特許第6768699号(P6768699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6768699タービンエンジン用のエピサイクリック歯車列を有する減速装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768699
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】タービンエンジン用のエピサイクリック歯車列を有する減速装置
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/36 20060101AFI20201005BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   F02C7/36
   F16H1/28
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-554569(P2017-554569)
(86)(22)【出願日】2016年4月21日
(65)【公表番号】特表2018-516331(P2018-516331A)
(43)【公表日】2018年6月21日
(86)【国際出願番号】FR2016050943
(87)【国際公開番号】WO2017005997
(87)【国際公開日】20170112
【審査請求日】2019年4月1日
(31)【優先権主張番号】1553675
(32)【優先日】2015年4月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,ジェレミー・フォルラ
(72)【発明者】
【氏名】ベルモント,オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】ムートン,クレマンティーヌ・シャルロット・マリー
(72)【発明者】
【氏名】グエン・バン,トマ・ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】パトスリ,エマニュエル・ピエール・ディミトリ
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−258290(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/018131(WO,A2)
【文献】 特表2015−513055(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/124590(WO,A1)
【文献】 特開2011−220496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/18
F02C 7/06
F02C 7/36
F16H 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線Aを有する遊星軸(15)と、
前記遊星軸(15)の周りに延在する軸線Aを有する外側歯付きリング(19)と、
前記軸線Aを中心として配置され、前記外側歯付きリング(19)および遊星軸(15)と噛み合わされる遊星歯車(18a、18b)と、
遊星歯車(18a、18b)の軸受(23a、23b)を支持するための支持部材(21)を備える遊星支持体(17)であって、支持部材が回転軸線Bに沿って軸線方向延長部分を有し、軸線Aを中心として均等に配置され、保持部(20〜38)が各支持部材(21)を保持する、遊星支持体(17)と、
を備える、タービンエンジン(1)用のエピサイクリック歯車列を持つ減速装置(11)であって、
保持部(20〜38)が、その軸線Bに沿ってその軸線方向延長部分のほぼ中央で各支持部材(21)を保持し、前記支持部材(21)が、前記軸受(23a、23b)に潤滑油を供給するための手段(45、46、41)を持つ単一体に形成されることを特徴とする、減速装置(11)。
【請求項2】
前記軸受(23a、23b)に潤滑油を供給するための手段(45、46、41)が、支持部材(21)の壁に形成される、請求項1に記載の減速装置(11)。
【請求項3】
保持部(20〜38)が、軸受(23a、23b)の間にその配置を可能にするように構成される限られた軸線方向延長部分を有する、請求項1または請求項2のいずれかに記載の減速装置(11)。
【請求項4】
前記支持部材(21)がそれぞれ、中空筒状形状を有する、請求項1または請求項2のいずれかに記載の減速装置(11)。
【請求項5】
前記軸受(23a、23b)に潤滑油を供給するための前記手段(45、46、41)が、前記支持部材(21)の外周と連通している軸線Bを中心として潤滑油を循環させるための少なくとも1つの外部流路(41)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の減速装置(11)。
【請求項6】
