特許第6769830号(P6769830)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769830
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】半導体パッケージおよび半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/06 20060101AFI20201005BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   H01L23/06 B
   H01L23/34 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-210821(P2016-210821)
(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公開番号】特開2018-73948(P2018-73948A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木津 正二郎
(72)【発明者】
【氏名】冨田 慎也
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−077746(JP,A)
【文献】 特開2016−178194(JP,A)
【文献】 特開2016−219649(JP,A)
【文献】 特開2017−045817(JP,A)
【文献】 特開2002−093931(JP,A)
【文献】 特開2012−33596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/06
H01L 23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において矩形状であり、第1辺および該第1辺に対向している第2辺にそれぞれ位置する2組のネジ止め部、上面に位置する実装領域と、実装領域に位置する貫通孔と、を有する基板と
面視において前記第1辺から前記第2辺にかけて長軸を有する長円形状であり、前記貫通孔に嵌め込まれているとともに、前記基板よりも熱膨張係数の大きい金属基板と、
前記実装領域囲んでいる枠体と、を備えており、
平面視において、前記金属基板は、前記第1辺および前記第2辺に位置するとともに対向している前記ネジ止め部同士を結ぶ第1仮想中心線および第2仮想中心線と間をあけるとともに、前記第1仮想中心線と前記第2仮想中心線の間に位置していることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
平面視において矩形状であり、第1辺および該第1辺に対向している第2辺にそれぞれ位置する2組のネジ止め部と、上面に位置する実装領域と、該実装領域に位置する貫通孔と、を有する基板と、
平面視において矩形状であり、前記貫通孔に嵌め込まれているとともに、前記基板よりも熱膨張係数の大きい金属基板と、
金属材料を含み、前記実装領域を囲んでいるとともに、平面視において前記金属基板の少なくとも一部と重なっている枠体と、を備えており、
平面視において、前記金属基板は、前記第1辺および前記第2辺に位置するとともに対向している前記ネジ止め部同士を結ぶ第1仮想中心線および第2仮想中心線と間をあけるとともに、前記第1仮想中心線と前記第2仮想中心線の間に位置していることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項3】
前記金属基板は、前記第1仮想中心線および前記第2仮想中心線と並行した方向に長辺が延びていることを特徴とする請求項に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記金属基板は、前記上面と反対に位置する前記基板の下面から突出している、請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体パッケージと、
前記実装領域に実装された半導体素子と、
