(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記改質された天然オイルは、前記天然オイル全体の重量に対して、重量平均分子量が500g/mol以上2,000g/mol未満の第1天然オイル50〜90重量%、及び重量平均分子量が2,000〜7,000g/molの第2天然オイル10〜50重量%を含むものである、請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、前記原料ゴム100重量部に対して、老化防止剤1〜10重量部及び粘着剤0.5〜10重量部をさらに含むものである、請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
前記天然オイルを改質させる段階は、改質前の天然オイル100重量部に対して、架橋剤1〜5重量部を加えて改質させたものである、請求項4に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法。
前記架橋剤は、元素硫黄、高分子硫黄、粉末硫黄(S)、不溶性硫黄(S)、沈降硫黄(S)、コロイド(colloid)硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド(tetramethylthiuram disulfide,TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(tetraethylthiuram disulfide,TETD)、ジチオジモルホリン(dithiodimorpholine)、アミンジスルフィド(amine disulfide)、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシロキサン、又はn−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのものである、請求項5に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を各構成成分別により詳しく説明する。
【0029】
本発明に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、原料ゴム100重量部と、補強性充填剤60〜130重量部と、改質された天然オイル10〜60重量部、とを含む。
【0031】
1)原料ゴム
前記原料ゴムは、原料ゴム全体の重量に対して、天然ゴム0〜40重量%、スチレンブタジエンゴム60〜100重量%、ネオジムブタジエンゴム0〜40重量%を含むことができる。
【0032】
前記天然ゴムは、自然から得られるゴムを総称するもので、天然由来のゴムならいずれも使用でき、原産地などが限定されない。前記天然ゴムは、化学名ではポリイソプレンと記載でき、より好ましくは、シス−1,4−ポリイソプレンを主体として含むことができる。
【0033】
前記天然ゴムは、前記原料ゴム全体の重量に対して、0〜40重量%で含まれてもよい。天然ゴムが40重量%を超過する場合は、スチレンブタジエンゴム及びネオジムブタジエンゴムとの混合性が悪くなり、機械的物性及び性能に問題が生じかねない。
【0034】
前記スチレンブタジエンゴム(Styrene−Butadiene Rubber,SBR)は、スチレン含量が20〜50重量%、ビニル含量が10〜40重量%であり、ガラス転移温度(Tg)が−60〜−10℃である。
【0035】
前記スチレンブタジエンゴムは、ガラス転移温度を上げてグリップ性能を向上させることができる。
【0036】
また、前記スチレンブタジエンゴムは、全体原料ゴムの全体重量に対して、60〜100重量%で含まれてもよい。
【0037】
前記スチレンブタジエンゴムは、分子量分布が広いため加工性に優れ、分子量もまた高いため耐摩耗性能にも有利といえる。より好ましくは、前記陰イオンの重合スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は、500,000〜1,500,000g/molであってもよく、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は1.5〜4であってもよい。前記使用された原料ゴムの場合、スチレン及びビニルの含量が低い水準であるため、ガラス転移温度も低くて氷雪路面の制動性能もまた有利といえる。
【0038】
前記ネオジムブタジエンゴムは、分子内のシス−1,4−ブタジエンの含量が95重量%以上含む高シスネオジムブタジエンゴムであってもよい。このように、シス結合の含量が高いブタジエンゴムを使用することによって、タイヤゴム組成物の耐摩耗性及び制動特性を改善させることができる。
【0039】
また、前記ネオジムブタジエンゴムのガラス転移温度(Tg)は、−100〜−120℃であり、オイルを含有しないものであってもよい。
【0040】
前記ネオジムブタジエンゴムは、全体原料ゴムの全体重量に対して、0〜40重量%で含まれてもよく、40重量%を超過する場合は、加工性が低下しかねない。
【0041】
