(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態による画像形成装置について、レーザープリンターを例にとって説明する。
【0014】
<画像形成装置の構成>
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100の本体は、印刷ジョブを実行する印刷部10を備える。印刷部10は、本体給紙部11、画像形成部12および定着部13を含む。また、印刷部10には、用紙Pを搬送するための本体搬送路P1が設けられる。
【0015】
本体給紙部11は、本体カセットCA1に収容された用紙Pを本体搬送路P1に給紙する。本体搬送路P1に給紙された用紙Pは、本体搬送路P1に沿って搬送され、最終的に排出トレイETに排出される。
【0016】
画像形成部12は、印刷すべき画像の画像データに基づきトナー像を形成し、本体搬送路P1に給紙された用紙P(搬送中の用紙P)にトナー像を転写する。定着部13は、トナー像が転写された用紙Pを加圧および加熱し、用紙Pにトナー像を定着させる。
【0017】
ここで、画像形成装置100は、本体給紙部11とは別に、本体搬送路P1に用紙Pを給紙する給紙ユニット20を備える。給紙ユニット20は、画像形成装置100の本体(印刷部10)の下方に装着される。たとえば、給紙ユニット20は、オプション装置であり、画像形成装置100の本体に対して着脱可能である。
【0018】
給紙ユニット20には、給紙搬送路P2が設けられる。画像形成装置100の本体に給紙ユニット20が装着されると、給紙搬送路P2は本体搬送路P1に接続され、本体搬送路P1と共に用紙Pの搬送路を形成する。
【0019】
給紙ユニット20は、ピックアップローラー21、給紙ローラー対22および搬送ローラー対23を備える。また、給紙ユニット20には、給紙ユニット20に用紙Pを収容するための増設カセットCA2が装着される。
【0020】
ピックアップローラー21は、増設カセットCA2に収容された用紙Pと当接し、その状態で回転することによって、増設カセットCA2から用紙Pを引き出す。給紙ローラー対22は、回転することによって、増設カセットCA2から引き出された用紙Pを給紙搬送路P2に送り出す。搬送ローラー対23は、回転することによって、給紙ローラー対22からの用紙Pを本体搬送路P1に向けて搬送する。これにより、給紙ユニット20から印刷部10に用紙Pが給紙される。
【0021】
画像形成装置100の本体に対する給紙ユニット20の装着数は特に限定されない。給紙ユニット20の装着数は1台でもよいし複数台でもよい。
図1には、給紙ユニット20が2台装着された画像形成装置100を図示する。
【0022】
画像形成装置100は、操作パネル30をさらに備える。操作パネル30は、表示部31および操作部32を含む。表示部31は、液晶表示パネルからなり、画像形成装置100の装置状態を示すメッセージなどを表示する。操作部32は、ハードウェアキーからなり、各種設定をユーザーから受け付ける。
【0023】
また、
図2に示すように、画像形成装置100は、本体制御部110を備える。本体制御部110は、本体CPU111および本体メモリー112を含む。本体CPU111は「本体処理部」に相当する。
【0024】
本体CPU111は、画像形成装置100の全体を制御するための処理を実行する。たとえば、本体CPU111は、印刷部10の印刷動作を制御する。また、本体CPU111は、給紙ユニット20に制御指示を与える。さらに、本体CPU111は、操作パネル30の表示動作を制御するとともに、操作パネル30に対して行われた操作を検知する。
【0025】
本体メモリー112は、不揮発性メモリーである本体ROM113および揮発性メモリーである本体RAM114を含む。本体CPU111を動作させるためのプログラムおよびデータは、本体ROMに113記憶され、本体RAM114に展開される。また、本体ROM113は、画像形成装置100に現在装着されている給紙ユニット20が印刷部10に給紙した用紙Pの累積枚数を示す情報N1(以下、本体側情報N1と称する)を不揮発的に記憶する。本体ROM113は「本体記憶部」に相当する。
【0026】
給紙ユニット20は、給紙制御部120を備える。給紙制御部120は、給紙CPU121および給紙メモリー122を含む。給紙CPU121は、給紙ユニット20を制御するための処理を実行する。
【0027】
給紙CPU121は、本体CPU111と通信可能に接続される。そして、給紙CPU121は、本体CPU111から指示を受け、給紙ユニット20の給紙動作を制御する。たとえば、給紙CPU121は、給紙モーター20Mおよび給紙クラッチ20Cの各動作を制御する。給紙モーター20Mは、ピックアップローラー21、給紙ローラー対22および搬送ローラー対23を回転させるためのモーターである。給紙クラッチ20Cは、ピックアップローラー21と給紙モーター20Mとの連結のオンオフを切り替えるためのクラッチである。
