(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
厚さ2.1mmの2枚の熱線吸収板ガラスの間に中間膜が挟み込まれた合わせガラスにおいて、中間膜の前記最も厚い部分における日射透過率と、中間膜の前記最も薄い部分における日射透過率との差の絶対値が5.5%以下である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
中間膜の前記第1の領域における前記遮熱性化合物の含有量と、中間膜の前記第2の領域における前記遮熱性化合物の含有量との差の絶対値が0.0001重量%以上である、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
前記遮熱性化合物が、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分を含むか、又は遮熱粒子を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る合わせガラス用中間膜(本明細書において、「中間膜」と略記することがある)は、熱可塑性樹脂と、遮熱性化合物とを含む。
【0035】
本発明に係る中間膜は、一端と、上記一端とは反対側に上記一端よりも厚い厚みを有する他端とを有する。
【0036】
本発明に係る中間膜では、最も厚い部分の厚みと最も薄い部分の厚みとの差の絶対値が0.1mm以上である。
【0037】
本発明に係る中間膜では、厚さ2.1mmの2枚の熱線吸収板ガラスの間に本発明に係る中間膜が挟み込まれた合わせガラスにおいて、中間膜の上記最も厚い部分における可視光線透過率と、中間膜の上記最も薄い部分における可視光線透過率との差の絶対値が4%以下である。なお、上記合わせガラスは、中間膜を特定するために作製される。本発明に係る中間膜を用いて合わせガラスを作製する際には、熱線吸収板ガラス以外の合わせガラス部材の間に中間膜が配置されてもよい。
【0038】
本発明に係る中間膜では、上記の構成が備えられているので、中間膜を用いた合わせガラスの全体において、視認性を均一にすることができる。すなわち、視認性の均一性を高めることができる。
【0039】
本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、合わせガラス用中間膜とを備える。本発明に係る合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、上記合わせガラス用中間膜が配置されており、上記中間膜が、熱可塑性樹脂と、遮熱性化合物とを含み、上記中間膜が、一端と、上記一端とは反対側に上記一端よりも厚い厚みを有する他端とを有し、上記中間膜の最も厚い部分の厚みと最も薄い部分の厚みとの差の絶対値が0.1mm以上であり、合わせガラスにおける上記中間膜の上記最も厚い部分における可視光線透過率と、合わせガラスにおける上記中間膜の上記最も薄い部分における可視光線透過率との差の絶対値が4%以下である。
【0040】
本発明に係る合わせガラスでは、上記の構成が備えられているので、中間膜を用いた合わせガラスの全体において、視認性を均一にすることができる。すなわち、視認性の均一性を高めることができる。
【0041】
視認性の均一性をより一層高める観点からは、厚さ2.1mmの2枚の熱線吸収板ガラスの間に本発明に係る中間膜が挟み込まれた合わせガラスにおいて、又は本発明に係る合わせガラスにおいて、中間膜の上記最も厚い部分における可視光線透過率と、中間膜の上記最も薄い部分における可視光線透過率との差の絶対値は、好ましくは3.5%以下、より好ましくは3%以下である。
【0042】
視認性を高める観点からは、厚さ2.1mmの2枚の熱線吸収板ガラスの間に本発明に係る中間膜が挟み込まれた合わせガラスにおいて、又は本発明に係る合わせガラスにおいて、中間膜の上記最も厚い部分における可視光線透過率と、中間膜の上記最も薄い部分における可視光線透過率とのうち、低い方の可視光線透過率は、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは73%以上である。
【0043】
上記可視光線透過率は、JIS R3211(1998)に準拠して測定される。
【0044】
厚さ2.1mmの2枚の熱線吸収板ガラスの間に本発明に係る中間膜が挟み込まれた合わせガラスにおいて、又は本発明に係る合わせガラスにおいて、中間膜の上記最も厚い部分における日射透過率Ts2500と、中間膜の上記最も薄い部分における日射透過率Ts2500との差の絶対値は好ましくは5.5%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは4%以下である。日射透過率Ts2500の差の絶対値が上記上限以下であると、中間膜を用いた合わせガラスの全体において、遮熱性を均一にすることができる。
【0045】
遮熱性を高める観点からは、厚さ2.1mmの2枚の熱線吸収板ガラスの間に本発明に係る中間膜が挟み込まれた合わせガラスにおいて、又は本発明に係る合わせガラスにおいて、中間膜の上記最も厚い部分における日射透過率Ts2500と、中間膜の上記最も薄い部分における日射透過率Ts2500とのうち、低い方の日射透過率Ts2500は、好ましくは39%以下、より好ましくは38%以下、更に好ましくは37%以下である。
【0046】
日射透過率は、JIS R 3106(1998)に準拠して測定される。
【0047】
上記可視光線透過率及び上記日射透過率は、以下の位置にて測定される。
【0048】
上記最も厚い部分又は上記最も薄い部分が端部から25mm以上離れている場合には、上記最も厚い部分又は上記最も薄い部分が中央になるように50mm(一端と他端とを結ぶ方向)×50mm(一端と他端とを結ぶ方向と直交する方向)の正方形の試験片を採取する。
【0049】
上記最も厚い部分又は上記最も薄い部分が端部から25mm以上離れていない場合には、端部が試験片の一辺となるように、50mm(一端と他端とを結ぶ方向)×50mm(一端と他端とを結ぶ方向と直交する方向)の正方形の試験片を採取する。
【0050】
また、中間膜の上記一端と上記他端とを結ぶ方向において、最も薄い箇所が一定の距離存在する場合には、最も薄い箇所の一端側の端部を最も薄い部分として、試験片を採取する。中間膜の上記一端と上記他端とを結ぶ方向において、最も厚い箇所が一定の距離存在する場合には(例えば、
図7参照)、最も厚い箇所の他端側の端部を最も厚い部分として、試験片を採取する。
【0051】
視認性の均一性をより一層高めたり、遮熱性の均一性をより一層高めたりする観点からは、中間膜の最も厚い部分の厚み方向において、第1の領域と、上記第1の領域よりも上記遮熱性化合物の含有量が少ない第2の領域とが存在することが好ましい。
【0052】
視認性の均一性をより一層高めたり、遮熱性の均一性をより一層高めたりする観点からは、中間膜の上記第1の領域における上記遮熱性化合物の含有量と、中間膜の上記第2の領域における上記遮熱性化合物の含有量との差の絶対値は好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.0005重量%以上である。中間膜の上記第1の領域における上記遮熱性化合物の含有量と、中間膜の上記第2の領域における上記遮熱性化合物の含有量との差の絶対値は好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下である。
【0053】
視認性の均一性をより一層高めたり、遮熱性の均一性をより一層高めたりする観点からは、中間膜の上記第2の領域が上記遮熱性化合物を含まないか、又は、中間膜の上記第2の領域が、上記遮熱性化合物を0.2重量%以下で含むことが好ましい。視認性の均一性をより一層高めたり、遮熱性の均一性をより一層高めたりする観点からは、中間膜の上記第2の領域における上記遮熱性化合物はより好ましくは0.15重量%以下である。
【0054】
上記最も厚い部分の厚みと上記最も薄い部分の厚みとの差の絶対値をXmmとする。視認性の均一性をより一層高めたり、遮熱性の均一性をより一層高めたりする観点からは、上記第2の領域の最も厚い部分の厚みYmmは、好ましくは(X−0.28)以上、より好ましくは(X−0.25)以上、好ましくはX以下、より好ましくは(X−0.05)以下である。
【0055】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0056】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【0057】
図1では、中間膜11の厚み方向の断面が示されている。なお、
図1及び後述の図では、図示の便宜上、中間膜及び中間膜を構成する各層の厚み、並びに楔角θは、実際の厚み及び楔角とは異なるように示されている。
【0058】
図1に示す中間膜11は、第1の層1を備える。中間膜11は、第1の層1のみの1層の構造を有し、単層の中間膜である。中間膜11は、第1の層1である。中間膜11は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11は、合わせガラス用中間膜である。
【0059】
中間膜11及び第1の層1の厚み方向の断面形状は、楔状である。中間膜11は、一端11aと、一端11aとは反対側の他端11bとを有する。一端11aと他端11bとは対向し合う両側の端部である。中間膜11の一端11aの厚みは他端11bの厚みよりも薄い。従って、中間膜11及び第1の層1は、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0060】
中間膜11では、厚みが厚い他端11b側において、遮熱性化合物を含まない第2の領域R2が存在する。第2の領域R2の厚み方向の両側に、遮熱性化合物を含む第1の領域R1が存在する。中間膜11の第2の領域R2は、遮熱性化合物を含んでいてもよい。
【0061】
