特許第6769622号(P6769622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769622
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】電線くず回収装置
(51)【国際特許分類】
   H01B 15/00 20060101AFI20201005BHJP
   B03B 5/04 20060101ALI20201005BHJP
   B03B 9/06 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   H01B15/00ZAB
   B03B5/04
   B03B9/06
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-153775(P2018-153775)
(22)【出願日】2018年8月20日
(65)【公開番号】特開2020-30888(P2020-30888A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2020年3月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595123678
【氏名又は名称】三立機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】中根 亮一
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−022522(JP,A)
【文献】 特開2007−136427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 15/00
B03B 5/04
B03B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜した選別台と、
前記選別台に振動を与える振動発生装置と、
前記選別台に水を供給する水供給装置と、を備えた電線くず回収装置であって、
前記選別台は、前記水供給装置によって供給される水を堰き止めるための側壁部材及び堰部材と、
前記選別台の少なくとも一方の前記側壁近傍に設置されミスカット材回収通路と主選別通路を仕切るための仕切板と、を備えており、
前記主選別通路には、多数の凸部が形成されており、
前記多数の凸部は、前記主選別通路に多数の凸部が形成された縞鋼板を配置することで形成される電線くず回収装置。
【請求項2】
傾斜した選別台と、
前記選別台に振動を与える振動発生装置と、
前記選別台に水を供給する水供給装置と、を備えた電線くず回収装置であって、
前記選別台は、前記水供給装置によって供給される水を堰き止めるための側壁部材及び堰部材と、
前記選別台の少なくとも一方の前記側壁近傍に設置されミスカット材回収通路と主選別通路を仕切るための仕切板と、を備えており、
前記主選別通路には、多数の凸部が形成されており、
前記多数の凸部は、延伸軸が前記選別台の傾斜方向に沿って前記傾斜方向に対し交互に反対となるよう配置されている電線くず回収装置。
【請求項3】
傾斜した選別台と、
前記選別台に振動を与える振動発生装置と、
前記選別台に水を供給する水供給装置と、を備えた電線くず回収装置であって、
前記選別台は、前記水供給装置によって供給される水を堰き止めるための側壁部材及び堰部材と、
前記選別台の少なくとも一方の前記側壁近傍に設置されミスカット材回収通路と主選別通路を仕切るための仕切板と、を備えており、
前記主選別通路には、多数の凸部が形成されており、
前記多数の凸部は、延伸軸が傾斜方向に沿って傾いた細長突起が間隙を形成しつつ多数配置されたものである請求項1記載の電線くず回収装置。
【請求項4】
前記多数の凸部の各々の高さは0.5mm以上3mm以下、長さは1cm以上10cm以下であって、前記多数の凸部の各々の間隙は、1mm以上3cm以下の範囲にある請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電線くず回収装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線くず回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物に含まれる電線くずに含まれる金属導線は、分離回収することによって有効な資源として活用可能である。電線くずから金属導線を回収する方法としては、例えば、被覆材で被覆された電線を粉砕機等で細かく粉砕して粉砕物とし、その粉砕物に含まれる材料の比重の差を利用する回収装置によって分離回収される。
【0003】
