(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空調用空気の流れ方向を変更する長尺板状のフィンと、前記フィンに形成されたストッパと、前記ストッパを取り囲んだ状態で、前記フィンに対し長手方向へスライド可能に装着されるノブとを備え、
前記ノブは、前記フィンを厚み方向の両側から挟み込む第1壁部及び第2壁部と、前記第1壁部及び前記第2壁部の前記長手方向における一方の端部間と他方の端部間とにそれぞれ位置し、かつ少なくとも一方が特定側壁部により構成される一対の側壁部を備え、
両側壁部は、前記フィンが挿通される挿通孔を有し、かつ前記第1壁部に接続され、
前記特定側壁部は、前記挿通孔において前記厚み方向に2つに分割され、
前記特定側壁部のうち、前記ノブのスライドに伴い前記ストッパに接触する部分は、前記挿通孔に繋がった状態で前記第2壁部から分離された分離部を有しており、
前記分離部は、前記ノブが前記フィンに装着される前であって前記ストッパを取り囲む前の状態では前記第2壁部に繋がっており、前記ノブが前記フィンに装着されて前記ストッパを取り囲んだ状態で前記第2壁部から分離され、
前記ストッパ及び前記特定側壁部の一方には他方に向けて突出する凸部が設けられるとともに、他方において前記凸部に対向する箇所には凹部が設けられ、前記凸部及び前記凹部の少なくとも一方には、前記ノブのスライドに伴い前記凸部が前記凹部に入り込むに従い、前記特定側壁部に対し前記第2壁部側へ向かう力を発生させるように前記長手方向に対し傾斜する傾斜面が形成されている空調用レジスタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の空調用レジスタでは、下流フィン101の長手方向へノブ106をスライドさせると、ストッパ104に対するノブ106の位置が変化する。そして、連結側壁部109(又は特定側壁部111)がストッパ104に接触すると、それ以上の同方向へのノブ106のスライドが規制される。
【0010】
ところが、
図17において白抜きの矢印で示すように、特定側壁部111がストッパ104に近づく側へノブ106をスライドさせる際に、適正値よりも大きな力がノブ106に加えられる場合がある。この場合には、特定側壁部111及び第2壁部108の少なくとも一方が、同
図17において二点鎖線の矢印で示すように、分離部113と第2壁部108との間隔が広がる方向へ弾性変形する。その間隔が、下流フィン101の厚み方向におけるストッパ104の寸法よりも大きくなると、ストッパ104が分離部113と第2壁部108との間を通ってノブ106の外部へ抜け出るおそれがある。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ノブのスライド操作に伴い、ストッパが特定側壁部と第2壁部との間を通ってノブの外部へ抜け出るのを抑制することのできる空調用レジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する空調用レジスタは、空調用空気の流れ方向を変更する長尺板状のフィンと、前記フィンに形成されたストッパと、前記ストッパを取り囲んだ状態で、前記フィンに対し長手方向へスライド可能に装着されるノブとを備え、前記ノブは、前記フィンを厚み方向の両側から挟み込む第1壁部及び第2壁部と、前記第1壁部及び前記第2壁部の前記長手方向における一方の端部間と他方の端部間とにそれぞれ位置し、かつ少なくとも一方が特定側壁部により構成される一対の側壁部を備え、両側壁部は、前記フィンが挿通される挿通孔を有し、かつ前記第1壁部に接続され、前記特定側壁部は、前記挿通孔において前記厚み方向に2つに分割され、前記特定側壁部のうち、前記ノブのスライドに伴い前記ストッパに接触する部分は、前記挿通孔に繋がった状態で前記第2壁部から分離された分離部を有しており、前記ストッパ及び前記特定側壁部の一方には他方に向けて突出する凸部が設けられるとともに、他方において前記凸部に対向する箇所には凹部が設けられ、前記凸部及び前記凹部の少なくとも一方には、前記ノブのスライドに伴い前記凸部が前記凹部に入り込むに従い、前記特定側壁部に対し前記第2壁部側へ向かう力を発生させるように前記長手方向に対し傾斜する傾斜面が形成されている。
【0013】
上記の構成によれば、ストッパを取り囲んだ状態でフィンに装着されたノブは、そのフィンの長手方向にスライドされる。ノブがスライドする際の可動領域は、両側壁部がストッパに接触することによって規定される。
【0014】
上記可動領域の中間位置にあるノブを、特定側壁部がストッパに近づく側へスライドさせると、凸部が凹部に入り込む。この際、凸部及び凹部の少なくとも一方に形成され、かつフィンの長手方向に対し傾斜する傾斜面が、同凸部及び凹部の他方に接触する。そして、凸部が凹部に入り込むに従い、特定側壁部に第2壁部側へ向かう力が発生し、特定側壁部が第2壁部に接近する。従って、特定側壁部がストッパに近づく側へノブをスライドさせる際に、適正値よりも大きな力がノブに加えられても、特定側壁部及び第2壁部の少なくとも一方が、それらの間隔が広がる方向へ弾性変形することが抑制される。これに伴い、上記間隔が、フィンの厚み方向におけるストッパの寸法よりも大きくなることが起こりにくくなる。その結果、ストッパが特定側壁部と第2壁部との間を通ってノブの外部へ抜け出る現象が抑制される。
