(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光電変換層を積層する工程においては、前記光電変換層貫通部とともに平面視において前記光電変換層貫通部に内包され且つ厚さ方向に貫通する第1貫通部を前記第1導電層に形成する、請求項14または15に記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0303】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0304】
[第1実施形態]
第1実施形態および
図1〜
図17における符号は、これらの実施形態および図において有効であり、他の実施形態および図における符号とは独立している。ただし、第1実施形態の具体的構成と他の実施形態の具体的構成とは、相互に適宜組合せ可能である。
【0305】
本発明において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
【0306】
図1〜
図7は、本発明の第1実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュール示している。
図8は、本発明の第1実施形態に基づく電子機器を示している。
【0307】
図1は、有機薄膜太陽電池モジュールA1を示す要部平面図である。
図2は、
図1のII−II線に沿う断面図である。
図3は、有機薄膜太陽電池モジュールA1を示す要部拡大平面図である。
図4は、
図3のIV−IV線に沿う要部拡大断面図である。
図5は、
図3のV−V線に沿う要部拡大断面図である。
図6は、有機薄膜太陽電池モジュールA1を示す要部拡大平面図である。
図7は、
図6のVII−VII線に沿う要部拡大断面図である。
図8は、有機薄膜太陽電池モジュールA1および電子機器B1を示すシステム構成図である。なお、以降の説明において、「z方向視」は、平面視を意味し、「z方向」は支持基板41等の厚さ方向を意味する。
【0308】
図8に示すように、電子機器B1は、有機薄膜太陽電池モジュールA1および駆動部71を備える。有機薄膜太陽電池モジュールA1は、電子機器B1における電源モジュールであり、太陽光などの光を電力に変換する。
【0309】
駆動部71は、有機薄膜太陽電池モジュールA1からの給電によって駆動するものである。駆動部71の具体的な構成や機能は特に限定されず、電子機器B1の機能を実現しうる様々な構成が採用され得る。駆動部71の一例を挙げると、電子計算機器としての電子機器B1を実現する電子計算処理部、無線通信モジュールとしての電子機器B1を実現する無線通信部、腕時計としての電子機器B1を実現しうる計時処理部、携帯型電子端末機器としての電子機器B1を実現しうる入出力演算処理部、等が挙げられる。
【0310】
有機薄膜太陽電池モジュールA1は、支持基板41、第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3およびパッシベーション層42を備える。本実施形態においては、有機薄膜太陽電池モジュールA1は、z方向視矩形状とされているが、これは有機薄膜太陽電池モジュールA1の形状の一例であり、様々な形状に設定されうる。
図1、
図3および
図6においては、理解の便宜上、パッシベーション層42を省略している。
【0311】
支持基板41は、有機薄膜太陽電池モジュールA1の土台となるものである。支持基板41は、たとえば透明なガラスあるいは樹脂等から適宜選択される材質からなる、単層もしくは複数層を有する。支持基板41の厚さは、たとえば0.05mm〜2.0mmである。支持基板41の形状や大きさは特に限定されず、本実施形態においては、z方向視矩形状とされている。
【0312】
有機薄膜太陽電池モジュールA1には、
図1および
図3に示すように、複数の基板露出領域410および基板露出領域412が形成され、
図1に示すように基板露出領域411が形成されている。複数の基板露出領域410、基板露出領域411および基板露出領域412は、支持基板41のうち第1導電層1から露出した領域である。
【0313】
第1導電層1は、支持基板41上に形成されている。第1導電層1は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。第1導電層1は、複数の第1区画部11および第3区画部15を有する。第1導電層1の形状は、様々な形状に設定されうる。第1導電層1の厚さは、たとえば100nm〜300nmである。
【0314】
複数の第1区画部11は、基板露出領域410を介して隣り合っている。本実施形態においては、4つの第1区画部11が3つの基板露出領域410を介して隣り合っている。また、4つの第1区画部11は、x方向に沿って一直線上に配列されている。なお、以下においては、4つの第1区画部11を、理解の便宜上、第1区画部11−1、第1区画部11−2、第1区画部11−3および第1区画部11−4と必要に応じて区別して説明する。
【0315】
第1区画部11は、第1区画部第1端縁110、第1区画部第2端縁120および2つの第1区画部第3端縁130を有する。
【0316】
第1区画部第1端縁110は、基板露出領域410の一部を区画する端縁である。第1区画部第2端縁120は、基板露出領域410の一部を区画する端縁である。すなわち、基板露出領域410は、一方の第1区画部11(図中x方向右側、
図3における第1区画部11−2)の第1区画部第1端縁110と他方の第1区画部11(図中x方向左側、
図3における第1区画部11−3)の第1区画部第2端縁120とによって既定されている。
【0317】
本実施形態においては、第1区画部11−1〜3の第1区画部第1端縁110は、第1辺111を有し、第1区画部11−2〜4の第1区画部第2端縁120は、第2辺121を有する。同一の基板露出領域410を区画する第1辺111(
図3における第1区画部11−2の第1辺111)と第2辺121(
図3における第1区画部11−3の第2辺121)とは、互いに平行である。また、本実施形態においては、第1辺111と第2辺121とは、いずれもy方向に沿う直線状である。これに対応して、本実施形態においては、基板露出領域410のうち第1辺111および第2辺121に規定されている部分は、y方向に沿う直線状である。
【0318】
2つの第1区画部第3端縁130は、第1区画部第1端縁110の両端と第1区画部第2端縁120の両端とをそれぞれ繋いでいる。本実施形態においては、第1区画部第3端縁130は、x方向に沿う直線状である。第1区画部第3端縁130は、基板露出領域412の一部を規定している。本実施形態の11は、第1区画部第1端縁110の第1辺111、第1区画部第2端縁120の第2辺121および2つの第1区画部第3端縁130によって構成されたx方向視略矩形状とされている。
【0319】
図1および
図6に示すように、図中x方向において最も右側に位置する第1区画部11−1と第3区画部15とは、基板露出領域411を介して隣り合っている。第3区画部15は、第3区画部端縁160を有する。第3区画部15の第3区画部端縁160と第3区画部15に隣り合う第1区画部11−1の第1区画部第2端縁120とによって、基板露出領域411が規定されている。第3区画部端縁160は、第3区画部平行部161を有する。第3区画部平行部161は、第1区画部11−1の第2辺121と平行な部分である。本実施形態においては、第3区画部平行部161は、y方向に沿う直線状である。
【0320】
光電変換層3は、支持基板41および第1導電層1上に積層されており、第1導電層1と第2導電層2とに挟まれている。光電変換層3は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層3の具体的構成は特に限定されないが、その一例を挙げると、バルクヘテロ接合有機活性層と、このバルクヘテロ接合有機活性層に対して第1導電層1側に積層された正孔輸送層とからなる。本実施形態においては、光電変換層3は、平面視円形状とされているが、これは一例であり、光電変換層3は、様々な形状とされうる。光電変換層3の厚さは、たとえば50nm〜300nmである。
【0321】
バルクヘテロ接合有機活性層は、p型有機活性層領域とn型有機活性層領域が混在し、複雑なバルクへテロpn接合を形成している。p型有機活性層領域は、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene-2,5diyl))で形成され、n型有機活性層領域は、例えば、PCBM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)で形成されている。正孔輸送層は、たとえばPEDOT:PSSで形成されている。
【0322】
光電変換層3の形成に用いられる材質を例示すると、フタロシアニン(Pc:Phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc:Zinc- phthalocyanine)、Me−Ptcdi(N,N’-dimethyl perylene-3,4,9,10-dicarboximide)、フラーレン(C 60 :Buckminster fullerene)が挙げられる。これらの材質は、たとえば真空蒸着に使用される。
【0323】
また、光電変換層3の形成に用いられる他の材質を例示すると、MDMO−PPV(poly[2-methoxy-5-(3,7-dimethyl octyloxy)]-1,4-phenylene vinylene)、PCDTBT(poly[N-9’-hepta-decanyl-2,7-carbazole-alt-5,5-(4’,7’-di-thienyl-2’1’,3’-b3nzothiadizaole)])、PC60BM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)、PC70BM(6,6-phenyl-C71-butyric acid methyl ester)が挙げられる。これらの材質は、たとえば溶液プロセスに使用される。
【0324】
第2導電層2は、その大部分が光電変換層3を介して第1導電層1上に積層されている。また、第2導電層2の一部は、第1導電層1に直接接している。第2導電層2の材質は特に限定されず、透明であっても不透明であってもよいが、本実施形態においては、第2導電層2は、Al、W、Mo、Mn、Mgに代表される金属からなる。以下においては、第2導電層2がAlからなる場合を例に説明する。したがって、第2導電層2は、不透明である。またこの場合、第2導電層2の支持基板41とは反対側の表面に、Al2O3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されてもよい。第2導電層2の厚さは、光電変換層3の厚さよりも厚く、たとえば1μm〜5μmである。
【0325】
図1に示すように、第2導電層2は、複数の第2区画部21を有する。複数の第2区画部21は、基板露出領域410の一部ずつを挟んで隣り合っている。本実施形態の場合、より具体的には、隣り合う第2区画部21は、第1区画部第1端縁110の第1辺111と第1区画部第2端縁120の第2辺121とを間に挟んで隣り合っている。本実施形態においては、4つの第2区画部21が3つの基板露出領域410の一部ずつを挟んで隣り合っている。また、4つの第2区画部21は、x方向に沿って一直線上に配列されている。なお、以下においては、4つの第2区画部21を、理解の便宜上、第2区画部21−1、第2区画部21−2、第2区画部21−3および第2区画部21−4と必要に応じて区別して説明する。
【0326】
図1および
図3に示すように、第2区画部21は、z方向視において第1区画部11と重なっている。第2区画部21は、第2区画部第1端縁210、第2区画部第2端縁220および2つの第2区画部第3端縁230を有する。
【0327】
第2区画部21−1〜3(
図3における第2区画部21−2)の第2区画部第1端縁210は、基板露出領域410を規定する第1区画部11−1〜3(
図3における11−2)の第1区画部第1端縁110に対して当該基板露出領域410を規定する第1区画部11−2〜4(
図3における第1区画部11−3)の第1区画部第2端縁120とは反対側に位置する。第2区画部第2端縁220は、z方向視において基板露出領域410の一部を挟んで隣り合う第2区画部21の第2区画部第1端縁210と対向している。
【0328】
本実施形態においては、第2区画部第1端縁210(
図3における第2区画部21−2の第2区画部第1端縁210)と第2区画部第2端縁220(
図3における第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220)とは、互いに平行である。また、第2区画部第1端縁210および第2区画部第2端縁220は、y方向に沿う直線状である。すなわち、本実施形態においては、第1辺111、第2辺121、第2区画部第1端縁210および第2区画部第2端縁220が、互いに平行であり、y方向に沿う直線状である。
【0329】
2つの第2区画部第3端縁230は、第2区画部第1端縁210の両端と第2区画部第2端縁220の両端とをそれぞれ繋いでいる。2つの第2区画部第3端縁230は、互いに平行であり、x方向に沿う直線状である。これらの第2区画部第1端縁210、第2区画部第2端縁220および2つの第2区画部第3端縁230を有する第2区画部21は、z方向視矩形状である。
【0330】
図2、
図4、
図5および
図7に示すように、パッシベーション層42は、第2導電層2上に積層されており、第2導電層2および光電変換層3を覆っている。パッシベーション層42は、たとえばSiNまたはSiONからなる。パッシベーション層42の厚さは、たとえば0.5μm〜2.0μmであり、本実施形態においては、たとえば1.5μm程度とされる。パッシベーション層42が光電変換層3を覆っていることにより、光電変換層3に外部から水やパーティクル等が進入することを防止できる。また、パッシベーション層42は、光電変換層3よりも厚く構成されていることにより、有機薄膜太陽電池モジュールA1の強度を向上させることができる。なお、上述のような平坦なパッシベーション層42は、例えばパッシベーション層42が光電変換層3に対して厚い層とすること、また後述するCVDを用いた手法によって形成されることにより形成することができ、これに限られない。また、パッシベーション層42上に、さらに他の層が積層された構成であってもよい。たとえば、電子機器B1の他の構成要素と有機薄膜太陽電池モジュールA1とを接合するための接合層が設けられていてもよい。あるいは、パッシベーション層42を保護する保護層が設けられていてもよい。
【0331】
図3〜
図5に示すように、第1区画部11−1〜3(
図3における第1区画部11−2)の第1区画部第1端縁110は、第1辺111に加えて2つの第1被覆部112を有する。第1被覆部112は、第1区画部第1端縁110のうちz方向視において第2区画部21と重なっており、z方向視において第2区画部21に被覆されている部分である。本実施形態においては、2つの第1被覆部112が、それぞれ第1辺111のy方向両端部に接続されて設けられている。第1被覆部112の形状は特に限定されず、本実施形態においては、第1被覆部112は、第1辺111に対してx方向に突出する形状とされており、第1辺1121、第2辺1122および第3辺1123を有する。第1辺1121は、第1区画部第3端縁130と平行でありx方向に沿う辺である。第2辺1122は、第1辺1121と交差する方向に沿う辺であり、y方向に沿っている。第3辺1123は、第1辺1121と第2辺1122とを繋ぐ辺であり、図示された例においては、湾曲形状とされている。また、図示された第1被覆部112は、一端が第2区画部第2端縁220に到達し、他端が第2区画部第3端縁230にz方向視において交差している。
【0332】
図3〜
図5に示すように、第1区画部11−2〜4(
図3における第1区画部11−3)の第1区画部第2端縁120は、第2辺121に加えて2つの第2被覆部122を有する。第2被覆部122は、第1区画部第2端縁120のうちz方向視において第2区画部21と重なる部分である。本実施形態においては、2つの第2被覆部122が、第2辺121のy方向両端部に接続されて設けられている。第2被覆部122の形状は特に限定されず、本実施形態においては、第2被覆部122は、第2辺121に対してx方向に凹んだ形状とされており、第1辺1221、第2辺1222および第3辺1223を有する。第1辺1221は、第1区画部第3端縁130と平行でありx方向に沿う辺である。第2辺1222は、第1辺1221と交差する方向に沿う辺であり、y方向に沿っている。第3辺1223は、第1辺1221と第2辺1222とを繋ぐ辺であり、図示された例においては、湾曲形状とされている。また、図示された第2被覆部122は、一端が第2区画部第2端縁220に到達し、他端が第2区画部第3端縁230に到達している。
【0333】
上述した第1被覆部112および第2被覆部122の形状に対応して、本実施形態の
基板露出領域410は、z方向視において第2区画部21と重なっており、交差部415および交差部416を有する。交差部415は、基板露出領域410が第2区画部第2端縁220と交差する部分である。交差部416は、基板露出領域410が第2区画部第3端縁230と交差する部分である。
【0334】
図1〜
図5に示すように、光電変換層3は、複数の光電変換層接続部33を有する。
図3〜
図5に示すように、光電変換層接続部33は、z方向視において基板露出領域410の一部(
図3に示す部位の場合、第1区画部11−2の第1辺111と第1区画部11−3の第2辺121とによって規定された部分)を挟んで隣り合う第1導電層1の第1区画部11(
図3に示す部位の場合、第1区画部11−2)と第2導電層2の第2区画部21(
図3に示す部位の場合、第2区画部21−3)の双方と重なる部分であって、当該第1区画部11の第1被覆部112および当該第2区画部21の第2区画部第2端縁220によって区画された部分である。また、本実施形態においては、光電変換層接続部33は、第2区画部第3端縁230(
図3に示す部位の場合、第2区画部21−3の第2区画部第3端縁230)によって区画されている。すなわち、本実施形態の光電変換層接続部33は、z方向視において矩形状とされた第2区画部21(
図3に示す部位の場合、第2区画部21−3)の角部に重なる位置に設けられている。さらに、本実施形態においては、
図1に示すように、1つの第2区画部21に対して、2つの光電変換層接続部33が、y方向に離間した2つの角部に重なる位置に設けられている。
【0335】
光電変換層接続部33には、光電変換層貫通部331が形成されている。光電変換層貫通部331は、光電変換層3をz方向に貫通する貫通孔によって構成されている。光電変換層貫通部331の形状や大きさは特に限定されず、図示された例においては、z方向視円形状とされている。また、この光電変換層貫通部331の直径は、たとえば40μm程度である。また、光電変換層接続部33には、突起332が形成されている。突起332は、
図4に示すように、光電変換層3の周辺部分よりもz方向に突出した部位である。
図3に示すように、突起332は、z方向視において光電変換層貫通部331を囲んでいる。
【0336】
第1区画部11−1〜3は、第1接続部13を有する。第1接続部13は、z方向視において光電変換層接続部33と一致する部分である。第2区画部21は、第2接続部23を有する、第2接続部23は、z方向視において光電変換層接続部33と一致する部分である。第1区画部11−1〜3の第1接続部13と第2区画部21−2〜4第2接続部23とは、光電変換層貫通部331を通じて互いに接触しており、互いに導通している。このため、第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33は、発電を行わない部分となっている。
【0337】
本実施形態においては、第1区画部11の第1接続部13に第1貫通部131が設けられている。本実施形態においては、第1導電層1をz方向に貫通する貫通孔を第1貫通部131と称する。第1貫通部131は、z方向視において光電変換層貫通部331に内包されている。また、第1貫通部131の内端縁は、z方向視において光電変換層貫通部331の内端縁から離間している。これにより、第1区画部11の第1接続部13の一部が、z方向視において光電変換層貫通部331から露出している。この露出した部分に第2導電層2の第2区画部21−2〜4の第2接続部23が接触している。また、第2区画部21−2〜4の第2接続部23は、第1貫通部131を介して支持基板41に接している。
【0338】
光電変換層3は、複数の光電変換層発電部32を有している。また、第1導電層1の第1区画部11は、第1電極部12を有しており、第2導電層2の第2区画部21は、第2電極部22を有している。
図1、
図3および
図6においては、第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32に、複数の離散点からなるハッチングを付している。第1電極部12は、z方向視において光電変換層接続部33と重ならず且つ第2導電層2の第2区画部21と重なる部分である。言い換えれば第2区画部21は、z方向視において、第1電極部12と一致する部分である。光電変換層発電部32は、z方向視において、第1電極部12および第2電極部22と一致する部分である。本実施形態においては、第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32は、z方向視において第2区画部第1端縁210、第2区画部第2端縁220、2つの第2区画部第3端縁230および2つの第2被覆部122によって規定された部分である。第1電極部12および第2電極部22は、光電変換層発電部32を介して積層されており、互いに接触していない。これにより、第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32は、発電を行う部分となっている。
【0339】
本実施形態においては、z方向視において、光電変換層接続部33と光電変換層発電部32の一部とが、y方向において隙間を介して隣り合っている。すなわち、光電変換層接続部33は、x方向における位置が、光電変換層発電部32の一部のx方向位置と同じである。また、第1接続部13は、基板露出領域410を介して隣り合う第1区画部11の第1電極部12の一部とy方向において隣り合っている。すなわち、当該第1接続部13は、x方向における位置が、当該第1電極部12の一部のx方向位置と重なっている。
【0340】
図1、
図2、
図6および
図7に示すように、第3区画部15は、外部電極部151および外部接続部153を有する。外部接続部153は、z方向視において第2区画部21−1の第2接続部23および光電変換層接続部33と一致する部分である。外部接続部153は、光電変換層貫通部331を通じて第2区画部21−1の第2接続部23と接触している。本実施形態においては、外部接続部153には、外部接続部貫通部1531が設けられている。本実施形態においては、第1導電層1の外部接続部153をz方向に貫通する貫通孔を外部接続部貫通部1531と称する。外部接続部貫通部1531は、z方向視において光電変換層貫通部331に内包されている。また、外部接続部貫通部1531の内端縁は、z方向視において光電変換層貫通部331の内端縁から離間している。これにより、第3区画部15の外部接続部153の一部が、z方向視において光電変換層貫通部331から露出している。この露出した部分に第2導電層2の第2区画部21−1の第2接続部23が接触している。また、第2接続部23は、外部接続部貫通部1531を介して支持基板41に接している。外部電極部151は、第2導電層2、光電変換層3およびパッシベーション層42から露出した部分である。外部電極部151は、有機薄膜太陽電池モジュールA1において発電された電力を出力する部位であり、たとえば電子機器B1の端子に導通する。
【0341】
また、本実施形態においては、
図1および
図2に示すように、x方向において第3区画部15とは反対側に設けられた第1区画部11−4が、外部電極部141を有している。外部電極部141は、第1区画部11−4のうち第2導電層2、光電変換層3およびパッシベーション層42から露出した部分である。外部電極部141は、有機薄膜太陽電池モジュールA1において発電された電力を出力する部位であり、たとえば電子機器B1の端子に導通する。
【0342】
図1、
図2および
図8から理解されるように、本実施形態においては、有機薄膜太陽電池モジュールA1において、4組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32が、6組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33を介して互いに直接に接続されている。直列接続された4組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32において発電された電力は、外部電極部141および外部電極部151から出力される。この電力は、電子機器B1の駆動部71の駆動に用いられる。
【0344】
まず、
図9および
図10に示すように、支持基板41の片面にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITOを成膜することにより、第1導電膜10を形成する。次いで、第1導電膜10をパターニングすることにより、基板露出領域410、基板露出領域411および基板露出領域412形成し、複数の第1区画部11および第3区画部15が得られる。第1導電膜10へのパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、Greenレーザー光やIRレーザー光等のレーザーパターニングを用いた手法が適宜採用される。本実施形態においては、レーザー光Lz1として、IRレーザー光が用いられる。なお、
図9においては、後述する工程を経ることにより第1被覆部112および第2被覆部122となる部位に理解の便宜上、符号を付している。
【0345】
次いで、
図11および
図12に示すように、有機膜30を形成する。有機膜30の形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板41上および第1導電膜10上に有機膜を成膜することによりなされる。次いで、有機膜30に対して光電変換層貫通部331を形成する。光電変換層貫通部331の形成は、たとえばレーザーパターニングによってなされる。このレーザーパターニングに用いられるレーザー光Lz2は、光電変換層貫通部331を部分的に除去可能であるものが適宜選択される。本実施形態においては、レーザー光Lz2としてIRレーザー光を用いたレーザーパターニングを行った場合を例に説明する。この場合、レーザー光Lz2は、有機膜30と第1導電膜10との一部ずつを除去する。このため、有機膜30に光電変換層貫通部331が形成されるとともに、第1導電膜10に第1貫通部131が形成される。このパターニングを経ることにより、
図13および
図14に示すように、第1導電層1および光電変換層3が得られる。また、レーザー光Lz2による光電変換層貫通部331および第1貫通部131の形成に伴い、光電変換層3には、突起332が形成される。
【0346】
次いで、
図15および
図16に示すように、第2導電層2を形成する。第2導電層2の形成は、たとえば上述した金属をたとえば電子ビーム蒸着法などの蒸着法によって支持基板41、第1導電層1および光電変換層3上に金属膜を成膜する。この際の成膜厚さは、光電変換層3の厚さよりも厚く、たとえば1μm〜5μmである。次に、該金属膜に例えばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施す。このパターニングにより、第1導電層1上および光電変換層3上に複数の第2区画部21を有する第2導電層2を形成する。この後は、たとえばプラズマCVD法によってSiNまたはSiONを支持基板41、第1導電層1、光電変換層3および第2導電層2上に成膜することにより、パッシベーション層42を形成する。以上の工程を経ることにより、有機薄膜太陽電池モジュールA1が得られる。
【0347】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA1および電子機器B1の作用について説明する。
【0348】
本実施形態によれば、
図4および
図5に示すように、第2導電層2の厚さは、光電変換層3の厚さよりも厚い。このため、たとえば光電変換層3に光電変換層貫通部331を形成する際に突起332が生じたとしても、この突起332を第2導電層2によってより確実に覆うことができる。これにより、突起332の存在によって、たとえばパッシベーション層42に微細な亀裂が生じることなどを回避することができる。これは、外気が光電変換層3等に進入することを阻止するのに適している。したがって、有機薄膜太陽電池モジュールA1および電子機器B1の意図しない破損を防止することができる。
【0349】
光電変換層3の厚さが、50nm〜300nmであるのに対し、第2導電層2の厚さが、1μm〜5μmとされている。このような厚さ関係とすることにより、製造時等に光電変換層3に生じうる光電変換層貫通部331等のいびつな部分を適切に覆うことができる。また、有機薄膜太陽電池モジュールA1の製造時に光電変換層3の表面に付着しうる、たとえばシリカ粒子等を、第2導電層2によって覆うことが可能である。
【0350】
図3に示すように、光電変換層接続部33を区画する第1区画部11−2の第1被覆部112によってその一部が規定された基板露出領域410は、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220と交差する交差部415を有する。これにより、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220に沿って光電変換層接続部33が部分的に設けられる構成となり、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220の全長にわたって光電変換層接続部33が設けられる構成とはならない。したがって、光電変換層3のうち非発電の部分である光電変換層接続部33の面積割合を減少させることが可能であり、実際に発電に寄与する部分である光電変換層発電部32の減少を抑制することができる。
【0351】
また、
図3に示す例においては、基板露出領域410は、1の交差部415と1つの交差部416とを有している。すなわち、光電変換層接続部33を区画する基板露出領域410は、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220から延びて第2区画部21−3の第2区画部第3端縁230と交差している。たとえば、本例とは異なり、基板露出領域410が第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220と2箇所で交差する場合、本例と比べてz方向視において第2区画部21−3と重なる基板露出領域410が長くなる。基板露出領域410は、非発電の部分であるため、このような非発電の部分の面積割合を縮小するのに適している。
【0352】
光電変換層貫通部331は、たとえば直径が40μm程度の貫通孔によって構成されている。このため、光電変換層貫通部331を含む光電変換層接続部33の面積をより縮小させることができる。
【0353】
第1貫通部131は、
図12に示すレーザー光Lz2としてたとえばIRレーザー光を用いた場合に、光電変換層貫通部331と一括して形成される。このIRレーザー光は、ITOからなる第1導電層1を部分的に除去可能であるため、
図10に示す第1導電膜10のレーザーパターニングにおけるレーザー光Lz1として用いることができる。これにより、
図9〜
図16に示す有機薄膜太陽電池モジュールA1の製造方法において、レーザー光Lz1およびレーザー光Lz2として、1種類のレーザー光(IRレーザー光)を用いれば済む。これは、製造方法および製造装置の簡略化に好ましく、制造時間の短縮に寄与する。
【0354】
第2区画部21の2つの角部に重なる位置に2組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33を設けることにより、隣り合う2組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32の間の抵抗をより低くすることができる。また、仮に一方の組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33における導通が不適切な状態となったとしても、他方の組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33によって隣り合う2組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32を適切に接続することができる。
【0355】
図17は、本発明の変形例を示している。なお、本変形例において、上述した例と同一または類似の要素には、上述した例と同一の符号を付している。
【0356】
図17は、有機薄膜太陽電池モジュールA1の変形例を示している。本変形例においては、第1区画部11(
図17における第1区画部11−2)の第1接続部13に、上述した第1貫通部131が形成されていない。すなわち、z方向視において光電変換層貫通部331に内包される領域においては、支持基板41は、第1導電層1の第1接続部13(
図17における第1区画部11−2の第1接続部13)によって覆われている。このような構成は、たとえば、有機膜30に光電変換層貫通部331を形成するためのレーザーパターニングにおいて、レーザー光Lz2としてGreenレーザー光を用いるとともに、出力や照射時間を適切に設定することによって実現しうる。また、本変形例においては、光電変換層3に突起332が形成されていない。
【0357】
このような変形例によっても、実際に発電に寄与する部分である光電変換層発電部32の減少を抑制することができる。
【0358】
本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュール、電子機器および有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る電子機器および有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0359】
[第2−第4実施形態]
第2ないし第4実施形態および
図18〜
図43における符号は、これらの実施形態および図において有効であり、他の実施形態および図における符号とは独立している。ただし、第2ないし第4実施形態の具体的構成と他の実施形態の具体的構成とは、相互に適宜組合せ可能である。
【0360】
本発明において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
【0361】
図18および
図19は、本発明の第2実施形態に基づく電子機器を示している。本実施形態の電子機器B2は、有機薄膜太陽電池モジュールA2、ケース61、バンド62、駆動部71、長針72および短針73を備えている。
【0362】
図18は、電子機器B2を示す平面図である。
図19は、電子機器B2を示すシステム構成図である。
【0363】
有機薄膜太陽電池モジュールA2は、電子機器B2における電源モジュールであり、太陽光などの光を電力に変換する。
【0364】
駆動部71は、有機薄膜太陽電池モジュールA2からの給電によって駆動する。長針72および短針73は、長針72によって駆動される。駆動部71は、計時機能を備えている。また、駆動部71は、時刻に対応した角度(位置)に長針72および短針73を駆動する。さらに、駆動部71は、有機薄膜太陽電池モジュールA2から取得した電力を計時機能を備えたICにて使用できるようにその電圧や電流のレベルを調整する回路や、有機薄膜太陽電池モジュールA2から取得した電力を蓄電する二次電池、が設けられていても良い。光電変換層3は、後述する複数の意匠表示部35が外観に表れている。複数の意匠表示部35は、時刻を特定するための意匠とされている。
【0365】
有機薄膜太陽電池モジュールA2、駆動部71、長針72および短針73は、金属製または樹脂製などのケース61に収容されている。バンド62は、ケース61を使用者の手首に固定するためのものである。このような構成により、有機薄膜太陽電池モジュールA2は時計(腕時計)として構成されている。
【0366】
図20〜
図25は、有機薄膜太陽電池モジュールA2を示している。有機薄膜太陽電池モジュールA2は、第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41、パッシベーション膜42、接合層43および保護層44を備えている。本実施形態においては、有機薄膜太陽電池モジュールA2は、平面視円形状とされているが、これは有機薄膜太陽電池モジュールA2の形状の一例であり、様々な形状に設定されうる。
【0367】
図20は、有機薄膜太陽電池モジュールA2を示す平面図である。
図21は、有機薄膜太陽電池モジュールA2を示す分解斜視図である。
図22は、
図20のXXII−XXII線に沿う要部拡大断面図である。
図23は、
図20のXXIII−XXIII線に沿う要部拡大断面図である。
図24は、
図20のXXIV−XXIV線に沿う要部拡大断面図である。
図25は、
図20のXXV−XXV線に沿う要部拡大断面図である。なお、理解の便宜上、
図20においては、第1導電層1を実線且つ透過するものとして表しており、第2導電層2を隠れ線(点線)で表している。また、光電変換層3の非貫通部分に、複数の離散点からなるハッチングを付している。また、
図22〜
図25においては、図中上方から太陽光が向かってくる。
【0368】
支持基板41は、有機薄膜太陽電池モジュールA2の土台となる部材である。支持基板41は、たとえば透明なガラスあるいは樹脂からなる。支持基板41の厚さは、たとえば
0.05mm〜2.0mmである。
【0369】
第1導電層1は、支持基板41上に形成されている。第1導電層1は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。
図26は、第1導電層1を示す平面図である。同図に示すように、第1導電層1は、複数の第1電極部11、複数の第1区画部12、複数の第1連絡部13、第1端部14、第1延出部15、第2延出部16、複数の開口18および複数のスリット19を有する。本実施形態においては、第1導電層1は、第1延出部15および第2延出部16を除く部分が平面視略円形状をなす構成とされているが、これは第1導電層1の形状の一例である。第1導電層1の形状は、様々な形状に設定されうる。第1導電層1の厚さは、たとえば100nm〜300nmである。なお、
図26においては、第1導電層1の第1電極部11、第1区画部12、第1連絡部13、第1端部14、第1延出部15および第2延出部16に、斜線からなるハッチングを付している。
【0370】
なお、平面視において、隣り合う第1電極部11同士、隣り合う第1電極部11と第1区画部12、隣り合う第1電極部11と第1連絡部13、隣り合う第1電極部11と第1端部14は、互いに離間して形成されていが、スリット19は、これらが離間することで生じた領域を示している。
【0371】
複数の第1電極部11は、光電変換層3によって生じた正孔が集約される層であり、いわゆるアノード電極として機能する。本実施形態においては、6つの第1電極部11が同心円状に配置されている。本実施形態の第1電極部11は、第1導電層1の中心寄りに位置する円弧端縁111を有している。6つの第1電極部11の円弧端縁111によって、第1導電層1の中心において平面視円形の開口が区画されている。また、第1電極部11は、円弧端縁111の両端から径方向外方に向けて延びる一対の直線端縁112と、これらの直線端縁112に繋がり且つ内方に凹む一対の略半円形状の円弧端縁113を有する。なお、
図26においては、理解の便宜上、後述する第1連絡部13の形状のうち第2導電層2の形状によって定義される部分を想像線(二点鎖線)によって示しており、一対の円弧端縁113の一方がこれにあたる。第2導電層2の形状によって定義される部分は、第1電極部11を定義するための境界であり、第1導電層1に形成された物理的な端縁ではないが、本実施形態においては、この境界を円弧端縁113と称する。また、第1電極部11は、一対の円弧端縁113に対して径方向外方に位置する円弧端縁114を有する。6つの第1電極部11の円弧端縁114によって第1導電層1の平面視略円形部分の外形線が構成されている。さらに第1電極部11は、円弧端縁114の中心付近から内方に凹む端縁を有している。この内方に凹む端縁は、径方向に対して傾斜した一対の直線部分115と、これらの直線部分115に繋がる略円形状の円形部分116とからなり、第1区画部12を囲んでいる。また、第1電極部11は、一部が開口されており、この開口部分を開口18と称する。隣り合う第1電極部11同士は、スリット19を挟んで配置されている。なお、本実施形態では、第1電極部11が自身の径方向外方に位置する円弧端縁の中心付近から内方に凹む端縁を有している例を示したが、第1電極部11は、径方向外方に位置する円弧端縁が円弧状に連なっており、該端縁を有さない構成としても良い。
【0372】
複数の第1区画部12は、各々がスリット19を介して第1電極部11によって囲まれた部分である。第1電極部11と第1区画部12とが平面視においてスリット19を隔てて離間していることにより、第1電極部11と第1区画部12とは互いに絶縁されている。後述する意匠表示部35(貫通部350)を介して、第1区画部12が第2導電層2の一部と接触する。このため、第1区画部12は、光電変換層3における発電の電極としては機能しない。一方、第1電極部11は、第1区画部12とは絶縁されていることにより、発電の電極としての機能が担保されている。また、第1区画部12は、後述する光電変換層3の意匠表示部35を平面視において内包している。本実施形態においては、複数の第1区画部12は、複数の第1電極部11に囲まれた配置とされており、第1導電層1の平面視における前記略円形状部分の径方向において、中心よりも外周に近い位置に配置されている。第1区画部12は、たとえば平面視において略円形状の部分と、この略円形状部分から径方向外方に突出するくさび状の部分とを有する形状とされている。
【0373】
複数の第1連絡部13は、隣り合う2つの第1電極部11の一方に繋がり、且つスリット19を挟んで隣り合う2つの第1電極部11の他方に隣接する。本実施形態においては、第1連絡部13は、スリット19によって半円状に区画された突出部分と、この突出部分に繋がり、且つ第1電極部11内方に入り込む半円状の部分(
図26における想像線で示された部分)と、からなる平面視円形状の部分と、この円形状の部分から径方向外方に突出するくさび状の部分とを有する形状とされている。なお、第1連絡部13のうち第1電極部11内方に入り込む半円状の部分は、後述する第2導電層2の形状によって規定される。また、第1連絡部13は、後述する光電変換層3の意匠表示部35を平面視において内包している。本実施形態においては、第1連絡部13は、第1区画部12と同様に第1導電層1の平面視における前記略円形状部分の径方向において、中心よりも外周に近い位置に配置されている。
【0374】
第1延出部15は、複数の第1電極部11のいずれか1の第1電極部11に繋がっている。より具体的には、
図26において図中下側左方の第1電極部11の円弧端縁114の図中右方部分から第1導電層1の径方向外方に延出している。本実施形態の第1延出部15は、平面視略矩形状であるが、第1延出部15の形状はこれに限定されず、様々な形状を採用できる。
【0375】
第1端部14は、第1延出部15に繋がる第1電極部11とこの第1電極部11に隣り合う第1電極部11とにスリット19を介して挟まれた部分である。本実施形態においては、第1端部14は、第1延出部15に繋がる第1電極部11と、
図26においてこの第1電極部11に対して右側に隣接する第1電極部11とに挟まれている。第1端部14は、たとえば平面視円形状の部分と、この円形状の部分から径方向外方に突出するくさび状の部分とを有する形状とされている。本実施形態においては、第1端部14は、第1区画部12および第1連絡部13と同様に光電変換層3の平面視における前記略円形状部分の径方向において、中心よりも外周に近い位置に配置されている。
【0376】
第2延出部16は、第1端部14に繋がっており、第1端部14および第1端部14に隣り合う第1電極部11から第1導電層1の径方向外方に延出している。本実施形態の第2延出部16は、平面視略矩形状であるが、第2延出部16の形状はこれに限定されず、様々な形状を採用できる。本実施形態においては、
図26における図中下側右方に位置する第1電極部11の図中下方に第2延出部16が配置されている。また、第1延出部15と第2延出部16とが図中左右方向において隣り合う配置とされている。また、第1端部14の図中左側部分は、第1延出部15の一部と図中左右方向の位置が一致し、第1端部14の図中右側部分は、第2延出部16の一部と図中左右方向の位置が一致する。
【0377】
複数の開口18は、厚さ方向に第1導電層1を貫通している。本実施形態においては、開口18は、たとえば第1区画部12、第1連絡部13および第1端部14などと比較して相対的に平面視において面積が小さい矩形状であるが、これは開口18の大きさおよび形状の一例であり、開口18は、第1区画部12等と比較して平面視において面積が大きく形成されていてもよく、円形状等であってもよく、これらに限られず種々実現可能である。複数の開口18は、平面視において第1区画部12、第1連絡部13および第1端部14の中心よりも径方向外方に配置されている。
【0378】
第2導電層2は、その大部分が光電変換層3を介して第1導電層1上に積層されている。また、第2導電層2の一部は、第1導電層1に直接接している。第2導電層2の材質は特に限定されないが、本実施形態においては、第2導電層2は、Al、W、Mo、Mn、Mgに代表される金属からなる。以下においては、第2導電層2がAlからなる場合を例に説明する。したがって、第2導電層2は、不透明である。またこの場合、第2導電層2の支持基板41とは反対側の表面に、Al2O3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されてもよい。第2導電層2の厚さは、たとえば30nm〜150nmである。
【0379】
図27は、第2導電層2を示す平面図である。同図に示すように、第2導電層2は、複数の第2電極部21、複数の第2区画部22、複数の第2連絡部23、第2端部24および複数のスリット29を有する。本実施形態においては、第2導電層2は、平面視略円形状とされているが、これは第2導電層2の形状の一例である。第2導電層2の形状は、様々な形状に設定されうる。なお、
図27においては、第2導電層2の第2電極部21、第2区画部22、第2連絡部23および第2端部24に、斜線からなるハッチングを付している。
【0380】
なお、平面視において、隣り合う第2電極部21同士、隣り合う第2電極部21と第2連絡部23は、互いに離間して形成されているが、スリット29は、これらが離間することで生じた領域を示している。
【0381】
複数の第2電極部21は、光電変換層3によって生じた電子が集約される層であり、いわゆるカソード電極として機能する。第2電極部21は、平面視において、第1電極部11と一致する。すなわち、本実施形態の第2電極部21は、平面視略円形状とされた第2導電層2の中心寄りに位置する円弧端縁211を有している。6つの第2電極部21の円弧端縁211によって、第2導電層2の中心において平面視円形の開口が形成されている。また、第2電極部21は、円弧端縁211の両端から径方向外方に向けて延びる一対の直線端縁212と、これらの直先端縁212に繋がり且つ内方に凹む一対の略半円形状の円弧端縁213を有する。なお、
図27においては、理解の便宜上、第2連絡部23のうち第1導電層1の第1連絡部13の形状によって定義される部分を想像線(二点鎖線)によって示しており、一対の円弧端縁213の一方がこれにあたる。第1連絡部13の形状によって定義される部分は、第2電極部21を定義するための境界であり、第2導電層2に形成された物理的な端縁ではないが、本実施形態においては、この境界を円弧端縁213と称する。また、第2電極部21は、一対の円弧端縁213に対して径方向外方に位置する円弧端縁214を有する。6つの第2電極部21の円弧端縁214によって第2導電層2の平面視外形線が構成されている。なお、第2電極部21には、円弧端縁214の中心付近から内方に凹む端縁を定義付けることができる。この内方に凹む端縁は、第1導電層1の第1区画部12の形状によって定義される境界であり、第2導電層2に形成された物理的な端縁ではないが、本実施形態においては、この境界を便宜上、端縁と称する。この端縁は、径方向に対して傾斜した一対の直線部分215と、これらの直線部分215に繋がる略円形状の円形部分216とからなり、第2区画部22を囲んでいる。本実施形態においては、6つの第2電極部21が同心円状に配置されている。隣り合う第2電極部21同士は、スリット29を挟んで配置されている。
【0382】
複数の第2区画部22は、
図20に示すように、平面視において第1導電層1の複数の第1区画部12に重なる部位である。第2区画部22は、後述する光電変換層3の意匠表示部35を平面視において内包している。第2区画部22は、意匠表示部35を通じて第1区画部12と導通しており、第1区画部12と同様に光電変換層3における発電の電極としては機能しない。本実施形態においては、複数の第2区画部22は、複数の第2電極部21に囲まれた配置とされており、平面視において略円形状とされた第2導電層2の中心よりも外周に近い位置に配置されている。第2区画部22は、たとえば平面視において略円形状の部分と、この略円形状部分から径方向外方に突出するくさび状の部分とを有する形状とされている。
【0383】
複数の第2連絡部23は、隣り合う2つの第2電極部21の一方に繋がり、且つスリット29を挟んで隣り合う2つの第2電極部21の他方に隣接する。本実施形態においては、第2連絡部23は、平面視において、スリット29によって半円状に区画された突出部分と、この突出部分に繋がり、且つ第2電極部21内方に入り込む半円状の部分(
図27における想像線で示された部分)と、からなる平面視円形状の部分と、この円形状の部分から径方向外方に突出するくさび状の部分とを有する形状とされている。なお、第2連絡部23のうち第2電極部21内方に入り込む半円状の部分は、
図26に示す第1導電層1の第1連絡部13によって規定される。また、上述した第1連絡部13のうち第1電極部11内包に入り込む半円状部分は、第2連絡部23によって規定されている。すなわち、
図20から理解されるように、第1連絡部13と第2連絡部23とは、平面視において略円形状とされている。また、第2連絡部23は、後述する光電変換層3の意匠表示部35を平面視において内包している。本実施形態においては、第2連絡部23は、第2区画部22と同様に平面視において略円形状とされた第2導電層2の中心よりも外周に近い位置に配置されている。
【0384】
第2端部24は、平面視において第1導電層1の第1端部14に一致し、且つ隣接する第2電極部21に繋がっている。
図20に示すように、第2端部24は、第1端部14と同様に平面視略円形状の部分と、この円形状の部分から径方向外方に突出するくさび状の部分とを有する形状とされている。本実施形態においては、第2端部24は、第2区画部22および第2連絡部23と同様に平面視略円形状とされた第2導電層2の径方向において、中心よりも外周に近い位置に配置されている。
【0385】
光電変換層3は、第1導電層1と第2導電層2とに挟まれて、支持基板41に積層されている。光電変換層3は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層3の具体的構成は特に限定されないが、その一例を挙げると、バルクヘテロ接合有機活性層と、このバルクヘテロ接合有機活性層に対して第1導電層1側に積層された正孔輸送層とからなる。本実施形態においては、光電変換層3は、平面視円形状とされているが、これは一例であり、光電変換層3は、様々な形状とされうる。光電変換層3の厚さは、たとえば50nm〜300nmである。
【0386】
バルクヘテロ接合有機活性層は、p型有機活性層領域とn型有機活性層領域が混在し、複雑なバルクへテロpn接合を形成している。p型有機活性層領域は、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene-2,5diyl))で形成され、n型有機活性層領域は、例えば、PCBM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)で形成されている。正孔輸送層は、たとえばPEDOT:PSSで形成されている。
【0387】
光電変換層3の形成に用いられる材質を例示すると、フタロシアニン(Pc:Phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc:Zinc- phthalocyanine)、Me−Ptcdi(N,N’-dimethyl perylene-3,4,9,10-dicarboximide)、フラーレン(C 60 :Buckminster fullerene)が挙げられる。これらの材質は、たとえば真空蒸着に使用される。
【0388】
また、光電変換層3の形成に用いられる他の材質を例示すると、MDMO−PPV(poly[2-methoxy-5-(3,7-dimethyl octyloxy)]-1,4-phenylene vinylene)、PCDTBT(poly[N-9’-hepta-decanyl-2,7-carbazole-alt-5,5-(4’,7’-di-thienyl-2’1’,3’-b3nzothiadizaole)])、PC60BM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)、PC70BM(6,6-phenyl-C71-butyric acid methyl ester)が挙げられる。これらの材質は、たとえば溶液プロセルに使用される。
【0389】
図28は、光電変換層3を示す平面図である。
図20および
図28に示すように、光電変換層3は、複数の非発電領域30、複数の発電領域31および複数の意匠表示部35を有している。なお、
図28においては、非発電領域30および発電領域31の境界を想像線(二点鎖線)によって便宜上示している。また、光電変換層3の非貫通部分に、複数の離散点からなるハッチングを付している。
【0390】
意匠表示部35は、第1導電層1を透して外観に表れる意匠を構成する部位である。意匠表示部35が構成する意匠とは、使用者等が目視することによって、文字、記号、図柄などの視覚的特異部分として視認されうるものを指す。
【0391】
本実施形態においては、意匠表示部35は、貫通部350によって構成されている。貫通部350は、光電変換層3を厚さ方向に貫通する態様の部位である。このような貫通部350は、第1導電層1を透して外観に表れる。また、本実施形態においては、貫通部350は、第2導電層2を第1導電層1側に露出させている。すなわち、貫通部350を通じて第2導電層2の一部が外観に表れている。
