(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768794
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】低出力無線周波数(RF)データパケット信号送受信機を試験する方法
(51)【国際特許分類】
H04B 17/17 20150101AFI20201005BHJP
H04B 17/29 20150101ALI20201005BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20201005BHJP
【FI】
H04B17/17
H04B17/29 200
H04W88/02 150
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-513009(P2018-513009)
(86)(22)【出願日】2016年9月7日
(65)【公表番号】特表2018-533270(P2018-533270A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】US2016050513
(87)【国際公開番号】WO2017048558
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年8月27日
(31)【優先権主張番号】14/852,803
(32)【優先日】2015年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507308186
【氏名又は名称】ライトポイント・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】LitePoint Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】オルガード、 クリスチャン ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ルイズ
(72)【発明者】
【氏名】リュー、 ケー
(72)【発明者】
【氏名】ペン、 フェイ
【審査官】
前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0083210(US,A1)
【文献】
特開2012−100127(JP,A)
【文献】
特開2015−104112(JP,A)
【文献】
特表2014−504053(JP,A)
【文献】
Architecture & Terminology Overview,SPECIFICATION OF THE BLUETOOTH SYSTEM ,Promoter Members of Bluetooth SIG [オンライン],2010年 6月30日,Version 4.0 [Vol1],pages 20-23 of 140,インターネット:<URL:http://www.yts.rdy.jp/pic/GB002LE/Core_V4.0.pdf>
【文献】
Core System Package[Host volume],SPECIFICATION OF THE BLUETOOTH SYSTEM,Promoter Members of Bluetooth SIG [オンライン],2010年 6月30日,Version 4.0 [Vol3],pages 411-412 of 656,インターネット:<URL:http://www.yts.rdy.jp/pic/GB002LE/Core_V4.0.pdf>
【文献】
Core System Package [Low Energy Controller volume],SPECIFICATION OF THE BLUETOOTH SYSTEM,Promoter Members of Bluetooth SIG [オンライン],2010年 6月30日,Version 4.0 [Vol6],pages 55-62 of 138,インターネット:<URL:http://www.yts.rdy.jp/pic/GB002LE/Core_V4.0.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/17
H04B 17/29
H04W 88/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号チャネルのうちの少なくとも1つを介して通信することを含む、無線周波数(RF)データパケット信号送受信機の被試験デバイス(DUT)を試験する方法であって、
テスタにより前記複数の信号チャネルのうちの1つを介して前記DUTからリンク開始データパケットを受信することと、
前記テスタにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して前記リンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットを送信することと、
前記テスタにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して前記テスタ応答データパケットに応答するDUT応答データパケットを受信することと、
前記テスタにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して前記DUT応答データパケットに応答する別のテスタ応答データパケットを送信することを見合わせることと、
少なくとも、前記テスタにより前記複数の信号チャネルのうちの1つを介して前記DUTからリンク開始データパケットを受信することと、前記テスタにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して前記リンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットを送信することと、を繰り返すことと
を含む方法。
【請求項2】
