(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両本体に取り付けられたシャフトに回動可能に設置され、収納状態で下方を向くと共に遮光状態で前方を向く第1主面と、前記収納状態で上方を向くと共に前記遮光状態で後方を向く第2主面と、を有するサンバイザ本体と、
前記サンバイザ本体の前記第2主面側に固定されたミラーと、
前記サンバイザ本体に内蔵された発光ユニットと、
前記サンバイザ本体に摺動可能な状態で内蔵され、その端部側が前記シャフトに対して固定されたシャッタ部材と、を具備し、
前記シャッタ部材は、前記シャフトに固定される固定部と、前記サンバイザ本体の前記第1主面と前記発光ユニットとの間に配置される遮光部と、前記固定部と前記遮光部とをつなぐ可撓性を有する連続部と、を有し、
前記収納状態では、前記サンバイザ本体の前記第1主面と前記発光ユニットとの間に、前記シャッタ部材の前記遮光部は存在せず、
前記遮光状態では、前記サンバイザ本体の前記第1主面と前記発光ユニットとの間に、前記シャッタ部材の前記遮光部が存在することを特徴とする車両用サンバイザ。
前記発光ユニットと室内灯スイッチとの間に、前記サンバイザ本体が前記収納状態の際に導通状態となり、前記サンバイザ本体が前記遮光状態の際に遮断状態となるスイッチを介在させることを特徴とする請求項1に記載の車両用サンバイザ。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両に於いては、車両前列に着座する乗員の視界に直射日光が入射することを防止するために、ルーフトリムの前端部付近にサンバイザが配設されている。サンバイザは、車両幅方向に長手方向を有する略矩形形状を呈し、その上端部がルーフトリムに対して回転自在に設置されている。乗員がサンバイザを下方に回転させることで、乗員の視界上方部分がサンバイザにより遮られ、防眩効果を発揮することが出来る。また、防眩効果が不要な場合は、乗員がサンバイザを上方に向かって回転させることで、サンバイザがルーフトリムの前端部付近に収納され、乗員の視界を良好に確保することが出来る。
【0003】
また、サンバイザ裏面側にミラーおよびバニティランプが設置された車両も登場している。乗員がミラーを使用する際には、サンバイザを下方に回転させ、ミラーを覆っているミラーカバーを上方に向かって回転させ、バニティランプを点灯させる。このようにすることで、乗員は、バニティランプでその顔面を照らし出してミラーに写しだし、例えば化粧直しを行うことが出来る。
【0004】
特許文献1には、サンバイザに組み込まれたバニティランプをルームランプとして兼用する発明が記載されている。ここでは、サンバイザの一方の側面に化粧用ミラーとミラー照明用ランプを設置し、サンバイザの他方の面にルームランプを設置している。このようにすることで、サンバイザの収納状態に於いてルームランプを使用することができ、サンバイザの遮光状態に於いて化粧用ミラーとミラー照明用ランプを用いることが出来る。
【0005】
特許文献2には、バニティランプとマップランプとを兼用するランプを備えた車両用サンバイザが記載されている。具体的には、サンバイザ本体に貫通孔を形成し、ミラーカバーにランプユニットを配置し、ランプユニットの位置を貫通孔に対応させている。このようにすることで、ランプユニットがバニティランプおよびマップランプとして使用される際に、それぞれに於いて適正な照明位置を実現することが出来る。
【0006】
特許文献3および特許文献4にも、バニティランプとマップランプとを、ルーフトリムに配置された一つの照明部で兼用するサンバイザ周りの発明が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、ミラー照明用ランプとルームミラーが別体であったため、サンバイザにルームランプの機能を持たせるに際して製造コストが上昇してしまう恐れがあった。また、サンバイザのルームランプを点灯および消灯するためには、ルームランプを覆っている開閉リッド体を開閉する必要があり、その開閉作業が乗員にとって煩雑である課題があった。
