(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるガスセンサ100の縦断面図である。
図2は、ガスセンサ100が備えるセンサ素子101の構成の一例を概略的に示した断面模式図である。センサ素子101は長尺な直方体形状をしており、このセンサ素子101の長手方向(
図2の左右方向)を前後方向とし、センサ素子101の厚み方向(
図2の上下方向)を上下方向とする。また、センサ素子101の幅方向(前後方向及び上下方向に垂直な方向)を左右方向とする。
【0019】
図1に示すように、ガスセンサ100は、センサ素子101と、センサ素子101の前端側を保護する保護カバー130と、センサ素子101と導通するコネクタ150を含むセンサ組立体140とを備えている。このガスセンサ100は、図示するように例えば車両の排ガス管などの配管190に取り付けられて、被測定ガスとしての排気ガスに含まれるNOxやO
2等の特定ガスの濃度を測定するために用いられる。本実施形態では、ガスセンサ100は特定ガス濃度としてNOx濃度を測定するものとした。
【0020】
保護カバー130は、センサ素子101の前端を覆う有底筒状の内側保護カバー131と、この内側保護カバー31を覆う有底筒状の外側保護カバー132とを備えている。内側保護カバー131及び外側保護カバー132には、被測定ガスを保護カバー130内に流通させるための複数の孔が形成されている。内側保護カバー131で囲まれた空間としてセンサ素子室133が形成されており、センサ素子101の前端はこのセンサ素子室133内に配置されている。
【0021】
センサ組立体140は、センサ素子101を封入固定する素子封止体141と、素子封止体141に取り付けられたナット147,外筒148と、センサ素子101の後端の表面(上下面)に形成された図示しないコネクタ電極(後述するヒータコネクタ電極71のみ
図2に図示した)に接触してこれらと電気的に接続されたコネクタ150と、を備えている。
【0022】
素子封止体141は、筒状の主体金具142と、主体金具142と同軸に溶接固定された筒状の内筒143と、主体金具142及び内筒143の内側の貫通孔内に封入されたセラミックスサポーター144a〜144c,圧粉体145a,145b,メタルリング146と、を備えている。センサ素子101は素子封止体141の中心軸上に位置しており、素子封止体141を前後方向に貫通している。内筒143には、圧粉体145bを内筒143の中心軸方向に押圧するための縮径部143aと、メタルリング146を介してセラミックスサポーター144a〜144c,圧粉体145a,145bを前方に押圧するための縮径部143bとが形成されている。縮径部143a,143bからの押圧力により、圧粉体145a,145bが主体金具142及び内筒143とセンサ素子101との間で圧縮されることで、圧粉体145a,145bが保護カバー130内のセンサ素子室133と外筒148内の空間149との間を封止すると共に、センサ素子101を固定している。
【0023】
ナット147は、主体金具142と同軸に固定されており、外周面に雄ネジ部が形成されている。ナット147の雄ネジ部は、配管190に溶接され内周面に雌ネジ部が設けられた固定用部材191内に挿入されている。これにより、ガスセンサ100のうちセンサ素子101の前端や保護カバー130の部分が配管190内に突出した状態で、ガスセンサ100が配管190に固定されている。
【0024】
外筒148は、内筒143,センサ素子101,コネクタ150の周囲を覆っており、コネクタ150に接続された複数のリード線155が後端から外部に引き出されている。このリード線155は、コネクタ150を介してセンサ素子101の各電極(後述)と導通している。外筒148とリード線155との隙間はゴム栓157によって封止されている。外筒148内の空間149は基準ガス(本実施形態では大気)で満たされている。センサ素子101の後端はこの空間149内に配置されている。
【0025】
センサ素子101は、それぞれがジルコニア(ZrO
2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された積層体を有する素子である。また、これら6つの層を形成する固体電解質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。
【0026】
センサ素子101の一端(
図2の左側)であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40と、第4拡散律速部60と、第3内部空所61とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。
【0027】
ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40と、第3内部空所61とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されたセンサ素子101内部の空間である。
【0028】
第1拡散律速部11と、第2拡散律速部13と、第3拡散律速部30とはいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。また、第4拡散律速部60は、第2固体電解質層6の下面との隙間として形成された1本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。なお、ガス導入口10から第3内部空所61に至る部位を被測定ガス流通部とも称する。
【0029】
第3基板層3の上面と第1固体電解質層4の下面との間には、大気導入層48が設けられている。大気導入層48は、例えばアルミナなどのセラミックスからなる多孔質体である。大気導入層48は、後端面が入口部48cとなっており、この入口部48cはセンサ素子101の後端面に露出している。入口部48cは、
図1の空間149内に露出している(
図1参照)。大気導入層48には、この入口部48cから、NOx濃度の測定を行う際の基準ガスが導入される。基準ガスは、本実施形態では大気(
図1の空間149内の雰囲気)とした。また、大気導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。この大気導入層48は、入口部48cから導入された基準ガスに対して所定の拡散抵抗を付与しつつこれを基準電極42に導入する。大気導入層48は、厚さが10μm以上であってもよいし、30μm以下であってもよい。大気導入層48は、気孔率が10体積%以上であってもよいし、50体積%以下であってもよい。
【0030】