前記支持部材(21)が、互いに単一体に形成され、前記軸線Aの周りに延在しかつ支持部材(21)に油を分配するための環状ダクト(37)を備える、管状の潤滑油分配要素(29)から成る、請求項1から5のいずれか一項に記載の減速装置(11)。
【請求項7】
前記管状の潤滑油分配要素(29)が、その長手方向端部のうちの1つによって、前記支持部材(21)の各々の長手方向端部のうちの1つの単一体に形成される、請求項6に記載の減速装置(11)。
【請求項8】
各支持部材(21)が、それぞれ少なくとも1つの遊星歯車軸受(23a、23b)を支持するように配置され、異なる直径(D2、D1)を有する、2つの軌道輪(22a、22b)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の減速装置(11)。
【請求項9】
保持部(20、38)が、支持部材(21)と異なる部品である、請求項1から8のいずれか一項に記載の減速装置(11)。
【請求項10】
保持部(20、38)が、各支持部材(21)に対して、2つの軌道輪(22a、22b)の間に支持部材(21)を取り囲む保持リング(38)を備え、保持部(20、38)が、支持部材(21)と異なる部品である、請求項8または9に記載の減速装置(11)。
【請求項11】
タービンエンジン(1)は航空機用である、請求項1に記載の減速装置(11)。
【請求項12】
中空筒状形状がその外周の上方にほぼ円形の横断面を持つ、請求項4に記載の減速装置(11)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの減速装置(11)を備えることを特徴とする、タービンエンジン(1)。
【請求項14】
軸受(23a、23b)および保持部(20、38)が、軸線Bに沿って同じ方向に全て並進によって支持部材(1)に取り付けられることを特徴とする、請求項10に記載の減速装置(11)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピサイクリック歯車列を有する減速装置の分野に関し、特にそれに限定されないが、一対の二重反転推進プロペラを持つタービンエンジン用の減速装置に関する。本発明は、より具体的には、エピサイクリック歯車列を有する減速装置に潤滑手段を組み込むことに関する。
【背景技術】
【0002】
英語の表現「オープンロータ」によって示される一対の二重反転プロペラを持つタービンエンジンの構造は、ファンがもはや内部ではなく外部にあり、ガス発生器の上流または下流に配置され得る2つの同軸二重反転プロペラから成るという事実によって、通常のターボジェットエンジンの構造と区別される。この種の構造は、民間航空機で運転中の多流式ターボジェットエンジンと比べてより低い燃料消費をもたらす。
【0003】
図1に概略的に示されるように、一対の二重反転上流プロペラ2および下流プロペラ3を持つターボシャフトエンジン1は、主として、中心長手方向軸線A上に2つの別個の部分、すなわちガス発生部Gおよび推進部Pを備える。ターボシャフトエンジンのこの実施例においては、部分Pは、ガス発生部Gおよびナセル4を延長している。
【0004】
ターボシャフトエンジン1のガス発生部Gは、通常、軸線Aに対して流れ方向に上流から下流の方へ、ターボシャフトエンジンのナセル4に入るガス流Fと、シングルまたはツインスプールガス発生器の構造に応じて1つまたは2つの圧縮機7と、環状燃焼室8と、前記構造に応じて別個のスプールに接続される1つまたは複数のタービン9とを備える。推進部は、パワータービンを備え、そのシャフト10は、(パワーギアボックスを表す、英略語PGBで示される)エピサイクリック歯車列11を持つ減速デバイスまたは減速装置によって、かつ二重反転方式で、ターボシャフトエンジンの軸線Aに沿って2つの位置合わせした上流側プロペラ2および下流側プロペラ3の同心同軸シャフト12および13を駆動する。排気ノズル14は、通常の方式でターボシャフトエンジン1を停止させる。1つのこの種の構造は、たとえば、仏国特許出願公開第2955085号明細書、および仏国特許出願公開第2962109号明細書、および仏国特許出願公開第2940247号明細書に提示されている。
【0005】
運転中におよび手短に言えば、ターボシャフトエンジン1に入る空気流Fは、圧縮され、次いで燃料と混合され、次に燃焼室8で燃焼される。次いで、発生した燃焼ガスは、エピサイクリック歯車減速装置11を介して、推力の大部分を供給するプロペラ2、3を逆回転で駆動するためにタービン部9に入る。燃焼ガスは、排気ノズル14を通って排出され、それによってターボシャフトエンジン1の推力が増加する。
【0006】
オープンロータの減速装置(PGB)11の目的は、減速装置11のサンギヤ15と協働するその動力軸10が図2に見られ得るパワータービン9のいわゆる急速な回転速度を、2つの二重反転プロペラ3、4の2つの異なるいわゆる低速に変換することである。このために、図2を参照すると、エピサイクリック歯車列を持つ差動減速装置11は、長手方向軸線Aに関して、