【0028】
給紙メモリー122は、
図3に示すように、不揮発性メモリーである給紙ROM123および揮発性メモリーである給紙RAM124を含む。給紙CPU121を動作させるためのプログラムおよびデータは、給紙ROM123に記憶され、給紙RAM124に展開される。また、給紙ROM123は、自身が設置された給紙ユニット20(自機)が印刷部10に給紙した用紙Pの累積枚数を示す情報N2(以下、ユニット側情報N2と称する)を不揮発的に記憶する。給紙ROM123は「給紙記憶部」に相当する。
【0029】
なお、給紙CPU121は給紙ユニット20に設置されなくてもよい。この場合には、たとえば、給紙メモリー122への情報の書き込みおよび給紙メモリー122からの情報の読み出しを本体CPU111が行う。また、給紙モーター20Mおよび給紙クラッチ20Cの各動作の制御を本体CPU111が行う。
【0030】
図2に戻って、画像形成装置100は、通信部40を備える。通信部40は、画像形成装置100に外部機器を通信可能に接続するためのインターフェースであり、通信用回路などを含む。本体CPU111は、通信部40を介して、外部機器と通信する。
【0031】
たとえば、画像形成装置100には、画像形成装置100のユーザーにより使用されるユーザー端末200が通信可能に接続される。なお、ユーザー端末200はパーソナルコンピューター(PC)などであり、ユーザー端末200にはプリンタードライバーがインストールされる。ユーザー端末200からは、印刷ジョブの実行指示、印刷すべき画像の画像データ、および、ジョブ実行条件などを含むジョブデータが送信される。
【0032】
通信部40は、ユーザー端末200からのジョブデータを受信する。通信部40がジョブデータを受信すると、本体CPU111は、印刷ジョブの実行指示をユーザーから受け付けたと判断する。そして、本体CPU111は、ジョブデータに基づく印刷ジョブを実行するための処理を行う。
【0033】
また、画像形成装置100は、電源部50を備える。電源部50は、電圧を生成する電源回路や、電力供給を制御する電源制御回路などを含む。電源部50は、印刷部10、給紙ユニット20、操作パネル30、通信部40および本体制御部110など画像形成装置100の各部を動作させるための電圧を生成し、当該各部へ電力を供給する。本体CPU111は、電源部50の電力供給動作を制御する。
【0034】
画像形成装置100には、画像形成装置100の主電源の投入と遮断とを行うための電源スイッチSWが設けられる。電源スイッチSWは、ユーザーによって操作される。たとえば、電源スイッチSWは、操作パネル30に配置される。電源スイッチSWを操作して主電源を投入すると、電源部50が電力供給動作を開始することにより、画像形成装置100が使用可能な状態となる。
【0035】
なお、本体CPU111は、主電源を遮断するための操作が電源スイッチSWに対して行われたことを検知すると、画像形成装置100を安全にシャットダウンするのに必要な予め定められたシャットダウン処理を行う。そして、本体CPU111は、シャットダウン処理が終了した後、電源部50の電力供給動作を停止させる。
【0036】
<給紙ユニットからの給紙>
以下に、給紙ユニット20を使用する印刷ジョブ(給紙ユニット20に収容された用紙Pを印刷部10に給紙して当該用紙Pに画像を印刷するジョブ)について説明する。以下の説明では、給紙ユニット20を使用する印刷ジョブを単に印刷ジョブと称する。
【0037】
ユーザーが画像形成装置100に印刷ジョブの実行を指示すると、本体CPU111から給紙CPU121に対して、印刷ジョブを開始する旨の通知が送信される。その後、本体CPU111から給紙CPU121に対して、給紙ユニット20に給紙を行わせるための給紙指示が送信される。
【0038】
給紙CPU121は、本体CPU111から給紙指示を受けると、増設カセットCA2から給紙搬送路P2への給紙を開始する。このとき、給紙CPU121は、給紙モーター20Mを駆動させる。また、給紙CPU121は、給紙クラッチ20Cをオン状態に切り替える(ピックアップローラー21と給紙モーター20Mとを連結させる)。すなわち、給紙CPU121は、ピックアップローラー21、給紙ローラー対22および搬送ローラー対23を回転させる。これにより、給紙ユニット20から印刷部10に用紙Pが給紙される。
【0039】
給紙CPU121は、用紙Pの給紙を開始して以降、給紙中の用紙Pがピックアップローラー21の設置位置を通過する前(ただし、給紙中の用紙Pが給紙ローラー対22にニップされた後)、すなわち、回転中のピックアップローラー21が次用紙Pに当接する前に、給紙クラッチ20Cをオフ状態に切り替える(ピックアップローラー21と給紙モーター20Mとの連結を解除する)。これにより、給紙中の用紙Pがピックアップローラー31の設置位置を通過した後、当該用紙Pに連なって次用紙Pが給紙されることはない。
