(54)【発明の名称】ランダムプロジェクションまたはランダム埋め込みを計算する方法、デジタルデータ処理プログラムを実装する方法、デジタルデータ混合装置及びデジタルデータ処理システム
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、前述の欠点がない、デジタルデータの混合を提供する装置及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明によれば、第1の空間の複数の入力デジタルデータブロックの、第2の空間の複数の出力デジタルデータブロックへのランダムプロジェクション
またはランダム埋め込みを計算する方法であって、
入力デジタルデータ(4)の少なくともnビット(I1...In)により各々が構成される前記複数の入力デジタル
データブロックを電子部品から受信し、
電磁ビーム源から、電磁ビームを受信し、
各入力デジタルデータブロックに対して、
入力デジタルデータの前記少なくともnビットを、前記電磁ビームの、基準となる少なくとも1つの物理特性に関連して、p同時変調(M1,...Mp)に変換し、
電磁ビーム変調器により、前記電磁ビームの波面上のp個の横断位置において、前記p同時変調を適用することによって、変調電磁ビームを生成し、
前記p同時変調(M1...Mp)を備える前記変調電磁ビーム(15)を、多重散乱媒体を備える電磁散乱手段を通した多重電磁散乱により散乱させて、散乱電磁ビーム(19)を生成し
前記散乱電磁ビーム(19)を少なくともmビット(O1...Om)の出力デジタルデータ(5)により構成される出力デジタルデータブロックに変換し、前記出力デジタルデータの前記少なくともmビットは、前記散乱電磁ビームを受けるように構成された受信手段のセンサ領域のq個の個別位置で取得され、
前記少なくともmビット(O1...Om)の出力デジタルデータ(5)を電子部品に提供する方法が提供される。
【0010】
これらの特徴によれば、データ処理の重要な部分が、電磁ビームの物理的散乱によりアナログ的に行われるため、最小の処理能力でデジタルデータを混合すること、すなわち、初期データのランダムプロジェクションを計算することが可能である。
【0011】
幾つかの実施形態において、以下の特徴の一つ又は複数を使用してもよい。
−前記変調電磁ビームは、コヒーレント電磁放射のビームである。
−前記変調電磁ビームの前記p同時変調は、前記変調電磁ビームの基準となる振幅、強度、位相又は偏光に関連して、前記変調電磁ビームの振幅、強度、位相及び偏光の少なくとも1つの変調を備える。
−前記変調電磁ビームを生成することは、電磁ビーム源により初期電磁ビームを生成することと、電磁ビーム変調器を用いて前記複数の少なくともnビットの入力デジタルデータ及び前記初期電磁ビームを受信することと、前記電磁ビーム変調器により前記変調電磁ビームを取得するために、p同時変調を前記初期電磁ビームに適用することとを備える。
−前記変調電磁ビームの前記p同時変調は、前記変調電磁ビーム及び/又は前記初期電磁ビームの波面上のp個別横断位置にそれぞれ関連付けられる。
−前記変調電磁ビームの前記p同時変調は、前記変調電磁ビーム及び/又は前記初期電磁ビームのp個別波数ベクトルにそれぞれ関連付けられる。
−前記変調電磁ビームを散乱させることは、受動的散乱手段により行われる。
−前記変調電磁ビームを散乱させることは、透過散乱手段により行われ、前記透過散乱手段の入射面により前記変調電磁ビームを受信することと、前記入射面を前記透過散乱手段の放出面から隔てる前記透過散乱手段の散乱体により複数の電磁散乱を実行することと、前記透過散乱手段の前記放出面により前記散乱電磁ビームを送信することとを備える。
−受信手段は、前記散乱電磁ビームを複数のmビットの出力デジタルデータに、特に、前記受信手段のセンサ領域のq個別位置に関連付けられているmビットの出力デジタルデータに同時に変換することができる。
【0012】
本発明はまた、第1の空間の複数の入力デジタルデータブロックの、第2の空間の複数
の出力デジタルデータブロックへのランダムプロジェクション
またはランダム埋め込みを計算するように構成されたデジタルデータ混合装置(2)であって、
少なくともnビット(I1...In)の入力デジタルデータ(4)により各々構成される前記複数の入力
デジタルデータブロックを電子部品から受信する入力手段(8)と、
電磁ビームを生成する電磁ビーム源と、
