(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記共有結合している表面基が、C4からC30結合相、芳香族、フェニルアルキル、フルオロ−芳香族、フェニルヘキシル、ペンタフルオロフェニルアルキルまたはキラル結合相である、請求項2に記載の高純度クロマトグラフィー材料。
クロマトグラフィーコアがシリカ材料である、またはハイブリッド無機/有機材料である、または表面多孔質材料である、またはハイブリッド表面層を有する無機材料、無機表面層を有するハイブリッド材料、もしくは異なるハイブリッド表面層を有するハイブリッド材料である、請求項12に記載の高純度クロマトグラフィー材料。
前記クロマトグラフィー材料が、約25から1100m2/gの表面積を有し、前記クロマトグラフィー材料が、約0.15から1.7cm3/gの細孔体積を有し、前記クロマトグラフィー材料が、約110m2/g未満の微小孔表面積を有し、または前記クロマトグラフィー材料が、約20から1500Åの平均細孔径を有する、請求項1に記載の高純度クロマトグラフィー材料。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、優れたピーク形状およびドリフトの低減をもたらす代替材料が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、例えば、クロマトグラフィー分離のための新規なクロマトグラフィー材料、これを調製するための方法、およびクロマトグラフィー材料を含有する分離装置を提供する。
【0010】
詳細には、本発明は、本質的に、永久荷電として陽性または陰性に作用するイオン対基を包含することで、改善したピーク形状を提供する。言い換えれば、固定相材料は、「前もってイオン化され」、「永久」に荷電したセレクターと分析物との間で極性相互作用の向上を引き起こす。メトキシ化または他の手段による経時的なシリカ表面に対する変化は、陽性に荷電した塩基性セレクターとのより優勢な相互作用のため、その悪影響が著しく低下している。結果として、本発明の固定相は、ドリフトを低減させること、保持を向上させること、および、とりわけ対イオンレベルがより高い塩基について、ピーク形状を調整することが可能である。
【0011】
一態様において、本発明は、クロマトグラフィー表面を含む高純度クロマトグラフィー材料を提供し、このクロマトグラフィー表面は、イオン対結合部分を含む。
【0012】
高純度クロマトグラフィー材料のある特定の実施形態において、クロマトグラフィー表面は、共有結合している表面基をさらに含む。
【0013】
高純度クロマトグラフィー材料の別の実施形態において、イオン対結合部分は極性である。
【0014】
ある特定の実施形態において、イオン対結合部分は、イオン対形成表面基と酸性対イオンとの間で形成される。ある特定の実施形態において、イオン対結合部分は、塩基性イオン対形成表面基と酸性対イオンとの間で形成される。さらに別の実施形態において、イオン対結合部分は、酸性イオン対形成表面基と塩基性対イオンとの間で形成される。特定の実施形態において、塩基性イオン対形成表面基は、窒素を含有する表面基である。さらに別の実施形態において、酸性対イオンは、スルホン酸対イオンである。
【0015】
別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、2つ以上の極性イオン対結合部分を含む。ある特定の実施形態において、イオン対結合部分は、両性イオン対を形成し、それによって、材料の表面上において正味荷電が中性になるように、対イオンなしの陽性および陰性荷電部分がもたらされる。
【0016】
一部の実施形態において、塩基性表面基は、ピリジニル部分を含む。別の実施形態において、塩基性表面基は、2−ピリジニル−エチレン部分を含む。さらに別の実施形態において、塩基性表面基は、以下の構造:
【0017】
【化1】
(式中、
各例のm、nおよびpは、独立して、0から18の整数であり;
各例のRおよびR
aは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンもしくはアニオン交換基、埋め込まれた極性官能基を含有するアルキルもしくはアリール基、またはキラル部分である。)
の1つの部分を含む。
【0018】
一部の実施形態において、酸性対イオンは、パラトルエンスルホン酸対イオンである。
【0019】
ある特定の実施形態において、イオン対結合部分に変換される、イオン対形成表面基の割合は、1%から100%;10%から100%;または25%から100%である。
【0020】
ある特定の実施形態において、共有結合している表面基:イオン対部分の比は、約1:350から約350:1;約1:200から約200:1;または約1:35から約35:1;1:4から約4:1;1:3から約3:1である。
【0021】
ある特定の実施形態において、共有結合している表面基:イオン対形成表面基の比は、1:350から約350:1;約1:200から約200:1;または約1:35から約35:1;1:4から約4:1;1:3から約3:1である。
【0022】
別の実施形態において、イオン対部分の濃度は、約10μmol/m
2未満;約2μmol/m
2未満;または約0.5μmol/m
2未満である。
【0023】
さらに別の実施形態において、イオン対部分の濃度は、約0.01μmol/m
2から約10μmol/m
2;約0.25μmol/m
2から約5μmol/m
2;または約0.5μmol/m
2から約2μmol/m
2である。
【0024】
さらに別の実施形態において、共有結合している表面基は、C4からC30結合相、芳香族、フェニルアルキル、フルオロ−芳香族、フェニルヘキシル、ペンタフルオロフェニルアルキルまたはキラル結合相である。特定の実施形態において、共有結合している表面基は、C18結合相である。別の特定の実施形態において、共有結合している表面基は、埋め込まれた極性結合相である。
【0025】
ある特定の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、クロマトグラフィーコア材料をさらに含む。一部の実施形態において、クロマトグラフィーコアは、シリカ材料;ハイブリッド無機/有機材料;表面多孔質材料;ハイブリッド表面層を有する無機材料、無機表面層を有するハイブリッド材料、または異なるハイブリッド表面層を有するハイブリッド材料である。
【0026】
ある特定の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、粒子の形態である。別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、モノリスの形態である。さらに別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、表面多孔質材料の形態である。
【0027】
一部の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料lは、クロマトグラフィーを向上させる細孔形状を有さない。別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、クロマトグラフィーを向上させる細孔形状を有する。
【0028】
特定の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、約25から1100m
2/g;約80から500m
2/g;または約120から330m
2/gの表面積を有する。
【0029】
さらに別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、約0.15から1.7cm
3/g;約0.5から1.3cm
3/g;または約110m
2/g未満の細孔体積を有する。
【0030】
別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、約105m2/g未満;約80m
2/g未満;または約50m
2/g未満の微小孔表面積を有する。
【0031】
さらに別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、約20から1500Å;約50から1000Å;約100から750Å;または約110から500Åの平均細孔径を有する。
【0032】
特定の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、約1から約14のpH;約10から約14のpH;または約1から約5のpHで加水分解に安定である。
【0033】
ある特定の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、表面修飾されている。特定の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、ポリマーを用いたコーティングにより表面修飾されている。別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、有機基およびシラノール基修飾の組合せで、ポリマーを用いたコーティングにより表面修飾されている。さらに別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、有機基修飾およびポリマーを用いたコーティングの組合せにより表面修飾されている。さらに別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、シラノール基修飾およびポリマーを用いたコーティングの組合せにより表面修飾されている。さらになお別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、材料の有機基と修飾試薬との間の有機共有結合の形成を介して表面修飾されている。さらなる実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、有機基修飾、シラノール基修飾およびポリマーを用いたコーティングの組合せにより表面修飾されている。
【0034】
一部の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、材料内に分散したナノ粒子または1種超のナノ粒子の混合物をさらに含む。ある特定の実施形態において、ナノ粒子は、ナノ複合材料の<20重量%で存在する;またはナノ複合材料の<5重量%で存在する。別の実施形態において、ナノ粒子は、結晶質または非晶質である。特定の実施形態において、ナノ粒子は、炭化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユウロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、これらの酸化物、およびこれらの窒化物からなる群から選択される、1つ以上の部分を含む物質である。さらに別の実施形態において、ナノ粒子は、ナノダイヤモンド、炭化ケイ素、二酸化チタン、立方窒化ホウ素からなる群から選択される1つ以上の部分を含む物質である。ある特定の実施形態において、ナノ粒子は、直径200nm以下;直径100nm以下;直径50nm以下または直径20nm以下である。
【0035】
別の態様において、本発明は、
a.遊離シラノール表面基を有するクロマトグラフィー材料を用意するステップ
b.シラノール表面基と、共有結合している表面修飾基とを反応させて、結合材料を得るステップ;および
c.生じた結合材料とイオン対試薬を反応させるステップ;
を含み、イオン対結合表面部分を有する高純度クロマトグラフィー材料を生成する、請求項2による高純度クロマトグラフィー材料を調製するための方法を提供する。
【0036】
本発明の方法のある特定の実施形態において、共有結合している表面修飾基は、塩基性表面修飾基である。特定の実施形態において、共有結合している表面修飾基は、窒素含有表面修飾基である。別の実施形態において、共有結合している表面修飾基は:
【0037】
【化2】
(式中:
各例のm、nおよびpは、独立して、0から18の整数であり;
各例のRおよびR
aは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンもしくはアニオン交換基、埋め込まれた極性官能基を含有するアルキルもしくはアリール基、またはキラル部分であり;
Zは、
【0038】
【化3】
、−OH、−OR
6、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、塩化アシル、トリフレート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカルボネート、NHS−エステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−Iを含む(がそれらに限定されない。)化学的反応基を表し;
R
1の各出現は、独立して、−H、−OH、−OR
6、ジアルキルアミン、トリフレート、Br、Cl、I、ビニル、アルケンまたは−(CH