減速装置11を駆動する回転方向に回転するタービンシャフト10にスプライン結合によって取り付けられる、歯車の形態のサンギヤ15と、
サンギヤ15の周りで噛み合う歯車18a、18bによって形成され、その結果として入力軸と同一の回転方向に回転する遊星キャリア16に接続される、互いに対して120°に配置される、この場合には数が3つの遊星歯車18(それらのうちの1つのみが図に示されている)と、
遊星歯車18と噛み合い、サンギヤ15と反対の回転方向に、したがって遊星キャリア16と反対の方向に回転する、外側歯付きリング19と、
を備える。
【0007】
図2の実施例は、逆転減速装置11を提示しており、それについて、上流側プロペラ2のシャフト12は、提示された実施例では遊星キャリア16と共に回転するように拘束されるように、環状バルブ内で終端し、下流側プロペラ3のシャフト13は、外側歯付きリング19と共に回転するように拘束される。
【0008】
図2および図3を参照すると、エピサイクリック歯車列を持つ既知の減速装置は、環状部分20によって一緒に固定される3つの個々の支持部材21(1つのみが図2に示されている)を持つ遊星支持体17を備える。各個々の支持部材21は、この場合は、実質的に円筒状管の形をとっている。数が3つ(3つの遊星歯車)のこれらの円筒状管21は、平行であり、それぞれ個々の支持体20に接続される軸線Bを中心とした遊星歯車18のホイール18a、18bの回転に役立つ。
【0009】
各円筒状管21の外面は、その中央に管を2つの部分に分離する突出部を有する。この場合は、これらの部分は、同一の転がり軸受23a、23bの2つの内輪を支持する。これらの軸受23a、23bは、軸線Bを中心とした遊星歯車18の歯車18a、18bの回転を可能にする。
【0010】
そのうえ、円筒状管は、軸線Bに沿ってほぼその中央で環状部分20によって接続される、一体構成である。図2には示されていないこの環状部分20は、軸線Aを中心としてこれを回転駆動するように、遊星キャリア16のフィンガ47にボルトで止められる。
【0011】
減速装置11は、いかなる静止構成要素も有さないという特殊性を有し、その入力側において初期回転速度(タービンの回転速度)を、およびその出力側において反対方向の2つの別々の回転速度(2つのファン段の回転速度)を持つエピサイクリック歯車列を持つ差動減速装置であると考えられている。
【0012】
したがって、減速装置11の最適で信頼できる機能を保証するために、この減速装置が入力(タービン)および出力(プロペラ)シャフトのさまざまな力を受け、一方においてタービンエンジンに起因する著しい機械的および熱的外部応力を受けるという事実を考慮して、減速装置11を形成する転動部品を潤滑し、冷却するために油を送り出すことが不可欠である。
【0013】
このために、先に説明した2つの円筒状管部分21は、図2の矢印Tで示される、これらの軸受への油の循環を可能にするように、各軸受23a、23bに面する、その円周にわたって規則的に間隔をおいて設けられる穴によって半径方向に貫通される。
【0014】
各支持部材21の内部で、軸線Bに対して軸対称かつ円錐台状の遊星軸24は、上流で円筒状管21の半径よりもかなり小さい半径を持つ円筒部分で始まり、下流で支持部材21の外周に連結する。この部分24は、シリンダ21を越えて半径方向に突出するフランジの下流で終端し、軸受23bを下流方向に軸線方向にブロックすることを可能にする。
【0015】
上流で、実質的に平円盤の形状を有するプレート25が、円筒状管21と遊星軸24との間の空間を閉鎖する。また、シリンダ21を越えて半径方向に突出することによって、軸受23aを上流方向に軸線方向にブロックすることも可能になる。そのうえ、プレート25は、軸受23aおよび23bまで油が循環することができるように(矢印T)、減速装置11の軸線Aに対してその半径方向に最も内側の部分に穿孔型の開口部を備える。
【0016】
プレート25および遊星軸24は、シリンダ21と共に、開口部をシリンダ21の穴と連通しているプレート25に据えるキャビティ26を形成する。減速装置が機能している場合は、その経路が矢印Tで示される潤滑油は、ギヤユニットに分配され、次に遠心分離によって排出される前に軸受を潤滑するために、上流側プレート25の開口部を通過し、キャビティ26から円筒状管21の穴を通って現れる。内側部分24の特定の形状により、油をキャビティ26の入口開口部から最も遠くに離れた穴まで分配できるようになる。
【0017】
円筒形部分30に関連する3つのプレート(遊星歯車18毎に1つのプレート24)は、固定ナセル4に配置される給油源27から来る油を遊星キャリア17の回転基準フレームに移送するように設計される、油移送装置28のボトムカウルを形成する。
【0018】
この油移送装置28は、装置28のトップカウルと呼ばれる円筒形部分31の外面に直接載っている。このトップカウル31は、3つのプレート25およびシリンダ30によって形成されるボトムカウルに直接固定される。トップおよびボトムカウルは、この場合、装置28から来る油が循環するキャビティ29を形成する。全ての部分30、31、21、25および24により、油を装置28から軸受23aおよび23bまで矢印Tの方向に送り出すことができる。
