(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、プリンターや複写機等の電子写真方式の画像形成装置は、トナー像を表面に担持する感光体ドラム等の像担持体を備える。また、画像形成装置は、像担持体にトナー像を現像する現像装置や、像担持体のトナー像を用紙等の記録媒体に転写する転写部を備える。更に、画像形成装置は、転写後の像担持体に残存した廃トナーを除去するクリーニング装置や、除去された廃トナーを回収する廃トナーボックスを備える。クリーニング装置は、像担持体の表面から廃トナーを除去するクリーニングブレードを備える。
【0003】
クリーニングブレードは、そのブレードエッジが像担持体の回転方向に対してカウンター方向において像担持体の表面に当接するように配置される。像担持体が回転するとき、像担持体上の廃トナーの外添剤の潤滑性によって、クリーニングブレードの像担持体に対するスティックスリップ現象が抑制される。そのため、外添剤が枯渇すると、クリーニングブレードと像担持体の表面との摩擦力が上昇して、スティックスリップ現象の釣り合いが崩れ、クリーニングブレードがカウンター方向とは逆方向に捲れ上がるブレード捲れが生じることがある。ブレード捲れが生じることによって、画像不具合が生じるおそれもある。画像形成装置には、このようなブレード捲れを抑制するために、現像装置から像担持体へトナーを供給するトナー乗せ(捲れ抑制処理)を実行するものがある。
【0004】
例えば、特許文献1に開示される画像形成装置は、転写後に感光ドラム(像担持体)上に残った転写残トナー(廃トナー)をクリーニングする像担持体クリーニングブレードと、転写残トナーを回収する回収トナー容器(廃トナーボックス)とを備えた感光体ユニットを色毎に備える。また、画像形成装置は、中間転写ベルト上に残った転写残トナーをクリーニングする中間転写体クリーニングブレードを有し、現像ローラーにより感光ドラムの非画像領域にブレードめくれ防止パターンを形成し、中間転写体クリーニングブレードへブレードめくれ防止パターンを供給する。そして、画像形成装置は、回収トナー容器に回収された転写残トナーの回収トナー容器の容量に対する割合を検知する充填率検知手段を有し、ブレードめくれ防止パターンに使用する色として、充填率検知手段により検知した回収トナー容器の充填率が最も少ない色を選択する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなクリーニングブレードのブレード捲れは、像担持体の回転軸方向(記録媒体の幅方向)の端部において発生し易い。ところで、画像形成装置では、像担持体の回転軸方向の最大通紙領域に対応する幅を有する記録媒体(例えば、A4サイズ)の場合には、像担持体の回転軸方向の端部付近までトナー像が形成されるが、最大通紙領域の1/2以下等の比較的狭い幅を有する記録媒体(例えば、A5サイズ等の小サイズ)の場合には、像担持体の回転軸方向の端部付近にはトナー像が形成されない。そのため、小サイズの記録媒体の画像形成を行う割合が多くなると、像担持体の回転軸方向の端部付近で廃トナーの量が少なくなり、ブレード捲れが発生し易くなる。
【0007】
なお、上記の従来の画像形成装置のように、像担持体の非画像形成領域に対して常に一定量のトナーを供給すると、記録媒体のサイズに拘らずトナー消費量が増大してしまう。このとき、トナーコンテナの使用効率が低下し、また、廃トナーボックスが短期間で満杯になる問題がある。また、廃トナーボックスは、トナーコンテナに同梱されることがあり、トナーコンテナが交換される際に交換されることが望ましい。しかしながら、ブレード捲れの抑制のためにトナー消費量が増大になると、トナーコンテナを使い切る前に廃トナーボックスが満杯になることがある。このとき、新規の廃トナーボックスを準備して交換する必要があるので、ユーザーの費用負担や作業負担が発生し、また、廃トナーボックスの交換に起因して画像形成装置を使用できない状態が生じる。
【0008】
本発明では、適切な量のトナーを使用してクリーニングブレードの捲れを適切に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、画像形成時に前記像担持体へトナーを供給する現像処理を行う現像装置と、前記像担持体に当接して前記像担持体に残存した廃トナーを除去するクリーニングブレードと、を備え、前記クリーニングブレードの捲れを抑制するために、非画像形成時に前記現像装置から前記像担持体へトナーを供給する捲れ抑制処理を所定の累積印字枚数毎に行い、前記捲れ抑制処理では、前記累積印字枚数の内で所定の小サイズの印字枚数が多い程、より多くのトナーを前記像担持体へ供給することを特徴とする。
