特許第6769765号(P6769765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6769765画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769765
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20201005BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20201005BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20201005BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   G03G21/00 384
   G03G21/00 386
   G03G21/00 376
   B41J29/38 104
   B41J29/42 F
   H04N1/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-141643(P2016-141643)
(22)【出願日】2016年7月19日
(65)【公開番号】特開2018-13548(P2018-13548A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】川上 隆宏
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−221427(JP,A)
【文献】 特開2006−222569(JP,A)
【文献】 特開2014−215458(JP,A)
【文献】 特開2011−156794(JP,A)
【文献】 特開2014−073604(JP,A)
【文献】 特開2015−214034(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0201558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
B41J 29/42
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力が所定値以下に制限される省電力状態および消費電力が制限されない通常状態を有する画像形成装置であって、
所定の条件を満たす場合に、前記画像形成装置を前記通常状態と前記省電力状態との間で切り替える切替動作を行う切替手段、
表示面を有する表示手段および当該表示手段の当該表示面上に設けられたタッチパネルを含み、前記切替手段による前記切替動作を禁止する切替の禁止の指示を入力するための指示キーを当該表示手段の当該表示面に表示させる入力手段、
前記画像形成装置が前記通常状態である場合であって、前記画像形成装置におけるジョブが実行される前に前記指示キーが操作されたかどうかに応じて、前記切替の禁止の指示が有るかどうかを判断する判断手段、
前記判断手段において、前記切替の禁止の指示が有ると判断された場合、前記切替手段による前記切替動作を無期限に禁止する禁止手段、および
前記画像形成装置におけるジョブが終了したときに、前記禁止手段によって禁止された前記切替の禁止を解除する解除手段を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記入力手段が、前記切替の禁止の指示をするかどうかをユーザに選択させるための選択画面を、前記表示手段の前記表示面に表示させ、
前記選択画面が、前記指示キーを含み、前記表示手段の前記表示面の最前面に表示される、請求項記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記入力手段が、前記切替手段によって前記省電力状態から前記通常状態に切り替えられたときに、前記選択画面を前記表示手段の前記表示面に表示させる、請求項記載の画像形成装置。
【請求項4】
表示面を有する表示手段および当該表示手段の当該表示面上に設けられたタッチパネルを備え、消費電力が所定値以下に制限される省電力状態および消費電力が制限されない通常状態を有する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置のコンピュータを、
所定の条件を満たす場合に、前記画像形成装置を前記通常状態と前記省電力状態との間で切り替える切替動作を行う切替手段、
前記切替手段による前記切替動作を禁止する切替の禁止の指示を入力するための指示キーを前記表示手段の前記表示面に表示させる入力手段、
前記画像形成装置が前記通常状態である場合であって、前記画像形成装置におけるジョブが実行される前に前記指示キーが操作されたかどうかに応じて、前記切替の禁止の指示が有るかどうかを判断する判断手段、
前記判断手段において、前記切替の禁止の指示が有ると判断された場合、前記切替手段による前記切替動作を無期限に禁止する禁止手段、および
前記画像形成装置におけるジョブが終了したときに、前記禁止手段によって禁止された前記切替の禁止を解除する解除手段として機能させる、画像形成装置の制御プログラム。
【請求項5】
表示面を有する表示手段および当該表示手段の当該表示面上に設けられたタッチパネルを備え、消費電力が所定値以下に制限される省電力状態および消費電力が制限されない通常状態を有する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置のコンピュータは、
(a)所定の条件を満たす場合に、前記画像形成装置を前記通常状態と前記省電力状態との間で切り替える切替動作を行うステップ、
(b)前記ステップ(a)での前記切替動作を禁止する切替の禁止の指示を入力するための指示キーを前記表示手段の前記表示面に表示させるステップ、
)前記画像形成装置が前記通常状態である場合であって、前記画像形成装置におけるジョブが実行される前に前記指示キーが操作されたかどうかに応じて、前記切替の禁止の指示が有るかどうかを判断するステップ、