【0019】
各個々の支持体20の内側円錐台状部分24を含む複数の部分の存在は、減速装置11をより重くし、これは、特にオープンロータの場合に重量を低減するという目的を損なう。また、パイプの容積、特にキャビティ26の容積は、遊星支持体17の回転によって駆動される大量の余分な油の存在を伴う。
【0020】
そのうえ、この設計においては、油の送り出し専用の部分は、力の取り込みに関与しており、したがって、それらの油移送機能に比べてオーバーサイズでなければならない。
【0021】
最後に、遊星キャリア17および遊星歯車を遊星キャリアに組み立てることは、部品の数のために複雑である。図7を参照すると、問題の実施例においては、この組み立ては、多数の部品から成る6つのステップで行われる。第1のステップa)は、軸受23a、23bの内輪を、遊星支持体17の各円筒形部分21に、軸線方向に上流方向および下流方向から取り付けることから成る。第2のステップb)においては、ボトムカウル(部分30、25から成る単一体部品)が遊星支持体17に組み立てられ、したがって全遊星歯車の軸受23aのボトムリングを軸線方向にブロックする。第3のステップc)においては、円錐台状部分24が軸受23bの内輪に対して軸線方向当接で下流方向から配置される。第4のステップd)においては、円錐台状部分24が各遊星歯車のためにボトムカウルの円形部分25にボルトで止められる。第5のステップe)および第6のステップf)においては、油循環キャビティ29の外部カウル31が取り付けられ、次いでステップd)で得られたアセンブリにボルトで止められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2955085号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2962109号明細書
【特許文献3】仏国特許出願公開第2940247号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、特にアセンブリの設計を単純化することによって、上述の欠点に対する解決策を提供することである。これは、二重反転プロペラを持つタービンエンジンのためのエピサイクリック歯車列を持つ減速装置に特に適しているが、減速装置の遊星歯車の数がどうであれ、たとえばバイパスタービンエンジンのファンを駆動するために使用されるエピサイクリック歯車列を持つ他のタイプの減速装置に使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0024】
このために、本発明は、回転軸線Aを有する遊星軸と、前記遊星軸の周りに延在する軸線Aを有するリングと、前記軸線Aを中心として配置され、前記リングおよび遊星軸と噛み合わされる遊星歯車と、回転軸線Bを有し、軸線Aを中心として均等に配置される遊星歯車の軸受を支持するための部材、および各支持部材をその軸線Bに沿ってそのほぼ中央で保持する部品を含む、遊星支持体と、を備える、タービンエンジン用の、特に航空機用のエピサイクリック歯車列を持つ減速装置であって、前記支持部材が、前記軸受に潤滑油を供給するための手段を持つ単一体に形成されることを特徴とする、減速装置に関する。
【0025】
軸受をその給油手段を持つ単一体に支持するための部材を製造すると、簡単な組み立てが行われる。加えて、従来技術で、供給チャンバの半径方向内壁を形成した部分を除去することによって、重量およびスペースの節約が各部材において行われ得る。
【0026】
本発明の1つの特徴によれば、前記軸受に潤滑油を供給するための手段は、支持部材の壁に形成される。
【0027】
本発明のもう1つの特徴によれば、部品は、軸受間にその配置を可能にするように構成される限られた軸線方向延長部分を有する。
【0028】
有利なことに、前記支持部材はそれぞれ、好ましくはその外周の上にほぼ円形の横断面を持つ、中空筒状形状を有する。したがって、部材内の軸受に油を供給する手段は、管の厚い部分に組み込まれ、管の内部空間を解放する。
【0029】
好ましくは、前記軸受に潤滑油を供給するための前記手段は、前記支持部材の外周と連通している軸線Bを中心として潤滑油を循環させるための少なくとも1つの外部流路を備える。
【0030】
外部流路により、その全周にわたって遊星歯車の軸受に潤滑油を供給し、同時に、通路オリフィスを介してこの円周の一部のみにわたって軌道輪に油を供給することができる。このため、潤滑油を全周に供給し、支持部材の円筒状管の内側の空間の大部分を占めるように配置される内部チャンバを設けることはもはや必要としない。これにより、従来技術と比べて重量が節約され、組み立てが簡単になる。
【0031】
好ましくは、外部流路は、実質的に軸線Bに垂直な平面内にあり、円形横断面を有する。穿孔が、これらの流路の周囲にわたって均等に配置され、潤滑油が注入され得るように軸受の軌道輪に向けられる。
【0032】