入力デジタルデータの前記少なくともnビット(I1...In)を受信し、前記電磁ビームの基準となる物理特性に関連して、前記電磁ビームの
波面上のp個の横断位置において
、p同時変調を適用することによってp同時変調(M1...Mp)して変調電磁ビーム(15)を生成するように構成された電磁ビーム変調器と、
前記p同時変調(M1...Mp)を備える前記変調電磁ビーム(15)を、多重電磁散
乱により散乱させて散乱電磁ビーム(19)を生成するための、多重散乱媒体を備えた電
磁散乱手段(10)と、
前記散乱電磁ビーム(19)を、少なくともmビット(O1...Om)の出力デジタル
データ(5)から構成される出力データブロックに変換させるための受信手段(11)で
あって、前記出力デジタルデータの前記少なくともmビットは当該受信手段(11)のセ
ンサ領域のq個の個別位置で取得される受信手段(11)と、
前記少なくともmビット(O1...Om)の出力デジタルデータ(5)を電子部品に提
供するための出力手段(12)と、
を備える。
【0013】
幾つかの実施形態において、以下の特徴の一つ又は複数を使用してもよい。
−前記変調電磁ビームは、コヒーレント電磁放射のビームである。
−前記変調電磁ビームの前記p同時変調は、前記変調電磁ビームの基準となる振幅、強度、位相又は偏光に関して、前記変調電磁ビームの振幅、強度、位相及び偏光の少なくとも1つの変調を備える。
−前記電磁放射手段は、初期電磁ビームを生成するための電磁ビーム源と、前記複数の少なくともnビットの入力デジタルデータ及び前記初期電磁ビームを受信するための電磁ビーム変調器であって、前記変調電磁ビームを取得するためにp同時変調を前記初期電磁ビームに適用するための電磁ビーム変調器とを備える。
−前記電磁ビーム変調器は空間光変調器であり、特に、マイクロミラー又は液晶を備える空間光変調器であって、前記電磁ビーム源はレーザを備える。
−前記変調電磁ビームの前記p同時変調は、前記変調電磁ビーム及び/又は前記初期電磁ビームの波面上のp個別横断位置にそれぞれ関連付けられる。
−前記変調電磁ビームの前記p同時変調は、前記変調電磁ビーム及び/又は前記初期電磁ビームのp個別波数ベクトルにそれぞれ関連付けられている。
−前記電磁散乱手段は、受動的散乱手段である。
−前記電磁散乱手段は、前記変調電磁ビームを受信する入射面と前記散乱電磁ビームを送信する放出面とを備える透過散乱手段であって、前記入射面及び前記放出面は、複数の電磁散乱を実行可能な散乱体により隔てられている。
−前記電磁散乱手段は、長時間安定したままであり、特に、少なくとも2分、好ましくは2日、より好ましくは2ヶ月の間安定したままである。
−前記受信手段は、前記散乱電磁ビームを複数のmビットの出力デジタルデータに、特に、前記受信手段のセンサ領域のq個別位置に関連付けられているmビットの出力デジタルデータに同時に変換することができる。
−前記受信手段は、イメージセンサを備える。
【0014】
本発明は、さらにデジタルデータ処理システムに関連し、当該デジタルデータ処理システムは、上記で詳述したようなデジタルデータ混合装置と、前記入力デジタルデータを前記デジタルデータ混合装置に提供するため、及び前記デジタルデータ混合装置から前記出力デジタルデータを受信するための少なくとも1つの独立電子部品とを備える。
【0015】
幾つかの実施形態においては、前記デジタルデータ処理システムは、上記で詳述したような第1デジタルデータ混合装置及び第2デジタルデータ混合装置を少なくとも備えることができ、前記第1デジタルデータ混合装置及び前記第2デジタルデータ混合装置は、前記第2デジタルデータ混合装置の前記入力デジタルデータが前記第1デジタルデータ混合装置からの前記出力デジタルデータに基づくように、直接又は相互接続電子部品を介して互いに接続されるシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
異なる図において、同一の符号は、類似又は同様の要素を示す。
【0019】
先ず、本発明の実施形態に係るデジタルデータ処理システム1を示す
図1を参照する。
【0020】
当該デジタルデータ処理システム1は、デジタルデータを処理することができ、具体的には、上述のように大量のデジタルデータを処理することができる。
【0021】