【0392】
本実施形態においては、計12個の貫通部350(意匠表示部35)が時刻を特定するためのローマ数字を表す態様とされている。また、ローマ数字の態様とされた計12個の貫通部350に対して径方向外方に隣接する計12個の貫通部350(意匠表示部35)が菱型とされている。また、計24個の貫通部350(意匠表示部35)が、時刻を特定するための比較的小サイズの矩形状とされており、平面視円形状とされた光電変換層3の外周に沿って配置されている。
【0393】
図20および
図22に示すように、発電領域31は、第1導電層1の第1電極部11および第2導電層2の第2電極部21に挟まれ、且つ光電変換機能を発揮することにより発電に寄与する領域である。また、発電領域31の形状は、平面視において、第1電極部11および第2電極部21に一致する。本実施形態においては、6つの発電領域31が同心円状に配置されている。
【0394】
非発電領域30は、光電変換層3のうち平面視において第1導電層1の第1電極部11および第2導電層2の第2電極部21とは重ならない領域であり、第1区画部12、第1連絡部13、第1端部14、開口18およびスリット19と重なっている。第1区画部12、第1連絡部13および第1端部14は、第2導電層2の一部とそれぞれが接しており、集約された正孔と電子とが即座に結合してしまう。また、光電変換層3のうち開口18およびスリット19と重なる領域においては、光電変換の結果得られた正孔が第1導電層1には集約されない。このため、非発電領域30は、発電に寄与しない。すなわち、光電変換層3のうち複数の発電領域31以外の領域が、非発電領域30とされている。
【0395】
また、
図20に示すように、複数の非発電領域30は、複数の区画領域32、複数の連絡領域33および端部領域34を含む。
【0396】
図20および
図23に示すように、区画領域32は、第1導電層1の第1区画部12および第2導電層2の第2区画部22に重なる領域である。区画領域32は、貫通部350(意匠表示部35)を有する。本実施形態においては、区画領域32に含まれる貫通部350(意匠表示部35)は、上述したローマ数字を表すものである。区画領域32の貫通部350を通じて、第1導電層1の第1区画部12と第2導電層2の第2区画部22とは互いに接している。
【0397】
図20および
図24に示すように、複数の連絡領域33は、第1導電層1の複数の第1連絡部13および第2導電層2の複数の第2連絡部23に挟まれた領域である。連絡領域33は、貫通部350(意匠表示部35)を有する。本実施形態においては、連絡領域33に含まれる貫通部350(意匠表示部35)は、上述したローマ数字を表すものである。連絡領域33の貫通部350を通じて、第1導電層1の第1連絡部13と第2導電層2の第2連絡部23とは互いに接している。
【0398】
図20および
図25に示すように、端部領域34は、平面視において第1導電層1の第1端部14に内包される貫通部350(意匠表示部35)を含み、且つ第1導電層1の第1端部14に重なっている。また、端部領域34は、第2導電層2の第2端部24と重なっている。第1導電層1の第1端部14と第2導電層2の第2端部24とは、端部領域34の貫通部350を通じて接している。本実施形態においては、端部領域34に含まれる貫通部350(意匠表示部35)は、上述したローマ数字を表すものである。
【0399】
また、
図20に示すように、光電変換層3のうち第1導電層1の開口18に内包された領域は、非発電領域30とされている。
【0400】
第1導電層1の第1延出部15および第2延出部16は、平面視において光電変換層3から径方向外方に延出している。
【0401】
上述した構成により、有機薄膜太陽電池モジュールA2は、6つの発電領域31が互いに直列に接続された構成となっている。連結された経路を順に説明する。まず、第1延出部15が1つの第1電極部11に繋がっている。この第1電極部11に対して発電領域31を挟んで第2電極部21が配置されている。この第2電極部21に繋がる第2連絡部23は、連絡領域33の貫通部350を通じて第1連絡部13に接している。この第1連絡部13が繋がる第1電極部11に対して、発電領域31を挟んで次の第2電極部21が配置されている。すなわち、第1連絡部13、第2連絡部23、連絡領域33を挟んで、隣り合う発電領域31同士が直列に接続されている。したがって、図中下方左側の発電領域31から図中下方右側の発電領域31までが直列に接続されている。そして、図中下方右側の発電領域31と重なる第2電極部21には、第2端部24が繋がっている。第2端部24は、端部領域34の貫通部350を通じて第1端部14と接している。第1端部14には、第2延出部16が繋がっている。この結果、第1延出部15と第2延出部16とが有機薄膜太陽電池モジュールA2の出力端子として機能する。第1延出部15と第2延出部16とは、
図19において駆動部71に接続されている。
【0402】
図22〜
図25に示すように、パッシベーション膜42は、第2導電層2上に積層されており、第2導電層2および光電変換層3を保護している。パッシベーション膜42は、たとえばSiNまたはSiONからなる。パッシベーション膜42の厚さは、たとえば0.5μm〜2.0μmであり、本実施形態においては、たとえば1.5μm程度とされる。すなわち、パッシベーション膜42は、光電変換層3よりも厚く構成されている。これにより、光電変換層3に外部から水やパーティクル等が進入することを防止でき、且つ有機薄膜太陽電池モジュールA2の強度を向上させることができる。また、
図23〜
図25に示すように、パッシベーション膜42のうち意匠表示部35を覆う部分と、光電変換層3のうち意匠表示部35に隣接する部位を覆う部分とは、平坦に形成されている。これにより、パッシベーション膜42に発生しうるクラック等の破壊をより防止でき、ひいては第2導電層2、光電変換層3、第1導電層1の破壊をより防止できる。なお、上述のような平坦なパッシベーション膜42は、例えばパッシベーション膜42が光電変換層3に対して厚い層とすること、また後述するCVDを用いた手法によって形成されることにより形成することができ、これに限られない。
【0403】
接合層43は、パッシベーション膜42と保護層44とを接合する層であり、たとえば樹脂系の接着剤層である。
【0404】
保護層44は、有機薄膜太陽電池モジュールA2を支持基板41とは反対側から保護するためのものである。保護層44は、好ましくはガラスからなるが、その他有機薄膜太陽電池モジュールA2を保護しうる透明な材質を適宜採用できる。保護層44の厚さは、たとえば30μm〜100μmであり、本実施形態においては、たとえば50μm程度とされる。
【0405】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA2の製造方法について、
図29〜
図32を参照しつつ以下に説明する。なお、これらの図においては、理解の便宜上、
図22〜
図25とは、天地逆に表されている。また、
図22〜
図25においては、
図20に示した有機薄膜太陽電池モジュールA2のXXV−XXV線における断面構造を生成する過程を示している。
【0406】
まず、
図29に示すように支持基板41を用意する。そして、支持基板41の片面にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITOを成膜する。次いで、
図30に示すように、該ITOにパターニングを行うことにより第1導電層1を形成する。
図29と
図30とに示す行程を別々に行ってもよいし、一括して行ってもよい。ここで、ITOへのパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、酸素プラズマエッチングを用いた手法、レーザパターニングを用いた手法が適宜採用される。なお、第1導電層1は、上記に限られず、例えばナノインプリントを用いた手法によって、支持基板41上に直接的にITOをパターニングすることで形成するようにしても良い。
【0407】
次いで、
図31に示すように、光電変換層3を形成する。光電変換層3の形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板41上および第1導電層1上に有機膜を成膜した後に、酸素プラズマエッチング、レーザパターニングを用いることによって、所望の貫通部350(意匠表示部35)を有する構成に仕上げることにより行う。なお、光電変換層3は、上記に限定されず、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビア印刷などの手法によって、支持基板41上および第1導電層1上に直接的に有機膜をパターニングすることで形成するようにしても良い。
【0408】
次いで、
図32に示すように、第2導電層2を形成する。第2導電層2の形成は、たとえば上述した金属を真空加熱蒸着法によって支持基板41、第1導電層1および光電変換層3上に金属膜を成膜する。次に、該金属膜に例えばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施す。このパターニングにより、第1導電層1上および光電変換層3上に第2導電層2を形成する。この後は、たとえばプラズマCVD法によってSiNまたはSiONを支持基板41、第1導電層1、光電変換層3および第2導電層2上に成膜することにより、パッシベーション膜42を形成する。そして、パッシベーション膜42に接合層43を用いて保護層44を接合する。以上の工程を経ることにより、有機薄膜太陽電池モジュールA2が得られる。
【0409】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA2および電子機器B2の作用について説明する。
【0410】
本実施形態に係る有機薄膜太陽電池モジュールA2および電子機器B2によれば、光電変換層3に意匠表示部35を形成し、第1導電層1を透して外観に表れるようにしたので、有機薄膜太陽電池モジュールA2に追加の部材を積層させることや外側に印刷を施すことなどをすることなく、意匠表示部35によって外観に表れる意匠を付与することができる。
【0411】
また、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池モジュールA2および電子機器B2によれば、意匠表示部35を貫通部350によって構成するようにしたので、意匠をより明瞭に表すことができる。特に、貫通部350を通じて第2導電層2が外観に表れていることにより、第2導電層2と光電変換層3とのコントラストによって、意匠の鮮明化を図ることができる。
【0412】
また、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池モジュールA2および電子機器B2によれば、第1導電層1においてスリット19により第1電極部11と第1区画部12を離間させ、平面視において第1区画部12に重なる非発電領域30に意匠表示部35を形成するようにしたので、光電変換層3を貫通させた貫通部350により意匠表示部35を構成するようにした場合に、第1電極部11と第2電極部21とが意図せずしてショートすることを防止することができる。
【0413】
第1連絡部13、第2連絡部23および連絡領域33を設けることにより、隣り合う発電領域31を直列に接続することが可能である。これにより、有機薄膜太陽電池モジュールA2から出力する電圧を所望の値に高めることができる。また、連絡領域33に内包された貫通部350は、時刻を特定するためのローマ数字とされている。このため、連絡領域33およびこれに含まれる貫通部350は、複数の発電領域31を直列に接続する機能を果たしつつ、時計として用いられる場合に必須となる意匠を表す領域を兼ねており、合理的である。
【0414】
第1端部14、第2端部24および端部領域34を設けることにより、直列に接続された複数の発電領域31のうち一端の発電領域31と他端の31とを隣接して設けることが可能である。また、第1延出部15および第2延出部16を備えることにより、発電領域31の面積を不当に減少させることなく、発電領域31からの電力を取り出すことができる。
【0415】
図33〜
図42は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0416】
図33〜
図35は、有機薄膜太陽電池モジュールA2の変形例を示している。本変形例においては、光電変換層3に設けられた発電領域31の個数が1つである場合を示している。
図33は、本変形例の有機薄膜太陽電池モジュールA2を示す平面図であり、
図34は、本変形例の第1導電層1を示す平面図であり、
図35は、本変形例の第2導電層2を示す平面図であり、
図36は、本変形例の光電変換層3を示す平面図である。
【0417】
第1導電層1は、1つの第1電極部11、11個の第1区画部12、第1端部14、第1延出部15および第2延出部16を有している。第1導電層1は、上述した例における第1連絡部13を有していない。
【0418】
第2導電層2は、第1導電層1の構成に対応して、1つの第2電極部21、11個の第2区画部22および第2端部24を有する。
【0419】
光電変換層3は、1つの発電領域31、11個の区画領域32、端部領域34を有する。
【0420】
このような構成の有機薄膜太陽電池モジュールA2においては、1つの発電領域31が発電した電力が第1延出部15および第2延出部16から出力される。
【0421】
このような変形例によっても、有機薄膜太陽電池モジュールA2に追加の部材を積層させることや外側に印刷を施すことなどをすることなく、意匠表示部35によって外観に表れる意匠を付与することができる。
【0422】
なお、1つの発電領域31が設けられた構成に代えて、複数の発電領域31が並列に接続された構成を採用してもよい。この場合、たとえば複数の第1電極部11が互いに導通し、且つ複数の第2電極部21が互いに導通する構成とすればよい。
【0423】
図37および
図38は、本発明の第3実施形態に基づく電子機器を示している。本実施形態のB3は、いわゆる電子計算機として構成されている。
【0424】
電子機器B3は、有機薄膜太陽電池モジュールA3、ケース61、駆動部71、表示部74および入力部75を備えている。
【0425】
有機薄膜太陽電池モジュールA3は、電子機器B3の発電装置である。ケース61は、薄型の矩形状部材であり、有機薄膜太陽電池モジュールA3、駆動部71、表示部74および入力部75を収容する。
【0426】
駆動部71は、有機薄膜太陽電池モジュールA3から給電されることにより、演算機能を果たす。また、入力部75からの入力信号を演算機能に反映させる。また、演算機能に係る情報を表示部74に表示させる。
【0427】
表示部74は、演算機能に係る情報が表示される部位であり、たとえば液晶ディスプレイである。入力部75は、演算を行うための入力がなされる部位であり、たとえばタッチセンサ等からなる。また、本実施形態においては、入力部75を目視によって識別するために、意匠表示部35が入力部75を構成している。
【0428】
図39は、本実施形態の有機薄膜太陽電池モジュールA3を示している。有機薄膜太陽電池モジュールA3は、1つの発電領域31において発電された電力を第1延出部15および第2延出部16から出力する構成とされている。
【0429】
図40は、本実施形態の第1導電層1を示す平面図である。
図41は、本実施形態の第2導電層2を示す平面図である。
図42は、本実施形態の光電変換層3を示す平面図である。
【0430】
第1導電層1には、矩形状の開口18が形成され、第2導電層2には、矩形状の開口28が形成され、光電変換層3には、矩形状の開口38が形成されている。これらの開口18、開口28および開口38は、表示部74を外観に表すためのものである。なお、開口18および開口28は、開口38よりも若干大とされている。この結果、光電変換層3のうち開口18および開口28に内包された領域は、非発電領域30とされている。
【0431】
図42に示すように、光電変換層3には、複数の貫通部350(意匠表示部35)が形成されている。図中下方に設けられた複数の貫通部350は、各々が数字や算術記号を表しており、入力部75の各部に対応するように配置されている。
図40に示すように、第1導電層1には、図中下方に位置する複数の開口18が形成されている。これらの開口18は、数字や算術記号を表す複数の350を内包する大きさおよび形状とされている。この結果、光電変換層3のうちこれらの開口18に内包された領域は、非発電領域30とされている。
【0432】
また、
図42に示すように、図中上方右側に複数の貫通部350(意匠表示部35)が設けられている。これらの貫通部350は、文字や記号あるいは図柄を表している。このような態様の貫通部350は、たとえば企業名や製品名などを表すために用いられる。
【0433】
図39および
図40に示すように、第1導電層1は、図中上方右側に第1端部14が設けられている。上述した光電変換層3の図中上方右側の複数の貫通部350は、平面視において第1端部14に内包されている。これにより、光電変換層3のうち第1端部14に重なる領域が端部領域34とされている。また、第2導電層2のうち第1端部14に重なる領域が第2端部24とされている。
【0434】
このような実施形態によっても、有機薄膜太陽電池モジュールA3に追加の部材を積層させることや外側に印刷を施すことなどをすることなく、意匠表示部35によって外観に表れる意匠を付与することができる。
【0435】
図43は、本発明の第4実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールを示している。本実施形態の有機薄膜太陽電池モジュールA4は、光電変換層3の意匠表示部35が薄肉部351によって構成されたものを含む。
【0436】
薄肉部351は、周辺よりも薄肉とされた部位である。薄肉部351が設けられることによって生じる段差が、目視によって視認可能な形状を実現し、意匠表示部35が表示させるべき意匠を構成する。
【0437】
光電変換層3のうち支持基板41側の面は平坦であり、薄肉部351による段差は、支持基板41とは反対側に設けられる。このため、本実施形態においては、支持基板41に第2導電層2が形成され、光電変換層3を介して第1導電層1が積層されている。そして、本実施形態においては、太陽光は図中下側から向かってくる。
【0438】
このような実施形態によっても、有機薄膜太陽電池モジュールA4に追加の部材を積層させることや外側に印刷を施すことなどをすることなく、意匠表示部35によって外観に表れる意匠を付与することができる。
【0439】
本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュールおよび電子機器は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュールおよび電子機器の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0440】
以下に、本発明の技術的特徴について付記する。
【0441】
〔付記1A〕
透明な第1導電層と、
第2導電層と、
前記第1導電層および前記第2導電層に挟まれた有機薄膜からなる光電変換層と、を備え、
前記光電変換層は、前記第1導電層を透して外観に表れる意匠を構成する1以上の意匠表示部を有する、有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記2A〕
前記第1導電層が積層された、透明な支持基板を備える、付記1Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記3A〕
前記第2導電層を覆うパッシベーション膜を備える、付記1Aまたは2Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記4A〕
前記パッシベーション膜は、前記意匠表示部を覆っている、付記3Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記5A〕
前記パッシベーション膜は、前記意匠表示部を覆う部分と前記光電変換層のうち前記意匠表示部に隣接する部位を覆う部分とが、平坦に形成されている、付記4Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記6A〕
前記パッシベーション膜の厚さは、前記光電変換層の厚さよりも厚い、付記3Aないし5Aのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記7A〕
前記パッシベーション膜に積層された保護層を備える、付記3Aないし6Aのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記8A〕
前記パッシベーション膜と前記保護層とを接合する接合層を備える、付記7Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記9A〕
前記第1導電層は、ITOからなる、付記1Aないし8Aのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記10A〕
前記第2導電層は、金属からなる、付記1Aないし9Aのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記11A〕
前記第2導電層は、Alからなる、付記10Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記12A〕
前記意匠表示部は、前記光電変換層を厚さ方向に貫通する貫通部によって構成されている、付記1Aないし11Aのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記13A〕
前記意匠表示部は、周囲よりも薄肉とされた薄肉部によって構成されている、付記1Aないし11Aのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記14A〕
前記第1導電層は、第1電極部を有し、
前記第2導電層は、平面視において前記第1電極部と一致する第2電極部を有し、
前記光電変換層は、前記第1電極部および前記第2電極部に挟まれ、且つ光電変換機能を発揮することにより発電に寄与する発電領域を有する、付記12Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記15A〕
前記光電変換層は、平面視において前記第1電極部および前記第2電極部とは重ならず、且つ発電に寄与しない非発電領域を有する、付記14Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記16A〕
前記第1導電層は、平面視において前記意匠表示部を内包し、且つ厚さ方向に貫通するスリットによって囲まれた第1区画部を有する、付記15Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記17A〕
前記光電変換層の前記非発電領域は、前記第1導電層の前記第1区画部に重なる領域である区画領域を有する、付記16Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記18A〕
前記光電変換層の前記区画領域に含まれる前記意匠表示部を通じて前記第1導電層と前記第2導電層とが接している、付記17Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記19A〕
前記第1導電層は、スリットを挟んで隣り合う2つの前記第1電極部を有し、
前記第2導電層は、平面視において前記2つの第1電極部と一致する2つの前記第2電極部を有し、
前記光電変換層は、前記2つの第1電極部および前記2つの第2電極部に挟まれた2つの前記発電領域を有する、付記15Aないし18Aのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記20A〕
前記2つの発電領域は、互いに直列に接続されている、付記19Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記21A〕
前記2つの発電領域は、互いに並列に接続されている、付記19Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記22A〕
前記第1導電層は、前記2つの第1電極部の一方に繋がり、且つ前記スリットを挟んで前記2つの第1電極部の他方に隣り合う第1連絡部を有し、
前記第2導電層は、前記2つの第1電極部の他方と平面視において一致する前記第2電極部に繋がり、且つ前記スリットを挟んで前記2つの第2電極部のもう一方に隣り合うとともに、前記第1連絡部と接する第2連絡部を有し、
前記光電変換層の前記非発電領域は、前記第1連絡部および前記第2連絡部に挟まれた連絡領域を含む、付記20Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記23A〕
前記連絡領域は、前記意匠表示部を含んでおり、
前記第1連絡部と前記第2連絡部とは、前記連絡領域に含まれた前記意匠表示部を通じて接している、付記22Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記24A〕
前記第1導電層は、同心円状に配置された複数の前記第1電極部と前記第1連絡部とを有し、
前記第2導電層は、同心円状に配置された複数の前記第2電極部と前記第2連絡部とを有し、
前記光電変換層は、同心円状に配置された複数の前記発電領域と複数の前記連絡領域とを有する、付記23Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記25A〕
前記第1導電層は、前記第1電極部Aのいずれか1の第1電極部から、平面視において前記光電変換層の外方に延出する第1延出部を有している、付記15Aないし24Aのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記26A〕
前記第1導電層は、前記第1延出部に繋がる前記第1電極部と該第1電極部に隣り合う前記第1電極部とにスリットを介して挟まれた第1端部を有し、
前記光電変換層は、平面視において前記第1端部に内包される前記意匠表示部を含み、且つ前記第1端部に重なる端部領域を有し、
前記第2導電層は、平面視において第1端部に一致し、且つ隣接する第2電極部に繋がるとともに、前記端部領域の前記意匠表示部を通じて前記第1端部に接する第2端部を有する、付記25Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記27A〕
前記第1導電層は、前記第1端部から、平面視において前記光電変換層の外方に延出する第2延出部を有している、付記26Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記28A〕
前記連絡領域に含まれる前記意匠表示部は、時刻を特定ための文字を表す、付記22Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記29A〕
前記区画領域に含まれる前記意匠表示部は、時刻を特定ための文字を表す、付記18Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記30A〕
前記第1導電層は、平面視において前記意匠表示部を内包する開口を有しており、
前記光電変換層のうち前記第1導電層の前記開口に一致する部位が前記非発電領域とされている、付記15Aないし29Aのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記31A〕
前記開口に内包される前記意匠表示部は、時刻を特定するための図形を表す、付記30Aに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記32A〕
付記1Aないし31Aのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールと、
前記有機薄膜太陽電池モジュールからの給電によって駆動する駆動部と、
を備える、電子機器。
〔付記33A〕
前記駆動部によって駆動される長針および短針を備えており、
時計として構成された、付記32Aに記載の電子機器。
〔付記34A〕
前記駆動部は、演算機能を有しており、
前記駆動部による演算結果を表示する表示部を備えており、
電子計算機として構成された、付記32Aに記載の電子機器。
【0442】
[第5−第6実施形態]
第5および第6実施形態および
図44〜
図67における符号は、これらの実施形態および図において有効であり、他の実施形態および図における符号とは独立している。ただし、第5および第6実施形態の具体的構成と他の実施形態の具体的構成とは、相互に適宜組合せ可能である。
【0443】
本発明において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
【0444】
図44〜
図48は、本発明の第5実施形態に基づく電子機器および本発明の第5および第6実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールを示している。本実施形態の電子機器B5は、有機薄膜太陽電池モジュールA5、有機薄膜太陽電池モジュールA6、ケース61、制御部701、表示部702、入力部703、マイク704、スピーカ705、無線通信部706およびバッテリ707を備えており、携帯型電話端末として構成されている。
【0445】
ケース61は、電子機器B5のその他の構成要素を収容するものであり、金属、樹脂、ガラスなどの材質からなる。
【0446】
図44は、有機薄膜太陽電池モジュールA5,A6およびこれらを用いた電子機器B5を示す平面図である。
図45は、有機薄膜太陽電池モジュールA5,A6および電子機器B5を示す底面図である。
図46は、
図44のXLVI−XLVI線に沿う模式的な断面図である。
図47は、
図44のXLVII−XLVII線に沿う要部拡大断面図である。
図48は、電子機器B5を示すシステム構成図である。なお、
図46においては、理解の便宜上、ケース61、有機薄膜太陽電池モジュールA5、有機薄膜太陽電池モジュールA6、制御部701、表示部702およびバッテリ707のみを模式的に示している。
【0447】
有機薄膜太陽電池モジュールA5および有機薄膜太陽電池モジュールA6は、電子機器B5における電源モジュールであり、太陽光などの光を電力に変換する。具体的構成は、後述する。
【0448】
制御部701は、本発明でいう駆動部の一例に相当し、有機薄膜太陽電池モジュールA5および有機薄膜太陽電池モジュールA6からの給電によって駆動する。なお、制御部701は、有機薄膜太陽電池モジュールA5および有機薄膜太陽電池モジュールA6からn直接給電されてもよいし、有機薄膜太陽電池モジュールA5および有機薄膜太陽電池モジュールA6からの電力がバッテリ707に一旦充電された後に、このバッテリ707からの給電によって駆動されてもよい。制御部701は、たとえばCPU、メモリおよびインターフェースなどを具備して構成されている。
【0449】
表示部702は、各種の情報を電子機器B5の外観に表示するためのものである。表示部702は、たとえば液晶表示パネルあるいは有機EL表示パネルなどである。本実施形態においては、表示部702は、有機薄膜太陽電池モジュールA5を透して外観に情報を表す。
【0450】
入力部703は、使用者の操作を電気信号として制御部701に出力するためのものである。入力部703は、たとえば表示部702に積層されたタッチパネルである。なお、表示部702と入力部703とが一体的に構成されていてもよい。
【0451】
マイク704は、使用者の音声を電気信号に変換するデバイスである。スピーカ705は、通話相手の音声や各種の通知音などを出力するデバイスである。
【0452】
無線通信部706は、無線通信規格に準拠した双方向無線通信を行うデバイスである。
【0453】
バッテリ707は、電子機器B5を駆動する電力を蓄えるデバイスである。バッテリ707は、充放電が適宜可能に構成されている。バッテリ707の充電は、図示しないアダプタを用いた商用電力からの給電、または有機薄膜太陽電池モジュールA5および有機薄膜太陽電池モジュールA6からの給電によってなされる。
【0454】
有機薄膜太陽電池モジュールA5および有機薄膜太陽電池モジュールA6は、第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41、パッシベーション膜42、保護樹脂層45およびバイパス導電部5を備えている。本実施形態においては、有機薄膜太陽電池モジュールA5および有機薄膜太陽電池モジュールA6は、平面視矩形状とされているが、これは一例であり、それぞれは様々な形状とされうる。有機薄膜太陽電池モジュールA5と有機薄膜太陽電池モジュールA6とは、互いの構成が一部を除き共通する。以下においては、まず有機薄膜太陽電池モジュールA5について説明する。
【0455】
図49は、有機薄膜太陽電池モジュールA5のうち第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41および保護樹脂層45を示す要部分解斜視図である。なお、理解の便宜上,支持基板41は想像線(二点鎖線)で示している。
図50は、有機薄膜太陽電池モジュールA5の第1導電層1を示す平面図である。
図51は、有機薄膜太陽電池モジュールA5の光電変換層3を示す平面図である。
図52は、有機薄膜太陽電池モジュールA5の第2導電層2を示す平面図である。
図53は、有機薄膜太陽電池モジュールA5の保護樹脂層45およびバイパス導電部5を示す平面図である。
【0456】
支持基板41は、有機薄膜太陽電池モジュールA5の土台となる部材である。支持基板41は、たとえば透明なガラスあるいは樹脂からなる。支持基板41の厚さは、たとえば
0.05mm〜2.0mmである。
【0457】
第1導電層1は、支持基板41上に形成されている。第1導電層1は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。
図49および
図50に示すように、第1導電層1は、第1電極部11、第1端部14、第1延出部15、第2延出部16、複数の開口18およびスリット19、第3端縁101および延出部103を有する。本実施形態においては、第1導電層1は、平面視略矩形状とされているが、これは第1導電層1の形状の一例である。第1導電層1の形状は、様々な形状に設定されうる。第1導電層1の厚さは、たとえば100nm〜300nmである。なお、
図50において、第1電極部11、第1端部14、第1延出部15および第2延出部16には、斜線のハッチングを付している。
【0458】
第1電極部11は、光電変換層3によって生じた正孔が集約される層であり、いわゆるアノード電極として機能する。本実施形態においては、第1導電層1の大部分が1つの第1電極部11とされている。
【0459】
第1延出部15は、第1電極部11から、平面視において光電変換層3の外方に延出する部分である。
図50においては、第1電極部11と第1延出部15との境界を想像線(二点鎖線)で示している。第1延出部15を設けることにより、光電変換層3における発電によって集約された正孔を、有機薄膜太陽電池モジュールA5外に導くことができる。
【0460】
第1端部14は、スリット19によって第1電極部11と隔離された部分である。本実施形態においては、第1端部14は、たとえば平面視円形状とされている。本実施形態においては、第1端部14は、略円形状とされた部分と矩形状の部分とが組み合わされた形状とされている。
【0461】
第2延出部16は、第1端部14から、平面視において光電変換層3の外方に延出している。
図50においては、第1端部14と第2延出部16との境界を想像線(二点鎖線)で示している。本実施形態においては、第1延出部15と第2延出部16とが隣り合う配置とされている。第2延出部16を設けることにより、光電変換層3における発電によって集約された電子を、有機薄膜太陽電池モジュールA5外に導くことができる。
【0462】
複数の開口18は、厚さ方向に第1導電層1を貫通した開口部分である。本実施形態においては、2つの開口18が設けられている。
図50における図中上方の開口18は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口18は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0463】
第3端縁101は、図中中央の開口18を規定する端縁である。本実施形態においては、第3端縁101は、開口18を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第3端縁101は、開口18を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第3端縁101が開口18に三方から隣接することにより、開口18が第1電極部11から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第3端縁101は、開口18に対して二方あるいは一方のみから隣接するものであってもよい。第3端縁101に隣接する領域、すなわち図中中央の18からは、支持基板41が露出している。また、第3端縁101は、後述する保護樹脂層45の第2端縁451およびパッシベーション膜42の第1端縁421から延出する第1導電層1の部分の内端縁とされている。
【0464】
延出部103は、パッシベーション膜42および保護樹脂層45から外方に延出する部位である。本実施形態においては、第1導電層1の略全外周端縁に、延出部103が設けられている。
【0465】
第2導電層2は、その大部分が光電変換層3を介して第1導電層1上に積層されている。また、第2導電層2の一部は、第1導電層1に直接接している。第2導電層2の材質は特に限定されないが、本実施形態においては、第2導電層2は、Al、W、Mo、Mn、Mgに代表される金属からなる。以下においては、第2導電層2がAlからなる場合を例に説明する。したがって、第2導電層2は、透明ではない。またこの場合、第2導電層2の支持基板41とは反対側の表面に、Al2O3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されてもよい。第2導電層2の厚さは、たとえば30nm〜150nmである。
【0466】
図52に示すように、第2導電層2は、第2電極部21、第2端部24および複数の開口28を有する。本実施形態においては、第2導電層2は、平面視略矩形状とされているが、これは第2導電層2の形状の一例である。第2導電層2の形状は、様々な形状に設定されうる。なお、
図52においては、第2電極部21および第2端部24に、斜線のハッチングを付している。
【0467】
第2電極部21は、光電変換層3によって生じた電子が集約される層であり、いわゆるカソード電極として機能する。第2電極部21は、平面視において、第1電極部11と一致する。本実施形態においては、第2導電層2の大部分が第2電極部21とされている。
【0468】
第2端部24は、平面視において第1導電層1の第1端部14に一致し、且つ第2電極部21に繋がっている。
図52においては、理解の便宜上、第2端部24の形状を想像線(二点鎖線)で示している。第2端部24は、第1端部14と同様に平面視略円形状の部分と平面視矩形状の部分とが組み合わされたとされている。
【0469】
複数の開口28は、厚さ方向に第2導電層2を貫通する開口部分である。本実施形態においては、2つの開口28が設けられている。
図52における図中上方の開口28は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口28は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0470】
第4内方退避端縁201は、図中中央の開口28を規定する端縁である。本実施形態においては、第4内方退避端縁201は、開口28を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第4内方退避端縁201は、開口28を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第4内方退避端縁201が開口28を三方から隣接することにより、開口28が第2電極部21から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第4内方退避端縁201は、開口28に対して二方あるいは一方のみから隣接するものであってもよい。また、
図47に示すように、第4内方退避端縁201は、第3端縁101よりも内方(開口18内に延出する方向とは反対側)に退避している。
【0471】
第4外方退避端縁202は、
図47に示すように、後述するパッシベーション膜42の第1外方端縁422および保護樹脂層45の第2外方端縁452よりも平面視において内方(
図47における右方)に退避している。本実施形態においては、第4外方退避端縁202は、平面視環状である。
【0472】
光電変換層3は、第1導電層1と第2導電層2とに挟まれて、支持基板41に積層されている。光電変換層3は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層3の具体的構成は特に限定されないが、その一例を挙げると、バルクヘテロ接合有機活性層と、このバルクヘテロ接合有機活性層に対して第1導電層1側に積層された正孔輸送層とからなる。本実施形態においては、光電変換層3は、平面視矩形状とされているが、これは一例であり、光電変換層3は、様々な形状とされうる。光電変換層3の厚さは、たとえば50nm〜300nmである。
【0473】
バルクヘテロ接合有機活性層は、p型有機活性層領域とn型有機活性層領域が混在し、複雑なバルクへテロpn接合を形成している。p型有機活性層領域は、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene-2,5diyl))で形成され、n型有機活性層領域は、例えば、PCBM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)で形成されている。正孔輸送層は、たとえばPEDOT:PSSで形成されている。
【0474】
光電変換層3の形成に用いられる材質を例示すると、フタロシアニン(Pc:Phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc:Zinc- phthalocyanine)、Me−Ptcdi(N,N’-dimethyl perylene-3,4,9,10-dicarboximide)、フラーレン(C 60 :Buckminster fullerene)が挙げられる。これらの材質は、たとえば真空蒸着に使用される。
【0475】
また、光電変換層3の形成に用いられる他の材質を例示すると、MDMO−PPV(poly[2-methoxy-5-(3,7-dimethyl octyloxy)]-1,4-phenylene vinylene)、PCDTBT(poly[N-9’-hepta-decanyl-2,7-carbazole-alt-5,5-(4’,7’-di-thienyl-2’1’,3’-b3nzothiadizaole)])、PC60BM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)、PC70BM(6,6-phenyl-C71-butyric acid methyl ester)が挙げられる。これらの材質は、たとえば溶液プロセルに使用される。
【0476】
図51に示すように、光電変換層3は、非発電領域30、発電領域31および意匠表示部35、複数の開口38、第5内方退避端縁301および第5外方退避端縁302を有している。なお、
図51においては、非発電領域30および発電領域31に、複数の離散点からなるハッチングを付している。
【0477】
意匠表示部35は、第1導電層1を透して外観に表れる意匠を構成する部位である。意匠表示部35が構成する意匠とは、使用者等が目視することによって、文字、記号、図柄などの視覚的特異部分として視認されうるものを指す。本実施形態においては、意匠表示部35は、円環形状を表している。
【0478】
本実施形態においては、意匠表示部35は、貫通部350によって構成されている。貫通部350は、光電変換層3を厚さ方向に貫通する態様の部位である。このような貫通部350は、第1導電層1を透して外観に表れる。また、本実施形態においては、貫通部350は、第2導電層2を第1導電層1側に露出させている。すなわち、貫通部350を通じて第2導電層2の一部が外観に表れている。
【0479】
発電領域31は、第1導電層1の第1電極部11および第2導電層2の第2電極部21に挟まれ、且つ光電変換機能を発揮することにより発電に寄与する領域である。また、発電領域31の形状は、平面視において、第1電極部11および第2電極部21に一致する。
【0480】
非発電領域30は、光電変換層3のうち平面視において第1導電層1の第1電極部11および第2導電層2の第2電極部21とは重ならない領域であり、第1導電層1の第1端部14と重なっている。第1端部14は、第2導電層2の第2端部24と接しており、集約された正孔と電子とが即座に結合してしまう。このため、非発電領域30は、且つ発電に寄与しない。すなわち、光電変換層3のうち複数の発電領域31以外の領域が、非発電領域30とされている。
【0481】
本実施形態においては、非発電領域30は、端部領域34とされている。端部領域34は、貫通部350(意匠表示部35)を有している。端部領域34は、平面視において第1導電層1の第1端部14に内包される貫通部350(意匠表示部35)を含み、且つ第1導電層1の第1端部14に重なっている。また、端部領域34は、第2導電層2の第2端部24と重なっている。第1導電層1の第1端部14と第2導電層2の第2端部24とは、端部領域34の貫通部350を通じて接している。
【0482】
複数の開口38は、光電変換層3を厚さ方向に貫通する開口部分である。本実施形態においては、2つの開口38が設けられている。
図51における図中上方の開口38は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口38は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0483】
第5内方退避端縁301は、図中中央の開口38を規定する端縁である。本実施形態においては、第5内方退避端縁301は、開口38を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第5内方退避端縁301は、開口38を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第5内方退避端縁301が開口38を三方から隣接することにより、開口38が発電領域31から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第5内方退避端縁301は、開口38に対して二方あるいは一方のみに設けられたものであってもよい。また、
図47に示すように、第5内方退避端縁301は、第3端縁101よりも内方(開口18内に延出する方向とは反対側)に退避している。
【0484】
第5外方退避端縁302は、
図47に示すように、後述するパッシベーション膜42の第1外方端縁422および保護樹脂層45の第2外方端縁452よりも平面視において内方(
図47における右方)に退避している。本実施形態においては、第5外方退避端縁302は、平面視環状である。
【0485】
上述した構成により、有機薄膜太陽電池モジュールA5においては、第1延出部15が第1電極部11に繋がっている。また、第2電極部21には、第2端部24が繋がっている。第2端部24は、端部領域34の貫通部350を通じて第1端部14と接している。第1端部14には、第2延出部16が繋がっている。この結果、第1延出部15と第2延出部16とが有機薄膜太陽電池モジュールA5の出力端子として機能する。
【0486】
パッシベーション膜42は、第2導電層2上に積層されており、第2導電層2および光電変換層3を保護している。パッシベーション膜42は、たとえばSiNまたはSiONからなる。パッシベーション膜42の厚さは、たとえば0.5μm〜2.0μmであり、本実施形態においては、たとえば1.5μm程度とされる。
【0487】
保護樹脂層45は、パッシベーション膜42を覆っている層である。保護樹脂層45は、たとえば紫外線硬化樹脂からなる。保護樹脂層45の厚さは、たとえば3μm〜20μmであり、本実施形態においては、たとえば10μm程度とされる。
【0488】
図53に示すように、保護樹脂層45は、複数の開口458、第2端縁451および第2外方端縁452を有する。なお、
図53においては、保護樹脂層45に斜線のハッチングを付している。
【0489】
複数の開口458は、保護樹脂層45の一部が削除された態様であり、保護樹脂層45を貫通している。本実施形態においては、2つの開口458が設けられている。
図53における図中上方の開口458は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口458は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0490】
第2端縁451は、図中中央の開口458を規定する端縁である。本実施形態においては、第2端縁451は、開口458を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第2端縁451は、開口458を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第2端縁451が開口458を三方から隣接することにより、開口458が保護樹脂層45から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第2端縁451は、開口458に対して二方あるいは一方のみ設けられたものであってもよい。
【0491】
第2外方端縁452は、平面視において光電変換層3の少なくとも一部を挟んで第2端縁451と反対側に位置しており、本実施形態においては、保護樹脂層45の外周端縁である。
【0492】
パッシベーション膜42は、第1端縁421および第1外方端縁422を有している。
【0493】
第1端縁421は、平面視において第2端縁451と一致している。また、本実施形態においては、第1端縁421は、第2端縁451と連続した面をなしている。第1外方端縁422は、平面視において第2外方端縁452と一致している。また、本実施形態においては、第1外方端縁422は、第2外方端縁452と連続した面をなしている。
【0494】
図47に示すように、第2端縁451および第1端縁421によって囲まれた領域である開口458から、支持基板41の一部が露出領域411として露出している。また、露出領域411は、第1導電層1等によって覆われておらず、支持基板41の表面が直接露出している。
【0495】
バイパス導電部5は、第1導電層1に到達した正孔を集電するための、第1導電層1より低抵抗な経路を構成するためのものである。本実施形態においては、バイパス導電部5は、2つのバスバー部51、複数の連絡部52および2つの集極部53を有する。バイパス導電部5は、第1導電層1よりも低抵抗な材質からなり、たとえばAgまたはカーボンを含む。
【0496】
図47および
図53に示すように、1つのバスバー部51は、第2端縁451および第1端縁421を全長にわたって覆っている。このバスバー部51は、第1導電層1のうち第3端縁101と第1端縁421(第2端縁451)との間に位置する部分を覆っている。また、このバスバー部51の内端縁は、平面視において第3端縁101と一致している。他方のバスバー部51は、第2外方端縁452および第1外方端縁422を全長にわたって覆っている。このバスバー部51は、第1導電層1の延出部103を覆っている。このような構成により、2つのバスバー部51は、それぞれが第1導電層1と導通している。
【0497】
複数の連絡部52は、保護樹脂層45上に形成された部分であり、
図53における図中内側のバスバー部51と図中外側の連絡部52とを連結している。2つの集極部53は、一方が第1導電層1に導通しており、他方が第2導電層2に導通している。
【0498】
図54は、有機薄膜太陽電池モジュールA6の第1導電層1を示す平面図である。
図55は、有機薄膜太陽電池モジュールA6の光電変換層3を示す平面図である。
図56は、有機薄膜太陽電池モジュールA6の第2導電層2を示す平面図である。
図57は、有機薄膜太陽電池モジュールA6の保護樹脂層45およびバイパス導電部5を示す平面図である。
【0499】
有機薄膜太陽電池モジュールA6においては、表示部702を外観に表すための開口18、開口28、開口38、開口458等が設けられていない。このため、第3端縁101、第4内方退避端縁201、第5内方退避端縁301、第1端縁421および第2端縁451は設けられていない。また、バイパス導電部5は、外周に沿うバスバー部51を有し、連絡部52は、有していない。
【0500】
本実施形態においては、
図55に示すように、光電変換層3に複数の貫通部350(35)が設けられている。これらの貫通部350は、それぞれがアルファベットを表している。この貫通部350を利用して、第1導電層1の第1端部14と第2導電層2の第2端部24とが接している点は、有機薄膜太陽電池モジュールA5と同様である。
【0501】
次いで、有機薄膜太陽電池モジュールA5の製造方法の一例について、
図58〜
図65を参照しつつ、以下に説明する。なお、これらの図においては、理解の便宜上、
図47とは、天地逆に表されている。また、
図58〜
図65においては、
図44に示した電子機器B5のXLVII−XLVII線における断面構造を生成する過程を示している。
【0502】
まず、
図58に示すように支持基板41を用意する。そして、
図59に示すように、支持基板41の片面にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITOからなる第1導電層1を成膜する。次に、該ITOにパターニングを施し、開口18、スリット19等のパターンを形成するためのパターニングを行う。ここで、ITOへのパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、酸素プラズマエッチングを用いた手法、レーザパターニングを用いた手法が適宜採用される。なお、第1導電層1は、上記に限られず、例えばナノインプリントを用いた手法によって、支持基板41上に直接的にITOをパターニングすることで形成するようにしても良い。
【0503】
次いで、
図60に示すように、光電変換層3を形成する。光電変換層3の形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板41上および第1導電層1上に有機膜を成膜した後に、酸素プラズマエッチング、レーザパターニングを用いることによって、第5内方退避端縁301、第5外方退避端縁302、開口38、貫通部350(意匠表示部35)を有する構成に仕上げることにより行う。なお、光電変換層3は、上記に限定されず、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビア印刷などの手法によって、支持基板41上および第1導電層1上に直接的に有機膜をパターニングすることで形成するようにしても良い。