【0010】
上記の画像形成装置は、前記捲れ抑制処理では、前記累積印字枚数に対する前記小サイズの印字枚数の割合と、前記累積印字枚数における平均印字率が低く前記割合が高い場合に変動する変数とに基づいて算出される倍率を、所定の基本量に乗算して、前記像担持体へのトナー供給量を算出するとよい。
【0011】
上記の画像形成装置は、前記現像装置へ補給するトナーを収容するトナーコンテナと、前記クリーニングブレードによって除去された前記廃トナーを回収する廃トナーボックスと、を更に備え、前記捲れ抑制処理では、前記累積印字枚数の前記現像処理に関して平均印字率に基づいて用紙1枚当たりに消費される前記トナーの第1消費量を算出し、該捲れ抑制処理に関して前記変数を最大値に設定した場合の前記倍率に基づいて用紙1枚当たりに消費される前記トナーの第2消費量を算出し、前記第1消費量及び前記第2消費量を足して用紙1枚当たりに消費される前記トナーの総消費量を算出し、前記総消費量で前記現像処理及び前記捲れ抑制処理を繰り返した場合に前記トナーコンテナの全トナー量で印字可能な総印字枚数を算出し、前記総消費量に基づいて用紙1枚当たりに前記廃トナーボックスに回収される前記廃トナーの回収量を算出し、前記回収量及び前記総印字枚数に基づいて、前記トナーコンテナの全トナー量に対して前記廃トナーボックスに回収される前記廃トナーの総回収量を算出し、前記総回収量が前記廃トナーボックスの容量より多い場合には、所定値を減算した前記変数を用いて前記トナー供給量を再算出するとよい。
【0012】
前記像担持体は、アモルファスシリコン感光体から構成されてよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、適切な量のトナーを使用してクリーニングブレードの捲れを適切に抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
先ず、本発明の実施形態に係るプリンター1(画像形成装置)の全体の構成について
図1を参照しながら説明する。説明の便宜上、
図1における紙面手前側をプリンター1の前側とする。各図に適宜付される矢印L、R、U、Loは、それぞれプリンター1の左側、右側、上側、下側を示している。
【0016】
プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備える。プリンター本体2の下部には、記録媒体として用紙を収容する複数の給紙カセット3が装着され、プリンター本体2の上面には排紙トレイが設けられる。複数の給紙カセット3は、下記の感光体ドラム10の回転軸方向(前後方向)の最大通紙領域に対応する幅を有する第1用紙(例えば、A4サイズ)や、最大通紙領域の1/2以下等の比較的狭い幅を有する第2用紙(例えば、A5サイズ等の小サイズ)等の複数のサイズの用紙を収容する。また、プリンター本体2の上面には、プリンター本体2に対して下記のトナーコンテナ13を着脱するために、排紙トレイの側方に上カバー4が開閉可能に取り付けられる。
【0017】
プリンター本体2の内部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器が排紙トレイの下方に配置され、露光器の下方には、画像形成部5が設けられる。画像形成部5には、像担持体である感光体ドラム10が回転可能に設けられる。感光体ドラム10は、例えば、アモルファスシリコン感光体から構成される。感光体ドラム10の周囲には、帯電器と、現像装置11と、転写ローラーと、クリーニング装置12とが、感光体ドラム10の回転方向に沿って配置される。
【0018】
現像装置11には、現像装置11へ補給するトナーを収容するトナーコンテナ13が着脱可能(交換可能)に接続される。クリーニング装置12には、クリーニング装置12によって感光体ドラム10から除去された廃トナーを回収する廃トナーボックス14が着脱可能(交換可能)に接続される。
【0019】
また、プリンター本体2の内部には、プリンター1による画像形成やクリーニング装置12のクリーニングブレード21の捲れ抑制処理等の動作を制御する制御装置15が設けられる。制御装置15は、例えば、CPU等で構成される制御部と、ROMやRAM等からなる記憶部とから構成される。
【0020】
