特許第6768896号(P6768896)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000002
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000003
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000004
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000005
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000006
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000007
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000008
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000009
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000010
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000011
  • 特許6768896-自動改札機、及び発券機 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768896
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】自動改札機、及び発券機
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20201005BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   G07B15/00 H
   G07B15/00 501
   G06K7/00 004
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-137218(P2019-137218)
(22)【出願日】2019年7月25日
(62)【分割の表示】特願2015-178675(P2015-178675)の分割
【原出願日】2015年9月10日
(65)【公開番号】特開2019-192297(P2019-192297A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2019年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 貴行
【審査官】 國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−004025(JP,A)
【文献】 特開2014−170589(JP,A)
【文献】 特開2001−155194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00 − 17/04
G06K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者によって提示された乗車券を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像から、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトの有無を認識する第1の認識部と、
前記撮像部により撮像された画像から、乗車券の効力情報を取得可能な符号化された情報である第2の表示オブジェクトを認識し、前記第2の表示オブジェクトを復号して前記乗車券の効力情報を取得する第2の認識部と、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが存在することが認識され且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されなかった場合、前記撮像部および前記第2の認識部に対して前記乗車券の再提示を受け付けさせる制御部と、
を備える自動改札機。
【請求項2】
媒体を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像される画像から、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトの有無を認識する第1の認識部と、
前記撮像部により撮像される画像から、媒体の効力情報を取得可能な符号化された情報である第2の表示オブジェクトを認識し、前記第2の表示オブジェクトを復号して前記媒体の効力情報を取得する第2の認識部と、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが存在することが認識され且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されない場合、表示部に所定の情報を表示させる制御部と、
を備える自動改札機。
【請求項3】
片面または両面の全体に亘って第1の表示オブジェクトが形成される媒体を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像される画像から、前記第1の表示オブジェクトの有無を認識する第1の認識部と、
前記撮像部により撮像される画像から、媒体の効力情報を取得可能な符号化された情報である第2の表示オブジェクトを認識し、前記第2の表示オブジェクトを復号して前記媒体の効力情報を取得する第2の認識部と、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが存在することが認識され且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されない場合、表示部に所定の情報を表示させる制御部と、
を備える自動改札機。
【請求項4】
撮像される媒体の画像から、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトが存在することが認識され且つ前記媒体の効力情報を取得可能な符号化された情報である第2の表示オブジェクトが認識されない場合、所定の情報を表示させる
自動改札機。
【請求項5】
利用者によって提示された乗車券を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像から、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトの有無を認識する第1の認識部と、
前記撮像部により撮像された画像から、乗車券の効力情報を取得可能な符号化された情報である第2の表示オブジェクトを認識し、前記第2の表示オブジェクトを復号して前記乗車券の効力情報を取得する第2の認識部と、
