特許第6768996号(P6768996)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6768996ボールの飛行情報演算装置及びボールの飛行情報演算方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768996
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】ボールの飛行情報演算装置及びボールの飛行情報演算方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20201005BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20201005BHJP
   A63B 71/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   A63B69/36 541P
   A63B69/00 A
   A63B71/00 Z
   A63B69/36 541W
   A63B69/36 B
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-504906(P2019-504906)
(86)(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公表番号】特表2019-528102(P2019-528102A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(86)【国際出願番号】KR2017007980
(87)【国際公開番号】WO2018030673
(87)【国際公開日】20180215
【審査請求日】2019年3月1日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0103047
(32)【優先日】2016年8月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】315019182
【氏名又は名称】ゴルフゾン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】オ、シー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミン ホ
(72)【発明者】
【氏名】リー、テ ヒー
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン ヒュン
【審査官】 上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−512903(JP,A)
【文献】 特表2001−502428(JP,A)
【文献】 特開2013−230248(JP,A)
【文献】 特開平04−241885(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第2003−0044601(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0184496(US,A1)
【文献】 特開2003−199859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00−69/40
A63B 71/00−71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブによって打撃されて運動するボールに対する飛行情報演算装置であって、
前記ゴルフクラブの運動及び前記ゴルフクラブによって打撃されるボールの運動をセンシングするセンシング部と、
多様な値のゴルフクラブ及びボールの運動パラメーターに対応して予め測定された要素の値としてボールのスピン情報算出のための値をデータベース化して記憶するレファレンスDBと、
前記センシング部のセンシング情報を受けて、前記ボールを打撃するときのアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度の少なくとも一つを含む前記ゴルフクラブの運動パラメーター及び前記打撃によって運動するボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度の少なくとも一つを含む前記ボールの運動パラメーターを算出し、前記レファレンスDBのデータベース化した情報によって前記算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を算出するように構成される演算部と、を含み、
前記レファレンスDBは、
前記ゴルフクラブの運動パラメーターとしてゴルフクラブヘッドのボールに対するインパクト時の進入角度であるアタック角と前記ボールの運動パラメーターとしてインパクトによる発射角に対応するインパクト時のゴルフクラブヘッドフェースのロフトであるダイナミックロフト値を予め測定してデータベース化した情報、及び
多様な値の前記ダイナミックロフト値に対応するボールのバックスピン値を予め設定された多様な値のクラブヘッドの速度によって予め測定してデータベース化した情報を記憶し、
前記演算部は、
前記算出された運動パラメーターとして前記ゴルフクラブヘッドのアタック角、前記ボールの発射角及びクラブヘッドの速度を算出し、前記レファレンスDBを参照して前記算出されたアタック角及び発射角に対応するダイナミックロフト値を算出し、前記レファレンスDBを参照して前記算出されたダイナミックロフト値と前記クラブヘッドの速度に対応するボールのバックスピン値を算出し、前記算出されたボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度に基づいてボール運動ベクトルを決定し、前記算出されたアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度に基づいてクラブ運動ベクトルを決定し、前記決定されたボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いて予め設定された事項によってボールのスピンによるスピン軸についての情報を算出し、前記算出されたボールのバックスピン値と前記算出されたスピン軸についての情報を用いて予め設定された関数によってボールのサイドスピン値を算出するように構成される、運動するボールに対する飛行情報演算装置。
【請求項2】
前記センシング部は、
ボールが打撃されるインパクト時点を含む時間区間の間に連続的に前記ゴルフクラブによって前記ボールが打撃されることに対するイメージを取得するカメラ装置と、
前記カメラ装置によって取得されるイメージを分析して各イメージ上で前記ボールの位置情報及び前記ゴルフクラブのヘッドの位置情報を算出して前記演算部に伝達するセンシングプロセッサと、
を含む、請求項1に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
