(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ノイズ検出部及び前記信号結合部の少なくとも一方は、絶縁板部内に形成された前記電気機器に電気的に接続される配線と、該配線に対して絶縁部を介して対向するシールド導体パターンと、前記配線及び前記シールド導体パターン間に形成される浮遊容量とで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクティブノイズ抑制装置。
前記ノイズ検出部及び前記信号結合部の少なくとも一方は、前記電気機器に接続される複数の絶縁被覆配線導体と、該複数の絶縁被覆配線導体を、絶縁材を介して囲むシールド導体と、前記絶縁被覆配線導体と前記シールド導体との間に形成される浮遊容量とで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクティブノイズ抑制装置。
前記制御部は、ノイズ検出部のノイズ電圧が入力される第1相補型バッファ増幅器と、該第1相補型バッファ増幅器の出力側に接続されたハイパスフィルタと、該ハイパスフィルタで抽出された高周波成分が入力される第2相補型バッファ増幅器とを備え、前記第2相補型バッファ増幅器の出力を信号結合部を構成するコモンモードトランスに印加することを特徴とする請求項1に記載のアクティブノイズ抑制装置。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクス機器の広範な普及に伴い、パワーエレクトロニクス機器が発生するノイズ障害が増加している。欧州で始まった電磁ノイズの法規制は、国際的にひろがってきており、パワーエレクトニクス機器はこれまで以上に十分に電磁ノイズを低減することが求められている。
【0003】
現在様々な機器に最も広く適用されているノイズ低減手法は、EMIフィルタの追加である。たとえば、特許文献1には、従来のEMIフィルタの課題が記載れている。この特許文献1に記載されているフィルタ構成は、受動素子(リアクトルとコンデンサ)を組み合わせて構成する。この際、特許文献1では100kHz以上でも優れたノイズ特性を示すEMIフィルタ用コモンモードチョークコイルの改善法について提案している。
【0004】
ここで、EMIフィルタは、一般的に数100kHz以上になると、ノイズ低減量が大幅に低減してしまう。これは主に以下の二点が原因である。
【0005】
(1)EMIフィルタはリアクトルとコンデンサとの受動素子によるLC回路として構成されるが、理想的な受動素子を作ることができない。
【0006】
(2)EMIフィルタを構成する部品の配置やパターンにより、不要な電磁結合/静電結合が生じる。すなわち、フィルタ入出力間の近接や、パターンの交差などの影響が無視できなくなる。
【0007】
これらのことから、特許文献1を含め、殆どのEMIフィルタは、伝導ノイズの規制対象(150kHz〜30MHz)において、ノイズを低減するために用いられている。このため、高周波(30MHz以上)が規制される放射ノイズの対策には、FM帯対策用コア(例えばNi−Znフェライトコア)を追加する以外の選択肢が殆どない。
【0008】
ただし、数は少ないものの、特許文献2に記載されているような放射ノイズ対策に特化したEMIフィルタが提案されている。この特許文献2では、FM帯対策用コアとシールド線を組み合わせた構成であり、コアのインダクタンスと、シールド線と内部配線間に形成される浮遊容量でローパスフィルタを形成することで、放射ノイズ対策用のEMIフィルタを構成している。コア、浮遊容量ともに、放射ノイズ規制の周波数帯域(30MHz以上)で理想に近い特性を保っている素子で構成することで実現しているが、製品適用までに至っていない。
【0009】
それに対し、受動素子(LC)の組合せではなく、能動素子によるノイズ低減法(アクティブノイズ抑制装置)も提案されている(特許文献3〜5参照)。これらアクティノイズ抑制装置は、様々な方式が提案されているが、技術的には大きく分けて以下の3種類の機能ブロックから構成される。
(a)検出部:低減対象のノイズを検出(コンデンサ分圧による電圧検出、CTによる電流検出など)
(b)制御部:ノイズ低減するための制御量に応じた補償電圧/電流を、能動素子により出力(能動素子には、トランジスタやオペアンプなどを適用)
(c)結合部:制御部で出力した補償電圧/電流を主回路部へ結合(トランス結合、コンデンサ結合)
特許文献3には、CTによる電流検出部と、オペアンプによる制御部、コンデンサによる結合部が開示されており、特許文献4には、コンデンサ分圧による電圧検出部と、トランジスタで構成される制御部と、トランス結合部とが開示されている。
【0010】
これら特許文献3および4に記載されているように、検出部、制御部および結合部の各構成要素を様々に組み合わせた構成が提案されている。
【0011】
