(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絶縁コーティング(29)がTiO2,Al2O3,ZrO2,MgO,CaO,SiO2,およびアルミノケイ酸塩のいずれか、またはそれらの組み合わせからなる、請求項1〜7のいずれか1つに記載の光起電力装置(10)。
第1の導電層(16)が互いに電気的かつ物理的に接触している前記導電材料からなる導電性粒子(24)と、粒を含み、前記酸化物層(28)が導電性粒子の表面に形成され、その表面が粒または他の導電性粒子のいずれとも接触していない、請求項1〜10のいずれか1つに記載の光起電力装置(10)。
第1の導電層(16)が多孔質であり、電荷導体(3)が第1の導電層(16)の孔、および絶縁基板の孔に収容され、第1の導電層(16)および絶縁基板(20)を通って導電経路が形成される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の光起電力装置(10)。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、太陽電池などの光起電力装置の分野に関する。
【0002】
発明の背景
光起電力装置は、光起電力効果を示す半導体材料を用いて光を電気に変換する。
【0003】
典型的な太陽光発電システムは、電力を発生させる多数の太陽電池をそれぞれ備えた、太陽電池パネルを採用している。太陽電池または光起電力装置は、太陽光を電気に直接変換する装置である。太陽電池の表面に入射する光は電力を発生する。太陽電池は光吸収層を有する。光子のエネルギーが光吸収層の材料のバンドギャップと同じであるか、それよりも大きい場合、光子はその材料に吸収され、光励起電子が生成される。その前面は、ベースとは別の方法でドープされ、PN接合を生じる。照明下では、光子が吸収されるため、PN接合で分離された電子と正孔のペアが生成される。太陽電池の裏面では、金属板がベースから余分な電荷キャリアを収集し、前面では、金属ワイヤがエミッタから余分な電荷キャリアを収集する。
【0004】
シリコンは、太陽電池でもっとも一般的に使用される半導体材料である。シリコンにはいくつかの利点がある。たとえば、化学的に安定しており、光を吸収する能力が高いために効率がよい。標準的なシリコン太陽電池は、ドープシリコンの薄いウエハーから作られる。シリコンウエハーの欠点は、高価であることである。
【0005】
シリコンウエハーの前面は、ベースとは別の方法でドープされ、PN結合を形成する。太陽電池の製造中、ドープシリコンウエハーの多数の試料をシリコンインゴットから切断(cut or saw)しなければならず、シリコンウエハーの試料が電気的に集積(assembled electrically)されて太陽電池になる。シリコンインゴットは、極めて高純度でなければならず、ソーイングには時間がかかり、大量の廃棄物を生成するため、このような太陽電池の製造は高価である。
【0006】
従来の太陽電池の裏面では、金属板がベースから余分な電荷キャリアを収集し、前面では、金属グリッドおよび金属ワイヤがエミッタから余分な電荷キャリアを収集する。したがって、従来のシリコン太陽電池は、前面接触エミッタを有する。太陽電池の前面に集電グリッドおよびワイヤを使用する上での問題は、良好な集電性と集光性との間にトレードオフがあることである。金属ワイヤのサイズを大きくすることにより、伝導が増加し、集電性が改善される。しかしながら、金属グリッドおよびワイヤのサイズを大きくすると、太陽の集光領域が日陰となり、太陽電池の効率が低下する。
【0007】
この問題の既知の解決策は、背面接触型太陽電池である。US 2014166095 A1は、裏面接触型裏面接合シリコン太陽電池の製造方法を説明している。背面接触型太陽電池は、太陽電池の背面に前面接触エミッタを移動させることによって、より高い効率を実現する。より高い効率は、太陽電池の前面の日陰部分が減少することによって生じる。背面接触型太陽電池には、いくつかの構造がある。たとえば、裏面接触型裏面接合(BC-BJ)シリコン太陽電池では、エミッタ領域とすべての配線が太陽電池の裏面に配置され、影を生じるいかなる要素も太陽電池の前面から効果的に取り除かれる。しかしながら、これらのBC-BJシリコン太陽電池の製造は、複雑であり、かつ費用がかかる。
【0008】
WO 2013/149787 A1には、背面接点を有する色素増感太陽電池が開示されている。太陽電池は、多孔質の絶縁層と、前記多孔質絶縁層の上部に形成された多孔質導電性金属層を含む作用電極と、太陽に面するように多孔質導電性金属層の上部に配置された吸着色素を含む光吸収層とを含む。光吸収層は、TiO2粒子の表面上の光吸収色素分子により染色されたTiO2金属酸化物粒子を備える。色素増感太陽電池は、多孔質絶縁層の反対側に配置された導電層を含む対電極をさらに含む。作用電極と対電極の間は電解質で満たされている。この太陽電池の利点は、製造が簡単かつ迅速であり、したがって製造の費用効果が高い。シリコン太陽電池と比較した、この種の太陽電池の欠点は、色素分子がシリコンよりも光を吸収する能力が低いという事実のために、最大効率が低いという点である。
【0009】
色素増感太陽電池のさらなる発展において、色素注入されたTiO2層の代わりにペロブスカイトを使用することにより、電池の効率が向上している。WO2014/184379には、ペロブスカイトを備えた光吸収層を有する色素増感太陽電池が開示されている。ペロブスカイトを使用する利点は、より高い太陽電池効率を達成できることである。しかしながら、ペロブスカイト太陽電池にはいくつかの欠点がある。たとえば、製造が難しく、高価で、不安定で、環境的に有害な点である。
【0010】
太陽電池のコストを削減するために、固体シリコンウエハーの代わりにケイ素粒(silicon grains)を使用することが提案されている。
【0011】
