(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トルクがシャフトからドラムに伝達され、軸線方向力が付勢機構に打ち勝つドラムに加えられると、ドラムがマルチパートピンに乗ることによってシャフトに沿って移動するように構成される、請求項1に記載の装置。
トルクがシャフトからドラムに伝達されると、マルチパートピンの第1および第2の部分の各々が、それぞれの部分がそれを通って延びるスロットの縁部とそれぞれの部分がその中に延在するチャネルの表面との間に挟まれるように構成される、請求項2に記載の装置。
ドラムがシャフトに沿って移動するにつれて、マルチパートピンの第1および第2の部分の各々が、それぞれの部分がそれを通って延びるスロットの縁部およびそれぞれの部分がその中に延在するチャネルの表面と共に剪断力中にあるように構成される、請求項2または3に記載の装置。
ドラムがシャフトに沿って移動するにつれて、マルチパートピンの第1および第2の部分が反対の方向に回転するように構成される、請求項2から4のいずれかに記載の装置。
付勢機構がドラムの両側の凹部の中に付勢された2つのピンを備え、シャフトが回転される場合にこの種のピンによってトルクがドラムに伝達されないように構成される、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
ドラムが休止位置に配置される場合に、それぞれのピンの周りに延在する弾性的に付勢された部材が、シャフトの長さに沿って延びる軸線と実質的に垂直なマルチパートピンを維持する、請求項12に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態は、国際公開第2014/049317号パンフレットに説明されているギヤボックスの改良である。本説明を完全にするために、この知られているギヤボックスの概要が提供され、その後ギヤ比シフトを行うための改良されたシフト機構が説明される。
【0024】
図1は、完全係合解除状態における本開示の一態様の主要構成部品のアセンブリを示している。シャフト1は、本明細書においては「ドッグハブ」3aと呼ばれる第1のセレクタ部材、ギヤ2の形の駆動部材、および第2のドッグハブ3bを通過する。ギヤ2は、この構成においては、プレーンスラストワッシャおよび針状ころ軸受の組み合わせである、低摩擦軸受(不可視である)によってシャフトに取り付けられ、したがって、これは、シャフト1に軸線方向および半径方向に配置されるが、シャフト1に対して自由に回転することができる。
【0025】
この構成においては、駆動部材はギヤ2であるが、他の構成においては、駆動部材は、シャフトに選択的に回転係合されることが要求される駆動機構の任意の部品、たとえばローラチェーンスプロケットまたはベルト駆動プーリーであってもよい。
【0026】
特に
図1から
図3を参照して分かるように、ドッグハブ3は、2つの面を有する実質的に環状であり、シャフト1と係合するための手段、この例においては歯付きの内輪6a、6bである。また、それらは、その各面に配置される複数の(この例においては3つの)突出部分または係合「ドッグ」機構7a、7b、7f、7eを備える。また、ギヤ2は環状であり、歯付き外面と2つの対向する面とを備える。ギヤは、複数(この例においては各面に3つ)の係合「ドッグ」機構7c、7dをさらに備える。ハブ3bのドッグ機構7は、以下でより詳細に説明されるように、ギヤ2のドッグ機構7に係合するように形成される。
【0027】
図1の係合解除状態においては、2つのドッグハブ3aおよび3bは、ギヤ2から離れるように軸線方向に変位され、したがって、ハブのドッグ機構7aおよび7bは、ギヤ2の対応するドッグ機構7cおよび7dから係合解除される。2つのドッグハブ3a、3bの第2の面(図示のように、外面)のドッグ機構7e、および7fは、
図1から
図5に示されるギヤ2と係合しないが、主軸に取り付けられ得る他のギヤとの係合を可能にするように設けられる(
図6以後を参照)ことに留意されたい。
【0028】
図2は、本開示の一態様の主要構成部品の「分解図」であり、図の下半分は、図の上半分と同じ構成部品を示しているが、ギヤ2の第2の側のドッグ機構7を明らかにするように異なる視野角で示している。
図2の上半分においては、ドッグハブ3aのドッグ機構7aと、ギヤ2の一方の側の対応するドッグ機構7dとが見える。
図2の下半分においては、ドッグハブ3bのドッグ機構7bと、ギヤ2の他方の側の対応するドッグ機構7cとが見える。
【0029】
添付の図解に示されるこの構成においては、各ドッグハブ3の各面および各ギヤ2の各面は、シャフトの軸線の周りに実質的に均等に配置されるドッグ機構7によって提供される3つのこの種の突出部分を有する。しかしながら、片面当りいくつもの類似のドッグ機構7を使用することが可能である。たとえば、より高い負荷容量が必要とされる場合には、より多くのドッグ機構7が使用されることもでき、または簡単にするために、またはより高い速度差による係合を達成するために、より少ないドッグ機構7が使用されることもできる。しかしながら、片面当り3つのドッグ機構7を設けることは、ドッグ機構7間の実質的に均等な負荷分担を提供し、ドッグ機構7がトルクを伝達しているときに自己センタリング作用を与える。3つより多くのドッグ機構7が使用される場合、3つより多くのドッグ機構7にわたる負荷分担が実現されるべきである場合、ドッグ機構位置におけるいかなる誤差も負荷によるドッグ機構7の撓みより小さいことを確実にするために、高い製造精度が必要とされる。また、片面当り3つのドッグ機構7の使用は、ドッグハブ3とギヤ2との間の高い相対速度に対して確実な係合を可能にするために機構の間に大きな角度隙間を提供する。
【0030】
シャフト1は、複数の雄スプライン歯部6c、6d(アセンブリ内のドッグハブ3の数に対応する数)を備え、ドッグハブ3の内輪は、対応する雌スプライン歯6a、6bを担持する。これらの嵌合スプライン6c、6dおよび6a、6bは、隙間嵌めで係合するように公差付けされる。雄スプライン歯は、雌スプライン歯よりも幅広であり(すなわち、シャフト1に沿って軸線方向にさらに延在する)、それによって、いったんシャフト1に配置されると、ドッグハブ3a、3bは、雄スプライン歯6c、6dと整列されるとシャフト1に対して半径方向に回転接続されるが、シャフト1へのこの接続を維持しながら軸線方向に自由に移動することができる。これにより、ドッグハブ3a、3bのドッグ機構7a、7bは、シャフト1によってやはり駆動されている間に、ギヤ2のドッグ機構7c、7dと係合および係合解除するように移動することができる。