前記半導体素子を覆うとともに、前記枠体の上面に接合された蓋体とを備えていることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子が実装される半導体パッケージおよびこれを用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高周波の信号で作動する半導体素子等を収容する半導体パッケージが知られている。このような半導体素子等は、作動する際に熱が生じる。この熱を外部に放熱させるために、半導体素子等を実装する基板の一部に金属基板嵌め込んで放熱性を向上させた半導体パッケージが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−93931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、貫通孔を有する基板と、貫通孔に嵌め込まれた、基板よりも熱膨張係数の大きい金属基板と、枠体とを備えた半導体パッケージが開示されている。基板には、対辺にネジ止め部が1組設けられている。対辺に位置するネジ止め部同士を結ぶ仮想中心線と金属基板とが重なって設けられている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、半導体素子の使用時に発生する熱によって金属基板が熱膨張しようとすることを基板が抑制させる際に、ネジ止め部の箇所は内側に凹んでいるため、金属基板の熱膨張を抑える力が弱くなる場合があった。このため、金属基板が反ってしまい、半導体素子を良好に実装することおよび作動させることが困難な場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る半導体パッケージは、基板と、金属基板と、枠体とを備えている。基板は、平面視において矩形状であり、第1辺および第1辺に対向している第2辺にそれぞれ位置する2組のネジ止め部と、上面に位置する実装領域と、実装領域に位置する貫通孔とを有する。金属基板は、平面視において第1辺から第2辺にかけて長軸を有する長円形状であり、貫通孔に嵌め込まれているとともに、基板よりも熱膨張係数が大きい。枠体は、実装領域を囲んでいる。金属基板は、第1辺および第2辺に位置するとともに対向しているネジ止め部同士を結ぶ第1仮想中心線および第2仮想中心線と間をあけるとともに、第1仮想中心線と第2仮想中心線の間に位置している。
本発明の一実施形態に係る半導体パッケージは、基板と、金属基板と、枠体とを備えている。基板は、平面視において矩形状であり、第1辺および第1辺に対向している第2辺にそれぞれ位置する2組のネジ止め部と、上面に位置する実装領域と、実装領域に位置する貫通孔とを有する。金属基板は、平面視において矩形状であり、貫通孔に嵌め込まれているとともに、基板よりも熱膨張係数が大きい。枠体は、金属材料を含み、実装領域を囲んでいるとともに、平面視において金属基板の少なくとも一部と重なっている。金属基板は、第1辺および第2辺に位置するとともに対向しているネジ止め部同士を結ぶ第1仮想中心線および第2仮想中心線と間をあけるとともに、第1仮想中心線と第2仮想中心線の間に位置している。
【0007】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、上述した半導体パッケージと、半導体素子と、蓋体とを備えている。半導体素子は、実装領域に実装されている。蓋体は、半導体素子を覆うとともに、枠体の上面に接合されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態に係る半導体パッケージは、上述した構成であることによって、放熱性に優れた基板の反りを抑制することができる。また、本発明の一実施形態に係る半導体装置は、上述した半導体パッケージを備えていることによって、半導体素子を良好な条件で使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体パッケージを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る半導体パッケージを示す分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る半導体パッケージを示す平面図である。
図4図3に示した本発明の一実施形態に係る半導体パッケージにおけるA−A線での断面図である。
図5図3に示した本発明の一実施形態に係る半導体パッケージにおけるB−B線での断面図である。
図6】本発明の他の実施形態係る半導体パッケージを示す斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る半導体パッケージを示す平面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態の半導体パッケージおよびこれを備えた半導体装置について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
