(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記延在方向に垂直な径方向における前記第2部分の幅の最大値は、前記延在方向に垂直な径方向における前記ボス部の幅の最小値以下である、請求項2に記載の電動送風機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を示し、その説明は繰り返さない。
【0012】
実施の形態1.
<電動送風機の構成>
図1〜
図5を参照して、実施の形態1に係る電動送風機11について説明する。
図1および
図2中の矢印は、電動送風機11における気体の流れAFの一部を例示している。
図3中の矢印は、電動送風機11における電動部10に生じた熱の流れの一部を例示している。
【0013】
電動送風機11は、遠心羽根車2、放熱部7、インレットケーシング3、バックケーシング4、および電動部10を主に備える。遠心羽根車2および放熱部7は、遠心羽根車ユニット1を構成している。遠心羽根車ユニット1は、電動部10のシャフト6(回転軸)と接続されており、電動部10によって回転される。
【0014】
以下において、シャフト6の延在方向(
図2および4中において1点鎖線で示される回転中心Oの延在方向)を単に延在方向とよぶ。以下において、当該延在方向に垂直であってシャフト6の中心から外周側に向かって延びる径方向を単に径方向とよぶ。以下において、当該延在方向において電動送風機11の吸込側を前側、該吸込側とは反対側を後側とよぶ。
【0015】
遠心羽根車2は、ボス部2aと、複数の動翼2cとを含む。上記延在方向から視たときに、ボス部2aの平面形状の外形は円形状である。上記延在方向に垂直なボス部2aの径方向におけるボス部2aの中央部は、該径方向において該中央部よりも外周側に位置するボス部2aの外周部と比べて、前側に向かって突出している。ボス部2aの上記中央部は、ボス部2aの前側に位置する端部を有している。ボス部2aの上記外周部は、ボス部2aの後側に位置する端部を有している。遠心羽根車2のボス部2aおよび複数の動翼2cは、シャフト6の一部を囲むように形成されている。
【0016】
ボス部2aの上記中央部には、上記延在方向に沿って延びる第1孔2H(
図3参照)が形成されている。第1孔2Hの内周面は、後述する放熱部7の第1部分7Aの外周面と接続されている。第1孔2Hの孔軸は、上記延在方向に沿っている。第1孔2Hは貫通孔である。第1孔2Hの孔径は、上記径方向におけるシャフト6の幅W3(
図3参照)超えである。第1孔2Hの孔径は、上記径方向における放熱部7の第1部分7Aの幅W2(
図3参照)以上である。
【0017】
図2および
図3に示されるように、上記延在方向に沿った断面において、ボス部2aの外周面は、例えば曲線を成すように形成されている。ボス部2aは、上記延在方向に対し当該曲線の接線の成す角度が前側から後側に向かうにつれて徐々に大きくなるように、形成されている。言い換えると、上記径方向におけるボス部2aの幅は、上記延在方向において、前側から後側に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。ボス部2aの上記幅は、上記径方向において外周側に位置するボス部2aの表面(外周面)のうち、回転中心O(
図2参照)を挟んで対向する部分間の距離である。ボス部2aの前側に位置する端部の上記径方向における幅は、ボス部2aの後側に位置する端部の上記径方向における幅よりも小さく、ボス部2aの上記径方向における幅の最小値を示す。ボス部2aの後側に位置する端部の上記径方向における幅は、ボス部2aの上記径方向における幅の最大値を示す。
【0018】
上記径方向において第1孔2Hよりも外周側に位置するボス部2aの部分には、複数の動翼2cが接続されている。複数の動翼2cは、上記延在方向に垂直な周方向において、互いに間隔を隔てて設けられている。上記延在方向において前側に位置し、かつ上記径方向において中心側に位置する複数の動翼2cの各第1縁部2ccは、遠心羽根車ユニット1の回転方向R(
図4参照)に前傾している。上記延在方向において前側に位置し、かつ上記径方向において外周側に位置する複数の動翼2cの各第2縁部2cdは、遠心羽根車ユニット1の回転方向R(
図4参照)に後傾している。