【0040】
たとえば、用紙Pの有無を検知するための用紙センサー(図示せず)が給紙搬送路P2に設けられる。そして、給紙CPU121は、用紙センサーの検知位置に用紙Pの先端が到達してからの経過時間に基づき、給紙クラッチ20Cをオフ状態に切り替えるタイミングを計る。あるいは、給紙CPU121は、給紙開始から所定時間が経過したとき、給紙クラッチ20Cをオフ状態に切り替える。なお、本体CPU111から給紙CPU121に対して、給紙クラッチ20Cをオフ状態に切り替えるタイミングが通知されてもよい。
【0041】
本体CPU111は、給紙CPU121に給紙指示を送信して以降、給紙ユニット20による用紙Pの給紙が行われたか否かを判断する。たとえば、給紙CPU121は、給紙クラッチ20Cをオン状態に切り替えたとき、用紙Pの給紙を開始した旨の給紙開始通知を本体CPU111に送信する。本体CPU111は、給紙CPU121から給紙開始通知を受けると、給紙ユニット20から印刷部10に用紙Pが給紙されたと判断する。
【0042】
印刷ジョブの印刷枚数が複数枚の場合、本体CPU111は、先行用紙Pの給紙後、再度、給紙CPU121に給紙指示を送信する。給紙指示を受けた給紙CPU121は、給紙クラッチ20Cをオン状態に切り替えることにより次用紙Pの給紙を開始する。このとき、給紙CPU121は、再度、給紙開始通知を本体CPU111に送信する。その後、次用紙Pの給紙が終わると、給紙CPU121は、給紙クラッチ20Cをオフ状態に切り替える。これ以降、本体CPU111は、給紙ユニット20から印刷部10に給紙すべき枚数分の用紙Pの給紙が終わるまで、給紙CPU121への給紙指示の送信を繰り返す。
【0043】
給紙ユニット20から印刷部10に用紙Pが給紙されると、画像形成部12によって用紙Pにトナー像が転写される。その後、トナー像が転写された用紙Pは、定着部13によって加熱および加圧され、排出トレイETに排出される。
【0044】
<給紙枚数のカウント>
ピックアップローラー21、給紙ローラー対22および搬送ローラー対23など用紙Pの給送を担う給紙ユニット20の各種ローラー(ここでは、給送ローラーと称する場合がある)は、経時的に劣化する。たとえば、給送ローラーが給送した用紙Pの枚数が増加するのに従って、給送ローラーの劣化が大きくなる。
【0045】
給送ローラーの劣化が大きくなった場合には、給送ローラーによる用紙Pの給送が正常に行われなくなり、ジャムの発生原因となる。したがって、この場合には、給送ローラーを交換するなどの対策をとらなければならない。
【0046】
たとえば、給送ローラーを交換すべきか否かの判断は、給送ローラーが給送した用紙Pの累積枚数(すなわち、給紙ユニット20が印刷部10に給紙した用紙Pの累積枚数)に基づき行われる。このようにして給送ローラーの交換時期を判断する場合には、給紙ユニット20が印刷部10に給紙した用紙Pの累積枚数を保持しておく必要がある。
【0047】
このため、本体ROM113は、画像形成装置100に現在装着されている給紙ユニット20が給紙した用紙Pの累積枚数を示す本体側情報N1を記憶する。なお、複数台の給紙ユニット20が画像形成装置100に装着されている場合には、給紙ユニット20ごとに本体側情報N1が記憶される。
【0048】
そして、本体CPU111は、本体側情報N1で示される累積枚数が予め定められた閾値枚数に達したとき(給送ローラーの交換時期に達したとき)、操作パネル30に警告を表示させる。当該警告には、たとえば、メンテナンス(給送ローラーの交換)が必要である旨のメッセージが含まれる。これにより、ユーザーからメンテナンス業者に対してメンテナンス要求がなされるので、給送ローラーの交換など必要な作業がメンテナンス業者によって行われる。
【0049】
ところで、給紙ユニット20は、画像形成装置100に対して着脱可能なオプション装置である。このため、場合によっては、他機に装着されていた給紙ユニット20が画像形成装置100に装着されることがある。したがって、給紙ユニット20には、給紙ユニット20(自機)が給紙した用紙Pの累積枚数を示す情報N2(以下、ユニット側情報N2と称する)を記憶する給紙メモリー122が設けられる。ユニット側情報N2は、給紙ROM123に記憶される。
【0050】
本体CPU111は、画像形成装置100に給紙ユニット20が装着されると、当該給紙ユニット20を認識するとともに、当該給紙ユニット20の給紙メモリー122からユニット側情報N2を読み出し、本体側情報N1として本体メモリー112に記憶させる。これにより、他機に装着されていた給紙ユニット20が画像形成装置100に装着されても、当該給紙ユニット20が給紙した用紙Pの累積枚数を本体CPU111が認識することができる。
【0051】
