(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重合可能なセパレータ物質を含む捕集管において、全血試料からPRP画分を分離する方法であって、前記重合可能なセパレータ物質はオリゴマ、光開始剤、および安定剤を含み、全血と共に流動可能であり、第1の平均分子量を有し、PRP画分の平均密度と非PRP画分の平均密度の間の密度を有し、
前記重合可能なセパレータ物質を含む前記捕集管において、遠心分離プロトコルを使用して、前記全血試料を遠心分離する工程であって、
前記遠心分離プロトコルを使用して遠心分離すると、前記重合可能なセパレータ物質は、前記PRP画分と前記非PRP画分の間で、前記PRP画分中の血小板の実質的な活性化なしで流れ、実質的な活性化は、前記PRP画分中の血小板のリストセチンおよびコラーゲンの少なくとも1つに対して凝集する能力に基づき測定可能である工程;
前記セパレータ物質を、UVエネルギーへの曝露により、血小板の実質的な活性化なしで硬化させ、固体バリアを形成させることであって、前記固体バリアの前記重合可能なセパレータ物質は、前記第1の平均分子量よりも大きな第2の平均分子量を有する工程であって、
前記固体バリアは、前記UVエネルギーへの曝露後、前記捕集管に対して、前記PRP画分より下、前記非PRP画分より上の中間位置で静止し、これにより、前記PRP画分の少なくとも95%の前記捕集管からの除去が可能になる工程;および
前記PRP画分の無菌性を維持する閉鎖系プロセスにおいて、前記PRP画分および流体ディスペンサーの第1の端と同時に接触するトランスファニードルを用いて前記捕集管から前記流体ディスペンサーに前記PRP画分を引き上げる工程であって、前記流体ディスペンサーは前記第1の端とは異なる第2の端を備え、前記第2の端は前記PRP画分を分配するように構成される、工程
を包含する方法。
前記捕集管中で、前記硬化工程後少なくとも1日に前記PRP画分をホモジナイズすることをさらに含み、前記PRP画分をホモジナイズすることにより、実質的に均質なPRP画分が得られ、よって、そこから得られた異なるアリコートは、使用される細胞計数法の1の変動係数内にある血小板数を有する、請求項1に記載の方法。
前記セパレータ物質はオリゴマ、光開始剤および安定剤を含み、前記オリゴマは95wt%〜100wt%の濃度で存在し、前記光開始剤は、5wt%未満の濃度で存在し、前記安定剤は、0.5wt%未満の濃度で存在する、請求項1に記載の方法。
前記流体ディスペンサーは細管および真空バルブを含み、前記PRP画分を前記ニードルの第1の端から引き上げ、前記PRP画分を前記ニードルの第2の端から放出するように構成される、請求項8に記載の方法。
前記第3のニードル部分は前記第2のベースから延在する唯一のニードル部分であり、前記第3のニードル部分は前記第2の内部セクションまで延在しない、請求項17に記載の移行装置。
重合可能なセパレータ物質を含む捕集管において、骨髄穿刺液画分(BMAF)を骨髄穿刺液から分離する方法であって、前記骨髄穿刺液はXの初期血小板濃度を有し、前記重合可能なセパレータ物質は95wt%〜100wt%の濃度のオリゴマ、5wt%未満の濃度の光開始剤、および0.5wt%未満の濃度の安定剤を含み、前記骨髄穿刺液と共に流動可能であり、第1の平均分子量を有し、BMAF画分の平均密度と非BMAF画分の平均密度の間の密度を有し、
前記重合可能なセパレータ物質を含む前記捕集管において、遠心分離プロトコルを使用して、前記骨髄穿刺液を遠心分離すること;
前記遠心分離プロトコルを使用して遠心分離すると、前記重合可能なセパレータ物質は前記BMAF画分と前記非BMAF画分の間で、流れ;
前記セパレータ物質を、UVエネルギーへの曝露により硬化させることによって、前記第1の平均分子量よりも大きな第2の平均分子量を有する固体バリアを形成すること
を含み;
前記固体バリアは、前記UVエネルギーへの曝露後、前記捕集管に対して、前記BMAF画分より下、前記非BMAF画分より上の中間位置で静止し、これにより、前記BMAF画分の少なくとも95%の前記捕集管からの除去が可能になり;
前記BMAFは少なくとも1.1Xの血小板濃度を有し;ならびに
前記BMAF画分の無菌性を維持する閉鎖系プロセスにおいて、前記BMAF画分および流体ディスペンサーの第1の端と同時に接触するトランスファニードルを用いて前記捕集管から前記流体ディスペンサーに前記BMAF画分を引き上げる工程であって、前記流体ディスペンサーは前記第1の端とは異なる第2の端を備え、前記第2の端は前記BMAF画分を分配するように構成される、方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
下記記載は、発明対象の多くの実施形態例を提供する。各実施形態は発明要素の単一の組み合わせを表すが、発明対象は、開示された要素の全ての可能な組み合わせを含むと考えられる。よって、1つの実施形態が要素A、B、およびCを含み、ならびに第2の実施形態が要素BおよびDを含む場合、そうすると、発明対象はまた、明確に開示されていなくても、A、B、C、またはDの他の残りの組み合わせを含むと考えられる。
【0026】
開示された技術は、重合可能なセパレータ物質(PSS)の存在下での、分離された血小板の実質的な活性化なしでの増加した血小板分離を含む多くの有利な技術効果を提供することが認識されるべきである。加えて、提供される組成物および方法により、使用者は、セパレータ物質の重合時に、捕集管を逆にし、分離したPRP画分またはBMAFを、分離した相またはPSSと再混合することなしに、血小板の実質的に均質な分布が得られるまで混合することができる。加えて、提供される方法および装置により、別の保存容器中への配置のために画分が調製または分離された捕集管からこれを除去することなく、BMAF、PRPまたは流体の他の画分の商業用途が可能になる。
【0027】
発明対象によりPRP画分を分離する1つの実施形態が概略的に、
図1に示される。任意の好適な捕集管が発明対象の方法を実施するために使用することができることが企図される。管は好ましくは、その管腔内で真空を支持するのに好適な剛性材料(例えば、硬質プラスチック、ガラス、など)製であり、望ましい量のPRPまたはBMAFを分離することができる望ましい全血または骨髄穿刺液の試料を保持するのに十分な体積を有する。例示的な管としては、BDバキュテナー(登録商標)製品が挙げられる。本明細書で記載される好ましい装置および方法は捕集管の使用を含むが、捕集管は、フラスコ、ジャー、ビーカー、瓶またはバイアルなどの他の容器に置き換えることができることが企図される。
【0028】
図1の実施形態では、流動性の/重合可能なセパレータ物質105を含む捕集管100が、滅菌エネルギー源110に曝露され、これは滅菌エネルギー115(例えば、ガンマ線、e−ビーム放射線、熱)を管100およびセパレータ物質105に適用し、滅菌された分離管および滅菌された(が、依然として流動性で、UV硬化性の)セパレータ物質120が得られる。全血試料125を管100に添加することができ、これにより、試料と滅菌されたセパレータ物質の混合物130が形成される。
【0029】
管100および混合物130はその後、混合物130のセパレータ物質140成分が、全血試料125のPRP画分145と非PRP画分135の間に定着するまで遠心分離することができる。PRP画分145は好ましくは試料125の血小板濃度の少なくとも150%である血小板濃度を有し、非PRP画分135は、好ましくは試料125由来のWBCおよびRBCの少なくとも90%を含む。
【0030】
本明細書の説明は、一般に、PRP画分の全血試料からの分離に向けられるが、同じ装置および方法を使用して、骨髄穿刺液から骨髄穿刺液画分を分離することができることが認識されるべきである。捕集管中では、BMAFはPSS上方に位置し、骨髄穿刺液の残りの成分はPSSより下に位置する。
【0031】
重合可能なセパレータ物質140は全体として、または部分的に重合可能となり得る。よって、セパレータ物質140の好適なエネルギー源155(例えば、UV光源)により発生するエネルギー150(例えば、UVエネルギー)への曝露はラジカル重合を開始させ、これにより、セパレータ物質140の少なくとも一部が固体の、架橋組成物160を形成し、これが、PRP画分145と非PRP画分135の間の不透過性バリアとして作用する。いくつかの実施形態では、バリアの最終厚さ(UV硬化後)はわずか10mm、より好ましくはわずか5mmである。
