特許第6768678号(P6768678)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768678
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】カメラおよび組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20060101AFI20201005BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   G03B17/02
   G02B7/02 Z
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-541275(P2017-541275)
(86)(22)【出願日】2016年1月12日
(65)【公表番号】特表2018-504643(P2018-504643A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】EP2016050427
(87)【国際公開番号】WO2016124360
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2017年10月4日
【審判番号】不服2019-12364(P2019-12364/J1)
【審判請求日】2019年9月18日
(31)【優先権主張番号】14/615,225
(32)【優先日】2015年2月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシュ ダス
【合議体】
【審判長】 井上 博之
【審判官】 松川 直樹
【審判官】 星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−293302(JP,A)
【文献】 特開2009−216774(JP,A)
【文献】 特開2014−071172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B7/02-7/16
G03B17/02
H04N5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを組み立てる方法であって、
1つの平面を規定する第1の面を備える回路基板を提供する工程であって、前記第1の面にはイメージセンサが固定されており、前記回路基板は、該回路基板を完全に貫通して前記第1の面から、該第1の面に対して平行でかつ該第1の面から間隔を置かれた第2の面まで延びる開口を有する、工程と、
中心軸線を規定しかつレンズをレンズバレルに対して固定された位置に支持するレンズバレルと、該レンズバレルから外方へ、前記中心軸線に対して平行な第1の方向へ延びるポストとを備える、レンズホルダを提供する工程と、
前記レンズホルダと一体に一片として形成されかつ前記中心軸線に対して垂直な平らな面において終端している座部を提供する工程と、
前記回路基板の前記第1の面によって規定された平面が前記中心軸線に対して垂直になるように、前記回路基板および前記レンズホルダを向ける工程と、
前記ポストが前記開口によって収容されるように、前記回路基板と前記レンズホルダとを軸方向で接合する工程と、
前記開口を通って前記ポストを滑らせることによって前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの最終的な位置合わせを調節不能に固定する工程と、
前記座部の前記平らな面に前記回路基板の前記第1の面を当接させることによって、前記イメージセンサと前記レンズとの間の最終的な焦点距離を調節不能に固定する工程と、
を含み、
前記レンズバレルは、第1の軸方向端部と、該第1の軸方向端部とは反対側の、第2の外向きの軸方向端部とを有し、前記座部の前記平らな面は、前記第1の軸方向端部から前記第1の方向に向かって突出した位置にあり、前記ポストは、前記第1の軸方向端部から、前記座部よりもさらに延びており、
前記座部の前記平らな面に前記回路基板の前記第1の面を当接させた後、締結具を、前記回路基板の前記第2の面から前記回路基板を通過させ、前記回路基板を前記座部の前記平らな面に当接した位置において束縛するように、前記締結具を前記レンズホルダ内に係合する工程をさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ポストは第1のポストであり、前記開口は第1の開口であり、
前記第1のポストから間隔を置かれかつ前記レンズバレルから外方へ前記第1の方向へ延びる第2のポストを前記レンズホルダに提供する工程と、