US4357400には、酸化還元(redox)電解質にドープケイ素粒子(silicon particles)を有する太陽電池が開示されている。その太陽電池は、基板の一面に交互に配置された2つの導電層を有する絶縁基板を含む。あるタイプのドーピングの個別の半導体粒子が導電層の1つに配置され、反対のタイプのドーピングの半導体粒子がその他の導電層に配置されている。すべてが酸化還元電解質に浸漬(immersed)され、密閉(encapsulated)されている。酸化還元電解質は、粒子と接触し、それにより半導体粒子に作用する光子に反応して、2つの導電層に電位差が生じる。導電層は、たとえばアルミニウムの薄層である。導電層は、基板上にスパッタされ、あるパターン、たとえば、互いにかみ合わった指状にエッチングされる。シルクスクリーン印刷によって半導電性粒子を適用し(applied)、導体の表面に接着することができる。この太陽電池の欠点は、製造工程が複雑で時間がかかることである。したがって、その太陽電池の製造は高価である。
【0012】
CN20151101264には、シリコンウエハーならびに前面および裏面に接点を有する従来の太陽電池が記載されている。充填率(fill factor)および変換効率を改善するため、太陽電池のシリコンウエハーの表面に発光多孔質シリコン粒子をスピンコートする。シリコン粒は、HFおよびエタノール溶液での電気化学エッチングにより調製され、その後、粉砕して2〜200nmの粒子サイズにする。このタイプの太陽電池の欠点は、シリコン粒がシリコンウエハーに付着することにより、大きくてかさばるシリコン構造が生成される点である。
【0013】
US2011/0000537には、水素化アモルファスシリコン、非シリコンベースの元素および水素化アモルファスシリコンベースの材料に埋め込まれた結晶シリコン粒を含む光吸収層を有する太陽電池が記載されている。
【0014】
JP2004087546は、Si粒子を含む組成物を使用することにより、シリコン膜を形成する方法が記載されている。Si粒子は、シリコンインゴットを破砕し、その部分を粉砕して適切なサイズにすることで形成される。粒子は、洗浄して酸化ケイ素を除去し、分散媒と混合される。組成物をガラス基板上に適用した後、基板を熱処理することで、シリコン膜が得られる。
【0015】
本発明の目的および要約
本発明の目的は、上述の問題を少なくとも部分的に克服し、改善された光起電力装置を提供することである。
【0016】
この目的は、請求項1で規定される光起電力装置によって実現される。
【0017】
光起電力装置は、第1の導電層、前記第1の導電層から電気的に絶縁された第2の導電層、前記第1および第2の導電層の間に配置された絶縁材料からなる多孔質基板、ドープ半導体材料の複数の粒を含み、前記粒が前記第1の導電層と電気的かつ物理的に接触するように前記第1の導電層に配置された光吸収層、および前記粒を部分的に覆う電荷導電材料からなり、前記粒の表面から前記第2の導電層まで電荷導電材料の複数の連続経路が形成されるように前記第1の導電層および前記多孔質基板を貫通するように配置された電荷導体(charge conductor)を備え、前記第1の導電層は、導電材料、導電材料の表面に形成された酸化物層、および酸化物層および前記絶縁コーティングがともに前記第1の導電層の導電材料から電荷導体の前記経路を電気的に絶縁するように前記酸化物層に堆積された絶縁材料からなる絶縁コーティングを備える。
【0018】
前記第1の導電層は、前記導電材料の表面に形成された酸化物層を備える。この酸化物層は、前記第1の導電層の導電材料を酸化することにより形成される。前記導電材料は、適切には金属または金属合金を含む。導電材料の表面は、空気にさらされると酸化される。酸化物層は、導電材料が酸化されるように酸化環境で第1の導電層の熱処理を行うことによって形成することができる。絶縁酸化物は、導電材料上に電気絶縁層を提供し、これは、第1の導電層と電荷導体との間の電子または正孔の移動を少なくとも部分的に防げる。しかしながら、第1の導電層の導電材料に形成された酸化物層は、電荷導体と第1の導電層との間に十分な電気絶縁を提供せず、その結果、導電層と電荷導体間に短絡が生じることがテストで示されている。空気と接触した状態で第1の導電層の加熱をつづけると、より厚い酸化物層が得られる。しかしながら、酸化物層の厚みは増加するが、導電材料に形成される酸化物層は、依然として電荷導体と第1の導電層との間に十分な電気絶縁を提供しない。
【0019】
本発明によれば、絶縁材料からなる絶縁コーティングが酸化物層に堆積される。これは、導電層の導電材料を酸化することにより形成される酸化物層とは対照的に、コーティングを実現するために導電層の表面に絶縁材料を加えることを意味していた。好ましくは、酸化物層が絶縁コーティングで覆われるように、絶縁コーティングは酸化物層に堆積される。テストでは、酸化物層が絶縁コーティングとともに電荷導体と第1の導電層の導電材料との間に十分な電気絶縁を提供し、電荷導体と第1の導電層の間の短絡を回避することが示されている。たとえば、絶縁コーティングは、化学堆積によって堆積される。
【0020】
粒は、第1の導電層と電気的かつ物理的に接触しているため、酸化物層と絶縁コーティングは、第1の導電層の残りの自由表面領域のみを覆うことができる。
【0021】
光起電力装置は、低コストで製造でき、環境に優しく、変換効率が高い。そのような光起電力装置は、ウエハーまたは薄膜をベースとしたシリコン太陽電池の従来の製造方法と比較して、製造がかなり容易である。粒が第1の導電層と直接物理的かつ電気的に接触しているという事実により、電子が収集される前に電子が移動しなければならない距離は短く、それゆえ、電子と正孔が収集される前に再結合する確率は低い。これにより、高い変換効率が得られる。
【0022】
