(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の複数のワイヤは0.00127〜0.005715cm(0.0005〜0.00225インチ)の範囲の直径を有し、前記第二の複数のワイヤは、0.005715〜0.02032cm(0.00225〜0.008インチ)の範囲の直径を有する、請求項2記載の塞栓防止装置。
前記基端部が熱処理されて、前記メッシュフィルタが前記第一の半径の前記拡張された円錐形状に拡張されたときに、前記円錐形状の前記残りの先端部よりも圧縮された形態に形成されている、請求項6記載の塞栓防止装置。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の具体的な実施形態について添付図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、多様な形態で具現化することができ、本明細書中に記載される実施形態に制限されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、当業者に十分に本発明の範囲を伝えるように提供される。添付図面に示された実施形態の詳細な説明において使用される用語は、本発明を制限することを意図していない。図面中において、同様の符号は、同様の要素を指す。
【0040】
血栓、塞栓、塞栓粒子なる用語および同様の用語は、本明細書を通して使用される。特別に言及しない限り、これらの用語は、区別なく使用され、一般に、人体の血管内に位置するか位置させられる、不要、不適当または別の危険な粒子をも指す。
【0041】
本明細書および図面は、異なる要素および構成をそれぞれ備えるいくつかの異なる実施形態を含んでいる。これらの特定の実施形態について説明するが、要素および/または構成のいずれかを、提示された他の実施形態のいずれかと組み合わせ得ることは理解されるべきである。
【0042】
塞栓防止装置は、血栓の除去操作の際に遊離した血栓を捕捉するのに使用される。一例において、塞栓防止装置は、標的部位の先端に配置される。バルーンおよび/またはステントは、詰まった血管を拡張するのに使用され、塞栓防止装置は、如何なる遊離した血栓をも捕捉して、下流に移動するのを阻止する。
【0043】
図1〜3は、塞栓粒子を捕捉するための拡張形態と、
図4〜6に示すように、搬送機構30(すなわちマイクロカテーテル)を通して搬送される際にとる収縮形態とをそれぞれ有する塞栓防止装置の種々の実施形態を示す。これらの各実施形態において、塞栓防止装置10、11および13は、搬送ワイヤ12の外側に位置し、血栓を捕捉するのに使用されるフィルタ20を備えている。好ましくは、フィルタ20は、1本以上のワイヤ(例えばニチノール、ステンレス鋼、コバルトクロムおよび/またはポリマー材料で構成されるワイヤ)で作製された編組またはメッシュである。放射線不透過材料(すなわちタンタルまたはプラチナ)は、メッシュの構成ワイヤに使用してもよい。このメッシュまたは編組フィルタ20は、単一のメッシュ/編組層、または、複数層(例えば高空孔率層および低空孔率層)から作製することができる。他の実施形態において、フィルタは、単一の頑丈な材料(例えばレーザ切断チューブ)で作製される。
【0044】
各装置10、11および13は、操作の際にフィルタ20を拡張および収縮させるのを補助するために、フィルタ20の種々の位置に接続された1本以上のストラット22を備えている。ストラット22は、搬送機構30に接近または最接近するように方向付けられているので、各装置10、11および13を搬送機構30内に後退させると、フィルタ20を閉じるように作用する。
【0045】
ストラット22およびフィルタ20のそれぞれは、固定接続部14および摺動接続部16によって搬送ワイヤ12の外側で拡張することができる。ストラット22は、搬送ワイヤ12に対して固定された固定接続部14に接続されている。摺動接続部16は、フィルタ20の先端部に接続され、装置が拡張および収縮する際に、搬送ワイヤ12に対してスライドすることができる。
【0046】
フィルタ20は、血管の基端側の部分から散逸する血栓を捕捉するように機能する実質的な円錐形状をなしている。したがって、フィルタ20の開口(拡大)部は、摺動接続部16に接続されたフィルタの部分より基端側にあり、ストラット22は、フィルタ20より基端側にある。
【0047】
