特許第6769852号(P6769852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769852
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20201005BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20201005BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61Q1/02
   A61Q19/00
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-234803(P2016-234803)
(22)【出願日】2016年12月2日
(65)【公開番号】特開2018-90525(P2018-90525A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】599098518
【氏名又は名称】株式会社ディーエイチシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(72)【発明者】
【氏名】菊池 友宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦彦
【審査官】 山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−081333(JP,A)
【文献】 特開平08−081332(JP,A)
【文献】 特開2005−187417(JP,A)
【文献】 特開2006−001874(JP,A)
【文献】 特開2014−189514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色人工皮革に1mg/cmとなるように塗布した際に、CIE1976L表色系で規定される測色値が40<L<65、−15<a<−5、−30<b<−10であるパール顔料を含有することを特徴とする、化粧料。
【請求項2】
請求項1記載の化粧料において、前記パール顔料は1種又は2種以上のパール顔料であって、平均粒子径が1.0〜30μmであることを特徴とする、化粧料。
【請求項3】
請求項1又は2記載の化粧料において、前記パール顔料の含有量は、0.1〜20.0質量%であることを特徴とする、化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な化粧料に関し、特に、肌のくすみを改善して、立体感と透明感のある自然な仕上がりが期待できる新規な化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばファンデーションやコンシーラー等のメイクアップ化粧料は、シミや毛穴、くすみなどの肌の欠点を補正し、目立たなくさせる効果を有する。
さらに近年では、肌の欠点を隠しながら立体感と透明感のある仕上がりや化粧持ちの良さを求められることが多くなってきている。
【0003】
従来からのメイクアップ化粧料は、シミや毛穴、くすみ等の肌の欠点の隠蔽力を向上させるため、例えば二酸化チタンや酸化鉄等の屈折率の高い着色顔料を多く配合することで、これらの肌の欠点を補正することが一般的である。
しかし、かかる二酸化チタンや酸化鉄等の着色顔料を多く用いると、化粧肌の明度や彩度の低下を招き、化粧肌が「マット」な厚ぼったさを引き起こし、不自然な印象を与えてしまい、透明感や自然なつやを得ることは困難である。
【0004】
そこで、外観の美しさや塗布時の光沢感を付与させるために、雲母に酸化チタンを被覆した雲母チタン等のパール顔料が用いられるようになっている。
これらのパール顔料は、雲母表面に酸化チタンを被覆することよって、光沢感を呈することが可能な顔料である。
【0005】
しかし、雲母チタンの配合量が少ない場合、着色顔料によって雲母チタンの光沢感が隠蔽され、明るさを付与する効果が十分に得られなくなるため、例えば、特開2006−265180号公報(特許文献1)には、平均粒子径が15μm以下のパール光沢顔料から選ばれる1種または2種以上(成分(A))を合計配合量で3〜15質量%配合し、着色顔料(成分(B))を配合しないか、あるいは配合しても合計配合量で0.5質量%未満であり、黒色牛皮革に8mg/cm塗布した際に、CIE1976L表色系で規定される塗布前の測色値(L0、a0、b0)及び塗布後の測色値(L1、a1、b1)から得られるΔL(ΔL=L1−L0)で表される値が40〜65であることを特徴とするメイクアップ化粧料が開示されている。
【0006】
また、特許第5178920号公報(特許文献2)には、下記の成分(1)〜(3)、
(1)ポリメタクリル酸メチル、酸化亜鉛、及び、塩化アルミニウムから選ばれる1種以上の素材で複合化された、波長が540〜580nmの可視光に対する反射率が30%以上である、金色若しくは黄色、又は、緑色を呈する雲母チタンである干渉パール顔料を、化粧料に対して2〜8質量%、
(2)球状粉末粒子を、化粧料の8〜30質量%、
(3)30℃下、B型粘度計で1000〜20000cpsの範囲にある油分を、化粧料の1.5〜5質量%を含有する化粧料が開示されている。
【0007】
しかし、これらの化粧料は、肌に塗布した場合に、肌質が「マット」にはならないものの、パール顔料の点在感が目立ち、メイクアップ化粧料として十分な効果を完全には満たさず、使用者に十分な満足感を与えることができない。
また、肌のくすみを改善するためにカバー力を上げようとすると、屈折率の高い顔料級二酸化チタンを高含量で配合しなければならず、その結果、自然で健康な肌色になるような仕上がりにするために雲母チタンを配合しても、顔料級二酸化チタンによって雲母チタンの光沢感も隠蔽されてしまうことから、肌の欠点の補正効果に優れながら、透明感がある仕上がりを得ることは困難であった。
