(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取り入れた外気の少なくとも温度を調整して対象空間(SP1、SP2)に給気する外気処理装置(10)と、前記対象空間(SP1、SP2)の空気の少なくとも温度を調整する空気調和装置(20)とを備える空調システムであって、
前記空気調和装置(20)は、複数の室内機(22)を有し、
前記対象空間(SP1、SP2)の空気の温度及び湿度の少なくとも一方である温湿度状態が所定の範囲内にあり、且つ、前記空気調和装置(20)の負荷率が所定の下限値よりも低く、且つ、前記複数の室内機(22)のうち運転中の室内機(22)の比率である稼働率が所定の稼働率以上の場合、前記空気調和装置(20)を稼働停止させることを特徴とする空調システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている従来技術は、空気調和装置の負荷率が低くなった場合に空気調和装置の稼働を停止し、外気処理装置の暖房能力を増大させることによって、室内温湿度環境を維持するものである。
【0010】
しかしながら、例えば室内温湿度環境が悪い状態で、単純に空気調和装置の負荷率の大小に基づいて空気調和装置の稼働を停止すると、外気処理装置の暖房能力の追随性が悪い場合には室内温湿度環境がさらに悪化する恐れがある。ここで、外気処理装置としてデシカを用いる場合は、バッチ切替時間を通常運転と比べて長くすることによって暖房能力が増加することが装置特性的に予期可能である。ところが、通常の外気処理装置を用いる場合、その暖房能力に余力があることを確認せずに空気調和装置の稼働を停止すると、室内温湿度環境が悪化する恐れがある。
【0011】
また、消費電力が最小になるように各装置に負荷配分を行う従来技術によると、空気調和装置が低負荷運転されている場合、個々の室内機が発停を繰り返し、空調能力が不連続に変化しているので、そもそも適切なCOPを取得することが困難である。チラーについても低負荷運転されている場合には発停を繰り返すため、停止状態つまり消費電力が0のときには非常に高いCOPになる一方、運転状態では小さい空調能力に対して消費電力がある程度生じるので、低いCOPになる。従って、空気調和装置もチラー(外気処理装置の熱源)も低負荷で運転されている場合、時間平均値を用いたCOP計算によって負荷配分を決定する必要があるので、計算コストが大きくなるという問題、及び、制御周期が長くなるという問題等が生じる。
【0012】
さらに、従来の空調システムには、外気処理装置や空気調和装置が過負荷運転された場合に各装置の空調能力を調整する手段が設けられていない。このため、外気温や室内負荷に起因して外気処理装置や空気調和装置が過負荷運転状態になると、COPが低下して各装置系統の消費電力の合計が大きくなる結果、空調システムの稼働効率が悪化する。特に、複数の室内機を有する空気調和装置が高負荷運転されている場合、室内温度が設定温度にならない空間が部分的に発生し、温湿度環境が悪化してしまう。
【0013】
本開示の目的は、外気処理装置と空気調和装置とを備える空調システムにおいて、各装置の負荷状態に応じて空調システムを効率的に稼働させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の第1の態様は、取り入れた外気の少なくとも温度を調整して対象空間(SP1、SP2)に給気する外気処理装置(10)と、前記対象空間(SP1、SP2)の空気の少なくとも温度を調整する空気調和装置(20)とを備える空調システムであって、前記対象空間(SP1、SP2)の空気の温度及び湿度の少なくとも一方である温湿度状態が所定の範囲内にあり、且つ、前記外気処理装置(10)及び前記空気調和装置(20)の少なくとも一方の負荷率が所定の下限値よりも低い場合、前記外気処理装置(10)又は前記空気調和装置(20)のいずれか一方を稼働停止させることを特徴とする空調システムである。
【0015】
第1の態様では、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の少なくとも一方の負荷率が所定の下限値よりも低くなった場合、対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態が所定の範囲内にあることを条件として、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれか一方を稼働停止させる。このため、対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態を悪化させることなく、低COPでの運転を回避して空調システムを効率的に稼働させることができる。
【0016】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記外気処理装置(10)及び前記空気調和装置(20)のうち一方の装置の負荷率が前記所定の下限値よりも低く、且つ、他方の装置の負荷率が前記所定の下限値以上である場合、前記一方の装置を稼働停止させることを特徴とする空調システムである。
【0017】
第2の態様では、低COPで運転されている装置のみを適切に稼働停止させることができる。
【0018】
本開示の第3の態様は、第1の態様において、前記外気処理装置(10)及び前記空気調和装置(20)の両方の負荷率が前記所定の下限値よりも低い場合、前記外気処理装置(10)及び前記空気調和装置(20)のうち前記所定の下限値に対する負荷率の比率がより低い装置、又は、予め設定された装置を稼働停止させることを特徴とする空調システムである。
【0019】
第3の態様では、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の両方の負荷率が低い場合にも、負荷率がより低い装置、又は、予め設定された装置を選択的に稼働停止させることにより、低COPでの運転が継続することを回避できる。
【0020】
