(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来においては、ネジの固定箇所が左右の各側面につき2箇所となる構造が採用される場合、例えば、カメラの取付角の調節が可能となるように、支点でない方の孔は長孔とされる。この場合、治具等を使用しないと、取付角が正確な値とされたカメラの設置が難しく、作業性が悪い。
【0007】
また、長孔の代わりに、例えば複数の孔を設けることも考えられる。これにより、取付角の調節のための治具が不要になる。しかし、固定強度を確保することを考慮に入れると、ネジの太さはできるだけ太いことが好ましい。ネジの太さが太くなると、隣り合う孔の中心同士の間隔は必然的に大きくなる。この結果、角度調節の最小単位が大きくなり、適切な取付角でのカメラの設置が難しくなる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、対象物体に機器を安定して固定しつつ、対象物体に対する機器の姿勢を適切に設定することができる機器固定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の機器固定装置は、機器を対象物体に固定する機器固定装置であって、前記対象物体に取り付けられるブラケットと、前記機器を前記ブラケットに連結する連結部と、前記ブラケットと前記連結部とを固定する第1軸部及び第2軸部と、を備え、前記ブラケットは、ブラケット側第1固定部と、前記ブラケット側第1固定部を中心とする同一円周上に複数配列されるブラケット側第2固定部と、を有し、前記連結部は、複数の前記ブラケット側第2固定部のいずれかと前記第2軸部により固定される連結部側第2固定部と、前記連結部側第2固定部を中心とする同一円周上に複数配列されて、前記ブラケット側第1固定部と前記第1軸部により固定される連結部側第1固定部と、を有する構成(第1の構成)になっている。
【0010】
上記第1の構成の機器固定装置において、複数の前記ブラケット側第2固定部、及び、複数の前記連結部側第1固定部は、それぞれ、周方向に等間隔で配列されている構成(第2の構成)であるのが好ましい。
【0011】
上記第1又は2の構成の機器固定装置において、前記ブラケット側第1固定部から隣り合う2つの前記ブラケット側第2固定部に向かう2つの直線がなす角度を第1角度とし、前記連結部側第2固定部から隣り合う2つの前記連結部側第1固定部に向かう2つの直線がなす角度を第2角度とした場合に、前記第1角度と前記第2角度とが異なる角度である構成(第3の構成)であるのが好ましい。
【0012】
上記第3の構成の機器固定装置において、前記第1角度と前記第2角度との差が、前記ブラケットに対して前記機器の角度を変更可能な最小角度に等しい構成(第4の構成)であるのが好ましい。
【0013】
上記第3の構成の機器固定装置において、前記第1角度と前記第2角度とは互いに非整数倍の関係である構成(第5の構成)が好ましい。
【0014】
上記第1から第5のいずれかの構成の機器固定装置において、前記第1軸部と前記第2軸部とは異なる種類の軸で構成されてよい(第6の構成)。
【0015】
上記第6の構成の機器固定装置において、前記第1軸部と前記第2軸部とのうちのいずれか一方はネジで構成され、他方は前記ブラケット又は前記連結部から突出する突起で構成されてよい(第7の構成)。
【0016】
上記第7の構成の機器固定装置において、前記突起は先端側に向けて先細りとなる曲面を有してよい(第8の構成)。
【0017】
上記第7の構成の機器固定装置において、前記ブラケット又は前記連結部には、前記突起と係合する溝部が形成されてよい(第9の構成)。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、対象物体に機器を安定して固定しつつ、対象物体に対する機器の姿勢を適切に設定することができる機器固定装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る機器固定装置について詳細に説明する。
<1.機器固定装置の概要>