また、本発明の原料ゴムは、前記天然ゴム、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムの他にも、ポリブタジエンゴム、共役ジエン芳香族ビニル共重合体、水素化天然ゴム、オレフィンゴム、マレイン酸に変形したエチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエンモノマーの共重合体、アクリルゴム、アイオノマーを有するゴム、ハロゲン化ゴム、クロロプレンゴム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか一つをさらに含むことができる。
【0043】
2)補強性充填剤
一方、前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、補強性充填剤として高分散性シリカとカーボンブラックのうち、いずれか一つ又は両方を含むことができる。
【0044】
前記補強性充填剤は、原料ゴム100重量部に対して、60〜130重量部で含まれるものであってもよく、好ましくは、原料ゴム100重量部に対して、シリカ60〜125重量部及びカーボンブラック5〜70重量部で含まれるものであってもよい。
【0045】
前記シリカが60重量部未満で含まれる場合は、制動性能が低下するという問題があり、125重量部を超過すると、耐摩耗性能及び低燃費性能が不利になるという問題が生じかねない。
【0046】
前記カーボンブラックが5重量部未満で含まれる場合は、外観色度が不良になるという問題が生じるおそれがあり、70重量部を超過する場合、低燃費及びウェット路面での制動性能に問題が生じかねない。
【0047】
前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が50〜100m
2/gであり、OAN(Oil Adsorption Number)の値が100〜150cc/100gであるGPF(General Purpose Furnace)グレードのカーボンブラックでるものであってもよい。
【0048】
前記高分散性シリカは、窒素吸着の値が160〜260m
2/gであり、CTAB吸着の値が150〜250m
2/gであるものであってもよい。
【0049】
通常のゴム組成物において、シリカはシランカップリング剤との反応を通じてゴム内で 親有機性に改質されることによって、ゴムと化学的に結合することができる。このように、シリカの表面の化学的特性が変形する場合、ゴム内でのシリカの動きが制限され、ヒステリシスが低くなり、その結果としてゴム組成物の発熱及び転がり抵抗が低減する。しかし、ゴム内でシリカの分散が十分に行われないと、発熱及び転がり抵抗があまり低減されず、むしろ耐摩耗性が低下してしまうおそれがあるので、本発明の一実施例に係るタイヤトレッド用ゴム組成物にはシランカップリング剤がさらに含まれてもよい。
【0050】
前記シランカップリング剤は、通常のゴム組成物においてシリカに対するカップリング剤として使用されるものなら、特に制限なしに使用することができる。具体的には、スルフィド系シラン化合物、メルカプト系シラン化合物、ビニル系シラン化合物、アミノ系シラン化合物、グリシドキシ系シラン化合物、ニトロ系シラン化合物、クロロ系シラン化合物、メタクリル系シラン化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものであってもよい。
【0051】
前記スルフィド系シラン化合物は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0052】
前記メルカプト系シラン化合物は、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。前記ビニル系シラン化合物は、エトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0053】
前記アミノ系シラン化合物は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0054】
前記グリシドキシ系シラン化合物は、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。前記ニトロ系シラン化合物は、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。前記クロロ系シラン化合物は、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0055】
前記メタクリル系シラン化合物は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0056】
前記シランカップリング剤の中でも、シリカに対するカップリング効果を考慮する際、スルフィド系シラン化合物が好ましく、より好ましくは、ビス−(トリアルコキシシリルプロピル)ポリスルフィド(TESPD)、ビス−3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド(TESPT)、及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。前記TESPDは、TESPTとカーボンブラック50重量%を混合したものであってもよい。
