(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768687
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】タンクを充填する方法および装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-547486(P2017-547486)
(86)(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公表番号】特表2018-508000(P2018-508000A)
(43)【公表日】2018年3月22日
(86)【国際出願番号】FR2016050425
(87)【国際公開番号】WO2016146913
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年1月10日
(31)【優先権主張番号】1552188
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】ギローム・ロベルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ガイ・デリアルズ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−マリー・ブルガード
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−138332(JP,A)
【文献】
特表2009−510352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧下でガスを貯蔵するためのいくつかの容器(2、3、4、15、16)と、均圧化によって前記いくつかの容器からタンクに前記ガスを移送するための流体回路(5)とを含む充填ステーション(100)を介して、加圧ガスを前記タンクに順次充填する方法であって、
前記流体回路(5)は、前記いくつかの容器(2、3、4、15、16)が並列に接続される第1端部と、充填される前記タンクに取外し可能に接続されるように意図された移送管(6)を備えた第2端部とを含み、
前記流体回路(5)は、前記第1端部と前記第2端部との間で直列に配置された第1遮断弁(7)と、流量または圧力調整部材(8)と、第2遮断弁(11)とを備える方法において、
第1のタンク(1)の充填の終了時であって第2のタンクの充填前に、前記第1遮断弁(7)および前記第2遮断弁(11)は閉鎖されて、前記2つの遮断弁(7、11)間で前記流体回路(5)内において圧力下でガスの取り置き分を閉じ込めることと、前記ガスの取り置き分は、前記いくつかの容器(2、3、4、15、16)の少なくとも1つの容器を、均圧化によって再充填するために使用されることと、を特徴とする方法。
【請求項2】
前記ガスの取り置き分は、連続均圧化動作によっていくつかの容器(2、3、4、15、16)を充填するために使用され、前記いくつかの容器(2、3、4、15、16)は、圧力が低下する順に連続的に充填される、すなわち、最初に、前記ガスの取り置き分を前記ガスの取り置き分の圧力よりは低く、かつ、最も高い圧力を有する容器(2、3、4、15、16)と均等化し、その後、次いで前記ガスの取り置き分を、前記ガスの取り置き分の圧力ほど高くないが、次に高い圧力を有する別の容器と均等化し、前記ガスの取り置き分と、前記ガスの取り置き分の圧力よりも低く、かつ、最も低い高さの圧力を有する容器との間の圧力を均等化することによって充填を終了することにより、充填されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記ガスの取り置き分内および前記いくつかの容器(2、3、4、15、16)内の圧力測定値(30、124〜128)を含むことと、前記連続均圧化動作は、前記圧力測定値に応答して実行されることとを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記2つの遮断弁(7、11)間に閉じ込められた前記ガスは、前記第1のタンク(1)の充填の最終段階に対応する温度および圧力条件下にあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記2つの遮断弁(7、11)間に閉じ込められた前記ガスは、200〜1000バールに含まれる圧力と、−40℃〜+85℃に含まれる温度とを