第2の領域R2は、一端(中間膜の一端側に対応)の厚みが他端(中間膜の他端側に対応)の厚みよりも薄く、厚み方向の断面形状が楔状である領域であることが好ましい。このとき、中間膜11の一端11aから他端11bにかけての方向と、第2の領域R2の一端から他端にかけての方向とが同じであることが好ましい。
【0062】
第2の領域R2は、中間膜11の一端11aから他端11bの距離をZとし、一端0Z、他端をZとして、0Z〜0.5Zの間に位置することが好ましい。
【0063】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【0064】
図2に示す中間膜11Aは、第1の層1A(中間層)と、第2の層2A(表面層)と、第3の層3A(表面層)とを備える。第1の層1Aの第1の表面側に、第2の層2Aが配置されており、積層されている。第1の層1Aの第1の表面とは反対の第2の表面側に、第3の層3Aが配置されており、積層されている。第1の層1Aは、第2の層2Aと第3の層3Aとの間に配置されており、挟み込まれている。中間膜11Aは、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11Aは、合わせガラス用中間膜である。中間膜11Aは、多層中間膜である。上記表面層には、合わせガラス部材が積層される。
【0065】
中間膜11Aは、一端11aと、一端11aとは反対側の他端11bとを有する。一端11aと他端11bとは対向し合う両側の端部である。第2の層2A及び第3の層3Aの厚み方向の断面形状は楔状である。第1の層1Aの厚み方向の断面形状は矩形である。第2の層2A及び第3の層3Aの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Aの一端11aの厚みは他端11bの厚みよりも薄い。従って、中間膜11Aは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0066】
第1の層1Aにおける最大厚みと最小厚みとの差は、第2の層2Aにおける最大厚みと最小厚みとの差よりも小さい。第1の層1Aにおける最大厚みと最小厚みとの差は、第3の層3Aにおける最大厚みと最小厚みとの差よりも小さい。
【0067】
中間膜11Aでは、特に限定されないが、例えば、第1の層1Aに遮熱性化合物を配合し、第2の層2A及び第3の層3Aに遮熱性化合物を配合しないようにすることができる。また、第2の層2A及び第3の層3Aに遮熱性化合物を配合し、第1の層1Aに遮熱性化合物を配合しないようにすることもできる。このような中間膜11Aのように、各層が、第1の領域と、第1の領域よりも遮熱性化合物の含有量が少ない第2の領域とに対応していてもよい。
【0068】
図2に示す中間膜11Aは、楔状の第2の層2A及び第3の層3Aの間に、矩形の第1の層1Aが挟み込まれた構造を有する。
図3〜7に、中間膜の各層の形状をかえた第1〜第5の変形例を示す。
【0069】
図3に示す第1の変形例に係る中間膜11Bは、厚み方向の断面形状が楔状である第1の層1Bと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の層2Bと、厚み方向の断面形状が楔状である第3の層3Bとを備える。第1の層1Bは、第2の層2Bと第3の層3Bとの間に配置されており、挟み込まれている。
【0070】
第1の層1B、第2の層2B及び第3の層3Bの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Bは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0071】
中間膜11Bでは、第1の層1Bの厚み変化量が、第2の層2B及び第3の層3Bの厚み変化量よりも小さい。
【0072】
中間膜11Bでは、特に限定されないが、例えば、第1の層1Bに遮熱性化合物を配合し、第2の層2B及び第3の層3Bに遮熱性化合物を配合しないようにすることができる。
【0073】
図4に示す第2の変形例に係る中間膜11Cは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Cと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の層2Cと、厚み方向の断面形状が矩形である第3の層3Cとを備える。第1の層1Cは、第2の層2Cと第3の層3Cとの間に配置されており、挟み込まれている。第2の層2Cの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Cは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。中間膜11Cの形状で、中間膜は単層であってもよい。
【0074】
図5に示す第3の変形例に係る中間膜11Dは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Dと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の層2Dと、厚み方向の断面形状が矩形である第3の層3Dとを備える。第2の層2Dは、第1の層1Dと第3の層3Dとの間に配置されており、挟み込まれている。第2の層2Dの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Dは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0075】
中間膜11Dでは、特に限定されないが、例えば、第2の層2D及び第3の層3Dに遮熱性化合物を配合し、第1の層1Dに遮熱性化合物を配合しないようにすることができる。また、第1の層1Dに遮熱性化合物を配合し、第2の層2D及び第3の層3Dに遮熱性化合物を配合しないようにすることもできる。
【0076】
図6に示す第4の変形例に係る中間膜11Eは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Eと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の層2Eとを備える。第1の層1Eの第1の表面側に第2の層2Eが配置されており、積層されている。第2の層2Eの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Eは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0077】
図7に示す第5の変形例に係る中間膜11Fは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Fと、厚み方向の断面形状が矩形である部分2Faと厚み方向の断面形状が楔状である部分2Fbとを有する第2の層2Fとを備える。第1の層1Fの第1の表面側に第2の層2Fが配置されており、積層されている。第2の層2Fの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Fは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。中間膜11Fの形状で、中間膜は単層であってもよい。
【0078】
上記中間膜は、厚み方向の断面形状が楔状である部分を有することが好ましい。上記中間膜は、一端から他端に向かって、厚みが次第に大きくなる部分を有することが好ましい。中間膜の厚み方向の断面形状は、楔状であることが好ましい。中間膜の厚み方向の断面形状としては、台形、三角形及び五角形等が挙げられる。
【0079】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【0080】
図8に示す中間膜11Gは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Gと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の層2Gと、厚み方向の断面形状が矩形である第3の層GDとを備える。第2の層2Gは、第1の層1Gと第3の層3Gとの間に配置されており、挟み込まれている。第2の層2Gの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Gは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。中間膜11Gは、第2の層2Gに第2の領域R2を有する。
【0081】
二重像を抑制するために、合わせガラスの取付角度に応じて、中間膜の楔角θを適宜設定することができる。二重像をより一層抑制する観点からは、中間膜の楔角θは、好ましくは0.01mrad(0.0006度)以上、より好ましくは0.2mrad(0.0115度)以上、好ましくは2mrad(0.1146度)以下、より好ましくは0.7mrad(0.0401度)以下である。上記中間膜の楔角θは、中間膜における最大厚み部分と最小厚み部分との中間膜の第1の表面部分を結んだ直線と、中間膜における最大厚み部分と最小厚み部分との中間膜の第2の表面部分を結んだ直線との交点における内角である。
【0082】
中間膜は、一部の領域に着色帯を有していてもよい。中間膜は、一部の領域に着色領域を有していてもよい。多層の中間膜が着色帯又は着色領域を有する場合には、表面層が着色帯又は着色領域を有することが好ましい。ただし、中間層が着色帯又は着色領域を有していてもよい。上記着色帯又は着色領域は、例えば、中間膜を押出成形する際、又は中間膜の各層を押出成形する際に、着色剤を所定の領域に配合することにより形成できる。
【0083】
上記中間膜の厚みは特に限定されない。上記中間膜の厚みは、中間膜を構成する各層の合計の厚みを示す。よって、多層の中間膜11Aの場合には、中間膜11Aの厚みは、第1の層1Aと第2の層2Aと第3の層3Aとの合計の厚みを示す。
【0084】