前記繰り返すことは、前記テスタによる前記複数の信号チャネルのうちの少なくとも第1のチャネル及び第2のチャネルを介した前記受信及び前記送信をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DUTは、Bluetooth(登録商標)low energy機器を含み、
前記リンク開始データパケットは、アドバタイズメントデータパケットを含み、
前記テスタ応答データパケットは、スキャン要求データパケットを含み、
前記DUT応答データパケットは、スキャン応答データパケットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記テスタにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して前記リンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットを送信することは、前記テスタ応答データパケットを第1の信号出力で送信することを含み、
前記テスタによる前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介した前記リンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットの前記送信を繰り返すことは、前記テスタ応答データパケットを前記第1の信号出力未満の第2の信号出力で送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記DUT応答データパケットは、複数の信号特性を含み、
前記方法は、前記テスタにより前記複数の信号特性のうちの少なくとも1つを解析することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の信号チャネルのうちの少なくとも1つを介して通信することを含む、無線周波数(RF)データパケット信号送受信機の被試験デバイス(DUT)を試験する方法であって、
前記DUTにより前記複数の信号チャネルのうちの1つを介してリンク開始データパケットを送信することと、
前記DUTにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して前記リンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットを受信することと、
前記テスタにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して前記テスタ応答データパケットに応答するDUT応答データパケットを送信することと、
前記テスタにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して前記DUT応答データパケットに応答する別のテスタ応答データパケットの受信を行わないことと、
少なくとも、前記DUTにより前記複数の信号チャネルのうちの1つを介してリンク開始データパケットを送信することと、前記DUTにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して前記リンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットを受信することと、を繰り返すことと
を含む方法。
【請求項7】
前記繰り返すことは、前記DUTによる前記複数の信号チャネルのうちの少なくとも第1のチャネル及び第2のチャネルを介した前記送信及び前記受信をもたらす、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記DUTは、Bluetooth low energy機器を含み、
前記リンク開始データパケットは、アドバタイズメントデータパケットを含み、
前記テスタ応答データパケットは、スキャン要求データパケットを含み、
前記DUT応答データパケットは、スキャン応答データパケットを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記DUTにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して前記リンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットを受信することは、前記テスタ応答データパケットを第1の信号出力で受信することを含み、
前記DUTによる前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介した前記リンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットの前記受信を繰り返すことは、前記テスタ応答データパケットを前記第1の信号出力未満の第2の信号出力で受信することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
複数の信号チャネルのうちの少なくとも1つを介して通信することを含む、無線周波数(RF)データパケット信号送受信機の被試験デバイス(DUT)を試験する方法であって、
前記DUTにより前記複数の信号チャネルのうちの1つを介してリンク開始データパケットを送信することと、
テスタにより前記リンク開始データパケットを受信して、それに応答して前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介してテスタ応答データパケットを送信することと、
前記DUTにより前記テスタ応答データパケットを受信して、それに応答して前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介してDUT応答データパケットを送信することと、
前記テスタにより前記DUT応答データパケットを受信して、それに応答して前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介して別のテスタ応答データパケットを送信することを見合わせることと、