装置10、11および13は、装置を拡張位置へ補助または付勢し得る圧縮部材18も備えている。
図1に示す装置10に関して、圧縮部材18は、搬送ワイヤ12の外側に設けられ、いずれもフィルタ20の先端側に位置する摺動接続部16および固定接続部15に接続されている。圧縮部材18としては、金属またはプラスチック製のスプリング状部材、頑丈な弾性ポリマー部材、弾性材料、または、同様の性質/機能を有する材料が挙げられる。
【0048】
図4は、搬送機構30(すなわちマイクロカテーテル)内に位置する際の塞栓防止装置10の圧縮形態を示す。フィルタ20が搬送機構30内に配置される際に収縮すると、フィルタ20およびストラット22は、力を摺動接続部16に付与する。摺動接続部16が固定接続部15に向かって先端側に移動すると、結果として圧縮部材18の短縮が生じる。塞栓防止装置10が搬送機構30から放出されると、圧縮部材18は、短縮形態から伸長形態に変形して、フィルタ20およびストラット22を基端側に押圧することにより開放または拡張形態とする。フィルタ20および/またはストラット22は、拡張形態に付勢または「熱処理(heat―set)」された形状記憶材料で構成されているので、これらの要素は、搬送機構30から前進させた後にさらに拡張力を付与する。また、固定接続部15は、圧縮部材18を固定して、フィルタ20の過拡張に対する後方停止部(backstop)を形成するのを支援する。
【0049】
図2の装置11に関して、圧縮部材18は、摺動接続部16と固定接続部14との間の領域に及んでいる。
図5は、搬送機構30(すなわちマイクロカテーテル)内に位置する際の
図2の塞栓防止装置11の形態を示す。フィルタ20が搬送機構11内に配置される際に収縮すると、フィルタ20および圧縮部材18は、摺動接続部16に力を付与することにより、摺動接続部16を先端方向にスライドさせて圧縮部材を伸張させる。装置11が搬送機構30から取り外されると、圧縮部材18は、接続部14および16の間に非拘束の引張力を付与することにより、フィルタ20を拡張させ、その拡張形状を保持する。再度になるが、フィルタ20および/またはストラット22は、拡張形態に付勢または「熱処理」された形状記憶材料で構成されているので、これらの要素は、搬送機構30から前進させた後にさらに拡張力を付与する。
【0050】
図3の装置13に関して、圧縮部材18は、摺動接続部16と先端固定接続部15(先端固定接続部15は、固定接続部14より先端側にある)との間に接続されている。
図1に示す装置10の実施形態と比較して、圧縮部材18は、フィルタ20の内側に位置している。
図2に示す装置11の実施形態と比較して、圧縮部材18は、摺動接続部16と固定接続部14との間に部分的に延在するのみである。
【0051】
図6は、
図3の塞栓防止装置13の圧縮形態を示す。装置13が搬送機構30から取り出されると、圧縮部材18が短縮することにより。摺動接続部16を固定接続部15に向かって基端側に引っ張る。再度になるが、フィルタ20および/またはストラット22は、拡張形態に付勢または「熱処理」された形状記憶材料で構成されているので、これらの要素は、搬送機構30から前進させた後にさらに拡張力を付与する。
【0052】
図7は、
図1の先端固定接続部15の構成の一実施形態を示す。本実施形態において、先端固定接続部15は、搬送ワイヤ12と圧縮部材18との間にテーパ形状を有している。塞栓防止装置10を血管系を通して誘導する際に、血管損傷を低減するのを支援するために、固定接続部15は、好ましくは滑らかな輪郭を有し、鋭い縁部を有していない。装置の輪郭は、搬送機構30の先端部に動作可能に結合するようなものである。
図7において、先端固定接続部15は、搬送機構30の丁度先端に位置し、搬送機構30の先端開口に結合している。
【0053】
図7の先端固定接続部として記載された形状は、
図2および3の装置11および13のそれぞれの摺動接続部16で使用することができる。このようにして、最先端接続部は、装置が搬送機構30内に位置する際に、装置の残りの部分に対する「シール材」として効果的に機能する。
【0054】