【0009】
また、特許文献2では、ミラーカバーにランプユニットが配されているため、ミラーに映し出されている乗員の顔に対して、ランプユニットからの光を好適に照射させることが出来ない課題があった。特許文献3および特許文献4も、同様な課題を有していた。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一つの発光ユニットがルームランプおよびバニティランプの役割を有すると共に、バニティランプとして用いられる発光ユニットからの光が車両前方に向かって照射されることを防止する車両用サンバイザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車両用サンバイザは、車両本体に取り付けられたシャフトに回動可能に設置され、収納状態で下方を向くと共に遮光状態で前方を向く第1主面と、前記収納状態で上方を向くと共に前記遮光状態で後方を向く第2主面と、を有するサンバイザ本体と、前記サンバイザ本体の前記第2主面側に固定されたミラーと、前記サンバイザ本体に内蔵された発光ユニットと、前記サンバイザ本体に摺動可能な状態で内蔵され、その端部側が前記シャフトに対して固定されたシャッタ部材と、を具備し、前記シャッタ部材は、前記シャフトに固定される固定部と、前記サンバイザ本体の前記第1主面と前記発光ユニットとの間に配置される遮光部と、前記固定部と前記遮光部とをつなぐ可撓性を有する連続部と、を有し、前記収納状態では、前記サンバイザ本体の前記第1主面と前記発光ユニットとの間に、前記シャッタ部材の前記遮光部は存在せず、前記遮光状態では、前記サンバイザ本体の前記第1主面と前記発光ユニットとの間に、前記シャッタ部材の前記遮光部が存在することを特徴とする。
【0012】
更に本発明の車両用サンバイザでは、前記発光ユニットと室内灯スイッチとの間に、前記サンバイザ本体が前記収納状態の際に導通状態となり、前記サンバイザ本体が前記遮光状態の際に遮断状態となるスイッチを介在させることを特徴とする。
【0013】
更に本発明の車両用サンバイザでは、前記ミラーを覆い、前記サンバイザ本体に対して開閉可能に取り付けられたミラーカバーと、を更に具備し、前記ミラーカバーを開状態とすることで、前記発光ユニットは発光することを特徴とする。
【0014】
更に本発明の車両用サンバイザでは、前記収納状態では、前記シャッタ部材の前記連続部の少なくとも一部は、前記シャフトに巻回され、前記遮光状態では、前記シャッタ部材の前記連続部の少なくとも一部は、前記シャフトから前記発光ユニット側に向かって移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用サンバイザは、車両本体に取り付けられたシャフトに回動可能に設置され、収納状態で下方を向くと共に遮光状態で前方を向く第1主面と、前記収納状態で上方を向くと共に前記遮光状態で後方を向く第2主面と、を有するサンバイザ本体と、前記サンバイザ本体の前記第2主面側に固定されたミラーと、前記サンバイザ本体に内蔵された発光ユニットと、前記サンバイザ本体に摺動可能な状態で内蔵され、その端部側が前記シャフトに対して固定されたシャッタ部材と、を具備し、前記シャッタ部材は、前記シャフトに固定される固定部と、前記サンバイザ本体の前記第1主面と前記発光ユニットとの間に配置される遮光部と、前記固定部と前記遮光部とをつなぐ可撓性を有する連続部と、を有し、前記収納状態では、前記サンバイザ本体の前記第1主面と前記発光ユニットとの間に、前記シャッタ部材の前記遮光部は存在せず、前記遮光状態では、前記サンバイザ本体の前記第1主面と前記発光ユニットとの間に、前記シャッタ部材の前記遮光部が存在することを特徴とする。従って、サンバイザの収納状態に於いては、サンバイザ本体の第1主面と発光ユニットとの間にシャッタ部材の遮光部は存在しないことで、発光ユニットを車室内灯として用いることが出来る。また、遮光状態では、サンバイザ本体に内蔵された発光ユニットが後方に向かって発光することで、発光ユニットをバニティランプとして用いることが出来る。また、遮光状態では、サンバイザ本体の第1主面と発光ユニットとの間にシャッタ部材の遮光部が存在することで、発光ユニットが車両前方に向かって発光することを防止することができる。