【0015】
上記空調用レジスタにおいて、前記特定側壁部の前記分離部は、前記第2壁部から空隙部を介して離間していることが好ましい。
上記の構成によるように、特定側壁部の分離部が、第2壁部から空隙部を介して離間している場合には、離間していない場合に比べると、第2壁部と特定側壁部との間隔が広く、ストッパが特定側壁部と第2壁部との間を通ってノブの外部へ抜け出る現象が起こりやすい。
【0016】
しかし、上記のように凸部が凹部に入り込むに従い、特定側壁部に第2壁部側へ向かう力が発生し、特定側壁部が第2壁部に接近するため、ストッパが特定側壁部と第2壁部との間を通ってノブの外部へ抜け出る現象が効果的に抑制される。
【0017】
一方、ノブをフィンに組み付ける際には、フィンが各側壁部の挿通孔に挿通される。この状態で、ノブがストッパに近づく側へスライドされる。特定側壁部がストッパに当たった後にも上記スライドが続けられると、ストッパが、第2壁部と特定側壁部の分離部との間を通ってノブ内に入り込んでゆく。この際、空隙部がある分、ストッパが特定側壁部と第2壁部との間を通過しやすくなる。
【0018】
上記空調用レジスタにおいて、両側壁部のうちの一方のみが前記特定側壁部により構成されており、他方は、前記第1壁部及び前記第2壁部を連結する連結側壁部により構成されており、前記特定側壁部の前記分離部は、前記第2壁部に対し、接触又は接近していることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、第2壁部が連結側壁部との境界部分を支点として第1壁部側へ変形しようとしても、第2壁部が特定側壁部の分離部に接触することで、それ以上の変形が規制される。そのため、第2壁部の変形が原因で、第1壁部と第2壁部との間隔がフィンの長手方向にばらつくことが抑制される。
【0020】
上記空調用レジスタにおいて、前記凸部及び前記凹部の少なくとも一方に形成された前記傾斜面を第1傾斜面とした場合において、前記特定側壁部の前記分離部には、同特定側壁部の外壁面に近づくほど前記第2壁部から遠ざかるように前記長手方向に対し傾斜する第2傾斜面が形成されていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、ノブをフィンに組み付ける際には、フィンが各側壁部の挿通孔に挿通される。この状態で、ノブがストッパに近づく側へスライドされる。特定側壁部がストッパに当たった後にも上記スライドが続けられると、ストッパが、第2壁部と特定側壁部の分離部との間を通ってノブ内に入り込んでゆく。分離部には、特定側壁部の外壁面に近づくほど第2壁部から遠ざかるようにフィンの長手方向に対し傾斜する第2傾斜面が形成されている。第2傾斜面と第2壁部との間隔は、特定側壁部の外壁面において最大となり、同特定側壁部の内壁面に近づくに従い小さくなる。従って、特定側壁部の分離部に第2傾斜面が形成されない場合に比べ、ストッパは、第2壁部と特定側壁部の分離部との間に入り込みやすくなる。
【0022】
上記空調用レジスタにおいて、前記ストッパは、前記フィンの長手方向に延びており、前記長手方向における前記ストッパの両端部のうち、一方の端部にのみ前記凸部又は前記凹部が設けられており、設けられていない側の端部には、前記長手方向に対し前記第2傾斜面と同一傾向で傾斜する第3傾斜面が形成されていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、ノブのフィンへの組み付けに際し、両側壁部の挿通孔にフィンが挿通された状態のノブがストッパに近づく側へスライドされる。このスライドにより、特定側壁部の第2傾斜面が、ストッパの第3傾斜面に接触する。その後も上記スライドが続けられると、ストッパが、第2壁部と特定側壁部の分離部との間を通ってノブ内に入り込んでゆく。
【0024】
ここで、第3傾斜面は、フィンの長手方向に対し第2傾斜面と同一傾向で傾斜している。ストッパの第3傾斜面の形成された側の端部では、フィンの厚み方向における寸法が、凸部又は凹部から遠ざかるに従い小さくなる。そのため、第3傾斜面が形成されない場合に比べ、ストッパの凸部又は凹部の設けられていない側の端部が、第2壁部と特定側壁部の分離部との間に入り込みやすくなる。
【発明の効果】
【0025】
上記空調用レジスタによれば、ノブのスライド操作に伴い、ストッパが特定側壁部と第2壁部との間を通ってノブの外部へ抜け出るのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、車両に組込まれて使用される空調用レジスタに具体化した第1実施形態について、