そこで、パール顔料を肌に塗布した場合に、目立たず、より透明感に優れ、くすみ肌を改善し自然な仕上がりとなる化粧料が待望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−265180号公報
【特許文献2】特許第5178920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記課題を解決し、肌に塗布した場合に、マット感や不自然な仕上がりにならずに肌のくすみを改善し、立体感と透明感のある仕上がりを有する化粧料、特にメイクアップ化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、CIE1976L表色系で規定されるL値、a値及びb値が特定の範囲にあるパール顔料を配合することにより、肌のくすみを改善し、立体感と透明感のある仕上がりを呈する化粧料が得られることを見出したものである。
【0011】
本発明の請求項1記載の化粧料は、黒色人工皮革に1mg/cmとなるように塗布した際に、CIE1976L表色系で規定される測色値が40<L<65、−15<a<−5、−30<b<−10であるパール顔料を含有することを特徴とする、化粧料である。
【0012】
請求項2記載の化粧料は、上記請求項1記載の化粧料において、前記パール顔料は少なくとも1種のパール顔料であって、平均粒子径が1.0〜30μmであることを特徴とする、化粧料である。
【0013】
請求項3記載の化粧料は、上記請求項1又は2記載の化粧料において、前記パール顔料の含有量は、0.1〜20.0質量%であることを特徴とする、化粧料である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化粧料は、特にくすみ肌を補正して、仕上がりがマットにならず、自然な透明感と立体感とを付与することができる化粧料、好ましくはメイクアップ化粧料とすることが可能となる。
更に、パール顔料を多量に配合しなくても、上記効果を奏することができるため、パール顔料特有の光沢感が化粧料に点在することがなく、従って肌に塗布した場合でも光沢が点在することなく自然な透明感ある仕上がりとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を、以下の実施の形態により説明するが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明の化粧料は、黒色人工皮革に1mg/cmとなるように塗布した際に、CIE1976L表色系で規定される測色値が40<L<65、−15<a<−5、−30<b<−10であるパール顔料を含有する、化粧料である。
上記本発明の化粧料は、好適にはメイクアップ化粧料として用いることができ、特にくすみ肌の改善に有効である。
【0017】
本発明の化粧料は、CIE1976L表色系で規定されるLの数値を40<L<65とし、aの数値を−15<a<−5とし、bの数値を−30<b<−10としたパール顔料を用いることで、くすんだ肌等のa値を同時に下げることができ、したがって素肌の質感を損なうことなく、加齢による黄ぐすみなどの肌のくすみを改善して、肌に透明感を付与することが可能となる。
【0018】
本発明に用いられるパール顔料は、市場で入手しうる任意の真珠光沢やメタリック感のある外観を有する粉末状の顔料であり、一般的にパール顔料と称される顔料である。本発明においては、これらのパール顔料を少なくとも1種、即ち、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
パール顔料としては、通常雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等が例示できるが、特に雲母チタンを好適に用いることができる。雲母チタンは、雲母を平滑な薄片状粒子とした表面に酸化チタンの層を被覆したさせたものであり、酸化チタンはルチル型の酸化チタンが好適に用いられ、さらに酸化スズを予め雲母上に微量沈着させてから酸化チタンを被覆するものを好ましく用いることができる。
【0019】
また、酸化チタンの代わりに酸化鉄で被覆したり、酸化チタンの被覆層の上にさらに酸化鉄や有機系色素等を被覆したパール顔料を用いることも可能である。
使用できる雲母としては、特に限定されないが、例えば、白雲母、黒雲母、金雲母、合成金雲母等を例示することができ、特に合成金雲母を用いることが好ましい。
また雲母の代わりに、ガラス末やアルミ、タルク、シリカなどを母粉体としたパール顔料も使用することができる。
【0020】
本発明に用いられるパール顔料は、黒色人工皮革に1mg/cmとなるように塗布した際に、CIE1976L表色系で規定される測色値が40<L<65、−15<a<−5、−30<b<−10、好ましくは、50<L<60、−10<a<−5、−20<b<−10となるものを用いる。
かかるCIE1976L表色系で規定される測色は、例えば、分光測色計(コニカミノルタ社製、型番CM−700d)を用いて測色することが可能である。
【0021】
本発明に用いられるパール顔料の平均粒子径は、1.0〜30μm、好ましくは5.0〜20μm、より好ましくは10〜15μmであることが望ましい。
かかる平均粒子径は、走査型電子顕微鏡による観察によって測定した一次粒子径の数平均粒子径又はレーザー回折法によって測定した粒度分布における積算値50%に対応する粒子径として求めることが可能である。
かかる範囲の粒子径のパール顔料であることで、使用感がより良好で、かつ点在感をより低減して自然な印象を与えることができるため望ましい。
【0022】
また、本発明に用いられるパール顔料は、そのままでも、公知の方法で表面を疎水化処理したものを用いることも可能である。