2)
m”Qを含む(がそれらに限定されない。)ケイ素上の化学的反応基を表し;
Qの各出現は、−OH、−OR
6、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、塩化アシル、トリフレート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカルボネート、NHS−エステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−Iであり;
m”は1−8の整数であり、
pは1−3の整数であり;
R
1’の各出現は、独立して、F、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、C
2−C
18アルキニル、C
3−C
18シクロアルキル、C
1−C
18ヘテロシクロアルキル、C
5−C
18アリール、C
5−C
18アリールオキシまたはC
1−C
18ヘテロアリール、フルオロアルキルまたはフルオロアリールを表し;
R
6の各出現は、独立して、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C3−C18シクロアルキル、C1−C18ヘテロシクロアルキル、C5−C18アリール、C5−C18アリールオキシまたはC1−C18ヘテロアリールを表す)
から選択される。
【0039】
本発明の方法の別の実施形態において、イオン対試薬は酸性である。特定の実施形態において、イオン対試薬はパラ−トルエンスルホン酸である。
【0040】
本発明の方法のさらに別の実施形態において、この方法は、生じた材料を表面修飾するステップをさらに含む。本発明の方法の別の実施形態において、この方法は、生じたクロマトグラフィー材料に水熱処理を施すことをさらに含む。
【0041】
別の態様において、本発明は、本発明の高純度クロマトグラフィー材料を含む固定相を有する分離装置を提供する。ある特定の実施形態において、前記装置は、クロマトグラフカラム、薄層板、濾過膜、マイクロ流体分離装置、試料クリーンアップ装置、固相担体、マイクロチップ分離装置およびマイクロタイタープレートからなる群から選択される。別の実施形態において、分離装置は、固相抽出、高圧液体クロマトグラフィー、コンビナトリアル化学、合成、生物学的アッセイ、超高性能液体クロマトグラフィー、超高速液体クロマトグラフィー、超高圧液体クロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィーおよび質量分析からなる群から選択される用途に有用である。特定の実施形態において、分離装置は、超臨界流体クロマトグラフィーに有用である。
【0042】
さらに別の態様において、本発明は、
a)充填材料を収容するための円筒形内部を有するカラム、および
b)本発明の高純度クロマトグラフィー材料を含む充填クロマトグラフィーベッド
を含む、クロマトグラフカラムを提供する。
【0043】
さらに別の態様において、本発明は、本発明の高純度クロマトグラフィー材料を含むキットおよび使用説明書を提供する。一部の実施形態において、説明書は、分離装置に対して使用するためのものである。ある特定の実施形態において、分離装置は、クロマトグラフカラム、薄層板、マイクロ流体分離装置、濾過膜、試料クリーンアップ装置およびマイクロタイタープレートからなる群から選択される。特定の実施形態において、分離装置は、超臨界流体クロマトグラフィーに有用である。
【0044】
別の態様において、本発明は、
a)充填材料を収容するための内部チャネルおよび
b)本発明の高純度クロマトグラフィー材料を含む充填クロマトグラフィーベッド
を含む、クロマトグラフ装置を提供する。
【0045】
さらに別の態様において、本発明は:
a.)分離すべき試料を用意すること;
b.)本発明の高純度クロマトグラフィー材料を用意すること;
c.)超臨界流体条件下で高純度クロマトグラフィー材料を使用して、試料を分離すること
を含む、超臨界流体クロマトグラフィーを使用した試料を分離するための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、例えば、クロマトグラフィー分離のための新規なクロマトグラフィー材料、それを調製するための方法、およびクロマトグラフィー材料を含有する分離装置を提供する。本発明は、以下に明記されている定義への言及で、より完全に例証されることになる。
【0048】
定義
「高純度」または「高純度クロマトグラフィー材料」は、高純度の前駆体から調製される材料を含む。ある特定の態様において、高純度の材料は、低い金属汚染度、ならびに/または、これらに限定されないが、表面シラノールの酸度および表面の不均質性を含む、損なわれていないクロマトグラフの性質を有する。
【0049】
「クロマトグラフィー表面」は、試料のクロマトグラフィー分離のために設けられている表面を含む。ある特定の態様において、クロマトグラフィー表面は、多孔質である。一部の態様において、クロマトグラフィー表面は、粒子、表面多孔質材料またはモノリスの表面であってよい。ある特定の態様において、クロマトグラフィー表面は、クロマトグラフィー分離中に組み合わせて使用される1種以上の粒子、表面多孔質材料またはモノリスの表面で構成される。ある特定の別の態様において、クロマトグラフィー表面は、非多孔質である。
【0050】
「イオン対形成表面基」は、電子供与基または電子求引基を保有する官能基を含む。ある特定の態様において、イオン対形成部分は、カルボン酸基、アミノ基、イミド基、アミド基、ピリジル基、イミダゾリル基、ウレイド基、チオニル−ウレイド基もしくはアミノシラン基またはこれらの組合せの1つ以上を含有する。別の態様において、イオン対形成部分は、遊離孤立電子対を有する窒素またはリン原子を保有する基を含有する。ある特定の態様において、イオン対形成部分は、材料の表面に共有結合で付着しており、イオン性基を有する。いくつかの例において、イオン対形成部分は、表面ハイブリッド基の化学修飾によりクロマトグラフィー材料に付着している。
【0051】
本明細書で使用されている、「イオン対結合部分」という用語は、イオン対を保有する官能基を表し、その結果、この部分の正味荷電がゼロになる。ある特定の態様において、イオン対結合部分は、クロマトグラフィー材料の表面上における、イオン対形成表面基のイオン化により形成される。ある特定の態様において、イオン対結合部分は、酸との反応により形成される。別の態様において、イオン対結合部分は、塩基との反応により形成される。
【0052】
「共有結合している表面基」は、共有結合を呈するクロマトグラフィー表面上の表面基を含む。ある特定の態様において、共有結合している基は、C4からC18結合相のような炭素結合相であり得る。別の態様において、共有結合している表面基は、埋め込まれた極性基を含有し、その結果、共有結合している表面の外部は、共有結合性を維持し得る。いくつかの例において、これは、表面ハイブリッド基の化学修飾によりクロマトグラフィー材料に付着される。別の例において、共有結合されている基は、C4−C30、埋め込まれた極性、キラル、フェニルアルキルまたはペンタフルオロフェニル結合およびコーティングであってよい。
【0053】
「クロマトグラフィーコア」は、本明細書で定義されているシリカまたはハイブリッド材料のような無機材料を含むが、それらに限定されないクロマトグラフィー材料を、粒子、モノリスまたは、本発明の材料の内部を形成する別の適切な構造の形態で含む。ある特定の態様において、クロマトグラフィーコアの表面は、本明細書で定義されているクロマトグラフィー表面を表し、または、本明細書で定義されているクロマトグラフィー表面により覆われている材料を表す。クロマトグラフィー表面材料は、不連続もしくは別個の継ぎ目が認識されるように、クロマトグラフィーコア上に配置され得る、もしくはそれに結合され得る、もしくはそれに焼きなまされ得る、または、クロマトグラフィーコアの表面との混和により材料の漸次的変化が生じるようにかつ内部コア表面が不連続にならないように、クロマトグラフィーコアに結合され得る。ある特定の実施形態において、クロマトグラフィー表面材料は、クロマトグラフィーコアの材料と同一であっても異なっていてもよく、細孔体積、表面積、平均細孔径、炭素含有量または加水分解pH安定性を含むがそれらに限定されない、クロマトグラフィーコアとは異なる物理的または生理化学的性質を呈し得る。
【0054】
「ハイブリッド無機/有機材料」を含む「ハイブリッド」は、有機官能基が、内部または「骨格」無機構造、およびハイブリッド材料表面の両方に一体化した、無機ベース構造を含む。ハイブリッド材料の無機部分は、例えば、アルミナ、シリカ、チタン、セリウムもしくはジルコニウムまたはこれらの酸化物またはセラミック材料であってよい。「ハイブリッド」は、有機官能基が、内部または「骨格」無機構造、およびハイブリッド材料表面の両方に一体化した、無機ベース構造を含む。上記のように、例示的なハイブリッド材料は、米国特許第4,017,528号、同第6,528,167号、同第6,686,035号および同第7,175,913号に示されている。
【0055】
「脂環式基」という用語は、3個以上の炭素原子の閉環構造を含む。脂環式基は、飽和環状炭化水素であるシクロパラフィンまたはナフテン、2つ以上の二重結合を有する不飽和であるシクロオレフィン、および三重結合を有するシクロアセチレンを含む。これらは、芳香族基を含まない。シクロパラフィンの例は、シクロプロパン、シクロヘキサンおよびシクロペンタンを含む。シクロオレフィンの例は、シクロペンタジエンおよびシクロオクタテトラエンを含む。脂環式基は、縮合環構造、およびアルキル置換脂環式基のような置換脂環式基も含む。脂環式の例において、そのような置換基は、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF3、−CNなどをさらに含み得る。
【0056】
「脂肪族基」という用語は、典型的には1から22個の間の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖を特徴とする有機化合物を含む。脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基を含む。複雑な構造では、鎖は、分岐していることも架橋していることもある。アルキル基は、直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基を含めた1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を含む。そのような炭化水素部分は、1個以上の炭素上において、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アミノ、アルコキシ、アルキルカルボキシ、アルキルチオまたはニトロ基で置換されていてよい。炭素の数が特に指定されない限り、本明細書で使用されている「低級脂肪族」は、上で定義されているが、1から6個の炭素原子を有する脂肪族基(例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル)を意味する。そのような低級脂肪族基、例えば低級アルキル基の代表例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−クロロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−アミノブチル、イソブチル、tert−ブチル、3−チオペンチルなどである。本明細書で使用されている、「ニトロ」という用語は、−NO2を意味し;「ハロゲン」という用語は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを指し;「チオール」という用語は、SHを意味し;「ヒドロキシル」という用語は、−OHを意味する。したがって、本明細書で使用されている「アルキルアミノ」という用語は、上で定義されており、自らに付着しているアミノ基を有するアルキル基を意味する。適切なアルキルアミノ基は、1から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基を含む。「アルキルチオ」という用語は、上で定義されており、それらに付着しているスルフヒドリル基を有するアルキル基を指す。適切なアルキルチオ基は、1から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基を含む。本明細書で使用されている「アルキルカルボキシル」という用語は、上で定義されており、それらに付着しているカルボキシル基を有するアルキル基を意味する。本明細書で使用されている「アルコキシ」という用語は、上で定義されており、それらに付着している酸素原子を有するアルキル基を意味する。代表的なアルコキシ基は、1から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどを含む。「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、アルキルに類似しているが、少なくとも1つの二重または三重結合をそれぞれ含有する不飽和脂肪族基を指す。適切なアルケニルおよびアルキニル基は、2から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基を含む。