)前記ステップ()で前記切替の禁止の指示が有ると判断された場合、前記ステップ(a)での前記切替動作を無期限に禁止するステップ、そして
)前記画像形成装置におけるジョブが終了したときに、前記ステップ()で禁止された前記切替の禁止を解除するステップを含む、画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、消費電力が制限される省電力状態および消費電力が制限されない通常状態を有する、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の画像形成装置の一例が特許文献1に開示される。この特許文献1の画像形成装置は、省電力モードへ移行する機能を有し、省電力モード移行禁止キーを備える。この背景技術の画像形成装置は、省電力モード移行禁止キーが操作された場合に省電力モードへの移行を禁止する。また、この画像形成装置には、自動原稿給送装置と、自動原稿給送装置の排紙部の用紙の有無を検知する紙面センサとが設けられる。さらに、この画像形成装置では、省電力モードへの移行が禁止されている状態で、紙面センサが自動原稿給送装置の排紙部に用紙が有る状態から無い状態になったことを検知した場合に、省電力モードへの移行禁止が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−015479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この背景技術の画像形成装置では、自動原稿給送装置の排紙部に用紙が有る状態から無い状態になったときに、省電力モードへの移行禁止が解除される。しかしながら、背景技術の画像形成装置では、ユーザが排紙部から用紙を取り忘れた場合には、排紙部に用紙が有る状態が維持されるので、省電力モードへの移行禁止が解除されない。また、画像読取装置において原稿のスキャンをするだけの場合には、排紙部に用紙が搬送されないので、排紙部に用紙が有る状態になることがなく、省電力モードへの移行禁止が解除されない。
【0005】
このように、背景技術の画像形成装置では、省電力モードへの移行禁止が解除されない可能性がある。省電力モードへの移行禁止が解除されないと、無駄な電力が消費されてしまうという問題がある。
【0006】
したがって、背景技術の画像形成装置では、効率的に省電力化を図ることができないため、改善の余地がある。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、効率的に省電力化を図ることができる、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、消費電力が所定値以下に制限される省電力状態および消費電力が制限されない通常状態を有する画像形成装置であって、切替手段、入力手段、判断手段、禁止手段および解除手段を備える。切替手段は、所定の条件を満たす場合に、画像形成装置を通常状態と省電力状態との間で切り替える切替動作を行う。入力手段は、表示面を有する表示手段および当該表示手段の当該表示面上に設けられたタッチパネルを含み、切替手段による切替動作を禁止する切替の禁止の指示を入力するための指示キーを当該表示手段の当該表示面に表示させる。判断手段は、画像形成装置が通常状態である場合であって、画像形成装置におけるジョブが実行される前に指示キーが操作されたかどうかに応じて、切替の禁止の指示が有るかどうかを判断する。禁止手段は、判断手段において、切替の禁止の指示が有ると判断された場合、切替手段による切替動作を無期限に禁止する。解除手段は、画像形成装置におけるジョブが終了したときに、禁止手段によって禁止された切替の禁止を解除する。
【0010】
第1の発明によれば、省電力状態への切り替えが禁止された後に、最初に実行されたジョブが終了したときに、省電力状態への切替の禁止が解除されるので、確実に省電力状態への切替の禁止が解除される。したがって、無駄な電力を消費してしまうことを防止し、効率的に省電力化を図ることができる。また、第1の発明によれば、少なくとも最初のジョブが終了するまでは省電力状態へ切り替えられることはないので、最初のジョブが終了するまでジョブの設定などがリセットされたりすることがなく、使い勝手が良い。さらに、第1の発明によれば、切替の禁止の指示をするための指示キーが表示手段の表示面に表示されるので、初めて画像形成装置を利用するユーザが、簡単に省電力状態への切替の禁止の指示を行うことができる。
【0013】
の発明は、第の発明に従属する画像形成装置であって、入力手段が、切替の禁止の指示をするかどうかをユーザに選択させるための選択画面を、表示手段の表示面に表示させ、選択画面が、指示キーを含み、表示手段の表示面の最前面に表示される。
【0014】
の発明によれば、切替の禁止の指示をするかどうかをユーザに選択させるための選択画面が、表示手段の表示面の最前面に表示されるので、初めて画像形成装置を利用するユーザが、簡単に省電力状態への切替の禁止の指示を行うことができる。
【0015】
の発明は、第の発明に従属する画像形成装置であって、入力手段が、切替手段によって省電力状態から通常状態に切り替えられたときに、選択画面を表示手段の表示面に表示させる。
【0016】
の発明によれば、通常状態が開始されたときに、選択画面を表示手段の表示面に表示させるので、初めて画像形成装置を利用するユーザが、簡単に省電力状態への切替の禁止の指示を行うことができる。
【0025】
の発明は、表示面を有する表示手段および当該表示手段の当該表示面上に設けられたタッチパネルを備え、消費電力が所定値以下に制限される省電力状態および消費電力が制限されない通常状態を有する画像形成装置の制御プログラムであって、画像形成装置のコンピュータを、所定の条件を満たす場合に、画像形成装置を通常状態と省電力状態との間で切り替える切替動作を行う切替手段、切替手段による切替動作を禁止する切替の禁止の指示を入力するための指示キーを表示手段の表示面に表示させる入力手段、画像形成装置が通常状態である場合であって、画像形成装置におけるジョブが実行される前に指示キーが操作されたかどうかに応じて、切替の禁止の指示が有るかどうかを判断する判断手段、判断手段において、切替の禁止の指示が有ると判断された場合、切替手段による切替動作を無期限に禁止する禁止手段、および画像形成装置におけるジョブが終了したときに、禁止手段によって禁止された切替の禁止を解除する解除手段として機能させる。