【0504】
次いで、
図61に示すように、第2導電層2を形成する。第2導電層2の形成は、たとえば上述した金属を真空加熱蒸着法によって支持基板41、第1導電層1および光電変換層3上に金属膜を成膜する。次に、該金属膜に例えばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施す。このパターニングにより、光電変換層3上に第4内方退避端縁201および第4外方退避端縁202を有する第2導電層2を形成する。
【0505】
次いで、
図62に示すように、パッシベーション膜42を形成する。パッシベーション膜42の形成は、たとえばプラズマCVD法によってSiNまたはSiONなどの膜を支持基板41、第1導電層1、光電変換層3および第2導電層2上に形成することにより行う。
【0506】
次いで、
図63に示すように、保護樹脂層45を形成する。保護樹脂層45の形成は、たとえば紫外線硬化樹脂を含む液体樹脂材料をスクリーン印刷によってパッシベーション膜42上に塗布し、紫外線を照射することによって硬化させる。これにより、第2端縁451および第2外方端縁452を有する保護樹脂層45が得られる。
【0507】
次いで、
図64に示すように、保護樹脂層45をマスクとして用いたパターニングをパッシベーション膜42に施す。このパターニングは、たとえばフッ化水素を0.55%〜4.5%含むフッ化水素酸を用いたウエットエッチングによって行う。このようなフッ化水素酸は、紫外線硬化樹脂からなる保護樹脂層45をほとんど溶解しない一方、SiN等からなるパッシベーション膜42を選択的に溶解する。また、フッ化水素酸は、ITO等からなる第1導電層1はほとんど溶解しない。この結果、パッシベーション膜42に第1端縁421および第1外方端縁422が形成される。第1端縁421は、平面視において第2端縁451と一致する。第1端縁421と第2端縁451とは、連続した面をなす。また、第1外方端縁422は、平面視において第2外方端縁452と一致する。第1外方端縁422と第2外方端縁452とは、連続した面をなす。
【0508】
次いで、
図65に示すように、バイパス導電部5を形成する。バイパス導電部5の形成は、たとえばAgまたはカーボンを含むペーストを塗布した後に、たとえば乾燥などの手法によってこのペーストを硬化させることによって行う。
【0509】
次いで、第1導電層1にパターニングを施す。このパターニングは、たとえば濃塩酸と濃硝酸とが3:1の比率で混合された王水を用いて行う。このパターニングにより、第1導電層1のうちバイパス導電部5や保護樹脂層45から露出した部分が選択的に除去される。この結果、第1導電層1に第3端縁101等が形成される。以上の工程を経ることにより、有機薄膜太陽電池モジュールA5が得られる。有機薄膜太陽電池モジュールA6の製造も同様に行うことができる。
【0510】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA5および電子機器B5の作用について説明する。
【0511】
本実施形態によれば、第2端縁451および第2外方端縁452に隣接する領域において支持基板41が露出している。この部位には、パッシベーション膜42や保護樹脂層45が形成されていない。したがって、この部位をより透明に仕上げることが可能であり、表示部702をより鮮明に外観に表すことができる。
【0512】
第2端縁451および第1端縁421に隣接する領域のうちバスバー部51によって覆われた僅かな領域を除いて、支持基板41には第1導電層1が形成されていない。第1導電層1は、ITOからなるものの、光線のあたり具合によっては、うっすらと着色されたものとして視認される。本実施形態においては、表示部702を外観に表すための領域をことさらに透明に仕上げることが可能であり、より美麗な外観を実現することができる。
【0513】
光電変換層3の第5内方退避端縁301および第2導電層2の第4内方退避端縁201が、第1端縁421および第2端縁451と離間していることにより、第2導電層2および光電変換層3がバイパス導電部5と不当に導通することを回避することができる。また、第4内方退避端縁201および第5内方退避端縁301と第1端縁421および第2端縁451との間にパッシベーション膜42が介在していることにより、第2導電層2および光電変換層3とバイパス導電部5のバスバー部51とがショートすることをより確実に防止可能である。
【0514】
保護樹脂層45をマスクとして用いたパターニングをパッシベーション膜42に施すことにより、保護樹脂層45と同形状のパッシベーション膜42を形成することができる。すなわち、紫外線硬化樹脂などの形状形成に優れた材質を用いて保護樹脂層45を形成すれば、必ずしも形状形成に優れていない材質からなるパッシベーション膜42を所望の形状に仕上げることができる。なお、保護樹脂層45は、パッシベーション膜42を形成した後に除去してもよい。ただし、保護樹脂層45を残存させた場合、水分やパーティクル等の第1導電層1、第2導電層2および光電変換層3等への侵入を防止する効果や、有機薄膜太陽電池モジュールA5の強度向上を図る効果が期待できる。
【0515】
バイパス導電部5を設けることにより、第1導電層1に拡散してきた正孔を、バスバー部51を経由して集極部53へと導くことができる。バイパス導電部5は、第1導電層1よりも低抵抗であるため、電力が熱に変換されてしまうことを抑制することができる。これは、有機薄膜太陽電池モジュールA5および有機薄膜太陽電池モジュールA6の発電損失を低減するとともに、より大面積の発電領域31による発電に適している。
【0516】
バイパス導電部5を形成した後に第1導電層1にパターニングを施すことにより、バイパス導電部5の連絡部52は、第1導電層1の端面ではなく、第1導電層1のうち平面視において有意な面積を有する部分(延出部103など)に接する構成となる。これは、第1導電層1とバイパス導電部5との接触抵抗を低下させるとともに、確実な導通に有利である。
【0517】
図66および
図67は、本発明の変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0518】
図66は、電子機器B5および有機薄膜太陽電池モジュールA5の変形例を示している。本変形例においては、第1導電層1の第3端縁101が平面視において第1端縁421および第2端縁451と一致している。また、上述した例における内側のバスバー部51は設けられていない。このような変形例は、保護樹脂層45をマスクとして王水を用いたパターニングを第1導電層1に施すことによって形成される。
【0519】
本変形例によっても、第1端縁421および第2端縁451に隣接する部位をより透明に仕上げることが可能であり、表示部702をより鮮明に外観に表すことができる。
【0520】
図67は、電子機器B5および有機薄膜太陽電池モジュールA5の変形例を示している。本変形例においては、第1導電層1は、第3端縁101に代えて、第3内方退避端縁102を有している。第3内方退避端縁102は、平面視において第1端縁421および第2端縁451よりも内方に退避している。また、上述した例における内側のバスバー部51は設けられていない。このような変形例は、支持基板41に第1導電層1を成膜した後に、スリット19等とともに第3内方退避端縁102を形成しておくことによって製造される。
【0521】
本変形例によっても、第1端縁421および第2端縁451に隣接する部位をより透明に仕上げることが可能であり、表示部702をより鮮明に外観に表すことができる。
【0522】
本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュール、電子機器、有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュール、電子機器、有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0523】
本発明に係る電子機器は、携帯型電話端末をはじめ、太陽光発電を利用可能な様々な電子機器に適用することが可能であり、たとえば腕時計、電子計算機などが挙げられる。
【0524】
以下に、本発明の技術的特徴について付記する。
【0525】
〔付記1B〕
透明な支持基板と、
前記支持基板に積層された透明な第1導電層と、
第2導電層と、
前記第1導電層および前記第2導電層に挟まれた有機薄膜からなる光電変換層と、
前記第2導電層を覆うパッシベーション膜と、
を備え、
前記パッシベーション膜は、第1端縁を有し、
前記第1端縁に隣接する領域において、前記支持基板が露出している、有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記2B〕
前記第1導電層は、平面視において前記第1端縁と一致する第3端縁を有する、付記1Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記3B〕
前記第1導電層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第3内方退避端縁を有する、付記1Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記4B〕
前記第2導電層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第4内方退避端縁を有する、付記2Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記5B〕
前記光電変換層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第5内方退避端縁を有する、付記4Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記6B〕
前記第4内方退避端縁は、平面視において前記第5内方退避端縁よりも内方に退避している、付記5Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記7B〕
前記第1端縁は、平面視環状である、付記4Bないし6Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記8B〕
前記第3端縁は、平面視環状である、付記7Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記9B〕
前記第3内方退避端縁は、平面視環状である、付記3Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記10B〕
前記第4内方退避端縁は、平面視環状である、付記8Bまたは9Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記11B〕
前記第5内方退避端縁は、平面視環状である、付記10Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記12B〕
前記第1導電層は、ITOからなる、付記1Bないし11Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記13B〕
前記第2導電層は、金属からなる、付記1Bないし12Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記14B〕
前記第2導電層は、Alからなる、付記13Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記15B〕
前記パッシベーション膜は、SiNからなる、付記1Bないし14Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記16B〕
前記パッシベーション膜を覆う保護樹脂層を備えており、
前記保護樹脂層は、平面視において前記第1端縁と一致する第2端縁を有する、付記1Bないし15Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記17B〕
前記第2端縁と前記第1端縁とは、連続した面をなす、付記16Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記18B〕
前記第2端縁は、平面視環状である、付記16Bまたは17Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記19B〕
前記保護樹脂層は、紫外線硬化樹脂からなる、付記16Bないし18Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記20B〕
前記保護樹脂層は、平面視において前記光電変換層の少なくとも一部を挟んで前記第2端縁と反対側に位置する第2外方端縁を有し、
前記パッシベーション膜は、平面視において前記第2外方端縁と一致する第1外方端縁を有し、
前記第1導電層は、前記第2外方端縁および前記第1外方端縁から外方に延出する延出部を有し、
前記延出部の少なくとも一部を覆い、且つ前記第1導電層の材料よりも低抵抗の材料からなるバイパス導電部を備える、付記16Bないし19Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記21B〕
前記第2外方端縁と前記第1外方端縁とは、連続した面をなす、付記20Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記22B〕
前記バイパス導電部は、前記第2外方端縁および前記第1外方端縁を覆う、付記20Bまたは21Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記23B〕
前記バイパス導電部は、AgBまたはカーボンを含む、付記20Bないし22Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記24B〕
前記第2導電層は、平面視において前記第2外方端縁および前記第1外方端縁よりも内方に退避した第4外方退避端縁を有する、付記20Bないし23Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記25B〕
前記光電変換層は、平面視において前記第2外方端縁および前記第1外方端縁よりも内方に退避した第5外方退避端縁を有する、付記20Bないし24Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記26B〕
付記1Bないし25Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールと、
前記有機薄膜太陽電池モジュールからの給電によって駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする、電子機器。
〔付記27B〕
透明な支持基板に透明な第1導電層を積層する工程と、
前記第1導電層に有機薄膜からなる光電変換層を積層する工程と、
前記光電変換層に第2導電層を積層する工程と、
前記第2導電層を覆うパッシベーション膜を形成する工程と、
前記パッシベーション膜に第2端縁を有する保護樹脂層を積層する工程と、
前記第2端縁を境界として、前記パッシベーション膜を部分的に除去することにより平面視において前記第2端縁と一致する第1端縁を前記パッシベーション膜に形成する工程と、
前記第1導電層を部分的に除去することにより、前記第2端縁および前記第1端縁に隣接する領域において、前記支持基板を露出させる工程と、を備える、有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記28B〕
前記支持基板を露出させる工程において、平面視において前記第2端縁および前記第1端縁と一致する第3端縁を前記第1導電層に形成する、付記27Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記29B〕
前記第2端縁および前記第1端縁は、平面視環状である、付記28Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記30B〕
前記第3端縁は、平面視環状である、付記29Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記31B〕
前記第1導電層は、ITOからなる、付記27Bないし30Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記32B〕
前記第2導電層は、金属からなる、付記27Bないし31Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記33B〕
前記第2導電層は、Alからなる、付記32Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記34B〕
前記パッシベーション膜は、SiNからなる、付記27Bないし33Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記35B〕
前記保護樹脂層は、紫外線硬化樹脂からなる、付記27Bないし34Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記36B〕
前記保護樹脂層を積層する工程において、平面視において前記光電変換層の少なくとも一部を挟んで前記第2端縁と反対側に位置する第2外方端縁を形成し、
前記第2端縁を境界として、前記パッシベーション膜を部分的に除去することにより平面視において前記第2外方端縁と一致する第1外方端縁を前記パッシベーション膜に形成する工程と、
前記第1導電層のうち前記第2外方端縁および前記第1外方端縁から外方に延出する延出部の少なくとも一部を覆い、且つ前記第1導電層の材料よりも低抵抗の材料からなるバイパス導電部を形成する工程と、を備える、付記27Bないし35Bのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記37B〕
前記バイパス導電部を形成する工程においては、前記バイパス導電部によって前記第2外方端縁および前記第1外方端縁を覆う、付記36Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記38B〕
前記バイパス導電部は、AgBまたはカーボンを含む、付記36Bまたは37Bに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
【0526】
[第7−第12実施形態]
第7ないし第12実施形態および
図68〜
図112における符号は、これらの実施形態および図において有効であり、他の実施形態および図における符号とは独立している。ただし、第7ないし第12実施形態の具体的構成と他の実施形態の具体的構成とは、相互に適宜組合せ可能である。
【0527】
本発明において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
【0528】
図68は、本発明に係る有機薄膜太陽電池10を装備する電子機器100の一例を示している。この電子機器100は、卓上電子計算機(電卓)である。この電子機器100は、筐体110の表面に配置された表示部120と、入力部130と、有機薄膜太陽電池10とを有する。表示部120は、たとえば、液晶表示器である。入力部130は、いわゆるテン・キーである。この電子機器100は、入力部130からの入力にしたがって演算された結果が表示部120に表示される。演算および表示のための電力は、有機薄膜太陽電池10によって発電された電力が使用される。有機薄膜太陽電池10は、その受光面11が筐体110の表面に臨むようにして組み込まれている。この有機薄膜太陽電池10は、矩形のセル12が横方向に複数並んだ形態を有しており、各セル12の表面には、本発明によって特徴づけられた以下に説明する構成により、外部から視認できる所望の意匠Dが表される。
【0529】
図69は本発明の第7〜第9実施形態に係る有機薄膜太陽電池10A〜10Cの平面図を示し、
図70は第7実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aの構造を示す、
図69のLXX−LXX線に沿う断面図である。なお、
図70は、受光面11が下方を向くようにして表している。
【0530】
この有機薄膜太陽電池10Aは、支持基板200、第1電極層310、光電変換層400、第2電極層510、パッシベーション層610、接合層620および保護層630を有している。
【0531】
支持基板200は、第1面201と、その反対側の第2面202とを有し、たとえば、透明なガラスあるいは樹脂からなる。支持基板200の厚さは、たとえば0.05mm〜2.0mmであるが、これに限られない。
【0532】
第1電極層310は、支持基板200の第2面202上に形成されている。第1電極層310は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。この第1電極層310は、厚み方向に貫通するスリット311によってセル12ごとに分離されている。第1電極層310にはまた、支持基板200と反対側の表面に凹入部(開口部)320を設けることにより、薄肉部312が形成されている。薄肉部312の詳細および技術的意義については後述するが、この第1電極層310の一般部313の厚みは、たとえば、100〜200nmであり、薄肉部312の厚みは、たとえば、50〜100nmである。この第1電極層310は、光電変換層400で生じたキャリアが集約される層である。
【0533】
光電変換層400は、第1電極層310の支持基板200と反対側に積層されている。光電変換層400は、第1電極層310に設けたスリット311と平面的に一致するスリット401により、セル12ごとに分離されている。これにより、上記スリット311に臨む第1電極層310の端面と、上記スリット401に臨む光電変換層400の端面は、面一となっている。光電変換層400は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層400の具体的構成は特に限定されないが、その一例を挙げると、バルクヘテロ接合有機活性層と、このバルクヘテロ接合有機活性層に対して第1電極層310側に積層された正孔輸送層とからなる。光電変換層400の厚さは、たとえば100〜200nmである。光電変換層400には、第1電極層310に形成した凹入部320の形態が反映された凹凸411が形成されている。なお、光電変換層400にこのような凹凸411が形成されていなくてもよい。
【0534】
バルクヘテロ接合有機活性層は、p型有機活性層領域とn型有機活性層領域が混在し、複雑なバルクへテロpn接合を形成している。p型有機活性層領域は、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene-2,5diyl))で形成され、n型有機活性層領域は、例えば、PCBM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)で形成されている。正孔輸送層は、たとえばPEDOT:PSSで形成されている。
【0535】
光電変換層400の形成に用いられる材質を例示すると、フタロシアニン(Pc:Phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc:Zinc- phthalocyanine)、Me−Ptcdi(N,N'-dimethyl perylene-3,4,9,10-dicarboximide)、フラーレン(C 60 :Buckminster fullerene)が挙げられる。これらの材質は、たとえば真空蒸着に使用される。
【0536】
また、光電変換層3の形成に用いられる他の材質を例示すると、MDMO−PPV(poly[2-methoxy-5-(3,7-dimethyl octyloxy)]-1,4-phenylene vinylene)、PCDTBT(poly[N-9'-hepta-decanyl-2,7-carbazole-alt-5,5-(4',7'-di-thienyl-2'1',3'-b3nzothiadizaole)])、PC60BM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)、PC70BM(6,6-phenyl-C71-butyric acid methyl ester)が挙げられる。これらの材質は、たとえば溶液プロセルに使用される。
【0537】
第2電極層510は、各セル12ごとに、第1電極層310と共に支持基板200の第2面202と厚み方向において光電変換層400を挟むようにして光電変換層400上に積層されている。本実施形態においては、第2電極層510は、たとえばAlにより形成されるが、材質は限定されず、W、Mo、Mn、Mg、Au、Agに代表される電極性金属により形成することができる。したがって、第2電極層2は、本願の定義において透明ではなく、不透明である。またこの場合、第2電極層510の支持基板200と反対側の表面に、Al2O3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されていてもよい。第2電極層2の厚さは、たとえば100〜200nmである。第2電極層510は、光電変換層によって生じたキャリアが集約される層である。この第2電極層510には、光電変換層400と同様、第1電極層310に形成した凹入部320の形態が反映された凹凸511が形成されている。なお、第2電極層510にこのような凹凸511が形成されていなくてもよい。
【0538】
パッシベーション層610は、第2電極層510上に積層されており、第2電極層510および光電変換層400を保護するとともに、各セル12を分離するためのスリット311内にも進入し、スリット311の底部において支持基板200に密着している。パッシベーション層610は、たとえばSiN、SiO2、またはSiONからなる。パッシ
ベーション層42の厚さは、たとえば0.5μm〜2.0μmであり、第1電極層310、光電変換層400および第2電極層510の各厚みよりも厚い厚みを有しており、これにより、光電変換層400に外部から水やパーティクル等が進入することを防止し、有機薄膜太陽電池10Aの耐久性を向上させることができる。なお、このパッシベーション層610は、第1電極層310に設けた凹入部320の影響を受けずに表面が平坦となる程度の厚みに形成することが好ましい。
【0539】
接合層620は、パッシベーション層610と保護層630とを接合する層であり、たとえば樹脂系の接着剤層である。
【0540】
保護層630は、有機薄膜太陽電池10Aを支持基板200と反対側から保護するために設けられる。保護層630は、好ましくはガラス、もしくはフィルムからなるが、その他有機薄膜太陽電池10Aを保護しうる透明な材質を適宜採用することができる。保護層44の厚さは、たとえば30μm〜100μmである。
【0541】
上記したように、第1電極層310には、支持基板200と反対側に凹入部(開口部)320を設けることにより、薄肉部312が形成されている。この薄肉部312は、支持基板200の第1面201側から視認できる意匠Dを表すためのものであり、本実施形態では、
図70に詳示するように、第1電極層310の支持基板200と反対側の面に、幅wがたとえば5〜20μmで直線的に延びる複数の微細なライン状の凹溝321をたとえば30〜50μmの微細なピッチ間隔pで形成することにより、形成している。このような凹溝321を形成することにより、支持基板200の第1面201側から見たとき、微細な凹溝321における段差部での光の回折作用により、凹溝321を設けた領域をホログラムとして視認することができる。したがって、上記のような複数の微細な凹溝321を設ける領域の平面的な形状を選択することにより、
図69に示すように、上記支持基板200の第1面201側、すなわち、有機薄膜太陽電池10Aの受光面11に、文字や図柄などの意匠Dをホログラムとして表すことが可能となる。なお、上記したように、光電変換層400および第2電極層510には、第1電極層310に設けた凹入部320の形態が反映された凹凸411,511が形成されている。そのため、パッシベーション層610、接合層620および保護層630が透明性を有している場合、この有機薄膜太陽電池10Aを裏面から観察した場合においても、
図78に示すように、ホログラムとしての意匠Dが表れる。
【0542】
次に、有機薄膜太陽電池10Aの製造方法について、
図71〜
図77を参照して以下に説明する。
【0543】
まず、
図71に示すように支持基板200を用意し、そして、支持基板200の第2面202にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITO300を成膜する。次いで、
図72に示すように、該ITO300にパターニングを行うことにより矩形のセル12ごとに分離された第1電極層310を形成する。各第1電極層310は、互いに独立しており、隣り合う第1電極層310間は、スリット311により分離された格好となる。ITOに対するパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、ドライエッチングを用いた手法、レーザパターニングを用いた手法が適宜採用される。なお、第1電極層310は、上記に限られず、印刷法によって、支持基板200の第2面202上に直接的にITOをパターニングすることで形成するようにしてもよい。
【0544】
次に、
図73に示すように、第1電極層310に、その露出表面(支持基板200と反対側の面)に凹溝(開口部)321を設けることにより、薄肉部312を形成する。具体的には、第1電極層310上の意匠Dを表すべき領域に複数の凹溝321を形成する。上記したように、本実施形態では、第1電極層310の厚さ100〜200nmであり、複数の凹溝321は、幅wがたとえば5〜20μmのライン状であり、配列ピッチpが30〜50μmである。また、薄肉部312の厚さは50〜100nmであるから、上記凹溝321の深さは50〜100nmである。このような微細な幅wの凹溝321を微細なピッチ間隔pで、しかも、微小厚さの第1電極層310上に形成する手法としては、所定出力のレーザスポットを第1電極層310上に走査することにより行うことが適当である。なお、ITO300にスリット311を設けてセル12ごとに分離した第1電極層310を形成する工程(
図72)と、第1電極層310に凹溝321を設けて薄肉部312を形成する工程(
図73)は、順序を逆にしてもよい。
【0545】
また、第1電極層310に凹溝321を設ける工程は、ITO300にスリット311を設ける工程と同時にドライエッチングによって行うことが可能である。その場合、レジストにおける凹溝321のための開口幅をスリット311のための開口幅より小とすることにより、エッチングレートを互いに異ならせ、除去深さの異なる凹溝321とスリット311とを同時に形成することができる。
【0546】
次に、
図74に示すように、光電変換層400を形成する。光電変換層400の形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板200上および第1電極層310上に有機膜を成膜した後に、酸素プラズマエッチング、あるいはレーザパターニングを用いることによって、矩形の第1電極層310の平面形状と一致した平面形状に仕上げることにより行う。なお、光電変換層400は、上記に限定されず、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビア印刷やスクリーン印刷などの印刷法によって、支持基板200上および第1電極層310上に直接的に有機膜をパターニングすることで形成するようにしてもよい。
【0547】
次に、
図75に示すように、第2電極層510を形成する。第2電極層510の形成は、たとえば上述した金属を真空加熱蒸着法によって支持基板200、第1電極層310および光電変換層400上に金属膜を成膜した後、この金属膜にたとえばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施すことにより行う。このパターニングにより、光電変換層400上に第2電極層510を形成する。この後は、
図76に示すように、たとえばプラズマCVD法によってSiN、SiO2、またはSiONを支持基板200、第1電極層310、光電変換層400および第2電極層510上に亙って成膜することにより、パッシベーション層610を形成する。そして、パッシベーション層610に接合層620(
図77)を介して保護層44を接合する。以上の工程を経ることにより、
図70に示した有機薄膜太陽電池10Aが得られる。
【0548】
次に、有機薄膜太陽電池10Aの作用について説明する。
【0549】
本実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aによれば、支持基板200と光電変換層400との間の第1電極層310に凹入部(開口部)320を形成することにより薄肉部312を設けて意匠Dを構成し、この意匠Dを支持基板200側から視認できる構成としたので、有機薄膜太陽電池10に追加の部材を積層させることや外側に印刷を施すことなどをすることなく、当該有機薄膜太陽電池10Aの受光面11に意匠Dを表すことができる。また、このようにして表される意匠Dが外物との接触や摩擦によって品位低下を招いたり、消失したりすることもなく、意匠D表示の品位を保つことができる。
【0550】
また、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aによれば、第1電極層310に対する加工により受光面11から視認できるようにホログラムとしての意匠Dを表すことができるので、当該有機薄膜太陽電池10Aまたはこれを備える電子機器100の模造品対策に役立つ。
【0551】
さらに、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aによれば、第1電極層310にこれを貫通しない薄肉部312を設けて意匠Dを構成しているので、意匠Dを構成することによっても光電変換層400の有効発電面積を減じる必要がない。このため、意匠Dを構成した場合であっても有機薄膜太陽電池10Aとしての発電効率の低減を抑制することができる。
【0552】
図79は本発明の第8実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Bの構造を示し、
図69のLXX−LXX線に沿う拡大断面に相当する図である。同図において、
図70に示した第7実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aと同一または同等の部材または部分には、同一の符号を付してある。
【0553】
この有機薄膜太陽電池10Bは、支持基板200、第1電極層310、光電変換層400、第2電極層510、パッシベーション層610、接合層620および保護層630を有している。
【0554】
支持基板200は、第1面201と、その反対側の第2面202とを有し、たとえば、透明なガラスあるいは樹脂からなる。支持基板200の厚さは、たとえば0.05mm〜2.0mmであるがこれに限定されない。
【0555】
第1電極層310は、支持基板200の第2面202上に形成されている。第1電極層310は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。この第1電極層310は、厚み方向に貫通するスリット311によってセル12ごとに分離されている。第1電極層310にはまた、支持基板200側の表面に凹入部(開口部)320を設けることにより、薄肉部312が形成されている。薄肉部312の詳細および技術的意義については後述するが、この第1電極層310の一般部313の厚みは、たとえば、100〜200nmであり、薄肉部312の厚みは、たとえば、50〜100nmである。この第1電極層310は、光電変換層400で生じたキャリアが集約される層である。
【0556】
光電変換層400は、第1電極層310の支持基板200と反対側に積層されている。光電変換層400は、第1電極層310に設けたスリット311と平面的に一致するスリット401により、セル12ごとに分離されている。これにより、上記スリット311に臨む第1電極層310の端面と、上記スリット401に臨む光電変換層400の端面は、面一となっている。光電変換層400は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層400の具体的構成については、第7実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aについて上述したのと同様である。光電変換層400の厚さは、たとえば100〜200nmである。
【0557】
第2電極層510は、各セル12ごとに、第1電極層310と共に支持基板200の第2面202と厚み方向において光電変換層400を挟むようにして光電変換層400上に積層されている。本実施形態においては、第2電極層510は、たとえばAlにより形成されるが、材質は限定されず、第7実施形態について上述したのと同様、W、Mo、Mn、Mg、Au、Agに代表される電極性金属により形成することができる。したがって、第2電極層2は、本願の定義において透明ではなく、不透明である。またこの場合、第2電極層510の支持基板200と反対側の表面に、Al2O3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されていてもよい。第2電極層2の厚さは、たとえば100〜200nmである。第2電極層510は、光電変換層によって生じたキャリアが集約される層である。
【0558】
パッシベーション層610は、第2電極層510上に積層されており、第2電極層510および光電変換層400を保護するとともに、各セル12を分離するためのスリット311内にも進入し、スリット311の底部において支持基板200に密着している。パッシベーション層610は、たとえばSiN、SiO2、またはSiONからなる。パッシ
ベーション層610の厚さは、たとえば0.5μm〜2.0μmであり、第1電極層310、光電変換層400および第2電極層510の各厚みよりも厚い厚みを有しており、これにより、光電変換層400に外部から水やパーティクル等が進入することを防止し、有機薄膜太陽電池10Bの耐久性を向上させることができる。
【0559】
接合層620は、パッシベーション層610と保護層630とを接合する層であり、たとえば樹脂系の接着剤層である。
【0560】
保護層630は、有機薄膜太陽電池10Bを支持基板200と反対側から保護するために設けられる。保護層630は、好ましくはガラス、もしくはフィルムからなるが、その他有機薄膜太陽電池10Bを保護しうる透明な材質を適宜採用することができる。保護層630の厚さは、たとえば30μm〜100μmである。
【0561】
上記したように、第1電極層310には、支持基板200側の表面に凹入部(開口部)320を設けることにより、薄肉部312が形成されている。この薄肉部312は、後記するように、支持基板200の第1面201側から視認できる意匠Dを表すためのものであり、本実施形態では、
図78に詳示するように、第1電極層310の支持基板200側に、幅wがたとえば5〜20μmで直線的に延びる複数の微細な凹溝321をたとえば30〜50μmの微細なピッチ間隔pで形成することにより、形成している。このような凹溝を形成することにより、支持基板200の第1面側から見たとき、微細な凹溝321における段差部での光の回折作用により、凹溝321を設けた領域をホログラムとして視認することができる。したがって、上記のような複数の微細な凹溝321を設ける領域の平面的な形状を選択することにより、
図70に示すように、上記支持基板200の第1面側、すなわち、有機薄膜太陽電池10Bの受光面11に、文字や図柄などの意匠Dをホログラムとして表すことが可能となる。また、この有機薄膜太陽電池10Bにおいては、第1電極層310の支持基板200側に凹溝321を設けているので、第1電極層310の支持基板200と反対側の面を平坦にすることができ、これに伴い、光電変換層400および第2電極層610の表面を平坦にすることができる。
【0562】
次に、有機薄膜太陽電池10Bの製造方法について、
図80〜
図86を参照して以下に説明する。
【0563】
まず、
図80に示すように支持基板200を用意し、支持基板200の第2面202にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITO300を成膜する。次いで、
図81に示すように、該ITO300にパターニングを行うことにより矩形のセル12ごとに分離された第1電極層310を形成する。各第1電極層310は、互いに独立しており、隣り合う第1電極層310間は、スリット311により分離された格好となる。ITOに対するパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、ドライエッチングを用いた手法、レーザパターニングを用いた手法が適宜採用される。なお、第1電極層310は、上記に限られず、印刷法によって、支持基板200の第2面202上に直接的にITOをパターニングすることで形成するようにしてもよい。
【0564】
次に、
図82に示すように、光電変換層400を形成する。光電変換層400の形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板200上および第1電極層310上に有機膜を成膜した後に、酸素プラズマエッチング、あるいはレーザパターニングを用いることによって、矩形の第1電極層310の平面形状と一致した平面形状に仕上げることにより行う。なお、光電変換層400は、上記に限定されず、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビア印刷やスクリーン印刷などの印刷法によって、支持基板200上および第1電極層310上に直接的に有機膜をパターニングすることで形成するようにしてもよい。
【0565】
次に、
図83に示すように、第2電極層510を形成する。第2電極層510の形成は、たとえば上述した金属を真空加熱蒸着法によって支持基板200、第1電極層310および光電変換層400上に金属膜を成膜する。次に、この金属膜にたとえばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施すことにより行う。このパターニングにより、光電変換層400上に第2電極層510を形成する。この後は、
図84に示すように、たとえばプラズマCVD法によってSiN、SiO2またはSiONを支持基板2
00、第1電極層310、光電変換層400および第2電極層510上に亙って成膜することにより、パッシベーション層610を形成する。
【0566】
次に、
図85に示すように、第1電極層310に、支持基板200側の表面に凹溝(開口部)321を設けることにより、薄肉部312を形成する。具体的には、第1電極層310上の意匠Dを表すべき領域に複数の凹溝321を形成する。上記したように、本実施形態では、第1電極層310の厚さ100〜200nmであり、複数の凹溝321は、幅wがたとえば5〜20μmであり、配列ピッチpが30〜50μmである。また、薄肉部312の厚さは50〜100nmであるから、上記凹溝321の深さは50〜100nmである。このような微細な幅wの凹溝321を微細なピッチ間隔pで、しかも、微小厚さの第1電極層310上に形成する手法としては、所定出力のレーザを透明な支持基板200の第1面201側から第1電極層310上に照射し、レーザスポットを走査することにより行うことが適当である。
【0567】
そして、パッシベーション層610に接合層620(
図86)を介して保護層630を接合する。以上の工程を経ることにより、
図79に示した有機薄膜太陽電池10Bが得られる。
【0568】
なお、第1電極層310にその支持基板200側の表面に凹溝(開口部)321を設けて薄肉部312を形成するにあたっては、上記したように、支持基板200の第1面側からレーザを照射し、かつレーザスポットを走査するが、かかるステップは、上記第1電極層310を形成した後、上記光電変換層400を形成した後、上記第2電極層510を形成した後、あるいは、保護層630まで形成した後、のいずれか時点で行ってもよい。保護層630を形成した後に第1電極層310に支持基盤200側の凹溝321を設ける場合には、製造工程において太陽電池10Bを保護層630によりさらに強化した状態で凹溝321を設けることができるので、太陽電池10Bの製造信頼性が向上する。
【0569】
次に、有機薄膜太陽電池10Bの作用について説明する。
【0570】
本実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Bによれば、支持基板200と光電変換層400との間の第1電極層310に凹溝(開口部)321を形成することによる薄肉部312を設けて意匠Dを構成し、この意匠Dを支持基板200側から視認できる構成としたので、有機薄膜太陽電池10Bに追加の部材を積層させることや外側に印刷を施すことなどをすることなく、当該有機薄膜太陽電池10Bの受光面11に意匠Dを表すことができる。また、このようにして表される意匠Dが外物との接触や摩擦によって品位低下を招いたり、消失したりすることもなく、意匠表示の品位を保つことができる。
【0571】
また、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Bによれば、第1電極層310に対する加工により受光面11から視認できるようにホログラムとして意匠Dを表すことができるので、当該有機薄膜太陽電池10Bまたはこれを備える電子機器100の模造品対策に役立つ。
【0572】
さらに、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Bによれば、第1電極層310にこれを貫通しない薄肉部312を設けて意匠Dを構成しているので、意匠Dを構成することによっても光電変換層400の有効発電面積を減じる必要がない。このため、意匠Dを構成した場合であっも有機薄膜太陽電池10Bとしての発電効率の低減を抑制することができる。
【0573】
さらに、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Bによれば、第1電極層310の支持基板200側の表面に凹溝(開口部)321を設けているので、支持基盤200と凹溝321で囲まれた空間において、支持基板200側から入射する光を散乱させることができる。これにより、光電変換層400に入射する光量を増加させ、発電効率を向上させることができる。
【0574】
図87は、本発明の第9実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Cの断面図を示し、当該断面図は、
図69のIII-II線に沿う断面図に相当する。同図において、
図70に示した第7実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aと同一または同等の部材または部分には、同一の符号を付してある。
【0575】
この有機薄膜太陽電池10Cは、支持基板200、第1電極層310、光電変換層400、第2電極層510、パッシベーション層610、接合層620および保護層630を有している。
【0576】
支持基板200は、第1面201と、その反対側の第2面202とを有し、たとえば、透明なガラスあるいは樹脂からなる。支持基板200の厚さは、たとえば0.05mm〜2.0mmであるがこれに限定されない。
【0577】
第1電極層310は、支持基板200の第2面202上に形成されている。第1電極層310は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。この第1電極層310は、厚み方向に貫通するスリット311によってセル12ごとに分離されている。第1電極層310にはまた、その厚み方向に貫通する貫通部(開口部)330が形成されている。貫通部330の詳細および技術的意義については後述するが、この第1電極層310の一般部313の厚みは、たとえば、100〜200nmである。この第1電極層310は、光電変換層400で生じたキャリアが集約される層である。
【0578】
光電変換層400は、第1電極層310の支持基板200とは反対側に積層されている。光電変換層400は、第1電極層310に設けたスリット311と平面的に一致するスリット401により、セル12ごとに分離されている。これにより、上記スリット311に臨む第1電極層310の端面と、上記スリット401に臨む光電変換層400の端面は、面一となっている。光電変換層400は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層400の具体的構成については、第7実施形態に係る有機薄膜太陽電池10について上述したのと同様である。光電変換層400の厚さは、たとえば100〜200nmである。光電変換層400には、第1電極層310に形成した凹入部320の形態が反映された凹凸411が形成されている。なお、光電変換層400にこのような凹凸411が形成されていなくてもよい。
【0579】
第2電極層510は、各セル12ごとに、第1電極層310と共に支持基板00の第2面202と厚み方向において光電変換層400を挟むようにして光電変換層400上に積層されている。本実施形態においては、第2電極層510は、たとえばAlにより形成されるが、材質は限定されず、第7実施形態について上述したのと同様、W、Mo、Mn、Mg、Au、Agに代表される導電性金属により形成することができる。したがって、第2電極層2は、本願の定義において透明ではなく、不透明である。またこの場合、第2電極層510の支持基板200と反対側の表面に、Al2O3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されていてもよい。第2電極層2の厚さは、たとえば100〜200nmである。第2電極層510は、光電変換層によって生じたキャリアが集約される層である。この第2電極層510には、光電変換層400と同様、第1電極層310に形成した貫通部330の形態が反映された凹凸511が形成されている。なお第2電極層510にこのような凹凸511が形成されていなくてもよい。
【0580】
パッシベーション層610は、第2電極層510上に積層されており、第2電極層510および光電変換層400を保護するとともに、各セル12を分離するためのスリット311内にも進入し、スリット311の底部において支持基板200に密着している。パッシベーション層610は、たとえばSiN、SiO2、またはSiONからなる。パッシベーション層42の厚さは、たとえば0.5μm〜2.0μmであり、第1電極層310、光電変換層400および第2電極層510の各厚みよりも厚い厚みを有しており、これにより、光電変換層400に外部から水やパーティクル等が進入することを防止し、有機薄膜太陽電池10の耐久性を向上させることができる。なお、このパッシベーション層610は、第1電極層310に設けた凹入部320の影響を受けずに表面が平坦となる程度の厚みに形成することが好ましい。
【0581】
接合層620は、パッシベーション層610と保護層630とを接合する層であり、たとえば樹脂系の接着剤層である。
【0582】
保護層630は、有機薄膜太陽電池10Cを支持基板200と反対側から保護するために設けられる。保護層630は、好ましくはガラス、もしくはフィルムからなるが、その他有機薄膜太陽電池10Cを保護しうる透明な材質を適宜採用することができる。保護層の厚さは、たとえば30μm〜100μmである。
【0583】
上記したように、第1電極層310には、厚さ方向に貫通する貫通部(開口部)330が形成されている。この貫通部330は、支持基板200の第1面201側から視認できる意匠Dを表すためのものであり、本実施形態では、
図87に詳示するように、幅wがたとえば5〜20μmで直線的に延びる複数の微細なライン状のスリット331をたとえば30〜50μmの微細なピッチ間隔pで形成することにより、形成している。このようなスリット331を形成することにより、支持基板200の第1面側から見たとき、微細なスリット331における光の回折作用により、スリット331を設けた領域をホログラムとして視認することができる。したがって、上記のような複数の微細なスリット331を設ける領域の平面的な形状を選択することにより、
図69に示すように、上記支持基板200の第1面側、すなわち、有機薄膜太陽電池10Cの受光面11に、文字や図柄などの意匠Dをホログラムとして表すことが可能となる。なお、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Cについても、これを裏面から観察した場合、ホログラムとしての意匠が表れることは、第1の実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aについて上述したのと同様である。
【0584】
次に、有機薄膜太陽電池10Cの製造方法について、
図88〜
図94を参照して以下に説明する。
【0585】
まず、
図88に示すように支持基板200を用意し、そして、支持基板200の第2面202にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITO300を成膜する。次いで、
図89に示すように、該ITO300にパターニングを行うことにより矩形のセル12ごとに分離された第1電極層310を形成する。各第1電極層310は、互いに独立しており、隣り合う第1電極層310間は、スリット311により分離された格好となる。ITOに対するパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、ドライエッチングを用いた手法、レーザパターニングを用いた手法が適宜採用される。なお、第1電極層310は、上記に限られず、印刷法によって、支持基板200の第2面202上に直接的にITOをパターニングすることで形成するようにしてもよい。
【0586】
次に、
図90に示すように、第1電極層310に、複数の微細なスリット331を形成する。具体的には、第1電極層310上の意匠Dを表すべき領域に複数のスリット331を形成する。上記したように、本実施形態では、第1電極層310の厚さ100〜200nmであり、複数のスリット331は、幅wがたとえば5〜20μmであり、配列ピッチpが30〜50μmである。このような微細な幅wのスリット331を微細なピッチ間隔pで形成する手法としては、所定出力のレーザスポットを第1電極層310上に走査することにより行うことが適当である。なお、ITO300にスリット311を設けてセル12ごとに分離した第1電極層310を形成する工程(
図89)と、第1電極層310にスリット331を形成する工程(
図90)は、順序を逆にしてもよい。
【0587】
また、第1電極層310にスリット331を設ける工程は、ITO300にスリット311を設ける工程と同時にドライエッチングによって行うことが可能である。
【0588】
次に、