図8に示す一実施形態において、装置15は、外側から内側に反転されることにより、広がった外側層および狭まった内側層を形成しているフィルタ21を備えている。フィルタ21は、単一層を内側に向かって引っ張ることにより、第2下部層を形成する。一実施形態において、細径チューブを、フィルタ20を形成するメッシュまたは編組の内側に配置する。その後、フィルタの細径領域を形成するために、メッシュまたは編組の一部を、この細径チューブを通して引っ張る。フィルタ20をこの最終形状に熱固定(heat seat)することができ、フィルタの自由端部を共通要素(すなわち摺動接続部16)内に挿入してもよく、あるいは、双方の技術を使用することができる。これに代えて、フィルタ21は、メッシュまたは編組の外径の外側に太径チューブを配置した後、チューブの外側にメッシュまたは編組をゆるく引っ張ることにより、太径の広がった領域を形成することで作製される。
【0055】
図9に示す他の実施形態において、装置17のフィルタ23は、内側から外側に反転されることにより、内側層および外側層を形成している。フィルタ23は、引っ張られ、かつ、自身を覆うように外方に折り畳まれることにより、外側の第2層を形成している。外側層は、
図9に示す長尺の輪郭を得るために、ピンと引っ張られるか、
図8に示すものと同様の輪郭を得るために、たるみを残すことができる。一実施形態において、太径チューブを、フィルタを形成するメッシュまたは編組の外側に配置する。メッシュまたは編組の一部を、チューブの外径の外側かつ周囲に移動させることにより、第2重複領域を作製する。フィルタをこの最終形状に熱固定することができ、フィルタの自由端部を共通要素(すなわち摺動接続部16)内に挿入してもよく、双方の技術を使用することができる。これに代えて、フィルタ23は、メッシュまたは編組の内側に細径チューブを配置した後、チューブの内側にメッシュまたは編組をピンと引っ張ることにより、下部領域を形成することで作製することができる。
【0056】
前述したように、本明細書中で記載されるいくつかの実施形態は、フィルタ20に接続され、これを支援する多数のストラット22を備えている。ストラット22は、制御された規制力を付与することにより、フィルタ20の拡張を制御するのを支援することができる。いくつかの実施形態において、ストラット22は固定接続部14に接続されているので、フィルタ20を搬送機構30内に再挿入する際に、それらはフィルタ20が収縮するのを支援する。再挿入の際に、ストラット22は、摺動接続部16および圧縮部材18の作用と共同して、フィルタ20に対する規制力を付与する。したがって、ストラット22は、フィルタ20の拡張を制御するのを支援するとともに、搬送機構30への挿入の際にフィルタ20の収縮を補助する。
【0057】
ストラット22は、多数の形態で構成することができる。一例において、金属製ストラット22は、
図9に示す二重層フィルタ23とともに使用することができる。一例において、ストラット22は、内側または外側に反転された(inverted or everted)メッシュの双方の層に接続されることにより、接続のためのより強力な固定点を提供する。ストラット22は、フィルタ23に接続する接続部材24(例えばフック形状またはループ)を有してもよい。接続部材24は、フィルタ23に接続する形状を形成するために熱処理されてもよく、フィルタ23に接合するために直接処理されてもよい。一例において、接続部材24は、ストラット22の端部を取り囲み、フィルタ23の孔を貫通するループを形成するコイルである。このコイルは、ストラット22をフィルタ23に固定するのを支援し、フィルタを押圧するために、より柔軟かつより高い表面積を有する表面を提供する。ニチノール、ステンレス鋼、ポリマー、放射線不透過材料(すなわちタンタル、プラチナまたはパラジウム)、および、それらの組み合わせを含む多くの材料をストラット22に使用することができる。
【0058】
図11に示す他の例示的な実施形態において、各ストラット22は、フィルタ23の孔を貫通して延在し、それ自身に戻るように接続されることにより、端部ループを形成している単一のワイヤである。ワイヤの端部は、それ自身にカシメスリーブ等の接続要素を介して固定したり、あるいは、接着、溶接、同様の技術を用いて互いに接合することができる。
【0059】
図12に示す他の例において、1本以上のストラット22は、フィルタ20の対応する湾曲領域に結合する湾曲領域26を有している。この湾曲領域26は、単一のストラット22から、あるいは、2本のストラット22の間で延在することができ、さらにフィルタ20の対応する湾曲領域に固定するために、溶接または熱処理することができる。このデザインにより、搬送機構30内に引き込む際に生じる力を、フィルタ20の広い領域に伝えることができる。
【0060】