当該自動改札機の通路内に利用者が存在することを検知する検知部と、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが存在することが認識され且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されなかった場合、前記検知部により前記自動改札機の通路内に利用者が存在することが検知されている間、前記撮像部および前記第2の認識部に対して前記乗車券の再提示を受け付けさせる制御部と、
を備える自動改札機。
【請求項6】
利用者によって提示された乗車券を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像から、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトを認識する第1の認識部と、
前記撮像部により撮像された画像から、乗車券の効力情報を取得可能な符号化された情報である第2の表示オブジェクトを認識し、前記第2の表示オブジェクトを復号して前記乗車券の効力情報を取得する第2の認識部と、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが認識され且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されなかった場合、前記撮像部および前記第2の認識部に対して前記乗車券の再提示を受け付けさせる制御部と、
当該自動改札機の通路内に利用者が存在することを検知する検知部と、
利用者の通過を制限する制限部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが認識されず且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識された場合、前記制限部に利用者の通過を制限させると共に、前記撮像部および前記第2の認識部に対して前記乗車券の再提示を受け付けさせず、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが認識されず且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されなかった場合、前記検知部により前記自動改札機の通路内に利用者が存在することが検知されていれば前記制限部に利用者の通過を制限させると共に、所定時間経過後、前記撮像部、前記第1の認識部、および前記第2の認識部に対して前記乗車券の新たな提示を受け付けさせる、
自動改札機。
【請求項7】
利用者によって提示された乗車券を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像から、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトを認識する第1の認識部と、
前記撮像部により撮像された画像から、乗車券の効力情報を取得可能な符号化された情報である第2の表示オブジェクトを認識し、前記第2の表示オブジェクトを復号して前記乗車券の効力情報を取得する第2の認識部と、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが認識され且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されなかった場合、前記撮像部および前記第2の認識部に対して前記乗車券の再提示を受け付けさせる制御部と、
前記撮像部は、第1のタイミング、および前記第1のタイミングとは異なる第2のタイミングのそれぞれにおいて前記乗車券を撮像し、
前記第1の認識部は、前記第1のタイミングで撮像された画像から第1の表示オブジェクトを認識し、
前記第2の認識部は、前記第2のタイミングで撮像された画像から第2の表示オブジェクトを認識し、
前記第1のタイミングで可視領域外の波長の光を前記乗車券に照射する第1のライトと、前記第2のタイミングで可視領域の波長の光を前記乗車券に照射する第2のライトと、
を更に備え、
前記第1の表示オブジェクトは、可視領域外の波長の光を照射することで可視光を発光する色剤によって、前記乗車券に形成されており、
前記撮像部は、前記第1のタイミング、および前記第2のタイミングのそれぞれにおいて前記乗車券を撮像する、
自動改札機。
【請求項8】
利用者によって提示された乗車券を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像から、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトの有無を認識する第1の認識部と、
前記撮像部により撮像された画像から、乗車券の効力情報を取得可能な符号化された情報である第2の表示オブジェクトを認識し、前記第2の表示オブジェクトを復号して前記乗車券の効力情報を取得する第2の認識部と、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが存在することが認識され且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されなかった場合、前記撮像部および前記第2の認識部に対して前記乗車券の再提示を受け付けさせる制御部とを備える自動改札機で処理される前記乗車券を発行する発券機。
【請求項9】
利用者によって提示された乗車券を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像から、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトを認識する第1の認識部と、
前記撮像部により撮像された画像から、乗車券の効力情報を取得可能な符号化された情報である第2の表示オブジェクトを認識し、前記第2の表示オブジェクトを復号して前記乗車券の効力情報を取得する第2の認識部と、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが認識され且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されなかった場合、前記撮像部および前記第2の認識部に対して前記乗車券の再提示を受け付けさせる制御部とを備える自動改札機で処理される前記乗車券を発行する発券機であって、
前記第1の表示オブジェクトが形成されたロール紙を所定の大きさに裁断する裁断手段と、
前記裁断手段によって裁断された前記ロール紙に前記第2の表示オブジェクトを画像として形成する手段と、
を備えたことを特徴とする発券機。
【請求項10】
片面または両面の全体に亘って第1の表示オブジェクトが形成されたロール紙を裁断する裁断手段と、
前記裁断手段によって裁断された前記ロール紙に、乗車券の効力情報を取得可能な符号化された情報である第2の表示オブジェクトを画像として形成する手段と、を備え、
