特許第6769741号(P6769741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769741
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】半導体センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/12 20060101AFI20201005BHJP
   G01L 9/00 20060101ALI20201005BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20201005BHJP
   G01P 15/12 20060101ALI20201005BHJP
   G01L 1/20 20060101ALI20201005BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   G01N27/12 B
   G01L9/00 303Q
   G01P15/08 101B
   G01P15/12 D
   G01P15/08 102D
   G01L1/20 Z
   H01L29/84 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-101013(P2016-101013)
(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2017-207408(P2017-207408A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴大
【審査官】 北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0167640(US,A1)
【文献】 特開2004−184373(JP,A)
【文献】 特開2002−098709(JP,A)
【文献】 特開2007−199011(JP,A)
【文献】 特開2009−210324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00 −23/32
G01L 27/00 −27/02
G01N 27/12
G01P 15/00 −15/18
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
少なくとも1つの貫通孔が形成され一方の面が前記基部に固定された半導体基板と、
前記半導体基板の他方の面に形成され前記貫通孔の少なくとも一部を覆うとともに、平面視で前記貫通孔の中央に対応する箇所に形成された検出部を含む薄膜部と、
前記基部に固定され前記薄膜部と間隔を空けて前記貫通孔内に収納された筒形状の支持体とを含む半導体センサ。
【請求項2】
基部と、
少なくとも1つの貫通孔が形成され一方の面が前記基部に固定された半導体基板と、
前記半導体基板の他方の面に形成され、前記貫通孔の少なくとも一部を覆うとともに、平面視で前記貫通孔の中央に対応する箇所に形成された検出部を含む薄膜部と、
前記基部に固定され、前記薄膜部と間隔を空けて前記貫通孔内に収納され、前記検出部を挟むようにして前記薄膜部の端部側にそれぞれ配置された、少なくとも2つの支持体とを含む、半導体センサ。
【請求項3】
前記薄膜部が、前記薄膜部の前記支持体の天面に対向する面に形成された第1電極を有し、前記支持体が前記天面に前記第1電極に対向した第2電極を有している、請求項1または2に記載の半導体センサ。
【請求項4】
前記薄膜部の少なくとも上方を覆う蓋部材を備え、前記蓋部材が、前記蓋部材の前記薄膜部の天面に対向する位置に、前記薄膜部と間隔を空けて形成された筒形状の第2支持体を有している、請求項1または2に記載の半導体センサ。
【請求項5】