更に、プリンター本体2の内部には、用紙の搬送経路17が設けられる。搬送経路17の上流端には給紙部が給紙カセット3の近傍に設けられ、搬送経路17の中流部には、感光体ドラム10と転写ローラーによって構成される転写部18が設けられる。搬送経路17の下流部には定着装置が設けられ、搬送経路17の下流端には排紙部が排紙トレイの近傍に設けられる。
【0021】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。プリンター1は、外部のコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、画像形成動作を開始する。先ず、画像形成部5の帯電器によって感光体ドラム10の表面が帯電された後、露光器からのレーザー光により感光体ドラム10に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、画像形成部5の現像装置11がトナーを用いてトナー像に現像する。
【0022】
一方、給紙カセット3に収納された用紙は、給紙部によって取り出されて搬送経路17上を搬送される。搬送経路17上の用紙は、所定のタイミングで転写部18へ搬送され、転写部18によって感光体ドラム10上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置へ搬送され、定着装置によって用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙部から排紙トレイに排出される。なお、感光体ドラム10上に残存したトナー(廃トナー)は、クリーニング装置12によって除去される。
【0023】
次に、現像装置11について説明する。現像装置11は、制御装置15によって制御されて、画像形成時やクリーニング装置12のクリーニングブレード21の捲れ抑制処理時に、感光体ドラム10へトナーを供給する現像処理を行うものである。
【0024】
現像装置11は、例えば、トナーを感光体ドラム10へ供給する現像ローラーと、トナーを攪拌・搬送する撹拌部材及び搬送部材とをハウジング内に備える。ハウジングは、トナーコンテナ13からトナーの補給を受ける補給口を有していて、この補給口を介してトナーコンテナ13に接続される。また、現像装置11は、ハウジング内のトナー量を検出するトナー量検出部25を備え、トナー量検出部25は、例えば、トナー濃度を検出するトナー濃度センサーで構成される。現像装置11は、ハウジング内のトナー量が所定値未満になると、トナーコンテナ13からトナーの補給を受ける。
【0025】
次に、クリーニング装置12について説明する。クリーニング装置12は、転写後の感光体ドラム10に残存した廃トナーを感光体ドラム10から除去するものである。クリーニング装置12は、例えば、筐体20と、クリーニングブレード21と、回収部材22とを備える。
【0026】
筐体20は、感光体ドラム10の回転軸方向に長い略箱状に形成され、感光体ドラム10から除去された廃トナーを一時的に収容する。筐体20は、右側に開口を有し、クリーニング装置12は、筐体20の開口が感光体ドラム10の表面の左側と対向するように配置される。また、筐体20は、廃トナーを廃トナーボックス14へ排出する排出口を有していて、この排出口を介して廃トナーボックス14に接続される。なお、筐体20は、廃トナーを廃トナーボックス14へ搬送する搬送装置を介して廃トナーボックス14と接続されてもよい。
【0027】
クリーニングブレード21は、ウレタンゴム等の弾性材料によって、感光体ドラム10の回転軸方向に長い板状に形成される。クリーニングブレード21は、その先端が筐体20の開口側に位置して、感光体ドラム10の回転方向に対してカウンター方向に感光体ドラム10の表面に当接するように、筐体20に取り付けられる。
【0028】
回収部材22は、例えば、感光体ドラム10の回転軸方向に長いスパイラル部材で形成され、筐体20の内部で排出口付近に回転可能に配置される。回収部材22は、モーター等の駆動部(図示せず)に接続されていて、制御装置15が駆動部を稼働すると、回収部材22は、駆動部からの駆動力を受けて回転する。回収部材22が回転することで、筐体20の廃トナーは排出口を介して廃トナーボックス14へ搬送される。
【0029】