有利なことに、前記部材は、前記少なくとも1つの外部流路を支持部材に潤滑油を分配する要素と連通するように配置される少なくとも1つの統合ダクトをそれぞれ備える。
【0033】
有利なことに、前記支持部材は、互いに単一体に形成され、前記軸線Aの周りに延在しかつ支持部材に油を分配するための環状ダクトを備える、潤滑油を分配するための管状要素から成る。
【0034】
有利なことに、潤滑油を分配するための前記管状要素は、タービンエンジンに対する固定油供給源と軸線Aを中心として回転する遊星支持体との間で油を移送するための装置用のインターフェースを備える。
【0035】
優先的に、前記インターフェースは、潤滑油を分配するための前記管状要素の内部ダクトに油を半径方向に進入させるように配置される。
【0036】
有利なことに、前記ダクトは、前記部材の各々の前記一体型チャンバと連通している。
【0037】
有利なことに、前記管状要素は、その長手方向端部のうちの1つによって前記支持部材の各々の長手方向端部のうちの1つに接続される。
【0038】
これにより、特に、軸線Aに最も近い各部材の部分に潤滑油を分配するための前記管状要素の内部ダクトの入口を配置することができる。
【0039】
有利なことに、各支持部材は、2つの遊星歯車ホイールとそれぞれ関連する2つの軸受を支持する。
【0040】
有利なことに、各支持部材は、それぞれが少なくとも1つの遊星歯車軸受を支持するように配置され、かつ異なる直径を有する2つの軌道輪を備える。これにより、特に前記部材に対応する遊星歯車を構成する2つの間隔をおいて設けられた歯車を取り付けるために、前記部材の同じ長手方向端部によって2つの軸受を部材に軸線方向に取り付けることができる。
【0041】
有利なことに、保持部は、支持部材とは異なる部分である。
【0042】
好ましくは、この保持部は、各支持部材に対して、2つの軌道輪の間に支持部材を取り囲むリングを備える。
【0043】
各支持部材の取付リングにより、出力軸、特にプロペラまたはファンシャフトにトルクを伝達するように、遊星支持体の前記部材を一緒に固定することができる。加えて、リングが取り付けられるという事実は、連続的に上流側軸受、リング、および次いで下流側軸受を軸線方向に取り付けることによって、遊星歯車の取付けを簡単にする。
【0044】
また、本発明は、上述した減速装置を備えるタービンエンジンに関する。
【0045】
また、本発明は、軸受および保持部が、軸線Bに沿って同じ方向に全て並進によって支持部材に取り付けられることを特徴とする、上述の減速装置を製造する方法に関する。
【0046】
したがって、前記減速装置の特徴は、組み立てが簡単になり、メンテナンスのためのアクセス性が向上することになる。
【0047】
本発明は、添付の図面を参照して、以下の非限定的な実施例の説明を読むことによってよりよく理解されるであろうし、本発明の他の詳細、特徴、および利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】「オープンロータ」などの一対の二重反転プロペラを持つタービンエンジンの概略長手方向半断面図である。
図2】従来技術によるエピサイクリック歯車列を持つ減速装置の例示的な実施形態を、図1の部分Iの詳細な長手方向半断面図で示す図である。
図3図2エピサイクリック歯車列を持つ減速装置に使用される従来技術による遊星支持体の概略斜視図である。
図4】本発明によるエピサイクリック歯車列を持つ減速装置の例示的な実施形態を、図1の部分Iの詳細な長手方向半断面図で示す図である。
図5】本発明によるエピサイクリック歯車列を持つ減速装置の主要な要素の部分斜視図である。
図6図4エピサイクリック歯車列を持つ減速装置に使用される遊星支持体の概略斜視図である。
図7】従来技術によるエピサイクリック歯車列を持つ減速装置のための遊星キャリアを組み立てるステップを概略的に示す図である。
図8】本発明によるエピサイクリック歯車列を持つ減速装置のための遊星キャリアを組み立てるステップを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
同一の機能を果たす要素は、さまざまな図において同じ参照符号を付していることに留意されたい。
【0050】
本発明は、特に、図1を参照して上述したような、「オープンロータ」、一対の二重反転プロペラを持つタービンエンジンにおけるエピサイクリック歯車列を持つ減速装置に関する。
【0051】
しかしながら、この実施例は限定的ではないことに留意されたく、以下の本発明の説明は、たとえばバイパスタービンエンジン内のファンを駆動するためのエピサイクリック歯車列を持つ減速装置の場合には当業者によって容易に適合され得る。
【0052】
この場合は、減速装置の一般的な構造は、上述したのと同様である。図4を参照すると、エピサイクリック歯車列を持つ差動減速装置11は、タービンエンジンの長手方向軸線Aに対して、
減速装置11を駆動しながら回転方向に回転するタービンシャフト10にスプライン結合によって取り付けられる、歯車の形態の回転軸線Aを有する遊星入力軸15と、