例えば、デジタルデータ処理システム1は、当技術分野で周知の統計的機械学習(statistical Machine Learning)の方法(具体的には、例えば、ディープ・ニューラル・ネットワーク又はランダム化カーネル・マシンのような分類又は回帰用の機械学習)を実行できる。デジタルデータ処理システム1は、また、(例えば、行列及びテンソルランダム化を含む大規模な科学技術計算の分野における)決定論的又はランダム化数値線形代数のための方法を実行できる。一般的に、デジタルデータ処理システム1は、確率的勾配降下法、大規模なランダム・カーネル、エクストリーム・ラーニング・マシン、ランダム化数値線形代数アルゴリズム、局所性鋭敏型ハッシュ、反復固有値ソルバ(iterative eigensolver)及び/又はデータベース・フレンドリー・ランダムプロジェクションのうちの一つを含む任意のデジタルデータ処理において使用されてもよいが、それに制限されるものではない。
【0022】
図1に示すように、デジタルデータ処理システム1は、デジタルデータ混合装置2及び少なくとも一つの別個の電子部品3を備える。
【0023】
以下において、デジタルデータ混合装置2をより詳細に説明する。該デジタルデータ混合装置2は、特に電磁波の散乱を伴うアナログ混合処理を通して、一般に入力デジタルデータ4を受信し、入力デジタルデータ4の関数(function)である出力デジタルデータ5を提供できる。
【0024】
電子部品3は、入力デジタルデータ4をデジタルデータ混合装置2に提供し、デジタルデータ混合装置2から出力デジタルデータ5を受信する。電子部品3は、本明細書では単一の部品として参照されるが、複数の個別の電子部品3を備えてもよい。電子部品3は、例えば、中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)及び/又は当技術分野で周知の任意のタイプの処理装置といった処理装置であってもよいし、当該処理装置を備えることも可能である。
【0025】
デジタルデータ混合装置2及び電子部品3は、直接、又は相互接続電子部品3aを介して、互いに接続される。例えば、電子部品3及び/又はデジタルデータ混合装置2は、コンピュータ又はサーバのプリント回路基板に電気的に接続及び固定されてもよい。当該プリント回路基板は、電子部品3及びデジタルデータ混合装置2間の電気的及び物理的接続を行う。他の実施形態では、デジタルデータ混合装置2は、電子部品3に物理的に固定されなくてもよく、例えば、接続ケーブルにより電子部品3に電気的に接続される別のものであってもよい。従って、一実施形態において、デジタルデータ混合装置2は、接続ケーブルによりコンピュータに接続される独立型のモジュールであってもよい。当該デジタルデータ混合装置及び当該コンピュータは、共にデジタルデータ処理システム1を形成する。
【0026】
本発明に係るデジタルデータ混合装置2の実施形態を
図1においてより詳細に示す。デジタルデータ混合装置2はハウジング7を備え、ハウジング7内には、入力手段8、電磁放射手段9、電磁散乱手段10、受信手段11及び出力手段12が一体化されている。入力手段8は、入力デジタルデータ4を受信でき、具体的には、複数の少なくともnビットI
1...I
nの入力デジタルデータ4を受信できる。入力手段8は、例えば、複数の導電端子13を備える。また、入力手段8は、導電端子13に接続されるデジタル入力回路14を備えてもよい。導電端子13は、ハウジング7の外からアクセスされてもよいし、例えば、ハウジング7の面からハウジング7の外側に向かって延在してもよい。デジタルデータ混合装置2がデジタルデータ処理システム1内で別個の電子部品3と一体化される場合、導電端子13は、上記で詳述されたように、直接又は相互接続電子部品3aを介して電子部品3に電気的に接続される。
【0027】
従って、一実施形態においては、装置2は、プリント回路基板に電気的に接続可能であり、特に、導電端子13を使用してプリント回路基板に固定及び電気的に接続され、或いは導電端子13に接続される接続ケーブルによりプリント回路基板に電気的に接続される。
【0028】
入力手段8のデジタル入力回路14は、入力デジタルデータ4の前処理を実行するように設計できる。例えば、後続のアナログ処理のためのデジタルデータを準備することにより、nビットI
1...I
nの入力デジタルデータ4を取得する。nビットI
1...I
nの入力デジタルデータ4は、入力手段8により電磁放射手段9に送信される。
【0029】
電磁放射手段9は、変調電磁ビーム15を生成でき、当該nビットI
1...I
nの入力デジタルデータ4は、変調電磁ビーム15のp関連同時変調M
1...M
pに変換される。