少なくとも、前記DUTにより前記複数の信号チャネルのうちの1つを介してリンク開始データパケットを送信することと、前記テスタにより前記リンク開始データパケットを記受信して、それに応答して前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介してテスタ応答データパケットを送信することと、前記DUTにより前記テスタ応答データパケットを受信して、それに応答して前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介してDUT応答データパケットを送信することと、を繰り返すことと
を含む方法。
【請求項11】
前記繰り返すことは、前記DUT及び前記テスタによる前記複数の信号チャネルのうちの少なくとも第1のチャネル及び第2のチャネルを介した前記送信をもたらす、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記繰り返すことは、前記DUTによる前記複数の信号チャネルのうちの少なくとも第1のチャネル及び第2のチャネルを介した前記送信をもたらす、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記DUTは、Bluetooth low energy機器を含み、
前記リンク開始データパケットは、アドバタイズメントデータパケットを含み、
前記テスタ応答データパケットは、スキャン要求データパケットを含み、
前記DUT応答データパケットは、スキャン応答データパケットを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記テスタにより前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介してテスタ応答データパケットを送信することは、前記テスタ応答データパケットを第1の信号出力で送信することを含み、
前記テスタによる前記複数の信号チャネルのうちの前記1つを介したテスタ応答データパケットの前記送信を繰り返すことは、前記テスタ応答データパケットを前記第1の信号出力未満の第2の信号出力で送信することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記DUTにより前記テスタ応答データパケットを受信することは、前記テスタ応答データパケットを第1の信号出力で受信することを含み、
前記DUTによる前記テスタ応答データパケットの前記受信を繰り返すことは、前記テスタ応答データパケットを前記第1の信号出力未満の第2の信号出力で受信することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記DUT応答データパケットは、複数の信号特性を含み、
前記方法は、前記テスタにより前記複数の信号特性のうちの少なくとも1つを解析することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、参照によりその開示が本明細書に明示的に組み込まれる、2015年9月14日に出願された米国特許出願第14/852,803号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、低出力無線周波数(RF)データパケット信号送受信機の試験、特に、通信リンク開始シーケンスの通常の部分としてテスタと機器との間で交換されるデータパケットを使用するそのような機器の試験に関する。
【0003】
今日の電子機器の多くは、接続及び通信の目的の両方で無線信号技術を使用する。無線機器は、電磁エネルギを送受信するため、また2つ又はそれ以上の無線機器は、それらの信号周波数及びパワースペクトル密度に基づいて互いの動作に干渉する可能性を有するため、これらの機器及びそれらの無線信号技術は、様々な無線信号技術標準仕様に準拠する必要がある。
【0004】
そのような無線機器を設計するとき、そのような機器が、それらに含まれる無線信号技術規定標準ベース仕様のそれぞれを確実に満たすか又は上回ることとなるように、技術者は、格別の注意を払う。更に、これらの機器が後で大量に製造されるとき、含まれる無線信号技術標準ベース仕様に準拠することを含めて、製造欠陥が不適切な動作の原因とならないことを確実にするために、これらの機器は、試験される。
【0005】
これらの機器をその製造及び組立に続いて試験するために、現在の無線機器試験システムは、被試験デバイス(DUT)のそれぞれに試験信号を提供して、それぞれのDUTから受信した信号を解析するためのサブシステムの試験を一般的に採用する。いくつかのサブシステム(多くの場合「テスタ」と称する)は、DUTに送信されることとなるソース信号又は試験信号を提供するための1つ又はそれ以上のベクトル信号発生器(VSG)と、DUTにより生成された信号を解析するための1つ又はそれ以上のベクトル信号解析器(VSA)と、を含む。VSGによる試験信号の生成及びVSAにより実施される信号解析は、様々な機器が、異なる周波数範囲、帯域幅及び信号変調特性を有する様々な無線信号技術標準に対して準拠していることを試験するためにそれぞれが使用できるように、(例えば、パーソナルコンピュータなどの内部プログラム可能コントローラ又は外部プログラム可能コントローラの使用により)概ねプログラム可能である。
【0006】
無線機器の試験は、それらの受信サブシステム及び送信サブシステムの試験を一般的に含む。テスタは、一般的に、試験データパケット信号の規定のシーケンスを、例えば、異なる周波数、出力レベル及び/又は変調技術を使用してDUTに送信して、DUT受信サブシステムが適切に動作しているかどうかを判定する。同様に、DUTは、試験データパケット信号を、様々な周波数、出力レベル及び/又は変調技術で送信して、DUT送信サブシステムが適切に動作しているかどうかを判定する。
【0007】