この分離回収装置の公知な技術としては、例えば下記特許文献1に記載された装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4823392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術によっても、金属導線と被覆材との分離が十分でない場合が発生しうる。具体的に説明すると、例えば被覆材等が金属導線に包まれて塊になってしまっているような状態で選別台に投入された場合、十分な比重差を得ることができず、この塊の状態を維持したまま金属導線として回収されてしまうといったおそれが生じうる。これは、回収する金属導線の品質低下をもたらす。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、より高品質な金属導線を回収することのできる電線くず回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る電線くず回収装置は、傾斜した選別台と、選別台に振動を与える振動発生装置と、選別台に水を供給する水供給装置と、を備えた電線くず回収装置であって、選別台は、水供給装置によって供給される水を堰き止めるための側壁部材及び堰部材と、選別台の少なくとも一方の側壁近傍に設置されミスカット材回収通路と主選別通路を仕切るための仕切板と、を備えており、主選別通路には、多数の凸部が形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によって、より高品質な金属導線を回収することのできる電線くず回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る電線くず回収装置全体の概略を示す図である。
図2】実施形態に係る電線くず回収装置の選別台の概略を示す図である。
図3】実施形態に係る電線くず回収装置における主選別通路の凸部のイメージを示す図である。
図4】実施形態に係る電線くず回収装置における主選別通路の凸部のイメージを示す図である。
図5】実施形態に係る電線くず回収装置において電線くずの塊が凸部によってほぐれる状態のイメージ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態における具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る電線くず回収装置(以下「本装置」という。)1の概略を示す図であり、側面から見た場合の概略断面図である。また、図2は、選別台を上から見た場合の概略図である。これらの図で示すように、本装置1は、傾斜した選別台2と、選別台2に振動を与える振動発生装置3と、選別台2に水を供給するための水供給装置4と、を備えた電線くず回収装置であって、選別台2は、台本体部21に、水供給装置4によって供給される水を堰き止めるための側壁部材22及び堰部材23と、選別台2の少なくとも一方の側壁部材22近傍に設置されミスカット材回収通路242と主選別通路241を仕切るための仕切板24と、を備えており、主選別通路241には、多数の凸部2411が形成されているものである。また、本装置1では、上記の他、選別台2に電線くずを投入するための電線くず投入装置5、選別された結果排出される金属導線や被覆材を回収するための回収容器6を備えている。
【0012】
後述の記載からも明らかであるが、本装置1は、粉砕された電線くずに含まれる銅材等の金属導線や被覆材を、それらの比重差を利用することによって分離回収することができるものである。より具体的には、斜めに傾斜した選別台2の上面211に水供給装置4から水を流すとともに、この選別台2に斜め上方(傾斜方向)に向かう振動を与えつつ、この選別台上に粉砕した電線くずを投入することによって、電線くずにおける金属導線と被覆材の比重差を利用してこれらを分別し、銅などの金属導線を高品位に回収することができるものである。特に、本装置1では、高純度の銅材等の金属導線を高い回収率で回収できる。なお、本装置1の回収対象である金属導線は、比重差を利用して分離回収することができる限りにおいて限定されず、例えば銅、アルミニウム、金等の各種金属に適用可能である。また、本装置1の電線くずに含まれて回収対象となる被覆材としても、比重差を利用して分離回収することができる限りにおいて限定されるわけではないが、高分子材料、具体的にはゴムや樹脂であることものが一般的であり好ましい。樹脂の場合、具体的にはポリ塩化ビニル、ポリエチレン等を例示することができるがこれに限定されない。
【0013】
まず本装置1では、上述の通り、傾斜した上面211が形成された選別台2を備える。傾斜した選別台2は本装置1の主要な部材であり、振動発生装置3、水供給装置4、電線くず投入装置5、回収容器6等は全て選別台2を中心に配置される。選別台2の材質は特に限定されないが、全体がステンレス等の金属であることは、硬さ及び水漏防止等を効率的に確保することができる点において好ましい。