【0031】
図3は、ドッグハブ3のドッグ機構7a、7bと、ギヤ2の対応するドッグ機構7c、7dの詳細図を示している。ドッグ機構7aから7dの各々は、ギヤ2またはドッグハブ3の側面の上に突出するランプ状のブロックからなる。各ドッグ機構7aから7dは、ドッグハブ3の面と同一平面内にあるベース4eから立ち上がり、一方が他方を回転駆動するとハブ3の機構とギヤ2の機構との間の確実な係合または物理的な連動を行うように、シャフト1の軸線から離れるように斜行している傾斜面5b、5cと「合わせ」面または接触面4c、4bとを備える。
【0032】
そのうえ、単一のハブの例を挙げると、ドッグハブ3bがシフト機構(本明細書において後述する)の作用によってギヤ2に向かって移動されると、ドッグハブ3bのドッグ機構7bの前縁4bは、ギヤ2のドッグ機構7cの前縁4cと係合され、2つの構成部品の間にトルクを伝達する手段を提供することになる。トルクの伝達に起因するあわせ面4b、4cの間の接触力は、ドッグハブ3bをギヤ2に向かって引っ張る傾向があり(面4b、4cの角度のために)、したがって、トルクを伝達する際に機構が係合から外れる傾向がないことが確保される。
【0033】
ドッグ機構7b、7cの傾斜面5b、5cは、比較的浅い角度で傾斜する後縁を提供する。他方の意味において、ドッグハブ3bとギヤ2との間に相対回転がある場合は、浅い傾斜面5b、5cは、互いに容易に乗り上げ、したがってドッグハブ3bをギヤ2から離れるように強制し、したがって2つの構成部品の間のいかなる接続も係合解除する。したがって、ドッグ機構7aから7fのこの「傾斜のついた」形態は、相対回転という1つの意味においてトルクの確実な係合および伝達を提供し、相対回転という他の意味においてドッグ機構7aから7fの係合解除、およびトルクの非伝達を提供する。
【0034】
図2の上半分に目に見えるように、ギヤ2の一方の側のドッグ機構7、およびドッグハブ3aの対応するドッグ機構7は、相対回転という1つの意味においてドッグハブ3aとギヤ2との間に確実な係合および駆動接続を与えるのに適応しており、ギヤ2の他の側のドッグ機構7、およびドッグハブ3bの対応するドッグ機構7は、相対回転という他方の意味において確実な係合および駆動接続を与えるのに適応していることに留意されたい。したがって、(後述する)シフト機構の作用によって両方のドッグハブ3がギヤ2に向かって移動されると、ギヤ2とドッグハブ3a、3bとの間の相対回転という両方の意味において、および両方のドッグハブ3a、3bがスプラインによってシャフトに、シャフト1に接続されるので、確実な駆動係合が存在する。
【0035】
図4は、半係合状態における本開示のこれまでに説明された態様の主要構成部品のアセンブリを示している。ドッグハブ3aは、ギヤ2と接触しており、ドッグ機構7のあわせ面4a、4dは、互いに接触している。ドッグハブ3bは、ドッグ機構の突出部分の先端部の間にクリアランスがあるように、ギヤ2から離れるように軸線方向に変位されている。したがって、この状態においては、ギヤ2は、1つの意味においては相対回転(たとえば、正のトルク/前進駆動)のためにシャフト1に回転接続されるが、他の意味においてシャフト1に回転接続されない(たとえば、負のトルク/逆駆動)。
【0036】
図5は、完全係合状態における本開示のこれまで説明された態様の主要構成部品のアセンブリを示している。両方のドッグハブ3a、3bは、ギヤ2と接触している。ドッグハブ3のドッグ機構7a、7bの前縁は、ギヤ2のドッグ機構7c、7dの対応する前縁と係合している。したがって、この状態においては、ギヤ2は、両方の意味において相対回転および駆動のためにシャフト1に回転接続される。シャフト1へのドッグハブ3a、3bのアセンブリは、この完全な係合の状態においては、ドッグ機構7の前縁の間に小さな接線方向クリアランスしか存在しないように選択されることに留意されたい。この小さな接線方向クリアランスは、この完全に係合した状態においてギヤ2とシャフト1との間に少量のバックラッシュしか存在しないことを確実にする。道路車両、特に乗用車の場合は、たとえば運転者がアクセルペダルを離した場合に、トルク反転が発生するたびに動力伝達系路の捩り衝撃を最小限にするように、低バックラッシュが乗客の快適性のために望ましい。確実な係合を行うために(この構成に示されるように)傾斜させた前縁を有するドッグ機構7aから7fの係合を可能にするように、および製造公差を可能にするようにドッグの間に最小量のクリアランスが設けられる。
【0037】
図6は、シフト機構を含む4比ギヤボックスの全体図である。主軸1aは、それぞれレイギヤ8と噛み合う直径が変化する4つのギヤ2a、2b、2c、2dを担持し、レイギヤ8は、その長さに沿って形成される4つの噛み合いギヤ2を有する。この構成においては、主軸1aが入力であり、レイギヤ8が出力である。ドッグハブ3を用いて主軸にこれを回転接続することによってギヤ2aから2dのうちの1つが選択されると、入力軸1aとレイギヤ8との間に駆動接続があり、レイギヤ8に対する入力軸1aの相対速度は、選択されたギヤ2とレイギヤ8の噛み合いギヤの歯の数の比である。ギヤの各々の直径および歯数は、隣接するギヤ対の間の実質的に同様の比率差を実現するように選択され、したがってシフトが行われると入力速度の同様のステップ状変化を提供する。
【0038】
シフト機構は、いくつかのシフト機構10を含むシフトシャフト9を備える。この4速の例示的な実施形態においては、5つのこの種のシフト機構があり、各々のものはドッグハブ3を含む。主軸1aのギヤ2の各々のもの間のドッグハブ3は、隣接するギヤ2のいずれかと係合するように、
図1に示されるように両側に形成されたドッグ機構7を有する。この例示に示される主軸1aの各端部のドッグハブ3は、隣接するギヤ2と係合するように片面のみにドッグ機構7を有する。しかしながら、便宜のため、所与のギヤボックスに使用される異なる構成部品の数を最小限に抑えるために、および不正確な組立てを防止するために、ギヤ2の間に使用される同じ「両面」ドッグハブ3が、主軸1aの端部に使用されることもでき、その外側のドッグ機構7は冗長である。
【0039】