基準電極42は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる態様にて形成される電極であり、上述のように、その周囲には、大気導入層48が設けられている。なお、基準電極42は、第3基板層3の上面に直に形成されており、第3基板層3の上面に接する部分以外が大気導入層48に覆われている。ただし、基準電極42は少なくとも一部が大気導入層48に覆われていればよい。また、後述するように、基準電極42を用いて第1内部空所20内,第2内部空所40内,第3内部空所61内の酸素濃度(酸素分圧)を測定することが可能となっている。基準電極42は、多孔質サーメット電極(例えば、PtとZrO
2とのサーメット電極)として形成される。
【0031】
被測定ガス流通部において、ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子101内に被測定ガスが取り込まれるようになっている。第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。被測定ガスが、センサ素子101外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によってガス導入口10からセンサ素子101内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの濃度変動が打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これによって、第1内部空所20へ導入される被測定ガスの濃度変動はほとんど無視できる程度のものとなる。第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
【0032】
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間(
図1のセンサ素子室133)に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。
【0033】
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが直に形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。
【0034】
内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO
2とのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
【0035】
主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。
【0036】
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。
【0037】
主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力V0を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、起電力V0が一定となるように可変電源25のポンプ電圧Vp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所内20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
【0038】
第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
【0039】
第2内部空所40は、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整を行うための空間として設けられている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。
【0040】
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子101の外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。
【0041】
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4の上面には、底部電極部51bが直に形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
【0042】
補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。
【0043】
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。
【0044】
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力V1に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
【0045】
また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その起電力V0が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
【0046】
第4拡散律速部60は、第2内部空所40で補助ポンプセル50の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第3内部空所61に導く部位である。第4拡散律速部60は、第3内部空所61に流入するNOxの量を制限する役割を担う。
【0047】
第3内部空所61は、あらかじめ第2内部空所40において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第4拡散律速部60を通じて導入された被測定ガスに対して、被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、第3内部空所61において、測定用ポンプセル41の動作により行われる。
【0048】
測定用ポンプセル41は、第3内部空所61内において、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、第3内部空所61に面する第1固体電解質層4の上面に直に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。測定電極44は、多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第3内部空所61内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。
【0049】
測定用ポンプセル41においては、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出することができる。
【0050】