図4に示されるように、複数の動翼2cの各々は、上記延在方向から視たときに、第1縁部2cc、第2縁部2cd、および第1縁部2ccと第2縁部2cdとの間に位置する第3縁部2ceがS字状を成すように、形成されている。上記延在方向に垂直な周方向における複数の動翼2cの厚みは、上記径方向において徐々に薄くなるように形成されている。
【0019】
遠心羽根車2を構成する材料は、任意の材料であればよいが、例えば樹脂材料である。遠心羽根車2のボス部2aおよび複数の動翼2cは、例えば一体として形成されている。遠心羽根車2を構成する材料は、例えば、電動部10のシャフト6を構成する材料と比べて、熱伝導率が低い。
【0020】
放熱部7は、遠心羽根車2の第1孔2Hの内部に位置する第1部分7Aと、第1孔2Hの外部に位置する第2部分7B,7Cとを含む。第2部分7B,7Cは、第1部分7Aと上記延在方向において接続されている。第2部分7Bは、第1部分7Aよりも前側に形成されている。第2部分7Cは、第1部分7Aよりも後側に形成されている。第2部分7B,7Cは、上記延在方向において第1部分7Aを挟むように形成されている。
【0021】
図3に示されるように、放熱部7の上記延在方向における長さL1は、第1孔2Hの上記延在方向における長さL2よりも長い。第1孔2Hの上記延在方向における長さL2は、ボス部2aの上記中央部の上記延在方向における長さと等しい。放熱部7の上記延在方向における長さL1は、例えば電動部10のシャフト6の上記延在方向における長さL3未満である。好ましくは、放熱部7の上記長さL1は、遠心羽根車2の上記延在方向における長さL4よりも長い。遠心羽根車2の上記延在方向における長さL4は、例えばボス部2aの前側に位置する端部と後側に位置する端部との間の上記延在方向における距離である。好ましくは、第2部分7Bの上記延在方向における長さは、第2部分7Cの上記延在方向における長さよりも長い。
【0022】
図3に示されるように、第1部分7Aの上記径方向における幅W2は、第1孔2Hの孔径以下である。第2部分7Bの上記径方向における幅W1は、第1部分7Aの上記幅W2超えである。第2部分7Bの上記幅W1は、第1孔2Hの孔径超えである。異なる観点から言えば、第2部分7Bは、第1部分7Aよりも上記径方向において突出している。第2部分7Cの上記径方向における幅は、例えば第1部分7Aの上記幅W2と等しい。なお、第1部分7Aの上記幅W2は、第1部分7Aの上記径方向において外周側に位置する外周面のうち、回転中心Oを挟んで対向する部分間の距離である。第2部分7Bの上記幅W1は、第2部分7Bの上記径方向において外周側に位置する外周面のうち、回転中心Oを挟んで対向する部分間の距離である。第2部分7Cの上記幅は、第2部分7Cの上記径方向において外周側に位置する外周面のうち、回転中心Oを挟んで対向する部分間の距離である。
【0023】
図3に示されるように、放熱部7の第2部分7B,7Cは、遠心羽根車ユニット1において外部に露出した面を有している。第2部分7Bは、例えば上記径方向に沿って延びる第1露出面7Dと、上記延在方向に沿って延びる第2露出面7Eとを有している。第1露出面7Dは、第2部分7Bの前側に位置する面である。第2露出面7Eは、第2部分7Bの前側に位置する面の外周端と接続されており、かつ上記周方向に沿って延びる第2部分7Bの側面である。好ましくは、第2露出面7Eと、上記径方向において外周側に位置するボス部2a外周面(露出面)とは、同一面をなすように接続されている。言い換えると、好ましくは、第2露出面7Eと、上記径方向において外周側に位置するボス部2aの外周面との間には、段差が形成されていない。第2部分7Cは、例えば上記延在方向に沿って延びる第3露出面7Fを有している。
【0024】
なお、遠心羽根車ユニット1において、第1露出面7Dのうち後述する固定部材8と接していない部分と第2露出面7Eとが、後述する電動送風機11の第1風路に露出した面となる。また、遠心羽根車ユニット1において、第3露出面7Fが、後述する電動送風機11の第2風路に露出した面となる。
【0025】
遠心羽根車2と放熱部7とは、任意の方法により固定されていればよいが、例えば接着剤により固定されている。この場合、該接着剤は、電動送風機11の運転動作時に到達し得る遠心羽根車2および放熱部7の温度に加熱されても、変質などを起こさないものである。
【0026】