【0057】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含めた飽和脂肪族基を含む。ある特定の実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、骨格に30個以下の炭素原子を有し、例えば直鎖ではC1−C30、または分岐鎖ではC3−C30である。ある特定の実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、骨格に20個以下の炭素原子を有し、例えば、直鎖ではC1−C20、または分岐鎖ではC3−C20であり、より好ましくは18個以下である。同様に、好ましいシクロアルキルは、これらの環構造に4−10個の炭素原子を有し、より好ましくは環構造に4−7個の炭素原子を有する。「低級アルキル」という用語は、鎖中に1から6個の炭素を有するアルキル基を指し、環構造中に3から6個の炭素を有するシクロアルキルを指す。
【0058】
さらに、本明細書および特許請求の範囲を通じて使用される「アルキル」という用語(「低級アルキル」を含む。)は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含み、その後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上で、水素を置き換える置換基を有するアルキル部分を指す。そのような置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む。)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む。)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アラルキルまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含み得る。炭化水素鎖上の置換されている部分は、適切であればそれ自体が置換されてよいことは、当業者には理解されるであろう。シクロアルキルは、例えば、上記の置換基でさらに置換されていてよい。「アラルキル」部分は、例えば、1から3個の別個の環、または縮合環、および6から約18個の炭素環原子を有するアリール、例えば、フェニルメチル(ベンジル)で置換されているアルキルである。
【0059】
本明細書で使用されている「アミノ」という用語は、式−NRaRb(式中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリールもしくはヘテロシクリルであり、またはRaおよびRbは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、環中に3から8個の原子を有する環状部分を形成する。)の非置換または置換部分を指す。したがって、「アミノ」という用語は、特に指定のない限り、ピペリジニルまたはピロリジニル基のような環状アミノ部分を含む。「アミノ置換アミノ基」は、RaおよびRbの少なくとも1つが、アミノ基でさらに置換されるアミノ基を指す。
【0060】
「芳香族基」という用語は、1個以上の環を含有する不飽和環状炭化水素を含む。芳香族基は、0から4個のヘテロ原子を含み得る5−および6−員の単環基、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどを含む。芳香族環は、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF3、−CNなどで、1つ以上の環位置において置換され得る。
【0061】
「アリール」という用語は、0から4個のヘテロ原子を含み得る5−および6−員の単環芳香族基、例えば、非置換または置換ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどを含む。アリール基は、ナフチル、キノリル、インドリルなどのような多環式縮合芳香族基も含む。芳香族環は、1つ以上の環位置において、例えば、アルキル基について上に記載したような置換基で置換されていてよい。適切なアリール基は、非置換および置換フェニル基を含む。本明細書で使用されている「アリールオキシ」という用語は、上で定義されており、それらに付着している酸素原子を有するアリール基を意味する。本明細書で使用されている「アラルコキシ」という用語は、上で定義されており、それらに付着している酸素原子を有するアラルキル基を意味する。適切なアラルコキシ基は、1から3個の別個の環、または縮合環、および6から約18個の炭素環原子を有し、例えば、O−ベンジルである。
【0062】
「セラミック前駆体」という用語は、セラミック材料の形成を引き起こす任意の化合物を含むよう意図されている。
【0063】
「キラル部分」という用語は、キラル合成または立体選択的合成を可能にする任意の官能基を含むよう意図されている。キラル部分は、少なくとも1つのキラル中心を有する置換基、天然および非天然アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質、誘導体化セルロース、大環状抗生物質、シクロデキストリン、クラウンエーテルならびに金属錯体を含むが、それらに限定されない。
【0064】
「埋め込まれた極性官能基」という用語は、シリカ表面上における未反応のシラノール基の遮蔽による塩基性試料との相互作用が低減するように、一体となった極性部分を提供する官能基である。埋め込まれた極性官能基は、米国特許第5,374,755号で開示されているような、カルボネート、アミド、尿素、エーテル、チオエーテル、スルフィニル、スルホキシド、スルホニル、チオ尿素、チオカルボネート、チオカルバメート、エチレングリコール、ヘテロ環式、トリアゾール官能基またはカルバメート官能基、およびキラル部分を含むが、それらに限定されない。
【0065】
「クロマトグラフィーを向上させる細孔形状」という語は、例えば、当業界で他のクロマトグラフィー媒体と区別されるように、材料のクロマトグラフィー分離能力を向上させることが見出されている、現在開示されている材料の細孔構造の形状を含む。例えば、材料のクロマトグラフィー分離能力が、例として当業界で公知のまたは従来使用されていた形状と比較して、「向上している」か否かを決定するために、形状は形成でき、選択でき、または構築でき、様々な性質および/または因子が使用できる。これらの因子の例は、(例えば、バンドの広がりの低減および良好なピーク形状から明らかなように)高い分離効率、より長いカラム寿命および高い物質移動性を含む。これらの性質は、当業界で認識されている技術を使用して、測定または観察できる。例えば、本多孔質無機/有機ハイブリッド材料のクロマトグラフィーを向上させる細孔形状は、「インクボトル」または「シェル形」細孔形状または形態をもたないことから、従来技術の材料と区別され、このいずれも、例えば、物質移動速度を低減し、効率を低くするため、望ましくない。
【0066】
クロマトグラフィーを向上させる細孔形状は、小集団の微小孔のみを含有するハイブリッド材料で見出される。小集団の微小孔は、直径約<34Åの細孔すべてが、材料の比表面積に対して約110m
2/g未満にする場合に、ハイブリッド材料で達成される。そのような微小孔表面積(MSA)が小さいハイブリッド材料は、(例えば、バンドの広がりの低減および良好なピーク形状から明らかなように)高い分離効率および良好な物質移動性を含むクロマトグラフィーを向上させる。微小孔表面積(MSA)は、BJH法を使用した等温線の吸着レッグ(adsorption leg)から多点窒素収着分析(multipoint nitrogen sorption analysis)により決定された、直径34Å以下の細孔における表面積と定義される。本明細書で使用されている、「MSA」および「MPA」という頭字語は、「微小孔表面積」を表すために互換的に使用される。
【0067】
「機能付与基」という用語は、特定のクロマトグラフィー機能をクロマトグラフ固定相に付与する有機官能基を含む。
【0068】
「ヘテロ環式基」という用語は、閉環構造を含み、この構造では、環中における1個以上の原子は炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄または酸素である。ヘテロ環式基は、飽和であっても不飽和であってもよく、ピロールおよびフランのようなヘテロ環式基は、芳香族性を有していてよい。これらは、キノリンおよびイソキノリンのような縮合環構造を含む。ヘテロ環式基の他の例は、ピリジンおよびプリンを含む。ヘテロ環式基はまた、1個以上の構成原子において、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF3、−CNなどで置換されていてもよい。適切なヘテロ芳香族およびヘテロ脂環式基は、一般的に、環1個につき3から約8員、および1個以上のN、OまたはS原子を有する、1から3個の別個の環、または縮合環、例えばクマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノおよびピロリジニルを有する。
【0069】
「金属酸化物前駆体」という用語は、金属を含有し、金属酸化物、例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウムを形成させる任意の化合物を含むように意図されている。
【0070】
「モノリス」という用語は、ベッド形態中に充填されている個々の粒子の収集を含み、ここで個々の粒子の形状および形態が維持されるように意図されている。粒子は、有利には、粒子を一緒に結合する材料を使用して充填される。例えば、ジビニルベンゼン、メタクリレート、ウレタン、アルケン、アルキン、アミン、アミド、イソシアネートまたはエポキシ基の直鎖状または架橋ポリマー、ならびにオルガノアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、ポリオルガノアルコキシシロキサン、ポリエトキシシロキサンおよびセラミック前駆体の縮合反応物のような、当業界で周知の任意の数の結合材料が使用できる。ある特定の実施形態において、「モノリス」という用語は、米国特許第7,250,214号で詳述されているハイブリッドモノリスのような他の方法により作られるハイブリッドモノリス;0−99モルパーセントのシリカ(例えば、SiO
2)を含有する、1つ以上のモノマーの縮合から調製されるハイブリッドモノリス;合体した多孔質無機/有機粒子から調製されるハイブリッドモノリス;クロマトグラフィーを向上させる細孔形状を有するハイブリッドモノリス;クロマトグラフィーを向上させる細孔形状を有さないハイブリッドモノリス;規則的な細孔構造を有するハイブリッドモノリス;非周期的な細孔構造を有するハイブリッドモノリス;非結晶質または非晶質分子規則を有するハイブリッドモノリス;結晶ドメインまたは領域を有するハイブリッドモノリス;多彩な大孔およびメソ細孔性を有するハイブリッドモノリス;ならびに多彩な態様比のハイブリッドモノリスも含む。ある特定の実施形態において、「モノリス」という用語は、G.Guiochon/J.Chromatogr.A 1168(2007)101−168頁に記載されているもののような無機モノリスも含む。
【0071】
「ナノ粒子」という用語は、少なくとも1つの寸法が約100nm未満、例えば、直径または粒子の厚さが約100nm(0.1mm)未満であり、結晶質であっても非結晶質であってもよい粉末/ナノ粉末の顕微鏡的粒子/微粒または顕微鏡的部材である。ナノ粒子は、従来のバルク材料のものと異なる性質を有し、例えば、より高い強度、硬度、延性、焼結性、とりわけより高い反応性を含めて、それらより優れていることが多い。ナノ材料の性質を決定するために重要な科学的試験に注力され続けており、コロイド沈殿、機械的すり潰しならびに気相核生成および成長を含むいくつかのプロセスにより、少量が(主にナノサイズ粉末として。)合成されている。ナノ相材料の最近の開発は、大規模な検討により文書化されており、それらを参照により本明細書に組み込む:Gleiter,H.(1989)「Nano−crystalline materials」Prog.Mater.Sci.33:223−315頁およびSiegel,R.W.(1993)「Synthesis and properties of nano−phase materials」Mater.Sci.Eng.A168:189−197頁。ある特定の実施形態において、ナノ粒子は、以下の酸化物または窒化物:炭化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユウロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素およびこれらの混合物を含む。ある特定の実施形態において、本発明のナノ粒子は、ダイヤモンド、酸化ジルコニウム(非晶質、単斜晶系、正方晶系および立方晶系)、酸化チタン(非晶質、アナターゼ型、ブルッカイト型およびルチル型)、アルミニウム(非晶質、アルファおよびガンマ型)ならびに窒化ホウ素(立方晶系)から選択される。特定の実施形態において、本発明のナノ粒子は、ナノダイヤモンド、炭化ケイ素、二酸化チタン(アナターゼ型)、立方窒化ホウ素およびこれらの任意の組合せから選択される。さらに、特定の実施形態において、ナノ粒子は、結晶質であっても非晶質であってもよい。特定の実施形態において、ナノ粒子は、直径100mm以下、例えば直径50mm以下、例えば直径20mm以下である。