さらに、アクティブノイズ抑制装置の接続場所も、特許文献3に記載されているように、系統側、主回路直流中間部、出力側のほか、特許文献4に記載されているように分散配置(検出部が主回路直流中間部で結合部が系統側)される構成など、様々である。
【0012】
しかしながら、アクティブノイズ抑制装置の製品適用は一部の事例を除き、以下の課題のため進んでいないのが実状である。
(1)小型化が困難
アクティブノイズ抑制装置は、主にコモンモードノイズ電圧、またはコモンモードノイズ電流をキャンセルするように動作させる。このとき検出部や結合部にトランスが用いられる構成が多い。ノイズは一般的に周波数が低いほど対策部品が大きくなる傾向となるため,低減したい最低周波数に基づき回路定数を設計することになる。このとき、数kHz〜数10kHz以上、あるいは規格下限値150kHz以上の周波数において規格を満足できるほどの低減効果を得ようとすると、トランスの体積とコモンモードチョークコイルの体積に大きな差は生じず、大幅な小型化が難しい。
(2)数MHz以上の高周波帯域で、大きな低減効果を得ることが難しい
前述のEMIフィルタと同様に実際の装置では理想的な素子(コンデンサ、トランス)を製作できない。また、時間遅れ(検出遅れ、キャンセル用スイッチング素子の駆動遅れ)が発生するために、特に数MHz以上の領域において、十分にノイズをキャンセルできず大幅な低減効果を得ることが難しい。そればかりか、アクティブノイズ抑制装置がノイズ発生源となり外部へ流出するノイズを増加させる周波数すら生じることがある。
【0013】
これらの課題から、数MHz以上の高周波帯域で大きなノイズ低減効果を得るアクティブノイズ抑制装置が提案されている(特許文献5参照)。この特許文献5に記載のアクティブノイズ抑制装置では、結合部にポイントがあり、従来のトランス結合の終端としてインピーダンス素子を加え、インピーダンス整合させている。具体的には、結合トランジスタの巻き数比に応じ、電動機のコモンモードインピーダンスと整合がとれるようにインピーダンス素子を設定する。これにより、低周波〜数MHz以上の広い周波数帯において、大きなノイズ低減を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明に係るアクティブノイズ抑制装置の一の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、アクティブノイズ抑制装置10は、ノイズ抑制対象となるインバータ等の図示しない電気機器の直近に接続されている。電気機器としては、アクティブノイズ抑制装置10を適用しない場合、放射ノイズ低減対象配線から大きな放射ノイズが放射される装置を想定している。ここで、放射ノイズ低減対象配線とは、意図しないモノポールアンテナ(ダイポールアンテナ)を形成する電力変換装置の電力配線(入力ケーブルや負荷ケーブル)、信号ケーブルなどを想定している。ただし、電力機器の外部へ露出する配線でなくても、半導体素子を介して接続される配線(例えば、電力変換装置の直流の正極(P)配線および負極(N)配線)は放射ノイズ低減対象配線となる。
【0023】
アクティブノイズ抑制装置10が、電気機器の入力側の単相入力部に接続される長方形状の絶縁材で形成される絶縁板部としての4層基板であるプリント基板11を備えている場合について説明する。
【0024】
このプリント基板11の内部には、プリント基板11の表面および裏面間の厚み方向の中央部寄り位置に長手方向に延長する例えば銅製の放射ノイズ低減対象配線12aおよび12bが厚み方向に所定間隔を保って平行に埋設されている。これら放射ノイズ低減対象配線12aおよび12bの例えば左端が電気機器の単相入力側に接続され、右端が電源系統側に接続されている。
【0025】
そして、プリント基板11の放射ノイズ低減対象配線12aおよび12bに対向する位置に長手方向に所定間隔だけ離間して電源系統側にノイズ検出部13が形成され、電気機器の単相入力側に信号結合部14が形成されている。
【0026】
ノイズ検出部13は、プリント基板11の表裏両面の放射ノイズ低減対象配線12aおよび12bに対向する位置に形成された放射ノイズ低減対象配線12aおよび12bを覆う例えば銅製のシールド導体用ベタパターン21aおよび21bを備えている。
【0027】
両シールド導体用ベタパターン21aおよび21bのそれぞれは、放射ノイズ低減対象配線12aおよび12bの幅方向の両端から外側に離れた位置に放射ノイズ低減対象配線12aおよび12bの側縁に沿って長手方向に複数形成された貫通ビア22内に形成された導電性メッキ層によって電気的に接続されている。
【0028】
そして、
図1(c)に示すように、放射ノイズ低減対象配線12aおよび12bとこれらに対向するシールド導体用ベタパターン21aおよび21bとの間にそれぞれ浮遊容量Cfdが形成される。
【0029】
また、信号結合部14は、ノイズ検出部13の構成と同様の構成を有し、プリント基板11の表裏面上に形成されたシールド導体用ベタパターン31aおよび31bと、これらシールド導体用ベタパターン31aおよび31b間が複数の貫通ビア32内に形成された導電性メッキ層によって電気的に接続されている。