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1遮断弁(7)は、前記流体回路(5)の前記第1端部の近くに配置され、すなわち、前記第1遮断弁(7)は、前記流体回路(5)の前記第2端部よりも前記流体回路(5)の前記第1端部に近いことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2遮断弁(11)は、前記流体回路(5)の前記第2端部の近くに配置され、すなわち、前記第2遮断弁(11)は、前記流体回路の前記第1端部よりも前記流体回路(5)の前記第2端部に近いことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1遮断弁(7)と前記第2遮断弁(11)との間に位置する前記流体回路の容積は、3〜50リットルに含まれることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1遮断弁(7)と前記第2遮断弁(11)との間の前記流体回路(5)の長さは、1メートル〜500メートルに含まれることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
加圧ガスをタンクに順次充填する装置であって、該装置は、加圧下でガスを貯蔵するためのいくつかの容器(2、3、4、15、16)を含む充填ステーション(100)を備え、
前記いくつかの容器(2、3、4、15、16)は、前記いくつかの容器から前記タンクへ前記加圧ガスを移送するための流体回路(5)の第1端部で、各弁(12、13、14、17、18)の組を介して並列に接続され、
前記流体回路(5)は、充填される前記タンクに取り外し可能に接続されるように意図された移送管(6)を備えた第2端部を含み、
前記流体回路(5)は、前記第1端部と前記第2端部との間で直列に配置された第1遮断弁(7)と、流量または圧力調整部材(8)と、第2遮断弁(11)とを備え、
前記流体回路(5)は、前記いくつかの容器(2、3、4、15、16)内および前記流体回路(5)内の圧力を測定するためのセンサ(30、124〜128)の組を備え、
前記装置は、前記いくつかの容器との圧力の連続的な均等化によって前記タンクの充填を実行するように前記各弁(12、13、14、17、18)を制御するべく、前記センサからの圧力測定値に応じて前記各弁(12、13、14、17、18)の開放を管理するために前記センサおよび前記各弁(12、13、14、17、18)に接続されている、データの記憶、取得および処理のための電子部材(31)を備える、装置において、
接続された前記データの記憶、取得および処理のための電子部材(31)は、第1のタンク(1)の前記充填の終了時であって第2のタンクの充填前に、ガスの取り置き分を前記第1遮断弁(7)と前記第2遮断弁(11)との間で前記流体回路(5)内において圧力下で閉じ込め、かつ前記ガスの取り置き分を使用して前記いくつかの容器(2、3、4、15、16)の少なくとも1つの容器を再充填するために、前記2つの遮断弁(7、11)の閉鎖を命令するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
接続された前記データの記憶、取得および処理のための電子部材(31)は、圧力が低下する順の連続均圧化動作により、いくつかの容器(2、3、4、15、16)に前記ガスの取り置き分を再充填するように構成されている、すなわち、最初に、前記ガスの取り置き分を、前記ガスの取り置き分の圧力よりは低く、かつ、最も高い圧力を有する容器(2、3、4、15、16)と均等化し、その後、次いで前記ガスの取り置き分を、前記ガスの取り置き分の圧力ほど高くはないが、次に高い圧力を有する別の容器と均等化し、前記ガスの取り置き分と、前記ガスの取り置き分の圧力よりも低く、かつ、最も低い高さの圧力を有する容器との間の圧力を均等化することによって終了することにより、いくつかの容器(2、3、4、15、16)に前記ガスの取り置き分を再充填するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに加圧ガスを充填する方法および装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、加圧下でガスを貯蔵するためのいくつかの容器と、均圧化によって容器からタンクにガスを移送するための流体回路とを含む充填ステーションを介して加圧ガス、特に加圧水素をタンクに充填する方法であって、回路は、容器が並列に接続される第1端部と、充填されるタンクに取外し可能に接続されるように意図された移送管を備えた第2端部とを含み、回路は、第1端部と第2端部との間で直列に配置された第1遮断弁と、流量または圧力調整部材と、第2遮断弁とを含み、方法は、第1タンクの充填を含む、方法に関する。