【0027】
の発明は、表示面を有する表示手段および当該表示手段の当該表示面上に設けられたタッチパネルを備え、消費電力が所定値以下に制限される省電力状態および消費電力が制限されない通常状態を有する画像形成装置の制御方法であって、画像形成装置のコンピュータは、(a)所定の条件を満たす場合に、画像形成装置を通常状態と省電力状態との間で切り替える切替動作を行うステップ、(b)ステップ(a)での切替動作を禁止する切替の禁止の指示を入力するための指示キーを表示手段の表示面に表示させるステップ、(c)画像形成装置が通常状態である場合であって、画像形成装置におけるジョブが実行される前に指示キーが操作されたかどうかに応じて、切替の禁止の指示が有るかどうかを判断するステップ、()ステップ()で切替の禁止の指示が有ると判断された場合、ステップ(a)での切替動作を無期限に禁止するステップ、そして()画像形成装置におけるジョブが終了したときに、ステップ()で禁止された切替の禁止を解除するステップを含む。
【0029】
第9ないし第12の各発明においても、第1または第5の発明と同様に、無駄な電力を消費してしまうことを防止し、効率的に省電力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、効率的に省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1はこの発明の一実施例である画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2図2図1に示す画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図3図3はホーム画面の一例を示す図解図である。
図4図4図2に示すRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
図5図5図1に示す画像形成装置の電源制御処理の一例を示すフロー図である。
図6図6は第3実施例の選択画面の一例を示す図解図である。
図7図7は第3実施例の電源制御処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1実施例]
図1はこの発明の一実施例である画像形成装置10の外部構成を斜め上方から見た斜視図である。
【0033】
図1を参照して、第1実施例では、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。なお、この発明は複合機だけでなく、複写機(コピー機)、印刷装置(プリンタ)およびファクシミリのような他の画像形成装置に適用可能である。
【0034】
画像形成装置10は、画像読取部30、画像形成部32、手差し給紙部34および給紙装置38を含む装置本体36を備える。
【0035】
画像読取部30は、透明材によって形成される原稿載置台を備え、装置本体36に内蔵される。原稿載置台の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー30aが開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー30aには、手差し給紙部34が設けられる。また、原稿押えカバー30aには、手差し給紙部34に載置された原稿を自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)が設けられる。
【0036】
また、画像読取部30は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。この画像読取部30は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度または色度が検出され、原稿表面の画像に基づく読取画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0037】
画像形成部32は、装置本体36に内蔵され、画像読取部30の下方に設けられる。この画像形成部32は、露光ユニット、現像器、プロセスユニット、中間転写ベルトユニット、転写ローラおよび定着ユニットなどを備える。また、画像形成部32は、画像形成部32の下方に設けられた給紙装置38などから搬送される記録媒体(用紙)上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ40に排出する。画像形成に用いる画像データとしては、画像読取部30によって原稿から読み取った画像データまたは外部から入力される画像データなどが用いられる。
【0038】
また、画像形成装置10において扱われる形成画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器、感光体ドラム、クリーナユニットおよび帯電器のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0039】
感光体ドラムは、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器は、この感光体ドラムの表面を所定の電位(たとえば、−600V)に帯電させる部材である。また、露光ユニットは、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(Laser scanning unit : LSU)として構成され、帯電された感光体ドラムの表面を露光することによって、形成画像データに応じた静電潜像を感光体ドラムの表面に形成する。現像器は、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、クリーナユニットは、現像および画像転写後における感光体ドラムの表面に残留したトナーをクリーニングブレードで除去し、除去したトナーを廃トナーボックス(図示せず)に搬送する。