疎水化処理の公知の方法としては、例えば、メチルポリシロキサン等のシリコーン処理、パーフルオロアルキルリン酸エステル等によるフッ素処理、N−アシルグルタミン酸等によるアミノ酸処理、その他、レシチン処理、金属石鹸処理、脂肪酸処理、アルキルリン酸エステル処理等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの疎水化処理により、a値、b値等が変化する場合があるが、疏水化処理後のパール顔料の各値が上記本発明の範囲内であれば、好適に使用することができる。
【0023】
また、本発明の化粧料に配合する上記パール顔料の含有量は、所望するくすみ肌の改善度合いに応じて任意に配合することができる。例えば、化粧料中、0.1〜20.0質量%、好ましくは1.0〜10.0質量%、より好ましくは2.0〜5.0質量%の含量で配合することが望ましい。
かかる含有量で化粧料に配合することで、化粧料を肌に塗布した場合に素肌感を損なわず、パール顔料によるくすみ肌の改善の効果が、より有効に得られる。
【0024】
一般的に、人の肌は、加齢によってくすみが進むものであり、例えば、肌に外見上大きなトラブルを有さない20代の女性の5名の肌のL値、a値、b値を測定すると、平均値はL値=68.54、a値=6.13、b値=14.73であり、肌に外見上大きなトラブルを有さない30代の女性の5名の肌のL値、a値、b値を測定すると、平均値はL値=67.01、a値=6.85、b値=16.42であり、肌に外見上大きなトラブルを有さない40代の女性の5名の肌のL値、a値、b値を測定すると、平均値はL値=65.89、a値=7.09、b値=17.82である。
前記20代の女性の肌、30代の女性の肌、40代の女性の肌を比較すると、L値は徐々に低くなるのに対し、a値とb値はいずれも高くなる傾向にある。これにより、加齢による肌の黄ぐすみが進行するにつれてL値が下降するのに対し、a値、b値はいずれも上昇することがわかる。
【0025】
従って、加齢によってくすみが進んだ肌のL値を上げるとともに、a値とb値の両値を下げて、20代の肌が有するL値、a値及びb値の値に近付けることで、肌のくすみを補正して自然な透明感を実現できるものであり、上記特定のパール顔料が配合された本発明の化粧料は、肌、特にくすんだ肌等に塗布することにより、例えば、加齢によるくすみ肌を、年齢の若い女性の肌のL値、a値、b値の値に近付ける補正を可能として、仕上がりがマットにならず、自然な透明感と立体感とを付与することが可能となる。
【0026】
本発明の化粧料には、上記の必須成分の他に、必要に応じて上記本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料添加配合剤として一般に使用される他の粉体や水、油成分、乳化剤などを、目的とする製品に応じて適宜配合することが可能である。
【0027】
例えば、必要に応じて配合することができる化粧料に用いられる粉体成分としては、上記本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられる粉体であれば特に制限はなく、タルク、マイカ、カオリン、シリカ、セリサイト、ゼオライト、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、ナイロンパウダー、ラウロイルリジン、ポリメチルメタクリレートパウダー、窒化ホウ素、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム等の界面活性剤金属塩粉体、赤色201号、赤色202号等の有機顔料等が例示でき、さらにこれらをシリコーン、フッ素化合物等で処理したものも配合することができる。
【0028】
また、必要に応じて配合することができる油成分としては、上記本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられる油成分であれば特に制限はなく、例えば、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素類;オリーブ油、ホホバ油、アボカド油、ダイズ油、メドウホーム油、ラノリン等の天然動植物油脂;2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸ステアリル等の脂肪酸エステル類;トリ(カプリル・カプリル酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等のトリグリセライド、及び多価アルコール脂肪酸エステル油類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン油、デカメチルシクロペンタンシロキサン等の環状シリコーン油、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンゲル、シリコーンパウダー等の液体又は固体のシリコーン油等が挙げられる。これら油成分を、1種又は2種以上組み合わせたものも配合することができる。
【0029】
更に、必要に応じて配合することができる乳化剤としては、上記本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられる乳化剤であれば特に制限はなく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びシリコーン油用の乳化剤としてシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキカプリル酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、テトラエチルヘキサン酸ジグリセロールソルビタン、ペンタエチルヘキサン酸ジグリセロールソルビタン、ヤシ脂肪酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びこれらの誘導体;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;モノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、トリオレイン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0030】