中間膜の最大厚みは好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、更に好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは0.8mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm、更に好ましくは1.5mm以下である。
【0085】
一端と他端との間の距離をZとしたときに、中間膜は、一端から内側に向かって0Z〜0.2Zの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0Z〜0.2Zの距離の領域に最大厚みを有することが好ましく、中間膜は、一端から内側に向かって0X〜0.1Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0Z〜0.1Zの距離の領域に最大厚みを有することがより好ましい。中間膜の一端が最小厚みを有し、中間膜の他端が最大厚みを有することが好ましい。
【0086】
中間膜11,11A,11B,11C,11D,11E,11F,1Gでは、一端11aが最小厚みを有し、他端11bが最大厚みを有する。
【0087】
実用面の観点、並びに接着力及び耐貫通性を充分に高める観点からは、表面層の最大厚みは好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.8mm以下である。
【0088】
実用面の観点、並びに耐貫通性を充分に高める観点からは、2つの表面層の間に配置される層(中間層)の最大厚みは好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.6mm以下、更に好ましくは0.3mm以下である。
【0089】
上記中間膜の一端と他端との距離Zは、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下、特に好ましくは1.5m以下であり、好ましくは0.5m以上、より好ましくは0.8m以上、特に好ましくは1m以上である。
【0090】
本発明に係る中間膜は、1層の構造又は2層以上の構造を有する。本発明に係る中間膜は、1層の構造を有していてもよく、2層以上の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよい。本発明に係る中間膜は、第1の層を備える。本発明に係る中間膜は、第1の層のみを備える単層の中間膜であってもよく、第1の層と他の層とを備える多層の中間膜であってもよい。
【0091】
上記中間膜は、2層以上の構造を有していてもよく、第1の層に加えて第2の層を備えていてもよい。上記中間膜は、中間膜における表面層として、上記第2の層を備えることが好ましい。上記中間膜が上記第2の層を備える場合に、上記第1の層の第1の表面側に、上記第2の層が配置される。この場合に、上記第1の層と上記第2の層とは直接積層されていてもよく、上記第1の層と上記第2の層との間に他の層が配置されていてもよい。
【0092】
上記中間膜は、3層以上の構造を有していてもよく、第1の層及び第2の層に加えて第3の層を備えていてもよい。上記中間膜は、中間膜における表面層として、上記第3の層を備えることが好ましい。上記中間膜が上記第3の層を備える場合に、上記第1の層の上記第1の表面とは反対の第2の表面側に、上記第3の層が配置される。上記中間膜が上記第3の層を備える場合に、上記第1の層は、上記第2の層と上記第3の層との間に配置される。この場合に、上記第1の層と上記第3の層とは直接積層されていてもよく、上記第1の層と上記第3の層との間に他の層が配置されていてもよい。
【0093】
以下、多層の中間膜の各層、並びに単層の中間膜を構成する材料の詳細を説明する。
【0094】
(ポリビニルアセタール樹脂又は熱可塑性樹脂)
上記中間膜は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましい。上記第1の層(単層の中間膜を含む)は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂(1)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂(2)としてポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂(3)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂(1)と上記熱可塑性樹脂(2)と上記熱可塑性樹脂(3)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記熱可塑性樹脂(1)、上記熱可塑性樹脂(2)及び上記熱可塑性樹脂(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)と上記ポリビニルアセタール樹脂(2)と上記ポリビニルアセタール樹脂(3)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0095】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0096】
上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス部材又は他の中間膜に対する本発明に係る合わせガラス用中間膜の接着力がより一層高くなる。
【0097】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.9モル%である。
【0098】
上記ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より一層好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上、特に好ましくは2600以上、最も好ましくは2700以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
【0099】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0100】
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれるアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3〜5であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
【0101】
上記アルデヒドは特に限定されない。一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0102】
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは17モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは22モル%以上、好ましくは35モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは27モル%未満、特に好ましくは25モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率が20モル%以上であると反応効率が高く生産性に優れ、また27モル%未満であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0103】
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の各含有率は、好ましくは25モル%以上、より好ましくは28モル%以上、好ましくは35モル%以下、より好ましくは32モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0104】
遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。遮音性を更に一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率との差の絶対値、及び、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは9モル%以上、特に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは12モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率との差の絶対値、及び、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは20モル%以下である。
【0105】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0106】
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、より一層好ましくは7モル%以上、更に好ましくは9モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは15モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度が0.1モル%以上、25モル%以下であると、耐貫通性に優れる。
【0107】
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセチル化度は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、好ましくは10モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
【0108】
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0109】