【0072】
さらに、本発明の複合材料内に分散していることを特徴とするナノ粒子は、外部から添加されたナノ粒子について説明するよう意図されていることは理解されるべきである。これは、in situで形成することが可能なナノ粒子、または推定ナノ粒子との有意類似性を含有する形態と対照的であり、例えば、粒子のような高分子構造は、これらの内部で生み出された凝集を含み得る。
【0073】
「実質的に不規則」という用語は、X線粉末回折分析に基づく細孔の規則性がないことを指す。具体的には、「実質的に不規則」は、X線回折パターンにおける少なくとも1nmのd値(またはd間隔)に対応する回折角度でのピークがないことにより定義されている。
【0074】
「表面修飾剤」は、(典型的には)特定のクロマトグラフィーの機能をクロマトグラフ固定相に付与する有機官能基を含む。多孔質無機/有機ハイブリッド材料は、表面修飾剤でさらに置換または誘導体化され得る有機基およびシラノール基の両方を所有する。
【0075】
「表面修飾されている」という語は、本明細書では、表面修飾剤でさらに置換または誘導体化され得る有機基およびシラノール基の両方を所有する本発明の複合材料について説明するために使用される。「表面修飾剤」は、(典型的には)特定のクロマトグラフィーの機能をクロマトグラフ固定相に付与する有機官能基を含む。本明細書で開示されているような表面修飾剤は、例えば、誘導体化またはコーティングにより基材に付着させ、その後架橋させ、表面修飾剤の化学的性質を基材に付与する。一実施形態において、ハイブリッド材料の有機基は、表面修飾剤と反応して有機共有結合を形成する。修飾剤は、求核性、求電子性、付加環化、遊離基、カルベン、ニトレンおよびカルボカチオン反応を含むが、それらに限定されない有機およびポリマー化学における周知のいくつかの機構により、材料の有機基への有機共有結合を形成できる。有機共有結合は、水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄およびハロゲンを含むが、それらに限定されない有機化学の一般的な元素間における共有結合の形成を伴うと定義されている。さらに、炭素−ケイ素および炭素−酸素−ケイ素結合は、有機共有結合と定義される一方、ケイ素−酸素−ケイ素結合は有機共有結合と定義されない。多彩な合成変換は、文献で周知であり、例えば、March,J.Advanced Organic Chemistry、第3版、Wiley、New York、1985を参照されたい。
【0076】
「高分子」という用語は、ポリマー、例えば、DNA、RNA、タンパク質、脂質および多糖のようなオリゴマーを含むが、小さい有機分子(典型的には500Da以下の分子量を有する。)は除く。例示的な高分子は、ペプチド、ホスホペプチド、ポリペプチド、グリコペプチド、タンパク質、糖タンパク質、抗体、リンタンパク質、核酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、リン脂質、合成または天然ポリマーおよびこれらの混合物を含む。ある特定の実施形態において、高分子は、インスリンまたはこの誘導体ではない。ある特定の別の実施形態において、タンパク質は、酵素、ホルモン、運搬タンパク質、免疫グロブリンもしくは抗体、構造タンパク質、運動タンパク質、受容体タンパク質、シグナル伝達タンパク質、保存タンパク質、またはこれらの混合物である。
【0077】
「官能基化されている高分子」という用語は、官能基を有する高分子を含む。官能基化されている高分子は、多彩な科学、生化学および臨床計画においては、「対象分析物」と呼ばれることが多い。
【0078】
「官能基」という用語は、化合物の化学的、形態学的、生理学的、生化学的または環境的挙動に関与する1個以上の原子の特定の構造を指す。高分子の1個以上の原子、例えば、炭素および/または水素原子は、官能基で置換して、官能基化された高分子を得ることができる。したがって、このようにして官能基化されている高分子は、例えば、アミン、カルボン酸、ホスホネート、スルホネート、シアリレートなどを含む官能基を有する。本発明による例示的な官能基化されている高分子は、高度に酸性の側鎖を含有する化合物、またはホスフェート基、スルホネート基もしくはシアリレート基を含む。
【0079】
本発明による官能基化されている高分子は、試料、例えば、生物学的試料中で見出される他の化合物と異なる官能基を有する。例えば、ホスホペプチドおよび天然ペプチドを含む試料中では、官能基化されている高分子は、ホスホペプチドである。官能基化されている高分子のさらなる例は、ホスホペプチド、シアル化グリコペプチド、スルホン酸化ペプチド、スルホン酸化ペプチド、スルホン酸化グリコペプチド、ホスホオリゴヌクレオチドおよびリン脂質を含むが、それらに限定されない。ある特定の実施形態において、官能基化されている高分子は、1つ以上の同位体標識を有する高分子を含む。ある特定の別の実施形態において、ペプチドまたはタンパク質は、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化、ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化、グリピエーション、グリコシルホスファチジルイノシトール、リポイル化、フラビン部分付着、ヘム付着、ホスホパンテテイニル化、ジフタミド形成、エタノールアミンホスホグリセロール付着、ヒプシン形成、アシル化、アセチル化、ホルミル化、アルキル化、メチル化、アミド結合形成、アミノ酸添加、アルギニル化、ポリグルタミル化、ポリグリシル化、ブチリル化、カルボキシル化、グリコシル化、糖化、ポリシアル化、マロニル化、脱メチル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、リボシル化、酸化、リン酸エステル、ホスホロアミデート形成、リン酸化、アデニリル化、プロピオニル化、ピログルタメート形成、グルタチオン化、ニトロシル化、サクシニル化、硫酸化、セレノイル化、ビオチン化、ペグ化、ISG化、SUMO化、ユビキチン化、Nedd化、Pup化、シトルリン化、脱イミノ化、脱アミド化、エリミニル化、脱水、エポキシ化、カルバミル化、ジスルフィド架橋形成、タンパク質分解切断、ラセミ化、クリック基付着(Click−group attachment)、マイケル付加付着、シッフ塩基形成またはこれらの混合により官能基化されている。
【0080】
「母試料」という用語は、血液、尿、脳脊髄液、滑液、痰、精液、唾液、涙液、胃液ならびにこれらの抽出物および/または希釈物/溶液からなる群から選択される、生物学的流体に由来する試料を含むが、それらに限定されない1つ以上の高分子を含む任意の試料を含み、これは、本発明の材料および方法により単離、分離、精製または検出するための試料を得る前に、クロマトグラフィーまたは他の分離手段にかけられる。
【0081】
「クロマトグラフィー分離装置」という用語は、クロマトグラフカラム、薄層板、濾過膜、マイクロ流体分離装置、試料クリーンアップ装置、固相担体、固相抽出装置、マイクロチップ分離装置およびマイクロタイタープレートを含むが、それらに限定されないクロマトグラフィー分離を行うことが可能な任意の装置を含む。
【0082】
「二次クロマトグラフィー分離手段」という用語は、クロマトグラフィー分離装置およびクロマトグラフィー分離装置により含まれるクロマトグラフィー材料を含む。ある特定の実施形態において、二次クロマトグラフィー分離手段は、本発明の方法に利用されるクロマトグラフィー分離装置以外の、別のまたは追加のクロマトグラフィー分離装置である。別の実施形態において、二次クロマトグラフィー分離手段は、本発明の方法に利用される同クロマトグラフィー分離装置に収められている、別のまたは追加のクロマトグラフィー材料である。
【0083】
クロマトグラフィー表面材料
本発明は、クロマトグラフィー表面を含む高純度クロマトグラフィー材料(HPCM)を提供し、クロマトグラフィー表面は、イオン対結合部分を含む。ある特定の態様において、HPCMのクロマトグラフィー表面は、共有結合している表面基も含む。ある特定の態様において、共有結合している表面基は、疎水性表面基である。
【0084】
ある特定の態様において、HPCMは、クロマトグラフィーコア材料をさらに含むことができる。一部の態様において、クロマトグラフィーコアは、シリカ材料;ハイブリッド無機/有機材料;表面多孔質材料;または表面多孔質粒子である。クロマトグラフィーコア材料は、離散粒子の形態であってもモノリスの形態であってもよい。クロマトグラフィーコア材料は、いずれの多孔質材料であってよく、市販であっても、公知の方法、例えば、米国特許第4,017,528号、同第6,528,167号、同第6,686,035号および同第7,175,913号に記載されている方法のようなものにより生成されてもよい。一部の実施形態において、クロマトグラフィーコア材料は、非多孔質コアであってよい。
【0085】
一部の実施形態において、コア材料は、本質的に、シリカ材料からなる。任意選択的に、コア材料は、本質的に、有機−無機ハイブリッド材料または表面多孔質材料からなる。1つ以上の実施形態において、コア材料は、本質的に、ハイブリッド表面層を有する無機材料、無機表面層を有するハイブリッド材料、周囲のハイブリッド層または異なるハイブリッド表面層を有するハイブリッド材料からなる。固定相材料は、任意選択的に、複数の粒子、モノリスまたは表面多孔質材料の形態であってよい。一部の実施形態においては、固定相材料は、クロマトグラフィーを向上させる細孔形状を有さない一方、別の実施形態においては、固定相材料はクロマトグラフィーを向上させる細孔形状を有する。固定相材料は、球状材料、非球状材料(例えば環状体、多面体を含む。)の形態であってよい。ある特定の実施形態において、固定相材料は、高度に球状のコア形態、棒状コア形態、曲棒状コア形態、環状体状コア形態;またはダンベル状コア形態を有する。ある特定の実施形態において、固定相材料は、高度に球状、棒状、曲棒状、環状体状またはダンベル状形態の混合物を有する。
【0086】
クロマトグラフィー表面材料およびクロマトグラフィーコア材料(存在する場合)の組成は、クロマトグラフィー選択性を向上させ、カラムの化学的安定性を向上させ、カラム効率を向上させ、および/または機械的強度を向上させるために、当業者により変動させることができる。同様に、周囲の材料の組成により、親水性/親油性均衡(HLB)、表面電荷(例えば、等電点またはシラノールpKa)、および/またはクロマトグラフィー分離を向上させるための表面官能性が変化する。さらに、一部の実施形態において、クロマトグラフィー材料の組成は、さらなる表面修飾のために利用できる表面官能性も示し得る。
【0087】
本発明のHPCMのイオン対結合部分および共有結合している表面基は、公知の方法を使用して調製できる。イオン対結合部分を調製するために使用される試薬の一部は、市販されている。例えばアミノアルキルトリアルコキシシラン、メチルアミノアルキルトリアルコキシシランおよびピリジルアルキルトリアルコキシシランを有するシランは市販されている。クロロプロピルアルキルトリクロロシランおよびクロロプロピルアルキルトリアルコキシシランのような他のシランも市販されている。これらは、イミダゾールと結合および反応して、イミダゾリルアルキルシリル表面化学種を生み出すことができる、または、ピリジンと結合および反応して、ピリジルアルキルシリル表面化学種を生み出すことができる。スルホプロピルトリシラノール、カルボキシエチルシラントリオール、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、n−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、三酢酸、(2−ジエチルホスファトエチル)トリエトキシシラン、2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン、および2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシランを含むが、それらに限定されない他の酸性修飾剤も市販されている。
【0088】