図1〜
図9を参照して説明する。
【0028】
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
【0029】
車室内において、車両の前席(運転席及び助手席)の前方にはインストルメントパネル(図示略)が設けられ、その左右方向における中央部、側部等には空調用レジスタが組込まれている。この空調用レジスタの主な機能は、空調装置から送られてきて車室内に吹き出す空調用空気(温風や冷風)の向き(風向き)を変更等することである。
【0030】
図1〜
図3に示すように、空調用レジスタは、リテーナ10、複数のフィン、ストッパ31、操作荷重出し用の凸条41,42(
図5、
図8参照)、ノブ45及びフォーク65を基本的な構成要素として備えている。次に、これら各部の構成について説明する。
【0031】
<リテーナ10>
リテーナ10は、空調装置の送風ダクト(図示略)と、インストルメントパネルに設けられた開口(図示略)とを繋ぐためのものである。リテーナ10は、硬質の樹脂材料によって形成された複数の部材からなり、両端が開放された筒状をなしている。リテーナ10の内部空間は、空調装置から送られてくる空調用空気A1の流路(以下「通風路11」という)を構成している。ここで、空調用空気A1の流れ方向に関し、空調装置に近い側を「上流」、「上流側」等といい、同空調装置から遠い側を「下流」、「下流側」等というものとする。通風路11の下流端は、空調用空気A1の吹出口12を構成している。
【0032】
通風路11は、リテーナ10の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部は、左右方向に相対向する一対の縦壁部13と、上下方向に相対向する一対の横壁部14とからなる。
【0033】
<フィン>
フィンは、複数の下流フィン及び複数の上流フィンからなる。
複数の下流フィンは、通風路11であって吹出口12の近傍において、上下方向へ互いに離間した状態で配設されている。ここで、複数の上流フィンを区別するために、上下方向における中央部に位置するものを「下流フィン15」といい、それ以外のものを「下流フィン21」というものとする。
【0034】
各下流フィン15,21の左右方向の両方の端面からは、フィン軸22がそれぞれ同方向の外方に向けて突出している。各下流フィン15,21は、左右の両フィン軸22において左右の両縦壁部13に支持されており、両フィン軸22を支点として上下方向へ傾動可能である。
【0035】
各下流フィン15,21において一方(第1実施形態では右方)のフィン軸22から上流へ偏倚した箇所には、同フィン軸22に平行に延びる連結ピン23が設けられている。下流フィン15,21毎の連結ピン23は、略上下方向へ延びる連結ロッド(図示略)によって相互に連結されている。上記連結ピン23及び連結ロッドにより、複数の下流フィン15,21を機械的に連結し、下流フィン21を下流フィン15と同じ傾向の傾きとなるように同下流フィン15に同期した状態で傾動させるリンク機構が構成されている。
【0036】
複数の上流フィンは、通風路11の下流フィン15,21よりも上流において、左右方向へ互いに離間した状態で配設されている。ここで、複数の上流フィンを区別するために、左右方向における中央部に位置するものを「上流フィン25」といい、それ以外のものを「上流フィン28」というものとする。
【0037】
各上流フィン25,28の上下方向の両方の端面からは、フィン軸29がそれぞれ同方向の外方に向けて突出している。各上流フィン25,28は、上下の両フィン軸29において両横壁部14に支持されている。そのため、各上流フィン25,28は、両フィン軸29を支点として左右方向へ傾動可能である。
【0038】
上流フィン25は、他の上流フィン28とは異なり、切欠き部26及び伝達軸部27を備えている。切欠き部26は、上流フィン25の下流部に形成されている。伝達軸部27は、切欠き部26の下流端において上下方向へ延びている。
【0039】
複数の上流フィン25,28の下部には、リンク機構(図示略)が設けられている。リンク機構は、上流フィン28を上流フィン25と同じ傾向の傾きとなるように同上流フィン25に同期した状態で傾動させるように、上流フィン25,28を機械的に連結している。
【0040】
上記空調用レジスタでは、空調用空気A1は、通風路11を通過する過程で、各上流フィン25,28及び各下流フィン15,21に沿って流れる。各上流フィン25,28が上下の両フィン軸29を支点として左右方向へ傾動されると、同上流フィン25,28の同方向の傾きが変えられる。各下流フィン15,21が左右の両フィン軸22を支点として上下方向へ傾動されると、同下流フィン15,21の同方向の傾きが変えられる。空調用空気A1は、上流フィン25,28及び下流フィン15,21の各傾きに応じた方向へ流れて吹出口12から吹き出す。
【0041】
<ストッパ31>