入力軸15を中心として噛み合う、2つの歯車18a、18bによってそれぞれ形成され、したがって入力軸15と同一の回転方向に回転する遊星支持体17によって支持される、互いに対して120°の角度で配置される(図5では2つが示されている)、この場合は数が3つの遊星歯車18と、
遊星歯車18の歯車18a、18bと噛み合い、入力軸15とは反対の回転方向に、したがって遊星キャリア16とは反対の方向に回転する、外側歯付きリング19と、
を備える。
【0053】
減速装置11の下流側は、プロペラ2、3に向かって回転され、上流側プロペラ2のシャフト12は、遊星支持体17に接続される遊星キャリア16と共に回転するように拘束されるために環状バルブで終端するが、下流側プロペラ3のシャフト13は、外側歯付きリング19と共に回転するように拘束される。
【0054】
図5および図6を参照すると、遊星支持体17は、この場合は、遊星歯車18を支持する3つの部材21を備え、各々は、軸線Aに平行であり、前記軸線Aを中心として互いに120°で均等に配置される、前記遊星歯車18の回転軸線Bを規定する。より正確には、支持部材はそれぞれ、軸線Bに沿って軸線方向延長部分を有する。減速装置はまた、各支持部材21をほぼその軸線方向延長部分の中央で保持する部品20、38を備える。これらの支持部材21は、この場合は、環状フランジ20によって互いにしっかりと保持される、各軸線Aを中心とする本質的に中空円筒状管21から成る。支持部材21は、付加製造方法によって優先的に製造される。
【0055】
環状フランジ20は、各円筒状管21をその軸線方向延長部分のほぼ中央で保持するように配置される各円筒状管21と関連する連結リング38を備える。換言すれば、我々は、各リング38がその長さのほぼ中央で円筒状管21を保持するということを理解する。連結リング38は、遊星歯車の上流側ホイール18aと下流側ホイール18bとの間に配置されるように、各円筒状管21の外面を取り囲む。図6に示されるように、環状フランジ20および連結リング38は、限られたまたは縮小した軸線方向延長部分を有する。連結リング38および環状フランジ20の限られた軸線方向延長部分は、後述する軸受23aと23bとの間にその配置ができるように構成される。換言すれば、環状フランジ20およびリング38は、ほとんど平坦な形状(薄い厚さ)を有する。この単純な形状は、鍛造などの従来の方法による製造を容易にする。そのうえ、その延長部分および体積は、その質量を制限するように制限される。また、この構成は、ほとんど機械加工を必要としない。また、厚い部分は、減速装置11を構成する他の部品、特に円筒状管21の軸線方向延長部分と比べて、制限されるかまたは小さい。そのうえ、環状フランジ20および連結リング38は、遊星歯車から力を伝達するように寸法決めされた材料から製造される。
【0056】
図5に示す実施形態においては、フィンガ47が、遊星キャリア16を円筒状管21の間で遊星支持体17の環状フランジ20に接続する。フィンガ47は、平衡のとれたアセンブリを形成するためにボールジョイント48によって環状フランジ20に優先的に固定される。
【0057】
示されていない他の実施形態においては、フィンガ47は、円筒状管の内側を通過することができ、また、好ましくは連結リング38のところの円筒状管21のほぼ中央にボールジョイントリンクによって固定され得る。これは、説明の残りの部分から明らかなように、円筒状管21の内部は、何もない状態であり、本発明による減速装置11においてフィンガ47のための通路を提供するからである。そのうえ、各円筒状管21の半径方向内面は、その機械的強度を向上させ、フィンガ47を固定するためのアタッチメントとして用いられることができる、軸線Bに沿ってほぼその中央にリブ44を有することができる。
【0058】
各管状支持部材21は、対応する遊星歯車18の軸受23a、23bの支持体として役立つ。この場合は、上流側軸受23aおよび下流側軸受23bはそれぞれ、軸線Bを中心とした各遊星歯車18の上流側歯車18aおよび下流側歯車18bの回転を可能にする。
【0059】
提示される実施例においては、これらは、円筒状管21上で心出しされる内輪、歯車18a、18b上で心出しされる外輪をそれぞれ備え、円筒状管21を中心とした歯車の回転を可能にする、軸受23a、23bである。
【0060】
各円筒状管21の半径方向外面は、この場合は、第1の直径D1を有する上流側円筒形軌道輪22aと、D1よりわずかに小さい第2の直径D2を有する下流側円筒形軌道輪22bとを備える。上流側円筒形軌道輪22aは、上流側軸受23aの内輪を支持するが、下流側円筒形軌道輪22bは、下流側軸受23bの内輪を支持する。
【0061】
軸受23a、23bは、ボール、ローラまたはニードルなどの転動体を持つ軸受である。優先的に、しかしこれらに限定されないが、要素は、(直線ローラと対照的に)球面ローラである。
【0062】