【0014】
また、選別台2には、台本体部21に、水供給装置4によって供給される水を堰き止めるための側壁部材22及び堰部材23が備えられており、更に、仕切板24を備えることで、台本体部21の上面211を主選別通路241とミスカット材回収通路242に分けることができる。なお、選別台2は支持部材25を備えており、支持部材によって所定の傾き及び位置を維持することができる。
【0015】
上記の記載からも明らかであるが、選別台2の台本体部21は、台の主要骨格を形成する部材であるとともに、この台本体部21の上面211を電線くず(金属導線及び被覆材)が接触し移動することになる。台本体部21は、水を供給して水を張った場合に底としても機能する。
【0016】
また、選別台2における堰部材23は、上記のとおり、側壁部材22とともに水を堰き止めるために用いられる部材であり、傾斜した上面において、傾斜方向とは交差する方向(幅方向)に設けられる部材である。この堰部材23の高さは、水を所望の高さまで溜めることができる限りにおいて特に限定されないが、5mm以上20mm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは10mm以上15mm以下の範囲である。
【0017】
また、選別台2における側壁部材22は、選別台2における台本体部21の両側に形成され、水を漏らさない及び電線くずをこぼれ落とさないよう抑える壁として機能する。この側壁部材22は、水が漏れ出ない程度、電線くずがこぼれ落ちない程度の高さあればよく、例えば5mm以上50mm以下の範囲であることが好ましい。なお、選別台2の幅及び側壁部材22間の距離は電線くずの処理量等によって適宜調整であり限定されるわけではないが、一般的には30cm以上100cm以下であることが好ましい。
【0018】
また、選別台2における仕切板24は、上記側壁部材22の形成する壁面に略平行に配置される板であり、上記の通り中央寄りの主選別通路241と、端よりのミスカット材回収通路242に領域を分けることができる。通路を分けることによる具体的な原理やその効果については後述の記載から明らかとなるが、この仕切板24によって、より高品質な分離回収を可能とすることができるようになる。なお、本装置1の例では、仕切板24を二つ設け、中央に主選別通路241を設け、その両脇に二つのミスカット材回収通路242を設けている。なお、本仕切板24は、それぞれ、下端近傍において、互いに近づくよう(主選別通路241が狭まるよう)曲げられた部分を備えている。このようにすることで、より高品質な電線くずの分離回収が可能となる。
【0019】
選別台2の傾斜角(より具体的には上面の傾斜角)については、対象となる電線くずや被覆材の比重、重さ等によって適宜調整可能であり限定されるわけではないが、例えば2度以上20度以下であることが好ましく、より好ましくは3度以上10度以下である。
【0020】
また、選別台2の上記主選別通路241には、多数の凸部2411が形成されている。この凸部2411の効果に関する具体的なイメージを図3に示しておく。本図は、凸部2411を横から見た場合のイメージ図である。本装置1では、選別台2に多数の凸部2411を設けることで、電線くずの投入によって生じうる上述の塊化を防止することが可能となる。具体的には、被覆材等が金属導線に包まれて塊になった状態で選別台に投入された又は投入された後に塊となった場合であっても、振動発生装置3により与えられた振動により塊が持ち上げられ、この凸部2411に塊が衝突することで確実にほぐれ、被覆材と金属導線とを効率的に分離させ、別々に回収ことが可能となる。更に具体的に説明すると、持ち上げられた塊と凸部の衝突位置及びその角度は、その凸部と塊との位置によって大きく異なる。この結果、凸部が無く平滑な場合に比べ、塊に与える衝撃の向き及び強さが大きく異なるため、様々な角度から塊に衝撃を与えることができ塊がほぐれやすくなるのである。もちろん、この凸部2411によると、粉砕工程においても金属導線と被覆材が付着したままとなった状態のいわゆるミスカット材に対しても同様の分離回収効果を得ることができる。
【0021】
この観点から明らかであるが、多数の凸部2411は、間隙を形成しつつ多数配置されたものであることが好ましい。凸部2411に間隙を設けておくことで、多数の凸部2411の衝撃を受けつつこの間隙を電線くずが通ることにより電線くずの円滑な移動を阻害することなく分離が可能となる。また、多数の凸部2411の間隙の位置は、傾斜方向が異なれば幅方向における位置も異なっていることが好ましい。このようにすることで、凸部2411の隙間が傾斜方向に貫通して存在するおそれが少なくなり、塊を確実に凸部に衝突させてほぐしつつ移動させることができる。