【0030】
この信号結合部14でも、ノイズ検出部13と同様に、
図1(c)に示すように、放射ノイズ低減対象配線12aおよび12bとこれらに対向するシールド導体用ベタパターン31aおよび31bとの間に浮遊容量Cfcが形成される。
【0031】
さらに、
図1(c)に示すように、ノイズ検出部13および信号結合部14間に制御部15が接続されている。この制御部15は、反転増幅器41のみで構成されている。この反転増幅器41は、オペアンプ42と、このオペアンプ42の反転入力端子とノイズ検出部13のシールド導体用ベタパターン21bとの間に接続された抵抗R1と、非反転入力端子に接続された電気機器としての電力変換装置の安定電位点43と、出力端子および反転入力端子間に接続された帰還抵抗R2とで構成され、出力端子が信号結合部14のシールド導体用ベタパターン31bに接続されている。
【0032】
ここで、電力変換装置の安定電位点43とは、フレームグランド電位となる筐体や冷却フィン等を想定しており、一般的には装置の中で体積又は面積の広い導電部と言える。
また、安定電位点とオペアンプ42の非反転入力端子との接続は、極力低インピーダンスで接続しなければならない。この接続する際のインピーダンスをケーブルで接続すると、アクティブノイズ抑制装置によるノイズ低減可能周波数が低くなってしまう。後述する
図12の実験結果によると、ケーブル2.5cmで配線した場合、70MHz以上でノイズ低号効果が得られなくなっていることが確認できた。また、ケーブル長を10cm(約100nH)とすると30MHz以上のノイズ低減効果が小さくなることも確認できている。
【0033】
したがって、非反転入力端子と安定電位点の接続は、プリント基板上の配線は、耐圧・レイアウト等の制約を満たす最短とするとともに、プリント基板上の配線と安定電位点となる冷却フィン等との接続はスタッドボルトなどによるねじ止めや、冷却フィン等に突起状の接続部を設け、この接続部にプリント基板上の配線を接触させるなどの低インピーダンスで接続することが好ましい。
さらに、電力変換装置が複数のプリント基板から構成され、冷却フィンなどの安定電位点から積層されるように配置される場合には、アクティブノイズ抑制装置が実装されるプリント基板はできる限り下層すなわち冷却フィンなどに近い位置に配置し、理想的には最下層(冷却フィンとなる安定電位点の最短距離)に配置することで、低インピーダンスで接続でき、良好なノイズ低減効果が得られ易くなる。
【0034】
また、オペアンプ42の電源としては蓄電池を適用することができる他、放射ノイズ低減対象配線12aおよび12bに流れる交流電流を整流して図示しないスイッチング電源に供給して直流電源を得ることもできる。オペアンプ42の電源は,専用の絶縁電源とすることで,よりノイズ低減効果が高められる。
【0035】
次に、上記第1の実施形態の動作について
図2の等価回路を伴って説明する。
ノイズ検出部13は、等価回路で表すと、
図2に示すように、ノイズ低減対象配線12aおよび12bの配線インダクタンスLcと、ノイズ低減対象配線12aおよび12bとシールド導体用ベタパターン21aおよび21bとの間の浮遊容量Cfdとの分布定数線路となる。このため、配線インダクタンスの影響で、LC共振回路を構成し、共振・半共振を繰り返す多重共振の特性が生じる。
この分布定数回路において、低減したい最高周波数よりも、1次共振周波数を高く設定することで、浮遊容量Cfdが理想的なコンデンサとして動作する。
【0036】
このLC共振回路の1次共振周波数を、本発明のアクティブノイズ抑制装置でノイズを低減したい最高周波数の目安となる100MHz以上となる構造(ノイズ低減対象配線12aおよび12bとシールド導体用ベタパターン21aおよび21bとの対向面積および長さ)としなければないない。ただし、厳密には、共振周波数よりも低い周波数から共振の影響でインピーダンスが変化することから300MHz程度まで1次共振周波数を高めて設定すると、浮遊容量が周波数特性のよい理想的なコンデンサとして機能する。
【0037】
同様にノイズ検出部13と同じ構成を有する信号結合部14でも配線インダクタンスLcと浮遊容量CfcとでLC共振回路を構成し、浮遊容量が周波数特性のよい理想的なコンデンサとして機能する。
【0038】
そして、ノイズ検出部13と信号結合部14との間に制御部15が接続されている。この制御部15は、オペアンプ42で反転増幅器41を構成している。したがって、ノイズ検出部13で検出したノイズ電圧Vnoiseを反転増幅器41により反転増幅してノイズ相殺信号となる出力電圧Vcompenに変換し、出力電圧Vcompenを信号結合部14のシールド導体用ベタパターン31bに印加する。この信号結合部14でノイズ電圧Vnoiseを出力電圧Vcompenで相殺して放射ノイズの発生を抑制することができる。
【0039】
