(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1駆動ローラ対及び第2駆動ローラ対のうち少なくとも1つのローラの端部には、前記帯状部材における先行して螺旋状に形成された先行螺旋管部の一周違いに隣接する縁どうし間の継目を跨ぐ継目ローラが、前記1つのローラと同軸まわりに自由回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の製管装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既設管は、全長にわたって一定の内径ばかりとは限らず、拡径部や縮径部があるものもある。また、既設管の内壁の所々に障害物等があるために、更生管(螺旋管)の径を変更する必要が生じる場合もある。
一方、従来の製管装置においては、内周規制体によって更生管(螺旋管)の直径が決まる。更生管(螺旋管)を拡縮させるためには、内周規制体の大きさを変える必要がある。例えば、環状の内周規制体に伸縮アクチュエータを組み込んで拡縮可能としたり(前記特許文献1)、放射状の内周規制体のロッドを伸縮可能としたりする必要があり(前記特許文献2)、装置構造が複雑となる。
本発明は、かかる事情に鑑み、簡易な構成によって螺旋管を拡径させたり縮径させたりしながら製管可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、推進に伴って、帯状部材を螺旋状に巻回しながら前記帯状部材の一周違いに隣接する縁どうしを接合することによって、螺旋管を形成する製管装置であって、
回転軸線を推進方向と直交する幅方向へ向けて、前記帯状部材を挟み付ける第1駆動ローラ対と、
回転軸線を前記幅方向へ向け、かつ前記第1駆動ローラ対に対して前記推進方向及び前記幅方向のうち少なくも一方向にずれて配置され、前記帯状部材における前記第1駆動ローラ対の挟み付け箇所よりも先に巻回された箇所を挟み付ける第2駆動ローラ対と、
前記第1駆動ローラ対と前記第2駆動ローラ対とを互いに異なる回転速度で回転駆動可能なローラ駆動部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
ローラ駆動部によって、第1駆動ローラ対の回転速度を第2駆動ローラ対の回転速度よりも高速にすると、帯状部材における先行して螺旋状に形成された先行螺旋管部に続く後続帯部が先行螺旋管部へ送り込まれる量ないしは送り込み速度が、製管装置の推進量ないしは推進速度を上回る。これによって、先行螺旋管部の延伸方向の前端部(延伸前端部)を拡径させることができる。ローラ駆動部によって、第1駆動ローラ対の回転速度を第2駆動ローラ対の回転速度よりも低速にすると、後続帯部の送り込み量ないしは送り込み速度が、製管装置の推進量ないしは推進速度を下回る。これによって、先行螺旋管部の延伸前端部を縮径させることができる。このように、当該製管装置によれば、拡縮用アクチュエータ付きの内周規制体が無くても、簡易な構成によって、螺旋管を拡径させたり縮径させたりしながら製管することができる。
【0009】
前記第1駆動ローラ対が、前記帯状部材における先行して螺旋状に形成された先行螺旋管部と、前記先行螺旋管部に続く後続帯部との連続部又はその周辺箇所を挟み付けることが好ましい。
これにより、第1駆動ローラ対によって後続帯部を先行螺旋管部へ送り込んで接合させることができる。
【0010】
前記第2駆動ローラ対が、前記先行螺旋管部における、前記連続部から前記延伸方向の後方側へ1ピッチずれた周辺箇所を挟み付けることが好ましい。
これによって、第1駆動ローラ対と第2駆動ローラ対の回転速度調節によって、先行螺旋管部の延伸前端部の約一周部分の周長を可変調節できる。ひいては、螺旋管の径を確実に拡縮操作できる。
【0011】
前記第1駆動ローラ対及び第2駆動ローラ対のうち少なくとも1つのローラの端部には、前記帯状部材における先行して螺旋状に形成された先行螺旋管部の一周違いに隣接する縁どうし間の継目を跨ぐ継目ローラが、前記1つのローラと同軸まわりに自由回転可能に設けられていることが好ましい。
