特許第6769326号(P6769326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769326
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】車両の照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/74 20170101AFI20201005BHJP
   B60Q 3/80 20170101ALI20201005BHJP
【FI】
   B60Q3/74
   B60Q3/80
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-21517(P2017-21517)
(22)【出願日】2017年2月8日
(65)【公開番号】特開2018-127101(P2018-127101A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2019年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小見 良介
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−122442(JP,U)
【文献】 特開2009−149257(JP,A)
【文献】 特開2005−145316(JP,A)
【文献】 特開2003−081012(JP,A)
【文献】 特開2014−136570(JP,A)
【文献】 特開2015−168384(JP,A)
【文献】 特開2005−289226(JP,A)
【文献】 特開2005−271851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアが閉状態であることを検出するドア開閉検出部と、
シートベルトの着用および非着用を検出するベルト着用検出部と、
車室内を照らすライトと、
前記ドアの閉状態が検出されているときにおいて、前記シートベルトの着用が検出された状態から同シートベルトの非着用が検出される状態に移行したときに、前記ライトを点灯するライト点灯部とを備え
前記ライト点灯部は、前記ライトの点灯後において、前記ライトの点灯継続時間が所定時間以上であり、且つ前記シートベルトの非着用が検出された状態から前記シートベルトの着用が検出される状態に移行したときに、同ライトを消灯する車両の照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の照明装置において、
前記車両は、前記ライトが複数設けられるとともに、前記ベルト着用検出部を各別に有する複数の座席が設けられており、
前記ライト点灯部は、複数の前記ライトのうち、前記シートベルトの着用が検出された状態から同シートベルトの非着用が検出される状態に移行した前記座席を照らすライトを少なくとも点灯させることを特徴とする車両の照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の照明装置において、
当該照明装置は、前記座席への着座および同座席からの離座を検出する着座検出部を備えて、前記複数の座席に対して前記ベルト着用検出部および前記着座検出部が各別に設けられており、
前記ライト点灯部は、前記複数の座席のうちのいずれかの状態が前記座席への着座と前記シートベルトの着用とが共に検出された状態から前記シートベルトの非着用と前記座席からの離座とが共に検出される状態に移行したときに、同移行した前記座席を照らすライトを点灯させる
ことを特徴とする車両の照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両の照明装置において、
前記ライトは、前記複数の座席に対して各別に設けられている
ことを特徴とする車両の照明装置。
【請求項5】
請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の車両の照明装置において、
前記ライト点灯部は、前記車両が走行状態であるときには、前記ライトの点灯を禁止する
ことを特徴とする車両の照明装置。
【請求項6】
請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の車両の照明装置において、
当該照明装置は、前記ドアが開状態であるときに前記ライトを点灯するドア開点灯部を備え、同ドア開点灯部による点灯時における前記ライトの光束よりも、前記ライト点灯部による点灯時における前記ライトの光束が小さい
ことを特徴とする車両の照明装置。
【請求項7】
請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の車両の照明装置において、