本発明の実施形態に係る機器固定装置は、機器を対象物体に固定する装置である。本実施の形態では、一例として機器がカメラ、対象物体が車両であるものとして説明する。なお、本明細書では、カメラが取り付けられる車両を基準として前後、左右、上下の表現を用いる。ただし、本明細書における前後、左右、上下は、あくまで説明の便宜のために定義した方向であって、本発明に係る機器固定装置の使用時の姿勢を限定する意図はない。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る機器固定装置1が適用された車両100を示す概略斜視図である。機器固定装置1は、車両100の後方扉101に配置される。機器固定装置1によって後方扉101に固定されるカメラは、車両後方を映す。カメラによって映された映像は、例えば運転席近傍に設けられるモニタ(不図示)に映し出される。
【0022】
後方扉101は、車両100の荷室を開閉する金属製の扉である。後方扉101の中央部より少し下方には、ナンバープレート102が配置される。後方扉101のナンバープレート102より上の位置には、樹脂製のガーニッシュ103が設けられる。機器固定装置1は、後方扉101の本体部分に固定される。また、カメラを固定する機器固定装置1は、カメラによる撮影に支障のない範囲でガーニッシュ103に覆われる。
【0023】
なお、ガーニッシュ103には、例えば、後方扉101の開閉操作を行うための開閉ボタンが取り付けられる。開閉ボタンの操作を行う際に、機器固定装置1によって固定されるカメラに誤って手が触れる可能性がある。
<2.機器固定装置の構成>
図2は、本発明の実施形態に係る機器固定装置1を上から見た概略平面図である。
図2に示すように、機器固定装置1は、ブラケット11と、連結部12と、第1軸部13と、第2軸部14とを備える。ブラケット11は、後方扉101に取り付けられる。連結部12は、カメラ15をブラケット11に連結する。素材を限定する趣旨ではないが、本実施形態では、ブラケット11及び連結部12は金属製である。第1軸部13及び第2軸部14は、ブラケット11と連結部12とを固定する。
【0024】
図3は、本発明の実施形態に係る機器固定装置1が備えるブラケット11の左方から見た概略側面図である。
図2及び
図3に示すように、ブラケット11は、後方扉101の被取付面101aに固定される板状の第1取付部111を有する。本実施形態では、第1取付部111は、前後方向からの平面視において略矩形状である。第1取付部111は、2本の留め具30を用いて被取付面101aに固定される。留め具30は、例えばボルトであってよい。留め具30の数も適宜変更されてよい。また、第1取付部111は、留め具30ではなく、例えば接着剤等で被取付面101aに固定されてもよい。
【0025】
ブラケット11は、第1取付部111の左右の端部から後方に延びる一対の第1延出部112、113を有する。一対の第1延出部112、113は、同一形状且つ同一サイズである。本実施形態では、一対の第1延出部112、113は、左右方向からの平面視において略矩形状の板状部である。また、第1取付部111と、一対の第1延出部112、113とは同一部材である。第1取付部111及び一対の第1延出部112、113を有するブラケット11は、板金部材を加工することによって形成できる。
【0026】
図3に示すように、ブラケット11は、ブラケット側第1固定部114を有する。本実施形態では、ブラケット側第1固定部114は、左右の第1延出部112、113に1つずつ設けられる。左右に設けられる2つのブラケット側第1固定部114は、左右方向から見た場合に重なる位置に配置されている。各ブラケット側第1固定部114には、第1延出部112、113を左右方向に貫通する略円形状の貫通孔Hが形成されている。
【0027】
ブラケット11は、ブラケット側第1固定部114を中心とする同一円周上に複数配列されるブラケット側第2固定部115a〜115cを有する。なお、本実施形態では、ブラケット側第2固定部の数は、左右の第1延出部112、113に3つずつとされている。ただし、この数は例示であって適宜変更されてよい。また、本実施形態では、複数のブラケット側第2固定部115a〜115cは180°の範囲内に配列されている。これにより、第1延出部112、113のサイズが大きくなりすぎることを防止できる。複数のブラケット側第2固定部115は、スペースが許せば360°の範囲(全周)に亘って設けられてもよく、または機器の姿勢の調整範囲に合わせた範囲に設けられてもよい。