主軸1a、レイギヤ8、およびシフトシャフト9は、適切な軸受、各シャフトの各端部に1つの軸受でケーシング内に支持される。ケーシングおよび軸受は、この例示には示されていないが、適切な軸受は、当業者によく知られているであろう。
【0040】
図7は、分解図で示されるシフト機構のいくつかの構成部品を示している。セレクタドラム11が、シフトシャフト9に取り付けられている。シフトアーム12a、12b、各セレクタドラム11の上方に取り付けられるもの、および下方に取り付けられるものが設けられ、ピボットピン13によってギヤボックスケース(図示せず)内に配置される。ピボットピン13は、ケースに対して動かないようにギヤボックスケースの穴に配置される。各ピボットアーム12a、12bの1つの端部にピン15があり、これはセレクタドラム11の外径に切削されたトラック16と係合する(トラック16の図については
図9も参照されたい)。
図9に示される組み立てられたシフト機構においてよりよく理解され得るように、トラック16の軸線方向位置は、ドラム11の円周の周りで変化する。ドラム11がシフトシャフト9と共に回転されると、その結果、ピン15は、軸線方向に移動され、シフトアーム12a、12bは、ピボットピン13の周りで旋回する。シフトアーム12a、12bの他の端部には、シフトスラストリング14が取り付けられる。シフトスラストリング14の外側に形成されるピン17は、シフトスラストリング14がアーム12a、12bの端部で旋回し得るように、シフトアーム12a、12bの端部の穴を通して嵌合する。シフトスラストリング14は、ドッグハブ3の外径に形成される隆起部19の上方に嵌合するその内径の周りに溝18を有するように形成される。シフトスラストリング14がドッグハブ3の上方に嵌合されると、ドッグハブ3はリング14の内側で自由に回転し得るがリング14が軸線方向に変位されるならばドッグハブ3もまた軸線方向に変位されるように、溝18の内側と隆起部19の輪郭との間に小さな軸線方向クリアランスが存在する。詳細には、シフトアーム12a、12bがセレクタドラム11の作用によって旋回すると、シフトスラストリング14は、したがって軸線方向に変位され、これと共にドッグハブ3が軸線方向に変位される。
【0041】
図示の構成においては、ギヤボックスは、ギヤおよび軸受の冷却および潤滑のために、油で部分的に満たされると推定される。その結果、この油は、溝18の内側と隆起部19との間に潤滑を提供することになり、したがって、ギヤボックスが高速で回転しているとき、ギヤ選択のためにドッグハブ3を変位させることができるスラスト軸受を形成する。当業者によく知られているように、溝18の内面のいくつかは、溝18と隆起部19との間の接触面積を減少させるように隆起スラストパッドを残すように削減されて、摩擦を低減し潤滑を助ける。
【0042】
他の構成においては、シフトスラストリング14とドッグハブ3との間のスラスト軸受は、スラスト軸受の任意の他の適切な形式、たとえばスラスト針状ころ軸受、玉軸受または球面ころ軸受であってもよい。当業者によく知られているように、任意のこの種の軸受は、ドッグハブ3の軸線方向変位を生じることができる。
【0043】
図8は、シフトシャフト9の軸線を通る断面図であって、シフトシャフト9とセレクタドラム11との間のばね接続を明らかにしている。シフトシャフト9は、チューブ壁を通して切削される一連のスロット22(
図9も参照されたい)を持つチューブを備える。各セレクタドラム11のそれぞれの側のピン21は、スロット22を通してはめ込まれ、セレクタドラム11の各側の切抜きトラック25と係合する。ばね24は、各ばね24の各端部のばねカップ23を持つ各セレクタドラム11の間のシフトシャフト9の内側にはめ込まれ、ばねカップ23は、ピン21に載っている。ばね24は、それらが組立時に部分的に圧縮され、したがってピン21に規定された予荷重を提供するように、各ばねカップ23間の隙間よりも長いように選択される。ばねカップ23が載っている各ピン21の中間部分はより小さい直径であり、したがって、たとえピン21がセレクタドラム11の軸線方向変位によって現れてもピン21をシフトシャフト9の所定の位置に保持するように、ばねカップ23のそれぞれの側には段がある。シフトシャフト9のスロット22の端部の間の隙間、およびセレクタドラム11の切抜きトラック25の間の材料の軸線方向厚さは、実質的に同じであり、したがって、ばね24からのピン21に対する予荷重は、ピン21をスロット22の端部に接触させて保持し、セレクタドラム11は、シフトシャフト9の軸線に沿ってピン21の間に確実に配置されることに留意されたい。スロット22を通過しおよびセレクタドラム11の切抜き25の中に進むピン21は、シフトシャフト9とドラム11との間の回転接続を提供するが、スロット22の長さの範囲内での軸線方向変位を可能にする。力が扇形ドラム11をシフトシャフト9に沿って押すように働き、これがばね24の予荷重を超える場合、ピン21は、スロット22に沿って移動し、ばね24をさらに圧縮して、回転接続を維持しながらセレクタドラム11の軸線方向変位を可能にする。その結果、セレクタドラム11は、シフトシャフト9の長さに沿って確実に配置され、したがってシフトアームに対する確実な制御およびドッグハブ3のシャフト1に沿った移動を提供することができるが、ばね24の予荷重によって規定される荷重が超過する場合、セレクタドラム11は、シフトシャフト9に沿って軸線方向に変位され得る。
【0044】
この例においては、各セレクタドラム11は軸線方向変位を可能にするように隙間嵌めでシフトシャフト9の上に嵌合され、さらにセレクタドラム11の内部ボア28は、シャフト9に対するドラム11の多少の心ずれを可能にするように両円錐形状からなることに留意されたい。さらに、例示的な構成における2つのシフトアーム12aおよび12bは、互いに独立して旋回することができることに留意されたい。これは、製造公差等に起因する各構成部品の幾何学的形状の変化を可能にするように機構におけるかなりの量の柔軟性を提供する。次に、ドッグハブ3は、シフト機構によって過度に拘束されることなく、ギヤ2に接触することができる。また、一方が他方に直接対向する、そのトラックに係合している2つのピン15を持つセレクタドラム11の使用は、セレクタドラム11に対するシフトアーム12からの結果として生じる力がばね24上のシャフト9の中心線に実質的に作用することを確実にすることが留意され得る。したがって、この構成は、ギヤ2のドッグ機構7と係合するドッグハブ3のドッグ機構7の作用によって軸線方向に変位されるとき、ドラム11がシフトシャフト9に結合するいかなる傾向にも抵抗する。