【0032】
重合可能なセパレータ物質(または重合可能なセパレータ物質の重合可能な部分)は、好適なエネルギー源(例えば、UV光)により誘引されると、10分以内に重合して、ショア00硬さスケールで少なくとも1の硬度、より好ましくはショアA硬さスケールで少なくとも10の硬度となる、ならびにプローブ、ピペット、デカンティングまたはさらには凍結に関し固体を形成するように配合することができる。形成された硬化固体バリアは、管の管腔の壁に付着することができ、実質的に、または完全にPRP画分を1つ以上の他の画分から密閉し、よって、PRP画分が拡散、かくはん、試料抽出、または他の望ましくない相互作用による汚染から保護される。
【0033】
好適な光源は、5〜100W/cm
2、10〜75W/cm
2、15〜50W/cm
2の強度または任意の他の好適な強度(全て光源から10cmの距離で測定される)を有する光を放出することができる。加えてまたはその代わりに、好適なエネルギー源は、50〜400nm、例えば200〜280nm(UVC)、280〜315nm(UVB)、315〜400nm(UVA)、または200〜400nmの波長で最大ピークを有する光を生成させることができる。加えてまたはその代わりに、好適なエネルギー源は、.1〜10W/cm
2、例えば、.3〜1W/cm
2、1.5〜2.5W/cm
2、または.5〜3.5W/cm
2のピーク放射照度を有する光を放出することができる。加えてまたはその代わりに、好適な光源により生成される光は硬化される表面に、.3〜8J/cm
2、例えば、1〜5J/cm
2、または1〜2J/cm
2の放射エネルギー密度で到達することができる。
【0034】
1つの例示的な好適な光源はHeraeus製の特注のライトボックスであり、これは、385nmの波長で最大ピーク、および2.2W/cm
2のピーク放射照度を有する光を生成させる。この光源を、25Wの最大光出力の25%の電力設定で使用した。試験した光硬化型物質のいくらかは、.25〜1mLの体積を有し、バキュテナー管内に配置され、好適なエネルギー源は、380〜390nmでエネルギーを放出し、2.2W/cm
2のピーク放射照度を有する、発光ダイオードであった。しかしながら、より少ない、またはより大きな体積に対して同様の硬化時間を達成するために、1つ以上の曝露要因(例えば、放射照度、波長、放射エネルギー)を改変することができ、物質成分の濃度を改変することができ(例えば、抗酸化剤濃度、光開始剤濃度)、または異なるエネルギー源を使用することができることが認識されるべきである。
【0035】
セパレータ物質140が一部のみ重合可能である場合、重合可能でない部分(例えば、揺変性ゲル成分)は重合可能な部分より下方で定着することができ、そのため、所望のPRP画分は、PRP画分を非PRP画分または重合可能でない部分と混合させずに、使用することができ、または捕集管から完全に除去することができることが企図される。重合可能でない部分としては、例えば、既製のゲル(例えば、BDバキュテナー(登録商標)SST(商標)、BDバキュテナー(登録商標)PST(商標)、ゲルセパレータを有するバキュエット(登録商標)採血管、PPMA血清セパレータゲル管、ポリプロピレン血清セパレータゲル管、など)、または任意の他の商業的に好適なゲルを挙げることができる。
【0036】
発明対象のセパレータ物質により、形成された固体バリアのために、使用者は、例えば、捕集管中で、PRPと非PRP画分の間のバリアを取り除くことなく、PRP画分を混合するまたは別様にかくはんすることにより、BMAF、PRPまたは他の画分の実質的な均質性を達成する、および再達成することができることが認識されるべきである。加えて、細胞の破壊なしで、例えば、血小板の実質的な活性化なしで実質的な均質性が達成され得る。加えて、セパレータ物質の少なくとも一部が重合可能で固体を形成する場合、重合可能なセパレータ物質を硬化させることにより、ポリマネットワークを形成させることができ、これにより、ポリマセパレータ物質と同じくらい効率的に、またはこれよりも良好にPRP画分の分離が維持される。
【0037】
いくつかの企図される重合可能なセパレータ物質は下記を含むことができる:(1)オリゴマ(例えば、それらの組み合わせ(例えば、Ebecryl、Cytec))、(2)光開始剤(例えば、Additol(登録商標)BDK、Additol(登録商標)TPO)および(3)安定剤(フェノチアジン)。企図される光硬化型組成物の例としては、とりわけ、LAI(例えば、L1A1およびフェノチアジン)およびLAIRが挙げられる。本明細書で用いる場合、L=オリゴマ(例えば、L1=Allnex製のEbecryl 230、以前はCytec Industries,Inc.製、など);A=光開始剤(例えば、A1=Additol BDK);I=安定剤(例えば、フェノチアジン、など)である。PSS中に含められ得る成分のより多くの例については、下記表1を参照されたい。
【表1】
【0038】
いくつかの企図される重合可能なセパレータ物質では、光開始剤(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、カンファーキノン、ホスフィンオキシド光開始剤、ケトン系光開始剤、ベンゾインエーテル光開始剤)が、10wt%未満、5wt%未満またはさらには2wt%未満の濃度で存在し、安定剤が、5wt%未満、2wt%未満、1wt%未満またはさらには0.5wt%未満の濃度で存在する。より特定的な、非限定的例として、セパレータ物質は、95〜100%の濃度(例えば、100wt%)で存在するオリゴマ、0.8〜1.2%の濃度(例えば、1wt%)で存在する光開始剤、および0.01〜0.05%の濃度(例えば、0.1wt%)で存在する安定剤を含むことができる。
【0039】
企図される光開始剤としては、とりわけ、Additol BDKおよびAdditol TPOが挙げられる。企図される安定剤としては、とりわけ、フェノチアジンが挙げられる。セパレータ物質はまた、とりわけ、セパレータ物質を有する捕集管の放射線滅菌がセパレータ物質の実質的な硬化なしで望まれる場合、抗酸化剤を含むことができる。放射線滅菌は大量処理のためには好ましい可能性があるが、作用機序はフリーラジカル生成に依存し、これは、セパレータ物質の望まれない時期尚早な硬化のために、本質的に問題となる。しかしながら、出願人は驚いたことに、トコフェロールなどのラジカルスカベンジャーが含められた場合、発明対象のいくつかの組成物(例えば、LAIE)は3kGを超える放射線量での放射線滅菌中流動性を維持するが、出願第PCT/US15/57359号および欧州出願第14190681.8号(参照により本明細書に組み込まれる)でさらに議論されるように、いくつかの他の組成物(例えば、LAI)は同じ放射線量下で流動性を維持しないことを見出した。別の観点から見ると、LAIは、放射線滅菌中およそ3kGの放射線量までは流動性を維持するにすぎないことが見出された。いくつかの好ましい実施形態では、ラジカルスカベンジャーおよび抗酸化剤の少なくとも1つはトコフェロールを含み、組成物中、少なくとも75mM、より好ましくは少なくとも100mM、さらにいっそう好ましくは少なくとも135mMのモル濃度で存在する。トコフェロールのより低い濃度(例えば、約75mM未満)は様々な理由のために好ましくない。例えば、より低いトコフェロール濃度を有するセパレータ物質は、より低い放射線量で流動性を維持することができるにすぎず、これでは、ISOプロトコル下でのコスト効率の良い滅菌が可能とならない。加えて、より低いトコフェロール濃度を有するセパレータ物質は典型的にはより低い光開始剤濃度(例えば、1wt%未満)を必要とし、これにより、一般に、より長い硬化時間が必要となる。
【0040】
いくつかの企図される抗酸化剤としては、ヒドロキシル含有(AOH)抗酸化剤(例えば、ビタミンE(α−トコフェロール)、ビタミンC(アスコルビン酸)、没食子酸)、およびニトロキシド(RNO)抗酸化剤(例えば、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル)、TEMPOL(4−ヒドロキシ−TEMPO)が挙げられる。別の観点から見ると、企図される抗酸化剤としては、とりわけ、トコフェロール、ブチル化ヒドロジトルエン(hydrozytoluene)(BUT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、カロテン、ビリルビンおよびアスコルビン酸が挙げられる。