これによって、先行螺旋管部の前記一周違いに隣接する縁どうしを、継目ローラによって押さえることで確実に接合させることができる。第1駆動ローラ対及び第2駆動ローラ対によって拡縮操作を行なうと、先行螺旋管部の一周違い部分どうしが相対スライドされる。このとき、継目ローラを自由回転させることによって、大きな摩擦抵抗が働くのを防止することができる。したがって、前記相対スライドひいては前記拡縮操作がスムーズに行われるようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製管装置によれば、簡易な構成によって螺旋管を拡径させたり縮径させたりしながら製管することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態>
図1(a)は、老朽化した既設管1を更生する様子を示したものである。既設管1としては、下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管等が挙げられる。
図1(b)に示すように、既設管1は、発進人孔4と到達人孔4Bとを結ぶように延びている。例えば、既設管1の中間部1cは、そこより発進人孔4側の一定径部1a及び到達人孔4B側の一定径部1eより大径になっている。発進側一定径部1aと大径部1cとの間には、発進側一定径部1aから大径部1cへ向かって拡径する径変化部1bが設けられている。大径部1cと到達側一定径部1eとの間には、大径部1cから到達側一定径部1eへ向かって縮径する径変化部1dが設けられている。
【0015】
図1(b)に示すように、既設管1の内壁には、更生管9(螺旋管)が全長にわたってライニングされている。更生管9は、長尺の1本の帯状部材90によって構成され、螺旋管状になっている。大径部1cにおける更生管9は、一定径部1a,1eにおける更生管9より大径になっている。
【0016】
図1(a)に示すように、製管途中の帯状部材90は、先行螺旋管部91と、後続帯部92とを含む。
図2に示すように、帯状部材90が、
図2において例えば時計回りの巻回方向に巻回されることで、螺旋管状の先行螺旋管部91が形成されている。
図1(a)に示すように、先行螺旋管部91は、既設管1の軸線に沿って発進人孔4側(
図1(a)において右側、以下「延伸後方側」と称す。)から到達人孔4B側(
図1において左側、以下「延伸前方側」と称す。)へ向かって延伸されている。先行螺旋管部91の延伸方向の前端の約一周〜一周超の部分を「延伸前端部91e」と称す。
【0017】
図1(a)に示すように、先行螺旋管部91における巻回方向の先端部から未製管の後続帯部92が続いている。後続帯部92は、先行螺旋管部91の内部及び発進人孔4の内部に通されている。
【0018】
図5(a)に示すように、帯状部材90は、一定の断面を有して、同図の紙面と略直交する方向へ延びている。帯状部材90の帯本体90aの材質は、例えばポリ塩化ビニル等の合成樹脂である。帯本体90aの裏側には金属製の補強帯材96が設けられている。なお、補強帯材96が省略されていてもよい。平板状の補強帯材が樹脂製の帯本体90aに埋め込まれていてもよい。
帯状部材90の裏側部(外周側部、
図5(a)において下側部)には、溝95bが形成されている。溝95bは、帯状部材90の長手方向に沿って延びている。
【0019】
帯状部材90の幅方向の一方側(
図5(a)において左側)の縁部には第1嵌合部93が形成されている。帯状部材90の幅方向の他方側(
図5(a)において右側)の縁部には、第1嵌合部93を反転させた形状の第2嵌合部94が形成されている。
図5(b)に示すように、先行螺旋管部91ひいては更生管9における、一周違いに隣接する縁の嵌合部93,94どうしが互いに凹凸嵌合によって接合されている。
【0020】
図1(a)に示すように、先行螺旋管部91の延伸前端部91e上に製管装置3が配置されている。製管装置3は、先行螺旋管部91の螺旋状の巻回方向(
図3において時計回り)に沿って推進される。製管装置3の推進方向は、製管装置3の幅方向(
図3の紙面直交方向)に対して直交されている。
【0021】