図13に示す他の例において、ストラット22は、一端部にチューブ状端部を、他端部に複数の指部を有するチューブ(例えばレーザ切断ニチノールチューブ)で構成されている。これらの指部はストラット22として機能し、フィルタ22の縁部に接続される。この例において、指部と反対側のチューブ状領域は、搬送ワイヤ12にカシメまたは固定されることにより、固定接続部として機能してもよい。
【0061】
図14は、装置9の基端部に摺動接続部34を、装置9の先端部に第2摺動接続部32を備える塞栓防止装置9の他の実施形態を示す。停止部28は、装置9の基端および先端への移動を制限する2つの停止部32および34の間に位置している。すなわち、装置の先端への移動は、停止部28の基端摺動部34との相互作用により制限され(
図15参照)、装置の基端への移動は、停止部28の先端摺動部32との相互作用により制限される(
図16参照)。摺動接続部32、34は、搬送ワイヤ12の外周に設置または保持されているが、ワイヤとの最小摩擦を生じることにより接続部32、34が容易にスライドするのを許容する。
【0062】
図17〜18は、塞栓防止装置10(または本明細書中に記載されるいずれかの装置)を搬送するために使用される急速交換カテーテル31の一実施形態を示す。カテーテル31は、挿入時に血管系内の特定の標的部位にカテーテル31を誘導(track or direct)するのに使用されるガイドワイヤ40用のアクセスポートとして使用される先端ポート36を有している。基端ポート38は、塞栓防止装置10用のアクセスポートとして使用されることにより、ガイドワイヤ40によって誘導された目的の標的位置に装置10を到達させることができる。
【0063】
一例において、ガイドワイヤ40および搬送ワイヤ12の双方の直径を約0.014インチとすることができる。より細径またはより太径の様々の直径を使用することもでき、この数値は一例として提供されるのみである。
【0064】
本発明の他の態様において、
図20〜24に示すように、1つ以上の基端接続部44および/または先端接続部42は回転可能である。好ましくは、先端接続部42が回転可能であることにより、フィルタ20を拡張および後退させる際に、血管系内でフィルタ20を回転させることができる。これにより、装置10を患者の血管に好適に順応させ、装置10に好ましくない機能を生じさせる如何なる不要なストレスをも低減することができる。
【0065】
図20は、移動および回転しないように、搬送ワイヤ12に固定された2つの拡大部46Aを有する回転接続部42Aの一実施形態を示す。外側回転部材42Aは、ワイヤ12の直ぐ外側に取り付けられることにより、ワイヤ12を保持し、拡大部46Aは領域42Aの移動を阻止する。したがって、外側回転部材42A(および、これに取り付けられたもの)は、その場で回転することができる。
【0066】
図21は、接続部42Bの他の実施形態を示すが、外側回転部材43が固定拡大部材46Bを収容する凹部を有している。前述の接続部42Aと同様に、固定拡大部材46Bは、ワイヤ12に固定されることにより、移動および回転が阻止されている。また、部材46Bは、外側回転部材43の縮径部を通過できないように、十分に大きくサイズが設定されている。したがって、外側回転部材43は、メンバー46Bを効果的に保持するが、その場で回転することができる。
【0067】
図22は、接続部42Aに実質的に類似する接続部42Cの他の実施形態を示すが、固定拡大部材46Bの1つがテーパ状の領域を有し、他方の外側回転部材45が逆テーパ状の領域を有している。同様に、
図23は、接続部42Eの他の実施形態を示すが、外側回転部材47の両端部が2つの固定拡大部材46Cと逆のテーパ状の領域を有している。最後に、
図24は、接続部42Bに実質的に類似する接続部42Eの更なる他の実施形態を示すが、外側回転部材49が逆テーパ状の固定拡大部材46Eを保持するテーパ状の凹部領域を有している。
【0068】
上記接続部は、ニチノール、ステンレス鋼、コバルトクロム、ポリマー、放射線不透過材料(すなわちプラチナまたはタンタル)、または、それらの様々の組み合わせを含む種々の材料で構成することができる。前述したように、これらの回転接続部は、本明細書中で記載された実施形態のいずれかで使用することができる。さらに、拡大部材46A〜46Eをズラす(または凹部に対してサイズを小さくする)ことにより、回転に加えて、若干の移動の自由を許容してもよい。
【0069】
