〜45重量%、最も好ましくは25〜40重量%である。
【0053】
本発明の全ての態様及び実施形態の組成物及び製剤の成分c)は、ブプレノルフィン遊離塩基として計算した、ブプレノルフィンおよびその塩から選択される少なくとも1つの活性剤である。これは、適切な活性及び生体許容性のある形態の、1つ又は複数のオピオイド受容体に対し作用(例えば、アゴニズム及び/又はアンタゴニズム)を有する任意のブプレノルフィン化合物であってもよい。ブプレノルフィン遊離塩基が、最も好ましいブプレノルフィン活性剤であり、本明細書において重量パーセントが明記される場合、特に指定がない限り、それらは等量のブプレノルフィン遊離塩基に換算したものである。適切な塩(それらの混合物を含む)を使用でき、これらの塩は、任意の生体適合性の塩であり得る。適切な塩としては、酢酸塩、クエン酸塩、パモ酸塩若しくはハロゲン化物塩(例えば、塩化物塩又は臭化物塩)又は当該技術分野で公知の多くの生体適合性の塩のいずれかが挙げられる。ブプレノルフィン遊離塩基の構造を下記に示す:
【0055】
ブプレノルフィンは、アゴニスト特性とアンタゴニスト特性を併せ持つ(部分アゴニストとしても知られる)オピオイドであり、多くの国々でオピオイド依存症の治療に用いられてきた。ブプレノルフィンは、米国ではオピオイド依存症の治療用に食品医薬品局(FDA)により承認されており、また臨床研究により、ブプレノルフィンは、オピオイド陽性尿を減少させる上で及びオピオイド依存症の外来患者維持治療において患者をつなぎ留める上で並びにオピオイド乱用者の解毒に効果的であることが分かっている。
【0056】
ブプレノルフィンは、他のオピオイド治療を上回るいくつかの潜在的効力を示す特有の薬理学的プロファイルを有する:
1.乱用傾向を低下させ且つ優れた安全性プロファイルに寄与し得る、そのアゴニスト活性の上限。
2.オピオイド自己投与の抑制に寄与し得る生理学的且つ主観的効果の減弱。
3.持続期間を延長する緩徐な受容体解離。
【0057】
ブプレノルフィン治療は、中止時における離脱症候群の強度が比較的低いことから、解毒治療用に特に有望であることは重要である。
【0058】
ブプレノルフィンは、現在、舌下投与形態で市販されており、病院で又は「持ち帰り(take-home)」薬剤により、1〜2日毎に投与する必要がある。しかしながら、オピオイドは乱用される可能性があることから、いかなるオピオイドの「持ち帰り」も、持ち運びや法律の面で問題が発生する可能性がある。このことは、既存の舌下製剤のバイオアベイラビリティが低い、つまり「持ち帰り」の量がかなりの量となることから一層大きな問題となっている。
【0059】
本発明の制御放出製剤には、オピオイド依存症の治療に使用する上でいくつかの利点があり、このような利点としては、速やかな作用発現や、ブプレノルフィン濃度が長時間に渡り比較的安定していることにより、数週間に渡り離脱症状を抑制し、体外から投与されたオピオイドの作用を阻害することが挙げられる。また、デポー剤ブプレノルフィンの緩徐な分解及び排出により、離脱症候群を最小限に抑えながら徐々にオピオイド解毒をもたらすことも可能である。よって、制御放出ブプレノルフィン注射剤は、効果的なオピオイド維持又は解毒治療を実施するための有望な方法を提供し得る。更に、最短で1カ月間隔での投与が可能な制御放出製剤は、低頻度の投与レジメンしか必要としないことから、来院の頻度及び必要となる病院のサポートも少なくなるため、患者のコンプライアンスの負担を最小限に抑えられると考えられる。最終的には、制御放出形態の定期的なブプレノルフィン注射剤では、持ち帰り薬剤の必要性がなくなる又は軽減されることにより、薬剤の乱用及び転用のリスクが軽減されると考えられる。
【0060】
任意の特定対象の治療に必要とされるブプレノルフィンの量は、その特定対象の徴候及び耐薬性、並びに投与頻度及び投与後の放出速度により大きく左右される。一般に、疼痛治療は、オピオイド依存症関連治療に比べ、必要となる用量は少ない。
【0061】
