特許第6769916号(P6769916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

特許6769916中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷
<>
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000002
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000003
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000004
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000005
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000006
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000007
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000008
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000009
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000010
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000011
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000012
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000013
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000014
  • 特許6769916-中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769916
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】中間転写ベルトおよび硬化性ポリマーを用いる3D印刷
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/264 20170101AFI20201005BHJP
   G03G 15/22 20060101ALI20201005BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20201005BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20201005BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20201005BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20201005BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20201005BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20201005BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20201005BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20201005BHJP
【FI】
   B29C64/264
   G03G15/22 103Z
   G03G15/20 505
   G03G15/01 Z
   B33Y30/00
   B33Y10/00
   B29C64/40
   B29C64/205
   B29C64/245
   B29C64/153
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-85347(P2017-85347)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2017-202683(P2017-202683A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2020年4月16日
(31)【優先権主張番号】15/152,631
(32)【優先日】2016年5月12日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エス・ファッチ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・シー・クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・エス・ダーレス
(72)【発明者】
【氏名】エリウド・ロブレス・フローレス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルン・サンビー
【審査官】 ▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−131439(JP,A)
【文献】 特表2014−533210(JP,A)
【文献】 特開2015−229315(JP,A)
【文献】 特表2010−516498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 − 64/40
B33Y 10/00 − 99/00
G03G 15/01
G03G 15/20
G03G 15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元(3D)プリンタであって、
中間転写ベルト(ITB)と、
第1の材料を前記ITBに転写する第1の感光体と、
第2の材料を前記ITBに転写する第2の感光体であって、前記第1の材料が光開始剤を含み、前記第2の材料が前記光開始剤を含まないことを除いて前記第1の材料は前記第2の材料と同じである、第2の感光体と、