印刷ジョブの実行中に給紙ユニット20から印刷部10に給紙された用紙Pの枚数(ここでは、単に給紙枚数と称する)は、本体CPU111がカウントする。一方で、給紙CPU121は、給紙枚数のカウントは行わない。
【0052】
たとえば、本体CPU111は、印刷ジョブの実行中、給紙CPU121から給紙開始通知を受信すると、給紙枚数のカウント値を1カウントアップする。印刷ジョブの印刷枚数が複数枚の場合には、給紙CPU121から給紙開始通知を本体CPU111が受信するごとに、給紙枚数のカウント値が1カウントアップされる。本体CPU111は、このときにカウントした給紙枚数のカウント値を本体RAM114に揮発的に記憶させる。
【0053】
また、本体CPU111は、カウントアップ要求を給紙CPU121に送信する。給紙CPU121は、本体CPU111からカウントアップ要求を受信すると、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の累積枚数を更新する。
【0054】
ここで、給紙ROM123には、EEPROMやFlashROMなど書換回数に制限のあるメモリーが使用される。給紙ROM123の書変回数が制限を超えた場合、それ以降、給紙ROM123への情報の書き込みに失敗するという不都合が生じ得る。
【0055】
たとえば、本体CPU111が給紙枚数を1カウントアップするごとに、本体CPU111から給紙CPU121にカウントアップ要求が送信されるとする。この場合、給紙ユニット20が用紙Pを1枚給紙するごとに、給紙CPU121が給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2を書き換えることになる。このため、書換回数が多くなり、給紙ROM123の寿命が短くなる。
【0056】
そこで、本実施形態では、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の書換回数が多くなるのを抑制するための制御(カウントアップ処理)が行われる。
【0057】
(通常のカウントアップ処理)
以下に、
図4に示すフローチャートを参照して、本体CPU111により行われる通常のカウントアップ処理の流れを説明する。
図4に示すフローチャートは、画像形成装置100がユーザーから印刷ジョブの実行指示を受け付けた後、本体CPU111から給紙CPU121に対して給紙指示が送信されたときにスタートする。
【0058】
ステップS1において、本体CPU111は、給紙ユニット20に給紙を行わせるための給紙指示を給紙CPU121に送信する。給紙CPU121が給紙指示を受信すると、ステップS2において、給紙CPU121は、給紙ユニット20から印刷部10への用紙Pの給紙を開始する。言い換えると、本体CPU111は、給紙CPU121に給紙指示を送信することにより、給紙ユニット20から印刷部10への用紙Pの給紙を給紙CPU121に行わせる。このとき、給紙CPU121は、給紙開始通知を本体CPU111に送信する。そして、本体CPU111は、給紙枚数を1カウントアップする(このときのカウント値は本体RAM114が不揮発的に保持する)。
【0059】
ステップS3において、本体CPU111は、印刷ジョブで印刷すべき必要枚数分の用紙Pの給紙が終了したか否かを判断する。その結果、必要枚数分の用紙Pの給紙が終了したと本体CPU111が判断した場合には、ステップS4に移行し、必要枚数分の給紙が終了していないと本体CPU111が判断した場合には、ステップS1に移行する。
【0060】
ステップS4に移行すると、本体CPU111は、印刷ジョブが終了したか否か(最終の印刷済み用紙Pが排出トレイETに排出されたか否か)を判断する。その結果、印刷ジョブが終了したと本体CPU111が判断した場合には、ステップS5に移行し、印刷ジョブが終了していないと本体CPU111が判断した場合には、ステップS4の判断が本体CPU111によって繰り返される。
【0061】
ステップS5に移行すると、本体CPU111は、終了した印刷ジョブの開始から終了までに給紙ユニット20が印刷部10に給紙した用紙Pの枚数(ここでは、給紙枚数と称する)を認識する。そして、ステップS6において、本体CPU111は、給紙CPU121にカウントアップ要求を送信する処理をカウントアップ処理の一処理として行う。このとき、本体CPU111は、カウントアップ要求と共に、給紙枚数を示すジョブ情報も給紙CPU121に送信する。
【0062】
また、本体CPU111は、印刷ジョブが終了すると、本体ROM113に記憶された本体側情報N1の累積枚数に給紙枚数(ジョブ情報で示される給紙枚数と同じ値)を加算する処理をカウントアップ処理の一処理として行う。これにより、本体側情報N1の累積枚数が更新される。
【0063】