【0057】
前記シランカップリング剤は、前記補強性充填剤であるシリカ100重量部に対して5〜15重量部だけ含まれてもよい。シランカップリング剤の含量が5重量部未満であると、シリカに対する表面の化学的特性の変換効果が少ないので、シリカの分散性が低下するおそれがあり、その結果として、タイヤの補強性及び耐久性が低下しかねない。また、シランカップリング剤の含量が15重量部を超過する場合、過量のシランカップリング剤の使用により、むしろタイヤの耐摩耗性及び燃費性能が低下しかねない。改善効果の顕著さを考慮する際、前記シランカップリング剤は、補強性充填剤であるシリカ100重量部に対して5〜10重量部で含まれるのがより好ましいといえる。
【0058】
また、本発明の一実施例に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、シリカの分散性を増強させるための加工助剤をさらに含むことができる。通常、シランカップリング剤は、シリカ表面のシラノール基と組成物の原料ゴムとを連結する橋渡し役を果たし、シリカ単独で使用する時のシリカ−シリカ間の強い凝集力を解消させる役割を果たす。しかし、ゴム成分の中のシリカ含量又はシリカの比表面積が増加する場合は、シランカップリング剤の添加にもかかわらず、分散性が低下してしまうことが多い。
【0059】
これに対して、本発明の一実施例においては、タイヤトレッド用ゴム組成物内の加工助剤として、脂肪族化合物、具体的には、脂肪酸エステル系化合物、より具体的には、炭素水13〜22の脂肪酸エステル系化合物で改質された金属塩をさらに含ませることによって、高含量で含まれたシリカの分散性を改善し、スコーチ安定性、耐久性及び耐摩耗性を向上させることができる。
【0060】
前記加工助剤は、金属イオンの親水性基と脂肪酸の疎水性基を同時に有する両親和性物質であって、前記金属イオンは、シリカ表面のシラノール基と反応して、水素結合や双極子結合によって互いに強く結合しているシリカ凝集(agglomerate)に対して、分子間の表面エネルギーを減少させることによって、混合工程中の脱凝集化(de−agglomerate)を誘導し、その結果としてタイヤトレッド用ゴム組成物の粘度を下げて、流動性(flow property)を高め、スコーチ安定性、耐久性及び耐摩耗性を向上させる。また、前記脂肪酸の炭化水素基は、ゴム鎖との優れた相溶性によってゴム鎖を弱化(diluting)させて、工程性を向上させる可塑剤の役割を果たす。
【0061】
具体的には、前記加工助剤において、金属塩は、亜鉛石鹸(zinc soap)、ナトリウム石鹸(sodium soap)、カリウム石鹸(potassium soap)、又は亜鉛カリウム石鹸(zinc Potassium soap)などであってもよい。しかし、前記ナトリウム石鹸及びカリウム石鹸は、強い極性を有するため、シリカとカップリング剤が反応する前にシリカと反応することによって、スコーチ安定性及び加硫時間を短縮させるおそれがある。これに従って、前記金属塩としては、亜鉛石鹸がより好ましいといえる。
【0062】
また、前記亜鉛石鹸は、亜鉛石鹸総重量に対して、亜鉛成分を1〜5重量%含むものが好ましい。亜鉛石鹸内の亜鉛含量が1重量%未満であると、分散効果が少なく、亜鉛含量が5重量%を超過する場合、亜鉛塩の生成が増加して、ゴム組成物の性能が低下してしまうおそれがある。
【0063】
また、前記脂肪酸エステルは、具体的には、炭素数12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のエステルであってもよく、より具体的には、脂肪族又は芳香族カルボキシル酸であってもよい。
【0064】
前記亜鉛石鹸に対する脂肪酸エステルの改質は、脂肪酸エステルを20:80〜40:60の重量比で混合した後、縮合反応させることによって行われてもよく、この時、加工助剤内の亜鉛石鹸と脂肪酸エステルの混合重量比が20:80〜40:60の範囲から外れる場合、分散性の向上効果が低下しかねない。
【0065】
また、前記のような加工助剤は、原料ゴム100重量部に対して、0.5〜5重量部で含まれるのが好ましいといえる。加工助剤の含量が0.5重量部未満であると、シリカの分散効果が不十分であり、加工助剤の含量が5重量部を超過する際、加工助剤の使用量に対する効果の改善程度が低い。また、改善効果の顕著さを考慮する際、前記加工助剤は、原料ゴム100重量部に対して、1〜3重量部で含まれるのがより好ましいといえる。
【0067】
3)改質された天然オイル
前記改質された天然オイルは、大豆油、ひまわり油、綿実油、コーン油、キャノーラ油、パーム油、及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか一つの天然オイルを改質したものであってもよい。
【0068】
自然から得られる通常の天然オイルは、重量平均分子量が2,000g/mol以下だが、本発明では、タイヤの耐摩耗性能、氷雪路面での制動性能及び耐老化性能を改善することを目的として、従来の天然オイルに比べて分子量が、少ない場合は2倍、多い場合は10倍、増大した天然オイルを使用することができる。
【0069】