放熱部7には、延在方向に沿って延びる第2孔7Hが形成されている。第2孔7Hの内周面は、シャフト6の外周面の一部と接続されている。第2孔7Hの孔軸は、第1孔2Hの孔軸および上記延在方向に沿っている。第2孔7Hは、貫通孔である。第2孔7Hは、第2部分7Bの前側に位置する面から第2部分7Cの後側に位置する面まで、延びるように形成されている。第1部分7Aおよび第2部分7B,7Cの各々は、例えば円筒形状である。
【0027】
放熱部7を構成する材料は、遠心羽根車2を構成する材料と比べて熱伝導率が高い。放熱部7を構成する材料は、例えば金属であり、例えばアルミニウム(Al)である。第1部分7Aと第2部分7B,7Cとは、例えば一体として成形されている。
【0028】
インレットケーシング3は、ボス部2a、複数の動翼2c、後述する複数の静翼5、およびバックケーシング4の少なくとも一部を内包するように、形成されている。インレットケーシング3の内側に位置する内面3aは、後述する第1風路に面している。上記延在方向において前側に位置する内面3aは、上記径方向において放熱部7の第2部分7Bの上記第2露出面7E、およびボス部2aの外周面と間隔を隔てて形成されている。上記径方向において外周側に位置するインレットケーシング3の内面3aは、バックケーシング4の外側に位置する外面4aと間隔を隔てて形成されている。バックケーシング4の外面4aは、後述する第1風路に面している。
【0029】
インレットケーシング3には、複数の動翼2cよりも前側に位置する吸込口3cが形成されている。上記延在方向から視たときの吸込口3cの平面形状は、例えば円形状である。吸込口3cの口径は、例えばボス部2aの上記径方向における幅の最大値(ボス部2aの後側に位置する端部の、上記径方向における幅)よりも小さい。
【0030】
バックケーシング4は、上記延在方向において前側に位置する面4aを有している。バックケーシング4の面4aは、遠心羽根車2のボス部2aの後側に位置する面2bと、上記延在方向において対向するように配置されている。バックケーシング4は、例えば電動部10の前側に位置する一部を上記周方向において囲むように形成されている。インレットケーシング3とバックケーシング4との間には、上記延在方向において複数の動翼2cおよび複数の静翼5よりも後側に位置し、上記径方向において複数の動翼2cよりも外周側に位置する吐出口3dが形成されている。上記延在方向から視たときの吐出口3dの平面形状は、例えば円環状である。
【0031】
インレットケーシング3の内面とバックケーシング4の外面との間には複数の静翼5が形成されている。複数の静翼5の各々は、上記径方向において複数の動翼2cよりも外周側に形成されている。
【0032】
電動部10は、回転軸としてのシャフト6とシャフト6を回転させるモータ(図示しない)とを含む。シャフト6は、モータよりも前側に配置されている。シャフト6の前側に位置する端部は、例えばインレットケーシング3の吸込口3cよりも前側に位置している。放熱部7の第2孔7Hの内周面の全体は、シャフト6の外周面と接触している。シャフト6の上記延在方向における長さL3は、例えば放熱部7の上記延在方向における長さL1よりも長い。シャフト6において後側に位置する後方部6Bは、シャフト6において前側に位置する前方部6Aよりも、上記径方向において外周側に突出している。モータは、任意の構成を有していればよいが、例えば整流子モータである交流モータ(ACモータ)である。
【0033】
後方部6Bの前側に位置する面は、放熱部7の第2部分7Cの後側に位置する面と接触している。これにより、放熱部7は、シャフト6の後方部6Bにより、後側への位置ズレが抑制されている。上記径方向において外周側に位置する後方部6Bの外周面は、後述する第2風路に露出している。
【0034】
シャフト6の前方部6Aにおいて放熱部7の第2部分7Bよりも前側に位置する部分には、固定部材8が固定されている。前方部6Aにおいて放熱部7の第2部分7Bよりも前側に位置する部分と、固定部材8とは、例えば緊締可能に設けられている。これにより、放熱部7は、固定部材8により、前側への位置ズレが抑制されている。つまり、シャフト6と放熱部7とは、シャフト6の後方部6Bおよび固定部材8によって上記延在方向に位置決めされている。後方部6Bの上記径方向における幅と前方部6Aの上記径方向における幅との差の半分は、例えば放熱部7の第2部分7Cの上記径方向における厚みと等しい。
【0035】
<電動送風機の動作>
