(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、プローブ1の縦断面図(コイルの軸心を含む平面で切断した断面図)である。
図2は、
図1のII−II線におけるプローブ1の横断面図である。
【0010】
プローブ1は、対象物9に渦電流を発生させ且つ発生した渦電流を検出するために用いられる。プローブ1は、非接触型のプローブであり、対象物9に近接して配置される。尚、「非接触型」とは、非接触でも使用可能であることを意味し、接触状態での使用を除外するものではない。プローブ1は、変動磁場を形成することによって対象物9に渦電流を発生させる。また、プローブ1は、対象物9に発生した渦電流の変化を誘導電圧として検出する。例えば、プローブ1は、断熱性を有するスペーサ(図示省略)を介して対象物9に設置される。
【0011】
プローブ1は、励磁電流による磁束で対象物9に渦電流を発生させる励磁コイル3と、対象物9の渦電流を検出する検出コイル4とを備えている。プローブ1は、励磁コイル3及び検出コイル4を複数組有していてもよい。
図1では、プローブ1は、2組の励磁コイル3及び検出コイル4を有している。
【0012】
励磁コイル3は、所定の軸心Xの周りに巻回されている。励磁コイル3は、円筒状のボビン61に巻回されている。励磁コイル3は、コイル長さL1を有している。ここで、コイル長さとは、軸心の方向におけるコイルの長さである。コイル長さL1は、励磁コイル3の内径D(即ち、ボビン61の円筒部分の外径)よりも長い。
【0013】
検出コイル4は、軸心Xの周りに巻回されている。つまり、検出コイル4は、励磁コイル3と同心状に巻回されている。検出コイル4は、軸心Xを中心とする半径方向において励磁コイル3の外側に配置されている。以下、特に断りが無い限り、「半径方向」は、軸心Xを中心とする半径方向を意味する。検出コイル4は、コイル長さL2を有している。コイル長さL2は、コイル長さL1よりも短い。すなわち、検出コイル4は、励磁コイル3のうちコイル長さの方向(即ち、軸心Xの方向)における一部分と半径方向に重なるように配置されている。検出コイル4と励磁コイル3との間には、絶縁のためのバリアテープ63が設けられている。好ましくは、検出コイル4は、励磁コイル3のうちコイル長さの方向における中心C1よりも対象物9の側に配置されている。
【0014】
励磁コイル3は、検出コイル4と半径方向に重ならない第1部分31と、第1部分31よりも対象物9の側に位置し、検出コイル4と半径方向に重なる第2部分32とを有している。換言すると、励磁コイル3は、検出コイル4よりも対象物9から離れる方向へ延びている。さらに別の言い方をすると、コイル長さの方向における検出コイル4の中心C2は、コイル長さの方向における励磁コイル3の中心C1よりも対象物9の側に位置している。
【0015】
また、第2部分32は、励磁コイル3のうちコイル長さの方向における対象物9に近い方の端部を少なくとも含んでいてもよい。検出コイル4は、励磁コイル3のうちコイル長さの方向における対象物9に近い方の端部と半径方向に重なるように巻回されている。換言すると、励磁コイル3は、第2部分32よりも対象物9の側に、検出コイル4と半径方向に重ならない部分を有していない。
【0016】
さらに、プローブ1は、励磁コイル3及び検出コイル4に挿入されたコア5を備えていてもよい。コア5は、第1直線部51と、第2直線部52と、第1直線部51及び第2直線部52を連結する連結部53とを有し、全体として概ねU字状に形成されている。より詳しくは、コア5は、パーマロイで形成された、概ねU字状の複数の薄板を積層されて形成されている。第1直線部51は、一方の組の励磁コイル3(即ち、ボビン61)に挿入され、第2直線部52は、他方の組の励磁コイル3(即ち、ボビン61)に挿入されている。コア5は、2組の励磁コイル3を磁気的に接続している。第1直線部51及び第2直線部52はそれぞれ、対応する励磁コイル3の第1部分31にのみ挿入され、第2部分32には挿入されていない。すなわち、第1直線部51及び第2直線部52はそれぞれ、検出コイル4には挿入されていない。
【0017】
続いて、プローブ1の動作について説明する。
【0018】