前記第1の開口から間隔を置かれかつ前記回路基板を完全に貫通して前記回路基板の前記第1の面から前記回路基板の前記第2の面まで延びる第2の開口を前記回路基板に提供する工程と、
前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの最終的な位置合わせを調節不能に固定する工程は、前記第1の開口を通って前記第1のポストを滑らせるのと同時に、前記回路基板および前記レンズホルダの軸方向接合中に、前記第2の開口を通って前記第2のポストを滑らせる工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
センサ軸線を提供する工程をさらに含み、該センサ軸線を中心に前記イメージセンサが配置されており、前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの最終的な位置合わせを調節不能に固定する工程は、前記センサ軸線を前記中心軸線から200μm未満だけずらす工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記最終的な焦点距離を調節不能に固定する工程は、前記最終的な焦点距離を、規定された焦点距離の25μm以内に固定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記最終的な焦点距離を調節不能に固定し、前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの最終的な位置合わせの後、前記回路基板を少なくとも部分的に包囲するように前記レンズホルダの前記レンズバレルに外側ハウジングを固定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの最終的な位置合わせを調節不能に固定した後、前記回路基板を少なくとも部分的に包囲するように前記レンズホルダの前記レンズバレルに外側ハウジングを固定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記最終的な位置合わせは、前記イメージセンサの出力を監視することなく調節不能に固定される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
カメラであって、前記カメラは、
回路基板であって、前記回路基板は、1つの平面を規定する第1の面と、該第1の面に対して平行でかつ該第1の面から間隔を置かれた第2の面と、前記第1の面から前記第2の面まで延びた開口と、前記回路基板の前記第1の面に固定されたイメージセンサとを有する、回路基板と、
前記平面に対して垂直に向けられた中心軸線を規定しかつレンズバレルに対して固定された位置にレンズを支持するレンズバレルと、前記中心軸線に対して平行な第1の方向へ前記レンズバレルから外方へ延びるポストとを有する、レンズホルダと、を備え、
前記カメラは、前記レンズホルダと一体に一片として形成されかつ前記中心軸線に対して垂直な平らな面において終端している座部をさらに備え、
組み立てられた状態において、前記ポストは、前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの最終的な位置合わせを固定するために、前記開口内へ突出しており、
組み立てられた状態において、前記回路基板の前記第1の面は、前記イメージセンサと前記レンズとの間の最終的な焦点距離を調節不能に設定するように前記座部の前記平らな面に当接しており、
前記レンズバレルは、第1の軸方向端部と、該第1の軸方向端部とは反対側の、第2の外向きの軸方向端部とを有し、前記座部の前記平らな面は、前記第1の軸方向端部から前記第1の方向に向かって突出した位置にあり、前記ポストは、前記第1の軸方向端部から、前記座部よりもさらに延びており、
前記カメラは締結具をさらに備えており、前記締結具は、前記回路基板の前記第2の面から前記回路基板を通過して、前記回路基板を前記座部の前記平らな面に当接した位置において束縛するように、前記レンズホルダ内に係合するように構成されていることを特徴とする、カメラ。
【請求項9】
前記ポストは第1のポストであり、前記開口は第1の開口であり、
前記レンズホルダは、前記第1のポストから間隔を置かれかつ前記第1の方向へ前記レンズバレルから外方へ延びる第2のポストをさらに有し、前記回路基板は、前記第1の開口から間隔を置かれかつ前記回路基板の前記第1の面から前記回路基板の前記第2の面まで延びる第2の開口をさらに有し、