前記ITBに対して移動して、前記ITBと第1の位置で接触するプラテンであって、前記ITBは、前記プラテンが前記第1の位置で前記ITBと接触するたびに、前記第1の材料および前記第2の材料の連続層を前記プラテンに転写する、プラテンと、
前記プラテンを加熱し、前記プラテンと隣接する前記ITBの一部を、前記第1の材料および前記第2の材料のガラス転移温度に加熱した後、前記プラテンが前記ITBと接触する第1のヒータと、
前記ITBが前記第1の材料および前記第2の材料を前記プラテンに転写し、前記第1の材料および前記第2の材料を前記プラテン上の先に転写された材料に定着させた後に、前記プラテン上の前記第1の材料および前記第2の材料を、前記第1の材料および前記第2の材料のガラス転移温度と溶融温度との間の温度にさらに加熱する、第2の位置にある第2のヒータであって、前記ITBが前記プラテンと接触する前記第1の位置は、前記第1のヒータと前記第2のヒータとの間にある、第2のヒータと、
前記プラテンが前記ITBと毎回接触した後に前記プラテン上の前記第1の材料および前記第2の材料を露光し、前記第1の材料のポリマーを架橋し、前記第2の材料のポリマーは架橋しない光であり、架橋されている前記第1の材料の前記ポリマーおよび架橋されていない前記第2の材料の前記ポリマーが、前記第2の材料を、前記第1の材料に対して異なる溶媒中に選択的に可溶性にする、第3の位置にある光であって、前記第2のヒータは、前記光と、前記ITBが前記プラテンと接触する前記第1の位置との間にある、光と、
を含む三次元(3D)プリンタ。
【請求項2】
前記プラテンが、前記光が前記第1の材料および前記第2の材料を露光する前に、前記ITBから前記光に移動する、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項3】
前記第1の材料および前記第2の材料が、前記光開始剤を使用して架橋する紫外線(UV)架橋性ポリマートナーを含む、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項4】
前記第1の材料を前記第1の感光体に転写し、前記第2の材料を前記第2の感光体に転写する露光および現像デバイスをさらに含む、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項5】
前記ITBが、前記第1の材料および前記第2の材料の連続層を前記プラテンに転写して、前記プラテン上に3D対象物を構築する、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項6】
三次元(3D)プリンタであって、
中間転写ベルト(ITB)と、
第1の材料を前記ITBに転写する第1の感光体と、
第2の材料を前記ITBに転写する第2の感光体であって、前記第1の材料が光開始剤を含み、前記第2の材料が前記光開始剤を含まないことを除いて前記第1の材料は前記第2の材料と同じである、第2の感光体と、
前記ITBに対して移動して、前記ITBと第1の位置で接触するプラテンであって、前記ITBは、前記プラテンが前記第1の位置で前記ITBと接触するたびに、前記第1の材料および前記第2の材料の連続層を前記プラテンに転写する、プラテンと、
前記プラテンを加熱し、前記プラテンと隣接する前記ITBの一部を、前記第1の材料および前記第2の材料のガラス転移温度に加熱した後、前記プラテンが前記ITBと接触する第1のヒータと、
前記ITBが前記第1の材料および前記第2の材料を前記プラテンに転写し、前記第1の材料および前記第2の材料を前記プラテン上の先に転写された材料に定着させた後に、前記プラテン上の前記第1の材料および前記第2の材料を、前記第1の材料および前記第2の材料のガラス転移温度と溶融温度との間の別の温度にさらに加熱する、前記第1の位置と異なる第2の位置にある第2のヒータであって、前記ITBが前記プラテンと接触する前記第1の位置は、前記第1のヒータと前記第2のヒータとの間にある、第2のヒータと、
前記プラテンが前記ITBと毎回接触した後に前記プラテン上の前記第1の材料および前記第2の材料を露光し、前記第1の材料および前記第2の材料が前記第2のヒータによって前記別の温度に加熱されて、前記第1の材料のポリマーを架橋し、前記第2の材料のポリマーは架橋しない光であり、架橋されている前記第1の材料の前記ポリマーおよび架橋されていない前記第2の材料の前記ポリマーが、前記第2の材料を、前記第1の材料に対して異なる溶媒中に選択的に可溶性にする、第3の位置にある光であって、前記第2のヒータは、前記光と、前記ITBが前記プラテンと接触する前記第1の位置との間にある、光と、
を含む三次元(3D)プリンタ。
【請求項7】
前記プラテンが、前記光が前記第1の材料および前記第2の材料を露光する前に、前記ITBから前記光に移動する、請求項6に記載の3Dプリンタ。
【請求項8】
前記第1の材料および前記第2の材料が、前記光開始剤を使用して架橋する紫外線(UV)架橋性ポリマートナーを含む、請求項6に記載の3Dプリンタ。
【請求項9】
前記第1の材料を前記第1の感光体に転写し、前記第2の材料を前記第2の感光体に転写する露光および現像デバイスをさらに含む、請求項6に記載の3Dプリンタ。
【請求項10】
前記ITBが、前記第1の材料および前記第2の材料の連続層を前記プラテンに転写して、前記プラテン上に3D対象物を構築する、請求項6に記載の3Dプリンタ。
【請求項11】
三次元(3D)プリンタであって、
中間転写ベルト(ITB)と、
ビルド材料を前記ITBに転写する第1の感光体と、
支持体材料を前記ITBに転写する第2の感光体であって、前記ビルド材料が光開始剤を含み、前記支持体材料が前記光開始剤を含まないことを除いて前記ビルド材料は前記支持体材料と同じである、第2の感光体と、
前記ITBに対して移動して、前記ITBと第1の位置で接触するプラテンであって、前記ITBは、前記プラテンが前記第1の位置で前記ITBと接触するたびに、前記ビルド材料および前記支持体材料の両方を含む連続層を前記プラテンに転写する、プラテンと、
前記プラテンを加熱し、前記プラテンと隣接する前記ITBの一部を、前記ビルド材料および前記支持体材料のガラス転移温度に加熱した後、前記プラテンが前記ITBと接触する第1のヒータと、
前記ITBが前記ビルド材料および前記支持体材料を前記プラテンに転写し、前記ビルド材料および前記支持体材料を前記プラテン上の先に転写された材料に定着させた後に、前記プラテン上の前記ビルド材料および前記支持体材料を、前記ビルド材料および前記支持体材料のガラス転移温度と溶融温度との間の別の温度にさらに加熱する、前記第1の位置と異なる第2の位置にある第2のヒータであって、前記ITBが前記プラテンと接触する前記第1の位置は、前記第1のヒータと前記第2のヒータとの間にある、第2のヒータと、