【0016】
更に本発明の車両用サンバイザでは、前記発光ユニットと室内灯スイッチとの間に、前記サンバイザ本体が前記収納状態の際に導通状態となり、前記サンバイザ本体が前記遮光状態の際に遮断状態となるスイッチを介在させることを特徴とする。従って、サンバイザが遮光状態であり、且つ、ミラーを保護するミラーカバーが閉じている間に、室内灯を操作することで不必要に発光ユニットが点灯してしまうことを防止することが出来る。
【0017】
更に本発明の車両用サンバイザでは、前記ミラーを覆い、前記サンバイザ本体に対して開閉可能に取り付けられたミラーカバーと、を更に具備し、前記ミラーカバーを開状態とすることで、前記発光ユニットは発光することを特徴とする。従って、特段のスイッチを操作すること無く、ミラーカバーを開動作させるのみで発光ユニットから乗員側に向かって光を照射することが出来る。
【0018】
更に本発明の車両用サンバイザでは、前記収納状態では、前記シャッタ部材の前記連続部の少なくとも一部は、前記シャフトに巻回され、前記遮光状態では、前記シャッタ部材の前記連続部の少なくとも一部は、前記シャフトから前記発光ユニット側に向かって移動することを特徴とする。従って、サンバイザ本体を収納状態とした際に、シャッタ部材の連続部をシャフトに巻き付けることができる。よって、サンバイザ本体の内部に於いてシャッタ部材をシャフト側に移動させ、サンバイザ本体の第1主面と発光ユニットとの間からシャッタ部材を待避させ、発光ユニットから発せされる光を下方に向けて照射することが出来る。一方、サンバイザ本体を遮光状態とすると、シャッタ部材の連続部の少なくとも一部は巻回が解かれ、シャフトから発光ユニット側に向かって移動し、シャッタ部材により発光ユニットは前方からカバーされる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るサンバイザ20(車両用サンバイザ)を、図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では上下前後左右の各方向を用いるが、左右とは車両の前方を向いた場合の左右である。
【0021】
図1を参照して、サンバイザ20の構成を説明する。
図1(A)は収納状態に於けるサンバイザ20およびその周辺部の車両10を示す断面図であり、
図1(B)はサンバイザ20を拡大して示す断面図である。
【0022】
図1(A)を参照して、サンバイザ20は、車両10のルーフトリム12の前端部付近、即ちルーフトリム12とフロントガラス11との境界付近に配置されている。サンバイザ20は、ルーフトリム12側に取り付けられたシャフト21に対して回動可能に取り付けられている。収納状態に於いては、サンバイザ20は、ルーフトリム12の下面を上方に向かって窪ませた収納部13に収納されている。
【0023】
図1(B)を参照して、サンバイザ20の構成を詳述する。サンバイザ20は、サンバイザ本体24、ミラー25、ミラーカバー31、発光ユニット26、および、シャッタ部材27を備えている。サンバイザ20の機能は、車両10の前方が眩しい状態である際に、乗員が下方に向かって回動させることにより、乗員の視界上方部分を遮ることで防眩することにある。後述するように、乗員は、ミラーカバー31を回動させて開くことで、ミラー25に自分の顔を映し出し、化粧直し等を行うことが出来る。サンバイザ本体24に内蔵された発光ユニット26は、バニティランプおよびルームランプ(室内灯)を兼ねており、かかる事項は後述する。
【0024】