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第1固体電解質層4と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力(電圧V2)に基づいて可変電源46が制御される。
【0051】
第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部60を通じて第3内部空所61の測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N
2+O
2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された電圧V2が一定となるように可変電源46の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
【0052】
また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力(電圧Vref)によりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。
【0053】
さらに、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的な基準ガス調整ポンプセル90が構成されている。この基準ガス調整ポンプセル90は、外側ポンプ電極23と基準電極42との間に接続された電源回路92が印加する制御電圧Vp3により制御電流Ip3が流れることで、ポンピングを行う。これにより、基準ガス調整ポンプセル90は、外側ポンプ電極23の周囲の空間(
図1のセンサ素子室133)から基準電極42の周囲の空間(大気導入層48)に酸素の汲み入れを行う。
【0054】
このような構成を有するガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスが測定用ポンプセル41に与えられる。したがって、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。
【0055】
さらに、センサ素子101は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子101を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータコネクタ電極71と、ヒータ72と、スルーホール73と、ヒータ絶縁層74と、圧力放散孔75と、リード線76とを備えている。
【0056】
ヒータコネクタ電極71は、第1基板層1の下面に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータコネクタ電極71を外部電源と接続することによって、外部からヒータ部70へ給電することができるようになっている。
【0057】
ヒータ72は、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。ヒータ72は、リード線76及びスルーホール73を介してヒータコネクタ電極71と接続されており、該ヒータコネクタ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、センサ素子101を形成する固体電解質の加熱と保温を行う。
【0058】
また、ヒータ72は、第1内部空所20から第3内部空所61の全域に渡って埋設されており、センサ素子101全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
【0059】
ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成された多孔質アルミナからなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3基板層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
【0060】
圧力放散孔75は、第3基板層3及び大気導入層48を貫通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
【0061】
なお、
図2に示した可変電源25,46,52,及び電源回路92などは、実際にはセンサ素子101内に形成された図示しないリード線や
図1のコネクタ150及びリード線155を介して、各電極と接続されている。
【0062】
次に、こうしたガスセンサ100の製造方法の一例を以下に説明する。まず、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質をセラミックス成分として含む6枚の未焼成のセラミックスグリーンシートを用意する。このグリーンシートには、印刷時や積層時の位置決めに用いるシート穴や必要なスルーホール等を予め複数形成しておく。また、スペーサ層5となるグリーンシートには被測定ガス流通部となる空間を予め打ち抜き処理などによって設けておく。そして、第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6のそれぞれに対応して、各セラミックスグリーンシートに種々のパターンを形成するパターン印刷処理・乾燥処理を行う。形成するパターンは、具体的には、例えば上述した各電極や各電極に接続されるリード線、大気導入層48,ヒータ部70,などのパターンである。パターン印刷は、それぞれの形成対象に要求される特性に応じて用意したパターン形成用ペーストを、公知のスクリーン印刷技術を利用してグリーンシート上に塗布することにより行う。乾燥処理についても、公知の乾燥手段を用いて行う。パターン印刷・乾燥が終わると、各層に対応するグリーンシート同士を積層・接着するための接着用ペーストの印刷・乾燥処理を行う。そして、接着用ペーストを形成したグリーンシートをシート穴により位置決めしつつ所定の順序に積層して、所定の温度・圧力条件を加えることで圧着させ、一つの積層体とする圧着処理を行う。こうして得られた積層体は、複数個のセンサ素子101を包含したものである。その積層体を切断してセンサ素子101の大きさに切り分ける。そして、切り分けた積層体を所定の焼成温度で焼成し、センサ素子101を得る。
【0063】
このようにしてセンサ素子101を得ると、センサ素子101を組み込んだセンサ組立体140(
図1参照)を製造し、保護カバー130やゴム栓157などを取り付けることで、ガスセンサ100が得られる。
【0064】
ここで、基準ガス調整ポンプセル90の果たす役割について、詳細に説明する。センサ素子101のうちガス導入口10などの被測定ガス流通部には、
図1に示したセンサ素子室133から被測定ガスが導入される。一方、センサ素子101のうち大気導入層48には、