イオン対結合部分により、シラン上の塩基性セレクターと酸との間、またはシラン上の酸性セレクターと塩基との間で、ある程度不変な相互作用が生じる。この状態は、系に水がないためただ存在するのみである。クロマトグラフィーは水を添加することにより変化し、この相互作用は本質的に排除され得る。したがって、特許請求されている発明のクロマトグラフィー材料は、無水である、または実質的に水を含まない。
【0089】
グリニャール反応およびヒドロシリル化を含めて、一般的な合成プロトコールを使用してこれらのタイプのシランを合成することは、当業者に公知である。生成物は、クロマトグラフィー、再結晶化または蒸留により精製できる。
【0090】
イソシアネートのような他の添加剤も、市販されている、または当業者により合成できる。イソシアネートを形成する一般的なプロトコールは、第一級アミンとホスゲン、またはトリホスゲンとして知られている試薬の反応である。
【0091】
一部の実施形態において、イオン対結合部分は極性である。
【0092】
別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、2つ以上の極性イオン対結合部分を含む。ある特定の実施形態において、イオン対結合部分は、両性イオン対を形成し、それによって、材料の表面上において正味荷電が中性になるように、対イオンなしの陽性および陰性荷電部分がもたらされる。
【0093】
ある特定の実施形態において、イオン対結合部分は、イオン対形成表面基と酸性対イオンとの間で形成される。ある特定の実施形態において、イオン対結合部分は、塩基性イオン対形成表面基と酸性対イオンとの間で形成される。さらに別の実施形態において、イオン対結合部分は、酸性イオン対形成表面基と塩基性対イオンとの間で形成される。特定の実施形態において、塩基性イオン対形成表面基は、窒素を含有する表面基である。さらに別の実施形態において、酸性対イオンはスルホン酸対イオンである。
【0094】
特定の実施形態において、イオン対結合部分の量を調整して、望ましいピーク形状を生成できる。具体的には、イオン対部分は、特定の分析者が対応する(fronting)ことを可能にするように、より塩基性、またはより酸性であってよい。
【0095】
一部の実施形態において、イオン対形成表面基は、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、アミノ基、イミド基、アミド基、ピリジル基、イミダゾリル基、ウレイド基、チオニル−ウレイド基またはアミノシラン基を含有する。
【0096】
別の態様において、イオン対形成表面基は、式:
【0097】
【化4】
(式中、
各例のm、nおよびpは、独立して、0から18の整数であり;
各例のRおよびR
aは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンもしくはアニオン交換基、埋め込まれた極性官能基を含有するアルキルもしくはアリール基、またはキラル部分である。)
から選択され得る。
【0098】
別の態様において、共有結合している/イオン対形成表面基は、WO2013/173494;WO2013/173501;WO2011/017418;US2012−0273404;または2013年1月25日に出願されている米国特許出願第13/750,511号に記載されているものであってよく、これらの開示のそれぞれを参照により本明細書に組み込む。
【0099】
ある特定の実施形態において、イオン対結合部分に変換される、イオン対形成表面基の割合は、1%から100%;10%から100%;または25%から100%である。
【0100】
ある特定の実施形態において、共有結合している表面基:イオン対部分の比は、約2.5:1から約350:1;約3:1から約200:1;または約4:1から約35:1である。
【0101】
ある特定の実施形態において、共有結合している表面基:イオン対部分の比は、約1:2.5から約1:350;約1:3から約1:200;または約1:4から約1:35である。ある特定の実施形態において、本発明のHPCMは、共有結合している表面基を一切含まない。
【0102】
別の実施形態において、イオン対部分の濃度は、約10μmol/m
2未満;約2μmol/m
2未満;または約0.5μmol/m
2未満である。
【0103】
さらに別の実施形態において、イオン対部分の濃度は、約0.01μmol/m
2から約10μmol/m
2;約0.25μmol/m
2から約5μmol/m
2;または約0.5μmol/m
2から約2μmol/m
2である。
【0104】
さらに別の態様において、本発明のHPCMは、約2.5から約300の定量化表面被覆率比B/Aを有し、Aはイオン対結合部分を表し、Bは共有結合基を表す。ある特定の態様において、定量化表面被覆率比B/Aは、約3から約200、約4から約35または約5から約22である。
【0105】
別の態様において、本発明のHPCMの共有結合している表面基は、C4からC18結合相である。ある特定の態様において、共有結合している表面基は、C18結合相である。さらに別の態様において、共有結合している表面基は、埋め込まれた極性結合相である。別の態様において、共有結合している表面基は、芳香族、フェニルアルキル、フルオロ−芳香族、フェニルヘキシルまたはペンタフルオロフェニルアルキル結合相である。別の態様において、共有結合している表面基は、C
4−C
30、埋め込まれた極性、キラル、フェニルアルキルもしくはペンタフルオロフェニル結合またはコーティングである。
【0106】
ある特定の実施形態において、本発明のHPCMは、粒子、モノリスまたは表面多孔質材料の形態であってよい。ある特定の別の態様において、本発明のHPCMは、非多孔質材料である。
【0107】
ある特定の態様において、本発明のHPCMは、無機材料(例えばシリカ)、ハイブリッド有機/無機材料、ハイブリッド表面層を有する無機材料(例えばシリカ)、無機(例えばシリカ)表面層を有するハイブリッド粒子、または異なるハイブリッド表面層を有するハイブリッド粒子であってよい。
【0108】
一実施形態において、本発明のHPCMは、クロマトグラフィーを向上させる細孔形状を有さない。別の実施形態において、本発明のHPCMは、クロマトグラフィーを向上させる細孔形状を有する。
【0109】
ある特定の実施形態において、本発明のHPCMは、約25から1100m
2/g;約80から500m
2/g;または約120から330m
2/gの表面積を有する。
【0110】
別の実施形態において、本発明のHPCMは、約0.15から1.7cm
3/g;または約0.5から1.3cm
3/gの細孔体積を有する。
【0111】
ある特定の別の実施形態において、本発明のHPCMは、非多孔質である。
【0112】
さらに別の実施形態において、本発明のHPCMは、約110m
2/g未満;約105m
2/g未満;約80m
2/g未満;または約50m
2/g未満の微小孔表面積を有する。
【0113】
さらになお別の実施形態において、本発明のHPCMは、約20から1500Å;約50から1000Å;約100から750Å;または約150から500Åの平均細孔径を有する。
【0114】
別の実施形態において、本発明のHPCMは、約1から約14のpHで;約10から約14のpHで;または約1から約5のpHで加水分解に安定である。
【0115】
別の態様において、本発明は、HPCM材料が、クロマトグラフィー表面内に分散しているナノ粒子または1種超のナノ粒子の混合物をさらに含む、本明細書に記載されている材料を提供する。
【0116】
ある特定の実施形態において、ナノ粒子は、ナノ複合材料の<20重量%、ナノ複合材料の<10重量%またはナノ複合材料の<5重量%で存在する。
【0117】
別の実施形態において、ナノ粒子は、結晶質または非晶質であり、炭化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユウロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、これらの酸化物またはこれらの窒化物であってよい。特定の実施形態において、ナノ粒子は、ナノダイヤモンド、炭化ケイ素、二酸化チタンおよび立方窒化ホウ素からなる群から選択される1つ以上の部分を含む物質である。
【0118】
別の実施形態において、ナノ粒子は、直径200nm以下、直径100nm以下、直径50nm以下または直径20nm以下であってよい。
【0119】
表面修飾
本発明のHPCM材料は、さらに表面修飾されていてよい。
【0120】
したがって、一実施形態において、本明細書に記載されている材料は、式Za(R’)bSi−R”(式中、Z=Cl、Br、I、C
1−C
5アルコキシ、ジアルキルアミノまたはトリフルオロメタンスルホネートであり;aおよびbは、それぞれ、0から3の整数であるが、但し、a+b=3であることが条件であり;R’はC
1−C
6直鎖状、環状または分岐アルキル基であり、R”は機能付与基である。)を有する表面修飾剤で表面修飾されていてよい。
【0121】
別の実施形態において、材料は、ポリマーを用いたコーティングにより表面修飾されている。
【0122】
ある特定の実施形態において、R’は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルからなる群から選択される。別の実施形態において、R’は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンまたはアニオン交換基、埋め込まれた極性官能基を含有するアルキルまたはアリール基およびキラル部分からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、R’は、芳香族、フェニルアルキル、フルオロ芳香族、フェニルヘキシル、ペンタフルオロフェニルアルキルおよびキラル部分からなる群から選択される。
【0123】
一実施形態において、R”は、C
1−C
30アルキル基である。さらなる実施形態において、R”は、キラル部分を含む。さらに別の実施形態において、R”はC
1−C
20アルキル基である。
【0124】
ある特定の実施形態において、表面修飾剤は、埋め込まれた極性官能基を含む。ある特定の実施形態において、そのような埋め込まれた極性官能基は、カルボネート、アミド、尿素、エーテル、チオエーテル、スルフィニル、スルホキシド、スルホニル、チオ尿素、チオカルボネート、チオカルバメート、エチレングリコール、ヘテロ環式またはトリアゾール官能基を含む。別の実施形態において、そのような埋め込まれた極性官能基は、米国特許第5,374,755号で開示されているようなカルバメート官能基、およびキラル部分を含む。そのような基は、一般式
【0125】
【化5】
(式中、l、m、o、rおよびsは、0または1であり、nは、0、1、2または3であり、pは0、1、2、3または4であり、qは0から19の整数であり;R
3は、水素、アルキル、シアノおよびフェニルからなる群から選択され;Z、R’、aおよびbは、上で定義されている通りである。)のものを含む。好ましくは、カルバメート官能基は、下に示されている一般的な構造:
【0126】
【化6】
(式中、R5は、例えば、シアノアルキル、t−ブチル、ブチル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシルまたはベンジルであってよい。有利には、R5は、オクチル、ドデシルまたはオクタデシルである。)を有する。
【0127】
ある特定の実施形態において、表面修飾剤は、フェニルヘキシルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルジメチルクロロシランおよびオクタデシルジメチルクロロシランからなる群から選択される。一部の実施形態において、表面修飾剤は、オクチルトリクロロシランおよびオクタデシルトリクロロシランからなる群から選択される。別の実施形態において、表面修飾剤は、イソシアネートまたは1,1’−カルボニルジイミダゾール(特にハイブリッド基が(CH
2)
3OH基を含有する場合)からなる群から選択される。
【0128】
別の実施形態において、材料は、有機基およびシラノール基修飾の組合せにより表面修飾されている。
【0129】
さらに別の態様において、材料は、有機基修飾およびポリマーを用いたコーティングの組合せにより表面修飾されている。さらなる実施形態において、有機基は、キラル部分を含む。
【0130】
さらに別の実施形態において、材料は、シラノール基修飾およびポリマーを用いたコーティングの組合せにより表面修飾されている。
【0131】
別の実施形態において、材料は、粒子の有機基と修飾試薬との間の有機共有結合の形成を介して表面修飾されている。
【0132】
さらに別の実施形態において、材料は、有機基修飾、シラノール基修飾およびポリマーを用いたコーティングの組合せにより表面修飾されている。
【0133】
別の実施形態において、材料は、シラノール基修飾により表面修飾されている。
【0134】
ある特定の実施形態において、表面修飾層は、多孔質であっても非多孔質であってもよい。
【0135】
分離装置およびキットならびに使用方法