【0003】
本発明は、(例えば、200〜1000バールの)圧力下で水素をタンクに急速に(数分間で)充填することに有利に適用される。本発明は、特に、車両燃料タンクの充填に適用される。
【背景技術】
【0004】
水素タンクが圧力下でガスを充填されているとき、タンク内のガスの圧縮は、タンク材料の運転限界を超える可能性のある加熱を引き起こす。
【0005】
これらの充填を最適化するために、1つの知られている技術は、タンクを「カスケード式」に、すなわち、充填されるタンクと、増大した圧力の加圧ガスの容器との間の連続均圧化操作によって充填することである。この充填はまた、圧縮機によって補完および/または補助されてもよい。ガスはまた充填中に冷却されてもよい。
【0006】
文献仏国特許出願公開第2928716A1号明細書および仏国特許出願公開第2919375A1号明細書は、そのような充填方法の2つの非限定的な例を記載している。
【0007】
文献国際公開第2011/049466A1号パンフレットは、漏れ試験を実施するために回路からのガスを使用する充填ステーションを記載している。
【0008】
そのような充填ステーションの効率およびコストを改善することに対して継続的な関心が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術の上述の欠点の全てまたはいくつかを軽減することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明による方法は、上記前提部のその与えられた一般的な定義に従う他の点において、第1タンクの充填の終了時および第2タンクの充填前に、第1および第2遮断弁が閉鎖されて、これらの2つの弁間で回路(5)内において圧力下でガスの取り置き分を閉じ込めることと、ガスの取り置き分が容器の少なくとも1つを再充填するために使用されることとを本質的に特徴とする。
【0011】
容器を再充填するためのこの使用は、特に、このガスの取り置き分から少なくとも1つの容器への移送を含み、これは、回路の適切な1つまたは複数の弁、特に第1弁が開放されていることを意味する。
【0012】
少なくとも1つの容器を再充填するためのこのガスの使用は、好ましくは回路内(特に、これらの2つの弁間)および/または1つもしくは複数の容器内の圧力が決定(例えば、測定)された後に行われる。
【0013】
本発明は、充填の効率の改善を可能にする充填装置の配置および/または使用を提案する。
【0014】
具体的には、完了した充填作業の終了時、充填回路のライン内に存在するガスを排出する(例えば、大気に排出する)代わりに、本発明は、このガスを圧力下に保ち、供給源容器に戻す。
【0015】
さらに、本発明のいくつかの実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る:
− ガスの取り置き分は、均圧化によって容器の少なくとも1つを充填するために使用され、
− ガスの取り置き分は、連続均圧化動作によっていくつかの容器を充填するために使用され、容器は、圧力が低下する順に連続的に、すなわち、最初に、ガスの取り置き分をガスの取り置き分の圧力よりも低い最高圧力を有する容器と均等化し、その後、次いでガスの取り置き分を、ガスの取り置き分の圧力ほど高くないより低い圧力を有する別の容器と均等化し、ガスの取り置き分と、ガスの取り置き分の圧力よりも低い最も低い高さの圧力を有する容器との間の圧力を均等化することによって充填を終了することにより充填され、
− この方法は、ガスの取り置き分内および容器内の圧力測定値を含み、連続均圧化動作は、前記圧力測定値に応答して実行され、
− 2つの遮断弁間に閉じ込められたガスは、第1タンクの充填の最終段階に対応する温度および圧力条件下にあり、
− 2つの遮断弁間に閉じ込められたガスは、200〜1000バールに含まれる、好ましくは400〜700バールに含まれる圧力と、(例えば、ガスの取り出し速度、充填されたタンクの数、周囲温度等に依存して)−40℃〜+85℃に含まれる、好ましくは20℃上昇した周囲温度〜周囲温度マイナス20℃に含まれる温度とを有し、
− 第1遮断弁は、回路の第1端部の近くに配置され、すなわち、第1遮断弁は、回路の第2端部よりも回路の第1端部に近く、