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは47モル%以上、より好ましくは60モル%以上、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0110】
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは55モル%以上、より好ましくは67モル%以上、好ましくは75モル%以下、より好ましくは71モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0111】
上記アセタール化度は、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。
【0112】
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396−92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
【0113】
合わせガラスの耐貫通性をより一層良好にする観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)は、アセチル化度(a)が8モル%以下であり、かつアセタール化度(a)が66モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂(A)であるか、又はアセチル化度(b)が8モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂(B)であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)は、上記ポリビニルアセタール樹脂(A)であってもよく、上記ポリビニルアセタール樹脂(B)であってもよい。
【0114】
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)のアセチル化度(a)は8モル%以下、好ましくは7.5モル%以下、より好ましくは7モル%以下、更に好ましくは6.5モル%以下、特に好ましくは5モル%以下、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、更に好ましくは0.8モル%以上、特に好ましくは1モル%以上である。上記アセチル化度(a)が上記上限以下及び上記下限以上であると、可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
【0115】
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)のアセタール化度(a)は66モル%以上、好ましくは67.5モル%以上、より好ましくは70.5モル%以上、特に好ましくは71モル%以上、更に好ましくは71.5モル%以上、特に好ましくは72モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは83モル%以下、更に好ましくは81モル%以下、特に好ましくは79モル%以下である。上記アセタール化度(a)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度(a)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(A)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0116】
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)の水酸基の含有率(a)は好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21モル%以上、好ましくは31モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは29モル%以下、特に好ましくは28モル%以下である。上記水酸基の含有率(a)が上記下限以上であると、上記第1の層の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率(a)が上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
【0117】
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセチル化度(b)は、8モル%を超え、好ましくは9モル%以上、より好ましくは9.5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、特に好ましくは10.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは28モル%以下、更に好ましくは26モル%以下、特に好ましくは24モル%以下である。上記アセチル化度(b)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセチル化度(b)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(B)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0118】
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度(b)は好ましくは50モル%以上、より好ましくは53モル%以上、更に好ましくは55モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、好ましくは80モル%以下、より好ましくは78モル%以下、更に好ましくは76モル%以下、特に好ましくは74モル%以下である。上記アセタール化度(b)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度(b)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(B)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0119】
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)の水酸基の含有率(b)は好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21モル%以上、好ましくは31モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは29モル%以下、特に好ましくは28モル%以下である。上記水酸基の含有率(b)が上記下限以上であると、上記第1の層の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率(b)が上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
【0120】
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(B)はそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
【0121】
(可塑剤)
上記中間膜は、可塑剤を含むことが好ましい。上記第1の層(単層の中間膜を含む)は、可塑剤(以下、可塑剤(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、可塑剤(以下、可塑剤(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、可塑剤(以下、可塑剤(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む層の合わせガラス部材又は他の層に対する接着力が適度に高くなる。上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤(1)と上記可塑剤(2)と上記可塑剤(3)とは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0122】
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0123】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0124】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0125】
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
【0126】
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0127】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
【0129】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数2〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基であることが好ましく、炭素数6〜10の有機基であることがより好ましい。
【0130】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエートを含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートを含むことがより好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことが更に好ましい。
【0131】