【0041】
例示的な重合可能なセパレータ物質はオリゴマ、光開始剤および安定剤を含み、ここで、光開始剤は、5wt%未満(例えば、0.1〜5%、0.1〜3%)の濃度で存在し、安定剤は、.5wt%未満(例えば、0.1〜0.5%、0.1〜0.3%)の濃度で存在する。
【0042】
LAI(例えば、L1、A1およびフェノチアジン)はいくつかのとりわけ好ましい光硬化型組成物を構成し、1.00〜1.09g/cm
3の所望の密度範囲を有するように配合することができる。実験を、オリゴマを有する光硬化型組成物を使用して実施したが、モノマ含有組成物もまた、PRP調製において使用するには好適であり得ることが企図され、というのも、多くのモノマおよびオリゴマは、同様に高い反応性を有し、多くのモノマおよびオリゴマはUV光の存在下で重合することができるからである。
【0043】
潜在的に好適な光硬化型セパレータ物質の他の例としては、米国特許第7,674,388号、7,673,758号、7,775,962号、7,971730、7,780,861号、8,206,638号、8,282,540号、8,151,996、および8,318077号に記載されるもの、LAIE(例えば、L1、A1、フェノチアジンおよびトコフェロール)、およびLAIERが挙げられ、ここでR=ゲル化剤(例えば、DBS、シリカ、など)、およびE=抗酸化剤およびラジカルスカベンジャーの少なくとも1つ(例えば、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、カロテン、ビリルビン、アスコルビン酸、など)である。RおよびEは一般に光硬化型組成物の必要成分ではないが、各々がいくつかの用途のための光硬化型組成物に有利な特徴を提供することができる。例えば、ゲル化剤は光硬化型組成物の必要成分ではないかもしれないが、この場合、セパレータ物質はまた、揺変性ソフトゲル成分を含み、これは、捕集管中、光硬化型組成物上方にロードされ、よって、使用前には流れが生じない。にもかかわらず、例えば、ソフトゲル成分なしで管内に、またはソフトゲル成分の上面に配置されたシーラントを有することが望ましい場合、揺変性光硬化型組成物を有することが望ましい可能性がある。しかしながら、ゲル化剤濃度の増加は、放射線滅菌中、時期尚早な硬化につながることが見出されていることに注意すべきである。
【0044】
さらに別の例は、下記を含む組成物である:(1)モノマ、およびオリゴマの少なくとも1つ(例えば、その組み合わせ(例えば、Ebecryl、Cytec))、(2)光開始剤(例えば、Additol(登録商標)BDK、Additol(登録商標)TPO)および(3)安定剤(フェノチアジン)。任意の商業的に好適な光硬化型組成物を使用することができることが認識されるべきである。好適な光硬化型組成物は、典型的には、ゲルの少なくとも1つ(例えば、ゲル化剤(例えば、DBSまたはシリカ)が添加される場合)で、重合前には流動性であり(全血と共に)、好適なエネルギー源(例えば、UV光)に曝露されると固化し得る。これらとしては、とりわけ、MLA(例えば、M1L1A1)、MLAI(例えば、M1L1A1およびフェノチアジン)、MAI(例えば、M1A1およびフェノチアジン)、LAI(例えば、L1A1およびフェノチアジン)、およびLMA(例えば、L1M1A1)を挙げることができる。本明細書で用いる場合、M=モノマ(例えば、M1、これは、Sigma−Aldrich製のモノマトリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレートである、Cat.No.407577);L=オリゴマ(例えば、L1=Allnex製のEbecryl 230、以前はCytec Industries,Inc.製);A=光開始剤(例えば、A1=Additol BDK);I=安定剤(例えば、フェノチアジン)。
【0045】
ビタミンE活性を有する化合物などのラジカルスカベンジャー(例えば、トコフェロール)は、必要ではないが、熱滅菌を必要とせずに、光硬化型組成物を放射線により硬化なしで(例えば、密度特性を変化させることにより)滅菌させるために含めることができ、全血試料の2つの画分間での沈降を可能にするのに有効な流動性が維持される。熱滅菌が望ましい場合、捕集管およびセパレータ物質を、少なくとも200セルシウス度、より好ましくは少なくとも225セルシウス度、最も好ましくは少なくとも250セルシウス度の熱に曝露させることにより達成することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、トコフェロールまたは他の好適な抗酸化剤が含められる場合、セパレータ物質を含む捕集管は、販売前に国際標準化機構(ISO)プロトコルを満たすように、滅菌することができる。出願人は驚いたことに、トコフェロールなどのラジカルスカベンジャーが含められた場合、発明対象のいくつかの組成物(例えば、LAIE)は、3kGを超える放射線量での放射線滅菌中流動性を維持するが、いくつかの他の組成物(例えば、LAI)は、同じ放射線量下で流動性を維持しないことを見出した。別の観点から見ると、LAIは、およそ3kGの放射線量までの放射線滅菌中に流動性を維持するにすぎないことが見出された。いくつかの好ましい実施形態では、ラジカルスカベンジャーおよび抗酸化剤の少なくとも1つはトコフェロールを含み、組成物中に少なくとも75mM、より好ましくは少なくとも100mM、さらにいっそう好ましくは少なくとも135mMのモル濃度で存在する。トコフェロールのより低い濃度(例えば、約75mM未満)は様々な理由のために好ましくない。例えば、より低いトコフェロール濃度を有するセパレータ物質は、より低い放射線量で流動性を維持することができるにすぎず、これでは、ISOプロトコル下でのコスト効率の良い滅菌が可能とならない。加えて、より低いトコフェロール濃度を有するセパレータ物質は、典型的にはより低い光開始剤濃度(例えば、1wt%未満)を必要とし、これにより、一般に、より長い硬化時間が必要となる。
【0047】
例えば、管は、(例えば、コバルト源(例えば、コバルト60)からの)ガンマ線を使用して、(例えば、7MeVパルス線形加速器(LINAC)電子ビーム源からの)e−ビーム放射線、ガス(例えば、エチレンオキシド)、または約10〜60分の期間の50〜80セルシウス度の熱、または100〜250セルシウス度またはさらにそれ以上の熱を使用して滅菌することができる(好ましくは、セパレータ物質またはその一部の実質的な重合なしで)。別の観点から見ると、セパレータ物質は、40%を超える硬化なしで、より好ましくは30%を超える硬化なしで、放射線、ガス、または熱滅菌を可能にする、かつ、UVによるその後の重合または他の硬化を可能にするのに有効となり得る。例えば、好適なポンプを使用して管の管腔の体積を単に減圧することにより、任意的な真空を導入することができる。
【0048】
全ての好適な滅菌時間が企図され(例えば、10分未満、5分未満、2分未満、5〜120秒、5〜90秒)、この場合、捕集管(およびセパレータ物質)は、5〜25kGy、より典型的には10〜20kGyの線量でe−ビーム滅菌される。全ての好適な滅菌時間が企図され(例えば、10分未満、5分未満、2分未満、5〜120秒、5〜90秒)、この場合、捕集管(およびセパレータ物質)は5〜25kGy、より典型的には10〜20kGyの線量でγ滅菌される。γ滅菌を用いると、より低い線量送達率を有するより弱い源が化合物を硬化させる可能性が高くなったことが観察されている。ISOにより必要とされる線量は、とりわけ、滅菌される物体のバイオバーデンに依存する。必要とされる照射時間は、使用される滅菌技術だけでなく、例えば、滅菌される物体のバイオバーデン、および放射線量(kGy)に依存する。
【0049】
文脈で反対のことが示されない限り、本明細書で明記される全ての範囲は、それらの終点を含むものとして解釈されるべきであり、制限のない範囲は商業的に実用的な値のみを含むと解釈されるべきである。同様に、全ての値のリストは、文脈により反対のことが示されない限り、中間値を含むものとして考えるべきである。
【0050】