前記プラテンが前記ITBと毎回接触した後に前記プラテン上の前記ビルド材料および前記支持体材料を露光し、前記ビルド材料および前記支持体材料が前記第2のヒータによって前記別の温度に加熱されて、前記ビルド材料のポリマーを架橋し、前記支持体材料のポリマーは架橋しない光であり、架橋されている前記ビルド材料の前記ポリマーおよび架橋されていない前記支持体材料の前記ポリマーが、前記支持体材料を、前記ビルド材料に対して異なる溶媒中に選択的に可溶性にする、第3の位置にある光であって、前記第2のヒータは、前記光と、前記ITBが前記プラテンと接触する前記第1の位置との間にある、光と、
を含む三次元(3D)プリンタ。
【請求項12】
前記プラテンが、前記光が前記ビルド材料および前記支持体材料を露光する前に、前記ITBから前記光に移動する、請求項11に記載の3Dプリンタ。
【請求項13】
前記ビルド材料および前記支持体材料が、前記光開始剤を使用して架橋する紫外線(UV)架橋性ポリマートナーを含む、請求項11に記載の3Dプリンタ。
【請求項14】
前記ビルド材料を前記第1の感光体に転写し、前記支持体材料を前記第2の感光体に転写する露光および現像デバイスをさらに含む、請求項11に記載の3Dプリンタ。
【請求項15】
前記ITBが、前記ビルド材料および前記支持体材料の連続層を前記プラテンに転写して、前記プラテン上に3D対象物を構築する、請求項11に記載の3Dプリンタ。
【請求項16】
三次元(3D)プリンタであって、
中間転写ベルト(ITB)と、
第1の材料および第2の材料を前記ITBに転写する少なくとも1つの感光体であって、前記第1の材料が光開始剤を含み、前記第2の材料が前記光開始剤を含まないことを除いて前記第1の材料は前記第2の材料と同じである、感光体と、
前記ITBに対して移動して、前記ITBと第1の位置で接触するプラテンであって、前記ITBは、前記プラテンが前記第1の位置で前記ITBと接触するたびに、前記第1の材料および前記第2の材料の連続層を前記プラテンに転写する、プラテンと、
前記ITBが前記第1の材料および前記第2の材料を前記プラテンに転写した後、前記プラテン上の前記第1の材料および前記第2の材料を、前記第1の材料および前記第2の材料のガラス転移温度と溶融温度との間の温度に加熱する、第2の位置にあるヒータと、
前記プラテンが前記ITBと毎回接触した後に前記プラテン上の前記第1の材料および前記第2の材料を露光し、前記第1の材料のポリマーを架橋し、前記第2の材料のポリマーは架橋しない光であって、前記第2のヒータは、前記光と、前記ITBが前記プラテンと接触する前記第1の位置との間にある、第3の位置にある光と、
を含む三次元(3D)プリンタ。
【請求項17】
前記プラテンが、前記光が前記第1の材料および前記第2の材料を露光する前に、前記ITBから前記光に移動する、請求項16に記載の3Dプリンタ。
【請求項18】
前記第1の材料および前記第2の材料が、前記光開始剤を使用して架橋する紫外線(UV)架橋性ポリマートナーを含む、請求項16に記載の3Dプリンタ。
【請求項19】
前記第1の材料を前記少なくとも1つの感光体に転写し、前記第2の材料を前記少なくとも1つの感光体に転写する露光および現像デバイスをさらに含む、請求項16に記載の3Dプリンタ。
【請求項20】
前記ITBが、前記第1の材料および前記第2の材料の連続層を前記プラテンに転写して、前記プラテン上に3D対象物を構築する、請求項16に記載の3Dプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書のシステムおよび方法は、一般に紫外線(UV)硬化性ポリマーを使用する三次元(3D)印刷プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元印刷は、例えばインクジェットまたは静電プリンタを用いて対象物を製造できる。1つの例示的な3段階プロセスにおいて、粉末状材料が薄層に印刷され、UV硬化性液体がこの粉末状材料上に印刷され、最終的に各層がUV光源を用いて硬化される。これらの工程はレイヤー・バイ・レイヤーで繰り返される。支持体材料は、一般に、酸可溶性、塩基可溶性または水溶性ポリマーを含み、これは3D印刷が完了した後にビルド材料から選択的にすすがれることができる。
【0003】
故に、三次元(3D)プロセスを用いる部品の製造はビルド材料(そこから部品自体が製造される)および支持体材料(これが部品のボイドおよびキャビティを埋め、その機能はビルド材料に機械的支持を提供することである)の堆積に基づく。支持体材料は、所望される部品のみを後に残すように除去される。これに対処する方法の1つは、支持体材料を溶解することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の例示的な三次元(3D)プリンタは、他の構成要素の中でも特に、中間転写ベルト(ITB)、第1の材料(例えばビルド材料)をITBに転写する第1の感光体、および第2の材料(例えば支持体材料)をITBに転写する第2の感光体を含む。露光および現像デバイスは、ビルド材料を第1の感光体に転写し、支持体材料を第2の感光体に転写する。ビルド材料は、ビルド材料が光開始剤を含み、支持体材料が光開始剤を含まないことを除いて、支持体材料と同じである。ビルド材料および支持体材料の両方は、光開始剤を使用して架橋する紫外線(UV)架橋性ポリマートナーを含む。第1の材料および第2の材料の層は、ITBの区別可能な領域にあり、パターン状である。
【0005】
こうしたプリンタはまた、ITBと接触するようにITBに対して移動するプラテンも含む。ITBは、プラテンがITBと接触するたびに、ビルド材料および支持体材料の連続層をプラテンに転写し、最終的にこのプロセスはプラテン上に3D対象物を構築する。
【0006】
少なくとも1つのヒータもこうした構造に含まれ、ヒータはプラテンを加熱し、プラテンに隣接するITBの一部をビルド材料および支持体材料のガラス転移温度に加熱した後、プラテンがITBと接触する。ヒータはさらに、ITBがビルド材料および支持体材料をプラテンに転写した後、プラテン上のビルド材料および支持体材料を、ビルド材料および支持体材料のガラス転移温度と融点との間の温度に加熱し、これによりプラテン上に先に転写された材料にビルド材料および支持体材料を定着させる。
【0007】