前記薄膜部の少なくとも上方を覆う蓋部材を備え、前記蓋部材が、前記蓋部材の前記薄膜部の天面に対向する位置に、前記薄膜部と間隔を空けて形成された筒形状の第2支持体を有し、前記薄膜部が前記薄膜部の前記天面に形成された第3電極を有し、前記第2支持体が前記第3電極に対向した位置に第4電極を有している、請求項3に記載の半導体センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて、圧力、温度、湿度、加速度、ガス濃度などを測定する半導体センサの研究開発が進んでいる。半導体センサは、貫通孔が形成された半導体基板と、半導体基板の一方の面に形成され貫通孔を覆うとともにセンサが形成された薄膜部とからなるものである(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−65990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の半導体センサにおいては、半導体センサの製造時や使用時に薄膜部が破損するという問題がある。製造時の破損は、たとえば、ディスペンサなどを用いて感ガス材を薄膜部に塗布する際に、ディスペンサ先端が薄膜部を押して薄膜部がたわむことで生じる。あるいは、ウエハ状の半導体センサをダイシングする際に、ダイシングブレードの振動が薄膜部に伝わり、薄膜部が上下に振れることで生じる。使用時の破損は、たとえば、実装された半導体センサに過剰な押圧力や振動が加えられ、それによって薄膜部がたわむことで生じる。
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、製造時や使用時において薄膜部が破損しない半導体センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は必要に応じて任意に組み合わせることができる。
【0007】
本発明の半導体センサは、
基部と、
少なくとも1つの貫通孔が形成され一方の面が基部に固定された半導体基板と、
半導体基板の他方の面に形成され貫通孔の少なくとも一部を覆うとともにセンサが形成された薄膜部と、
基部に固定され薄膜部と間隔を空けて貫通孔内に収納された支持体とを含むことを特徴とするものである。
【0008】
好ましくは、支持体が筒形状である。
【0009】
また、好ましくは、少なくとも2つの支持体が、それぞれ薄膜部の端部側に配置されているものである。
【0010】
さらに好ましくは、薄膜部が薄膜部の支持体と対向する面に形成された第1電極を有し、支持体が第1電極に対向した第2電極を有しているものである。
【0011】
また、好ましくは、薄膜部の少なくとも上方を覆う蓋部材をさらに有しているものである。
【0012】
さらに好ましくは、蓋部材が、蓋部材の薄膜部の天面に対向する位置に薄膜部と間隔を空けて形成された第2支持体を有しているものである。
【0013】
また、好ましくは、薄膜部が薄膜部の支持体と対向する面に形成された第1電極と薄膜部の天面に形成された第2電極を有し、支持体が第1電極に対向した第3電極を有し、蓋部材または第2支持体が第2電極に対向した第4電極を有しているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体センサは、基部と、少なくとも1つの貫通孔が形成され一方の面が基部に固定された半導体基板と、半導体基板の他方の面に形成され貫通孔の少なくとも一部を覆うとともにセンサが形成された薄膜部と、基部に固定され薄膜部と間隔を空けて貫通孔内に収納された支持体とを含むように構成した。
【0015】
したがって、本発明によれば、製造時や使用時において薄膜部が破損しない半導体センサを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の半導体センサの第一実施形態を示す断面図である。
図2】薄膜部の一部を拡大した断面図である。
図3】第一実施形態の変形例を示す断面図である。
図4】支持体の形状の変形例を示す斜視図である。
図5】第一実施形態の変形例を示す断面図である。
図6】本発明の半導体センサの一例を示す平面図と断面図である。
図7】第一実施形態の変形例を示す断面図である。
図8】本発明の半導体センサの第二実施形態を示す断面図である。
図9】第二実施形態における平面図である。
図10】第二実施形態の変形例における平面図である。
図11】第二実施形態の変形例を示す断面図である。
図12】第二実施形態における効果を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の半導体センサについて、実施形態の一例を説明する。
【0018】
<第一実施形態>
本発明の半導体センサは、基部と、少なくとも1つの貫通孔が形成され一方の面が基部に固定された半導体基板と、半導体基板の他方の面に形成され貫通孔の少なくとも一部を覆うとともにセンサが形成された薄膜部と、基部に固定され薄膜部と間隔を空けて貫通孔内に収納された支持体とを含むことを特徴とするものである(図1参照)。
【0019】
基部10の材料は、特に限定されず、たとえばシリコンやプリント基板などを用いることができる。基部10は実装基板9上に設置する。