図3(a),(b)に示すように、ストッパ31は、ノブ45のスライドに関わる可動範囲を規定するためのものであり、下流フィン15の上流側の縁部16であって、長手方向における中間部分において、硬質の樹脂材料によって下流フィン15と一体に形成されている。ストッパ31は、下流フィン15の長手方向に延びている。
【0042】
<凸条41,42>
図5及び
図8に示すように、凸条41,42は、下流フィン15の上面18の2箇所と、下面19の2箇所とに形成されている。各凸条41,42は、下流フィン15の長手方向に延びている。上側の一対の凸条41は、下流フィン15の上面18における上流部と下流部とに位置しており、上方へ膨らむ湾曲面を有している。同様に、下側の一対の凸条42は、下流フィン15の下面19における上流部と下流部とに位置しており、下方へ膨らむ湾曲面を有している。いずれの凸条41,42も、下流フィン15の長手方向については、上記ストッパ31と対応する箇所に位置している。
【0043】
凸条41,42はノブ45に接触しており、ノブ45がスライド操作されたときに、ノブ45との間に摺動抵抗を生じさせる。この摺動抵抗により、ノブ45をスライド操作する際の荷重(操作荷重)が作り出される。この操作荷重は、ノブ45を操作する際の操作感触(操作フィーリング)に大きく影響する要素であり、重要である。
【0044】
<ノブ45>
ノブ45は、主として、吹出口12からの空調用空気A1の左右の吹き出し方向を変更する際に乗員によって操作される部材であり、上記ストッパ31を取り囲んだ状態で、下流フィン15に長手方向へスライド可能に装着されている。
【0045】
ノブ45は、第1壁部46及び第2壁部47を備えるとともに、下流フィン15の長手方向における第1壁部46及び第2壁部47の一方の端部間と他方の端部間とにそれぞれ位置する一対の側壁部を備えている。ノブ45の全体は、硬質の樹脂材料によって形成されている。
【0046】
第1壁部46は、下流フィン15の上側に配置され、第2壁部47は下流フィン15の下側に配置されている。こうした配置により、下流フィン15は、第1壁部46及び第2壁部47により厚み方向(上下方向)の両側から挟み込まれている。
【0047】
一方の側壁部は、第1壁部46及び第2壁部47を、下流フィン15の長手方向における一方の端部(右端部)同士を連結する連結側壁部51によって構成されている。連結側壁部51は、下流フィン15が挿通される挿通孔52を有している。
【0048】
他方の側壁部は、第1壁部46及び第2壁部47であって、下流フィン15の長手方向における他方の端部(左端部)の間に配置された特定側壁部53によって構成されている。特定側壁部53は、下流フィン15が挿通される挿通孔54を有し、かつ、第1壁部46に接続されている。
図4に示すように、特定側壁部53は、挿通孔54において下流フィン15の厚み方向(上下方向)に2つに分割されている。特定側壁部53のうち、ノブ45のスライドに伴いストッパ31に接触する部分は、分離部59を有している。分離部59は、挿通孔54に繋がった状態で第2壁部47から分離されている。
【0049】
<フォーク65>
図2に示すように、フォーク65は、ノブ45のスライド動作を上流フィン25に伝達して、上下の両フィン軸29を支点として同上流フィン25を傾動させるための部材である。フォーク65の下流端には一対の支軸(図示略)が設けられており、これらの支軸が、ノブ45における連結側壁部51及び特定側壁部53の各上流端に設けられた支持孔55に挿入されている。フォーク65は、両支軸を支点として傾動可能である。フォーク65は、上流へ延びる一対の伝達片66を自身の上流部に備えており、両伝達片66によって上記上流フィン25の伝達軸部27を左右両側から挟み込んでいる。
【0050】
そのため、ノブ45が下流フィン15に沿って長手方向へスライドされると、伝達軸部27がフォーク65の一方の伝達片66によって押され、上流フィン25が上下の両フィン軸29を支点として傾動させられる。
【0051】
これに対し、下流フィン15の厚み方向(上下方向)へ向かう力がノブ45に加えられても、その力は伝達軸部27に伝達されず、上流フィン25は傾動されない。
上述した事項が、第1実施形態の空調用レジスタの基本構成である。
【0052】
第1実施形態では、上記基本構成に加え、
図3(a),(b)及び
図8に示すように、特定側壁部53の分離部59が、第2壁部47から空隙部56を介して離間している。
また、ストッパ31の特定側壁部53側の端部32であって、第1壁部46側の部分には、同特定側壁部53に向けて突出する凸部33が形成されている。なお、ストッパ31の連結側壁部51側の端部35には、こうした凸部は形成されていない。特定側壁部53において上記凸部33に対向する箇所、すなわち、第1壁部46側の部分には、凹部57が形成されている。
【0053】