カウントアップ要求(ジョブ情報も含む)を給紙CPU121が受信すると、ステップS7において、給紙CPU121は、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の累積枚数を更新する処理を行う。言い換えると、本体CPU111は、給紙CPU121にカウントアップ要求(ジョブ情報も含む)を送信することにより、ユニット側情報N2の累積枚数の更新を給紙CPU121に行わせる。このとき、給紙CPU121は、ジョブ情報で示される給紙枚数を認識し、当該給紙枚数をユニット側情報N2の累積枚数に加算する。
【0064】
なお、印刷ジョブの実行中にジャムが発生し、実行中の印刷ジョブが中断する場合がある。この場合にも、本体CPU111は、実行中の印刷ジョブが終了したとして、給紙CPU121にカウントアップ要求を送信する。すなわち、ステップS4において、印刷ジョブが終了したと本体CPU111が判断する。そして、ステップS5〜S7の処理が順次行われる。
【0065】
(主電源が遮断された場合のカウントアップ処理)
場合によっては、印刷ジョブの実行中に、電源スイッチSWが操作されることによって主電源が遮断されることがある。そして、このときにも、本体CPU111は、カウントアップ処理を行う。
【0066】
以下に、
図5に示すフローチャートを参照して具体的に説明する。
図5に示すフローチャートのスタート時点では、印刷ジョブが実行されているとする。そして、
図5に示すフローチャートは、印刷ジョブの実行中に、主電源を遮断するための操作が電源スイッチSWに対して行われたことを本体CPU111が検知したときにスタートする。
【0067】
なお、印刷ジョブの実行中に主電源が遮断されると、本体CPU111は、実行中の印刷ジョブを中断し、シャットダウン処理を行う。そして、このときに、本体CPU111は、カウントアップ処理を行う。すなわち、シャットダウン処理の一処理としてカウントアップ処理が行われる。
【0068】
ステップS11において、本体CPU111は、シャットダウン処理(カウントアップ処理も含む)を開始する。たとえば、シャットダウン処理として行うべき処理は複数存在し、各処理は予め定められた順番で行われる。
【0069】
カウントアップ処理を開始すべき時点になると、ステップS12において、本体CPU111は、中断した印刷ジョブの開始から中断まで(主電源の遮断まで)に給紙ユニット20が印刷部10に給紙した用紙Pの枚数(ここでは、給紙枚数と称する)を認識する。そして、ステップS13において、本体CPU111は、給紙CPU121にカウントアップ要求を送信する処理をカウントアップ処理の一処理として行う。このとき、本体CPU111は、カウントアップ要求と共に、主電源の遮断までの給紙枚数を示す情報をジョブ情報として給紙CPU121に送信する。
【0070】
また、本体CPU111は、印刷ジョブの実行中に主電源が遮断されると(印刷ジョブが中断すると)、本体ROM113に記憶された本体側情報N1の累積枚数に給紙枚数(ジョブ情報で示される給紙枚数と同じ値)を加算する処理をカウントアップ処理の一処理として行う。これにより、本体側情報N1の累積枚数が更新される。
【0071】
カウントアップ要求(ジョブ情報も含む)を給紙CPU121が受信すると、ステップS14において、給紙CPU121は、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の累積枚数を更新する処理を行う。言い換えると、本体CPU111は、給紙CPU121にカウントアップ要求(ジョブ情報も含む)を送信することにより、ユニット側情報N2の累積枚数の更新を給紙CPU121に行わせる。これにより、ジョブ情報で示される給紙枚数がユニット側情報N2の累積枚数に加算される。
【0072】
その後、ステップS15において、本体CPU111は、シャットダウン処理が完了したか否かを判断する。その結果、シャットダウン処理が完了したと本体CPU111が判断した場合には、ステップS16に移行し、シャットダウン処理が完了していないと本体CPU111が判断した場合には、ステップS15の判断が本体CPU111によって繰り返される(シャットダウン処理が続行される)。ステップS16に移行すると、本体CPU111は、画像形成装置100をシャットダウンする。
【0073】
(給紙ユニットを切り替えた場合のカウントアップ処理)
画像形成装置100に複数台の給紙ユニット20が装着されている場合には、印刷ジョブの実行中に、使用する給紙ユニット20(印刷部10への用紙Pの給紙元)の切り替えが行われることがある。
図1に示した構成では、印刷ジョブの実行中に、使用される給紙ユニット20が上段給紙ユニット20から下段給紙ユニット20に切り替えられる場合がある。
【0074】