【0030】
変調電磁ビーム15のp同時変調M
1...M
pは、変調電磁ビーム15の振幅、強度、位相及び/又は偏光の変調であってもよい。これらの変調M
1...M
pは、変調電磁ビーム15の強度、又は変調電磁ビーム15の強度及び位相の変調であれば有利である。これらの変調M
1...M
pは、変調電磁ビーム15の基準となる物理的性質、すなわち、変調電磁ビーム15の基準となる振幅、強度、位相及び/又は偏光に関連して、当該物理的性質の変調として理解されてもよい。
【0031】
「変調電磁ビームのp同時変調」における「同時」は、以下で「混合期間」と呼ばれる期間内に、p変調が全て変調電磁ビーム15に共に適用されることを意味する。この混合期間の持続時間は、受信手段11の取得時間より長ければ、例えばピコ秒より長く、特にナノ秒より長ければ有利である。受信手段11がイメージセンサを備える実施形態においては、該混合期間は、マイクロ秒又はミリ秒程度であってもよい。混合期間は、高周波の処理データに対しては1秒より短くてもよい。
【0032】
変調電磁ビーム15の同時変調M
1...M
pの数pは、入力デジタルデータ4のビットI
1...I
nの数nと等しくてもよいが、より少なくても或いは多くてもよい。
【0033】
特に、変調電磁ビーム15の変調M
1...M
pは、2つ以上の異なる物理的状態から選択することができ、入力デジタルデータ4の2進値以上を符号化してもよい。例えば、変調電磁ビーム15の位相は、所定の精度で変調され、位相の単一変調において数ビットの入力デジタルデータを符号化してもよい。非限定的な例として、変調電磁ビーム15の位相は、約1度の精度で変調されてもよく、それにより変調電磁ビーム15の位相の単一変調において、約8ビットの入力デジタルデータの符号化が可能になる。
【0034】
本発明の一実施形態においては、電磁放射手段9は、電磁スペクトルの可視部分又は赤外線部分において主要な波長を持つ変調電磁ビーム15を生成する。
【0035】
デジタルデータ混合装置2のハウジング7は、変調電磁ビーム15の主波長の波長において不透明であると有利である。本発明の幾つかの実施形態においては、少なくとも電磁放射手段9、電磁散乱手段10及び受信手段11は、ハウジング7内の筐体に収容されている。当該筐体は、変調電磁ビーム15の主波長の波長において不透明である。
【0036】
ハウジング7は剛体であり、特にプラスチック、金属、ポリマー、ガラス等の任意の適切な材料で作成できる。本発明の幾つかの実施形態において、ハウジング7は、例えば、電磁散乱手段10にアクセスして電磁散乱手段10を取り外す及び/又は変更できるように開放されていてもよい。他の実施形態においては、ハウジング7は密封され、その完全な状態を壊さずに開けることはできない。
【0037】
図2は、本発明に係る電磁放射手段9の実施形態をより詳細に示す。本実施形態において、電磁放射手段9は、電磁ビーム源16及び電磁ビーム変調器17を備える。
【0038】
電磁ビーム源16は、初期電磁ビーム18を生成する。電磁ビーム源16は、例えば、電磁スペクトルの可視部分又は赤外線部分において主波長を有する初期電磁ビーム18を生成できる。
【0039】
電磁ビーム源16は、コヒーレント電磁放射源、又は少なくとも部分的にコヒーレント電磁放射である。例えば、電磁ビーム源16は、レーザ又はスーパー・ルミネセント・ダイオードを備えてもよい。電磁ビーム源16は、また、コリメーティングレンズ、ビーム拡大器、ミラーなどのような初期電磁ビーム18を成形する光学装置16aを備えてもよい。
【0040】
電磁ビーム変調器17は、例えば、電磁ビーム変調器17のデジタル入力において、nビットI
1...I
nの入力デジタルデータ4を受信できる。電磁ビーム変調器17は、また、電磁ビーム源16から初期電磁ビーム18を受信できる。電磁ビーム変調器17は、変調電磁ビーム15を取得するために、次にnビットI
1...I
nの入力デジタルデータ4に関連付けられたp同時変調M
1...M
pを初期電磁ビーム18に適用できる。
【0041】
電磁ビーム変調器17は、例えば、電気アドレス指定ビーム変調器(electrically addressed beam modulator)であってもよい。電磁ビーム源16が電磁スペクトルの可視部分又は赤外線部分において主波長を有する初期電磁ビーム18を生成する実施形態において、電磁ビーム変調器17は、空間光変調器、特に電気アドレス指定空間光変調器(EASLM)であってもよい。