捕集管は滅菌することができ、滅菌されたセパレータ物質を、その後、管に添加することができることも企図される。加えてまたはその代わりに、使用者は、セパレータ物質が管内に予め配置されているのとは対照的に、購入後、1つ以上のセパレータ物質を捕集管に添加することができる。
【0051】
試料(例えば、全血)が発明対象の捕集管に添加される場合、遠心分離により、全血をPRP画分および非PRP画分に分離することができる。セパレータ物質が、PRPと非PRP画分の密度の中間である密度を有する場合、これは、遠心分離中、2つの画分間で移動することができ、よって、画分が互いに単離される。セパレータ物質はその後、好適なエネルギー源により誘引されると、迅速に、重合により硬化され得、2つの画分間に固体バリアが提供される。
【0052】
全血試料の凝固を防止し、フィブリノゲンおよび凝固因子を含む血漿を得るために、任意でセパレータ物質の一部として、抗凝固薬を捕集管に含めることができることが企図される。企図される抗凝固薬としては、クエン酸ナトリウム、EDTA、クエン酸デキストロース、または任意の他の好適な抗凝固薬が挙げられる。たとえ放射線重合が開始され、実施されても、使用される化学、とりわけアクリル重合は血小板活性化または機能に影響しないし、PRP画分に対して実施することができる多くのまたはほとんどの他の試験を妨害しないことは注目すべきである。
【0053】
図2は、重合可能なセパレータ物質(PSS)を含む捕集管中で全血試料からPRP画分を分離する方法200を示す。任意の好適な量のセパレータ物質を管の管腔に含めることができるが、わずか約1mlまたは2グラムのセパレータ物質を、10ml体積の管につき、含めることが好ましい。
【0054】
方法200は、工程210に示されるように、PSSを含む捕集管において、遠心分離プロトコルを使用して、全血試料を遠心分離する工程を含む。工程212に示されるように、例えば、10分間24℃および1000RPMでの遠心分離を含む、PSSを試料の2つの画分間で流動させるのに十分である任意の好適な遠心分離プロトコルが企図される。好適な遠心分離プロトコルの他の例は下記を含むことができる:1分〜30分(両端を含める)の遠心分離時間、500RPM〜5000RPM(両端を含める)にて;または5分〜20分(両端を含める)の遠心分離時間、700RPM〜3600RPM(両端を含める)にて。当技術分野でよく知られているように、遠心分離条件は、血小板の沈降および沈降速度を決定する。PSS上方で血小板の望ましい収率を達成するための適切な適用G力および時間を決定するには、過度の実験なしに、PHOSITAが可能であろう。よって、望ましい収率の増加または減少は、上記考察を用いると容易に達成することができる。
【0055】
下記表2Aは、発明対象のPSSを使用して、全血試料からPRPを分離する際に使用される、遠心分離プロトコルのいくつかを示す。LAI組成物は100%L、1%A、および.10%Iを含んだ。
表2A
【表2】
遠心分離プロトコル
【0056】
下記表2Bは、発明対象のPSSを使用して、骨髄穿刺液からBMAFを分離する際に使用される遠心分離プロトコルのいくつかを示す。
表2B
試料1(700RPM、15分):
スピン前血小板数:166×10^3/μL
スピン後血小板数:219×10^3/μL
増加係数:1.32
試料2(600RPM、20分):
スピン前血小板数:41×10^3/μL
スピン後血小板数:51×10^3/μL
増加係数:1.24
試料3(1500RPM、5分)
スピン前血小板数:236×10^3/μL
スピン後血小板数:260×10^3/μL
増加係数:1.1
試料4(700RPM、10分)
スピン前血小板数:61×10^3/μL
スピン後血小板数:67×10^3/μL
増加係数:1.09
【0057】
最も好ましい実施形態では、PSSは全血および骨髄穿刺液の少なくとも1つと共に流動可能であり、(a)工程215にしたがい、PRP画分の平均密度と非PRP画分の平均密度の間、および(b)BMAFの平均密度と非BMAF画分の平均密度の間の少なくとも1つである密度を有する。
【0058】
所望の初期密度を達成するために、セパレータ物質の密度は、分子組成のおかげで、または適切なフィラー材料(例えば、シリカ、ラテックス、または他の不活性材料)を含めることにより調整され得ることが企図される。PSSの密度を調整することは、異なる型の細胞(例えば、血小板、幹細胞、RBC、WBC)を遠心分離により分離するために望ましい可能性がある。全ての商業的に好適な密度調整剤が企図され、例えば、Ebecryl 113が挙げられる。
【0059】
加えてまたはその代わりに、工程218にしたがい、好適なプロトコル下での遠心分離により、PSSは2つの画分、例えば、PRP画分と非PRP画分の間で、血小板の実質的な活性化なしで流動することができる。PSSが異なる流体の試料の分離、または全血試料のPRPおよび非PRP画分以外の画分への分離のために使用される場合、PSSは、分離される第1の画分の平均密度と分離される第2の画分の平均密度の間の密度を有することができることが企図される。
【0060】
本明細書で用いる場合、血小板の実質的な活性化なしでPSSを試料の2つの画分間で流動させるための、第1の遠心分離プロトコルを使用する遠心分離は、血小板が、PSSが使用されない(例えば、セパレータ物質を有さない)第1の遠心分離プロトコルと、他の点で同一な遠心分離プロトコル中に、血小板により保持されるであろうものの15%内、より好ましくは10%内まで機能を保持することを意味する。血小板の実質的な活性化は、とりわけ、PRP画分、非PRP画分、または両方における血小板の、リストセチンおよびコラーゲンの少なくとも1つに対して凝集する能力に基づき測定可能である。
【0061】
方法200はまた、血小板の実質的な活性化なしでPSSを硬化させ、画分、例えば、PRP画分と非PRP画分の間に固体バリアを形成させる工程220を含む。セパレータ物質の配合によって、重合の様式またはメカニズムはかなり変動し得ることが企図される。本明細書の議論は主としてUVエネルギー重合に向けられているが、全ての公知の重合方法が、本明細書での使用に好適であると考えられる。例えば、企図される重合としては様々なラジカルまたはカチオン重合(例えば、感光性化合物、ラジカル開始剤、などを使用する)、縮合重合、エステル化、アミド形成などが挙げられる。反応基としては、酸性基、最も好ましくはモノおよびジカルボン酸基)、共役ジエン基、芳香族ビニル基、およびアルキル(メト)アクリレートを挙げることができる。重合は好都合なことにセパレータ物質のモノマまたはオリゴマの反応基により完全に支持され得るが、追加の試薬もまた好適であり得、ラジカル開始剤が挙げられる。
【0062】
硬化の工程は、好都合なことに、PRP画分と非PRP画分(または他の分離される画分)の間に、捕集管に対して静止している固体バリアを形成することができる。別の観点から見ると、管が手作業により振盪された場合、管が遠心分離され、分離される画分が再ホモジナイズされた場合、または分離される画分がピペット、移行装置またはデカンティングを介して除去された場合、管内のその位置から移動しない固体バリアを形成させることができる。加えて、工程222に示されるように、固体バリアは、かくはんでの分離される画分の混合を防止する程度まで不透過性とすることができる。工程225にしたがい、固体バリアのPSSは、全血と共に流動可能である場合のPSSの平均分子量よりも大きい平均分子量を有する。
【0063】
本明細書で用いる場合、血小板の実質的な活性化なしで、重合可能なセパレータ物質を硬化させることは、血小板が、PSSが使用されない場合および硬化の工程がない場合の血小板により保持されるであろうものの15%以内、より好ましくは10%以内まで機能を保持することを意味する。
【0064】
固体バリアは、好都合なことに、画分を再混合することなく(例えば、PRP画分を非PRP画分と再混合することなく)、捕集管からPRPまたは他の分離される画分の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%を除去する工程を可能にする。これは、PRP画分をそのまま捕集管から除去することにより(例えば、注ぎ出す、ピペッティングする、などにより)、または生理食塩水または他の流体を管に含め、全PRP画分を除去するのを補助することにより達成され得る。加えてまたはその代わりに、これは下記で記載される発明対象の移行装置を使用して達成され得る。