【0045】
この例においては、使用される異なる構成部品の数を最小限に抑え、不正確な組立てを防止することによって費用効果の高い製造を行うために、シフトシャフト9に取り付けられるセレクタドラム11の各々はそれぞれ同一の構成部品であること、およびそれらの角度位置および軸線方向位置はシフトシャフト9を通して切削されるさまざまなスロット22の位置によって決定されることが留意され得る。また、セレクタドラム11は対称であるように設計され、したがって、それらは、正しく機能するためにいかなる特定の向きにも取り付けられる必要はない。しかしながら、これは、すべての例においてそうである必要はない。
【0046】
図7は、シフトシャフト9に嵌合するセレクタドラム11を示している。ドラム11に隣接してゲート26がある。ゲート26は、ギヤボックス(図示せず)のケースに固定され、各セレクタドラム11の縁部を通過する一連のスロットを有する。通常の動作においてはドラム11がゲート26に接触することなく自由に回転するように、ドラム11とゲート26のスロットとの間にはクリアランスが存在する。各ドラム11の端面においては、ゲート26のスロットに隣接する切抜き27がある。特定の角度位置において、ドラム11の切抜き27は、ゲート26と整列し、したがって、セレクタドラム11がシフトシャフト9に沿って軸線方向に変位されると、この場合、切抜き27は、ゲート26と係合し、ドラム11およびシフトシャフト9全体の回転は、切抜きの角度範囲に制限される。これは、次に説明されるように、普通ならギヤボックスを損傷することもあるドッグハブ3の移動の特定の組み合わせをブロックする機構を提供する。他の角度位置においては、切抜き27は、ゲート26と整列せず、したがって、ドラム11の軸線方向移動は、ゲート26によって制限される。
【0047】
シフトアーム12のピン15がピンの軸線方向変位を生じるトラック16の部分にある場合は、セレクタドラム11の切抜き27はゲート26と整列し、したがって、シフトアーム12を移動させ、ドッグハブ3を移動させてギヤ2と係合することに留意されたい。セレクタドラム11のトラック16の残る部分はいかなる軸線方向変位も与えず、その結果、ピン15がトラックのこの部分にある場合は、ドッグハブ3は、ギヤ2の間の中間位置に実質的に保持され、したがって、ギヤ2と係合しておらず、切抜き27は、ゲート26と整列せず、したがって、ドラム11の軸線方向変位は、ドラム縁部とゲート26との間のクリアランスに制限される。
【0048】
また、このシフト機構は、他の駆動部材選択アセンブリに使用されることもできる。
【0049】
図9は、1つのギヤ2を完全に係合した状態で示されるこれまで説明したシフト機構を含む4比ギヤボックスの平面図である。詳細には、ドッグハブ3a、3bは、ギヤ2aに係合される。シフトシャフト9は、セレクタドラム11a、11bのトラック16a、16bのピン15a、15bがギヤ2aから離れるように軸線方向に変位され、したがって、シフトアーム12aおよび12cがドッグハブ3をギヤ2aとの噛み合い状態に保持するようにピボットピン13a、13bの周りに旋回する、角度位置にある。
【0050】
図示されるように好ましい例示的な構成は、従来のエンジン駆動車両に使用するように構成される。この用途の場合は、ギヤボックスは、シフトアップが実質的に正のトルク伝達で行われ(すなわち、入力軸におけるトルクの方向が回転の方向と同じである場合)、シフトダウンが実質的に負のトルクで行われる(入力軸におけるトルクの方向が回転の方向と逆である場合)ように組み立てられる。シフトアップは、一定の出力シャフト速度に対する入力軸速度の低下をもたらし、通常、車両が加速するにつれて連続して行われる、あるギヤ比から別のギヤ比への移行である。ダウンシフトは、一定の出力シャフト速度に対する入力軸速度の増加をもたらし、通常、車両が減速するにつれて連続して行われる、あるギヤ比から別のギヤ比への移行である。
【0051】
図9においては、各ギヤ2の右側面のドッグ機構7、およびドッグハブ3の噛み合うドッグ機構7はギヤ2とシャフトとの間に正の駆動トルク接続を提供し、各ギヤ2の左側面のドッグ機構7はギヤ2とシャフトとの間に負の駆動トルク接続を提供することに留意されたい。ギヤボックスが正のトルクを伝達しており、したがって、
図9に示されるように、ギヤ2aの右側面のドッグハブ3bが入力軸からギヤ2にトルクを伝達しているときは、この場合レイギヤと噛み合うギヤ2が出力側を駆動する。トルクを伝達する場合、ドッグ機構7の傾斜面およびドッグハブ3とシャフト1との間のスプライン結合の摩擦が原因で、ドッグハブ3は、ギヤ2をシャフトから切り離するようにギヤ2から離れて容易に移動され得ないことに留意されたい。シフトシャフト9のばね24の予荷重は、係合解除が比較的低いトルクレベルでしか生じ得ないことを確実にするように制限される。
【0052】
しかしながら、図に示されるように、ドッグハブ3aは、正のトルクが伝達されている場合には負荷されず、したがって、シフト機構によってそのように付勢されるときギヤ2aから離れて自由に移動することができる。
【0053】
図10は、3速から4速へのシフトアップを行う過程で示されるこれまで説明したシフト機構を含む4比ギヤボックスの平面図である。シフトシャフト9は、第4のギヤ位置まで完全に回転されている。ドッグハブ3bは、入力軸からギヤ2aにトルクを伝達しており、したがって係合して保持される。関連するセレクタドラム11bは、シフトシャフト9に沿って変位される。もう1つのドッグハブ3cは、シフトシャフト9内のばね24の作用によってギヤ2bに向かって移動されている。第3のギヤ2aはまだ係合されているので、ギヤ2bは、シャフト1aおよびドッグハブ3よりも遅く回転しており、したがって、ドッグ機構7の傾斜面は、互いに乗り上げて、係合させずにドッグハブ3cをギヤ2bから離れるように押し動かす。ドッグハブ3cは、シフトシャフト9の内側でばね24を圧縮することによって、ギヤ2bから離れて移動することができる。さらなるドッグハブ3aは、シフトシャフト9の内側のばね24の作用によって第4のギヤ2bの方へ移動されている。第4のギヤ2bとドッグハブ3aとの間のドッグ機構7は、正の駆動であり、主軸が第4のギヤよりも速く回転し、したがって、ドッグハブ3aがギヤに向かって軸線方向に移動されると、各ドッグ機構7の先端面が接触し、正の駆動がシャフトとギヤ2bとの間で達成される。ドッグハブ3aによって駆動がピックアップされると、ドッグハブ3bの負荷が緩和され、ギヤ2aは、この場合主軸1よりも速く回転している。次に、ドッグ機構7の斜面により、ドッグハブ3bがギヤ2aから離れるように押されることになり、また、シフトシャフト9内のばね24は、セレクタドラム11bを中立位置に戻す。