凸部33には、同凸部33が凹部57に入り込むに従い、特定側壁部53に対し第2壁部47側へ向かう力を発生させるように、下流フィン15の長手方向に対し傾斜する第1傾斜面34が形成されている。また、凹部57には、同じく凸部33が凹部57に入り込むに従い、特定側壁部53に対し第2壁部47側へ向かう力を発生させるように、下流フィン15の長手方向に対し傾斜する第1傾斜面58が形成されている。いずれの第1傾斜面34,58も、特定側壁部53の外壁面62に近づくほど第2壁部47から遠ざかるように、上記長手方向に対し傾斜している。
【0054】
特定側壁部53の分離部59には、第2傾斜面63が形成されている。第2傾斜面63は、特定側壁部53の外壁面62に近づくほど第2壁部47から遠ざかるように、下流フィン15の上記長手方向に対し傾斜している。
【0055】
下流フィン15の長手方向におけるストッパ31の両端部32,35のうち、凸部33の設けられていない側(右側)の端部35であって、第1壁部46側の部分には、同長手方向に対し第2傾斜面63と同一傾向で傾斜する第3傾斜面36が形成されている。
【0056】
これに加え、第2壁部47において、上記第2傾斜面63に対向する箇所には、特定側壁部53の外壁面62に近づくほど特定側壁部53から遠ざかるように、上記長手方向に対し、第2傾斜面63とは反対側へ傾斜する第4傾斜面48が形成されている。
【0057】
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用及び効果について、状況毎に分けて説明する。
<ノブ45の成形時>
ノブ45の成形には、金型75(
図4の二点鎖線参照)が用いられる。金型75は、ノブ成形用のキャビティ71を有している。金型75は、キャビティ71への溶融状態の樹脂材料Rの入口となる箇所(ゲート)として、共通ゲート72と、共通ゲート72から分岐してキャビティ71に繋がる一対の分岐ゲート73,74とを有している。
【0058】
そして、上記金型75を用いたノブ45の成形時には、共通ゲート72を通過した溶融状態の樹脂材料Rが、両分岐ゲート73,74に分けられて流れる。共通ゲート72から分かれて分岐ゲート73に流入した樹脂材料Rは、キャビティ71において、第1壁部46を成形する箇所71aに供給される。共通ゲート72から分かれて分岐ゲート74に流入した樹脂材料Rは、キャビティ71において、第2壁部47を成形する箇所71bに供給される。
【0059】
キャビティ71に充填された樹脂材料Rが冷却及び硬化されることで、第1壁部46、第2壁部47、連結側壁部51及び特定側壁部53を有するノブ45が成形される。また、このときには、共通ゲート72内及び両分岐ゲート73,74内の樹脂材料Rが、第1壁部46及び第2壁部47を橋渡しした状態で冷却及び硬化され、それらの第1壁部46及び第2壁部47が変形した状態で成形されるのを規制する。そのため、第1壁部46及び第2壁部47を所望の形状に成形し、ノブ45の寸法を安定させることができる。
【0060】
なお、キャビティ71内の樹脂材料Rが冷却及び硬化することでノブ45が成形されるが、このノブ45には、共通ゲート72内及び両分岐ゲート73,74内で冷却及び硬化した樹脂材料Rが繋がったままである。そのため、この余分な樹脂材料Rは、ノブ45の成形後に切除される。
【0061】
<下流フィン15へのノブ45の組み付け時>
図3(a)及び
図5に示すように、ノブ45を、ストッパ31を取り囲んだ状態で下流フィン15に組み付ける際には、同下流フィン15の長手方向であって、ストッパ31の凸部33の設けられていない側と同じ側の端部20から、その下流フィン15が特定側壁部53の挿通孔54に挿通されるとともに、連結側壁部51の挿通孔52に挿通される。この状態で、
図6(a),(b)に示すように、ノブ45がストッパ31に近づく側へスライドされる。
【0062】
図7において白抜きの矢印で示すように、特定側壁部53が、ストッパ31の凸部33の設けられていない側の端部35に当たった後にも上記スライドが続けられると、その端部35が、第2壁部47と特定側壁部53の分離部59との間の空隙部56を通ってノブ45内に入り込んでゆく。
【0063】
この際、ストッパ31は、分離部59であって、特定側壁部53の内壁面61から外壁面62にかけての領域に形成された第2傾斜面63を通過する。第2傾斜面63は、外壁面62に近づくほど第2壁部47から遠ざかるように、下流フィン15の長手方向に対し傾斜している。しかも、第2壁部47において、上記第2傾斜面63に対向する箇所に形成された第4傾斜面48は、外壁面62に近づくほど特定側壁部53から遠ざかるように、上記長手方向に対し、第2傾斜面63とは反対側へ傾斜している。第2傾斜面63と第4傾斜面48との間隔は、外壁面62において最大となる。従って、第2傾斜面63及び第4傾斜面48の少なくとも一方が形成されない場合に比べ、ストッパ31の端部35は、分離部59と第2壁部47との間に入り込みやすい。
【0064】
また、ストッパ31の第3傾斜面36は、下流フィン15の長手方向に対し第2傾斜面63と同一傾向で傾斜している。この第3傾斜面36により、下流フィン15の厚み方向におけるストッパ31の端部35の寸法は、凸部33から遠ざかるに従い小さくなる。そのため、第3傾斜面36が形成されない場合に比べ、ストッパ31の端部35が、分離部59と第2壁部47との間に入り込みやすい。