図2に示される実施形態においては、電磁ビーム変調器17は、複数の独立アドレス可能マイクロミラーを備える空間光変調器である。従って、電磁ビーム変調器17は、初期電磁ビーム18の制御反射を行い、p同時変調M
1...M
pは、pマイクロミラーのp制御配向に関連付けられている。代わりに、電磁ビーム変調器17は、独立してアドレス可能な複数の液晶を備える空間光変調器であってもよい。従って、電磁ビーム変調器17は、初期電磁ビーム18の制御送信を行い、その際、p同時変調M
1...M
pをp液晶のp制御状態に関連付けることができる。
【0042】
本発明の別の実施の形態においては、電磁放射手段9は、p同時変調M
1...M
pを備える変調電磁ビーム15を直接生成することができる電磁ビーム源16を備えてもよい。本実施形態において、電磁放射手段9は、例えば、一連のコヒーレントに同期されたレーザを備えてもよい。
【0043】
変調電磁ビーム15は、コヒーレント電磁放射のビーム、又は少なくとも部分的にコヒーレント電磁放射であると有利である。このように、電磁散乱手段10による変調電磁ビーム15の散乱は、光の多重経路からの干渉をもたらし、高い自由度につながり、それにより入力データ4の高度な混合となる。
【0044】
本発明の一例においては、変調電磁ビーム15のp変調M
1...M
pは、それぞれ、
図3に示すように変調電磁ビーム15及び/又は初期電磁ビーム18の波面におけるp個別横断位置L
1...L
pに関連付けられている。p個別横断位置L
1...L
pは、p同時変調M
1...M
pに関連付けられたp独立アドレス可能マイクロミラーであってもよく、又はp同時変調M
1...M
pに関連付けられたp液晶の位置であってもよい。
【0045】
変調電磁ビーム15のp同時変調M
1...M
pは、それぞれ、変調電磁ビーム15及び/又は初期電磁ビーム18のp個別波数ベクトルk
1...k
pに関連付けられてもよい。
【0046】
尚、当該変調M
1...M
pに関連付けられている変調電磁ビーム15のp個別波数ベクトルk
1...k
pは、
図3に示されるように、変調電磁ビーム15及び/又は初期電磁ビーム18の波面におけるp個別横断位置L
1...L
pに対応できる。実際、電磁ビーム変調器17の光学装置17aは、変調電磁ビーム15を成形できる。光学装置17aは、変調電磁ビーム15の波数ベクトルk
1...k
pに変調電磁ビーム15の波面におけるレンズ変換横断位置L
1...L
pを備えることができ、あるいはその逆でもよい。
【0047】
図3は、本発明の実施形態に係る電磁散乱手段10をより詳細に示す。電磁散乱手段10は、p同時変調M
1...M
pを備える変調電磁ビーム15を散乱電磁ビーム19に散乱させることができる。
【0048】
電磁散乱手段10は、透過散乱手段であれば有利である。従って、電磁散乱手段10は、入射面10a、放出面10b、及び入射面10a及び放出面10bを隔てる散乱体10cを備えてもよい。入射面10aは、変調電磁ビーム15を受信し、放出面10bは散乱電磁ビーム19を送信する。散乱体10cは、変調電磁ビーム15の多重電磁散乱を行い、散乱電磁ビーム19を取得できる。当該配置により、変調電磁ビーム15の最適な多重散乱が実現する。
【0049】
特に、電磁散乱手段10は、例えば、散乱体10cに収容される又は散乱体10cを形成する多重散乱媒体であってもよく、或いは当該多重散乱媒体を備えることができる。
【0050】
「散乱」とは、電磁ビームを構成する電磁放射が媒体内の不均一性により一直線の軌道から弾性的にそらされる処理及び媒体を意味する。従って、「多重散乱」は、媒体に入る放射が媒体を出る前に数回散乱される処理及び媒体を意味する。媒体内の不均一性の特質及び配置への散乱の感度を考えると、このような処理及び媒体の正確な出力を予測することは非常に難しい、又はほとんど不可能であるため、電磁ビームのランダム散乱を行う。
【0051】
変調電磁ビーム15はp同時変調M
1...M
pを実行するため、変調電磁ビーム15の多重散乱は、p同時変調M
1...M
pのアナログ混合になり得る。さらに、p同時変調M
1...M
pはnビットI
1...I
nの入力デジタルデータ4に関連付けられているため、デジタルデータ混合装置2は、nビットI
1...I
nの入力デジタルデータ4のランダムアナログ混合を実行する。
【0052】
従って、一般に言えば、電磁散乱手段10は変調電磁ビーム15のp同時変調M