組み立てられた状態において、前記第2のポストは、前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの最終的な位置合わせを固定するために、前記第2の開口内へ突出している、請求項8記載のカメラ。
【請求項10】
前記回路基板を少なくとも部分的に包囲するように前記レンズホルダの前記レンズバレルの周囲に配置された外側ハウジングをさらに備える、請求項8記載のカメラ。
【請求項11】
前記ポストは、前記レンズバレルと一体に一片として形成されている、請求項8記載のカメラ。
【請求項12】
カメラを組み立てる方法であって、
1つの平面を規定する第1の面を備える回路基板を提供する工程であって、2つの開口が、前記回路基板を完全に貫通して前記第1の面から、該第1の面に対して平行でかつ該第1の面から間隔を置かれた前記回路基板の第2の面まで延びており、イメージセンサが前記回路基板の前記第1の面に固定されている、工程と、
レンズバレルを備えるレンズホルダを提供する工程であって、前記レンズバレルは、中心軸線を規定しており、かつ該レンズバレルに対して固定された位置においてレンズを支持し、2つのポストが、前記レンズバレルから外方へ、前記中心軸線に対して平行な第1の方向へ延びている、工程と、
前記レンズホルダと一体に一片として形成されかつ前記平面に対して平行な平らな面において終端している座部を提供する工程と、
前記回路基板の前記第1の面によって規定された前記平面が前記中心軸線に対して垂直となるように、前記回路基板および前記レンズホルダを向ける工程と、
前記ポストが前記開口によって収容されるように前記回路基板と前記レンズホルダとを軸方向で接合する工程と、
前記開口を通って前記ポストを滑らせることによって、前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの最終的な位置合わせを調節不能に固定する工程と、
前記回路基板の前記第1の面を前記座部に対して当接させることによって、前記イメージセンサと前記レンズとの間の最終的な焦点距離を調節不能に固定する工程と、
を含み、
前記レンズバレルは、第1の軸方向端部と、該第1の軸方向端部とは反対側の、第2の外向きの軸方向端部とを有し、前記座部の前記平らな面は、前記第1の軸方向端部から前記第1の方向に向かって突出した位置にあり、前記ポストは、前記第1の軸方向端部から、前記座部よりもさらに延びており、
前記座部の前記平らな面に前記回路基板の前記第1の面を当接させた後、締結具を、前記回路基板の前記第2の面から前記回路基板を通過させ、前記回路基板を前記座部の前記平らな面に当接した位置において束縛するように、前記締結具を前記レンズホルダ内に係合する工程をさらに含むことを特徴とする、カメラを組み立てる方法。
【請求項13】
前記最終的な焦点距離を調節不能に固定し、前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの最終的な位置合わせの後、前記回路基板を少なくとも部分的に包囲するように前記レンズホルダの前記レンズバレルに外側ハウジングを固定する工程をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの前記最終的な焦点距離および前記最終的な位置合わせは、前記イメージセンサの出力を監視することなく調節不能に固定される、請求項12記載の方法。
【請求項15】
センサ軸線を提供する工程をさらに含み、該センサ軸線を中心に前記イメージセンサが配置されており、前記中心軸線および前記レンズに対する前記イメージセンサの最終的な位置合わせを調節不能に固定する工程は、前記センサ軸線を前記中心軸線から200μm未満だけずらす工程をさらに含み、前記最終的な焦点距離を調節不能に固定する工程は、前記最終的な焦点距離を、規定された焦点距離の25μm以内に固定する工程をさらに含む、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
カメラは、光波が通過する1つまたは複数のレンズを含む。光波はイメージセンサと接触し、イメージセンサは波を電気信号に変換し、最終的なイメージを生成する。イメージセンサは、センサの完全な潜在能力を利用するためにレンズと適切に位置合わせされなければならない。カメラ技術が高まるにつれて、イメージセンサに対してレンズホルダ内のレンズを位置決めするプロセスおよび精度は、カメラが提供する全体的なイメージ品質を実現するように高まってきた。現在では、レンズに対してセンサを位置決めする方法は、アクティブアライメントである。
【0002】
