(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる筆記具用インキ組成物が内部に充填されたインキ収容筒および前記インキ収容筒の前端部に取り付けられたボールペンチップを備えるボールペンレフィルを備える筆記具であって、
前記筆記具用インキ組成物に対して、前記インキ収容筒の後端側から圧力を加える加圧機構を有し、
前記加圧機構は、前後移動可能に配置されたシリンダーと、前後移動可能に配置された閉鎖部材と、を有し、
前記シリンダーは、前記インキ収容筒の後端部に連通する空間部と、当該シリンダーの後端部に位置し前記空間部に連通する空気孔と、を有し、
前記加圧機構は、前記閉鎖部材が前方に移動することにより前記空気孔が閉鎖され、前記空気孔が閉鎖されたまま前記シリンダーを前方に移動させて前記空間部を圧縮することによって前記筆記具用インキ組成物に対して圧力を加えるものである、筆記具。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(筆記具)
一実施形態において、本発明による筆記具は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる筆記具用インキ組成物(以下、簡単にインキ組成物ということがある)が内部に充填されたインキ収容筒およびインキ収容筒の前端部に取り付けられたボールペンチップを備えるボールペンレフィルを備える筆記具である。
そして、インキ収容筒の内部に充填されたインキ組成物にインキ収容筒の後端側から圧力を加える加圧機構をさらに有している。
なお、本発明による筆記具は、内部に収容されたインキ組成物が可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含むため、形成される筆跡は熱変色性を有しており、加熱または冷却によって変色または消色するという特徴がある。したがって、本発明による筆記具は熱変色性筆跡を形成させるための筆記具であるが、以下、簡単に筆記具ということがある。
本発明の筆記具が上記構成を有することにより、インキ組成物中における可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の含有量またはマイクロカプセル内における色材の含有量を高くすることなく、高い筆跡濃度の筆跡を形成することができる。また、ボールペンチップ前端からのインキ漏れや、ボールペンチップ内に空気が進入を伴うことなく、単位面積当たりのインキ消費量を増やすことができる。
【0024】
一実施形態において、本発明の筆記具は、軸筒をさらに備えることができる。この軸筒内にボールペンレフィルが収容されるものであってもよい。また、軸筒を備えずに、ボールペンレフィルそのものが筆記具の本体を構成してもよい。
また、インキ収容筒および軸筒は、インキ色やインキ残量等を確認できるため、透明、着色透明、或いは半透明であることが好ましい。
【0025】
(加圧機構)
加圧機構により、インキ収容筒の後端側から、内部に充填されたインキ組成物に対して加える圧力は、大気圧以上であることが好ましく、具体的には大気圧の1倍以上1.5倍以下であることが好ましい。より具体的には、大気圧を1000hPaとした場合、1000hPaより高く、1500hPa以下であることが好ましく、1000hPaより高く、1200hPa以下であることがより。これにより、チップ前端部からのインキ漏れを抑制しつつ、インキ消費量を好適なものとすることができ、筆跡品質および筆跡濃度を向上させることができる。
【0026】
本発明による筆記具においては、筆記具が有する加圧機構によって、インキ収容筒の後端側からインキ組成物に対して圧力を加えている。
一実施形態において、加圧機構は、アルゴンガスなどの圧縮ガスの導入やポンピングなどにより、インキ組成物の後端側に存在する空気を圧縮し、その圧縮された空気により発生する圧力を利用する。そのため、筆記によってインキ組成物が消費されると、圧縮されたガスや空気の体積が増加する。その結果、圧力が低下していき、良好な筆跡が維持できない可能性がある。
従って、加圧後の筆跡濃度を十分に高くして、加圧による筆跡濃度の向上が視認しやすくしておくことが好ましい。具体的には加圧後、すなわち加圧機構が作動しているときの筆跡濃度が、加圧機構が作動していないときの筆跡濃度に対し、1.2倍以上であることが好ましく、1.5〜5.0倍であることがより好ましく、1.5〜4.0倍であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、筆跡濃度は、ISO13660に準拠して測定されるものである。
【0027】
これに限定されるものではないが、一実施形態における加圧機構を以下に説明する。
本実施形態における筆記具が備えるボールペンレフィルは、軸筒の後方側に移動可能に配設され、且つ軸筒内に配設された弾発部材によって、軸筒の前端側へ付勢される。
ボールペンチップの前端部が軸筒の前端から突出した状態で、筆記などによる筆圧により、ボールペンレフィルを後方に移動させることで、インキ収容筒の後端部が、軸筒内に設けた密閉部に圧接され密閉空間が形成される。さらに、ボールペンレフィルを後方に移動させることにより、この密閉空間が圧縮され、ボールペンレフィルが備えるインキ収容筒に充填されているインキ組成物に対し、インキ収容筒の後端側から圧力が加えられる。
このような加圧機構を採用した場合、非筆記時(筆圧が加わっていない)の状態では、非加圧状態(インキ組成物の後端に圧力が加わっていない)となるため、チップ前端からのインキ漏れを確実に防止することができる。