【0065】
方法200は、硬化工程後、任意で、PRPまたは他の望ましい、分離される画分をホモジナイズする工程を含むことができ、そのため、そこから得られた異なるアリコートは使用される細胞計数法の1の変動係数内にある血小板数を有する。これは、再現性および均一性を提供するのに非常に有益となり得る。PRP画分をホモジナイズすることは、任意の好適な方法を用いて達成することができ、例えば、機械的撹拌、気泡撹拌、管をひっくり返すまたは別様にかくはんする、または広口ピペットを介してトリチュレートすることが挙げられる。
【0066】
血小板回収
美容および健康業界における多くが、血液の試料の200〜250%の血小板濃度を有するPRPが最適であることを見出した。遠心分離中に細胞統合性を維持しながら、精製または濃縮された血小板または他の望ましい成分を得ることもまた望ましい。生存血小板数の増加は、治療的使用のために望ましく、おそらく、他の望ましい細胞に対する増加した数と相関するであろう。
【0067】
全血の画分を回収するために、前に使用された捕集管(例えば、セパレータ物質を有さないパープルトップのBDバキュテナー)は、血液を遠心分離し、血清画分上清、中間バフィー層、およびバフィー層真下の赤血球画分を得ることを含む。そのような管および方法は、バフィーコートから白血球を除去せずに、上清を除去するのを非常に困難にし、またはさらには不可能にする。他方、ゲルが使用される場合、結果は、遠心分離プロトコルによって、PRPまたは血清画分、それから中間ゲル層、それからバフィーコート、および最底部RBC画分となる。かさねて、PRPまたは血清を有するゲルを吸引せずに、PRPまたは血清画分全体を除去することは、不可能ではないにしても、非常に困難となる。どちらの場合でも、PRP画分に血小板の著しい不均等分布が存在する。
【0068】
発明対象のPSSおよび方法は、好都合なことに、様々な濃度(200〜250%の範囲を含む)での血小板回収を可能にし、また、PRP上清全体の使用を可能にする。下記表3は、LAIまたはLAIRを使用する血小板収率は、少なくとも対照を使用した場合と同じくらい良好であったことを示す。表3はまた、LAIまたはLAIRを使用すると、対照を使用した場合と同じ赤血球枯渇が達成され得ることを示す。
【表3】
【0069】
下記表4は、LAIまたはLAIEを使用した血小板収率は、少なくとも、対照を使用した場合と同じくらい良好であったことを示す。表4はまた、LAIまたはLAIEを使用すると、対照を使用した場合と同じか同様の白血球枯渇が達成され得ることを示す。
【0070】
試験した組成物(LAIおよびLAIE)は、下記から構成される:
【表4】
【0071】
LAIのマニュアル差は下記の通りであった:8%好中球、80%リンパ球、10%単球、2%好酸球;LAIEのマニュアル差は下記の通りであった:5%好中球、89%リンパ球、5%単球、1%好酸球。
【表5】
【0072】
表5は、下記の通りの遠心分離プロトコル下での血小板収率および白血球枯渇を示す:10分間、24℃で1000RPM。血小板収率のわずかな増加および同様の白血球/赤血球枯渇が存在した。
【0073】
試験した組成物(LAIおよびLAIE)は、下記から構成される:
【表6】
【0074】
実験をクエン酸ナトリウム管内で実施した。
【表7】
【0075】
均質なPRP画分の回収
発明対象のPSSは、実質的に均質なBMAF、PRP、または他の画分の調製を可能にするという追加の利点を提供する。出願人は3つの管の型における無細胞DNAの回収を比較し、非混合標本から得たアリコートでは様々な結果につながることを決定した。異なる観点から見ると、使用者が血漿を非ゲル管から混合なしで分取した場合、アリコートは非常に変動するであろう。使用者が管から血漿を分取し、これを管の外で混合した場合、結果はより再現性があるものとなり得るが、回収が悪くなる。
【0076】
試験した3つの管の型は下記の通りである:対照(「ゲルなし」)、LAIフォトゲルを有する管およびLAITフォトゲルを有する管、ここで、L=オリゴマ、A=additol BDK光開始剤、I=フェノチアジン安定剤、およびT=tempoニトロキシド。
図3は対照、LAIを有する管、およびLAITを有する管の「Ct」(サイクル閾値)を示す。対照と比べて、LAIおよびLAITのより低いCtは、対照と比べてより良好な回収を示す。
図5はまた、LAIおよびLAITを使用した結果は、対照と同様に再現性があることを示す。各管の型に対しN=4。
【0077】
使用したプロトコルは下記の通りである:プールした血液を混合し、ピペットにより、9つの管の各々中にロードした。フォトゲル管にLAIまたはLAITのいずれかを予めロードした。全ての管を室温で、10分間3000RPMで遠心分離した。遠心分離後、フォトゲル管を、ライトボックス中で1分間UV光に曝露した。各管から血漿を引き出し、固化されたバリアを含む管では、全ての血漿を引き出した。ゲルなしの対照管では、いくらかの血漿を残すことが要求された(およそ100μL)細胞層を破壊しないように注意した。血漿を、分子病態labに、DNA−Braf分析のために送った。そこでは、4つの管がさらに、それぞれ、3つの試料に分取された。よって、示されたばらつきは、各管からの血漿を3通りに分けるプロセスを含む。
【0078】
ゲルなしのEDTA管から得た血漿を、上部層、底部(細胞付近)層、および中央部分で、手作業でサンプリングした。血漿をボルテックスにより混合し、再びサンプリングした(「混合した」)。下記融解曲線は、回収されたcfDNAは手作業のサンプリングで変動することを証明する。無細胞DNAを血小板回収に対する代理マーカーとして使用した。
【0079】
図4で示される実施例では、非混合血漿の底部層から得たアリコートは、中央部分または混合した上部部分から得たアリコートより多くのcfDNAを有した(より深いトラフはより大きな回収を示す)。
【0080】
本明細書で記載される方法は、硬化され、固体バリアを形成するPSSの使用を含むので、PRP画分は捕集管の内側で混合させることができ、その捕集管内でPRP画分が得られ、または分離され、これにより、捕集管の外の環境に曝露させずに、捕集管内でのPRP画分のホモジナイズが可能になる。PSSにより、使用者は、均質な信頼できる数の血小板を得ることができることが認識されるべきであり、というのも、管の異なる部分から得られる量は、使用される細胞計数法の1の変動係数内とすることができるからである。
【0081】
血小板生存率
上記のように、出願人は、発明対象の方法およびPSSを使用して、同様のまたはさらに改善された血小板回収が達成され得ることを証明することができた。長いポリマを有する固体バリアは、しばしば血小板回収を改善するが、血小板機能を妨害することが、当技術分野で知られている。下記で提供される実験およびデータは、出願人の方法およびPSSは、血小板の生存率を維持しながら、最適な血小板回収を可能にすることを示す。
【0082】
血小板生存率を、Chrono−log血小板凝集計において特定のアゴニストに対する血小板凝集を観察することにより試験した。PRPを対照管(BDクエン酸ナトリウム管、ゲルなし)、LAI管(LAIが添加されたBDクエン酸ナトリウム)、およびLAIE管(LAIEが添加されたBDクエン酸ナトリウム管)中にロードされた全血を遠心分離することにより得た。フォトゲル管を遠心分離後にUV光に曝露し、バリアを固化させた。PRPを分取し、乏血小板血漿で、Chrono−log標準動作手順により必要とされる血小板濃度まで希釈した。以下は、リストセチンおよびコラーゲンに対する血小板凝集の曲線例である。コラーゲンは強いアゴニストであり、血小板顆粒の、凝集、分泌およびトロンボキサン合成を誘導し、よって、これは血小板生存率に対する包括的な試験となる。
【0083】
図5に示されるように、リストセチンに対する凝集において、対照、LAIおよびLAIEの間で有意の差は示されなかった。
【0084】
図6に示されるように、対照、LAIまたはLAIE曲線からの、コラーゲンに対する血小板についての血小板凝集曲線において明らかな差は見られず、これにより、LAIおよびLAIEは、血小板機能に実質的に影響しないことが示される。
【0085】