このように、本実施形態では、制御部15を反転増幅器41のみで構成することで、従来例に比較してシンプルな構成とすることができる。しかも、抵抗R1,R2およびオペアンプ42で反転増幅器41を構成することで、結果的にノイズ電圧Vnoiseが0Vになるように、ノイズ相殺信号となる出力電圧Vcompenが調整され、非常に簡単な電圧フィードバック制御を実現している。なお,ノイズ電圧Vnoiseと出力電圧Vcompenは,ノイズ検出部13と信号結合部14の浮遊容量の比率によって,それぞれの比率がおおよそ決まる。
【0040】
従来例では、バッファ増幅器やフィルタを組み合わせた複雑な構成を採る場合が多いが、本実施形態ではオペアンプ421つの非常にシンプルな構成で制御部15を実現できることから、時間遅れも最小に抑えることができる。
【0041】
ちなみに、シミュレーション結果では、反転増幅器1つとした先行文献も見受けられるが,実際には従来の低減対象である数10〜数100kHzの伝導ノイズを低減するためのアクティブノイズ抑制装置の場合には、オペアンプのみでは十分な出力特性が得られない。このため、実験結果を示した先行文献において,反転増幅器1つで制御部を実現した事例はない。非特許文献である「IEEE TRANSACTION ON POWER ELECTRONICS,VOL.,26 NO.11,NOVEMBER 2011」の第3153頁〜3162頁に記載されている「An Optimized Feedback Common Mode Active Filter for Induction Motor Drives」では、伝導ノイズのアクティブノイズ抑制装置を実現するために、ローパスフィルタ、リニアアンプ、パワーアンプにそれぞれオペアンプを使用しており、計3つのオペアンプを使用した複雑な構成となっている。
【0042】
本実施形態で、制御部15を1つの反転増幅器41で構成することができる理由は、ノイズ低減対象とする10MHz以上の周波数の放射ノイズでは、アクティブノイズ抑制装置で補償するエネルギーが小さくオペアンプ1つで十分に制御が可能であるからである。
【0043】
また、本実施形態では、制御部15の反転増幅器41を構成するオペアンプ42の反転入力端子が抵抗R1を介してノイズ検出部13のシールド導体用ベタパターン21bに接続されている。この抵抗R1とノイズ検出部13の浮遊容量Cfdとでハイパスフィルタ(カットオフ周波数fz=1/(2πR1Cfd)のハイパスフィルタ)を構成することができる。前述したように浮遊容量Cfdは優れた周波数特性を発揮することができ、また反転増幅器41を構成する抵抗R1およびR2はチップ抵抗を用いることで優れた高周波特性を発揮することができる。このことから数10MHz〜100MHzを超える高い周波数帯まで良好なフィルタを構成することができる。
【0044】
ここで、抵抗R1とノイズ検出部13の浮遊容量Cfdとで構成するハイパスフィルタのカットオフ周波数を適切に設定することで、ノイズ低減効果が大きく異なる。放射ノイズ規制対象となる30MHz以上の放射ノイズを低減するためには、カットオフ周波数を規制下限周波数である30MHzよりも低くしなければならない。より正確に検出するために、減衰量が3dB以下となるカットオフ周波数12.5MHz以下とすることが好ましい。
【0045】
ただし、カットオフ周波数を低くし過ぎると、オペアンプ42に入力される電圧が大きくなり、オペアンプ42の飽和の原因となる。オペアンプ42が飽和すると適切な補償電圧を出力できなくなるため、ノイズ低減効果は大幅に悪化してしまう。よって、カットオフ周波数は、30MHzの低減量が1dBとなる3.5MHz以上とすることが好ましい。
【0046】
以上より、抵抗R1とノイズ検出部13の浮遊容量Cfdとで構成するハイパスフィルタのカットオフ周波数は3.5MHzから12.5MHzの間に設定することで、小さなオペアンプ42で大きなノイズ低減量が得られるアクティブノイズ抑制装置を構成できる。
【0047】
また、前述した反転増幅器41のゲインは、理想的には、大きいほどノイズ低減効果が大きくなるが発振して不安定になり易い。ただし、オペアンプ42は高い周波数帯域まで使える製品を選択しなければならないが、放射ノイズ規制対象である30MHz以上を対象とすると、オペアンプ42単体のオープンループゲインが減少してしまう。
すなわち、高い周波数(1GHz)まで使える低ノイズオペアンプのオープンループゲインの周波数特性例を
図3に示す。
図3に示すように、400kHz以下では60dBものオープンループゲインが得られるのに対し、30MHzではオープンループゲインが23dBほどに減少する。このため、反転増幅器41のゲインをオペアンプ42の数MHzのゲインに合わせて設定してしまうと、規制対象でない数MHz成分によって発振する原因となってしまう。
【0048】
そこで、オペアンプ42の30MHzにおけるオープンループゲインと同等以下となるように抵抗R1及びR2の抵抗値を決定する。このようにすることで、規制対象の周波数30MHz以上においてオペアンプ42の性能を最大限活かしたノイズ低減量が得られる。