【0040】
中間転写ベルトユニットは、中間転写ベルト、駆動ローラ、従動ローラおよび4つの中間転写ローラ等を備え、感光体ドラムの上方に配置される。中間転写ベルトは、各感光体ドラムに接触するように設けられており、中間転写ローラを用いて、各感光体ドラムに形成された各色のトナー像を中間転写ベルトに順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト上に多色のトナー像が形成される。また、駆動ローラの近傍には、転写ローラが配置されており、中間転写ベルトと転写ローラとの間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルトに形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0041】
定着ユニットは、ヒートローラおよび加圧ローラを備え、転写ローラの上方に配置される。ヒートローラは、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラと加圧ローラとの間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0042】
また、画像読取部30の前面側には、操作パネル26が設けられる。操作パネル26は、タッチパネル20付きのディスプレイ(表示手段)22および複数の操作ボタン26aを含む。
【0043】
タッチパネル20付きのディスプレイ22には、各種設定または印刷指示などをユーザから受け付けるためのソフトウェアキーおよびメッセージ等が表示される。一例として、ディスプレイ22には、画像形成装置10が実行可能な各種のジョブから所望のジョブを選択するための画面であるホーム画面100(図3参照)が表示される。ただし、この第1実施例では、ジョブは、コピー(原稿のスキャンを含む)、印刷およびファックスの送信などを意味する。
【0044】
操作ボタン26aは、ハードウェアキーであって、たとえば、ホームキー、省電力キーおよび主電源キーなどが含まれる。ホームキーは、ホーム画面100を表示させるためのキーである。省電力キーは、消費電力が制限される省電力状態(省電力モード)と、消費電力が制限されない通常状態(通常モード)とを切り替えるためのキーである。この省電力キーが選択された場合には、通常モードにおいては省電力モードに切り替わり、省電力モードにおいては通常モードに切り替わる。主電源キーは、画像形成装置10の主電源をオン/オフするためのキーである。
【0045】
なお、ソフトウェアキーとは、たとえばタッチパネル20付きのディスプレイ22の表示面上にソフトウェア的に再現されたキーのことを言う。これに対して、ハードウェアキーとは、物理的な装置として設けられたキー(ボタン)のことを言う。
【0046】
図2図1に示す画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図2を参照して、画像形成装置10はCPU12を含む。CPU12には、バス60を介してRAM14、タッチパネル制御回路16、表示制御回路18、操作ボタン検出回路24、画像読取部30、画像形成部32および電源制御回路42が接続される。また、タッチパネル制御回路16にはタッチパネル20が接続され、表示制御回路18にはディスプレイ22が接続され、操作ボタン検出回路24には操作ボタン26aが接続される。
【0047】
CPU12は、画像形成装置10の全体的な制御を司る。RAM14は、CPU12のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
【0048】
タッチパネル制御回路16は、タッチパネル20に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル20のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU12に出力する。
【0049】
タッチパネル20は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル20としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、ディスプレイ22の表示面上にタッチパネル20が設けられる。ただし、タッチパネル20とディスプレイ22とが一体的に形成されたタッチパネルディスプレイが用いられてもよい。
【0050】
表示制御回路18は、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU12の指示の下、GPUは、RAM14に記憶された画像生成データを用いてディスプレイ22に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイ22に出力する。ディスプレイ22としては、たとえばLCDまたはEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。
【0051】
操作ボタン検出回路24は、上述した操作ボタン26aの操作に応じた操作信号ないし操作データをCPU12に出力する。
【0052】
電源制御回路42は、CPU12の指示に従って、画像形成装置10の各コンポーネントに電源(電力)を供給するための制御回路である。電源制御回路42は、商用電源を降圧および整流し、各コンポーネントに応じた所定の直流電圧を供給および停止する。
【0053】
CPU12は、少なくとも画像形成装置10の動作状態を制御する。第1実施例では、画像形成装置10は、上述した省電力モードおよび通常モードの動作状態を有する。たとえば、通常モードでは、CPU12は、電源制御回路42を制御して、画像形成装置10の全コンポーネントに電源を供給する。通常モードは、画像形成装置10の主電源がオンされた場合および省電力モードから通常モードに切り替わった場合に設定される。
【0054】