図7は、全血と共に流動可能であり、全血のPRP画分の平均密度と非PRP画分の平均密度の間の密度を有するPSSを含む捕集管において全血試料からPRP画分を分離する別の方法700を示す。
【0086】
方法700は、工程710に示されるように、PSSを含む捕集管において、遠心分離プロトコルを使用して、全血試料を遠心分離する工程を含む。方法200の遠心分離工程と同様に、工程712に示されるように、好適な遠心分離プロトコルを使用する遠心分離により、PSSはPRP画分と非PRP画分の間で血小板の実質的な活性化なしで流動する。工程715に示されるように、実質的な活性化は、PRP画分における血小板の、リストセチンおよびコラーゲンの少なくとも1つに対して凝集する能力に基づき測定可能である。
【0087】
方法700は、工程720に示されるように、血小板の実質的な活性化なしでPSSを硬化させ、PRP画分と非PRP画分の間に固体バリアを形成させる工程をさらに含む。工程725にしたがい、固体バリアのPSSは、全血と共に流動可能である場合(例えば、硬化の工程前)のPSSの平均分子量よりも大きい平均分子量を有する。
【0088】
いくつかの好ましい方法では、固体バリアは、UVエネルギーへの曝露後、捕集管に対してPRP画分より下、非PRP画分より上の中間位置で静止しており、工程722に示されるように、かくはんしてもPRP画分および非PRP画分の混合を防止する程度まで不透過性である。固体バリアは捕集管からの、PRP画分の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%の除去を可能にする。異なる観点から見ると、方法700は、工程730にしたがい、捕集管から、PRP画分の少なくとも95%を除去する任意的な工程を含む。
【0089】
PRP画分は好都合なことに、全血試料由来のわずか10%の白血球を含むことができる。さらに、またはその代わりに、PRP画分中のわずか25%の白血球が顆粒球であることが企図される。別の観点から見ると、WBCの著しい低減(例えば、60%未満、70%未満、80%未満またはさらに90%未満)、および顆粒球の著しい低減(例えば、50%未満、70%未満、80%未満またはさらに90%未満)が、全血中の同じ試料体積と比べて、PRP画分において見られ得る。
【0090】
方法700はまた、硬化工程後、捕集管においてPRP画分をホモジナイズすることを含むことができる。ホモジナイズ工程は硬化直後に、硬化1時間以内に、硬化1日以内に、硬化後少なくとも2日に、硬化後少なくとも5日に、またはさらに硬化後少なくとも1ヶ月に実施することができる。PRP画分をホモジナイズすることにより、実質的に均質なPRP画分が得られ、よって、そこから得られた異なるアリコートは、使用される細胞計数法の1の変動係数内にある血小板数を有する。
【0091】
図8は、全血と共に流動可能であり、全血のPRP画分の平均密度と非PRP画分の平均密度の間の密度を有するPSSを含む捕集管において、全血試料からPRP画分を分離するさらに別の方法800を示す。
【0092】
PRP画分は、これが得られ、分離される全血試料の血小板濃度よりも大きな任意の好適な血小板濃度を有することができることが認識されるべきである。例えば、PRP画分は、これが得られる試料の血小板濃度の少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%またはさらにこれより大きな血小板濃度を含むことができる。異なる観点から見ると、PRP画分は、これが得られる試料の血小板濃度の180%〜260%の血小板濃度または200%〜250%の血小板濃度を含むことができる。
【0093】
方法800は、工程810に示されるように、PSSを含む捕集管において、第1の遠心分離プロトコル下で全血試料を遠心分離する工程を含む。工程812に示されるように、第1のプロトコル下での遠心分離により、PSSは、PRP画分と非PRP画分の間で、好ましくは血小板の実質的な活性化なしで流動することができる。
【0094】
方法800はまた、工程820に示されるように、遠心分離後、UVエネルギーに10分未満の期間の間、捕集管を曝露し、PSSを重合させ、固体バリアを形成させる工程を含む。工程822に示されるように、固体バリアのPSSは、全血試料と共に流動可能である場合のPSSの平均分子量よりも大きい平均分子量を有する。
【0095】
方法800はさらに、固体バリアの存在下でPRP画分をホモジナイズし、実質的に均質なPRP画分を形成させる工程を含み、よって、そこから得られた異なるアリコートは、使用される細胞計数法の1の変動係数内にある血小板数を有する。
【0096】
本明細書で記載される方法により、好都合なことに、使用者は、PSSを有する捕集管に含まれる試料(例えば、血液)の異なる密度の画分を分離することができる。固体バリアにより、均質性および再現性の両方が可能になり、出願人は、画分がその中で分離される管を決して開く必要のないようにアダプターを提供することにより、さらなる利点が達成され得ることを発見した。
【0097】
BMAFまたはPRP画分が捕集管内で分離されるとすぐに、試料の無菌性を維持しながら、画分を分離/調製管から他の容器に移すことが有利となるであろう。これにより、分離される画分の、例えば、創傷、ひりひりする痛みまたは他の病状の治療のためのPRP点眼溶液としての家庭での使用が可能になる。
【0098】
図9A〜9Iは、分離された物質(例えば、PRP、BMAF)を第1のバキュテナーから第2のバキュテナーへ移すために使用される企図される移行装置900の一実施形態を示す。しかしながら、移行装置900は、任意の物質を任意の商業的に好適な調製容器から任意の商業的に好適な使用者容器へ移すために使用することができることが認識されるべきである。1つの非限定的な例として、移行装置900は全血のPRP画分をバキュテナーからセルフシール型隔壁を有する無菌点眼容器へ移すために使用することができる。
【0099】
移行装置900は、ベース構造、トランスファニードル、およびベントニードル(それぞれ、902および904)を少なくとも部分的に封入するハウジングを含む。ハウジングとベース構造の第1の部分は、互いに固定して結合または付着させることができ、少なくとも部分的に、第1の内部セクション910および第1の部分の反対側の第2の内部セクション920を規定することができる。
【0100】
加えてまたはその代わりに、ハウジングおよびベース構造の第1の部分は、互いに移動可能にまたはさらに取り外し可能に結合させることができる。加えてまたはその代わりに、ハウジングおよびベース構造の第2の部分は互いに固定して結合または付着させることができる。加えてまたはその代わりに、ハウジングおよびベース構造の第2の部分は、互いに移動可能に結合させることができる。例えば、ベース構造の第2の部分は、ハウジングに固定して結合されるベース構造の第1の部分に移動可能に結合させることができる。別の例として、ベース構造の第2の部分は、ハウジングの内壁に移動可能に結合させることができ、ベース構造の第1の部分は、ハウジングの内壁に固定して付着させることができる。
【0101】
ベース構造の一部が移動可能である場合、第1および第2の内部セクションの体積は変化しないことが認識されるべきである。代わりに、第1および第2の内部セクションは、異なるベース構造部分が可能な限り並べて整列された場合、ベース構造により分離されたセクションとして考えられるべきである。
【0102】
図示されるように、第1の内部セクション910は、トランスファニードル902の一部、およびベントニードル904の一部を含むことができる。第2の内部セクション920は、トランスファニードル902の一部のみを含む。ベントニードル902は、ベース上方に延在するのみであり、第1の内部セクション910内に配置された管のみを貫通するように構成される。より特定的には、トランスファニードル904は移行装置ベースの第1の部分を通って延在することができ、ベントニードル902は、移行装置ベースの第2の部分に付着させることができる(が、これを通って延在しない)。
【0103】
第2のベントニードルを含むベースの第2の部分は、ハウジングに対して移動可能とすることができる。加えてまたはその代わりに、ベントニードル902は、ハウジングの細長いスロット925を通って延在するベント930に結合させることができる。ベントニードル902が調製管のゴム栓に穴を開けると、空気がベント930を通って、ベントニードル902を通って、調製管中に流れることができる。第1の内部セクション910内に配置され、よって、調製管に穴を開けることができるベントニードル902の量は細長いスロット925を通るベント930の配置、およびハウジングに対するベースの第2の部分の配置によって変動し得る。