光吸収層の材料は、高価なウエハーの代わりに半導体粒を含む粉末から作ることができ、必要な半導体材料の量が従来の半導体太陽電池用のものよりも少ないため、従来のシリコン太陽電池の光吸収層よりかなり安価である。適切には、半導体材料はシリコンである。しかしながら、CdTe,CIGS,CIS,GaAs,またはペロブスカイトなど、他の半導体材料も使用することができる。光吸収体として、より高価な色素分子の代わりにシリコンなどの安価な半導体を使用できるため、光吸収層の材料は、色素増感太陽電池の光吸収層よりも安価でもある。
【0023】
本発明の一態様によれば、絶縁コーティングの厚さは、10nmよりも大きく、好ましくは50nmよりも大きく、そしてもっとも好ましくは100nmよりも大きい。
【0024】
本発明の一態様によれば、酸化物層の厚さは10nmよりも大きい。
【0025】
酸化物層と絶縁コーティングは、異なる材料から作ることも、同じ材料だが異なる形態を有する材料から作ることもできる。
【0026】
本発明の一態様によれば、酸化物層と絶縁コーティングは異なる形態を有する。異なる形態とは、酸化物層と絶縁コーティングの表面構造などの形態および/または構造が異なることを意味する。酸化物層と絶縁コーティングの形態は、層/コーティングの製造に用いられる方法に依存する。それゆえ、酸化物層と絶縁コーティングは異なる方法で製造されるという事実により、それらは異なる形態を有する。たとえば、酸化物層と絶縁コーティングは同じ材料で構成されるものであってもよいが、形態が異なるものであってもよい。
【0027】
本発明の一態様によれば、絶縁コーティングは、酸化物層よりも密度が高く多孔性が低い。密度が高く多孔性が低いため、絶縁コーティングは、酸化物層よりも電荷導体と第1の導電層との間に電気的絶縁を提供する能力がより高い。
【0028】
本発明の一態様によれば、絶縁コーティングは、化学堆積によって酸化物層に堆積される。化学堆積、たとえば化学蒸着(CVD)は、表面上に薄い固体層を生成するためのよく知られた方法である。化学堆積には、表面で反応および/または分解して表面に所望の堆積物を生成する前駆体の使用が含まれる。前駆体は、別の化合物を生成する化学反応に関与する化合物である。絶縁コーティングの製造に化学堆積を使用する利点は、コンパクトで本質的に高密度の、多孔性の低いコーティングを提供し、その結果、電荷導体と第1の導電層との間に良好な電気絶縁性を提供する点である。
【0029】
本発明の別の態様によれば、酸化物層上への絶縁粒子の沈降により、酸化物層上に絶縁コーティングが堆積される。この場合、絶縁コーティングは、絶縁材料からなる絶縁粒子を含む。好ましくは、絶縁粒子の直径は200nm未満であり、好ましくは100nm未満である。絶縁粒子の直径が小さいほど、密度が高く多孔性の低いコーティングが実現する。絶縁粒子は、蒸気または溶液に由来するものであってもよい。たとえば、絶縁コーティングは、印刷により第1の導電層の酸化物層に堆積される。第1の導電層に絶縁粒子を含む一定量のインクを印刷することにより、第1の導電層の孔をインクで満たすことが可能である。インクの溶媒を蒸発させることにより、インク中の絶縁粒子が第1の導電層の利用可能な内面と外面に堆積する。乾燥したインクコーティングを加熱して第1の導電層の表面上の絶縁酸化物に付着する絶縁コーティングを作成することができる。
【0030】
本発明の一態様によれば、第1の導電層の導電材料は金属または金属合金を含み、酸化物層は金属酸化物で構成される。
【0031】
本発明の一態様によれば、酸化物層は、第1の導電層の導電材料の空気中での熱処理によって形成される。酸化物層は、導電層を数分間加熱するだけで形成できる。
【0032】
本発明の一態様によれば、絶縁コーティングは酸化物を含むか、酸化物からなる(made of)か、または酸化物で構成される(consists of)。たとえば、絶縁コーティングは、TiO2,Al2O3,ZrO2,MgO,CaO,SiO2,Ga2O3,Nb2O5,Ta2O5,CeO2,SrTiO3,およびGeO2のいずれか、またはそれらの組み合わせのいずれかからなりうる。絶縁コーティングに酸化物を使用することの利点は、酸化物が良好な電気絶縁特性を有することである。
【0033】
本発明の一態様によれば、絶縁コーティングは、TiO2,Al2O3,ZrO2,MgO,CaO,SiO2,およびアルミノケイ酸塩のいずれか、またはそれらの組み合わせのいずれかを含むか、それらからなるか、またはそれらで構成される。これらの材料は、良好な電気絶縁性を有する。たとえば、絶縁コーティングは、前駆体材料を堆積し、空気などの酸素含有環境で温度を上昇させて乾燥および熱処理を行い、TiO2,Al2O3,ZrO2,MgO,CaO,SiO2,およびアルミノケイ酸塩に変換することによって生成される。そのような前駆体材料は、コンパクトな堆積絶縁コーティングを形成することができる。そのような前駆体材料の例は、たとえば、デュポン社によって製造されたTyzor(登録商標)ファミリーからの有機チタン酸塩(TiO2の形成用)または有機ジルコン酸塩(ZrO2の形成用)である。その他の前駆体材料は、シラン(SiO2の形成用)またはアルミニウムクロロハイドレート(Al2O3の形成用)でありうる。
【0034】
本発明の一態様によれば、絶縁コーティングは、窒化物、たとえば、Si3N4,Ge3N4を含むか、それらからなるか、またはそれらで構成される。
【0035】
本発明の一態様によれば、絶縁コーティングは、ポリマー、たとえば、PVDF,PTFE,ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレン・テレフタラート(PET)、ポリブチレン・テレフタラート(PBT)、ナノセルロース、酢酸セルロースなどを含むか、それらからなるか、またはそれらで構成される。
【0036】
本発明の一態様によれば、第1の導電層は、導電材料からなり、互いに電気的かつ物理的に接触して配置された導電性粒子と、粒(grain)を含み、前記酸化物層は導電性粒子の表面に形成されるが、その表面は、粒または他の導電性粒子のいずれにも接触していない。導電性粒子は互いに結合し、粒は導電性粒子と結合する。適切には、粒はシリコンからなり、導電性粒子は、金属または金属合金からなる。