図25は、前述した実施形態に実質的に類似する塞栓防止装置50の他の実施形態を示すが、装置50が基端固定接続部58および先端摺動接続部60を有する拡張可能な円錐形状のフィルタ64を備えている。前記実施形態と異なり、フィルタ64は、双方の接続部58および60が位置し、搬送ワイヤ12およびガイドワイヤ40の双方の通過を許容するチューブ56(例えばポリイミドチューブ)の外側に設けられている。この点において、装置50は、「モノレール」または急速交換型フィルタとして機能する。一例において、搬送ワイヤ12は、チューブ56の全部または一部の内側に位置し(チューブ56は搬送ワイヤの外側に設けられている)、他の例において、搬送ワイヤ12は、チューブ56の基端部で終端している。
【0070】
図25〜27で最も明らかなように、フィルタ64は、好ましくは複数の太径ワイヤ54とともに編まれた複数の細径ワイヤ52で構成されている。例えば、細径ワイヤ52は、約0.0005〜0.00225インチの範囲の直径を有し、太径ワイヤ54は、約0.00225〜0.008インチの範囲の直径を有することができる。さらに、約4〜16本の太径ワイヤ54を使用することができ、約72〜288本の細径ワイヤ52を使用することができる。また、以下でさらに詳述するように、太径ワイヤ54は、装置50の基端部でストラットを形成することができる。代替の実施形態において、太径ワイヤ54は、ワイヤ52と同一または同様の直径を有してもよいが、より強いまたはより堅い材料(例えばコバルトクロムワイヤ54およびニチノールワイヤ52)で構成される。
【0071】
図25および26で最も明らかなように、拡張形態において、フィルタ64は、低多孔率の端部64A(すなわち開放端部近傍の領域)を有する実質的な円錐形状を有している。装置50が操作の際に粒子を捕捉し、使用者がフィルタ64を後退させ始めた後、この端部64Aは、伸長するとともに直径が減少して、基端太径ワイヤ54の実質的な形状に追従する。この端部64Aが少なくとも部分的に伸長した状態を、
図26に見ることができる。この点において、フィルタ64は、フィルタ64の残りの先端部の直径が実質的に減少する前に、フィルタ64内に捕捉された粒子の基端部の周囲を締め付け、あるいは、閉じる。換言すれば、まず、フィルタ64の基端部が少なくとも部分的に閉じることにより、フィルタ64の先端部が患者の血管内に粒子を押し出すのを防止する。端部64Aは、この領域を残りの部分より圧縮された形態で熱処理することにより作製したり、あるいは、変化するかまたは異なる波型パターンで形成することができる。これに代えて、端部64Aは、図示の減径した輪郭よりも、むしろ実質的に一定径の輪郭を有してもよい。
【0072】
図28〜31は、装置50を作製するのに使用可能な様々の例示的な工程を示す。まず、
図29を参照して、チューブ状のステント様構造63は、前述したワイヤ52および54を用いて編むか、あるいは、編組することができる。中央領域64A(得られるフィルタ64において端部64Aとも言う)は、好ましくはチューブ63の残りの部分より圧縮された形態で熱処理される。
【0073】
図30を参照して、チューブ63の基端部は、固定接続部材58によってチューブ56にカシメられ、チューブ63の基端部は、摺動接続部60によってチューブ56に接続される。この配置により、2つの円錐状端部64Bを有するメッシュ構造が作製される。
【0074】
図31を参照して、その後、太径ワイヤ54のみが装置50の基端部に残るように、細径ワイヤ52のみが削減される。一例において、ワイヤ52は、端部64Aの丁度基端から固定接続部58まで削減される。好ましくは、
図28で明らかなように、フィルタ64の開口の周囲のワイヤ52の自由端部は、外傷または擦傷傾向を低減するために電解研磨される。最後に、第2先端可撓性チューブ62(
図25参照)がチューブ56の端部に固定され、これにより、非外傷性の先端を備える装置50が提供される。可撓性チューブ62は、ポリマー(すなわちPTFE)製または金属製とすることができ、一定または変化する堅さのプロファイルを有することができる。変化する堅さのプロファイルは、チューブの長さに沿って段階的な堅さを有するようにするのに有益であり、最先端部(血管に接触するであろう)がより柔軟になる。この変化する堅さのプロファイルは、異なる材料プロファイルを有するチューブの長さに沿って、様々のポリマーまたは金属を使用することにより達成することができる。一例において、レーザ切断螺旋パターンは、金属製またはポリマー製のチューブで利用される。コイルを覆うようにポリマーを熱処理すること(すなわち熱収縮チューブ法)により、コイルをチューブの内側に位置させるようにしてもよい。このコイルは、可撓性チューブ部に追加の柔軟性を付与する。可撓性チューブ62は、血管系を通して誘導可能にするために、ガイドワイヤが挿通される管腔を有している。