たとえば、本体CPU111は、印刷ジョブの実行中に、上段給紙ユニット20(増設カセットCA2)から用紙Pが無くなったとき、使用する給紙ユニット20を切り替える切替処理(給紙元を再設定する処理)を行う。このとき、本体CPU111は、下段給紙ユニット20(増設カセットCA2)に用紙Pが残っているか否かを判断する。そして、下段給紙ユニット20に用紙Pが残っていれば、使用する給紙ユニット20を上段給紙ユニット20から下段給紙ユニット20に切り替える。すなわち、本体CPU111は、給紙元を上段給紙ユニット20から下段給紙ユニット20に再設定する。
【0075】
なお、図示しないが、給紙ユニット20には、残量センサーが設けられる。残量センサーは、増設カセットCAから用紙Pが無くなると、その旨を示す値を出力する。給紙CPU121は、残量センサーの出力値に基づき増設カセットCAから用紙Pが無くなったことを検知すると、用紙Pの無しを示す通知を本体CPU111に送信する。当該通知を受信したとき、本体CPU111は、給紙ユニット20(増設カセットCA2)から用紙Pが無くなったと判断する。
【0076】
このように、本体CPU111は、印刷ジョブの実行中に、現在使用している給紙ユニット20から用紙Pが無くなると、使用する給紙ユニット20を別の給紙ユニット20に切り替える切替処理を行う。そして、このときにも、本体CPU111は、カウントアップ処理を行う。
【0077】
以下に、
図6に示すフローチャートを参照して具体的に説明する。
図6に示すフローチャートは、印刷ジョブの実行中に、本体CPU111が切替処理を行ったときにスタートする。以下の説明では、本体CPU111による切替処理によって、使用される給紙ユニット20が上段給紙ユニット20から下段給紙ユニット20に切り替わったとする。
【0078】
ステップS21において、本体CPU111は、切替処理を行う直前までに使用していた給紙ユニット20である上段給紙ユニット20(「切替前給紙ユニット」に相当)が印刷ジョブの実行中に印刷部10に給紙した用紙Pの枚数(ここでは、第1給紙枚数と称する)を認識する。そして、ステップS22において、本体CPU111は、上段給紙ユニット20の給紙CPU121にカウントアップ要求を送信する処理をカウントアップ処理の一処理として行う。このとき、本体CPU111は、カウントアップ要求と共に、第1給紙枚数を示す情報をジョブ情報として上段給紙ユニット20の給紙CPU121に送信する。
【0079】
また、本体CPU111は、切替処理を行うと、本体ROM113に記憶された上段給紙ユニット20に対応する本体側情報N1の累積枚数に第1給紙枚数を加算する処理をカウントアップ処理の一処理として行う。これにより、上段給紙ユニット20に対応する本体側情報N1の累積枚数が更新される。
【0080】
カウントアップ要求(ジョブ情報も含む)を上段給紙ユニット20の給紙CPU121が受信すると、ステップS23において、上段給紙ユニット20の給紙CPU121は、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の累積枚数を更新する処理を行う。これにより、ジョブ情報で示される給紙枚数が上段給紙ユニット20のユニット側情報N2の累積枚数に加算される。
【0081】
なお、本体CPU111は、切替処理を行うと(給紙元を上段給紙ユニット20から下段給紙ユニット20に再設定すると)、それ以降、下段給紙ユニット20の給紙CPU121に給紙指示を送信する。これにより、下段給紙ユニット20から印刷部10に用紙Pが給紙される。また、このとき、下段給紙ユニット20の給紙CPU121は、給紙開始通知を本体CPU111に送信する。
【0082】
ステップS24において、本体CPU111は、印刷ジョブで印刷すべき必要枚数分の用紙Pの給紙が終了したか否かを判断する。その結果、必要枚数分の用紙Pの給紙が終了したと本体CPU111が判断した場合には、ステップS25に移行し、必要枚数分の給紙が終了していないと本体CPU111が判断した場合には、ステップS24の判断が本体CPU111によって繰り返される。なお、本体CPU111は、必要枚数分の給紙が終了するまで、下段給紙ユニット20の給紙CPU121への給紙指示の送信を繰り返し行う。
【0083】
ステップS25に移行すると、本体CPU111は、印刷ジョブが終了したか否かを判断する。その結果、印刷ジョブが終了したと本体CPU111が判断した場合には、ステップS26に移行し、印刷ジョブが終了していないと本体CPU111が判断した場合には、ステップS25の判断が本体CPU111によって繰り返される。
【0084】
ステップS26に移行すると、本体CPU111は、切替処理を行った後に使用していた給紙ユニット20である下段給紙ユニット20が印刷ジョブの実行中に印刷部10に給紙した用紙Pの枚数(ここでは、第2給紙枚数と称する)を認識する。そして、ステップS27において、本体CPU111は、下段給紙ユニット20の給紙CPU121にカウントアップ要求を送信する処理をカウントアップ処理の一処理として行う。このとき、本体CPU111は、カウントアップ要求と共に、第2給紙枚数を示す情報もジョブ情報として下段給紙ユニット20の給紙CPU121に送信する。