こうしたプリンタはまた、光(例えばUV光源)を含む。プラテンは、ITBから光へ移動し、次いで毎回プラテンがITBと接触した後に光がプラテン上のビルド材料および支持体材料を露光し、これにより、支持体材料のポリマーを架橋することなく、ビルド材料のポリマーを架橋する。本明細書の種々のシステムは、支持体材料のみを溶解するために、およびビルド材料に影響を与えないように、3D対象物に溶媒を適用するすすぎステーションを含む。架橋されているビルド材料のポリマーおよび架橋されていない支持体材料のポリマーが、支持体材料を、ビルド材料とは異なる溶媒に対して選択的に可溶性にする。
【0008】
本明細書の3D印刷を行う方法は、露光および現像デバイスを用いて、第1の材料(例えばビルド材料)を第1の感光体に転写し、第2の材料(例えば支持体材料)を第2の感光体に転写し、次いでビルド材料を第1の感光体から転写し、支持体材料を第2の感光体から中間転写ベルト(ITB)に転写する。ビルド材料は、ビルド材料が光開始剤を含み、支持体材料が光開始剤を含まないことを除いて、支持体材料と同じである。例えばビルド材料および支持体材料は、光開始剤を使用して架橋する紫外線(UV)架橋性ポリマートナーを含むことができる。
【0009】
こうしたプロセスは、ITBに対してプラテンをITBに隣接するように移動させる。これらの方法はまた、ヒータを用いて、プラテンを加熱し、プラテンに隣接するITBの一部を加熱する。加熱後、こうした方法はプラテンを移動させてITBと接触させる。ITBとプラテンとの間の連続的な接触により、ビルド材料および支持体材料の連続層をプラテンに転写し(プラテンがITBと接触するたびに)、これが連続的にプラテン上に3D対象物を構築する。
【0010】
本明細書の方法は、プラテンをITBから光(例えばUV光源)へ移動させ、次いで毎回プラテンがITBと接触した後に光を用いてビルド材料および支持体材料を露光して、支持体材料のポリマーを架橋することなく、ビルド材料のポリマーを架橋する。
【0011】
すべての連続層が転写された後に、後続の加工処理により、ビルド材料および支持体材料の3D対象物をプラテンから取り除き、すすぎステーションを用いてこの3D対象物に溶媒を適用して、支持体材料のみを溶解させ、ビルド材料には影響を与えない。架橋されているビルド材料のポリマーおよび架橋されていない支持体材料のポリマーが、支持体材料を溶媒中に(ビルド材料に対して)選択的に可溶性にする。
【0012】
これらおよび他の特徴は、以下の詳細な説明において記載され、またはそれらから明らかになる。
【0013】
種々の例示的なシステムおよび方法は、以下のような添付の図面を参照して、以下で詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本明細書の材料の理想化された溶融レオロジー曲線を示すチャートである。
図2図2は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図3図3は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図4図4は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図5図5は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図6図6は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図7図7は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図8図8は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図9図9は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図10図10は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図11図11は、本明細書の種々の方法のフロー図である。
図12図12は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図13図13は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
図14図14は、本明細書のデバイスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述されたように、一部の3Dプロセスは、ビルドおよび支持体材料のレイヤー・バイ・レイヤーのトランスフューズに基づき、これらの材料は同様の溶融レオロジー特性、ひいては同様の化学構造を有し得る。これにより、溶解による分離が困難な作業になる。
【0016】
故に、本明細書のシステムおよび方法は、好適なプラスチックビルド材料およびプラスチック支持体の連続的なレイヤー・バイ・レイヤー堆積によって部品を構築するような一般的な使用での複数の付加製造プロセスのいずれかによって製作され得る3D部品を提供する。一般に3D部品は部品のデジタル表示から構築され、これを複数の水平スライスに分割する。個々の層を印刷するための指示がコントローラによってプリントプロセスに送られ、いずれかの所与の層を形成する。
【0017】
材料が同様の溶融レオロジー特性(ひいては同様の化学構造)を有し得るような1つの例示的な3D印刷プロセスは、ビルドおよび支持体トナー材料を中間転写ベルト(ITB)に現像する。これらのトナー材料の現像された層は可動プラテンにトランスフューズされる。現像された層およびITBは、局所的に加熱されて、トランスフューズの前に現像された層を「粘着性」状態にする(すなわち、ガラス転移温度(Tg)よりも高く、トナー樹脂の溶融または定着温度Tmに満たない温度に)。加熱されたプラテン(ほぼ同じ温度に加熱される)は、次いでITB−プラテンニップを通して転換するときに粘着性層と同期的に接触する。故に、静電気的に(トナー/ベルト電荷の差に基づいて)転写されるのではなく、現像された層をプラテン(または先に転写された現像された層)に転写させるのは、現像された層および加熱されたプラテン(または先に転写された現像された層)の粘着特性である。プラテンは、加熱されたトナー/ITB界面と接触するときに粘着状態でトナーを維持するために加熱され、そうすることにより、トナー層をITBから分離し、圧力下で、先に堆積された層を含有し得るプラテン表面に転写する。
【0018】