本明細書に記述しているように、ブプレノルフィンは、本発明の製剤中16重量%以上含まれる。
【0062】
本発明の態様および実施形態のいずれかにおける注射用液体製剤では、ブプレノルフィンの投与量は通常、1カ月の放出期間あたり、ブプレノルフィン(遊離塩基として計算)20〜240mgの範囲である。本明細書において使用する用語「放出期間」とは、完全に服薬順守の対象に対する注射から次の注射までの期間(典型的には、平均又は推奨期間)のことである。適切な期間については、本明細書において後述する。上述の如く、ブプレノルフィン含有量は、投与頻度に左右され、例えば、ブプレノルフィン(遊離塩基の当量で)1カ月当たり20〜200mg、好ましくは1カ月当たり20〜1140mgであってもよい。
【0063】
存在するブプレノルフィン又はブプレノルフィン塩の総量は、上述の如く、放出速度及び投与頻度に左右される。典型的には、本発明の態様又は実施形態のいずれかにおける製剤は、ブプレノルフィンの1回の投与量(遊離塩基として計算)が20〜800mgの範囲であり、例えば、50〜600mgなど、特に60〜300mg、より好ましくは90〜200mgである。
【0064】
本発明の全ての態様及び実施形態において、投与は定期的に行われる。当該投与は、既存の舌下薬で採用されている1日〜2日に1回の投薬に比べ頻度が少ない。通常、この投与の頻度は、28日に1回以下である。約1カ月〜4カ月に1回の投与が望ましい場合もあり、例えば、28日〜136日又は28日〜96日に1回などである。これは、およそ1カ月、およそ2カ月又はおよそ3カ月の期間であってもよい。従って、投与は、28日〜32日に1回、56日〜62日に1回又は82日〜95日に1回であってもよい。当該期間は、投与推奨期間であってもよく、完全に服薬順守の対象に対する投与間隔期間(通常、平均期間)であってもよい。
【0065】
本発明の全ての態様及び実施形態における製剤は、「注射用」である。よって、当該製剤は、注射用製剤に求められる無菌性及び生体適合性といった特性を有する。本明細書で用いる注射による投与とは、針、カテーテル又は無針注射器によるなど、製剤を皮膚又は他の体表面を通過させる任意の方法を意味する。従って、任意の適切な方法による皮下注射、腔内注射、硝子体内注射又は筋肉内注射が適しており、皮下注射又は筋肉内注射、特に皮下注射が好ましい。
【0066】
更に、当該製剤は、注射できるものでなければならず、好ましくは、使い捨て注射器及び従来のゲージ(例えば、18〜28ゲージ)の皮下注射針など従来の装置を使用して手で注射できるものでなければならない。このことから、製剤は低粘度であることが求められる。本発明の全態様において、製剤は、好ましくは低粘度混合物である。本明細書において使用する用語「低粘度混合物」は、対象に容易に投与し得る混合物を意味する。これは、例えば、手で圧力を加えることにより、1mlの使い捨て注射器から22ゲージの針を介して、好ましくは1分未満内に投薬できることを意味し得る。特に好ましい実施形態において、この低粘度混合物は、0.22μmの注射器フィルターなどの標準的な滅菌濾過膜を通過できる混合物であるべきである。適切な粘度の典型的な範囲は、例えば、20℃で20〜600mPas、好ましくは20℃で50〜400mPas、最も好ましくは20℃で80〜300mPasである。
【0067】
簡便且つ非常に効果的な制御放出製剤であるだけでなく、本発明の製剤は、投与に先立ち混合又は時間のかかる調製を必要としない形態で提供し得る点で有利である。従って、一実施形態において、本発明の製剤は、直ちに投与できる形態であってもよい。当該形態は、密封されたバイアル若しくは同様の容器又は充填済み注射器若しくはカートリッジなどの充填済み投与装置であってもよい。通常、このような装置は、単回投与量を含み、オプションとして、対象のニーズによって投与量を変える手段(例えば、容量目盛など)を備える。このような充填済み装置が、本発明の更なる態様と成ることは明白である。
【0068】