別の態様において、本発明は、順相クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、溶媒和ガスクロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィー、亜臨界流体クロマトグラフィー、二酸化炭素系クロマトグラフィー、親水性相互作用液体クロマトグラフィーもしくは共有結合相互作用液体クロマトグラフィー、またはこれらの組合せのためのカラムまたは試験装置を提供する。カラムまたは試験装置は、入口および出口を有するチャンバを画定する少なくとも1つの壁を有するハウジング、ならびに該ハウジング内に配置される本発明の実施形態のいずれかによる固定相を含む。この装置は、予め形成されたフリットを有し得、フリットは相互接続している材料により生成され、または装置はフリットを有さない。ハウジングおよび固定相は、順相クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、溶媒和ガスクロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィー、亜臨界流体クロマトグラフィー、二酸化炭素系クロマトグラフィー、親水性相互作用液体クロマトグラフィーもしくは共有結合相互作用液体クロマトグラフィー、またはこれらの組合せに、適合させることができる。
【0136】
特定の態様において、本発明は、超臨界流体クロマトグラフィーのためのカラムまたは試験装置を提供する。
【0137】
別の態様は、本明細書に記載されているHPCM材料を含む固定相を有する多彩な分離装置を提供する。分離装置は、例えば、クロマトグラフカラム、薄層板、濾過膜、試料クリーンアップ装置およびマイクロタイタープレートを含む。
【0138】
HPCM材料は、該材料の安定性が改善されていることにより、これらの装置の寿命を改善する。したがって、特定の態様において、本発明は、
a)充填材料を収容するための円筒形内部を有するカラム、および
b)本明細書に記載されている高純度クロマトグラフィー材料を含む充填クロマトグラフィーベッド
を含む、改善した寿命を有するクロマトグラフカラムを提供する。
【0139】
別の特定の態様において、本発明は、
a)充填材料を収容するための内部チャネルおよび
b)本明細書に記載されている高純度クロマトグラフィー材料を含む充填クロマトグラフィーベッド
を含む、クロマトグラフ装置を提供する。
【0140】
本発明は、本明細書に記載されているHPCM材料を含むキットおよび使用説明書も提供する。一実施形態において、説明書は、分離装置、例えば、クロマトグラフカラム、薄層板、濾過膜、試料クリーンアップ装置およびマイクロタイタープレートを使用するためのものである。別の実施形態において、説明書は、試料中の1個以上の分子を分離、単離、精製または検出するためのものである。
【0141】
1つ以上の実施形態において、クロマトグラフ固定相は、30日間にわたって<5%、30日間にわたって<4%、30日間にわたって<3%、30日間にわたって<2%、30日間にわたって<1%、10日間にわたって<5%、10日間にわたって<4%、10日間にわたって<3%、10日間にわたって<2%、10日間にわたって<1%、3日間にわたって<5%、3日間にわたって<4%、3日間にわたって<3%、3日間にわたって<2%、3日間にわたって<1%、30回の実行にわたって<5%、30回の実行にわたって<4%、30回の実行にわたって<3%、30回の実行にわたって<2%、30回の実行にわたって<1%、10回の実行にわたって<5%、10回の実行にわたって<4%、10回の実行にわたって<3%、10回の実行にわたって<2%、10回の実行にわたって<1%、3回の実行にわたって<5%、3回の実行にわたって<4%、3回の実行にわたって<3%、3回の実行にわたって<2%または3回の実行にわたって<1%の、保持の変化またはドリフトを呈する。
【0142】
ある特定の実施形態において、本発明の材料は、イオン対/荷電表面を利用しない既存のクロマトグラフィー材料と比較して、著しく改善したピーク形状を生成することが見出されている。さらに、本発明の材料は、荷電表面を利用しない既存のクロマトグラフィー材料に関連する非特異的結合の問題を緩和することが見出されている。そのような利益により、詳細には、少量の高分子の質量分析での同定または確認が可能になるが、その理由は、これらが非特異的結合に負けず、少量の化学種をみることが必要な、試料の質量が増加する既存のクロマトグラフィー材料に対して、多量の化学種に対して示されている分解ピーク形状により不明瞭になることがないためである。
【0143】
特定の態様において、本発明は:
a.)分離させる試料を用意すること;
b.)本発明の高純度クロマトグラフィー材料を用意すること;
c.)超臨界流体条件下で高純度クロマトグラフィー材料を使用して、試料を分離することを含む、超臨界流体クロマトグラフィーを使用して、試料を分離するための方法を提供する。
【0144】
本発明の材料の合成
別の態様において、本発明は、本発明による固定相材料を調製するための方法を提供する。
【0145】
この方法は、
a.遊離シラノール表面基を有するクロマトグラフィー材料を用意するステップ
b.シラノール表面基と、イオン対形成表面基を反応させて、結合材料を得るステップ;および
c.生じた結合材料とイオン対試薬(酸または塩基)を反応させるステップ;
を含み、イオン対結合表面部分を有する高純度クロマトグラフィー材料を生成する。
【0146】
ある特定の実施形態において、イオン対形成表面基は、塩基性表面修飾基である。別の実施形態において、共有結合している表面修飾基は、窒素含有表面修飾基である。
【0147】
別の態様において、共有結合している表面修飾基の試薬は、式:
【0148】
【化7】
(式中:
各例のm、nおよびpは、独立して、0から18の整数であり;
各例のRおよびR
aは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンもしくはアニオン交換基、埋め込まれた極性官能基を含有するアルキルもしくはアリール基、またはキラル部分であり;
Zは、
【0149】
【化8】
−OH、−OR
6、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、塩化アシル、トリフレート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカルボネート、NHS−エステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−Iを含む(がそれらに限定されない。)化学的反応基を表し;
R
1の各出現は、独立して、−H、−OH、−OR
6、ジアルキルアミン、トリフレート、Br、Cl、I、ビニル、アルケンまたは−(CH
2)
m”Qを含む(がそれらに限定されない。)ケイ素上の化学的反応基を表し;
Qの各出現は、−OH、−OR
6、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、塩化アシル、トリフレート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカルボネート、NHS−エステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−Iであり;
m”は1−8の整数であり
pは1−3の整数であり;
R
1’の各出現は、独立して、F、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、C
2−C
18アルキニル、C
3−C
18シクロアルキル、C
1−C
18ヘテロシクロアルキル、C
5−C
18アリール、C
5−C
18アリールオキシまたはC
1−C
18ヘテロアリール、フルオロアルキルまたはフルオロアリールを表し;
R
6の各出現は、独立して、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C3−C18シクロアルキル、C1−C18ヘテロシクロアルキル、C5−C18アリール、C5−C18アリールオキシまたはC1−C18ヘテロアリールを表す。)から選択され得る。
【0150】
さらに別の実施形態において、共有結合している表面修飾基の試薬は、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、2−(2−(トリクロロシリル)エチル)ピリジン、2−(2−(トリメトキシ)エチル)ピリジン、2−(2−(トリエトキシ)エチル)ピリジン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリクロロシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリクロロシラン、クロロプロピルトリクロロシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリメトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリエトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリクロロシラン、スルホプロピルトリシラノール、カルボキシエチルシラントリオール、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、n−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸、(2−ジエチルホスファトエチル)トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、2,2−ジメトキシ−1−チア−2−シラシクロペンタン、ビス(トリクロロシリルエチル)フェニルスルホニルクロリド、2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン、2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン、スルホン酸フェネチルトリシラノール、(トリエトキシシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(トリメトキシシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(トリクロロシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、ホスホン酸フェネチルトリシラノール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、トリス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、またはN,N−ジメチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。
【0151】
別の態様において、共有結合している表面修飾基の試薬は、WO2013/173494;WO2013/173501;WO2011/017418;US2012−0273404;または2013年1月25日に出願されている米国特許出願第13/750,511号に記載されているものであってよく、これらの開示のそれぞれを参照により本明細書に組み込む。
【0152】
ある特定の実施形態において、イオン対試薬は酸性である。別の実施形態において、イオン対試薬はパラ−トルエンスルホン酸である。
【0153】
ある特定の実施形態において、イオン対試薬は塩基性である。
【0154】
一実施形態において、本明細書に記載されている方法は、残ったシラノール基をエンドキャッピングするステップをさらに含む。
【0155】
一実施形態において、記載されている方法において、ステップは、同時に行われる。
【0156】
別の実施形態において、調製されたままの高純度クロマトグラフィー材料の細孔構造は、水熱処理により修飾され、水熱処理は、窒素(N2)収着分析により確認されるように、細孔の開口および細孔径を拡大する。水熱処理は、調製されたままのハイブリッド材料および塩基の水溶液を含有するスラリーを調製し、上昇温度、例えば100から200℃にてオートクレーブ中でスラリーを10から30時間加熱することによりにより行われる。トリメチルアミン(TEA)もしくはトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンのようなアルキルアミンの使用、または水酸化ナトリウムの使用が有利である。このように処理した材料は冷却され、濾過され、水およびメタノールで洗浄され、次いで、80℃にて減圧下で16時間乾燥させる。
【0157】