図2に示されるように、電動送風機11は、電動部10に電力が供給されると、シャフト6が回転する。シャフト6が回転することにより、シャフト6に取付けられた遠心羽根車2が回転し、吸込口3cから空気を吸引する。遠心羽根車2によって電動送風機11内に吸引された空気は、遠心羽根車2より昇圧、増速され、旋回しながら径方向外側へ向かう。遠心羽根車2から吐出された空気は、複数の静翼5の翼間で減速、昇圧される。その後、空気は吐出口3dから電動送風機11の外側へ排出される。遠心羽根車2の回転数は、例えば3万rpm以上15万rpm以下である。
【0036】
これにより、電動送風機11には、吸込口3cから複数の動翼2c間および複数の静翼5間を通って吐出口3dに至る第1風路が形成される。さらに、電動送風機11には、遠心羽根車2のボス部2aよりも後側に位置し、ボス部2aの後側に位置する面2bとバックケーシング4の面4aとの間に形成される空間内に、第2風路が形成される。第2風路内の空気は主にシャフト6の周囲を旋回して流れる。第1風路と第2風路とは、空気を流出入可能に接続されている。
【0037】
図3に示されるように、電動送風機11の上記動作時において、電動部10のモータからシャフト6に伝えられた熱の大部分は、放熱部7に伝えられる。放熱部7に伝えられた熱の一部は、放熱部7の第2部分7Bの第1露出面7Dおよび第2露出面7Eを介して第1風路を流通する空気に伝えられる。放熱部7に伝えられた熱の他の一部は、放熱部7の第2部分7Cの第3露出面7Fを介して第2風路を流通する空気に伝えられる。放熱部7に伝えられた熱の他の一部は、第1部分7Aおよび第2部分7Bを介して遠心羽根車2に伝えられる。遠心羽根車2に伝えられた熱は、ボス部2aの外周面または複数の動翼2cの表面を介して、第1風路または第2風路を流通する空気に伝えられる。
【0038】
シャフト6に伝えられた熱の他の一部は、固定部材8を介して第1風路内を流通する空気に伝えられる。シャフト6に伝えられた熱の他の一部は、後方部6Bを介して第2風路内を流通する空気に伝えられる。
【0039】
<電動送風機の作用効果>
図1〜
図5に示されるように、電動送風機11は、電動部10のシャフト6と遠心羽根車2のボス部2aとが、放熱部7を介して接続されている。放熱部7を構成する材料は、遠心羽根車2を構成する材料よりも熱伝導率が高い。さらに、放熱部7の上記延在方向における長さL1が、遠心羽根車2の上記延在方向における長さL2よりも長い。そのため、放熱部7は、上述した従来の送風機におけるブッシュと比べて、大きな露出面を有している。これにより、電動部10のモータからシャフト6に伝えられた熱は、放熱部7の全体に速やかに伝わる。第2部分7Bに伝えられた熱は、第1露出面7Dおよび第2露出面7Eを介して第1風路を流通する空気に伝えられる。その結果、電動送風機11は、シャフト6から放熱部7に伝えられた熱を効果的に放熱することができる。そのため、遠心羽根車2は、電動部10の熱により加熱されて変形されることが抑制されている。その結果、電動送風機11は高い信頼性を有している。
【0040】
また、上述のように、従来の遠心羽根車は比較的高い温度に加熱され得る。そのため、従来の遠心羽根車を構成する材料は、熱による遠心羽根車の変形等を抑制するため、高い耐熱性を有する材料に限られている。これに対し、電動送風機11が所定の条件で動作されたときの遠心羽根車2の温度は、従来の電動送風機が当該条件で動作されたときのその遠心羽根車の温度と比べて低い。そのため、遠心羽根車2を構成する材料は、従来の遠心羽根車を構成する材料よりも耐熱性の低い材料であってもよい。このようにしても、遠心羽根車2の変形が抑制されている。
【0041】
上記電動送風機11において、第1孔2Hはボス部2aを貫通する孔である。放熱部7は、第1孔2Hに対して電動送風機11の吸込側に形成されている第2部分7Bを含む。つまり、放熱部7は、電動送風機11内の第1風路に面している第2部分7Bを含む。第1風路を流通する空気の流量および流速は第2風路を流通する空気の流量および流速と比べて大きい。そのため、このような放熱部7を備える電動送風機11は、第2風路に面している第2部分7Cのみを含む放熱部7を備える電動送風機11と比べて、高い放熱性を有している。
【0042】