低出力RFデータパケット信号送受信機は、多くの場合、通信リンクを開始するためのシーケンスの一部としてデータパケットを交換する。一例として、Bluetooth(登録商標)Low Energy(BLE)として既知の(又は「Bluetooth Smart」としても既知の)パーソナルエリアネットワーク(PAN)技術が挙げられる。本技術は、接続が確立されると、中心機器(「クライアント」)と周辺機器(「サーバ」)との間の接続性を提供しながらも、そのエネルギ要件において非常に保守的に設計されている。そのような機器の例には、中心機器として「スマートフォン」、周辺機器としてユーザの手首に結び付けられた脈拍数センサが挙げられる。
【0008】
初期のBluetooth機器は、携帯電話に対するオンエアヘッドセット及びMP3再生機器に対する携帯スピーカなどのモバイル用途向け無線データ接続を提供するように設計された。より新しいBLE機器は、簡略化するように設計され、また、電力使用を最小化するためにデータをより少ない量、かつより低速で伝達することによって、バッテリ寿命を保ち、より長い期間にわたって動作可能となるように設計されている。
【0009】
製造中、BLEサブシステムが試験されているとき、入力/出力(I/O)ポートは、受信器及び送信機の物理レベルの挙動の導電試験並びにDUT制御を容易にするために利用できる。しかし、BLEサブシステムがサーバ周辺機器(例えば、センサ)と組み合わされると、I/Oポートは、(例えば、除去されるか又は封止されて)一般的にはもはや利用できない。したがって、その段階での試験は、放射性信号伝達を用いて(例えば、無線RF信号を介して)無線で実施される必要がある。しかし、個別のDUT制御は、ほとんど利用できない(例えば、導電性信号経路も無線制御信号チャネルも利用できない)ため、そのような試験は、テスタとBLE形式の周辺被試験デバイス(DUT)との間の無線通信リンクを、DUT内のドライバソフトウェア及びテスタ内のDUT特異的試験ソフトウェアを含むことによって確立されたDUT制御により、確立することに依存する。ドライバソフトウェア及び試験ソフトウェアのそのような要件は、試験の複雑さ及び時間を増加させ、それによって、試験費用が増加する。
【0010】
加えて、BLEの例で続けると、通信リンクを開始するために周辺機器により使用されるデータパケットは、複数の(例えば、3つの)チャネルのうちの任意に載せてランダムな順序で送信できる。どのチャネルに載せてDUTが送信することとなるかを試験システムが事前に識別している場合を除いて、試験システムは、応答データパケットをその同じチャネルに載せて確定的に送信することができない。このことは、試験時間を顕著に遅延させるか、又はDUT内で用いられることとなる所定のコーディングのいくつかの形式を必要とする可能性があり、一般化された試験方法論の使用を無効にするであろう。
【0011】
更にBLEの例では、通信リンクの確立が保留の間、通信リンクを開始しようとするデータパケットシーケンス間に、比較的長い時間間隔が存在する。その一方で、リンク開始シーケンス中、開始データパケットは、複数の規定のチャネルに載せて間断なく送信される。データパケットのそのような高速シーケンスが試験のために使用でき、それによって、より多くの試験データが得られ、高速化でき、総試験時間を低減できるのであれば、有利となろう。
【発明の概要】
【0012】
ここで請求されている発明によれば、複数の利用可能な信号チャネルのうちの少なくとも1つを介する通信を含む、無線周波数(RF)データパケット信号送受信機の被試験デバイス(DUT)を試験するための方法が提供される。通信リンク開始シーケンスの通常の部分としてテスタとDUTとの間で交換されるデータパケットは、選択的に交換かつ圧縮されて、DUT内に特別なドライバを含むこと、テスタ内に特別な試験ソフトウェアを含むこと又はテスタとDUTとの間の同期した通信リンクを確立することを必要とせずに、DUTの試験を可能にする。例えば、Bluetooth low energy送受信機の場合には、アドバタイズメントデータパケット、スキャン要求データパケット及びスキャン応答データパケットを、そのような手法で使用できる。
【0013】
ここで請求されている発明の一実施形態によれば、複数の信号チャネルのうちの少なくとも1つを介する通信を含む、無線周波数(RF)データパケット信号送受信機の被試験デバイス(DUT)を試験するための方法は、
【0014】
テスタにより複数の信号チャネルのうちの1つを介してDUTからリンク開始データパケットを受信することと、
【0015】
テスタにより複数の信号チャネルのうちの1つを介してリンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットを送信することと、
【0016】
テスタにより複数の信号チャネルのうちの1つを介してテスタ応答データパケットに応答するDUT応答データパケットを受信することと、
【0017】
テスタにより複数の信号チャネルのうちの1つを介してDUT応答データパケットに応答する別のテスタ応答データパケットを送信することを見合わせることと、
【0019】
テスタによる複数の信号チャネルのうちの1つを介したDUTからのリンク開始データパケットの受信と、
【0020】
テスタによる複数の信号チャネルのうちの1つを介したリンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットの送信と、を繰り返すことと、を含む。
【0021】
ここで請求されている発明の別の実施形態によれば、複数の信号チャネルのうちの少なくとも1つを介する通信を含む、無線周波数(RF)データパケット信号送受信機の被試験デバイス(DUT)を試験するための方法は、
【0022】
DUTにより複数の信号チャネルのうちの1つを介してリンク開始データパケットを送信することと、
【0023】
DUTにより複数の信号チャネルのうちの1つを介してリンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットを受信することと、
【0024】