【0085】
さらに、このとき、本体CPU111は、本体ROM113に記憶された下段給紙ユニット20に対応する本体側情報N1の累積枚数に第2給紙枚数を加算する処理をカウントアップ処理の一処理として行う。これにより、下段給紙ユニット20に対応する本体側情報N1の累積枚数が更新される。
【0086】
カウントアップ要求(ジョブ情報も含む)を下段給紙ユニット20の給紙CPU121が受信すると、ステップS28において、下段給紙ユニット20の給紙CPU121は、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の累積枚数を更新する処理を行う。これにより、ジョブ情報で示される給紙枚数が下段給紙ユニット20のユニット側情報N2の累積枚数に加算される。
【0087】
(累積枚数の修正)
本体CPU111は、印刷ジョブの実行前に、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の累積枚数が正しいか否かを判断する。そして、本体CPU111は、ユニット側情報N2の累積枚数が正しくないと判断した場合、印刷ジョブが終了した後、ユニット側情報N2の累積枚数を修正する修正処理を行う。なお、本体CPU111による修正処理は行われなくてもよい。
【0088】
具体的には、本体CPU111は、印刷ジョブの実行前に、給紙元に設定した給紙ユニット20から、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2を取得する。言い換えると、本体CPU111は、給紙元に設定した給紙ユニット20の給紙CPU121に指示し、ユニット側情報N2を本体CPU111に送信させる。そして、本体CPU111は、給紙元に設定した給紙ユニット20に対応する本体側情報N1の累積枚数に基づき、給紙元に設定した給紙ユニット20から取得したユニット側情報N2の累積枚数が正しいか否かを判断する処理(確認処理)を行う。
【0089】
なお、以下の説明では、給紙元に設定した給紙ユニット20を単に給紙ユニット20と称し、給紙元に設定した給紙ユニット20の給紙CPU121を単に給紙CPU121と称する。また、給紙元に設定した給紙ユニット20に対応する本体側情報N1を単に本体側情報N1と称し、給紙元に設定した給紙ユニット20から取得したユニット情報N2を単にユニット情報N2と称する。
【0090】
本体CPU111は、確認処理を行うとき、本体側情報N1の累積枚数とユニット側情報N2の累積枚数とを比較する。そして、たとえば、本体側情報N1の累積枚数とユニット側情報N2の累積枚数とが同じであれば、本体CPU111は、ユニット側情報N2の累積枚数が正しいと判断する。一方で、本体側情報N1の累積枚数とユニット側情報N2の累積枚数とが異なっていれば、本体CPU111は、ユニット側情報N2の累積枚数が正しくないと判断する。
【0091】
確認処理の結果、ユニット側情報N2の累積枚数が正しくないと判断した場合、本体CPU111は、印刷ジョブの終了後、修正処理を行う。ユニット側情報N2の累積枚数が正しいと本体CPU111が判断した場合には、
図3〜
図5に示すフローチャートに基づくカウントアップ処理が本体CPU111によって行われる。
【0092】
以下に、
図7に示すフローチャートを参照して、本体CPU111により行われる修正処理の流れを説明する。
図7に示すフローチャートのスタート時点では、ユニット側情報N2の累積枚数が正しくないと本体CPU111が判断しているとする。そして、
図7に示すフローチャートは、印刷ジョブが終了したときにスタートする。
【0093】
ステップS31において、本体CPU111は、終了した印刷ジョブの実行中に給紙ユニット20が印刷部10に給紙した用紙Pの枚数(ここでは、給紙枚数と称する)を認識する。続いて、ステップS32において、本体CPU111は、本体側情報N1の累積枚数に給紙枚数を加算した枚数を修正枚数として算出する。そして、ステップS33において、本体CPU111は、修正枚数を示す修正情報を給紙CPU121に送信する。このとき、本体CPU111から給紙CPU121に対して修正要求も送信される。
【0094】
修正要求を給紙CPU121が受信すると、ステップS34において、給紙CPU121は、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の累積枚数を修正する処理を行う。言い換えると、本体CPU111は、給紙CPU121に修正要求(修正情報も含む)を送信することにより、ユニット側情報N2の累積枚数の修正を給紙CPU121に行わせる。このとき、給紙CPU121は、修正情報で示される修正枚数を認識し、ユニット側情報N2の累積枚数を修正枚数と同じ値に修正する。
【0095】