上記熱可塑性樹脂(1)100重量部(熱可塑性樹脂(1)がポリビニルアセタール樹脂(1)である場合には、ポリビニルアセタール樹脂(1)100重量部)100重量部に対する上記可塑剤(1)の含有量(以下、含有量(1)と記載することがある)は、好ましくは35重量部以上、より好ましくは50重量部以上、更に好ましくは55重量部以上、特に好ましくは60重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは90重量部以下、更に好ましくは85重量部以下、特に好ましくは80重量部以下である。上記含有量(1)が上記下限以上であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。上記含有量(1)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
【0132】
上記熱可塑性樹脂(2)100重量部(熱可塑性樹脂(2)がポリビニルアセタール樹脂(2)である場合には、ポリビニルアセタール樹脂(2)100重量部)に対する上記可塑剤(2)の含有量(以下、含有量(2)と記載することがある)、並びに上記熱可塑性樹脂(3)100重量部(熱可塑性樹脂(3)がポリビニルアセタール樹脂(3)である場合には、ポリビニルアセタール樹脂(3)100重量部)に対する上記可塑剤(3)の含有量(以下、含有量(3)と記載することがある)はそれぞれ、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、好ましくは45重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは35重量部以下、特に好ましくは32重量部以下である。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記下限以上であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記上限以下であると、曲げ剛性がより一層高くなる。
【0133】
合わせガラスの遮音性を高めるために、上記含有量(1)は上記含有量(2)よりも多いことが好ましく、上記含有量(1)は上記含有量(3)よりも多いことが好ましい。
【0134】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、更に好ましくは20重量部以上である。上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは80重量部以下、より好ましくは75重量部以下、更に好ましくは70重量部以下である。
【0135】
(遮熱性化合物)
上記中間膜は、遮熱性化合物を含む。上記第1の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第2の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第3の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記遮熱性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0136】
上記遮熱性化合物は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むか、又は遮熱粒子を含むことが好ましい。この場合に、上記成分Xと上記遮熱粒子との双方を含んでいてもよい。
【0137】
上記遮熱性化合物を含む領域の全体(上記遮熱性化合物を含まない領域を除く領域)100重量%中、上記遮熱性化合物の含有量は、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下、更に好ましくは0.35重量%以下である。上記遮熱性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。例えば、可視光線透過率を70%以上にすることが可能である。
【0138】
成分X:
上記中間膜は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むことが好ましい。上記第1の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第1の領域が、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第2の領域が、上記成分Xを含んでいてもよい。上記成分Xは遮熱性化合物である。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0139】
上記成分Xは特に限定されない。成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。
【0140】
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
【0141】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、上記成分Xは、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン及びナフタロシアニンの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。
【0142】
遮熱性を効果的に高め、かつ長期間にわたり可視光線透過率をより一層高いレベルで維持する観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することも好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
【0143】
上記成分Xを含む領域の全体(上記成分Xを含まない領域を除く領域)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.02重量%以上、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.04重量%以下である。上記成分Xの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。例えば、可視光線透過率を70%以上にすることが可能である。
【0144】
遮熱粒子:
上記中間膜は、遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第2の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第3の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第1の領域が、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第2の領域が、上記遮熱粒子を含んでいてもよい。上記遮熱粒子は遮熱性化合物である。遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記遮熱粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0145】
合わせガラスの遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子は、金属酸化物粒子であることがより好ましい。上記遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された粒子(金属酸化物粒子)であることが好ましい。
【0146】
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質に吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能な粒子を意味する。
【0147】
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB
6)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、IZO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子がより好ましく、ITO粒子又は酸化タングステン粒子が特に好ましい。特に、熱線の遮蔽機能が高く、かつ入手が容易であるので、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)が好ましく、酸化タングステン粒子も好ましい。
【0148】
上記酸化タングステン粒子は、下記式(X1)又は下記式(X2)で一般に表される。上記中間膜では、下記式(X1)又は下記式(X2)で表される酸化タングステン粒子が好適に用いられる。
【0150】
上記式(X1)において、Wはタングステン、Oは酸素を表し、y及びzは2.0<z/y<3.0を満たす。
【0152】
上記式(X2)において、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta及びReからなる群から選択される少なくとも1種の元素、Wはタングステン、Oは酸素を表し、x、y及びzは、0.001≦x/y≦1、及び2.0<z/y≦3.0を満たす。
【0153】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、酸化タングステン粒子は、金属ドープ酸化タングステン粒子であることが好ましい。上記「酸化タングステン粒子」には、金属ドープ酸化タングステン粒子が含まれる。上記金属ドープ酸化タングステン粒子としては、具体的には、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子及びルビジウムドープ酸化タングステン粒子等が挙げられる。
【0154】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、セシウムドープ酸化タングステン粒子が特に好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、該セシウムドープ酸化タングステン粒子は、式:Cs