図3に示すように、製管装置3は、装置フレーム3aと、第1駆動ローラ対10と、第2駆動ローラ対20と、ローラ駆動部3bを備えている。二点鎖線にて示す装置フレーム3aに、駆動ローラ対10,20及びローラ駆動部3bが支持されている。
【0022】
図3に示すように、第1駆動ローラ対10は、第1内周駆動ローラ11と、第1外周駆動ローラ12とを有している。これら第1駆動ローラ11,12は、内周側(
図3において上側)と外周側(
図3において下側)に離れて平行に対峙している。
図5(b)に示すように、第1駆動ローラ11,12の回転軸線L
11,L
12は、共に製管装置3の幅方向(同図において左右方向)へ向けられている。
図4及び
図5(b)に示すように、第1内周駆動ローラ11は、帯状部材90の幅とほぼ同じ長さの円筒状になっている。
図5(b)に示すように、第1外周駆動ローラ12は、第1内周駆動ローラ11と平行に、かつ第1内周駆動ローラ11とほぼ同じ長さだけ延びている。第1外周駆動ローラ12の周側部には、係止フランジ12fが設けられている。
【0023】
図3及び
図4に示すように、第1駆動ローラ対10は、帯状部材90における後続帯部92と先行螺旋管部91との連続部91c上に配置されている。
図5(b)に示すように、第1駆動ローラ対10の第1内周駆動ローラ11と第1外周駆動ローラ12とが、連続部91cを挟み付けている。
更に、係止フランジ12fが、溝95bに入り込んで係止されている。係止フランジ12fは、溝95bの延び方向(
図5(b)の紙面直交方向)へ相対スライド可能であり、かつ溝95bの幅方向(
図5(b)の左右方向)へ移動規制されている。
【0024】
図3において二点鎖線にて示すように、製管装置3にはローラ駆動部3bが搭載されている。詳細な図示は省略するが、ローラ駆動部3bは、モーターなどの動力源と、ギアユニット等のトルク伝達機構を含む。トルク伝達機構が、第1駆動ローラ11,12の少なくとも一方と前記動力源とを連繋している。ローラ駆動部3bによって、第1駆動ローラ11,12の少なくとも一方が回転駆動される。
【0025】
図4及び
図5(b)に示すように、第1内周駆動ローラ11の延伸後方側(
図4において上側)の端部には、第1内周継目ローラ13が設けられている。第1内周継目ローラ13は、第1内周駆動ローラ11よりも短軸の円板形状に形成されている。かつ、第1内周継目ローラ13は、第1内周駆動ローラ11と同軸まわりに自由回転可能になっている。
図5(b)に示すように、第1外周駆動ローラ12の延伸後方側(同図において右側)の端部には、第1外周継目ローラ14が設けられている。第1外周継目ローラ14は、第1外周駆動ローラ12よりも短軸の円板形状に形成されている。かつ、第1外周継目ローラ14は、第1外周駆動ローラ12と同軸まわりに自由回転可能になっている。第1継目ローラ13,14どうしが、内周側(
図5(b)において上側)と外周側(
図5(b)において下側)に離れて対峙している。
【0026】
図4及び
図5(b)に示すように、第1継目ローラ13,14どうしの間に、先行螺旋管部91の延伸前端部91eの一周違いに隣接する縁どうしの継目91gすなわち嵌合部23,24が挟まれている。第1内周継目ローラ13は、継目91gを内周側(
図5(b)において上側)から跨いでいる。第1外周継目ローラ14は、継目91gを外周側(
図5(b)において下側)から跨いでいる。
【0027】
図3及び
図4に示すように、第2駆動ローラ対20は、第1駆動ローラ対10に対して製管装置3の推進方向の後方側(
図3において右側)にずれ、かつ製管装置3の幅方向に沿って延伸後方側(
図4において上側)にずれて配置されている。
図3に示すように、第2駆動ローラ対20は、第2内周駆動ローラ21と、第2外周駆動ローラ22とを有している。これら第2駆動ローラ21,22は、内周側(
図3において上側)と外周側(
図3において下側)に離れて平行に対峙している。
図5(c)に示すように、第2駆動ローラ21,22の回転軸線L
21,L
22は、共に製管装置3の幅方向(同図において左右方向)へ向けられている。第2駆動ローラ21,22の回転軸線L
21,L
22と、第1駆動ローラ11,12の回転軸線L
11,L
12とは互いに平行になっている。
【0028】
図4及び