【請求項3】
前記センシングプロセッサは、前記カメラ装置によって取得されるイメージからボールを抽出し、各フレームイメージ上で前記抽出されたボールの位置情報を前記演算部に伝達し、前記演算部は、前記伝達されたボールの位置情報を用いて、前記ボールの運動パラメーターとして前記打撃によって運動するボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度の少なくとも一つを算出するように構成され、
前記センシングプロセッサは、前記カメラ装置によって取得されるイメージからゴルフクラブを特定し、各フレームイメージ上で前記特定されたゴルフクラブのヘッドの位置情報を前記演算部に伝達し、前記演算部は、前記伝達されたゴルフクラブのヘッドの位置情報を用いて、前記ゴルフクラブの運動パラメーターとして前記ボールを打撃するときのアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度の少なくとも一つを算出するように構成される、請求項に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
【請求項4】
ゴルフクラブによって打撃されて運動するボールに対する飛行情報演算装置であって、
前記ゴルフクラブの運動及び前記ゴルフクラブによって打撃されるボールの運動をセンシングし、センシング情報によって前記ゴルフクラブの運動パラメーター及び前記ボールの運動パラメーターを算出するセンシング部と、
多様な値の前記運動パラメーターに対応して予め測定された要素の値としてボールのスピン情報算出のための値をデータベース化して記憶するレファレンスDBと、
前記センシング部によって算出された前記ゴルフクラブの運動パラメーター及び前記ボールの運動パラメーターを受け、前記レファレンスDBのデータベース化した情報によって前記算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を算出するように構成される演算部と、を含み、
前記レファレンスDBは、
前記ゴルフクラブの運動パラメーターとしてゴルフクラブヘッドのボールに対するインパクト時の進入角度であるアタック角と前記ボールの運動パラメーターとしてインパクトによる発射角に対応するインパクト時のゴルフクラブヘッドフェースのロフトであるダイナミックロフト値を予め測定してデータベース化した情報、及び
多様な値の前記ダイナミックロフト値に対応するボールのバックスピン値を予め設定された多様な値のクラブヘッドの速度によって予め測定してデータベース化した情報を記憶し、
前記センシング部は、
前記ゴルフクラブの運動パラメーターとして前記ゴルフクラブヘッドのアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度の少なくとも一つを算出し、前記ボールの運動パラメーターとして前記ボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度の少なくとも一つを算出し、
前記演算部は、
前記レファレンスDBを参照して前記算出されたアタック角及び発射角に対応するダイナミックロフト値を算出し、前記レファレンスDBを参照して前記算出されたダイナミックロフト値と前記クラブヘッドの速度に対応するボールのバックスピン値を算出し、前記算出されたボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度に基づいてボール運動ベクトルを決定し、前記算出されたアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度に基づいてクラブ運動ベクトルを決定し、前記決定されたボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いて予め設定された事項によってボールのスピンによるスピン軸についての情報を算出し、前記算出されたボールのバックスピン値と前記算出されたスピン軸についての情報を用いて予め設定された関数によってボールのサイドスピン値を算出するように構成される、運動するボールに対する飛行情報演算装置。
【請求項5】
前記センシング部は、
ボールが打撃されるインパクト時点を含む時間区間の間に連続的に前記ゴルフクラブによって前記ボールが打撃されることに対するイメージを取得するカメラ装置と、
前記カメラ装置によって取得されるイメージを分析して前記ゴルフクラブの運動パラメーター及び前記ボールの運動パラメーターを算出して前記演算部に伝達するセンシングプロセッサと、
を含む、請求項に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
【請求項6】
ゴルフクラブによって打撃されて運動するボールに対する飛行情報演算装置の演算方法であって、
前記ゴルフクラブの運動及び前記ゴルフクラブによって打撃されるボールの運動をセンシング部がセンシングして演算部に伝達する段階と、
前記演算部が前記センシング部から伝達されるセンシング情報から前記ゴルフクラブの運動パラメーター及び前記ボールの運動パラメーターを算出する段階と、
多様な値の前記運動パラメーターに対応して予め測定された要素の値としてボールのスピン情報算出のための値をデータベース化して記憶するレファレンスDBを用いて、前記算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を算出する段階と、を含み、
前記運動パラメーターを算出する段階は、
前記センシング部から伝達されるセンシング情報から前記ボールの運動パラメーターとして前記打撃によって運動するボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度の少なくとも一つを算出する段階と、
前記センシング部から伝達されるセンシング情報から前記ゴルフクラブの運動パラメーターとして前記ボールを打撃するときのアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度の少なくとも一つを算出する段階と、を含み、
前記レファレンスDBは、
多様な値の前記アタック角と発射角に対応するインパクト時のゴルフクラブヘッドフェースのロフトであるダイナミックロフト値を予め測定してデータベース化した情報及び多様な値の前記ダイナミックロフト値に対応するボールのバックスピン値を予め設定された多様な値のクラブヘッドの速度によって予め測定してデータベース化した情報を記憶し、
前記ボールのスピン情報を算出する段階は、
前記レファレンスDBを参照して前記算出されたアタック角及び発射角に対応するダイナミックロフト値を算出する段階と、
前記レファレンスDBを参照して前記算出されたダイナミックロフト値と前記クラブヘッドの速度に対応するボールのバックスピン値を算出する段階と、