具体的には、前記改質された天然オイルは、前記天然オイル全体の重量に対して、第1天然オイル50〜90重量%、及び前記第1天然オイルより重量平均分子量が2〜10倍大きい第2天然オイル10〜50重量%を含むものであってもよい。
【0070】
天然オイルの分子量を増大させるために、分子鎖内に存在する二重結合と反応できる架橋剤を加えたり、UV硬化法又は熱硬化法を用いて改質された天然オイルを得ることができる。
【0071】
具体的には、前記改質された天然オイルは、前記天然オイル全体の重量に対して、重量平均分子量が500g/mol以上2,000g/mol未満の第1天然オイル50〜90重量%、及び重量平均分子量が2,000〜7,000g/molの第2天然オイル10〜50重量%を含むことができる。
【0072】
天然オイルの分子量が大きくなると、夏のように大気温度が30〜40℃程度に高い時、タイヤから天然オイルが析出する現象が減り、チップカット(Chip cut)現象を予防することができ、老化耐久性能が向上する。また、重量平均分子量が2,000g/mol未満の天然オイルに比べて、ヒステリシス(Hystersis)が少なくて転がり抵抗(RR)性能にも有利である。
【0073】
前記改質された天然オイルは、原料ゴム100重量部に対して、10〜60重量部で使用されてもよい。前記改質された天然オイルが10重量部未満で含まれる場合、混合性が悪化する問題が生じるおそれがあり、60重量部を超過する場合、混合する際に、滑り(Slip)に伴う不均質な混合を生じさせ、タイヤ性能が低下してしまう問題が生じかねない。
【0075】
本発明は、天然オイルを改質させる段階と、原料ゴム100重量部、補強性充填剤60〜130重量部、及び前記改質された天然オイル10〜60重量部を配合する段階、とを含むタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法を提供する。
【0076】
前記改質された天然オイルは、改質前の天然オイル100重量部に対して、架橋剤1〜5重量部を加えて改質させたものであってもよい。
【0077】
具体的には、前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物、樹脂架橋剤、酸化マグネシウムなどの金属酸化物を使用することができる。
【0078】
前記硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄(S)、不溶性硫黄(S)、沈降硫黄(S)、コロイド(colloid)硫黄などの無機架橋剤と、テトラメチルチウラムジスルフィド(tetramethylthiuram disulfide、TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(tetraethylthiuram disulfide、TETD)、ジチオジモルホリン(dithiodimorpholine)などの有機架橋剤を使用することができ、その他に、元素硫黄又は硫黄を作り出す架橋剤、例えば、アミンジスルフィド(amine disulfide)、高分子硫黄などを使用することもできる
【0079】
前記有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシロキサン、又はn−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレートなどを使用することができる。
【0080】
より好ましくは、前記架橋剤としては、硫黄架橋剤を使用することができる。硫黄架橋剤の例としては、元素硫黄又は硫黄を作り出す架橋剤から選択することができ、前記硫黄を作り出す架橋剤としては、アミンジスルフィド(amine disulfide)、高分子硫黄、及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。より好ましくは、本発明の一実施例に従うと、前記架橋剤としては元素硫黄を使用することができる。
【0081】
前記架橋剤は、前記改質前の天然オイル100重量部に対して、1〜5重量部で含まれるのが最も好ましい。
【0082】
前記架橋剤が1重量部未満であると、分子量があまり増加しないので改善の効果がなく、5重量部を超過すると、分子量が増加しすぎて前記混合物の分散度が低下してしまう問題がある。
【0083】
前記混合物は、加硫促進剤をさらに含むことができる。前記加硫促進剤は、加硫速度を促進したり、初期加硫段階で、遅延作用を促進したりする促進剤(accelerator)を意味する。前記加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0084】
前記スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのスルフェンアミド系化合物を使用することができる。
【0085】
前記チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールの銅塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのチアゾール系化合物を使用することができる。
【0086】
前記チウラム系加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのチウラム系化合物を使用することができる。