DUTにより複数の信号チャネルのうちの1つを介してテスタ応答データパケットに応答するDUT応答データパケットを送信することと、
【0025】
DUTにより複数の信号チャネルのうちの1つを介してDUT応答データパケットに応答する別のテスタ応答データパケットの受信を行わないことと、
【0027】
DUTによる複数の信号チャネルのうちの1つを介したリンク開始データパケットの送信と、
【0028】
DUTによる複数の信号チャネルのうちの1つを介したリンク開始データパケットに応答するテスタ応答データパケットの受信と、を繰り返すことと、を含む。
【0029】
ここで請求されている発明の別の実施形態によれば、複数の信号チャネルのうちの少なくとも1つを介する通信を含む、無線周波数(RF)データパケット信号送受信機の被試験デバイス(DUT)を試験するための方法は、
【0030】
DUTにより複数の信号チャネルのうちの1つを介してリンク開始データパケットを送信することと、
【0031】
テスタによりリンク開始データパケットを受信して、それに応答して複数の信号チャネルのうちの1つを介してテスタ応答データパケットを送信することと、
【0032】
DUTによりテスタ応答データパケットを受信して、それに応答して複数の信号チャネルのうちの1つを介してDUT応答データパケットを送信することと、
【0033】
テスタによりDUT応答データパケットを受信して、それに応答して複数の信号チャネルのうちの1つを介して別のテスタ応答データパケットを送信することを見合わせることと、
【0035】
DUTによる複数の信号チャネルのうちの1つを介したリンク開始データパケットの送信と、
【0036】
テスタによるリンク開始データパケットの受信、及びそれに応答した、複数の信号チャネルのうちの1つを介したテスタ応答データパケットの送信と、
【0037】
DUTによるテスタ応答データパケットの受信、及びそれに応答した、複数の信号チャネルのうちの1つを介したDUT応答データパケットの送信と、を繰り返すことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】導電環境又は有線環境における無線周波数(RF)データパケット信号送受信機の被試験デバイス(DUT)の一般的な試験環境を示す図である。
【0039】
【
図2】放射環境又は無線環境おけるRF DUTの一般的な試験環境を示す図である。
【0040】
【
図3】ここで請求されている発明の例示的実施形態による、無線環境におけるRF DUTの試験環境を示す図である。
【0041】
【
図4】テスタ応答を伴わないBLE DUTによるアドバタイズメントパケットの送信を示す図である。
【0042】
【
図5】例示的実施形態による、BLE DUTとテスタとの間のアドバタイズメントパケット、スキャン要求パケット及びスキャン応答パケットの交換を示す図である。
【0043】
【
図6】例示的実施形態による、BLE DUTと複数のスキャン要求パケットを同時に送信するテスタとの間のアドバタイズメントパケット、スキャン要求パケット及びスキャン応答パケットの交換を示す図である。
【
図7】例示的実施形態による、BLE DUTと複数のスキャン要求パケットを同時に送信するテスタとの間のアドバタイズメントパケット、スキャン要求パケット及びスキャン応答パケットの交換を示す図である。
【0044】
【
図8】例示的実施形態による、BLE DUTと出力レベルを変化させて複数のスキャン要求パケットを同時に送信するテスタとの間のアドバタイズメントパケット、スキャン要求パケット及びスキャン応答パケットの交換を示す図である。
【
図9】例示的実施形態による、BLE DUTと出力レベルを変化させて複数のスキャン要求パケットを同時に送信するテスタとの間のアドバタイズメントパケット、スキャン要求パケット及びスキャン応答パケットの交換を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の「発明を実施するための形態」は、添付図面を参照してここで請求されている発明の例示の実施形態に関するものである。そのような記載は、本発明の範囲に関して例示的なものであり、かつ限定するものではないということを意図している。そのような実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分詳細に説明されており、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、一部の変形を用いる他の実施形態が実施され得るということが理解されよう。
【0046】
本発明の開示を通じて、内容から反対であるという明確な指示がなければ、説明するような個々の回路要素は、数において単数の場合もあれば複数の場合もあることが理解されるであろう。例えば「回路(circuit)」及び「回路(circuitry)」という用語は、単一の構成要素又は複数の構成要素のいずれかを含んでもよく、それらは、説明される機能を提供するように、能動的及び/又は受動的であり、かつ(1つ又はそれ以上の集積回路チップとして)互いに接続されるか又は他の方法で結合され得る。更に、「信号」という用語は、1つ又はそれ以上の電流、1つ又はそれ以上の電圧又はデータ信号を指してもよい。図面内では、同様の又は関連する要素は、同様の又は関連の英字、数字、又は英数字指定子を有する。更に、本発明は、個別の電子回路(好ましくは、1つ又はそれ以上の集積回路チップの形態)を使用する実施例という関連で説明されているが、このような回路のいかなる部分の機能も、代替的に、処理される信号周波数又はデータ転送速度により、1つ又はそれ以上の適切にプログラムされたプロセッサを使用して実施することができる。更に、図が様々な実施形態の機能ブロックの略図を例示する範囲において、機能ブロックはハードウェア回路間の境界を必ずしも示さない。
【0047】