本開示の第4の態様は、第1乃至3のいずれか1つの態様において、前記外気処理装置(10)又は前記空気調和装置(20)のいずれかを稼働停止させて所定の時間が経過した後において、前記温湿度状態が前記所定の範囲から外れた場合、稼働停止していた装置を再稼働させることを特徴とする空調システムである。
【0021】
第4の態様では、負荷率が低い装置の稼働停止に起因して対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態が悪化した場合、当該装置を速やかに再稼働させることによって、対象空間(SP1、SP2)の環境を改善することができる。
【0022】
本開示の第5の態様は、第1乃至4のいずれか1つの態様において、前記外気処理装置(10)又は前記空気調和装置(20)のいずれかを稼働停止させると共に、稼働継続する装置の空調能力を強制的に増大させることを特徴とする空調システムである。
【0023】
第5の態様では、負荷率が低い装置を稼働停止させた場合には、他方の装置を空調能力を増大させて稼働継続させるため、対象空間(SP1、SP2)の環境を良い状態に維持することができる。
【0024】
本開示の第6の態様は、第1乃至5のいずれか1つの態様において、前記空気調和装置(20)は、複数の室内機(22)を有し、前記空気調和装置(20)の負荷率が前記所定の下限値よりも低く、且つ、前記複数の室内機(22)の稼働率が所定の稼働率以上の場合、前記空気調和装置(20)を稼働停止させることを特徴とする空調システムである。
【0025】
第6の態様では、複数の室内機(22)を有する空気調和装置(20)の負荷率が低い場合は、複数の室内機(22)の稼働率が高いことを条件として、言い換えると、各室内機(22)の空調能力が全般的に低いことを条件として、空気調和装置(20)を稼働停止させる。このため、空気調和装置(20)、特に、室外機(21)の負荷率が低いものの、複数の室内機(22)の稼働率が低く、個室等で稼働する少数の室内機(22)の空調能力が高い可能性がある場合に、当該少数の室内機(22)を稼働停止させて当該個室等の室内環境を悪化させる事態を回避することができる。
【0026】
本開示の第7の態様は、第1乃至6のいずれか1つの態様において、前記空気調和装置(20)を稼働停止させた場合、前記外気処理装置(10)の運転モードを給気温度制御から還気温度制御又は室内温度制御に切り替えることを特徴とする空調システムである。
【0027】
第7の態様では、低負荷の空気調和装置(20)を稼働停止させることにより、省エネ性を向上させながら、外気処理装置(10)を還気温度制御又は室内温度制御で運転させることにより、対象空間(SP1、SP2)の環境を良い状態に維持できる。
【0028】
本開示の第8の態様は、取り入れた外気の少なくとも温度を調整して対象空間(SP1、SP2)に給気する外気処理装置(10)と、前記対象空間(SP1、SP2)の空気の少なくとも温度を調整する空気調和装置(20)とを備える空調システムであって、前記対象空間(SP1、SP2)の空気の温度及び湿度の少なくとも一方である温湿度状態が所定の範囲内にあり、且つ、前記外気処理装置(10)及び前記空気調和装置(20)のうち一方の装置の負荷率が所定の上限値よりも高く、他方の装置の負荷率が前記所定の上限値よりも低い場合、前記一方の装置の空調能力を減少させ、前記他方の装置の空調能力を増大させることを特徴とする空調システムである。
【0029】
第8の態様では、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のうち一方の装置が過負荷状態となった場合、対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態が所定の範囲内にあること、及び、他方の装置が過負荷状態ではないことを条件として、一方の装置の空調能力を減少させ、他方の装置の空調能力を増大させる。このため、外気温や室内負荷に起因して外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)が過負荷状態になった場合、各装置の空調能力を調整してCOPの低下を抑制できるので、空調システムの稼働効率の低下を抑制できる。
【0030】
本開示の第9の態様は、第8の態様において、前記外気処理装置(10)の給気温度を調整することにより、前記一方の装置から前記他方の装置へ空調能力をシフトすることを特徴とする空調システムである。
【0031】
第9の態様では、各装置の空調能力の調整を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0034】
〈空調システムの構成〉
図1は、実施形態に係る空調システム(100)の構成の一例を示す図である。空調システム(100)は、家屋、ビル、工場、公共施設等の建築物内に含まれる対象空間において、空気調和を実現するシステムである。
【0035】
本実施形態において、空調システム(100)は、複数(例えば2つ)の対象空間(SP1、SP2)を含む建物(BL)に適用される。対象空間(SP1)、(SP2)は、それぞれ個別の室内空間であってもよいし、同一室内の別空間であってもよい。建物(BL)は、後述する外気処理装置(10)が配置される機械室(BL1)と、対象空間(SP1、SP2)が存在する専有部区画(BL2)と、機械室(BL1)と専有部区画(BL2)との間に介在する廊下(BL3)とを有する。
【0036】
図1に示すように、空調システム(100)は、外気処理装置(10)と、空気調和装置(20)と、制御装置(30)とを備える。外気処理装置(10)は、取り入れた外気(OA)の温度及び湿度を調整して対象空間(SP1、SP2)に給気する。外気(OA)は、対象空間(SP1、SP2)の外部の空気、本実施形態では、建物(BL)の外部の空気である。空気調和装置(20)は、対象空間(SP1、SP2)の空気つまり内気(IA)の温度を調整する。
【0037】