省電力モードでは、CPU12は、電源制御回路42を制御して、当該CPU12、操作ボタン検出回路24および操作ボタン26aなどに電源を供給する。ただし、省電力モードでは、画像形成装置10の消費電力が予め設定される所定値(たとえば、最大消費電力量の数パーセント)以下になるように制御される。したがって、省電力モードにおいて電源が供給されるコンポーネントの種類および数は、所定値の大きさおよび各コンポーネントの消費電力の大きさを考慮して決定される。たとえば、省電力モードにおいて、ディスプレイ22のバックライトは消灯され、各種のソフトウェアキーも表示されない状態となる。画像形成装置10がネットワークに接続される場合には、省電力モードにおいても当該ネットワークに接続するための接続回路にも電源が供給される。
【0055】
ただし、第1実施例の画像形成装置10では、通常モードから省電力モードに切り替えるための第1所定時間(たとえば、20〜30秒)が予め設定されている。このため、通常モードにおいて、ユーザ操作が無い状態が継続している時間が第1所定時間を超えたことに応じて、画像形成装置10は、自動的に通常モードから省電力モードに切り替わる。ただし、ユーザ操作とは、画像形成装置10の各部への操作を意味する。たとえば、ユーザ操作には、ユーザがタッチパネル20をタッチする操作、ユーザが操作ボタン26aを選択する操作、ユーザが原稿載置台またはADFに原稿をセットする操作、ユーザが原稿押えカバー30aを開ける操作およびユーザが排紙トレイ40から用紙を取り出す操作などが含まれる。
【0056】
また、画像形成装置10に接続される課金装置が設けられる場合、ユーザ操作には、ユーザが課金装置にお金を投入する操作およびユーザが課金装置にプリペイドカードを挿入する操作などが含まれる。
【0057】
さらに、画像形成装置10が、記録媒体を装着可能な接続部を備える場合、ユーザ操作には、ユーザが記録媒体を接続部に装着する操作が含まれる。
【0058】
省電力モードにおいては、ユーザ操作があったときに、画像形成装置10が操作されたことに応じて、自動的に省電力モードから通常モードに切り替わる。
【0059】
ただし、省電力モードから通常モードに切り替わる場合のユーザ操作には、ユーザがタッチパネル20をタッチする操作は含まれない。上述したように、省電力モードにおいては、ディスプレイ22のバックライトが消灯され、各種のソフトウェアキーが表示されない状態となるからである。
【0060】
さらに、第1実施例の画像形成装置10には、通常モードから省電力モードへの切替を禁止するためのソフトウェアキー(以下、「省電力禁止アイコン」という)102が設けられる。
【0061】
図3は、ホーム画面100の一例を示す図解図である。ホーム画面100は、上述したように、各種のジョブを選択するための画面である。このホーム画面100には、コピー、プリント、ファクシミリおよびスキャンなどの各ジョブを選択するためのソフトウェアキー(アイコン)の画像および各ジョブにおける操作画面(設定画面)を表示するためのソフトウェアキーの画像が表示される。上述したように、省電力禁止アイコン102は、ディスプレイ22に表示されるホーム画面100内に設けられる。
【0062】
なお、省電力禁止アイコン102に代えて、またはこれに加えて、通常モードから省電力モードへの切替を禁止するためのハードウェアキー(省電力禁止ボタン)が設けられても良い。この場合、たとえば、操作パネル26に設けられる複数の操作ボタン26aに省電力禁止ボタンが含まれる。
【0063】
通常モードにおいて省電力禁止アイコンがタッチされると、省電力モードへの切替が禁止される。省電力モードへの切替が禁止されると、ユーザ操作が無い状態が継続している時間が第1所定時間を超えた場合であっても、省電力モードに切り替わらない。つまり、通常モードが維持される。ただし、省電力モードへの切替を禁止することに応じて、第1所定時間を大幅に延長する(たとえば100分など)ようにしても良い。
【0064】
従来の画像形成装置10では、省電力モードへの切替が禁止された場合に、手差し給紙部34の排紙部に用紙が有る状態から無い状態になったときに、省電力モードへの切替の禁止を解除するものがある。しかしながら、ユーザが手差し給紙部34の排紙部から用紙を取り忘れた場合には、手差し給紙部34の排紙部に用紙が有る状態が維持される。したがって、従来の画像形成装置10では、省電力モードへの切替の禁止が解除されない可能性がある。
【0065】
また、画像読取部30において原稿をスキャンするだけの場合であって、ADFを使用せずに、原稿を原稿載置台上に置いてスキャンする場合には、手差し給紙部34の排紙部に用紙が搬送されないことがある。この場合、手差し給紙部34の排紙部に用紙が有る状態にならないので、省電力モードへの切替の禁止が解除されない。
【0066】
このように、従来の画像形成装置では、省電力モードへの切替の禁止が解除されないことがある。省電力モードへの切替の禁止が解除されないと、無駄な電力が消費されてしまうという問題がある。
【0067】
さらに、ユーザが原稿を確認するために、ジョブの実行中(途中)に手差し給紙部34の排紙部から用紙が取り出されることがある。この場合、ジョブの実行中に省電力モードへの切替の禁止が解除されてしまう。このため、不適切なタイミングで通常モードから省電力モードに切り替わる可能性がある。
【0068】
このように、不適切なタイミングで通常モードから省電力モードに切り替わると、ジョブの設定などがリセットされてしまい、最初からジョブの設定をやり直すなどユーザの手間がかかるという問題がある。
【0069】
そこで、この第1実施例では、上記の問題を回避するために、通常モードと省電力モードとを適切に切り替え、効率的に省電力化を図ることができるようにしてある。
【0070】
具体的には、第1実施例の画像形成装置10は、省電力モードへの切り替えが禁止された後に、最初に実行されたジョブが終了したときに、省電力モードへの切替の禁止が解除されるようにした。
【0071】
ただし、ジョブが終了したかどうかは、画像形成装置10の設置場所または使用状況に応じて判断される。たとえば、画像形成装置10が、スーパーマーケットまたはコンビニエンスストアなどの店舗に配置される場合であって、画像形成装置10と有線または無線で通信可能に接続される課金装置(たとえばコインベンダー)が設けられる場合がある。この場合、釣銭またはプリペイドカードなどが返却されたときに、ジョブが終了したと判断されても良い。