励磁コイル3は、電流が印加されることによって、軸心Xの方向に磁場を形成する。一方の励磁コイル3と他方の励磁コイル3とは、軸心Xの方向において互いに反対向きの磁場を形成するように電流が印加される。その結果、コア5には、コア5の長手方向に沿った磁場が形成される。すなわち、第1直線部51の先端がN極となるときには、第2直線部52の先端はS極となる。逆に、第1直線部51の先端がS極となるときには、第2直線部52の先端はN極となる。例えば、一方の励磁コイル3から対象物9へ向かって磁束が発生し、対象物9から他方の励磁コイル3へ向かって磁束が発生する。詳しくは、一方の励磁コイル3から発せられる大部分の磁束は、一方の励磁コイル3の軸心Xの方向に出て対象物9内へ入り、対象物9内を略円弧状に通過し、他方の励磁コイル3の軸心Xの方向へ他方の励磁コイル3に入っていく。励磁コイル3に印加する電流を変動させることによって、対象物9に発生する磁場が変動し、対象物9に渦電流が発生する。
【0019】
一方、対象物9のうち検出コイル4の近傍の部分に発生した渦電流によって、検出コイル4を貫通する磁束が形成される。検出コイル4を貫通する磁束が変化すると、検出コイル4に誘導起電力が発生する。検出コイル4は、この誘導起電力を検出することによって、対象物9の渦電流を検出する。
【0020】
このように構成されたプローブ1によれば、検出コイル4のコイル長さが短いので、ノイズを拾い難くなり、渦電流の検出精度が向上する。つまり、検出コイル4のコイル長さが長いと、空間に存在している静電誘導ノイズ(電界ノイズ)が検出コイル4内に進入しやすくなる。検出コイル4のコイル長さが短いと、静電誘導ノイズが進入しづらくなるので、ノイズを低減することができる。また、検出コイル4のコイル長さが長いと、検出コイル4を通過して対象物9に進入した磁束が再びコイル4内に進入する虞がある。検出コイル4のコイル長さが短いと、対象物9に進入した磁束が検出コイル4に再度進入しづらくなるので、ノイズを低減することができる。
【0021】
それに加えて、検出コイル4は、励磁コイル3のうちコイル長さの方向における一部分と半径方向に重なるように配置され且つ、励磁コイル3のうち検出コイル4と半径方向に重なる第2部分32は、検出コイル4と半径方向に重ならない第1部分31よりも対象物9の側に位置している。つまり、コイル長さの方向において励磁コイル3のうち対象物9から遠い側の端部に検出コイル4が配置される構成に比べて、検出コイル4は、対象物9の近くに配置される。その結果、検出コイル4は、対象物9の近傍の強い磁束を捉えることができ、このことによっても、渦電流の検出精度が向上する。
【0022】
さらに、検出コイル4は、励磁コイル3の半径方向外側に配置されている。これにより、検出コイル4の径が大きくなるので、検出コイル4はより多くの磁束を捉えることができ、このことによっても、渦電流の検出精度が向上する。
【0023】
その一方で、励磁コイル3のコイル長さが長いので、励磁コイル3のインダクタンスが大きくなり、励磁コイル3は大きな磁束を発生させることができる。これにより、対象物9に大きな渦電流を発生させることができる。その結果、検出コイル4による渦電流の検出精度を向上させることができる。
【0024】
それに加えて、励磁コイル3にはコア5が挿入されているので、励磁コイル3はより大きな磁束を発生させることができる。ただし、コア5は、検出コイル4には挿入されていない。検出コイル4にコアが挿入されていると、対象物9で発生して検出コイル4を貫通する磁束の減衰が遅くなり得る。その場合、検出コイル4の誘導起電力の過渡変化が、対象物9の渦電流の過渡変化に対して鈍くなってしまう。つまり、検出コイル4にコア5を挿入しないことによって、検出コイル4の誘導起電力の過渡変化と対象物9の渦電流の過渡変化との時間のずれを低減することができる。
【0025】
次に、このように構成されたプローブ1の適用例について説明する。
図3は、厚さ測定装置100のブロック図である。尚、
図3において、プローブ1は簡略化して図示されている。厚さ測定装置100は、測定の対象物9に渦電流を発生させ且つ発生した渦電流を検出するセンサ装置10と、検出された渦電流の過渡変化に基づいて対象物9の厚さを求める演算装置8とを備えている。厚さ測定装置100は、パルス渦電流探傷(PEC:Pulsed Eddy Current)によって対象物9の厚さを測定する。対象物9は、例えば、蒸気又はドレンが流通する金属配管である。
【0026】