<半導体パッケージの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体パッケージの斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る半導体パッケージを示す分解斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係る半導体パッケージを示す平面図である。図4は、図3に示した本発明の一実施形態に係る半導体パッケージにおけるA−A線での断面図である。図5は、図3に示した本発明の一実施形態に係る半導体パッケージにおけるB−B線での断面図である。また、図6は、本発明の他の実施形態係る半導体パッケージを示す斜視図である。そして、図7は、本発明の他の実施形態に係る半導体パッケージを示す平面図である。これらの図において、本発明の実施形態に係る半導体パッケージ1は、基板2と、金属基板3と、枠体4と、入出力端子5とを備えている。基板2は、貫通孔22を有しており、この貫通孔22に金属基板3が嵌め込まれている。
【0012】
図3に示すように、本発明の一実施形態における基板2は、上面に半導体素子7が実装される実装領域21を有している。また基板2は、例えば矩形状であって、対辺にそれぞれ2組のネジ止め部23が位置している。このネジ止め部23にネジ等を嵌め込むことによって半導体パッケージ1を実装基板等にネジ止め固定することができる。
【0013】
なお、本発明の一実施形態において実装領域21とは、基板2を平面視した場合に半導体素子7と重なり合う領域を意味している。基板2の大きさとしては、例えば10mm×10mm〜50mm×50mmである。また、基板2の厚みとしては、例えば、0.5mm〜5mmに設定することができる。
【0014】
基板2は、例えば金属材料から成る。金属材料としては、例えば鉄、ニッケル、コバルトからなる合金である。このとき、基板2の熱膨張係数は5×10−6/Kである。また、鉄、ニッケル、クロム、コバルトおよびタングステン、あるいはこれらの金属からなる合金を用いることができる。このような金属材料のインゴットに圧延加工法、打ち抜き加工法のような金属加工法を施すことによって基板2を構成する金属部材を作製することができる。
【0015】
図1および図3に示すように、基板2は、対辺に位置した2組のネジ止め部23を有している。ネジ止め部23が設けられる基板2の対辺は、平行である。ネジ止め部23は、たとえば平面視において半円形状の凹み部である。たとえばネジ止め部23の凹み部は、基板2の外縁から1mm〜5mmの長さであり、基板2の対辺に平行な方向の幅は1mm〜5mmである。ネジ止め部23は、1つの辺に2つ形成されており、その対辺に同じく、2つ形成されている。対辺に設けられたネジ止め部23が2つで1組である。
【0016】
図3および図7に示すように、ネジ止め部23は、対辺に位置するネジ止め部23同士が2つの仮想中心線で結ばれている。仮想中心線とは、ネジ止め部23の中心と、対辺に位置するネジ止め部23の中心を結んだ仮想線のことである。図3および図7に示すX−X線は、第1仮想中心線であり、Y−Y線は第2仮想中心線である。第1仮想中心線および第2仮想中心線は、ネジ止め部23が設けられる、基板2の対辺と直交する方向と平行である。
【0017】
基板2は、実装領域21と重なる位置に貫通孔22を有している。貫通孔22は、平面視において矩形状である。貫通孔22の大きさは、たとえば平面視において5mm×5mm〜40mm×40mmである。
【0018】
図2図4および図5に示すように、金属基板3は、基板2の貫通孔22に嵌め込まれている。金属基板3は、貫通孔22に嵌め込まれることから、少なくとも貫通孔22よりも小さい外形である。このとき、金属基板3が貫通孔22よりも小さいというのは、金属基板3と貫通孔22がほぼ同じ寸法のものから、貫通孔22の方が大きく、隙間を接合材で埋めるものまで含まれる。このため、金属基板3は、たとえば平面視において5mm×5mm〜40mm×40mmであり、また、金属基板3は、厚さが0.5mmから5mmである。金属基板3は、下面が基板2の下面と一致している。または、金属基板3は、基板2の下面より少なくとも突出していてもよい。金属基板3が基板2の下面よりも突出している場合には、金属基板3が放熱性に優れているため、半導体素子7で生じた熱を金属基板3から外部により逃がしやすくなる。