【0065】
また、分離部59と第2壁部47との間に空隙部56が設定されていることも、ストッパ31を通過しやすくしている。
上記スライドにより、特定側壁部53の第2傾斜面63が、ストッパ31の端部35の第3傾斜面36に接触するとともに、第4傾斜面48がストッパ31の下面37に接触する。その後も上記スライドが続けられると、ストッパ31が空隙部56を通ってノブ45内に入り込んでゆく。ストッパ31の全体がノブ45内に入り込んで、同ノブ45によって取り囲まれると、ノブ45は下流フィン15に組み付けられた状態となる。
【0066】
<ノブ45のスライド操作時>
空調用空気A1の左右の吹き出し方向を変更する際には、
図8におけるノブ45が下流フィン15の長手方向へスライド操作される。ノブ45がスライドする際の可動領域は、連結側壁部51がストッパ31の端部35に接触すること、及び特定側壁部53がストッパ31の端部32に接触することによって規定される。
【0067】
このスライド操作時には、ノブ45の第1壁部46が、下流フィン15の上面18に形成された一対の凸条41に対し摺動する。同様に、ノブ45の第2壁部47が、下流フィン15の下面19に形成された一対の凸条42に対し摺動する。第1壁部46と両凸条41との間に生ずる摺動抵抗、及び第2壁部47と両凸条42との間に生ずる摺動抵抗により、ノブ45をスライド操作する際の荷重(操作荷重)が作り出される。
【0068】
ここで、特定側壁部53のうち、ノブ45のスライドに伴いストッパ31の端部32に接触する部分は、分離部59を有している。分離部59は、挿通孔54に繋がった状態で第2壁部47から分離されている。そのため、ノブ45をスライドさせる際に、仮に、適正値よりも大きな力がノブ45に加えられると、特定側壁部53及び第2壁部47の少なくとも一方が、それらの間隔が広がる方向へ弾性変形する。上記間隔が、下流フィン15の厚み方向におけるストッパ31の寸法よりも大きくなると、ストッパ31が、特定側壁部53の分離部59と第2壁部47との間を通ってノブ45の外部へ抜け出るおそれがある。
【0069】
特に、第1実施形態のように、分離部59が第2壁部47から空隙部56を介して離間している場合には、離間していない場合に比べると、ストッパ31がノブ45の外部へ抜け出やすい。
【0070】
しかし、第1実施形態では、
図8に示すように、上記可動領域の中間位置にあるノブ45が、
図9において白抜きの矢印で示すように、特定側壁部53がストッパ31に近づく側へスライドされると、ストッパ31の凸部33が特定側壁部53の凹部57に入り込む。この際、凸部33及び凹部57にそれぞれ形成され、かつ下流フィン15の長手方向に対し傾斜する第1傾斜面34,58が、互いに接触する。そして、凸部33が凹部57に入り込むに従い、特定側壁部53に第2壁部47側へ向かう力F1が発生し、特定側壁部53が第2壁部47に接近する。
【0071】
そのため、上記のように適正値よりも大きな力がノブ45に加えられても、特定側壁部53及び第2壁部47の少なくとも一方が、それらの間隔が広がる方向へ弾性変形することが抑制される。これに伴い、上記間隔が、下流フィン15の厚み方向におけるストッパ31の寸法よりも大きくなることが起こりにくくなる。その結果、ストッパ31が特定側壁部53と第2壁部47との間を通ってノブ45の外部へ抜け出るのを抑制することができる。
【0072】
(第2実施形態)
次に、空調用レジスタの第2実施形態について、
図10〜
図14を参照して説明する。
第2実施形態では、
図11(a),(b)及び
図12に示すように、ノブ45が下流フィン15に組み付けられる前であってストッパ31を取り囲む前の状態では、特定側壁部53の分離部59が第2壁部47に繋がっている。
【0073】
また、
図10(a),(b)及び
図13に示すように、ノブ45が下流フィン15に組み付けられてストッパ31を取り囲んだ状態では、特定側壁部53の分離部59が第2壁部47から分離され、同第2壁部47に対し接触又は接近している。
【0074】
分離部59に形成された第2傾斜面63は、特定側壁部53の外壁面62に近づくほど第2壁部47から遠ざかるように下流フィン15の長手方向に対し、第1実施形態よりも大きな角度で傾斜している。
【0075】
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
従って、第2実施形態によると、第1実施形態と同様の作用及び効果が得られる。そのほかにも、第2実施形態によると次の作用及び効果が得られる。
【0076】
<ノブ45の成形時>
特定側壁部53の分離部59が第2壁部47に接続された状態のノブ45は、樹脂成形によって形成される。溶融状態の樹脂材料が、ゲートを通じてキャビティに供給される。キャビティに充填された樹脂材料が冷却及び硬化されることで、第1壁部46、第2壁部47、連結側壁部51が形成される。また、分離部59が第2壁部47に接続された状態の特定側壁部53が成形される。