図1に示した空間149内の基準ガス(大気)が導入される。そして、このセンサ素子室133と空間149とは、センサ組立体140(特に、圧粉体145a,145b)によって区画され、互いにガスが流通しないように封止されている。しかし、被測定ガス側の圧力が一時的に増大したときなどには、被測定ガスがわずかに空間149内に侵入してしまう場合がある。これにより、基準電極42周囲の酸素濃度が一時的に低下してしまうと、基準電極42の電位である基準電位が変化してしまう。これにより、例えば測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82の電圧V2など、基準電極42を基準とした電圧が変化してしまい、被測定ガス中のNOx濃度の検出精度が低下してしまう。基準ガス調整ポンプセル90は、このような検出精度の低下を抑制する役割を果たしている。基準ガス調整ポンプセル90は、制御電圧Vp3を基準電極42と外側ポンプ電極23との間に印加して制御電流Ip3を流すことで、外側ポンプ電極23周辺から基準電極42周辺へ、酸素の汲み入れを行っている。これにより、上述したように被測定ガスが基準電極42周囲の酸素濃度を一時的に低下させた場合に、減少した酸素を補うことができ、NOx濃度の検出精度の低下を抑制できる。
【0065】
基準ガス調整ポンプセル90の電源回路92は、制御電圧Vp3として、繰り返しオンオフされる電圧を印加する。これにより、基準電極42と外側ポンプ電極23との間の電圧Vrefは、値(=基準電極42と外側ポンプ電極23との電位差)の大きい第1期間と、値の小さい第2期間とが存在する。
図3は、制御電圧Vp3及び電圧Vrefの時間変化を示す説明図である。
図3の上段は制御電圧Vp3の時間変化を表し、下段は電圧Vrefの時間変化を表す。制御電圧Vp3及び電圧Vrefは、外側ポンプ電極23よりも基準電極42の電位が高い状態を正とし、
図3では縦軸の上方向を正方向とする。
図3に示すように、制御電圧Vp3は、周期Tでオンオフを繰り返すパルス状の波形の電圧である。例えば、時刻t1で制御電圧Vp3がオンになると、制御電圧Vp3は0Vから立ち上がって最大電圧Vp3maxとなり、オン時間Tonが経過する時刻t4までその状態が継続する。時刻t4で制御電圧Vp3がオフになると、オフ時間Toffが経過する時刻t7までは制御電圧Vp3は0Vとなる。この制御電圧Vp3によって、電圧Vrefは、時刻t1から立ち上がり始めて時刻t4で最大電圧Vrefmaxとなり、時刻t4から立ち下がり始めて時刻t7で最小電圧Vrefminとなる。このとき、制御電圧Vp3のオンオフによって生じる電圧Vrefの最大電圧Vrefmaxと最小電圧Vrefminとの差を100%とし、これを基準として電圧Vrefの立ち上がり期間,第1期間,立ち下がり期間,及び第2期間を定める。具体的には、電圧Vrefが10%から90%まで立ち上がる期間(時刻t2〜t3)を立ち上がり期間とし、この長さを立ち上がり時間Trとする。電圧Vrefが90%以上である期間(時刻t3〜t5)を第1期間とし、この長さを第1時間T1とする。電圧Vrefが90%から10%まで立ち下がる期間(時刻t5〜t6)を立ち下がり期間とし、この長さを立ち下がり時間Tfとする。電圧Vrefが10%まで立ち下がってから次の周期の制御電圧Vp3のオンによって電圧Vrefが立ち上がり始めるまでの期間(時刻t6〜t7)を第2期間とし、この長さを第2時間T2とする。第2期間の始期における電圧Vref、すなわち電圧Vrefが10%まで立ち下がったときの電圧を、立ち下がり電圧V10とする。なお、
図3では、電圧Vrefは制御電圧Vp3が立ち下がる時刻t4で初めて最大電圧Vrefmaxとなっているが、オン時間Tonが長い場合には時刻t4よりも前から最大電圧Vrefmaxに達する場合もある。
【0066】
そして、測定用ポンプセル41は、この第2期間中に、電圧V2に基づいて被測定ガス中のNOx濃度を検出する。より具体的には、測定用ポンプセル41は、第2期間中に、電圧V2の値を取得し、その電圧V2が所定の一定値となるように可変電源46の電圧Vp2をフィードバック制御し、電圧Vp2によって流れるポンプ電流Ip2の値を検出する。このように、測定用ポンプセル41が第2期間中にNOx濃度(ここではポンプ電流Ip2)を検出することで、測定電極44への酸素の汲み入れ用の制御電圧Vp3に起因するNOx濃度の検出精度の低下を抑制することができる。例えば、測定用ポンプセル41が第1期間中にNOx濃度を測定する場合を考える。この場合、第1期間では第2期間と比べて制御電圧Vp3がオンであることで、電圧Vrefが本来の値(基準電極42の周囲と外側ポンプ電極23の周囲との酸素濃度差に基づく電圧)である電圧Vref*よりも高い値に変化している。これにより、基準電極42の電位が変化し、電圧V2も変化してしまう。そのため、第1期間中の電圧V2に基づいて測定用ポンプセル41がポンプ電流Ip2を流すと、ポンプ電流Ip2はNOx濃度を表す正しい値から外れやすくなり、NOx濃度の検出精度が低下しやすい。これに対し、第2期間では、第1期間と比べると制御電圧Vp3が基準電極42の電位に与える影響が小さくなっている。具体的には、第1期間の電圧Vrefと比べて、電圧Vrefが立ち下がった後の第2期間の電圧Vrefは電圧Vref*に近い値になっている。そのため、第2期間中に測定用ポンプセル41がNOx濃度の測定を行うことで、NOx濃度の検出精度の低下を抑制できる。
【0067】
図3からわかるように、電圧Vrefは制御電圧Vp3がオフになったタイミングから時間をかけて低下していく。これは、例えば基準電極42などの容量成分の影響と考えられる。そのため、第2期間であっても、制御電圧Vp3に起因する残留電圧Vrsが基準電極42と被測定ガス側電極23との間に存在する場合がある。この場合、例えば第2期間中の電圧Vrefは、電圧Vref*と残留電圧Vrsとの和となる。この残留電圧Vrsは基準電極42の電位に影響を与えるから、残留電圧Vrsが小さいほどNOx濃度の検出精度は向上する傾向にある。そのため、この残留電圧Vrsは小さいほど好ましい。例えば立ち下がり時電圧V10が小さいほど好ましい。最小電圧Vrefminが小さいほど好ましい。また、第2期間中も残留電圧Vrsは時間の経過と共に低下していくから、第2期間の終期(
図3では時刻t7)に近いほど、NOx濃度の検出精度の低下を抑制できる傾向にある。そのため、測定用ポンプセル41によるNOx濃度の検出は、第2期間中のなるべく遅いタイミングで行うことが好ましい。また、測定用ポンプセル41がNOx濃度を検出するために必要な期間(例えば上述した電圧V2の検出からポンプ電流Ip2の値を検出するまでの期間)が、第2期間中に含まれていることが好ましい。測定用ポンプセル41は、制御電圧Vp3のオンオフと同じ周期TでNOx濃度の検出を行うことが好ましい。こうすれば、周期T毎に第2期間中の同じタイミングで繰り返しNOx濃度を検出できる。