【0037】
たとえば、導電性粒子はチタンまたはその合金からなり、酸化物層は酸化チタンで構成される。チタンは、腐食に耐える能力と、シリコンとの良好な電気的接触を形成できるため、導電層に使用するのに適した材料である。酸化チタンの層は、空気中の粒子の熱処理中にチタン粒子に形成される。導電性粒子はまた、アルミニウムまたはその合金から作ることもでき、酸化物層は、空気中の粒子の熱処理中にアルミニウム粒子に形成された酸化アルミニウムで構成される。
【0038】
本発明の一態様によれば、第1の導電層は多孔質であり、電荷導体は、第1の導電層の孔、および絶縁基板の孔に収容され、その結果、導電経路は、第1の導電層および絶縁基板の孔を通って形成される。第1の導電層および絶縁基板は多孔質であり、電荷導電経路が、光吸収層から第1導電層および絶縁基板を通って、第2の導電層まで形成されるように、電荷導体が第1導電層の孔、および多孔質絶縁基板の孔に収容される。電荷導電経路は、電荷すなわち電子または正孔の輸送を可能にする、上で定義されたような電荷導電材料からなる経路である。さらに、電荷導電材料は、第2の導電層と電気的に接触するように適用される。たとえば、第2の導電層は、多孔質絶縁基板の表面に配置され、それにより、第2の導電層は、絶縁基板の孔に蓄積された電荷導電材料と電気的に接触する。
【0039】
第1および第2の導電層は、多孔質絶縁基板の異なる面に形成される。
【0040】
図面の簡単な説明
ここで、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0041】
図1は、本発明による光起電力装置の一例の断面を概略的に示す。
図2は、光起電力装置の第1の例の一部の拡大図を示す。
【0042】
この発明の好ましい実施形態の詳細な説明
図1は、本発明による光起電力装置10の一例の断面を概略的に示すものである。この例では、光起電力装置10は太陽電池である。光起電力装置10は、ドープ半導体材料からなる複数の粒2、および粒2と物理的かつ電気的に接触する電荷導体3を備えた光吸収層1を備える。ドープ半導体とは、たとえば、ホウ素(p型)、リン光体(n型)、またはヒ素(n型)のようなドーパントを含む半導体を意味する。ドープ半導体を製造するには、半導体にドーパントを添加する。ドーパント材料の種類に応じて、半導体はpドープまたはnドープになる。
【0043】
粒は、第1導電層に付着する。粒の表面の一部は第1導電層と物理的に接触しているため、電荷導体は粒の表面領域全体を部分的にしか覆うことができない。粒の残りの自由表面領域は、複数の接合部(junctions)が粒および電荷導体の間で形成されるように、電荷導体で覆われることが好ましい。
【0044】
本明細書で使用される電荷導体は、正孔導電材料または電子導電材料から作られる。正孔導電材料においては、多数電荷キャリアは正孔であり、電子導電材料においては、多数電荷キャリアは電子である。正孔導電材料は、主に正孔の輸送を可能にし、主に電子の輸送を妨げる材料である。電子導電材料は、主に電子の輸送を可能にし、主に正孔の輸送を妨げる材料である。電荷導体にはいくつかの目的がある。主な目的は、電子と正孔を分離できる接合部を提供することである。接合部は、粒と、光励起された電子と正孔を分離可能な電荷導体との間の界面である。粒は、電荷導体と電気的かつ物理的に接触して接合部を形成する。半導体材料と電荷導電材料の種類に応じて、接合部はホモ接合またはヘテロ接合になりうる。第2の目的は、接合部から1つのタイプの電荷キャリアを運び去ることである。第3の目的は、粒を互いに力学的(mechanically)に結合し、粒を第1の導電層に力学的に結合して、力学的に堅固な光起電力装置を形成することである。
【0045】
光起電力装置10は、光吸収層1の粒2と電気的に接触する第1の導電層16、電荷導体3と電気的に結合した第2の導電層18、ならびに第1および第2の導電層を電気的に絶縁するために第1および第2の導電層16,18の間に配置された絶縁層20をさらに備える。光吸収層1は、光起電力装置の上面に配置される。太陽光が粒2に当たり、光励起電子を生成できるように、上面を太陽に向けるべきである。第1の導電層16は、光吸収層1から光生成電子を抽出する裏面接点として機能する。光吸収層1は、第1の導電層に配置される。したがって、励起された電子および/または正孔が収集されるまで移動する必要がある距離は短い。第1の接点12は、第1の導電層16に電気的に接続され、第2の接点14は、第2の導電層18に電気的に接続される。負荷Lは、接点12,14の間に接続される。第1および第2の導電層16,18は、適切には金属または金属合金、たとえば、チタン、またはアルミニウムまたはそれらの合金からなる、金属層である。
【0046】
接合部4は、電荷導体3および粒2との間の接触領域に形成される。粒2は、複数の接合部4が粒および電荷導体の間に形成されるように、電荷導体3で部分的に覆われる。好ましくは、粒2の表面の少なくとも50%は、電荷導体で覆われている。
【0047】
粒2の半導体材料は、光子を吸収する能力を有し、光子は価電子帯から伝導帯に電子を励起し、それにより半導体材料内に電子‐正孔対を生成する。適切には、半導体材料はシリコンである。しかしながら、CdTe,GIGS,CIS,GaAs,またはペロブスカイトなどの、その他の半導体材料を使用することもできる。好ましくは、粒の平均サイズは、1μmから300μmの間であり、典型的には、粒2の平均サイズは、20μmから100μmの間である。
【0048】