図91に示すように、光電変換層400を形成する。光電変換層400の形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板200上および第1電極層310上に有機膜を成膜した後に、酸素プラズマエッチング、あるいはレーザパターニングを用いることによって、矩形の第1電極層310の平面形状と一致した平面形状に仕上げることにより行う。なお、光電変換層400は、上記に限定されず、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビア印刷やスクリーン印刷などの印刷法によって、支持基板200上および第1電極層310上に直接的に有機膜をパターニングすることで形成するようにしてもよい。
【0589】
次に、
図92に示すように、第2電極層510を形成する。第2電極層510の形成は、たとえば上述した金属を真空加熱蒸着法によって支持基板200、第1電極層310および光電変換層400上に金属膜を成膜した後、この金属膜にたとえばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施すことにより行う。このパターニングにより、光電変換層400上に第2電極層510を形成する。この後は、
図93に示すように、たとえばプラズマCVD法によってSiN、SiO2、またはSiONを支持基板200、第1電極層310、光電変換層400および第2電極層510上に成膜することにより、パッシベーション層610を形成する。そして、パッシベーション層610に接合層620を介して保護層620を接合する(
図94)。以上の工程を経ることにより、
図96に示した有機薄膜太陽電池10Cが得られる。
【0590】
次に、有機薄膜太陽電池10Cの作用について説明する。
【0591】
本実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Cによれば、支持基板200と光電変換層400との間の第1電極層310に貫通部(開口部)330を設けて意匠Dを構成し、この意匠Dを支持基板200側から視認できる構成としたので、有機薄膜太陽電池10Cに追加の部材を積層させることや外側に印刷を施すことなどをすることなく、当該有機薄膜太陽電池10の受光面11に意匠Dを表すことができる。また、このようにして表される意匠Dが外物との接触や摩擦によって品位低下を招いたり、消失したりすることもなく、意匠D表示の品位を保つことができる。
【0592】
また、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Cによれば、第1電極層310に対する加工により、受光面11から視認できるようにホログラムとして意匠Dを表すことができるので、当該有機薄膜太陽電池10Cまたはこれを備える電子機器100の模造品対策に役立つ。
【0593】
上記した各実施形態では、第1電極層310に設ける薄肉部312またはスリット331として、支持基板200の第1面201側から見た場合にホログラムを生じさせるように構成したが、本発明は、薄肉部312またはスリット331は、それ自体の平面形状は限定されないし、あるいは、これら薄肉部312またはスリット331の集合としてホログラムを生じさせるものに限定されない。
【0594】
図95は、本発明の第10実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Dの平面図を示し、
図96は
図95のXCVI−XCVI線に沿う拡大断面図である。同図において、同図において、
図70
に示した第7実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aと同一または同等の部材または部分には、同一の符号を付してある。
【0595】
この有機薄膜太陽電池10Dでは、第1電極層310の支持基板200と反対側に、表すべき意匠Dの輪郭と対応した凹部(開口部)340を設けることにより、薄肉部312を形成している。たとえば、光電変換層400の着色を弱め、第1電極層310に着色を施すことにより、薄肉部312の平面的形状が色のトーン差として支持基板200の第1面から視認することができ、これにより所望の意匠Dを表すことができる。
【0596】
次に、有機薄膜太陽電池10Dの製造方法について、
図97〜
図103を参照して以下に説明する。
【0597】
まず、
図97に示すように支持基板200を用意し、そして、支持基板200の第2面202にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITO300を成膜する。次いで、
図98に示すように、該ITOにパターニングを行うことにより矩形のセル12ごとに分離された第1電極層310を形成する。各第1電極層310は、互いに独立しており、隣り合う第1電極層310間は、スリット311により分離された格好となる。ITOに対するパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、酸素プラズマエッチングを用いた手法、レーザパターニングを用いた手法が適宜採用される。なお、第1電極層310は、上記に限られず、印刷法によって、支持基板200の第2面202上に直接的にITO300をパターニングすることで形成するようにしてもよい。
【0598】
次に、
図99に示すように、第1電極層310に、表すべき意匠Dの輪郭と対応した凹部(開口部)340を設けることにより、薄肉部312を形成する。このような薄肉部312を形成する手法としては、所定出力のレーザスポットを第1電極層310上に走査することにより行うことが適当である。
【0599】
次に、
図100に示すように、光電変換層400を形成する。光電変換層400の形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板200上および第1電極層310上に有機膜を成膜した後に、ドライエッチング、あるいはレーザパターニングを用いることによって、矩形の第1電極層310の平面形状と一致した平面形状に仕上げることにより行う。なお、光電変換層400は、上記に限定されず、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビア印刷やスクリーン印刷などの印刷法によって、支持基板200上および第1電極層310上に直接的に有機膜をパターニングすることで形成するようにしてもよい。
【0600】
次に、
図101に示すように、第2電極層510を形成する。第2電極層510の形成は、たとえば上述した金属を真空加熱蒸着法によって支持基板200、第1電極層310および光電変換層400上に金属膜を成膜する。次に、この金属膜にたとえばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施す。このパターニングにより、光電変換層400上に第2電極層510を形成する。この後は、
図101に示すように、たとえばプラズマCVD法によってSiN、SiO2、またはSiONを支持基板200、第1電極層310、光電変換層400および第2電極層510上に成膜することにより、パッシベーション層610を形成する。そして、パッシベーション層610に接合層620(
図103)を介して保護層44を接合する。以上の工程を経ることにより、
図96に示した有機薄膜太陽電池10Dが得られる。
【0601】
図104は、本発明の第11、第12実施形態に係る有機薄膜太陽電池10E、10Fの平面図を示し、
図105は第11実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Eの構造を示す、
図104のCV−CV線に沿う拡大断面図である。同図において、
図70に示した第7実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aと同一または同等の部材または部分には、同一の符号を付してある。
【0602】
この有機薄膜太陽電池10Eでは、第1電極層310の支持基板200と反対側に、多数のドットとしての凹部(開口部)340を設けることにより多数の薄肉部312を設け、この多数のドットの集合が表すべき意匠Dの平面的形状と対応するようにしている。このような構成によっても、有機薄膜太陽電池10Eの受光面11から視認できる意匠Dを表すことができる。この場合、ドットを形成する凹部340を着色材で埋めることにより、より明確に意匠Dを表すことができる。
【0603】
図106は、第12実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Fを示す、
図104のCV−CV線に沿う拡大断面図に相当する図である。この有機薄膜太陽電池10Fでは、第1電極層310に、多数のドットとしての貫通部(開口部)330を設け、この多数のドットの集合が表すべき意匠Dの平面的形状と対応するようにしている。このような構成によっても、有機薄膜太陽電池10Fの受光面11から視認できる意匠Dを表すことができる。この場合、ドットを形成する貫通部を着色材で埋めることにより、より明確に意匠Dを表すことができる。
【0604】
図107ないし
図109は、電子機器100としての時計に、本発明に係る有機薄膜太陽電池10G,10Hを組み込み、その受光面に文字盤もしくは図柄としての意匠Dを表すようにした例を示す。
図107は、電子機器100としての時計の平面図、
図108は
図107のCVIII−CVIII線に沿う拡大断面図、
図109は
図107のCIX−CIX線に沿う拡大断面図である。これらの図において、
図70に示した第7実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aと同一または同等の部材または部分には、同一の符号を付してある。なお、
図108および
図109は、受光面11が上方になるように表している。
【0605】
有機薄膜太陽電池10Gでは、適宜の形状に区切られたセル12に、時刻を表すローマ数字を意匠Dとして表している。有機薄膜太陽電池10Gの構造としては、たとえば,
図96に示した第10実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Dのものを採用すればよいが、その他の実施形態に係る有機薄膜太陽電池10A〜10C,10E,10Fのものを採用することもできる。
【0606】
有機薄膜太陽電池10Hでは、適宜の形状に区切られたセル12に、ハートの図柄の所定幅の輪郭を意匠Dとして表している。有機薄膜太陽電池10Hの構造としても、たとえば、
図96に示した第10実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Dのものを採用すればよいが、その他の実施形態に係る有機薄膜太陽電池10A〜10C,10E,10Fのものを採用することもできる。また、時計を含む電子機器において、本発明にかかる有機薄膜太陽電池10により表現可能な図柄がハート型に限られないことはいうまでもない。
【0607】
図110〜
図112は、電子機器100としてのスマートフォンの表面に有機薄膜太陽電池10Iを配置し、これに意匠Dを表すようにした例を示す。
図107は、電子機器100としてのスマートフォンの平面図を、
図108は有機薄膜太陽電池10Iの拡大平面図を、
図112は、
図111のCXII−CXII線に沿う拡大断面図である。これらの図において、
図70に示した第7実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aと同一または同等の部材または部分には、同一の符号を付してある。なお、
図112は、受光面11が上になるように表している。
【0608】
有機薄膜太陽電池10Iでは、スマートフォンの表面のうち、表示部120や操作ボタン130を除く全域に形成した有機薄膜太陽電池のうち、適宜の形状に区切られたセル12に、文字からなる意匠Dをホログラムとして表すようにしている。有機薄膜太陽電池10Iの構造としては、
図70に示した第7実施形態に係る有機薄膜太陽電池10Aのものを採用しているが、その他の実施形態に係る有機薄膜太陽電池10B〜10Fのものを採用することもできる。
【0609】
本発明に係る有機薄膜太陽電池は、上記した各実施形態および変形例に記載の材料や数値等に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々変更可能であることはいうまでもない。
【0610】
以下に、本発明の技術的特徴について付記する。
【0611】
〔付記1C〕
第1面およびこれと反対側の第2面を有する透明な支持基板と、
前記支持基板の第2面側に配置された透明な第1電極層と、
前記第1電極層の前記支持基板とは反対側に積層された、有機薄膜からなる光電変換層と、
前記光電変換層の前記支持基板とは反対側に積層された第2電極層と、を含む有機薄膜太陽電池であって、
前記第1電極層は、表面に開口部を含んでおり、この開口部が前記支持基板の第1面側に意匠を表す、有機薄膜太陽電池。
〔付記2C〕
前記開口部は、その平面視の外縁が、表すべき意匠の外縁の一部を構成している、付記1Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記3C〕
前記開口部は、平面視が所定形状のドットの集合として形成されている、付記1Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記4C〕
前記ドッドの集合が、表すべき意匠の一部を構成している、付記3Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記5C〕
前記開口部は、所定幅で所定方向に延びる複数のラインが所定間隔で配列されたものとして形成されている、付記1Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記6C〕
前記複数のラインの集合が、表すべき意匠の一部を構成している、付記5Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記7C〕
前記開口部は、支持基板の第1面の外部から見たとき、ホログラムを発生する、付記5Cまたは6Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記8C〕
前記開口部としての複数のラインは、幅が5〜20μmであり、30〜50μm間隔で配列されている、付記7Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記9C〕
前記第1電極層の前記開口部以外の部分の厚みは、100〜200nmである、付記1Cないし8Cのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記10C〕
前記開口部は、前記第1電極層を前記支持基板とは反対側の表面から所定深さ凹入させて形成されている、付記9Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記11C〕
前記開口部は、前記第1電極層を前記支持基板側の表面から所定深さ凹入させて形成されている、付記9Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記12C〕
前記開口部の深さは、厚み50〜100nmの薄肉部が残る深さである、付記10Cまたは11Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記13C〕
前記開口部は、前記第1電極層を厚み方向に貫通させて形成されている、付記1Cないし7Cのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記14C〕
前記第2電極層を前記光電変換層とは反対側において覆うパッシベーション層を備える、付記9Cないし13Cのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記15C〕
前記パッシベーション層を前記第2電極層とは反対側において覆う保護層を備える、付記14Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記16C〕
前記パッシベーション層と前記保護層とを接合する接合層を備える、付記15Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記17C〕
前記第1電極層は、ITOからなる、付記9Cないし16Cのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記18C〕
前記光電変換層の厚みは、100〜200nmである、付記9Cないし17Cのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記19C〕
前記第2電極層の厚みは、100〜200nmである、付記9Cないし18Cのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記20C〕
前記第2電極層は、金属からなる、付記19Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記21C〕
前記第2電極層は、Alからなる、付記20Cに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記22C〕
前記第1電極層、前記光電変換層、前記第2電極層および前記パッシペーション層の合計厚みは、1.0〜2.0μmである、付記9Cないし21Cのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池。
〔付記23C〕
第1面およびこれと反対側の第2面を有する透明な支持基板の前記第2面側に所定の厚みを有し、かつ表面に開口部を備えた透明な第1電極層を形成するステップ、
前記第1電極層上光電変換層を形成するステップ、および、
前記光電変換層上第2電極層を形成するステップ、
を含む、有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記24C〕
前記第1電極層を形成するステップは、前記第1電極層をその厚み方向に除去して前記開口部を形成するステップを含む、付記23Cに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記25C〕
前記開口部を形成するステップは、前記第1電極層をその厚み方向に所定深さ除去して行う、付記24Cに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記26C〕
前記開口部を形成するステップは、厚み100〜200nmの前記第1電極層を厚み50〜100nmの薄肉部が残るようにして行う、付記25Cに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記27C〕
前記開口部を形成するステップは、前記支持基板とは反対側から前記第1電極層を除去して行う、付記25Cまたは26Cに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記28C〕
前記開口部を形成するステップは、前記開口部を形成する以前の第1電極層を形成した後に行う、付記27Cに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記29C〕
前記開口部を形成するステップは、前記支持基板の第1面側から前記第1電極層を除去して行う、付記26Cに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記30C〕
前記開口部を形成するステップは、前記開口部を形成する以前の第1電極層に対し、前記第2電極層を形成するステップよりも後に行う、付記29Cに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記31C〕
前記開口部を形成するステップは、前記第1電極層をその厚み方向に貫通する貫通部を形成することにより行う、付記24Cに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記32C〕
前記開口部を形成するステップは、5〜20μmの幅で所定方向に延びる複数のラインが30〜50μm間隔で配列されたものとして形成する、付記24Cないし31Cのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記33C〕
前記開口部を形成するステップは、レーザを照射することにより行う、付記24Cないし31Cのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
〔付記34C〕
筐体を有し、当該筐体の表面に前記支持基板の前記第1面が臨むようにして付記1Cないし22Cのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池を備える、電子機器。
【0612】
[第13−第15実施形態]
第13ないし第15実施形態および
図113〜
図145における符号は、これらの実施形態および図において有効であり、他の実施形態および図における符号とは独立している。ただし、第13ないし第15実施形態の具体的構成と他の実施形態の具体的構成とは、相互に適宜組合せ可能である。
【0613】
本発明において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
【0614】
図113〜
図117は、本発明の第13実施形態に基づく電子機器および本発明の第13および第14実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールを示している。本実施形態の電子機器B13は、有機薄膜太陽電池モジュールA13、有機薄膜太陽電池モジュールA14、ケース61、制御部701、表示部702、入力部703、マイク704、スピーカ705、無線通信部706およびバッテリ707を備えており、携帯型電話端末として構成されている。
【0615】
ケース61は、電子機器B13のその他の構成要素を収容するものであり、金属、樹脂、ガラスなどの材質からなる。
【0616】
図113は、有機薄膜太陽電池モジュールA13,A14およびこれらを用いた電子機器B13を示す平面図である。
図114は、有機薄膜太陽電池モジュールA13,A14および電子機器B13を示す底面図である。
図115は、
図113のCXV−CXV線に沿う模式的な断面図である。
図116は、
図113のCXVI−CXVI線に沿う要部拡大断面図である。
図117は、電子機器B13を示すシステム構成図である。なお、
図115においては、理解の便宜上、ケース61、有機薄膜太陽電池モジュールA13、有機薄膜太陽電池モジュールA14、制御部701、表示部702およびバッテリ707のみを模式的に示している。
【0617】
有機薄膜太陽電池モジュールA13および有機薄膜太陽電池モジュールA14は、電子機器B13における電源モジュールであり、太陽光などの光を電力に変換する。具体的構成は、後述する。
【0618】
制御部701は、本発明でいう駆動部の一例に相当し、有機薄膜太陽電池モジュールA13および有機薄膜太陽電池モジュールA14からの給電によって駆動する。なお、制御部701は、有機薄膜太陽電池モジュールA13および有機薄膜太陽電池モジュールA14からn直接給電されてもよいし、有機薄膜太陽電池モジュールA13および有機薄膜太陽電池モジュールA14からの電力がバッテリ707に一旦充電された後に、このバッテリ707からの給電によって駆動されてもよい。制御部701は、たとえばCPU、メモリおよびインターフェースなどを具備して構成されている。
【0619】
表示部702は、各種の情報を電子機器B13の外観に表示するためのものである。表示部702は、たとえば液晶表示パネルあるいは有機EL表示パネルなどである。本実施形態においては、表示部702は、有機薄膜太陽電池モジュールA13を透して外観に情報を表す。
【0620】
入力部703は、使用者の操作を電気信号として制御部701に出力するためのものである。入力部703は、たとえば表示部702に積層されたタッチパネルである。なお、表示部702と入力部703とが一体的に構成されていてもよい。
【0621】
マイク704は、使用者の音声を電気信号に変換するデバイスである。スピーカ705は、通話相手の音声や各種の通知音などを出力するデバイスである。
【0622】
無線通信部706は、無線通信規格に準拠した双方向無線通信を行うデバイスである。
【0623】
バッテリ707は、電子機器B13を駆動する電力を蓄えるデバイスである。バッテリ707は、充放電が適宜可能に構成されている。バッテリ707の充電は、図示しないアダプタを用いた商用電力からの給電、または有機薄膜太陽電池モジュールA13および有機薄膜太陽電池モジュールA14からの給電によってなされる。
【0624】
有機薄膜太陽電池モジュールA13および有機薄膜太陽電池モジュールA14は、第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41、パッシベーション層42、保護樹脂層45およびバイパス導電部5を備えている。本実施形態においては、有機薄膜太陽電池モジュールA13および有機薄膜太陽電池モジュールA14は、平面視矩形状とされているが、これは一例であり、それぞれは様々な形状とされうる。有機薄膜太陽電池モジュールA13と有機薄膜太陽電池モジュールA14とは、互いの構成が一部を除き共通する。以下においては、まず有機薄膜太陽電池モジュールA13について説明する。
【0625】
図118は、有機薄膜太陽電池モジュールA13のうち第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41および保護樹脂層45を示す要部分解斜視図である。なお、理解の便宜上,支持基板41は想像線(二点鎖線)で示している。
図119は、有機薄膜太陽電池モジュールA13の第1導電層1を示す平面図である。
図120は、有機薄膜太陽電池モジュールA13の光電変換層3を示す平面図である。
図121は、有機薄膜太陽電池モジュールA13の第2導電層2を示す平面図である。
図122は、有機薄膜太陽電池モジュールA13の保護樹脂層45およびバイパス導電部5を示す平面図である。
【0626】
支持基板41は、有機薄膜太陽電池モジュールA13の土台となる部材である。支持基板41は、たとえば透明なガラスあるいは樹脂からなる。支持基板41の厚さは、たとえば0.05mm〜2.0mmである。
【0627】
第1導電層1は、支持基板41上に形成されている。第1導電層1は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。
図118および
図119に示すように、第1導電層1は、第1電極部11、第1端部14、第1延出部15、第2延出部16、複数の開口18およびスリット19、第3端縁101および延出部103を有する。本実施形態においては、第1導電層1は、平面視略矩形状とされているが、これは第1導電層1の形状の一例である。第1導電層1の形状は、様々な形状に設定されうる。第1導電層1の厚さは、たとえば100nm〜300nmである。なお、
図119において、第1電極部11、第1端部14、第1延出部15および第2延出部16には、斜線のハッチングを付している。
【0628】
第1電極部11は、光電変換層3によって生じた正孔が集約される層であり、いわゆるアノード電極として機能する。本実施形態においては、第1導電層1の大部分が1つの第1電極部11とされている。
【0629】
第1延出部15は、第1電極部11から、平面視において光電変換層3の外方に延出する部分である。
図119においては、第1電極部11と第1延出部15との境界を想像線(二点鎖線)で示している。第1延出部15を設けることにより、光電変換層3における発電によって集約された正孔を、有機薄膜太陽電池モジュールA13外に導くことができる。
【0630】
第1端部14は、スリット19によって第1電極部11と隔離された部分である。本実施形態においては、第1端部14は、たとえば平面視円形状とされている。本実施形態においては、第1端部14は、略円形状とされた部分と矩形状の部分とが組み合わされた形状とされている。
【0631】
第2延出部16は、第1端部14から、平面視において光電変換層3の外方に延出している。
図119においては、第1端部14と第2延出部16との境界を想像線(二点鎖線)で示している。本実施形態においては、第1延出部15と第2延出部16とが隣り合う配置とされている。第2延出部16を設けることにより、光電変換層3における発電によって集約された電子を、有機薄膜太陽電池モジュールA13外に導くことができる。
【0632】
複数の開口18は、厚さ方向に第1導電層1を貫通した開口部分である。本実施形態においては、2つの開口18が設けられている。
図119における図中上方の開口18は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口18は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0633】
第3端縁101は、図中中央の開口18を規定する端縁である。本実施形態においては、第3端縁101は、開口18を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第3端縁101は、開口18を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第3端縁101が開口18に三方から隣接することにより、開口18が第1電極部11から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第3端縁101は、開口18に対して二方あるいは一方のみから隣接するものであってもよい。第3端縁101に隣接する領域、すなわち図中中央の18からは、支持基板41が露出している。また、第3端縁101は、後述する保護樹脂層45の第2端縁451およびパッシベーション層42の第1端縁421から延出する第1導電層1の部分の内端縁とされている。
【0634】
延出部103は、パッシベーション層42および保護樹脂層45から外方に延出する部位である。本実施形態においては、第1導電層1の略全外周端縁に、延出部103が設けられている。
【0635】
第2導電層2は、その大部分が光電変換層3を介して第1導電層1上に積層されている。また、第2導電層2の一部は、第1導電層1に直接接している。第2導電層2の材質は特に限定されないが、本実施形態においては、第2導電層2は、Al、W、Mo、Mn、Mgに代表される金属からなる。以下においては、第2導電層2がAlからなる場合を例に説明する。したがって、第2導電層2は、透明ではない。またこの場合、第2導電層2の支持基板41とは反対側の表面に、Al2O3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されてもよい。第2導電層2の厚さは、たとえば30nm〜150nmである。
【0636】
図121に示すように、第2導電層2は、第2電極部21、第2端部24および複数の開口28を有する。本実施形態においては、第2導電層2は、平面視略矩形状とされているが、これは第2導電層2の形状の一例である。第2導電層2の形状は、様々な形状に設定されうる。なお、
図121においては、第2電極部21および第2端部24に、斜線のハッチングを付している。
【0637】
第2電極部21は、光電変換層3によって生じた電子が集約される層であり、いわゆるカソード電極として機能する。第2電極部21は、平面視において、第1電極部11と一致する。本実施形態においては、第2導電層2の大部分が第2電極部21とされている。
【0638】
第2端部24は、平面視において第1導電層1の第1端部14に一致し、且つ第2電極部21に繋がっている。
図121においては、理解の便宜上、第2端部24の形状を想像線(二点鎖線)で示している。第2端部24は、第1端部14と同様に平面視略円形状の部分と平面視矩形状の部分とが組み合わされたとされている。
【0639】
複数の開口28は、厚さ方向に第2導電層2を貫通する開口部分である。本実施形態においては、2つの開口28が設けられている。
図121における図中上方の開口28は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口28は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0640】
第4内方退避端縁201は、図中中央の開口28を規定する端縁である。本実施形態においては、第4内方退避端縁201は、開口28を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第4内方退避端縁201は、開口28を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第4内方退避端縁201が開口28を三方から隣接することにより、開口28が第2電極部21から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第4内方退避端縁201は、開口28に対して二方あるいは一方のみから隣接するものであってもよい。また、
図116に示すように、第4内方退避端縁201は、第3端縁101よりも内方(開口18内に延出する方向とは反対側)に退避している。
【0641】
第4外方退避端縁202は、
図116に示すように、後述するパッシベーション層42の第1外方端縁422および保護樹脂層45の第2外方端縁452よりも平面視において内方(
図116における右方)に退避している。本実施形態においては、第4外方退避端縁202は、平面視環状である。
【0642】
光電変換層3は、第1導電層1と第2導電層2とに挟まれて、支持基板41に積層されている。光電変換層3は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層3の具体的構成は特に限定されないが、その一例を挙げると、バルクヘテロ接合有機活性層と、このバルクヘテロ接合有機活性層に対して第1導電層1側に積層された正孔輸送層とからなる。本実施形態においては、光電変換層3は、平面視矩形状とされているが、これは一例であり、光電変換層3は、様々な形状とされうる。光電変換層3の厚さは、たとえば50nm〜300nmである。
【0643】
バルクヘテロ接合有機活性層は、p型有機活性層領域とn型有機活性層領域が混在し、複雑なバルクへテロpn接合を形成している。p型有機活性層領域は、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene-2,5diyl))で形成され、n型有機活性層領域は、例えば、PCBM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)で形成されている。正孔輸送層は、たとえばPEDOT:PSSで形成されている。
【0644】
光電変換層3の形成に用いられる材質を例示すると、フタロシアニン(Pc:Phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc:Zinc- phthalocyanine)、Me−Ptcdi(N,N’-dimethyl perylene-3,4,9,10-dicarboximide)、フラーレン(C 60 :Buckminster fullerene)が挙げられる。これらの材質は、たとえば真空蒸着に使用される。
【0645】
また、光電変換層3の形成に用いられる他の材質を例示すると、MDMO−PPV(poly[2-methoxy-5-(3,7-dimethyl octyloxy)]-1,4-phenylene vinylene)、PCDTBT(poly[N-9’-hepta-decanyl-2,7-carbazole-alt-5,5-(4’,7’-di-thienyl-2’1’,3’-b3nzothiadizaole)])、PC60BM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)、PC70BM(6,6-phenyl-C71-butyric acid methyl ester)が挙げられる。これらの材質は、たとえば溶液プロセスに使用される。
【0646】
図120に示すように、光電変換層3は、非発電領域30、発電領域31および意匠表示部35、複数の開口38、第5内方退避端縁301および第5外方退避端縁302を有している。なお、
図120においては、非発電領域30および発電領域31に、複数の離散点からなるハッチングを付している。
【0647】
意匠表示部35は、第1導電層1を透して外観に表れる意匠を構成する部位である。意匠表示部35が構成する意匠とは、使用者等が目視することによって、文字、記号、図柄などの視覚的特異部分として視認されうるものを指す。本実施形態においては、意匠表示部35は、円環形状を表している。
【0648】
本実施形態においては、意匠表示部35は、貫通部350によって構成されている。貫通部350は、光電変換層3を厚さ方向に貫通する態様の部位である。このような貫通部350は、第1導電層1を透して外観に表れる。また、本実施形態においては、貫通部350は、第2導電層2を第1導電層1側に露出させている。すなわち、貫通部350を通じて第2導電層2の一部が外観に表れている。
【0649】
発電領域31は、第1導電層1の第1電極部11および第2導電層2の第2電極部21に挟まれ、且つ光電変換機能を発揮することにより発電に寄与する領域である。また、発電領域31の形状は、平面視において、第1電極部11および第2電極部21に一致する。
【0650】
非発電領域30は、光電変換層3のうち平面視において第1導電層1の第1電極部11および第2導電層2の第2電極部21とは重ならない領域であり、第1導電層1の第1端部14と重なっている。第1端部14は、第2導電層2の第2端部24と接しており、集約された正孔と電子とが即座に結合してしまう。このため、非発電領域30は、且つ発電に寄与しない。すなわち、光電変換層3のうち複数の発電領域31以外の領域が、非発電領域30とされている。
【0651】
本実施形態においては、非発電領域30は、端部領域34とされている。端部領域34は、貫通部350(意匠表示部35)を有している。端部領域34は、平面視において第1導電層1の第1端部14に内包される貫通部350(意匠表示部35)を含み、且つ第1導電層1の第1端部14に重なっている。また、端部領域34は、第2導電層2の第2端部24と重なっている。第1導電層1の第1端部14と第2導電層2の第2端部24とは、端部領域34の貫通部350を通じて接している。
【0652】
複数の開口38は、光電変換層3を厚さ方向に貫通する開口部分である。本実施形態においては、2つの開口38が設けられている。
図120における図中上方の開口38は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口38は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0653】
第5内方退避端縁301は、図中中央の開口38を規定する端縁である。本実施形態においては、第5内方退避端縁301は、開口38を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第5内方退避端縁301は、開口38を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第5内方退避端縁301が開口38を三方から隣接することにより、開口38が発電領域31から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第5内方退避端縁301は、開口38に対して二方あるいは一方のみに設けられたものであってもよい。また、
図116に示すように、第5内方退避端縁301は、第3端縁101よりも内方(開口18内に延出する方向とは反対側)に退避している。
【0654】
第5外方退避端縁302は、
図116に示すように、後述するパッシベーション層42の第1外方端縁422および保護樹脂層45の第2外方端縁452よりも平面視において内方(
図116における右方)に退避している。本実施形態においては、第5外方退避端縁302は、平面視環状である。
【0655】
上述した構成により、有機薄膜太陽電池モジュールA13においては、第1延出部15が第1電極部11に繋がっている。また、第2電極部21には、第2端部24が繋がっている。第2端部24は、端部領域34の貫通部350を通じて第1端部14と接している。第1端部14には、第2延出部16が繋がっている。この結果、第1延出部15と第2延出部16とが有機薄膜太陽電池モジュールA13の出力端子として機能する。
【0656】
パッシベーション層42は、第2導電層2上に積層されており、第2導電層2および光電変換層3を保護している。パッシベーション層42は、たとえばSiNまたはSiONからなる。パッシベーション層42の厚さは、たとえば0.5μm〜2.0μmであり、本実施形態においては、たとえば1.5μm程度とされる。
【0657】
保護樹脂層45は、パッシベーション層42を覆っている層である。保護樹脂層45は、たとえば紫外線硬化樹脂からなる。保護樹脂層45の厚さは、たとえば3μm〜20μmであり、本実施形態においては、たとえば10μm程度とされる。
【0658】
図122に示すように、保護樹脂層45は、複数の開口458、第2端縁451および第2外方端縁452を有する。なお、
図122においては、保護樹脂層45に斜線のハッチングを付している。
【0659】
複数の開口458は、保護樹脂層45の一部が削除された態様であり、保護樹脂層45を貫通している。本実施形態においては、2つの開口458が設けられている。
図122における図中上方の開口458は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口458は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0660】
第2端縁451は、図中中央の開口458を規定する端縁である。本実施形態においては、第2端縁451は、開口458を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第2端縁451は、開口458を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第2端縁451が開口458を三方から隣接することにより、開口458が保護樹脂層45から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第2端縁451は、開口458に対して二方あるいは一方のみ設けられたものであってもよい。
【0661】
第2外方端縁452は、平面視において光電変換層3の少なくとも一部を挟んで第2端縁451と反対側に位置しており、本実施形態においては、保護樹脂層45の外周端縁である。
【0662】
パッシベーション層42は、第1端縁421および第1外方端縁422を有している。
【0663】
第1端縁421は、平面視において第2端縁451と一致している。また、本実施形態においては、第1端縁421は、第2端縁451と連続した面をなしている。第1外方端縁422は、平面視において第2外方端縁452と一致している。また、本実施形態においては、第1外方端縁422は、第2外方端縁452と連続した面をなしている。
【0664】
図116に示すように、第2端縁451および第1端縁421によって囲まれた領域である開口458から、支持基板41の一部が露出領域411として露出している。また、露出領域411は、第1導電層1等によって覆われておらず、支持基板41の表面が直接露出している。
【0665】
バイパス導電部5は、第1導電層1に到達した正孔を集電するための、第1導電層1より低抵抗な経路を構成するためのものである。本実施形態においては、バイパス導電部5は、2つのバスバー部51、複数の連絡部52および2つの集極部53を有する。バイパス導電部5は、第1導電層1よりも低抵抗な材質からなり、たとえばAgまたはカーボンを含む。
【0666】
図116および
図122に示すように、1つのバスバー部51は、第2端縁451および第1端縁421を全長にわたって覆っている。このバスバー部51は、第1導電層1のうち第3端縁101と第1端縁421(第2端縁451)との間に位置する部分を覆っている。また、このバスバー部51の内端縁は、平面視において第3端縁101と一致している。他方のバスバー部51は、第2外方端縁452および第1外方端縁422を全長にわたって覆っている。このバスバー部51は、第1導電層1の延出部103を覆っている。このような構成により、2つのバスバー部51は、それぞれが第1導電層1と導通している。
【0667】
複数の連絡部52は、保護樹脂層45上に形成された部分であり、
図122における図中内側のバスバー部51と図中外側の連絡部52とを連結している。2つの集極部53は、一方が第1導電層1に導通しており、他方が第2導電層2に導通している。
【0668】
図123は、有機薄膜太陽電池モジュールA14の第1導電層1を示す平面図である。
図124は、有機薄膜太陽電池モジュールA14の光電変換層3を示す平面図である。
図125は、有機薄膜太陽電池モジュールA14の第2導電層2を示す平面図である。
図126は、有機薄膜太陽電池モジュールA14の保護樹脂層45およびバイパス導電部5を示す平面図である。
【0669】
有機薄膜太陽電池モジュールA14においては、表示部702を外観に表すための開口18、開口28、開口38、開口458等が設けられていない。このため、第3端縁101、第4内方退避端縁201、第5内方退避端縁301、第1端縁421および第2端縁451は設けられていない。また、バイパス導電部5は、外周に沿うバスバー部51を有し、連絡部52は、有していない。
【0670】
本実施形態においては、
図124に示すように、光電変換層3に複数の貫通部350(35)が設けられている。これらの貫通部350は、それぞれがアルファベットを表している。この貫通部350を利用して、第1導電層1の第1端部14と第2導電層2の第2端部24とが接している点は、有機薄膜太陽電池モジュールA13と同様である。
【0671】
次いで、有機薄膜太陽電池モジュールA13の製造方法の一例について、
図127〜
図134を参照しつつ、以下に説明する。なお、これらの図においては、理解の便宜上、
図116とは、天地逆に表されている。また、
図127〜
図134においては、
図113に示した電子機器B13のCXVI−CXVI線における断面構造を生成する過程を示している。
【0672】
まず、
図127に示すように支持基板41を用意する。そして、
図128に示すように、支持基板41の片面にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITOからなる第1導電膜10を積層する。次に、該ITOにパターニングを施し、開口18、スリット19等のパターンを形成するためのパターニングを行う。ここで、ITOへのパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、酸素プラズマエッチングを用いた手法、Greenレーザー光等のレーザパターニングを用いた手法が適宜採用される。なお、第1導電膜10は、上記に限られず、例えばナノインプリントを用いた手法によって、支持基板41上に直接的にITOをパターニングすることで形成するようにしても良い。
【0673】
次いで、
図129に示すように、光電変換層3を形成する。光電変換層3の形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板41上および第1導電膜10上に有機膜を成膜した後に、酸素プラズマエッチング、レーザパターニングを用いることによって、第5内方退避端縁301、第5外方退避端縁302、開口38、貫通部350(意匠表示部35)を有する構成に仕上げることにより行う。なお、光電変換層3は、上記に限定されず、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビア印刷などの手法によって、支持基板41上および第1導電膜10上に直接的に有機膜をパターニングすることで形成するようにしても良い。
【0674】
次いで、
図130に示すように、第2導電層2を形成する。第2導電層2の形成は、たとえば上述した金属を真空加熱蒸着法によって支持基板41、第1導電膜10および光電変換層3上に金属膜を成膜する。次に、該金属膜に例えばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施す。このパターニングにより、光電変換層3上に第4内方退避端縁201および第4外方退避端縁202を有する第2導電層2を形成する。
【0675】
次いで、
図131に示すように、絶縁膜420を形成する。絶縁膜420の形成は、たとえばプラズマCVD法によってSiNまたはSiONなどの膜を支持基板41、第1導電層1、光電変換層3および第2導電層2上に形成することにより行う。
【0676】
次いで、
図132に示すように、保護樹脂層45を形成する。保護樹脂層45の形成は、たとえば紫外線硬化樹脂を含む液体樹脂材料をスクリーン印刷によって絶縁膜420上に塗布し、紫外線を照射することによって硬化させる。これにより、第2端縁451および第2外方端縁452を有する保護樹脂層45が得られる。
【0677】
次いで、
図133に示すように、保護樹脂層45をマスクとして用いたパターニングを絶縁膜420に施す。このパターニングは、たとえばフッ化水素を0.55%〜4.5%含むフッ化水素酸を用いたウエットエッチングによって行う。このようなフッ化水素酸は、紫外線硬化樹脂からなる保護樹脂層45をほとんど溶解しない一方、SiN等からなる絶縁膜420を選択的に溶解する。また、フッ化水素酸は、ITO等からなる第1導電膜10はほとんど溶解しない。この結果、第1端縁421および第1外方端縁422を有するパッシベーション層42が形成される。第1端縁421は、平面視において第2端縁451と一致する。第1端縁421と第2端縁451とは、連続した面をなす。また、第1外方端縁422は、平面視において第2外方端縁452と一致する。第1外方端縁422と第2外方端縁452とは、連続した面をなす。
【0678】
次いで、
図134に示すように、バイパス導電部5を形成する。バイパス導電部5の形成は、たとえばAgまたはカーボンを含むペーストを塗布した後に、たとえば乾燥などの手法によってこのペーストを硬化させることによって行う。
【0679】
次いで、第1導電膜10にパターニングを施す。このパターニングは、たとえば濃塩酸と濃硝酸とが3:1の比率で混合された王水を用いて行う。このパターニングにより、第1導電膜10のうちバイパス導電部5や保護樹脂層45から露出した部分が選択的に除去される。この結果、第3端縁101等を有する第1導電層1が形成される。以上の工程を経ることにより、有機薄膜太陽電池モジュールA13が得られる。有機薄膜太陽電池モジュールA14の製造も同様に行うことができる。
【0680】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA13および電子機器B13の作用について説明する。
【0681】
本実施形態によれば、第2端縁451および第2外方端縁452に隣接する領域において支持基板41が露出している。この部位には、パッシベーション層42や保護樹脂層45が形成されていない。したがって、この部位をより透明に仕上げることが可能であり、表示部702をより鮮明に外観に表すことができる。
【0682】
第2端縁451および第1端縁421に隣接する領域のうちバスバー部51によって覆われた僅かな領域を除いて、支持基板41には第1導電層1が形成されていない。第1導電層1は、ITOからなるものの、光線のあたり具合によっては、うっすらと着色されたものとして視認される。本実施形態においては、表示部702を外観に表すための領域をことさらに透明に仕上げることが可能であり、より美麗な外観を実現することができる。
【0683】
光電変換層3の第5内方退避端縁301および第2導電層2の第4内方退避端縁201が、第1端縁421および第2端縁451と離間していることにより、第2導電層2および光電変換層3がバイパス導電部5と不当に導通することを回避することができる。また、第4内方退避端縁201および第5内方退避端縁301と第1端縁421および第2端縁451との間にパッシベーション層42が介在していることにより、第2導電層2および光電変換層3とバイパス導電部5のバスバー部51とがショートすることをより確実に防止可能である。
【0684】
保護樹脂層45をマスクとして用いたパターニングを絶縁膜420に施すことにより、保護樹脂層45と同形状のパッシベーション層42を形成することができる。すなわち、紫外線硬化樹脂などの形状形成に優れた材質を用いて保護樹脂層45を形成すれば、必ずしも形状形成に優れていない材質からなるパッシベーション層42を所望の形状に仕上げることができる。なお、保護樹脂層45は、パッシベーション層42を形成した後に除去してもよい。ただし、保護樹脂層45を残存させた場合、水分やパーティクル等の第1導電層1、第2導電層2および光電変換層3等への侵入を防止する効果や、有機薄膜太陽電池モジュールA13の強度向上を図る効果が期待できる。
【0685】
バイパス導電部5を設けることにより、第1導電層1に拡散してきた正孔を、バスバー部51を経由して集極部53へと導くことができる。バイパス導電部5は、第1導電層1よりも低抵抗であるため、電力が熱に変換されてしまうことを抑制することができる。これは、有機薄膜太陽電池モジュールA13および有機薄膜太陽電池モジュールA14の発電損失を低減するとともに、より大面積の発電領域31による発電に適している。
【0686】
バイパス導電部5を形成した後に第1導電層1にパターニングを施すことにより、バイパス導電部5の連絡部52は、第1導電層1の端面ではなく、第1導電層1のうち平面視において有意な面積を有する部分(延出部103など)に接する構成となる。これは、第1導電層1とバイパス導電部5との接触抵抗を低下させるとともに、確実な導通に有利である。
【0687】
図135〜
図145は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0688】
図135は、電子機器B13および有機薄膜太陽電池モジュールA13の変形例を示している。本変形例においては、第1導電層1の第3端縁101が平面視において第1端縁421および第2端縁451と一致している。また、上述した例における内側のバスバー部51は設けられていない。このような変形例は、保護樹脂層45をマスクとして王水を用いたパターニングを上述した第1導電膜10に施すことによって形成される。
【0689】
本変形例によっても、第1端縁421および第2端縁451に隣接する部位をより透明に仕上げることが可能であり、表示部702をより鮮明に外観に表すことができる。
【0690】
図136は、電子機器B13および有機薄膜太陽電池モジュールA13の変形例を示している。本変形例においては、第1導電層1は、第3端縁101に代えて、第3内方退避端縁102を有している。第3内方退避端縁102は、平面視において第1端縁421および第2端縁451よりも内方に退避している。また、上述した例における内側のバスバー部51は設けられていない。このような変形例は、支持基板41に第1導電膜10を積層した後に、スリット19等とともに第3内方退避端縁102を形成しておくことによって製造される。