さらに、1画毎に加圧がリセットされるため、筆記時の加圧力が安定し、濃度変化が生じ難い効果を奏する。
【0028】
なお、加圧機構のその他の実施形態や、その詳細については、後記する実施例において詳述する。
【0029】
(ボールペンレフィル)
本発明による筆記具が備えるボールペンレフィルは、インキ組成物が内部に充填されたインキ収容筒およびインキ収容筒の前端部に取り付けられたボールペンチップを備えてなる。
【0030】
本発明による筆記具により形成させた筆跡濃度は、加圧状態、すなわち加圧機構による加圧時で、0.7以上、1.5以下であることが好ましい。
加圧状態における筆跡濃度を上記数値範囲とすることで、一般的な筆記具(非熱変色性)を用いて形成させた筆跡濃度(1.0以上、1.2以下程度)やプリンターによって印字した文字の濃度(1.5程度)と、同程度の濃度となり、他の筆記具と、本発明による筆記具とを併用した場合に、筆跡濃度の差を少なくすることができる。
【0031】
万が一、加圧が良好に行われていない状態での筆記も可能とするべく、非加圧状態における筆跡濃度は、0.2以上とすることが好ましく、0.3以上とすることがより好ましい。このとき、筆跡濃度の上限は必ずしも限定されないが、例えば0.7未満、または0.6以下とすることができる。
【0032】
次に、本発明による筆記具の、加圧機構による加圧時に達成される10m当たりのインキ消費量は、非加圧時の1.3倍以上であることが好ましい。
これにより、筆跡濃度を高くすることができると共に、筆跡幅を大きくすることができる。また、ボールペンチップ前端からのインキ漏れを抑制するとともに、加圧前と加圧後の濃度差においても満足する筆記具とすることが可能となる。
さらに、紙面への筆記性能(筆跡の濃淡、かすれ)、経時安定性を考慮すると、加圧機構による加圧時に達成される10m当たりのインキ消費量は、非加圧時の1.5倍〜5.0倍とすることがより好ましく、1.5〜4.0倍がさらに好ましい。
尚、加圧状態とは、加圧機構を作動させ、加圧状態を維持したまま、筆記を開始してから10m筆記するまでの状態を示し、非加圧状態とは、インキ組成物の後端に圧力が加わっていない、大気圧と同圧の状態を示すものである。
【0033】
本発明の加圧機構が作動時における筆記具の単位面積当たりのインキ消費量値は、0.7〜1.5mg/cm
2であることが好ましく、0.7〜1.2mg/cm
2であることがより好ましい。これにより、上記した良好な筆跡濃度を有する筆跡を得ることができる。
【0034】
尚、良好な筆跡を得るには、筆跡幅としては、ボール径よりも小さくすることが好ましく、加圧状態での筆跡幅としては、ボール径の65%〜95%が好ましく、70%〜90%がより好ましい。
【0035】
(インキ収容筒)
インキ収容筒は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体や、金属材料からなる成形品が用いられる。これらの中でも、インキの低蒸発性、生産性の面でポリプロピレンが好適に用いられる。
また、加圧状態を維持するため、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのガスバリア性を有する材料が好適に用いられる。
また、インキ収容筒は、単層からなるものであってもよく、多層からなるものであってもよい。
【0036】
(筆記具用インキ組成物)
本発明において、インキ収容筒に充填されるインキ組成物は、油性であっても、水性であってもよい。また、インキ組成物は剪断減粘性を有するものを使用することもできる。
【0037】
インキ組成物のインキ粘度は、20℃、剪断速度3.84sec
−1において600mPa・s〜2000mPa・s、剪断速度384sec
−1おいて10mPa・s〜100mPa・sであることが好ましい。このようなインキ粘度とすることにより、上記したような好適なインキ消費量を得られやすく、且つ加圧した状態におけるチップ前端部からのインキ漏れを抑制することができる。
インキ粘度は、20℃、剪断速度3.84sec
−1において、1000〜1500mPa・s、剪断速度384sec
−1おいて30mPa・s〜80mPa・sであることがより好ましい。
【0038】
インキ組成物は、後記する実施例2に示されるように、ペン先突出状態であっても、加圧機構が作動しない実施形態とすることも可能である。
加圧により、より効果的に、インキ流出量の増加および筆跡濃度の向上させることができるため、インキ組成物は水性であることが好ましく、特には、剪断減粘性を有する水性インキ組成物であることが好ましい。
さらに、インキ組成物は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる可逆熱変色性インキであることが好ましい。
可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態または消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、または、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独または併用して構成することができる。
【0039】
また、可逆熱変色性インキは、従来より公知の(A)電子供与性呈色性有機化合物、(B)電子受容性化合物、及び(C)両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなることができる。
【0040】
可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