前記第1の表示オブジェクトは、前記ロール紙に、前記裁断手段により裁断された後のサイズであっても、前記乗車券を扱う自動改札機がカメラを用いて認識可能な所定の規則で形成されている、
発券機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札機、及び発券機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道を利用するための乗車券を処理する自動改札機が知られている。乗車券としては、磁気券やIC券の他、紙媒体に符号化されたコード情報が表示された紙券が知られている。利用内容が印刷された紙券等は、不正使用に対して脆弱な一面がある。しかしながら、従来技術では、利用券における不正使用の抑制効果が十分でない場合や、利用者にとっての利便性が十分でない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−149012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、利用券の不正使用を抑制すると共に利便性を向上させることができる自動改札機、及び発券機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の自動改札機は、撮像部と、第1の認識部と、第2の認識部と、制御部とを持つ。撮像部は、利用者によって提示された乗車券を撮像する。第1の認識部は、前記撮像部により撮像された画像から、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトを認識する。第2の認識部は、前記撮像部により撮像された画像から、乗車券の効力情報が符号化された第2の表示オブジェクトを認識し、前記第2の表示オブジェクトを復号して前記乗車券の効力情報を取得する。制御部は、前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが認識され且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されなかった場合、前記撮像部および前記第2の認識部に対して前記乗車券の再提示を受け付けさせる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】自動改札機10を上方から見た図。
図2】表示オブジェクトが表示された媒体Mの一例を示す図。
図3】効力情報の一例を示す図。
図4】制御部50を中心とした自動改札機10の構成図。
図5】制御部50により実行される処理の流れを示すフローチャート。
図6】上面表示部30に表示される画像IMの一例を示す図。
図7】上面表示部30に表示される画像IM1の一例を示す図。
図8】第2の実施形態の制御部50Aを中心とした自動改札機10Aの構成図。
図9】カーボンインクで印刷された第1の表示オブジェクトを示す図。
図10】第2の実施形態の制御部50Aにより実行される処理の流れを示すフローチャート。
図11】発券機100の機能構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の自動改札機、及び発券機を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、自動改札機10を上方から見た図である。自動改札機10は、例えば、筐体12と、リーダ20と、上面表示部30と、正面表示部32と、スピーカ34と、扉部36Aおよび36Bと、通過センサ40−1から40−4と、制御部50とを備える。なお、自動改札機10は、任意の数の通過センサを備えてよい。また、以下、通過センサ40−1から40−4を、区別しない場合は、ハイフン(−)以下の符号を省略し、単に通過センサ40と表記する。
【0009】
自動改札機10のリーダ20は、図1のa方向に通過しようとする利用者によって翳された媒体Mに表示された表示オジェクト情報を読み取って、読み取った情報を制御部50に送信する。媒体Mは、例えば、紙の媒体に表示オブジェクトが印刷された紙券である。
【0010】
図2は、表示オブジェクトが表示された媒体Mの一例を示す図である。媒体Mは、例えば駅構外に設置された発券機により発券され、鉄道を利用するために使用される乗車券である。媒体Mは、例えば長方形に形成されたシート状の台紙である。シート状の台紙には、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトOB1が表示されている。第1の表示オブジェクトOB1は、例えば台紙の片面または両面の全体に亘って形成されている。第1の表示オブジェクトOB1の詳細は後述する。第1の表示オブジェクトOB1が形成された台紙上には、第1の表示オブジェクトOB1の一部と重なるように、媒体Mが発行された駅名や、媒体Mが利用可能な区間を示す金額、有効期限などが印字されている。また、台紙には、第2の表示オブジェクトOB2が印字されている。
【0011】
「第2の表示オブジェクト」とは、例えば、効力情報がエンコード(符号化)されたコード画像である。第2の表示オブジェクトOB2は、例えばQRコード(登録商標)等の二次元コードである。第2の表示オブジェクトOB2は、機械的に情報を読み取り可能なコード情報であれば、任意のものを使用してよく、例えばバーコード等の一次元コードであってもよい。
【0012】
「効力情報」とは、自動改札機10が設置された駅構内への入場または駅構外への出場を可能とする情報である。図3は、効力情報の一例を示す図である。「効力情報」には、例えば媒体Mの券としての識別情報である券IDや、鉄道の利用可能区間を示す情報、媒体Mが発行された日時(発行日時)、媒体Mが発行された駅(発行駅)、媒体Mの有効期限などの情報が含まれる。利用者が入場しようとする駅において、効力情報は、その駅が利用可能区間に収まっているか否かが判定されることで、利用者の駅構内への入場を許可または禁止するための判断材料として用いられる。利用者が出場しようとする駅において、効力情報は、その駅が入場駅(発行駅)からの利用可能区間に収まっているか否かが判定されることで、利用者の駅構外への出場を許可または禁止するための判断材料として用いられる。
【0013】
リーダ20は、例えば接近検知センサ22と、ライト24と、カメラ26とを有する。接近検知センサ22は、利用者によりリーダ20に翳された媒体Mを検知するためのものである。接近検知センサ22は、例えば赤外線や、発光素子と受光素子を用いたセンサなどにより実現される。接近検知センサ22は、リーダ20に翳された媒体Mを検知した場合、媒体Mを検知したことを示す検知信号を制御部50に出力する。制御部50は、これに応じて作動信号をライト24に出力する。ライト24は、制御部50から作動信号が入力されると、媒体Mに向けて所定の波長の光を照射する。
【0014】
カメラ26は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子を備える。カメラ26は、制御部50の撮像指示信号に基づいて、ライト24によって光を照射された媒体Mに表示された第1の表示オブジェクトOB1および第2の表示オブジェクトOB2を撮像し、撮像した画像を制御部50の画像処理部52(後述)に出力する。