この関連で、連結リング38は下流側軌道輪22aの内径D2に対応する内径を有することに留意されたい。遊星支持体17が組み立てられると、それによって、連結リング38は、2つの軸受23aと軸受23bとの間の上流側軌道輪22aと下流側軌道輪22bとの間の中間面において当接して配置される。このように、フランジ20は、連結リング38を固定するために、上流側軸受23aおよび下流側軸受23bの間、ならびに上流側歯車18aおよび下流側歯車18bの間を通過することができる。
【0063】
図4および図5に関して詳細に示された本発明による遊星支持体17により、潤滑油は円筒状管21の周縁の回転要素23a、23b、18a、18bに運ばれるようになっている。油の経路は、矢印Tによって符号で表されている。
【0064】
先に説明した従来技術の場合のように、油移送装置28が、固定ナセル4に位置している給油源27から遊星支持体17の回転基準フレームに油を移送するために設けられる。装置28は、タービンシャフト10の周りに位置しており、固定ケーシング32とエピサイクリック歯車列を持つ減速装置11の上流側との間で画定される、ターボシャフトエンジン1の環状内部空間に位置している。
【0065】
図4を参照すると、移送装置28は、主として、互いに半径方向に間隔をおいて設けられる2つの同心の外輪33および内輪34を備え、外輪33は、タービンエンジンの静止ケーシング32に固定され、内輪34は、減速装置11の遊星支持体17に固定される。
【0066】
静止ケーシング32(固定基準フレーム)に接続される固定外輪33と遊星支持体17(回転基準フレーム)に接続される回転内輪34との間で回転を通すために、滑り軸受または転がり軸受が、リングの間に配置される。有利なことに、転動体を持つ軸受が使用され得る。一般に、直歯と協働する球状ローラが選択されるか、あるいは遊星歯車をサンギヤおよびリングに対して軸線方向位置に保持しないために、しかしシステムを過剰静止式にすることなく、ヘリングボーン歯または斜歯と協働する円筒状ローラが選択される。
【0067】
外輪33は、油供給源27から現れる供給流路に接続され、油がそれを通して半径方向に通過できるようになっている開口部を備える。
【0068】
本発明の一部を形成しない手段が、外輪33および内輪34を互いに接続し、油が内輪34の方へ通過できるように配置される。
【0069】
内輪34は、それ自体、油が通過できるように半径方向開口部によって貫通される。
【0070】
減速装置11の軸線Aの周りの中間管状部分37、または回転遊星支持体17に固定される油分配ハウジングは、移送装置28の内輪34から現れる油を各円筒状管21に送り出すことを目的としている。
【0071】
油分配ハウジング37は、軸線Aを中心とした略円筒形状の上流部分35を備え、この上流部分35は、その外周で内輪34を支持する。下流部分36は、各円筒状管21との接続を形成する。
【0072】
油分配ハウジング37の厚い部分において、キャビティ29が、油を下流から上流方向に運ぶダクトを形成するために設けられる。このダクト29は、少なくともハウジング37の上流部分35において環状である。ダクト29は、油移送装置28の内輪34のオリフィスと連通しているように、上流部分35の外周に現れる。ダクト29はまた、下流部分36の自由端において、各円筒状管21の内側に現れる。
【0073】
油分配ハウジング37全体は、半径方向に入力軸15に近接したままであることが好ましい。したがって、ダクト29は、減速装置11の軸線Aに最も近い円筒状管21の部分で下流に現れる。
【0074】
各円筒状管21は、減速装置11の軸線Aに最も近いその部分を除いて、その円周上にほぼ一定の厚さを有する。この部分においては、内部ダクト45が、円筒状管21の厚い部分に設けられ、その上流端で、分配ハウジング37の内部ダクト29の対応する下流側開口部と連通している。内部ダクト45は、円筒状管21の軸線B、および減速装置11の軸線Aを通過する平面の両側に、円筒状管の限られた角度領域内に位置している。これは、この場合はこの平面について対称である。代替案においては、この内部ダクト45は、油を角度領域にわたってより均一に分配するために複数であってもよい。
【0075】
ダクト45は、円筒状管21のほぼ全長にわたって軸線方向に延在する。特に、これは、2つの軸受23a、23bの前に延在する。これは、横方向におよび下流に向かって閉じられる。
【0076】
軸線Bに対するダクト45の半径方向内壁は、ダクト45の外側の円筒状管21の厚さとほぼ同じ厚さを有し、円筒状管の機械的強度、ならびに分配ハウジング37との接続部の形成に寄与する。
【0077】
この場合は、内部ダクト45の半径方向延長部分は、円筒状管21の厚い部分の値とほぼ等しい値を有する。このため、円筒状管21は、その内部空間が大部分は何もない状態である管状部分を形成する。
【0078】
軸線Bに対する内部ダクト45の半径方向外壁は、円筒状管の外面と整列して位置している。その厚い部分は、軸受23a、23bを支持するのに適している。
【0079】