【0068】
また、ガスセンサ100は、下記式(1)を満たしている。すなわち、本実施形態では、第2時間T2を比較的長くしている。
【0069】
Tf≦T2 (1)
(ただし、
Tfは、第1期間と第2期間との間の電位差の立ち下がり時間[msec]、
T2は、第2期間の長さである第2時間[msec])
【0070】
ここで、第2時間T2が長いほど、第2期間中に残留電圧Vrsはより低下していき、最小電圧Vrefminもより小さくなる。換言すると最小電圧Vrefminと電圧Vref*との差が小さくなる。そして、式(1)を満たしていれば、すなわち比T2/Tfが値1以上であれば、残留電圧Vrsが第2期間中に十分小さくなるから、第2期間中にNOx濃度を精度良く検出しやすくなる。例えば、式(1)を満たしていない場合には、測定用ポンプセル41によるNOx濃度の検出を第2期間中のなるべく遅いタイミングで行ったとしても、NOx濃度の検出精度が低下する場合があるが、式(1)を満たしていればそのようなことを抑制できる。また、第2時間T2が長いほど(比T2/Tfの値が大きいほど)、最小電圧Vrefminがより小さくなるから、第2期間中のなるべく遅いタイミングでNOx濃度の検出を行う場合のNOx濃度の検出精度が向上する。あるいは、第2時間T2が長いほど、第2期間中のNOx濃度を精度良く検出できる時期が長くなる。比T2/Tfは値2以上としてもよいし、値3以上としてもよい。比T2/Tfは値6以下としてもよい。比T2/Tfの値が大きいほど、第2期間中にNOx濃度をより精度良く検出しやすくなる傾向にある。
【0071】
制御電圧Vp3によって基準電極42に流れるピーク電流Ip3maxは、10μA以上であることが好ましい。制御電圧Vp3によって基準電極42に流れる制御電流Ip3は、基本的に
図3に示した電圧Vrefの波形と同位相の波形となる。ピーク電流Ip3は、電圧Vrefが最大電圧Vrefmaxとなったときに流れる制御電流Ip3の値である。ここで、繰り返しオンオフされる制御電圧Vp3によって基準電極42に流れる電流Ip3の平均値(周期Tの間の平均電流)は、ピーク電流Ip3maxが大きいほど大きくなる傾向にある。そして、基準電極42に流れる電流Ip3の平均値が大きいほど、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補う効果が高くなる。ピーク電流Ip3maxが10μA以上であれば、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補う効果が十分なものになりやすい。ピーク電流Ip3maxは、5μA以上としてもよいし、10μA以上としてもよい。ピーク電流Ip3maxは、300μA以下としてもよいし、150μA以下としてもよい。制御電流Ip3の平均値をどの程度にするかは、被測定ガスの圧力が想定される最大値の時に基準電極42周囲の酸素濃度がどの程度低下するか(どの程度の酸素を基準電極42周囲に汲み入れる必要があるか)に基づいて、予め実験などにより定めておくことができる。そのため、こうして定めた制御電流Ip3の平均値も加味して、ピーク電流Ip3maxを定めてもよい。
【0072】
また、基準電極42に流れる電流Ip3の平均値(周期Tの間の平均電流)が大きいほど、基準電極42を構成する粒子が細粒化するなどの劣化が生じやすく、長期的な使用により基準電極42の抵抗値が上昇しやすい。そして、基準電極42の抵抗値が上昇すると、基準電極42の電位である基準電位が変化し、基準電極42を基準とした電圧V2が変化して、被測定ガス中のNOx濃度の検出精度が低下してしまう。これは、上述した基準電極42周囲の酸素濃度の低下などによる基準電位の一時的な変化とは別であり、基準電極42の劣化による恒常的な感度の低下である。そのため、電流Ip3の平均値を小さくすることで、長期的な使用による基準電極42の劣化をより抑制して、NOx濃度の検出精度が低下を抑制することができる。ピーク電流Ip3maxが大きいほど電流Ip3の平均値は大きくなり、第2時間T2が長いほど電流Ip3の平均値は小さくなるから、電流Ip3の平均値が大きくなりすぎないようにピーク電流Ip3max及び第2時間T2の値を定めることが好ましい。
【0073】
第2時間T2は、10msec以下であることが好ましい。ここで、上述した電流Ip3の平均値は、第2時間T2が長いほど小さくなる。そして、基準電極42に流れる電流Ip3の平均値が小さいと、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補う効果が不十分になりやすい。第2時間T2が10msec以下であれば、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補う効果が不足するのを抑制しやすい。
【0074】
立ち下がり時間Tfは、3msec以下であることが好ましい。ここで、立ち下がり時間Tfが短いほど、残留電圧Vrsは第2期間中により早く低下する傾向にある。そして、立ち下がり時間Tfが3msec以下であれば、NOx濃度の検出精度を維持しつつ第2時間T2を比較的短い値にしたり、第2期間中に残留電圧Vrsをより十分低下させたりしやすい。
【0075】
残留電圧Vrsが小さいことの指標として、ガスセンサ100は、下記式(2)で導出される立ち下がり時残留電圧DVref10が55mV以下であることが好ましい。
【0076】
DVref10=(Vref2−Vref1)×0.1+Vref1−Vref0 (2)
(ただし、
Vref0は、大気中に前記積層体を配置し且つ前記制御電圧を印加しない状態における前記基準電極と前記被測定ガス側電極との間の電圧[mV]、
Vref1は、大気中に前記積層体を配置し且つ前記制御電圧のオンオフを繰り返した状態における前記基準電極と前記被測定ガス側電極との間の電圧の最小値[mV]、
Vref2は、大気中に前記積層体を配置し且つ前記制御電圧のオンオフを繰り返した状態における前記基準電極と前記被測定ガス側電極との間の電圧の最大値[mV])
【0077】
図4は、立ち下がり時残留電圧DVref10の説明図である。上記の定義及び
図4からわかるように、電圧Vref2は、
図3における電圧Vrefの最大電圧Vrefmaxを大気中で測定した値に相当する。電圧Vref1は、
図3における第2期間中の最小電圧Vrefminを大気中で測定した値に相当する。式(2)のうち「(Vref2−Vref1)×0.1+Vref1」は、
図4に示す立ち下がり時電圧V10aである。この立ち下がり時電圧V10aは、
図3における立ち下がり時電圧V10を大気中で測定した値に相当する。電圧Vref0は、
図3における電圧Vref*を大気中で測定した値に相当する。そして、立ち下がり時残留電圧DVref10は、