前記算出されたボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度に基づいてボール運動ベクトルを決定し、前記算出されたアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度に基づいてクラブ運動ベクトルを決定し、前記決定されたボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いて予め設定された事項によってボールのスピンによるスピン軸についての情報を算出する段階と、
前記算出されたボールのバックスピン値と前記算出されたスピン軸についての情報を用いて予め設定された関数によってボールのサイドスピン値を算出する段階と、
を含む、運動するボールに対する飛行情報演算装置の演算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールの飛行情報演算装置及びボールの飛行情報演算方法に係り、より詳しくは使用者がゴルフスイングを行ってゴルフクラブでボールを打撃するとき、ゴルフクラブの運動及びボールの運動をセンシングした情報を用いて運動するボールの飛行情報を演算する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボールを用いるスポーツ競技、特にゴルフの場合、ゴルファーによって打撃されて運動するボールの物理的特性を正確にセンシングし、そのセンシングされた値を用いて打球の分析を行うか、これを映像として具現して、いわゆるスクリーンゴルフのようなシミュレーションゴルフの分野に適用する試みがいつも行われてきた。
【0003】
特に、打撃によって飛ぶボールのスピン(Spin)は3次元空間上の軸を中心に非常に高速で回転するから、これを測定することはとても難しく、さらに正確な測定のためにはかなり高価の装備が必要であり、代表的にはレーダーセンサー(Radar Sensor)を用いる方式がある。
【0004】
しかし、このような高価のセンシング装置は、使用者がゴルフスイングによって打撃したボールをセンシングしてボールの軌跡を算出し、それから仮想のゴルフコースでのゴルフシミュレーションをなすようにする、いわゆるスクリーンゴルフ又はゴルフ練習場での打球分析などに汎用に用いられるセンシング装置としては適しなく、比較的安くて低能性のシステムでも速くて正確にボールのスピンを算出することができるようにする技術の開発が必要な実情である。
【0005】
このような必要によって、近年、カメラ装置を用いて運動するボールから連続的にイメージを取得して分析し、その分析された結果を用いてボールのスピンを算出する技術に対する開発が活発に行われている。
【0006】
イメージ分析によって運動するボールのスピンを算出する方式はさまざまなものがある。すなわち、ボールに特定のマーカーを表示し、超高速カメラで運動するボールのイメージを連続的に撮影し、その撮影されたイメージ上でボールに表示されたマーカーを分析してボールのスピンを計算する方式と、ボールに特定のマーカーを表示せず、ボール自体に存在するボールのブランド表示、ディンプル、きずなどの不特定の特徴部をイメージ上で抽出して分析することによってボールのスピンを計算する方式などがある。
【0007】
前者のスピン算出方法は、使用者が多数のゴルフボールを持ってゴルフショット演習又はゲームを行うにあたり、使用者がショットするゴルフボールの全てに特定のマーカーが一様に表示されていなければならないという大きな制約があり、超高速カメラで連続撮影した多数のイメージを分析しなければならないから、スピン算出のための演算速度が非常に遅くなるしかない。すなわち、高価の複雑な装備を用いながらもスピン算出の演算速度が非常に遅い問題点がある。
【0008】
後者のスピン算出方法は、使用者がショットするゴルフボールの全てに特定のマーカーを一様に表示する必要がない大きな利点があるが、イメージの分析によってボール上の任意の特徴部を抽出し、その抽出された特徴部がボールのスピンによってどのように動くかを分析してスピン軸とスピン量を計算しなければならないから、スピン算出の演算が非常に複雑でその演算速度が非常に遅いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は赤外線センシング方式又はカメラセンシング方式のいずれかのセンシング方式の装置を用いても速かに算出可能なボールとゴルフクラブの運動パラメーターのみ算出されれば、これを用いてデータベース化した情報を参照してその算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を簡単な演算で高正確性で非常に速かに算出することができるボールの飛行情報演算装置、ボールの飛行情報演算方法及びこれを記録したコンピュータ装置可読の記録媒体を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例による、ゴルフクラブによって打撃されて運動するボールに対する飛行情報演算装置は、ゴルフクラブの運動及びゴルフクラブによって打撃されるボールの運動をセンシングするセンシング部と、多様な値のゴルフクラブ及びボールの運動パラメーターに対応して予め測定された要素の値としてボールのスピン情報算出のための値をデータベース化して記憶するレファレンスDBと、センシング部のセンシング情報を受けてゴルフクラブの運動パラメーター及びボールの運動パラメーターを算出し、レファレンスDBのデータベース化した情報によって算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を算出するように構成される演算部とを含む。
【0011】
一方、本発明の他の実施例による、ゴルフクラブによって打撃されて運動するボールに対する飛行情報演算装置は、ゴルフクラブの運動及びゴルフクラブによって打撃されるボールの運動をセンシングし、センシング情報によってゴルフクラブの運動パラメーター及びボールの運動パラメーターを算出するセンシング部と、多様な値の運動パラメーターに対応して予め測定された要素の値としてボールのスピン情報算出のための値をデータベース化して記憶するレファレンスDBと、センシング部によって算出されたゴルフクラブの運動パラメーター及びボールの運動パラメーターを受け、レファレンスDBのデータベース化した情報によって算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を算出するように構成される演算部とを含む。
【0012】
一方、本発明の一実施例による、ゴルフクラブによって打撃されて運動するボールに対する飛行情報演算装置の演算方法は、ゴルフクラブの運動及びゴルフクラブによって打撃されるボールの運動をセンシング部がセンシングして演算部に伝達する段階と、演算部がセンシング部から伝達されるセンシング情報からゴルフクラブの運動パラメーター及びボールの運動パラメーターを算出する段階と、多様な値の運動パラメーターに対応して予め測定された要素の値としてボールのスピン情報算出のための値をデータベース化して記憶するレファレンスDBを用いて、算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を算出する段階とを含む。