【0077】
このように、特定側壁部53の分離部59が第2壁部47に接続されているため、第1壁部46及び第2壁部47が変形した状態で成形されることが抑制され、それらの第1壁部46及び第2壁部47を所望の形状に成形し、ノブ45の寸法を安定させることができる。
【0078】
<下流フィン15へのノブ45の組み付け時>
図12に示すように、ノブ45を下流フィン15に組み付ける際には、同下流フィン15の長手方向であって、ストッパ31の凸部33の設けられていない側と同じ側の端部20(
図3(a)参照)から、下流フィン15が特定側壁部53の挿通孔54に挿通されるとともに、連結側壁部51の挿通孔52に挿通される。この状態で、同
図12において白抜きの矢印で示すように、ノブ45がストッパ31側へスライドされる。
【0079】
特定側壁部53が、ストッパ31の端部35に当たった後にも上記スライドが続けられると、ストッパ31により特定側壁部53の分離部59と第2壁部47との接続部分が破断される。この破断により、分離部59が第2壁部47から分離される。その後は、第1実施形態と同様に、
図13に示すように、ストッパ31が、第2壁部47と分離部59との間を通ってノブ45内に入り込んでゆく。
【0080】
第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、分離部59に第2傾斜面63が形成されている。また、第2壁部47において、上記第2傾斜面63に対向する箇所に第4傾斜面48が形成されている。第2傾斜面63と第4傾斜面48との間隔は、特定側壁部53の外壁面62において最大となる。そのため、第2傾斜面63及び第4傾斜面48の少なくとも一方が形成されない場合に比べ、ストッパ31は、第2壁部47と分離部59との間に入り込みやすい。
【0081】
また、ストッパ31の端部35に第3傾斜面36が形成されていて、同端部35において、下流フィン15の厚み方向における寸法が、凸部33から遠ざかるに従い小さくなっている。この点でも、第3傾斜面36が形成されない場合に比べ、ストッパ31の端部35が、第2壁部47と分離部59との間に入り込みやすい。
【0082】
<ノブ45のスライド操作時>
ここで、
図14は、特定側壁部53の分離部59が、第2壁部47から空隙部56を介して離間している比較例を示している。この比較例では、第2壁部47が連結側壁部51との境界部分を支点として第1壁部46に近づく側へ変形するおそれがある。この変形が起こった場合には、第1壁部46と第2壁部47との間隔が、連結側壁部51の近くで大きく、特定側壁部53に近づくに従い小さくなる。連結側壁部51の近くでの間隔をD1で表し、下流フィン15の長手方向における中間部での間隔をD2で表し、特定側壁部53の近くでの間隔をD3で表すと、間隔D1,D2,D3の間には、D1>D2>D3の関係が成り立つ。このように、第1壁部46と第2壁部47との間隔が下流フィン15の長手方向にばらつく。これに伴い、ノブ45における第1壁部46及び第2壁部47と凸条41,42との間に生ずる摺動抵抗が、上記間隔の広い箇所では小さく、狭い箇所では大きくなる。このようにして、摺動抵抗が下流フィン15の長手方向にばらつく。
【0083】
これに対し、第2実施形態では、
図13に示すように、第2壁部47が連結側壁部51との境界部分を支点として第1壁部46側へ変形しようとしても、第2壁部47が特定側壁部53の分離部59に接触することで、それ以上の変形が規制される。そのため、第1壁部46と第2壁部47との間隔は、下流フィン15の長手方向におけるノブ45のどの箇所でも略均一となる。従って、ストッパ31がノブ45内のどの箇所に位置していても、すなわち、
図13において実線で示す箇所に位置していても、二点鎖線で示す箇所に位置していても、凸条41,42との間に生ずる摺動抵抗は略均一となる。そのため、摺動抵抗が下流フィン15の長手方向にばらつくのを抑制し、ノブ45を操作する際の操作感触(操作フィーリング)を良好にすることができる。
【0084】
なお、上記各実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<ストッパ31について>
・ストッパ31は、下流フィン15の上流側の縁部16に代えて、又は加えて、下流側の縁部17(
図2参照)に形成されてもよい。
【0085】
この場合には、ノブ45における特定側壁部53は、下流フィン15よりも上流側及び下流側であって挿通孔54に繋がった部分のうち、ノブ45のスライドに伴いストッパ31に接触する部分において第2壁部47から分離される。
【0086】
<傾斜面について>
・凸部33における第1傾斜面34と、凹部57における第1傾斜面58との一方が省略されてもよい。
【0087】