【0104】
ベース構造の第2の部分がハウジングに移動可能に結合される場合、ベントがベースの第2の部分に固定して結合され得ることが企図される。ニードル、ベント、およびベース構造の移動する第2の部分をハウジングに結合させると、トランスファニードルが移行管940に入るまで、確実に、ベントニードル(およびベントを介する空気)が調製管935に入らないようにすることができる。
【0105】
ベース構造の第2の部分がハウジングに固定して結合される場合、ベントは、ベースの第2の部分に移動可能に(例えば、摺動可能に)結合され得ることが企図される。ニードル、ベント、およびベース構造の固定されたセクション部分をハウジングへ結合させると、トランスファニードルが移行管940に入るまで、確実に、ベントニードルが調製管935に入らないようにすることができる。使用者は、調製管および移行管をトランスファニードル(ハウジングの第1および第2の内部セクション内)で貫通させることができ、その後、ベントをハウジングの第1の内部セクション910に向かってスライドさせ、調製管をベントニードルで貫通させることができる。
【0106】
加えてまたはその代わりに、ベース構造の第2の部分とベントは両方とも、ハウジングに対して移動可能とすることができることが認識されるべきである。
【0107】
移行装置900が使用される場合、ベント930は好ましくは最初、
図9Eおよび9Fに示される構成で、第2の内部セクションに向かう、スロットの下縁にあるであろう。そのような構成では、ベント930がスロット内に、ハウジングの第2の内部部分に最も近い位置で配置される。移行される試料を含む調製管935が、少なくとも部分的に第1の内部セクション910内に配置された場合、トランスファニードルはそのゴム隔壁を貫通することができ、ベントニードルは管935の外側に残ったままとすることができる。
【0108】
無菌移行管940はその後、第2の内部部分920中に部分的に挿入することができ、よって、トランスファニードルが管940(または他の容器)のセルフシール型隔壁を貫通する。トランスファニードルが管940に入るにつれ、ベント930およびベントニードルが、
図9Dおよび9Gに示されるように移動され、よって、第2のニードルが、管935の隔壁を貫通することが企図される。
【0109】
ベントニードルが管935の隔壁を貫通すると、空気が管935にベント930を介して入り、
図9G、9Hおよび9Iに示されるように、PRPの実質的に全てが、管935から、管940にトランスファニードルを介して移行される。
【0110】
図10A〜10Dは、分離された物質を第1の容器から第2の容器に移すために使用される発明対象の別の移行装置の断面図を提供する。
【0111】
図10Aでは、調製容器(上部容器)1080が逆さまに、移行装置の第1の内部セクション1050中に、配置される。調製容器1080はゴム栓1089、血清画分1088、空気1086、セパレータ物質1084、および細胞画分1082を含む。セパレータ物質が発明対象のPSSである場合、調製容器は好都合なことに、逆さまに、第1の内部セクション中に、除去される、または別様に移動されることなく配置することができることが認識されるべきである。
【0112】
装置900と同様に、装置1000はハウジング(または安全性シュラウド)1010、ベース構造、第1および第2の内部セクション(それぞれ、1050および1060)を通って延在するトランスファニードル1020、およびベント1035に結合され、ベース構造から第1の内部セクション1050まで延在する移動可能なベントニードル1030を含む。
【0113】
調製容器1080がトランスファニードル1020により貫通されるとすぐに、真空管(下部容器)1090は第2の内部セクション1060内に配置され、トランスファニードル1020により貫通され得る。
【0114】
図10Bは、調製容器をトランスファニードルで貫通させた後で、しかし、調製容器をベントニードルで貫通させる前での、移行装置内の構成要素の可能な配置を示す。トランスファニードル1020はベース構造の第1の部分上の定位置に、ハウジング内の穴1045を通して挿入される接着剤を用いて保持される。
【0115】
ベントニードル1030は好ましくは、ベントニードルに直角に延在するベント1035に結合される。ベント1035はベース構造のスライドするまたは別様に移動する部分に結合させることができ、ハウジングのスロット1040を通って延在することができる。ここで、ベント1035はスロット1040を通って、ハウジングの第2の内部部分1060に最も近接する端に配置される。
【0116】
いくつかの好ましい実施形態では、トランスファニードルは、ベントがハウジングの第2の内部部分に最も近接するスロットの端に配置されても、ベース構造の摺動部分ではなく、第2の内部部分中にさらに延在する。これにより、確実に、ベントニードルが調製容器を貫通する前に移行容器(下部容器)1090が貫通されることが助けられ得、そのため、PRPは無駄にならない。ゴムまたは他のスリーブ(例えば、1022、1032、および1024)が、1つまたは両方のニードルの露出された端部を被覆し、汚染を防止し、または追加の安全性および無菌性を提供するために含められ得る。
【0117】
図10Cでは、調製容器1080は、ハウジングの第1の内部部分1050におけるトランスファニードル1020により貫通され、ベントニードル1030は調製容器1080の完全に外側に配置されたままである。
図10Dでは、移行容器1090は、ハウジングの第2の内部部分1060におけるトランスファニードル1020により貫通され、第1の内部部分1050に向かって移動される。移行容器1090が、第1の内部部分1050に向かって移動される間、ベースの移動部分、ベント1035およびベントニードル1030もまた、第1の内部部分1050に向かって移動される。ベントニードル1030は、調製容器1080に貫通し、これにより、空気が調製管1080に入り、血清1088が移行容器1090中に押し込まれる。
【0118】
図11A〜11Bは、流体を調製容器から別の容器へ移すために使用することができる他の移行装置1100を提供する。
【0119】
図11Aでは、移行装置1100は、血清トランスファニードル1120および空気トランスファニードル1130を含み、それらは各々、ハウジング1110の第1および第2の内部セクション中に延在する。調製管1180は少なくとも部分的に、移行装置1120の一端内に配置され、真空管1190または点眼器は少なくとも部分的に移行装置1120の他端内に配置され、そのため、血清トランスファニードル1120および空気トランスファニードル1130端の両方が両方の管内に存在する。第1の内部セクション内に配置された空気トランスファニードルの端は、好ましくは、調製管1180内の血清1150より上のレベルまで挿入される。蠕動または他のポンプ1140は、空気を真空管1090から調製管1080中に空気トランスファニードル1130を介して移動させるように動作することができる。真空管から除去された空気のこの体積Xは、真空管1190において真空を作り、同じ体積Xの血清1150が調製管1180から真空管1190中に血清トランスファニードル1120を介して引き出され得る。
図11Bはどのように体積Xの血清が真空管中に移動するかを示す。
【0120】
図12A〜12Bは、ハウジング1210を含む、発明対象のさらに別の移行装置1200を提供する。移行装置は
図11A〜11Bの装置と同様である。しかしながら、可撓管1240と組み合わせたピンチング装置1250がポンプの代わりに使用される。ピンチング装置により、体積Yの空気が調製管1280中に移動し得、同時に、同じ体積Yの空気が真空管1290から引き抜かれ得る。調製管中のこの余分な空気および真空管内のより低い量の空気により、同じ体積Yの血清1285が調製管から、真空管へ血清トランスファニードル1220を介して移動され得る。
【0121】
空気を調製管中に移動させるための、