本発明の注射用製剤は、一実施形態において、直ちに投与できる形態で安定して保管できるため、そのような直ちに投与できる形態で提供することができる。安定して保管できるとは、典型的には、本発明の製剤において、少なくとも1カ月間、好ましくは少なくとも6カ月間、より好ましくは少なくとも12カ月間の保管後、そのブプレノルフィン含有量の20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満しか失われないことを意味する。このような保管は、好ましくは2〜8℃、より好ましくは25℃で行われる。
【0069】
本発明の製剤は、対象に投与した際、本発明の制御放出組成物を形成するのが好ましい。これは、典型的には、体液と接触することによる。そのような対象は、動物対象であり、典型的には、哺乳類対象、最も好ましくはヒト対象である。
【0070】
驚くべき事に、本発明の製剤の簡便さ及び投与後の相変化の本質的な必要性の欠如にもかかわらず、本発明の制御放出組成物は、ブプレノルフィンが少なくとも16%存在する場合、非常に制御された形でブプレノルフィンを放出することが立証されている。この実例を下記
図1に示す。
【0071】
注射用液体製剤(本明細書における適切な実施形態のいずれかに記載)を月に1回、少なくとも6カ月間対象に投与した後、定常状態での(好ましくは少なくとも10対象集団において)平均(中間)Cmin及びCmaxは、いずれも、0.3ng/mL〜12ng/mL、好ましくは0.4ng/mL〜5ng/mLの範囲内にある。これにより、ブプレノルフィンの治療濃度域を非常に効果的に維持することが可能となり、対象は有意に改善された体験をすることになる。
【0072】
本発明の製剤は、投与後、溶剤成分b)を失い且つ少なくとも少量の水を吸収し得る。よって、注射後のこのような組成物は、
a)少なくとも50%のトリアシル脂質を含む脂質制御放出マトリックスと、
b)任意に、少なくとも酸素含有有機溶剤と、
c)ブプレノルフィン遊離塩基として計算した、少なくとも16重量%の、ブプレノルフィンとその塩とから選択される少なくとも1つの活性剤と、
d)任意に、少なくとも1つの水性流体と
を含んでいてもよい。
【0073】
成分a)〜c)は全て、本発明のいずれかの態様又は実施形態に関して本明細書において記載しているもののいずれかに対応することは明白であろう。水性成分d)は、存在する場合、典型的には、水性体液である。
【0074】
本明細書に記載の注射用製剤は全て、治療に使用してもよい。このような治療は、ブプレノルフィンを、特に長期間にわたって必要とする任意の症状のためのものである。そのような症状としては、疼痛、特に、術後疼痛、癌性疼痛、及び関節炎などの変性疾患による疼痛を含めた慢性疼痛が挙げられる。最も大切なことは、そのような症状として、オピオイド依存症又は離脱症における治療又は維持が含まれることである。オピオイド依存症の治療は、典型的には、「導入」、「安定化」及び「維持」を含むいくつかの治療段階を有する。本発明の製剤は、そのような任意の段階で及び/又は望ましくは、段階的な投与量減量に使用してもよい。本発明の製剤及び組成物は、制御放出効果の持続時間が長いため、維持段階に非常に適している。従って、オピオイド依存症のため頻繁に注射(例えば、毎日注射)又は舌下ブプレノルフィンの投与を受けている対象は、治療の安定化及び/又は維持段階に向けて本発明の製剤に移行してもよい。
【0075】
本発明のブプレノルフィン製剤は、オピオイド依存症における使用に加えて、コカインを含めた他の物質への依存症に関する治療に使用してもよい。
【0076】
上記に鑑みて、本発明は更に、本明細書に記載の製剤のいずれかを投与することを含む、ヒト又は動物対象(例えば、本明細書に記載のものなど)の治療方法を提供する。当該方法は、典型的には、ブプレノルフィンを必要とする任意の症状の治療を目的とする。これらは、本明細書において本発明の態様又は実施形態のいずれかに記載の全ての症状および治療を含む。
【0077】