センサ装置10は、対象物9に渦電流を発生させ且つ発生した渦電流を検出するためのプローブ1と、プローブ1を制御する装置本体7とを有している。
【0027】
装置本体7は、励磁コイル3に励磁電流を印加する励磁部71と、対象物9の渦電流の過渡変化を検出する検出部74と、外部機器と通信を行う通信部76と、各種情報を記憶する記憶部77と、少なくとも励磁部71、検出部74、通信部76及び記憶部77を制御する制御部78とを有している。
【0028】
励磁部71は、パルス状の励磁電流を励磁コイル3に供給する。励磁部71は、パルス信号を発生するパルス発生器72と、パルス発生器72からのパルス信号を増幅して、励磁電流として出力する送信アンプ73とを有している。
【0029】
検出部74は、対象物9の渦電流に応じて検出コイル4に発生する誘導起電力を検出する。検出コイル4に発生する誘導起電力の過渡変化は、対象物9に発生する渦電流の過渡変化と関連している。検出部74は、検出コイル4に発生する電圧を増幅する受信アンプ75を少なくとも有している。検出部74は、電圧信号にフィルタ処理を施すフィルタをさらに有していてもよい。
【0030】
通信部76は、外部機器と無線通信を行う。例えば、通信部76は、検出部74によって検出された電圧信号を演算装置8に送信する。
【0031】
制御部78は、プロセッサで形成されている。例えば、制御部78は、励磁部71に所定期間だけ励磁電流を出力させる一方、励磁電流の出力停止後に検出部74による検出信号を取得する。制御部78は、取得した検出信号を記憶部77に記憶させ、記憶部77に記憶された検出信号を所定のタイミングで通信部76を介して演算装置8に送信する。
【0032】
演算装置8は、コンピュータ又はコンピュータネットワーク(所謂、クラウド)で形成されている。演算装置8は、外部機器と通信を行う通信部81と、各種情報を記憶する記憶部82と、検出された渦電流の過渡変化に基づいて対象物9の厚さを求める演算部83とを有している。
【0033】
通信部81は、外部機器と無線通信を行う。例えば、通信部81は、センサ装置10からの電圧信号を受信する。
【0034】
記憶部82は、センサ装置10からの電圧信号、及び、対象物9の厚さを演算するために必要な情報等を記憶している。
【0035】
演算部83は、プロセッサで形成されている。演算部83は、センサ装置10からの電圧信号(具体的には、電圧信号の過渡変化)に基づいて対象物9の厚さを演算する。
【0036】
続いて、厚さ測定装置100による厚さ測定処理について説明する。
【0037】
まず、制御部78は、励磁部71に励磁電流を励磁コイル3へ出力させる。励磁コイル3は、励磁電流の印加によって軸心Xの方向に磁場を形成する。一方の励磁コイル3と他方の励磁コイル3とは、軸心Xの方向において互いに反対向きの磁場を形成する。例えば、一方の励磁コイル3から対象物9へ向かって磁束が発生し、対象物9から他方の励磁コイル3へ向かって磁束が発生する。
【0038】
次に、制御部78は、励磁電流の出力を停止させ、対象物9に発生する渦電流を検出部74に検出させる。制御部78は、検出部74による電圧信号の検出を所定期間継続し、検出された電気信号を記憶部77に記憶していく。これにより、制御部78は、検出コイル4の誘導起電力の過渡変化(経時変化)、即ち、対象物9に発生する渦電流の過渡変化を取得する。その後、制御部78は、記憶部77に記憶された電圧信号を演算部83へ通信部76を介して送信する。
【0039】
制御部78は、対象物9の厚さdが既知の状態において前述のように渦電流の過渡変化を予め取得する。その後、制御部78は、渦電流の過渡変化の取得を定期的に行う。これにより、厚さdが変化した対象物9の渦電流の過渡変化が断続的に取得される。尚、定期的な渦電流の過渡変化の取得に際し、励磁コイル3に印加される励磁電流の大きさは一定である。
【0040】
演算装置8は、センサ装置10から取得した電圧信号に基づいて対象物9の厚さdを求める。
【0041】
図4は、電圧信号V(t)の時間変化を示すグラフである。
図4のグラフは、両対数グラフである。
図4において、電圧信号V0(t)は、厚さd0を有する対象物9の電圧信号であり、電圧信号V1(t)は、厚さd0よりも薄い厚さd1を有する対象物9の電圧信号である。
【0042】