0.33WO
3で表される酸化タングステン粒子であることが好ましい。
【0155】
上記遮熱粒子の平均粒子径は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、熱線の遮蔽性が充分に高くなる。平均粒子径が上記上限以下であると、遮熱粒子の分散性が高くなる。
【0156】
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA−EX150」)等を用いて測定できる。
【0157】
上記遮熱粒子を含む領域の全体(上記遮熱粒子を含まない領域を除く領域)100重量%中、上記遮熱粒子の各含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上、好ましくは6重量%以下、より好ましくは5.5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3.5重量%以下、最も好ましくは3.0重量%以下である。上記遮熱粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。
【0158】
上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)は、上記遮熱粒子を0.1g/m
2以上、12g/m
2以下の割合で含有することが好ましい。上記遮熱粒子の割合が上記範囲内である場合には、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。上記遮熱粒子の割合は、好ましくは0.5g/m
2以上、より好ましくは0.8g/m
2以上、更に好ましくは1.5g/m
2以上、特に好ましくは3g/m
2以上、好ましくは11g/m
2以下、より好ましくは10g/m
2以下、更に好ましくは9g/m
2以下、特に好ましくは7g/m
2以下である。上記割合が上記下限以上であると、遮熱性がより一層高くなる。上記割合が上記上限以下であると、可視光線透過率がより一層高くなる。
【0159】
(金属塩)
上記中間膜は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びマグネシウム塩の内の少なくとも1種の金属塩(以下、金属塩Mと記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記金属塩Mの使用により、中間膜とガラス板などの合わせガラス部材との接着性又は中間膜における各層間の接着性を制御することが容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0160】
上記金属塩Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。中間膜中に含まれている金属塩は、K及びMgの内の少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
【0161】
また、上記金属塩Mは、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ土類金属塩又は炭素数2〜16の有機酸のマグネシウム塩であることがより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。
【0162】
上記炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチル酪酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム及び2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
【0163】
上記金属塩Mを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。Mg及びKの含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、中間膜と合わせガラス部材との接着性又は中間膜における各層間の接着性をより一層良好に制御できる。
【0164】
(紫外線遮蔽剤)
上記中間膜は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。紫外線遮蔽剤の使用により、中間膜及び合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0165】
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0166】
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属原子を含む紫外線遮蔽剤、金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール化合物)、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン化合物)、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤(トリアジン化合物)、マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル化合物)、シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド化合物)及びベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾエート化合物)等が挙げられる。
【0167】
上記金属原子を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
【0168】
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤であり、より好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤である。
【0169】
上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
【0170】
上記ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。紫外線を吸収する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤は、ハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
【0171】
上記ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
【0172】
上記トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA−F70」及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
【0173】
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤としては、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
【0174】
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B−CAP、Hostavin PR−25、Hostavin PR−31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
【0175】
上記シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤としては、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド、2−エチル−2’−エトキシ−オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
【0176】
上記ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
【0177】
期間経過後の可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。特に、上記紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量が0.2重量%以上であることにより、中間膜及び合わせガラスの期間経過後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。
【0178】
(酸化防止剤)
上記中間膜は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0179】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
【0180】
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
【0181】
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0182】
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、及び2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0183】
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、並びにBASF社製「IRGANOX 1010」等が挙げられる。
【0184】