図12Aおよび12Bで示されるメカニズムはピンチャーであり、これは可撓管を摘み、ノブ1260により管を横切って移動させることができる。スロット1270は、移行装置1200のハウジング1210において提供することができ、これを通って、ノブ1260およびピンチャー1250は、使用者により移動され得る。ピンチャー1250が、ハウジングの第1の内部セクションに向かって移動されると、これは体積Yの空気を、空気トランスファニードル1230を通って調製管中、血清1285上方に押し出すように作用する。同時に、ピンチャーが移動されると、真空が真空管または点眼器中で生成され、そのため、真空管からの空気が可撓管1240中に引き込まれる。
図12Bは、どのように、体積Xの血清1285が真空管1290中に移動され得るかを示す。
【0122】
ハウジングのスロットを通って延在するベントは使用者が容易にかつ適正にベントニードルを要望通りに配置するのを可能にするのに有益となり得るが、そのようなベントは、誤って調製管に向かって移動され、トランスファニードルが移行管に穴を開ける前に、ベントニードルが調製管に穴を開けてしまうことになる可能性がある。移行装置の様々な使用のために、とりわけ、装置が使い捨ての、1回使用装置である場合、不注意調整のリスクを低減または排除するには、装置の全ての構成要素が、外側ハウジング内に配置されることは有利であろう。
【0123】
図13A〜Cは、調製管中への空気流を可能にするベントを含む、全ての構成要素がハウジング内に配置された、いくつかの例示的な移行装置を示す。
【0124】
図13Aでは、移行装置1300Aはハウジング1310Aを含み、これは2つの開端を含み、トランスファニードル1320A、ベントニードルl330A、ベント1350A、トランスファニードル1320Aに結合された第1のベース部分、および移動可能な第2のベース部分1340Aを収容する。図示されるように、ハウジング壁から外に延在する装置の構成要素はない。代わりに、空気はベント、ベントニードル、および調製管1360Aに、移行管が配置される第2の内部部分を介して入ることができる。
【0125】
図13Bでは、移行装置1300Bはハウジング1310Bを含み、これは2つの開端を含み、トランスファニードル1320B、ベントニードルl330B、ベント1350B、トランスファニードル1320Bと結合された第1のベース部分、および移動可能な第2のベース部分1340B(これを通って、ベント1350Bが少なくとも部分的にベントニードル1330Bに沿って延在する)を収容する。ベース部分は、ベントニードル1330Bを調製管1360B中の所望の点まで押し込むことができる、任意の好適な長さを含むことができることが認識されるべきである。ベント1350Bはベース部分1340Bを通ってある角度で、例えば、第2の内部部分に向かって延在し、その後、トランスファニードルから離れて延在することができることもまた認識されるべきである。図示されるように、ハウジング壁から外に延在する装置の構成要素はない。その代わりに、空気はベント、ベントニードル、および調製管1360Aに第2の内部部分(移行管が配置されるであろう)を介して入ることができる。
【0126】
図13Cでは、移行装置1300Cは、ハウジング1310Cを含み、これは2つの開端を含み、トランスファニードル1320C、ベントニードル1330C、ベント1350C、トランスファニードル1320Cと結合された第1のベース部分、および移動可能な第2のベース部分1340Cを収容する。図示されるように、ハウジング壁から外に延在する装置の構成要素はない。その代わりに、空気はベント、ベントニードル、および調製管1360Cに、ハウジング1310C内の開口を介して入ることができる。
【0127】
好適な移行装置は様々な構成を有することができることが認識されるべきである。いくつかの好ましい移行装置は、調製管および移行管に同時に穴を開けるように構成されたトランスファニードル、および調製管に穴を開けるように移動可能なベントニードルを含み、ここで、ベントニードルは、ベントに結合され、これを介して空気が調製管に入ることができる。ベントは完全にハウジング内に配置することができ、または、スロットまたは他の開口を介してハウジングから外に延在することができる。
【0128】
本明細書で記載される移行装置のいずれも、1つ以上のフィルタを含むことができ、これは、ベント、ベントニードル、トランスファニードル、ハウジング開口部(例えば、開端、スロット、または開口)または装置の任意の他の位置(複数可)上またはこれに隣接して配置することができる。企図されるフィルタは、(a)漏れを防止する(例えば、装置が傾けられた場合)、および(b)装置(例えば、ベント、ベントニードル)または調製管に入る空気を滅菌する、の少なくとも1つを実施することができる。少なくともいくつかの実施形態では、フィルタは疎水性とすることができる。無菌移行が望ましい場合、空気無菌性のためのフィルタがとりわけ好ましい。
【0129】
図14は移行装置1400を示し、これは、カバーを含み、これにより使用者は、ベント1410にアクセスし、所望の位置まで移動させることができる。カバー1420は、使用者が、これにより、カバー1420をハウジング凹部1430に向かってスライドさせることができるつめを含む。カバー1420はスライディングドアとして示されているが、任意の好適な移動可能なカバーが企図されることが認識されるべきである。加えてまたはその代わりに、カバー1420は固定することができるが、透明であり、そのため、使用者はベント1410の位置を見ることができるであろう。
【0130】
流体を1つの密閉容器から別の容器に移すことができる様々な他の移行装置が企図されることが認識されるべきである。典型的に、調製管が商業的に好適な移行装置の一端に入れられ、真空管または点眼器が移行装置の他端に入れられた場合、かなりの体積の流体が、重力だけでは、調製管から、真空管中に移動する可能性は低い。真空管は真空密閉されており、系は自然に平衡に達することを望むが、調製管からの血清の移動は調製管において真空を生成させる。これらの2つの真空は明らかに互いに対して働き、十分な血清が真空管に移行することができる前に平衡に到達する。よって、調製管中で生成された真空を解放すること、または真空管内でより強い真空を生成させることが有利である。上記記載は、これが達成され得るいくつかの方法を説明する。
【0131】
本明細書で用いる場合、文脈により別記されない限り、「に結合された」という用語は、直接結合(この場合、互いに結合される2つの要素が互いに接触する)および間接結合(この場合、少なくとも1つの追加の要素が2つの要素間に配置される)を含むことが意図される。よって、「に結合された」および「と結合された」という用語は同義語として使用される。
【0132】
本明細書で開示される発明の他の要素または実施形態の分類は制限するものと解釈されるべきではない。各群のメンバーは個々に、または本明細書で見出される群の他のメンバーまたは他の要素と組み合わせて言及され、特許請求され得る。ある群の1つ以上のメンバーは、利便性および/または特許性の理由のために、1つの群に含めることができ、またはそれから削除することができる。任意のそのような包含または削除が生じた場合、本明細書はその群を改変として含むと考えられ、よって、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュ群の記載された説明を満たす。
【0133】
本明細書における発明概念から逸脱せずに、すでに記載されたもの以外にさらに多くの改変が可能であることは当業者には明らかなはずである。そのため、発明対象は、添付の特許請求の範囲の精神を除いて、制限されるべきではない。その上、明細書および特許請求の範囲の両方を解釈する場合、全ての用語は、文脈と一致する可能な限り最も広い意味で解釈されるべきである。特に、「含む」および「含んでいる」という用語は、要素、成分、または工程に非排他的な様式で言及し、言及された要素、成分、または工程は、明確に言及されていない他の要素、成分、または工程と共に存在し、または使用され、または組み合わせられ得ることを示すと解釈されるべきである。明細書および特許請求の範囲がA、B、C....およびNからなる群より選択される何かの少なくとも1つに言及する場合、その本文は、A+N、またはB+N、などではなく、その群からのただ1つの要素を必要とするものとして解釈されるべきである。