また、前記ポリエーテル変性シリコーンとしては、PEG−3ジメチコン、PEG−9メチルエーテルジメチコン、PEG−10ジメチコン、PEG−10メチルエーテルジメチコン、PEG−12ジメチコン、PEG−32メチルエーテルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG/PPG−19/19ジメチコン、ポリシリコーン−13、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG−10トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン等が挙げられる。
ポリグリセリン変性シリコーンとしては、ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等を挙げることができる。
【0031】
更に、本発明の化粧料には、必要に応じて、上記本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常配合される多価アルコール、保湿剤、糖類、防腐剤、抗菌剤、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子増粘剤、低級アルコール、皮膜形成剤、中和剤、pH調整剤、紫外線吸収剤等も含有させることができる。また、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗炎症剤、美白剤等の他の化粧成分や薬効成分、生理活性成分、香料、色素等を、更に必要に応じて、上記本発明の効果を損なわない範囲で含有させることも可能である。
【0032】
必要に応じて配合される多価アルコールとしては、上記本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられる多価アルコール成分であれば特に制限はなく、化粧料配合剤として一般に使用されているものであれば特に限定されず使用することができ、例えば1、3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1、2−ペンタンジオール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、メチルグルコシド、ソルビトール、ジグリセリン等が挙げられる。
【0033】
また、必要に応じて配合される保湿剤及び糖類としては、上記本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられる保湿剤や糖類であれば特に制限はなく、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、乳酸ナトリウム、シクロデキストリン、ピロリドンカルボン酸及びその塩、天然及び合成のセラミド類等が、防腐剤及び抗菌剤としては、例えば、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられ、更に、金属イオン封鎖剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができ、香料としては、公知の合成香料、動物性香料、天然精油、合成製油等が挙げられる。
【0034】
必要に応じて配合される水溶性高分子あるいは増粘剤としては、上記本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられる水溶性高分子や増粘剤であれば特に制限はなく、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、デキストリン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ベントナイト等を挙げることができる。
【0035】
また、必要に応じて配合される低級アルコールとしては、上記本発明の効果を損なわない範囲で、エタノール、イソプロパノールが挙げられ、皮膜形成剤としては、トリメチルシロキシケイ酸、ポリプロピルシルセスキオキサン、ポリアクリル酸アルキル、エイコセン・ビニルピロリドン重合体、エステルガム等が挙げられる。
更に必要に応じて配合される中和剤としては、上記本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等が挙げられ、pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0036】
必要に応じて配合される紫外線吸収剤としては、上記本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル、パラメトキシケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸2−エトキシエチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、4−[N、N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチル、2−(4―ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル等の安息香酸エステル系紫外線吸収剤、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸p−tert−ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2、4、6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1、3、5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、オクトクリレン、アントラニル酸メンチル、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート等を配合することができる。