【0019】
また、金属基板3は、たとえば銅から成っている。このとき、基板2の熱膨張係数は16×10−6/Kである。また、金属基板3は、銅のように、放熱性に優れた金属材料であれば構わない。たとえば、銅とタングステンまたはモリブデンからなる合金を用いることができる。金属基板3は、たとえば熱膨張係数が10×10−6/K〜20×10−6/Kである。金属基板3は、実装領域21と重なって位置していることにより、実装領域21に実装される半導体素子7から生じる熱が金属基板3に伝達され、金属基板3を介して半導体素子7からの熱を半導体パッケージ1の外部に放熱する役割を果たす。
【0020】
図3に示すように、金属基板3は、平面視において第1仮想中心線と第2仮想中心線の間に位置している。そして、第1仮想中心線と第2仮想中心線と間を空けて位置している。また、金属基板3は、平面視において、後述する枠体4と重ならない位置に設けられる。つまり、金属基板3は、平面視において、第1仮想中心線と第2仮想中心線と重ならず、枠体4と重ならない位置に設けられる。金属基板3が第1仮想中心線および第2仮想中心線と重ならない位置に設けられることによって、金属基板3に熱が加わり、熱膨張した際にも、基板2が十分に反りを抑えることができる。
【0021】
これは、金属基板3が各仮想中心線と重なる位置にある場合のように、金属基板3を囲む基板2の量が少ない場合には、基板2は金属基板3よりも熱膨張係数が小さいために、金属基板3が熱膨張した際に、貫通孔22の端部から基板2が押されて基板2が反ろうとするおそれがある。この金属基板3に押されることによる基板2の反りは、ネジ止め部23の各仮想中心線と重ならないようにして、金属基板3を囲む基板2の量を確保することで、金属基板3に押される力よりも基板2としての状態を保つ力を確保することができ、基板2の反りを抑制することができるためである。
【0022】
また、金属基板3が枠体4と重ならない位置に設けられることによって、金属基板3と枠体4との熱膨張係数差によって生じる応力を低減させることができる。また、金属基板3は、ネジ止め部23とも重ならないように位置している。金属基板3がネジ止め部23
と重ならない位置に設けられていることによって、金属基板3が熱膨張したとしても、基板2の貫通孔22内で抑えられるため、基板2を反り難くすることができる。
【0023】
枠体4は、基板2の実装領域21を取り囲んでいる。枠体4は、平面視において、外縁および内縁が矩形状であり、4つの側壁によって構成されている。枠体4は、銀ロウ等の接合部材を介して基板2の上面に接合されている。
【0024】
枠体4は、平面視における外縁の大きさが、たとえば3mm×5mm〜30mm×40mm、内縁の大きさが2mm×4mm〜29mm×39mmである。また、外縁と内縁との間の幅で示される枠体4の厚みは、たとえば0.5mm〜5mmである。また、枠体4の高さは、1mm〜30mmである。枠体4は、外縁が基板2のネジ止め部23が設けられていない辺よりも内側に位置しており、ネジ止め部23が設けられている辺に対しては、ネジ止め部23の凹み部の底部に位置する端部よりも内側に位置している。
【0025】
枠体4としては、例えば、基板2と同様に、金属材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルトおよびタングステンのような金属材料、あるいはこれらの金属材料からなる合金を用いることができる。
【0026】
図2に示すように、枠体4は、ネジ止め部23が設けられない基板2の対辺に平行な枠体4の側壁を貫通するとともに、枠体4の下面から切り欠かれた切欠き部を有していてもよい。切欠き部には、半導体素子7と外部の電気回路基板とを電気的に接続する入出力端子5が接合固定される。切欠き部は、平面視において、ネジ止め部23が設けられない基板2の対辺に平行な枠体4の対辺に1つずつ設けられている。入出力端子5は、切欠き部に嵌め込まれ、切欠き部の内面と入出力端子5の上面および側面とがはんだまたはろう材等の接合材で接合されていてもよい。このとき、入出力端子5の下面は、前述と同様に、基板2の上面とはんだまたはろう材等の接合材で接合されていてもよい。
【0027】
また、枠体4は、ネジ止め部23が設けられる基板2の対辺に平行な枠体4の側壁に切欠き部が設けられない。入出力端子5と金属基板3との距離が近くなり、金属基板3の短辺に平行な側壁には入出力端子5が配置されないことから、基板2、金属基板3、枠体4および入出力端子5との熱膨張係数差に起因して生じる熱応力を抑制することができる。その結果、半導体パッケージ1は、入出力端子5に生じるクラックおよび割れ、基板2と金属基板3の短辺との接合部を起点とした破損を抑制することができる。