【0087】
前記チオウレア系加硫促進剤としては、例えば、チアカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのチオウレア系化合物を使用することができる。
【0088】
前記グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのグアニジン系化合物を使用することができる。
【0089】
前記ジチオカルバミン酸系加硫促進剤としては、例えば、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシルイソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、オクタデシルイソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZBEC)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのジチオカルバミン酸系化合物を使用することができる。
【0090】
前記アルデヒド−アミン系又はアルデヒド−アンモニア系加硫促進剤としては、例えば、アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアルデヒド−アミン系又はアルデヒド−アンモニア系化合物を使用することができる。
【0091】
前記イミダゾリン系加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物を使用することができ、前記キサンテート系加硫促進剤としては、例えば、ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテート系化合物を使用することができる。
【0092】
より好ましくは、前記加硫促進剤は、アミン(amine)、二硫化物、グアニジン(guanidine)、チオ(thio)尿素、チアゾール(thiazole)、チウラム(thiuram)、スルフェンアミド(sulfene amide)、及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか一つの化合物を前記原料ゴム100重量部に対して、1.0〜2.5重量部で含むものが、加硫速度促進による生産性の向上及びゴム物性の向上を最大化する上で好ましいといえる。
【0093】
前記加硫促進助剤は、前記加硫促進剤と併用してその促進効果を完全にするために用いられる配合剤であって、無機系加硫促進助剤、有機系加硫促進助剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0094】
前記無機系加硫促進助剤としては、酸化亜鉛(ZnO)、炭酸亜鉛(zinc carbonate)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化鉛(lead oxide)、水酸化カリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。前記有機系加硫促進助剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸、リノール酸、オレイン酸、ラウリン酸、ジブチルアンモニウム−オレート(dibutyl ammonium oleate)、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0095】
特に、前記加硫促進助剤としては、前記酸化亜鉛と前記ステアリン酸を同時に使用することができ、この場合、前記酸化亜鉛が前記ステアリン酸に溶けて前記加硫促進剤と有効な複合体(complex)を形成して、加硫反応中、有利な硫黄を作り出すことによって、ゴムの架橋反応を容易にすることができる。前記酸化亜鉛とステアリン酸を同時に使用する場合、適切な加硫促進助剤としての役割を果たすために、それぞれ前記原料ゴム100重量部に対して、1〜10重量部で使用するのが好ましいといえる。
【0096】
また、前記改質された天然オイルは、改質前の天然オイルにUV光硬化開始剤を添加し、波長200〜400nmのUVランプを1〜20分間照射するUV硬化法を用いて改質させたものであってもよい。前記光硬化開始剤としては、ホスフィンオキシド系(phosphine oxide)を使用することができる。
【0097】
また、前記改質された天然オイルは、改質前の天然オイルに熱硬化開始剤を添加し、100〜200℃で1〜60分間加熱する熱硬化法を用いて改質させたものであってもよい。前記熱硬化開始剤は、芳香族性オニウム塩(aromatic onium salt)であってもよく、具体的には、ベンジルピラジニウムヘキサフルオロアンチモネート(benzylpyrazinium hexafluorantimonate,BPH)を使用することができる。
【0098】
前記光硬化開始剤又は前記熱硬化開始剤は、改質前の天然オイル100重量部に対して、0.5〜5重量部で添加するものであってもよい。
【0100】
4)その他の添加剤