携帯電話、スマートフォン、タブレットなどの無線機器は、標準ベース技術(例えば、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、3GPP LTE及びBluetooth)を使用する。これらの技術の基礎となる標準は、信頼性のある無線接続及び/又は通信を提供するように設計される。標準は、エネルギ効率が良くなるように、かつ無線スペクトルに隣接するか又はそれを共有する同じ又は他の技術を使用する機器間の干渉を最小化するように一般的に設計された、物理的かつ高水準の仕様を規定する。
【0048】
これらの標準により規定された試験は、そのような機器が標準規定の仕様に準拠するように設計されること及び製造された機器がそれらの規定の仕様に準拠し続けることを保証することを意味している。ほとんどの機器は、少なくとも1つ又はそれ以上の受信器及び送信機を含む送受信機である。したがって、試験は、受信器及び送信機の両方が準拠しているかどうかを確認することが意図される。DUTの受信器又は複数の受信器の試験(RX試験)は、(複数の)受信機に試験パケットを送信する試験システム(テスタ)と、(複数の)DUT受信器がそれらの試験パケットにどのように応答するのかを判定するいくつかの方法と、を含む。DUTの送信機は、送信機がパケットを試験システムに送信する状態にすることによって試験され、次いで、試験システムは、DUTによって送信された信号の物理的特性を評価する。
【0049】
図1を参照すると、一般的な製造試験環境10aは、テスタ12及びDUT16を含み、テスタ12とDUT16との間で伝達されるRF信号として、一般的には同軸RFケーブル20c及びRF信号コネクタ20tc、20dcの形式の導電性信号経路を介して交換される試験データパケット信号21t及びDUTデータパケット信号21dを伴う。上記のように、テスタは、信号源14g(例えば、VSG)及び信号解析器14a(例えば、VSA)を一般的に含む。また、上述のように、テスタ12及びDUT16は、所定の試験シーケンスに関するプリインストール情報を含み、テスタ12内のファームウェア14f及びDUT16内のファームウェア18fにおいて一般的に具体化されている。更に上記のように、所定の試験フローに関するこのファームウェア14f、18fにおける詳細は、一般的にデータパケット信号21t、21dを介して、テスタ12とDUT16との間の明示的同期のいくつかの形式を一般的に必要とする。
【0050】
図2を参照すると、最終組立(最終組立後、上記のように、物理的なDUT信号接続20dcは、概ね利用できない)に続く一般的な試験環境10bは、無線信号経路20bを使用し、その無線信号経路を介して、試験データパケット信号21t及びDUTデータパケット信号21dは、テスタ12及びDUT16の各アンテナシステム20ta、20daにより通信される。
【0051】
以下の説明は、DUTとしてのBLE機器という観点から示されている。しかし、ここで請求されている発明の原理及び運用は、データパケットが通信リンク開始シーケンスの通常の部分として交換される機器又はシステムにも適用可能であることが、当業者には容易に理解されよう。既知でありかつ後述するように、BLE送受信機の場合には、そのようなデータパケットは、アドバタイズメントデータパケット、スキャン要求データパケット及びスキャン応答データパケットの形式である。
【0052】
図3を参照すると、BLE機器及びシステムなどの、通信リンク開始シーケンスの通常の部分としてデータパケットを交換する機器又はシステムのための、ここで請求されている発明による試験方法は、無線試験環境において一般的に実施される。DUT16は、テスタ12により受信されるアドバタイズメントパケットを送信21dする、BLEサブシステム又は機器26を含む(段階A)。テスタ12がアドバタイズメントパケットを良好に受信すると、テスタ12は、スキャン要求パケットを送信21tする(段階B)。DUT16のBLEサブシステム26が良好に受信すると、DUT16は、スキャン応答パケットを送信21dする(段階C)。
【0053】
そのようなパケットのこれらの交換は、BLEシステムのための信号標準内に規定されている。したがって、DUT16は、いかなる特別なドライバコードも(例えば、ファームウェア又はソフトウェアの形式のいずれでも)必要とせず、テスタ12がいかなる機器特異的あるいは試験のソフトウェア又はファームウェアを必要とすることもない。また、パケットのこの相互交換は、通信リンクがDUT16とテスタ12との間で既に確立される前かつ通信リンクが存在しない場合に発生する。したがって、通信プロファイルは、まだ有効ではなく、任意のBLE機器がこの方法でテスタと対話するように求められ得る。
【0054】
図4を参照すると、BLE信号標準に従って、BLE機器は、機器発見及び接続設定のために(全体で40のチャネルのうち)3つのチャネルを使用する。これらのチャネルは、標準無線ローカルエリアネットワークチャネル(「Wi−Fi」)間に配置されて、システム間干渉を最小化する。これらのチャネルは、「アドバタイジング」チャネルとして既知であり、BLEシステムが、他の機器を検索するために又は接続しようと試みているであろう機器に対して自身の存在を知らせるために使用する。機器は、アドバタイズメントパケットを送信し、次いで、スキャン要求パケットを受信するために所定の時間間隔にわたって待機する。スキャン要求パケットがその時間間隔内に受信されない場合、異なるチャネルに載せた別のアドバタイズメントパケットが送信される。初期チャネル選択は、ランダムであり、各後続のアドバタイズメントパケットは、3つのチャネルすべてが使用されるまで異なるチャネルに載せて送信され、その送信に続いて、このプロセスは、スキャン要求パケットが受信されかつ通信リンクが確立されるまで繰り返す。
【0055】
したがって、ここで例示したように、BLE機器は、第1のアドバタイズメントパケット21aaをランダムに選択されたチャネル、例えば、チャネル1で送信する。それに応じてスキャン要求パケットが受信されない場合、第2のアドバタイズメントパケット21abが、別のチャネル、例えば、チャネル2で送信される。再び、所定の時間間隔内にスキャン要求パケットが受信されない場合、第3のアドバタイズメントパケット21acが、残りのチャネル、例えば、チャネル3で送信される。