1...M
pを散乱電磁ビーム19の同時変調に変換できる。
【0053】
「散乱電磁ビームの変調」とは、当該p同時変調M
1...M
pを実行しない無変調入力電磁ビーム15の散乱に対応する基準散乱ビームに対する散乱電磁ビームの変調を意味する。
【0054】
変調電磁ビーム15に関して上述したのと同様の方法で、散乱電磁ビーム19の同時変調は、波面における個別横断位置L’
1...L’
q及び/又は散乱電磁ビーム19の個別波数ベクトル、例えば、散乱電磁ビーム19の波面におけるq個別横断位置L’
1...L’
q及び/又は散乱電磁ビーム19のq個別波数ベクトルk’
1...k’
qに関連付けられてもよい。
【0055】
本発明に適した多重散乱媒体の例としては、半透明材、ペイント用顔料等の非晶質物、ガラス上に沈着した非晶質層、透明マトリクスに埋め込まれた散乱不純物、ナノパターン物質及びポリマーがある。このような多重散乱媒体の一例は、基板上の酸化亜鉛(ZnO)の層のような非晶質物の層である。
【0056】
これらの多重散乱媒体は、ランダム散乱処理として見なされ得るというよりはむしろ、電磁ビームの非常に複雑かつ決定論的な散乱を行う。
【0057】
電磁散乱手段10は、受動的(passive)散乱手段であると有利である。「受動的」とは、ビームの散乱を行うために外部電源を備える必要がないことを意味する。
【0058】
本発明の一実施形態においては、電磁散乱手段10は、線形散乱手段であり、変調電磁ビーム15における非線形効果は無視できるものであることを意味する。
【0059】
「非線形効果」により、例えば、当該放射の周波数における倍加又は変更が理解される。
【0060】
別の実施の形態においては、電磁散乱手段10は、変調電磁ビーム15において無視できないほどの非線形散乱効果を有してもよい。この後者の実施形態は、特に第2デジタルデータ混合装置2の入力デジタルデータ4が当該デジタルデータ混合装置2の出力デジタルデータ5の関数(function)である場合、連鎖デジタルデータ混合装置2、すなわち、第1及び第2デジタルデータ混合装置2を有するデジタルデータ処理システム1に含まれる第1デジタルデータ混合装置2において重要である。以下において、デジタルデータ処理システム1のこれらの実施形態をさらに詳述する。
【0061】
電磁散乱手段10は、長時間安定していることが有利である。このように、電磁散乱手段10の散乱特性は調整可能であり、一定期間変化しない。例えば、当該期間は、少なくとも2分、好ましくは2日、より好ましくは2ヶ月であってもよい。
【0062】
「その散乱特性が一定期間変化しない」ことにより、電磁散乱手段10の散乱特性は、当該期間における所定の検出精度範囲内にあることが分かる。
【0063】
電磁散乱手段10の散乱特性が変化しないままであるかどうかを確認するために、データ混合装置の出力を適格にするための手順を導入することができる。
【0064】
このような手順は、例えば、デジタル入力データのような既知の信号のライブラリーをデータ混合装置に供給し、出力デジタルデータを出力データのデータベースに保存することでもよい。この出力データのデータベースは、それによりデータ混合装置のシグネチャ(signature)を構成する。従って、データ混合装置の安定性及び整合性は、当該シグネチャを異なる時点で、及び/又はデータ混合装置の全域で比較することにより確認できる。
【0065】
データ混合装置2の受信手段11は、散乱電磁ビーム19を受信し、散乱電磁ビーム19を少なくとも1ビットO
1の出力デジタルデータ5に変換することができる。それにより受信手段11は、少なくとも1つの電磁変換器を備え、散乱電磁ビーム19を電気取得信号21に変換する。
【0066】
本発明の一実施形態において、
図2に示されるように、受信手段11は、散乱電磁ビーム19を複数のmビットO
1...O
mの出力デジタルデータ5に同時に変換できる。
【0067】
「散乱電磁ビームを複数のビットの出力デジタルデータに同時に変換する」における「同時に」により、p変調が全て一緒に変調電磁ビーム15に適用される混合期間の間に、散乱電磁ビーム19が複数のmビットの出力デジタルデータに変換されることが分かる。従って上述したように、混合期間の持続時間は、受信手段11の取得時刻よりも長いと有利であり、例えば、ピコ秒よりも長い、特にナノ秒よりも長いと有利である。受信手段11がイメージセンサを備える実施形態においては、混合期間は、マイクロ秒又はミリ秒程度であってもよい。混合期間は、高周波の処理データに対しては1秒より短くてもよい。