なお、変形例として、本体CPU111による確認処理の結果、本体側情報N1の累積枚数よりもユニット側情報N2の累積枚数が多ければ、本体側情報N1の累積枚数が正しくないと本体CPU111が判断するよう構成してもよい。この構成において、本体側情報N1の累積枚数が正しくないと判断した場合、本体CPU111は、本体側情報N1の累積枚数をユニット側情報N2の累積枚数と同じ値に修正する。
【0096】
本実施形態の画像形成装置100は、上記のように、用紙Pに画像を印刷する印刷ジョブを実行する印刷部10と、印刷部10に用紙Pを給紙する給紙ユニット20と、給紙ユニット20と通信可能に接続されるとともに、給紙ユニット20が給紙した枚数をカウントする本体CPU111(本体処理部)と、を備える。また、給紙ユニット20は、給紙ユニット20が給紙した累積枚数を示す情報をユニット側情報N2として記憶する給紙ROM123(給紙記憶部)を備える。そして、本体CPU111は、印刷ジョブが終了したとき、当該終了した印刷ジョブの実行中に給紙ユニット20が給紙した枚数を示す情報であるジョブ情報とカウントアップ要求とを給紙ユニット20に送信し、ジョブ情報で示される枚数をユニット側情報N2の累積枚数に加算させる処理を給紙ユニット20に行わせる。
【0097】
本実施形態の構成では、画像形成装置100で実行された印刷ジョブ(給紙ユニット20から印刷部10に給紙した用紙Pに画像を印刷するジョブ)の印刷枚数にかかわらず、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2(給紙ユニット20が給紙した累積枚数)の書換回数は1回の印刷ジョブで1回だけとなる。すなわち、印刷ジョブの印刷枚数(印刷ジョブの実行中に給紙ユニット20が給紙した枚数)が複数枚であっても、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の書換回数は1回である。これにより、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の書換回数を減らすことができる。また、給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の書換回数が減るので、書換回数に制限があっても、長期間にわたって給紙ROM123を使用することができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、本体CPU111は、印刷ジョブの実行前に、給紙ユニット20からユニット側情報N2を取得するとともに、本体側情報N1の累積枚数とユニット側情報N2の累積枚数とを比較することによってユニット側情報N2の累積枚数が正しいか否かの判断を行い、ユニット側情報N2の累積枚数が正しくないと判断した場合、印刷ジョブが終了したときに、印刷ジョブの実行中に給紙ユニット20が給紙した枚数を本体側情報N1の累積枚数に加算した枚数を示す修正情報を給紙ユニット20に送信し、ユニット側情報N2の累積枚数を修正情報で示される枚数と同じ値に修正させる処理を給紙ユニット20に行わせる。これにより、ユニット側情報N2の書換回数を抑えつつ、ユニット側情報N2の累積枚数を正しい値に修正することができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、本体CPU111は、印刷ジョブの実行中に、電源スイッチSWにより主電源が遮断されたとき、給紙ユニット20にカウントアップ要求を送信するとともに、印刷ジョブの開始から主電源の遮断までに給紙ユニット20が給紙した枚数を示す情報をジョブ情報としてカウントアップ要求と共に給紙ユニット20に送信する。これにより、画像形成装置100の主電源が遮断されることによって実行中の印刷ジョブが終了(中断)したときにも、主電源の遮断までに給紙ユニット20が給紙した枚数に基づきユニット側情報N2が更新されるので、ユニット側情報N2の累積枚数と実際の枚数とにズレが生じるのを抑制することがでる。
【0100】
また、本実施形態では、上記のように、本体CPU111は、印刷ジョブの実行中に、使用する給紙ユニット20を切り替える切替処理を行ったとき、切替処理を行う直前までに使用していた給紙ユニット20である切替前給紙ユニット20にカウントアップ要求を送信するとともに、印刷ジョブの実行中に切替前給紙ユニット20が給紙した枚数を示す情報をジョブ情報としてカウントアップ要求と共に切替前給紙ユニット20に送信する。これにより、画像形成装置100の本体に複数台の給紙ユニット20が装着された場合であっても、ユニット側情報N2の書換回数を減らすことができ、また、各給紙ROM123に記憶されたユニット側情報N2の累積枚数と実際の枚数とにズレが生じるのを抑制することがでる。
【0101】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。