また、前記した成分の他に、本発明に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、選択的に老化防止剤及び粘着剤などの添加剤を1種単独又は2種以上混合してさらに含むことができる。
【0101】
前記老化防止剤は、酸素によってタイヤが自動酸化される連鎖反応を停止させるために用いられる添加剤だ。老化防止剤は、老化防止作用の他にも、ゴムに対する溶解度が大きくなければならず、揮発性が少なく、ゴムに対して不活性なものでなければならず、加硫を阻害してはならない。前記老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、キノリン系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩、ワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを適切に選択して使用することができる。
【0102】
前記アミン系老化防止剤としては、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジアリル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−オクチル−p−フェニレンジアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0103】
前記フェノール系老化防止剤としては、フェノール系である2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0104】
前記キノリン系老化防止剤としては、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン及びその誘導体を使用することができ、具体的には、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−アニリノ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−ドデシル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0105】
前記ワックスとしては、好ましくは、ワックス質炭化水素を使用することができる。
【0106】
好ましくは、前記老化防止剤は、N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−フェニル−n−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(3PPD)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(RD)、及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか一つの化合物を前記原料ゴム100重量部に対して、1〜5重量部で含むものが老化防止作用及びゴム溶解度の側面で好ましい。
【0108】
前記粘着剤は、ゴムとゴムの間の接着(tack)性能をさらに向上させ、充填剤といったその他の添加剤の混合性、分散性及び加工性を改善させ、ゴムの物性向上に寄与する。
【0109】
前記粘着剤としては、ロジン(rosin)系樹脂又はテルペン(terpene)系樹脂といった天然樹脂系粘着剤と、石油樹脂、コールタール(coal tar)又はアルキルフェノール系樹脂などの合成樹脂系粘着剤を使用することができる。
【0110】
前記ロジン系樹脂は、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水素添加ロジンエステル樹脂、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。前記テルペン系樹脂は、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0111】
前記石油樹脂は、脂肪族系樹脂、酸改質脂肪族系樹脂、脂環族系樹脂、水素添加脂環族系樹脂、芳香族系(C9)樹脂、水素添加芳香族系樹脂、C5−C9共重合樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0112】
前記コールタールは、クマロンインデン樹脂(coumarone−indene resin)であってもよい。
【0113】
前記アルキルフェノール樹脂は、p−tert−アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂であってもよく、前記p−tert−アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂は、p−tert−ブチル−フェノールホルムアルデヒド樹脂、p−tert−オクチル−フェノールホルムアルデヒド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0114】
前記粘着剤は、前記原料ゴム100重量部に対して、0.5〜10重量部で含まれてもよい。前記粘着剤の含量が、前記原料ゴム100重量部に対して、0.5重量部未満であると、接着性能が低下し、10重量部を超過する場合、ゴム物性が低下してしまうおそれがあるので、好ましくない。