【0054】
いったんドッグハブ3aがギヤ2bと噛み合うと、主軸がギヤ2bと同じ速度で回転し、したがって、ドッグハブ3cは、完全に移動してギヤ2bと係合することができる。次いで、第4ギヤが完全に係合され、シフト過程が完了する。
【0055】
シフトは、係合されるかまたは係合解除される2つのギヤ2の間にある中間のドッグハブ3の軸線方向移動によって達成されることに留意されたい。このドッグハブ3は、係合解除されているギヤ2のための負の駆動構成部品であるので、シフトを開始するように自由に移動することができ、これは、係合されることになるギヤ2のための正の駆動構成部品であるので係合を行う。いったん係合が中間ドッグハブ3によって行われると、より早く選択されたギヤ2からの正の駆動ドッグハブ3が解放され、係合されているギヤ2の負の駆動ドッグハブ3が完全に移動して係合することができるように、同期が実現される。
【0056】
より一般的に表現すると、正の駆動セレクタ部材がより高いギヤの駆動部材に向かって移動されると、異なるギヤ比のために、それぞれの突出部分の前縁が互いに向かって移動している。各前縁が接触する場合は、駆動はより高いギヤ駆動部材によってピックアップされ、より低いギヤ駆動部材のためのセレクタは自然に係合解除される。より低いギヤからの駆動は駆動がより高いギヤによってピックアップされた後にのみ係合解除されるので、トルク伝達の中断は生じず、シフトは実質的に瞬間的であり得る。
【0057】
シフトダウンは、負のトルクが伝達されている間に中間ギヤ2の移動の同じ運動機構によって完了し、従来のエンジン駆動車両の場合は、これは運転者がアクセルペダルを離しているときになるであろう。
【0058】
たとえば車両が斜面を登っており車速が低下しているとき正の駆動トルクが要求される場合にシフトダウンが要求されるならば、異なるシフト過程が用いられる。ギヤボックスが正のトルクを伝達している間に、シフトシャフト9を次のより低いギヤ位置に回転させることによって、単一のシフトダウンが予め選択され得る。中間ドッグハブ3は、ギヤ2と入力軸との間の正の駆動係合であるので、自由に移動することはできない。したがって、中間ギヤ2のためのセレクタドラム11は、シフトシャフト9に沿って軸線方向に変位され、シフトシャフト9の内側のばね24は、さらに圧縮される。係合されるべきより低いギヤのための負の駆動ドッグハブ3は、ギヤ2に接触されるが、これはギヤ2よりも遅く回転しており、したがってこれは係合しない。シフトを完了するために、この例においては、運転者は、中間ドッグハブ3を解放するように駆動トルクを一瞬低減または逆転させる。これは、アクセルペダルを持ち上げることによって、または代替的に、クラッチペダルが設けられている場合それを下げることによって最も容易に達成される。中間ドッグハブ3を通して伝達されるトルクが緩和されるとすぐに、シフトシャフト9内の圧縮されたばね24は、ドッグハブ3を移動させて下方のギヤと係合させ、負の駆動ドッグが係合し、ギヤ2およびシャフト1が同期され、前方駆動ドッグが係合して、シフトダウンを完了する。
【0059】
トルクを低減することによってシフトを完了することができずに、2回以上のシフトダウンが試みられる場合にドッグハブ3を係合させておく正の駆動トルクが存在するならば、それを防止するステップがとられない場合には、他のギヤの正の駆動ドッグが依然として係合される間はより低いギヤのための負の駆動ドッグハブが係合されることもあるという可能性があるであろう。これは、アセンブリに重大な損傷を引き起こす可能性のあるロックアップ状態をもたらすことになるが、以下に述べるように対処され得る。
【0060】
図11は、正の駆動トルクが存在している間にシフトダウンを予め選択した状態で示されるこれまで説明したシフト機構を含む4比ギヤボックスの平面図である。ドッグハブ3bは、ギヤ2aに係合して保持される。ドッグハブ3dはギヤ2cに向かって移動されるが、依然として係合されているギヤ2aのためにギヤ2cが主軸よりも速く回転しているので、逆転駆動ドッグ3dは係合しない。この状態においては、シフトシャフト9は、完全に係合しているより低いギヤに対応する位置に回転されている。ドッグハブ3bはギヤ2aと係合して保持されるので、セレクタドラム11bは、シフトシャフト9に沿って変位され、切抜き27は、ゲート26と係合される。したがって、シフトシャフト9は、第2のシフトダウンを予め選択するようにさらに回転されることができず、ロックアップ状態が防止される。同様の切抜きが各セレクタドラム11の両側に存在し、ゲート26が各セレクタドラム11のそれぞれの側に隣接しており、したがって、負のトルクが伝達されている間の2回以上のシフトアップの事前選択が同様に防止される。したがって、切抜き27は、1つのギヤ2の負の駆動ドッグハブ3およびより高いギヤ2の正の駆動ドッグハブ3により同時係合を防止し、また、1つのギヤ2の正の駆動ドッグハブ3およびより低いギヤ2の負の駆動ドッグ3の同時選択を防止する。
【0061】
この例においては、シフトシャフト9は、各シフトに対して所定の角度だけ回転されなければならない。手動操作の場合、これは、当業者によく知られている任意の形式の割り出し機構、たとえばモーターサイクルギヤボックス内のセレクタドラムを割り出すために使用されるラチェット機構を用いて、最も容易に達成される。あるいは、任意の形式のロータリーアクチュエータ、たとえば電気サーボモータ、油圧サーボモータ、または空気圧サーボモータが使用されることもできる。
【0062】
電子式または他の形式の制御システムが、シフトを行うときを決定し、したがってこれまで説明したタイプの機械式シフト機構を用いてシフトを自動化する、手段の形を単にとることもできるギヤ機構を操作するように使用され得る。
【0063】