前記車両は、運転席を含む前部座席と同前部座席よりも後方側に配置される後部座席とが設けられており、
前記ライト点灯部による点灯対象の前記ライトは前記後部座席を照らすライトである
ことを特徴とする車両の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内を照らすライトを有する車両の照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、座席を照らすライトや乗員の足元を照らすライトなど、車室内を照らす複数のライトが設けられている。こうしたライトの一部は、車室内に設けられたスイッチの操作を通じて点灯および消灯を切替可能になっている。また、車室内のライトを乗員の乗降に合わせて自動的に点灯させる照明装置が実用されている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の照明装置では、ドアが開かれるとライトが自動的に点灯するようになっている。また、その後においてドアが閉じられるとともに、乗員が座席に着座してシートベルトを着用したり、ドアが閉じられてから所定期間が経過したりすると、ライトは自動的に消灯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−230338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記照明装置では、乗車後においてライトが一旦消灯すると、ドアを開けたりスイッチを操作したりしない限り、ライトは点灯しない。そのため、車室内が暗い状態での車両運転時(夜間における交差点での停車時など)において、乗員がこぼした飲料を拭き取ったりフロアに落とした物を拾ったりするなど、乗員が車室内で何らか行動する際には、車室内が暗くスイッチの操作もままならないために乗員に不便さを感じさせてしまう。
【0006】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車室の使用にかかる利便性を向上させることのできる車両の照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための車両の照明装置は、ドアが閉状態であることを検出するドア開閉検出部と、シートベルトの着用および非着用を検出するベルト着用検出部と、車室内を照らすライトと、前記ドアの閉状態が検出されているときにおいて、前記シートベルトの着用が検出された状態から同シートベルトの非着用が検出される状態に移行したときに、前記ライトを点灯するライト点灯部とを備える。
【0008】
上記構成によれば、車両の運転中にシートベルトを外したときに、乗員が車室内において何らか行動する可能性があるとして、車室内を照らすライトを点灯させることができる。これにより、車室を自動的に明るくした状態で乗員が行動することができるため、車室の使用にかかる利便性を向上させることができる。
【0009】
上記照明装置において、前記車両は、前記ライトが複数設けられるとともに、前記ベルト着用検出部を各別に有する複数の座席が設けられており、前記ライト点灯部は、複数の前記ライトのうち、前記シートベルトの着用が検出された状態から同シートベルトの非着用が検出される状態に移行した前記座席を照らすライトを少なくとも点灯させる。
【0010】
上記構成によれば、車室内で行動する可能性のある乗員が行動前に着座していた座席を各ベルト着用検出部の検出結果をもとに特定して照らすことができる。そのため、車室内における乗員の行動を的確に補助することができる。
【0011】
上記照明装置において、当該照明装置は、前記座席への着座および同座席からの離座を検出する着座検出部を備えて、前記複数の座席に対して前記ベルト着用検出部および前記着座検出部が各別に設けられており、前記ライト点灯部は、前記複数の座席のうちのいずれかの状態が前記座席への着座と前記シートベルトの着用とが共に検出された状態から前記シートベルトの非着用と前記座席からの離座とが共に検出される状態に移行したときに、同移行した前記座席を照らすライトを点灯させる。
【0012】
上記構成によれば、シートベルトが非着用になったことを検出することに合わせて乗員が離座したことを検出することによって、シートベルトを外した乗員が着座していた座席を正確に特定して照らすことができる。
【0013】
上記照明装置において、前記ライトは、前記複数の座席に対して各別に設けられていることが好ましい。
上記構成によれば、車室内で乗員が何らか行動する可能性があるときに、同乗員が着座していた座席を専用のライトによって的確に照らすことができる。
【0014】