渦電流は、対象物9に浸透していくのに従って減衰していく。渦電流は、対象物9の表面(プローブ1が対向している面)から裏面に到達するまでの間は徐々に減衰し、裏面に到達すると急激に減衰する。電圧信号V(t)も渦電流と同様の変化を示す。つまり、電圧信号V(t)の過渡変化は、渦電流の過渡変化に相当する。渦電流が対象物9の裏面に達するまでの間の電圧信号V(t)の変化は、両対数グラフ上では直線的(線形的)に表される。その後、電圧信号V(t)は、急激に減衰していく。このように変化する電圧信号V(t)は、以下の式(1)のように表される。
【0043】
【数1】
ここで、Aは、受信アンプ75の増幅率である。nは、電圧信号V(t)の減衰の程度に関連する定数であり、−nは、両対数グラフにおける電圧信号V(t)の傾きを表す。
【0044】
式(1)からもわかるように、電圧信号V(t)の変化態様は、時間τにおいて切り替わる。以下、説明の便宜上、τを「減衰時間」と称する。減衰時間τは、以下の式(2)で表わされる。
【0045】
τ=σμd
2 ・・・(2)
ここで、σは、対象物9の導電率であり、μは、対象物9の透磁率であり、dは、対象物9の厚さである。
【0046】
つまり、対象物9の厚さdが変化すると、減衰時間τが変化する。この場合、対象物9の導電率σ及び透磁率μは一定なので、減衰時間τは、対象物9の厚さdのみに依存して変化する。また、減衰時間τ及び厚さdが変化しても、τ/d
2は、一定である。そのため、既知の厚さd0に対する減衰時間τ0と、未知の厚さdxに対する減衰時間τxとがわかれば、以下の式(3)に基づいて、未知の厚さdxを求めることができる。
【0047】
【数2】
例えば、
図4において電圧信号V0(t),V1(t)を比較すると、厚さd0の対象物9の電圧信号V0(t)の変化態様は、減衰時間τ0で切り替わる。対象物9の厚さdがd0からd1に減少すると、減衰時間τは、τ0からτ1に減少する。尚、電圧信号V(t)のうち両対数グラフで直線状の部分の変化態様は、式(1)からわかるように厚さdに依存しないので、電圧信号V0(t),V1(t)で実質的に同じである。厚さd0及び減衰時間τ0,τ1を式(3)に代入することによって、厚さd1を求めることができる。
【0048】
演算装置8は、対象物9の既知の厚さを基準厚さd0とし、基準厚さd0における電圧信号V0(t)の過渡変化を取得する。以下、電圧信号V0(t)を基準電圧信号V0(t)と称する。その後、演算装置8は、未知の厚さdxに関する電圧信号Vx(t)を取得すると、電圧信号Vx(t)の過渡変化を基準電圧信号V0(t)の過渡変化と比較することによって、対象物9の厚さdxを求める。具体的には、演算装置8は、式(3)を用いて、基準厚さd0、基準減衰時間τ0及び減衰時間τxから変化後の厚さdxを求める。
【0049】
このような適用例においては、プローブ1を採用することによって、前述のように渦電流の検出精度を向上させることができる。その結果、対象物9の評価精度、具体的には、対象物9の厚さの推定精度を向上させることができる。
【0050】
以上のように、対象物9に渦電流を発生させ且つ対象物9の渦電流を検出するためのプローブ1は、所定の軸心Xの周りに巻回され、励磁電流による磁束で対象物9に渦電流を発生させる励磁コイル3と、軸心Xの周りに巻回され、対象物9の渦電流を検出する検出コイル4とを備え、検出コイル4は、軸心Xを中心とする半径方向において励磁コイル3の内側又は外側に配置され、検出コイル4のコイル長さL2は、励磁コイル3のコイル長さL1よりも短く、励磁コイル3は、検出コイル4と半径方向に重ならない第1部分31と、第1部分31よりも対象物9の側に位置し、検出コイル4と半径方向に重なる第2部分32とを有している。
【0051】
この構成によれば、励磁コイル3のコイル長さL1が比較的長いので、励磁コイル3は大きな磁束を発生させることができ、その結果、対象物9に大きな渦電流を発生させることができる。一方、検出コイル4のコイル長さL2が比較的短いので、検出コイル4はノイズを検出し難くなる。それに加えて、検出コイル4が対象物9の近くに配置されるので、対象物9の近傍の強い磁束を捉えることができる。これらの結果、プローブ1の渦電流の検出精度を向上させることができる。
【0052】
また、第2部分32は、励磁コイル3のうちコイル長さの方向における対象物9に近い方の端部を少なくとも含んでいる。
【0053】