【0015】
上面表示部30は、リーダ20に媒体が翳された場合に、制御部50によって処理された結果を表示する。正面表示部32は、図1のa方向に通過可能であるか否かを示すマークや図形、文字等を表示する。正面表示部32の表示内容または表示の有無は、制御部50によって決定される。スピーカ34は、例えば媒体Mを処理した結果として得られる情報(入場許可や、入場不許可等)を音声で出力する。なお、自動改札機10は、光で情報を出力する情報出力部(不図示)を備えてもよい。
【0016】
通過センサ40は、例えば自動改札機10の通路側側面に複数設けられる。複数の通過センサ40は、自動改札機10により形成された通路内の利用者を検出する。通過センサ40は、例えば赤外線センサや、光センサなどで実現される。通過センサ40は、対向する補機に設けられた通過センサと連携して通路内の利用者を検出するものであってもよい。
【0017】
自動改札機10の制御部50は、自動改札機10が図1のa方向への利用者に対して、扉部36Aおよび対向する補機の扉部36Bを開放状態または閉止状態に制御することで、a方向の利用者の通過を許可または禁止する。また、以下、扉部36Aおよび36Bを、区別しない場合は、AまたはBの符号を省略し、単に扉部36と表記する。
【0018】
なお、図1では、自動改札機10が紙券専用機であるものとして説明したが、自動改札機10は、ICカード、磁気券、またはこれらの双方と、紙券との双方を処理可能な併用機であってもよい。また、自動改札機10は、利用者の一方向の通過のみ許可するものに限らず、利用者の双方向の通過を許可するものであってもよい。
【0019】
図4は、制御部50を中心とした自動改札機10の構成図である。制御部50は、画像処理部52と、判定部58と、入出場処理部60と、扉制御部62と、出力制御部64と、記憶部70とを備える。例えば画像処理部52と、判定部58と、入出場処理部60と、扉制御部62と、出力制御部64とは、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサがプログラムを実行することで実現されてもよい。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアで実現されてもよい。
【0020】
記憶部70は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置により実現される。記憶部70には、各駅間の運賃が記憶された運賃テーブル72が記憶される。
【0021】
画像処理部52は、第1認識部54と、第2認識部56とを有する。第1認識部54は、カメラ26により撮像された画像を解析し、第1の表示オブジェクトOB1を認識する。第1認識部54が第1の表示オブジェクトOB1を認識する方法の一例について説明する。例えば媒体Mの台紙には、所定の規則に従って複数のドットが所定の形状に配置されたドットパターンが上下または/および左右方向に連続的に配置されている。例えば1つのドットパターンは、複数のドットが所定のピッチ幅で配置されたパターンである。このドットパターンが第1の表示オブジェクトOB1である。
【0022】
第1認識部54は、例えば、カメラ26により撮像された画像から2mm角程度の領域を切り出し、所定のドットパターンのピッチ間隔を測定し、測定結果が予め設定された数値と合致するか否かを判定する。第1認識部54は、判定結果を示す信号を入出場処理部60に出力する。第1認識部54は、測定結果であるピッチ間隔が予め設定された数値と合致する場合、第1の表示オブジェクトOB1が認識されたことを示す信号を入出場処理部60に出力し、合致しない場合、第1の表示オブジェクトOB1が認識されなかったことを示す信号を入出場処理部60に出力する。
【0023】
なお、ドットパターンのドットは、精密に配置されているため、複写機を用いてドットパターンを印刷した場合、複写された媒体のドットは、原版に配置されたドットパターンのドットの配置からずれた配置となる。このため、第1認識部54は、複写機の複写によって印刷された媒体のドットパターンからは、予め設定された数値データを導出することができない。
【0024】
また、第1認識部54は、ドットパターンのピッチ間隔が予め定められた規則で情報をエンコードしたものである場合、そのエンコードされた情報を復号し、復号された結果が予め設定された数値と合致するか否かを判定してもよい。
【0025】
第2認識部56は、カメラ26により撮像された画像の解析結果から、第2の表示オブジェクトOB2にエンコードされた情報を認識することができた場合は、読み取り結果を入出場処理部60に出力する。第2認識部56は、カメラ26により撮像された画像の解析結果から、第2の表示オブジェクトOB2にエンコードされた情報を認識することがでなかった場合、認識することができなかったことを示す信号を入出場処理部60に出力する。なお、画像処理部52の機能は、カメラ26に付設された専用装置の機能であってもよい。
【0026】
判定部58は、通過センサ40の検出結果に基づいて、自動改札機10の通路内に利用者が存在するか否かを判定する。判定部58は、判定結果を入出場処理部60に出力する。
【0027】
入出場処理部60は、自動改札機10が入場処理を行うものである場合、画像処理部52により出力された情報に基づいて、利用者の駅構内への入場を許可するか否かを判定する。入出場処理部60は、例えば、第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識され、且つ当該駅(自動改札機10が設置された駅)が、第2の表示オブジェクトOB2からデコードされた利用可能区間内にある場合、媒体Mを翳した利用者は入場許可の条件を満たすと判定する。
【0028】
一方、入出場処理部60は、第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識されなかった場合、または当該駅が利用可能区間外にある場合、或いは第2の表示オブジェクトOB2が認識されない(または認識されたとしても期待された情報がデコードされない)場合に、媒体Mを翳した利用者は入場許可の条件を満たさないと判定する。但し、入出場処理部60は、第1認識部54により媒体Mに第1の表示オブジェクトOB1が認識され、且つ、第2の表示オブジェクトOB2が認識されない場合には、媒体Mの再提示を促す処理を行う。これについてはフローチャートに即して説明する。
【0029】
入出場処理部60は、自動改札機10が出場処理を行うものである場合、画像処理部52から出力された情報に基づいて、利用者の駅構外への出場を許可するか否かを判定する。入出場処理部60は、第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識され、且つ当該駅が、入場駅(発行駅)からの利用可能区間内に収まっている場合、媒体Mを翳した利用者は出場許可の条件を満たすと判定する。