− 第2遮断弁は、回路の第2端部の近くに配置され、すなわち、第2遮断弁は、回路の第1端部よりも回路の第2端部に近く、
− 第1遮断弁と第2遮断弁との間に位置する回路の容積は、3〜50リットルに含まれ、
− 第1遮断弁と第2遮断弁との間の回路の長さは、1メートル〜500メートルに含まれ、好ましくは1〜100メートルに含まれ、
− 回路は、少なくとも第1遮断弁と第2遮断弁との間に、断熱材を含む1つまたは複数のパイプを含む。
【0016】
本発明はまた、加圧ガス、特に加圧水素をタンクに充填する装置であって、加圧下でガスを貯蔵するためのいくつかの容器を含む充填ステーションを備え、いくつかの容器は、容器からタンクにガスを移送するための流体回路の第1端部に各弁の組を介して並列に接続され、回路は、充填されるタンクに取り外し可能に接続されるように意図された移送管を備えた第2端部を含み、回路は、第1端部と第2端部との間で直列に配置された第1遮断弁と、流量または圧力調整部材と、第2遮断弁とを備え、回路は、容器内および回路内の圧力を測定するためのセンサの組を含み、装置は、容器との圧力の連続的な均等化によって貯蔵器の充填を実行するように弁を制御するため、センサからの圧力測定値に応じて弁の開放を管理するためにセンサおよび弁に接続されている、データの記憶、取得および処理のための電子部材を含む、装置において、接続されたデータの記憶、取得および処理のための電子部材は、第1タンクの充填の終了時および第2タンクの充填前に、ガスの取り置き分を第1遮断弁と第2遮断弁との間で回路内において圧力下で閉じ込め、かつこのガスの取り置き分を使用して容器の少なくとも1つを再充填するために、これら2つの弁の閉鎖を命令するように構成されていることを特徴とする装置に関する。
【0017】
他の可能な特定の特徴によれば、接続されたデータの記憶、取得および処理のための電子部材は、圧力が低下する順の連続均圧化動作により、すなわち、最初に、ガスの取り置き分をガスの取り置き分の圧力よりも低い最高圧力を有する容器と均等化し、その後、次いでガスの取り置き分を、より低いがガスの取り置き分の圧力よりも高い圧力を有する別の容器と均等化し、ガスの取り置き分と、ガスの取り置き分の圧力よりも低い最も低い高さの圧力を有する容器との間の圧力を均等化することによって終了することにより、いくつかの容器にガスの取り置き分を再充填するように構成されている。
【0018】
本発明はまた、上記または下記の特徴の任意の組み合わせを含む任意の代替装置または方法に関連し得る。
【0019】
他の詳細および利点は、本発明を実施することができるガス充填ステーションの一例を概略的かつ部分的に示す単一の図を参照して記載される、以下の説明を読むことから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を実施することができるガス充填ステーションの一例を概略的かつ部分的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示す加圧ガス、特に加圧水素をタンク1に充填する装置は、ガスを加圧下で貯蔵するためのいくつかの容器2、3、4、15、16を含み、それら容器は、各弁12、13、14、17、18、19、20、21、22、23の組を介して、充填されるタンク1に容器からガスを移送するための流体回路5の第1端部に並列に接続されている。容器2、3、4、15、16は、所定の異なる圧力、例えば100〜1000バールの圧力で加圧下においてガス(例えば、水素)を貯蔵する。
【0022】
回路5は、特に、少なくとも1つの流体管を含む。
【0023】
図示の例では、5つの容器2、3、4、15、16は、充填回路5の第1端部に並列に接続されている。例えば、各容器2、3、4、15、16は、直列に配置された2つの各弁を介して回路5の第1端部に接続される。
【0024】
従来の方法では、各容器2、3、4、15、16には、容器内の圧力を測定するための各センサ124、125、126、127、128が取り付けられ得る。
【0025】
図示されているように、各圧力センサ124〜128は、各容器に接続された直列の2つの弁間で回路5上に配置され得る。
【0026】
各容器2、3、4、15、16の出口の直列の2つの弁は、「トップツートウ(top−to−toe)」方式で使用される自動弁であり得る。これらの弁は、電磁石によって作動されるタイプのもの(例えば、下流圧力が上流圧力よりも高い場合、下流−上流方向の通過を許容する弁)であってもよい。この場合、例えば、弁の一方が両方の流れ方向を封止する場合、直列の2つの弁のうちの一方を省略してもよい。