【0028】
左右の第1延出部112、113に同数設けられるブラケット側第2固定部115a〜115cは、左右方向から見た場合に重なる位置に配置されている。各ブラケット側第2固定部115a〜115cには、第1延出部112、113を左右方向に貫通する略円形状の貫通孔Hが形成されている。なお、本実施形態では、ブラケット側第1固定部114に形成される貫通孔Hと、ブラケット側第2固定部115a〜115cに形成される貫通孔Hとは、直径が同一である。ただし、これは例示であり、場合によっては、第1固定部114と第2固定部115a〜115cとの間で、孔のサイズが異なってもよい。
【0029】
左右の第1延出部112、113のそれぞれにおいて、複数のブラケット側第2固定部115a〜115cは、周方向に等間隔で配列されている。なお、場合によっては、複数のブラケット側第2固定部115a〜115cは周方向に等間隔で配列されなくてもよい。ただし、複数のブラケット側第2固定部115a〜115cを等間隔に配列した場合、角度調節の際に例えば角度の確認作業が複雑になったり、勘違いが生じたりすることを避けられ、角度調節作業をスムーズに行うことが可能になる。
【0030】
ブラケット側第1固定部114から、隣り合う2つのブラケット側第2固定部115に向かう2つの直線がなす角度を第1角度αとする。この場合、第1角度αは、いずれの隣り合う2つのブラケット側第2固定部115を選択した場合にも同じ値になる。本実施形態では、α=15°である。
【0031】
図4は、本発明の実施形態に係る機器固定装置1が備える連結部12の、
図3と同一の方向(左方)から見た概略側面図である。
図2及び
図4に示すように、連結部12はカメラ15に固定されている。連結部12は、カメラ15に固定される板状の第2取付部121を有する。本実施形態では、第2取付部121は、前後方向からの平面視において略矩形状である。第2取付部121は、例えばネジ等の留め具、或いは、接着剤等によってカメラ15に固定される。
【0032】
連結部12は、第2取付部121の左右の端部から前方に延びる一対の第2延出部122、123を有する。一対の第2延出部122、123は、同一形状且つ同一サイズである。本実施形態では、一対の第2延出部122、123は、左右方向からの平面視において略矩形状の板状部である。また、第2取付部121と、一対の第2延出部122、123とは同一部材である。第2取付部121及び一対の第2延出部122、123を有する連結部12は、板金部材を加工することによって形成できる。
【0033】
図4に示すように、連結部12は、複数のブラケット側第2固定部115a〜115cのいずれかと固定される連結部側第2固定部124を有する。本実施形態では、連結部側第2固定部124は、左右の第2延出部122、123に1つずつ設けられる。左右に設けられる2つの連結部側第2固定部124は、左右方向から見た場合に重なる位置に配置される。各連結部側第2固定部124には、第2延出部122、123を左右方向に貫通するとともに、内周に螺旋状の溝が刻まれたネジ孔SHが形成されている。
【0034】
連結部12は、連結部側第2固定部124を中心とする同一円周上に複数配列される連結部側第1固定部125a〜125fを有する。なお、ブラケット側第2固定部115a〜115cが配列される円周と、連結部側第1固定部125a〜125fが配列される円周とは、半径値が同じである。本実施形態では、連結部側第1固定部の数は、左右の第2延出部122、123に6つずつとされている。ただし、この数は例示であって適宜変更されてよい。また、本実施形態では、複数の連結部側第1固定部125a〜125fは180°の範囲内に配列されている。これにより、第2延出部122、123のサイズが大きくなりすぎることを防止できる。複数の連結部側第2固定部125は、スペースが許せば360°の範囲(全周)に亘って設けられてもよく、または機器の姿勢の調整範囲に合わせた範囲に設けられてもよい。