【0691】
本変形例によっても、第1端縁421および第2端縁451に隣接する部位をより透明に仕上げることが可能であり、表示部702をより鮮明に外観に表すことができる。
【0692】
図137〜
図139は、本発明の第15実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールを示している。本実施形態の有機薄膜太陽電池モジュールA15は、第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41、パッシベーション層42、保護樹脂層45およびバイパス導電部5を備えている。有機薄膜太陽電池モジュールA15の平面視形状は特に限定されず、図示された例は、上述した有機薄膜太陽電池モジュールA13と同様の平面視形状である場合の例である。
図137は、有機薄膜太陽電池モジュールA13における
図116に相当する要部拡大断面図である。
図138は、有機薄膜太陽電池モジュールA15の保護樹脂層およびバイパス導電部を示す要部平面図である。
図139は、保護樹脂層45およびバイパス導電部5を省略した要部拡大平面図である。
【0693】
本実施形態のパッシベーション層42の第1端縁421および第1外方端縁422は、
図137に示すように、凹凸形状の端面となっている。また、第1端縁421は全体として、支持基板41の厚さ方向において支持基板41から離間するほど平面視において第3端縁101から離間する向きに傾いている。また、第1外方端縁422は全体として、支持基板41の厚さ方向において支持基板41から離間するほど第1導電層1の延出部103から離間する向きに傾いている。また、本実施形態の第1端縁421は、
図139に示すように、平面視において第3端縁101から離間した非直線状の形状である。第1端縁421は、たとえば複数の折れ線や曲線が結合された形状である。第1外方端縁422も同様に、平面視において被直線状の形状である。
【0694】
バイパス導電部5は、2つのバスバー部51および連絡部52を有する。バイパス導電部5は、第1導電層1よりも低抵抗な材質からなり、たとえばAgまたはカーボンを含む。
【0695】
1つのバスバー部51は、パッシベーション層42の第1端縁421を全長にわたって覆っている。このバスバー部51は、第1導電層1のうち第3端縁101と第1端縁421との間に位置する部分を覆っている。また、このバスバー部51の内端縁は、平面視において第3端縁101からはみ出している。これにより、このバスバー部51は、支持基板41に直接接している。他方のバスバー部51は、パッシベーション層42の第1外方端縁422を全長にわたって覆っている。このバスバー部51は、第1導電層1の延出部103を覆っている。また、このバスバー部51は、支持基板41に直接接している。このような構成により、2つのバスバー部51は、それぞれが第1導電層1と導通している。
【0696】
連絡部52は、パッシベーション層42の表面423上に形成された部分である。連絡部52は、たとえば2つのバスバー部51同士や、バイパス導電部5のうちバスバー部51および連絡部52以外の部位とバスバー部51を連結している。
【0697】
保護樹脂層45は、
図137および
図138に示すように、パッシベーション層42およびバイパス導電部5を覆っており、たとえば紫外線硬化樹脂からなる。また、保護樹脂層45は、有機薄膜太陽電池モジュールA15と上述した表示部702とを接合するための透明な接合層を兼ねていてもよい。図示された例においては、保護樹脂層45の第2端縁451および第2外方端縁452は、平面視においてパッシベーション層42の表面423のうちバスバー部51から露出した部分から延びて、パッシベーション層42の第1端縁421および第1外方端縁422とバイパス導電部5とを超えている。これにより、保護樹脂層45は、支持基板41に直接接する部分を有する。また、保護樹脂層45は、パッシベーション層42の表面423のうちバイパス導電部5から露出した部分と密着している。
【0698】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA15の製造方法の一例について以下に説明する。なお、以下の説明において参照する図においては、理解の便宜上、
図137とは、天地逆に表されている。
【0699】
まず、
図127に示した支持基板41を用意する。そして、
図128に示したように、支持基板41の片面にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITOからなる第1導電膜10を積層する。次いで、
図129に示したように光電変換層3を形成し、
図130に示したように第2導電層2を形成する。
【0700】
次に
図140に示すように、レーザー光Lz1を用いたレーザパターニングを用いた手法によって、第1導電膜10にパターニングを施す。これにより、第1導電膜10には、スリット191およびスリット192が形成される。レーザー光Lz1は、第1導電膜10をレーザパターニング可能なものであれば特に限定されず、たとえばIRレーザー光を用いることができる。スリット191を構成する第1導電膜10の端縁のうち図示された第2導電層2および光電変換層3側に位置するものは、第3端縁101となる。また、第1導電膜10のうちスリット192と光電変換層3の第5外方退避端縁302との間の部分は、延出部103となる。
【0701】
なお、光電変換層3の形成に先立って、第1導電膜10にスリット191およびスリット192を形成するためのパターニングを施してもよい。当該パターニングに用いられる手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、酸素プラズマエッチングを用いた手法等が適宜採用される。また、第1導電膜10は、上記に限られず、たとえばナノインプリントを用いた手法によって、支持基板41上に直接的にITOをパターニングすることで形成するようにしても良い。
【0702】
次いで、
図141に示すように、絶縁膜420を形成する。絶縁膜420の形成は、たとえばプラズマCVD法によってSiNまたはSiONなどの膜を支持基板41、第1導電膜10、光電変換層3および第2導電層2上に形成することにより行う。
【0703】
次いで、絶縁膜420を部分的に除去することによる第1端縁421を有するパッシベーション層42の形成および第1導電膜10の部分的な除去による第1導電層1の形成を含み、第1端縁421に隣接する領域において支持基板41を露出させる工程を行う。本実施形態においては、支持基板41を露出させる工程は、
図142に示すように、絶縁膜420を透して第1導電膜10にレーザー光Lz2を照射することにより、第1導電膜10および絶縁膜420を部分的に除去する処理を含む。同図において、第1導電膜10のうち相対的に濃い複数の離散点からなるハッチングが付された部分は、レーザー光Lz2が照射される部分を表している。また、絶縁膜420のうち相対的に薄い複数の離散点からなるハッチングが付された部分は、レーザー光Lz2の照射に起因して除去される部分を表している。なお、レーザー光Lz2を用いた手法に限定されず、たとえばエッチングを用いた手法を選択してもよい。
【0704】
より具体的には、絶縁膜420を透して、第1導電膜10のうちスリット191およびスリット192を挟んで図示された第2導電層2および光電変換層3とは反対側に位置する部分に、レーザー光Lz2を照射する。レーザー光Lz2としては、たとえば波長が1,064nm程度のIRレーザー光が選択される。このレーザー光Lz2が照射された第1導電膜10の部分は、顕著なエネルギー投入によって瞬時に揮発する挙動を示す。
【0705】
一方、上述したレーザー光Lz2の波長は、第1導電膜10に比べて絶縁膜420が吸収しづらいものが選択されている。このため、絶縁膜420は、レーザー光Lz2によって直接に破壊されるものではない。しかし、絶縁膜420のうち第1導電膜10と接する部分は、第1導電膜10を介して支持基板41によって支持されている。第1導電膜10がレーザー光Lz2の照射によって揮発すると、絶縁膜420の一部は、支持基板41によって支持されないものとなる。また、レーザー光Lz2が照射された第1導電膜10の部分(図中において相対的に濃い複数の離散点からなるハッチングが付された部分)に重なっている絶縁膜420は、第1導電膜10が揮発したことによる圧力によってその一部が飛散する。
【0706】
また、発明者の研究の結果、絶縁膜420のうち、レーザー光Lz2が照射された第1導電膜10の部分に隣接する部分は、第1導電膜10の揮発の影響によって飛散することが判明した。
図142においては、絶縁膜420のうちレーザー光Lz2の照射に起因して飛散する部分を、相対的に薄い複数の離散点からなるハッチングを付している。本実施形態においては、絶縁膜420のうち飛散する部分は、スリット191およびスリット192を超えて、第2導電層2および光電変換層3側に存在する。ただし、第2導電層2および光電変換層3の一部を露出させる程度にパッシベーション層42が破壊されないように、スリット191およびスリット192の大きさや位置、およびレーザー光Lz2の照射範囲や出力等を適宜調節している。この結果、絶縁膜420のうちスリット191側に位置する端縁が第1端縁421となり、スリット192側に位置する端縁が第1外方端縁422となる。また、第1導電膜10のうちスリット191に隣接する複数の離散点からなるハッチング部分は、レーザー光Lz2の照射により除去される。このため、第1導電膜10のうちスリット191に対して平面視において光電変換層3側に位置する端縁が、第3端縁101となる。また、第1導電膜10のうちスリット192に隣接する複数の離散点からなるハッチング部分は、レーザー光Lz2の照射により除去される。また、スリット192に隣接する絶縁膜420の一部がレーザー光Lz2の照射に伴って飛散することにより、第1導電膜10のうちスリット192に隣接する一部が、パッシベーション層420から露出する。この部分が、延出部103となる。
【0707】
以上に述べたレーザー光Lz2の照射によって、第1導電膜10および絶縁膜420の部分的な除去を行うことにより、
図143に示すように、第1端縁421および第1外方端縁422を有するパッシベーション層42が形成される。また、第1端縁421および第1外方端縁422から延出する部分を有する第1導電層1が形成される。ものとなり、第3端縁101および延出部103が形成される。なお、
図142に示した工程の後に、支持基板41上に残存した第1導電膜10等の除去を目的として、たとえば王水を用いた洗浄処理を行ってもよい。
【0708】
次いで、
図144に示すようにバイパス導電部5を形成する。バイパス導電部5を形成する。バイパス導電部5の形成は、たとえばAgまたはカーボンを含むペーストを塗布した後に、たとえば乾燥などの手法によってこのペーストを硬化させることによって行う。バイパス導電部5の形成は、第1導電層1のうちパッシベーション層42から延出した部分を覆うようにして行う。また、バイパス導電部5は、支持基板41に直接触れるように形成されることが好ましい。これにより、バスバー部51および連絡部52を有するバイパス導電部5が得られる。
【0709】
この後は、バイパス導電部5およびパッシベーション層42を覆うように、保護樹脂層45を形成する。保護樹脂層45の形成は、たとえば紫外線硬化樹脂を含む液体樹脂材料をスクリーン印刷によってパッシベーション層42上に塗布し、紫外線を照射することによって硬化させる。以上の工程を経ることにより、
図137に示す有機薄膜太陽電池モジュールA15が完成する。なお、上述した有機薄膜太陽電池モジュールA13および有機薄膜太陽電池モジュールA14において、バイパス導電部5を覆う保護樹脂層45をさらに設けてもよい。
【0710】
このような実施形態によっても、第1端縁421に隣接する部位をより透明に仕上げることが可能であり、表示部702をより鮮明に外観に表すことができる。
【0711】
また、バイパス導電部5が保護樹脂層45によって覆われていることにより、バイパス導電部5が外気に曝されることを回避することが可能である。これにより、バイパス導電部5が腐食すること等を抑制可能であり、バイパス導電部5による低抵抗化をより長期間にわたって維持することができる。
【0712】
第1端縁421および第1外方端縁422が、凹凸形状であることにより、第1端縁421および第1外方端縁422とバイパス導電部5のバスバー部51との接合強度を高めることが可能である。
【0713】
図142に示したように、第1導電層1にレーザー光Lz2を照射することによって生じる第1導電層1の揮発を利用して、パッシベーション層42を除去している。このため、パッシベーション層42を除去するための専用のレーザー光や薬剤等は不要である。これは、製造コストの低減や制造時間の短縮に好ましい。レーザー光Lz2としてIRレーザー光を用いることにより、絶縁膜420を透過して第1導電膜10へとレーザー光Lz2を効率よく照射することが可能である。また、レーザー光Lz2としてIRレーザー光を用いることにより、パッシベーション層42の第1端縁421および第1外方端縁422を凹凸形状に仕上げることができるという利点がある。なお、絶縁膜420の材質の一例であるSiNは、400nmより長波長の光を透過させる。このため、絶縁膜420がSiNからなる場合、レーザー光Lz2として波長が532nmであるGreenレーザー光を用いてもよい。一方で、レーザー光Lz2として波長が355nmであるUVレーザー光を用いた場合には、絶縁膜420と第1導電膜10とがレーザー光Lz2を吸収するため、これらを一括して除去することができる。
【0714】
パッシベーション層42および第1導電層1の部分的な除去は、レーザー光Lz2を用いて行う。レーザー光Lz2は、照射する領域をより正確に制御することが可能である。したがって、パッシベーション層42および第1導電層1のうち所望の箇所を除去するのに適している。
【0715】
第1導電層1のうちレーザー光Lz2が照射された領域に隣接するパッシベーション層42が破壊される挙動を利用する。これにより、
図143においてパッシベーション層42から露出する第1導電層1の部分は、レーザー光Lz2が照射されていないにもかかわらず、当該部分を覆っていたパッシベーション層42の部分が除去されている。このため、第1導電層1のちパッシベーション層42から露出する部分を不当に破壊することを回避しつつ、パッシベーション層42を適切に除去することができる。
【0716】
第1導電層1にスリット191およびスリット192を設けておくことにより、第1導電層1の揮発の影響を受けるパッシベーション層42の領域が、不当に広域にわたってしまうことを回避することが可能である。また、スリット191およびスリット192を設けておくことにより、
図142および
図143に示した第1導電膜10を部分的に除去する工程において、除去されるべき領域に第1導電膜10の一部が残存したとしても、この残存部分と第1導電層1とが意図せず導通してしまうことを回避することができる。また、第1導電膜10のうちスリット192を挟んで光電変換層3とは反対側に位置する部分は、除去されることなく、有機薄膜太陽電池モジュールA15の一部として残存してもよい。この部分は、スリット192が設けられていることにより、第1導電層1と導通することが防止されている。また、この部分の除去を省略すれば、製造時間を短縮することができる。なお、スリット191およびスリット192を設ける構成は好適例であり、これらを設けない構成であってもよい。
【0717】
図145は、有機薄膜太陽電池モジュールA15の変形例を示している。本変形例においては、保護樹脂層45は、非透光部454および透光部455を有する。非透光部454は、平面視においてバイパス導電部5と重なり、且つ第1端縁421よりも第1外方端縁422側の領域に設けられている。非透光部454は、非透光の材質からなり、たとえば白色の樹脂からなる。透光部455は、第1端縁421に対して第1外方端縁422とは反対側に位置する領域を含む領域に設けられている。図示された例においては、透光部455は、図中右方のバスバー部51を跨ぐようにして形成されている。また、透光部455は、その一部が支持基板41に接している。本変形例によっても、バイパス導電部5を保護することができる。また、非透光部454を有することにより、紫外線等の光を受けることによってバイパス導電部5が劣化すること等を抑制することができる。
【0718】
本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュール、電子機器、有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュール、電子機器、有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0719】
本発明に係る電子機器は、携帯型電話端末をはじめ、太陽光発電を利用可能な様々な電子機器に適用することが可能であり、たとえば腕時計、電子計算機などが挙げられる。
【0720】
以下に、本発明の技術的特徴について付記する。
【0721】
〔付記1D〕
透明な支持基板と、
前記支持基板に積層された透明な第1導電層と、
第2導電層と、
前記第1導電層および前記第2導電層に挟まれた有機薄膜からなる光電変換層と、
前記第2導電層を覆うパッシベーション層と、
を備え、
前記パッシベーション層は、第1端縁を有し、
前記第1端縁に隣接する領域において、前記支持基板が露出している、有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記2D〕
前記第1導電層は、平面視において前記第1端縁と一致する第3端縁を有する、付記1Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記3D〕
前記第1導電層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第3内方退避端縁を有する、付記1Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記4D〕
前記第2導電層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第4内方退避端縁を有する、付記2Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記5D〕
前記光電変換層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第5内方退避端縁を有する、付記4Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記6D〕
前記第4内方退避端縁は、平面視において前記第5内方退避端縁よりも内方に退避している、付記5Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記7D〕
前記第1端縁は、平面視環状である、付記4Dないし6Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記8D〕
前記第3端縁は、平面視環状である、付記7Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記9D〕
前記第3内方退避端縁は、平面視環状である、付記3Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記10D〕
前記第4内方退避端縁は、平面視環状である、付記8Dまたは9Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記11D〕
前記第5内方退避端縁は、平面視環状である、付記10Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記12D〕
前記第1導電層は、ITOからなる、付記1Dないし11Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記13D〕
前記第2導電層は、金属からなる、付記1Dないし12Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記14D〕
前記第2導電層は、Alからなる、付記13Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記15D〕
前記パッシベーション層は、SiNからなる、付記1Dないし14Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記16D〕
前記パッシベーション層を覆う保護樹脂層を備えており、
前記保護樹脂層は、平面視において前記第1端縁と一致する第2端縁を有する、付記1Dないし15Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記17D〕
前記第2端縁と前記第1端縁とは、連続した面をなす、付記16Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記18D〕
前記第2端縁は、平面視環状である、付記16Dまたは17Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記19D〕
前記保護樹脂層は、紫外線硬化樹脂からなる、付記16Dないし18Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記20D〕
前記保護樹脂層は、平面視において前記光電変換層の少なくとも一部を挟んで前記第2端縁と反対側に位置する第2外方端縁を有し、
前記パッシベーション層は、平面視において前記第2外方端縁と一致する第1外方端縁を有し、
前記第1導電層は、前記第2外方端縁および前記第1外方端縁から外方に延出する延出部を有し、
前記延出部の少なくとも一部を覆い、且つ前記第1導電層の材料よりも低抵抗の材料からなるバイパス導電部を備える、付記16Dないし19Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記21D〕
前記第2外方端縁と前記第1外方端縁とは、連続した面をなす、付記20Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記22D〕
前記バイパス導電部は、前記第2外方端縁および前記第1外方端縁を覆う、付記20Dまたは21Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記23D〕
前記バイパス導電部は、Agまたはカーボンを含む、付記20Dないし22Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記24D〕
前記パッシベーション層は、平面視において前記光電変換層の少なくとも一部を挟んで前記第1端縁と反対側に位置する第1外方端縁を有し、
前記第1導電層は、前記第1外方端縁から外方に延出する延出部を有し、
前記延出部の少なくとも一部を覆い、且つ前記第1導電層の材料よりも低抵抗の材料からなるバイパス導電部と、
前記バイパス導電部を覆う保護樹脂層と、を備える、付記1Dないし15Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記25D〕
前記バイパス導電部は、前記第1外方端縁を覆う、付記24Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記26D〕
前記バイパス導電部は、Agまたはカーボンを含む、付記24Dまたは25Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記27D〕
前記保護樹脂層は、平面視において前記バイパス導電部と重なり、且つ前記第1端縁よりも前記第1外方端縁側の領域に設けられた非透光部を含む、付記24Dないし26Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記28D〕
前記非透光部は、白色である、付記27Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記29D〕
前記第2導電層は、平面視において前記第2外方端縁および前記第1外方端縁よりも内方に退避した第4外方退避端縁を有する、付記20Dないし28Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記30D〕
前記光電変換層は、平面視において前記第2外方端縁および前記第1外方端縁よりも内方に退避した第5外方退避端縁を有する、付記20Dないし29Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記31D〕
付記1Dないし30Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールと、
前記有機薄膜太陽電池モジュールからの給電によって駆動する駆動部と、
を備える、電子機器。
〔付記32D〕
透明な支持基板に透明な第1導電膜を積層する工程と、
前記第1導電膜に有機薄膜からなる光電変換層を積層する工程と、
前記光電変換層に第2導電層を積層する工程と、
前記第2導電層を覆う絶縁膜を積層する工程と、
前記絶縁膜を部分的に除去することによる第1端縁を有するパッシベーション層の形成および前記第1導電膜の部分的な除去による第1導電層の形成を含み、前記第1端縁に隣接する領域において、前記支持基板を露出させる工程と、を備える、有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記33D〕
前記絶縁膜を形成する工程の後、前記支持基板を露出させる工程の前に、
前記絶縁膜に第2端縁を有する保護樹脂層を積層する工程を備え、
前記支持基板を露出させる工程は、
前記第2端縁を境界として、前記絶縁膜を部分的に除去することにより平面視において前記第2端縁と一致する前記第1端縁を有する前記パッシベーション層を形成する工程と、
前記第1導電膜のうち前記第1端縁および前記第2端縁から露出する部分除去することにより前記第1導電層を形成する工程と、を含む、付記32Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記34D〕
前記支持基板を露出させる工程において、平面視において前記第2端縁および前記第1端縁と一致する第3端縁を有する前記第1導電層を形成する、付記33Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記35D〕
前記第2端縁および前記第1端縁は、平面視環状である、付記34Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記36D〕
前記第3端縁は、平面視環状である、付記35Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記37D〕
前記第1導電層は、ITOからなる、付記33Dないし36Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記38D〕
前記第2導電層は、金属からなる、付記33Dないし37Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記39D〕
前記第2導電層は、Alからなる、付記38Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記40D〕
前記パッシベーション層は、SiNからなる、付記33Dないし39Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記41D〕
前記保護樹脂層は、紫外線硬化樹脂からなる、付記33Dないし40Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記42D〕
前記保護樹脂層を積層する工程において、平面視において前記光電変換層の少なくとも一部を挟んで前記第2端縁と反対側に位置する第2外方端縁を形成し、
前記第2端縁を境界として、前記絶縁膜を部分的に除去することにより平面視において前記第2外方端縁と一致する第1外方端縁を有する前記パッシベーション層に形成する工程と、
前記第1導電層のうち前記第2外方端縁および前記第1外方端縁から外方に延出する延出部の少なくとも一部を覆い、且つ前記第1導電層の材料よりも低抵抗の材料からなるバイパス導電部を形成する工程と、を備える、付記33Dないし41Dのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記43D〕
前記バイパス導電部を形成する工程においては、前記バイパス導電部によって前記第2外方端縁および前記第1外方端縁を覆う、付記42Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記44D〕
前記バイパス導電部は、Agまたはカーボンを含む、付記42Dまたは43Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記45D〕
前記支持基板を露出させる工程は、前記絶縁膜を透して前記第1導電膜にレーザー光を照射することにより、前記第1導電膜および前記絶縁膜を部分的に除去する処理を含む、付記32Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記46D〕
前記支持基板を露出させる工程は、前記部分的に除去する処理により前記絶縁膜のうち平面視において前記レーザー光が照射された領域に隣接する領域が除去されることにより、前記第1導電膜のうち前記レーザー光が照射されていない部分を前記パッシベーション層から露出する延出部とする処理を含み、
前記延出部の少なくとも一部を覆い、且つ前記第1導電層の材料よりも低抵抗の材料からなるバイパス導電部を形成する工程と、
前記バイパス導電部を覆う保護樹脂層を形成する工程と、を備える、付記45Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記47D〕
前記バイパス導電部は、Agまたはカーボンを含む、付記46Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
〔付記48D〕
前記保護樹脂層を形成する工程においては、平面視において前記バイパス導電部と重なり、且つ前記第1端縁よりも前記第1外方端縁側の領域に非透光部形成する、付記46Dまたは47Dに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
【0722】
[第16−第18実施形態]
第16ないし第18実施形態および
図146〜
図183における符号は、これらの実施形態および図において有効であり、他の実施形態および図における符号とは独立している。ただし、第16ないし第18実施形態の具体的構成と他の実施形態の具体的構成とは、相互に適宜組合せ可能である。
【0723】
本発明において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
【0724】
図146〜
図151は、本発明の第16実施形態に基づく電子機器および本発明の第16実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールを示している。本実施形態の電子機器B16は、有機薄膜太陽電池モジュールA16、ケース61、制御部701、表示部702、入力部703、マイク704、スピーカ705、無線通信部706およびバッテリ707を備えており、携帯型電話端末として構成されている。
【0725】
ケース61は、電子機器B16のその他の構成要素を収容するものであり、金属、樹脂、ガラスなどの材質からなる。
【0726】
図146は、有機薄膜太陽電池モジュールA16およびこれを用いた電子機器B16を示す平面図である。
図147は、
図146のCXLVII−CXLVII線に沿う模式的な断面図である。
図148は、有機薄膜太陽電池モジュールA16を示す要部拡大底面図である。
図149は、
図148のCXLIX−CXLIX線に沿う要部拡大断面図である。
図150は、
図148のCL−CL線に沿う要部拡大断面図である。
図151は、電子機器B16を示すシステム構成図である。なお、
図147においては、理解の便宜上、ケース61、有機薄膜太陽電池モジュールA16、有機薄膜太陽電池モジュールA17、制御部701、表示部702およびバッテリ707のみを模式的に示している。また、
図148においては、理解の便宜上、第1導電層1および光電変換層3のみを実践で表しており、バイパス導電部5を想像線で示している。
【0727】
有機薄膜太陽電池モジュールA16は、電子機器B16における電源モジュールであり、太陽光などの光を電力に変換する。具体的構成は、後述する。
【0728】
制御部701は、本発明でいう駆動部の一例に相当し、有機薄膜太陽電池モジュールA16からの給電によって駆動する。なお、制御部701は、有機薄膜太陽電池モジュールA16から直接給電されてもよいし、有機薄膜太陽電池モジュールA16からの電力がバッテリ707に一旦充電された後に、このバッテリ707からの給電によって駆動されてもよい。制御部701は、たとえばCPU、メモリおよびインターフェースなどを具備して構成されている。
【0729】
表示部702は、各種の情報を電子機器B16の外観に表示するためのものである。表示部702は、たとえば液晶表示パネルあるいは有機EL表示パネルなどである。本実施形態においては、表示部702は、有機薄膜太陽電池モジュールA16を透して外観に情報を表す。
【0730】
入力部703は、使用者の操作を電気信号として制御部701に出力するためのものである。入力部703は、たとえば表示部702に積層されたタッチパネルである。なお、表示部702と入力部703とが一体的に構成されていてもよい。
【0731】
マイク704は、使用者の音声を電気信号に変換するデバイスである。スピーカ705は、通話相手の音声や各種の通知音などを出力するデバイスである。
【0732】
無線通信部706は、無線通信規格に準拠した双方向無線通信を行うデバイスである。
【0733】
バッテリ707は、電子機器B16を駆動する電力を蓄えるデバイスである。バッテリ707は、充放電が適宜可能に構成されている。バッテリ707の充電は、図示しないアダプタを用いた商用電力からの給電、または有機薄膜太陽電池モジュールA16からの給電によってなされる。
【0734】
有機薄膜太陽電池モジュールA16は、第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41、パッシベーション層42、保護樹脂層4およびバイパス導電部5を備えている。本実施形態においては、有機薄膜太陽電池モジュールA16は、平面視略矩形状とされているが、これは一例であり、それぞれは様々な形状とされうる。
【0735】
図152は、有機薄膜太陽電池モジュールA16のうち第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41および保護樹脂層4を示す要部分解斜視図である。なお、理解の便宜上,支持基板41は想像線(二点鎖線)で示している。
図153は、有機薄膜太陽電池モジュールA16の第1導電層1を示す平面図である。
図154は、有機薄膜太陽電池モジュールA16の光電変換層3を示す平面図である。
図155は、有機薄膜太陽電池モジュールA16の第2導電層2を示す平面図である。
図156は、有機薄膜太陽電池モジュールA16の保護樹脂層4の後述する第1保護樹脂層45およびバイパス導電部5を示す底面図である。
図157は、有機薄膜太陽電池モジュールA16の保護樹脂層4の後述する第2保護樹脂層46を示す平面図である。
【0736】
支持基板41は、有機薄膜太陽電池モジュールA16の土台となる部材である。支持基板41は、たとえば透明なガラスあるいは樹脂からなる。支持基板41の厚さは、たとえば0.05mm〜2.0mmである。
【0737】
第1導電層1は、支持基板41上に形成されている。第1導電層1は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。
図149、
図150および
図153に示すように、第1導電層1は、第1電極部11、接続部13、スリット17、表示用開口181、開口18、スリット193、第3端縁101、第3外方端縁105、第1延出部104および第2延出部103を有する。本実施形態においては、第1導電層1は、平面視略矩形状とされているが、これは第1導電層1の形状の一例である。第1導電層1の形状は、様々な形状に設定されうる。第1導電層1の厚さは、たとえば100nm〜300nmである。
【0738】
第1電極部11は、光電変換層3によって生じた正孔が集約される層であり、いわゆるアノード電極として機能する。本実施形態においては、第1導電層1の大部分が1つの第1電極部11とされている。
【0739】
開口18は、厚さ方向に第1導電層1を貫通した開口部分である。開口18は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。なお、第1導電層1は、複数の開口18を有してもよい。また、開口18の用途は特に限定されず、通話実現ための部位やカメラモジュール等の機能を発揮させるために用いられてもよい。表示用開口181は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。本実施形態においては表示用開口181は、平面視矩形状である。
【0740】
スリット193は、環状のスリットであり、第1電極部11から第1導電層1の一部を区画している。
【0741】
第3端縁101は、表示用開口181を規定する端縁である。本実施形態においては、第3端縁101は、表示用開口181を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第3端縁101は、表示用開口181を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第3端縁101が表示用開口181に三方から隣接することにより、表示用開口181が第1電極部11から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第3端縁101は、表示用開口181に対して二方あるいは一方のみから隣接するものであってもよい。第3端縁101に隣接する領域、すなわち表示用開口181からは、支持基板41が露出している。また、第3端縁101は、後述する第1保護樹脂層45の第2端縁451およびパッシベーション層42の第1端縁421から延出する第1導電層1の部分の内端縁とされている。
【0742】
第1延出部104は、パッシベーション層42から内方(表示用開口181)に延出する部位である。本実施形態においては、第1導電層1の略全内周部分に、第2延出部103が設けられている。
【0743】
第2延出部103は、パッシベーション層42から外方に延出する部位である。本実施形態においては、第1導電層1の略全外周部分に、第2延出部103が設けられている。第3外方端縁105は、第2延出部103の外周端縁である。
【0744】
図148および
図149に示すように、接続部13は、スリット17によって区画されており、スリット17によって第1電極部11とは絶縁された部分である。スリット17は、その両端171が第3外方端縁105に到達している。接続部13は、接続部端縁131および接続延出部132を有する。接続部端縁131は、接続部13のうちスリット17には対向しない部分の端縁である。図示された例においては、接続部端縁131は、隣り合う第3外方端縁105の略延長線上に形成されている。スリット17の平面視形状は特に限定されず、図示された例においては、接続部端縁131(第3外方端縁105)が延びる方向を長手方向とする細長形状であり、より具体的には略長矩形状である。接続延出部132は、接続部13のうち平面視において光電変換層3から露出する部分である。接続部13は、たとえば光電変換層3における発電によって集約された電子を、有機薄膜太陽電池モジュールA16外に導くために用いられる。
【0745】
第2導電層2は、その大部分が光電変換層3を介して第1導電層1上に積層されている。また、第2導電層2の一部は、第1導電層1に直接接している。第2導電層2の材質は特に限定されないが、本実施形態においては、第2導電層2は、Al、W、Mo、Mn、Mgに代表される金属からなる。以下においては、第2導電層2がAlからなる場合を例に説明する。したがって、第2導電層2は、透明ではない。またこの場合、第2導電層2の支持基板41とは反対側の表面に、Al2O3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されてもよい。第2導電層2の厚さは、たとえば30nm〜150nmである。
【0746】
図155に示すように、第2導電層2は、第2電極部21および開口28を有する。本実施形態においては、第2導電層2は、平面視略矩形状とされているが、これは第2導電層2の形状の一例である。第2導電層2の形状は、様々な形状に設定されうる。
【0747】
第2電極部21は、光電変換層3によって生じた電子が集約される層であり、いわゆるカソード電極として機能する。
【0748】
複数の開口28は、厚さ方向に第2導電層2を貫通する開口部分である。
図155における図中上方の4つの開口28は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口28は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0749】
第4内方退避端縁201は、図中中央の開口28を規定する端縁である。本実施形態においては、第4内方退避端縁201は、開口28を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第4内方退避端縁201は、開口28を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第4内方退避端縁201が開口28を三方から隣接することにより、開口28が第2電極部21から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第4内方退避端縁201は、開口28に対して二方あるいは一方のみから隣接するものであってもよい。また、
図149に示すように、第4内方退避端縁201は、第3端縁101よりも内方(表示用開口181内に延出する方向とは反対側)に退避している。
【0750】
第4外方退避端縁202は、
図149に示すように、後述するパッシベーション層42の第1外方端縁422および第1保護樹脂層45の第2外方端縁452よりも平面視において内方(
図149における右方)に退避している。本実施形態においては、第4外方退避端縁202は、平面視環状である。
【0751】
光電変換層3は、第1導電層1と第2導電層2とに挟まれて、支持基板41に積層されている。光電変換層3は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層3の具体的構成は特に限定されないが、その一例を挙げると、バルクヘテロ接合有機活性層と、このバルクヘテロ接合有機活性層に対して第1導電層1側に積層された正孔輸送層とからなる。本実施形態においては、光電変換層3は、平面視矩形状とされているが、これは一例であり、光電変換層3は、様々な形状とされうる。光電変換層3の厚さは、たとえば50nm〜300nmである。
【0752】
バルクヘテロ接合有機活性層は、p型有機活性層領域とn型有機活性層領域が混在し、複雑なバルクへテロpn接合を形成している。p型有機活性層領域は、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene-2,5diyl))で形成され、n型有機活性層領域は、例えば、PCBM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)で形成されている。正孔輸送層は、たとえばPEDOT:PSSで形成されている。
【0753】
光電変換層3の形成に用いられる材質を例示すると、フタロシアニン(Pc:Phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc:Zinc- phthalocyanine)、Me−Ptcdi(N,N’-dimethyl perylene-3,4,9,10-dicarboximide)、フラーレン(C 60 :Buckminster fullerene)が挙げられる。これらの材質は、たとえば真空蒸着に使用される。
【0754】
また、光電変換層3の形成に用いられる他の材質を例示すると、MDMO−PPV(poly[2-methoxy-5-(3,7-dimethyl octyloxy)]-1,4-phenylene vinylene)、PCDTBT(poly[N-9’-hepta-decanyl-2,7-carbazole-alt-5,5-(4’,7’-di-thienyl-2’1’,3’-b3nzothiadizaole)])、PC60BM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)、PC70BM(6,6-phenyl-C71-butyric acid methyl ester)が挙げられる。これらの材質は、たとえば溶液プロセスに使用される。
【0755】
図154に示すように、光電変換層3は、非発電領域30、発電領域31、意匠表示部35、開口38、第5内方退避端縁301、第5外方退避端縁302および導通用貫通部351を有している。なお、
図154においては、非発電領域30および発電領域31に、複数の離散点からなるハッチングを付している。意匠表示部35は、平面視において第1導電層1のスリット193に囲まれた領域と重なっている。
【0756】
意匠表示部35は、外観に表れる意匠を構成する部位である。意匠表示部35が構成する意匠とは、使用者等が目視することによって、文字、記号、図柄などの視覚的特異部分として視認されうるものを指す。本実施形態においては、意匠表示部35は、円環形状を表している。
【0757】
本実施形態においては、意匠表示部35は、意匠表示用貫通部350によって構成されている。意匠表示用貫通部350は、光電変換層3を厚さ方向に貫通する態様の部位である。このような意匠表示用貫通部350は、外観に表れる。また、本実施形態においては、意匠表示用貫通部350は、第2導電層2を第1導電層1側に露出させている。すなわち、意匠表示用貫通部350を通じて第2導電層2の一部が外観に表れている。意匠表示用貫通部350の形状等は特に限定されず、図示された例においては、アルファベットを表す形状が採用されている。
【0758】
発電領域31は、第1導電層1の第1電極部11および第2導電層2の第2電極部21に挟まれ、且つ光電変換機能を発揮することにより発電に寄与する領域である。また、発電領域31の形状は、平面視において、第1電極部11および第2電極部21に一致する。
【0759】
図148、
図149および
図154に示すように、導通用貫通部351は、光電変換層3を貫通する孔によって構成されている。導通用貫通部351は、平面視において第1導電層1の接続部13に内包される位置に設けられている。図示された例においては、複数の導通用貫通部351が設けられている。導通用貫通部351の形状および配置は特に限定されない。図示された例においては、導通用貫通部351は、平面視円形であり、その直径がたとえば40μm程度である。また、複数の導通用貫通部351は、接続部13の長手方向に沿って配列されている。第1導電層1の接続部13と第2導電層2とは、導通用貫通部351を介して互いに導通している。
【0760】
非発電領域30は、光電変換層3のうち平面視において第1導電層1の第1電極部11および第2導電層2の第2電極部21とは重ならない領域であり、第1導電層1の接続部13およびスリット193に囲まれた領域と重なっている領域である。接続部13は、第2導電層2と接している。このため、接続部13と平面視において重なる非発電領域30は、発電に寄与しない。また、意匠表示部35と平面視において重なるスリット193に囲まれた領域と平面視において一致する光電変換層3の部分は、非発電領域30となっている。すなわち、光電変換層3のうち複数の発電領域31以外の領域が、非発電領域30とされている。
【0761】
複数の開口38は、光電変換層3を厚さ方向に貫通する開口部分である。
図154における図中上方の開口38は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口38は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0762】
第5内方退避端縁301は、図中中央の開口38を規定する端縁である。本実施形態においては、第5内方退避端縁301は、開口38を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第5内方退避端縁301は、開口38を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第5内方退避端縁301が開口38を三方から隣接することにより、開口38が発電領域31から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第5内方退避端縁301は、開口38に対して二方あるいは一方のみに設けられたものであってもよい。また、
図149に示すように、第5内方退避端縁301は、第3端縁101よりも内方(表示用開口181内に延出する方向とは反対側)に退避している。
【0763】
第5外方退避端縁302は、
図148および
図149に示すように、後述するパッシベーション層42の第1外方端縁422よりも平面視において内方(
図149における右方)に退避している。本実施形態においては、第5外方退避端縁302は、平面視環状である。
【0764】
パッシベーション層42は、第2導電層2上に積層されており、第2導電層2および光電変換層3を保護している。パッシベーション層42は、たとえばSiNまたはSiONからなる。パッシベーション層42の厚さは、たとえば0.5μm〜2.0μmであり、本実施形態においては、たとえば1.5μm程度とされる。
【0765】
保護樹脂層4は、パッシベーション層42を覆っている層である。また、保護樹脂層4は、バイパス導電部5を覆っている。保護樹脂層4は、たとえば紫外線硬化樹脂からなる。保護樹脂層4の厚さは、たとえば3μm〜20μmであり、本実施形態においては、たとえば10μm程度とされる。
【0766】
本実施形態においては、保護樹脂層4は、第1保護樹脂層45および第2保護樹脂層46を有する。第1保護樹脂層45は、パッシベーション層42を覆う層である。第2保護樹脂層46は、第1保護樹脂層45に積層されており、バイパス導電部5を覆う層である。
【0767】
図148、
図149および
図156に示すように、第1保護樹脂層45は、複数の開口458、第2端縁451および第2外方端縁452を有する。
【0768】
複数の開口458は、第1保護樹脂層45の一部が削除された態様であり、第1保護樹脂層45を貫通している。
図156における図中上方の3つの開口458は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口458は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0769】
第2端縁451は、図中中央の開口458を規定する端縁である。本実施形態においては、第2端縁451は、開口458を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第2端縁451は、開口458を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第2端縁451が開口458を三方から隣接することにより、開口458が第1保護樹脂層45から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第2端縁451は、開口458に対して二方あるいは一方のみ設けられたものであってもよい。
【0770】
第2外方端縁452は、平面視において光電変換層3の少なくとも一部を挟んで第2端縁451と反対側に位置しており、本実施形態においては、第1保護樹脂層45の外周端縁である。
【0771】
図157に示すように、第2保護樹脂層46は、複数の開口468、第6端縁461および第6外方端縁462を有する。また、第2保護樹脂層46は、後述する第1集極部531および第2集極部532を露出させる開口または切り欠きが適宜形成されてもよい。
【0772】
複数の開口468は、第2保護樹脂層46の一部が削除された態様であり、第2保護樹脂層46を貫通している。
図157における図中上方の3つの開口468は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口468は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0773】
第6端縁461は、図中中央の開口468を規定する端縁である。本実施形態においては、第6端縁461は、開口468を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第6端縁461は、開口468を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第6端縁461が開口468を三方から隣接することにより、開口468が第2保護樹脂層46から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第6端縁461は、開口468に対して二方あるいは一方のみ設けられたものであってもよい。
【0774】
第6外方端縁462は、平面視において光電変換層3の少なくとも一部を挟んで第6端縁461と反対側に位置しており、本実施形態においては、第2保護樹脂層46の外周端縁である。
【0775】
図148〜
図150に示すようにパッシベーション層42は、第1端縁421および第1外方端縁422を有している。
【0776】
第1端縁421は、平面視において第2端縁451と一致している。また、本実施形態においては、第1端縁421は、第2端縁451と連続した面をなしている。第1外方端縁422は、平面視において第2外方端縁452と一致している。また、本実施形態においては、第1外方端縁422は、第2外方端縁452と連続した面をなしている。
【0777】
バイパス導電部5は、第1導電層1に到達した正孔と第2導電層2に到達した電子とを集電するための、少なくとも第1導電層1より低抵抗な経路を構成するためのものである。本実施形態においては、バイパス導電部5は、第1バスバー部513、2つの第2バスバー部514、第1集極部531、第2集極部532、連絡部52、第7端縁511および第7外方端縁512を有する。バイパス導電部5は、少なくとも第1導電層1よりも低抵抗な材質からなり、たとえばAgまたはカーボンを含む。