サンバイザ本体24は、略長方形形状を呈する略板状材料であり、左右方向に沿って長手方向を有する。サンバイザ本体24は、例えば、射出成形された合成樹脂から成る。サンバイザ本体24の前方端部がシャフト21にして回動可能に取り付けられている。サンバイザ本体24は、ここでは下方を向く第1主面22と、ここでは上面を向く第2主面23と、を有している。第1主面22は、この図に示す収納状態では下方を向き、後述する遮光状態では前方を向く。第2主面23は、この図に示す収納状態では上方を向き、後述する遮光状態では後方、即ち乗員の頭部の側を向く。
【0025】
ミラー25は、サンバイザ本体24の第2主面23側に固定された状態で取り付けられている。ミラー25は左右方向に長手方向を有する矩形形状であり、発光ユニット26よりも後方側に配置されている。ミラー25は、車両10に登場する乗員が化粧を直す際などに用いられるため、化粧ミラーと称されることもある。
【0026】
ミラーカバー31は、サンバイザ本体24の第2主面23に、その前方側端部が回動可能に取り付けられている。ミラーカバー31の平面視での面積は、ミラー25の平面視の面積よりも大きく、収納状態に於いては、ミラー25の全域はミラーカバー31で被覆される。ミラーカバー31は、例えば、射出成形された合成樹脂から成る。
【0027】
発光ユニット26は、LED等の発光素子を含むユニットであり、サンバイザ本体24の厚み方向中央部分に内蔵されている。発光ユニット26は、サンバイザ本体24を厚み方向に貫通する貫通孔に内蔵されている。従って、発光ユニット26から発せられた光は、サンバイザ本体24の第1主面22側から下方に向かって進行可能であり、サンバイザ本体24の第2主面23側から上方に向かって進行可能である。
【0028】
シャッタ部材27は、サンバイザ本体24の第1主面22側に内蔵されている。サンバイザ本体24の厚み方向に於いて、シャッタ部材27は、発光ユニット26と第1主面22との間に配置されている。シャッタ部材27の前方端部はシャフト21に固定されており、シャッタ部材27の後方端部は発光ユニット26の近傍に配置されている。シャッタ部材27は、サンバイザ本体24の第1主面22側であり且つ前方に形成された空洞であるシャッタ部材収納部32に、前後方向に摺動可能な状態で、収納されている。シャッタ部材27の具体的構成は
図2を参照して後述する。
【0029】
この図に示す収納状態では、シャッタ部材27は発光ユニット26を下方から覆っていない。詳しくは、シャッタ部材27の固定部28がシャフト21の前方側端部に固定されていることで、シャッタ部材27の連続部30がシャフト21に巻き付けられ、シャッタ部材27の後方側端部は、発光ユニット26よりも前方側に配置されている。かかる構成により、ここでは図示しない車内灯スイッチを乗員がON操作することで、または、車両10のドアが開動作されるのに伴い、発光ユニット26を発光させて車室内を照らし出すことが出来る。また、ここでは図示しない車内灯スイッチを乗員がOFF操作することで、または、車両10のドアが閉動作されるのに伴い、発光ユニット26は発光を停止する。ここで、収納状態に於ける発光ユニット26は、車室内を広く照らし出す室内灯として用いられても良いし、乗員の手元を集中的に照らすマップライトとして用いられても良い。
【0030】
図2を参照して、上記したサンバイザ20の構成を詳述する。
図2(A)はサンバイザ20を後方から見た図であり、
図2(B)は
図2(A)のB−B線に於ける断面図であり、
図2(C)はシャッタ部材27を示す斜視図である。ここで、
図1(B)、後述する
図3の各図および
図4(B)は、
図2(A)のA−A線に於ける断面図に対応している。
図2(A)は、
図1(B)に示した状態から、シャフト21を中心に時計回りに約90度回転させた遮光状態のサンバイザ20を後方から見た状態を示している。
【0031】
図2(A)を参照して、サンバイザ20のサンバイザ本体24は、左右方向に沿う長手方向を有する矩形形状を呈しており、その上端部付近がシャフト21に回動可能に取り付けられている。また、サンバイザ20は、シャフト21の右端を支点として左右方向にも回動可能である。例えば、サンバイザ本体24の主面が右方を向くようにサンバイザ20を回転させることで、車両右方からの光をサンバイザ20で遮り、防眩効果を発揮することが出来る。