【0075】
必要に応じて、
図27で明らかなように、1つ以上の放射線不透過性マーカー53を、フィルタ64上の様々な位置に固定することができる。例えば、マーカー53を、端部64A近傍の位置またはフィルタ64の自由端部(すなわちワイヤ52の電解研磨した自由端部近傍)において、太径ワイヤ54に固定することができる。
【0076】
図32は、前述した実施形態に実質的に類似する塞栓防止装置70の更なる他の実施形態を示すが、そのフィルタ72が実質的な放物線形状を有している。より真っ直ぐまたは直線状の漸減部に代えて、フィルタ72により丸い先端部72Aを設けることにより、フィルタメッシュの孔径をより一定に保持して、それを通過する先端への血流を改善することができる。
【0077】
図33は、フィルタ76のメッシュのための支援かご78を形成する複数のストラットまたは太径ワイヤを有するフィルタ76の先端図を示す。一般に、かご78は、付加的な支援を与え、さらにフィルタ76の拡張/収縮を補助する。一実施形態において、かご78のワイヤは、ニチノールで構成され、目的とする「開放」または拡張形態に熱処理されている。かご78は、フィルタ76の内側に位置させるか、フィルタメッシュ内に編み込むか、あるいは、フィルタ76の外側に配置および固定することができる。
【0078】
図34および35は、フィルタ84に固定された複数の長尺のストラット82を有する塞栓防止装置80の他の実施形態を示す。ストラット82を、
図34のフットボール/長円形状、または、
図35の部分的に反転された形状のいずれかの形態に熱処理することができ、双方とも圧縮され、かつ、それらの形状に展開することができる。これに代えて、ストラット82を、
図35の拡張され、部分的に反転された形状を有するように熱処理することができるが、
図34の形状で搬送機構30内に装填して、展開後に
図35の形状に自己反転させることができる。これらの実施形態のいずれにおいても、ストラットは、ニチノールチューブをレーザ切断して作製することができ、これにより、血管壁に沿う力を均等に分散するのを支援する「単一」骨格を得ることができる。
【0079】
図36は、実質的に長円形状または楕円形状を有する塞栓防止装置86の他の実施形態を示す。この装置86は、互いに編み込んだ太径ワイヤ88および細径ワイヤ87を有するチューブ状のステント様構造で作製することができる。本明細書中に記載された他の実施形態と同様に、基端部は、固定接続部を介して搬送ワイヤ12にカシメまたは接続することができ、先端部は、摺動接続部を介して搬送ワイヤ12に接続することができる。
【0080】
図25の装置50に関して前述したように、例えば、固定接続部58等の本明細書の装置の最基端部は、搬送ワイヤ12(装置が設けられる)およびガイドワイヤ40の双方を収容することができ、これにより、モノレールまたは急速交換カテーテルとして機能する。いくつかの異なる形態が、ワイヤ12、40を収容し得ることは理解されているべきであり、その例が
図37〜44に示されている。
【0081】
図37〜38は、
図17〜18の変形例に関係する急速交換カテーテルのポートの他の構成を示す。ポートは、2つの部分に分割された1つの大開口を有し、先端側ポート(すなわち96)はガイドワイヤ用として使用され、基端側ポート(すなわち98)は、塞栓防止装置用として使用される。
図37に示すように、ポートの1つ(すなわち先端側ポート90)は貫通しており、これにより、いずれの目的で使用されるポートであるのかを触覚で感知できる基準を提供する。
【0082】
図39〜40は、急速交換機能を有する装置の実施形態における固定接続部または最基端部の様々の例示的な断面構成を示す。
図39において、断面100は、第1通路102および第2通路104を有し、通路の一方にガイドワイヤ40を収容し、他方に搬送ワイヤを収容することができる。