層のポストトランスフューズ加熱は、次いで先の層に最後の層を定着させるために行われる。最終的に冷却工程により、層の温度を、トナー層が粘着状態になる温度に戻す。次いでプラテン位置をホーム位置に戻し、そこから次の層の到着を待つ。このプロセスの繰り返しにより、原理上、部品が製作され得るより厚い層の構築が可能になる。
【0019】
多くの3D印刷プロセスは、「支持体」層の共堆積を提供し、これが、機械的に初期の部品を支持するために、製造されるべき部品のボイドを埋める。支持体材料の1つの態様は、こうした3Dプリンタにおいてビルド材料とほぼ同じ溶融レオロジーを有することである。溶融レオロジー要件は、図1に示されるように、仮定のトナー樹脂についての理想化溶融レオロジー曲線を考慮することによって理解できる。ITB上に現像された層の初期加熱ならびにプラテン上に既に形成された層の粘着状態への加熱において、トナー樹脂は、わずかにTgを超えて加熱されなければならないが、Tmを十分下回るように保持されなければならず、結果としてプラテン上の層の一体性は、トランスフューズの間に維持され、転写層の一体性も維持される。ポスト転写工程の間、Tmに近い温度が、下の層に最上層を定着させるために層に付与されなければならない。そのため特定のプレ転写温度を前提として、支持体およびビルド材料の両方が、同様の粘着性状態にあり、両方の融点も同様であることが望ましい。これは、ビルドおよび支持体材料の両方についての溶融レオロジー曲線は相当類似していることを暗示しており、そうでなければ温度設定点における許容度の損失および一方または他方の材料の不十分なトランスフューズが存在することになる。この要件は、支持体およびビルド材料の選択における厳しい限界を設定し、すなわち2つの材料に関して同様の溶融レオロジー曲線を得るために樹脂の化学的構造(例えば分子量、官能基の特性)を調整するために追加の作業が必要とされる。
【0020】
支持体をビルド材料から分離する1つの一般的な手法は、2つの材料の溶解度の相違を活用することによる。ビルド材料を溶解しない溶媒に対して支持体材料を可溶性にすることが所望される。概して、後者の条件は、溶融レオロジーが同様である要件と合わない。同様の溶融レオロジーは同様の化学的構造(分子量、官能基)を暗示するが、溶解度の相違は異なる化学構造(異なる分子量および官能基)を暗示する。
【0021】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、ビルドおよび支持体材料について異なる要件を一致させると同時に、現在のトナーおよび樹脂から製造された支持体材料の機械的特性(強度、衝撃耐性など)を改善する。本明細書のシステムおよび方法に関して、ビルドおよび支持体材料は、UV放射線硬化性トナー材料から製作でき、その差は支持体材料がトナーを架橋するために必要とされる光開始剤を含有しないことである。光開始剤が非常に低いローディングで存在するので、ベースライン樹脂の溶融レオロジーに対してほとんど、ひいては全く影響を与えない。故に、支持体およびビルド材料の両方は、ほぼ同一の溶融レオロジー特性を有することができ、トランスフューズのために優れた材料ペアであることができる。
【0022】
架橋により、材料/ポリマーは不溶性になるので、非架橋トナー樹脂を溶解する溶媒は、架橋されたトナー樹脂を溶解しない。これにより結果として、所望通りにビルド材料から分離可能な支持体材料をもたらす。ビルド材料のUV硬化プロセスは、ビルド材料の層を構築し、共に定着するために使用される3Dプロセスに直接組み込まれる。
【0023】
例示的なUV硬化性トナーは、樹脂骨格中にエチレン性不飽和(二重結合)を有する樹脂、隣接ポリマーストランドを共に結合する任意の架橋剤およびUV光開始剤を含有する。以下に記載される材料において、架橋剤は、トナー樹脂のポリマー骨格が隣接ポリマー骨格と共に所望の架橋を達成できるエチレン性不飽和を含有する場合は省略される。これにもかかわらず、種々の高温安定性架橋剤はまた、所望によりビルド材料トナー樹脂に組み込むことができる。
【0024】
多くのトナーは、転相プロセスまたはエマルションアグリゲーション(EAプロセス)によって製造される。このプロセスは結果として、非常に予測可能な粒径および形状を有するトナーをもたらす。不飽和を含有する可能性としてのトナー樹脂としては、米国特許第7,851,549号明細書および米国特許第7,250,238号明細書に先に開示される樹脂が挙げられる。これらの材料としては、(プロポキシル化ビスフェノール−A−co−フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール−A−co−フマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール−co−フマレート)、ポリ(co−プロポキシル化ビスフェノール−co−エトキシル化ビスフェノール−co−フマレート)、ポリ(1,2−プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−co−マレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール−co−マレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール−co−マレエート)、ポリ(co−プロポキシル化ビスフェノール−co−エトキシル化ビスフェノール−co−マレエート)、ポリ(1,2−プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−co−イタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール−co−イタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールco−イタコネート)、ポリ(co−プロポキシル化ビスフェノールco−エトキシル化ビスフェノールco−イタコネート)、およびポリ(1,2−プロピレンイタコネート)が挙げられる。
【0025】