アクティブアライメントは、6自由度(上、下、横、ピッチ、ヨー、ロール)の上方においてイメージセンサに対してレンズを位置合わせするためにアライメントソフトウェアおよび機構を利用する。しかしながら、アクティブアライメントのプロセスは、時間がかかる可能性があり、ソフトウェアおよびアライメント機構は高価である可能性がある。加えて、アクティブアライメントの精度は、カメラのさらなる組立て(すなわち、レンズホルダの周囲への外側ハウジングの取付け)が行われるまで実証することができない。
【0003】
発明の概要
本発明は、1つの態様において、カメラを組み立てる方法を提供する。回路基板には、1つの平面を規定する第1の面が設けられている。第1の面には、イメージセンサが固定されている。回路基板は、回路基板を完全に貫通して第1の面から、第1の面に対して平行でかつ第1の面から間隔を置かれた第2の面まで延びる開口を有する。レンズホルダにはレンズバレルが設けられており、レンズバレルは、中心軸線を規定しており、レンズをレンズバレルに対して固定された位置に支持する。ポストは、レンズバレルから外方へ、中心軸線に対して平行な第1の方向に延びている。回路基板およびレンズホルダは、回路基板の第1の面によって規定された平面が中心軸線に対して垂直となるように向けられている。回路基板およびレンズホルダは、ポストが開口によって収容されるように軸方向で接合されている。中心軸線およびレンズに対するイメージセンサの最終的な位置合わせは、ポストを開口に滑り込ませることによって調節不能に固定される。
【0004】
本発明は、別の態様において、カメラを提供する。カメラは、1つの平面を規定する第1の面と、第1の面に対して平行でかつ第1の面から間隔を置かれた第2の面とを備える回路基板を有する。開口は、第1の面から第2の面まで延びている。回路基板の第1の面には、イメージセンサが固定されている。カメラはさらにレンズホルダを有し、レンズホルダはレンズバレルを有し、レンズバレルは、平面に対して垂直に向けられた中心軸線を規定し、レンズバレルに対して固定された位置にレンズを支持する。ポストは、レンズバレルから外方へ、中心軸線に対して平行な第1の方向に延びている。組み立てられた状態において、ポストは開口内へ突出し、中心軸線およびレンズに対するイメージセンサの最終的な位置合わせを固定する。
【0005】
本発明は、さらに別の態様において、カメラを組み立てる方法を提供する。回路基板には、1つの平面を規定する第1の面と、2つの開口とが設けられており、開口は、回路基板を完全に貫通して第1の面から、第1の面に対して平行でかつ第1の面から間隔を置かれた回路基板の第2の面まで延びている。イメージセンサは、回路基板の第1の面に固定されている。レンズホルダにはレンズバレルが設けられており、レンズバレルは、中心軸線を規定しており、レンズバレルに対して固定された位置にレンズを支持する。2つのポストは、レンズバレルから外方へ、中心軸線に対して平行な第1の方向に延びている。レンズホルダと一体に一片として形成された座部は、平面に対して平行な平らな面において終わっている。回路基板およびレンズホルダは、回路基板の第1の面によって規定された平面が中心軸線に対して垂直となるように向けられている。回路基板およびレンズホルダは、ポストが開口によって収容されるように軸方向で接合されている。中心軸線およびレンズに対するイメージセンサの最終的な位置合わせは、ポストを開口に滑り込ませることによって調節不能に固定される。イメージセンサとレンズとの間の最終的な焦点距離は、回路基板の第1の面を座部に対して当接させることによって、調節不能に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】カメラの部分的に分解された側面図である。
図2】カメラのレンズホルダの平面図である。
【0007】
発明のあらゆる実施の形態が詳細に説明される前に、発明はその適用において、以下の説明に示されたまたは以下の図面に例示された構造の詳細および構成部材の配列に限定されないことが理解されるべきである。発明は、他の実施の形態が可能であり、様々な形式で実行または実施することができる。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明のためであり、限定として見なされるべきではないことが理解されるべきである。
【0008】
詳細な説明