【0027】
同様に、各容器2、3、4、15、16は、容器および/または容器内のガスの温度を測定するための各温度センサ24〜28を備え得る。さらに、従来の方法と同様に、各容器2、3、4、15、16は、シリンダーのタイプに応じて過圧力または過熱の場合に内容物を排出するための安全装置(圧力感受性および/または温度感受性リリーフ弁)を備え得る。
【0028】
下流側に(第2端部に向かって)、回路5は、例えば、第1遮断弁7と、圧力(および場合により温度センサ30と、較正されたオリフィスと、圧力および/または流量調整弁8と、第2遮断弁11とを含み得る。
【0029】
センサの組は、特に、第1弁7と第2弁11との間の回路内の圧力を直接的または間接的に測定し得る。
【0030】
下流側に、回路は、充填されるタンク1に気密式に接続されるように意図された継手を備えた柔軟ホースを含み得る。
【0031】
回路5は、センサからの圧力測定値に従って弁の開放を管理するためにセンサおよび弁に接続されている、データの制御、記憶、取得および処理のための電子部材31を含み得る。
【0032】
電子部材31は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、プロセッサ、または任意の適切な電子論理を含み得る。
【0033】
従来、この制御部材31は、容器2、3、4、15、16と圧力を均等化する連続動作によってタンク1の充填(「カスケード」式の充填)を行うことができるように構成されている(プログラミングされているか、またはプログラム可能である)。
【0034】
1つの有利な特定の特徴によれば、制御部材31はまた、第1タンク1の充填の終了時およびそれに続く第2タンクの充填前に、第1遮断弁7と第2遮断弁11との間で回路5内において圧力下でガスの取り置き分を閉じ込め、かつこのガスの取り置き分を使用してこのガスを容器2、3、4、15、16に戻すために、これら2つの弁7、11の閉鎖を命令するように構成されている。
【0035】
これは、最終充填段階(最終均圧化動作)の条件(特に、圧力条件)にある、回路からの残留ガスを使用して、均圧化によって1つまたは複数の容器2、3、4、15、16を充填することを意味する。取り置き分中のガスは、充填の最後に、例えば充填の最後の数モーメントまたは数秒の条件で閉じ込められる。
【0036】
好ましくは、ガスの取り置き分は、連続均圧化動作によっていくつかの容器2、3、4、15、16を充填するために使用される。容器2、3、4、15、16は、例えば、圧力が低下する順に連続的に、すなわち、最初に、ガスの取り置き分をガスの取り置き分の圧力よりも低い最高圧力を有する容器2、3、4、15、16と均等化し、その後、次いでガスの取り置き分を、ガスの取り置き分の圧力ほど高くないより低い圧力を有する別の容器と均等化するなどし、ガスの取り置き分と、ガスの取り置き分の圧力よりも低い最も低い高さの圧力を有する容器との間の圧力を均等化することによって終了することにより充填される。2つの容器のみが存在する場合、充填は、取り置き分と第2容器(第2容器は、取り置き分の圧力ほど高くなくかつそれより低い圧力を有している)との間の圧力の均等化の完了時に終了する。
【0037】
連続均圧化動作は、例えば、ガスの取り置き分内および容器2、3、4、15、16内の前記圧力測定値測定値30、124〜128に応答して自動的に実行される。
【0038】
ステーションの特徴に依存して、回路間に閉じ込められたガスは、200〜1000バールに含まれる、好ましくは400〜700バールに含まれる圧力と、−40℃〜+85℃(例えば、ガスの取り出し速度、充填されたタンクの数、周囲温度等に依存する)に含まれる、好ましくは20℃上昇した周囲温度〜周囲温度マイナス20℃に含まれる温度とを有し得る。
【0039】
第1遮断弁7と第2遮断弁11との間に位置する回路の容積は、3〜50リットルに含まれ得る。例えば、回路5(第1絶縁弁7と第2絶縁弁11との間の管の長さは、1メートル〜数百メートルに含まれ、好ましくは1〜100メートルに含まれ得る。
【0040】
本発明は、簡単で安価な構造を有する一方、圧力下でガスの容器の使用レベルを増加させることを可能にする。
【0041】
具体的には、この解決策は、従来技術のステーションに対する構造的変更を必要としない(弁および圧力センサは既に設備上に存在する)。ステーションのプログラムまたは使用を(ガスが反対方向に流れるように)修正するのみでよい。
【0042】