【0020】
半導体基板11の材料は、たとえばシリコン単結晶基板を用いることができる。半導体基板11の寸法は、縦幅1mm〜10mm、横幅1mm〜10mm、厚さ200μm〜1300μmとすることができる。貫通孔111は、たとえば、シリコン単結晶基板の裏面からエッチングをすることで形成することができる。
【0021】
薄膜部12は、本実施形態においては、半導体基板11に形成された1つの貫通孔111を覆っている。薄膜部12の厚みは1μm〜10μmとすることができる。薄膜部12は絶縁性材料を含んでなり、たとえば、ガスセンサの場合には薄膜部12の内部にヒータ121と検出電極122を形成し、検出電極122上には感ガス材123を塗布する(図2(a)参照)。ヒータ121と検出電極122からはそれぞれ配線電極が伸びる。また、圧力センサの場合には、薄膜部12の内部にピエゾ抵抗部124を形成する(図2(b)参照)。ピエゾ抵抗部124からは配線電極が伸びる。薄膜部12の外周側には、少なくとも2つのパッド電極2を形成する。パッド電極2は配線電極と接続しており、ボンディングワイヤ3で実装基板9と接続している。したがって、たとえば、ヒータ121の配線電極に接続したパッド電極2に電流を流すと、ヒータ121を加熱することができる。また、検出電極122の配線電極に接続したパッド電極2は、薄膜部12に形成されたセンサが検出したガス濃度や圧力などの電気信号を実装基板9へ送ることができる。
【0022】
支持体13の材料は、薄膜部12の材料と同じ硬さのものであってよく、異なる硬さのものであってもよい。材料としては、たとえば、Si(シリコン)、SiC(炭化ケイ素)、SiO(二酸化ケイ素)、Si(窒化ケイ素)、SiON(酸窒化シリコン)、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、Al(アルミナ)、AlN(窒化アルミニウム)、Si(窒化ケイ素)、SiC(炭化ケイ素)、3Al・2SiO(ムライト)、2MgO・2Al・5SiO(コーディエライト)、コバールなどを用いることができる。
【0023】
ただし、ガスセンサの場合は、使用時にヒータ121が加熱され200℃以上の高温となるため、支持体13の材料は耐熱性を有するものが好ましい。このような材料としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などフッ素系樹脂が挙げられる。支持体13は基部10上に固定され、貫通孔111内に収納されている。支持体13の天面と、それに対向する薄膜部12の面との間隔は、20μm〜50μmとすることができる。支持体13は、図4に示すように、種々の形状とすることができる。
【0024】
図3は、おもり部112を有する加速度センサを示している。おもり部112は、半導体基板11に少なくとも2つの貫通孔を所定の間隔を空けて形成し、半導体基板11の裏面のうちおもり部112となる部分を所定量だけ削ることで得られる。加速度センサ、ガスセンサ、圧力センサなどの各種センサにおいて、支持体13の形状は筒形状であることが好ましい。これらのセンサは薄膜部12の中央に検出部を有している。検出部は、加速度センサの場合はおもり部112であり、ガスセンサの場合はヒータ121・検出電極122・感ガス材123であり、圧力センサの場合はピエゾ抵抗部124である。これら検出部は薄膜部12の中央に形成されているが、図3のように支持体13が筒形状であると、外力などによって薄膜部12がたわんでも、薄膜部12に形成された検出部が支持体13と接触することがない。つまり、検出部の損傷を防ぐことができる。
【0025】
上記では支持体13の数は1つの場合を説明したが、支持体13の数は2つ以上であってもよい(図5参照)。それぞれの支持体13A、13Bは薄膜部12の端部12e側に配置することが好ましい。端部12e側とは、支持体13A、13Bの天面と、それに対向する薄膜部12の面との間隔が20μm〜50μmの範囲内に収まる箇所であり、貫通孔111が形成された半導体基板11の内周面に最も近い箇所である。また、支持体13A、13Bは、薄膜部12に形成された検出部の近傍を支持できる程度の厚みを有することが好ましい。このようにすると、薄膜部12の中央に形成された検出部の損傷を防ぎ、かつ、薄膜部12のたわみを最小限に抑えることができる。なお、半導体基板11の内周面とそれに対向する支持体13A、13Bの側面は間隔が空いていてもよく、密着していてもよい。
【0026】