マイクロカプセルの壁膜材質としては、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。
更に、マイクロカプセルの表面には、目的に応じて二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0041】
マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、0.1μm〜5.0μmであることが好ましく、0.1μm〜4.0μmであることがより好ましく、0.5μm〜3.0μmであることがさらに好ましい。
【0042】
マイクロカプセル顔料の平均粒子径を上記数値範囲とすることにより、高濃度の発色性を維持しつつ、本発明の筆記具の筆記感をより滑らかなものとすることができる。
尚、粒子径、粒度分布の測定は、例えばコールター法(電気的検知帯法)により測定することができる。具体的には精密分布測定装置(ベックマンコールター製 Multisizer4e)、用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出する。或いは、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置〔株式会社堀場製作所製;LA−300〕を用いて測定し、標準試料を用いて校正した数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出することができる。
【0043】
また、可逆熱変色性組成物とマイクロカプセル壁膜の質量比率は、可逆熱変色性組成物:壁膜=7:1〜1:1であることが好ましく、6:1〜1:1であることがより好ましい。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率を上記数値範囲とすることにより、圧力や熱に対する耐性を維持しつつ、発色時の色濃度及び鮮明性を向上させることができる。
【0044】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の含有量は、インキ組成物全量に対し、5〜40質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜35質量%であることがさらに好ましい。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の含有量を上記数値範囲とすることにより、インキ流出性を維持しつつ、発色性能を向上させることができる。
また、本発明においては、マイクロカプセル顔料の含有量を過度に高くすることなく筆跡濃度を高めることができるため、高い経時安定性を実現することができる。
【0045】
本発明における可逆熱変色性インキの変色温度は、その目的などに応じて適切に設定される。たとえば、加熱により消色する可逆熱変色性インキを用いる場合、加熱によって消色する温度は、25℃〜95℃に設定することが好ましく、36℃〜90℃に設定することがより好ましい。
より具体的には、高温側変色点〔完全消色温度(t4)〕を、25℃〜95℃、好ましくは、36℃〜90℃、の範囲に設定し、低温側変色点〔完全発色温度(t1)〕を、−30℃〜+20℃、好ましくは、−30℃〜+10℃、の範囲に設定することができる。このような構成とすることにより、常態(日常の生活温度域)で色彩を有効に保持することができるとともに、筆跡を加熱、例えば摩擦部等による摩擦熱による加熱、で容易に変色させることができる。
【0046】
本発明に用いられるインキ組成物は、上記した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料以外の着色剤を含んでいてもよい。このような着色剤としては、水性系媒体に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料がすべて使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
【0047】
染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等を使用することができる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等を使用することができる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等を使用することができる。
【0048】
顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤や樹脂を用いて、水媒体中に安定的に分散された微細な水分散顔料製品や蛍光顔料等を使用することができる。
例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:Sandye Super Blue GLL、顔料分24%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Red 146〔品名:SandyeSuper Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TCRed FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
尚、顔料を分散する樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、アラビアゴム、セルロース、デキストラン、カゼイン等、およびそれらの誘導体、前記した樹脂の共重合体等が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