上記照明装置において、前記ライト点灯部は、前記ライトの点灯後において前記シートベルトの非着用が検出された状態から前記シートベルトの着用が検出される状態に移行したときに、同ライトを消灯することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、一旦点灯したライトを、一旦シートベルトを外した乗員が座席に座り直してシートベルトを装着したときに、車室内における乗員の行動が終了したとして、自動的に消灯することができる。
【0016】
上記照明装置において、前記ライト点灯部は、前記車両が走行状態であるときには、前記ライトの点灯を禁止する。
上記構成によれば、車両走行中にはライトが自動点灯しないようにすることができる。
【0017】
上記照明装置において、当該照明装置は、前記ドアが開状態であるときに前記ライトを点灯するドア開点灯部を備え、同ドア開点灯部による点灯時における前記ライトの光束よりも、前記ライト点灯部による点灯時における前記ライトの光束が小さい。
【0018】
上記構成によれば、ドアを開いて乗員が乗降する際には車室内を明るく照らす一方で、ドアを閉じた状態での車両運転時においては明るさを抑えつつ車室内を照らすといったように、状況に合わせて車室内を照らすことができる。
【0019】
上記照明装置において、前記車両は、運転席を含む前部座席と同前部座席よりも後方側に配置される後部座席とが設けられており、前記ライト点灯部による点灯対象の前記ライトは前記後部座席を照らすライトである。
【0020】
上記構成によれば、ライト点灯部によってライトを自動点灯する構成を、前部座席を照らすライトには適用せず、後部座席を照らすライトにのみ適用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車室の使用にかかる利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態の車両の照明装置の概略構成を示す略図。
図2】同照明装置の回路構造を示すブロック図。
図3】乗降時点灯制御の実行手順を示すフローチャート。
図4】運転時点灯制御の実行手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、車両の照明装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両10は、車室11内に、前後方向(図1の上下方向)において3列に並ぶ座席を有している。最前列の前部座席21は運転席21Rと助手席21Lとからなり、二列目座席22は右側座席22Rと左側座席22Lとからなり、三列目座席23は右側座席23Rと左側座席23Lとからなる。本実施形態では、二列目座席22と三列目座席23とが後部座席に相当する。
【0024】
各座席(詳しくは、運転席21R、助手席21L、右側座席22R,23R、および左側座席22L,23L)にはそれぞれ、座席への着座および同座席からの離座を検出する着座検出部としての着座センサ41と、シートベルトの着用および非着用を検出するベルト着用検出部としてのシートベルトセンサ43とが設けられている。
【0025】
車両10は、運転席ドア31、助手席ドア32、右側スライドドア33、左側スライドドア34、およびバックドア35といった5枚のドアを有している。それらドア31〜35の近傍にはそれぞれ、ドアが閉状態であることを検出するドア開閉検出部としてのドアスイッチ44が設けられている。
【0026】
車室11の天井には、前後方向に間隔を置いて並ぶように、3つのルームライト51F,51C,51Rが取り付けられている。前方のルームライト51Fは前方側の前部座席21を照らす態様で設けられており、中央のルームライト51Cは二列目座席22を照らす態様で設けられており、後方のルームライト51Rは三列目座席23を照らす態様で設けられている。これらルームライト51F,51C,51Rは、それぞれ操作スイッチ(図示略)が一体に設けられており、同スイッチの手動操作を通じて点灯および消灯の切替が可能になっている。
【0027】
また車室11の天井には、二列目座席22の右側座席22Rを照らすスポットライト52Rと、二列目座席22の左側座席22Lを照らすスポットライト52Lと、三列目座席23の右側座席23Rを照らすスポットライト53Rと、三列目座席23の左側座席23Lを照らすスポットライト53Lとが取り付けられている。これらスポットライト52R,52L,53R,53Lは、それぞれ操作スイッチ(図示略)が一体に設けられており、同スイッチの手動操作を通じて点灯および消灯の切替が可能になっている。
【0028】
車両10には、走行速度を検出するための速度センサ45が設けられている。