なお、上記では、半導体基板11に形成された1つの貫通孔111を薄膜部12ですべて覆う形態を説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、半導体基板11に形成された1つの貫通孔111を複数の梁部12aを有する薄膜部12で覆う形態とすることができる(図6参照)。この形態では、貫通孔111の一部が薄膜部12で覆われる。また、この形態における支持体の形状としては図4に示す各種形状を用いることができる。図4の(a)、(d)、(g)は円柱状または角柱状である。図4の(b)、(e)は円筒状、(c)、(f)、(h)、(i)は中空の角柱状である。(b)、(c)、(h)のように、平面視した際に外周面がなす形状と内周面がなす形状は同じであってもよく、(e)、(f)、(i)のように異なっていてもよい。特に図4(i)のような支持体であれば、薄膜部12がたわんだ際に、梁部12aのたわみを支持体の受部13aで抑えることができ、支持体と検出部が接触することを避けることができる。
【0027】
次に、第一実施形態の変形例の一つを説明する。変形例の形態は、薄膜部12が、支持体13の天面に対向する面に形成された第1電極126を有し、支持体13が第1電極126に対向した第2電極131を有しているものである(図7(a)参照)。第1電極126は薄膜部12の内部に形成されていてもよく、支持体13の天面に対向する面上に形成されていてもよい。第1電極126を薄膜部12の内部に形成する時は、第1電極126の少なくとも一部を第2電極131側に露出させる。第2電極131は支持体13の天面上に形成されていてもよく、支持体13の内部に形成されていてもよい。第2電極131を支持体13の内部に形成する時は、第2電極131の少なくとも一部を第1電極126側に露出させる。このような形態にすると、たとえば、許容範囲以上の外力が薄膜部12に加わってたわんだ際に、第1電極126と第2電極131とが接触して通電し、その電気信号を外部に取り出すことによって、半導体センサ1が実装された機器の使用者に異常な力が加わったことを知らせることができる(図7(b)参照)。また、外力によって薄膜部12がたわみ続けている場合には、第1電極126と第2電極131とが通電し続けるため、使用者に異常状態を知らせることができる。
【0028】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明するが、第一実施形態と共通する点については、詳細な説明を省略する。
【0029】
第二実施形態の半導体センサは、第一実施形態に対して、薄膜部12の少なくとも上方を覆う蓋部材14をさらに有している(図8参照)。蓋部材14は薄膜部12の天面に対向する位置に薄膜部12と間隔を空けて形成された第2支持体141を有し、第2支持体141は筒形状である。
【0030】
蓋部材14と第2支持体141の材料は支持体13と同じであってもよく、異なっていてもよい。蓋部材14と第2支持体141は異なる材料であってもよく、同じ材料で一体的に形成してもよい。薄膜部12の天面と、それに対向する第2支持体141の面との間隔は、20μm〜50μmとすることができる。第二実施形態では、蓋部材14は薄膜部12の上方を覆う。つまり、基部10、半導体基板11、薄膜部12、支持体13の側方は蓋部材14で覆われていない。ただし、これらの側方を蓋部材14で覆う形態でもよい。
【0031】
筒形状の第2支持体141は、薄膜部12に形成された検出部の近傍を支持できる程度の厚みを有することが好ましい。このようにすると、外力によって薄膜部12が図の上方へたわんだ際に、薄膜部12の中央に形成された検出部の損傷を防ぎ、かつ、薄膜部12のたわみを最小限に抑えることができる。
【0032】
薄膜部12が複数の梁部12aを有し、貫通孔111の一部を覆う形態の場合(図9(a)、図10(a)参照)、第2支持体141の形状は、たとえば、図9(b)や図10(b)のような形状とすることができる。いずれの形状も、梁部12aを含む薄膜部12が上方へたわんだ際に、検出部の損傷を防ぎつつ、検出部の近傍つまり梁部12aが形成された箇所を支持することができる。なお、図9(b)に示す形状は図4(c)に示す形状であり、図10(b)に示す形状は図4(i)に示す形状である。
【0033】