【0056】
図5を参照すると、例示的実施形態によれば、DUTは、アドバタイズメントパケット21aaを送信し、そのアドバタイズメントパケット21aaは、テスタにより正しく受信され、それに応じて、テスタは、スキャン要求パケット21qaを送信する。このスキャン要求パケット21qaの良好な受信に応答して、DUTは次いで、スキャン応答パケット21raを送信する。これらのパケット21aa、21qa、21raはすべて、同じチャネル(チャネル1、2又は3)で送信される。テスタがスキャン応答パケット21ra後にいかなる更なるパケットの送信も見合わせる場合、DUTは、更なるコマンドの受信のために所定の時間間隔にわたって待機することとなる。その時間間隔内に更なるコマンドが受信されない場合、DUTは、アドバタイズメントパケット21ab、21ac、21adをそれぞれ3つのアドバタイズメントチャネルのうちの1つに載せて、連続する特定のアドバタイズメント間隔で密に連続して送信することを再開する。
【0057】
したがって、例えばここに示したように、DUTは、第2のアドバタイズメントパケット21abを送信し、スキャン要求パケット21qbを受信し、スキャン応答パケット21rbにより応答する。しかし、DUTが第3のアドバタイズメントパケット21acを送信するとき、この例におけるテスタは、信号出力が低減されたスキャン要求パケット21qcを送信し、そのスキャン要求パケット21qcは、DUTによって受信されない。したがって、DUTは、スキャン応答パケットを送信しない。次いで、所定の時間間隔23の後、DUTは、第4のアドバタイズメントパケット21adを送信することによって動作をもう一度再開する。
【0058】
この動作からわかるように、テスタは、BLE標準プロトコルを使用して、1つ又はそれ以上のスキャン応答パケットを3つの所定のアドバタイズメントパケット周波数のうちの1つでDUTから引き出すことができる。DUTにより送信されたそのようなスキャン応答パケットは、(IEE802.11標準のような)Wi−Fiシステムで使用される「肯定応答」(ACK)パケットに類似していると見なすことができ、その肯定応答パケットは、Wi−Fi送信信号特性(例えば、信号出力レベル及びデータエンコーディング)を試験するために使用できる。同様に、これに関連して、本明細書のテスタは、これらのスキャン応答パケットを使用して、テスタによって送信されたスキャン要求パケットがどれくらいDUTによって受信されたのかを判定できる。受信されたスキャン応答パケットの送信されたスキャン要求パケットに対する比は、有効パケットエラー率(PER)を得るために使用できる。
【0059】
更に、テスタにより送信されるスキャン要求パケットの出力レベルを変化させることによって、受信されるスキャン応答パケットの数に変化が生じることとなり、その変化は、DUT内のBLE受信器の感度を判定するために使用することができる。これは、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる2013年8月5日出願の米国特許出願第13/959354号に記載され、米国特許出願公開第2015/0036729号として公開された、Wi−Fi受信器のPER試験の実施に類似している。したがって、テスタは、DUT受信器感度に関する有用な情報を短い試験時間内に得ることができる。更に、テスタは、スキャン応答パケット並びにアドバタイズメントパケットの信号品質(周波数、出力レベル、変調など)を解析して、DUT送信機による性能の品質を判定してもよい。
【0060】
任意のイベントにおいて、これらの試験は、DUT内の特別なドライバコード又はテスタ用の機器特異的試験ソフトウェアを必要とせずに、従来のテスタを使用して、例えば、従来のVSA及びVSGシステムにより実施できる。
【0061】
図6を参照すると、更なる例示的実施形態によれば、試験は、テスタ内のブロードバンド送信機(例えば、ブロードバンドVSG)を使用して簡略化かつ迅速化することができ、それによって、DUTが自身のアドバタイズメントパケットを載せて送信しているチャネルを素早く判定するための、テスタ内の受信器(例えば、VSA)の必要性を無くすことができる。例えば、DUTからの、例えばチャネル2に載せたアドバタイズメントパケット21aの受信に応じて、テスタは、スキャン要求パケット21qa、21qb、21qcの群21qを送信する。各スキャン要求パケット21qa、21qb、21qcは、ブロードバンド送信機能力を使用して、3つのアドバタイズメントパケットチャネルのうち各1つに載せて送信される。結果として、DUTは、3つのアドバタイズメントチャネルすべて(すなわち、アドバタイズメントパケット21aに実際に使用されたチャネル及び使用されなかった他の2つのチャネル)で応答スキャン要求パケットを受信することとなり、それによって、DUTが続いて、元のアドバタイズメントパケット21aが送信された同じチャネルにスキャン応答パケット21rを載せて送信することによって応答することを保証する。
【0062】
図7を参照すると、すべてのチャネルにおいて、スキャン応答パケットでアドバタイズメントパケットに対して応答するこの技術は、今回はチャネル1に載せているが、DUTが最初のアドバタイズメントパケット21aを載せて送信するチャネルがどれであるかに関わらず、DUTは、それに応じて、同じチャネルに載せた(同時に未使用チャネルに載せた)スキャン要求パケットを受信することとなる。結果として、DUTは、続いて同じチャネルに載せたスキャン応答パケット21rで応答することによって、通信リンク開始シーケンスを次いで完了することとなる。したがって、DUTがその最初のアドバタイズメントパケット21aを送信するために3つの所定のチャネルのうちのどれを使用したかに関わらず、テスタは、DUTが適切に機能し、スキャン要求パケット21qの出力がDUTによって正確に受信されるために十分である限り、利用可能なすべてのアドバタイズメントチャネルに載せたスキャン要求パケットで応答することによって、スキャン応答パケット21rをDUTから引き出すことができるようになる。