【0032】
この図では、サンバイザ本体24に備えられるミラー25、発光ユニット26、シャッタ部材27を、それぞれ、二点鎖線、一点鎖線、点線で示している。発光ユニット26はサンバイザ本体24の略中央部付近に於いて左右方向に細長く形成されている。ミラー25は、左右方向に長手方向を有する長方形形状を呈しており、発光ユニット26の下方に配置される。シャッタ部材27は、その上端部がシャフト21に固定され、その下端部が発光ユニット26の全域を塞いでいる。
【0033】
図2(B)を参照して、発光ユニット26は前方からシャッタ部材27で覆われている。シャッタ部材27は、合成樹脂や金属等の遮光性材料から成るので、発光ユニット26が前方に向かって光を射出したとしてもその光はシャッタ部材27で遮られ、発光ユニット26からの光が車両前方に向かって発せられることは無い。このようにすることで、特定の色の光線(例えば赤色光線)を車両前方に向かって照射してはならないという安全上の法規を遵守することができる。また、ミラーカバー31を開状態としていない際には、発光ユニット26は後方からミラーカバー31で覆われている。更に、遮光部29の左右両側の端部は、ガイド部材33でガイドされている。これにより、遮光部29を上下方向に沿って良好に摺動させることが出来る。
【0034】
図2(C)を参照して、シャッタ部材27は、上方から、固定部28、連続部30および遮光部29を有する。
【0035】
固定部28に形成された溝に上記したシャフト21が挿入されることで、シャッタ部材27の上端部がシャフト21に固定される。
【0036】
遮光部29は、上記した発光ユニット26を遮光する部材であり、平面視に於いて発光ユニット26よりも大きく形成されている。発光ユニット26に面する遮光部29の主面の反射率を大きくすることで、発光ユニット26から発せられる光を後方に向かって反射させ、発光ユニット26で車室内を明るく照らし出すことが出来る。
【0037】
連続部30は、固定部28と遮光部29とを繋ぐ部位であり、
図1を参照して、サンバイザ20が収納状態の際には、シャフト21の表面に巻き付けられる部位である。連続部30は、シャフト21に巻回されることを可能とする可撓性を有する板状部材から成る。
【0038】
図3を参照して、サンバイザ20が収納状態から遮光状態に遷移する状況を説明する。
図3(A)、
図3(B)および
図3(C)は、サンバイザ20を収納状態から遮光状態に遷移する状況を逐次的に示す断面図である。
【0039】
図3(A)では、サンバイザ20は、
図1(A)に示したように、ルーフトリム12の収納部13に収納されている。この収納状態では、サンバイザ20の第1主面22は下方を向いている。また、シャッタ部材27の連続部30は、シャフト21に巻回されている状態である。よって、シャッタ部材27は、シャッタ部材収納部32の内部に於いて前方側に配置されており、シャッタ部材27の遮光部29は、発光ユニット26の下方に配置されておらず、発光ユニット26から照射される光を遮光部29は遮らない。発光ユニット26から照射される光は、車室内に良好に照射される。
【0040】
図3(B)を参照して、乗員がサンバイザ20の後端をその手で下方に引き下げることで、シャフト21を回動中心としてサンバイザ20を時計回りに回動させると、サンバイザ本体24は回動する。一方、シャフト21に固定されているシャッタ部材27の固定部28は回動しない。また、シャフト21も回転しない。このことから、サンバイザ20が時計回りに回動することに伴い、シャッタ部材収納部32の内部に於いて、シャッタ部材27の後端に配置された遮光部29は、徐々に後方に向かって延伸するようになる。
【0041】