【0030】
一方、入出場処理部60は、第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識されない場合、または当該駅が利用可能区間外にある場合、媒体Mを翳した利用者は出場許可の条件を満たさないと判定する。但し、入出場処理部60は、第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識され、且つ第2の表示オブジェクトOB2が認識されない場合には、媒体Mの再提示を促す処理を行う。これについてはフローチャートに即して説明する。
【0031】
入出場処理部60は、上記のような判定の結果に基づいて、扉制御信号を扉制御部62に出力する。扉制御信号とは、扉部36の開放または閉止を指示するための信号である。入出場処理部60は、画像処理部52および判定部58の判定結果に基づいて、情報出力信号を出力制御部64に出力する。情報出力信号とは、上面表示部30、正面表示部32、またはスピーカ34に入出場処理部60の処理結果を出力させるため信号である。
【0032】
扉制御部62は、入出場処理部60から出力された扉制御信号に応じて扉部36を開放状態または閉止状態に制御する。出力制御部64は、入出場処理部60から出力された情報出力信号に応じた画像を上面表示部30または正面表示部32に表示される。また、出力制御部64は、入出場処理部60から出力された情報出力御信号に応じて音声をスピーカ34に出力させる。
【0033】
図5は、制御部50により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートでは、一例として利用者が駅構内に入場する場合の処理について説明する。
【0034】
まず、接近検知センサ22が、利用者により媒体Mがリーダ20に翳されたことを検知するまで待機する(ステップS100)。媒体Mがリーダ20に翳されたことが検知されると、ライト24が、リーダ20に翳された媒体Mに向けて光を照射する(ステップS102)。次に、カメラ26が、利用者によりリーダ20に翳された媒体Mを、ライト24により媒体Mに光が照射された状態で撮像する(ステップS104)。次に、画像処理部52が、ステップS104で取得された画像を解析する(ステップS106)。
【0035】
次に、入出場処理部60が、第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識されたか否かを判定する(ステップS108)。第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識されなかった場合、入出場処理部60は、第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識されたか否かを判定する(ステップS110)。
【0036】
第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識された場合、入出場処理部60は、扉部36を閉止状態にし(ステップS112)、リーダ20の読み取り動作を停止させる(ステップS114)。次に、入出場処理部60は、媒体Mの使用が不可であることを示す情報を上面表示部30に表示させる(ステップS116)。図6は、上面表示部30に表示される画像IMの一例を示す図である。第1の表示オブジェクトが認識されずに、第2の表示オブジェクトが認識された場合、利用者により翳された媒体Mは偽造等された不正な媒体Mである可能性が高いため、入出場処理部60は、媒体Mに対する処理を受け付けない。これにより自動改札機10は、不正な媒体をリーダ20に翳した利用者が、自動改札機10の通路を通過することを防止することができる。
【0037】
また、ステップS110で第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識された場合、入出場処理部60は、スピーカ34に通行が不可であることを示す音声を出力させたり、自動改札機10が備える点灯部(不図示)を点灯させたりしてもよい。
【0038】
次に、入出場処理部60は、判定部58の判定結果に基づいて、自動改札機10の通路に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS118)。自動改札機10の通路に利用者が存在する場合、ステップS112の処理に戻り、自動改札機10の通路に利用者が存在しない場合、ステップS140に処理を進める。
【0039】
第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識されなかった場合、入出場処理部60は、判定部58の判定結果に基づいて、自動改札機10の通路に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS120)。自動改札機10の通路に利用者が存在しない場合、ステップS122の処理をスキップし、自動改札機10の通路に利用者が存在する場合、扉部36を閉止状態にする(ステップS122)。次に、入場処理部60は、一定期間が経過していない場合は、ステップS120の処理に戻り、一定期間が経過した場合は、本フローチャートの1ルーチンを終了する(ステップS124)。
【0040】
第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識された場合、入出場処理部60は、第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識されたか否かを判定する(ステップS126)。第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識されなかった場合、入出場処理部60は、扉部36を閉止状態にし(ステップS128)、再度、リーダ20に媒体Mを翳すように利用者に案内する情報を上面表示部30に表示させる(ステップS130)。図7は、上面表示部30に表示される画像IM1の一例を示す図である。このとき利用者が媒体Mをリーダ20に再び翳した場合は、ステップS102に処理を進める。
【0041】
次に、入出場処理部60は、判定部58の判定結果に基づいて、自動改札機10の通路に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS132)。自動改札機10の通路に利用者が存在する場合、ステップS130の処理に戻り、自動改札機10の通路に利用者が存在しない場合、ステップS140に処理を進める。
【0042】
第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識されなかった場合であっても、媒体Mに第1の表示オブジェクトOB1は表示されているため、不正な媒体Mである可能性は低い。このため、入出場処理部60は、利用者が自動改札機10の通路に存在している場合は、利用者に媒体Mの再提示を促す。