以下、下記の非限定例及び添付の図を参照しながら、本発明を更に説明する。
[図面の簡単な説明]
図1は、製剤A1及びC1(それぞれ実施例1及び3から得た)をラットに皮下投与した後の投与量補正後血漿中ブプレノルフィン(BUP)濃度を示す。データ点は平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す(N=6)。
【0078】
[実施例]
[実施例1]
ブプレノルフィン塩基、ゴマ油及びN−メチルピロリドン(NMP)を含む組成物
10mLの注射ガラスバイアルに、ブプレノルフィン塩基2.03g、NMP1.80g及びゴマ油2.17gを秤量し、表1に記載の組成物を調製した。このバイアルは、Flurotec(登録商標)でコーティングされたゴム栓とアルミニウム製クリンプキャップで蓋をした後、液状で透明且つ均質な製剤が得られるまで周囲室温で転倒回転混合した。最後に、この製剤を、窒素圧下で0.22μmの滅菌Millex(登録商標)−GV膜(ミリポア)を介して濾過した。
【0080】
[実施例2]
ブプレノルフィン塩基、トリグリセリド及び溶剤を含む組成物
4mLの注射ガラスバイアルに、ブプレノルフィン塩基、トリグリセリド及び溶剤の必要量を秤量し、表2に記載の組成物を調製する。これらのバイアルは、Flurotec(登録商標)でコーティングされたゴム栓とアルミニウム製クリンプキャップで蓋をした後、周囲室温で転倒回転混合する。
【0082】
[実施例3]
低薬物含有量のブプレノルフィン塩基、トリグリセリド及び溶剤を含む組成物
10mLの注射ガラスバイアルに、ブプレノルフィン塩基0.0424g、エタノール0.400g及びヒマシ油3.558gを秤量し、表3に記載の組成物を調製した。このバイアルは、Flurotec(登録商標)でコーティングされたゴム栓とアルミニウム製クリンプキャップで蓋をした後、液状で透明且つ均質な製剤が得られるまで周囲室温で転倒回転混合した。最後に、この製剤を、窒素圧下で0.22μmの滅菌Millex(登録商標)−GV膜(ミリポア)を介して濾過した。
【0084】
[実施例4]
ラットにおける、ブプレノルフィン塩基、トリグリセリド及び溶剤を含む製剤の薬物動態
製剤A1(実施例1参照)及びC1(実施例3参照)それぞれ30mg/kg及び2mg/kgをラットに皮下投与した(N=6(1グループあたり))。投与後14日目まで血液サンプルを採取した。下記の如く血漿濃度を求めた。各投与量補正後の薬物動態プロファイルを
図1に示す。
図1から分かるように、製剤A1では、ブプレノルフィン放出が速やかに開始され、その後安定したブプレノルフィン血漿濃度が得られる。一方、ブプレノルフィン含有量の少ない製剤C1では、血漿中ブプレノルフィン濃度が、初期ピーク後、より急速に低下している。つまり、製剤A1では、研究期間全体にわたり安定した血漿濃度が得られているが、製剤C1では、同一期間中にブプレノルフィン濃度が約1桁低下している。
【0085】
プロトコル:
製剤A1及びC1を、それぞれ30mg/kg及び2mg/kgの用量で、ラット(雄性MPFスプラーグドーリーラット)に皮下投与し、血液サンプルを、投与前及び投与してから1時間後、6時間後、1日後、2日後、5日後、8日後、14日後に採取した。EDTAで処理した試験管(Capiject(登録商標)3T−MQK、テルモ・メディカル・コーポレーション(Terumo Medical Corporation))に舌下出血により0.25mLの血液を採取した。血液サンプルは、採取直後に氷上に置き、30分〜60分以内に遠心分離した(約1500×g、5℃で10分間)。血漿は、0.5mLのプロピレン試験管(エッペンドルフ安全ロックチューブ(Eppendorf Safe lock tube)、フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific))に移し、生物分析するまで−70℃未満で保管した。ラットの血漿中ブプレノルフィンの分析に適した市販のELISAキットを用いて血漿濃度を求めた。