【0013】
また、本発明は前述した演算方法を記録したコンピュータ装置可読の記録媒体を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるボールの飛行情報演算装置、ボールの飛行情報演算方法及びこれを記録したコンピュータ装置可読の記録媒体は、ゴルフクラブの打撃によってボールが運動するとき、相対的に非常に速かに算出可能なボールの発射角、ゴルフクラブのアタック角、ボールとゴルフクラブの速度などの運動パラメーターのみ算出されれば、これを用いてレファレンスDBに予めデータベース化した情報を参照して、その算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を簡単な演算で高正確性で非常に速かに算出することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例によるボールの飛行情報演算装置が仮想ゴルフシミュレーション装置に具現された場合に対して示した図である。
図2図1に示した仮想ゴルフシミュレーション装置に適用された本発明の一実施例によるボールの飛行情報演算装置の構成を示したブロック図である。
図3】本発明の一実施例によるボールの飛行情報演算装置がボールのスピン情報を算出するためのゴルフクラブの運動パラメーター及びボールの運動パラメーターを説明する図である。
図4】本発明の一実施例によるボールの飛行情報演算装置がレファレンスDBを参照してボールのスピン情報を算出することについて説明するための図である。
図5】本発明の一実施例によるボールの飛行情報演算装置がボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いてスピン軸についての情報を算出することに対して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によるボールの飛行情報演算装置及びボールの飛行情報演算方法についての具体的な内容に基づいて説明する。
【0017】
本発明によるボールの飛行情報演算装置は、使用者がゴルフクラブでボールを打撃するときのボールとゴルフクラブの運動についてのセンシング情報を用いて、打撃によって飛行するボールの飛行情報を演算する装置であり、いわゆるスクリーンゴルフシステムのような仮想ゴルフシミュレーション装置に適用されて具現されることもでき、使用者のゴルフスイングに対する打球分析のための分析装置として具現されることもできる。
【0018】
図1及び図2は本発明の一実施例によるボールの飛行情報演算装置が仮想ゴルフシミュレーション装置に具現された場合を示す。
【0019】
すなわち、使用者が打席PLでゴルフクラブでゴルフスイングを行ってゴルフマットGMに置かれたボールBを前方のスクリーン3に向けて打撃すれば、センシング部100がゴルフクラブの運動及びボールの運動をセンシングしてシミューレーターSの演算部Mに伝達し、演算部Mはセンシング部100から伝達されたセンシング情報に基づいてボールの速度、方向、弾道などとスピン情報を算出し、その算出された情報によって、スクリーン3に投影される映像上でボールが移動するシミュレーション映像をデータ記憶部10に記憶された映像データを用いて映像処理部20が具現し、映像出力部30を介してスクリーン3に投影するものである。
【0020】
前述したように、本発明によるボールの飛行情報演算装置は、基本的に、センシング部100と、レファレンスDB200と、演算部Mとを含んでなることができ、本発明による演算装置は、飛行情報として、打撃されて飛行するボールのスピン情報を算出するように構成されることができる。
【0021】
センシング部100は、使用者がゴルフクラブでゴルフスイングを行ってボールを打撃するとき、ゴルフクラブの運動及び打撃されるボールの運動をセンシングする構成要素であり、レファレンスDB200は多様な値のゴルフクラブ及びボールの運動パラメーターに対応して予め測定された要素の値としてボールのスピン情報算出のための値をデータベース化して記憶する構成要素であり、演算部Mはゴルフクラブの運動パラメーター及びボールの運動パラメーターを用いてレファレンスDB200にデータベース化して記憶された情報によって算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を算出する構成要素である。
【0022】
ここで、ゴルフクラブの運動パラメーターは、アタック角(Angle Of Attack)、クラブの方向(Club Direction)、クラブヘッドの速度(Club Speed)などを含むことができ、ボールの運動パラメーターは、発射角(Launch Angle)、ボールの方向(Ball Direction)、ボールの速度(Ball Speed)などを含むことができ、レファレンスDB200は、多様な値の運動パラメーターに対してボールのスピン算出のための要素の値を予め測定し、これをデータベース化し、多様な値の要素の値に対応してボールのスピンを予め測定してデータベース化するように構成されることができる。
【0023】
演算部Mは、ゴルフクラブの打撃によって運動するボールのスピン情報を算出するための一部要素はレファレンスDB200のデータベース化した情報のうち運動パラメーターに対応する情報を用いて算出し、ボールのスピン情報を算出するための他の一部要素は運動パラメーターを予め設定された関数関係によって算出し、算出された各要素を用いて、打撃によって運動するボールのスピン情報を算出することができる。
【0024】
すなわち、センシング部100は、ゴルフクラブとボールの運動をセンシングし、レファレンスDB200は、多様な値の運動パラメーターに対応するスピン算出のための要素の値を予め測定してデータベース化した情報及び多様なスピン算出のための要素の値に対応するスピン値を予め測定してデータベース化した情報を記憶し、演算部Mは、算出された運動パラメーターに対応するスピン算出のための要素の値をレファレンスDB200を参照して算出し、算出されたスピン算出のための要素の値に対応するスピン値をレファレンスDB200を参照して算出することができる。
【0025】
これについてのより具体的な内容は後述する。
【0026】
一方、センシング部100は移動する物体を感知することができるセンサーを含む構成であればどの構成であっても可能である。例えば、赤外線センサー又はレーザーセンサーを用いてゴルフクラブの運動時の位置変化を感知し、打撃されたボールが移動するときの位置変化を感知するなどのセンサーから具現されることができる。
【0027】
赤外線センサー又はレーザーセンサーを用いて動く物体を感知する技術について既に多くの先行技術文献で開示しているので、これについての具体的な説明は省略する。
【0028】
また、図1及び図2に示したように、センシング部100は、ゴルフクラブの運動及びボールの運動に対して連続的にイメージを取得し、その連続的に取得されるイメージのそれぞれでボールとゴルフクラブを特定することによってゴルフクラブの位置情報及びボールの位置情報を算出する方式でゴルフクラブの運動及びボールの運動をセンシングすることができる、カメラを用いたイメージセンシング方式のセンシング装置から具現されることができる。