【0116】
本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法を提供することができる。具体的には、前記タイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法は、天然オイルを改質させる段階と、原料ゴム100重量部、補強性充填剤60〜130重量部、及び前記改質された天然オイル10〜60重量部を配合する段階、とを含む。
【0117】
前記配合する段階は、110〜190℃に達する最大温度、好ましくは、130〜180℃の高温で熱機械的処理又は混錬させる第1段階と、架橋結合システムが混合されるフィニッシング段階の間、典型的に110℃未満、例えば、40〜100℃の低温で機械的処理する第2段階とを含む二段階の連続した工程によって製造することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0118】
前記天然オイルを改質させる段階は、改質前の天然オイル100重量部に対して、架橋剤1〜5重量部を加えて改質させたものであってもよく、前記架橋剤に関する説明は前記説明したのと同じである。
【0119】
前記天然オイルを改質させる段階は、改質前の天然オイルにUV光開始剤を添加し、波長200〜400nmのUVを1〜20分間照射するUV硬化法を用いて改質させるものであってもよく、または改質前の天然オイルに熱硬化開始剤を添加し、100〜200℃で1〜60分間加熱する熱硬化法を用いて改質させるものであってもよい。
【0120】
前記のような方法によって製造されるタイヤトレッド用ゴム組成物は、補強性充填剤として、シリカとともに、前記シリカの分散性改善効果を考慮して最適化された物性的特性を持つ粒子状のカーボンブラックと粒子状のシランカップリング剤を含有する複合材を含むことによって、燃費性能を維持しながらも、耐摩耗及び耐カットチップ性能を向上させ、また、着色度をはじめタイヤの外観特性を改善させることができる。これによって、前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、トレッド(トレッドキャップ及びトレッドベース)に限定されず、タイヤを構成する様々なゴム構成要素に含まれてもよい。前記ゴム構成要素としては、サイドウォール、サイドウォール挿入物、エーペックス(apex)、チェーファー(chafer)、ワイヤーコート又はインナーライナーなどが挙げられる。
【0121】
本発明の他の好ましい一実施例によると、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いて製造したタイヤを提供することができる。
【0122】
前記タイヤは、前記したタイヤトレッド用ゴム組成物から製造されて、優れた低燃費性能とともに改善された耐摩耗及び耐カットチップ性能を示し、また向上した外観特性を示す。
【0123】
前記タイヤを製造する方法は、前記したタイヤトレッド用ゴム組成物を用いることを除いては、通常のタイヤの製造に用いられる方法であればいかなるものでも適用可能であるので、その詳細についての説明は本明細書では省略する。ただし、前記タイヤは、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いて製造したタイヤトレッドを含むものであってもよい。
【0124】
前記タイヤは、乗用車用タイヤ、競走用タイヤ、飛行機タイヤ、農機械用タイヤ、オフロード(off−the−road)タイヤ、トラックタイヤ又はバスタイヤなどであってもよい。また、前記タイヤは、ラジアル(radial)タイヤ又はバイアス(bias)タイヤであってもよく、ラジアルタイヤであるのが好ましい。
【0126】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、具体的な実施例を挙げて、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを有するタイヤについて詳細に説明する。しかし、本発明は、種々の異なる形態で具現可能であり、以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するための例示に過ぎず、本発明の技術的思想が下記の実施例によって制限されるものではない。
【0128】
通常の方法で製造された大豆油に、硫黄及び促進剤をさらに混合し、攪拌して大豆油を改質した。
【0129】
前記大豆油、硫黄及び促進剤の含量を下記表1に示した通り、大豆油100重量部に対して、硫黄を1〜5重量部に変更し、改質された天然オイルを製造し、分子量の分布を確認して示した。
【0131】
−CBS:促進剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(N−Cyclohexyl benzothiazole sulfenamid)
【0132】
−ZBEC:促進剤、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛塩(Zinc dibenzyl dithio carbamate)