【0778】
図148〜
図150および
図156に示すように、1つの第2バスバー部514は、第2端縁451および第1端縁421を全長にわたって覆っている。この第2バスバー部514は、第1導電層1のうち第3端縁101と第1端縁421(第2端縁451)との間に位置する第1延出部104を覆っている。また、この第2バスバー部514の第7端縁511は、平面視において第3端縁101と一致している。他方の第2バスバー部514は、第2外方端縁452および第1外方端縁422の一部を除く略全長にわたって覆っている。この第2バスバー部514は、第1導電層1の第2延出部103を覆っている。このバスバー部51の第7外方端縁512は、平面視において第3外方端縁105と一致している。このような構成により、2つのバスバー部51は、それぞれが第1導電層1と導通している。
【0779】
第2集極部532は、第2バスバー部514に導通する部分であり、第1導電層1によって集約された正孔を、たとえば電子機器B16に設けられた正孔用端子に出力するための部分である。本実施形態においては、第2集極部532は、保護樹脂層4の第1保護樹脂層45上に形成されている。第2集極部532は、平面視において第2導電層2および光電変換層3と重なっている。支持基板41の厚さ方向において、光電変換層3と第2集極部532との間には、パッシベーション層42および第1保護樹脂層45が介在している。第2集極部532の平面視形状は特に限定されず、図示された例においては、略半楕円形状とされている。また、図示された例においては、第2集極部532は、一方の第2バスバー部514に直接つながっている。
【0780】
連絡部52は、第1保護樹脂層45上に形成された部分であり、
図156における図中内側のバスバー部51と第2集極部532とを連結している。これにより、2つの第2バスバー部514に集約された正孔が第2集極部532へと導かれる。
【0781】
図148、
図149および
図156に示すように、第1バスバー部513は、第2バスバー部514から離間しており、接続部13の接続延出部132の一部を覆っている。より具体的には、第1バスバー部513は、
図148における図中左右方向(接続部13の長手方向)において接続延出部132の一部を覆っている。
図149に示すように、第1バスバー部513の第7端縁511は、平面視において接続部13の接続部端縁131と一致している。第2バスバー部514には、迂回部5141が設けられている。迂回部5141は、第2バスバー部514のうち第1バスバー部513の両側に位置する部分に繋がっており、平面視において第1バスバー部513および第1集極部531を迂回するように形成されている。
【0782】
第1集極部531は、第1バスバー部513に導通する部分であり、第2導電層2によって集約された電子を、たとえば電子機器B16に設けられた電子用端子に出力するための部分である。本実施形態においては、第1集極部531は、保護樹脂層4の第1保護樹脂層45上に形成されている。第1集極部531は、平面視において第2導電層2および光電変換層3と重なっている。支持基板41の厚さ方向において、光電変換層3と第1集極部531との間には、パッシベーション層42および第1保護樹脂層45が介在している。第1集極部531の平面視形状は特に限定されず、図示された例においては、略半楕円形状とされている。また、図示された例においては、第1集極部531は、第1バスバー部513に直接つながっている。
【0783】
図148に示すように、本実施形態においては、意匠表示部35(意匠表示用貫通部350)は、平面視において導通用貫通部351に対して接続部端縁131とは反対側に位置している。言い換えると、導通用貫通部351は、平面視において接続部端縁131と意匠表示部35との間に位置している。
【0784】
図148〜
図150に示すように、第2端縁451および第1端縁421に対して第2バスバー部514および第2保護樹脂層46を間に挟んで隣接する領域から、支持基板41の一部が露出領域411として露出している。また、露出領域411は、第1導電層1等によって覆われておらず、支持基板41の表面が直接露出している。
【0785】
次いで、有機薄膜太陽電池モジュールA16の製造方法の一例について、
図158〜
図170を参照しつつ、以下に説明する。なお、これらの図においては、理解の便宜上、
図149および
図150とは、天地逆に表されている。また、
図158〜
図168においては、
図148に示したCXLIX−CXLIX線における断面構造を生成する過程を示している。
【0786】
まず、
図158に示すように、支持基板41を用意する。そして、支持基板41の片面にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITOからなる第1導電膜10を積層する。
【0787】
次に、
図159および
図160に示すように、該ITOにパターニングを施し、開口18、表示用開口181、スリット193、スリット17等のパターンを形成するためのパターニングを行う。ここで、ITOへのパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、Greenレーザー光等のレーザーパターニングを用いた手法が適宜採用される。
【0788】
次いで、
図161に示すように、有機膜3Aを形成する。有機膜3Aの形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板41上および第1導電膜10上に有機膜を成膜することによって行う。
【0789】
次いで、
図162および
図163に示すように、有機膜3Aにパターニングを施すことにより、光電変換層3を形成する。有機膜3Aのパターニングは、たとえば酸素プラズマエッチング、レーザーパターニングを用いることによって、第5内方退避端縁301、第5外方退避端縁302、開口38、意匠表示用貫通部350(意匠表示部35)、導通用貫通部351を有する構成に仕上げることにより行う。なお、光電変換層3は、上記に限定されず、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビア印刷などの手法によって、支持基板41上および第1導電膜10上に直接的に有機膜をパターニングすることで形成するようにしても良い。ただし、図示された例においては、導通用貫通部351は、比較的小径の円形貫通孔である。このような導通用貫通部351の形成は、レーザー光Lz0を用いたパターニングが適している。レーザー光Lz0としては、有機膜3Aを除去しつつ、第1導電膜10を残存させる波長のレーザー光を選択することが好ましく、たとえばGreenレーザー光が選択される。
【0790】
次いで、
図164に示すように、第2導電層2を形成する。第2導電層2の形成は、たとえば上述した金属を真空加熱蒸着法によって支持基板41、第1導電膜10および光電変換層3上に金属膜を成膜する。次に、該金属膜に例えばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施す。このパターニングにより、光電変換層3上に第4内方退避端縁201および第4外方退避端縁202を有する第2導電層2を形成する。また、当該工程において、光電変換層3の導通用貫通部351が第2導電層2によって埋められる。これにより、第1導電層1と第2導電層2とが、導通用貫通部351を介して導通する。
【0791】
次いで、
図165に示すように、絶縁膜420を形成する。絶縁膜420の形成は、たとえばプラズマCVD法によってSiNまたはSiONなどの膜を支持基板41、第1導電層1、光電変換層3および第2導電層2上に形成することにより行う。
【0792】
次いで、
図166に示すように、第1保護樹脂層45を形成する。第1保護樹脂層45の形成は、たとえば紫外線硬化樹脂を含む液体樹脂材料をスクリーン印刷によって絶縁膜420上に塗布し、紫外線を照射することによって硬化させる。これにより、第2端縁451および第2外方端縁452を有する第1保護樹脂層45が得られる。
【0793】
次いで、
図167に示すように、第1保護樹脂層45をマスクとして用いたパターニングを絶縁膜420に施す。このパターニングは、たとえばフッ化水素を0.55%〜4.5%含むフッ化水素酸を用いたウエットエッチングによって行う。このようなフッ化水素酸は、紫外線硬化樹脂からなる第1保護樹脂層45をほとんど溶解しない一方、SiN等からなる絶縁膜420を選択的に溶解する。また、フッ化水素酸は、ITO等からなる第1導電膜10はほとんど溶解しない。この結果、第1端縁421および第1外方端縁422を有するパッシベーション層42が形成される。第1端縁421は、平面視において第2端縁451と一致する。第1端縁421と第2端縁451とは、連続した面をなす。また、第1外方端縁422は、平面視において第2外方端縁452と一致する。第1外方端縁422と第2外方端縁452とは、連続した面をなす。
【0794】
次いで、
図168および
図169に示すように、バイパス導電部5を形成する。バイパス導電部5の形成は、たとえばAgまたはカーボンを含むペーストを塗布した後に、たとえば乾燥などの手法によってこのペーストを硬化させることによって行う。
【0795】
次いで、
図170に示すように、第1導電膜10にパターニングを施す。このパターニングは、たとえば濃塩酸と濃硝酸とが3:1の比率で混合された王水を用いて行う。このパターニングにより、第1導電膜10のうちバイパス導電部5や第1保護樹脂層45から露出した部分が選択的に除去される。この結果、第3端縁101等を有する第1導電層1が形成される。次いで、第2保護樹脂層46を形成する。第2保護樹脂層46の形成は、たとえば紫外線硬化樹脂を含む液体樹脂材料をスクリーン印刷によって絶縁膜420上に塗布し、紫外線を照射することによって硬化させる。これにより、第6端縁461および第6外方端縁462を有する第2保護樹脂層46が得られ、保護樹脂層4が形成される。以上の工程を経ることにより、有機薄膜太陽電池モジュールA16が得られる。
【0796】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA16および電子機器B16の作用について説明する。
【0797】
本実施形態によれば、
図148および
図149に示すように、第3外方端縁105に沿う光電変換層3の第5外方退避端縁302に近い位置に導通用貫通部351が設けられている。このため、導通用貫通部351を含み且つ接続部13と重なる非発電領域30は、第3外方端縁105に近接する比較的小面積の領域となり、たとえば意匠表示部35と比べて小さい領域である。したがって、光電変換層3のうち発電に寄与する発電領域31の面積割合を高めることができる。
【0798】
本実施形態においては、導通用貫通部351は、平面視円形状の貫通孔であり、その直径がたとえば40μm程度である。これにより、導通用貫通部351やこれを含む発電領域31を、有機薄膜太陽電池モジュールA16および電子機器B16の外観において目視によってほとんど確認できない程度の部位とすることが可能である。これは、有機薄膜太陽電池モジュールA16および電子機器B16の外観をより美麗に仕上げるのに適している。
【0799】
第1集極部531および第2集極部532は、平面視において第2導電層2および光電変換層3と重なる位置に設けられている。このため、第1集極部531および第2集極部532は、第3外方端縁105から平面視において外方へと延出していない。これは、有機薄膜太陽電池モジュールA16の接地面積を縮小するのに適している。
【0800】
導通用貫通部351を利用して、第1集極部531へと電子を集約する構造であるため、意匠表示部35を構成する意匠表示用貫通部350は、電子の集約に利用する必要が無い。このため、意匠表示部35から電子を集約するための導通経路をたとえば第1導電層1に確保する必要が無い。これにより、意匠表示部35から第3外方端縁105等に至る導通経路を省略することが可能である。したがって、有機薄膜太陽電池モジュールA16および電子機器B16の外観において、意匠表示部35から第3外方端縁105が存在する端部へと延びる線が表れてしまうことを防止することができる。特に、意匠表示部35は、外観において目立つ位置に設けられる場合が多く、第3外方端縁105等の端部から離間していることが一般的である。このような場合に、上述した外観に表れる線を省略できることは、有機薄膜太陽電池モジュールA16および電子機器B16の外観をより美麗に仕上げるのに好ましい。
【0801】
バイパス導電部5を設けることにより、第1導電層1に拡散してきた正孔を、第2バスバー部514を経由して第2集極部532へと導くことができる。バイパス導電部5は、第1導電層1よりも低抵抗の材料からなる。このため、バイパス導電部5によって、より低抵抗な導通経路が構成される。このような導通経路に光電変換層3によって発電された電力を導くことにより、通電による損失を抑制することができる。また、バイパス導電部5は、保護樹脂層4によって覆われている。このため、保護樹脂層4が外気等との反応によって劣化することを回避することができる。したがって、有機薄膜太陽電池モジュールA16および電子機器B16の通電部分の劣化を回避しつつ通電損失を抑制することができる。
【0802】
図149に示すように、第7端縁511および第7外方端縁512は、第6端縁461および第6外方端縁462の内側に位置している。すなわち、バイパス導電部5は、保護樹脂層4によって完全に覆われている。これは、バイパス導電部5の保護に好ましい。
【0803】
第2端縁451および第2外方端縁452に隣接する領域において支持基板41が露出している。この部位には、パッシベーション層42や第1保護樹脂層45が形成されていない。したがって、この部位をより透明に仕上げることが可能であり、表示部702をより鮮明に外観に表すことができる。
【0804】
第2端縁451および第1端縁421に隣接する領域のうち第2バスバー部514によって覆われた僅かな領域を除いて、支持基板41には第1導電層1が形成されていない。第1導電層1は、ITOからなるものの、光線のあたり具合によっては、うっすらと着色されたものとして視認される。本実施形態においては、表示部702を外観に表すための領域をことさらに透明に仕上げることが可能であり、より美麗な外観を実現することができる。
【0805】
光電変換層3の第5内方退避端縁301および第2導電層2の第4内方退避端縁201が、第1端縁421および第2端縁451と離間していることにより、第2導電層2および光電変換層3がバイパス導電部5と不当に導通することを回避することができる。また、第4内方退避端縁201および第5内方退避端縁301と第1端縁421および第2端縁451との間にパッシベーション層42が介在していることにより、第2導電層2および光電変換層3とバイパス導電部5の第2バスバー部514とがショートすることをより確実に防止可能である。
【0806】
第1保護樹脂層45をマスクとして用いたパターニングを絶縁膜420に施すことにより、第1保護樹脂層45と同形状のパッシベーション層42を形成することができる。すなわち、紫外線硬化樹脂などの形状形成に優れた材質を用いて第1保護樹脂層45を形成すれば、必ずしも形状形成に優れていない材質からなるパッシベーション層42を所望の形状に仕上げることができる。なお、45は、パッシベーション層42を形成した後に除去してもよい。ただし、4を残存させた場合、水分やパーティクル等の第1導電層1、第2導電層2および光電変換層3等への侵入を防止する効果や、有機薄膜太陽電池モジュールA16の強度向上を図る効果が期待できる。
【0807】
図171〜
図183は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0808】
図171は、有機薄膜太陽電池モジュールA16の変形例を示している。本変形例においては、導通用貫通部351が、平面視において細長形状とされている。導通用貫通部351の長手方向は、接続部端縁131と略平行であり、接続部13の長手方向と一致している。このような変形例によっても、光電変換層3のうち発電に寄与する面積割合を高める事ができる。
【0809】
図172〜
図175は、本発明の第18実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールを示している。本実施形態の有機薄膜太陽電池モジュールA17は、第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41、パッシベーション層42、保護樹脂層4およびバイパス導電部5を備えている。有機薄膜太陽電池モジュールA17の平面視形状は特に限定されず、図示された例は、上述した有機薄膜太陽電池モジュールA16と同様の平面視形状である場合の例である。
図172は、有機薄膜太陽電池モジュールA17を示す要部拡大底面図である。
図173は、
図172のCLXXIII−CLXXIII線に沿う要部拡大断面図である。
図174は、
図172のCLXXIV−CLXXIV線に沿う要部拡大断面図である。
図175は、第1保護樹脂層45およびバイパス導電部5を省略した要部拡大平面図である。
【0810】
本実施形態のパッシベーション層42の第1端縁421および第1外方端縁422は、
図173および
図174に示すように、凹凸形状の端面となっている。また、第1端縁421は全体として、支持基板41の厚さ方向において支持基板41から離間するほど平面視において第3端縁101から離間する向きに傾いている。また、第1外方端縁422は全体として、支持基板41の厚さ方向において支持基板41から離間するほど第1導電層1の第2延出部103から離間する向きに傾いている。また、本実施形態の第1端縁421は、
図175に示すように、平面視において第3端縁101から離間した非直線状の形状である。第1端縁421は、たとえば複数の折れ線や曲線が結合された形状である。第1外方端縁422も同様に、平面視において被直線状の形状である。
【0811】
バイパス導電部5の1つの第2バスバー部514は、パッシベーション層42の第1端縁421を一部を除き、略全長にわたって覆っている。この第2バスバー部514は、第1導電層1のうち第3端縁101と第1端縁421との間に位置する第1延出部104を覆っている。また、この第2バスバー部514の第7端縁511は、平面視において第3端縁101に対して第1端縁421とは反対側に位置している。これにより、この第2バスバー部514は、支持基板41に直接接している。他方の第2バスバー部514は、パッシベーション層42の第1外方端縁422を全長にわたって覆っている。この第2バスバー部514は、第1導電層1の第2延出部103を覆っている。また、この第2バスバー部514の第7外方端縁512は、平面視において第3外方端縁105に対して第1外方端縁422とは反対側に位置している。これにより、この第2バスバー部514は、支持基板41に直接接している。このような構成により、2つの第2バスバー部514は、それぞれが第1導電層1と導通している。
【0812】
第1バスバー部513は、第1導電層1の接続部13の接続延出部132を覆っている。また、第1バスバー部513の第7端縁511は、平面視において第3端縁101に対して、第1端縁421とは反対側に位置している。これにより、第1バスバー部513は、支持基板41に直接接している。
【0813】
本実施形態の保護樹脂層4は、第1保護樹脂層45のみを有している。
図173および
図174に示すように、第1保護樹脂層45は、パッシベーション層42およびバイパス導電部5を覆っており、たとえば紫外線硬化樹脂からなる。また、第1保護樹脂層45は、有機薄膜太陽電池モジュールA17と上述した表示部702とを接合するための透明な接合層を兼ねていてもよい。図示された例においては、第2端縁451の第2端縁451は、平面視において第7端縁511に対して第1端縁421とは反対側に位置している。第1保護樹脂層45の第2外方端縁452は、平面視において第7外方端縁512に対して第1外方端縁422とは反対側に位置している。これにより、第1保護樹脂層45は、支持基板41に直接接する部分を有する。また、第1保護樹脂層45は、パッシベーション層42の表面423のうちバイパス導電部5から露出した部分を覆っている。
【0814】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA17の製造方法の一例について以下に説明する。なお、以下の説明において参照する図においては、理解の便宜上、
図173および
図174とは、天地逆に表されている。
【0815】
まず、
図158に示した支持基板41を用意する。そして、支持基板41の片面にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITOからなる第1導電膜10を積層する。次に、
図176に示すように、第1導電膜10にパターニングを施す。これにより、第1導電膜10には、スリット17、スリット191、スリット192、スリット193等が形成される。第1導電膜10のパターニングは、たとえばレーザーパターニングよってなされる。このレーザーパターニングに用いられるレーザー光Lz1は、第1導電膜10をレーザーパターニング可能なものであれば特に限定されず、たとえばIRレーザー光を用いることができる。スリット191を構成する第1導電膜10の端縁のうち図示された第2導電層2および光電変換層3側に位置するものは、第3端縁101となる。第1導電膜10のうち第5内方退避端縁301とスリット191との間の部分は、第1延出部104となる。スリット192を構成する第1導電膜10の端縁のうち図示された第2導電層2および光電変換層3側に位置するものは、第3外方端縁105となる。第1導電膜10のうちスリット192と光電変換層3の第5外方退避端縁302との間の部分は、第2延出部103となる。スリット17とスリット192とによって区画された部分は、接続部13となる。
【0816】
次いで、第1導電膜10上に有機膜を形成し、この有機膜にたとえばGreenレーザー光を用いたレーザーパターニングを施すことにより、
図177に示す、光電変換層3を形成する。
【0817】
次いで、
図178に示すように、第2導電層2を形成し、
図179に示すように、絶縁膜420を形成する。絶縁膜420の形成は、たとえばプラズマCVD法によってSiNまたはSiONなどの膜を支持基板41、第1導電膜10、光電変換層3および第2導電層2上に形成することにより行う。
【0818】
次いで、
図179に示すように、第1導電膜10、第2導電層2および光電変換層3を覆う絶縁膜420を形成する。次いで、絶縁膜420を部分的に除去することによる第1端縁421を有するパッシベーション層42の形成および第1導電膜10の部分的な除去による第1導電層1の形成を含み、第1端縁421に隣接する領域において支持基板41を露出させる工程を行う。本実施形態においては、支持基板41を露出させる工程は、
図180に示すように、絶縁膜420を透して第1導電膜10にレーザー光Lz2を照射することにより、第1導電膜10および絶縁膜420を部分的に除去する処理を含む。同図において、第1導電膜10のうち相対的に濃い複数の離散点からなるハッチングが付された部分は、レーザー光Lz2が照射される部分を表している。また、絶縁膜420のうち相対的に薄い複数の離散点からなるハッチングが付された部分は、レーザー光Lz2の照射に起因して除去される部分を表している。なお、レーザー光Lz2を用いた手法に限定されず、たとえばエッチングを用いた手法を選択してもよい。
【0819】
より具体的には、絶縁膜420を透して、第1導電膜10のうちスリット191およびスリット192を挟んで図示された第2導電層2および光電変換層3とは反対側に位置する部分に、レーザー光Lz2を照射する。レーザー光Lz2としては、たとえば波長が1,064nm程度のIRレーザー光が選択される。このレーザー光Lz2が照射された第1導電膜10の部分は、顕著なエネルギー投入によって瞬時に揮発する挙動を示す。
【0820】
一方、上述したレーザー光Lz2の波長は、第1導電膜10に比べて絶縁膜420が吸収しづらいものが選択されている。このため、絶縁膜420は、レーザー光Lz2によって直接に破壊されるものではない。しかし、絶縁膜420のうち第1導電膜10と接する部分は、第1導電膜10を介して支持基板41によって支持されている。第1導電膜10がレーザー光Lz2の照射によって揮発すると、絶縁膜420一部は、支持基板41によって支持されないものとなる。また、レーザー光Lz2が照射された第1導電膜10の部分(図中において相対的に濃い複数の離散点からなるハッチングが付された部分)に重なっている絶縁膜420は、第1導電膜10が揮発したことによる圧力によってその一部が飛散する。
【0821】
また、発明者の研究の結果、絶縁膜420のうち、レーザー光Lz2が照射された第1導電膜10の部分に隣接する部分は、第1導電膜10の揮発の影響によって飛散することが判明した。
図180においては、絶縁膜420のうちレーザー光Lz2の照射に起因して飛散する部分を、相対的に薄い複数の離散点からなるハッチングを付している。本実施形態においては、絶縁膜420のうち飛散する部分は、スリット191およびスリット192を超えて、第2導電層2および光電変換層3側に存在する。ただし、第2導電層2および光電変換層3の一部を露出させる程度に、パッシベーション層42が破壊されないように、スリット191およびスリット192の大きさや位置、およびレーザー光Lz2の照射範囲や出力等を適宜調節している。この結果、絶縁膜420のうちスリット191側に位置する端縁が第1端縁421となり、スリット192側に位置する端縁が第1外方端縁422となる。また、第1導電膜10のうちスリット191に隣接する複数の離散点からなるハッチング部分は、レーザー光Lz2の照射により除去される。このため、第1導電膜10のうちスリット191に対して平面視において光電変換層3側に位置する端縁が、第3端縁101となり、第1導電膜10のうちスリット192に対して平面視において光電変換層3側に位置する端縁が、第3外方端縁105となる。また、第1導電膜10のうちスリット192に隣接する複数の離散点からなるハッチング部分は、レーザー光Lz2の照射により除去される。また、スリット191およびスリット192に隣接する絶縁膜420の一部がレーザー光Lz2の照射に伴って飛散することにより、第1導電膜10のうちスリット191およびスリット192に隣接する一部が、パッシベーション層42から露出する。この部分が、第1延出部104および第2延出部103となる。
【0822】
以上に述べたレーザー光Lz2の照射によって、第1導電膜10および絶縁膜420の部分的な除去を行うことにより、
図181に示すように、第1端縁421および第1外方端縁422を有するパッシベーション層42が形成される。また、第1端縁421および第1外方端縁422から延出する部分を有する第1導電層1が形成される。第1導電層1には、第3端縁101および第2延出部103が形成される。また、スリット17によって区画された接続部13が形成される。なお、
図180に示した工程の後に、支持基板41上に残存した第1導電膜10等の除去を目的として、たとえば王水を用いた洗浄処理を行ってもよい。
【0823】
次いで、
図182に示すようにバイパス導電部5を形成する。バイパス導電部5の形成は、第1導電層1のうちパッシベーション層42から延出した部分と、パッシベーション層42の第1端縁421および第1外方端縁422とを覆うようにして行う。また、バイパス導電部5は、支持基板41に直接触れるように形成されることが好ましい。これにより、バスバー部51および連絡部52を有するバイパス導電部5が得られる。
【0824】
この後は、バイパス導電部5およびパッシベーション層42を覆うように、第1保護樹脂層45(保護樹脂層4)を形成する。第1保護樹脂層45の形成は、たとえば紫外線硬化樹脂を含む液体樹脂材料をスクリーン印刷によってパッシベーション層42上に塗布し、紫外線を照射することによって硬化させる。以上の工程を経ることにより、
図172〜
図174に示す有機薄膜太陽電池モジュールA17が完成する。
【0825】
このような実施形態によっても、光電変換層3の発電領域31の面積割合を高めることができる。また、
図173および
図174に示すように、バイパス導電部5の第2バスバー部514は、第1導電層1の第1延出部104および第2延出部103を覆っている。また、第1バスバー部513は、第1導電層1の接続延出部132を覆っている。これにより、第1導電層1とバイパス導電部5との導通面積を拡大することが可能であり、低抵抗化に好ましい。第1端縁421および第1外方端縁422が、凹凸形状であることにより、第1端縁421および第1外方端縁422とバイパス導電部5の第1バスバー部513および第2バスバー部514との接合強度を高めることが可能である。
【0826】
図180に示したように、第1導電層1にレーザー光Lz2を照射することによって生じる第1導電層1の揮発を利用して、パッシベーション層42を除去している。このため、パッシベーション層42を除去するための専用のレーザー光や薬剤等は不要である。これは、製造コストの低減や制造時間の短縮に好ましい。レーザー光Lz2としてIRレーザー光を用いることにより、絶縁膜420を透過して第1導電膜10へとレーザー光Lz2を効率よく照射することが可能である。また、レーザー光Lz2としてIRレーザー光を用いることにより、パッシベーション層42の第1端縁421および第1外方端縁422を凹凸形状に仕上げることができるという利点がある。なお、絶縁膜420の材質の一例であるSiNは、400nmより長波長の光を透過させる。このため、絶縁膜420がSiNからなる場合、レーザー光Lz2として波長が532nmであるGreenレーザー光を用いてもよい。一方で、レーザー光Lz2として波長が355nmであるUVレーザー光を用いた場合には、絶縁膜420と第1導電膜10とがレーザー光Lz2を吸収するため、これらを一括して除去することができる。
【0827】
絶縁膜420および第1導電膜10の部分的な除去は、レーザー光Lz2を用いて行う。レーザー光Lz2は、照射する領域をより正確に制御することが可能である。したがって、絶縁膜420および第1導電膜10のうち所望の箇所を除去するのに適している。
【0828】
絶縁膜420の部分的な除去は、レーザー光Lz2が照射された第1導電膜10に隣接する絶縁膜420が破壊される挙動を利用する。これにより、
図181においてパッシベーション層42から露出する第1導電層1の部分は、レーザー光Lz2が照射されていないにもかかわらず、当該部分を覆っていた絶縁膜420の部分が除去されている。このため、第1導電層1のうちパッシベーション層42から露出する部分を不当に破壊することを回避しつつ、絶縁膜420を適切に除去することができる。
【0829】
第1導電膜10にスリット191およびスリット192を設けておくことにより、第1導電膜10の揮発の影響を受ける絶縁膜420の領域が、不当に広域にわたってしまうことを回避することが可能である。また、スリット191およびスリット192を設けておくことにより、
図180および
図181に示した第1導電膜10を部分的に除去する工程において、除去されるべき領域に第1導電膜10の一部が残存したとしても、この残存部分と第1導電層1とが意図せず導通してしまうことを回避することができる。また、第1導電膜10のうちスリット192を挟んで光電変換層3とは反対側に位置する部分は、除去されることなく、有機薄膜太陽電池モジュールA17の一部として残存してもよい。この部分は、スリット192が設けられていることにより、第1導電層1と導通することが防止されている。また、この部分の除去を省略すれば、製造時間を短縮することができる。なお、スリット191およびスリット192を設ける構成は好適例であり、これらを設けない構成であってもよい。
【0830】
図183は、本発明の第18実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールを示している。本実施形態の有機薄膜太陽電池モジュールA18においては、スリット17の両端171は、第1導電層1の第3端縁101に到達している。すなわち、接続部13は、表示用開口181に対向する位置に設けられている。言い換えると、接続部13は、平面視において表示用開口181と意匠表示部35との間に配置されている。表示用開口181に対向する第2バスバー部514には、迂回部5141が設けられている。また、本実施形態のバイパス導電部5は、連絡部521を有する。連絡部521は、第1バスバー部513と第1集極部531とを繋いでいる。これにより、第1集極部531は、第1バスバー部513から離間した位置に配置されている。図示された例においては、第2集極部532は、表示用開口181からの距離が第1集極部531と同じとなるように配置されている。
【0831】
本実施形態によっても、光電変換層3の発電領域31の面積割合を高めることができる。また、接続部13が表示用開口181に対向する位置に設けられているものの、第1集極部531は、平面視において第2導電層2および光電変換層3と重なる位置に配置されている。このため、第1集極部531は、表示用開口181に延出しておらず、表示部702の表示を妨げる事態を回避することができる。
【0832】
本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュールおよび電子機器は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュールおよび電子機器の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0833】
本発明に係る電子機器は、携帯型電話端末をはじめ、太陽光発電を利用可能な様々な電子機器に適用することが可能であり、たとえば腕時計、電子計算機などが挙げられる。
【0834】
以下に、本発明の技術的特徴について付記する。
【0835】
〔付記1E〕
透明な支持基板と、
前記支持基板に積層された透明な第1導電層と、
第2導電層と、
前記第1導電層および前記第2導電層に挟まれた有機薄膜からなる光電変換層と、
前記第2導電層を覆うパッシベーション層と、
を備え、
前記第1導電層は、平面視において前記パッシベーション層から延出する延出部と、当該延出部の端縁に両端が到達したスリットと、当該スリットによって区画され且つ前記スリットの前記両端に繋がる接続部端縁を有する接続部と、を有し、
前記光電変換層は、平面視において前記第1導電層の前記接続部に内包され且つ厚さ方向に貫通する導通用貫通部を有し、
前記第2導電層と前記第1導電層の前記接続部とは、前記光電変換層の前記導通用貫通部を介して導通しており、
前記接続部のうち前記パッシベーション層から延出する接続延出部の少なくとも一部を覆う第1バスバー部と、当該第1バスバー部に導通する第1集極部とを有するバイパス導電部を備える、有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記2E〕
前記導通用貫通部は、平面視において円形状である、付記1Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記3E〕
前記導通用貫通部は、前記接続部端縁と平行である方向を長手方向とする平面視細長形状である、付記1Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記4E〕
前記第1集極部は、平面視において前記第2導電層および前記光電変換層と重なり、
前記支持基板の厚さ方向において、前記第1集極部と前記第2導電層との間に前記パッシベーション層が介在する、付記1Eないし3Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記5E〕
前記バイパス導電部は、前記第1導電層の前記延出部の少なくとも一部を覆う第2バスバー部と、当該第2バスバー部に導通する第2集極部とを有する、付記1Eないし4Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記6E〕
前記第2集極部は、平面視において前記第2導電層および前記光電変換層と重なり、
前記支持基板の厚さ方向において、前記第2集極部と前記第2導電層との間に前記パッシベーション層が介在する、付記5Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記7E〕
前記第2バスバー部は、前記第1導電層の前記延出部のうち前記接続部を挟む部分に両端が繋がり、且つ平面視において前記第1集極部を迂回する迂回部を有する、付記6Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記8E〕
前記光電変換層は、厚さ方向に貫通し且つ外観に表れる意匠表示部を構成する意匠表示用貫通部を有し、
前記意匠表示用貫通部は、前記導通用貫通部に対して前記接続部端縁とは反対側に位置している、付記1Eないし7Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記9E〕
前記第1導電層は、表示領域を構成するための表示用開口と、当該表示用開口を区画する第3端縁と、前記パッシベーション層から前記表示用開口側に延出する第1延出部と、を有し、
前記接続部は、前記第3端縁に両端が到達した前記スリットによって区画されている、付記1Eないし8Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記10E〕
前記第1導電層は、表示領域を構成するための表示用開口と、当該表示用開口を区画する第3端縁と、当該第3端縁とは反対側に位置する第3外方端縁と、前記パッシベーション層から前記表示用開口側に延出する第1延出部と、前記パッシベーション層から前記表示用開口とは反対側に延出する第2延出部と、を有し、
前記接続部は、前記第3外方端縁に両端が到達した前記スリットによって区画されている、付記1Eないし8Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記11E〕
前記バイパス導電部を覆う保護樹脂層を備える、付記9Eまたは10Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記12E〕
前記パッシベーション層は、平面視において前記表示用開口と対向する第1端縁を有し、
前記保護樹脂層は、前記パッシベーション層を覆う第1保護樹脂層と、当該第1保護樹脂層に積層され且つ前記バイパス導電部を覆う第2保護樹脂層と、を含み、
前記第1保護樹脂層は、平面視において前記第1端縁と一致する第2端縁を有する、付記11Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記13E〕
前記第1端縁と前記第2端縁とは、連続した面をなす、付記12Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記14E〕
前記バイパス導電部は、平面視において前記第3端縁と一致する第7端縁を有する、付記13Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記15E〕
前記第2保護樹脂層は、平面視において前記第3端縁および前記第7端縁に対して前記第1端縁とは反対側に位置する第6端縁を有し且つ前記支持基板に接している、付記14Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記16E〕
前記第2導電層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第4内方退避端縁を有する、付記15Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記17E〕
前記光電変換層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第5内方退避端縁を有する、付記16Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記18E〕
前記第4内方退避端縁は、平面視において前記第5内方退避端縁よりも内方に退避している、付記17Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記19E〕
前記パッシベーション層は、平面視において前記表示用開口と対向する第1端縁を有し、
前記バイパス導電部は、平面視において前記第3端縁に対して前記第1端縁とは反対側に位置する第7端縁を有する、付記11Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記20E〕
前記保護樹脂層は、平面視において前記第7端縁に対して前記第1端縁とは反対側に位置する第2端縁を有し且つ前記支持基板に接している、付記19Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記21E〕
前記第2導電層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第4内方退避端縁を有する、付記20Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記22E〕
前記光電変換層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第5内方退避端縁を有する、付記21Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記23E〕
前記第4内方退避端縁は、平面視において前記第5内方退避端縁よりも内方に退避している、付記22Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記24E〕
前記第1端縁は、平面視環状である、付記18Eまたは23Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記25E〕
前記第3端縁は、平面視環状である、付記24Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記26E〕
前記第4内方退避端縁は、平面視環状である、付記25Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記27E〕
前記第5内方退避端縁は、平面視環状である、付記26Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記28E〕
前記第7端縁は、平面視環状である、付記27Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記29E〕
前記第2端縁は、平面視環状である、付記28Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記30E〕
前記第6端縁は、平面視環状である、付記18Eに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記31E〕
前記第1導電層は、ITOからなる、付記11Eないし30Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記32E〕
前記第2導電層は、金属からなる、付記11Eないし31Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記33E〕
前記第2導電層は、Alからなる、付記11Eないし32Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記34E〕
前記パッシベーション層は、SiNからなる、付記11Eないし33Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記35E〕
前記保護樹脂層は、紫外線硬化樹脂からなる、付記11Eないし34Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記36E〕
付記1Eないし35Eのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールと、
前記有機薄膜太陽電池モジュールからの給電によって駆動する駆動部と、
を備える、電子機器。
【0836】
[第19−第21実施形態]
第19ないし第21実施形態および
図184〜
図219における符号は、これらの実施形態および図において有効であり、他の実施形態および図における符号とは独立している。ただし、第19ないし第21実施形態の具体的構成と他の実施形態の具体的構成とは、相互に適宜組合せ可能である。
【0837】
本発明において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
【0838】
図184〜
図188は、本発明の第19実施形態に基づく電子機器および本発明の第19および第20実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールを示している。本実施形態の電子機器B19は、有機薄膜太陽電池モジュールA19、有機薄膜太陽電池モジュールA20、ケース61、制御部701、表示部702、入力部703、マイク704、スピーカ705、無線通信部706およびバッテリ707を備えており、携帯型電話端末として構成されている。
【0839】
ケース61は、電子機器B19のその他の構成要素を収容するものであり、金属、樹脂、ガラスなどの材質からなる。
【0840】
図184は、有機薄膜太陽電池モジュールA19,A20およびこれらを用いた電子機器B19を示す平面図である。
図185は、有機薄膜太陽電池モジュールA19,A20および電子機器B19を示す底面図である。
図186は、
図184のCLXXXVI−CLXXXVI線に沿う模式的な断面図である。
図187は、
図184のCLXXXVII−CLXXXVII線に沿う要部拡大断面図である。
図188は、電子機器B19を示すシステム構成図である。なお、
図186においては、理解の便宜上、ケース61、有機薄膜太陽電池モジュールA19、有機薄膜太陽電池モジュールA20、制御部701、表示部702およびバッテリ707のみを模式的に示している。
【0841】
有機薄膜太陽電池モジュールA19および有機薄膜太陽電池モジュールA20は、電子機器B19における電源モジュールであり、太陽光などの光を電力に変換する。具体的構成は、後述する。
【0842】
制御部701は、本発明でいう駆動部の一例に相当し、有機薄膜太陽電池モジュールA19および有機薄膜太陽電池モジュールA20からの給電によって駆動する。なお、制御部701は、有機薄膜太陽電池モジュールA19および有機薄膜太陽電池モジュールA20から直接給電されてもよいし、有機薄膜太陽電池モジュールA19および有機薄膜太陽電池モジュールA20からの電力がバッテリ707に一旦充電された後に、このバッテリ707からの給電によって駆動されてもよい。制御部701は、たとえばCPU、メモリおよびインターフェースなどを具備して構成されている。
【0843】
表示部702は、各種の情報を電子機器B19の外観に表示するためのものである。表示部702は、たとえば液晶表示パネルあるいは有機EL表示パネルなどである。本実施形態においては、表示部702は、有機薄膜太陽電池モジュールA19を透して外観に情報を表す。
【0844】
入力部703は、使用者の操作を電気信号として制御部701に出力するためのものである。入力部703は、たとえば表示部702に積層されたタッチパネルである。なお、表示部702と入力部703とが一体的に構成されていてもよい。
【0845】
マイク704は、使用者の音声を電気信号に変換するデバイスである。スピーカ705は、通話相手の音声や各種の通知音などを出力するデバイスである。
【0846】
無線通信部706は、無線通信規格に準拠した双方向無線通信を行うデバイスである。
【0847】
バッテリ707は、電子機器B19を駆動する電力を蓄えるデバイスである。バッテリ707は、充放電が適宜可能に構成されている。バッテリ707の充電は、図示しないアダプタを用いた商用電力からの給電、または有機薄膜太陽電池モジュールA19および有機薄膜太陽電池モジュールA20からの給電によってなされる。
【0848】
有機薄膜太陽電池モジュールA19および有機薄膜太陽電池モジュールA20は、第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41、パッシベーション層42、保護樹脂層4およびバイパス導電部5を備えている。本実施形態においては、有機薄膜太陽電池モジュールA19および有機薄膜太陽電池モジュールA20は、平面視矩形状とされているが、これは一例であり、それぞれは様々な形状とされうる。有機薄膜太陽電池モジュールA19と有機薄膜太陽電池モジュールA20とは、互いの構成が一部を除き共通する。以下においては、まず有機薄膜太陽電池モジュールA19について説明する。
【0849】
図189は、有機薄膜太陽電池モジュールA19のうち第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41および保護樹脂層4を示す要部分解斜視図である。なお、理解の便宜上,支持基板41は想像線(二点鎖線)で示している。
図190は、有機薄膜太陽電池モジュールA19の第1導電層1を示す平面図である。
図191は、有機薄膜太陽電池モジュールA19の光電変換層3を示す平面図である。
図192は、有機薄膜太陽電池モジュールA19の第2導電層2を示す平面図である。
図193は、有機薄膜太陽電池モジュールA19の保護樹脂層4の後述する第1保護樹脂層45およびバイパス導電部5を示す平面図である。
図194は、有機薄膜太陽電池モジュールA19の保護樹脂層4の後述する第2保護樹脂層46を示す平面図である。
【0850】
支持基板41は、有機薄膜太陽電池モジュールA19の土台となる部材である。支持基板41は、たとえば透明なガラスあるいは樹脂からなる。支持基板41の厚さは、たとえば0.05mm〜2.0mmである。
【0851】
第1導電層1は、支持基板41上に形成されている。第1導電層1は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。
図189および
図190に示すように、第1導電層1は、第1電極部11、第1端部14、第3延出部15、第4延出部16、複数の開口18およびスリット19、第3端縁101、第3外方端縁105、第1延出部104および第2延出部103を有する。本実施形態においては、第1導電層1は、平面視略矩形状とされているが、これは第1導電層1の形状の一例である。第1導電層1の形状は、様々な形状に設定されうる。第1導電層1の厚さは、たとえば100nm〜300nmである。なお、
図190において、第1電極部11、第1端部14、第3延出部15および第4延出部16には、斜線のハッチングを付している。
【0852】
第1電極部11は、光電変換層3によって生じた正孔が集約される層であり、いわゆるアノード電極として機能する。本実施形態においては、第1導電層1の大部分が1つの第1電極部11とされている。
【0853】
第3延出部15は、第1電極部11から、平面視において光電変換層3の外方に延出する部分である。
図190においては、第1電極部11と第3延出部15との境界を想像線(二点鎖線)で示している。第3延出部15を設けることにより、光電変換層3における発電によって集約された正孔を、有機薄膜太陽電池モジュールA19外に導くことができる。
【0854】
第1端部14は、スリット19によって第1電極部11と隔離された部分である。本実施形態においては、第1端部14は、たとえば平面視円形状とされている。本実施形態においては、第1端部14は、略円形状とされた部分と矩形状の部分とが組み合わされた形状とされている。
【0855】
第4延出部16は、第1端部14から、平面視において光電変換層3の外方に延出している。
図190においては、第1端部14と第4延出部16との境界を想像線(二点鎖線)で示している。本実施形態においては、第3延出部15と第4延出部16とが隣り合う配置とされている。第4延出部16を設けることにより、光電変換層3における発電によって集約された電子を、有機薄膜太陽電池モジュールA19外に導くことができる。
【0856】
複数の開口18は、厚さ方向に第1導電層1を貫通した開口部分である。本実施形態においては、2つの開口18が設けられている。
図190における図中上方の開口18は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口18は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0857】
第3端縁101は、図中中央の開口18を規定する端縁である。本実施形態においては、第3端縁101は、開口18を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第3端縁101は、開口18を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第3端縁101が開口18に三方から隣接することにより、開口18が第1電極部11から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第3端縁101は、開口18に対して二方あるいは一方のみから隣接するものであってもよい。第3端縁101に隣接する領域、すなわち図中中央の開口18からは、支持基板41が露出している。また、第3端縁101は、後述する第1保護樹脂層45の第2端縁451およびパッシベーション層42の第1端縁421から延出する第1導電層1の部分の内端縁とされている。
【0858】
第1延出部104は、パッシベーション層42から内方(開口18)に延出する部位である。本実施形態においては、第1導電層1の略全内周部分に、第2延出部103が設けられている。
【0859】
第2延出部103は、パッシベーション層42から外方に延出する部位である。本実施形態においては、第1導電層1の略全外周部分に、第2延出部103が設けられている。第3外方端縁105は、第2延出部103の外周端縁である。
【0860】
第2導電層2は、その大部分が光電変換層3を介して第1導電層1上に積層されている。また、第2導電層2の一部は、第1導電層1に直接接している。第2導電層2の材質は特に限定されないが、本実施形態においては、第2導電層2は、Al、W、Mo、Mn、Mgに代表される金属からなる。以下においては、第2導電層2がAlからなる場合を例に説明する。したがって、第2導電層2は、透明ではない。またこの場合、第2導電層2の支持基板41とは反対側の表面に、Al2O3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されてもよい。第2導電層2の厚さは、たとえば30nm〜150nmである。
【0861】
図192に示すように、第2導電層2は、第2電極部21、第2端部24および複数の開口28を有する。本実施形態においては、第2導電層2は、平面視略矩形状とされているが、これは第2導電層2の形状の一例である。第2導電層2の形状は、様々な形状に設定されうる。なお、
図192においては、第2電極部21および第2端部24に、斜線のハッチングを付している。
【0862】