【0029】
センシング部100は、図1及び図2に示したように、カメラ装置110と、センシングプロセッサ120とを含んでなることができる。
【0030】
カメラ装置110はボールが打撃されるインパクト時点を含む時間区間の間に連続的にゴルフクラブによってボールが打撃されることに対するイメージを取得するように構成され、センシングプロセッサ120はカメラ装置110によって取得されるイメージを分析し、各イメージ上でボールの位置情報及びゴルフクラブのヘッドの位置情報を算出して演算部Mに伝達するように構成されることができる。
【0031】
例えば、カメラ装置110が取得する連続的なイメージのそれぞれをセンシングプロセッサ120が分析して各イメージ上でボールとゴルフクラブを特定し、各イメージからボール及びゴルフクラブの位置情報を算出して演算部Mに伝達すれば、演算部Mがボール及びゴルフクラブの位置情報を用いてボールの発射角、ボールの速度、ゴルフクラブの速度、ゴルフクラブヘッドのアタック角などの各種の運動パラメーターを算出し、その算出された運動パラメーターによって後述するレファレンスDBを用いてボールのスピン情報のような飛行情報を算出することができる。
【0032】
もしくは、センシングプロセッサ120が各イメージを分析してボール及びゴルフクラブの位置情報を算出し、その算出された位置情報を用いてボールの発射角、ボールの速度、ゴルフクラブの速度、ゴルフクラブヘッドのアタック角などの各種の運動パラメーターを算出して演算部Mに伝達し、演算部Mはセンシングプロセッサ120から伝達された各種の運動パラメーターによって後述するレファレンスDBを用いてボールのスピン情報のような飛行情報を算出することができる。
【0033】
前述したように、本発明によるボールの飛行情報演算装置は、センシング部によってゴルフクラブの運動及びボールの運動についてのセンシング情報を用いてゴルフクラブの運動パラメーター及びボールの運動パラメーターを算出することが必要であり、ボールの飛行情報は好ましくは打撃されて運動するボールのスピン情報である。
【0034】
ここで、図3に基づいてボールのスピン情報を算出するためのゴルフクラブの運動パラメーター及びボールの運動パラメーターについて説明する。
【0035】
図3の(a)はゴルフクラブGCが運動してボールBを打撃することを側面から見たものを示し、図3の(b)は上から下方に見たものを示している。
【0036】
本発明の一実施例によるボールの飛行情報演算装置は、ゴルフクラブの運動パラメーターとしてゴルフクラブヘッドのアタック角(Angle Of Attack)、スイング方向(Club Direction、ゴルフクラブヘッドの移動方向)及びゴルフクラブヘッドの速度(Club Speed)を算出し、ボールの運動パラメーターとしてボールの発射角(Launch Angle)、ボールの方向(Ball Direction)及びボールの速度(Ball Speed)を算出することができる。
【0037】
これらのそれぞれについて図3を参照して説明すれば、図3の(a)に示したように、ゴルフクラブGCが移動してクラブヘッドCHのフェースによってボールBがインパクトされる時点でクラブヘッドCHのボールBに対する進入角度がアタック角AOAであり、図3の(b)に示したように、クラブヘッドCHの進行する方向がスイング方向DCであり、このときのクラブヘッドCHの速度はVである。
【0038】
図3の(a)に示したように、クラブヘッドCHによってボールBがインパクトされることによってボールBが発射されて地面GRに対してなす角度が発射角LAであり、図3の(b)に示したように、ボールBが進行する方向がボールの方向Dであり、このときのボールBの速度はVである。
【0039】
ボールが打撃されて飛行するとき、ボールのスピンはバックスピン(Back Spin)とサイドスピン(Side Spin)に区分することができる。バックスピンはボールが水平軸を中心に飛ぶ方向に対して後ろに回転することを言い、サイドスピンはボールが垂直軸を中心に左側に又は右側に回転することを言う。
【0040】
一般に、ボールが打撃されて飛行するときにはバックスピン成分又はサイドスピン成分のみあるものではなく、両スピンが複合的に作用する。
【0041】
そして、ボールのバックスピン成分はダイナミックロフト(Dynamic Loft)に関連したものと知られている。
【0042】
ここで、ダイナミックロフトはインパクト時のゴルフクラブヘッドのアタック角に対するフェースのロフト(Loft)である。一般に、ロフト(Loft)はクラブフェース(Club Face)の法線が水平面に対してなす角度である。
【0043】
すなわち、図3の(a)に示したように、ダイナミックロフト(Dynamic Loft)はインパクト時のアタック角AOAに対するゴルフクラブヘッドのロフトであり、DLで表示した角度である。
【0044】
前述したダイナミックロフト(Dynamic Loft)はボールのスピンに係る。
【0045】
本発明の一実施例によるボールの飛行情報演算装置のレファレンスDBは、前述したようなゴルフクラブのアタック角AOA、ボールの発射角LAなどの運動パラメーターに対して多様な値の運動パラメーターに対応するダイナミックロフトDL値を予め測定し、これをデータベース化して予め記憶し、センシング部と演算部によってアタック角AOA又は発射角LAのような運動パラメーターに対する算出を完了すれば、その算出された運動パラメーターに対応するダイナミックロフト値をレファレンスDBに記憶されたデータから算出して決定することができる。
【0046】
より具体的に説明すれば、まず図3の(a)に示したように、地面に対するボールの発射角LAとアタック角AOAに対するボールの発射角LAを算出する。アタック角AOAに対するボールの発射角LAは下記の式によって算出することができる。
【0047】
LA=LA−AOA
【0048】
前述したようなボール及びクラブの運動パラメーターはカメラ装置110とセンシングプロセッサ120を含むセンシング部100によってセンシングされたボール及びゴルフクラブヘッドの位置情報から速く算出することができる。
【0049】
カメラ装置によって取得されたイメージにおいてボールはその形状、模様、丸い程度、ディンプルパターン、特徴部(ボールに表示されているロゴ又は商標、きず又は任意に表記したマーカーなど)などを用いて抽出することができ、その抽出されたボールの中心点座標を抽出することによって位置情報を得ることができ、ゴルフクラブはイメージ処理によってラインフィッティングを行ってその端部をヘッドと見なしてヘッドの位置情報を得ることができる。
【0050】
このように、イメージからボール及びクラブの位置情報が得られれば、多くのフレームのイメージにおけるボール及びクラブの位置情報の変化によってボールの速度、ボールの発射角、ボールの進行方向、クラブヘッドのアタック角、クラブヘッドの速度、クラブヘッドの進行方向などの多様な運動パラメーターを算出することができる。