このため、浮遊容量Cfdと抵抗R1で構成されるハイパスフィルタを決定した上で、オペアンプ42のオープンループゲインに適した抵抗R2の抵抗値を決定することで、ハイパスフィルタと組み合わせた反転増幅器41を適切に設計できる。
【0049】
これにより、ノイズ検出部13、信号結合部14および制御部15の全てで、放射ノイズの規制対象周波数(30MHz以上)に適した構成を実現できることから、個別に適用した場合よりも優れた周波数特性が得られる。
ここで、ノイズ検出部13と信号結合部14はできる限り直近に配置することが望ましい。また、制御部15も近接した配置すべきである。これは反転増幅器41による電圧フィードバック制御は、ノイズ検出部13と信号結合部14との間で伝播遅延が発生するとオペアンプ42が発振し易くなるためである。
【0050】
また、ノイズ検出部13を信号結合部14の下流側(負荷側又は系統側)に配置することにより、信号結合部14で相殺できないノイズ電圧Vnoiseを検出することができ、放射ノイズを確実に低減することができる。
【0051】
なお、上記第1の実施形態では、プリント基板11として平面から見て長方形で板状に形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、L字状に形成したり円弧状に形成したり、任意の形状に形成することができる。
また、上記第1の実施形態では、単相入力側に本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、単相3線式、3相3線式、3相4線式等にも適用することができる。例えば3相4線式の構成とするには、
図4(a)又は
図4(b)に示すように構成することができる。
【0052】
すなわち、
図4(a)では、4層のプリント基板11を使用するもので、プリント基板11に形成するノイズ検出部13(又は信号結合部14)を、R相配線12rおよびS相配線12sを同一層に平行に配置し、T相配線12tおよびアース配線12eを同一層に平行に配置し、R相配線12rおよびS相配線12sをシールド導体用ベタパターン21a(又は31a)に対向させて、両者間に浮遊容量が形成され、T相配線12tおよびアース配線12eをシールド導体ペタパターン21b(又は31b)に対向させて、両者間に浮遊容量が形成される。
【0053】
図4(b)では、8層のプリント基板11を使用するもので、プリント基板11に形成するノイズ検出部13(又は信号結合部14)を、R相配線12r、S相配線12s、T相配線12tおよびアース配線12eを厚み方向に平行に配置する。そして、プリント基板11の表裏面にシールド導体用ベタパターン21a(又は31a)および21b(31b)を配置するとともに、S相配線12sおよびT相配線12tの間にシールド導体ペタパターン21c(又は31c)を個別に配置するようにすればよい。この場合には、R相配線12r、S相配線12s、T相配線12tおよびアース配線12eの幅を広くすることができるので、より大きな浮遊容量を形成することができる。
【0054】
このように、アース線を含む単相3線式や三相装置の場合、ノイズ対象低減配線にアース線を含めると、より放射ノイズ低減効果が高められる。電力線の電圧変動は、アース線が近接されることにより抑制され、結果的に放射ノイズの場合、アース線の電位変動(Vnoiseに相当)が無視できなくなる。ノイズ低減対象配線にアース線を含めることで、アース線の電圧変動も抑制できるため、放射ノイズ低減効果が高められる。
【0055】
図5は、電力変換装置に適用した際にノイズ電圧Vnoiseを測定した結果を示している。スイッチング周波数50kHzに起因する略方形波状の電位変動を行なうノイズ電圧Vnoiseが観測されていることがわかる。そして、
図5の薄い実線で示すアース線無しの条件に比べ、濃い実線で示すアース線有りの条件、すなわち電力線とアース線を近接し一括して検出したノイズ電圧Vnoiseのほうが小さく、ノイズ電圧自体が抑制されていることが実験結果からも確認できる。
よって、アース線を含むケーブルを一括した状態で、ノイズ電圧Vnoiseを検出し、アクティブノイズ抑制装置で減衰させる方が、放射ノイズ抑制効果が高められる。
【0056】
次に、本発明に係るアクティブノイズ抑制装置の第2の実施形態を
図6及び
図7について説明する。
この第2の実施形態では、アクティブノイズ抑制装置10をプリント基板11で構成する場合に代えて、電気機器を構成する例えば電力変換装置の電力配線(入力ケーブルや負荷ケーブル)、信号ケーブルなどのケーブルにノイズ検出部13および信号結合部14を配置するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、一例として負荷ケーブルや入力ケーブルのような三相ケーブル51にノイズ検出部13および信号結合部14を形成している。
【0057】
三相ケーブル51の一例は、