図5(c)に示すように、第2内周駆動ローラ21は、帯状部材90の幅とほぼ同じ長さの円筒状になっている。
図5(c)に示すように、第2外周駆動ローラ22は、第2内周駆動ローラ21と平行に、かつ第2内周駆動ローラ21とほぼ同じ長さだけ延びている。第2外周駆動ローラ22の周側部には、係止フランジ22fが設けられている。
【0029】
図2に示すように、第2駆動ローラ対20は、先行螺旋管部91における、連続部91cから延伸後方側へ1ピッチずれた周辺の箇所91dに配置されている。
図5(b)に示すように、第2外周駆動ローラ22と第2内周駆動ローラ21とが、前記箇所91dを挟み付けている。言い換えると、第2駆動ローラ対20は、帯状部材90における第1駆動ローラ対10の挟み付け箇所91cよりも先に巻回された箇所91dを挟み付けている。
更に、係止フランジ22fが、溝95bに入り込んで係止されている。係止フランジ22fは、溝95bの延び方向(
図5(c)の紙面直交方向)へ相対スライド可能であり、かつ溝95bの幅方向(
図5(c)の左右方向)へ移動規制されている。
【0030】
詳細な図示は省略するが、前記ローラ駆動部3bのトルク伝達機構が、第2駆動ローラ21,22の少なくとも一方と連繋されている。ローラ駆動部3bによって、第2駆動ローラ21,22の少なくとも一方が回転駆動される。
しかも、ローラ駆動部3bは、第1駆動ローラ対10と第2駆動ローラ対20とを互いに異なる回転速度で回転駆動可能である。
【0031】
図4及び
図5(c)に示すように、第2内周駆動ローラ21の延伸前方側(
図4において下側)の端部には、第2内周継目ローラ23が設けられている。第2内周継目ローラ23は、第2内周駆動ローラ21よりも短軸の円板形状に形成されている。かつ、第2内周継目ローラ23は、第2内周駆動ローラ21と同軸まわりに自由回転可能になっている。
図5(c)に示すように、第2外周駆動ローラ22の延伸前方側(同図において左側)の端部には、第2外周継目ローラ24が設けられている。第2外周継目ローラ24は、第2外周駆動ローラ22よりも短軸の円板形状に形成されている。かつ、第2外周継目ローラ24は、第2外周駆動ローラ22と同軸まわりに自由回転可能になっている。第2継目ローラ23,24どうしが、内周側(
図5(c)において上側)と外周側(
図5(c)において下側)に離れて対峙している。
【0032】
図4に示すように、第2継目ローラ23,24は、第1継目ローラ13,14よりも推進後方側(
図4において右側)における先行螺旋管部91の継目91g上に配置されている。
図5(c)に示すように、第2内周継目ローラ23は、継目91gを内周側(
図5(c)において上側)から跨いでいる。第2外周継目ローラ24は、継目91gを外周側(
図5(c)において下側)から跨いでいる。第2継目ローラ23,24どうしの間に、先行螺旋管部91の継目91g(嵌合部23,24)が挟まれている。
【0033】
既設管1は、製管装置3によって次のようにして更生施工される。
図1に示すように、既設管1内に先行螺旋管部91がある程度形成されているものとする。帯状部材90の後続帯部92は、発進人孔4から先行螺旋管部91の内部を経て、延伸前端部91eの製管装置3へ導入されている。
第1駆動ローラ対10によって連続部91cを挟み付け、かつ第2駆動ローラ対20によって前記連続部91cからほぼ1ピッチずれた箇所91dを挟み付けた状態で、ローラ駆動部3bによって、第1駆動ローラ対10及び第2駆動ローラ対20をそれぞれ回転駆動させる。これによって、製管装置3を推進前方側へ推進(自走)させることができる。推進に伴って、後続帯部92が、順次、第1駆動ローラ11,12間へ送り込まれる。そして、連続部91cにおける後続帯部92の第2嵌合部94が、先行螺旋管部91の一周違いに隣接する第1嵌合部93と嵌合して接合される。
これら嵌合部93,94を第1継目ローラ13,14によって挟み付けることで、確実に嵌合(接合)させることができる。更にその後、前記嵌合部93,94を第2継目ローラ23,24によって挟み付けることで、一層確実に嵌合させることができる。
これによって、先行螺旋管部91を延伸前方側へ延伸できる。ひいては、既設管1の内壁に沿って更生管9を製管できる。