【0035】
左右の第2延出部122、123に同数設けられる連結部側第1固定部125a〜125fは、左右方向から見た場合に重なる位置に配置されている。各連結部側第1固定部125には、第2延出部122、123を左右方向に貫通するとともに、内周に螺旋状の溝が刻まれたネジ孔SHが形成されている。なお、本実施形態では、連結部側第2固定部124に形成されるネジ孔SHと、連結部側第1固定部125a〜125fに形成されるネジ孔SHとは同一サイズである。ただし、これは例示であり、場合によっては、第2固定部124と第1固定部125a〜125fとの間で、ネジ孔のサイズが異なってもよい。
【0036】
左右の第2延出部122、123のそれぞれにおいて、複数の連結部側第1固定部125a〜125fは、周方向に等間隔で配列されている。なお、場合によっては、複数の連結部側第1固定部125a〜125fは周方向に等間隔で配列されなくてもよい。ただし、複数の連結部側第1固定部125a〜125fを等間隔に配列した場合、角度調節の際に例えば角度の確認作業が複雑になったり、勘違いが生じたりすることを避けられ、角度調節作業をスムーズに行うことが可能になる。
【0037】
連結部側第2固定部124から、隣り合う2つの連結部側第1固定部125に向かう2つの直線がなす角度を第2角度βとする。この場合、第2角度βは、いずれの隣り合う2つの連結部側第1固定部125を選択した場合にも同じ値になる。本実施形態では、β=10°である。
【0038】
機器固定装置1においては、ブラケット11の内側に連結部12が嵌め込まれる。そして、左右の側面のそれぞれにおいて、ブラケット側第1固定部114と複数の連結部側第1固定部125a〜125fのいずれか1つとが、第1軸部13により固定される。また、左右の側面のそれぞれにおいて、複数のブラケット側第2固定部115a〜115cのいずれか1つと連結部側第2固定部124とが、第2軸部14により固定される。本実施形態では、第1軸部13と第2軸部14とはいずれもネジSで構成されている。なお、本実施形態の構成とは逆に、ブラケット11の外側に連結部12が被せられる構成が採用されてもよい。なお、その場合、ブラケット側をネジ孔とし、連結部側を孔としてもよい。
【0039】
左右の各側面において、第1固定部114、125と第2固定部115、124の2箇所で固定が行われるために、カメラ15をしっかり固定することができる。また、第1固定部側及び第2固定部側において、左右方向に重なり合う固定部の組み合わせが変更されると、カメラ15の垂直面内における取付角が変わる。このために、角度測定したり、治具を用いたりすることなく、カメラ15の取付角の調節を簡単且つ適切に行うことができる。すなわち、本実施形態の機器取付装置1によれば、車両100にカメラ15を安定して固定しつつ、車両100に対するカメラ15の姿勢を適切に設定することができる。
【0040】
また、本実施形態では、後方扉101の開閉操作を行う開閉ボタンを操作しようとする者が、誤ってカメラ15に触れる可能性がある。このような場合でも、機器固定装置1によってカメラ15がしっかり固定されているために、カメラ15の位置が動くことを防止することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、左右の各側面に固定部(固定箇所)が設けられる構成とした。しかし、これは例示であり、場合によっては、左右のいずれか一方の側面においてのみ、固定部が設けられる構成としてもよい。
<3.機器固定装置におけるカメラの取付角の調節>
図5、
図6及び
図7は、本発明の実施形態に係る機器固定装置1におけるカメラ15の取付角の調節について説明するための概略側面図である。
図5、
図6及び
図7においては、カメラ15の取付角(カメラ15の光軸の水平方向に対する角度)が互いに異なっている。
【0042】
図5は、ブラケット11に対するカメラ15の取付角が0°である場合を示す。