中間膜及び合わせガラスの高い可視光線透過率を長期間に渡り維持するために、上記中間膜100重量%中又は酸化防止剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量%以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の添加効果が飽和するので、上記中間膜100重量%中又は上記酸化防止剤を含む層100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
【0185】
(他の成分)
上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層はそれぞれ、必要に応じて、カップリング剤、分散剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、金属塩以外の接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0186】
(合わせガラス)
図9は、
図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を示す断面図である。
【0187】
図9に示す合わせガラス21は、中間膜11と、第1の合わせガラス部材22と、第2の合わせガラス部材23とを備える。中間膜11は、第1の合わせガラス部材22と第2の合わせガラス部材23との間に配置されており、挟み込まれている。中間膜11の第1の表面に、第1の合わせガラス部材22が配置されている。中間膜11の第1の表面とは反対の第2の表面に、第2の合わせガラス部材23が配置されている。
【0188】
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。上記合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材がそれぞれガラス板又はPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムであり、かつ上記中間膜が、上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材として、少なくとも1枚のガラス板を含むことが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材の双方がガラス板であることが特に好ましい。
【0189】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0190】
上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の各厚みは特に限定されないが、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下である。上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
【0191】
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1,第2の合わせガラス部材の間に、上記中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりする。これにより、第1の合わせガラス部材と中間膜及び第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
【0192】
上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記合わせガラスは、建築用又は車両用の合わせガラスであることが好ましく、車両用の合わせガラスであることがより好ましい。上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。遮熱性が高くかつ可視光線透過率が高いので、上記合わせガラスは、自動車に好適に用いられる。
【0193】
上記中間膜及び上記合わせガラスは、二重像を抑制できるので、自動車のフロントガラスに好適に用いることができる。上記中間膜は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)である合わせガラスに用いられることが好ましい。上記合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)であることが好ましい。
【0194】
上記合わせガラスでは、コントロールユニットから送信される速度などの計測情報等を、インストゥルメンタル・パネルの表示ユニットから、フロントガラスに映し出すことができる。このため、自動車の運転者が視野を下げることなく、前方の視野と計測情報とを同時に視認することができる。
【0195】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0197】
(熱可塑性樹脂)
PVB1(ポリビニルアセタール樹脂:n−ブチルアルデヒドによりアセタール化されているポリビニルブチラール樹脂、平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度68.5モル%)
PVB2(ポリビニルアセタール樹脂:n−ブチルアルデヒドによりアセタール化されているポリビニルブチラール樹脂、平均重合度3000、水酸基の含有率22モル%、アセチル化度13モル%、ブチラール化度65モル%)
【0198】
なお、水酸基の含有率、アセチル化度及びアセタール化度(ブチラール化度)はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396−92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
【0199】
(可塑剤)
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)
【0200】
(遮熱性化合物)
ITO粒子
NIR−43V(バナジウムフタロシアニン化合物、山田化学社製「NIR−43V」)
【0201】
(紫外線遮蔽剤)
Tinuvin326(2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
【0202】
(酸化防止剤)
H−BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、堺化学工業社製「H−BHT」)
【0203】
(実施例1)
第2の領域を除く部分(第1の領域を含む)を形成するための組成物の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB1)100重量部と、可塑剤(3GO)40重量部と、遮熱性化合物(ITO粒子)を得られる中間膜中で0.15重量%と、遮熱性化合物(NIR−43V)を得られる中間膜中で0.0085重量%と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(H−BHT)0.2重量部とをミキシングロールで充分に混合し、第2の領域を除く部分を形成するための組成物を得た。
【0204】
第2の領域を形成するための組成物の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB1)100重量部と、可塑剤(3GO)40重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(H−BHT)0.2重量部とをミキシングロールで充分に混合し、第2の領域を形成するための組成物を得た。
【0205】
中間膜の作製:
図1に示す中間膜を作製した。
【0206】
第2の領域を除く部分を形成するための組成物と、第2の領域を形成するための組成物とを、押出機を用いて押出して、厚み方向の断面形状が楔状である中間膜を作製した。中間膜の最も厚い部分において、第1の領域と第2の領域とを形成した。中間膜の最も厚い部分の厚みTmax、中間膜の最も薄い部分の厚みTmin、厚み差の絶対値X(|Tmax−Tmin|)、並びに、第2の領域の最も厚い部分の厚みYを下記の表1に示した。なお、第2の領域は、一端の厚みが他端の厚みよりも薄く、厚み方向の断面形状は楔状である領域であり、中間膜の一端から他端にかけての方向と、第2の領域R2の一端から他端にかけての方向とが同じであった。また、第2の領域の他端と中間膜の他端の位置は同じであり、第2の領域の一端から他端にかけての距離は、中間膜の一端から他端にかけての距離Zに対して0.25Zであった。
【0207】
合わせガラスの作製:
中間膜の最も厚い部分と、中間膜の中間膜の最も薄い部分とにおいて、上述した採取方法で、50mm(一端と他端とを結ぶ方向)×50mm(一端と他端とを結ぶ方向と直交する方向)の試験片(中間膜)を採取した。
【0208】
次に、JIS R3208に準拠した2枚の熱線吸収板ガラス(50mm×50mm×厚み2.1mm)を用意した。この2枚の熱線吸収板ガラスの間に、得られた中間膜を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、積層体を得た。積層体において、ガラス板からはみ出た中間膜部分を切り落とし、合わせガラスを得た。
【0209】
(実施例2〜11)
中間膜の第1の領域及び第2の領域における配合成分の種類及び含有量を下記の表1,2に示すように設定したこと、並びに、中間膜の最も厚い部分の厚みTmax、中間膜の最も薄い部分の厚みTmin、厚み差の絶対値X(|Tmax−Tmin|)、並びに、第2の領域の最も厚い部分の厚みYを下記の表1,2に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いて、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0210】
(比較例1)
