(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ファンを制御する制御回路は、前記360度以上の回転を、装着される装置の起動時、停止時、或いは一定時間間隔で実行する、請求項1又は請求項2に記載のファン装置。
前記複数のフィンは、前記ファンが引き起こす風の流れの方向に対して、実質的に平行な配置、傾斜した配置、実質的に垂直な配置の間で順番に遷移するように、配置角度が変化するように制御される、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のファン装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
初めに、本発明の第1実施形態によるファン装置、及びその制御方法について、説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のファン装置を説明するための概略図である。
図2は、本発明の第1実施形態のファン装置の具体的な構成を説明するための構成図である。
図3は、攪拌用可動フィン・ユニットのフィンの可動方法を説明するための概念図である。
図4(a)乃至
図4(d)は、攪拌用可動フィン・ユニットのフィンの可動方法及び風向きサイクルを説明するための概念図である。
【0016】
ファン装置の一例として、攪拌用可動フィン・ユニットを説明する。
図1の攪拌用可動フィン・ユニット5は、ファン6と、複数のフィン7を含む。複数のフィン7は、ファン6に対向するように配置され、ファン6の回転に伴ってそれぞれ回転する。攪拌用可動フィン・ユニット5のより具体的な構成について、
図2を参照して説明する。
図2の攪拌用可動フィン・ユニット5は、吸気ファン2の機能も兼ねているものとして説明する。
図2の攪拌用可動フィン・ユニット5は、ファン6、フィン7、平歯車8、ウォーム歯車9、すぐばかさ歯車10、軸11、軸12、軸13、ユニット・ケース14、平歯車15などを含む。
【0017】
ファン6のモータを回転することで、ファン6は外部から空気を吸入する。同モータの回転力を用いて軸11に取り付けられた、すぐばかさ歯車10の4つの歯車及び軸12、軸13の構成でウォーム歯車9を回転させる。ウォーム歯車9が回転することで、同歯車にかみ合っている平歯車8及び平歯車15が回転し、同軸上に取り付けられたフィン7が回転する。このフィン7が回転することで、ファン6から取り入れた空気の流れを変える。
【0018】
本実施形態では、ウォーム歯車9を用いることでファン6の回転数を減速し、フィン7の回転を遅くさせることで装置内部の広い範囲に空気を送り込むことができる。また、フィン7に当たる風力が逆にファン6の方に逆回転力を与えることを防止するためにも、ウォーム歯車9が有効である。
【0019】
図3は、フィン7の可動方法を示しており、中心を境に左右対称に複数のフィン7がそれぞれ回転する。各フィン7は例えば、その長手方向と平行な回転軸を中心として回転する。フィン7が回転することで、
図4(a)のような直線配置、
図4(b)のような拡散配置、
図4(c)のような直角配置、
図4(d)のような風量絞込み配置のように、フィン7の状態が遷移する。
図4(a)の直線配置とは、ファン6が引き起こす風の流れの方向に対して、複数のフィン7が実質的に平行な配置である。る。
図4(b)の拡散配置とは、ファン6が引き起こす風の流れの方向に対して、複数のフィン7が傾斜した配置である。
図4(c)の直角配置とは、ファン6が引き起こす風の流れの方向に対して、複数のフィン7が実質的に垂直な配置である。
図4(b)の風量絞込み配置とは、ファン6が引き起こす風の流れの方向に対して、複数のフィン7が傾斜した配置である。これにより、空気の流れが[直線]→[拡散]→[直角]→[風量絞込み(増加)]の繰り返しを行い、攪拌用可動フィン・ユニット5を取り付けた装置内部の攪拌を行う。複数のフィン7は、フィン7の長手方向と平行な回転軸を中心として、360度回転する。
【0020】
また、ウォーム歯車9及び平歯車8の形状(直径、ピッチ、歯数)の組み合わせによりフィン7の回転数の調整も可能とする。
【0021】
本実施形態の説明図(
図2)では、基本原理がわかりやすい図になっているが、選定したファンの風量、モータの回転数によっては、稼動フィンの動きの調整が必要になる。歯車の歯数・大きさ及び減速用の歯車の構成は複雑になる場合を考慮して攪拌用可動フィン・ユニットの設計が必要であることを、付け加えておく。
【0022】
(実施形態の動作の説明)
本実施形態の動作実行は、装置の起動時と停止直前時、及び連続稼働している場合は一定時間の間隔で実行することが考えられる。