電荷導体3は、固体材料からなり、すなわち液体からなるものではなく、正孔導体または電子導体でありうる。粒がnドープされている場合、電荷導体3は好ましくは正孔導体であり、粒がpドープされている場合、電荷導体3は好ましくは電子導体である。電荷導体3は、電荷導電材料、たとえば、シリコンなどのドープ半導体材料、または導電性ポリマーなどの有機導電材料から作られる。この目的のために十分な導電性を有するいくつかの透明な、導電性ポリマーを使用してもよい。シリコンの粒と組み合わせて使用される適切な正孔導電性ポリマーの例は、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレン・スルホン酸(PEDOT:PSS)である。PEDOT:PSSは、2つのイオノマーのポリマー混合物である。電荷導体3に適した材料のその他の例は、ポリアニリン、P3HTおよびスピロ‐OMeTADである。接合部4は、光励起された電子および正孔の対を分離する能力を有する。粒および電荷導体の材料に応じて、接合部はpn接合などのホモ接合、またはヘテロ接合である。
【0049】
ホモ接合は、類似の半導体材料の間の界面である。これらの材料のバンドギャップは等しいが、通常は異なるドーピングを有する。たとえば、ホモ接合は、nドープおよびpドープ半導体の間の界面、いわゆるPN接合で発生する。
【0050】
ヘテロ接合は、金属、絶縁の結晶構造およびアモルファス構造、高速イオン導電体ならびに半導体材料を含む、2つの固体材料間の界面である。2つの固体材料は、2つの無機材料の組み合わせ、または2つの有機材料の組み合わせ、または1つの無機材料と1つの有機材料の組み合わせからなりうる。
【0051】
粒2は本質的に光吸収層内に均一に分布しており、電荷導体3は粒上および粒間の空間内に位置している。粒2のサイズおよび形状は異なっていてもよい。光吸収層1は導電層8に適用される。たとえば、層8は導電層である。粒2は、層8と電気的にも物理的にも接触している。粒の下部は、導電層8に突き出していてもよい。
【0052】
図1に示す例では、電荷導体3は有機導体である。電荷導体は、電荷導電層6が粒に形成されるように、粒2の表面に配置される。したがって、各粒2の表面は、電荷導電材料で部分的に覆われている。好ましくは、電荷導電層6は、10nmと200nmの間の厚さを有する。典型的には、電荷導電層6は、50nmと100nmの間の厚さを有する。粒が電荷導体によって互いに結合するように、粒の間に電荷導体3が配置される。したがって、電荷導体は、光吸収層の力学的強度を増加させる。電荷導電層6は単層である。各粒は、入射光に面する上面と導電層8と直接物理的かつ電気的に接触する下面を有する。粒の上面は、全体的または少なくとも部分的に電荷導体3で覆われ、下面には電荷導体がない(free from)ため、第1の導電層16と電気的な接触を可能にする。
【0053】
装置10は、光吸収層1と第2の導電層18との間に配置された電荷導電材料の複数の電荷導電経路22を備え、電荷すなわち正孔または電子が光吸収層1から第2の導電層18に移動することを可能にする。導電経路22は、適切には、粒上の電荷導電層6と同じ材料からなるが、必ずしも同じである必要はない。この実施形態において、電荷導体3は、導電経路22にも粒上にも層6を形成する。導電経路22は、第1の導電層16および絶縁層20を貫通する。適切には、第1の導電層16および絶縁層20は多孔質であり、電荷導体が第1の導電層および絶縁層20を貫通して第2の導電層への経路22を形成できるようにする。充電導体3は、第1の導電層16の孔および絶縁層20の孔に収容することができる。本発明の一実施形態では、第2の導電層18は多孔質であり、電荷導体3は第2の導電層18の孔に収容することができる。
【0054】
絶縁層20は、多孔質絶縁基板を備えるものであってもよい。たとえば、多孔性絶縁基板は、ガラスマイクロファイバーまたはセラミックマイクロファイバーから作られる。第1の導電層16は、多孔質絶縁基材の上側に配置され、第2の導電層18は、多孔質絶縁基材の下側に配置されている。光吸収層1は、第1の導電層16に配置される。
【0055】
各粒の表面の一部は、第1の導電層と物理的かつ電気的に接触しており、各粒の残りの自由表面の大部分は、電荷導体で覆われている。各粒は、電荷導体で覆われた上部と、第1の導電層と物理的かつ電気的に接触した下部を有する。電気的短絡を回避するために、第1の導電層と電気的に接触している粒の下部が電荷導体と低オーム接合を形成しないことが重要である。電荷導体と粒の下部の間の電気抵抗が低すぎると、短絡による損失が高くなりすぎる。したがって、第1の導電層と電気的に接触している粒の表面の部分は、電荷導体で覆われるべきではない。好ましくは、粒の残りの表面は、高い変換効率を達成するために電荷導体で覆われている。理想的には、電荷導体は粒の残りの自由表面全体を覆う。
【0056】
第1の導電層は、接合部から光励起された電子を収集し、電子を光起電力装置の外部の外部回路に輸送する。粒が第1の導電層と直接物理的かつ電気的に接触しているという事実により、電子が収集される前に移動しなければならない距離は短く、したがって、電子と正孔が収集される前に再結合する確率は低い。したがって、従来の光起電力装置と比較して、本発明による光起電力装置の利点は、電子が収集される前に移動する距離がより短いため、光吸収層の電気抵抗損失がより少ないことである。第1の導電層によって電荷キャリアが収集される距離は、典型的には、数マイクロメートルから数十マイクロメートルの範囲であるのに対し、従来のシリコンウエハー太陽電池において、電子は、正面集電装置に到達するまで数千マイクロメートル、すなわち数ミリメートルを移動し、あるいは裏面集電装置に到達するまで数百マイクロメートルを移動する必要がある。
【0057】
図2は、光吸収層1および第1の導電層16を含む光起電力装置10の第1の例の一部の拡大図を示す。この実施形態では、第1の導電層16は、互いに結合した導電材料からなる複数の導電性粒子24を備える。導電性粒子24の導電材料は、適切には金属または金属合金、たとえば、チタンまたはアルミニウムまたはそれらの合金である。第1の導電層の導電性粒子24は、互いに物理的かつ電気的に接触している。粒2は、第1の導電層の導電性粒子24のいくつかと物理的かつ電気的に接触している。好ましくは、粒2は、粒と第1の導電層16の粒子24との間に十分な接触領域を提供するために、100μm未満のサイズを有する。粒2は、光起電力装置から離れる方を向く上部と、第1の導電層の導電性粒子24と物理的に接触している下部を有する。粒2の上部は、電荷導体3の導電層6で覆われている。