図5では、ブラケット側第1固定部114と連結部側第1固定部125bとが左右方向に重なる。また、ブラケット側第2固定部115bと連結部側第2固定部124とが左右方向に重なる。
図5に示す状態で、第1軸部13及び第2軸部14が取り付けられることによって、カメラ15は取付角0°でブラケット11に固定される。なお、本明細書では、
図5に示すカメラ15の取付位置を基準位置とする。また、本明細書では、
図5に示す基準位置からカメラ15が下方に傾けられる場合をプラス方向とする。
【0043】
図6は、ブラケット11に対するカメラ15の取付角が10°である場合を示す。複数の連結部側第1固定部125a〜125fは、10°(β=10°)間隔で配列されている。このために、取付角10°の状態は、
図5に示す基準位置から第2固定部115b、124を中心としてカメラ15を下方に回転し、ブラケット側第1固定部114を、連結部側第1固定部125bの隣にある連結部側第1固定部125cと重なる状態とすれば得られる。
【0044】
すなわち、
図6では、ブラケット側第1固定部114と連結部側第1固定部125cとが左右方向に重なる。また、ブラケット側第2固定部115bと連結部側第2固定部124とが左右方向に重なる。この状態で、第1軸部13及び第2軸部14が取り付けられることによって、カメラ15は、取付角10°でブラケット11に固定される。
【0045】
図7は、ブラケット11に対するカメラ15の取付角が5°である場合を示す。複数のブラケット側第2固定部115a〜115cは15°(α=15°)間隔で配列され、複数の連結部側第1固定部125a〜125fは10°間隔で配列される。このために、
図5に示す基準位置から、第1固定部114、125b或いは第2固定部115b、124を中心として回転しただけでは、取付角5°の状態は得られない。そこで、取付角5°の状態を得る場合には、
図5に示す基準位置から、第1固定部114、125を中心とする回転と、第2固定部115、124を中心とする回転とを組み合わせる必要がある。
【0046】
例えば、
図5に示す基準位置から、第2固定部115b、124を中心としてカメラ15を下方に回転し、ブラケット側第1固定部114と連結部側第1固定部125dとが左右方向に重なった状態とする。これにより、カメラ15の取付角は20°となる。この状態から、第1固定部114、125dを中心としてカメラ15を上方に回転し、連結部側第2固定部124と、ブラケット側第2固定部115bの隣にあるブラケット側第2固定部115aとが左右方向に重なった状態にする。これによって、カメラ15は取付角20°の状態から15°上方に戻されて、取付角5°の状態になる。
【0047】
すなわち、
図7では、ブラケット側第1固定部114と連結部側第1固定部125dとが左右方向に重なる。また、ブラケット側第2固定部115aと連結部側第2固定部124とが左右方向に重なる。この状態で、第1軸部13及び第2軸部14が取り付けられることによって、カメラ15は、取付角5°でブラケット11に固定される。
【0048】
なお、以上では、
図5に示す状態を基準として、
図6及び
図7に示す状態が得られることを説明した。ただし、これは説明の便宜上のことであり、
図6及び
図7に示す状態を得るに際して、いちいち
図5に示す基準状態を先に得る必要はない。目的の取付角が得られるように、ブラケット側第1固定部114と連結部側第1固定部125a〜125fの組み合わせ、及び、ブラケット側第2固定部115a〜115cと連結部側第2固定部124の組み合わせを決める。そして、それに合わせてブラケット11に対する連結部12の位置を決めて、第1軸部13及び第2軸部14を用いて固定すればよい。
【0049】
第1角度αと第2角度βとは互いに異なる角度である。これにより、取付角を種々の角度に調節することができる。本実施形態では、第1角度α(=15°)と第2角度β(=10°)との差(=5°)が、ブラケット11に対してカメラ15の角度を変更可能な最小単位に等しくなっている。本実施形態の構成では、希望する角度調節の最小単位を、第1角度αと第2角度βとを決定することによって得ることができるために便利である。また、角度調節の最小単位が、第1角度α及び第2角度βから簡単に求められる数字であるために、取付角の調節を行う作業者が混乱を起し難くできる。