【0023】
装置内部の攪拌動作を行うには、開始時は、攪拌用可動フィン・ユニット5のファン6を一定時間、高速回転させ内部の塵・埃を攪拌する。この場合、攪拌用可動フィン・ユニット5のフィン7が360度以上回転する必要がある。フィン7が1回転以上回転したらファン6の回転を通常回転に戻す。排気ファンは通常回転のままとする。
【0024】
次に攪拌された塵・埃を排出するため、排気ファン3を一定時間、高速回転させる。一定時間が経過後、ファン回転を通常回転に戻す。
【0025】
この繰り返し動作を一定時間間隔に繰り返すことで、装置内部の塵・埃の付着や堆積を抑制する。
【0026】
本実施形態で使用する装置において、吸排気ファン以外からも塵埃が入り込むような隙間等がある場合は、装置内部の圧力を上げるように吸排気ファンの制御を行う。仮に装置内部の圧力が上げられず隙間から塵埃が入り込むような場合は、装置内部の攪拌時間や排気の強弱及び変動時間を調節することで溜まりにくい状態に制御する機能も持っているものとする。
【0027】
(効果の説明)
背景技術のエアーフロー制御では、吸入口から入り込んだすべての塵・埃は排気口からは全て排出されず、装置内部に残る場合がある。装置の内部構造により、塵・埃は、吸気ファンの風の流れにより風量が弱いところ、渦が発生するところに導かれ埃は装置内部に留まる。また、装置が停止した場合にも排出されなかった塵・埃は装置内部に留まる。
【0028】
本実施形態による効果は、この悪循環を改善する方法として、吸入口から入り込んだすべての塵・埃を装置内部で攪拌し、通常の冷却ファンでは、風量が弱いところや渦が発生するところにも本ユニットの風の流れを変えることである。これにより、塵埃堆積・付着を抑制することができる。
【0029】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態によるファン装置、及びその制御方法について、説明する。
図5は、本発明の実施形態のファン装置の取り付け例を説明するための断面図である。
図5は、
図11の吸気ファン102を本発明の実施形態の攪拌用可動フィン・ユニット5に置き換えて取り付けた状態を示す。
図5の装置筐体1には、排気ファン3、攪拌用可動フィン・ユニット5が取り付けられており、装置内のエアーフロー制御を行っている。
【0030】
図5において、本実施形態の攪拌用可動フィン・ユニット5は、吸気及び装置内の攪拌を行う。排気ファン3で装置内部の塵・埃の排出を行う。装置内に搭載している回路基板には、
図8の構成でファンを制御する制御回路を設けており(もしくは後付でファン制御回路基板を取り付けることも可能であり)、各ファン制御を行う。
図8は、本発明の実施形態のファン制御システムを説明するためのブロック図である。
図8のファン制御システムは、ファン制御回路20と、センサ部26などを含む。ファン制御回路20は、ファン電源制御部21と、監視制御回路22と、温度センサ入力回路23を含む。センサ部26は、CPU(Central Processing Unit)などのための高温デバイス温度センサ、装置内温度センサ、や予備センサを含む。監視制御回路22には、予備情報25が供給されている。予備情報25は、装置の負荷情報などを含む情報であり、CPUの負荷状態、ディスク装置へのアクセス状況、や拡張ボードの有無などを含む。
【0031】
攪拌用可動フィン・ユニット5を含む各ファンの制御方法には、装置の温度状態を確認するセンサ部26からの信号入力と、予備情報25を用いる。入力された情報を基に、各ファンの電源制御を行い、ファン毎にモータの回転数の調整を行う。
【0032】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態によるファン装置、及びその制御方法について、説明する。
図6は、本発明の実施形態の他のファン装置の取り付け例を説明するための断面図である。
図6は予備ファン4に本発明の実施形態の攪拌用可動フィン・ユニット5に置き換えて取り付けた状態を示す。吸気ファン2に攪拌用可動フィン・ユニット5に置き換えが出来ない場合、予備ファンを設けている装置に設置した場合の構成である。
【0033】
この場合両ファン(吸気ファン2及び攪拌用可動フィン・ユニット5)の制御の変更が必要となるが、装置内部塵埃の攪拌が実施できる。
【0034】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態によるファン装置、及びその制御方法について、説明する。
図7は、本発明の実施形態の他のファン装置の取り付け例を説明するための断面図である。