【0043】
例えば、第1の表示オブジェクトOB1は、媒体Mの片面の全体、または両面の全体に亘って印刷されている。一方、第2の表示オブジェクトOB2は、媒体Mの片面の一部に印刷されている。このため、利用者がリーダ20に対して媒体Mを裏返しに翳した場合、或いは、媒体Mにおける第2の表示オブジェクトOB2が印刷されていない部分を翳した場合、第1の表示オブジェクトOB1が自動改札機10により認識され、第2の表示オブジェクトOB2が自動改札機10により認識されない結果となる場合がある。このような場合、入出場処理部60は、例えば上面表示部30に、第2の表示オブジェクトOB2を、再度、リーダ20に翳すことを促すことを示す情報を表示させる。また、再度、利用者により媒体Mが翳された場合は、媒体Mの処理を行う。これにより、媒体Mに印刷された第2の表示オブジェクトOB2が、リーダ20に認識されない態様で、媒体Mを翳した利用者に対する利便性を向上させることができる。
【0044】
第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識された場合、入出場処理部60は、利用者の入場を許可するか否かを判定する(ステップS134)。例えば入出場処理部60は、当該駅(自動改札機10が設置された駅)が、利用可能区間内に収まっているか否かを判定し、当該駅が利用可能区間に収まっている場合は、利用者の入場を許可する。一方、入出場処理部60は、当該駅が利用可能区間外である場合は、利用者の入場を不許可とする。
【0045】
利用者の入場を許可すると判定した場合、入出場処理部60は、扉部36を開放状態に制御する(ステップS140)。利用者の入場を許可しないと判定した場合、入出場処理部60は、扉部36を閉止状態に制御し(ステップS136)、駅係員がいる窓口に行くように促すことを示す情報を上面表示部30に表示させる(ステップS138)。この場合、利用者は精算処理等が必要であるためである。次に、入出場処理部60は、所定時間後に扉部36を開放状態に制御する(ステップS140)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0046】
なお、本フローチャートの処理では、ステップS112およびステップS128で扉部36を閉止状態にするものとして説明したが、扉部36は開放状態であってもよい。
【0047】
以上説明した第1の実施形態によれば、入出場処理部60は、第1認識部54によって第1の表示オブジェクトOB1が認識され且つ第2認識部56によって第2の表示オブジェクトOB2が認識されなかった場合、リーダ20に対して媒体Mの再提示を受け付けさせる。一方、入出場処理部60は、第1認識部54によって第1の表示オブジェクトOB1が認識されなかった場合、リーダ20に対して媒体Mの再提示を受け付けさせない。これにより、正当な媒体Mをリーダ20に翳した利用者に対しては自動改札機10で入場処理を完結させ、不正な媒体Mをリーダ20に翳した可能性のある利用者に対してはリーダ20での再提示は受け付けない。この結果、自動改札機10は、利用券の不正使用を抑制すると共に利便性を向上させることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第2の実施形態の媒体Mに表示される第1の表示オブジェクトOB1は、可視光領域外の波長の光を照射することで光学的に読み取り可能となる色剤によって印刷されている。
【0049】
図8は、第2の実施形態の制御部50Aを中心とした自動改札機10Aの構成図である。自動改札機10Aは、第1の実施形態の自動改札機10のリーダ20に代えて、リーダ80を備える。
【0050】
リーダ80は、接近検知センサ82と、第1のライト84と、第2のライト86と、カメラ88とを備える。接近検知センサ82は、利用者によりリーダ80に翳された媒体Mを検知するためのものである。接近検知センサ82は、リーダ80に翳された媒体Mを検知した場合、媒体Mを検知したことを示す検知信号を制御部50Aに出力する。制御部50Aは、これに応じて作動信号を第1のライト84に出力する。
【0051】
第1のライト84は、制御部50Aから作動信号が入力されると、媒体Mに向けて光を照射する。例えば、第1のライト84は、赤外光など可視領域外の波長の光を媒体Mに照射する。
【0052】
第2のライト86は、制御部50Aの制御に基づいて、第1のライト84が光を照射するタイミングとは異なるタイミングで、媒体Mに向けて光を照射する。第2のライト86は、例えば所定の波長の光を照射する。この所定の波長の光は、例えば可視光である。第2のライト86は、利用者が駅構内に入場または駅構外に出場するための処理が行われる際に、第1のライト84が光を照射した後に、第1のライト84とは異なる波長の光を照射する。
【0053】
カメラ88は、制御部50Aの撮像指示信号に基づいて、第1のライト84および第2のライト86によって光を照射されたそれぞれのタイミングで媒体Mに表示された第1の表示オブジェクトOB1または第2の表示オブジェクトOB2を撮像し、撮像した画像のデータを制御部50Aに出力する。
【0054】
画像処理部52は、第1認識部54と、第2認識部56とを有する。第1認識部54は、第1のライト84が照射された状態で媒体Mがカメラ88により撮像された画像の解析結果から、第1の表示オブジェクトOB1にエンコードされた情報を認識することができた場合は、読み取り結果を入出場処理部60に出力する。第1認識部54は、第1のライト84が照射された状態で媒体Mがカメラ88により撮像された画像の解析結果から、第1の表示オブジェクトOB1にエンコードされた情報を認識することがでなかった場合、認識することができなかったことを示す信号を入出場処理部60に出力する。
【0055】
第2認識部56は、第2のライト86が照射された状態で媒体Mがカメラ88により撮像された画像の解析結果から、第2の表示オブジェクトOB2にエンコードされた情報を認識することができた場合は、読み取り結果を入出場処理部60に出力する。第2認識部56は、第2のライト86が照射された状態でカメラ88により撮像された画像の解析結果から、第2の表示オブジェクトOB2にエンコードされた情報を認識することがでなかった場合、認識することができなかったことを示す信号を入出場処理部60に出力する。
【0056】
媒体Mに表示された第1の表示オブジェクトOB1は、可視光領域外の波長の光を照射することで光学的に読み取り可能となる色剤によって印刷されている。例えば第1の表示オブジェクトOB1は、カーボンインクにより印刷されている。図9は、カーボンインクで印刷された第1の表示オブジェクトを示す図ある。このカーボンインクは、赤外線を吸収して可視光を発光する。このため、図示するように第1のライト84を照射していない状態では第1の表示オブジェクトOBは認識することができない(左図)。一方、第1のライト84が媒体Mに赤外線を照射した状態では第1の表示オブジェクトOB1を認識することができる(右図)。第1のライト84により媒体Mが照射された状態で、カメラ88により媒体Mが撮像された画像データからは、カーボンインクにより印刷されたドットパターンが抽出される。第1認識部54は、抽出されたドットパターンに基づいて、第1の表示オブジェクトOB1を認識する。