図6(a)に示すように、それぞれ絶縁被覆されたR相配線52rと、S相配線52sと、T相配線52tとアース配線52eとを円柱状の絶縁体53内に埋設し、絶縁体53の外周面にシールド導体54を配置し、このシールド導体54の外周に絶縁被覆55を配置した4芯ケーブル構成を有する。
【0058】
この場合でも、シールド導体54とR相配線52r、S相配線52sおよびT相配線52tとの間でそれぞれ
図2の等価回路で示す浮遊容量Cfを形成することができる。したがって、
図7に示すように、電気機器に接続される側の先端から所定距離離れた位置で、シールド導体54を露出させるように絶縁被覆55を円周状に除去し、次いでシールド導体54を、軸方向両端を残すように円周状に除去して長手方向に分離する分離部58を形成し、先端側を信号結合部14とし、後端側をノイズ検出部13とする。
【0059】
そして、ノイズ検出部13の露出したシールド導体54に制御部15の反転増幅器41を構成するオペアンプ42の反転入力端子を、抵抗R1を介して接続し、オペアンプ42の出力端子を信号結合部14の露出したシールド導体54に接続している。
【0060】
この第2の実施形態によると、等価回路的には、前述した第1の実施形態と同様の構成となり、ノイズ検出部13で検出したノイズ電圧Vnoiseを反転増幅器41で反転増幅してノイズ相殺信号としての出力電圧Vcompenを信号結合部14のシールド導体54に印加することにより、信号結合部14で、R相配線52r、S相配線52sおよびT相配線52tのノイズ電圧を相殺することができ、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。この結果、前述した
図5で破線図示のようにノイズ電圧Vnoiseを略0Vとすることができる。
【0061】
しかも、第2の実施形態では、三相ケーブルの各配線に対して共通シールド導体54が設けられているので、前述した第1の実施形態のようにプリント基板11を設ける場合に比較して、全体の構成をより小型化することができる
【0062】
なお、上記第2の実施形態では、シールド導体54を1重に配置した場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、
図6(b)に示すように、シールド導体54の外側にシールド導体54を囲むように第2シールド導体56を配置することにより、より高いシールド効果を発揮することができ、放射ノイズをより低減することができる。この場合、放射ノイズ低減対象配線は、R相配線52r、S相配線52s、T相配線52tおよびアース配線52eに加えてシールド導体54も含まれる。電力変換装置や通信ケーブルの場合、外部へのノイズ流出低減を目的にシールド線を適用する場合がある。
【0063】
しかし、実際にはシールド線からも放射ノイズが放射される。これは、シールドケーブルを適用してもシールド導体54の電位(Vnoise相当)が完全に0Vにはならず、微小な電位変動により外部へ放射されるためである。このような場合には、
図6(b)のように第2シールド導体56を形成することにより、シールド導体54の電位変動を、シールド導体54と第2シールド導体56との間に形成される浮遊容量によりノイズ検出部および信号結合部を構成でき、放射ノイズをより低減することが可能となる。なお、57は、第2シールド導体56を覆う絶縁被覆である。
【0064】
ここで、前述した
図5に電力変換装置に適用した際にノイズ電圧Vnoiseを測定した結果を示したが、シールド線を含むノイズ電圧Vnoiseも鎖線図示のように併記している。この
図5よりシールド線のノイズ電圧Vnoiseは他の条件に比べてとも小さく、シールド線により放射ノイズが低減できることが示唆される結果が得られている。
この
図5に示したシールド線有りのノイズ電圧特性線を拡大した結果を
図8に示す。この
図8から明らかなように、スイッチングの瞬間に他の条件に比較して大幅に小さい±0.5V程度の大きなサージ電圧のような高周波のピーク電圧信号が確認でき、ノイズ電圧Vnoiseを完全に0Vにすることはできない。
【0065】
このノイズ電圧Vnoiseは、シールド線の接地法(安定電位との接続方法)によって、大きく変化する。例えば、シールドクランプによって低インピーダンスで接続できる条件においては、
図8に示したようにノイズ電圧Vnoiseは大幅に小さくなるのに対し、所謂ピッグテール接続の場合には、
図5のアース線ありと大きな変化は見られない場合もある。
いずれにしても、ノイズ電圧Vnoiseを完全に0Vにすることは難しく放射ノイズ源となるため、上述のようにシールド線を含めてノイズ検出部13及び信号結合部14を構成することで、放射ノイズをより低減できるようになる。
【0066】
さらに、
図6(c)の構成では、一般的な4芯ケーブルとは異なり、アース線52eを分割し、R相配線52r、S相配線52sおよびT相配線52tとアース配線52eとの距離が同じになるように形成される。この