空調システム(100)では、対象空間(SP1、SP2)に設置されるリモコン(40)にコマンドを適宜入力することで、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の運転状態を切り換えられる。制御装置(30)は、リモコン(40)に入力されたコマンド(発停、運転種別、設定温度、設定風量等に係るコマンド)、及び、外気(OA)や内気(IA)の温度、湿度等に応じて、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の運転状態を制御する。
【0038】
〈外気処理装置の構成〉
外気処理装置(10)は、主として、エア・ハンドリングユニット(以下、「エアハンユニット」という)(11)と、熱源ユニットとなるチラーユニット(図示省略)とを備える。エアハンユニット(11)は、水方式でもよいし、冷媒方式(直膨エアハン)でもよい。
【0039】
外気処理装置(10)は、運転中、建物(BL)の外壁に設けられた吸気口(15)から吸気ダクト(L1)を経由して外気(OA)をエアハンユニット(11)に取り込み、冷却若しくは加熱、又は、除湿若しくは加湿して、給気ダクト(L2)を経由して給気口(16)から対象空間(SP1、SP2)に給気(SOA)として供給する。
【0040】
また、外気処理装置(10)は、排気ファン(17)によって、対象空間(SP1、SP2)の排気口(図示省略)から排気ダクト(L3)を経由して建物(BL)の外部に排気(EA)を放出する。
【0041】
エアハンユニット(11)は、主として、外気熱交換器(12)、加湿器(13)、及び、給気ファン(14)を有している。外気熱交換器(12)は、外気(OA)の冷却器として機能する熱交換器であり、伝熱管及び伝熱フィンを有する。外気熱交換器(12)では、伝熱管及び伝熱フィンの周囲を通過する外気(OA)と、伝熱管を通過する熱媒体との間で熱交換が行われる。加湿器(13)は、外気熱交換器(12)を通過した外気(OA)を加湿する。加湿器(13)の方式や型式は特に限定されないが、例えば、一般的な自然蒸発式(気化式)の加湿器を用いてもよい。給気ファン(14)は、外気(OA)をエアハンユニット(11)内に取り込み、給気ダクト(L2)へ送る送風機である。給気ファン(14)の型式については特に限定されないが、例えば、シロッコファンを用いてもよい。給気ファン(14)は、ファンモータを含み、ファンモータがインバータ制御されることによって回転数が調整される。すなわち、給気ファン(14)は、風量可変である。
【0042】
エアハンユニット(11)には、各種センサ、例えば、エアハンユニット(11)内に吸入される外気(OA)の温度及び湿度を検出する外気温度センサ及び外気湿度センサ、並びに、給気ダクト(L2)(つまり対象空間(SP1、SP2))に送られる給気(SOA)の温度(給気温度)を検出する給気温度センサ等が配置されている。
【0043】
給気ダクト(L2)は、外気(OA)の流路を形成する部材である。給気ダクト(L2)は、給気ファン(14)が駆動することで外気(OA)が流入するように、一端がエアハンユニット(11)に接続される。給気ダクト(L2)の他端は、複数に分岐しており、各分岐先において対象空間(SP1、SP2)に連通する。具体的には、給気ダクト(L2)の他端(各分岐先)は、対象空間(SP1、SP2)の天井に形成された給気口(16)に接続される。
【0044】
外気処理装置(10)は、外気処理装置(10)に含まれる各部の動作を制御する外調機制御部(31)を備える。外調機制御部(31)は、CPUやメモリ及び各種電装品等で構成される。外調機制御部(31)は、外気処理装置(10)に含まれる各機器と配線を介して接続される。外調機制御部(31)は、通信線を介して制御装置(30)やリモコン(40)と電気的に接続される。本実施形態では、外調機制御部(31)は、エアハンユニット(11)やチラーユニット(図示省略)に配置されるマイクロコンピュータや各電装品が互いに電気的に接続されることで構成される。
【0045】
外調機制御部(31)は、設定温度や給気温度等に応じて、給気温度の目標値を設定し、当該目標値に基づき各部の動作を適宜調整する。これにより、外気処理装置(10)の運転容量(空調能力)が適宜変更される。尚、給気温度の目標値は、制御装置(30)によって設定されてもよい。
【0046】
〈空気調和装置の構成〉
空気調和装置(20)は、冷媒回路を含み、冷媒回路において冷媒を循環させて蒸気圧縮方式の冷凍サイクルを行うことにより、対象空間(SP1、SP2)の冷房、除湿又は暖房等の空気調和を実現する。空気調和装置(20)は、複数の運転モードを有しており、運転モードに応じた運転を行う。具体的には、空気調和装置(20)は、冷房を行う冷房運転、除湿を行う除湿運転、暖房を行う暖房運転等の運転を行う。
【0047】
空気調和装置(20)は、主として、熱源ユニットとなる1台の室外機(21)と、複数台(例えば2台)の室内機(22)とを有する。空気調和装置(20)の型式については特に限定されないが、例えば、可変冷媒流量制御(VRV)型のものを用いてもよい。
【0048】
空気調和装置(20)では、室外機(21)と各室内機(22)とが、冷媒連絡管(23)を介して接続されることによって、冷媒回路が構成される。冷媒回路に封入される冷媒は、特に限定されないが、例えばR32やR410A等のHFC冷媒を用いてもよい。
【0049】
室外機(21)は、対象空間(SP1、SP2)の外部、本実施形態では、建物(BL)の外部に配置される。図示は省略しているが、室外機(21)は、主として、圧縮機と、四路切換弁と、室外熱交換器と、室外ファンとを有する。圧縮機は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。四路切換弁は、冷媒回路における冷媒の流れ方向を切り換えるための流路切換手段である。室外熱交換器は、通過する空気流(室外ファンによって生成される室外空気流)と冷媒とを熱交換させる熱交換器である。室外熱交換器は、正サイクル運転(冷房運転や除湿運転)時には、冷媒の凝縮器又は放熱器として機能し、逆サイクル運転(暖房運転)時には、冷媒の蒸発器として機能する。室外ファンは、室外空気流を生成する送風機である。室外空気流は、室外機(21)内に流入し、室外熱交換器を通過して室外機(21)外に流出する外気の流れである。室外空気流は、正サイクル運転時における室外熱交換器内の冷媒の冷却源であり、逆サイクル運転時における室外熱交換器内の冷媒の加熱源である。室外ファンは、ファンモータを含み、ファンモータがインバータ制御されることによって回転数が調整される。すなわち、室外ファンは、風量可変である。