図1および図2に示すように、車両10は、例えばマイクロコンピュータなどからなる電子制御装置40を備えている。この電子制御装置40は、各種センサ類の検出信号を取り込むとともに、それら検出信号に基づき各種の演算を行い、その演算結果に基づいて各ライト(ルームライト51F,51C,51Rおよびスポットライト52R,52L,53R,53L)の点灯および消灯を切り替える制御を実行する。本実施形態では、電子制御装置40がドア開点灯部およびライト点灯部に相当する。
【0029】
本実施形態では、乗員の乗降に際して各ルームライト51F,51C,51Rを点灯させる乗降時点灯制御が実行される。
以下、乗降時点灯制御の実行手順について説明する。図3は乗降時点灯制御の具体的な実行手順を示しており、同図のフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の処理として、電子制御装置40により実行される。
【0030】
図3に示すように、この処理では、各ドア(運転席ドア31、助手席ドア32、各スライドドア33,34、およびバックドア35)のいずれかが開かれると(ステップS11:YES)、各ルームライト51F,51C,51Rが点灯される(ステップS12)。
【0031】
そして、その後において各ドア31〜35の全てが閉じられると(ステップS11:NO)、各ルームライト51F,51C,51Rが点灯しているときには(ステップS13:YES)、以下の(消灯条件A)および(消灯条件B)の少なくとも一方が満たされるか否かが判断される(ステップS14およびステップS15)。
【0032】
(消灯条件A)各ルームライト51F,51C,51Rの点灯継続時間が所定時間T1以上であること。
(消灯条件B)着座センサ41によって乗員の着座が検出されている座席の全てにおいて、シートベルトセンサ43によってシートベルトの着用が検出されていること。
【0033】
そして(消灯条件A)および(消灯条件B)が共に満たされない場合には(ステップS14:NO、且つステップS15:NO)、乗車した乗員がシートベルトを着用していない可能性があり、各ドア31〜35の全てが閉じられてからさほど時間が経っていないとして、各ルームライト51F,51C,51Rの点灯が継続される(ステップS12)。
【0034】
その後において、(消灯条件A)が満たされると(ステップS14:YES)、各ルームライト51F,51C,51Rの点灯時間が長くなっているとして、各ルームライト51F,51C,51Rが消灯される(ステップS16)。一方、(消灯条件A)が満たされる前に(消灯条件B)が満たされると(ステップS14:NO、且つステップS15:YES)、乗車した全ての乗員が座席に着座してシートベルトを着用したとして、各ルームライト51F,51C,51Rが消灯される(ステップS16)。
【0035】
このようにして各ルームライト51F,51C,51Rが消灯された後は、各ドア31〜35のいずれかが開かれない限り(ステップS11:NO、且つステップS14:NO)、各ルームライト51F,51C,51Rを点灯する処理(ステップS12)は実行されない。
【0036】
ここで本実施形態の照明装置では、乗車後においてルームライト51F,51C,51Rが一旦消灯すると、各ドア31〜35のいずれかを開けたり操作スイッチを操作したりしない限りルームライト51F,51C,51Rは点灯しない。そのため、車室11内が暗い状態での車両10の運転時(夜間における交差点での停車時など)において、こぼした飲料を拭き取ったりフロアに落とした物を拾ったりするなど、乗員が車室11内で何らか行動する際に、車室11内が暗く操作スイッチの操作もままならないために乗員に不便さを感じさせてしまう。また、ルームライト51F,51C,51Rやスポットライト52R,52L,53R,53Lの操作スイッチは車室11の天井に設けられており、背が低い乗員(例えば子供)は座席に着座した状態のままでは操作スイッチに手が届かないため、同乗員にとって操作スイッチの操作は煩わしいものになってしまう。
【0037】
この点をふまえて本実施形態では、車両10の運転中に乗員がシートベルトを外したときに、同乗員が車室11内において何らか行動する可能性があるとして、スポットライト52R,52L,53R,53Lを点灯させる制御(運転時点灯制御)を実行するようにしている。これにより、車室11を自動的に明るくした状態で乗員が行動することができるため、車室11の使用にかかる利便性を向上させることができる。
【0038】
以下、運転時点灯制御の実行手順について説明する。図4は運転時点灯制御の具体的な実行手順を示しており、同図のフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の処理として、電子制御装置40により実行される。
【0039】