【0037】
特に、化粧料に薬効成分の配合が所望される場合には、薬効成分として、上記本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、コエンザイムQ10、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB類、ピリドキシン塩酸塩等のB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD、コレカルシフェロール等のビタミンD類;α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を配合することができる。また、アルブチン、エラグ酸、トラネキサム酸、プラセンタエキス、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー、ブナノキエキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン、アライトイン等の消炎剤、アルギニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸類等を挙げることができる。さらに、セイヨウトチノキ種子エキス、カミツレ花エキス、ソウハクヒエキス、ボタンエキス、パセリエキス、ブナノキエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキス、スイカズラエキス、コメエキス、ブドウエキス、ホップエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、ケイヒエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス、オウゴンエキス、オトギリソウエキス、セイヨウサンザシエキス、ツボクサエキス、クズ根粒エキス、アーティチョーク葉エキス、エイジツエキス、エーデルワイスエキス等の各種抽出物を配合することも可能である。
【0038】
本発明の化粧料は、化粧品の種類に応じて通常配合される成分と、本発明の上記パール顔料と、必要に応じて配合される上記成分とを均一に混合し、任意の公知の常法に従って、所望する剤型の化粧料を製造することができる。
【0039】
本発明の化粧料としては、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー等のメイクアップ化粧料や、化粧水、乳液、クリーム、美容液等のスキンケア化粧料等が例示でき、特にくすみ肌の改善化粧料として有効である。
【0040】
本発明の化粧料は、上記特定のパール顔料が配合されていることにより、くすんでない肌に外観上近付けることが可能となり、自然な透明感を有する化粧肌を提供することが可能となる。
【実施例】
【0041】
本発明を次の実施例、比較例及び試験例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り、全量に対する質量百分率(質量%)を表す。
【0042】
(顔料)
化粧料用顔料として、下記表1に示す各顔料を用いた。顔料No.1〜3及び7はパール顔料、顔料No.4及び5は着色顔料、顔料No.6は混合パール顔料である。
なお、顔料No.6の混合パール顔料は、顔料No.1のパール顔料5gと顔料No.7のパール顔料30gと顔料No.3のパール顔料15gとをイソプロパノールと共にミキサーで均一に混合し、その後イソプロパノールを完全に留去して得られた顔料(混合パール顔料)である。
【0043】
表1に示す各顔料を、それぞれ黒色人工皮革(出光テクノファイン社製、サプラーレ)上に1mg/cmとなるように均一に塗布し、分光測色計(コニカミノルタ社製、型番CM−700d)を用いて、各顔料のL値、a値、b値を測定した。
その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
上記表1のa値、b値の結果より、本発明の化粧料に適切に用いることができる顔料は、40<L<65、−15<a<−5、−30<b<−10の範囲にある、顔料No.1、6の顔料(パール顔料)である。
【0046】
(実施例1〜3、比較例1〜5:ルース状ファンデーション)
上記表1に示す各顔料を用いて、下記表2及び表3に示す各成分を当該各表に示す配合割合で、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製FM−10)に配合し、均一に混合して、各ルース状ファンデーションを調製した。
【0047】
(試験例)
(試験例1)官能評価
実施例1〜3及び比較例1〜5の各ファンデーションを、一般女性被験者(30〜50歳)5名の皮膚に均一に塗布し、その時の仕上がりを自己評価により官能評価した。3項目「くすみ改善効果」、「立体感」、「透明感」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し、5名の平均点を以下の判定基準に従って判定した。その結果も表2、3に示す。
【0048】
なお、評価基準は以下のように設定した。
評価基準:
[評価結果] : [評点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
ふつう : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
【0049】
判断基準:
[評点平均点] : [判定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