図示されているように、追加の自動弁29が、「逆カスケード」を可能にし、メンテナンスのために容器を大気圧に置くために、回路5の残留圧力弁32と平行に延在するバイパス内に配置されてもよい。
【0043】
さらに、各容器を接続するための継手は、充填および取り出しのために流れが両方向に流れることを可能にする必要がある。
【0044】
本発明者らは、効率の増加が有意であることを証明した(容器のガスの使用レベルの最大20%の増加)。
【0045】
具体的には、この方法は、容器の使用レベルを増加させること、すなわち、完全なフル充填(これは、例えば95%を超える車両の充填レベルを意味する)の数を増やすことを可能にすることにより、車両タンクに移送されるガスの量を増加させることを可能にする。
【0046】
加えて、本発明は、供給源容器の交換を減らすことを可能にする(フル容器の組の制御)。具体的には、本発明は、これらの容器をより完全に使用することにより、早期の容器交換を回避することを可能にする。
【0047】
これにより、全体のコストを削減することが可能になる。
【0048】
本発明は、あらゆる固定または移動式充填ステーション、特に圧力(例えば、マルチ区画トレーラの場合には200バール〜700バールに含まれる圧力)下で容器の移動式トレーラを使用するあらゆるステーションに適用することができる。
【0049】
例えば、図の右側部分において点線で囲まれたアセンブリ(容器および弁など)は、例えば、移動式セミトレーラに取り付けられるガス供給部を構成し得る。図の左側において点線で囲まれた物体は、典型的には、例えば車両に取り付けられる充填される移動式タンクであり得る。最後に、これらの2つの物体間の部分(調整部材8と、適切な場合、較正されたオリフィス等とを備えたライン)は、例えば、充填ステーションの比較的固定された部分を形成するために補給所に設置され得る。
【0050】
ステーションは、タンクまたは容器の充填のために(これらの充填を補完または完了するために)使用される圧縮機を含み得る。特に、取り置き分中のガスは、圧縮機のためのガス供給源として機能し得る。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 加圧下でガスを貯蔵するためのいくつかの容器(2、3、4、15、16)と、均圧化によって前記容器からタンク(1)に前記ガスを移送するための流体回路(5)とを含む充填ステーション(100)を介して加圧ガス、特に加圧水素を前記タンク(1)に充填する方法であって、前記回路(5)は、前記容器(2、3、4、15、16)が並列に接続される第1端部と、充填される前記タンク(1)に取外し可能に接続されるように意図された移送管(6)を備えた第2端部とを含み、前記回路(5)は、前記第1端部と前記第2端部との間で直列に配置された第1遮断弁(7)と、流量または圧力調整部材(8)と、第2遮断弁(11)とを含み、前記方法は、第1タンク(1)の充填を含む、方法において、前記第1タンク(1)の前記充填の終了時および第2タンクの充填前に、前記第1遮断弁(7)および前記第2遮断弁(11)は閉鎖されて、前記2つの弁(7、11)間で前記回路(5)内において圧力下でガスの取り置き分を閉じ込めることと、前記ガスの取り置き分は、前記容器(2、3、4、15、16)の少なくとも1つを再充填するために使用されることとを特徴とする方法。
[2] 前記ガスの取り置き分は、均圧化によって前記容器(2、3、4、15、16)の前記少なくとも1つを充填するために使用されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
[3] 前記ガスの取り置き分は、連続均圧化動作によっていくつかの容器(2、3、4、15、16)を充填するために使用され、前記容器(2、3、4、15、16)は、圧力が低下する順に連続的に、すなわち、最初に、前記ガスの取り置き分を前記ガスの取り置き分の圧力よりも低い最高圧力を有する前記容器(2、3、4、15、16)と均等化し、その後、次いで前記ガスの取り置き分を、前記ガスの取り置き分の前記圧力ほど高くないより低い圧力を有する別の容器と均等化し、前記ガスの取り置き分と、前記ガスの取り置き分の前記圧力よりも低い最も低い高さの圧力を有する容器との間の圧力を均等化することによって充填を終了することにより充填されることを特徴とする、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記ガスの取り置き分内および前記容器(2、3、4、15、16)内の圧力測定値(30、124〜128)を含むことと、前記連続均圧化動作は、前記圧力測定値に応答して実行されることとを特徴とする、[3]に記載の方法。