ある特定の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料の表面は、水熱処理に続いて、様々な作用剤により修飾される。そのような「表面修飾剤」は、(典型的には)あるクロマトグラフィーの機能をクロマトグラフ固定相に付与する有機官能基を含む。ある特定の態様において、HPCMがハイブリッド材料である場合、これは、表面修飾剤でさらに置換され得る、または誘導体化され得る有機基およびシラノール基の両方を所有する。
【0158】
水熱処理されている高純度クロマトグラフィー材料の表面は、材料の有機基に反応性の試薬と反応させることにより誘導体化できる有機基を含有する。例えば、材料上のビニル基は、臭素(Br2)、水素(H2)、遊離基、増殖ポリマー基中心、ジエンなどのような多彩なオレフィン反応性試薬と反応し得る。別の例において、材料上のヒドロキシル基は、以下に記載するようにイソシアネート、カルボン酸、カルボン酸塩化物および反応性オルガノシランのような多彩なアルコール反応性試薬と反応し得る。このタイプの反応は、文献で周知であり、例えば、March,J.Advanced Organic Chemistry、第3版、Wiley、New York、1985;Odian,G.The Principles of Polymerization、第2版、Wiley、New York、1981を参照されたい。
【0159】
さらに、水熱処理した高純度クロマトグラフィー材料の表面は、反応性オルガノシランと反応させることにより誘導体化できるシラノール基も含有する。高純度クロマトグラフィー材料の表面の誘導体化は、標準的方法に従って、例えば、還流状態の有機溶媒中のオクタデシルトリクロロシランまたはオクタデシルジメチルクロロシランとの反応により実施される。トルエンのような有機溶媒は、典型的には、この反応に使用される。ピリジンまたはイミダゾールのような有機塩基は、反応混合物に添加されて、反応を触媒する。次いで、この反応の生成物は、水、トルエンおよびアセトンで洗浄される。この材料は、周囲または上昇温度にて、pH修飾有機水溶液中での加水分解によりさらに処理できる。アセトンのような有機溶媒は、典型的には、この加水分解に使用される。pHの修飾は、トリフルオロ酢酸、ギ酸、塩酸、酢酸、ギ酸ナトリウムまたはギ酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムまたは酢酸アンモニウム、リン酸塩緩衝液、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウムを含む酸性または塩基性修飾剤を使用して達成できる。次いで、加水分解の生成物は、水、トルエンおよびアセトンで洗浄され、減圧下で80℃から100 Cにて16時間乾燥させる。生じた材料は、トリメチルクロロシランのような短鎖シランとさらに反応させて、上記と類似した手順の使用により、残ったシラノール基をエンドキャッピングすることができる。
【0160】
本明細書で開示されているような表面修飾剤は、例えば、誘導体化またはコーティングにより基材に付着させ、その後架橋させ、表面修飾剤の化学的性質を基材に付与する。一実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料の有機基は、表面修飾剤と反応させて、有機共有結合を形成する。修飾剤は、求核性、求電子性、付加環化、遊離基、カルベン、ニトレンおよびカルボカチオン反応を含むが、それらに限定されない有機およびポリマー化学において周知のいくつかの機構により、材料有機基への有機共有結合を形成できる。有機共有結合は、水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄およびハロゲンを含むが、それらに限定されない有機化学の一般的な元素間における共有結合の形成を伴うと定義されている。さらに、炭素−ケイ素および炭素−酸素−ケイ素結合は、有機共有結合と定義される一方、ケイ素−酸素−ケイ素結合は、有機共有結合と定義されない。
【0161】
「機能付与基」という用語は、例えば、オクタデシル(C18)またはフェニルを含めた、あるクロマトグラフィーの機能をクロマトグラフ固定相に付与する有機官能基を含む。そのような機能付与基は、基材に直接組み込まれ、または、例えば、誘導体化またはコーティングにより基材に付着させ、その後、架橋させ、表面修飾剤の化学的性質を基材に付与する、本明細書で開示されているような表面修飾剤に存在する。
【0162】
ある特定の実施形態において、シラノール基は表面修飾されている。別の実施形態において、有機基は表面修飾されている。さらに別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料の有機基およびシラノール基は、いずれも表面修飾されている、または誘導体化されている。別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、ポリマーを用いたコーティングにより表面修飾されている。ある特定の実施形態において、ポリマーを用いたコーティングによる表面修飾は、シラノール基修飾、有機基修飾またはシラノールおよび有機基修飾の両方と共に使用される。イオン性修飾剤は、シラノール基修飾、有機基修飾またはシラノールおよび有機基修飾の両方により、材料に添加され得る。共有結合している表面基は、シラノール基修飾、有機基修飾またはシラノールおよび有機基修飾の両方により材料に添加され得る。
【0163】
より一般的には、高純度クロマトグラフィー材料の表面は:式Za(R’)bSi−R”(式中、Z=Cl、Br、I、C1−C5アルコキシ、ジアルキルアミノ、例えばジメチルアミノ、またはトリフルオロメタンスルホネートであり;aおよびbは、それぞれ、0から3の整数であるが、但し、a+b=3であることを条件とし;R’は、C1−C6直鎖状、環状または分岐アルキル基であり、R”は、機能付与基である。)の化合物を含む、表面修飾剤を用いた処理により修飾され得る。ある例において、そのような材料は、ポリマーを用いたコーティングにより表面修飾されている。
【0164】
R’は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルまたはシクロヘキシルを含み;好ましくは、R’はメチルである。
【0165】
機能付与基R”は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンもしくはアニオン交換基、埋め込まれた極性官能基を含有するアルキルもしくはアリール基、またはキラル部分を含み得る。適切なR”機能付与基の例は、キラル部分、オクチル(C8)、オクタデシル(C18)およびトリアコンチル(C
30)のようなC1−C20を含むC1−C30アルキル;アルカリール、例えば、C1−C4−フェニル;シアノアルキル基、例えば、シアノプロピル;ジオール基、例えば、プロピルジオール;アミノ基、例えば、アミノプロピル;ならびに埋め込まれた極性官能基を有するアルキルまたはアリール基、例えばカルボネート、アミド、尿素、エーテル、チオエーテル、スルフィニル、スルホキシド、スルホニル、チオ尿素、チオカルボネート、チオカルバメート、エチレングリコール、ヘテロ環式、および、米国特許第5,374,755号明細書で開示されているようなトリアゾール官能基またはカルバメート官能基ならびにキラル部分を含む。ある特定の実施形態において、R”は、芳香族、フェニルアルキル、フルオロ芳香族、フェニルヘキシル、ペンタフルオロフェニルアルキルおよびキラル部分からなる群から選択される。そのような基は、一般式
【0166】
【化9】
(式中、l、m、o、rおよびsは0または1であり、nは0、1、2または3であり、pは0、1、2、3または4であり、qは0から19の整数であり;R3は水素、アルキル、シアノおよびフェニルからなる群から選択され;Z、R’、aおよびbは、上で定義されている通りである。)のものを含む。好ましくは、カルバメート官能基は、下に示されている一般的な構造:
【0167】
【化10】
(式中、R5は、例えば、シアノアルキル、t−ブチル、ブチル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシルまたはベンジルであってよい。有利には、R5はオクチル、ドデシルまたはオクタデシルである。)を有する。
【0168】
キラル分離などのある用途において、機能付与基としてのキラル部分の包含は、特に有利である。
【0169】
ポリマーコーティングは、文献で公知であり、一般に、ポリマー層の担体への化学結合なしで表面に物理吸着されたモノマーの重合または重縮合(タイプI)、ポリマー層の担体への化学結合により表面に物理吸着されたモノマーの重合または重縮合(タイプII)、物理吸着されたプレポリマーの担体への固定化(タイプIII)および予め合成したポリマーの担体の表面への化学吸着(タイプIV)により提供することができる。例えば、Hansonら、J.Chromat.A656(1993)369−380頁を参照されたく、この文は、参照により本明細書に組み込む。上記のように、ハイブリッド材料のポリマーを用いたコーティングは、本発明に記載されている様々な表面修飾と共に使用され得る。
【0170】
したがって、ある特定の実施形態において、共有結合している表面修飾剤は、フェニルヘキシルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルジメチルクロロシランおよびオクタデシルジメチルクロロシランからなる群から選択される。さらなる実施形態において、表面修飾剤は、オクチルトリクロロシランおよびオクタデシルトリクロロシランからなる群から選択される。
【0171】
別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、有機基およびシラノール基修飾の組合せにより表面修飾されている。
【0172】
別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、有機基修飾およびポリマーを用いたコーティングの組合せにより表面修飾されている。
【0173】
別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、シラノール基修飾およびポリマーを用いたコーティングの組合せにより表面修飾されている。
【0174】
別の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、ハイブリッドコアの、および/または周囲材料の、有機基と修飾試薬との間における有機共有結合の形成を介して表面修飾されている。
【0175】
ある特定の実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、有機基修飾、シラノール基修飾およびポリマーを用いたコーティングの組合せにより表面修飾されている。
【0176】
一実施形態において、高純度クロマトグラフィー材料は、シラノール基修飾により表面修飾されている。
【0177】
別の実施形態において、本発明は、高純度クロマトグラフィー材料が、ポロゲンをさらに含むことにより修飾される方法を提供する。さらなる実施形態において、ポロゲンは、シクロヘキサノール、トルエン、メシチレン、2−エチルヘキサン酸、フタル酸ジブチル、1−メチル−2−ピロリジノン、1−ドデカノールおよびTriton X−45からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、ポロゲンはトルエンまたはメシチレンである。
【0178】
一実施形態において、本発明は、高純度クロマトグラフィー材料が、界面活性剤または安定剤を含むことによりさらに修飾される方法を提供する。ある特定の実施形態において、界面活性剤は、Triton X−45、Triton X100、Triton X305、TLS、Pluronic F−87、Pluronic P−105、Pluronic P−123、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸アンモニウム、ドセシル硫酸トリスまたはTriton X−165である。ある特定の実施形態において、界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドセシル硫酸アンモニウムまたはドセシル硫酸トリスである。
【0179】
上記のハイブリッド、シリカ、粒子、モノリスおよび表面多孔質材料を含む本発明のHPCMを合成するある特定の実施形態は、下の実施例でさらに例証される。
【実施例】
【0180】
本発明は、多孔質クロマトグラフィー材料の表面修飾について説明する、以下の非限定的な実施例によりさらに例証され得る。
【0181】
材料
すべての試薬は、特に注記がなければ入手したままで使用した。当業者は、以下の供給品および供給業者の等価のものが存在し、したがって以下のリストに挙げる供給業者は、限定的と解釈されないと認識するであろう。
【0182】
特徴
当業者は、以下の機器および供給業者の等価のものが存在し、したがって以下のリストに挙げる機器は、限定的と解釈されないと認識するであろう。
【0183】