内部ダクト45の半径方向外壁は、実質的に半径方向のオリフィス46によって貫通され、転がり軸受23a、23bの上流側軌道輪22aおよび下流軌道輪22bにおいて内部ダクト45を円筒状管21の外面と連通させる。
【0080】
このため、その経路が矢印Tによって符号で表される分配ハウジング37から来る油は、上流でダクト45に入り、オリフィス46を通って円筒状管の外面に現れる。軸受23a、23bに面する円筒状管の表面に到達する油の流れを実質的に均一に分布させるためにダクト45の、および/またはオリフィス46の形状を調整することは、当業者の経験に含まれる。
【0081】
円筒状管21の上流側軌道輪22aおよび下流側軌道輪22bは、軸線方向に間隔をおいて設けられ、各軸受23a、23bの前にその複数、たとえば少なくとも3つが存在するように配置される、複数の円周方向流路41を備える。換言すれば、流路41は、円筒状管21の壁に、および特にその厚い部分に形成される。
【0082】
これらの流路41は、この場合は、軸線Aに実質的に垂直な平面内にある。加えて、これらは、内部ダクト45の油出口オリフィス46と連通するように配置される。提示された実施例においては、オリフィス46は、流路41が通じる半径方向スロットであってもよい。あるいは、流路41は、シリンダ21を完全に取り囲むことができ、オリフィス46は、流路41の底部に現れ、流路41は、たとえばダクト45に交差する形状を有する。
【0083】
このように、各オリフィス46から現れる油の一部は、オリフィス46に面して位置している軸受23a、23bの部分に直接進み、別の部分は、前記オリフィス46と連通する流路41に流れる。
【0084】
流路41は、たとえば、ただ一点で開いたO字形横断面、または円筒状管21の外面上に連続して開いたU字形横断面を有する。この横断面は、流路41内の円筒状管の周りの油の円周方向循環を改善するように適合されており、同時に油は、実質的に周囲にわたって均一に、外面上の流路の開口部を通して軸受23a、23bの方へ漏出することができるようになる。この現象は、遊星支持体17の回転および円筒状管21の周りの軸受の駆動に起因する遠心分離の複合効果によって助長される。
【0085】
本発明の一部を形成しない既知の方法および手段によれば、軸受23a、23bに到達した油は、各遊星歯車18と歯車19との間の歯車ユニットを潤滑するためにそれを通して通過し、次に減速装置11から排出される。
【0086】
また、提示された実施例においては、円筒状管21は、その一構成部分として、外面の上流部分の端部に上流側フランジ39を備えること、およびナット40が、外面の下流部分の下流に固定されることに留意されたい。この上流側フランジ39および下流側ナット40は、軸受23a、23bおよび連結リング38を適所に保持する軸線方向ストッパを形成する。
【0087】
好ましくは、分配ハウジング29および円筒状管21は、たとえば鍛造によって単一体に製造され得る。全ての場合において、アセンブリは、遊星支持体17の取付けを容易にする部品を形成する。図8を参照すると、この取付けは、4つのステップで行われ、全てが、好ましくは油分配ハウジング37によって形成される一体型アセンブリ、この場合は遊星歯車を支持する3つの円筒状管21を用いて、下流方向から上流方向へ軸線Bに沿った並進によって、円筒状管21に部品を取り付けることに対応する。
【0088】
第1のステップa)においては、じゃまのない円筒状管21の下流側から上流側軸受23aを挿入することによって、各円筒状管21の上流側軌道輪22aに該上流側軸受23aを取り付けることから成るが、上流側は、分配ハウジング37の存在によってブロックされる。
【0089】
第2のステップb)においては、フランジ20が、円筒状管21の下流側から連結リング38を挿入し、次いで各円筒状管21の上流側軌道輪22aと下流側軌道輪22bとの間の中間面にそれらを配置するようにそれらを摺動させていることによって取り付けられる。
【0090】
第3のステップc)においては、下流側軸受23bが、やはり下流側端部を通り抜けながら各円筒状管21の下流側軌道輪22bに取り付けられる。
【0091】
第4のステップd)においては、軸受23a、23bおよび連結リング38の軸線方向ストッパとして働くナット40が、各円筒状管21の下流端に締め付けられる。
【0092】
したがって、同じ直径を有さない軸受の軌道輪によって、および円筒状管21内に何もない状態の空間によって、
より少ない部品によって片側のみからの減速装置の遊星支持体を組み立てることができる。これにより、部品の取り扱いが減少し、従来のシステムと比べて組み立てに必要なステップの数が少なくなる。保持フランジ20およびそのリング38は、容易にアクセス可能である。この場合、遊星支持体の一部および遊星歯車は、特定の部品のみを交換するためにモジュールの残りの部分に取り付けたままであることができるので、両側にアクセスする必要がないことにより、減速装置のメンテナンスが容易になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8