上記電動送風機11において、上記径方向における第2部分7Bの幅の最大値W1は、上記径方向におけるボス部2aの幅の最小値以下である。このような第2部分7Bは、上記径方向においてボス部2aの外周面よりも外周側に突出していない。このような第2部分7Bは、第1風路における空気の流れを阻害しない。そのため、電動送風機11は、シャフト6から放熱部7に伝えられた熱を効果的に放熱することができ、かつ効率が高い。
【0043】
上記電動送風機11において、放熱部7は、第1孔2Hに対して電動送風機11の吸込側とは反対側に形成されている第2部分7Cをさらに含む。このようにすれば、第2部分7Cは第2風路に面しているため、シャフト6から放熱部7に伝えられた熱は第2風路を流通する空気に伝えられ得る。その結果、このような電動送風機11は、シャフト6から放熱部7に伝えられた熱をより効果的に放熱することができる。
【0044】
上記電動送風機11において、上記径方向における第2部分7B,7Cの外径の最大値W1は、上記径方向における第1部分7Aの外径の最大値W2よりも大きい。このようにすれば、第2部分7B,7Cの外径の最大値W1が第1部分7Aの外径の最大値W2と等しい場合と比べて、第2部分7B,7Cの表面積を大きくすることができる。その結果、このような電動送風機11は、シャフト6から放熱部7に伝えられた熱をより効果的に放熱することができる。
【0045】
上記電動送風機11において、放熱部7を構成する材料は金属であり、遠心羽根車2を構成する材料は樹脂である。このようにすれば、遠心羽根車2と放熱部7とからなる遠心羽根車ユニット1は、例えば金型を用いたインサート成形により容易に製造され得る。具体的には、金型内に放熱部7をインサートし、放熱部7の周囲に樹脂を注入することにより、放熱部7と遠心羽根車2とが一体成形された遠心羽根車ユニット1が製造され得る。その結果、電動送風機11は、容易に製造され得る。
【0046】
なお、上記遠心羽根車ユニット1は、遠心羽根車2と、放熱部7とを備える。遠心羽根車2は上記延在方向(第1方向)に沿って延びる第1孔2Hが形成されているボス部2aと、ボス部2aと接続されている複数の動翼2cとを含む。放熱部7は、第1孔2Hの内部に位置している第1部分7Aと、第1部分7Aと上記延在方向(第1方向)において接続されており、かつ第1孔(2H)の外部に位置している第2部分7B,7Cとを含む。第1部分7Aは、ボス部2aと接続されている。第1部分7Aには、第2孔7Hが形成されている。放熱部7を構成する材料は、遠心羽根車2を構成する材料よりも高い熱伝導率を有している。放熱部7の上記延在方向(第1方向)における長さL1は、第1孔2Hの上記延在方向(第1方向)における長さよりも長い。このような遠心羽根車ユニット1は、第2孔7Hに電動部10のシャフト6が挿入、固定されることにより、上記電動送風機11を構成し得る。電動部10は、従来の電動部と同様の構成を有していればよい。遠心羽根車ユニット1は、上記のような放熱部7を備えていることにより、シャフト6から放熱部7に伝えられた熱を効果的に放熱することができる。
【0047】
実施の形態2.
次に、
図6を参照して、実施の形態2に係る電動送風機12について説明する。電動送風機12は、基本的には実施の形態1に係る電動送風機11と同様の構成を備えるが、放熱部7の第2部分7Cの上記径方向における幅の最大値W4が第1部分7Aの上記径方向における幅の最大値W2よりも大きく形成されている点で異なる。
【0048】
放熱部7の第2部分7Cの上記幅の最大値W4は、シャフト6の後方部6Bの上記径方向における幅の最大値よりも大きく形成されている。第2部分7Cの上記幅の最大値W4は、例えば第2部分7Bの上記幅の最大値W1よりも大きい。第2部分7Cの後側に位置する面は、第2風路に露出している。
【0049】
このようにすれば、電動送風機12は、電動送風機11と比べて、放熱部7の第2部分7Cから第2風路を流通する空気への放熱をより効果的に行うことができる。また、このような放熱部7と遠心羽根車2とは、上述のようにインサート成形により容易に製造され得る。また、電動送風機12の遠心羽根車2および放熱部7は、電動送風機11の遠心羽根車2および放熱部7と比べて、上記径方向における位置ズレの発生がより効果的に抑制されている。
【0050】
なお、第2部分7Cの外径の最大値W4は、例えば第2部分7Bの外径の最大値W1以下であってもよい。このようにしても、上述した電動送風機12と同様の効果を奏することができる。
【0051】
実施の形態3.