UV光開始剤の例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル1−フェニル−1−プロパノン(種々の化学会社から入手可能);1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェモルホリニル)−1−プロパノンが挙げられる。種々の化学会社からの光開始剤の別の例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(HMPP);2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO);HMPPおよびTPOの50−50ブレンド;2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(MMMP);および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(BDK)が挙げられるが、これらに限定されない。光開始剤の例としてはまた、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Lucirin TPO);αヒドロキシケトン;および2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル−1−プロパンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
図1は、トナー樹脂のヤング率(粘度に関連)が温度の強力な関数であることを示すグラフである。トナー樹脂は、ガラス転移温度(Tg)にて軟化し始め、それ未満では材料は相当堅く、曲線のプラトーによって示されるように温度に独立している。Tgを超えて温度が上昇させると、相対的に容易に有効に流れる樹脂の融点Tmまで樹脂はさらに軟化する。
【0027】
図2は、回転ローラ112上に支持されたITB110、熱およびUV光硬化を使用して3D印刷を行う本明細書のデバイスを示す概略図である。第1の現像デバイス116は、ビルド材料104を(静電トナー系印刷加工処理により)ITB110に転写し、第2の現像デバイス114は、支持体材料をITB110に対して、先に形成されたビルド材料104の頂部に(同じ静電トナー系加工処理によって)転写して、ITB110に現像された層102を形成する。アイテム132は電荷発生器であり、ビルドおよび支持体材料を現像デバイス116、114からITB110に引き込むために、ITB110の反対側に電荷を創出する。故に、図面の現像された層102は、支持体材料およびビルド材料の組み合わせである。第1の材料および第2の材料の現像された層102はそれぞれ、ITBの区別可能な領域にあり、パターン状である。現像された層102がトランスフューズニップ130に近づくとき(ITBが矢印によって示されるように移動するとき)、現像された層102およびITB110はヒータ120(例えば赤外線ヒータ)によって支持体およびビルド材料のTgをちょうど超えるように加熱され、現像された層102の支持体材料およびビルド材料の両方を粘着性にする。
【0028】
図面は2つの現像デバイス116、114のみを示すが、当業者には、さらに多くの現像デバイスを利用して、異なるタイプおよび異なる色の異なるビルド材料および異なる支持体材料を提供できることが理解される。こうしたビルドおよび支持体材料は、それぞれ別個の現像デバイスによってITB上にパターンで印刷され、現像された層102で共に一緒になって、所定長さを有する特定のパターンを表す。故に現像された層102のそれぞれは、加工処理方向に向かって配向された前縁134(ここではITB110が移動している(図2図6においてITB110の隣の矢印によって表される))およびこの前縁134と反対側の後縁136を有する。
【0029】
図3に示されるように、プラテン118(部分的に形成された部品106として示される一部の先に形成された現像された層102を既に含有してもよい)は、ITB110の加熱された部分と接触するためにトランスフューズニップ130に向かって移動する。トランスフューズニップ130にて、トランスフューズニップ130内の現像された層102の前縁134は、プラテン118の対応する位置またはレイヤー・バイ・レイヤーで構築されている部分的に形成された部品106に転写され始める。図3に示されるように、プラテン118は、現像された層102の前縁134がトランスフューズニップ130のローラの最低位置にある位置において、ITB110上の現像された層102と接触するように移動する。故に、この実施例において、現像された層102の後縁136は、トランスフューズニップ130に未だ到達しておらず、故にプラテン118または部分的に形成された部品106に未だ転写されていない。
【0030】
図4に示されるように、プラテン118は、ITB110と同期して移動し(ITB110と同じ速度および同じ方向にて移動する)、現像された層102を、プラテン118または部分的に形成された部品106に、不鮮明にならずにきれいに転写できる。ワックス(エマルションアグリゲーショントナーに存在する)は、現像された層102に存在し、粘着性の現像された層102がITB110と分かれるのを補助する。図4において、現像された層102の後縁136は、トランスフューズニップ130に未だ到達していない唯一の部分であり、故にプラテン118または部分的に形成された部品106に転写されていない。
【0031】
次いで、図5に示されるように、ITB110が加工処理方向に移動するとき、プラテン118は、現像された層102の後縁136がトランスフューズニップ130(図11に示される)のローラの底部に到達するまで、ITB110(図4に示される)と同じ速度および同じ方向に移動し、この時点で図6に示されるように、プラテン118はITB110から遠ざかるように移動し、ヒータ122およびUV光源124に至る。プラテン118とITB110との間のこの同期移動により、現像デバイス116、114によって印刷される支持体およびビルド材料(104)のパターンを、ITB110からプラテン118または部分的に形成された部品106に正確に転写される。
【0032】
故に、図6に示されるように、現像された層102のプラテン118へのトランスフューズの後、プラテン118は、トランスフューズニップ130から離れるように移動し、別のヒータ122(例えば赤外線熱源)からの熱を受容するための位置に移動する。図6に示されるように、アイテム122からの追加の熱がプラテン118上の先に現像された層106上の最も新しく転写された現像された層102に適用され、図6に示されるように、現像された層102を、その下にある先に現像された層106に定着する。加工処理においてこの点で支持体およびビルド材料(104)の温度は、先に現像された層102の支持体およびビルド材料のTm(溶融)温度に近い(例えば20%、10%、5%以内など)。この温度にて、互いに物理的に近づくために十分な個々のポリマー骨格の移動度がある。
【0033】