【0050】
尚、室外機(21)には、各種センサ、例えば、圧縮機に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサや、圧縮機から吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサ等が配置される。
【0051】
各室内機(22)は、対応する対象空間(SP1、SP2)に配置される。すなわち、本実施形態では、1台の室外機(21)に対して2台の室内機(22)が互いに並列に接続される。各室内機(22)の型式については特に限定されないが、例えば、対象空間(SP1、SP2)の天井に設置される天井埋込型のものであってもよい。この場合、各室内機(22)は、対象空間(SP1、SP2)において吸込口及び吹出口が天井から露出するように設置される。
【0052】
図示は省略しているが、各室内機(22)は、室内熱交換器と、膨張弁と、室内ファンとを有する。室内熱交換器は、通過する空気流(室内ファンによって生成される室内空気流)と冷媒とを熱交換させる熱交換器である。室内熱交換器は、正サイクル運転時には、冷媒の蒸発器として機能し、逆サイクル運転時には、冷媒の凝縮器又は放熱器として機能する。膨張弁は、冷媒の減圧手段又は流量調整手段として機能する弁、例えば、開度制御が可能な電動膨張弁であり、室内熱交換器と液側冷媒連絡管との間に配置される。室内ファンは、室内空気流を生成する送風機である。室内空気流は、室内機(22)内に流入し、室内熱交換器を通過して室内機(22)外に流出する内気の流れである。室内空気流は、正サイクル運転時における室内熱交換器内の冷媒の加熱源であり、逆サイクル運転時における室内熱交換器内の冷媒の冷却源である。室内ファンは、ファンモータを含み、ファンモータがインバータ制御されることによって回転数が調整される。すなわち、室内ファンは、風量可変である。
【0053】
尚、各室内機(22)には、各種センサ、例えば、室内機(22)内に吸入される室内空気流(内気)の温度、湿度及び二酸化炭素濃度を検出する室内温度センサ、室内湿度センサ及び二酸化炭素濃度センサ、並びに、室内熱交換器における冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ等が配置される。
【0054】
空気調和装置(20)は、空気調和装置(20)に含まれる各部の動作を制御する空調機制御部(32)を有する。空調機制御部(32)は、CPUやメモリ及び各種電装品等で構成される。空調機制御部(32)は、空気調和装置(20)に含まれる各機器と配線を介して接続される。空調機制御部(32)は、各室内機(22)に配置される各種センサと電気的に接続される。空調機制御部(32)は、対象空間(SP1、SP2)に設置されるリモコン(40)と通信可能に接続される。空調機制御部(32)は、通信線を介して制御装置(30)及びリモコン(40)と電気的に接続される。
【0055】
本実施形態では、空調機制御部(32)は、室外機(21)及び各室内機(22)にそれぞれ配置される各マイクロコンピュータや各電装品が互いに電気的に接続されることによって構成される。空調機制御部(32)は、設定温度や室内温度等の状況に応じて、各室内機(21)において蒸発温度の目標値を設定し、当該目標値に基づき圧縮機の容量や室外ファンの風量等を適宜調整する。これにより、空気調和装置(20)の運転容量(空調能力)が適宜変更される。尚、蒸発温度の目標値は、制御装置(30)によって設定されてもよい。
【0056】
〈制御装置及びリモコン〉
制御装置(30)は、空調システム(100)の動作を統括的に制御する機能部であり、具体的にはメモリやCPU等で構成されるコンピュータを備えており、当該コンピュータがプログラムを実行することによって、空調システム(100)の各機能が実施される。プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えばROM等に記録される。
【0057】
制御装置(30)は、外調機制御部(31)及び空調機制御部(32)と電気的に接続されており、互いに信号の送受信を行う。制御装置(30)は、外調機制御部(31)及び空調機制御部(32)に対して所定の信号(例えば、目標給気温度や目標蒸発温度を設定する制御信号)を送信することで、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のそれぞれを構成する各機器の動作を制御可能である。また、制御装置(30)は、外調機制御部(31)及び空調機制御部(32)から送信される所定の信号を受信することで、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のそれぞれに配置された各種センサの検出値や、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のそれぞれの運転状態を特定する情報を取得可能である。
【0058】
リモコン(40)は、ユーザが外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の運転状態(発停、運転種別、設定温度、設定湿度、設定風量等)を個別に切り換える各種コマンドを入力するための入力装置である。また、リモコン(40)は、所定の情報(例えば外気処理装置(10)や空気調和装置(20)の運転状態、内気や外気の温度や湿度等)を表示するための表示装置としても機能する。