なお運転時点灯制御は、二列目座席22の右側座席22R(および、これを照らすスポットライト52R)と、二列目座席22の左側座席22L(同スポットライト52L)と、三列目座席23の右側座席23R(同スポットライト53R)と、三列目座席23の左側座席23L(同スポットライト53L)とについて各別に実行される。各座席22R,22L,23R,23Lにかかる運転時点灯制御の実行手順は同様であるため、以下では二列目座席22の右側座席22Rにかかる運転時点灯制御の実行手順についてのみ説明し、他の座席22L,23R,23Lにかかる運転時点灯制御の実行手順の説明は省略する。
【0040】
図4に示すように、この処理では先ず、各ドア31〜35の全てが閉じられているか否かが判断される(ステップS21)。各ドア31〜35のいずれかが開かれている場合には(ステップS21:NO)、乗員の乗降や荷物の積み卸しが行われているなど、車両10が運転中ではないために以下の処理は実行されない。
【0041】
一方、各ドア31〜35の全てが閉じられている場合には(ステップS21:YES)、スポットライト52Rが消灯しているときにおいて(ステップS22:YES)、右側座席22Rの状態が以下の(状態A)から(状態B)に移行したか否かが判断される(ステップS23)。
【0042】
(状態A)着座センサ41によって右側座席22Rへの着座が検出されるとともにシートベルトセンサ43によってシートベルトの着用が検出されている。
(状態B)着座センサ41によって右側座席22Rからの離座が検出されるとともにシートベルトセンサ43によってシートベルトの非着用が検出されている。
【0043】
そして、右側座席22Rの状態が上記(状態A)から(状態B)に移行していない場合には(ステップS23:NO)、スポットライト52Rを点灯することなく(ステップS24およびステップS25の処理をジャンプして)、本処理は一旦終了される。
【0044】
その後、右側座席22Rの状態が(状態A)から(状態B)に移行すると(ステップS23:YES)、車両10の走行速度が所定速度(例えば2km毎時)未満であることを条件に(ステップS24:YES)、スポットライト52Rが点灯される(ステップS25)。なお本処理では、車両10の走行速度が所定速度以上であるときには(ステップS24:NO)、車両10が走行状態であるとして、スポットライト52Rは点灯されない(ステップS25の処理がジャンプされる)。
【0045】
本処理によれば、車両10の運転中において右側座席22Rに着座した乗員がシートベルトを外したときに、その乗員が車室11内(右側座席22R付近)において何らか行動する可能性があるとして、右側座席22Rを照らすスポットライト52Rを点灯させることができる。これにより、車室11内が暗い状態での車両10の運転時(夜間における交差点での停車時など)において、右側座席22R付近を自動的に明るくした状態で乗員が行動することができるため、車室11の使用にかかる利便性を向上させることができる。
【0046】
また、本処理では、右側座席22Rに対して設けられたシートベルトセンサ43によってシートベルトが非着用になったことを検出することに合わせて、右側座席22Rに対して設けられた着座センサ41によって乗員が離座したことが検出される。そのため、シートベルトが非着用になったことのみを検出する場合と比べて、シートベルトを外した乗員が右側座席22Rに着座していたことを正確に特定して、同右側座席22Rを照らすことができる。
【0047】
図4に示すように、本処理において、車両10の運転中にスポットライト52Rが点灯すると(ステップS21:YES、且つステップS22:NO)、以下の(消灯条件C)および(消灯条件D)の少なくとも一方が満たされるか否かが判断される(ステップS26およびステップS27)。
【0048】
(消灯条件C)スポットライト52Rの点灯継続時間が所定時間T2以上であること。
(消灯条件D)スポットライト52Rの点灯中に、右側座席22Rの状態が前記(状態B)から(状態A)に移行したこと。
【0049】
そして(消灯条件C)および(消灯条件D)が共に満たされていない場合には(ステップS26:NO、且つステップS27:NO)、車室11内において乗員が未だ行動している状態であり、スポットライト52Rが点灯してからさほど時間が経っていないとして、スポットライト52Rの点灯が継続される(ステップS28の処理がジャンプされる)。
【0050】
その後において(消灯条件C)が満たされると(ステップS26:YES)、スポットライト52Rの点灯時間が長くなっているとして、同スポットライト52Rが消灯される(ステップS28)。これにより、スポットライト52Rが不要に長い時間点灯した状態のままになることが抑えられる。
【0051】
一方、(消灯条件C)が満たされる前に(消灯条件D)が満たされると(ステップS26:NO、且つステップS27:YES)、一旦シートベルトを外した乗員が右側座席22Rに座り直してシートベルトを装着したとして、スポットライト52Rが消灯される(ステップS28)。