図6(c)に示すケーブルはシールドケーブルと同等程度にR相配線52r、S相配線52sおよびT相配線52tとアース配線52eとの間の浮遊容量が大きく形成され、ノイズ検出部13および信号結合部14を流用できる。
【0067】
上述した段落番号「0054」でも記載したが、このようにアース配線52eやシールド線を含めて放射ノイズ低減対象配線と捉えることは、放射ノイズを対象としたノイズ抑制装置特有の技術であり、従来の伝導ノイズ抑制用のアクティブノイズ抑制装置ではアース線やシールド線をノイズ低減対象の配線と捉えることはない。
【0068】
なお、上記第2の実施形態では、4芯線について説明したが、3芯線(三相3線、単相3線)、2芯線(単相,直流)などでも同様に適用することができる。また信号線では芯数がより多い場合もある。
【0069】
なお、上記第1および第2の実施形態では、ノイズ検出部13および信号結合部14の双方に浮遊容量で構成する場合について説明したが、ノイズ検出部13および信号結合部14の何れか一方を浮遊容量で構成するようにしてもよい。前述したように、従来技術のように種々提案されているアクティブノイズ抑制装置において、理想的なコンデンサを実現できず、高周波までノイズを検出・結合できない原因になっている。このため、従来例提案されているアクティブノイズ抑制装置の電圧検出部、電圧結合部に浮遊容量を適用することで、高周波帯域の低減量の改善が期待できる。
【0070】
ただし、従来技術のコンデンサ分圧で検出する静電容量に比べて、浮遊容量の静電容量は非常に小さいため、伝導ノイズを対象とした周波数帯では電位変動を正確に捕まえにくい。また、信号結合部14に適用される従来のコンデンサにおいても、同様な課題が生じる。このことから、浮遊容量により実現するノイズ検出部13および信号結合部14は、放射ノイズ低減に活用するために、より有効な構成と言える。
【0071】
なお、浮遊容量が優れた周波数特性を持つコンデンサとして機能すると記載したが、厳密には
図2に示すように、配線インダクタンスと浮遊容量の分布定数回路となる。このため、配線インダクタンスの影響で、LC共振、半共振の特性が生じる。これは
図1に記載のプリント基板でも
図6に記載のケーブルのどちらでも同じである。つまり、
図2に示すような分布定数線路において低減したい周波数よりも、1次共振周波数を高く設定することで、理想的なコンデンサとして動作する。
【0072】
プリント基板構成、ケーブル構成によって浮遊容量と配線インダクタンスは異なり、1次共振周波数も大きく異なるが、後述のように本願発明で効果が得られることが実験で確認できている周波数は、10MHz付近から100MHz以上であることから、前述のLC共振、半共振周波数が100MHz以上となるような構造(長さ、面積)としなければならない。ただし厳密には、共振周波数よりも低い周波数から共振の影響でインピーダンスが変化することから300MHz程度まで1次共振周波数を高めて設定すると、浮遊容量が周波数特性のよいコンデンサとして機能する。
【0073】
次に、本発明に係るアクティブノイズ抑制装置の第3の実施形態について
図9を伴って説明する。
この第3の実施形態では、アクティブノイズ抑制装置だけでは、法規制を満足でない条件も生じることが想定され、これに対処するためにアクティブノイズ抑制装置のノイズ検出部13よりも外側にFM帯対策用コアを追加したものである。
【0074】
この第3の実施形態では、
図9に示すように、ノイズ検出部13の信号結合部とは反対側となる系統側/負荷側にノイズ低減用コアとしてのFM帯対策用コア61が配置されていることを除いては前述した第1又は第2の実施形態と同様に構成されている。
【0075】
この第3の実施形態では、アクティブノイズ抑制装置10で十分に低減しきれなかったノイズ電位変動Vnoiseよる放射ノイズを、従来技術の対策用コア追加と組み合わせることで低減する効果を有する。
【0076】
次に、本発明に係るアクティブノイズ抑制装置の第4の実施形態について
図10を伴って説明する。
ノイズ電圧Vnoiseの変動が大きくすぎるとオペアンプ42が飽和し、十分なノイズ低減効果が得られないため、抵抗R1とノイズ検出部13の浮遊容量Cfdとで構成するハイパスフィルタのカットオフ周波数を適切に設定することは前述した。しかし、規制対象の下限周波数である30MHzの放射ノイズを低減するためには、カットオフ周波数の設定範囲は限られてしまうため、ノイズの大きい条件すなわちノイズ電源Vnoiseの変動が大きい条件では、オペアンプ42の飽和防止と適切なカットオフ周波数の設定を両立できない場合がある。
【0077】
そこで、第4の実施形態では、オペアンプ42の飽和防止と適切なカットオフ周波数の設定を両立できないという問題を解決するためにアクティブノイズ抑制装置10の信号結合部14より電力変換装置側すなわちノイズ検出部13とは反対側にノイズ低減用コアとしてのFM帯対策用コア62を配置している。
【0078】