これまで述べたシフト構成部品および機構は、たとえば任意の数の異なる選択可能なギヤを使用するか、または選択可能なギヤを2つ以上のシャフトに取り付けて、任意の目的のためにギヤボックスまたはトランスミッションの多くの異なる構成に使用され得ることが当業者には明らかであろう。
【0064】
そのうえ、これまで説明したギヤボックスまたは構成部品のいずれかは、シャフトへの構成部品の選択的連結を必要とする任意の機構に使用され得ることに留意されたい。また、上で説明したギヤボックスまたは構成部品のいずれかは、たとえば車両の車輪に電気モータを連結するトランスミッションにおいて任意の回転動力源および回転負荷と共に使用され得ることに留意されたい。使用されることもできる回転動力源の他の例には、油圧モータ、空気圧モータ、内燃機関、およびガスタービン機関があるが、それに限定されるものではない。
【0065】
改良されたシフト機構
本発明の実施形態は、のちに説明され、またギヤ比シフトを行うための改良されたシフト機構に関する。この種の実施形態は、
図8と関連して説明される方法に比べてセレクタドラム11をシフトシャフト9に連結する異なる方法を含んでいる。
【0066】
図12は、複数のシフト機構を備えたシフトシャフト100の断面図を示しており、次にそのうちの1つが詳細に説明されることになる。
【0067】
符号102で示されるシフト機構は、マルチパートピン106によってシフトシャフト100に回転連結されるセレクタドラム104を含む。マルチパートピン106は、第1および第2の部分108,110を有する。それによって、第1の部分108は、2つの部分が互いに対して回転され得るように第2の部分110によって画定される凹部の内側に受け入れられる。
図13からより明らかなように、マルチパートピン106は、シフトシャフト100によって画定される軸線114に平行な方向に沿って延在する対向するスロット112を通して突出する。より詳細には、組み立てられると、マルチパートピンの第1および第2の部分108,110の各々は、それぞれの同軸スロット112を通して突出し、したがって、シフトシャフト102の両側から離れるように延在する。後ほどより詳細に説明されるように、マルチパートピンの第1部分と第2部分108,110の各々とそれらがそれを通って延びているそれぞれのスロット112との間に
図13に符号Aで示される方向に沿って僅かなクリアランスが存在する。しかしながら、符号Bで示される方向に沿ったクリアランスは、マルチパートピン106がスロット112に沿って移動できるように非常に大きい。
【0068】
図12を振り返って見ると、セレクタドラム104は、シャフト102の周りに配置されている。この種のセレクタドラム104は、
図14aから
図14gにおいて異なる角度によって示されている。これは、セレクタドラム104がその上に取り付けられる場合にシフトシャフト100がそれを通って延びるボア118を画定する。これはまた、詳細にはシフトアーム装置を介してドッグハブの移動をもたらすように、またはより一般的に表現すれば、前記トラックに対して動作関係に設けられる駆動部材セレクタ部材がシフトシャフト100を回転させることによって駆動部材との駆動係合におよびこの駆動係合の解除に付勢されるように、これまで説明した
図7のトラック16と同じ方法で使用するように構成されるその外面の周りに少なくとも部分的に延在するトラック117を画定する。
【0069】
そのうえ、セレクタドラム104は、ボア118と同じ方向に沿ってセレクタドラム104を完全に通って延びる対向するチャネル120を画定する。この種のチャネル120によって画定される空間は、ボア118によって画定される空間と接続する。セレクタドラム104がシフトシャフト100に取り付けられると、マルチパートピンの第1および第2の部分108,110は、これらのチャネル120の中にそれぞれ延在する。したがって、シフトシャフト100が回転されると、マルチパートピンの第1および第2部分108,110が各チャネル120の側面と係合するお蔭で、トルクが、セレクタドラム104に伝達され、それによって、この種のチャネル120はキー溝として機能する。後ほどより詳細に説明されるであろうように、組み立てられると、マルチパートピンの第1部分および第2部分108,110とそれらが延在するそれぞれのチャネル120との間に、
図13に符号Cで示される方向に沿って僅かなクリアランスが存在し、これはまた、
図14aに再び示されている。
【0070】
図15は、使用中のシフト機構102を通る断面図を示している。前述したように、マルチパートピンの第1および第2の部分108,110は、シフトシャフト100の対向する同軸スロット112を通して突出し、セレクタドラム104によって画定される対向する同軸チャネル120に受け入れられる。チャネル120とそれらの中に延在するマルチパートピン106の部分との間に存在する隙間に加えて、スロット112の側面とそれらを通って延びるマルチパートピン部分との間に隙間が存在する。結果として、シフトシャフト100は、いくらかの回転自由度を有し、トルクがセレクタドラム104に伝達されるようになることなく、セレクタドラム104に対して所定の量だけ回転されることができ、次に、この理由が説明されることになる。
【0071】
図15のチャネル120のそれぞれの側面が符号aから符号dで示され、スロット112のそれぞれの側面が符号eから符号hで示される。本質において、シフトシャフト100が回転されると、マルチパートピンの第1および第2の部分108,110が係合するようにさせられるスロット112およびチャネル120の縁部は、シフトシャフト100が回転される方向に応じて異なる。たとえば、シフトシャフト100が
図15の場合のように反時計回りに回転されると、符号gおよび符号で示されるシフトシャフト100の縁部は、マルチパートピンの第1および第2の部分108,110に対してそれぞれ移動されるが、符号hおよび符号eで示されるシフトシャフト100の縁部は、マルチパートピンの第1および第2の部分108,110から離れるように移動される。
【0072】
スロット112の前述の側面gおよびfによってマルチパートピンの第1および第2の部分108,110に力が加えられると、マルチパートピンのそれぞれの部分は、符号 cおよび符号aで示されるチャネル120の側面と係合状態に付勢されるが、マルチパートピンの第1および第2の部分108,110は、符号dおよび符号bで示されるチャネル120の側面から離れるように移動される。