また、上記した顔料以外にも、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉顔料、天然雲母、合成雲母、アルミナ、ガラス片から選ばれる芯物質の表面を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、コレステリック液晶型光輝性顔料等を使用することもできる。
【0049】
上記したその他の着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、そのインキ組成物における含有量は、1〜35質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
【0050】
また、インキ組成物は、水に相溶性のある従来汎用の水溶性有機溶剤を含んでいてもよい。
例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオプレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
尚、水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用することもでき、そのインキ組成物における含有量は、2〜60質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることがより好ましい。
【0051】
また、インキ組成物は、剪断減粘性付与剤を含んでいてもよい。
剪断減粘性付与剤としては、水に可溶性または分散性の物質であることが好ましく、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量100,000〜150,000の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ポリN−ビニル−カルボン酸アミド架橋物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示できる。
更には、インキ組成物中にN−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤を併用して添加してもよい。
インキ組成物における剪断減粘性付与剤の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましい。
【0052】
インキ組成物は、その他、必要に応じて、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を含んでいてもよい。
更に、インキ組成物は、潤滑剤を含んでいてもよい。例えば、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N−アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α−リポ酸、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
また、インキ組成物は、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を含んでいてもよく、これにより、出没式形態でのドライアップ機能(キャップオフ機能)を高めることもできる。
【0053】
また、筆記具用インキ組成物は、耐乾燥性を妨げない範疇で、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の水溶性樹脂を一種又は二種以上含んでいてもよい。さらに尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤を一種又は二種以上含んでいてもよい。
【0054】
(ボールペンチップ)
ボールペンチップとしては、金属製のパイプの前端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをコイルスプリングにより前方に付勢させたもの等を適用できる。
【0055】
一実施形態において、ボールペンチップは、ボール抱持室を有するチップ本体と、ボールとを構成部品として備えてなる。
また、一実施形態において、ボール抱持室の底壁の中央にはインキ流通孔と、そのインキ流通孔から放射状に延びる複数本(2〜6本程度)のインキ流通溝とが形成されており、ボール抱持室の底壁には、略円弧面状のボール座が設けられており、ボールは、その一部をチップ前端縁より突出させて回転自在に抱持できるようにボール座に載置される。
【0056】
また、ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等からなる汎用のものが適用できる。また、そのボールの直径(本発明において、ボール径という)は、0.1mm〜2.0mmであることが好ましく、0.2mm〜1.2mmであることがより好ましい。
特に、ボール径が0.5mm以下の小径のものでは、筆記距離に対するボールの回転数が多く、本発明の効果がより顕著に発揮されるので、例えば、ボール径は0.4mm、0.38mm、0.3mmであることが好ましい。
【0057】
ボールペンチップ前端部の内壁に、略円弧面状のシール面を形成するとともに、ボールの縦方向のクリアランスを15μm〜40μmとすることで、安定した筆跡と、ボール座の磨耗を抑制することができる。
【0058】