次に、クリーニング装置12のクリーニングブレード21の捲れ抑制処理について説明する。この捲れ抑制処理は、上記したように、制御装置15によって制御されて、所定の処理条件を満たしたとき、且つ、非画像形成時に、現像装置11から感光体ドラム10へトナーを供給する。この処理条件として、例えば、所定数や所定時間の画像形成動作(用紙の印字動作)の経過時が設定される。
【0030】
具体的には、処理条件として所定の累積印字枚数PA1(例えば、100回)が設定される。そして、制御装置15は、トナーコンテナ13の使用開始から使用終了(交換)まで、画像形成動作の回数、即ち、用紙の印字枚数をカウントしていて、印字枚数が累積印字枚数PA1に達したか否かを判定する。印字枚数が累積印字枚数PA1に達すると、制御装置15は、非画像形成時のタイミングで捲れ抑制処理を行うように各部を制御し、印字枚数を0にリセットする。換言すれば、制御装置15は、累積印字枚数PA1毎に捲れ抑制処理を行う。なお、制御装置15は、トナーコンテナ13の使用開始から使用終了までの総印字枚数をカウントしていてもよい。
【0031】
各捲れ抑制処理では、現像装置11から感光体ドラム10へのトナー供給量等を算出するために、直前の累積印字枚数PA1の画像形成動作のそれぞれで使用された用紙のサイズや平均印字率RIA等の情報が用いられる。そのため、各画像形成動作では、用紙のサイズ及び印字率を記憶しておき、捲れ抑制処理時には、累積印字枚数PA1の印字率から平均印字率RIAを算出しておく。なお、印字率は、印字動作される用紙のサイズに拘らず、第1の用紙のサイズに換算され、例えば、第2用紙の印字動作で印字率が2%であれば、第1の用紙では1%に換算される。
【0032】
先ず、制御装置15は、直前の累積印字枚数PA1の内の第2用紙の小サイズ印字枚数PA2の割合(PA2/PA1)を算出する。制御装置15は、この割合と変数kとに基づいて、捲れ抑制処理のトナー供給量を算出するための倍率PDRを算出する。倍率PDRは、例えば、数式k×(PA2/PA1)+1によって算出される。トナー供給量は、用紙1枚当たりの所定の基本量Ba(例えば、0.0002(第1用紙のサイズで0.02%の印字率))に累積印字枚数PA1を乗算した値に対して、倍率PDRを乗算して算出される。小サイズ印字枚数PA2が多い程、倍率PDRは大きく、トナー供給量も多くなる。
【0033】
倍率PDRの算出に用いられる変数kは、累積印字枚数PA1における平均印字率RIAが低く小サイズ印字枚数PA2の割合が高い場合に変動し、例えば、1〜9の範囲内で変動する。変数kは、初期値(最大値)は9に設定されるが、適正でない場合には、再算出される。変数kが9のとき、例えば、小サイズ印字枚数PA2が0である場合(累積印字枚数PA1が全て通常の第1用紙である場合)には、倍率PDRは1になる。一方、小サイズ印字枚数PA2が累積印字枚数PA1に等しい場合(累積印字枚数PA1が全て小サイズの第2用紙である場合)には、倍率PDRは10になる。変数kが大きい程、倍率PDRは大きく、トナー供給量も多くなり、一方、変数kが小さい程、倍率PDRは小さく、トナー供給量も少なくなる。
【0034】
所定の捲れ抑制処理における変数kの適正の判定及び再算出について説明する。ここでは、その捲れ抑制処理の直前の累積印字枚数PA1における第2用紙の小サイズ印字枚数PA2の割合(PA2/PA1)や平均印字率RIAで、画像形成動作(現像装置11の現像処理)及び捲れ抑制処理を繰り返して、トナーコンテナ13の全トナー量Taが消費される場合を仮定する。このとき、廃トナーボックス14に回収される総回収量C2が、廃トナーボックス14の容量(例えば、120g)を超える場合には、変数kは初期値よりも小さく再算出される。
【0035】
具体的には、先ず。制御装置15は、捲れ抑制処理の直前の累積印字枚数PA1について、現像装置11の現像処理によって用紙1枚当たりに消費されるトナーの第1消費量Y1を算出する。第1消費量Y1[mg]は、例えば、数式a1×(RIA/a2)で算出され、第1係数a1は、JIS X 6931標準規格に基づくトナー消費量(例えば、26.2[mg])であり、第2係数a2は、JIS X 6931標準規格に基づく印字率(例えば、0.038(3.8%))である。なお、平均印字率RIAは、累積印字枚数PA1の各用紙を第1用紙のサイズに換算した場合の印字率を平均したものである。
【0036】
また、制御装置15は、変数kを初期値に設定した場合の捲れ抑制処理によって用紙1枚当たりに消費されるトナーの第2消費量Y2を算出する。第2消費量Y2[mg]は、例えば、数式a1×(Ba/a2)×PDRで算出される。そして、制御装置15は、第1消費量Y1と第2消費量Y2とを足し合わせることで、用紙1枚当たりに現像装置11で消費されるトナーの総消費量Y3[mg]を算出する。