第2電極部21は、光電変換層3によって生じた電子が集約される層であり、いわゆるカソード電極として機能する。第2電極部21は、平面視において、第1電極部11と一致する。本実施形態においては、第2導電層2の大部分が第2電極部21とされている。
【0863】
第2端部24は、平面視において第1導電層1の第1端部14に一致し、且つ第2電極部21に繋がっている。
図192においては、理解の便宜上、第2端部24の形状を想像線(二点鎖線)で示している。第2端部24は、第1端部14と同様に平面視略円形状の部分と平面視矩形状の部分とが組み合わされたとされている。
【0864】
複数の開口28は、厚さ方向に第2導電層2を貫通する開口部分である。本実施形態においては、2つの開口28が設けられている。
図192における図中上方の開口28は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口28は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0865】
第4内方退避端縁201は、図中中央の開口28を規定する端縁である。本実施形態においては、第4内方退避端縁201は、開口28を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第4内方退避端縁201は、開口28を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第4内方退避端縁201が開口28を三方から隣接することにより、開口28が第2電極部21から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第4内方退避端縁201は、開口28に対して二方あるいは一方のみから隣接するものであってもよい。また、
図187に示すように、第4内方退避端縁201は、第3端縁101よりも内方(開口18内に延出する方向とは反対側)に退避している。
【0866】
第4外方退避端縁202は、
図187に示すように、後述するパッシベーション層42の第1外方端縁422および第1保護樹脂層45の第2外方端縁452よりも平面視において内方(
図187における右方)に退避している。本実施形態においては、第4外方退避端縁202は、平面視環状である。
【0867】
光電変換層3は、第1導電層1と第2導電層2とに挟まれて、支持基板41に積層されている。光電変換層3は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層3の具体的構成は特に限定されないが、その一例を挙げると、バルクヘテロ接合有機活性層と、このバルクヘテロ接合有機活性層に対して第1導電層1側に積層された正孔輸送層とからなる。本実施形態においては、光電変換層3は、平面視矩形状とされているが、これは一例であり、光電変換層3は、様々な形状とされうる。光電変換層3の厚さは、たとえば50nm〜300nmである。
【0868】
バルクヘテロ接合有機活性層は、p型有機活性層領域とn型有機活性層領域が混在し、複雑なバルクへテロpn接合を形成している。p型有機活性層領域は、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene-2,5diyl))で形成され、n型有機活性層領域は、例えば、PCBM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)で形成されている。正孔輸送層は、たとえばPEDOT:PSSで形成されている。
【0869】
光電変換層3の形成に用いられる材質を例示すると、フタロシアニン(Pc:Phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc:Zinc- phthalocyanine)、Me−Ptcdi(N,N’-dimethyl perylene-3,4,9,10-dicarboximide)、フラーレン(C 60 :Buckminster fullerene)が挙げられる。これらの材質は、たとえば真空蒸着に使用される。
【0870】
また、光電変換層3の形成に用いられる他の材質を例示すると、MDMO−PPV(poly[2-methoxy-5-(3,7-dimethyl octyloxy)]-1,4-phenylene vinylene)、PCDTBT(poly[N-9’-hepta-decanyl-2,7-carbazole-alt-5,5-(4’,7’-di-thienyl-2’1’,3’-b3nzothiadizaole)])、PC60BM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)、PC70BM(6,6-phenyl-C71-butyric acid methyl ester)が挙げられる。これらの材質は、たとえば溶液プロセスに使用される。
【0871】
図191に示すように、光電変換層3は、非発電領域30、発電領域31および意匠表示部35、複数の開口38、第5内方退避端縁301および第5外方退避端縁302を有している。なお、
図191においては、非発電領域30および発電領域31に、複数の離散点からなるハッチングを付している。
【0872】
意匠表示部35は、第1導電層1を透して外観に表れる意匠を構成する部位である。意匠表示部35が構成する意匠とは、使用者等が目視することによって、文字、記号、図柄などの視覚的特異部分として視認されうるものを指す。本実施形態においては、意匠表示部35は、円環形状を表している。
【0873】
本実施形態においては、意匠表示部35は、貫通部350によって構成されている。貫通部350は、光電変換層3を厚さ方向に貫通する態様の部位である。このような貫通部350は、第1導電層1を透して外観に表れる。また、本実施形態においては、貫通部350は、第2導電層2を第1導電層1側に露出させている。すなわち、貫通部350を通じて第2導電層2の一部が外観に表れている。
【0874】
発電領域31は、第1導電層1の第1電極部11および第2導電層2の第2電極部21に挟まれ、且つ光電変換機能を発揮することにより発電に寄与する領域である。また、発電領域31の形状は、平面視において、第1電極部11および第2電極部21に一致する。
【0875】
非発電領域30は、光電変換層3のうち平面視において第1導電層1の第1電極部11および第2導電層2の第2電極部21とは重ならない領域であり、第1導電層1の第1端部14と重なっている。第1端部14は、第2導電層2の第2端部24と接しており、集約された正孔と電子とが即座に結合してしまう。このため、非発電領域30は、発電に寄与しない。すなわち、光電変換層3のうち複数の発電領域31以外の領域が、非発電領域30とされている。
【0876】
本実施形態においては、非発電領域30は、端部領域34とされている。端部領域34は、貫通部350(意匠表示部35)を有している。端部領域34は、平面視において第1導電層1の第1端部14に内包される貫通部350(意匠表示部35)を含み、且つ第1導電層1の第1端部14に重なっている。また、端部領域34は、第2導電層2の第2端部24と重なっている。第1導電層1の第1端部14と第2導電層2の第2端部24とは、端部領域34の貫通部350を通じて接している。
【0877】
複数の開口38は、光電変換層3を厚さ方向に貫通する開口部分である。本実施形態においては、2つの開口38が設けられている。
図191における図中上方の開口38は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口38は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0878】
第5内方退避端縁301は、図中中央の開口38を規定する端縁である。本実施形態においては、第5内方退避端縁301は、開口38を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第5内方退避端縁301は、開口38を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第5内方退避端縁301が開口38を三方から隣接することにより、開口38が発電領域31から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第5内方退避端縁301は、開口38に対して二方あるいは一方のみに設けられたものであってもよい。また、
図187に示すように、第5内方退避端縁301は、第3端縁101よりも内方(開口18内に延出する方向とは反対側)に退避している。
【0879】
第5外方退避端縁302は、
図187に示すように、後述するパッシベーション層42の第1外方端縁422よりも平面視において内方(
図187における右方)に退避している。本実施形態においては、第5外方退避端縁302は、平面視環状である。
【0880】
上述した構成により、有機薄膜太陽電池モジュールA19においては、第3延出部15が第1電極部11に繋がっている。また、第2電極部21には、第2端部24が繋がっている。第2端部24は、端部領域34の貫通部350を通じて第1端部14と接している。第1端部14には、第4延出部16が繋がっている。この結果、第3延出部15と第4延出部16とが有機薄膜太陽電池モジュールA19の出力端子として機能する。
【0881】
パッシベーション層42は、第2導電層2上に積層されており、第2導電層2および光電変換層3を保護している。パッシベーション層42は、たとえばSiNまたはSiONからなる。パッシベーション層42の厚さは、たとえば0.5μm〜2.0μmであり、本実施形態においては、たとえば1.5μm程度とされる。
【0882】
保護樹脂層4は、パッシベーション層42を覆っている層である。また、保護樹脂層4は、バイパス導電部5を覆っている。保護樹脂層4は、たとえば紫外線硬化樹脂からなる。保護樹脂層4の厚さは、たとえば3μm〜20μmであり、本実施形態においては、たとえば10μm程度とされる。
【0883】
本実施形態においては、保護樹脂層4は、第1保護樹脂層45および第2保護樹脂層46を有する。第1保護樹脂層45は、パッシベーション層42を覆う層である。第2保護樹脂層46は、第1保護樹脂層45に積層されており、バイパス導電部5を覆う層である。
【0884】
図193に示すように、第1保護樹脂層45は、複数の開口458、第2端縁451および第2外方端縁452を有する。なお、
図193においては、第1保護樹脂層45に斜線のハッチングを付している。
【0885】
複数の開口458は、第1保護樹脂層45の一部が削除された態様であり、第1保護樹脂層45を貫通している。本実施形態においては、2つの開口458が設けられている。
図193における図中上方の開口458は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口458は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0886】
第2端縁451は、図中中央の開口458を規定する端縁である。本実施形態においては、第2端縁451は、開口458を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第2端縁451は、開口458を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第2端縁451が開口458を三方から隣接することにより、開口458が第1保護樹脂層45から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第2端縁451は、開口458に対して二方あるいは一方のみ設けられたものであってもよい。
【0887】
第2外方端縁452は、平面視において光電変換層3の少なくとも一部を挟んで第2端縁451と反対側に位置しており、本実施形態においては、第1保護樹脂層45の外周端縁である。
【0888】
図194に示すように、第2保護樹脂層46は、複数の開口468、第6端縁461および第6外方端縁462を有する。
【0889】
複数の開口468は、第2保護樹脂層46の一部が削除された態様であり、第2保護樹脂層46を貫通している。本実施形態においては、2つの開口468が設けられている。
図194における図中上方の開口468は、たとえばスピーカ705を機能させるために設けられたものである。一方、図中中央の最も大である開口468は、表示部702によって表示された情報を外観に表すために設けられたものである。
【0890】
第6端縁461は、図中中央の開口468を規定する端縁である。本実施形態においては、第6端縁461は、開口468を四方から囲む端縁となっており、平面視矩形環状である。なお、第6端縁461は、開口468を四方から囲む形状に限定されない。たとえば、第6端縁461が開口468を三方から隣接することにより、開口468が第2保護樹脂層46から平面視において外方に開いた構成であってもよい。あるいは、第6端縁461は、開口468に対して二方あるいは一方のみ設けられたものであってもよい。また、開口468は、平面視において矩形状以外のたとえば円形であってもよい。
【0891】
第6外方端縁462は、平面視において光電変換層3の少なくとも一部を挟んで第6端縁461と反対側に位置しており、本実施形態においては、第2保護樹脂層46の外周端縁である。
【0892】
パッシベーション層42は、第1端縁421および第1外方端縁422を有している。
【0893】
第1端縁421は、平面視において第2端縁451と一致している。また、本実施形態においては、第1端縁421は、第2端縁451と連続した面をなしている。第1外方端縁422は、平面視において第2外方端縁452と一致している。また、本実施形態においては、第1外方端縁422は、第2外方端縁452と連続した面をなしている。
【0894】
バイパス導電部5は、第1導電層1に到達した正孔を集電するための、第1導電層1より低抵抗な経路を構成するためのものである。本実施形態においては、バイパス導電部5は、2つのバスバー部51、複数の連絡部52および2つの集極部53を有する。バイパス導電部5は、第1導電層1よりも低抵抗な材質からなり、たとえばAgまたはカーボンを含む。
【0895】
図187および
図193に示すように、1つのバスバー部51は、第2端縁451および第1端縁421を全長にわたって覆っている。このバスバー部51は、第1導電層1のうち第3端縁101と第1端縁421(第2端縁451)との間に位置する部分を覆っている。また、このバスバー部51の第7端縁511は、平面視において第3端縁101と一致している。他方のバスバー部51は、第2外方端縁452および第1外方端縁422を全長にわたって覆っている。このバスバー部51は、第1導電層1の第2延出部103を覆っている。このバスバー部51の第7外方端縁512は、平面視において第3外方端縁105と一致している。このような構成により、2つのバスバー部51は、それぞれが第1導電層1と導通している。
【0896】
複数の連絡部52は、第1保護樹脂層45上に形成された部分であり、
図193における図中内側のバスバー部51と図中外側の連絡部52とを連結している。2つの集極部53は、一方が第1導電層1に導通しており、他方が第2導電層2に導通している。
【0897】
図187に示すように、第2端縁451および第1端縁421に対してバスバー部51および第2保護樹脂層46を間に挟んで隣接する領域から、支持基板41の一部が露出領域411として露出している。また、露出領域411は、第1導電層1等によって覆われておらず、支持基板41の表面が直接露出している。
【0898】
図195は、有機薄膜太陽電池モジュールA20の第1導電層1を示す平面図である。
図196は、有機薄膜太陽電池モジュールA20の光電変換層3を示す平面図である。
図197は、有機薄膜太陽電池モジュールA20の第2導電層2を示す平面図である。
図198は、有機薄膜太陽電池モジュールA20の第1保護樹脂層45およびバイパス導電部5を示す平面図である。
図199は、有機薄膜太陽電池モジュールA20の第2保護樹脂層46を示す平面図である。
【0899】
有機薄膜太陽電池モジュールA20においては、表示部702を外観に表すための開口18、開口28、開口38、開口458、開口468等が設けられていない。このため、第3端縁101、第4内方退避端縁201、第5内方退避端縁301、第1端縁421、第2端縁451および第6端縁461は設けられていない。また、バイパス導電部5は、外周に沿うバスバー部51を有し、連絡部52は、有していない。
【0900】
本実施形態においては、
図196に示すように、光電変換層3に複数の貫通部350(35)が設けられている。これらの貫通部350は、それぞれがアルファベットを表している。この貫通部350を利用して、第1導電層1の第1端部14と第2導電層2の第2端部24とが接している点は、有機薄膜太陽電池モジュールA19と同様である。
【0901】
次いで、有機薄膜太陽電池モジュールA19の製造方法の一例について、
図200〜
図207を参照しつつ、以下に説明する。なお、これらの図においては、理解の便宜上、
図187とは、天地逆に表されている。また、
図200〜
図207においては、
図184に示した電子機器B19のCLXXXVII−CLXXXVII線における断面構造を生成する過程を示している。
【0902】
まず、
図200に示すように支持基板41を用意する。そして、
図201に示すように、支持基板41の片面にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITOからなる第1導電膜10を積層する。次に、該ITOにパターニングを施し、開口18、スリット19等のパターンを形成するためのパターニングを行う。ここで、ITOへのパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、Greenレーザー光等のレーザパターニングを用いた手法が適宜採用される。
【0903】
次いで、
図202に示すように、光電変換層3を形成する。光電変換層3の形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板41上および第1導電膜10上に有機膜を成膜した後に、酸素プラズマエッチング、レーザパターニングを用いることによって、第5内方退避端縁301、第5外方退避端縁302、開口38、貫通部350(意匠表示部35)を有する構成に仕上げることにより行う。なお、光電変換層3は、上記に限定されず、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビア印刷などの手法によって、支持基板41上および第1導電膜10上に直接的に有機膜をパターニングすることで形成するようにしても良い。
【0904】
次いで、
図203に示すように、第2導電層2を形成する。第2導電層2の形成は、たとえば上述した金属を真空加熱蒸着法によって支持基板41、第1導電膜10および光電変換層3上に金属膜を成膜する。次に、該金属膜に例えばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施す。このパターニングにより、光電変換層3上に第4内方退避端縁201および第4外方退避端縁202を有する第2導電層2を形成する。
【0905】
次いで、
図204に示すように、絶縁膜420を形成する。絶縁膜420の形成は、たとえばプラズマCVD法によってSiNまたはSiONなどの膜を支持基板41、第1導電層1、光電変換層3および第2導電層2上に形成することにより行う。
【0906】
次いで、
図205に示すように、第1保護樹脂層45を形成する。第1保護樹脂層45の形成は、たとえば紫外線硬化樹脂を含む液体樹脂材料をスクリーン印刷によって絶縁膜420上に塗布し、紫外線を照射することによって硬化させる。これにより、第2端縁451および第2外方端縁452を有する第1保護樹脂層45が得られる。
【0907】
次いで、
図206に示すように、第1保護樹脂層45をマスクとして用いたパターニングを絶縁膜420に施す。このパターニングは、たとえばフッ化水素を0.55%〜4.5%含むフッ化水素酸を用いたウエットエッチングによって行う。このようなフッ化水素酸は、紫外線硬化樹脂からなる第1保護樹脂層45をほとんど溶解しない一方、SiN等からなる絶縁膜420を選択的に溶解する。また、フッ化水素酸は、ITO等からなる第1導電膜10はほとんど溶解しない。この結果、第1端縁421および第1外方端縁422を有するパッシベーション層42が形成される。第1端縁421は、平面視において第2端縁451と一致する。第1端縁421と第2端縁451とは、連続した面をなす。また、第1外方端縁422は、平面視において第2外方端縁452と一致する。第1外方端縁422と第2外方端縁452とは、連続した面をなす。
【0908】
次いで、
図207に示すように、バイパス導電部5を形成する。バイパス導電部5の形成は、たとえばAgまたはカーボンを含むペーストを塗布した後に、たとえば乾燥などの手法によってこのペーストを硬化させることによって行う。
【0909】
次いで、第1導電膜10にパターニングを施す。このパターニングは、たとえば濃塩酸と濃硝酸とが3:1の比率で混合された王水を用いて行う。このパターニングにより、第1導電膜10のうちバイパス導電部5や第1保護樹脂層45から露出した部分が選択的に除去される。この結果、第3端縁101等を有する第1導電層1が形成される。次いで、第2保護樹脂層46を形成する。第2保護樹脂層46の形成は、たとえば紫外線硬化樹脂を含む液体樹脂材料をスクリーン印刷によって絶縁膜420上に塗布し、紫外線を照射することによって硬化させる。これにより、第6端縁461および第6外方端縁462を有する第2保護樹脂層46が得られ、保護樹脂層4が形成される。以上の工程を経ることにより、有機薄膜太陽電池モジュールA19が得られる。有機薄膜太陽電池モジュールA20の製造も同様に行うことができる。
【0910】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA19および電子機器B19の作用について説明する。
【0911】
本実施形態によれば、バイパス導電部5を設けることにより、第1導電層1に拡散してきた正孔を、バスバー部51を経由して集極部53へと導くことができる。バイパス導電部5は、第1導電層1よりも低抵抗の材料からなる。このため、バイパス導電部5によって、より低抵抗な導通経路が構成される。このような導通経路に光電変換層3によって発電された電力を導くことにより、通電による損失を抑制することができる。また、バイパス導電部5は、保護樹脂層4によって覆われている。このため、保護樹脂層4が外気等との反応によって劣化することを回避することができる。したがって、有機薄膜太陽電池モジュールA19,A20および電子機器B19の通電部分の劣化を回避しつつ通電損失を抑制することができる。
【0912】
図187に示すように、第7端縁511および第7外方端縁512は、第6端縁461および第6外方端縁462の内側に位置している。すなわち、バイパス導電部5は、保護樹脂層4によって完全に覆われている。これは、バイパス導電部5の保護に好ましい。
【0913】
第2端縁451および第2外方端縁452に隣接する領域において支持基板41が露出している。この部位には、パッシベーション層42や第1保護樹脂層45が形成されていない。したがって、この部位をより透明に仕上げることが可能であり、表示部702をより鮮明に外観に表すことができる。
【0914】
第2端縁451および第1端縁421に隣接する領域のうちバスバー部51によって覆われた僅かな領域を除いて、支持基板41には第1導電層1が形成されていない。第1導電層1は、ITOからなるものの、光線のあたり具合によっては、うっすらと着色されたものとして視認される。本実施形態においては、表示部702を外観に表すための領域をことさらに透明に仕上げることが可能であり、より美麗な外観を実現することができる。
【0915】
光電変換層3の第5内方退避端縁301および第2導電層2の第4内方退避端縁201が、第1端縁421および第2端縁451と離間していることにより、第2導電層2および光電変換層3がバイパス導電部5と不当に導通することを回避することができる。また、第4内方退避端縁201および第5内方退避端縁301と第1端縁421および第2端縁451との間にパッシベーション層42が介在していることにより、第2導電層2および光電変換層3とバイパス導電部5のバスバー部51とがショートすることをより確実に防止可能である。
【0916】
第1保護樹脂層45をマスクとして用いたパターニングを絶縁膜420に施すことにより、第1保護樹脂層45と同形状のパッシベーション層42を形成することができる。すなわち、紫外線硬化樹脂などの形状形成に優れた材質を用いて第1保護樹脂層45を形成すれば、必ずしも形状形成に優れていない材質からなるパッシベーション層42を所望の形状に仕上げることができる。なお、45は、パッシベーション層42を形成した後に除去してもよい。ただし、4を残存させた場合、水分やパーティクル等の第1導電層1、第2導電層2および光電変換層3等への侵入を防止する効果や、有機薄膜太陽電池モジュールA19の強度向上を図る効果が期待できる。
【0917】
バイパス導電部5を形成した後に第1導電層1にパターニングを施すことにより、バイパス導電部5の連絡部52は、第1導電層1の端面ではなく、第1導電層1のうち平面視において有意な面積を有する部分(第2延出部103など)に接する構成となる。これは、第1導電層1とバイパス導電部5との接触抵抗を低下させるとともに、確実な導通に有利である。
【0918】
図208〜
図219は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0919】
図208は、電子機器B19および有機薄膜太陽電池モジュールA19の変形例を示している。本変形例においては第2保護樹脂層46が、非透光部464および透光部465を有する。非透光部464は、平面視においてバイパス導電部5と重なり、且つ第1端縁421よりも第1外方端縁422側の領域に設けられている。非透光部464は、非透光の材質からなり、たとえば白色の樹脂からなる。透光部465は、非透光部464に対して第1外方端縁422とは反対側に位置する領域を含む領域に設けられている。図示された例においては、透光部465は、図中右方のバスバー部51を跨ぐようにして形成されている。また、透光部465は、その一部が支持基板41に接している。本変形例によっても、バイパス導電部5を保護することができる。また、非透光部464を有することにより、紫外線等の光を受けることによってバイパス導電部5が劣化すること等を抑制することができる。
【0920】
図209は、電子機器B19および有機薄膜太陽電池モジュールA19の変形例を示している。本変形例においては、保護樹脂層4の第2保護樹脂層46が有機薄膜太陽電池モジュールA19と表示部702とを接合する接合層を兼ねている。この場合、第2保護樹脂層46は、透明な材質からなる。
【0921】
図210は、電子機器B19および有機薄膜太陽電池モジュールA19の変形例を示している。
図211は、本変形例の第1導電層1を示す平面図である。本変形例においては、第1導電層1は、上述した第3端縁101および第3端縁101によって規定される開口18を有していない。すなわち、本変形例においては、第1導電層1は、平面視において表示部702と重なっている。
【0922】
図212および
図213は、本発明の第21実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールを示している。本実施形態の有機薄膜太陽電池モジュールA21は、第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3、支持基板41、パッシベーション層42、保護樹脂層4およびバイパス導電部5を備えている。有機薄膜太陽電池モジュールA21の平面視形状は特に限定されず、図示された例は、上述した有機薄膜太陽電池モジュールA19と同様の平面視形状である場合の例である。
図212は、有機薄膜太陽電池モジュールA19における
図187に相当する要部拡大断面図である。
図213は、第1保護樹脂層45およびバイパス導電部5を省略した要部拡大平面図である。
【0923】
本実施形態のパッシベーション層42の第1端縁421および第1外方端縁422は、
図212に示すように、凹凸形状の端面となっている。また、第1端縁421は全体として、支持基板41の厚さ方向において支持基板41から離間するほど平面視において第3端縁101から離間する向きに傾いている。また、第1外方端縁422は全体として、支持基板41の厚さ方向において支持基板41から離間するほど第1導電層1の第2延出部103から離間する向きに傾いている。また、本実施形態の第1端縁421は、
図213に示すように、平面視において第3端縁101から離間した非直線状の形状である。第1端縁421は、たとえば複数の折れ線や曲線が結合された形状である。第1外方端縁422も同様に、平面視において被直線状の形状である。
【0924】
バイパス導電部5の1つのバスバー部51は、パッシベーション層42の第1端縁421を全長にわたって覆っている。このバスバー部51は、第1導電層1のうち第3端縁101と第1端縁421との間に位置する第1延出部104を覆っている。また、このバスバー部51の第7端縁511は、平面視において第3端縁101に対して第1端縁421とは反対側に位置している。これにより、このバスバー部51は、支持基板41に直接接している。他方のバスバー部51は、パッシベーション層42の第1外方端縁422を全長にわたって覆っている。このバスバー部51は、第1導電層1の第2延出部103を覆っている。また、このバスバー部51の第7外方端縁512は、平面視において第3外方端縁105に対して第1外方端縁422とは反対側に位置している。これにより、このバスバー部51は、支持基板41に直接接している。このような構成により、2つのバスバー部51は、それぞれが第1導電層1と導通している。
【0925】
連絡部52は、パッシベーション層42の表面423上に形成された部分である。連絡部52は、たとえば2つのバスバー部51同士や、バイパス導電部5のうちバスバー部51および連絡部52以外の部位とバスバー部51を連結している。
【0926】
本実施形態の保護樹脂層4は、第1保護樹脂層45のみを有している。
図212に示すように、第1保護樹脂層45は、パッシベーション層42およびバイパス導電部5を覆っており、たとえば紫外線硬化樹脂からなる。また、第1保護樹脂層45は、有機薄膜太陽電池モジュールA21と上述した表示部702とを接合するための透明な接合層を兼ねていてもよい。図示された例においては、第2端縁451の第2端縁451は、平面視において第7端縁511に対して第1端縁421とは反対側に位置している。第1保護樹脂層45の第2外方端縁452は、平面視において第7外方端縁512に対して第1外方端縁422とは反対側に位置している。これにより、第1保護樹脂層45は、支持基板41に直接接する部分を有する。また、第1保護樹脂層45は、パッシベーション層42の表面423のうちバイパス導電部5から露出した部分を覆っている。
【0927】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA21の製造方法の一例について以下に説明する。なお、以下の説明において参照する図においては、理解の便宜上、
図212とは、天地逆に表されている。
【0928】
まず、
図200に示した支持基板41を用意する。そして、
図201に示したように、支持基板41の片面にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITOからなる第1導電膜10を積層する。次いで、
図202に示したように光電変換層3を形成し、
図203に示したように第2導電層2を形成する。
【0929】
次に
図214に示すように、レーザー光Lz1を用いたレーザパターニングを用いた手法によって、第1導電膜10にパターニングを施す。これにより、第1導電膜10には、スリット191およびスリット192が形成される。レーザー光Lz1は、第1導電膜10をレーザパターニング可能なものであれば特に限定されず、たとえばIRレーザー光を用いることができる。スリット191を構成する第1導電膜10の端縁のうち図示された第2導電層2および光電変換層3側に位置するものは、第3端縁101となる。第1導電膜10のうち第5内方退避端縁301とスリット191との間の部分は、第1延出部104となる。スリット192を構成する第1導電膜10の端縁のうち図示された第2導電層2および光電変換層3側に位置するものは、第3外方端縁105となる。第1導電膜10のうちスリット192と光電変換層3の第5外方退避端縁302との間の部分は、第2延出部103となる。
【0930】
なお、光電変換層3の形成に先立って、第1導電膜10にスリット191およびスリット192を形成するためのパターニングを施してもよい。当該パターニングに用いられる手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、酸素プラズマエッチングを用いた手法等が適宜採用される。また、第1導電膜10は、上記に限られず、たとえばナノインプリントを用いた手法によって、支持基板41上に直接的にITOをパターニングすることで形成するようにしても良い。
【0931】
次いで、
図215に示すように、絶縁膜420を形成する。絶縁膜420の形成は、たとえばプラズマCVD法によってSiNまたはSiONなどの膜を支持基板41、第1導電膜10、光電変換層3および第2導電層2上に形成することにより行う。
【0932】
次いで、絶縁膜420を部分的に除去することによる第1端縁421を有するパッシベーション層42の形成および第1導電膜10の部分的な除去による第1導電層1の形成を含み、第1端縁421に隣接する領域において支持基板41を露出させる工程を行う。本実施形態においては、支持基板41を露出させる工程は、
図216に示すように、絶縁膜420を透して第1導電膜10にレーザー光Lz2を照射することにより、第1導電膜10および絶縁膜420を部分的に除去する処理を含む。同図において、第1導電膜10のうち相対的に濃い複数の離散点からなるハッチングが付された部分は、レーザー光Lz2が照射される部分を表している。また、絶縁膜420のうち相対的に薄い複数の離散点からなるハッチングが付された部分は、レーザー光Lz2の照射に起因して除去される部分を表している。なお、レーザー光Lz2を用いた手法に限定されず、たとえばエッチングを用いた手法を選択してもよい。
【0933】
より具体的には、絶縁膜420を透して、第1導電膜10のうちスリット191およびスリット192を挟んで図示された第2導電層2および光電変換層3とは反対側に位置する部分に、レーザー光Lz2を照射する。レーザー光Lz2としては、たとえば波長が1,064nm程度のIRレーザー光が選択される。このレーザー光Lz2が照射された第1導電膜10の部分は、顕著なエネルギー投入によって瞬時に揮発する挙動を示す。
【0934】
一方、上述したレーザー光Lz2の波長は、第1導電膜10に比べて絶縁膜420が吸収しづらいものが選択されている。このため、絶縁膜420は、レーザー光Lz2によって直接に破壊されるものではない。しかし、絶縁膜420のうち第1導電膜10と接する部分は、第1導電膜10を介して支持基板41によって支持されている。第1導電膜10がレーザー光Lz2の照射によって揮発すると、絶縁膜420一部は、支持基板41によって支持されないものとなる。また、レーザー光Lz2が照射された第1導電膜10の部分(図中において相対的に濃い複数の離散点からなるハッチングが付された部分)に重なっている絶縁膜420は、第1導電膜10が揮発したことによる圧力によってその一部が飛散する。
【0935】
また、発明者の研究の結果、絶縁膜420のうち、レーザー光Lz2が照射された第1導電膜10の部分に隣接する部分は、第1導電膜10の揮発の影響によって飛散することが判明した。
図216においては、絶縁膜420のうちレーザー光Lz2の照射に起因して飛散する部分を、相対的に薄い複数の離散点からなるハッチングを付している。本実施形態においては、絶縁膜420のうち飛散する部分は、スリット191およびスリット192を超えて、第2導電層2および光電変換層3側に存在する。ただし、第2導電層2および光電変換層3の一部を露出させる程度に、パッシベーション層42が破壊されないように、スリット191およびスリット192の大きさや位置、およびレーザー光Lz2の照射範囲や出力等を適宜調節している。この結果、絶縁膜420のうちスリット191側に位置する端縁が第1端縁421となり、スリット192側に位置する端縁が第1外方端縁422となる。また、第1導電膜10のうちスリット191に隣接する複数の離散点からなるハッチング部分は、レーザー光Lz2の照射により除去される。このため、第1導電膜10のうちスリット191に対して平面視において光電変換層3側に位置する端縁が、第3端縁101となり、第1導電膜10のうちスリット192に対して平面視において光電変換層3側に位置する端縁が、第3外方端縁105となる。また、第1導電膜10のうちスリット192に隣接する複数の離散点からなるハッチング部分は、レーザー光Lz2の照射により除去される。また、スリット191およびスリット192に隣接する絶縁膜420の一部がレーザー光Lz2の照射に伴って飛散することにより、第1導電膜10のうちスリット191およびスリット192に隣接する一部が、パッシベーション層42から露出する。この部分が、第1延出部104および第2延出部103となる。
【0936】
以上に述べたレーザー光Lz2の照射によって、第1導電膜10および絶縁膜420の部分的な除去を行うことにより、
図217に示すように、第1端縁421および第1外方端縁422を有するパッシベーション層42が形成される。また、第1端縁421および第1外方端縁422から延出する部分を有する第1導電層1が形成される。第1導電層1には、第3端縁101および第2延出部103が形成される。なお、
図216に示した工程の後に、支持基板41上に残存した第1導電膜10等の除去を目的として、たとえば王水を用いた洗浄処理を行ってもよい。
【0937】
次いで、
図218に示すようにバイパス導電部5を形成する。バイパス導電部5を形成する。バイパス導電部5の形成は、たとえばAgまたはカーボンを含むペーストを塗布した後に、たとえば乾燥などの手法によってこのペーストを硬化させることによって行う。バイパス導電部5の形成は、第1導電層1のうちパッシベーション層42から延出した部分を覆うようにして行う。また、バイパス導電部5は、支持基板41に直接触れるように形成されることが好ましい。これにより、バスバー部51および連絡部52を有するバイパス導電部5が得られる。
【0938】
この後は、バイパス導電部5およびパッシベーション層42を覆うように、第1保護樹脂層45(保護樹脂層4)を形成する。第1保護樹脂層45の形成は、たとえば紫外線硬化樹脂を含む液体樹脂材料をスクリーン印刷によってパッシベーション層42上に塗布し、紫外線を照射することによって硬化させる。以上の工程を経ることにより、
図212に示す有機薄膜太陽電池モジュールA21が完成する。
【0939】
このような実施形態によっても、有機薄膜太陽電池モジュールA19および電子機器B19の通電部分の劣化を回避しつつ通電損失を抑制することができる。また、
図212に示すように、バイパス導電部5のバスバー部51は、第1導電層1の第1延出部104および第2延出部103を覆っている。これにより、第1導電層1とバイパス導電部5との導通面積を拡大することが可能であり、低抵抗化に好ましい。第1端縁421および第1外方端縁422が、凹凸形状であることにより、第1端縁421および第1外方端縁422とバイパス導電部5のバスバー部51との接合強度を高めることが可能である。
【0940】
図216に示したように、第1導電層1にレーザー光Lz2を照射することによって生じる第1導電層1の揮発を利用して、パッシベーション層42を除去している。このため、パッシベーション層42を除去するための専用のレーザー光や薬剤等は不要である。これは、製造コストの低減や制造時間の短縮に好ましい。レーザー光Lz2としてIRレーザー光を用いることにより、絶縁膜420を透過して第1導電膜10へとレーザー光Lz2を効率よく照射することが可能である。また、レーザー光Lz2としてIRレーザー光を用いることにより、パッシベーション層42の第1端縁421および第1外方端縁422を凹凸形状に仕上げることができるという利点がある。なお、絶縁膜420の材質の一例であるSiNは、400nmより長波長の光を透過させる。このため、絶縁膜420がSiNからなる場合、レーザー光Lz2として波長が532nmであるGreenレーザー光を用いてもよい。一方で、レーザー光Lz2として波長が355nmであるUVレーザー光を用いた場合には、絶縁膜420と第1導電膜10とがレーザー光Lz2を吸収するため、これらを一括して除去することができる。
【0941】
絶縁膜420および第1導電膜10の部分的な除去は、レーザー光Lz2を用いて行う。レーザー光Lz2は、照射する領域をより正確に制御することが可能である。したがって、絶縁膜420および第1導電膜10のうち所望の箇所を除去するのに適している。
【0942】
絶縁膜420の部分的な除去は、レーザー光Lz2が照射された第1導電膜10に隣接する絶縁膜420が破壊される挙動を利用する。これにより、
図219においてパッシベーション層42から露出する第1導電層1の部分は、レーザー光Lz2が照射されていないにもかかわらず、当該部分を覆っていた絶縁膜420の部分が除去されている。このため、第1導電層1のうちパッシベーション層42から露出する部分を不当に破壊することを回避しつつ、絶縁膜420を適切に除去することができる。
【0943】
第1導電膜10にスリット191およびスリット192を設けておくことにより、第1導電膜10の揮発の影響を受ける絶縁膜420の領域が、不当に広域にわたってしまうことを回避することが可能である。また、スリット191およびスリット192を設けておくことにより、
図218および
図219に示した第1導電膜10を部分的に除去する工程において、除去されるべき領域に第1導電膜10の一部が残存したとしても、この残存部分と第1導電層1とが意図せず導通してしまうことを回避することができる。また、第1導電膜10のうちスリット192を挟んで光電変換層3とは反対側に位置する部分は、除去されることなく、有機薄膜太陽電池モジュールA20の一部として残存してもよい。この部分は、スリット192が設けられていることにより、第1導電層1と導通することが防止されている。また、この部分の除去を省略すれば、製造時間を短縮することができる。なお、スリット191およびスリット192を設ける構成は好適例であり、これらを設けない構成であってもよい。
【0944】
図219は、有機薄膜太陽電池モジュールA21の変形例を示している。本変形例においては、第1保護樹脂層45は、非透光部454および透光部455を有する。非透光部454は、平面視においてバイパス導電部5と重なり、且つ第1端縁421よりも第1外方端縁422側の領域に設けられている。非透光部454は、非透光の材質からなり、たとえば白色の樹脂からなる。透光部455は、非透光部454に対して第1外方端縁422とは反対側に位置する領域を含む領域に設けられている。図示された例においては、透光部455は、図中右方のバスバー部51を跨ぐようにして形成されている。また、透光部455は、その一部が支持基板41に接している。本変形例によっても、バイパス導電部5を保護することができる。また、非透光部454を有することにより、紫外線等の光を受けることによってバイパス導電部5が劣化すること等を抑制することができる。
【0945】
本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュールおよび電子機器は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュールおよび電子機器の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0946】
本発明に係る電子機器は、携帯型電話端末をはじめ、太陽光発電を利用可能な様々な電子機器に適用することが可能であり、たとえば腕時計、電子計算機などが挙げられる。
【0947】
以下に、本発明の技術的特徴について付記する。
【0948】
〔付記1F〕
透明な支持基板と、
前記支持基板に積層された透明な第1導電層と、
第2導電層と、
前記第1導電層および前記第2導電層に挟まれた有機薄膜からなる光電変換層と、
前記第2導電層を覆うパッシベーション層と、
を備え、
前記第1導電層は、平面視において前記パッシベーション層から延出する延出部を有し、
前記延出部の少なくとも一部を覆い、且つ前記第1導電層の材料よりも低抵抗の材料からなるバイパス導電部と、
前記バイパス導電部を覆う保護樹脂層と、を備える、有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記2F〕
前記パッシベーション層は、第1端縁を有し、
前記第1端縁に隣接する領域において、前記支持基板が露出している、付記1Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記3F〕
前記第1導電層の前記延出部は、前記第1端縁から露出する第1延出部を含み、
前記第1延出部は、平面視において前記第1端縁から離間する第3端縁を有する、付記2Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記4F〕
前記保護樹脂層は、前記パッシベーション層を覆う第1保護樹脂層と、当該第1保護樹脂層に積層され且つ前記バイパス導電部を覆う第2保護樹脂層と、を含み、
前記第1保護樹脂層は、平面視において前記第1端縁と一致する第2端縁を有する、付記3Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記5F〕
前記第1端縁と前記第2端縁とは、連続した面をなす、付記4Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記6F〕
前記バイパス導電部は、平面視において前記第3端縁と一致する第7端縁を有する、付記5Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記7F〕
前記第2保護樹脂層は、平面視において前記第3端縁および前記第7端縁に対して前記第1端縁とは反対側に位置する第6端縁を有し且つ前記支持基板に接している、付記6Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記8F〕
前記第2導電層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第4内方退避端縁を有する、付記7Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記9F〕
前記光電変換層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第5内方退避端縁を有する、付記8Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記10F〕
前記第4内方退避端縁は、平面視において前記第5内方退避端縁よりも内方に退避している、付記9Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記11F〕
前記パッシベーション層は、平面視において前記光電変換層の少なくとも一部を挟んで前記第1端縁と反対側に位置する第1外方端縁を有し、
前記延出部は、前記第1外方端縁から延出する第2延出部を含み、
前記第2延出部は、平面視において前記第1外方端縁から離間する第3外方端縁を有する、付記10Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記12F〕
前記第1保護樹脂層は、平面視において前記第1外方端縁と一致する第2外方端縁を有する、付記11Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記13F〕
前記第1外方端縁と前記第2外方端縁とは、連続した面をなす、付記12Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記14F〕
前記バイパス導電部は、平面視において前記第3外方端縁と一致する第7外方端縁を有する、付記13Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記15F〕
前記第2保護樹脂層は、平面視において前記第3外方端縁および前記第7外方端縁に対して前記第1外方端縁とは反対側に位置する第6外方端縁を有し且つ前記支持基板に接している、付記14Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記16F〕
前記第2保護樹脂層は、平面視において前記バイパス導電部と重なり且つ前記第1端縁よりも前記第1外方端縁側の領域に設けられた非透光部を含む、付記15Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記17F〕
前記非透光部は、白色である、付記16Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記18F〕
前記バイパス導電部は、平面視において前記第3端縁に対して前記第1端縁とは反対側に位置する第7端縁を有する、付記3Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記19F〕
前記保護樹脂層は、平面視において前記第7端縁に対して前記第1端縁とは反対側に位置する第2端縁を有し且つ前記支持基板に接している、付記18Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記20F〕
前記第2導電層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第4内方退避端縁を有する、付記19Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記21F〕
前記光電変換層は、平面視において前記第1端縁よりも内方に退避した第5内方退避端縁を有する、付記20Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記22F〕
前記第4内方退避端縁は、平面視において前記第5内方退避端縁よりも内方に退避している、付記21Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記23F〕
前記パッシベーション層は、平面視において前記光電変換層の少なくとも一部を挟んで前記第1端縁と反対側に位置する第1外方端縁を有し、
前記延出部は、前記第1外方端縁から延出する第2延出部を含み、
前記第2延出部は、平面視において前記第1外方端縁から離間する第3外方端縁を有する、付記22Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記24F〕
前記バイパス導電部は、平面視において前記第3外方端縁に対して前記第1外方端縁とは反対側に位置する第7外方端縁を有する、付記23Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記25F〕
前記保護樹脂層は、平面視において第7外方端縁に対して前記第1外方端縁とは反対側に位置する第2外方端縁を有し且つ前記支持基板に接している、付記24Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記26F〕
前記保護樹脂層は、平面視において前記バイパス導電部と重なり且つ前記第1端縁よりも前記第1外方端縁側の領域に設けられた非透光部を含む、付記25Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記27F〕
前記非透光部は、白色である、付記26Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記28F〕
前記第1端縁は、平面視環状である、付記15Fまたは25Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記29F〕
前記第3端縁は、平面視環状である、付記28Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記30F〕
前記第4内方退避端縁は、平面視環状である、付記29Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記31F〕
前記第5内方退避端縁は、平面視環状である、付記30Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記32F〕
前記第6端縁は、平面視環状である、付記31Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記33F〕
前記第7端縁は、平面視環状である、付記32Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記34F〕
前記第2端縁は、平面視環状である、付記15Fに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記35F〕
前記第1導電層は、ITOからなる、付記1Fないし34Fのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記36F〕
前記第2導電層は、金属からなる、付記1Fないし35Fのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記37F〕
前記第2導電層は、Alからなる、付記1Fないし36Fのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記38F〕
前記パッシベーション層は、SiNからなる、付記1Fないし37Fのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記39F〕
前記保護樹脂層は、紫外線硬化樹脂からなる、付記1Fないし38Fのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記40F〕
付記1Fないし39Fのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールと、
前記有機薄膜太陽電池モジュールからの給電によって駆動する駆動部と、
を備える、電子機器。
【0950】
本発明において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
【0951】
図220〜
図226は、本発明の第22実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュール示している。
図227は、本発明の第22実施形態に基づく電子機器を示している。
【0952】
図220は、有機薄膜太陽電池モジュールA22を示す要部平面図である。
図221は、