図3(C)を参照して、乗員がサンバイザ20の後端をその手で前方に押し出すことで、シャフト21を回動中心としてサンバイザ20を時計回りに更に回動させると、サンバイザ本体24は下方に向かって前方に傾斜する遮光状態となる。この遮光状態では、車両10の前方から車室に向かって照射される光の一部がサンバイザ20で遮光されることで防眩効果が発揮される。また、上記したように、この回動に伴いシャッタ部材27の固定部28は回動しないので、サンバイザ20の回動に伴い、シャッタ部材収納部32の内部に於いて遮光部29は、更に徐々に下方に向かって延伸する。よって、発光ユニット26は、シャッタ部材27の遮光部29でほぼ完全に前方から遮光されるように成り、発光ユニット26から前方に向かって射出される光は遮光部29で遮られる。
【0042】
図4を参照して、遮光状態のサンバイザ20を説明する。
図4(A)は遮光状態であるサンバイザ20およびその周辺を示す断面図であり、
図4(B)はこの状態のサンバイザ20のみを拡大して示す断面図である。
【0043】
図4(A)に示す遮光状態は、上記したように、
図1(A)に示す収納状態に於いて、シャフト21を支点として、乗員がサンバイザ20を紙面上にて時計回りに回動させることで実現される。この遮光状態にすることで、車両10に前方から照射する光線の一部がサンバイザ20により遮光され、防眩効果を発揮することが出来る。
【0044】
図4(B)を参照して、遮光状態に於いては、サンバイザ本体24の第1主面22が前方を向き、第2主面23が後方を向いている。また、サンバイザ20を紙面上時計回りに回動させると、上記したように、発光ユニット26は、前方からシャッタ部材27の遮光部29で遮光される。
【0045】
この状態で、乗員がミラーカバー31を反時計回りに回動させると、発光ユニット26が発光する。発光された光により乗員の顔が明るくミラーに映し出され、乗員は好適に化粧直し等を行うことが出来る。また、遮光部29の後方側主面を反射率の高い反射面とすることで、発光ユニット26から前方に向かって発光された光を、遮光部29の後側主面で後方に反射させ、乗員の顔をより明るく照らし出すことが出来る。この際、発光ユニット26の前方はシャッタ部材27の遮光部29で覆われているので、発光ユニット26から発せられた光が前方に向かって射出されることは無い。
【0046】
図5を参照して、上記したサンバイザ20を点灯させるための回路を説明する。この図に示す回路には、サンバイザ20の発光ユニット26を点灯するための3つのスイッチSW1、SW2、SW3が備えられている。スイッチSW1は、発光ユニット26とバッテリBとの間に配置され、ミラーカバー31の回動と同期してスイッチングするスイッチである。スイッチSW2およびスイッチSW3は、スイッチSW1と並列した経路で、発光ユニット26とバッテリBとの間に配置されている。スイッチSW2はサンバイザ20の収納および遮光に同期してスイッチングするスイッチであり、スイッチSW3は室内灯のスイッチである。
【0047】
先ず、
図4に示したようにサンバイザ20が遮光状態である際に、ミラーカバー31を開状態にすると、それに伴いスイッチSW1が導通状態となり、バッテリBから電力が発光ユニット26に供給され、発光ユニット26が発光する。これにより、発光ユニット26をバニティランプとして用いることが出来る。
【0048】
また、
図1に示したようにサンバイザ20を収納状態とすることで、シャフト21の近傍に設けされたSW2が導通状態となる。この状態で、室内灯スイッチであるスイッチSW3を導通状態とすることで、バッテリBから電力が発光ユニット26に供給され、発光ユニット26が発光する。これにより、発光ユニット26を室内灯として用いることが出来る。ここで、スイッチSW2およびスイッチSW3を発光ユニット26に対して直列に接続することで、サンバイザ20が遮光状態の際にはスイッチSW2が遮断状態であることから、遮光状態の際にミラーカバー31が閉じている場合に、室内灯の操作により誤って発光ユニット26が点灯してしまうことを防止することが出来る。
【0049】
以上、本発明の実施形態を示したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0050】