これは、ボール抱持室の底壁に、略円弧面状のボール座を設けることで、ボールとチップ本体の接触面積が増加するため、座の磨耗が抑制するためと考えられる。
但し、ボール座を形成することで、ボール抱持室のボールを除く空間(体積)が減少するため、通常は、インキ消費量は減少する傾向となるが、本発明の筆記具には、加圧機構を有するため、インキ消費量を減少させることなく、良好な濃度の筆跡を形成することができる。
特に、ボール座に直径0.5mm以下のボールを載置させたボールペンにおいては、ボール座の磨耗が顕著となる傾向がある。
ボールの縦方向のクリアランスが15〜40μm、好ましくは、20〜30μmとすることで、安定した筆跡と、チップ前端からのインキ漏れを抑制することができる。
【0059】
(その他)
更に、本発明による筆記具は、インキ組成物が充填されているインキ収容筒の後端部にインキ追従体(液栓)が充填されていてもよい。
インキ追従体は、液体状であっても、固体状であってもよい。
液体状のインキ追従体としては、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。
また、固体状のインキ追従体としては樹脂成形物が挙げられる。
なお、液体状及び固体のインキ追従体を併用することも可能である。
【0060】
また、本発明による筆記具は、摩擦部材を備えてなることが好ましい。ボールペンレフィルにより形成させた筆跡をその摩擦部材により擦過することで摩擦熱を生じさせ、筆跡を熱変色させることができる。
摩擦部材の設置位置は、軸筒の前端部、後端部、側面部、クリップの表面、操作部など、特に限定されるものではなく、二カ所以上に設置してもよい、接着、融着、嵌着、または二色成型などによって設けることもができる。
また、摩擦部材を構成する材料は、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が好ましく、具体的には、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。
弾性を有する合成樹脂は、摩擦時に崩壊して摩耗カス(消しカス)を生じることが殆どない、低摩耗性の弾性材料とからなることが好ましい。高摩耗性の弾性材料や、摩擦崩壊性材料(例えば、消しゴム等)を用いることは好ましくない。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
【0062】
実施例1−1
一実施形態にかかる筆記具1は、
図1から
図4に示す通り、前軸2と後軸3を螺着することにより構成される軸筒本体を備える。
また、ピストン5内に、ボールペンレフィル保持部材9を介して着脱自在に圧入装着されたボールペンレフィル11が、軸筒本体内に配設される。
さらに、この筆記具1は、ボールペンチップ12の出没機構を有する。ここでボールペンレフィル11は、コイルスプリング16によって、後軸3の後端方向に付勢して摺動自在に配設されている。ボールペンチップ12は、摺動自在に配設されたボールペンレフィル11が、ノック体4が押圧されたときに前端に押されて、前端から突出する。
【0063】
ボールペンレフィル11が備える、ポリプロピレン樹脂(以下、PP樹脂という)からなる透明のインキ収容筒には、下記インキ配合の、剪断減粘性を有するインキ組成物11Aが充填されている。さらに、インキ収容筒の後端には、インキ組成物11Aの消費に伴い追従するグリース状のインキ追従体(図示せず)が充填されている。
また、インキ収容筒の前端開口部には、ボールペンレフィル11が備える、ボール(直径0.38mm)を回転自在に抱持したボールペンチップ12の後端部が圧入嵌合されている。
尚、ボールの後方には、ボールを常時、チップ前端の内壁に押圧するコイルスプリング(図示せず)を配設することが好ましい。このような構造によって、インキ組成物11Aの漏れ出しを抑制することができる。
【0064】
次に、ボールペンレフィル11が備えるボールペンチップ12(筆記前端部)の出没機構について説明する。
まず、ノック体4を前軸2の前端開口部2A方向に押圧(
図1の矢印F方向)すると、後軸3の摺動孔3Aに摺動自在に配設したノック体4の外壁に形成した係止部4Cが、クリップ10の前端部の被係止部10Aに係止され、ボールペンレフィル11のボールペンチップ14の前端部が、前軸2の前端開口部2Aから突出した状態で維持される。
また、この出没機構は、クリップ10の後端部を押圧して、クリップの被係止部10Aに係止した係止部4Cを解除すると、コイルスプリング16の付勢力によって、ボールペンチップ14を前軸2の前端開口部2A内に没入することができる。
【0065】
ボールペンレフィル11の後端部は、ピストン5内に圧入したボールペンレフィル保持部材9に圧入保持されており、ピストン5の後端部に形成した空気孔5Aからピストン5の内外を連通してある。
また、ピストン5を覆うようにシリンダー6が配設されており、このシリンダー6の前端面6Aと、ピストン5の外壁に形成した外壁段部5Bとが当接することにより、シリンダー6に連動してピストン5を前軸2の前端開口部2A方向に移動可能にする。
また、ピストン5とノック体4間にはコイルスプリング15を配設してあり、ノック体4を常時、後軸3の後端方向に付勢させることができる構成となっている。
【0066】
以下に、出没機構の作動に伴い作動する加圧機構について詳述する。
ボールペンチップ12が没入した位置からノック体4を前軸2の前端開口部2A方向に前進させることにより、ノック体4内に装着された弾性体8が、シリンダー6の後端面に圧接され、空気孔6Bを閉鎖してシリンダー6内に密閉空間が形成される。