【0063】
関連する手法では、テスタは、アドバタイズメントパケット21a及びスキャン応答パケット21rを検出かつ正確に受信するために、広帯域受信機(例えば、VSA)を使用できる。そのような受信機が、対話が発生しているチャネルをリアルタイムで検出できない場合であっても、受信されたパケットは、一度捕捉されると、捕捉後処理中にチャネルを判定するために、例えば、ダウンストリームシステム又は処理により後で使用できる。
【0064】
信号経路損失がアドバタイズメントチャネル周波数により変化するそれらの場合では、送信されたパケットの出力は、DUTにおける受信信号出力が3つのアドバタイズメントチャネルのそれぞれに対して十分であることを確実にするために十分なオフセットにより変化することができる。
【0065】
図8を参照すると、更なる例示的実施形態によれば、上述した、多様な信号出力でスキャン要求パケットを送信する技術及び異なるチャネルを介して複数のスキャン要求パケットを同時に送信する技術は、(複数の)組み合わせで使用できる。例えば、(例えば、チャネル2に載せた)第1のアドバタイズメントパケット21aaに応答して、テスタは、上述したように、スキャン要求パケットをすべてのチャネルに載せて同時に、DUTによる良好な受信を防止するように意図された低減させた出力レベルで、送信できる。結果として、DUTは、所定の時間間隔後に、第2のアドバタイズメントパケット21abを異なるチャネルに載せて(例えば、チャネル1に載せて)送信する。テスタは、このアドバタイズメントパケット21abを検出し、スキャン要求パケット21qbの第2の組をすべてのチャネルに載せて同時に、このときはより高い出力レベルで送信することによって応答する。しかし、このより高い出力レベルは、DUTによる良好な受信を確実にするためにはまだ不十分である。したがって、DUTは、所定の時間間隔後に再び、第3のアドバタイズメントパケット21acを別の異なるチャネルに載せて(例えば、残りのチャネル3に載せて)送信し、それに応じて、テスタは、スキャン要求パケットの第3の組21qcを、このときは更により高い出力レベルで送信する。この出力レベルであれば、DUTによる良好な受信を確実にするためには十分であり、DUTは、アドバタイズメントパケット21ac及びスキャン要求パケット21qcの最も直近の交換に使用されたものと同じチャネル(例えば、チャネル3)に載せたスキャン応答パケット21rにより応答する。
【0066】
その結果として、DUT受信器がそのようなスキャン要求パケットを良好に受信する能力を試験するために、スキャン要求パケットに対する3つの異なる出力レベルを使用する。スキャン要求パケットの最初の2つの組21aq、21qbは出力が低すぎる一方で、第3の組21qcは、スキャン応答パケット21rを引き出すために十分な出力であった。したがって、この試験は、単一の動作から3つの結果を効率的に得ることができる。ノイズがこのシステムに加わり、完全に防止できないため、それを超えたときにDUTがすべてのスキャン要求パケットを良好に受信することが確実となる閾値に、どのような実際の出力レベルが相当するのかについて、結論付けることはできない。このことを判定するために、更なる統計学的結果が必要となろう。したがって、このような複数の試験は、そのような閾値を特定するかあるいは示唆する統計的分布を決定するために実施することができる。
【0067】
図9を参照すると、そのような統計的分布に到達する一環として、スキャン要求パケットの組21qa、21qbは、スキャン応答パケットを引き出すために2つの出力レベルのみが必要であるような出力レベルを伴って送信することができる。例えば、スキャン要求パケットの第1の組21qaがDUTによる良好な受信を確実にするには不十分な出力レベルを有する一方で、第2の組21qbは、先行例(
図8)で特定されたように、スキャン要求パケットの第2の組及び第3の組の出力レベル間の出力レベルを伴って送信できる。このことが、例えば接続要求が受信された場合に、試験結果間の時間を有利に更に低減できるのは、確立された通信リンクがない場合に、連続するアドバタイズメントパケット間の時間が、新規アドバタイズメントパケットシーケンスの開始間の時間よりも顕著に短いためである。(しかし、いくつかの例では、第3のアドバタイズメントパケットは、例えば、スキャン応答パケットに続くイベントがない場合に更に送信されてもよく、この場合には、3つの試験結果が更に得られるであろう。)
【0068】
任意のイベントでは、変化する出力レベルを有するこれらのパケット交換を実施することは、統計的データベースの生成を可能にする。更に、多様なパケット出力レベルを適切に選択することによって、スキャン要求パケットの半分が正確に受信され、対応するスキャン応答パケットが引き出される統計的出力レベルにより速やかに収束することが可能である。したがって、選択された出力レベルがすべてこの感度点未満である場合、DUTは、後続のアドバタイズメントパケットを速やかに続けて送信することとなる。これにより、スキャン要求パケットを送信するときに、新規アドバタイズメントパケットシーケンスが開始される前に長期間にわたって待機する必要なく、出力レベルの新規値を設定することができる。
【0069】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の構造及び動作方法の様々な他の修正及び変更を行えることが当業者に明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明したが、特許請求の範囲に示す本発明は、このような特定的な実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解すべきである。以下の「特許請求の範囲」が本発明の範囲を規定し、かつこれらの請求項及びその均等物の範囲内の構造及び方法がそれによって包含されることを意図している。