【0072】
また、設定されたジョブがコピーであれば、そのジョブにおいて最後に画像形成された用紙が排紙トレイ40に排出されたときに、ジョブが終了したと判断されても良い。
【0073】
さらに、画像形成装置10が、各種の記録媒体(SDカードまたはUSBメモリなど)を装着可能な接続部(メモリスロットなど)を備える場合がある。この場合、一度接続された記録媒体が接続部から抜かれたときに、ジョブが終了したと判断されても良い。
【0074】
さらにまた、ユーザにジョブを終了することを指示させるようにしても良い。この場合、たとえば、タッチパネル20付きのディスプレイ22に、ユーザにジョブを終了するかどうかの選択を促す画面を表示する。そして、ジョブを終了することを指示するソフトウェアキー(ジョブ終了キー)を表示する場合がある。この場合、ジョブ終了キーが選択され、ジョブを終了する指示を受け付けたときに、ジョブが終了したと判断される。また、ジョブの設定をリセットするためのソフトウェアキーまたはハードウェアキーを設けても良い。この場合、リセットするためのキーが選択され、リセットの指示受け付けたときに、ジョブが終了したと判断される。
【0075】
また、画像形成装置10の利用開始時に画像形成装置10を利用するユーザのユーザ認証を行う場合がある。この場合、省電力モードへの切替が禁止されたときにログインしていたユーザがログアウトしたときに、ジョブが終了したと判断されても良い。
【0076】
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU12がRAM14に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0077】
図4図2に示すRAM14のメモリマップ70の一例を示す図解図である。図4に示すように、RAM14は、プログラム記憶領域72およびデータ記憶領域74を含む。RAM14のプログラム記憶領域72には、上述したように、画像形成装置10の制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、表示プログラム72a、操作検出プログラム72b、印刷プログラム72c、電源制御プログラム72d、第1判断プログラム72e、第2判断プログラム72f、切替禁止プログラム72gおよび解除プログラム72hを含む。
【0078】
表示プログラム72aは、表示制御回路18を制御して、ホーム画面100または設定画面などの各種の画面をディスプレイ22に表示するためのプログラムである。
【0079】
操作検出プログラム72bは、画像形成装置10の各部への操作を検出するためのプログラムである。たとえば、操作検出プログラム72bは、タッチパネル20から出力されたタッチ座標データを取得して、ディスプレイ22に表示されるホーム画面100などの各種の画面に含まれる各種アイコンが操作されたことを検出するためのプログラムである。また、操作検出プログラム72bは、操作ボタン26aからの操作入力を検出するためのプログラムでもある。
【0080】
印刷プログラム72cは、後述する画像データ74cなどに応じて多色または単色の画像を記録媒体(用紙)に形成するためのプログラムである。
【0081】
電源制御プログラム72dは、画像形成装置10の各コンポーネントへの電源の供給および停止を制御するためのプログラムである。ただし、CPU12は、電源制御プログラム72dに従って電源制御回路42を制御する。上述したように、通常モードでは、CPU12は、電源制御プログラム72dに従って、画像形成装置10の全てのコンポーネントに電源を供給するように電源制御回路42を制御する。一方、省電力モードでは、CPU12は、電源制御プログラム72dに従って、画像形成装置10の一部のコンポーネントへの電源を停止するように電源制御回路42を制御する。
【0082】
第1判断プログラム72eは、画像形成装置10が操作されない状態が継続している時間が第1所定時間を超えたかどうかを判断するためのプログラムでもある。
【0083】
第2判断プログラム72fは、画像形成装置10で実行されるジョブが終了したかどうかを判断するためのプログラムでもある。
【0084】
切替禁止プログラム72gは、操作検出プログラム72bに従って、省電力禁止アイコン102がタッチされたことが検出された場合に、通常モードから省電力モードへの切替を禁止するためのプログラムである。
【0085】
解除プログラム72hは、切替禁止プログラム72gに従って、通常モードから省電力モードへの切替が禁止された後に、第2判断プログラム72fに従って最初に実行されたジョブが終了したことが判断されたときに、通常モードから省電力モードへの切替の禁止を解除するためのプログラムである。
【0086】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域72には、各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
【0087】
RAM14のデータ記憶領域74には、タッチ座標データ74a、操作画面データ74b、画像データ74c、タイマ74dおよび禁止フラグ74eなどが記憶される。
【0088】
タッチ座標データ74aは、操作検出プログラム72bに従って検出(取得)されたタッチ座標データである。検出されたタッチ座標データ74aは、時系列に従って記憶される。
【0089】
操作画面データ74bは、ディスプレイ22に表示されるホーム画面100などの各種の操作画面についての画像データである。
【0090】
画像データ74cは、上述したように、画像読取部30によって原稿から読み取られた画像データまたは外部から入力される画像データなどである。
【0091】
タイマ74dは、通常モードにおいてユーザ操作が無い状態が継続している時間をカウントするためのタイマであり、図示は省略するが、画像形成装置10の内部(CPU12またはRAM14)に設けられる。
【0092】