【0068】
本発明の一実施形態においては、当該mビットO
1...O
mの出力デジタルデータ5は、受信手段11のセンサ領域23のq個の個別位置P
1...P
qに関連付けられている。
【0069】
出力デジタルデータ5のビットO
1...O
mのビット数mは、センサ領域23の個別位置P
1...P
qの数qと等しくてもよいが、より少なくても多くてもよい。
特に、変調電磁ビーム15の変調は、2つ以上の異なる物理的状態から選択されてもよいため、上述のように、該変調は、入力デジタルデータ4の2進値以上を符号化してもよい。従って、例えば散乱電磁ビーム19の位相を所定の精度で変換可能であり、その結果、位相の単一変調において複数のビットの出力デジタルデータを符号化する。非限定的な例において上述したように、散乱電磁ビーム19の位相は、約1度の精度で変換されてもよく、それにより散乱電磁ビーム19の位相の単一変調において約8ビットの出力デジタルデータを符号化することが可能になる。幾つかの実施形態において、散乱電磁ビーム19の位相は、変調電磁ビーム15を変調するために使用される精度とは異なる精度で変換されてもよい。
【0070】
結果として、出力デジタルデータ5のビットO
1...O
mのビット数mは、入力デジタルデータ4のビットI
1...I
nのビット数nと等しくてもよいが、より少なくても(情報の圧縮、すなわち、より小さい次元空間への投射)、より多くても(より大きい次元空間への投射)よい。
【0071】
図2に示される本発明の実施形態においては、受信手段11は、散乱電磁ビーム19の関数である取得信号21を生成するイメージセンサ20を備える。取得信号21は、例えば、受信手段11の当該センサ領域23のm個の個別位置P
1...P
mにそれぞれ関連付けられたm個の副信号S
1...S
mを備えることができる。
【0072】
このようなイメージセンサ20は、特に電磁検出器配列である。イメージセンサ20は、アナログ装置であってもよく、例えば、電荷結合素子(CCD)又はアクティブ・ピクセル・センサ、例えば相補型金属酸化膜半導体(CMOS)に基づく装置であってもよい。
【0073】
受信手段11は、さらに後処理回路22を備えることができ、該後処理回路22は、受信信号21の後処理を行い、mビットの出力デジタルデータ5を取得できる。後処理回路22は、例えば、取得信号21のアナログ・デジタル変換を実行でき、特に取得信号21のm個の副信号S
1...S
mのアナログ・デジタル変換を行うことができる。
【0074】
受信手段11は、例えば、散乱電磁ビーム19の強度のみを変換することにより、又は後処理回路22により適用された非線形処理を用いて、別の非線形処理をmビットの出力デジタルデータ5に適用してもよい。
【0075】
図2の実施形態において、受信手段11は、散乱電磁ビーム19をその変換前に成形する光学装置11aをさらに備える。これにより、例えば、散乱電磁ビーム19の波数ベクトルk’
1...k’
mを、受信手段11のセンサ領域23の個別位置P
1...P
mに関連付け可能な散乱電磁ビーム19の波面上の横断位置に変換する。
【0076】
デジタルデータ混合装置2の出力手段12は、少なくとも1ビットO
1の出力デジタルデータ5を提供できる。出力手段12は、特に当該少なくとも1ビットO
1の出力デジタルデータ5を、
図1に示すようなデジタルデータ混合装置2を備えるデジタルデータ処理システム1の電子部品3に提供できる。
【0077】
入力手段8と同様に、出力手段12は、複数の導電端子24を備えてもよい。導電端子24は、入力手段8の導電端子13と同一でもよく、データ入出力は続いて時間内に多重化されるのが有利である。出力手段12は、また、導電端子24に接続されるデジタル出力回路25を備えてもよい。導電端子24は、ハウジング7の外からアクセスされてもよいし、例えば、ハウジング7の面からハウジング7の外へ向けて延在してもよい。デジタルデータ混合装置2がデジタルデータ処理システム1において独立電子部品3と一体化している場合、導電端子24は、直接又は相互接続電子部品3aを介して、上述のように電子部品3に電気的に接続される。
【0078】
従って、一実施形態においては、装置2はプリント回路基板に電気的に接続可能であり、特に、導電端子24及び/又は導電端子13に接続される接続ケーブルをさらに使用することにより、プリント回路基板に電気的に接続可能である。