図7は、吸気ファン2と置き換えが出来ない場合の構成例である。例えば、ファンのサイズやタイプ(ブロアタイプ等)が異なり、設置が困難な場合、吸気ファン2の風力を用いて本実施形態の攪拌用可動フィン・ユニット5のファン6を回転する事で装置内部塵埃の攪拌が実施できる。
【0035】
〔その他の実施形態〕
本発明の実施形態の攪拌用可動フィン・ユニットの応用例として、以下の場合でも実施可能と考える。
【0036】
図9のように、
図11の背景技術の装置において吸気ファン2及び予備ファン4の両方に、本実施形態の攪拌用可動フィン・ユニット5を取り付けることである。吸気ファン2及び予備ファン4の両方に取り付けた場合、両方のファン制御の強弱により複雑な装置内部の攪拌方法ができ更に塵埃堆積・付着の進行を遅らせることが可能となる。
【0037】
また
図10(a)のように、本実施形態の攪拌用可動フィン・ユニット5のフィンの取り外しや固定することで、装置にあわせた風の流れを設けることが可能となる。例えば、攪拌用可動フィン・ユニット5のフィン7の中央部分のフィンを1枚或いは2枚外すことで、フィンのない領域7aや領域7bを設けることができる。攪拌用可動フィン・ユニット5のフィン7の中央部分のフィンを外すことで、常に直線的な風の流れが発生させることができ、発熱部分への冷却を行いつつも装置内部の塵埃攪拌を行うことができる。
【0038】
また
図10(b)のように、直角方向に吹き出す脇にダクト30を取り付けることである。攪拌用可動フィン・ユニット5の設置場所によっては、直線方向にしか風を送ることができず、そのままでは風は装置内の壁31に衝突してしまい、円滑な風の流れを作ることができない。この場合には、吸気ファン2のサイズより小さい攪拌用可動フィン・ユニット5を用いて直角方向に吹き出す両脇にダクト30を取り付けることで風向きを変えて装置内部の攪拌を実施することも可能とする。
【0039】
図10(c)のように、吸気ファン2の様な薄型のプロペラファンでない場合、例えばブロアファンやラインフローファン等、形状の異なるファンでは置き換えが出来ない場合がある。或いはファンへの電源供給ができない場合などがある。この場合には、例えばブロアファン40から拌用可動フィン・ユニット5のファン6に風を当てることで、ファン6を回転させフィン7を可動することができ、装置内部の空気を攪拌することも可能である。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【0041】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)吸気又は排気するファンと、前記ファンに対向するように配置された複数のフィンであって、前記ファンの回転に伴ってそれぞれ回転する複数のフィンとを含む、ファン装置。
(付記2)前記複数のフィンは、配列されている方向の中心を境に反対方向へ回転する、付記1に記載のファン装置。
(付記3)前記複数のフィンは、回転軸を中心に360度以上回転する、付記1又は付記2に記載のファン装置。
(付記4)前記360度以上の回転を、装着される装置の起動時、停止時、或いは一定時間間隔で実行する、付記3に記載のファン装置。
(付記5)前記複数のフィンは、前記ファンに対向する領域の一部には配置されていない、付記1乃至付記4のいずれか一つに記載のファン装置。
(付記6)前記複数のフィンは、前記ファンが引き起こす風の流れの方向に対して、実質的に平行な配置、傾斜した配置、実質的に垂直な配置の間で順番に遷移するように、配置角度が変化するように制御される、付記1乃至付記5のいずれか一つに記載のファン装置。
(付記7)吸気又は排気するファンと、前記ファンに対向するように配置された複数のフィンとを含むファン装置の制御方法であって、
前記ファンの回転に伴って前記複数のフィンをそれぞれ回転させる、ファン装置の制御方法。
(付記8)前記複数のフィンは、配列されている方向の中心を境に反対方向へ回転させられる、付記7に記載のファン装置の制御方法。
(付記9)前記複数のフィンを、回転軸を中心に360度以上回転させる、付記7又は付記8に記載のファン装置の制御方法。
(付記10)前記360度以上の回転を、装着される装置の起動時、停止時、或いは一定時間間隔で実行させる、付記9に記載のファン装置の制御方法。
(付記11)前記ファン装置の前記複数のフィンは、前記ファンに対向する領域の一部には配置されていない、付記7乃至付記11のいずれか一つに記載のファン装置の制御方法。
(付記12)前記複数のフィンを、前記ファンが引き起こす風の流れの方向に対して、実質的に平行な配置、傾斜した配置、実質的に垂直な配置の間で順番に遷移するように、配置角度が変化するよう制御する、付記7乃至付記11のいずれか一つに記載のファン装置の制御方法。