【0051】
前述したイメージ処理によって各種の運動パラメーターを算出する方法は既に本出願人によって特許出願された技術はもちろんのこと、多数の先行技術で開示している技術なので、これについての具体的な説明は省略する。
【0052】
一方、レファレンスDBには多様な値の発射角LAに対応するダイナミックロフトDL値についてのデータベース化した情報が予め記憶されているので、算出されたアタック角AOAに対するボールの発射角LAに対応するダイナミックロフトDL値をレファレンスDBのデータベース化した情報から算出することができる。
【0053】
そして、レファレンスDBは、多様なダイナミックロフト値に対応するボールのバックスピン情報を予め測定し、これをデータベース化して予め記憶し、前述したように決定されたダイナミックロフト値に対応するボールのバックスピン値をレファレンスDBに記憶されたデータから算出して決定することができる。
【0054】
ここで、ボールのバックスピンはゴルフクラブヘッドの速度(クラブの速度)に関連があるので、多様な値のクラブ速度に対してそれぞれのクラブ速度に対応して多様な値のダイナミックロフト値とこれに対応するボールのバックスピン値に対してデータベース化した情報をレファレンスDBが予め記憶し、先に算出されたクラブ速度とダイナミックロフト値を用いてレファレンスDBに記憶されたデータからボールのバックスピン値を算出することができる。
【0055】
前述したようなレファレンスDBのデータベース化した情報に関連し、図4を参照して説明する。
【0056】
レファレンスDBは、多様な値の発射角LAに対応するダイナミックロフトDL値を予め測定してデータベース化した情報をルックアップテーブル(Look−Up Table)の形態として記憶し、演算部が発射角LAを算出したとき、その算出された発射角LAに対応するダイナミックロフトDL値をルックアップテーブルによって捜し出すことができる。
【0057】
このとき、前述したルックアップテーブルに算出された発射角LAが正確に表れていなければ、その周辺値の補間(Interpolation)によってダイナミックロフト値を算出することができる。
【0058】
このようなレファレンスDBは、多様な値の運動パラメーターでボールに対するゴルフショットを行いながら別途のセンサーでそのときのダイナミックロフト値とバックスピン値などを測定してデータベース化することができる。
【0059】
ここで、多くの運動パラメーターでゴルフショットを行う主体がプロゴルファーなどの人の場合には正確な値を測定しにくい。
【0060】
したがって、ゴルフショットマシン、例えば大韓民国特許登録第10−1425033号及び同第10−1456440号で開始しているボール打撃装置などを用いて多様なパラメーター条件の下でゴルフショットを数千回〜数万回進めることによって正確なデータを取得してデータベース化することによって前述したレファレンスDBを構築することができる。
【0061】
また、図4の(a)に示したように、レファレンスDBに記憶された発射角LAとダイナミックロフトDL値を用いて統計的に両者に関する相関関数FDLを導出し、その導出された相関関数FDLによって算出された発射角LAに対応するダイナミックロフトDL値を算出することもできる。
【0062】
図4の(a)は、レファレンスDBの多様な情報に対して水平軸を発射角LAとし、垂直軸をダイナミックロフトDLとしてデータの分布を示し、ここで最小二乗法(Least Square Method)によって相関関数FDLを導出し、発射角LAが15°のとき、これに対応するダイナミックロフトDL値として23°を導出された相関関数FDLによって算出することに対して示している。
【0063】
一方、図4の(b)は、多様な値のダイナミックロフトDL値に対応するボールのバックスピンBS値を予め設定された多様な値のクラブ速度Vc(図4の(b)には同じダイナミックロフトDL値に対してクラブ速度別に異なるバックスピンBSが測定されるものが記録されている)に対して示している。
【0064】
本発明の演算部は、図4の(b)に示したように、算出したクラブ速度に対応するデータに対して最小二乗法のような統計的分析法によって相関関数FBSを導出することができ、図4の(a)で算出したダイナミックロフトDL値に対応するバックスピンBS値を相関関数FBSによって決定することができる。図4の(b)では23°のダイナミックロフト値に対して相関関数FBSによってバックスピン値として6400rpmを算出することに対して示している。
【0065】
一方、本発明の一実施例によるボールの飛行情報演算装置は、センシング部によって又はセンシング部のセンシング情報を用いて算出されたボール運動パラメーターであるボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度に基づいてボール運動ベクトルを決定し、ゴルフクラブ運動パラメーターであるアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度に基づいてクラブ運動ベクトルを決定し、決定されたボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いてボールのスピンによるスピン軸についての情報を算出することができる。
【0066】
図5は前述したボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いてボールのスピン軸を算出することに対して示している。図5に示したように、x軸、y軸及びz軸の座標系を有する3次元空間でボール運動パラメーターであるボールの速度V、発射角LA、ボールの方向D情報を用いてボール運動ベクトルを求めることができ、クラブ運動パラメーターであるクラブヘッドの速度V、アタック角AOA、クラブヘッドの方向D情報を用いてクラブ運動ベクトルを求めることができる。
【0067】
前述したように、ボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いて算出されるスピン軸は、図5に示したように、ボール運動ベクトルの終点とクラブ運動ベクトルの終点を連結する線をスピン軸Sxと定義することができる。
【0068】
前述したように、ボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いて各ベクトル量の終点を連結したスピン軸Sxが地面に対して成す角度をAxと言ってスピン軸の値と定義し、これを用いてボールのサイドスピン値を求めることができる。
【0069】
すなわち、図4の(b)に示したような相関関数によって算出されたバックスピン値と算出されたスピン軸の値を用いて三角関数によってサイドスピン値を算出することができる。
【0070】
すなわち、下記の式によってサイドスピン値を算出することができる。
【0071】
BS=TS*cos(Ax)
TS=BS/cos(Ax)
SS=TS*sin(Ax)
【0072】