【0058】
粒は、好ましくはドープシリコンからなり、シリコン粒2と第1導電層の導電性粒子24との間の物理的接触ゾーンは、粒2と導電性粒子24との間に良好な電気的接触を提供するために、金属シリコン合金または金属ケイ化物の層26で構成されるものであってもよい。たとえば、粒2は、シリコン(Si)からなり、導電性粒子24は、チタン(Ti)からなるか、または少なくとも部分的にチタンを備え、粒2および粒子24の間の境界は、SiおよびTi間の良好な電気的接触を提供する、ケイ化チタンの層26を備える。
【0059】
第1の導電層16は、互いに結合された複数の導電性粒子24によって形成されるという事実により、粒子間に空洞が形成される。したがって、第1の導電層16は、電荷導体3が第1の導電層を通して伸び、複数の電荷導電経路22を形成することを可能にする。電荷導体3は、第1の導電層16内の導電性粒子24間に形成された空洞のいくつかに収容される。
【0060】
第1の導電層16と電荷導体3の導電経路22との間の電気的接触を回避するために、粒子28の表面に酸化物層28が形成され、酸化物層と絶縁コーティングが一緒になって電荷導電材料の経路22を第1の導電層の導電材料から電気的に絶縁するように、絶縁材料からなる絶縁コーティング29が酸化物層28に堆積される。酸化物層28は、光起電力装置10の製造中に導電性粒子24を酸化することにより形成される。酸化物層28は、粒2と接触せず、また第1の導電層内の他の導電性粒子24とも接触しない、導電性粒子24の表面の部分に形成される。好ましくは、絶縁コーティング29は、酸化物層全体が前記絶縁コーティングで覆われるように、酸化物層28に堆積される。
【0061】
適切には、導電性粒子は金属または金属合金を含み、酸化物層は金属酸化物を含む。たとえば、導電性粒子がチタンを含む場合、粒と接触していないチタン粒子の表面の部分は、酸化チタンの層(TiO
2)で覆われている。たとえば、導電性粒子がアルミニウムを含む場合、粒と接触していない導電性粒子の表面の部分は、酸化アルミニウム(Al
2O
3)で覆われている。
【0062】
一態様では、絶縁コーティング29の厚さは10nmよりも大きく、より好ましくは50nmよりも大きく、最も好ましくは100nmよりも大きい。一態様では、酸化物層28の厚さは10nmより大きい。酸化物層と絶縁コーティングの最大許容総厚は、第1導電層の多孔性に依存する。経路22の電荷導電材料を収容するのに十分な空間が孔に残っていなければならない。第1の導電層の孔のサイズが大きいほど、酸化物層および絶縁コーティングの合計の厚さがより厚くなる。したがって、酸化物層と絶縁コーティングの総体積は、第1の導電層の孔の総体積よりも小さくなければならない。好ましくは、孔の残りの体積は電荷導電材料で満たされている。
【0063】
好ましくは、絶縁コーティング29は、酸化物層28よりも密度が高く、多孔性が低い。たとえば、酸化物層は、酸化環境における第1の導電層の導電材料の熱処理により形成され、絶縁コーティングは、絶縁材料の粒子の化学堆積および/または堆積により酸化物層に堆積される。製造方法が異なるため、酸化物層と絶縁コーティングの形態は異なります。酸化物層および絶縁コーティングは、異なる材料または同じ材料からなりうる。酸化物層と絶縁コーティングは同じ材料からなるが、その形態は異なる。一態様では、第1の導電層の導電材料は金属または金属合金を含み、酸化物層は金属酸化物で構成される。一態様では、絶縁コーティングは酸化物でできている。絶縁コーティングは、TiO2,Al2O3,ZrO2,MgO,CaO,SiO2、およびアルミノケイ酸塩のいずれか、またはそれらの組み合わせからなりうる。絶縁コーティングは、他の電気絶縁材料またはGa2O3,Nb2O5,Ta2O5,CeO2,SrTiO3,GeO2,窒化物,たとえばSi3N4,Ge3N4,または、たとえばPVDF,PTFE,ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリブチレン・テレフタレート(PBT)、ナノセルロース、酢酸セルロースなどのポリマーなどの材料の組み合わせ、またはそれらの混合物からもなりうる。
【0064】
図2に示すように、電荷導体3の電荷導電経路22は、粒子24上の絶縁コーティング29と接触している。絶縁コーティング29および酸化物層28は、第1の導電層16と電荷導体3の経路22の間で電荷の移動を妨げ、それにより、第1の導電層16と電荷導体3との間の短絡を防止する。
【0065】
一態様では、絶縁コーティングは、絶縁材料からなる絶縁粒子を含み、絶縁粒子の直径は、200nm未満、好ましくは100nm未満である。コーティングは、たとえば、TiO2、Al2O3、ZrO2、アルミノケイ酸塩、SiO2の粒子を含むインクを第1の導電層に印刷することにより堆積させることができる。インクに粒子が使用されている場合、堆積した絶縁コーティングは多孔質になりうる。粒子は、第1の導電層の孔よりも小さい直径を有するべきである。第1の導電層の孔が約1μmである場合、粒子は好ましくは100nm以下の直径を有するべきである。
【0066】
あるいは、粒子を含むインクを使用する代わりに、印刷用インクは、空気などの酸素含有環境において温度を上昇させて堆積されたインクを乾燥および熱処理を行うと、たとえば、TiO2,Al2O3,ZrO2,アルミノケイ酸塩,SiO2に変換される前駆体材料を含むことができる。そのような前駆体材料は、コンパクトな堆積絶縁コーティングを形成することができる。そのような前駆体材料の例は、たとえば、デュポン社によって製造されたTyzor(登録商標)ファミリーからの有機チタン酸塩(TiO2の形成用)または有機ジルコン酸塩(ZrO2の形成用)である。他の前駆体材料は、シラン(SiO2の形成用)またはアルミニウムクロロハイドレート(Al2O3の形成用)でありうる。