図220のCCXXI−CCXXI線に沿う断面図である。
図222は、有機薄膜太陽電池モジュールA22を示す要部拡大平面図である。
図223は、
図222のCCXXIII−CCXXIII線に沿う要部拡大断面図である。
図224は、
図222のCCXXIV−CCXXIV線に沿う要部拡大断面図である。
図225は、有機薄膜太陽電池モジュールA22を示す要部拡大平面図である。
図226は、
図225のCCXXVI−CCXXVI線に沿う要部拡大断面図である。
図227は、有機薄膜太陽電池モジュールA22および電子機器B22を示すシステム構成図である。なお、以降の説明において、「z方向視」は、平面視を意味し、「z方向」は支持基板41等の厚さ方向を意味する。
【0953】
図227に示すように、電子機器B22は、有機薄膜太陽電池モジュールA22および駆動部71を備える。有機薄膜太陽電池モジュールA25は、電子機器B22における電源モジュールであり、太陽光などの光を電力に変換する。
【0954】
駆動部71は、有機薄膜太陽電池モジュールA22からの給電によって駆動するものである。駆動部71の具体的な構成や機能は特に限定されず、電子機器B22の機能を実現しうる様々な構成が採用され得る。駆動部71の一例を挙げると、電子計算機器としての電子機器B22を実現する電子計算処理部、無線通信モジュールとしての電子機器B22を実現する無線通信部、腕時計としての電子機器B22を実現しうる計時処理部、携帯型電子端末機器としての電子機器B22を実現しうる入出力演算処理部、等が挙げられる。
【0955】
有機薄膜太陽電池モジュールA22は、支持基板41、第1導電層1、第2導電層2、光電変換層3およびパッシベーション層42を備える。本実施形態においては、有機薄膜太陽電池モジュールA22は、z方向視矩形状とされているが、これは有機薄膜太陽電池モジュールA22の形状の一例であり、様々な形状に設定されうる。
図220、
図222および
図225においては、理解の便宜上、パッシベーション層42を省略している。
【0956】
支持基板41は、有機薄膜太陽電池モジュールA22の土台となるものである。支持基板41は、たとえば透明なガラスあるいは樹脂等から適宜選択される材質からなる、単層もしくは複数層を有する。支持基板41の厚さは、たとえば0.05mm〜2.0mmである。支持基板41の形状や大きさは特に限定されず、本実施形態においては、z方向視矩形状とされている。
【0957】
有機薄膜太陽電池モジュールA22には、
図220および
図222に示すように、複数の基板露出領域410および基板露出領域412が形成され、
図220に示すように基板露出領域411が形成されている。複数の基板露出領域410、基板露出領域411および基板露出領域412は、支持基板41のうち第1導電層1から露出した領域である。
【0958】
第1導電層1は、支持基板41上に形成されている。第1導電層1は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。第1導電層1は、複数の第1区画部11および第3区画部15を有する。第1導電層1の形状は、様々な形状に設定されうる。第1導電層1の厚さは、たとえば100nm〜300nmである。
【0959】
複数の第1区画部11は、基板露出領域410を介して隣り合っている。本実施形態においては、4つの第1区画部11が3つの基板露出領域410を介して隣り合っている。また、4つの第1区画部11は、x方向に沿って一直線上に配列されている。なお、以下においては、4つの第1区画部11を、理解の便宜上、第1区画部11−1、第1区画部11−2、第1区画部11−3および第1区画部11−4と必要に応じて区別して説明する。
【0960】
第1区画部11は、第1区画部第1端縁110、第1区画部第2端縁120および2つの第1区画部第3端縁130を有する。
【0961】
第1区画部第1端縁110は、基板露出領域410の一部を区画する端縁である。第1区画部第2端縁120は、基板露出領域410の一部を区画する端縁である。すなわち、基板露出領域410は、一方の第1区画部11(図中x方向右側、
図222における第1区画部11−2)の第1区画部第1端縁110と他方の第1区画部11(図中x方向左側、
図222における第1区画部11−3)の第1区画部第2端縁120とによって既定されている。
【0962】
本実施形態においては、第1区画部11−1〜3の第1区画部第1端縁110は、第1辺111を有し、第1区画部11−2〜4の第1区画部第2端縁120は、第2辺121を有する。同一の基板露出領域410を区画する第1辺111(
図222における第1区画部11−2の第1辺111)と第2辺121(
図222における第1区画部11−3の第2辺121)とは、互いに平行である。また、本実施形態においては、第1辺111と第2辺121とは、いずれもy方向に沿う直線状である。これに対応して、本実施形態においては、基板露出領域410のうち第1辺111および第2辺121に規定されている部分は、y方向に沿う直線状である。
【0963】
2つの第1区画部第3端縁130は、第1区画部第1端縁110の両端と第1区画部第2端縁120の両端とをそれぞれ繋いでいる。本実施形態においては、第1区画部第3端縁130は、x方向に沿う直線状である。第1区画部第3端縁130は、基板露出領域412の一部を規定している。本実施形態の11は、第1区画部第1端縁110の第1辺111、第1区画部第2端縁120の第2辺121および2つの第1区画部第3端縁130によって構成されたx方向視略矩形状とされている。
【0964】
図220および
図225に示すように、図中x方向において最も右側に位置する第1区画部11−1と第3区画部15とは、基板露出領域411を介して隣り合っている。第3区画部15は、第3区画部端縁160を有する。第3区画部15の第3区画部端縁160と第3区画部15に隣り合う第1区画部11−1の第1区画部第2端縁120とによって、基板露出領域411が規定されている。第3区画部端縁160は、第3区画部平行部161を有する。第3区画部平行部161は、第1区画部11−1の第2辺121と平行な部分である。本実施形態においては、第3区画部平行部161は、y方向に沿う直線状である。
【0965】
光電変換層3は、支持基板41および第1導電層1上に積層されており、第1導電層1と第2導電層2とに挟まれている。光電変換層3は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層3の具体的構成は特に限定されないが、その一例を挙げると、バルクヘテロ接合有機活性層と、このバルクヘテロ接合有機活性層に対して第1導電層1側に積層された正孔輸送層とからなる。本実施形態においては、光電変換層3は、平面視円形状とされているが、これは一例であり、光電変換層3は、様々な形状とされうる。光電変換層3の厚さは、たとえば50nm〜300nmである。
【0966】
バルクヘテロ接合有機活性層は、p型有機活性層領域とn型有機活性層領域が混在し、複雑なバルクへテロpn接合を形成している。p型有機活性層領域は、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene-2,5diyl))で形成され、n型有機活性層領域は、例えば、PCBM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)で形成されている。正孔輸送層は、たとえばPEDOT:PSSで形成されている。
【0967】
光電変換層3の形成に用いられる材質を例示すると、フタロシアニン(Pc:Phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc:Zinc- phthalocyanine)、Me−Ptcdi(N,N’-dimethyl perylene-3,4,9,10-dicarboximide)、フラーレン(C 60 :Buckminster fullerene)が挙げられる。これらの材質は、たとえば真空蒸着に使用される。
【0968】
また、光電変換層3の形成に用いられる他の材質を例示すると、MDMO−PPV(poly[2-methoxy-5-(3,7-dimethyl octyloxy)]-1,4-phenylene vinylene)、PCDTBT(poly[N-9’-hepta-decanyl-2,7-carbazole-alt-5,5-(4’,7’-di-thienyl-2’1’,3’-b3nzothiadizaole)])、PC60BM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)、PC70BM(6,6-phenyl-C71-butyric acid methyl ester)が挙げられる。これらの材質は、たとえば溶液プロセスに使用される。
【0969】
第2導電層2は、その大部分が光電変換層3を介して第1導電層1上に積層されている。また、第2導電層2の一部は、第1導電層1に直接接している。第2導電層2の材質は特に限定されず、透明であっても不透明であってもよいが、本実施形態においては、第2導電層2は、Al、W、Mo、Mn、Mgに代表される金属からなる。以下においては、第2導電層2がAlからなる場合を例に説明する。したがって、第2導電層2は、不透明である。またこの場合、第2導電層2の支持基板41とは反対側の表面に、Al2O3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されてもよい。第2導電層2の厚さは、たとえば30nm〜150nmである。
【0970】
図220に示すように、第2導電層2は、複数の第2区画部21を有する。複数の第2区画部21は、基板露出領域410の一部ずつを挟んで隣り合っている。本実施形態の場合、より具体的には、隣り合う第2区画部21は、第1区画部第1端縁110の第1辺111と第1区画部第2端縁120の第2辺121とを間に挟んで隣り合っている。本実施形態においては、4つの第2区画部21が3つの基板露出領域410の一部ずつを挟んで隣り合っている。また、4つの第2区画部21は、x方向に沿って一直線上に配列されている。なお、以下においては、4つの第2区画部21を、理解の便宜上、第2区画部21−1、第2区画部21−2、第2区画部21−3および第2区画部21−4と必要に応じて区別して説明する。
【0971】
図220および
図222に示すように、第2区画部21は、z方向視において第1区画部11と重なっている。第2区画部21は、第2区画部第1端縁210、第2区画部第2端縁220および2つの第2区画部第3端縁230を有する。
【0972】
第2区画部21−1〜3(
図222における第2区画部21−2)の第2区画部第1端縁210は、基板露出領域410を規定する第1区画部11−1〜3(
図222における11−2)の第1区画部第1端縁110に対して当該基板露出領域410を規定する第1区画部11−2〜4(
図222における第1区画部11−3)の第1区画部第2端縁120とは反対側に位置する。第2区画部第2端縁220は、z方向視において基板露出領域410の一部を挟んで隣り合う第2区画部21の第2区画部第1端縁210と対向している。
【0973】
本実施形態においては、第2区画部第1端縁210(
図222における第2区画部21−2の第2区画部第1端縁210)と第2区画部第2端縁220(
図222における第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220)とは、互いに平行である。また、第2区画部第1端縁210および第2区画部第2端縁220は、y方向に沿う直線状である。すなわち、本実施形態においては、第1辺111、第2辺121、第2区画部第1端縁210および第2区画部第2端縁220が、互いに平行であり、y方向に沿う直線状である。
【0974】
2つの第2区画部第3端縁230は、第2区画部第1端縁210の両端と第2区画部第2端縁220の両端とをそれぞれ繋いでいる。2つの第2区画部第3端縁230は、互いに平行であり、x方向に沿う直線状である。これらの第2区画部第1端縁210、第2区画部第2端縁220および2つの第2区画部第3端縁230を有する第2区画部21は、z方向視矩形状である。
【0975】
図221、
図223、
図224および
図226に示すように、パッシベーション層42は、第2導電層2上に積層されており、第2導電層2および光電変換層3を覆っている。パッシベーション層42は、たとえばSiNまたはSiONからなる。パッシベーション層42の厚さは、たとえば0.5μm〜2.0μmであり、本実施形態においては、たとえば1.5μm程度とされる。パッシベーション層42が光電変換層3を覆っていることにより、光電変換層3に外部から水やパーティクル等が進入することを防止できる。また、パッシベーション層42は、光電変換層3よりも厚く構成されていることにより、有機薄膜太陽電池モジュールA22の強度を向上させることができる。なお、上述のような平坦なパッシベーション層42は、例えばパッシベーション層42が光電変換層3に対して厚い層とすること、また後述するCVDを用いた手法によって形成されることにより形成することができ、これに限られない。また、パッシベーション層42上に、さらに他の層が積層された構成であってもよい。たとえば、電子機器B22の他の構成要素と有機薄膜太陽電池モジュールA22とを接合するための接合層が設けられていてもよい。あるいは、パッシベーション層42を保護する保護層が設けられていてもよい。
【0976】
図222〜
図224に示すように、第1区画部11−1〜3(
図222における第1区画部11−2)の第1区画部第1端縁110は、第1辺111に加えて2つの第1被覆部112を有する。第1被覆部112は、第1区画部第1端縁110のうちz方向視において第2区画部21と重なっており、z方向視において第2区画部21に被覆されている部分である。本実施形態においては、2つの第1被覆部112が、それぞれ第1辺111のy方向両端部に接続されて設けられている。第1被覆部112の形状は特に限定されず、本実施形態においては、第1被覆部112は、第1辺111に対してx方向に突出する形状とされており、第1辺1121、第2辺1122および第3辺1123を有する。第1辺1121は、第1区画部第3端縁130と平行でありx方向に沿う辺である。第2辺1122は、第1辺1121と交差する方向に沿う辺であり、y方向に沿っている。第3辺1123は、第1辺1121と第2辺1122とを繋ぐ辺であり、図示された例においては、湾曲形状とされている。また、図示された第1被覆部112は、一端が第2区画部第2端縁220に到達し、他端が第2区画部第3端縁230にz方向視において交差している。
【0977】
図222〜
図224に示すように、第1区画部11−2〜4(
図222における第1区画部11−3)の第1区画部第2端縁120は、第2辺121に加えて2つの第2被覆部122を有する。第2被覆部122は、第1区画部第2端縁120のうちz方向視において第2区画部21と重なる部分である。本実施形態においては、2つの第2被覆部122が、第2辺121のy方向両端部に接続されて設けられている。第2被覆部122の形状は特に限定されず、本実施形態においては、第2被覆部122は、第2辺121に対してx方向に凹んだ形状とされており、第1辺1221、第2辺1222および第3辺1223を有する。第1辺1221は、第1区画部第3端縁130と平行でありx方向に沿う辺である。第2辺1222は、第1辺1221と交差する方向に沿う辺であり、y方向に沿っている。第3辺1223は、第1辺1221と第2辺1222とを繋ぐ辺であり、図示された例においては、湾曲形状とされている。また、図示された第2被覆部122は、一端が第2区画部第2端縁220に到達し、他端が第2区画部第3端縁230に到達している。
【0978】
上述した第1被覆部112および第2被覆部122の形状に対応して、本実施形態の
基板露出領域410は、z方向視において第2区画部21と重なっており、交差部415および交差部416を有する。交差部415は、基板露出領域410が第2区画部第2端縁220と交差する部分である。交差部416は、基板露出領域410が第2区画部第3端縁230と交差する部分である。
【0979】
図220〜
図224に示すように、光電変換層3は、複数の光電変換層接続部33を有する。
図222〜
図224に示すように、光電変換層接続部33は、z方向視において基板露出領域410の一部(
図222に示す部位の場合、第1区画部11−2の第1辺111と第1区画部11−3の第2辺121とによって規定された部分)を挟んで隣り合う第1導電層1の第1区画部11(
図222に示す部位の場合、第1区画部11−2)と第2導電層2の第2区画部21(
図222に示す部位の場合、第2区画部21−3)の双方と重なる部分であって、当該第1区画部11の第1被覆部112および当該第2区画部21の第2区画部第2端縁220によって区画された部分である。また、本実施形態においては、光電変換層接続部33は、第2区画部第3端縁230(
図222に示す部位の場合、第2区画部21−3の第2区画部第3端縁230)によって区画されている。すなわち、本実施形態の光電変換層接続部33は、z方向視において矩形状とされた第2区画部21(
図222に示す部位の場合、第2区画部21−3)の角部に重なる位置に設けられている。さらに、本実施形態においては、
図220に示すように、1つの第2区画部21に対して、2つの光電変換層接続部33が、y方向に離間した2つの角部に重なる位置に設けられている。
【0980】
光電変換層接続部33には、光電変換層貫通部331が形成されている。光電変換層貫通部331は、光電変換層3をz方向に貫通する貫通孔によって構成されている。光電変換層貫通部331の形状や大きさは特に限定されず、図示された例においては、z方向視円形状とされている。また、この光電変換層貫通部331の直径は、たとえば40μm程度である。
【0981】
第1区画部11−1〜3は、第1接続部13を有する。第1接続部13は、z方向視において光電変換層接続部33と一致する部分である。第2区画部21は、第2接続部23を有する、第2接続部23は、z方向視において光電変換層接続部33と一致する部分である。第1区画部11−1〜3の第1接続部13と第2区画部21−2〜4第2接続部23とは、光電変換層貫通部331を通じて互いに接触しており、互いに導通している。このため、第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33は、発電を行わない部分となっている。
【0982】
本実施形態においては、第1区画部11の第1接続部13に第1貫通部131が設けられている。本実施形態においては、第1導電層1をz方向に貫通する貫通孔を第1貫通部131と称する。第1貫通部131は、z方向視において光電変換層貫通部331に内包されている。また、第1貫通部131の内端縁は、z方向視において光電変換層貫通部331の内端縁から離間している。これにより、第1区画部11の第1接続部13の一部が、z方向視において光電変換層貫通部331から露出している。この露出した部分に第2導電層2の第2区画部21−2〜4の第2接続部23が接触している。また、第2区画部21−2〜4の第2接続部23は、第1貫通部131を介して支持基板41に接している。
【0983】
光電変換層3は、複数の光電変換層発電部32を有している。また、第1導電層1の第1区画部11は、第1電極部12を有しており、第2導電層2の第2区画部21は、第2電極部22を有している。
図220、
図222および
図225においては、第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32に、複数の離散点からなるハッチングを付している。第1電極部12は、z方向視において光電変換層接続部33と重ならず且つ第2導電層2の第2区画部21と重なる部分である。言い換えれば第2区画部21は、z方向視において、第1電極部12と一致する部分である。光電変換層発電部32は、z方向視において、第1電極部12および第2電極部22と一致する部分である。本実施形態においては、第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32は、z方向視において第2区画部第1端縁210、第2区画部第2端縁220、2つの第2区画部第3端縁230および2つの第2被覆部122によって規定された部分である。第1電極部12および第2電極部22は、光電変換層発電部32を介して積層されており、互いに接触していない。これにより、第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32は、発電を行う部分となっている。
【0984】
本実施形態においては、z方向視において、光電変換層接続部33と光電変換層発電部32の一部とが、y方向において隙間を介して隣り合っている。すなわち、光電変換層接続部33は、x方向における位置が、光電変換層発電部32の一部のx方向位置と同じである。また、第1接続部13は、基板露出領域410を介して隣り合う第1区画部11の第1電極部12の一部とy方向において隣り合っている。すなわち、当該第1接続部13は、x方向における位置が、当該第1電極部12の一部のx方向位置と重なっている。
【0985】
図220、
図221、
図225および
図226に示すように、第3区画部15は、外部電極部151および外部接続部153を有する。外部接続部153は、z方向視において第2区画部21−1の第2接続部23および光電変換層接続部33と一致する部分である。外部接続部153は、光電変換層貫通部331を通じて第2区画部21−1の第2接続部23と接触している。本実施形態においては、外部接続部153には、外部接続部貫通部1531が設けられている。本実施形態においては、第1導電層1の外部接続部153をz方向に貫通する貫通孔を外部接続部貫通部1531と称する。外部接続部貫通部1531は、z方向視において光電変換層貫通部331に内包されている。また、外部接続部貫通部1531の内端縁は、z方向視において光電変換層貫通部331の内端縁から離間している。これにより、第3区画部15の外部接続部153の一部が、z方向視において光電変換層貫通部331から露出している。この露出した部分に第2導電層2の第2区画部21−1の第2接続部23が接触している。また、第2接続部23は、外部接続部貫通部1531を介して支持基板41に接している。外部電極部151は、第2導電層2、光電変換層3およびパッシベーション層42から露出した部分である。外部電極部151は、有機薄膜太陽電池モジュールA22において発電された電力を出力する部位であり、たとえば電子機器B22の端子に導通する。
【0986】
また、本実施形態においては、
図220および
図221に示すように、x方向において第3区画部15とは反対側に設けられた第1区画部11−4が、外部電極部141を有している。外部電極部141は、第1区画部11−4のうち第2導電層2、光電変換層3およびパッシベーション層42から露出した部分である。外部電極部141は、有機薄膜太陽電池モジュールA22において発電された電力を出力する部位であり、たとえば電子機器B22の端子に導通する。
【0987】
図220、
図221および
図227から理解されるように、本実施形態においては、有機薄膜太陽電池モジュールA22において、4組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32が、6組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33を介して互いに直接に接続されている。直列接続された4組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32において発電された電力は、外部電極部141および外部電極部151から出力される。この電力は、電子機器B22の駆動部71の駆動に用いられる。
【0989】
まず、
図228および
図229に示すように、支持基板41の片面にたとえばスパッタ法などの一般的な手法によりITOを成膜することにより、第1導電膜10を形成する。次いで、第1導電膜10をパターニングすることにより、基板露出領域410、基板露出領域411および基板露出領域412形成し、複数の第1区画部11および第3区画部15が得られる。第1導電膜10へのパターニング手法としては、たとえばウエットエッチングを用いた手法、Greenレーザー光やIRレーザー光等のレーザーパターニングを用いた手法が適宜採用される。本実施形態においては、レーザー光Lz1として、IRレーザー光が用いられる。なお、
図228においては、後述する工程を経ることにより第1被覆部112および第2被覆部122となる部位に理解の便宜上、符号を付している。
【0990】
次いで、
図230および
図231に示すように、有機膜30を形成する。有機膜30の形成は、たとえば、スピンコート塗布により支持基板41上および第1導電膜10上に有機膜を成膜することによりなされる。次いで、有機膜30に対して光電変換層貫通部331を形成する。光電変換層貫通部331の形成は、たとえばレーザーパターニングによってなされる。このレーザーパターニングに用いられるレーザー光Lz2は、光電変換層貫通部331を部分的に除去可能であるものが適宜選択される。本実施形態においては、レーザー光Lz2としてIRレーザー光を用いたレーザーパターニングを行った場合を例に説明する。この場合、レーザー光Lz2は、有機膜30と第1導電膜10との一部ずつを除去する。このため、有機膜30に光電変換層貫通部331が形成されるとともに、第1導電膜10に第1貫通部131が形成される。このパターニングを経ることにより、
図232および
図233に示すように、第1導電層1および光電変換層3が得られる。
【0991】
次いで、
図234および
図235に示すように、第2導電層2を形成する。第2導電層2の形成は、たとえば上述した金属を真空加熱蒸着法によって支持基板41、第1導電層1および光電変換層3上に金属膜を成膜する。次に、該金属膜に例えばマスク層を用いたエッチングを行うことによりパターニングを施す。このパターニングにより、第1導電層1上および光電変換層3上に複数の第2区画部21を有する第2導電層2を形成する。この後は、たとえばプラズマCVD法によってSiNまたはSiONを支持基板41、第1導電層1、光電変換層3および第2導電層2上に成膜することにより、パッシベーション層42を形成する。以上の工程を経ることにより、有機薄膜太陽電池モジュールA22が得られる。
【0992】
次に、有機薄膜太陽電池モジュールA22および電子機器B22の作用について説明する。
【0993】
本実施形態によれば、
図222に示すように、光電変換層接続部33を区画する第1区画部11−2の第1被覆部112によってその一部が規定された基板露出領域410は、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220と交差する交差部415を有する。これにより、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220に沿って光電変換層接続部33が部分的に設けられる構成となり、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220の全長にわたって光電変換層接続部33が設けられる構成とはならない。したがって、光電変換層3のうち非発電の部分である光電変換層接続部33の面積割合を減少させることが可能であり、実際に発電に寄与する部分である光電変換層発電部32の減少を抑制することができる。
【0994】
また、
図222に示す例においては、基板露出領域410は、1の交差部415と1つの交差部416とを有している。すなわち、光電変換層接続部33を区画する基板露出領域410は、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220から延びて第2区画部21−3の第2区画部第3端縁230と交差している。たとえば、本例とは異なり、基板露出領域410が第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220と2箇所で交差する場合、本例と比べてz方向視において第2区画部21−3と重なる基板露出領域410が長くなる。基板露出領域410は、非発電の部分であるため、このような非発電の部分の面積割合を縮小するのに適している。
【0995】
光電変換層貫通部331は、たとえば直径が40μm程度の貫通孔によって構成されている。このため、光電変換層貫通部331を含む光電変換層接続部33の面積をより縮小させることができる。
【0996】
第1貫通部131は、
図231に示すレーザー光Lz2としてたとえばIRレーザー光を用いた場合に、光電変換層貫通部331と一括して形成される。このIRレーザー光は、ITOからなる第1導電層1を部分的に除去可能であるため、
図229に示す第1導電膜10のレーザーパターニングにおけるレーザー光Lz1として用いることができる。これにより、
図228〜
図235に示す有機薄膜太陽電池モジュールA22の製造方法において、レーザー光Lz1およびレーザー光Lz2として、1種類のレーザー光(IRレーザー光)を用いれば済む。これは、製造方法および製造装置の簡略化に好ましく、制造時間の短縮に寄与する。
【0997】
第2区画部21の2つの角部に重なる位置に2組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33を設けることにより、隣り合う2組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32の間の抵抗をより低くすることができる。また、仮に一方の組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33における導通が不適切な状態となったとしても、他方の組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33によって隣り合う2組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32を適切に接続することができる。
【0998】
図236〜
図244は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0999】
図236は、有機薄膜太陽電池モジュールA22の変形例を示している。本変形例においては、第1区画部11(
図236における第1区画部11−2)の第1接続部13に、上述した第1貫通部131が形成されていない。すなわち、z方向視において光電変換層貫通部331に内包される領域においては、支持基板41は、第1導電層1の第1接続部13(
図236における第1区画部11−2の第1接続部13)によって覆われている。このような構成は、たとえば、有機膜30に光電変換層貫通部331を形成するためのレーザーパターニングにおいて、レーザー光Lz2としてGreenレーザー光を用いるとともに、出力や照射時間を適切に設定することによって実現しうる。
【1000】
このような変形例によっても、実際に発電に寄与する部分である光電変換層発電部32の減少を抑制することができる。なお、以降の実施形態においては、光電変換層貫通部331が設けられた領域において、第1貫通部131を形成してもよいし、第1貫通部131を形成しなくてもよい。
【1001】
図238〜
図240は、本発明の第23実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールを示している。本実施形態の有機薄膜太陽電池モジュールA23においては、第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33の構成が、上述した実施形態と異なっている。
図237は、有機薄膜太陽電池モジュールA23を示す要部平面図である。
図238は、有機薄膜太陽電池モジュールA23を示す要部拡大平面図である。
図239は、
図238のCCXXXIX−CCXXXIX線に沿う要部拡大断面図である。
図240は、
図238のCCXL−CCXL線に沿う要部拡大断面図である。
【1002】
本実施形態においては、
図237に示すように、y方向に離間する第2区画部21の2つの角部に対応した位置に設けられた2組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33配置の間に1組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33が設けられている。
図238〜
図240に示すように、z方向視においてこの第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33を区画する基板露出領域410は、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220と交差する2つの交差部415を有している。2つの交差部415は、y方向に互いに離間している。また、この第1区画部11−2の第1接続部13、第2区画部21−3の第2接続部23および光電変換層接続部33のy方向両側に、第1区画部11−3の第1電極部12、第2区画部21−3の第2電極部22および光電変換層発電部32が位置している。すなわち、この第1区画部11−2の第1接続部13、第2区画部21−3の第2接続部23および光電変換層接続部33は、y方向において第1区画部11−2の第1電極部12、第2区画部21−3第2電極部22および光電変換層発電部32に挟まれている。本実施形態においては、第1被覆部112は、2つの第1辺1121、第2辺1122および2つの第3辺1123を有する。また、第2被覆部122は、2つの第1辺1221、第2辺1222および2つの第3辺1223を有する。
【1003】
このような実施形態によっても、実際に発電に寄与する部分である光電変換層発電部32の減少を抑制することができる。また、
図238に示す光電変換層接続部33は、非発電の領域であるものの、これを区画する基板露出領域410が、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220と交差する2つの交差部415を有する構成となっている。言い換えると、光電変換層接続部33のy方向両側には、光電変換層発電部32が位置している。これにより、第2区画部第2端縁220の全長にわたって光電変換層接続部33が設けられている構成と比べて、光電変換層発電部32減少を抑制することができる。また、
図238に示す第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33を設けることにより、隣り合う2組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32の間の抵抗をより低くするとともに、より確実に導通させることができる。
【1004】
図241は、本発明の第24実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールA24を示す要部拡大平面図である。本実施形態においては、上述した有機薄膜太陽電池モジュールA23と同様の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33を有するものの、第1区画部第1端縁110、第1区画部第2端縁120、第2区画部第1端縁210、第2区画部第2端縁220および基板露出領域410の形状が、上述した実施形態と異なっている。
【1005】
本実施形態においては、
図222における第1区画部11−2の第1辺111および第1区画部11−3の第2辺121が、いずれも曲線状とされている。ただし、これらの第1辺111と第2辺121とは、互いに平行である。また、第2区画部21−2の第2区画部第1端縁210および第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220が、いずれも曲線状とされている。ただし、これらの第2区画部第1端縁210と第2区画部第2端縁220とは、互いに平行である。また、これらの第1辺111、第2辺121、第2区画部第1端縁210および第2区画部第2端縁220は、互いに平行である。
【1006】
このような実施形態によっても、実際に発電に寄与する部分である光電変換層発電部32の減少を抑制することができる。また、本実施形態から理解されるように、第1辺111および第2辺121は、直線状の構成に限定されず、曲線状や折れ線状など様々な形状に設定することができる。また、第2区画部第1端縁210および第2区画部第2端縁220は、直線状の構成に限定されず、曲線状や折れ線状など様々な形状に設定することができる。
【1007】
図242は、本発明の第25実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールA25を示す要部拡大平面図である。本実施形態においては、上述した有機薄膜太陽電池モジュールA23および有機薄膜太陽電池モジュールA24と同様の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33を有するものの、第1区画部11−2の第1区画部第1端縁110、第1区画部11−3の第1区画部第2端縁120、第2区画部21−2の第2区画部第1端縁210、第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220および基板露出領域410の形状が、上述した実施形態と異なっている。
【1008】
本実施形態においては、第1区画部11−2の第1区画部第1端縁110および第1区画部11−3の第1区画部第2端縁120が第1被覆部112および第2被覆部122以外の部分において、いずれも曲線状の部分を有している。これらの曲線状の部分は、z方向視において互いにx方向反対側に凸である形状であり、互いに平行ではない。また、第2区画部21−2の第2区画部第1端縁210および第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220は、z方向視において互いにx方向反対側に凸である形状であり、互いに平行ではない。ただし、第1区画部11−2の第1区画部第1端縁110の曲線状の部分と第2区画部21−2の第2区画部第1端縁210とは、互いに平行である。また、第1区画部11−3の第1区画部第2端縁120の曲線状の部分と第2区画部21−3の第2区画部第2端縁220とは、互いに平行である。
【1009】
このような実施形態によっても、実際に発電に寄与する部分である光電変換層発電部32の減少を抑制することができる。また、第1区画部第1端縁110と第1区画部第2端縁120とは、z方向視において第2区画部21と重ならない部分において、互いに平行ではない構成であってもよい。また、第2区画部第1端縁210と第2区画部第2端縁220とは、互いに平行ではない構成であってもよい。
【1010】
図243は、本発明の第26実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールA26および電子機器B26を示している。本実施形態においては、第1導電層1が8つの第1区画部11−1〜8を有しており、第2導電層2が、8つの第2区画部21−1〜8を有している。また、8組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32が、14組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33によって互いに直列に接続されており、外部電極部141および外部電極部151から電力が出力される。また、本実施形態においては、8組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32が、z方向視において環状に配列されている。
【1011】
z方向視において8組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32に囲まれた領域は、支持基板41が存在しており、第1導電層1の一部が存在しうる。ただし、前記領域においては、支持基板41のみが存在することが好ましい。このような領域は、駆動部71のうちたとえば液晶表示パネル等によって構成された表示部を、電子機器B26の外観に露出させる領域として用いられる。このような電子機器B26としては、たとえば液晶型腕時計や携帯型電子端末が挙げられる。
【1012】
本実施形態においては、交差部415を区画する基板露出領域411は、第2区画部21の第2区画部第3端縁230と交差する2つの交差部415を有する。これにより、交差部415は、x方向に沿った直線状である第2区画部第3端縁230の中間に位置している。
【1013】
このような実施形態によっても、実際に発電に寄与する部分である光電変換層発電部32の減少を抑制することができる。
【1014】
図244は、本発明の第27実施形態に基づく有機薄膜太陽電池モジュールA27および電子機器B27を示している。同図を参照した説明においては、点Oを通る軸を中心とする円筒座標系を用いる。r方向は径方向であり、θ方向は周方向である。本実施形態においては、第1導電層1が6つの第1区画部11−1〜6を有しており、第2導電層2が、6つの第2区画部21−1〜6を有している。また、6組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32が、10組の第1接続部13、第2接続部23および光電変換層接続部33によって互いに直列に接続されており、外部電極部141および外部電極部151から電力が出力される。また、本実施形態においては、6組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32が、z方向視においてθ方向に沿った環状に配列されている。
【1015】
有機薄膜太陽電池モジュールA26および電子機器B26と同様に、z方向視において6組の第1電極部12、第2電極部22および光電変換層発電部32に囲まれた領域は、支持基板41が存在しており、第1導電層1の一部が存在しうる。ただし、前記領域においては、支持基板41のみが存在することが好ましい。このような電子機器B27としては、たとえば液晶型腕時計が挙げられる。
【1016】
このような実施形態によっても、実際に発電に寄与する部分である光電変換層発電部32の減少を抑制することができる。
【1017】
本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュールおよび電子機器は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュールおよび電子機器の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【1018】
以下に、本発明の技術的特徴について付記する。
【1019】
〔付記1G〕
透明な支持基板と、
前記支持基板に積層された透明な第1導電層と、
第2導電層と、
前記第1導電層および前記第2導電層に挟まれた有機薄膜からなる光電変換層と、
を備え、
前記第1導電層は、前記支持基板の一部が前記第1導電層から露出した基板露出領域を介して隣り合う2つの第1区画部を有しており、
前記第2導電層は、前記基板露出領域の一部を挟んで隣り合う2つの第2区画部を有しており、
前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部は、前記基板露出領域を規定する第1区画部第1端縁を有し、
前記隣り合う2つのうち他方の前記第1区画部は、前記基板露出領域を規定する第1区画部第2端縁を有し、
前記隣り合う2つのうち一方の前記第2区画部は、平面視において前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部に重なっているとともに、前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部の前記第1区画部第1端縁に対して前記隣り合う2つのうち他方の前記第1区画部の前記第1区画部第2端縁とは反対側に位置する第2区画部第1端縁を有し、
前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部は、平面視において前記隣り合う2つのうち一方の前記第2区画部第1端縁と対向する第2区画部第2端縁を有し、
前記光電変換層は、平面視において前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部および前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部の双方と重なる部分であって前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部の前記第1区画部第1端縁のうち前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部に重なる第1被覆部および前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部の前記第2区画部第2端縁によって区画された光電変換層接続部に、厚さ方向に貫通する光電変換層貫通部を有し、
前記基板露出領域は、前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部の前記第2区画部第2端縁と交差する1以上の交差部を有する、有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記2G〕
前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部は、平面視において前記光電変換層接続部と重ならず且つ前記第2導電層と重なる第1電極部を有し、
前記隣り合う2つのうち一方の前記第2区画部は、平面視において前記第1電極部と一致する第2電極部を有し、
前記光電変換層は、平面視において前記第1電極部および前記第2電極部と一致する光電変換層発電部を有する、付記1Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記3G〕
前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部は、平面視において前記光電変換層接続部と一致する第1接続部を有し、
前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部は、平面視において前記光電変換層接続部と一致する第2接続部を有する、付記2Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記4G〕
平面視における前記2つの第1区画部が並ぶ方向と交差する方向において、前記光電変換層接続部と前記光電変換層発電部の一部とが隣り合っている、付記3Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記5G〕
平面視における前記2つの第1区画部が並ぶ方向と交差する方向において、前記光電変換層接続部の両側に前記光電変換層発電部が位置する、付記3Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記6G〕
前記光電変換層貫通部は、平面視円形状である、付記3Gないし5Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記7G〕
前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部の前記第1接続部は、平面視において前記光電変換層貫通部に内包され且つ厚さ方向に貫通する第1貫通部を有する、付記3Gないし6Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記8G〕
前記第1貫通部の内端縁は、平面視において前記光電変換層貫通部の内端縁から離間している、付記7Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記9G〕
前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部の前記第1接続部は、平面視における前記光電変換層貫通部に内包される領域において前記支持基板を覆っている、付記3Gないし6Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記10G〕
前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部は、前記第2区画部第2端縁に繋がり且つ前記隣り合う2つのうち一方の前記第2区画部から離間する側に延びる第2区画部第3端縁を有し、
前記基板露出領域は、前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部の前記第2区画部第2端縁と前記第2区画部第3端縁との一箇所ずつと交差する2つの前記交差部を有する、付記3Gないし9Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記11G〕
前記基板露出領域は、前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部の前記第2区画部第2端縁の二箇所と交差する2つの前記交差部を有する、付記3Gないし9Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記12G〕
平面視において前記2つの第2区画部と重ならない領域において、前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部の前記第1区画部第1端縁は、第1辺を有し、前記隣り合う2つのうち他方の前記第1区画部の前記第1区画部第2端縁は、前記第1辺と平行である第2辺を有する、付記3Gないし11Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記13G〕
前記第1辺および前記第2辺は、直線状である、付記12Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記14G〕
前記隣り合う2つのうち一方の前記第2区画部の前記第2区画部第1端縁と前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部の前記第2区画部第2端縁とは、互いに平行である、付記12Gまたは13Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記15G〕
前記隣り合う2つのうち一方の前記第2区画部の前記第2区画部第1端縁と前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部の前記第2区画部第2端縁は、直線状である、付記14Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記16G〕
前記隣り合う2つのうち一方の前記第1区画部の前記第1辺、前記隣り合う2つのうち他方の前記第1区画部の前記第2辺、前記隣り合う2つのうち一方の前記第2区画部の前記第2区画部第1端縁および前記隣り合う2つのうち他方の前記第2区画部の前記第2区画部第2端縁は、互いに平行である、付記12Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記17G〕
前記第1辺、前記第2辺、前記第2区画部第1端縁および前記第2区画部第2端縁は、直線状である、付記16Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記18G〕
隣り合う3以上の前記第1区画部および隣り合う3以上の前記第2区画部が、配列されている、付記3Gないし17Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記19G〕
隣り合う3以上の前記第1区画部および隣り合う3以上の前記第2区画部が、一直線上に配列されている、付記18Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記20G〕
隣り合う3以上の前記第1区画部および隣り合う3以上の前記第2区画部が、環状に配列されている、付記19Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記21G〕
前記隣り合う3以上の第2区画部のうち2つの前記第2区画部の間にある前記第2区画部は、前記第2区画部第1端縁および前記第2区画部第2端縁と、前記第2区画部第1端縁および前記第2区画部第2端縁の両端同士を繋ぐ2つの第2区画部第3端縁と、を有する、付記18Gないし20Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記22G〕
前記隣り合う3以上の第2区画部のうち2つの前記第2区画部の間にある前記第2区画部の前記第2区画部第1端縁と前記第2区画部第2端縁とは、互いに平行である、付記21Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記23G〕
前記隣り合う3以上の第2区画部のうち2つの前記第2区画部の間にある前記第2区画部の前記2つの第2区画部第3端縁は、互いに平行である、付記22Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記24G〕
前記隣り合う3以上の第2区画部のうち2つの前記第2区画部の間にある前記第2区画部の前記第2区画部第1端縁および前記第2区画部第2端縁と前記2つの第2区画部第3端縁とは、互いに直角である、付記23Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記25G〕
前記第1導電層は、平面視において前記光電変換層接続部に一致する外部接続部と、当該外部接続部に繋がり且つ前記第2導電層および前記光電変換層から露出する外部電極部と、を有する第3区画部を有する、付記3Gないし24Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記26G〕
前記第1導電層は、ITOからなる、付記1Gないし25Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記27G〕
前記第2導電層は、金属からなる、付記1Gないし26Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記28G〕
前記第2導電層は、Alからなる、付記1Gないし27Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記29G〕
前記第2導電層を覆うパッシベーション層を備える、付記1Gないし28Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記30G〕
前記パッシベーション層は、SiNまたはSiONからなる、付記29Gに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
〔付記31G〕
付記1Gないし30Gのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュールと、
前記有機薄膜太陽電池モジュールからの給電によって駆動する駆動部と、
を備える、電子機器。