トナー樹脂がこうしたより液体様の状態である間、プラテン118は、図7に示されるように、光源124(例えば紫外(UV)光源)からの光を受容するための位置に移動する。故に、図7において、光源124からの光放射線は、先に現像された層106の頂部に付加された最も新しく転写された現像された層102に適用される。ビルド材料104のみがUV光開始剤を含有するので、ビルド材料104だけがUV架橋され、UV露光後、現像デバイス114からその名目上架橋されていない状態で支持体材料を残す。UV架橋の実際の温度は、トナー樹脂の化学組成(分子量、官能基)の正確な特性に依存する。この点において、最も新しく転写された現像された層102はプラテン118上に先に現像された層106に結合され、プラテンは図2に示される位置に戻され、ここでプラテン118上の先に現像された層106はほぼTgに冷却され、この後プラテン118は追加の現像された層102を付加するために図3に示されるように移動できる。
【0034】
図8および9は、本明細書の代替3D静電印刷構造を示し、これは図2に示されるトランスフューズニップ130の代わりに平坦トランスフューズステーション138を含む。図8に示されるように、平坦トランスフューズステーション138は、ローラ112間にあり、プラテン118に平行であるITB110の平坦部分である。図9に示されるように、この構造に関して、プラテン118が平坦トランスフューズステーション138と接触するように移動し、現像された層102のすべてがプラテン118または部分的に形成された3Dアイテム106に同時に転写され、図3図5に示される回転トランスフューズプロセスを回避する。同様に、図10に示されるように、ドラム178は、ITB110の代わりに使用できるが、上記で記載されるような他のすべての構成要素は機能を果たす。
【0035】
図11は、本明細書の例示的な方法を示すフローチャートである。アイテム150において、これらの方法は、露光および現像デバイスを用いて、第1の材料(例えばビルド材料)を第1の感光体に転写し、第2の材料(例えば支持体材料)を第2の感光体に転写する。アイテム152において、これらの方法は、ビルド材料を第1の感光体および第2の感光体から中間転写ベルト(ITB)に転写する。ビルド材料は、ビルド材料が光開始剤を含み、支持体材料が光開始剤を含まないことを除いて、支持体材料と同じである。例えばビルド材料および支持体材料は、光開始剤を使用して架橋する紫外線(UV)架橋性ポリマートナーを含むことができる。
【0036】
アイテム154において、こうしたプロセスは、ITBに対してプラテンをITBに隣接するように移動させる。これらの方法はまた、アイテム156においてヒータを用いて、プラテンを加熱し、プラテンに隣接するITBの一部を加熱する。アイテム156における加熱後、こうした方法は、プラテンをアイテム158においてITBに接触させるように移動させ、ビルド材料および支持体材料を、プラテンまたはプラテンに存在する先に転写された層に転写する。ITBとプラテンとの間の連続的な接触により、ビルド材料および支持体材料の連続層をプラテンに転写し(プラテンがITBと接触するたびに)、これが連続的にプラテン上に3D対象物を構築する。
【0037】
アイテム160において、本明細書の方法は、プラテンをITBからヒータに移動させ、ビルド材料および支持体材料を加熱する。アイテム162において、本明細書の方法は、プラテンをヒータから光(例えばUV光源)に移動させ、次いでアイテム162において光を用いて加熱されたビルド材料および支持体材料を露光する。アイテム160および162に示される加工処理は、毎回プラテンがITBと接触した後に行われ、支持体材料のポリマーを架橋することなく、ビルド材料のポリマーを架橋する。アイテム164は、追加の層がプラテン上の部分的に完成した部品に転写されるべきであるかどうかを決定し、そうであるならば加工処理は、すべての連続層が形成され、3D対象物がさらに加工処理の準備が整うまでアイテム150に戻るように繋げる。
【0038】
そうでないならば、アイテム166において、すべての層が転写された後、後続加工処理により、ビルド材料および支持体材料の3D対象物をプラテンから取り除き、アイテム168の加工処理により、すすぎステーションを用いて溶媒を3D対象物に適用し、支持体材料のみを溶解し、影響を与えずにビルド材料を残す。架橋されているビルド材料のポリマーおよび架橋されていない支持体材料のポリマーが、支持体材料を溶媒中に(ビルド材料に対して)選択的に可溶性にする。
【0039】
図12は、本明細書の3D印刷デバイス204の多くの構成要素を示す。3D印刷デバイス204は、コントローラ/タンジブルプロセッサ224ならびにこのタンジブルプロセッサ224におよび印刷デバイス204の外部のコンピュータ処理ネットワークに操作可能に接続される通信ポート(インプット/アウトプット)214を含む。また、印刷デバイス204は、少なくとも1つのアクセサリ機能性構成要素、例えばグラフィカルユーザインターフェース(GUI)アセンブリ212を含むことができる。ユーザは、グラフィカルユーザインターフェースまたはコントロールパネル212からメッセージ、指示およびメニューオプション、ならびにそれらを通したエンター指示を受信し得る。
【0040】
インプット/アウトプットデバイス214は、3D印刷デバイス204への通信およびそれらからの通信のために使用され、ワイヤデバイスまたはワイヤレスデバイス(現在既知または将来開発される形態に限らず、任意の形態)を含む。タンジブルプロセッサ224は、印刷デバイス204の種々のアクションを制御する。非一過性のタンジブルコンピュータ記憶媒体デバイス210(これは光学、磁気、キャパシタ系などであることができ、一過性シグナルとは異なる)は、タンジブルプロセッサ224によって可読であり、タンジブルプロセッサ224は、コンピュータ処理されたデバイスがその種々の機能、例えば本明細書に記載される機能を行うことができるように実行する指示を保存する。故に、図12に示されるように、本体ハウジングは、電源218によって交流電流(AC)源220から供給される電力で作動する1つ以上の機能性構成要素を有する。電源218は、一般的な電力変換ユニット、電源素子(例えばバッテリなど)などを含むことができる。
【0041】