ここで、BSはバックスピン値、TSはトータルスピン値、SSはサイドスピン値、Axはスピン軸値である。
【0073】
本発明の一実施例によるボールの飛行情報演算装置は、センシング部のセンシングによってボール運動パラメーター及びゴルフクラブ運動パラメーターをそれぞれ算出することができ、その算出された運動パラメーターに対応するダイナミックロフト値をレファレンスDBを参照して算出することができ、その算出されたダイナミックロフト値とクラブ速度値を用いてレファレンスDBによってバックスピン値を算出することができる。
【0074】
そして、前述したボール運動パラメーターを用いてボール運動ベクトルを決定することができ、前述したゴルフクラブ運動パラメーターを用いてクラブ運動ベクトルを決定することができ、予め設定された定義によってボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いてスピン軸値を算出することができる。
【0075】
そして、前述したように、ボールのバックスピン値及びスピン軸値を算出すれば、前述した三角関数の式によってトータルスピン値を求めることができ、それからサイドスピン値を算出することができる。
【0076】
本発明によるボールの飛行情報演算装置は、ボールのスピンをイメージ分析によって膨大な計算量で難しく算出するものではなく、既に測定された各種の情報を記憶しているレファレンスDBを用いてルックアップテーブルによってあるいはデータ分布から導出した相関関数によって簡単な演算を行って速かにスピン情報を算出することができる特徴及び利点がある。
[項目1]
ゴルフクラブによって打撃されて運動するボールに対する飛行情報演算装置であって、
上記ゴルフクラブの運動及び上記ゴルフクラブによって打撃されるボールの運動をセンシングするセンシング部と、
多様な値のゴルフクラブ及びボールの運動パラメーターに対応して予め測定された要素の値としてボールのスピン情報算出のための値をデータベース化して記憶するレファレンスDBと、
上記センシング部のセンシング情報を受けて上記ゴルフクラブの運動パラメーター及び上記ボールの運動パラメーターを算出し、上記レファレンスDBのデータベース化した情報によって上記算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を算出するように構成される演算部と、
を含む、運動するボールに対する飛行情報演算装置。
[項目2]
上記演算部は、
上記ゴルフクラブの打撃によって運動するボールのスピン情報を算出するための一部要素は上記レファレンスDBのデータベース化した情報のうち上記運動パラメーターに対応する情報を用いて算出し、上記ボールのスピン情報を算出するための他の一部要素は上記運動パラメーターを予め設定された関数関係によって算出し、上記算出された各要素を用いて、上記ゴルフクラブの打撃によって運動するボールのスピン情報を算出するように構成されることを特徴とする、項目1に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
[項目3]
上記レファレンスDBは、
多様な値の上記運動パラメーターに対応するスピン算出のための要素の値を予め測定してデータベース化した情報及び多様な上記スピン算出のための要素の値に対応するスピン値を予め測定してデータベース化した情報を記憶し、
上記演算部は、
上記算出された運動パラメーターに対応するスピン算出のための要素の値を上記レファレンスDBを参照して算出し、上記算出されたスピン算出のための要素の値に対応するスピン値を上記レファレンスDBを参照して算出するように構成されることを特徴とする、項目1に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
[項目4]
上記レファレンスDBは、
上記ゴルフクラブの運動パラメーターとしてゴルフクラブヘッドのボールに対するインパクト時の進入角度であるアタック角と上記ボールの運動パラメーターとしてインパクトによる発射角に対応するインパクト時のゴルフクラブヘッドフェースのロフトであるダイナミックロフト値を予め測定してデータベース化した情報、及び多様な値の上記ダイナミックロフト値に対応するボールのバックスピン値を予め設定された多様な値のクラブヘッドの速度によって予め測定してデータベース化した情報を記憶し、
上記演算部は、
上記算出された運動パラメーターとして上記ゴルフクラブヘッドのアタック角、上記ボールの発射角及びクラブヘッドの速度を算出し、上記レファレンスDBを参照して上記算出されたアタック角及び発射角に対応するダイナミックロフト値を算出し、上記レファレンスDBを参照して上記算出されたダイナミックロフト値と上記クラブヘッドの速度に対応するボールのバックスピン値を算出するように構成されることを特徴とする、項目1に記載の運動するボールに対する演算装置。
[項目5]
上記センシング部は、
ボールが打撃されるインパクト時点を含む時間区間の間に連続的に上記ゴルフクラブによって上記ボールが打撃されることに対するイメージを取得するカメラ装置と、
上記カメラ装置によって取得されるイメージを分析して各イメージ上で上記ボールの位置情報及び上記ゴルフクラブのヘッドの位置情報を算出して上記演算部に伝達するセンシングプロセッサと、
を含むことを特徴とする、項目1に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
[項目6]
上記センシングプロセッサは、上記カメラ装置によって取得されるイメージからボールを抽出し、各フレームイメージ上で上記抽出されたボールの位置情報を上記演算部に伝達し、上記演算部は、上記伝達されたボールの位置情報を用いて、上記ボールの運動パラメーターとして上記打撃によって運動するボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度の少なくとも一つを算出するように構成され、
上記センシングプロセッサは、上記カメラ装置によって取得されるイメージからゴルフクラブを特定し、各フレームイメージ上で上記特定されたゴルフクラブのヘッドの位置情報を上記演算部に伝達し、上記演算部は、上記伝達されたゴルフクラブのヘッドの位置情報を用いて、上記ゴルフクラブの運動パラメーターとして上記ボールを打撃するときのアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度の少なくとも一つを算出するように構成されることを特徴とする、項目5に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
[項目7]
上記レファレンスDBは、
多様な値の上記アタック角と発射角に対応するインパクト時のゴルフクラブヘッドフェースのロフトであるダイナミックロフト値を予め測定してデータベース化した情報、及び多様な値の上記ダイナミックロフト値に対応するボールのバックスピン値を予め設定された多様な値のクラブヘッドの速度によって予め測定してデータベース化した情報を記憶し、
上記演算部は、