【0073】
換言すれば、トルクがシフトシャフト100からセレクタドラム104に伝達されると、マルチパートピンの第1および第2の部分108,110の各々は、それぞれの部分がそれを通って延びるスロット112の縁部とそれぞれの部分がその中に延在するチャネル120の表面との間に挟まれる。
【0074】
上述のことを考慮すると、シフトシャフト100が
図15に示される方向とは反対の時計回り方向に回転されると、符号hおよび符号eで示されるシフトシャフトの側面は、その結果これらの部品を移動させて符号dおよび符号bで示されるチャネル120の側面と係合することになるそれぞれマルチパートピンの第1および第2の部分108,110に対して押し付けられることになる。
【0075】
上述のことにより、本明細書の「
図10は、3速から4速への・・・シフトシャフト9に沿って変位される。」に説明されるシフトアップ動作中に、およびまた本明細書の「
図11は、正の駆動トルクが・・・ゲート26と係合される。」に説明されるように正の駆動トルクが存在する間にシフトダウンを通じてドラム11bに起こっていることと同様に、トルクがその上に加えられる間にセレクタドラム104がシフトシャフト100の長さに沿って移動するようにさせられる場合には、マルチパートピンの第1および第2の部分108,110が反対の方向に回転できるようになる。
【0076】
特に、
図15を再度見ると、セレクタドラム104がシフトシャフト100に沿ってページの外の方向に移動するようにさせられると、マルチパートピンの第1の部分108は符号Aで示される方向に回転することになるが、マルチパートピンの第2の部分110は、符号Bで示される反対の方向に回転することになる。これは、マルチパートピンのそれぞれの部分108,110が、スロット112の縁部およびチャネル120の表面と共に剪断力中にあるためである。
【0077】
セレクタドラム104がシフトシャフト100の長さに沿って移動するようにさせられると同時にトルクがその上に加えられると、セレクタドラム104は、この場合マルチパートピン106がセレクタドラム104のすぐ下に転動する際にシフトシャフト100に沿ってマルチパートピン106に乗ることができる。これは、
図8に示される従来の配置とは異なり、それによって同様の状況においては、ピン21がシフトシャフト9のスロット22の縁部に沿って引っ張られることになり、それによって、シャフト9に沿ったドラム11の摺動運動が妨げられる。
【0078】
説明したようにマルチパートピンの第1および第2の部分108,110の回転は、シフトシャフト100の長さに沿ったセレクタドラム104の動きに抵抗する摩擦力の大きさを著しく減少させる。これにより、ギヤ比シフトを行うためにあまりトルクがシフトシャフト100に加えられることが求められないので、ギヤ比シフトを行うことがより容易になり、このトルクの一部によりセレクタドラム104がシフトシャフト100に沿って付勢されることになることを覚えておく。注意喚起として、いくつかの例においては、これは、セレクタドラム104が回転するようにさせられると、トラック117と協働するシフトアームは本質的に適所にロックされ、したがって、セレクタドラム104が回転するにつれてトラック117の傾斜した部分に乗り上げるためである。本明細書の「
図10は、3速から4速への・・・シフトシャフト9に沿って変位される。」に説明されるシフトアップ動作を通じて、およびまた本明細書の「
図11は、正の駆動トルクが・・・ゲート26と係合される。」に説明されるように正の駆動トルクが存在する間にシフトダウンを通じてドラム11bに起こっていることと同様に、この種のシフトアームのトラック117に対する反力は、セレクタドラム104をシフトシャフト100に沿って押し進める。
【0079】
換言すれば、ギヤ比シフトを行うためにシフトシャフト100に加えられるトルクは、シフトシャフト100に沿ったセレクタドラム104の並進運動を引き起こす。この種の並進運動を妨げる摩擦があまりない場合は、ギヤ比シフトを行うためにシフトシャフト100に加えられるべきトルクはあまり必要とされない。摩擦の低減はまた、機構妨害の、したがって正しく機能しない可能性を低減する。
【0080】
図12において符号102で示されるシフト機構のいくつかの追加の態様が次に説明されることになる。再び、
図8の構成と同様に、シフト機構102は、シフトシャフト100の長さに沿って休止位置に向けてセレクタドラム104を付勢するための付勢機構を含む。特に、セレクタドラム104のそれぞれの側に、ばね122などの弾性的に付勢された機構が設けられる。この種の各ばね122は、ばねカップ124をピン126に押し付け、それによって、ピン126は、セレクタドラム104の側面に延在する一対の対向する凹部128の内側に受け入れられる。組み立てられると、付勢機構のピン126は、マルチパートピン106に対して実質的に90度に配置される。
図16は、シフトシャフト100がない場合の付勢機構を備える機構の構成を示しており、この種の機構がどのように機能するかが次により詳細に説明されることになる。
【0081】
図13を振り返って見ると、ピン126は、シフトシャフト100の長さに沿って延在する追加のスロットを通して突出している。特に、
図13の左側のピン126は、シフトシャフト100の一方の側の第1の軸線方向に延在するスロット130と、シフトシャフト100の反対側の対向する軸線方向に延在するスロットとを通って延びる。さらに、
図13の右側のピン126はまた、シフトシャフト100の一方の側の第1の軸線方向に延在するスロット130と、シフトシャフト100の反対側の対向する軸線方向に延在するスロットとを通って延びる。
図13の左側のピン126がそれを通って延びる第1の対を備えるスロット130は、他方のピン126がそれを通って延びる第2の対を備えるスロット130と同軸である。
【0082】
ピン126は、それらがそれを通って延びるそれぞれのスロット130の長さに沿って移動することができる。ピン126の各々と、
図13および
図14aに符号Dで示される方向に沿った凹部128の側面との間のクリアランスに関しては、このクリアランスは、マルチパートピンの第1および第2の部分108,110とそれらが受け入れられるチャネル120の側面a、b、c、dとの間に存在する今まで説明したクリアランスよりも大きいことが望ましい。換言すれば、ピン126と凹部128との間の