[5] 前記2つの遮断弁(7、11)間に閉じ込められた前記ガスは、前記第1タンク(1)の充填の最終段階に対応する温度および圧力条件下にあることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記2つの遮断弁(7、11)間に閉じ込められた前記ガスは、200〜1000バールに含まれる、好ましくは400〜700バールに含まれる圧力と、(例えば、前記ガスの取り出し速度、充填されたタンクの数、周囲温度等に依存して)−40℃〜+85℃に含まれる、好ましくは20℃上昇した周囲温度〜周囲温度マイナス20℃に含まれる温度とを有することを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記第1遮断弁(7)は、前記回路(5)の前記第1端部の近くに配置され、すなわち、前記第1遮断弁(7)は、前記回路(5)の前記第2端部よりも前記回路(5)の前記第1端部に近いことを特徴とする、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記第2遮断弁(11)は、前記回路(5)の前記第2端部の近くに配置され、すなわち、前記第2遮断弁(11)は、前記回路の前記第1端部よりも前記回路(5)の前記第2端部に近いことを特徴とする、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 前記第1遮断弁(7)と前記第2遮断弁(11)との間に位置する前記回路の容積は、3〜50リットルに含まれることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] 前記第1遮断弁(7)と前記第2遮断弁(11)との間の前記回路(5)の長さは、1メートル〜500メートルに含まれ、好ましくは1〜100メートルに含まれることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11] 加圧ガス、特に加圧水素をタンク(1)に充填する装置であって、加圧下でガスを貯蔵するためのいくつかの容器(2、3、4、15、16)を含む充填ステーション(100)を備え、前記いくつかの容器(2、3、4、15、16)は、前記容器から前記タンク(1)に前記ガスを移送するための流体回路(5)の第1端部に各弁(12、13、14、17、18、19、20、21、22、23)の組を介して並列に接続され、前記回路(5)は、充填される前記タンク(1)に取り外し可能に接続されるように意図された移送管(6)を備えた第2端部を含み、前記回路(5)は、前記第1端部と前記第2端部との間で直列に配置された第1遮断弁(7)と、流量または圧力調整部材(8)と、第2遮断弁(11)とを備え、前記回路(5)は、前記容器(2、3、4、15、16)内および前記回路(5)内の圧力を測定するためのセンサ(30、124〜128)の組を含み、前記装置は、前記容器との圧力の連続的な均等化によって(前記)貯蔵器(1)の充填を実行するように前記弁を制御するため、前記センサからの圧力測定値に応じて前記弁の開放を管理するために前記センサおよび前記弁に接続されている、データの記憶、取得および処理のための電子部材(31)を含む、装置において、接続されたデータの記憶、取得および処理のための前記電子部材(31)は、第1タンク(1)の前記充填の終了時および第2タンクの充填前に、ガスの取り置き分を前記第1遮断弁(7)と前記第2遮断弁(11)との間で前記回路(5)内において圧力下で閉じ込め、かつ前記ガスの取り置き分を使用して前記容器(2、3、4、15、16)の少なくとも1つを再充填するために、前記2つの弁(7、11)の閉鎖を命令するように構成されていることを特徴とする装置。
[12] 接続されたデータの記憶、取得および処理のための前記電子部材(31)は、圧力が低下する順の連続均圧化動作により、すなわち、最初に、前記ガスの取り置き分を前記ガスの取り置き分の圧力よりも低い最高圧力を有する前記容器(2、3、4、15、16)と均等化し、その後、次いで前記ガスの取り置き分を、より低いが前記ガスの取り置き分の前記圧力よりも高い圧力を有する別の容器と均等化し、前記ガスの取り置き分と、前記ガスの取り置き分の前記圧力よりも低い最も低い高さの圧力を有する容器との間の圧力を均等化することによって終了することにより、いくつかの容器(2、3、4、15、16)に前記ガスの取り置き分を再充填するように構成されていることを特徴とする、[11]に記載の方法。