図3における立ち下がり時すなわち第2期間の始期における残留電圧Vrs(=立ち下がり時電圧V10−電圧Vref*)を、大気中で測定した値に相当する。大気中にセンサ素子101を配置した場合には外側ポンプ電極23の周囲と基準電極42の周囲との間に酸素濃度差がないため、電圧Vref0は理論的には値0である。しかし、実際には電極間の温度差による熱起電力などの影響により電圧Vref0は値0にはならない。ただし立ち下がり時電圧V10にも同じ値の熱起電力が含まれるため、立ち下がり時残留電圧DVref10には熱起電力の値は影響しない。上述した
図3の電圧Vref*にも、正確にはこの熱起電力が含まれる。ガスセンサ100の立ち下がり時残留電圧DVref10が55mV以下であれば、被測定ガス中での立ち下がり時の残留電圧Vrsの値(立ち下がり時電圧V10−電圧Vref*)も十分小さくなる。そして、立ち下がり時の残留電圧Vrsが小さいほど、第2期間中の残留電圧Vrsも小さい値になるから、第2期間中に特定ガス濃度を精度良く検出しやすくなる。また、立ち下がり時残留電圧DVref10が小さいほど、NOx濃度の検出のタイミングを第2期間中の比較的早いタイミングにしてもNOx濃度の検出精度の低下を抑制できるようになる。
【0078】
電圧Vref0,Vref1,Vref2の測定は、以下のように行う。まず、大気中にセンサ素子101を配置し、ヒータ72に通電してセンサ素子101を所定の駆動温度(例えば800℃)まで加熱する。可変電源25,46,52,及び電源回路92はいずれも電圧を印加しない状態とする。続いて、センサ素子101の温度が安定した後に電圧Vrefを測定して、その値を電圧Vref0とする。次に、電源回路92による制御電圧Vp3のオンオフを開始して外側ポンプ電極23から基準電極42への酸素の汲み入れを開始する。そして、汲み入れ開始から1分後における電圧Vrefの波形を測定して、電圧Vrefの最大値を電圧Vref2とし、最小値を電圧Vref1とする。
【0079】
最大電圧Vp3maxの値は、ピーク電流Ip3maxが所望の値になるように、予め実験などにより定めておくことができる。基準ガス調整ポンプセル90は、ガスセンサ100の使用中の所定のタイミングに、ピーク電流Ip3maxを検出して、検出した値に基づいて最大電圧Vp3maxの値を制御してもよい。所定のタイミングは、ガスセンサ100の使用開始直後としてもよいし、使用中の所定時間経過毎としてもよい。制御電圧Vp3の周期Tは、例えば5msec以上50msec以下としてもよい。周期Tとオン時間Tonとの比であるデューティ比(Ton/T)は、0.1以上0.8以下としてもよい。オフ時間Toffは、2msec以上10msec以下としてもよい。基準ガス調整ポンプセル90は、ガスセンサ100の使用中に周期T,デューティ比,及びオフ時間Toffの少なくともいずれかを変更してもよい。
【0080】
例えば最大電圧Vrefmaxを小さくすることで、立ち下がり時電圧V10を含めて第2期間中の残留電圧Vrsを全体的に小さくすることができる。最大電圧Vrefmaxを小さくする方法としては、最大電圧Vp3maxを小さくすることや、オン時間Tonを短くすることが挙げられる。オフ時間Toffを長くすることで、第2時間T2を長くできる。立ち下がり時間Tfを短くすること及び立ち下がり時電圧V10を小さくすることの少なくとも一方を行うことで、第2期間中の残留電圧Vrsを全体的に小さくすることができる。立ち下がり時間Tfを短くする方法としては、例えば基準ガス調整ポンプセル90の回路の時定数τ(=R×C)を小さくすることが挙げられる。時定数τを小さくする方法としては、例えば基準電極42の面積Sを大きくすることが挙げられる。立ち下がり時電圧V10を小さくする方法としては、最大電圧Vp3maxを小さくすることや、基準ガス調整ポンプセル90の回路の抵抗成分を小さくすることが挙げられる。基準ガス調整ポンプセル90の回路の抵抗成分を小さくする方法としては、例えば基準電極42の面積Sを大きくすることが挙げられる。立ち下がり時残留電圧DVref10は、立ち下がり時電圧V10を小さくする方法と同様の方法で小さくすることができる。
【0081】
基準電極42の面積Sは、基準電極42のうち大気導入層48に面する部分の面積であり、本実施形態では基準電極42の上面及び側面の面積である。ただし、基準電極42の前後方向長さや左右方向幅に対して、基準電極42の上下方向厚さは非常に小さいため、基準電極42の側面(前後左右の面)の面積は無視できる。そのため、本実施形態では面積Sの値は基準電極42の上面の面積(前後方向長さ×左右方向幅)とする。上述したように面積Sが大きいほど基準ガス調整ポンプセル90の回路の時定数τ及び抵抗成分を小さくでき、この観点から面積Sは0.4mm
2以上が好ましい。面積Sは1.5mm
2以上がより好ましい。面積Sが大きいほど、基準ガス調整ポンプセル90の回路の時定数が小さくなって立ち下がり時間Tfが短くなり、第2期間中の残留電圧Vrsが早く低下する。面積Sが大きいほど、基準電極42の抵抗成分が小さくなって基準電極42を流れる電流Ip3による電圧降下が小さくなることから、第2期間中の残留電圧Vrsが小さい値になる。これらにより、面積Sが大きいほど、第2期間中の残留電圧Vrsをより早く低下させ且つより小さい値にすることができ、第2期間中にNOx濃度を精度良く検出しやすくなる。面積Sの上限は、例えばセンサ素子101の大きさに応じて適宜定めることができる。面積Sは5mm
2以下としてもよい。特にこれに限定するものではないが、基準電極42の前後方向長さは例えば0.2〜2mmであり、左右方向幅は例えば0.2〜2.5mmであり、厚さは例えば5〜30μmである。
【0082】
測定用ポンプセル41と同様に、主ポンプセル21及び補助ポンプセル50についても、各々の動作を周期T毎に、且つ第2期間中に行うことが好ましい。例えば、主ポンプセル21は、起電力V0の取得と、取得した起電力V0に基づくポンプ電圧Vp0のフィードバック制御と、を周期T毎に、且つ第2期間中に行うことが好ましい。補助ポンプセル50は、起電力V1の取得と、取得した起電力V1に基づくポンプ電圧Vp1のフィードバック制御と、を周期T毎に、且つ第2期間中に行うことが好ましい。こうすれば、これらのセルの動作についても、制御電圧Vp3に起因する基準電極42の電位の変化の影響を受けにくくなる。
【0083】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の第1基板層1,第2基板層2,第3基板層3,第1固体電解質層4,スペーサ層5及び第2固体電解質層6が本発明の積層体に相当し、基準電極42が基準電極に相当し、外側ポンプ電極23が被測定ガス側電極に相当し、大気導入層48が基準ガス導入層に相当し、基準ガス調整ポンプセル90が基準ガス調整手段に相当し、測定用ポンプセル41が検出手段に相当する。外側ポンプ電極23が外側電極に相当する。
【0084】