次に、第二実施形態の変形例の一つについて説明する。変形例の形態は、薄膜部12が支持体13と対向する面に形成された第1電極126と薄膜部12の天面に形成された第3電極127を有し、支持体13が第1電極126に対向した第2電極131を有し、第2支持体141が第3電極127に対向した第4電極142を有しているものである(図11参照)。第1電極126と第2電極131については、第一実施形態と同様にして形成することができる。第3電極127は、第1電極126と同様に、薄膜部12の内部に形成されていてもよく、薄膜部12の天面上に形成されていてもよい。第3電極127を薄膜部12の内部に形成する時は、第3電極127の少なくとも一部を第4電極142側に露出させる。第4電極142は、薄膜部12の天面に対向する第2支持体141の面上に形成されていてもよく、第2支持体141の内部に形成されていてもよい。第4電極142を第2支持体141の内部に形成する時は、第4電極142の少なくとも一部を第3電極127側に露出させる。このような形態にすると、たとえば、許容範囲以上の外力が薄膜部12に加わってたわんだ際に、第1電極126と第2電極131とが接触して通電し、その電気信号を外部に取り出すことによって、半導体センサ1が実装された機器の使用者に異常な力が加わったことを知らせることができる(図12(a)参照)。また、外力によって薄膜部12がたわみ続けている場合には、第1電極126と第2電極131とが通電し続けるため、使用者に異常状態を知らせることができる。また、たとえば、遠心力、加速度、上下に繰り返す振動などが薄膜部12に加わり薄膜部12が図の上方へたわむような使用環境において、薄膜部12に許容範囲以上の力が加わった時は、第3電極127と第4電極142とが接触して通電し、その電気信号を外部に取り出すことによって、半導体センサ1が実装された機器の使用者に異常な力が加わったことを知らせることができる(図12(b)参照)。また、外力によって薄膜部12がたわみ続けている場合には、第3電極127と第4電極142とが通電し続けるため、使用者に異常状態を知らせることができる。
【0034】
次に、本発明の半導体センサの製造方法について一例を説明する(図1図2参照)。
【0035】
まず、ウエハ状の半導体基板11を用意する。半導体基板11の両面に酸化膜を形成し、一方の面には酸化膜上に検出電極や配線電極、ガスセンサの場合はヒータを形成する。酸化膜の形成方法としては、スパッタ法など公知の方法を用いることができる。電極やヒータの形成方法としては、フォトリソ法など公知の方法を用いることができる。電極が複数層必要な場合や、電極とヒータを別の層として形成する場合などは、電極層と電極層の間、電極層とヒータ層の間に絶縁層を形成する。電極層やヒータ層を含む絶縁層が薄膜部12となる。次に、パッド電極2を形成する箇所の絶縁層を除去し、除去した部分にパッド電極2を形成する。次に、半導体基板11の他方の面からエッチングすることで、半導体基板11に貫通孔111を形成する。ガスセンサの場合は、貫通孔の形成後に感ガス材を塗布する。
【0036】
ウエハ状の基部10上に複数の支持体13を所定の間隔を空けて固定した後、薄膜部12と貫通孔111が形成されたウエハ状の半導体基板11を、貫通孔111内に少なくとも1つの支持体13を収納するようにして基部10上に固定する。固定方法としては、たとえば、接着剤を使用する方法、陽極接合法、直接接合法などを用いることができる。接着剤は、加熱硬化型、冷却硬化型、常温硬化型などのものを用いることができる。銀などの導電性粒子を含む接着剤を用いてもよい。導電性粒子を含む場合、半導体基板11の裏面から導通を取ることができ、またはアースを取って電気的に安定化することができる。なお、基部10と支持体13は、同じ材料で一体的に形成してもよい。
【0037】
最後に、基部10をダイシングテープ上に固定し、ダイシングブレードを用いて切断する。この製造方法によれば、支持体13によってダイシング時の振動による薄膜部12のたわみを抑制することができる。
【0038】
以上のようにして、本発明の半導体センサを得ることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 :半導体センサ
10 :基部
11 :半導体基板
111:貫通孔
112:おもり部
12 :薄膜部
12a:梁部
12e:端部
121:ヒータ
122:検出電極
123:感ガス材
124:ピエゾ抵抗部
125:配線電極
126:第1電極
127:第3電極
13 :支持体
131:第2電極
14 :蓋部材
141:第2支持体
142:第4電極
2 :パッド電極
3 :ボンディングワイヤ
9 :実装基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12