さらに、ノック体4の前軸2の前端開口部2A方向への前進に伴い、シリンダー6が前軸2の前端開口部2A方向に前進する。
【0067】
ボールペンレフィル11は、ボールペンレフィル保持部材9に圧入保持され、ボールペンレフィル保持部材9は、ピストン5内に圧入してあり、ピストン5の外壁面とシリンダー6の内壁面6Cは、Oリング7によって互いに摺動自在に密閉してある。
ボールペンレフィル11の後端部は、ピストン5に連通し、ピストン5は、空気孔5aを通じてシリンダー6内に連通するので、シリンダー6の前端面6Aが、ピストン5の外壁段部5Bに当接するまで、シリンダー6内の空間部を圧縮する。これにより、ピストン5内の空間部も圧縮されるため、ボールペンレフィル11が備えるインキ収容筒の後端側から、インキ追従体を介してインキ組成物11Aに対して圧力を加えることができる。尚、当該圧力は、例えば1190hPaであった。
【0068】
さらにノック体4を前軸2の前端開口部2A方向に前進すると、シリンダー6を介してピストン5、ボールペンレフィル11を前進させ、ノック体4の外壁に形成した係止部4Cが、クリップ10の前端部の被係止部10Aに係止される。これにより、インキ収容筒の後端側からインキ組成物11Aに対し、圧力が加えられている状態であって、ボールペンレフィル11のボールペンチップ12が、前軸2の前端開口部2Aから突出した状態が維持される。
【0069】
また、クリップ10の被係止部10Aに係止した係止部4Cを解除すると、先ず、スプリング15の付勢力によって、ノック体4が後軸3の後端方向に後退する。
この時、シリンダー6の後端面に圧接していた弾性体8もノック体4と共に、後軸3の後端方向に後退するため、シリンダー6の空気孔6Bが開放され、シリンダー6内、さらにはピストン5及びボールペンレフィル11の後端部の密閉状態が解除され、大気圧と同圧となる。
【0070】
さらに、コイルスプリング14の付勢力によって、ピストン5及びボールペンレフィル11およびシリンダー6は、後軸3の後端方向に後退させられ、ボールペンレフィル11のボールペンチップ12を前軸2の前端開口部2Aから没入される。
【0071】
また、本実施形態による筆記具には、前軸2の前端部に、スチレン系エラストマーからなる摩擦部材18が、二色成型により軸筒と一体に設けられている。ボールペンレフィル11により形成される筆跡を、摩擦部材18により擦過することにより生じる摩擦熱によって、筆跡を熱変色(消色)することができる。
【0072】
本実施形態において用いられるインキ組成物11Aの配合(インキ配合1)について以下に説明する。
可逆熱変色性(色彩記憶型)のマイクロカプセル顔料17質量部(予め−23℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)を、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.33質量部、尿素10.0質量部、グリセリン10質量部、燐酸エステル系界面活性剤0.6質量部、変性シリコーン系消泡剤0.1質量部、防黴剤0.2質量部、水61.77質量部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて、可逆熱変色性インキを含むインキ組成物11Aを調製した。
本実施形態のインキ組成物11Aを用いて紙面上に形成させた筆跡は、室温(25℃)では黒色を呈しており、摩擦体を用いて筆跡を擦過すると、その筆跡は消色して無色となった。なお、この状態は室温下で維持することができた。
また、筆跡を消色させた紙面を、冷凍庫内において−23℃以下の温度に冷却することにより、再び筆跡が発色する(黒色になる)変色挙動を示した。
加熱および冷却による前記挙動は繰り返し再現することができた。
【0073】
ボールペンレフィルの加圧前、加圧後の単位面積当たりのインキ消費量値、筆跡濃度は、表1に示す通りである。また、参考例として、市販されているパイロットコーポレーションのノック式ゲルインキボールペン(商品名:G−knock)の単位面積当たりのインキ消費量値、筆跡濃度も表1に示す。
【0074】
実施例1−2
インキ組成物11Aの配合を以下の通りに変更してインキ配合2とした以外は、実施例1−1と同様の筆記具を作製し、ボールペンレフィルの加圧前、加圧後の単位面積当たりのインキ消費量値などを測定し、表1に示した。
可逆熱変色性(色彩記憶型)のマイクロカプセル顔料17質量部(予め−23℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)を、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.5質量部、尿素10.0質量部、グリセリン10質量部、燐酸エステル系界面活性剤0.6質量部、変性シリコーン系消泡剤0.1質量部、防黴剤0.2質量部、水61.6質量部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて、可逆熱変色性インキを含むインキ組成物11Aを調製した。
本実施形態のインキ組成物11Aを用いて紙面上に形成させた筆跡は、室温(25℃)では黒色を呈しており、摩擦体を用いて筆跡を擦過すると、その筆跡は消色して無色となった。なお、この状態は室温下で維持することができた。
また、筆跡を消色させた紙面を冷凍庫内において−23℃以下の温度に冷却することにより、再び筆跡が発色する(黒色になる)変色挙動を示した。
加熱および冷却による前記挙動は繰り返し再現することができた。
【0075】
実施例1−3