【0028】
入出力端子5は、たとえばセラミック材料から成る。入出力端子5を構成するセラミック材料は、たとえば酸化アルミニウム焼結体である。また、入出力端子5は、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体または窒化珪素質焼結体のようなセラミック材料、またはガラスセラミック材料等であってもよい。入出力端子5は、たとえば熱膨張係数が0.1×10−6/K〜10×10−6/Kである。入出力端子5は、半導体素子7とボンディングワイヤ等の電気接続部材を介して電気的に接続される信号線路が形成されている。
【0029】
本発明の一実施形態に係る半導体パッケージ1は、金属基板3が、平面視において第1仮想中心線と第2仮想中心線の間に位置するとともに、第1仮想中心線と第2仮想中心線と間を空けて位置している。このことによって、半導体パッケージ1は、金属基板3で半導体素子7からの熱を外部に伝達しやすくなり、半導体パッケージ1の放熱性を向上させことができる。また、半導体パッケージ1は、半導体パッケージ1の製造工程および半導体装置10の作動時に生じる、基板2と金属基板3の熱膨張係数差に起因した応力による基板2の反りおよび半導体素子7の破損を抑制することができる。さらに、金属基板3は、基板2のうち金属基板3による熱膨張、熱収縮による基板2の変形が大きくなりやすいネジ止め部23の周囲、および第1仮想中心線と第2仮想中心線と間を空けていることによって、金属基板3の熱膨張、熱収縮による基板2の反りおよび変形を低減させることができる。
【0030】
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る半導体パッケージ1は、金属基板3が第1仮想中心線および第2仮想中心線と並行した方向に長辺が延びており、金属基板3の長辺に沿った枠体4の側面に切欠き部が設けられ、入出力端子5が接合固定されてもよい。このとき、金属基板3は例えば矩形状であり、上述したような、枠体4と重ならない位置にある。また、入出力端子5は、金属基板3の短辺方向の枠体4に設けられる。このことによって、金属基板3が熱膨張、熱収縮した際に入出力端子5が設けられている方向、すなわち、金属基板3の短辺方向には熱膨張し難くなっている。このため、基板2、金属基板3、枠体4および入出力端子5との間に働く熱膨張係数差によって生じる応力を低減させることができる。その結果、半導体パッケージ1は、入出力端子5に生じるクラックおよび割れを抑制することができ、半導体装置10の不良の発生を抑制することができる。
【0031】
また、図3図4および図5に示すように、本発明の一実施形態に係る半導体パッケージ1は、平面視において金属基板3が、基板2の中心と重なっている。さらに、半導体素子7は、中心が基板2および金属基板3の中心と重なってもよい。このことによって、半導体パッケージ1に熱が加わった際および半導体装置10を作動させる際に、基板2、金属基板3および半導体素子7が中心からずれている場合と比較して、基板2の偏った変形および歪みを起こしにくくなる。さらに、半導体装置10を作動させる際に半導体素子7から生じる熱が金属基板3および基板2を介して伝達される熱の偏りを抑制することができ、半導体装置10の外部に効率よく放熱することができる。
【0032】
また、図3に示すように、本発明の一実施形態に係る半導体パッケージ1は、平面視において金属基板3の端部と枠体4とが重ならなくてもよい。金属基板3の端部が枠体4と重なっていないことにより、半導体パッケージ1の製造工程および半導体装置10を作動させる際に、基板2と金属基板3の端部との接合部に生じる応力を抑制することができる。すなわち、半導体パッケージ1の平面視において、基板2と枠体3の接合部と、基板2と金属基板3の接合部の位置が重ならないことにより、基板2、金属基板3および枠体4の熱膨張係数差によって生じる応力が基板2と金属基板3の接合部に集中することを抑制できる。その結果、半導体パッケージ1は、基板2と金属基板3の端面の接合部に生じるクラックおよび割れを抑制することができる。
【0033】