【0037】
また、制御装置15は、用紙1枚当たりの総消費量Y3で現像装置11の現像処理及び捲れ抑制処理を繰り返した場合に、トナーコンテナ13の全トナー量Ta(例えば、669.7[g])で印字可能な総印字枚数PA3を算出する。総印字枚数PA3は、例えば、数式(Ta×1000)/Y3で算出される。
【0038】
更に、制御装置15は、用紙1枚当たりの総消費量Y3のトナーが現像装置11で消費される場合に、感光体ドラム10からクリーニング装置12によって除去されて廃トナーボックス14に回収される廃トナーの回収量C1、即ち、用紙1枚当たりの回収量C1を算出する。回収量C1[mg]は、例えば、数式(Y1×a3)+Y2で算出される。第3係数a3は、現像処理時の感光体ドラム10上のトナー像について、転写部18による転写後に残存したトナーの残存率(例えば、0.07(7%))である。なお、捲れ抑制処理の第2消費量Y2については、転写が行われないので、第3係数a3は適用されない。
【0039】
そして、制御装置15は、トナーコンテナ13の全トナー量Taが消費されるまでに、廃トナーボックス14に回収される廃トナーの総回収量C2を算出する。総回収量C2[g]は、例えば、数式C1×PA3で算出される。この数式に対して上記の各数式を代入すると、総回収量C2[g]を算出する数式は、((350×RIA+PDR)/(5000×RIA+PDR))×Taとなる。
【0040】
次に、制御装置15は、上記のように算出した総回収量C2が、廃トナーボックス14の容量又はこの容量から安全率(例えば、10%)を減算した安全量以内の場合には、変数kは再算出されることなく確定する。
【0041】
一方、総回収量C2が、廃トナーボックス14の容量又は安全量を超える場合には、変数kから所定値(例えば、1)を減算することで変数kを再算出する。上記のような変数kの適正の判定及び再算出は、変数kが確定するまで行われる。
【0042】
そして、変数kが確定すると、制御装置15は、その変数kを用いてトナー供給量を算出し、非画像形成時のタイミングで、算出されたトナー供給量で捲れ抑制処理を行う。
【0043】
上記のようにして算出される変数k及び倍率PDRの具体例について、
図2を参照して説明する。例えば、トナー供給量を算出する倍率PDRが数式k×(PA2/PA1)+1で算出される場合、
図2に示すように、変数kが初期値の9のときの倍率PDR(
図2の実線)に対して、変数kが4まで減ったときの倍率PDR(
図2の一点鎖線)は低下している。
【0044】
なお、上記のような変数kの再算出を行わない場合(変数kが初期値の9のままである場合)、
図3に示すように、倍率PDRは、第2用紙の小サイズ印字枚数PA2の割合(PA2/PA1)に応じて変動するが、平均印字率RIAの変動に拘らず変動しない。
図4に示すように、第2用紙の小サイズ印字枚数PA2の割合(PA2/PA1)が多く、且つ、平均印字率RIAが大きい程、総回収量C2が多くなるところ、変数kの再算出を行わない場合には、総回収量C2が廃トナーボックス14の容量又は安全量を超えることがある(
図4の下線)。
【0045】
そこで、上記のような変数kの再算出を行うと、
図5に示すように、第2用紙の小サイズ印字枚数PA2の割合(PA2/PA1)が多く、且つ、平均印字率RIAが大きい場合に、倍率PDRがより小さくなるように(
図5の下線)変数kが設定される。これにより、
図6に示すように、総回収量C2は、常に廃トナーボックス14の容量又は安全量以下になる。
【0046】
本実施形態によれば、上述のように、プリンター1(画像形成装置)は、トナー像を担持する感光体ドラム10(像担持体)と、画像形成時に感光体ドラム10へトナーを供給する現像処理を行う現像装置11と、感光体ドラム10に当接して感光体ドラム10に残存した廃トナーを除去するクリーニングブレード21とを備える。そして、プリンター1は、クリーニングブレード21の捲れを抑制するために、非画像形成時に現像装置11から感光体ドラム10へトナーを供給する捲れ抑制処理を所定の累積印字枚数PA1毎に行う。プリンター1は、捲れ抑制処理では、累積印字枚数PA1の内で所定の小サイズの印字枚数PA2が多い程、より多くのトナーを感光体ドラム10へ供給する。
【0047】