以上詳述した本実施形態のガスセンサ100によれば、基準ガス調整ポンプセル90が制御電圧Vp3を印加して基準電極42の周囲に酸素の汲み入れを行うから、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補うことができる。また、基準ガス調整ポンプセル90はオンオフを繰り返す制御電圧Vp3を印加し、測定用ポンプセル41が第2期間中の電圧V2に基づいてNOx濃度を検出するから、制御電圧Vp3に起因するNOx濃度の検出精度の低下を抑制できる。さらに、式(1)を満たす(すなわち比T2/Tfが値1以上)ことで第2時間T2を比較的長くしており、第2期間中に残留電圧Vrsを十分低下させることができるため、第2期間中に特定ガス濃度を精度良く検出しやすくなる。これらにより、ガスセンサ100は、基準電極42の周囲への酸素の汲み入れを行いつつ汲み入れ用の制御電圧Vp3に起因するNOx濃度の検出精度の低下を抑制できる。
【0085】
また、ガスセンサ100は、ピーク電流Ip3maxが10μA以上であることで、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補う効果が十分なものになりやすい。第2時間T2が10msec以下であることで、基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補う効果が不足するのを抑制しやすい。立ち下がり時間Tfが3msec以下であることで、NOx濃度の検出精度を維持しつつ第2時間T2を比較的短い値にしたり、第2期間中に残留電圧Vrsをより十分低下させたりしやすい。ガスセンサ100は、立ち下がり時残留電圧DVref10が55mV以下であることで、第2期間中にNOx濃度を精度良く検出しやすくなる。
【0086】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施しうることは言うまでもない。
【0087】
上述した実施形態では、大気導入層48は基準電極42からセンサ素子101の長手方向の後端面までに亘って配設されていたが、これに限られない。
図5は、この場合の変形例のセンサ素子201の断面模式図である。
図5に示すように、センサ素子201は、大気導入層248の上方に基準ガス導入空間43を有している。基準ガス導入空間43は、第3基板層3の上面とスペーサ層5の下面との間であって側部を第1固体電解質層4の側面で区画される位置に配設された空間である。基準ガス導入空間43の後端は、センサ素子201の後端面に開口している。基準ガス導入空間43は、前後方向で圧力放散孔75よりも前方まで配設されており、圧力放散孔75は基準ガス導入空間43に開口している。大気導入層248は、大気導入層48とは異なり、センサ素子201の後端までは配設されていない。そのため、大気導入層248はセンサ素子201の後端面には露出していない。代わりに、大気導入層248の上面の一部が基準ガス導入空間43に露出している。この露出部分が大気導入層248の入口部48cとなっている。大気導入層248には、この基準ガス導入空間43を介して入口部48cから基準ガスが導入される。なお、センサ素子201において、大気導入層248の後端がセンサ素子201の後端まで配設されていてもよい。
【0088】
上述した実施形態では、ガスセンサ100のセンサ素子101は第1内部空所20,第2内部空所40,第3内部空所61を備えるものとしたが、これに限られない。例えば、上述した
図5のセンサ素子201のように、第3内部空所61を備えないものとしてもよい。
図5に示した変形例のセンサ素子201では、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。また、測定電極44は、第2内部空所40内の第1固体電解質層4の上面に配設されている。測定電極44は、第4拡散律速部45によって被覆されてなる。第4拡散律速部45は、アルミナ(Al
2O
3)などのセラミックス多孔体にて構成される膜である。第4拡散律速部45は、上述した実施形態の第4拡散律速部60と同様に、測定電極44に流入するNOxの量を制限する役割を担う。また、第4拡散律速部45は、測定電極44の保護膜としても機能する。補助ポンプ電極51の天井電極部51aは、測定電極44の直上まで形成されている。このような構成のセンサ素子201であっても、上述した実施形態と同様に、測定用ポンプセル41によりNOx濃度を検出できる。
【0089】
なお、
図5のセンサ素子201において、基準ガス導入空間43及び大気導入層248の態様はそのままとして、上述した実施形態と同様に第4拡散律速部60及び第3内部空所61を備える態様を採用としてもよい。また、上述した実施形態のセンサ素子101において、第4拡散律速部60及び第3内部空所61を備える点はそのままとして、
図5で示した基準ガス導入空間43及び大気導入層248と同様の態様を採用してもよい。
【0090】
上述した実施形態では、測定用ポンプセル41の外側電極としての外側ポンプ電極23が、基準ガス調整ポンプセル90の被測定ガス側電極を兼ねているものとしたが、これに限られない。測定用ポンプセル41の外側電極と基準ガス調整ポンプセル90の被測定ガス側電極とを、別々にセンサ素子101の外表面に形成してもよい。また、基準ガス調整ポンプセル90の被測定ガス側電極は、センサ素子101のうち被測定ガスに晒される部分に配設されていれば、配設位置は外表面に限られない。例えば被測定ガス側電極は被測定ガス流通部内に配設されていてもよい。
【0091】
上述した実施形態では、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された電圧V2が一定となるように可変電源46の電圧Vp2が制御され、このときのポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されるものとしたが、基準電極42と測定電極44との間の電圧に基づいて被測定ガス中の特定濃度を検出するものであれば、これに限られない。例えば、測定電極44と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42とを組み合わせて、電気化学的センサセルとして酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極44の周りの雰囲気中のNOx成分の還元によって発生した酸素の量と基準電極42の周囲の酸素の量との差に応じた電圧を検出することができ、これによって被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることができる。この場合、この電気化学的センサセルが本発明の検出手段に相当する。
【0092】
上述した実施形態では、基準電極42は第3基板層3の上面に直に形成されているものとしたが、これに限られない。例えば、基準電極42は第1固体電解質層4の下面に直に形成されていてもよい。