次に、
図7および
図8を参照して、実施の形態3に係る電動送風機について説明する。実施の形態3に係る電動送風機は、基本的に実施の形態1に係る電動送風機と同様の構成を備えるが、放熱部7の第1部分7Aの上記径方向における幅が上記回転方向において異なっている点で異なる。なお、
図7および
図8は、実施の形態3に係る放熱部7のみを示す斜視図であり、電動送風機の他の構成部材は図示していない。
【0052】
図7および
図8に示されるように、上記延在方向に垂直な断面において、放熱部7の第1部分7Aの外周面は、例えば正6角形状を成すように形成されている。第1部分7Aの外周面には、上記延在方向に延びる角部9が6つ形成されている。これにより、放熱部7の第1部分7Aの上記径方向における幅が上記回転方向において異なっている。放熱部7の第1部分7Aの上記幅の最大値は、上記径方向において回転中心Oを挟んで対向する2つの角部9間の距離に等しい。
【0053】
好ましくは、第1部分7Aの外周面の全面は、ボス部2a(
図2参照)と接続されている。上記断面において、遠心羽根車2に形成された第1孔2Hの内周面(
図2参照)は、正六角形状を成すように形成されている。
【0054】
実施の形態3に係る第1部分7Aは、第1部分7Aの上記径方向における幅が上記回転方向において等しく形成されている実施の形態1に係る第1部分7A(
図5参照)と比べて、外周面の面積が大きい。つまり、実施の形態3に係る第1部分7Aによれば、遠心羽根車2の第1孔2Hの内周面との接触面積が実施の形態1に係る第1部分7Aと比べて大きい。そのため、実施の形態3に係る電動送風機においてシャフト6から放熱部7に伝えられた熱は、電動送風機11と比べてより効果的に、第1部分7Aを介して遠心羽根車2へ伝えられる。さらに、実施の形態3に係る電動送風機において、遠心羽根車と放熱部7とは、高回転時においても正常に接続された状態が維持され易い。そのため、実施の形態3に係る電動送風機は、高い信頼性を有している。
【0055】
実施の形態3に係る電動送風機の放熱部7は、
図7および
図8に示される構成に限定されるものではない。
図9および
図10に示されるように、上記延在方向に垂直な断面において、放熱部7の第1部分7Aの外周面は、回転中心Oを中心として円弧状に形成されている部分と、上記径方向において当該部分よりも外周側に突出している部分とを有していてもよい。放熱部7の第1部分7Aの外周面は、例えば12角形状を成すように形成されていてもよい。第1部分7Aの外周面には、例えば上記延在方向に延びる角部9が4つ形成されている。
【0056】
好ましくは、第1部分7Aの外周面の全面は、ボス部2a(
図2参照)と接続されている。好ましくは、上記断面において、第1孔2Hの内周面には、上記角部9と嵌合可能に形成されており、かつ上記延在方向に延びる凹部(図示しない)が4つ形成されている。
【0057】
図9および
図10に示される放熱部7を備える実施の形態3に係る電動送風機も、
図7および
図8に示される放熱部7を備える実施の形態3に係る電動送風機と同様の効果を奏することができる。
【0058】
なお、上記延在方向に垂直な断面において、第2孔7Hの内周面は、任意の形状を成すように形成されていればよいが、例えば円形状を成すように形成されている。
【0059】
なお、上述した実施の形態1〜3に係る電動送風機11,12における放熱部7は、第1風路または第2風路に露出する第2部分7B,7Cを含むが、少なくともいずれか一方のみを含んでいてもよい。放熱部7は、第2部分7Cのみを含んでいてもよい。好ましくは、放熱部7は、少なくとも第2部分7Bを含んでいる。より好ましくは、放熱部7は、第2部分7Bおよび第2部分7Cを含んでいる。第1風路の風量は第2風路の風量よりも大きい。そのため、第2部分7Bを含む放熱部7は、第2部分7Cのみを含み第2部分7Bを含まない放熱部7と比べて、より効果的に放熱することができる。
【0060】
また、上述した実施の形態1〜3に係る電動送風機11,12において、上記径方向における第2部分7Bの幅の最大値W1は、上記径方向における第1部分7Aの幅の最大値W2よりも大きいが、これに限られるものでは無い。第2部分7Bの上記幅の最大値W1は、第1部分7Aの上記幅の最大値W2以上であってもよい。このような放熱部7も、放熱部7の上記長さL1は第1孔2Hの上記長さL2よりも長いため、第1風路または第2風路に露出している露出面を有している。そのため、このような放熱部7は、上述した従来の金属製のブッシュと比べて、シャフト6から伝えられた熱を効果的に放熱することができる。
【0061】
実施の形態4.