また、本発明の他の実施形態に係る半導体パッケージ1は、平面視において入出力端子5は、ネジ止め部23と隣り合う辺に沿った枠体4の側面の中央に設けられた切欠き部に挿入固定されて位置していてもよい。入出力端子5は、例えば、セラミック材料からなっており、金属基板3に用いる熱伝導性のよい金属に比べて熱膨張係数が小さい。このため、基板2、金属基板3、枠体4および入出力端子5が接合されると、それぞれの熱膨張係数の差によって熱応力が生じ、入出力端子5に熱応力による負荷がかかってしまう。これに対して、入出力端子5が、平面視においてネジ止め部23の各仮想中心線と垂直な方向に位置しているとともに枠体4の側面の中央に設けられる。
【0034】
特に、金属基板3の長辺が各仮想中心線と並行に延びている場合には、熱膨張した際に金属基板3の熱膨張に影響されて、基板2が反りやすくなる。これは、金属基板3を囲む基板2の量が少ない場合には、基板2は金属基板3よりも熱膨張係数が小さいために、金属基板3が熱膨張した際に、貫通孔22の端部から基板2が押されて基板2が反ろうとするおそれが高くなるためである。このとき、上述した理由により、基板2はネジ止め部23が設けられている辺と、ネジ止め部23が設けられていない辺とを比較すると、ネジ止め部23が設けられていない辺の方が反り難くなっている。つまり、入出力端子5がネジ止め部23と隣り合う辺に沿った枠体4の側面に設けられると、入出力端子5がネジ止め部23と同じ辺に沿った枠体4の側面に設けられた場合と比較して、基板2の反りの影響が少ない。このため、入出力端子5の枠体4との接合部において、クラックが生じるおそれを低減することができる。
【0035】
また、中央にある場合には、ネジ止め部23の影響を最も受けにくくなる。つまり、入出力端子5が、平面視においてネジ止め部23の各仮想中心線と垂直な方向に位置しているとともに枠体4の側面の中央に設けられることによって、入出力端子5が金属基板3の熱膨張および熱収縮の影響を受けることを低減することができる。
【0036】
なお、上述したように、本発明の一実施形態に係る半導体パッケージ1では、平面視において、金属基板3の端部と枠体4とが重ならなくてもよいとしたが、本発明の他の実施形態に係る半導体パッケージ1は、平面視において金属基板3の端部と枠体4とが重なっていてもよい。金属基板3が枠体4と重なっていることによって、半導体素子7で生じた熱を基板2および外部の実装基板だけでなく、枠体4を介して外部に逃がすことができる。
【0037】
また、図6および図7に示すように、本発明の他の実施形態に係る半導体パッケージ1は、平面視において金属基板3の端部および貫通孔22の端部の形状が外側に突状の曲面状であってもよい。金属基板3の端部が曲面状であることによって、半導体パッケージ1は、半導体パッケージ1の製造工程および半導体装置10を作動させる際に、基板2と金属基板3の端部との接合部に生じる熱応力を抑制することができる。また、熱応力が局所に生じることを抑制することができる。
【0038】
これは、半導体素子7の動作させる際には熱が生じ、この熱によって金属基板3および基板2が熱膨張する。金属基板3および基板2が熱膨張する際に、金属基板3は基板2よりも熱膨張係数が大きいため、基板2の貫通孔22の内面に接触する場合がある。この場合に、金属基板3の端部および貫通孔22の端部が曲面状であれば、金属基板3の端部および貫通孔22の端部にクラックが生じるのを抑制することができる。
【0039】
この結果、本発明の他の実施形態に係る半導体パッケージ1は、基板2と金属基板3の端面の接合部に生じるクラックおよび割れを抑制することができる。つまり、放熱性を向上させつつ、基板2の反りを抑制するだけでなく、金属基板3および基板2にクラックが生じるのを抑制することができる。
【0040】
<半導体パッケージの製造方法>
基板2は、例えば金属材料からなる場合には、鉄、ニッケル、コバルトからなる合金からなり、矩形状に加工された基板2の長手方向の両端部に2箇所ずつネジ止め部23が設けられる。ネジ止め部23は、基板2の対辺に位置するネジ止め部23同士が2つの仮想中心線で結ばれるように設けられる。さらに、ネジ止め部23は、上記の2つの仮想中心線がネジ止め部23が設けられる基板2の対辺と直交する方向に平行となるように設けられる。また、基板2の中央部には、平面視にて、長辺が金属基板3の長辺方向と平行となる矩形状の貫通孔22を設けて、金属基板3を貫通孔22に嵌め込み金属基板を挿入固定する。次に、貫通孔22の内周面と、この内周面と向かい合う金属基板3の側面とをろう付けして接合する。
【0041】
なお、金属基板3は、例えば金属材料のうち銅からなり、金属基板3を貫通孔22に嵌め込んでろう材で接合する際に、金属基板3の側面と貫通孔22の内周面とをろう材等の接合材で接合できる程度の隙間が設けられるように形成される。