係止フランジ12f,22fが、溝95bの長手方向に離れた2箇所において、それぞれ溝95bに係止されることによって、製管装置3が、帯状部材90からのモーメントによって回転したり帯状部材90から脱落したりするのを防止できる。
【0034】
更に、製管装置3によれば、第1駆動ローラ対10と第2駆動ローラ対20の相対回転速度を調節することによって、先行螺旋管部91の延伸前端部91eの約一周部分の周長を可変調節でき、ひいては延伸前端部91eを拡縮できる。
詳しくは、既設管1の発進側一定径部1a内においては、第1駆動ローラ対10と第2駆動ローラ対20とを互いに等速で回転させる。これによって、先行螺旋管部91を、発進側一定径部1aの直径に対応する一定の直径になるよう製管できる。
製管装置3が、既設管1の発進側一定径部1aから径変化部1bへ入ったときは、ローラ駆動部3bによって、第1駆動ローラ対10の回転速度を第2駆動ローラ対20の回転速度よりも高速にする。これによって、第1駆動ローラ対10による後続帯部92の送り込み量が、製管装置3の推進前方側への進み量を上回る。この結果、先行螺旋管部91の延伸前端部91eを径変化部1bに沿うように拡径させることができる。
製管装置3が、既設管1の大径部1cに入ったときは、ローラ駆動部3bによって、第1駆動ローラ対10と第2駆動ローラ対20の回転速度を互いに等速に戻す。これによって、先行螺旋管部91を、大径部1cの直径に対応する一定の直径になるよう製管できる。
製管装置3が、既設管1の大径部1cから径変化部1dに入ったときは、ローラ駆動部3bによって、第1駆動ローラ対10の回転速度を第2駆動ローラ対20の回転速度よりも低速にする。これによって、第1駆動ローラ対10による後続帯部92の送り込み量が、製管装置3の推進前方側への進み量を下回る。この結果、先行螺旋管部91の延伸前端部91eを径変化部1dに沿うように縮径させることができる。
製管装置3が、既設管1の到達側一定径部1eに入ったときは、ローラ駆動部3bによって、第1駆動ローラ対10と第2駆動ローラ対20の回転速度を互いに等速に戻す。これによって、先行螺旋管部91を、到達側一定径部1eの直径に対応する一定の直径になるよう製管できる。
このように、製管装置3によれば、拡縮用アクチュエータ付きの内周規制体(前掲特許文献1,2参照)が無くても、簡易な構成によって更生管9を拡径させたり縮径させたりしながら製管することができる。
【0035】
第1駆動ローラ対10及び第2駆動ローラ対20によって拡縮操作を行なうと、先行螺旋管部91の一周違い部分どうしが相対スライドされる。このとき、第1継目ローラ13,14及び第2継目ローラ23,24を自由回転させることによって、大きな摩擦抵抗が働くのを防止することができる。したがって、前記相対スライドひいては拡縮操作がスムーズに行われるようにすることができる。
【0036】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態>
図6〜
図8は、本発明の第2実施形態を示したものである。第2実施形態の製管装置3Bにおいては、第2駆動ローラ対20が、第1駆動ローラ対10に対して、製管装置3Bの推進方向及び幅方向のうち幅方向へだけずれて配置されている。つまり、第1駆動ローラ対10と第2駆動ローラ対20が、製管装置3Bの幅方向に並んで配置されている。
【0037】
図6に示すように、第1駆動ローラ対10は、帯状部材90における後続帯部92と先行螺旋管部91との連続部91cに配置されている。第1駆動ローラ11,12が連続部91cを内周側及び外周側から挟み付けている。
図7に示すように、第2駆動ローラ対20は、先行螺旋管部91における連続部91cから延伸後方側へちょうど1ピッチずれた箇所91d’に配置されている。
図8(b)に示すように、第2駆動ローラ21,22が、前記1ピッチずれた箇所91d’を内周側及び外周側から挟み付けている。
【0038】
図7及び
図8(b)に示すように、第1内周駆動ローラ11と第2内周駆動ローラ21とが、同一の回転軸線L
1上に配置されている。これら内周駆動ローラ11,21どうしの間には、内周継目ローラ13Bが挟まれている。内周継目ローラ13Bは、先行螺旋管部91の延伸前端部91eの継目91gを内周側(