試験例1の上記表2及び表3の結果から、本発明の実施例1〜3のルース状ファンデーション化粧料は、比較例の化粧料よりも、「くすみ改善効果」、「立体感」、「透明感」の全ての項目において優れていることを実感できていることがわかる。
【0053】
比較例1は、表1のいずれのパール顔料も含んでおらず、くすみを改善する効果は十分ではなく、また立体感及び透明感は得られなかった。
また比較例2〜5は、黒色人工皮革に1mg/cmとなるように塗布した際にCIE1976L表色系で規定される測色値が、40<L<65、−15<a<−5、−30<b<−10に含まれない顔料No.2〜5のうち、少なくともいずれか1つをそれぞれ含有するものである。比較例2ではa値が条件を満たさず、立体感と透明感を実感することができなかった。比較例3ではb値が条件を満たさず、くすみ改善効果が特に不十分であり、また立体感と透明感を実感することもできなかった。そして、比較例4ではL値とa値とb値が条件を満たしておらず、また、比較例5ではa値とb値が条件を満たしておらず、くすみ改善効果、立体感、透明感のいずれも不十分であった。特に比較例4及び5は着色顔料を含有しており、パール顔料のような光沢感が付与され難いことから、こうした効果をより得にくいと考えられる。
【0054】
(試験例2)L値、a値、b値の測定
上記実施例1〜3及び比較例1〜5の各ファンデーションを、一般女性被験者(30〜50歳)5名のうち、特にくすみが目立ち、透明感の少ない肌の被験者2名の肌(くすみ肌1:L値=61.56、a値=6.76、b値=16.26、くすみ肌2:L値=63.54、a値=6.70、b値=17.70、平均:L値=62.55、a値=6.73、b値=16.98)に、それぞれ均一に塗布し、分光測色計(コニカミノルタ社製、型番CM−700d)を用いて、塗布した部分のL値、a値、b値の平均値を測定した。
得られた結果を下記表4に示す。
【0055】
【表4】
【0056】
まず、上記表4より、表1のいずれのパール顔料も含んでおらず、くすみを改善する効果は十分ではなく、また立体感及び透明感は得られなかったと実感(試験例1)された比較例1のファンデーションのL値とa値とb値と、実施例1〜3及び比較例2〜5の場合とを比較すると、実施例1〜実施例3は、L値を上げると共に、a値とb値の両方をより大きく下げることができる。
これに対し、パール顔料を含有する比較例2及び3のファンデーションを塗布した場合では、比較例2のファンデーションは、a値を低下させることができず、比較例3のファンデーションは、L値の上昇度合いが小さく且つb値を低下させることができない。
従って、実施例のファンデーションは、比較例2及び3のファンデーションよりも、肌のくすみを改善し、立体感及び透明感を得やすいことが分かる。
【0057】
次いで、着色顔料を含有する比較例4及び5のファンデーションは、比較例1のファンデーションと比較して、比較例4では、L値を上昇させることができず、また、比較例5ではL値を上昇させることができず且つb値を低下させることができず、従って、肌のくすみの改善効果、立体感、透明感が得られにくいことがわかる。
【0058】
[実施例4:W/O型乳液]
下記(1)〜(18)の各成分を下記の配合割合で、以下の手順により。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製FM−10)を用いて均一に混合して、W/O型乳液を調製した。
(A):成分(1)〜(10)を80℃に加熱して、溶解混合した。
(B):上記(A)で得られた混合物に、成分(11)を添加して80℃に加熱して混合した。
(C):別途、成分(12)〜(18)を80℃に加熱して、溶解混合した。
(D):上記(B)で得られた混合物に、上記(C)で得られた混合物をゆっくり加えて均一に乳化混合して、W/O型乳液を調製した。
【0059】
(組成) (質量%)
(1) デカメチルシクロペンタシロキサン 25.0
(2) メチルポリシロキサン(※3) 6.0
(3) スクワラン 4.0
(4) ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 1.0
(5) PEG−10ジメチコン 3.0
(6) イソステアリン酸ソルビタン 2.0
(7) 架橋型メチルポリシロキサン(※4) 2.0
(8) ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1.0
(9) マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 0.5
(10)オリーブ油 1.0
(11)Helios R10B(ハイドロゲンジメチコン処理) 0.5
(12)精製水 残余
(13)グリセリン 5.0
(14)1、3−ブチレングリコール 3.0
(15)塩化ナトリウム 1.0
(16)メチルパラベン 0.3
(17)フェノキシエタノール 0.2
(18)ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
※3:KF−96A−6CS(信越化学工業社製)
※4:KSG−16(信越化学工業社製 25%ジメチコン分散体)
【0060】
(評価)
得られたW/O型乳液について、上記試験例1及び試験例2と同様の評価を行った。その結果、全ての項目で優れたくすみ肌を改善できる化粧料であった。
具体的には、塗布前の肌はL値=64.19、a値=8.26、b値=19.19であったが、上記W/O型乳液塗布後には、L値=64.54、a値=7.92、b値=18.55となり、塗布した後の肌の数値はL値が高くなり、a値、b値が低くなり、くすみ肌を改善することができた。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の化粧料は、くすみ肌の改善に有効に適用することができ、メイクアップ化粧料だけではなく、乳液等の基礎化粧料とも含めた化粧料全般に利用することが可能である。