<電気掃除機の構成>
図11を参照して、実施の形態4に係る電気掃除機100について説明する。電気掃除機100は、実施の形態1〜3に係る電動送風機の少なくともいずれか1つを備えている。電気掃除機100は、例えば、電気掃除機本体101と、吸込具104と、集塵部105と、上述した電動送風機11とを備える。電気掃除機本体101には排出口107が設けられている。吸込具104は、電気掃除機本体101と管路としてのホース102および延長パイプ103で連結され、被清掃部の空気を吸引する。ホース102は電気掃除機本体101に接続される。延長パイプ103は、ホース102の先端側に接続される。吸込具104は延長パイプ103の先端部に接続される。
【0062】
集塵部105は、電気掃除機本体101内部に設けられ、吸込具104と連通し、吸引した空気の塵を収納する。電動送風機11は、電気掃除機本体101内部に設けられ、吸込具104から集塵部105へと空気を吸引する。電動送風機11は、上述した本発明の実施形態に係る電動送風機である。排出口107は、電気掃除機本体101の後部に設けられ、集塵部105で集塵された後の空気を電気掃除機本体101の外へ排出する。
【0063】
電気掃除機本体101の側部には、走行方向後側に後部車輪108が配置されている。電気掃除機本体101の下部には、走行方向前側に前部車輪(図示せず)が設けられている。
【0064】
<電気掃除機の動作>
次に、
図11を参照して、電気掃除機の動作について説明する。上述のように構成された電気掃除機は、電動送風機11の電動部10に電力が供給されると、シャフト6(
図1参照)が回転する。
図1に示すように、このシャフト6が回転することにより、シャフト6に固定された遠心羽根車2が回転し、吸込口3cから空気を吸引する。これにより、
図11に示す電気掃除機本体101に連結されたホース102、延長パイプ103、吸込具104を通じて、被清掃面の空気が電気掃除機本体101に吸引される。電気掃除機本体101に吸引された空気は、集塵部105において集塵される。
【0065】
その後、集塵部105から排出された空気は、
図1に示すように、電動送風機11の吸込口3cから吸引される。電動送風機11に吸引された空気は、遠心羽根車2により昇圧、増速され、旋回しながら径方向外側へ向かう。遠心羽根車2から吐出された空気の大部分は、複数の静翼5の翼間で減速、昇圧される。その後、空気は吐出口3dから電動送風機11の外側へ空気は排出される。そして、
図11に示す掃除機本体101に設けられた排出口107から電気掃除機本体101の外側へ空気が排出される。
【0066】
<電気掃除機の作用効果>
上述した電気掃除機100は、上述した電動送風機11を用いているので、モータからシャフト6に伝えられた熱を効果的に放熱することができ、結果的に長寿命な電気掃除機を得ることができる。
【0067】
なお、電気掃除機100は、実施の形態2または3に係る電動送風機を備えていてもよい。このようにしても、電気掃除機100は、モータからシャフト6に伝えられた熱を効果的に放熱することができる。その結果、電気掃除機100は、該熱による異常の発生が抑制されており、長寿命である。
【0068】
なお、電気掃除機100は、電気掃除機本体101にホース102、延長パイプ103が連結されたキャニスタ―タイプを説明したが、他のタイプの電気掃除機であってもよい。例えば、電気掃除機本体に延長パイプが接続されたコードレスタイプの電気掃除機、あるいはスティックタイプの電気掃除機にも、上述した実施の形態1〜3のいずれかに係る電動送風機を適用することができる。
【0069】
実施の形態5.