【0059】
〈低負荷時の空調システムの制御〉
空調システム(100)において、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)はそれぞれ独立した熱源を有する。外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)がいずれも冷房運転(除湿している場合もある)又は暖房運転(加湿している場合もある)している場合、外気処理装置(10)が給気温度制御で且つ負荷に応じて給気温度を変更することによって、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の冷房能力又は暖房能力の調整が行われる。
【0060】
外気処理装置と空気調和装置とを組み合わせた従来の空調システムでは、基本的に各装置は独立して制御され、外気処理装置については外気条件に基づき運転がON/OFFされ、空気調和装置については室内温度条件に基づき運転がON/OFFされる。
【0061】
それに対し、本実施形態では、制御装置(30)は、対象空間(SP1、SP2)の空気の温度及び湿度の少なくとも一方である温湿度状態が所定の範囲内にあり、且つ、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の少なくとも一方の負荷率が所定の下限値よりも低い場合、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれか一方を稼働停止させる。ここで、各装置の稼働停止は、各装置の熱源のサーモOFFにより実施してもよい。
【0062】
対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態が所定の範囲内にあるかどうかは、例えば、次のように判断してもよい。まず、対象空間(SP1、SP2)の空気の温度(以下、室内温度という)については、所定値α(例えば1℃)を用いて、「設定温度+α≧室内温度≧設定温度−α」の関係が満たされる場合、所定の範囲内にあると判断し、当該関係が満たされない場合、所定の範囲を外れたと判断する。また、対象空間(SP1、SP2)の空気の湿度(以下、室内湿度という)については、所定値β(例えば5%)を用いて、「目標湿度+β≧室内湿度≧目標湿度−β」の関係が満たされる場合、所定の範囲内にあると判断し、当該関係が満たされない場合、所定の範囲を外れたと判断する。ここで、湿度は、絶対湿度又は露点温度のいずれであってもよい。
【0063】
また、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のそれぞれの負荷率としては、例えば、「定格能力に対する現在の処理能力の比率」を用いてもよいし、これに代えて、外気処理装置(10)については「熱源となるチラーユニットの負荷率」を、空気調和装置(20)については「熱源となる室外機(21)の負荷率」を用いてもよい。負荷率の下限値(例えば10%)は、COPの低下等を考慮し、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のそれぞれについて個別に設定してもよい。
【0064】
稼働停止させる装置については、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のうち一方の装置の負荷率が所定の下限値よりも低く、且つ、他方の装置の負荷率が所定の下限値以上である場合、当該一方の装置を稼働停止させてもよい。例えば、外気処理装置(10)の負荷率のみが所定の下限値よりも低い場合は、外気処理装置(10)の熱源をサーモOFFし、空気調和装置(20)の負荷率のみが所定の下限値よりも低い場合は、空気調和装置(20)の熱源をサーモOFFする。
【0065】
或いは、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の両方の負荷率が所定の下限値よりも低い場合、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のうち所定の下限値に対する負荷率の比率がより低い装置、又は、予め設定された装置を稼働停止させてもよい。
【0066】
制御装置(30)は、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれかを稼働停止させて所定の時間が経過した後において、対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態が所定の範囲から外れた場合、稼働停止していた装置を再稼働させてもよい。
【0067】
また、制御装置(30)は、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれかを稼働停止させると共に、稼働継続する装置の空調能力(冷房能力又は暖房能力)を強制的に増大させてもよい。外気処理装置(10)の空調能力を増大させる場合、例えば、給気温度、処理風量等の運転パラメータを変更させる。これにより、外気処理装置(10)の空調能力を容易に増大させることができる。空気調和装置(20)の空調能力を増大させる場合、例えば、室内機(22)の風量、蒸発温度、凝縮温度等の運転パラメータを変更させる。これにより、空気調和装置(20)の空調能力を容易に増大させることができる。尚、稼働継続する装置における設定値条件では、対象空間(SP1、SP2)の環境が悪化する場合は、対象空間(SP1、SP2)の環境を維持するための設定値変更によって稼働継続する装置の空調能力を増大させてもよい。
【0068】
また、本実施形態のように、空気調和装置(20)が複数の室内機(22)を有する場合、制御装置(30)は、空気調和装置(20)の負荷率が所定の下限値よりも低く、且つ、複数の室内機(22)の稼働率(=「運転中の室内機(22)の台数」/「設置されている室内機(22)の台数」)が所定の稼働率以上の場合、空気調和装置(20)を稼働停止させてもよい。言い換えると、空気調和装置(20)の負荷率が所定の下限値よりも低くても、複数の室内機(22)の稼働率が所定の稼働率に満たない場合、空気調和装置(20)を稼働停止させない。所定の稼働率は、設置されている室内機(22)の台数等を考慮して決めてもよい。