図14aの方向Dに沿ったクリアランスは、マルチパートピン106とチャネル120との間の方向Cに沿ったクリアランスよりも大きい。
【0083】
いくつかの構成においては、ピン126の幅は、およそ3mmであり、方向Dに沿った凹部128の幅は、およそ5mmである。
【0084】
マルチパートピン106の第1の部分および第2の部分の直径と、
図13において符号Cで示される方向に沿ったチャネル120の幅とは、名目上同じであり、その結果、組立てを可能にし、マルチパートピン106がチャネル120内で転動することができるようになるが、シフトシャフト100に対するセレクタドラム104の角度合わせを維持するクリアランスを作り出すように僅かな違いのみが生じる。
【0085】
いくつかの構成においては、チャネル120に受け入れられるマルチパートピン106の第1および第2の部分の幅は、
図13に符号Cで示される方向に沿ったチャネル120の幅よりも0.1mm小さい。
【0086】
上述のことは、マルチパートピン106のみによってを除いて、シフトシャフト100が回転される場合に付勢機構のピン126によってセレクタドラム104にトルクが伝達されないことをもたらす。
【0087】
バイアス機構のピン126が受け入れられるセレクタドラム104の側面に延在する凹部128の性質が、次に説明されることになる。
図14に示されるように、セレクタドラム104のそれぞれの側は、ボア118と同じ方向に沿ってセレクタドラム104内に同様の距離だけ延在する一対の対向する凹部128を含む。セレクタドラム104のそれぞれの側の対向する凹部128は各々、付勢機構のピン126が押し付けられ得る面を画定するレッジ131で終端する。さらに、セレクタドラム104の反対側に延在する凹部128は、互いに同軸である。結果として、隣接するレッジ131間の距離(
図14fで符号Aで示される)は、その前述の第1および第2の対(
図13において符号Eで示される)を備えるスロット130の隣接する端部の間の距離に実質的に同様である。したがって、付勢機構のピン126が、
図13の場合のようにスロット130の隣接する端部に押し付けられると、それらは、凹部128の内側のレッジ131によって画定されるそれぞれの面に押し付けられ、セレクタドラム104をいわゆる休止位置に保持することになる。
【0088】
振り返って
図12を参照すると、セレクタドラム104がたとえばシフトシャフト100に沿って左の方向に移動するようにさせられると、セレクタドラム104の左側のピン126は、それがそれを通って延びるスロット130に沿って摺動し、ばね122を圧縮することになる。したがって、シフトシャフト100に沿ってセレクタドラム104を左側に付勢する軸線方向力が除去されると、ばね122はピン126を押し戻してスロット130の端部と係合し、それによってセレクタドラム104をその休止位置に戻す。セレクタドラム104がシフトシャフト100に沿って右の方向に押し付けられる場合は、同様の事例が生じる。
【0089】
ばね122と付勢機構のピン126との間に配置される前述のばねカップ124は各々、それらがそれぞれ係合しているピン126およびばね122の周りに部分的に延在する。より詳細には、ばねカップ124は各々、(
図12および
図16に示されるように)ピン126を受け入れるためのそれらの端面にスロット132を画定する。この種のスロット132によって分離される端面の第1および第2の部分133,134は、セレクタドラム104が前述の休止位置にある場合にマルチパートピン106に係合し、そのことは
図12に示される場合である。これは、マルチパートピン106が、セレクタドラム104のほぼ中央に、およびセレクタドラム104が休止位置にある場合にはシフトシャフト100に対してほぼ垂直に保持されることを示す。
【0090】
セレクタドラム104がマルチパートピン106の上に乗ることができるため、そのシフト機構においてはセレクタドラムが本発明の実施形態による方法でシフトシャフトに取り付けられるように変更される、国際公開第2014/049317号パンフレットに説明されるタイプのギヤボックスにおけるギヤ比シフトを行うことがより容易になるということがここで再び述べられる。この種の変更されたギヤボックスを含む車両の場合は、エンジンがアイドリングしている間にクラッチを下げた状態でニュートラルにシフトダウンすることがより容易になるであろう。
【0091】
そのうえ、セレクタドラム104の端面の凹部139(
図14gを参照されたい)は、
図7と関連して説明された切抜き27に対応しており、したがって使用中の
図7に示されるタイプのゲート26と相互に作用するように構成される。
【0092】
本発明のさまざまな態様および実施形態がこれまで説明されているが、本発明の範囲は、本明細書において述べられた実施形態に限定されるものではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲の精神および範囲に属する、それに対するすべての構成および変更および改変を包含するまでに広がることが理解されよう。
【0093】
たとえば、マルチパートピン106は、3つ以上の部分を備えることができる。互いに対して回転され得るマルチパートピン106の第1および第2の部分は、少なくとも1つの追加のマルチパートピン機構によって連結されることもできる。例として、マルチパートピン106は、その第1および第2の部分がその周りで回転することもできる中央構成部品を備えることもできる。この種の3部分のピンは、位置決め機構を提供するように小さな直径のピンを両者間に挿入した、2つの同一の穴あけされたピン部分を備えることもできる。しかしながら、マルチパートピンのさまざまな適切なバージョンが、本開示を読むと当業者には明らかになるであろうことが理解されよう。
【0094】
付勢機構のピン126は、マルチパートピン106に対して実質的に90度であるとして説明されているが、これは必ずしも必須ではない。いくつかの実施形態においては、これらのピン126の一方または両方は、マルチパートピンに対して別の角度に配置されてもよく、その場合、セレクタドラム104の凹部128およびピン126がそれを通って延びるスロット130は、これまで説明したマルチパートピンと異なる構成を有することになる。そのうえ、付勢機構のピン126は、必ずしも一直線になって配置される必要はなく、互いに対して異なる角度に配置されてもよい。