図1に示されたカメラ20は、レンズホルダ24と、レンズホルダ24内に支持されたレンズ28と、イメージセンサ36を支持する回路基板32と、レンズホルダ24の周囲に配置された外側ハウジング40とを有する。レンズ28は、ガラス、プラスチック(例えばアクリル)、または光をレンズ28に通過させるための十分な光学的特性を備えるあらゆる材料から形成されている。レンズ28は、(図1に示したように)単なる凸レンズとして具体化されてもよいか、またはレンズ28は、複合レンズを形成する、レンズホルダ24内に配置された一連のレンズにおける第1のレンズであってもよい。レンズホルダ24は、レンズ28(または複数のレンズ)を固定の位置に支持するように構成された中空の、内部円筒状開口88(図2)を有するボディとして規定されたレンズバレル44を有する。円筒状開口88、ひいてはレンズ28は、以下では中心軸線48と称される軸線48を中心に配置されている。円筒状開口88は、全体で単一の直径を有してもよいか、または複数のレンズ直径に適応するために複数の直径を有してもよい。
【0009】
レンズホルダ24は、さらに、レンズバレル44と一体に形成されかつレンズバレル44から延びた、複数の突出部を有する。このような突出部は、少なくとも1つのポスト52と、少なくとも1つの座部56とを含む。図1および図2に示したように、2つのポスト52は、レンズバレル44の第1の軸方向端部44Aから外方へ、矢印Aによって示したように中心軸線48に対して平行な方向へ延びている。第1の軸方向端部44Aは、第2の外側に面した軸方向端部44Bとは反対側にある。図2に示したように、中心軸線に対して垂直なポスト52横断面は円形である。しかしながら、ポスト52の横断面は、あらゆる択一的な形状(例えば、矩形、三角形、だ円形、星形、正多角形、不規則な多角形など)で形成することができる。図1および図2に示したように、2つの座部56は、レンズバレル44の第1の軸方向端部44Aから外方へ方向Aに延びており、各座部56は、対応する平らな面60において終わっている。
【0010】
各ポスト52は、レンズバレル44の第1の軸方向端部から第1の方向Aへ延びる高さH1を有する。図示したように、各ポスト52の高さH1は等しいが、このことは必要とされない。座部56は、レンズバレル44から方向Aへ延びる高さH2を有しており、高さH2は各ポスト52の高さH1よりも短い。図1および図2は、複数の座部56および複数の平らな座面60とともに示されているが、座部56は、それ以外に、1つの平らな座面60を備える、レンズバレル円筒状開口88の周縁の外側に配置された1つの座部56として具体化することができる。図2に示したように、各座部56には開口64が設けられており、開口64は、ねじ山付きの機械的な締結具(例えば、ねじ、ボルトなど)96をレンズホルダ24に取り付けることを可能にするために、らせん状のねじ山を有してもよい。択一的にまたは加えて、らせん状のねじ山を必要としないかまたは開口64すら必要としないその他の締結具(例えば、リベット、皿ばね、熱かしめ、エポキシ、接着剤など)が使用されてもよい。
【0011】
回路基板32は、図1において、レンズ28に面した向きの第1の面68と、第1の面68に対して平行でかつ第1の面68から間隔を置かれた第2の面72とを備えるシート状基板として示されている。第1の面68は、カメラ20が組み立てられたときに中心軸線48に対して垂直となる平面76を規定している。回路基板32は、さらに、複数のポスト52に対応する少なくとも1つの開口80(例えば、図1に示したように、2つの開口80)を有する。開口80は、回路基板32を完全に貫通して第1の面68から第2の面72まで中心軸線48に対して平行に延びている。回路基板32は、カメラ20の全ての電気的機能を制御してもよい。択一的に、回路基板32は、付加的な回路基板または電気的な装置に接続されてもよい。
【0012】
イメージセンサ36は、センサ軸線100を中心に配置されており、レンズホルダ24と組み立てる前に、固定の位置において回路基板32の第1の面68に取り付けられている。組み立てられた状態において、センサ軸線100は中心軸線48に対して平行であり、所定の距離D未満だけ(例えば、50μm、100μm、200μmなど)、中心軸線48との完全な軸方向位置合わせ状態からずらされている。距離Dは、イメージセンサ36の平らな位置に対して開口80を正確に機械加工(例えば、穿孔、レーザ穿孔など)することによって達成される。イメージセンサ36は、接着剤、はんだ付け、リフローはんだ付け、回路基板32のオリフィス内へ延びるピンによって、所定の位置に保持されていてもよく、他の実施の形態では、イメージセンサ36は回路基板32と一体に製造されてもよいか、または択一的な取付け方法によって回路基板32に接合されてもよい。
【0013】
外側ハウジング40は、レンズホルダ24の一部の周囲に配置されており、レンズホルダ24の一部、選択的に回路基板32を少なくとも部分的に包囲している。回路基板32とレンズホルダ24とが固定された後、外側ハウジング40がレンズホルダ24に取り付けられる。図示したように、外側ハウジング40はシーラント84を用いてレンズホルダ24に接着されているが、外側ハウジング40は、あらゆる数の択一的な方法(例えば、締結具、スナップばめ、摩擦溶接など)を用いてレンズホルダ24に取り付けることができる。