このような構成によれば、第2用紙の小サイズ印字枚数PA2の割合が多く、現像処理によって感光体ドラム10に供給されるトナー量が少ない場合でも、比較的多いトナー供給量でクリーニングブレード21の捲れ抑制処理を実行することができる。そのため、感光体ドラム10において外添剤が枯渇することはなく、クリーニングブレード21と感光体ドラム10の表面との摩擦力を良好に維持することができる。これにより、クリーニングブレード21が感光体ドラム10の回転によって捲れ上がる現象を抑制することができ、感光体ドラム10の廃トナーを適切に除去することができる。従って、感光体ドラム10を用いて形成される画像を良好にすることができる。なお、第2用紙の小サイズ印字枚数PA2の割合が少ない場合には、比較的少ないトナー供給量でクリーニングブレード21の捲れ抑制処理を実行することができる。そのため、トナーの過剰な消費や廃トナーの増加を抑制することができ、トナーコンテナ13や廃トナーボックス14を長期に使用することができる。このように、適切な量のトナーを使用してクリーニングブレード21の捲れを適切に抑制することが可能となる。
【0048】
例えば、プリンター1は、捲れ抑制処理では、累積印字枚数PA1に対する小サイズ印字枚数PA2の割合(PA2/PA1)と、累積印字枚数PA1における平均印字率RIAが低く小サイズ印字枚数PA2の割合が高い場合に変動する変数kとに基づいて算出される倍率PDRを、所定の基本量Baに乗算して、感光体ドラム10へのトナー供給量を算出するとよい。
【0049】
また、例えば、プリンター1は、現像装置11へ補給するトナーを収容するトナーコンテナ13と、クリーニングブレード21によって除去された廃トナーを回収する廃トナーボックス14とを更に備える。そして、プリンター1は、捲れ抑制処理では、累積印字枚数PA1の現像処理に関して平均印字率RIAに基づいて用紙1枚当たりに消費されるトナーの第1消費量Y1を算出する。また、捲れ抑制処理に関して変数kを最大値に設定した場合の倍率PDRに基づいて用紙1枚当たりに消費されるトナーの第2消費量Y2を算出する。そして、第1消費量Y1及び第2消費量Y2を足して用紙1枚当たりに消費されるトナーの総消費量Y3を算出する。更に、プリンター1は、総消費量Y3で現像処理及び捲れ抑制処理を繰り返した場合にトナーコンテナ13の全トナー量Taで印字可能な総印字枚数PA3を算出する。そして、総消費量Y3に基づいて用紙1枚当たりに廃トナーボックス14に回収される廃トナーの回収量C1を算出する。また、回収量C1及び総印字枚数PA3に基づいて、トナーコンテナ13の全トナー量Taに対して廃トナーボックス14に回収される廃トナーの総回収量C2を算出する。そして、プリンター1は、総回収量C2が廃トナーボックス14の容量又は安全量より多い場合には、所定値を減算した変数kを用いてトナー供給量を再算出する。
【0050】
これらのような構成によれば、クリーニングブレード21の捲れ抑制処理のために必要なトナー供給量をより適切に算出し、クリーニングブレード21の捲れをより適切に抑制することが可能となる。ところで、トナーコンテナ13と廃トナーボックス14とは、同時に設置され、同時に交換されることが望ましい。上記のような構成によれば、トナーコンテナ13を使い切る前に、廃トナーボックス14が満杯になることはなく、廃トナーボックス14のみの交換が要求されることはない。そのため、トナーコンテナ13及び廃トナーボックス14を交換するユーザーの負担を軽減することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、感光体ドラム10は、アモルファスシリコン感光体から構成されてもよい。感光体ドラム10にアモルファスシリコン感光体を適用した場合、クリーニングブレード21との摩擦力が上昇することがある。しかしながら、本実施形態では、上記したように、クリーニングブレード21の捲れ抑制処理のために適切なトナー供給量を用いるため、感光体ドラム10とクリーニングブレード21との摩擦力の上昇を抑制することができる。また、感光体ドラム10にアモルファスシリコン感光体を適用することで、感光体ドラム10の耐久性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態では、モノクロのプリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、カラープリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。