この構成によれば、検出コイル4は、励磁コイル3のうちコイル長さの方向における対象物9に近い方の端部の半径方向内側又は外側に配置される。つまり、検出コイル4は、対象物9の近くに配置される。その結果、検出コイル4は、対象物9の近傍の強い磁束を捉えることができる。
【0054】
さらに、検出コイル4は、半径方向における励磁コイル3の外側に配置されている。
【0055】
この構成によれば、検出コイル4が励磁コイル3の半径方向内側に配置される構成と比べて、検出コイル4の内径が大きくなる。その結果、検出コイル4は、より多くの磁束を捉えることができる。
【0056】
また、励磁コイル3のコイル長さL1は、励磁コイルL1の内径Dよりも長い。
【0057】
この構成によれば、励磁コイル3のコイル長さL1が比較的長くなるので、励磁コイル3は、より大きな磁束を発生させることができ、ひいては、対象物9により大きな渦電流を発生させることができる。このような励磁コイル3の半径方向内側又は外側に検出コイル4を重ねて配置する際に、検出コイル4のコイル長さL2を励磁コイル3のコイル長さL1と同程度にすると、検出コイル4が検出するノイズが大きくなってしまう。それに対し、前述の如く、検出コイル4のコイル長さL2を励磁コイル3のコイル長さL1よりも短くすることによって、励磁コイル3により発生させる磁束の増大と検出コイル4により検出されるノイズの低減とを両立させることができる。
【0058】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0059】
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0060】
例えば、プローブ1は、厚さ測定装置100に適用されているが、これに限られるものではない。対象物に渦電流を発生させ且つ対象物の渦電流を検出する装置であれば、前述のプローブ1を適用することができる。
【0061】
さらに、プローブ1は、前述の構成に限られない。例えば、プローブ1は、2組の励磁コイル3及び検出コイル4を備えているが、励磁コイル3及び検出コイル4は、1組でもよく、3組以上であってもよい。また、プローブ1は、コア5を備えていなくてもよい。コア5は、検出コイル4に挿入されていてもよい。
【0062】
検出コイル4は、励磁コイル3の半径方向の外側に配置されているが、励磁コイル3の半径方向の内側に配置されていてもよい。検出コイル4は、励磁コイル3のコイル長さ方向の端部に配置されているが、励磁コイル3のコイル長さ方向の中間部分に配置されていてもよい。すなわち、励磁コイル3は、第1部分31及び第2部分32に加えて、第2部分32よりも対象物9の側に位置し、検出コイル4と半径方向に重ならない第3部分をさらに有していてもよい。この場合であっても、検出コイル4が励磁コイル3のコイル長さの方向における対象物9から遠い方の端部と半径方向に重なるように配置される構成に比べて、検出コイル4を対象物9の近くに配置することができる。
【0063】
さらに、厚さ測定装置100による厚さ測定は、一例に過ぎない。PECによる厚さ測定方法は、様々であるので、任意の測定手法を採用することができる。
【0064】
また、厚さ測定装置100の構成も一例に過ぎない。センサ装置10と演算装置8は、一体的に構成されていてもよい。また、センサ装置10のプローブ1、励磁部71及び検出部74を別筐体に収容して分離してもよい。また、センサ装置10と演算装置8とが有線で接続されていてもよい。また、1つの演算装置8に対して複数のセンサ装置10が接続されていてもよい。また、演算装置8は、無線又は有線により接続された他の装置に対して、演算した厚さに関するデータを送信するようにしてもよい。
対象物9に渦電流を発生させ且つ対象物9の渦電流を検出するためのプローブ1は、所定の軸心Xの周りに巻回され、励磁電流による磁束で対象物9に渦電流を発生させる励磁コイル3と、軸心Xの周りに巻回され、対象物9の渦電流を検出する検出コイル4とを備えている。検出コイル4は、軸心Xを中心とする半径方向において励磁コイル3の内側又は外側に配置される。検出コイル4のコイル長さL2は、励磁コイル3のコイル長さL1よりも短い。励磁コイル3は、検出コイル4と半径方向に重ならない第1部分31と、第1部分31よりも対象物9の側に位置し、検出コイル4と半径方向に重なる第2部分32とを有している。