【0022】
なお、多数の凸部の各々の間隙は、本装置の機能を発揮することができる限りにおいて限定されるわけではないが、1mm以上5cm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは3cm以下である。この範囲とすることで、塊を確実に突起に当てることができるようになるとともに、円滑な電線くずの移動を妨げるおそれが少なくとなる。
【0023】
また、主選別通路241の凸部の形状は、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、上面から見た場合に丸形状(図4(a))、楕円形状(図4(b))、曲線部分を含んでもよい多角形状(図4(c))等であることが好ましく、特に細長の楕円形状であることは、縞鋼板として既存の市販品として存在している形状でもある観点から導入が容易となる点、で好ましい。これらの凸部のイメージを図4に示しておく。
【0024】
また、この凸部2411の形状が丸形状以外の形状で延伸軸(長軸)を備えている形状である場合(上記図の(b)、(c)のような場合)、この延伸軸が、選別台の傾斜方向に沿って傾斜方向に対し一つずつ又は複数ずつ交互に反対となるよう配置されていることが好ましい。このようにすることで、塊が複数の方向に衝突・衝撃を受けることとなり、よりほぐれやすくなるといった効果がある。
【0025】
また、この凸部2411において、延伸軸の長さ(延伸軸に沿った凸部の最長距離)は、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、5mm以上10cm以下であることが好ましく、より好ましくは5cm以下である。この範囲とすることで、効率的な塊分離の効果を得ることができるとともに、電線くず回収の円滑な移動を妨げるおそれが少ない。
【0026】
また、多数の凸部2411の各々の高さ(最大高さ)は、粉砕され投入される電線くずの大きさなどによって適宜調節可能であるため限定されるわけではないが、0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。この範囲とすることで、塊が確実に衝突する高さとなるとともに、電線くずが凸部を乗り越えることも可能性となり、円滑な電線くずの移動を可能とする。また、この凸部の断面については、上記図で示すように、矩形ではなく周縁部から頂点部に行くに従い高さの変化していく傾きのあるいわゆる山型であることが好ましい。このようにすることで、傾きを備えることができ、この傾きにより様々な方向に塊を跳ね返し、解しやすくなる。
【0027】
また、本装置において、多数の凸部2411の形成は、直接選別台の台本体部の表面に凸部を形成するよう構成してもよいが、台本体部に、多数の凸部が形成された縞鋼板を配置することで形成してもよい。このようにすることで、凸部の形状を変更したい場合に、いわゆる縞鋼板を交換するだけで変更可能となり、メンテナンスも容易となる。この場合のイメージを図5に示しておく。またこの場合、鋼板表面と選別台上面の段差が生じないよう鋼板表面と選別台上面の段差を解消するためのスロープや、鋼板の厚み分だけ窪みを形成する構成としておくことが好ましい。なお、鋼板の設置については特に限定されるわけではないが、振動によって浮き上がらないよう、選別台に爪や螺子等で固定しておくことが好ましい。
【0028】
また、本装置1では、上記の記載から明らかであるが、選別台に振動を与える振動発生装置3を備える。振動発生装置3は、この機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、例えば図1で示すように、モータ等回転を生じさせる動力装置31と、この動力装置の回転を伝えるプーリー321及びこれに巻き回されるベルト322等の伝達部材32と、この伝達部材の動きに基づき傾斜台に振動を与える振動発生部材33と、を有している。
【0029】
なお、本装置1における振動発生装置3が発生させる振動の方向は、限定されるわけではないが、鉛直方向、及び、鉛直方向から傾斜方向(高い位置に向かう方向)に向いていることの何れかが好ましい。このようにすることで、電線くずに対して当該方向に移動する力を加えることができ、円滑な移動および効率的な分離を可能とする。またこの場合において、振動発生装置3が発生させる振動の振幅については、特に限定されるわけではないが、1mm以上5mm以下であることが好ましい。また、振動の周波数についても適宜調整可能であり、1Hz以上100Hz以下であることが好ましい。この範囲とすることで上記凸部と相まって効率よく電線くずを分離回収することができる。