【0067】
第2の導電層18は、導電性粒子を含むものであってもよい。第2の導電層18の導電性粒子は、適切には、金属または金属合金、たとえばチタン、アルミニウム、またはそれらの合金からなる金属粒子である。この例では、第2の導電層18の導電性粒子(図示せず)はアルミニウムからなり、アルミニウム粒子は絶縁層で覆われていないため、したがって、電荷導体は第2の導電層18の粒子と電気的に接触することができる。第1および第2の導電層16、18の導電性粒子は焼結されて導電層を形成する。導電層16,18のそれぞれにおける導電性粒子は、互いに電気的に接触して導電層を形成する。しかしながら、導電性粒子の間には、電荷導体3を収容するための空間もある。光吸収層の粒2の接合部4は、第2の導電層18内の導電性粒子と電気的に接触している、電荷導電材料の経路22と電気的に接触している。
【0068】
一例では、粒2はnドープシリコンからなり、第1および第2の導電層はチタンからなる導電性粒子24を含み、電荷導体3は正孔導電性ポリマーである。たとえば、正孔導電性ポリマーは、PEDOT:PSSであり、以下でPEDOTと表記される。PEDOTは正孔導電体であり、正孔を第2の導電層18に輸送する。nドープシリコン粒は電子導電体であり、電子を第1の導電層に輸送する。次いで、第1の導電層は、外部電気回路を介して電子を第2の導電層に輸送する。第1および第2の導電層16,18は、絶縁層20によって物理的かつ電気的に分離されている。光吸収層1のシリコン粒2は導電性粒子に結合している。第1の導電層16の導電性粒子24は互いに物理的かつ電気的に接触しており、第2の導電層18の導電性粒子は互いに物理的かつ電気的に接触している。電荷導体3は、光吸収層1の粒2と物理的かつ電気的に接触して配置されている。
【0069】
以下では、本発明による光起電力装置の製造方法の一例について説明する。
【0070】
ステップ1:多孔質絶縁基板の一面に多孔質の第1の導電層を形成する。第1の多孔質導電層の形成は、異なる方法で行うことができる。たとえばそれは、多孔質絶縁基板の一面に導電性粒子を含むインクを噴霧または印刷することにより行うことができる。導電性粒子は、たとえば、チタンまたはその合金、またはアルミニウムまたはその合金からなりうる。多孔質絶縁基板は、たとえば、多孔質ガラスマイクロファイバーベースの基板でありうる。好ましくは、導電性粒子は、粒子が多孔性絶縁基材を貫通することを回避するために、多孔性絶縁基材の孔よりも大きい。
【0071】
ステップ2:ドープ半導体材料の粒の層で第1の導電層をコーティングして構造を形成する。この例では、この構造は、多孔質絶縁基板、第1の導電層、および粒の層を備えている。粒は、ドープシリコンなどのドープ半導体材料からなる。コーティングは、好ましくは、第1の導電層の表面が単層の粒によって覆われるように行われる。これは粒の粉末を含む液体、たとえばインクを第1の導電層に適用することにより行うことができる。粒の堆積は、たとえば、印刷または噴霧により行うことができる。適切な噴霧技術は、たとえば、静電噴霧または電気噴霧である。シリコン粒子は、第1の導電層に堆積する前に別個のステップでエッチングされてもよい。
【0072】
粒の平均サイズは、適切には1μm〜300μmの間、好ましくは10μm〜80μmの間、もっとも好ましくは20〜50μmの間である。粒の粉末は、たとえば、粉砕により製造することができる。粉砕は、たとえば、ディスクタイプまたはコーンタイプのミルを使用して行うことができる。粉砕中に生成される粒子のサイズと形状は、粉砕時間、粉砕速度などの選択された粉砕プロセスパラメータに依存する。粒の平均サイズは、粉砕プロセスパラメータを調整することで制御することができる。粉末の平均粒径は、たとえば、メッシュを使用して測定することができる。粉末の平均粒径を測定するためにメッシュを使用することはよく知られている。
【0073】
ステップ3:構造の第1の熱処理を行い、粒を第1の導電層、たとえば第1の導電層の導電性粒子に結合する。第1の熱処理はまた、第1の導電層内の導電性粒子を互いに結合する。好ましくは、熱処理は非酸化環境で行われる。たとえば、構造は、少なくとも2時間、550℃を超える温度で真空中において熱処理される。第1の熱処理は、たとえば、構造の真空焼結により行われる。このステップの間、粒と導電性粒子が真空焼結される。焼結中に、粒は第1の導電層の導電性粒子と結合して、それらの間の力学的かつ電気的接触を実現する。また、真空焼結の間、導電性粒子は焼結により導電性粒子と力学的かつ電気的に接触した第1の導電層も形成する。
【0074】
ステップ4:第1導電層の表面に電気絶縁層を形成する。このステップは、酸化環境で構造の第2の熱処理を行い、第1の導電層の利用可能な表面、たとえば、他の導電性粒子または粒と物理的に接触していない、導電性粒子の表面の部分に酸化物層を形成することを含むものであってもよい。酸化環境は、たとえば空気である。構造の第2の熱処理は、たとえば500℃で30分間行うことができる。
【0075】
ステップ5:第1の導電層の酸化物層上に薄い絶縁コーティングを堆積する。たとえば、絶縁コーティングは印刷によって堆積される。絶縁材料を含む一定量のインクを第1の導電層に印刷することにより、第1の導電層の孔をインクで満たすことができる。インクの溶媒を蒸発させることにより、インク内の絶縁材料が、第1の導電層の利用可能な内面と外面に堆積する。乾燥したインクコーティングを加熱して、第1の導電層の利用可能な表面に付着する絶縁コーティングを作成することができる。コーティングは、たとえば、第1の導電層の酸化物層上に、たとえば、TiO2,Al2O3,ZrO2,CaO,MgO,SiO2,またはアルミノケイ酸塩の粒子を含むインクを印刷することにより堆積することができる。インクに粒子が使用されている場合、堆積した絶縁コーティングは多孔質になりうる。粒子は、第1の導電層の孔よりも小さい直径を有するべきである。第1の導電層の孔が約1μmである場合、粒子は好ましくは100nm以下の直径を有するべきである。