図40は、ガイドワイヤ40用の円形状の第1通路108と、搬送ワイヤ12用の円弧形状の第2通路110とを有する断面106を示す。この例において、通路110内に適合するように、搬送ワイヤ12も実質的に円弧形状である。また、通路110は、好ましくは通路108の比較的近傍に位置し、通路108の直径より若干大きい内側円弧形状を有することにより、装置の全体の直径を低減している。
【0083】
図41〜44を参照して、これらの実施形態は、様々の例示的なポートおよび通路配置を開示している。
図41を参照して、双方が同一の内部通路120Aに連通している第1ポート120Cおよび第2ポート120Bを有する固定接続部120が示されている。したがって、搬送ワイヤ12は、ポート120Cを直接通過し、ガイドワイヤは、ポート40を介して中心軸に対して若干傾斜して通過するとともに、装置を通して同一の通路120Aを共有することができる。
【0084】
図42において、固定接続部122は、単一のポート122Bおよび装置を通して単一の通過122Aのみを有している。したがって、搬送ワイヤ12およびガイドワイヤ40は、ポート122Bおよび通路122Aの双方を共有することができる。
【0085】
ここで、
図43を参照して、接続部124は、ポート124Bで開口する第1通路124Aと、ポート124Dで開口する第2通路124Cとを有している。この点において、ガイドワイヤ40は、それ自身の通路124Aおよびポート124Bを通過することができ、搬送ワイヤ12は、通路124Cおよび通路124D内で操作することができる。
【0086】
最後に、
図44は、
図42に示すものと同様に、単一の通路122Aおよびポート122Bを有する接続部122を示す。しかしながら、搬送ワイヤ12は、さらにポート12Bで基端側、および、装置の先端部近傍で開口するそれ自身の内側ガイドワイヤ通路12bを有している。ポート12Aは、好ましくは通常操作の際に接続部122の基端側にあるように位置している。この点において、ガイドワイヤ40は、装置内(例えば非外傷性の端部を通して)かつワイヤ12の先端部内、その通路12B内、最終的にそのポート12A外に通過することができる。好ましくは、通路12Bおよびポート12Aは、ガイドワイヤ40を収容するようにサイズが設定されている。これに代えて、接続部自身は、ガイドワイヤを挿入可能な搬送ワイヤのポートに連通する、
図43のポート124B等のポートを有してもよい。
【0087】
基端接続部58および先端接続部60は、以前に記載された固定基端例および先端移動可能例とは異なる構成を有してもよい。例えば、基端接続部58は、若干の移動可能性(基端接続部の基端に設けられた1つ以上の停止部を介して)、および/または、チューブ56に完全に固定されていない接続部を介しての若干の回転可能性を有してもよい。先端接続部60は、接続部の基端に位置する1つ以上の停止部を設けることにより、より制限された移動可能性、および/または、チューブ56に完全に固定されていない接続部を介しての若干の回転可能性を有してもよい。
【0088】
マイクロカテーテル等の搬送機構の他の態様は、搬送機構の先端部が開放または拡張するのを許容することにより、本明細書の様々の塞栓防止装置の緩やかな挿入および後退を容易にするために、若干テーパ付けされた先端部を形成している。
図45および46に示す一例において、搬送機構130の切欠きまたはスリット136は、塞栓防止装置を挿入する直前に形成することができる。搬送機構130の壁部を切断または引き裂くように工夫された開放機構134は、機構130の最先端部またはその近傍に位置している。ワイヤ132は、開放機構134に接続され、機構130の基端部まで延在することで、医師が開放機構134を引っ張ることにより切欠きを形成することができる。一実施形態において、ワイヤ132は、搬送機構130それ自身の通路内に位置する。他の実施形態において、切欠きの形成を補助するために、穿孔が搬送機構130の壁部に沿って設けられる。他の実施形態において、搬送機構130の先端部は、切欠き136を形成した後に外方へ拡張させるように付勢する「C」形状の金属要素を備える。
【0089】
本発明を特定の実施形態および用途について説明したが、この教示を考慮して、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された発明の主旨からかけ離れず、かつ、その範囲を越えることなく、追加の実施形態および修正を創作することができる。したがって、図面および本明細書中の説明が、本発明の理解を容易にするために一例として提供され、その範囲を制限するものと解釈すべきでないことは理解される。