【0050】
本実施形態では、第1角度α(=15°)と第2角度β(=10°)とは、互いに非整数倍の関係になっている。このために、第1角度α及び第2角度βに加えて、それらよりも小さい角度でカメラ15の取付角を調節することが可能である。すなわち、本実施形態では、カメラ15の取付角を細かく調節することが可能である。また、本実施形態では、複数のブラケット側第2固定部115a〜115cの間隔、及び、複数の連結部側第1固定部125a〜125fの間隔を、それぞれ、角度調節の最小単位よりも大きくすることができる。このために、第1軸部13及び第2軸部14の太さを太くすることができ、ブラケット11と連結部12との固定強度を高めることができる。すなわち、本実施形態では、車両100にカメラ15を安定的に固定しつつ、カメラ15の姿勢を細かく調節することができる。
【0051】
なお、本実施形態の構成の場合、カメラ15の取付角の変更によって、カメラ15の上下方向の位置がずれることがある。この点を考慮して、ブラケット11を被取付面101aに固定するためのボルト30の取り付け位置を調節できるようにしてもよい。例えば、ブラケット11に設けられるボルト30の取付孔(不図示)を上下方向に複数設け、上下方向の取付孔の選択によって、カメラ15の高さ位置が調節できるようにしてもよい。この場合、カメラの取付角に応じて、被取付面101aの複数の取付孔のうち、どれを用いればよいかを、ブラケット側第2固定部115a〜115c、または連結部側第2の固定部125a〜125fに対応してマークしておいてもよい。たとえばブラケット側第2固定部115aを用いるときは被取付面101aの複数の取付孔のうち1番下の孔を用いる、ブラケット側第2固定部115bを用いるときは被取付面101aの複数の取付孔のうち下から2番目の孔を用いる等を、ブラケット側第2固定部115a〜115cの近くに刻印しておけば、作業者がマニュアル等を参照しなくても、ミスなく取り付け作業を行うことができる。
<4.変形例>
<4−1.第1変形例>
図8は、本発明の実施形態に係る機器固定装置1の第1変形例を説明するための図である。
図8は、ブラケット11を後方から見た概略平面図である。以上に示した実施形態では、第1軸部13と第2軸部14とが、いずれもネジSで構成された。しかし、これは例示にすぎず、第1軸部13と第2軸部14とは異なる種類の軸で構成されてもよい。これにより、例えばカメラ15の取付角を調節する作業の作業性を向上することが可能である。
【0052】
図8に示す第1変形例では、ブラケット側第1固定部114には、貫通孔ではなく突起Pが形成されている。突起Pは、一対の第1延出部112、113のそれぞれに1つずつ設けられる。突起Pは、ブラケット11の内側に向けて突出する。なお、連結部側第1固定部125a〜125fには、ネジ孔SHではなく貫通孔Hが形成される。
【0053】
ブラケット側第1固定部114と、複数の連結部側第1固定部125a〜125fのいずれかが重ねられ、連結部側第1固定部125に形成される貫通孔Hに突起Pが挿入される。これにより、ブラケット側第1固定部114と、連結部側第1固定部125とが固定される。すなわち、第1変形例では、第1軸部13が突起Pで構成される。ブラケット側第1固定部114は、第1軸部13としての機能も有する。第1変形例でも、ブラケット側第1固定部114は、第1軸部13により連結部側第1固定部125に連結される。なお、第1変形例では、第2軸部14は、上述の実施形態と同様にネジSで構成される。また、突起Pが挿入できればよいので、連結部側第1固定部125には、貫通孔Hに代えて凹部が形成されてもよい。
【0054】
第1変形例の構成では、左右の各側面における2つの固定箇所(固定部)のうち、ネジ留めが一方だけとなるために作業性を向上できる。また、同程度の太さの軸を挿入することを想定した場合、ネジ孔より突起Pと係合する貫通孔Hの方が面積を小さくできる。このために、突起Pと係合する貫通孔Hの方が、ネジ孔よりも周方向の間隔を小さくして複数配置することができる。
【0055】