【0076】
あるいは、粒子を含むインクを使用する代わりに、印刷用インクは、空気などの酸素含有環境において温度を上昇させて堆積されたインクを乾燥および熱処理を行うと、たとえば、TiO2,Al2O3,ZrO2,CaO,MgO,SiO2,またはアルミノケイ酸塩に変換される前駆体材料を含むことができる。そのような前駆体材料は、コンパクトな堆積絶縁コーティングを形成することができる。そのような前駆体材料の例は、たとえば、デュポン社によって製造されたTyzor(登録商標)ファミリーからの有機チタン酸塩(TiO2の形成用)または有機ジルコン酸塩(ZrO2の形成用)である。他の前駆体材料は、シラン(SiO2の形成用)またはアルミニウムクロロハイドレート(Al2O3の形成用)でありうる。
【0077】
また、インクに粒子と前駆体の両方を混合して、第1の導電層の利用可能な表面に絶縁層を作成することもできる。
【0078】
第2の熱処理だけでなく表面のコーティングも行うことにより、第1の導電層が電荷導電材料から電気的に絶縁されることを確実にすることができる。
【0079】
ステップ6:第2の導電層を形成する。第2の導電層の形成は、第2の導電層を形成するために選択された方法に応じて、他のステップとは異なる時点で行うことができる。第2の導電層は、多くの異なる方法で形成することができる。一実施形態では、第2の導電層は、多孔質絶縁基板の反対側に形成された多孔質導電層でありうる。たとえば、第2の導電層は、導電性粒子を含むインクを絶縁基板の反対側の表面に堆積させることにより形成することができる。この実施形態では、第2の導電層の形成は、ステップ3の熱処理を行う前に、ステップ2の前またはステップ1の前でさえも行うことができる。あるいは、第2の導電層を第2の絶縁基板に形成しうる。そして次のステップで、第2の絶縁基板を第1の基板に適用する。あるいは、第2の導電層は、電荷導電材料と電気的に接触させられる導電性箔でありうる。導電性箔は、たとえば、金属箔でありうる。この場合、第2の導電層の形成はステップ7の後で行うことができる。
【0080】
ステップ7:粒の表面、第1の導電層の内部の孔、および絶縁基板の内部の孔に電荷導電材料を適用する。電荷導電材料は、たとえば、導電性ポリマー、無機材料、および有機金属材料のいずれかである。電荷導電材料の適用は、たとえば、電荷導電材料の粒子を含む液体ベースの溶液を粒の表面に適用して、溶液が第1の導電層の孔、および絶縁基板の孔に浸透させ、構造を乾燥させて、固体電荷導体の層が粒に堆積し、固体電荷導体が第1の導電層の孔および絶縁基板の孔に堆積させることによって行うことができる。あるいは、電荷導電材料の堆積は、いくつかのステップで行うことができる。たとえば、電荷導電材料を有する溶液を最初に粒上に噴霧し、その後溶媒を乾燥させて粒の表面に電荷導電材料の乾燥固体層を生成することができる。第2のステップでは、構造の反対側に電荷導電材料の溶液を噴霧する。電荷導電材料を含む溶液の適用は、たとえば、浸漬または噴霧、たとえば超音波噴霧により行うことができる。粒の表面上の電荷導体は、たとえば、粒の利用可能な表面の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、もっとも好ましくは粒の表面の少なくとも80%を覆う。粒の利用可能な表面は、第1の導電層と接触していない表面の部分である。
【0081】
ステップ8:電荷導電材料を第2の導電層に電気的に接続する。ステップ8は、ステップ5または7の一部または結果であるか、別のステップで行うことができる。たとえば、ステップ7の間に電荷導電材料が第2の導電層と電気的に接触するように適用される。第2の導電層が多孔質絶縁基板の表面に配置される場合、第2の導電層は、絶縁基板の孔に蓄積された電荷導電材料と電気的に接触している。第2の多孔質絶縁基板が第1の多孔質絶縁基板と第2の導電層との間に配置され、第2の多孔質絶縁基板の孔が電荷導電材料で満たされる場合、電荷導電材料は、第2の導電層と電気的に接触している。これらの場合、電荷導電材料が多孔質絶縁基板の孔に適用されていると、電荷導電材料は第2の導電層に電気的に接続されるようになる。第2の導電層が電荷導電材料と電気的に接触させられている導電性箔である場合、電荷導電材料と第2の導電層はステップ6の間に電気的に接続されている。
【0082】
電荷導電材料および第2の導電層の電気的接続は、たとえば、第2の導電層上に接続部位を設け、接続部位と電荷導電材料を電気的に接続することにより行うことができる。接続部位は、第2の導電層および電荷導電材料の両方に物理的かつ電気的に接続される。たとえば、接続部位は、第2の導電層に配置された銀(Ag)の層を備える。あるいは、第2の導電層は、銀、または第2の熱処理中に酸化しない他の導電材料からなる導電性粒子を含むものであってもよく、これらの粒子は接続部位を形成する。チタンおよびPEDOTの両方と良好な電気的接触を提供するため、銀を使用することが適している。銀を使用することの別の利点は、銀は、チタン粒子および接続部位の間の接触領域において、第2の導電層のチタン粒子上に酸化物が形成されるのを防ぐことである。銀の層の形成中に、第2の導電層のチタン粒子および接続部位の間にチタン銀(AgTi)の層が形成される。したがって、PEDOTは、銀と良好な低オーム接触を形成でき、銀は、AgTiを介してチタンと良好な低オーム接触を形成できる。その結果、PEDOTは銀およびAgTiを介して間接的にチタンに接触できる。その他の材料、たとえば、高ドープシリコンまたはグラファイト、グラフェン、CNTまたはアモルファスカーボンなどのカーボンベース材料を接続部位に使用することができる。