【0069】
また、制御装置(30)は、空気調和装置(20)を稼働停止させた場合、外気処理装置(10)の運転モードを給気温度制御から還気温度制御又は室内温度制御に切り替えてもよい。
【0070】
また、個室等で特定の室内機(22)が稼働している場合には、空気調和装置(20)の負荷率が所定の下限値よりも低くても、空気調和装置(20)を稼働停止させないなどの例外を制御装置(30)に設定してもよい。
【0071】
〈高負荷時の空調システムの制御〉
制御装置(30)は、対象空間(SP1、SP2)の空気の温度及び湿度の少なくとも一方である温湿度状態が所定の範囲内にあり、且つ、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のうち一方の装置の負荷率が所定の上限値よりも高く、他方の装置の負荷率が所定の上限値よりも低い場合、当該一方の装置の空調能力を減少させ、当該他方の装置の空調能力を増大させる。ここで、負荷率の上限値(例えば95%)は、COPの低下等を考慮し、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のそれぞれについて個別に設定してもよい。
【0072】
外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のそれぞれの空調能力の変更は、例えば、外気処理装置(10)の給気温度を調整することによって実施してもよい。具体的には、暖房時に外気処理装置(10)の負荷率が所定の上限値よりも高くなった場合、外気処理装置(10)の給気温度を低下させることにより、外気処理装置(10)から空気調和装置(20)へ空調能力(暖房能力)をシフトしてもよい。また、暖房時に空気調和装置(20)の負荷率が所定の上限値よりも高くなった場合、外気処理装置(10)の給気温度を上昇させることにより、空気調和装置(20)から外気処理装置(10)へ空調能力(暖房能力)をシフトしてもよい。また、冷房時に外気処理装置(10)の負荷率が所定の上限値よりも高くなった場合、外気処理装置(10)の給気温度を上昇させることにより、外気処理装置(10)から空気調和装置(20)へ空調能力(冷房能力)をシフトしてもよい。また、冷房時に空気調和装置(20)の負荷率が所定の上限値よりも高くなった場合、外気処理装置(10)の給気温度を低下させることにより、空気調和装置(20)から外気処理装置(10)へ空調能力(冷房能力)をシフトしてもよい。
【0073】
−実施形態の効果−
本実施形態の空調システム(100)によると、対象空間(SP1、SP2)の空気の温度及び湿度の少なくとも一方である温湿度状態が所定の範囲内にあり、且つ、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の少なくとも一方の負荷率が所定の下限値よりも低い場合、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれか一方を稼働停止させる。言い換えると、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の少なくとも一方の負荷率が所定の下限値よりも低くなった場合、対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態が所定の範囲内にあることを条件として、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれか一方を稼働停止させる。このため、対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態を悪化させることなく、低COPでの運転を回避して空調システム(100)を効率的に稼働させることができる。従って、省エネ性と快適性とを兼ね備えた空調制御を実現できる。
【0074】
例えば、冷房時において外気冷房条件までには至らないが外気温と給気温度との差が小さいために外気処理装置(10)の負荷率が低下する場合、外気処理装置(10)の熱源を稼働停止させることは、空調システム(100)の稼働効率を向上させる上で有効である。
【0075】
また、空気調和装置(20)が低負荷運転している場合に空気調和装置(20)を稼働停止させると、空気調和装置(20)の発停に起因する温度変化でユーザに生じる不快感を回避できる。この場合、チラーや補機であるポンプ、弁類等の発停回数を減らすことができるので、これらの機器の耐用年数を伸ばすこともできる。
【0076】
また、本実施形態の空調システム(100)において、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のうち一方の装置の負荷率が所定の下限値よりも低く、且つ、他方の装置の負荷率が所定の下限値以上である場合、一方の装置を稼働停止させると、低COPで運転されている装置のみを適切に稼働停止させることができる。
【0077】
また、本実施形態の空調システム(100)において、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の両方の負荷率が所定の下限値よりも低い場合、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のうち所定の下限値に対する負荷率の比率がより低い装置、又は、予め設定された装置を稼働停止させると、低COPでの運転が継続することを回避できる。
【0078】