【0042】
また、枠体4は、例えば金属材料からなる場合には、鉄−ニッケル−コバルト合金からなり、切削加工によって枠状に形成されるとともに入出力端子5が挿入固定される切欠き部が設けられる。そして、枠体4は、実装領域21を囲んで、入出力端子5が切欠き部に接合固定されるとともに基板2の上面に接合される。
【0043】
入出力端子5は、例えば酸化アルミニウム焼結体から成る場合には、マグネシア、シリカ、カルシア等の焼結助剤を適当量加えたアルミナ粉末に溶剤を加え、十分に混練し、脱泡させてスラリーを作製する。この後、ドクターブレード法等によってロール状のセラミックグリーンシートを形成して、適当なサイズにカットする。カットして作製したセラミックグリーンシートに配線パターン等の信号線路をスクリーン印刷する。この後、約1600℃の還元雰囲気中で焼成して形成する。このとき、焼成前に複数のセラミックグリーンシートを積層してもよい。
【0044】
また、例えば基板2がセラミック材料から成る場合には、入出力端子5と同様に、酸化アルミニウム焼結体から成る場合には、マグネシア、シリカ、カルシア等を用いることができる。これに焼結助剤を適当量加えたアルミナ粉末に溶剤を加え、十分に混練し、脱泡させてスラリーを作製する。この後、ドクターブレード法等によってロール状のセラミックグリーンシートを形成して、適当なサイズにカットする。カットして作製したセラミックグリーンシートを約1600℃の還元雰囲気中で焼成して形成する。このとき、焼成前に複数のセラミックグリーンシートを積層してもよい。
【0045】
以上のようにして、本発明の実施形態に係る半導体パッケージ1を作製することができる。なお、上述した工程順番は指定されない。
【0046】
<半導体装置の構成>
次に、本発明の一実施形態に係る半導体装置10について、図面を用いて詳細に説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る半導体装置10を示す斜視図である。図8に示すように、本実施形態の一実施形態に係る半導体装置10は、上述した実施形態に代表される半導体パッケージ1と、半導体パッケージ1の実装領域21に実装された半導体素子7と、枠体4と接合された、半導体素子7を封止する蓋体6とを備えている。
【0047】
本発明の一実施形態に係る半導体装置10においては、基板2の実装領域21に半導体素子7が実装されている。半導体素子7は、ボンディングワイヤを介して入出力端子5の信号線路に電気的に接続される。この半導体素子7に信号線路などを介して外部信号を入出力することによって半導体素子7から所望の入出力を得ることができる。
【0048】
蓋体6は、枠体4と接合され、半導体素子7を封止するように設けられている。半導体素子7としては、例えばICまたはLSIの他、パワーデバイス用の半導体素子等が挙げられる。蓋体6は、枠体4の上面に接合されている。そして、基板2、枠体4および蓋体6で囲まれた空間において半導体素子7を封止している。このように半導体素子7を封止することによって、長期間の半導体パッケージ1の使用による半導体素子7の劣化を抑制することができる。
【0049】
蓋体6としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルトおよびタングステンのような金属部材、あるいはこれらの金属からなる合金を用いることができる。また、枠体4と蓋体6は、例えばシーム溶接法によって接合することができる。また、枠体4と蓋体6は、例えば、金−錫ロウを用いて接合してもよい。
【0050】
以上、各実施形態の半導体パッケージ1およびこれを備えた半導体装置10について説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の
要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更および実施形態の組み合わせを施すことは何等差し支えない。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体パッケージ
2 基板
21 実装領域
22 貫通孔
23 ネジ止め部
3 金属基板
4 枠体
5 入出力端子
6 蓋体
7 半導体素子
10 半導体装置
X−X 第1仮想中心線
Y−Y 第2仮想中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8