例えば、上記説明では、サンバイザ20に備えられるミラーカバー31は回転開閉型であったが、ミラーカバー31は、サンバイザ本体24に対してスライドすることでミラー25の遮蔽と露出を行うものであっても良い。
【0051】
図6および
図7を参照して、スライド型のミラーカバー31を備えたサンバイザ20を説明する。
図6(A)はこの種のサンバイザ20を示す後面図であり、
図6(B)は
図6(A)のB−B線に於ける断面図であり、
図7はこの種のサンバイザ20に採用される発光ユニット26を点灯させる電気回路を示している。これらの図に示すサンバイザ20の構成は、上記したものと基本的には同様であり、ミラーカバー31の構成が異なるので、その相違点を中心に説明する。
【0052】
図6(A)および
図6(B)を参照して、ミラー25を後方側から覆うミラーカバー31は、左右方向に沿って移動可能な状態で、サンバイザ本体24に内蔵されている。ミラーカバー31は、左右方向に長手方向を有する略矩形形状の合成樹脂から成る板材であり、ミラー25よりも大きな面積を有している。また、ミラーカバー31は、発光ユニット26およびミラー25の後方側にて、サンバイザ本体24に摺動可能に備えられている。
【0053】
ミラーカバー31の左端付近に形成された把持部34を、乗員が右方に移動させることで、ミラーカバー31を右方にスライドさせ、ミラー25および発光ユニット26を後方に向かって露出させることが出来る。また、乗員が把持部34を左方に向かって移動させることで、ミラーカバー31を左方に向かってスライドさせ、ミラー25および発光ユニット26をミラーカバー31で覆うことができる。
【0054】
図7に、スライド方式のミラーカバー31を有するサンバイザ20に採用される電気回路を示す。ここでは、発光ユニット26とバッテリBとの間に、スイッチであるSW1、SW2およびSW3が配置されている。スイッチSW2は、サンバイザ20の収納および遮光に同期してスイッチングするスイッチであり、発光ユニット26とバッテリBとの間に配置されている。スイッチSW1は、ミラーカバー31のスライドと同期してスイッチングするスイッチであり、スイッチSW2とバッテリBとの間に配置されている。スイッチSW3は室内灯のスイッチであり、SW1は別経路で、SW2とバッテリBとの間に配置されている。
【0055】
上記した回路に於いて、サンバイザ20を遮光状態とし、且つ、ミラーカバー31をスライドさせて開状態とすることで、スイッチSW1およびスイッチSW2を経由して、発光ユニット26とバッテリBとを接続する。これにより、発光ユニット26に電流が供給されて発光状態となり、乗員は発光ユニット26から発せられる光を用いて化粧直し等を行うことができる。また、サンバイザ20を収納状態とし、且つ、室内灯をON状態とすることで、スイッチSW2およびスイッチSW3を経由して、発光ユニット26とバッテリBとを接続する。これにより、発光ユニット26から発せられる光を室内灯として用いることができる。この場合、ミラーカバー31の開閉に関わらず、発光ユニット26を室内灯として用いることができる。
【0056】
図8を参照して、他の形態に係るシャッタ部材27の構成を説明する。
図8(A)は他の構成に係るシャッタ部材27を示す斜視図であり、
図8(B)は更なる他の形態に係るシャッタ部材27を示す断面図である。
【0057】
図8(A)を参照して、ここでは、シャッタ部材27の固定部28を略円筒形状とし、略円筒形状の固定部28にシャフト21を挿入している。固定部28の内部空洞の断面は一部が外部に突出する異型形状であり、シャフト21もこの形状に合致する異型形状を呈している。よって、シャフト21を固定部28に挿入することで、回転方向に於いて、固定部28をシャフト21に固定することができる。
【0058】
図8(B)を参照して、ここでは、シャッタ部材27の固定部28に、下方に向かって開口する嵌合部35が形成されている。かかる構成によっても、嵌合部35を上記したシャフト21に嵌合することで、シャッタ部材27の固定部28を、回転方向に於いてシャフト21に固定することができる。