なお、第1変形例では、第1軸部13は突起Pで構成され、第2軸部14はネジSで構成されたが、これは例示である。第1軸部13がネジSで構成され、第2軸部14が突起Pで構成されるようにしてもよい。
【0056】
また、ブラケット側第1固定部114には貫通孔Hが形成される構成とし、連結部側第1固定部125a〜125fに突起Pが形成されるようにしてもよい。ただし、ブラケット側第1固定部114に突起Pが形成される構成の方が好ましい。これにより、ブラケット11に対する連結部12の挿入をスムーズに行うことができる。
【0057】
図9は、ブラケット側第1固定部114に形成される突起Pの形状の変形例を示す概略図である。
図9に示すように、突起Pは、先端側に向けて先細りとなる曲面を有する構成としてもよい。このように構成すると、取付角の調節を行う際にクリック感を持たせることができる。
<4−2.第2変形例>
図10は、本発明の実施形態に係る機器固定装置1の第2変形例を説明するための図である。
図10は、連結部12の概略側面図である。第2変形例では、第1変形例と同様に、ブラケット側第1固定部114には、第1軸部13を構成する突起Pが形成される。ただし、連結部側第1固定部125a〜125fには、貫通孔ではなく、U字型の溝部Gが形成されている。この溝部Gに突起Pが嵌り込むことによって、ブラケット側第1固定部114と連結部側第1固定部125とが固定される。
【0058】
第1変形例の構成の場合、突起Pを貫通孔Hに入れる際に、ブラケット11を押し広げたり、連結部12を狭めたりする必要がある。この点、第2変形例の構成では、ブラケット11及び連結部12を変形させることなく、ブラケット側第1固定部114と連結部側第1固定部125a〜125fとの固定を効率良く行うことができる。
<4−3.第3変形例>
図11は、本発明の実施形態に係る機器固定装置1の第3変形例を説明するための図である。
図11は、ブラケット11及び連結部12の概略側面図である。以上に説明した実施形態では、ブラケット側第1固定部114の後方にブラケット側第2固定部115a〜115cが配置され、連結部側第1固定部125a〜125fの後方に連結部側第2固定部124が配置される構成とした。しかし、これは例示にすぎない。
図11に示すように、ブラケット側第1固定部114の前方にブラケット側第2固定部115a〜115cが配置され、連結部側第1固定部125a〜125fの前方に連結部側第2固定部124が配置される構成としてもよい。
<4−4.第4変形例>
図12は、本発明の実施形態に係る機器固定装置1の第4変形例を説明するための図である。
図12は、機器固定装置1を上から見た概略平面図である。以上に示した実施形態では、連結部12はカメラ15に取り付けられる取付金具として構成された。しかし、これは例示である。連結部12は、カメラ15の一部であってもよい。詳細には、
図12に示すように、連結部12は、カメラ15の左右の側面部15a、15bであってもよい。この場合、カメラ15の左右の側面部15a、15bに、連結部側第1固定部及び連結部側第2固定部が設けられる。
【0059】
第4変形例の構成によれば、機器固定装置1の前後方向の長さを短くすることが可能である。なお、第4変形例では、一例として、第1軸部13が突起Pで構成され、第2軸部14がネジSで構成されている。
<4−5.その他>
以上に示した実施形態や変形例の構成は、本発明の例示にすぎない。実施形態や変形例の構成は、本発明の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、複数の実施形態及び変形例は、可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。また、本発明は、カメラを車両に取り付ける装置だけでなく、機器を対象物体に固定する装置として広く適用可能である。例えば、本発明は、車載レーダの車体への取付や、家庭用のパラボラアンテナの外壁への取付に適用することができる。家庭用のパラボラアンテナの外壁への取付に適用する場合、例えば、その地域の緯度によって、どの取付孔の組み合わせを使うかを取扱説明書に記載しておく等するのが好ましい。