【0093】
上述した実施形態では、基準ガスでは大気としたが、被測定ガス中の特定ガスの濃度の検出の基準となるガスであれば、これに限られない。例えば、予め所定の酸素濃度(>被測定ガスの酸素濃度)に調整したガスが基準ガスとして空間149に満たされていてもよい。
【0094】
上述した実施形態では、センサ素子101は被測定ガス中のNOx濃度を検出するものとしたが、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するものであれば、これに限られない。例えば、被測定ガス中の酸素濃度を検出するものとしてもよい。
【実施例】
【0095】
以下には、ガスセンサを具体的に作製した例を実施例として説明する。実験例1〜9,11,12,14,16〜22が本発明の実施例に相当し、実験例10,13,15が比較例に相当する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0096】
[実験例1]
上述した製造方法により
図1,2に示したガスセンサ100を作製し、実験例1とした。なお、センサ素子101を作製するにあたり、セラミックスグリーンシートは、安定化剤のイットリアを4mol%添加したジルコニア粒子と有機バインダーと有機溶剤とを混合し、テープ成形により成形した。
図1の圧粉体145a,145bとしてはタルク粉末を成形したものとした。大気導入層48はアルミナのセラミックスとした。大気導入層48の気孔率は40体積%であった。基準電極42の面積Sは0.6mm
2とした。基準ガス調整ポンプセル90の電源回路92が印加する制御電圧Vp3は、周期Tが10msec、オン時間Tonが2.0msec、オフ時間Toffが8.0msecのパルス電圧とした。電源回路92が印加する制御電圧Vp3の最大値(最大電圧Vp3max)は、制御電圧Vp3によって基準電極42に流れるピーク電流Ip3maxが22μAとなるような値に設定した。この制御電圧Vp3に基づくセンサセル83の電圧Vrefの立ち下がり時間Tfは1.5msecであり、第2時間T2は6.5msecであった。
【0097】
[実験例2〜22]
センサ素子101は基準電極42の面積S以外は実験例1と同じとし、面積S,周期T,オン時間Ton,オフ時間Toff,及びピーク電流Ip3maxを表1に示すように種々変更したガスセンサを作製して実験例2〜22とした。ピーク電流Ip3maxは、最大電圧Vp3maxを変更することにより調整した。これらにより、実験例2〜22では、立ち下がり時間Tf,第2時間T2及び比T2/Tfも実験例1から種々変更された。
【0098】
[検出精度の評価]
実験例1のガスセンサを自動車の排ガス管の配管に取り付けた。そして、ヒータ72に通電して温度を800℃とし、センサ素子101を加熱した。次に、自動車のガソリンエンジン(1.8L)を所定の運転条件(エンジンの回転数が4500rpm、空燃費A/Fが値11.0、負荷トルクが130N・m、排ガスのゲージ圧力が60kPa、排ガスの温度が800℃)で運転した。この状態で、基準ガス調整ポンプセル90を含む全てのポンプセルを動作させて、NOx濃度の測定及び基準ガス調整ポンプセル90による基準電極42への酸素の汲み入れを開始した。測定用ポンプセル41によるNOx濃度の検出は、周期T毎に第2期間中のなるべく遅いタイミングで行うようにした。測定用ポンプセル41及び基準ガス調整ポンプセル90以外の各ポンプセルについても、周期Tと同じ周期で動作し、且つ第2期間中のなるべく遅いタイミングが動作期間となるようにした。そして、全てのポンプセルの動作開始から各ポンプセルの初期安定化に必要な80秒が経過した直後のポンプ電流Ip2を測定した。実験例2〜22についても同様にしてポンプ電流Ip2を測定した。実験例1〜22の各々について、測定されたポンプ電流Ip2の値が、正しい値(排ガス中のNOx濃度500ppmに相当する値)に非常に近い第1許容範囲内(正しい値を100%として、50%〜200%の範囲内)であった場合には、NOx濃度の検出精度を「A」と判定した。測定されたポンプ電流Ip2の値が、第1許容範囲外であった場合には、NOx濃度の検出精度を「B」と判定した。
【0099】
表1に、実験例1〜22の各々の面積S,ピーク電流Ip3max,周期T,オン時間Ton,オフ時間Toff,立ち下がり時間Tf,第2時間T2,比Tf/T2,及び検出精度の評価結果を示す。表1には、実験例1〜22の各々の後述する酸素の汲み入れ量の評価結果についても示した。
【0100】
【表1】
【0101】
表1からわかるように、上述した式(1)を満たしている、すなわち比T2/Tfが値1以上である実験例1〜9,11,12,14,16〜22は、いずれも検出精度の評価がAであった。一方、比T2/Tfが値1未満である実験例10,13,15は、検出精度の評価がBであった。これらの結果から、比T2/Tfは値1以上が好ましいと言える。
【0102】
[酸素の汲み入れ量の評価]
上述した検出精度の評価試験と同様に、実験例1のガスセンサを配管に取りつけ、ヒータ72に通電した。次に、自動車のガソリンエンジンを上述した検出精度の評価試験と同じ条件で運転し、且つ基準ガス調整ポンプセル90のみを動作させた。この状態を20分間維持して、その間の電圧Vrefを測定し、最小電圧Vrefminが所定の閾値未満になったか否かを調べた。閾値は、最小電圧Vrefminの測定開始時の値の70%とした。そして、最小電圧Vrefminが20分間経過しても閾値未満にならなかった場合には、酸素の汲み入れ量を「A」と判定した。最小電圧Vrefminが20分経過前に閾値未満になった場合には、酸素の汲み入れ量を「B」と判定した。実験例2〜22についても同様にして最小電圧Vrefminを測定して評価を行った。ここで、基準ガス調整ポンプセル90が動作すると、制御電流Ip3が流れて酸素を汲み入れることで、排ガスが空間149内に侵入したことによる基準電極42の周囲の酸素濃度の低下を補っている。一方、基準電極42の酸素濃度が低下するほど、外側ポンプ電極23と基準電極42との酸素濃度差が小さくなって電圧Vref*が小さくなるため、最小電圧Vrefminも小さくなる。そのため、時間経過に伴う最小電圧Vrefminの低下の速度が速い場合は、基準ガス調整ポンプセル90による酸素の汲み入れ量が不足しており酸素濃度の低下を補う効果が不十分であることを意味する。実験例1〜22の各々の酸素の汲み入れ量の評価結果を、上記の表1に示した。
【0103】
表1からわかるように、ピーク電流Ip3maxが10μA以上である実験例1〜13,15〜17,19〜22は、いずれも酸素の汲み入れ量の評価がAであった。一方、ピーク電流Ip3maxが10μA未満である実験例14,18は、酸素の汲み入れ量の評価がBであった。これらの結果から、ピーク電流Ip3maxは10μA以上が好ましいと言える。