この第4の実施形態によると、特許文献2に記載されている放射ノイズ低減用EMIフィルタ構成と、アクティブノイズ抑制装置10とを組み合わせた構成に相当する。FM帯対策用コア62と信号結合部14の浮遊容量とで放射ノイズ対策用EMIフィルタが構成される。このフィルタ効果により、ノイズ電圧変動Vnoiseにはコアなし条件よりもピークが低減されることから、オペアンプ42の出力を小さくできる。これにより、オペアンプ42の飽和を回避し、良好な放射ノイズ低減効果が得られるようになる。
【0079】
最後に、本願発明を実験により検証した例について
図11及び
図12を伴って説明する。
実験には、
図11(a)に示すように、第2の実施形態の
図6(a)に示すケーブル51にノイズ検出部13および信号結合部14を形成し、必要に応じて信号結合部14のノイズ検出部13とは反対側にFM帯対策用コア62を配置し、ケーブル51のFM帯対策用コア62側の端部と安定電位としての筐体模擬鋼板63との間にコモンモードノイズ源64を接続している。
【0080】
ここで、
図11(a)および(b)から確認できるように、ノイズ検出部13および信号結合部14のシールドは、放射ノイズ低減対象配線の一部に巻き回して構成する。また、
図11(b)に示す四角枠Aで囲んだ箇所に小さな基板に実装して制御部15を構成している。
【0081】
そして、
図12は実際に放射ノイズを測定した結果である。アクティブノイズ抑制装置接続前とアクティブノイズ抑制装置接続後とを比較すると、本発明により規制対象の30MHz〜70MHzにおいておおよそ10dB以上の放射ノイズ低減効果が得られていることがわかる。ただし、70MHz以上ではアクティブノイズ抑制装置による放射ノイズ低減効果が十分に得られていない。これは、オペアンプ42の非反転入力端子と安定電位点と接続する配線インピーダンス(ケーブル長2.5cm)を短くすることで改善できる。また、放射ノイズ測定が一方向のみで、全周囲(360°)測定できていないことが原因と推定される。また、本結果では、
図11(b)のような簡単に試作した装置で効果を検証しているが、製品レベルの試作品で検証すればより大きな低減効果が期待できる。
【0082】
なお、上記第1〜第4の実施形態では、アクティブノイズ抑制装置10の接続場所については特に説明しなかったが、従来技術と同様に系統側、主回路直流中間部、出力側の何れの場所に接続しても上記効果を発揮することができる。ただし、分散配置(検出部主回路直流中間部で信号結合部が系統側)される構成の場合は、オペアンプ42が発振し易くなるため適用が難しい。
【0083】
また、上記第1〜第4の実施形態では、電気機器の入力側にアクティブノイズ抑制装置を設けた場合について説明したが、電機機器の出力側にアクティブノイズ抑制装置を設けるようにしてもよい。
【0084】
さらに、上記第1〜第4の実施形態においては、制御部として1つの反転増幅器で構成する場合について説明したが、
図13に示すようなアクティブコモンノイズキャンセラ(ACC)に適用する場合には、制御部15の構成を変更する。アクティブコモンノイズキャンセラは、直流電源71の直流電力をインバータ73で三相交流に変換し、このインバータ73の出力である三相交流ラインU,V,Wに前述した浮遊容量によるノイズ検出部13を配置するとともに、コモンモードトランスCTで構成される信号結合部14を配置し、ノイズ検出部13および信号結合部14との間に制御部15を接続している。
【0085】
ここで、制御部15としては、ノイズ電圧Vnoiseがベースに入力される第1相補型バッファ増幅器74と、その出力側に接続されたハイパスフィルタ75と、ハイパスフィルタ75の出力側に接続された第2相補型バッファ増幅器76とで構成し、第1相補型バッファ増幅器74に入力されるノイズ検出部13からのノイズ電圧をハイパスフィルタ75で高周波成分のみを抽出し、抽出した高周波成分を第2相補型バッファ増幅器76を介してコモンモードトランスCTの巻線W4に印加するようにしている。第1および第2相補型バッファ増幅器74および76には独立電源77から電力が供給されている。
【0086】
また、独立電源77、コモンモードトランスCTの一次側コイルの他端、ハイパスフィルタ75を構成する抵抗の他端およびノイズ検出部13および第1相補型バッファ増幅器74のベース間の接続点に接続されたコンデンサCnの他端が直流電源71と並列に接続された高耐圧コンデンサCH1およびCH2の接続点すなわち直流リンク電圧の中性点に接続されている。
【0087】
このように、制御部15を上記構成とすることにより、ノイズ検出部13で検出した交流電路に発生するノイズ電圧は、制御部15のハイパスフィルタ75で高周波成分のみが抽出され、第2相補型バッファ増幅器76を介して出力される高周波成分と独立電源77の中性点(直流リンク電圧の中性点と共通)の間の電圧がコモンモードトランスCTに印加される。これによりノイズ電圧と逆向きの大きさの電圧が重畳されることにより、ノイズ電圧を相殺することができる。