図15(a)は、凸部33における第1傾斜面34が省略され、その第1傾斜面34に代えて、凸部33において凹部57の第1傾斜面58に対向する面81が、下流フィン15の長手方向に対し平行に形成された変形例を示している。
【0088】
図15(b)は、凹部57における第1傾斜面58が省略され、その第1傾斜面58に代えて、凹部57において凸部33の第1傾斜面34に対向する面82が、下流フィン15の長手方向に対し平行に形成された変形例を示している。
【0089】
上記いずれの変形例でも、ノブ45を白抜きの矢印で示す方向へスライドさせることで、凸部33が凹部57に入り込むに従い、特定側壁部53に対し第2壁部47側へ向かう力F1を発生させることができ、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0090】
・第2傾斜面63、第3傾斜面36及び第4傾斜面48の少なくとも1つが省略されてもよい。
<凸部及び凹部について>
・上記各実施形態とは逆に、特定側壁部53に、ストッパ31に向けて突出する凸部が設けられるとともに、ストッパ31において上記凸部に対向する箇所に凹部が設けられてもよい。
【0091】
この場合にも、凸部及び凹部の少なくとも一方には、ノブ45のスライドに伴い凸部が凹部に入り込むに従い、特定側壁部53に対し第2壁部47側へ向かう力を発生させるように下流フィン15の長手方向に対し傾斜する傾斜面が形成される。
【0092】
<側壁部について>
・上記各実施形態における両方の側壁部が、ともに特定側壁部によって構成されてもよい。
【0093】
<フィンについて>
・上流フィン25,28及び下流フィン15,21の少なくとも一方が省略されてもよい。また、上流フィン25,28及び下流フィン15,21に対し、他のフィンが加えられてもよい。
【0094】
・各上流フィン25,28として左右方向へ延びる長尺板状をなすものが用いられ、各下流フィン15,21として上下方向へ延びる長尺板状をなすものが用いられてもよい。
<適用箇所について>
・上記空調用レジスタは、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所に組込まれる空調用レジスタにも適用可能である。
【0095】
・上記空調用レジスタは、空調装置から送られてきて吹出口から室内に吹き出す空調用空気の向きを変更するものであれば、車両に限らず広く適用可能である。
その他、上記の各実施形態から把握できる技術的思想について、それらの作用及び効果とともに記載する。
【0096】
(A)請求項1に記載の空調用レジスタを製造する方法であって、
ノブ成形用のキャビティを有するとともに、前記キャビティへの溶融状態の樹脂材料のゲートとして、共通ゲートと、前記共通ゲートから分岐して前記キャビティに繋がる一対の分岐ゲートとを有する金型を用い、
前記共通ゲートを通過した溶融状態の樹脂材料を、両分岐ゲートに分けて流れさせ、前記分岐ゲートから、前記キャビティにおいて、前記第1壁部を成形する箇所と、前記第2壁部を成形する箇所とに別々に供給するようにした空調用レジスタの製造方法。
【0097】
上記の製造方法によれば、ノブを樹脂成形する際には、溶融状態の樹脂材料が、共通ゲートを通過した後、一対の分岐ゲートに別れて流れる。そして、樹脂材料は、分岐ゲートから、キャビティにおいて、第1壁部を成形する箇所と、第2壁部を成形する箇所とに供給される。キャビティに充填された樹脂材料が冷却及び硬化されることで、第1壁部、第2壁部、及び一対の側壁部を有するノブが成形される。また、このときには、共通ゲート内及び両分岐ゲート内の樹脂材料が、第1壁部及び第2壁部を橋渡しした状態で冷却及び硬化され、それらの第1壁部及び第2壁部が変形した状態で成形されるのを規制する。従って、第1壁部及び第2壁部を所望の形状に成形することが可能である。
【0098】
(B)請求項3に記載の空調用レジスタを製造する方法であって、
前記ストッパを有する前記フィンを樹脂成形するとともに、前記特定側壁部が前記第2壁部に接続された状態の前記ノブを樹脂成形した後に、前記フィンを一方の端部から前記ノブの両側壁部に挿通させ、この状態で前記ノブを前記フィンの前記長手方向にスライドさせ、前記ストッパにより前記特定側壁部を前記第2壁部から分離させながら、同ストッパを前記ノブ内に挿入させる空調用レジスタの製造方法。
【0099】
上記の製造方法によれば、特定側壁部が第2壁部に接続された状態のノブが樹脂成形によって形成される。そのため、第1壁部及び第2壁部が変形した状態で成形されることが抑制され、それらの第1壁部及び第2壁部を所望の形状に成形することが可能である。
【0100】
また、ストッパをノブ内に組み付ける際には、フィンが、一方の端部からノブの両側壁部に挿通される。この状態で、ノブがフィンの長手方向にスライドされる。ストッパにより特定側壁部の第2壁部との接続部分が破断されながら、同ストッパがノブ内に挿入される。ストッパがノブ内に配置された状態では、特定側壁部が分離部において第2壁部から分離した状態となる。