インキ組成物11Aの配合を以下の通りに変更してインキ配合3とした以外は、実施例1−1と同様の筆記具を作製し、ボールペンレフィルの加圧前、加圧後の単位面積当たりのインキ消費量値などを測定し、表1に示した。
可逆熱変色性(色彩記憶型)のマイクロカプセル顔料17質量部(予め−23℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)を、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.66質量部、尿素10.0質量部、グリセリン10質量部、ノニオン系界面活性剤0.6質量部、変性シリコーン系消泡剤0.1質量部、防黴剤0.2質量部、水61.44質量部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて、可逆熱変色性インキを含むインキ組成物11Aを調製した。
上記の各インキ組成物11Aを用いて紙面上に形成させた筆跡は、室温(25℃)では黒色を呈しており、摩擦体を用いて筆跡を擦過すると、その筆跡は消色して無色となった。なお、この状態は室温下で維持することができた。
また、筆跡を消色させた紙面を冷凍庫において−23℃以下の温度に冷却することにより、再び筆跡が発色する(黒色になる)変色挙動を示した。
加熱および冷却による前記挙動は繰り返し再現することができた。
【0076】
【表1】
【0077】
尚、10m当たりのインキ消費量は、JIS規格S6054に準じて測定(20℃、筆記角度70度、筆記速度4m/min、自公転、筆記荷重100gf、下敷きステンレス板)測定したものであり、10m筆記後にインキ残量を測定して計算によって求めたものである。また、こうした試験を連続して5回(計50m)、計5本行い、その平均値によって求められるものである。
【0078】
また、筆跡幅及び筆跡濃度は、前記筆記によって得られた筆跡をISO13660に準じて、筆跡幅(mm)は、反射率の60%以下の領域、筆跡濃度は、反射率75%以下の範囲内の平均値を測定したもので、本願発明における筆跡幅及び筆跡濃度は、パーソナル画質評価装置(QEA(Quality Engineering Associates)社製、PIAS−II)によって求めることができる。尚、本発明においては、15箇所測定し、その平均値によって求めたものである。
【0079】
インキ粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(コーンローター CPE42)を用いて20℃の環境下で、剪断速度3.84sec
−1(10rpm)、剪断速度384sec
−1(100rpm)の条件にてインキ粘度を測定することができる。
【0080】
実施例2
図5から
図7に示す実施例2の筆記具101は、把持部にグリップ部材114を装着した前軸102と、後軸103とを連結した軸筒本体内にボールペンレフィル107を配設してある。
また、本発明による筆記具は、PP樹脂を射出成形することにより得られた、半透明のキャップ104が、前軸102の側壁に形成した嵌合凸部に、キャップ104の内壁に形成した嵌合突部を乗り越し嵌合することによって、着脱自在に装着されている。
【0081】
ボールペンレフィル107が備えるインキ収容筒108の前端には、直径0.38mmのボールを回転自在に抱持したボールペンチップ110が、チップホルダー109を介して装着されている。
また、インキ収容筒108の後端部には、内外を連通する空気孔を設けた尾栓111を装着がされる。
インキ収容筒108内部には、上記したインキ配合1からなる可逆熱変色性インキを含むインキ組成物112と、インキ追従体113が充填されている。
尚、図示はしてないが、ボールの後方には、ボールを常時、チップ前端の内壁に押圧するコイルスプリングを配設してある。
【0082】
また、ボールペンレフィル107が備えるインキ収容筒108の後端部は、後軸103後端部内に圧入装着されており、インキ収容筒108内のインキ組成物112およびインキ追従体113が充填された部分に続く空間は、後軸103の後端部に設けた、筆記具内外を連通する連通孔103Aによってのみ、外気と連通する。
【0083】
以下に、キャップ104の嵌合により作動する加圧機構について詳述する。
筆記具本体の後軸103にキャップ104を嵌合することにより、ボールペンレフィル107に充填されたインキ組成物112に対し、インキ追従体113を介して圧力を加えることができる。
具体的には、キャップ本体105の開口端側に、後軸103後端部を図の矢印F方向に挿入すると、先ずキャップ本体105の内壁105Aと後軸103の側壁103Bが当接する。
この時、後軸103の後端部に設けた、内外を連通する連通孔103Aを通じて、キャップ本体105内、後軸103内およびインキ収容筒108の上記空間が、密閉状態で連通される。
さらに、キャップ104を図の矢印F方向に進行させると、嵌合が完了するまで、上記密閉空間が圧縮される。その結果、ボールペンレフィル107に充填された筆記具用インキ組成物に対し、インキ追従体113を介して、圧力を加えることができるものである。尚、当該圧力は、1050hPaであった。
【0084】
また、本実施形態による筆記具は、キャップ本体105の頂部には、スチレン系エラストマーからなる摩擦部材115が装着されている。ボールペンレフィル107により形成される筆跡を擦過することにより生じる摩擦熱によって、筆跡を熱変色(消色)することができる。
【0085】
また、キャップと、前軸又は後軸との嵌合方法は、着脱自在に装着してあれば、ネジ嵌合、凹凸嵌合、乗り越し嵌合等、特に限定されるものではないが、凹凸嵌合や乗り越し嵌合の場合は、嵌合時に気密性が低下する恐れがあるため、キャップ4の後軸との嵌合方法は、圧入嵌合とすることが好ましい。