%C値は、燃焼分析(CE−440 Elemental Analyzer;Exeter Analytical Inc.、North Chelmsford、MA)またはCoulometric Carbon Analyzer(モジュールCM5300、CM5014、UIC Inc.、Joliet、IL)により測定した。臭素および塩素含有量は、フラスコ燃焼と、続くイオンクロマトグラフィー(Atlantic Microlab、Norcross、GA)により決定した。これらの材料の比表面積(SSA)、比細孔体積(SPV)および平均細孔径(APD)は、多点N2収着法(Micromeritics ASAP 2400;Micromeritics Instruments Inc.、Norcross、GA)を使用して測定した。SSAはBET法を使用して計算し、SPVは、P/P
0>0.98に対して決定した一点値であり、APDは、BJH法を使用して、等温線の吸着レッグから計算した。微小孔表面積(MSA)は、比表面積(SSA)から、<34Åの細孔に対する累積吸着細孔径データを引いたものとして決定した。メジアンメソ細孔径(MMPD)およびメソ細孔の細孔体積(MPV)は、Mercury Porosimetry(Micromeritics AutoPore II 9220またはAutoPore IV、Micromeritics、Norcross、GA)により測定した。骨格密度は、Micromeritics AccuPyc 1330 Helium Pycnometer(V2.04N、Norcross、GA)を使用して測定した。粒径は、Beckman Coulter Multisizer 3アナライザ(30μmアパーチャ、70,000カウント;Miami、FL)を使用して測定した。粒径(dp
50)は、体積基準粒径分布の50%累積直径として測定した。分布の幅は、90%累積体積直径を10%累積体積直径で割ったもの(90/10比という。)として測定した。これらの材料の粘度は、Brookfieldデジタル粘度計、モデルDV−II(Middleboro、MA)を使用して判定した。pHの測定は、Oakton pH100 Seriesメータ(Cole−Palmer、Vernon Hills、Illinois)を用いて行い、使用直前に周囲温度にて、Orion(Thermo Electron、Beverly、MA)pH緩衝標準を使用して較正した。滴定は、Metrohm 716 DMS Titrino自動滴定装置(Metrohm、Hersau、Switzerland)を使用して行い、1グラム当たりミリ当量(mequiv/g)として報告されている。多核(
13C、
29Si)CP−MAS NMRスペクトルは、Bruker Instruments Avance−300分光計(7mm二重広帯域プローブ)を使用して得た。スピン速度は、典型的には5.0−6.5kHzであり、繰り返し遅延(recycle delay)は5秒であり、交差分極接触時間は6ミリ秒であった。報告されている
13Cおよび
29Si CP−MAS NMRスペクトルシフトは、外部標準アダマンタン(
13C CP−MAS NMR、δ38.55)およびヘキサメチルシクロトリシロキサン(
29Si CP−MAS NMR、δ−9.62)を使用してテトラメチルシランに対して記録した。異なるケイ素環境の集団は、DMFitソフトウェアを使用して、スペクトルデコンボリューションにより評価した。[Massiot,D.;Fayon,F.;Capron,M.;King,I.;Le Calve,S.;Alonso,B.;Durand,J.−O.;Bujoli,B.;Gan,Z.;Hoatson,G.Magn.Reson.Chem.2002、40、70−76頁]
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
【0186】
[実施例1]
最初の結合のための代表的な手順
典型的な反応において、Dean−Starkトラップを使用して、ハイブリッドまたはシリカ材料(10g)を、トルエン(190mL)中で1時間還流させた。冷却したら、望ましいシランおよびトルエン(90mL)をフラスコに添加した。混合物を室温にて1時間撹拌し、次いで、16時間加熱還流した。次いで、反応物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、アセトン、1:1v/vのアセトン/水、およびアセトン(すべてFisher Scientificからの溶媒)で連続して洗浄した。次いで、粒子を、アセトン/0.1M NH
4HCO
3(60/40v/v、200mL)の溶液中でスラリー化し、50℃にて20時間撹拌した。室温に冷却した後で、粒子を濾取し、1:1v/vのアセトン/水、およびアセトンで連続して洗浄した。粒子を、真空下で80℃にて終夜乾燥させた。具体的な実施例は、表3で提示されている。
【0187】
【表3】
【0188】
[実施例2]
1種類超のシランとの最初の結合の代表的な手順
典型的な反応において、Dean−Starkトラップを使用して、ハイブリッド材料(10g)を、トルエン(190mL)中で1時間還流させた。次いで、スラリーを室温に冷却し、シランAを添加し、混合物を1時間加熱還流した。冷却したら、シランBおよびトルエン(90mL)をフラスコに添加した。混合物を室温にて1時間撹拌し、次いで16時間加熱還流した。次いで、反応物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、アセトン、1:1v/vのアセトン/水、およびアセトン(すべてFisher Scientificからの溶媒)で連続して洗浄した。次いで、粒子を、アセトン/0.1M NH
4HCO
3(60/40v/v、200mL)の溶液中でスラリー化し、50℃にて20時間撹拌した。室温に冷却した後で、粒子を濾取し、1:1v/vのアセトン/水、およびアセトンで連続して洗浄した。粒子を、真空下で80℃にて終夜乾燥させた。具体的な実施例は、表4で提示されている。
【0189】
【表4】
【0190】
[実施例3]
第2の結合の代表的な手順
典型的な例において、Dean−Starkトラップを使用して、実施例1および2からの材料(10g)を、トルエン(190mL)中で1時間還流させた。次いで、混合物を室温に冷却し、望ましいシランおよびイミダゾール(Aldrich−Milwaukee、WI、シランに対して1.2×モル過剰)を添加した。混合物を4時間還流させ、次いで、室温に冷却した。粒子を濾取し、トルエン、アセトン、1:1v/vのアセトン/水、およびアセトンで連続して洗浄し、次いで、真空下で終夜乾燥させた。具体的な実施例は表5で提示されている。
【0191】
材料3Lを生成するための追加のステップ
材料3K(5.0g)を、60℃にて、40mLの0.1M塩酸中で6時間加熱した。冷却した後で、材料を濾取し、水およびアセトンで連続して洗浄し、次いで、真空下で80℃にて終夜乾燥させた。
【0192】
【表5】
【0193】
[実施例4]
酸または塩基との結合材料の無水反応の代表的な手順
典型的な例において、実施例1、2および3からの材料(20g)を、コンデンサが備えられている丸底フラスコ中のメタノール(100mL)中の所定の濃度の酸または塩基と還流させた。次いで、混合物を室温に冷却し、粒子を濾取し、メタノールで5回洗浄し、次いで、真空下で終夜乾燥させた。具体的な実施例は、表6で提示されている。
【0194】
【表6】
【0195】
[実施例5]
実施例1−4で詳述されている粒子の結合/官能基化のための一般的な手順は、様々な多孔質材料の表面のシラノール基を修飾するために適用される。これに含まれているのは、シリカ、ハイブリッド無機/有機材料、ハイブリッド無機/有機、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ポリマー性または炭素材料上のハイブリッド無機/有機表面層、およびハイブリッド無機/有機、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアまたはポリマー性または炭素材料上のシリカ表面層である、モノリス、球状、顆粒、表面多孔質、および不規則材料である。球状材料、非球状材料(例えば環状体、多面体を含む。)の形態の固定相材料;高度に球状のコア形態、棒状コア形態、曲棒状コア形態、環状体状コア形態;またはダンベル状コア形態を有する固定相材料;および高度に球状、棒状、曲棒状、環状体状またはダンベル状の形態の混合物を有する固定相材料も含まれる。実施例のハイブリッド材料は、米国特許第4,017,528号、同第6,528,167号、同第6,686,035号および同第7,175,913号、ならびに国際公開第2008/103423号で示されており、これらの内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む。表面多孔質粒子は、米国公開第2013/0112605号、同第2007/0189944号および同第2010/061367号で記載されているものを含み、これらの内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む。球状、顆粒または不規則な材料の粒径は、5−500μm;より好ましくは15−100μm;より好ましくは20−80μm;より好ましくは40−60μmに変化し得る。これらの材料のAPDは、30から2,000Å;より好ましくは40から200Å;より好ましくは50から150Åに変化し得る。これらの材料のSSAは、20から1000m
2/g;より好ましくは90から800m
2/g;より好ましくは150から600m
2/g;より好ましくは300から550m
2/gに変化し得る。これらの材料のTPVは、0.3から1.5cm
3/g;より好ましくは0.5から1.4cm
3/g;より好ましくは0.7から1.3cm
3/gに変化し得る。モノリス材料の大孔直径は、0.1から30μm、より好ましくは0.5から25μm、より好ましくは1から20μmに変化し得る。
【0196】
[実施例6]
実施例4Aおよび4Bからの材料における保持の変化
絶対ピーク保持を使用して、アイソクラティッククロマトグラフィー条件下で、保持の測定をすべて記録した。実施例4Aおよび4Bからの材料に対する保持の変化の平均パーセントを、実施例1Sからの同結果と比較した。実施例4Aおよび4Bからの材料は、試験の経過中により少ない保持の変化をもたらす能力を示した。保持の変化の平均パーセントは、3日目のクロマトグラフィー試験で測定した絶対ピーク保持の平均のパーセント差を、1日目のクロマトグラフィー試験で測定した絶対ピーク保持の平均から取ることにより計算した。カラムは、混合1試験条件下で20分間平衡を保ち、続いて、混合1を3回注入し、次いで、混合2試験条件下で10分間平衡を保ち、続いて混合2を3回注入した。条件は、表7で示されている。
【0197】
実施例4Aおよび4Bからの材料は、実施例1Sより長い保持をもたらした。さらなる保持のパーセントとクロマトグラフィー材料に仕込んだp−トルエンスルホン酸の量との間における直接の相関が認められた。さらなる保持のパーセントを、混合1および混合2に対して測定した1日目の絶対ピーク保持の平均のパーセント差を、実施例1Sで混合1および混合2に対して測定した1日目の絶対ピーク保持の平均から取ることにより、計算した。結果は、表8および
図4で示されている。
【0198】
【表7】
【0199】
【表8】
【0200】
[実施例7]
実施例4Aおよび4Bからの材料における塩基性分析物に対するピーク形状
塩基性分析物に対するピーク形状を、一般的グラジエント状態を使用して比較した。実施例4Aおよび4Bからの材料は、実施例1Sと比較して、強塩基性の分析物に対して優れたピーク形状をもたらした。改善のレベルは、クロマトグラフィー材料に仕込んだp−トルエンスルホン酸の量により調整可能である。カラムは、初期のグラジエント条件下で20分間平衡を保ち、続いて、グラジエント条件下で、各塩基性分析物を単回注入した。グラジエント条件は、表9で示されている。ピーク形状の結果は、
図2で示されている。
【0201】
【表9】
【0202】
別段の指示がない限り、キットおよび試薬の使用を含むすべての技術は、製造者の情報、当業界で公知の方法に従って実行できる。
【0203】
本明細書における値の範囲の記述は、範囲内に入る別々の値それぞれを、個々に指す省略表現法としての役割を果たすことを意図しているにすぎない。別段指示がない限り、個別の各値は、個々に列挙されているように、本明細書中に組み込む。本明細書で引用されている文書のそれぞれ(特許、特許出願、科学文献、製造者の仕様書および説明書のすべてを含む。)は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0204】
本明細書は、特に文脈が指し示さない限り、記載されている態様、実施形態および実施例の可能性のある順列および組合せすべてを開示および包含すると理解されるべきである。当業者は、本発明が、要約され、記載されている態様、実施形態および実施例以外によって実践でき、これらは、例示の目的のために提示され、限定されないことを正しく理解するであろう。