禁止フラグ74eは、通常モードから省電力モードへの切替が禁止されているかどうかを示すフラグである。たとえば、禁止フラグ74eは1ビットのレジスタで構成される。この禁止フラグ74eがオンのとき通常モードから省電力モードへの切替が禁止され、禁止フラグ74eがオフのとき通常モードから省電力モードへの切替が許可される。
【0093】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域74には、操作パネル26の操作ボタン26aからの操作データなど、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、制御プログラムの実行に必要なレジスタが設けられたりする。
【0094】
図5図1に示す画像形成装置10の電源制御処理の一例を示すフロー図である。ただし、電源制御処理は、画像形成装置10が通常モードが設定された場合に開始される。また、電源制御処理の開始時には、禁止フラグ74eはオフである。
【0095】
図5に示すように、CPU12は、電源制御処理を開始すると、ステップS1で、タイマ74dをリセットおよびスタートし、ステップS3で、ディスプレイ22にホーム画面100を表示する。
【0096】
続くステップS5で、ユーザ操作が有るかどうかを判断する。ステップS5で“YES”であれば、つまり、ユーザ操作が有ると判断した場合は、ステップS7で、省電力モードへの切替の禁止の指示であるかどうかを判断する。
【0097】
ステップS7で“YES”であれば、つまり、省電力モードへの切替の禁止の指示であると判断した場合は、ステップS9で、省電力モードへの切替を禁止し、ステップS11へ進む。ただし、ステップS9では、CPU12は、禁止フラグ74eをオンする。ステップS11では、ジョブが終了したかどうかを判断する。つまり、CPU12は、省電力モードへの切替が禁止された後に、最初に実行されたジョブが終了したかどうかを判断する。
【0098】
ステップS11で“NO”であれば、つまり、ジョブが終了していないと判断した場合は、同じステップS11に戻る。一方、ステップS11で“YES”であれば、つまり、ジョブが終了したと判断した場合は、ステップS13で、省電力モードへの切替の禁止を解除して、ステップS1に戻る。ただし、ステップS13では、CPU12は、禁止フラグ74eをオフする。
【0099】
また、ステップS7で“NO”であれば、つまり、省電力モードへの切替の禁止の指示が無いと判断した場合は、ステップS15で、その他の処理を実行して、ステップS1に戻る。その他の処理としては、ユーザの指示に従って各ジョブが選択されたり、各ジョブにおける各種の設定が行われたり、各ジョブが開始されたり停止されたりすることが該当する。
【0100】
また、ステップS5で“NO”であれば、つまり、ユーザ操作が無いと判断した場合は、ステップS17で、第1所定時間が経過したかどうかを判断する。具体的には、CPU12は、タイマ74dのカウント値が第1所定時間を超えたかどうかを判断する。
【0101】
ステップS17で“NO”であれば、つまり、第1所定時間が経過していないと判断した場合は、ステップS3に戻る。一方、ステップS17で“YES”であれば、つまり、第1所定時間が経過したと判断した場合は、ステップS19で、省電力モードに切り替える。
【0102】
続くステップS21で、ユーザ操作が有るかどうかを判断する。ステップS21で“NO”であれば、つまり、ユーザ操作が無いと判断した場合は、同じステップS21に戻る。この場合、省電力モードが継続される。また、ステップS21で“YES”であれば、つまり、ユーザ操作が有ると判断した場合は、ステップS23で、通常モードに切り替えて、ステップS1に戻る。
【0103】
なお、第1実施例では、省電力モードへの切替の禁止が解除されたときに、ステップS1に戻るため、タイマ74dがリセットされる。このため、省電力モードへの切替の禁止が解除されたときからユーザ操作が無い状態が継続している時間が第1所定時間を超えたときに、通常モードから省電力モードへ切り替わる。
【0104】
この第1実施例によれば、省電力モードへの切り替えが禁止された後に、最初に実行されたジョブが終了したときに、省電力モードへの切替の禁止が解除されるので、確実に省電力モードへの切替の禁止が解除される。したがって、無駄な電力を消費してしまうことを防止し、効率的に省電力化を図ることができる。
【0105】
また、第1実施例によれば、少なくとも最初のジョブが終了するまでは省電力モードへ切り替えられることはないので、最初のジョブが終了するまでジョブの設定などがリセットされたりすることがなく、使い勝手が良い。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10では、省電力モードへの切り替えが禁止された後に、所定時間が経過したときに、省電力モードへの切替の禁止が解除されるようにした以外は第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、異なる内容について詳細に説明し、重複する内容については説明を省略する、または、簡単に説明することにする。
【0106】
第2実施例の画像形成装置10では、CPU12は、省電力モードへの切替が禁止された場合に、タイマ74dのカウント値を参照して、第1所定時間よりも長い所定時間(以下、「第2所定時間」という。)が経過したかどうかを判断する。そして、CPU12は、省電力モードへの切り替えが禁止されてから第2所定時間が経過した場合には、省電力モードへの切替の禁止を解除する。
【0107】
ただし、第2所定時間は、ユーザが画像形成装置10の使用を終了するのに充分な時間に設定される。ユーザが画像形成装置10を操作するのに充分な時間とは、画像形成装置10の操作に不慣れなユーザが、戸惑いながら画像形成装置10を操作する場合でも、画像形成装置10の操作中に省電力モードへの切替の禁止が解除されない程度の時間のことである。たとえば、第2所定時間は、5分以上に設定される。
【0108】