【0086】
前記した構成によれば、キャップを軸筒後端部に嵌合することよって、インキ組成物の後端に圧力が加わり、キャップを取り外すと、インキ組成物の後端は、外気と連通し、大気圧と同圧となる。
そのため、キャップを軸筒後端部に嵌合しない、又は軸筒後端部からキャップを取り外した状態では、非加圧式(インキ組成物の後端に圧力が加わっていない)の筆記具として使用可能となる。
【0087】
実施例3
図8から
図11に示す、筆記具201は、ピストン209内に、ホルダ207及びボールペンレフィル保持部材208を介して、着脱自在に圧入装着されたボールペンレフィル216が軸筒202内に配設される。
また、この筆記具201は、コイルスプリング213によって、受部材206を介してホルダ207、ピストン209及びレフィル保持部材208、ボールペンレフィル216を、軸筒2の後端方向に付勢して摺動自在に配設してある、ボールペンチップ218の出没機構を有する。
【0088】
軸筒2の前端部には、スチレン系エラストマーからなる摩擦部材221が、二色成型により、軸筒202と一体に設けられている。ボールペンレフィル216により形成させた筆跡を、この摩擦部材221により擦過し、これにより生じる摩擦熱によって、筆跡を熱変色(消色)することができる。
【0089】
ボールペンレフィル216が備える、PP樹脂からなる透明のインキ収容筒217には、上記したインキ配合1からなる剪断減粘性を付与したインキ組成物219が充填されており、さらにインキ収容筒の後端には、インキの消費に伴い追従するグリース状のインキ追従体220が充填されている。
また、インキ収容筒217の前端開口部には、ボール(直径0.38mm)を回転自在に抱持したボールペンチップ218の後端部が圧入嵌合されている。
【0090】
次にボールペンレフィル216が備えるボールペンチップ218の出没機構について説明する。
まず、ノック体204を軸筒202の前端開口部202A方向に押圧(
図1の矢印F方向)すると、軸筒202の摺動孔202Bに摺動自在に配設したノック体204の外壁に形成した係止部204Aが、クリップ205の前端部の被係止部205Aに係止することで、ボールペンレフィル216が備えるボールペンチップ218の前端部が、前軸202の前端開口部202Aから突出した状態で維持される。
また、この出没機構は、クリップ205の後端部205Bを押圧して、クリップ205の被係止部205Aに係止した係止部204Aを解除すると、コイルスプリング213の付勢力によって、ボールペンチップ218を前軸2の前端開口部202A内に没入することができる。
【0091】
ボールペンレフィル216の後端部は、ピストン209内に圧入したボールペンレフィル保持部材208に圧入保持されており、ピストン209の後端部に形成した空気孔からピストン209の内外を連通してある。
また、ピストン209を覆うように受部材206が配設され、さらに、受部材206と、ピストン209の後方に設けた密閉部材保持部材210との間に第二コイルスプリング214が配設され、密閉部材保持部材210と受部材206との間に第三コイルスプリング215が配設されている。
【0092】
以下に本実施形態による筆記具が有する加圧機構について詳述する。
ボールペンチップ218の前端部が、軸筒202の前端から突出した状態の本実施形態による筆記具により、筆記すると、その筆圧により、ボールペンレフィル216が、第二コイルスプリング214、第三コイルスプリング215の付勢力に抗して、矢印G方向へ移動する。これにより、ボールペンレフィル216、レフィル保持部材208およびピストン209が連動して後方に移動し、第二コイルスプリング214が圧縮し、受部材206に配設した密閉部材211が圧接され、密閉空間が形成される。
さらに、ピストン209を矢印G方向に移動させると、第三コイルスプリング215が圧縮され、密閉部材211が変形し、上記密閉空間が圧縮される。これにより、ボールペンレフィル216に充填されたインキ組成物219に対し、インキ追従体20を介して、圧力を加えることができる。
尚、第二コイルスプリング214を圧縮するのに必要な荷重は、第三コイルスプリング215を圧縮するのに必要な荷重よりも小さく設定されている。
【0093】
また、筆圧を解除(非筆記具時)、すなわち筆記を中止すると、先ず、第三コイルスプリング215が元の状態に戻り、その後、第二コイルスプリング214が元に状態に戻るため、ボールペンレフィル216が軸筒202の前端方向(矢印G方向とは反対の方向)に移動(元に戻る)する。
具体的には、ピストン209の後端面によって圧接変形させられていた密閉部材211が、元の形状に復元するため、ピストン209の空気孔を開放され、ピストン206内、ならびにインキ収容筒217内のインキ組成物219およびインキ追従体220が充填された部分に続く空間の密閉状態が解除され、大気圧と同圧になる。
尚、インキ組成物219に対して、インキ追従体220を介して加えた圧力は、1020hPaであった。
【0094】
尚、本発明は、少なくとも1本のボールペンレフィルが軸筒内に前後方向に移動可能に収容される構成であればよく、例えば、1本のボールペンレフィルが軸筒内に前後方向に移動可能に収容される構成、または複数本のボールペンレフィルが軸筒内に前後方向に移動可能に収容される構成が挙げられる。
【0095】
実施例1、および実施例3では、便宜上、後端ノック及びクリップ操作により、チップ前端部を軸筒前端開口部から出没させる機構を例示しているが、ノック式、スライド式、回転等、特に限定されるものではない。