また、本実施形態の空調システム(100)において、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれかを稼働停止させて所定の時間が経過した後で、対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態が所定の範囲から外れた場合、稼働停止していた装置を再稼働させると、対象空間(SP1、SP2)の環境を改善することができる。
【0079】
また、本実施形態の空調システム(100)において、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれかを稼働停止させると共に、稼働継続する装置の空調能力を強制的に増大させると、対象空間(SP1、SP2)の環境を良い状態に維持することができる。
【0080】
また、本実施形態の空調システム(100)において、空気調和装置(20)の負荷率が所定の下限値よりも低く、且つ、空気調和装置(20)が有する複数の室内機(22)の稼働率が所定の稼働率以上の場合、空気調和装置(20)を稼働停止させると、次のような効果を得ることができる。すなわち、空気調和装置(20)、特に、室外機(21)の負荷率が低いものの、複数の室内機(22)の稼働率が低く、個室等で稼働する少数の室内機(22)の空調能力が高い可能性がある場合に、当該少数の室内機(22)を稼働停止させて当該個室等の室内環境を悪化させる事態を回避することができる。
【0081】
また、本実施形態の空調システム(100)において、空気調和装置(20)を稼働停止させた場合、外気処理装置(10)の運転モードを給気温度制御から還気温度制御又は室内温度制御に切り替えると、省エネ性を向上させながら、対象空間(SP1、SP2)の環境を良い状態に維持できる。
【0082】
本実施形態の空調システム(100)によると、対象空間(SP1、SP2)の空気の温度及び湿度の少なくとも一方である温湿度状態が所定の範囲内にあり、且つ、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のうち一方の装置の負荷率が所定の上限値よりも高く、他方の装置の負荷率が所定の上限値よりも低い場合、当該一方の装置の空調能力を減少させ、当該他方の装置の空調能力を増大させる。言い換えると、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のうち一方の装置が過負荷状態となった場合、対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態が所定の範囲内にあること、及び、他方の装置が過負荷状態ではないことを条件として、一方の装置の空調能力を減少させ、他方の装置の空調能力を増大させる。このため、外気温や室内負荷に起因して外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)が過負荷状態になった場合、各装置の空調能力を調整してCOPの低下を抑制できるので、空調システム(100)の稼働効率の低下を抑制できる。
【0083】
本実施形態の空調システム(100)において、外気処理装置(10)の給気温度を調整することにより、一方の装置から他方の装置へ空調能力をシフトすると、各装置の空調能力の調整を容易に行うことができる。
【0084】
〈変形例1〉
実施形態の空調システム(100)においては、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれかを稼働停止させて所定の時間が経過した後で、対象空間(SP1、SP2)の温湿度状態が所定の範囲から外れた場合、稼働停止していた装置を再稼働させた。しかし、これに代えて、或いは、これに加えて、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれかを稼働停止させて所定の時間が経過した後で、稼働停止された熱源のスイッチ、又は、当該熱源を有する装置のスイッチがONされた場合、稼働停止していた装置(熱源)を再稼働させてもよい。これにより、例えば、冷房時に空気調和装置(20)が稼働停止された場合にユーザが冷房が効いていないと判断してスイッチをONすると、空気調和装置(20)を再稼働させることができる。
【0085】
〈変形例2〉
実施形態の空調システム(100)においては、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれかを稼働停止させると共に、稼働継続する装置の空調能力を強制的に増大させた。しかし、これに代えて、稼働継続する装置の冷房能力又は暖房能力を、当該装置又は空調システム(100)の自律的な制御により増大させてもよい。このように、単体制御(自律的な室温制御等)又は別のシステム制御(例えば、室内環境が悪化したときに給気温度を変更することで室内環境を改善する制御)により、稼働継続する装置の空調能力を自律的に変更すると、室内環境は一時的に悪化するものの、空調能力を増大させる装置が、不連続な運転に起因する不要な外乱の影響を受けることを抑制できる。
【0086】
〈変形例3〉
本実施形態の空調システム(100)においては、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の両方の負荷率が所定の下限値よりも低い場合、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)のうち所定の下限値に対する負荷率の比率がより低い装置、又は、予め設定された装置を稼働停止させた。しかし、これに代えて、或いは、これに加えて、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の両方の負荷率が極端に低い場合、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の両方の熱源をサーモOFFしてもよい。これにより、消費電力を削減できる。
【0087】
〈変形例4〉