つまり、この第2実施例では、CPU12は、第1実施例で示した電源制御処理のステップS11において、ジョブが終了したかどうかを判断することに代えて、第2所定時間が経過したかどうかを判断する。CPU12は、第2所定時間が経過していないと判断した場合は、同じステップS11に戻る。一方、CPU12は、第2所定時間が経過したと判断した場合は、ステップS13で、省電力モードへの切替の禁止を解除して、ステップS1に戻る。
【0109】
この第2実施例によれば、省電力モードへの切り替えが禁止された後に、第2所定時間が経過したときに、省電力モードへの切替の禁止が解除されるので、ユーザが画像形成装置10の使用を終了した場合に確実に省電力モードへの切替の禁止が解除される。したがって、無駄な電力を消費してしまうことを防止することができる。
【0110】
また、第2実施例によれば、第2所定時間が、ユーザが画像形成装置10の使用を終了するのに充分な時間に設定されているので、ユーザが画像形成装置10を操作している途中に省電力モードへ切り替えられて、ジョブの設定などがリセットされたりすることがない。したがって、使い勝手が良い。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置10では、通常モードが設定されたときに、省電力モードへの切替の禁止の指示をするかどうかをユーザに選択させるようにした以外は、第1実施例と同じであるため、異なる内容について説明し、重複した説明については省略する、または簡単に説明することにする。
【0111】
第3実施例の画像形成装置10では、通常モードが設定されたときに、省電力モードへの切替の禁止の指示をするための選択画面104がディスプレイ22に表示される。ただし、通常モードが設定されたときとは、画像形成装置10の主電源がオンされたときおよび省電力モードから通常モードに切り替わったときを意味する。
【0112】
図6は第3実施例の選択画面104の一例を示す図解図である。図6に示すように、選択画面104には、省電力モードへの切替を禁止するかどうかの判断を促すためのメッセージが表示される。また、選択画面104には、省電力モードへの切替の禁止を指示する“はい”ボタン104aおよび省電力モードへの切替の禁止を指示しない“いいえ”ボタン104bが表示される。
【0113】
選択画面104において“はい”ボタン104aが選択された場合、つまり、ユーザに省電力モードへの切替の禁止の指示をする意思がある場合には、省電力モードへの切替を禁止して、図3に示したホーム画面100を表示する。上述したように、省電力モードへの切替が禁止されると、ホーム画面100が表示されてから最初のジョブが終了するまでは、省電力モードへ切り替えられることがない。
【0114】
また、選択画面104において“いいえ”ボタン104bが選択された場合、つまり、ユーザに省電力モードへの切替の禁止の指示をする意思がない場合は、省電力モードへの切替を禁止せずに、ホーム画面100を表示する。この場合、上述したように、ユーザ操作が無い状態が継続している時間が第1所定時間を超えた場合には、自動的に通常モードから省電力モードに切り替わる。
【0115】
図7は第3実施例の電源制御処理の一例を示すフロー図である。この電源制御処理は、第1実施例と同様に、画像形成装置10が省電力モードである場合に実行される。なお、第1実施例の電源制御処理(図5)で説明した処理と同じ処理については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0116】
図7に示すように、CPU12は、電源制御処理を開始すると、ステップS1で、タイマ74dをリセットおよびスタートし、ステップS31で、ディスプレイ22に選択画面104を表示させる。
【0117】
続くステップS33で、CPU12は、省電力モードへの切替の禁止が選択されたかどうかを判断する。ここでは、CPU12は、操作検出プログラム72bに従って検出されたタッチ座標データ74aを取得して、選択画面104の“はい”ボタン104aがタッチされたかどうかを判断する。
【0118】
ステップS33で“YES”であれば、つまり、選択画面104の“はい”ボタン104aがタッチされた場合は、ステップS9(図5参照)に進み、省電力モードへの切替を禁止する。
【0119】
また、ステップS33で“NO”であれば、つまり、選択画面104の“はい”ボタン104aがタッチされない(選択画面104の“いいえ”ボタン104bがタッチされた)場合は、ステップS3(図5参照)に進み、省電力モードへの切替を禁止せずに、ディスプレイ22にホーム画面100を表示させる。
【0120】
なお、ステップS3以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0121】
この第3実施例によれば、通常モードが開始されたときに、省電力モードへの切替の禁止の指示をするかどうかをユーザに選択させるので、初めて画像形成装置10を利用するユーザが、簡単に省電力モードへの切替の禁止の指示を行うことができる。
【0122】
なお、第3実施例に示した態様は、第2実施例にも組み合わせて採用することが可能である。この場合、省電力モードへの切替の禁止が選択されたときに、第2所定時間の設定を行うための画面をディスプレイ22に表示して、省電力モードへの切替の禁止が解除されるまでの第2所定時間をユーザに設定させるようにしても良い。ただし、2分、3分および5分など、第2所定時間の候補を予め設定しておき、その候補の中から第2所定時間をユーザに選択させるようにしても良い。
【0123】
また、上述の実施例で挙げた具体的な数値、画面構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【0124】
さらに、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0125】
10 …画像形成装置
12 …CPU
14 …RAM
20 …タッチパネル
22 …ディスプレイ
26 …操作パネル
26a…操作ボタン
36 …装置本体
40 …排紙トレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7