【0052】
本処理によれば、一旦シートベルトを外した乗員が右側座席22Rに座り直してシートベルトを装着したときに、車室11内における乗員の行動が終了したとして、運転時点灯制御を通じて点灯させたスポットライト52Rを消灯させることができる。このように、乗員の行動に合わせてスポットライト52Rを自動的に消灯させることができる。
【0053】
しかも、車室11内における乗員の行動が終了して乗員が右側座席22Rに座り直した場合であっても、その乗員がシートベルトを着用しない場合にはスポットライト52Rは消灯せずに点灯したままの状況になるため、この状況によって乗員に違和感を生じさせることによってシートベルトの着用を促すことが可能になる。
【0054】
上述した運転時点灯制御は、後部座席を構成する四つの座席(右側座席22R,23R、および左側座席22L,23L)について各別に実行される。そのため、それら座席22R,23R,22L,23L毎に設けられたシートベルトセンサ43および着座センサ41の検出結果をもとに、車室11内で行動する可能性のある乗員が行動前に着座していた座席を精度良く特定するとともに、その特定した座席を照らすことができる。したがって、車室11内における乗員の行動を的確に補助することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)車両10の運転中において座席に着座した乗員がシートベルトを外したときに、その乗員が車室11内において何らか行動する可能性があるとして、乗員が着座していた座席を照らすスポットライトを点灯させることができる。これにより、車室11内が暗い状態での車両10の運転時において同車室11内を自動的に明るくした状態で乗員が行動することができるため、車室11の使用にかかる利便性を向上させることができる。
【0056】
(2)座席22R,23R,22L,23L毎に設けられたシートベルトセンサ43および着座センサ41の検出結果をもとに、車室11内で行動する可能性のある乗員が行動前に着座していた座席を精度良く特定するとともに、その特定した座席を照らすことができる。したがって、車室11内における乗員の行動を的確に補助することができる。
【0057】
(3)各座席22R,23R,22L,23Lのうちのいずれかの状態が、座席への着座とシートベルトの着用とが共に検出された状態から、シートベルトの非着用と座席からの離座とが共に検出される状態に移行したときに、同移行した座席を照らすスポットライトを点灯させるようにした。そのため、シートベルトの着用が検出された状態から同シートベルトの非着用が検出される状態に移行したことのみを監視する装置と比べて、シートベルトを外した乗員が着座していた座席を正確に特定して照らすことができる。
【0058】
(4)各座席22R,23R,22L,23Lに対して各別にスポットライト52R,52L,53R,53Lが設けられている。そのため、車室11内で乗員が何らか行動する可能性があるときに、同乗員が着座していた座席を専用のスポットライトによって的確に照らすことができる。
【0059】
(5)スポットライト52R,52L,53R,53Lの点灯後においてシートベルトの非着用が検出された状態から同シートベルトの着用が検出される状態に移行したときに、同スポットライト52R,52L,53R,53Lを消灯するようにした。そのため、一旦シートベルトを外した乗員が座席に座り直してシートベルトを装着したときに、車室11内における乗員の行動が終了したとして、運転時点灯制御を通じて点灯させたスポットライト52R,52L,53R,53Lを消灯することができる。
【0060】
(6)車両10の走行中には、スポットライト52R,52L,53R,53Lが自動点灯しないように、その点灯を禁止することができる。
(7)運転時自動制御を通じてライトを自動点灯する構成を、前部座席21を照らすライトには適用せず、後部座席を照らすスポットライト52R,52L,53R,53Lにのみ適用することができる。
【0061】
<変形例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・着座センサ41や、シートベルトセンサ43、ドアスイッチ44としては、任意のセンサ類(センサやスイッチなど)を用いることができる。
【0062】
・照度センサなどによって車外の明るさを検出するとともに、その検出した明るさが所定レベルより低いことを条件に、運転時点灯制御を通じたスポットライト52R,52L,53R,53Lの点灯を許可するようにしてもよい。こうした構成によれば、車室11内が明るい状態での車両10の運転時(昼間における交差点での停車時など)に、スポットライト52R,52L,53R,53Lが無駄に点灯されてしまうことを抑えることができる。
【0063】