中間膜を形成するための組成物の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB1)100重量部と、可塑剤(3GO)40重量部と、遮熱性化合物(ITO粒子)を得られる中間膜中で0.15重量%と、遮熱性化合物(NIR−43V)を得られる中間膜中で0.0085重量%と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(H−BHT)0.2重量部とをミキシングロールで充分に混合し、中間膜を形成するための組成物を得た。
【0211】
中間膜の作製:
図1に示す中間膜において、第2の領域を形成していない中間膜を作製した。
【0212】
中間膜を形成するための組成物のみを、押出機を用いて押出して、厚み方向の断面形状が楔状である中間膜を作製した。中間膜の最も厚い部分の厚みTmax、中間膜の最も薄い部分の厚みTmin、並びに、厚み差の絶対値X(|Tmax−Tmin|)を下記の表1に示した。中間膜の最も厚い部分において、第2の領域を形成しなかった。
【0213】
得られた中間膜を用いて、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0214】
(比較例2,3)
中間膜の第1の領域及における配合成分の種類及び含有量を下記の表2に示すように設定したこと、並びに、中間膜の最も厚い部分の厚みTmax、中間膜の最も薄い部分の厚みTmin、厚み差の絶対値X(|Tmax−Tmin|)、並びに、第2の領域の最も厚い部分の厚みYを下記の表2に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いて、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0215】
(実施例12)
第2の領域を除く部分(第1の領域を含む)を形成するための組成物(1)の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB1)100重量部と、可塑剤(3GO)40重量部と、遮熱性化合物(ITO粒子)を得られる中間膜中で0.17重量%と、遮熱性化合物(NIR−43V)を得られる中間膜中で0.0098重量%と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(H−BHT)0.2重量部とをミキシングロールで充分に混合し、第2の領域を除く部分を形成するための組成物を得た。
【0216】
第2の領域を除く部分を形成するための組成物(2)の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB2)100重量部と、可塑剤(3GO)60重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(H−BHT)0.2重量部とをミキシングロールで充分に混合し、第2の領域を除く部分を形成するための組成物を得た。
【0217】
第2の領域を形成するための組成物の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB1)100重量部と、可塑剤(3GO)40重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(H−BHT)0.2重量部とをミキシングロールで充分に混合し、第2の領域を形成するための組成物を得た。
【0218】
中間膜の作製:
図8に示す中間膜を作製した。なお、第2,第3の層2G,3Gとして第2の領域を除く部分を形成するための組成物(1)を用い、第1の層1Gとして第2の領域を除く部分を形成するための組成物(2)を用い、第2の層2Gにおける第2の領域R2として第2の領域を形成するための組成物を用いた。1Gの厚みは0.1mmであった。
【0219】
第2の領域を除く部分を形成するための組成物(1)と、第2の領域を除く部分を形成するための組成物(2)と、第2の領域を形成するための組成物とを、押出機を用いて押出して、厚み方向の断面形状が楔状である中間膜を作製した。中間膜の最も厚い部分において、第1の領域(2G,3G)と第2の領域(R2)とその他領域(1G)とを形成した。中間膜の最も厚い部分の厚みTmax、中間膜の最も薄い部分の厚みTmin、厚み差の絶対値X(|Tmax−Tmin|)、並びに、第2の領域の最も厚い部分の厚みYを下記の表1に示した。なお、第2の領域では、一端の厚みが他端の厚みよりも薄く、厚み方向の断面形状は楔状であり、中間膜の一端から他端にかけての方向と、第2の領域R2の一端から他端にかけての方向とが同じであった。また、第2の領域の他端と中間膜の他端の位置は同じであり、第2の領域の一端から他端にかけての距離は、中間膜の一端から他端にかけての距離Zに対して0.25Zであった。
【0220】
合わせガラスの作製:
得られた中間膜を用いて、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0221】
(実施例13〜22)
中間膜の第1の領域及び第2の領域における配合成分の種類及び含有量を下記の表3に示すように設定したこと、並びに、中間膜の最も厚い部分の厚みTmax、中間膜の最も薄い部分の厚みTmin、厚み差の絶対値X(|Tmax−Tmin|)、並びに、第2の領域の最も厚い部分の厚みYを下記の表3に示すように設定したこと以外は実施例12と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いて、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0222】
(比較例4)
中間膜を形成するための組成物(1)の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB1)100重量部と、可塑剤(3GO)40重量部と、遮熱性化合物(ITO粒子)を得られる中間膜中で0.17重量%と、遮熱性化合物(NIR−43V)を得られる中間膜中で0.0098重量%と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(H−BHT)0.2重量部とをミキシングロールで充分に混合し、第2の領域を除く部分を形成するための組成物を得た。
【0223】
中間膜を形成するための組成物(2)の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB2)100重量部と、可塑剤(3GO)60重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(H−BHT)0.2重量部とをミキシングロールで充分に混合し、第3の領域を形成するための組成物を得た。
【0224】
中間膜の作製:
図8に示す中間膜において、第2の領域を形成していない中間膜を作製した。なお、2G,3Gとして第2の領域を除く部分を形成するための組成物(1)を用い、1Gとして第2の領域を除く部分を形成するための組成物(2)を用いた。1Gの厚みは0.1mmであった。
【0225】
中間膜を形成するための組成物(1)と中間膜を形成するための組成物(2)のみを、押出機を用いて押出して、厚み方向の断面形状が楔状である中間膜を作製した。中間膜の最も厚い部分の厚みTmax、中間膜の最も薄い部分の厚みTmin、並びに、厚み差の絶対値X(|Tmax−Tmin|)を下記の表3に示した。中間膜の最も厚い部分において、第2の領域を形成しなかった。
【0226】
合わせガラスの作製:
得られた中間膜を用いて、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0227】
(比較例5,6)
中間膜の第1の領域における配合成分の種類及び含有量を下記の表3に示すように設定したこと、並びに、中間膜の最も厚い部分の厚みTmax、中間膜の最も薄い部分の厚みTmin、厚み差の絶対値X(|Tmax−Tmin|)、並びに、第2の領域の最も厚い部分の厚みYを下記の表3に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いて、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0228】
(評価)
(1)中間膜の厚み
中間膜の最も厚い部分の厚みTmax、中間膜の最も薄い部分の厚みTmin、厚み差の絶対値X(|Tmax−Tmin|)、並びに、第2の領域の最も厚い部分の厚みYを評価した。
【0229】
(2)可視光線透過率(A光Y値、初期A−Y(380〜780nm))の測定
分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3211(1998)に準拠して、得られた合わせガラスの波長380〜780nmにおける上記可視光線透過率を測定した。
【0230】
(3)日射透過率(初期Ts2500(300〜2500nm))の測定
分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、得られた合わせガラスの波長300〜2500nmでの日射透過率Ts(Ts2500)を求めた。
【0231】
中間膜の詳細及び結果を下記の表1〜3に示す。なお、下記の表1〜3では、遮熱性化合物の含有量のみを記載し、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、紫外線遮蔽剤及び酸化防止剤の含有量の記載は省略した。全ての実施例及び比較例において、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、可塑剤40重量部、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部及び酸化防止剤(H−BHT)0.2重量部を用いている。
【0235】
なお、実施例で得られた中間膜を用いた合わせガラスでは、可視光線透過率の差異が小さいため、視認性の均一性に優れていた。視認性の均一性については、目視により確認を行った。