特許第6769251号(P6769251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769251
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】キャブフロア構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20201005BHJP
   B62D 33/06 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   B62D25/20 B
   B62D33/06 C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-221029(P2016-221029)
(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公開番号】特開2018-76043(P2018-76043A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健太郎
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−236342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B62D 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に形成された複数の第1凸部と、前記複数の第1凸部の間に設けられた第1凹部とを有する、前記車両のキャブの床を形成するキャブフロアと、
少なくとも前記キャブフロアの複数の第1凸部に接触するように設けられている補強部材と、
を有し、
前記補強部材は、前記キャブフロア側に前記キャブフロアの前記複数の第1凸部と接触する複数の第2凹部と、前記複数の第2凹部の間に設けられた第2凸部とを有し、前記キャブフロアと反対側に、前記車両の前後方向に延在する直線状の面を有し、
前記直線状の面は、前記補強部材の前記複数の第2凹部が形成されている領域及び前記補強部材の前記第2凸部が形成されている領域に跨って延在することを特徴とするキャブフロア構造。
【請求項2】
前記補強部材が前記複数の第1凸部に接触する位置における厚みが、前記第1凹部に対応する位置における厚みよりも小さいことを特徴とする、
請求項1に記載のキャブフロア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のキャブフロアを補強するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、キャブフロア構造が設けられている。特許文献1には、センターフロアパネル部及びサイドフロアパネル部を補強する補強部材が設けられているフロアパネル構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−149620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、車両前方から衝撃荷重がかかることが考慮されていなかった。車両の前後方向において凹凸形状を有するキャブフロアの場合、車両前方から荷重がかかると、キャブフロアが折れ曲がってしまい、ドライバーの生存空間を確保できなくなってしまうという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両前方からの荷重に対する剛性を確保することができるキャブフロア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、車両の前後方向に形成された複数の凸部と少なくとも一つの凹部とを有する、前記車両のキャブの床を形成するキャブフロアと、少なくとも前記キャブフロアの複数の凸部に接触するように設けられている補強部材と、を有することを特徴とするキャブフロア構造を提供する。
【0007】
また、前記補強部材は、前記キャブフロア側に曲線状の面を有し、前記キャブフロアと反対側に直線状の面を有していてもよい。また、前記補強部材が前記複数の凸部に接触する位置における厚みが、前記少なくとも一つの凹部に対応する位置における厚みよりも小さくてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両前方からの荷重に対する剛性を確保することができるキャブフロア構造を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るキャブフロア構造10が車両に設けられている構成を示す。
図2】第1の実施形態に係るキャブフロア構造10の構成を示す。
図3】第1の実施形態に係るキャブフロア構造10を構成する部材が分離された状態を示す。
図4】第1の実施形態に係るキャブフロア構造10の拡大図を示す。
図5】第2の実施形態に係るキャブフロア構造10aの拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るキャブフロア構造10が車両に設けられている構成を示す図である。
車両は、キャブ1、リアマウント2、フロントマウント3、及びサイドフレーム4を有する。車両は、例えばトラックである。
【0011】
キャブ1は、運転席のある箱形状の部分である。キャブ1は、キャブフロア構造10とシート11とを有する。キャブフロア構造10は、キャブ1の床であるキャブフロア100に車両の前方から荷重がかかったときに、キャブフロア100の剛性を確保するための構造である。キャブフロア構造10の詳細は後述する。シート11は、乗員が座る座席である。キャブフロア構造10の車両の前後方向における長さは、例えば、シート11の車両の前後方向における長さよりも大きい。
【0012】
リアマウント2は、キャブ1の底面の後端側を、キャブロックを介してサイドフレーム4に対して固定するための部材である。サイドフレーム4は、車両の前後方向に延伸する部材である。フロントマウント3は、キャブ1の底面の前端側をサイドフレーム4に対して固定するための部材である。キャブ1の前端は、フロントマウント3によってサイドフレーム4に対して固定されている。
【0013】
図2は、第1の実施形態に係るキャブフロア構造10の構成を示す図である。図3は、第1の実施形態に係るキャブフロア構造10を構成する部材が分離された状態を示す図である。図4は、第1の実施形態に係るキャブフロア構造10の拡大図を示す。
【0014】