【0079】
出力手段12のデジタル入力回路25は、出力デジタルデータ5の後処理を実行でき、その結果mビットO
1...O
mの出力デジタルデータ5を取得できる。
【0080】
一般に、ビット数がn個の入力データ4は、デジタルデータ混合装置2により同時に混合される複数のビットとして見られ得る。ビット数がn個の入力データ4は、キロバイト程度でも、望ましくはメガバイト程度、望ましくはメガバイトより大きくてもよい。ビット数がm個の出力データ5は、キロバイト程度でも、メガバイト程度でも、又はメガバイトより大きくてもよい。幾つかの実施形態においては、出力データ5のビット数mは、入力データ4のビット数nよりも少なくできる。
【0081】
図4は、本発明に係るデジタルデータ処理システム1の別の実施形態を示す。本実施形態においては、デジタルデータ処理システム1は、互いに連鎖したいくつかのデジタルデータ混合装置を備える。
【0082】
例えば、
図4に示されるように、本発明の第2実施形態に係るデジタルデータ処理システム1は、第1デジタルデータ混合装置2a及び第2デジタルデータ混合装置2bを備えることができる。第1及び第2デジタルデータ混合装置2a、2bは、上述されたデジタルデータ混合装置と同様であり、改めて詳述しない。
【0083】
第1デジタルデータ混合装置2a及び第2デジタルデータ混合装置2bは、直接又は相互接続電子部品3aを介して、互いに接続される。特に、第1及び第2デジタルデータ混合装置2a、2bは、第2デジタルデータ混合装置2bの入力デジタルデータ4が第1デジタルデータ混合装置2aにより提供される出力デジタルデータ5の関数(function)となるように接続される。第1デジタルデータ混合装置2aにより提供される出力デジタルデータ5は、第2デジタルデータ混合装置2bに直接入力されてもよいし、例えば、デジタルデータ処理システム1の電子部品3によって前処理されてもよい。
【0084】
有利には、デジタルデータ処理システム1の本実施形態において、第1デジタルデータ混合装置2a及び第2デジタルデータ混合装置2bの少なくとも1つは、その電磁散乱手段10が変調電磁ビーム15に対して無視できないほどの非線形散乱効果を有するようにすることもできる。このように、互いに連鎖されたデジタルデータ混合装置は、デジタルデータの単純な線形結合よりも複雑な当該デジタルデータの処理を実行できる。
【0085】
代わりに又は追加的に、非線形効果を相互接続電子部品3aによってデータに適用することもできる。従って、相互接続電子部品3aは、第1デジタルデータ混合装置2aからの出力デジタルデータを非線形に処理して、第2デジタルデータ混合装置2b用の入力デジタルデータを取得できる。
【0086】
本発明の幾つかの実施形態において、デジタルデータ処理システムの出力を適格にするための手順が導入されてもよい。このような手順は、例えば、いくつかのデジタルデータ処理システムの出力が一緒に処理される場合に使用することができる。
【0087】
このような手順は、例えば、デジタル入力データとして既知の信号のライブラリーをデジタルデータ処理システムに供給し、デジタルデータ処理システムにより当該既知の信号のライブラリーを処理することにより得られる出力デジタルデータを出力データのデータベースに保存することでもよい。この出力データのデータベースは、デジタルデータ処理システムのシグネチャを構成する。デジタルデータ処理システムの安定性及び整合性は、当該シグネチャを異なる時点で及び/又はデジタルデータ処理システム全域で比較することにより有効にすることができる。
【0088】
図5に示されるように、本発明は、デジタルデータ混合装置2の操作の上記説明に関するデジタルデータの混合方法にさらに関連する。そのような方法は、特にデジタルデータ混合装置2及び/又はデジタルデータ処理システム1により実行され得る。
【0089】
一般的に、デジタルデータを混合する方法は、
複数の少なくともnビットの入力デジタルデータを受信する工程100と、
変調電磁ビームを生成する工程であって、前記nビットの入力デジタルデータが、前記変調電磁ビームのn関連同時変調に変換される工程110と、
前記n同時変調を備える前記変調電磁ビームを散乱電磁ビーム内に散乱させる工程120と、
前記散乱電磁ビームを少なくとも1ビットの出力デジタルデータに変換する工程130と、
前記少なくとも1ビットの出力デジタルデータを提供する工程140と
を備えてもよい。