【0030】
また、本装置1では、上述の通り、選別台2に水を供給するための水供給装置4を備える。この水供給装置4は、本装置1の機能を発揮することができる限りにおいて限定されるわけではないが、水源に接続されるポンプ41と、このポンプに接続され水を導く配管42と、この配管42に接続され水を供給する水供給部材43と、を有することが好ましい。この水供給部材43に関しては、水を選別台2に対してより広く均一に照射するためにいわゆるシャワー状態となるよう、水排出孔が一方向に所定の間隔であけられている構成となっていることが好ましい。
【0031】
また、本装置1では、電線くず投入装置5を備えている。電線くず投入装置5は上記の記載からも明らかであるが、選別台の上面上方に固定して備えられており、選別台に対して粉砕された電線くずを少量ずつ投下させることができるものである。構造については上記機能を発揮できるものである限りにおいて限定されるわけではないが、電線くずを受け入れるための比較的広い受入れ口を備え、下部に行くに従い幅又は口径が狭められた容器と、この内部に設けられる一定期間内に所定の量を排出させるための排出機構を備えていることが好ましい。このようにすればより効率的な電線くずの回収を図ることができるようになる。
【0032】
また、本装置1では、上記構成のほか、回収容器6を備えており、上記選別台2の上流側及び下流側にそれぞれ設けられており、更に、下流側は主選別通路241とミスカット材回収通路242のそれぞれに設けられている。これにより、分離分別された電線くずをそれぞれの種類ごとに回収することが可能となる。なお、回収容器6は電線くずを回収することができる限りにおいてどのような容器であってもよいが、電線くずは水とともに排出されるため、少なくとも下流側に設けられる回収容器6の底は、電線くずを保持することができる一方水を排出するための孔が多数形成されたいわゆる笊のようになっているものが好ましい。また、この排出される水はそのまま回収され再び水供給装置に供給される構造となっていることも省資源利用の観点から好ましい。もちろん、本装置1では分離のために添加物を原則として使用することが無いため、環境に対して低負荷である。
【0033】
次にここで、本装置1による電線くずの回収方法について、本装置1の動作を含め具体的に説明する。
【0034】
まず、使用者は、本装置1の電線くず投入装置5に粉砕された電線くずを投入するとともに、水供給装置4を作動させ、選別台2特に主選別通路に対して水の供給を開始する。また、これとともに振動発生装置3も作動させ、選別台2に対し振動を発生させる。この場合において、電線くずは細かく粉砕されており、銅等の金属導線と、この周囲に付着していた被覆材を含んでおり、更に、金属導線と被覆材が付着したままのミスカット材としても含まれており、更に、金属導線と被覆材が塊となった状態のものも含まれている。
【0035】
そして、電線くず投入装置5を作動させ、一定量ずつ選別台2に投入する。投入された粉砕物に含まれる被覆材は樹脂くずであって、水より比重が小さいので、水に浮かび、水流によって選別台の下方に移動する。これに対し、投入された粉砕物に含まれる銅等の金属導線は、水より比重が大きいので、沈降して選別台の上面に接し、この状態で選別台に与えられた振動が作用して、金属導線を選別台の上方に移動させる。この現象を利用して電線くずの粉砕物から樹脂くずを分離して銅材を回収する。
【0036】
ところで、上記粉砕物には、十分に粉砕されていず、銅材等に樹脂くずが一部付着した粉砕物(以下、ミスカット材という)、更には、金属導線と被覆材が塊となったものが含まれており、上記銅回収装置では、このミスカット材、塊をどのようにして分離回収するかが大きな問題となっている。
【0037】
これに対し、本装置では、主選別通路において凸部が設けられており、ミスカット材及び塊はこの凸部において様々な方向、位置において衝撃が与えられることとなるため、ミスカット材及び塊がほぐれつつ、ほぐれた結果分離される被覆材は選別台の下方に、金属導線は選別台の傾斜方向(上方)にそれぞれ移動することとなる。なおこの凸部においても分離が困難であったミスカット材については、水供給装置によって供給される水の流れに対し垂直に移動することは困難であるため側部近傍に寄せられ、側部に設けられるミスカット材回収通路において上方に移動し回収される。
【0038】
以上、本発明によって、より高品質な金属導線を回収することのできる電線くず回収装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は電線くず回収装置及び電線くず回収方法として産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5