図7において紙面手前)から跨いでいる。
図8(b)に示すように、第1外周駆動ローラ12と第2外周駆動ローラ22とが、同一の回転軸線L
2上に配置されている。これら外周駆動ローラ12,22どうしの間には、外周継目ローラ14Bが挟まれている。外周継目ローラ14Bは、前記継目91gを外周側(
図8(b)において下側)から跨いでいる。
【0039】
更に、第1駆動ローラ対10と第2駆動ローラ対20とは、ローラ駆動部3bによって互いに異なる速度で回転駆動可能になっている。継目ローラ13B,14Bは、自由回転可能になっている。
駆動ローラ対10,20どうしの相対回転速度を調節することによって、先行螺旋管部91の延伸前端部91eのちょうど一周部分の周長を可変調節でき、ひいては延伸前端部91eを拡縮できる。
継目ローラ13B,14Bによって継目91gを挟み付けることで、嵌合部93,94を確実に嵌合させることができる。かつ、継目ローラ13B,14Bを自由回転可能にすることによって、拡縮操作時における先行螺旋管部91の一周違い部分どうしの相対スライドがスムーズに行われるようにすることができる。
【0040】
図6に示すように、駆動ローラ対10,20より推進前方側(
図6において左側)には、ガイド部材30が配置されている。ガイド部材30は、板状になっており、その長手方向が製管装置3Bの幅方向へ向けられている。ガイド部材30の幅方向は、製管装置3Bの推進方向へ向けられている。
【0041】
図8(a)に示すように、ガイド部材30の長手方向における延伸後方側(同図において右側)の端部が、先行螺旋管部91の延伸前端部91eに外周側(
図6において下側)から宛がわれている。
ガイド部材30の前記延伸後方側の端部(
図8(a)において右端部)には、係止部32が、内周側(
図8(a)において上側)へ突出するように設けられている。係止部32が溝95bに係止されている。係止部32は、溝95bの長手方向(
図8(a)の紙面直交方向)へスライド可能であり、かつ溝95bの幅方向(
図8(a)の左右方向)へ移動規制されている。
係止フランジ12f,22f及び係止部32が、溝95bの長手方向に離れた2箇所において、それぞれ溝95bに係止されることによって、製管装置3Bが、帯状部材90からのモーメントによって回転したり帯状部材90から脱落したりするのを防止できる。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、本発明は、既設管1の内壁自体の拡縮径に対応するために限られず、既設管1の内壁に障害物等の凸部や凹部があった場合にも適応可能である。例えば、障害物(凸部)があった場合には、製管装置3,3Bにより更生管9を縮径させることによって、前記障害物を避けることができる。凹部があった場合には、製管装置3,3Bにより更生管9を拡径させることによって、前記凹部に沿わせることができる。
さらに、本発明は、既設管1に更生管9(螺旋管)をライニングするものに限られず、種々の螺旋管の製管に適用できる。
第1駆動ローラ対10は、帯状部材90における後続帯部92と先行螺旋管部91とのちょうど連続部91cから多少ずれて、その周辺部に配置されていてもよい。第1内周駆動ローラ11と第1外周駆動ローラ12とが、連続部91cの周辺部を挟み付けていてもよい。すなわち、第1駆動ローラ対10が、後続帯部92上に設定されていてもよい。或いは、第1駆動ローラ対10が、連続部91cよりも推進後方側の先行螺旋管部91上に設定されていてもよい。
第2駆動ローラ対20は、第1駆動ローラ対10に対して、製管装置の推進方向にだけずれて配置されていてもよい。
継目ローラは、第1駆動ローラ11,12及び第2駆動ローラ21,22のうち少なくとも1つの駆動ローラに付設されていればよい。
駆動ローラ対の数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。3つ以上の駆動ローラ対の1つが第1駆動ローラ対10を構成し、他の1つが第2駆動ローラ対20を構成していてもよい。
製管装置3,3Bが、内周規制体を有していてもよい。