【0133】
前記表1を見ると、改質前の大豆油は、重量平均分子量が1,342g/molである一種の脂肪酸からなり、改質後は分子量が2,000g/mol以上である脂肪酸の含量が増えたことを確認することができた。
【0134】
具体的には、大豆油100重量部に対して、硫黄を1重量部で添加した、改質された天然オイル1は、重量平均分子量が1,342g/molである脂肪酸88重量%及び重量平均分子量が3,133g/molである脂肪酸12重量%を含み、硫黄を3重量部で添加した、改質された天然オイル2は、重量平均分子量が1,342g/molである脂肪酸72重量%、重量平均分子量が2,884g/molである脂肪酸18重量%及び重量平均分子量が5,413g/molである脂肪酸10重量%を含み、硫黄を5重量部で添加した、改質された天然オイル3は、重量平均分子量が1,342g/molである脂肪酸59重量%、重量平均分子量が2,898g/molである脂肪酸21重量%及び重量平均分子量が6,400g/molである脂肪酸20重量%を含むことを確認した。
【0137】
下記表2のような組成を用いて、下記の実施例及び比較例に従うタイヤトレッド用ゴム組成物を製造した。前記ゴム組成物の製造は、通常のゴム組成物の製造方法に従った。
【0139】
−原料ゴム:天然ゴム10重量%、スチレンブタジエンゴム60重量%、ネオジムブタジエンゴム30重量%
【0140】
−補強性充填剤:Silica 7000GR Grade
【0142】
−主促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(N−Cyclohexyl benzothiazole sulfenamid, CBS)
【0143】
−補助促進剤:ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛塩(Zinc dibenzyl dithio carbamate, ZBEC)
【0145】
[実験例:製造されたゴム組成物の物性測定]
【0146】
前記実施例及び比較例で製造したゴム試験片に対して物性を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0148】
−ムーニー粘度(ML1+4,125℃)は、Mooney MV2000(Alpha Technology)機器を用いて、Large Rotor、予熱1分、ローターの作動時間4分、温度125℃で求めた。ムーニー粘度は、未加硫ゴムの粘度を示す値であって、数値が低いほど、未加硫ゴムの加工性が優れることを示す。
【0149】
−スコーチ安定性(t5):ムーニー(Mooney)MV2000(Alpha Technology)機器を用いて、ラージローター(Large Rotor)、予熱1分、ローターの作動時間4分、温度138℃で測定した。スコーチタイムは、ムーニー最小値から5ポイント上昇するまでにかかる時間を測定したもので、時間が長いほど、スコーチ安定性が向上したことを示す。
【0150】
Tmaxは、最小値から5ポイント上昇するまでにかかる最大時間、Tminは、最小値から5ポイント上昇するまでにかかる最低時間、t50は、50ポイント上昇するまでにかかる時間、t90は、90ポイント上昇するまでにかかる時間を示したものだ。
【0151】
−s−s(Hardness)は硬度を示すもので、DIN53505によって測定した。硬度は操縦安定性を示すもので、数値が高いほど、操縦安定性が優れることを示す。
【0152】
−モジュラスは、それぞれ10%、100%、300%伸張時の引張強度をISO37規格によって測定し、数値が高いほど、強度が優れることを示す。
【0153】
−粘弾性物性は、DMTS(Dynamic Material Testing System)試験機を用いて、10Hz、static strain5%、dynamic strain0.5%の条件で、−60℃から80℃までtemperature sweepしながら測定した。このとき、0℃tanδの値が高いほど、ウェット路面での制動性能が優れ、60℃tanδの値が低いほど、低い転がり抵抗性能を有する。
【0154】
−Tg(ガラス転移温度):雪道や氷道での走行のためのウィンタータイヤの条件の一つとして考慮され、ガラス転移温度が低いほど、冬季の低い温度においても路面との接地力を保つことができる。
【0155】
−耐摩耗Indexは、LAT-100 (Laboratory Abrasion Tester-100)摩耗試験機を用いて、比較例2を基準として指数化して表示した。耐摩耗Indexは、高いほど、耐摩耗性能が優れることを示す。
【0157】
上記のように、従来の合成オイルや改質しない天然オイルの代わりに、改質された天然オイルを使用する実施例の場合、ウェット路面での制動性能の犠牲は最小限に抑制されて転がり抵抗及び耐摩耗性能が向上した結果を示し、長時間及び長距離の自動車走行に影響を及ぼす耐老化特性にも優れることを確認した。
【0159】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、後述する特許請求の範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属する。