【0014】
カメラ20の構造において、ポスト52および座部56に対する静止基準座標系を提供するために、レンズ28はレンズバレル44内に固定されている。回路基板32と、レンズホルダ24のレンズバレル44とは、回路基板32の第1の面68によって規定された平面76が、円筒状開口88によって規定された中心軸線48に対して垂直となるように向けられている。回路基板32およびレンズホルダ24は、ポスト52をそれぞれの開口80へ滑り込ませることによって軸方向で接合される。イメージセンサ36が回路基板32に固定されているので、軸方向の接合は、中心軸線48およびレンズ28に対するイメージセンサ36の最終的な位置合わせを調節不能に固定する(すなわち、イメージセンサ36は、平面76に沿って中心軸線48に対して並進することはできない)。
【0015】
ポスト52および開口80の横断面が非円形(例えば、矩形、三角形、だ円形、星形、正多角形、不規則な多角形など)であるならば、図1および図2の2ポスト配列の代わりに、1つのポスト52および対応する開口80が、中心軸線48およびレンズ28に対するイメージセンサ36の最終的な位置合わせを調節不能に固定することができる。
【0016】
ポスト52が開口80に収容されると、回路基板32が座部56の平らな面60に当接するまで回路基板32とレンズホルダ24とがさらに軸方向に接合され、これにより、イメージセンサ36とレンズ28との間の最終的な焦点距離92を調節不能に固定する(すなわち、イメージセンサ36はレンズ28に対して軸方向に並進することができない)。イメージセンサ36は今やレンズ28に対して移動することはできず、全ての自由度を排除する。カメラ20が複数のレンズ28を有するならば、焦点距離92は、イメージセンサ36から、最も近いレンズ28まで計測されてもよい。最終的な焦点距離92は、レンズバレル44および座部56を一体的に形成する精度によって達成可能な、規定された焦点距離の最大公差内(例えば、25μm未満、50μm未満など)に固定される。回路基板32は、回路基板32を締結具96によってレンズホルダ24に永久にまたはほぼ永久に固定することによって、さらに束縛することができる。例示したように、締結具96は、回路基板32を通過し、座部56内の開口64内へ螺入されるねじであることができる。らせん状のねじ山を必要としないかまたは開口64すら必要としない択一的な締結具(例えば、リベット、皿ばね、熱かしめ、エポキシ、接着剤など)が使用されてもよい。
【0017】
最終的な焦点距離92が固定され、イメージセンサ36が、中心軸線48およびレンズ28に対するイメージセンサ36の最終的な位置合わせにおいて調節不能に固定されると、外側ハウジング40がレンズホルダ24の周囲に配置される。外側ハウジング40はシーラント84を用いてレンズホルダ24に接合されているが、外側ハウジング40は、あらゆる数の択一的な方法(例えば、締結具、スナップばめ、摩擦溶接など)を用いてレンズホルダ24に取り付けることができる。外側ハウジング40は、いかなるセンサ対レンズの位置決めまたは位置合わせのためにも関与しない。外側ハウジング40の接合は、イメージセンサ36またはレンズ28に対する狭い公差のために厳密に監視または制御される必要がない。
【0018】
カメラ20の組立て方法および設計は、アクティブアライメントに対する、費用対効果よくかつ時間を節約する代替手段を提供する。組立て方法は、回路基板32に対するレンズホルダ24または外側ハウジング40の位置合わせまたは組立て中、イメージセンサ36の出力を監視することなくレンズ28に対するイメージセンサ36の全ての自由度を排除する方法を提供する。レンズ28の中心軸線48に対するイメージセンサ36の位置は、ポスト52と開口80との間の境界面によってのみ固定される。境界面は、ポスト52と開口80との間に間隙または遊びをほとんどまたは全く提供せず、締りばめであってもよいか、または小さな間隙(例えば、20μm未満、50μm未満など)を提供してもよい。座部56の平らな面60に対して回路基板32の第1の面68を当接させることによってのみ、最終的な焦点距離92が固定され、回路基板32は、1つまたは複数の締結具96によってこの位置に束縛されてもよい。
【0019】
発明は、好適な実施の形態に関して詳細に説明されているが、記載された発明の1つまたは複数の独立した態様の範囲および思想において、変更および修正が存在する。
図1
図2