【0057】
図10は、第2の実施形態の制御部50Aにより実行される処理の流れ示すフローチャートである。本フローチャートでは、一例として利用者が駅構外に出場する場合の処理について説明する。
【0058】
まず、接近検知センサ82が、利用者により媒体Mがリーダ80に翳されたことを検知するまで待機する(ステップS200)。媒体Mがリーダ80に翳されたことが検知されると、第1のライト84が、リーダ80に翳された媒体Mに向けて光を照射する(ステップS202)。次に、カメラ88が、利用者によりリーダ20に翳された媒体Mを、第1のライト84により媒体Mに光が照射された状態で撮像する(ステップS204)。本実施形態における第1の画像は、第1のライト84による照射時において撮像された画像である。
【0059】
次に、第2のライト86が、利用者によりリーダ80に翳された媒体Mに向けて光を照射し(ステップS206)、カメラ88が、利用者によりリーダ80に翳された媒体Mを、第2のライト86により媒体Mに光が照射された状態で撮像する(ステップS208)。本実施形態における第2の画像は、第2のライト86による照射時において撮像された画像である。
【0060】
次に、第1認識部54が、第1の画像を解析し(ステップS210)、更に第2認識部56が、第2の画像を解析する(ステップS212)。
【0061】
次に、入出場処理部60が、第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識されたか否かを判定する(ステップS214)。第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識されなかった場合、入出場処理部60は、第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識されたか否かを判定する(ステップS216)。
【0062】
第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識された場合、入出場処理部60は、扉部36を閉止状態にし(ステップS218)、リーダ20の読み取り動作を停止させる(ステップS220)。次に、入出場処理部60は、媒体Mの使用が不可であることを示す情報を上面表示部30に表示させる(ステップS222)。
【0063】
次に、入出場処理部60は、判定部58の判定結果に基づいて、自動改札機10の通路に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS224)。自動改札機10の通路に利用者が存在する場合、ステップS218の処理に戻り、自動改札機10の通路に利用者が存在しない場合、ステップS246に処理を進める。
【0064】
第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識されなかった場合、入出場処理部60は、判定部58の判定結果に基づいて、自動改札機10の通路に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS226)。自動改札機10の通路に利用者が存在しない場合、ステップS228の処理をスキップし、自動改札機10の通路に利用者が存在する場合、扉部36を閉止状態にする(ステップS228)。次に、入場処理部60は、一定期間が経過していない場合は、ステップS226の処理に戻り、一定期間が経過した場合は、本フローチャートの1ルーチンを終了する(ステップS230)。
【0065】
第1認識部54により第1の表示オブジェクトOB1が認識された場合、入出場処理部60は、第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識されたか否かを判定する(ステップS232)。第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識されなかった場合、入出場処理部60は、扉部36を閉止状態にし(ステップS234)、再度、リーダ20に媒体Mを翳すように利用者に案内する情報を上面表示部30に表示させる(ステップS236)。このとき利用者が媒体Mをリーダ20に再び翳した場合は、ステップS202に処理を進める。
【0066】
次に、入出場処理部60は、判定部58の判定結果に基づいて、自動改札機10の通路に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS238)。自動改札機10の通路に利用者が存在する場合、ステップS236の処理に戻り、自動改札機10の通路に利用者が存在しない場合、ステップS246に処理を進める。
【0067】
第2認識部56により第2の表示オブジェクトOB2が認識された場合、入出場処理部60は、利用者の入場を許可するか否かを判定する(ステップS240)。利用者の入場を許可すると判定した場合、入出場処理部60は、扉部36を開放状態に制御する(ステップS246)。利用者の入場を許可しないと判定した場合、入出場処理部60は、扉部36を閉止状態に制御し(ステップS242)、駅係員がいる窓口に行くように促すことを示す情報を上面表示部30に表示させる(ステップS244)。次に、入出場処理部60は、所定時間後に扉部36を開放状態に制御する(ステップS246)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0068】
以上説明した第2の実施形態によれば、第1認識部54が、第1のライト84により可視領域外の波長の光が媒体Mに照射された状態で撮像された画像から第1の表示オブジェクトOB1を認識し、第2認識部56が、第2のライト86により可視領域の波長の光が媒体Mに照射された状態で撮像された画像から第2の表示オブジェクトOB2を認識できなかった場合、入出場処理部60は、リーダ80に対して媒体Mの再提示を受け付けさせる。一方、入出場処理部60は、第1認識部54によって第1の表示オブジェクトOB1が認識されなかった場合、リーダ80に対して媒体Mの再提示を受け付けさせない。これにより、第1の実施形態と同様の効果を奏すると共に、第1のライト84により照射された状態で認識可能は色剤により第1の表示オブジェクトOB1が媒体Mに印刷されているため、媒体Mが不正に複製されることを抑制させることができる。
【0069】
(発券機)
以下、媒体Mを発行する発券機100の説明を行う。図11は、発券機100の機能構成の一例を示す図である。発券機100は、例えば、入力部102と、購入画面表示部104と、紙幣投入口108と、硬貨投入口110と、乗車券排出口112と、検銭部118と、ロール紙格納部120と、裁断部122と、乗車券発行部124と、発券機側制御部130と、発券機側記憶部140とを備える。