<ハンドドライヤーの構成>
次に、
図12を参照して、実施の形態5に係るハンドドライヤー110について説明する。ハンドドライヤー110は、実施の形態1〜3に係る電動送風機の少なくともいずれか1つを備えている。ハンドドライヤー110は、例えば、電動送風機11、本体としてのケーシング111、手挿入部112、水受け部113、吸気口114、およびノズル115を備える。ハンドドライヤーでは、ケーシング111内に電動送風機11を有する。ハンドドライヤーでは、水受け部113の上部にある手挿入部112に手を挿入することで、電動送風機11による送風で水を手から吹き飛ばす。吹き飛ばされた水は、水受け部113からドレン容器(図示しない)へと貯留される。
【0070】
ハンドドライヤーの外殻をなすケーシング111は、正面に手挿入口を有する。ケーシング111は、手挿入口に続く処理空間として手挿入部112を備えている。手挿入部112には使用者が手を挿入可能である。手挿入部112は、ケーシング111の正面下部に、正面と両側面が開放した開放シンク状の凹部として形成されている。手挿入部112の下部を形成するように水受け部113が配置されている。手挿入部112の上部には、手挿入部112に向かって下方に高速空気を吹き出すノズル115が設けられている。ケーシング111の下面には吸気口114が設けられている。
【0071】
ケーシング111の内部空間内には、電動送風機11が配置されている。この電動送風機11はたとえば外部から供給される電力、あるいはケーシング111内部に配置されたバッテリーなどの電源からの電力により駆動される。また、当該空間内には、電動送風機11の吸気側とケーシング111の側面に設けられた吸気口114とを連通する吸気風路と、電動送風機11の排気側とノズル115とを連通する排気風路とが設けられている。
【0072】
排気風路の途中でノズル115より上流側近傍には電動送風機11から排気された空気を加熱して温風化させるヒータが設けられていてもよい。また、吹出口としてのノズル115より背面側でケーシング111の内には、手検知センサおよび照明用LEDを備えた回路基板が設けられていてもよい。手検知センサは手挿入部112の手の有無を検知する。手挿入部112に手が挿入されたことが検出されると、照明手段としての照明用LEDは手挿入部112を照らし明るくする。
【0073】
<ハンドドライヤーの動作>
次に手を乾燥させる使用時の動作について説明する。ハンドドライヤーとしての電気機器の電源スイッチをONにすると、ケーシング111内に配置された制御回路などに通電され、手乾燥できる使用可能状態(以下、待機状態とする)となる。そして、使用者が濡れた手を手挿入口から手挿入部112内に手首付近まで入れると、手検知センサによって手の挿入が検知される。その結果、制御回路により電動送風機が作動する。
【0074】
電動送風機11が作動すると、ハンドドライヤーの外の空気が吸気口114から吸い込まれる。吸気口114から吸い込まれた空気は、電動送風機11の吸込側に吸い込まれる。電動送風機11は吸気側から吸い込んだ空気を排気側から高圧空気に変換して排気する。排気された高圧空気は排気風路を通りノズル115に到達し、高い運動エネルギーを持つ高速空気流に変換される。高速空気流は手挿入部112内に下方に向かってノズル115から吹き出される。ノズル115から吹き出された高速空気流は、手挿入部112に挿入されている濡れた手に当り、手に付着した水分を手の表面から剥離して吹き飛ばす。このようにして、手を乾燥させることができる。なお、ケーシング111内に設けられたヒータスイッチ(図示せず)をONにしている場合には、ヒータが通電され排気風路を通る高圧空気が加熱される。このため、ノズルからは温風が吹き出され冬場などにおいても使用者の使用感を良好に保つことができる。
【0075】
手の乾燥処理終了後、手を手挿入部112から抜き出すと、手が抜かれたことを手検知センサが検知し、電動送風機が停止する。手から吹き飛ばされた水滴は、前傾構造の水受け部113に収容される。
【0076】
<ハンドドライヤーの作用効果>
上述したハンドドライヤー110は、上述した電動送風機11を用いているので、モータからシャフト6に伝えられた熱を効果的に放熱することができ、結果的に長寿命な電気掃除機を得ることができる。
【0077】
なお、ハンドドライヤー110は、実施の形態2または3に係る電動送風機を備えていてもよい。このようにしても、ハンドドライヤー110は、モータからシャフト6に伝えられた熱を効果的に放熱することができる。その結果、ハンドドライヤー110は、該熱による異常の発生が抑制されており、長寿命である。
【0078】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。