本実施形態の空調システム(100)においては、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の少なくとも一方の負荷率が所定の下限値よりも低い場合に、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれか一方を稼働停止(熱源の強制サーモOFF)させた。しかし、これに加えて、冷房時は、「外気処理装置(10)の給気温度<外気温度−t(tは例えば1℃等の所定値)」の条件が満たされた場合、暖房時は、「外気処理装置(10)の給気温度>外気温度+t」の条件が満たされた場合、外気処理装置(10)を稼働停止させてもよい。これにより、外気処理装置(10)が低COPで運転されることを回避できる。
【0088】
《その他の実施形態》
前記実施形態(変形例を含む)では、外気処理装置(10)は、加湿器(13)を備えていた。しかし、これに代えて、外気処理装置(10)は、加湿器(13)を備えていなくてもよい。すなわち、外気処理装置(10)は、加湿運転を行わないように構成されてもよい。
【0089】
また、前記実施形態(変形例を含む)では、空調システム(100)が2つの対象空間(SP1、SP2)を持つ建物(BL)に適用される場合について説明した。しかし、空調システム(100)の設置環境については特に限定されない。例えば、空調システム(100)は、3つ以上の対象空間を持つ建物に適用されてもよいし、或いは、1つの対象空間を持つ建物に適用されてもよい。ここで、室内機(22)の台数については、対象空間の数に応じて適宜変更されてもよい。また、1つの対象空間に複数台の(22)が配置されてもよい。
【0090】
また、前記実施形態(変形例を含む)では、外気処理装置(10)は、1台のエアハンユニット(11)と、1台のチラーユニットとを有していた。しかし、外気処理装置(10)が有するエアハンユニット(11)及びチラーユニットの台数については1台に限定されず、設置環境や設計仕様に応じて適宜変更が可能である。すなわち、外気処理装置(10)は、エアハンユニット(11)及び/又はチラーユニットをそれぞれ複数有していてもよい。尚、エアハンユニット(11)の台数と、チラーユニットの台数とは、必ずしも同数である必要はない。
【0091】
また、前記実施形態(変形例を含む)では、空気調和装置(20)は、1台の室外機(21)と、2台の室内機(22)とを有していた。しかし、空気調和装置(20)に含まれる室外機(21)及び室内機(22)の台数については、設置環境や設計仕様に応じて適宜変更が可能である。すなわち、空気調和装置(20)は、室外機(21)を複数有していてもよいし、3台以上又は1台の室内機(22)を有していてもよい。
【0092】
また、前記実施形態(変形例を含む)では、室内機(22)が対象空間(SP1、SP2)の天井に設置される場合について説明した。しかし、室内機(22)の型式や設置態様については特に限定されない。室内機(22)は、例えば、いわゆる天吊り型、壁掛け型、床置き型等であってもよい。
【0093】
また、空調システム(100)に含まれる各種センサの配置位置は、前記実施形態(変形例を含む)の態様に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、外気温度センサ、外気湿度センサ及び/又は給気温度センサは、必ずしもエアハンユニット(11)に配置される必要はなく、他のユニットに配置されてもよいし、独立して配置されてもよい。また、例えば、室内温度センサ、室内湿度センサ及び/又は二酸化炭素濃度センサは、必ずしも室内機(22)に配置される必要はなく、他のユニットに配置されてもよいし、独立して配置されてもよい。
【0094】
また、前記実施形態(変形例を含む)では、制御装置(30)の設置態様について特に説明していなかったが、制御装置(30)の設置態様については適宜選択が可能である。制御装置(30)は、例えば、建物(BL)の管理室に配置されてもよいし、WANやLANで通信可能に接続された遠隔地に設置されてもよい。また、制御装置(30)の構成態様についても適宜変更されてもよい。例えば、制御装置(30)の各機能部は必ずしも一体に配置される必要はなく、分散配置された各機能部が通信ネットワークで接続されることで制御装置(30)が構成されてもよい。また、制御装置(30)は、複数のデバイス(例えばPCやスマートフォン等)が接続されることで構成されてもよい。また、制御装置(30)は、外調機制御部(31)及び/又は空調機制御部(32)と接続されることで構成されてもよい。さらに、制御装置(30)の各機能部を、外調機制御部(31)及び/又は空調機制御部(32)に代替させることも可能である。
【0095】
また、前記実施形態(変形例を含む)では、外気処理装置(10)が、外気(OA)のみを給気(SOA)として供給する場合について説明した。しかし、外気処理装置(10)内に還気流路を形成して、外気(OA)と内気(IA)とを混合して給気(SOA)として供給するように構成してもよい。ここで、外気(OA)と内気(IA)との混合割合については、設置環境や設計仕様に応じて適宜変更が可能である。
【0096】
また、前記実施形態(変形例を含む)では、外気処理装置(10)は、機械室(BL1)に配置された。しかし、外気処理装置(10)は、例えば、対象空間(SP1、SP2)の天井裏、床下、側壁等に設置されてもよい。
【0097】
また、前記実施形態(変形例を含む)では、空調システム(100)が、単一ダクト方式の外気処理装置(10)を備える態様について説明されていた。しかし、空調システム(100)が他の態様で構成されてもよいことは言うまでもない。
【0098】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【解決手段】外気処理装置(10)と空気調和装置(20)とを備える空調システム(100)において、対象空間(SP1、SP2)の空気の温度及び湿度の少なくとも一方である温湿度状態が所定の範囲内にあり、且つ、外気処理装置(10)及び空気調和装置(20)の少なくとも一方の負荷率が所定の下限値よりも低い場合、外気処理装置(10)又は空気調和装置(20)のいずれか一方を稼働停止させる。