【0070】
入力部102は、例えば、ボタン、キーボード、マウス、マイク、タッチパネル等のユーザインターフェースである。なお、購入画面表示部104がタッチパネルの場合、入力部102は、購入画面表示部104の一部機能であってもよい。入力部102は、例えば、利用者から、乗車券である媒体Mの購入を指示する入力を受け付ける。
【0071】
購入画面表示部104は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置を含む。購入画面表示部104は、発券機側制御部130によって出力される情報に基づいて、媒体Mを購入するための画像を表示する。以下、購入画面表示部104を、上述した入力部102と機能が一体となったタッチパネル部と称して説明する。
【0072】
検銭部118は、紙幣投入口108または硬貨投入口110に投入された金銭を計数し、計数結果を発券機側制御部130に出力する。
【0073】
ロール紙格納部120には、ロール紙が格納される。ロール紙格納部120に格納されたロール紙は、片面または両面の全面に亘って第1の表示オブジェクトOB1が形成されている。裁断部122は、第1の表示オブジェクトOB1が形成されたロール紙を所定の大きさに裁断する。乗車券発行部124は、発券機側制御部130による制御によって、裁断部122により裁断されたロール紙に第2の表示オブジェクトOB2を画像として形成(印刷)する。このため、第2の表示オブジェクトOB2は第1の表示オブジェクトOB1の一部と重なって表示される。乗車券発行部124は、第2の表示オブジェトOB2が印刷された媒体Mを乗車券排出口112から排出する。これによって、乗車券発行部124は、媒体Mを発行する。
【0074】
発券機側制御部130は、例えば、発券機側通信部132と、発券機側表示制御部134と、発行制御部136とを備える。発券機側通信部132は、例えば発券機100により処理された処理過程や処理結果をサーバ装置(不図示)に送信する。発券機側表示制御部134は、媒体Mの購入画面をタッチパネル部に表示させる。発行制御部136は、タッチパネル部に入力された、利用区間等に基づいて、媒体Mの発行に要する購入金額を算出する。なお、このとき発券機側表示制御部134は、発行制御部136によって算出された購入金額をタッチパネル部に表示させる。これによって、紙幣投入口108や硬貨投入口110には、これらに対応する貨幣が投入される。発行制御部136は、検銭部118による計数結果を参照し、算出した購入金額を満たすか否かを判定する。発行制御部136は、計数結果が購入金額を満たす場合、乗車券発行部124に媒体Mを発行させる。発券機側記憶部140は、プロセッサが実行するプログラムを格納する他、各駅間の運賃が記憶された発券機側運賃テーブル142を格納する。
【0075】
以上説明した発券機100は、利用者の購入を受け付け、自動改札機10において撮像され、撮像画像において一部が認識されることで、撮像画像において第2の表示オブジェクトOB2が認識されない場合に自動改札機10に対する媒体Mの再提示が可能となる、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトOB1が印刷されたロール紙に、利用者から受け付けられた購入の内容に基づく媒体Mの効力情報が符号化された第2の表示オブジェクトOB2を印刷する。この結果、不正使用を抑制することができる利用券を発行することができる。
【0076】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、利用者によって提示された乗車券を撮像する撮像部と、撮像部により撮像された画像から、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトを認識する第1の認識部と、撮像部により撮像された画像から、乗車券の効力情報が符号化された第2の表示オブジェクトを認識し、第2の表示オブジェクトを復号して乗車券の効力情報を取得する第2の認識部と、第1の認識部によって第1の表示オブジェクトが認識され且つ第2の認識部によって第2の表示オブジェクトが認識されなかった場合、撮像部および第2の認識部に対して乗車券の再提示を受け付けさせる制御部とを持つことにより、利用券の不正使用を抑制すると共に利便性を向上させることができる。
【0077】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
利用者によって提示された乗車券を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を、対象物の配置間隔を測定することにより、所定の規則で形成された第1の表示オブジェクトが存在するか否かを認識する第1の認識部と、
前記撮像部により撮像された画像から、乗車券の効力情報が符号化された第2の表示オブジェクトを認識し、前記第2の表示オブジェクトを復号して前記乗車券の効力情報を取得する第2の認識部と、
前記第1の認識部によって前記第1の表示オブジェクトが認識され且つ前記第2の認識部によって前記第2の表示オブジェクトが認識されなかった場合、前記撮像部および前記第2の認識部に対して前記乗車券の再提示を受け付けさせる制御部と、
を備える自動改札機。
【0078】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
利用者の購入を受け付ける受付部と、
自動改札機において撮像され、撮像画像において一部が認識されることで、前記撮像画像において第2の表示オブジェクトが認識されない場合に前記自動改札機に対する乗車券の再提示が可能となる、所定の規則で並べられた第1の表示オブジェクトが印刷された用紙に、前記受付部により受け付けられた購入の内容に基づく乗車券の効力情報が符号化された第2の表示オブジェクトを印刷する印刷部と、
を備える発券機。
【0079】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
自動改札機において撮像され、撮像画像において一部が認識されることで、前記撮像画像において第2の表示オブジェクトが認識されない場合に前記自動改札機に対する乗車券の再提示が可能となる、所定の規則で並べられた第1の表示オブジェクトと、
前記乗車券の効力情報が符号化された第2の表示オブジェクトと、
が印刷された乗車券。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
10、10A…自動改札機、20、80…リーダ、22、82…接近検知センサ、24…ライト、26、88…カメラ、50…制御部、52…画像処理部、54…第1認識部、56…第2認識部、58…判定部、60…入出場処理部、30…上面表示部、32…正面表示部、36…扉部、84…第1のライト、86…第2のライト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11