・運転時点灯制御を通じて、前記(状態A)から(状態B)に移行した座席(例えば右側座席22R)を照らすスポットライトを点灯させることに合わせて、同座席と車幅方向において隣り合う座席(例えば、左側座席22L)を照らすスポットライトを点灯させるようにしてもよい。こうした構成によれば、車室11内で行動する可能性のある乗員が行動前に着座していた座席を照らすことに加えて、同座席の周辺を照らすことができる。
【0064】
・各座席22R,22L,23R,23Lのいずれかの状態が(状態A)から(状態B)に移行した場合に、全てのスポットライト52R,52L,53R,53Lを点灯させるようにしてもよい。こうした構成によっても、車室11を自動的に明るくした状態で乗員が行動することができるため、車室11の使用にかかる利便性を向上させることができる。
【0065】
・運転時点灯制御を適用する座席に助手席21Lを加えてもよい。こうした構成によれば、車両10の運転中において助手席21Lに着座した乗員がシートベルトを外したときに、その乗員が助手席21L近辺において何らか行動する可能性があるとして、助手席21Lを照らすライト(具体的には、ルームライト51F、あるいはスポットライト)を点灯させることができる。
【0066】
・運転時点灯制御においてスポットライト52R,52L,53R,53Lを消灯させる条件は、(消灯条件C)および(消灯条件D)の一方を省略するなど、任意に変更することができる。
【0067】
・運転時点灯制御(図4)におけるステップS24の処理を省略してもよい。こうした構成によれば、車両10の運転時において後部座席のいずれかの状態が(状態A)から(状態B)に移行した場合に(ステップS23:YES)、車両10の走行速度によることなく、状態が移行した座席を照らすスポットライトが点灯するようになる(ステップS25)。
【0068】
・運転時点灯制御(図4)のステップS23の処理において、シートベルトの着用が検出された状態から同シートベルトの非着用が検出される状態に移行したか否かを判断するようにしてもよい。こうした構成によれば、車両10の運転中にシートベルトを外したときに、乗員が車室11内において何らか行動する可能性があるとして、車室11内を照らすライトを点灯させることができる。
【0069】
また、運転時点灯制御(図4)のステップS27の処理において、スポットライトの点灯中においてシートベルトの非着用が検出された状態から同シートベルトの着用が検出される状態に移行したか否かを判断するようにしてもよい。こうした構成によっても、運転時点灯制御を通じて点灯したライトを、一旦シートベルトを外した乗員が座席に座り直してシートベルトを装着したときに、車室11内における乗員の行動が終了したとして、自動的に消灯することができる。
【0070】
・スポットライト52R,52L,53R,53Lの点灯および消灯を切り替えることに代えて、ルームライト51C,51Rの点灯および消灯を切り替えるようにしてもよい。この場合には、スポットライト52R,52L,53R,53Lを省略することができる。こうした構成では、二列目座席22の右側座席22Rおよび左側座席22Lを照らすライトとしては中央のルームライト51Cを用いるとともに、三列目座席23の右側座席23Rおよび左側座席23Lを照らすライトとしては後方のルームライト51Rを用いればよい。
【0071】
こうした構成においては、運転時点灯制御(図4のステップS25の処理)による点灯時におけるルームライト51C,51Rの光束を、乗降時点灯制御(図3のステップS12の処理)による点灯時におけるルームライト51C,51Rの光束と比較して小さくすることができる。こうした構成によれば、各ドア31〜35のいずれかを開いて乗員が乗降する際には車室11内を明るく照らす一方で、各ドア31〜35の全てを閉じた状態での車両10の運転時においてルームライト51C,51Rが自動点灯する際には明るさを抑えつつ車室11内を照らすことができる。したがって、状況に合わせて車室11内を照らす明るさを切り替えることができる。
【0072】
・前後方向において二列に並ぶ座席を有する車両にも、上記実施形態の照明装置は適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
10…車両、11…車室、21…前部座席、21R…運転席、21L…助手席、22…二列目座席、22R…右側座席、22L…左側座席、23…三列目座席、23R…右側座席、23L…左側座席、31…運転席ドア、32…助手席ドア、33…右側スライドドア、34…左側スライドドア、35…バックドア、40…電子制御装置、41…着座センサ、43…シートベルトセンサ、44…ドアスイッチ、45…速度センサ、51F,51C,51R…ルームライト、52R,52L,53R,53L…スポットライト。
図1
図2
図3
図4