上記イメージ分析によって算出された運動パリメートルとして上記ゴルフクラブヘッドのアタック角、上記ボールの発射角及び上記クラブヘッドの速度を算出し、上記レファレンスDBを参照して上記算出されたアタック角及び発射角に対応するダイナミックロフト値を算出し、上記レファレンスDBを参照して上記算出されたダイナミックロフト値と上記クラブヘッドの速度に対応するボールのバックスピン値を算出するように構成されることを特徴とする、項目6に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
[項目8]
上記演算部は、
上記算出されたボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度に基づいてボール運動ベクトルを決定し、上記算出されたアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度に基づいてクラブ運動ベクトルを決定し、上記決定されたボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いて予め設定された事項によってボールのスピンによるスピン軸についての情報を算出するように構成されることを特徴とする、項目7に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
[項目9]
上記演算部は、
上記算出されたボールのバックスピン値と上記算出されたスピン軸についての情報を用いて予め設定された関数関係によってボールのサイドスピン値を算出するように構成されることを特徴とする、項目8に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
[項目10]
ゴルフクラブによって打撃されて運動するボールに対する飛行情報演算装置であって、
上記ゴルフクラブの運動及び上記ゴルフクラブによって打撃されるボールの運動をセンシングし、上記センシング情報によって上記ゴルフクラブの運動パラメーター及び上記ボールの運動パラメーターを算出するセンシング部と、
多様な値の上記運動パラメーターに対応して予め測定された要素の値としてボールのスピン情報算出のための値をデータベース化して記憶するレファレンスDBと、
上記センシング部によって算出された上記ゴルフクラブの運動パラメーター及び上記ボールの運動パラメーターを受け、上記レファレンスDBのデータベース化した情報によって上記算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を算出するように構成される演算部と、
を含む、運動するボールに対する飛行情報演算装置。
[項目11]
上記センシング部は、
ボールが打撃されるインパクト時点を含む時間区間の間に連続的に上記ゴルフクラブによって上記ボールが打撃されることに対するイメージを取得するカメラ装置と、
上記カメラ装置によって取得されるイメージを分析して上記ゴルフクラブの運動パラメーター及び上記ボールの運動パラメーターを算出して上記演算部に伝達するセンシングプロセッサと、
を含むことを特徴とする、項目10に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置。
[項目12]
ゴルフクラブによって打撃されて運動するボールに対する飛行情報演算装置の演算方法であって、
上記ゴルフクラブの運動及び上記ゴルフクラブによって打撃されるボールの運動をセンシング部がセンシングして演算部に伝達する段階と、
上記演算部が上記センシング部から伝達されるセンシング情報から上記ゴルフクラブの運動パラメーター及び上記ボールの運動パラメーターを算出する段階と、
多様な値の上記運動パラメーターに対応して予め測定された要素の値としてボールのスピン情報算出のための値をデータベース化して記憶するレファレンスDBを用いて、上記算出された運動パラメーターに対応するボールのスピン情報を算出する段階と、
を含む、運動するボールに対する飛行情報演算装置の演算方法。
[項目13]
上記運動パラメーターを算出する段階は、
上記センシング部から伝達されるセンシング情報から上記ボールの運動パラメーターとして上記打撃によって運動するボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度の少なくとも一つを算出する段階と、
上記センシング部から伝達されるセンシング情報から上記ゴルフクラブの運動パラメーターとして上記ボールを打撃するときのアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度の少なくとも一つを算出する段階と、
を含むことを特徴とする、項目12に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置の演算方法。
[項目14]
上記レファレンスDBは、
多様な値の上記アタック角と発射角に対応するインパクト時のゴルフクラブヘッドフェースのロフトであるダイナミックロフト値を予め測定してデータベース化した情報及び多様な値の上記ダイナミックロフト値に対応するボールのバックスピン値を予め設定された多様な値のクラブヘッドの速度によって予め測定してデータベース化した情報を記憶し、
上記ボールのスピン情報を算出する段階は、
上記レファレンスDBを参照して上記算出されたアタック角及び発射角に対応するダイナミックロフト値を算出する段階と、
上記レファレンスDBを参照して上記算出されたダイナミックロフト値と上記クラブヘッドの速度に対応するボールのバックスピン値を算出する段階と、
を含むことを特徴とする運動する、項目13に記載のボールに対する飛行情報演算装置の演算方法。
[項目15]
上記算出されたボールの発射角、ボールの方向及びボールの速度に基づいてボール運動ベクトルを決定し、上記算出されたアタック角、スイング方向及びクラブヘッドの速度に基づいてクラブ運動ベクトルを決定し、上記決定されたボール運動ベクトル及びクラブ運動ベクトルを用いて予め設定された事項によってボールのスピンによるスピン軸についての情報を算出する段階と、
上記算出されたボールのバックスピン値と上記算出されたスピン軸についての情報を用いて予め設定された関数関係によってボールのサイドスピン値を算出する段階と、
をさらに含むことを特徴とする、項目14に記載の運動するボールに対する飛行情報演算装置の演算方法。
[項目16]
項目12〜15のいずれか一項に記載の演算方法を記録したコンピュータ装置可読の記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によるボールの飛行情報演算装置、ボールの飛行情報演算方法及びこれを記録したコンピュータ装置可読の記録媒体は、ゴルフスイングによる打球分析などが行われるゴルフ演習に係わる産業分野及び仮想現実に基づくゴルフシミュレーションを映像で具現することによって使用者が仮想のゴルフ競技を楽しむようにすることができる、いわゆるスクリーンゴルフ産業分野などに利用可能である。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】
図5