キャブフロア構造10は、キャブフロア100と補強部材110とを有する。キャブフロア100は、キャブ1の床を形成する部材である。キャブフロア100の下方には、エンジン等の車両用の機器が配置されているため、キャブフロア100は、車両の前後方向に形成された複数の凸部103と少なくとも一つの凹部104とを有する。例えば、図2に示されるように、キャブフロア100は、二つの凸部103と一つの凹部104とを有するが、凸部103と凹部104の個数は任意である。
【0015】
キャブフロア100は、エンジンフード101とフロアサイド102とを有する。エンジンフード101は、エンジンが下方に配置されている部分である。エンジンフード101は、キャブフロア100において突出した形状を有する部分である。エンジンフード101は、キャブフロア100の車両の左右方向における中央部に配置されている。
【0016】
エンジンフード101は、複数の凸部103と少なくとも一つの凹部104とを有する。エンジンフード101は、キャブフロア100の車両の前後方向における全領域にわたってキャブフロア100に設けられている。また、エンジンフード101のキャブフロア100の車両の左右方向における長さは、キャブフロア100の車両の左右方向における長さよりも小さい。
【0017】
凸部103と凹部104は、車両の前後方向の異なる位置に形成されている。フロアサイド102は、エンジンフード101の両側に配置されている部分である。フロアサイド102は、例えば、上方にシート11が配置されている部分である。
【0018】
補強部材110は、キャブフロア100の前後方向の剛性を大きくするために設けられている部材である。補強部材110は、キャブフロア100のエンジンフード101の上側に配置されている。補強部材110は、少なくともキャブフロア100の複数の凸部103に接触するように設けられている。
【0019】
補強部材110は、複数の凹部111と凸部112とを有する。補強部材110の複数の凹部111は、キャブフロア100の複数の凸部103と接触している。また、補強部材110の凸部112は、キャブフロア100の凹部104と接触している。このようにして、補強部材110の下面は、キャブフロア100の上面と隙間なく接触している。
【0020】
この結果、補強部材110は、少なくとも複数の凸部103の間を、車両の前後方向において支えることができるので、キャブフロア100に対する車両の前方側からの荷重に対して剛性を確保することができる。したがって、キャブ1の内側において、乗員の生存空間を確保することができる。
【0021】
補強部材110は、補強部材110とキャブフロア100の接触部において、補強部材110の下面がエンジンフード101に対して溶接により接合されている。補強部材110は、エンジンフード101に対して補強部材110の下面に設けられた穴とエンジンフード101の上面に設けられた穴とにボルトを挿入し、ボルトにナットを締結することにより、固定されていてもよい。
【0022】
また、補強部材110は、キャブフロア100側に曲線状の面を有し、キャブフロア100と反対側に直線状の面を有する。具体的には、図4に示されるように、補強部材110は、キャブフロア100側に複数の曲線状の凹部111と、凸部112とを有する。補強部材110は、このような形状を有するので、補強部材110を曲線状の凹凸を有するキャブフロア100と接触することができるようにし、かつ、キャブフロア100に前方からの荷重がかかったときに、補強部材110の直線状の面が、複数の凸部103が近づくように変形することを妨げることができる。
【0023】
また、補強部材110が複数の凸部103に接触する位置における厚みが、少なくとも一つの凹部104に対応する位置における厚みよりも小さい。補強部材110は、このような構成を有することで、直線状の面を確保しつつ、凹凸形状を有するキャブフロア100に配置することができる。
【0024】
[第1の実施形態に係るキャブフロア構造10による効果]
第1の実施形態に係るキャブフロア構造10は、車両の前後方向に形成された複数の凸部103と少なくとも一つの凹部104とを有する、車両のキャブ1の床を形成するキャブフロア100と、少なくともキャブフロア100の複数の凸部103に接触するように設けられている補強部材110と、を有する。
第1の実施形態に係るキャブフロア構造10は、このような構成を有するので、車両前方からの荷重に対する剛性を確保することができる。その結果、車両前方から衝撃荷重がかかった場合でも、ドライバーの生存に必要な空間を確保することが可能になる。
【0025】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係るキャブフロア構造10aは、第1の実施形態に係るキャブフロア構造10と比べて、補強部材110aが、補強部材110aの下面と凹部104との間に隙間を有する点が異なる。
図5は、第2の実施形態に係るキャブフロア構造10aの拡大図を示す。
キャブフロア構造10aは、キャブフロア100と補強部材110aとを有する。
【0026】
補強部材110aは、複数の凹部111aと凸部112aとを有する。補強部材110aの複数の凹部111aは、キャブフロア100の複数の凸部103と接触している。補強部材110aの凸部112aは、凹部104とすべての領域において接触はしておらず、凸部112aと凹部104との間に隙間が設けられている。補強部材110aは、このような構成を有することで、補強部材110と比べて、キャブフロア100の車両前後方向における剛性を向上させつつ、補強部材110aの軽量化をすることができる。
【0027】
(変形例)
補強部材110aは、複数の凸部103に接触する直方体形状の部材であってもよい。すなわち、補強部材110aは、曲面を有していなくてもよい。補強部材110aが直方体形状である場合においても、車両の前方からの荷重によりキャブフロア100の車両前後方向における剛性を向上させることができる。
【0028】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0029】
1・・・キャブ
10、10a・・・キャブフロア構造
11・・・シート
100・・・キャブフロア
101・・・エンジンフード
102・・・フロアサイド
103・・・凸部
104・・・凹部
110、110a・・・補強部材
111、111a・・・凹部
112、112a・・・凸部
2・・・リアマウント
3・・・フロントマウント
4・・・サイドフレーム
図1
図2
図3
図4
図5