3D印刷デバイス204は、少なくとも1つのマーキングデバイス(印刷エンジン)240を含み、これは上記で記載されるビルドおよび支持体材料の連続層をプラテンに堆積させ、特化画像処理プロセッサ224(それが画像データを加工処理するために特化されているので汎用コンピュータとは異なる)に操作可能に接続される。また、印刷デバイス204は、少なくとも1つのアクセサリ機能性構成要素(例えばスキャナ232)を含み、これはまた外部電源220から(電源218を通して)供給される電力で作動する。
【0042】
1つ以上の印刷エンジン240は、現在既知であるかまたは将来開発されるかにかかわらず、ビルドおよび支持体材料(トナーなど)を適用するいずれかのマーキングデバイスを示すことを目的とし、例えば中間転写ベルト110(図13に示されるように)を使用するデバイスを含むことができる。
【0043】
故に、図13に示されるように、図12に示される印刷エンジン240のそれぞれは、1つ以上の可能性として異なる(例えば異なる色、異なる材料など)ビルド材料現像ステーション116、1つ以上の可能性として異なる(例えば異なる色、異なる材料など)支持体材料現像ステーション114などを利用できる。現像ステーション114、116は、現在既知または将来開発されるかどうかにかかわらず、いずれかの形態の現像ステーション、例えば個々の静電マーキングステーション、個々のインクジェットステーション、個々の乾燥インクステーションなどであることができる。図13はまた、すすぎステーション140を示し、これがいずれかの形態の溶媒をプラテン118上に形成される3D部品に適用し、ビルド材料に影響を与えずに、支持体材料を溶解してすすぐことができる。
【0044】
各現像ステーション114、116は、(中間転写ベルト110の条件とは可能性として独立した)単一のベルト回転の間に連続的に材料のパターンを中間転写ベルト110の同じ位置に転写し、それによって十分かつ完全な画像が中間転写ベルト110に転写される前に中間転写ベルト110が行わなければならないパスの数を減らす。
【0045】
1つの例示的な個々の静電現像ステーション114、116は、中間転写ベルト110に隣接して(または可能性として接触して)位置付けられて図14に示される。個々の静電現像ステーション114、116のそれぞれは、内部感光体256上に均一な電荷を創出するそれ自体の荷電ステーション258、この均一な電荷をパターニングする内部露光デバイス260、およびビルドまたは支持体材料を感光体256に転写する内部現像デバイス254を含む。ビルドまたは支持体材料のパターンは、次いで、ビルドまたは支持体材料の電荷に対して中間転写ベルト110の反対の電荷によって感光体256から中間転写ベルト110に引き出され、それは通常中間転写ベルト110の反対側に電荷発生器132によって創出される。
【0046】
図14は、当業者に理解されるように、中間転写ベルト(110)に隣接するまたは接触する5つの現像ステーションを示すが、こうしたデバイスは、任意の数のマーキングステーション(例えば2、3、5、8、11など)を使用できる。
【0047】
故に、上記で示されるように、本明細書の例示的な三次元(3D)プリンタ204は、他の構成要素の中でも特に、中間転写ベルト(ITB110)、第1の材料(例えばビルド材料)をITB110に転写する現像ユニット116の第1の感光体256、および第2の材料(例えば支持体材料)をITB110に転写する現像ユニット114の第2の感光体256を含む。故に、露光デバイス260および現像デバイス254は、ビルド材料を第1の感光体に転写し、支持体材料を第2の感光体に転写する。ビルド材料は、ビルド材料が光開始剤および任意の架橋材料を含み、支持体材料が光開始剤を含まないことを除いて、支持体材料と同じである。ビルド材料および支持体材料の両方は、光開始剤を使用して架橋する紫外線(UV)架橋性ポリマートナーを含む。
【0048】
こうした3Dプリンタ204はまた、ITB110と接触するようにITB110に対して移動するプラテン118も含む。ITB110は、プラテン118がITB110と接触するたびにビルド材料および支持体材料102の連続層をプラテン118に転写し、最終的にこのプロセスはプラテン118上に3D対象物を構築する。
【0049】
少なくとも1つのヒータ120もこうした構造に含まれ、ヒータ120はプラテン118を加熱し、プラテン118に隣接するITB110の一部をビルド材料および支持体材料102のガラス転移温度に加熱した後、プラテン118がITB110と接触する。別のヒータ122はさらに、ITB110がビルド材料および支持体材料102をプラテン118に転写した後、プラテン118上のビルド材料および支持体材料102を、ビルド材料および支持体材料102のガラス転移温度と融点との間の温度に加熱し、これがプラテン118上に先に転写された材料にビルド材料および支持体材料102を定着させる。
【0050】
こうしたプリンタ204はまた、光124(例えばUV光源)を含む。プラテン118は、ITB110から光124へ移動し、次いで毎回プラテン118がITB110と接触した後に光124がプラテン118上のビルド材料および支持体材料102を露光し、これが、支持体材料102のポリマーを架橋することなく、ビルド材料のポリマーを架橋する。本明細書の種々のシステムは、支持体材料のみを溶解するために、およびビルド材料に影響を与えないように、3D対象物に溶媒を適用するすすぎステーション140を含む。架橋されているビルド材料のポリマーおよび架橋されていない支持体材料102のポリマーが、支持体材料を、ビルド材料とは異なる溶媒に対して選択的に可溶性にする。当業者は理解するように、図12に示される印刷デバイス204は、1つの例に過ぎず、本明細書のシステムおよび方法は、より少ない構成要素またはより多い構成要素を含んでいてもよい他のタイプの印刷デバイスにも等しく適用可能である。
【0051】
一部の例示的な構造が添付の図面に示されるが、当業者は、図面が単純化された概略図であること、および以下に示される特許請求の範囲が、示されていないが、こうしたデバイスおよびシステムと共に共通して利用されるさらに多くの特徴(または可能性としてさらに少ない)を包含する。故に、出願人は、以下に示す特許請求の範囲を添付の図面によって限定することを意図しないが、代わりに、添付の図面は特許請求された特徴を実施できるようないくつかの方法を示すためだけに提供される。
【0052】
米国特許第8,488,994号明細書に示されるように、電子写真を用いて、3D部品を印刷するための付加製造システムは既知である。システムは、表面を有する光伝導体構成要素および現像ステーション(ここで現像ステーションはこの光伝導体構成要素の表面に材料の層を現像するように構成される)を含む。システムはまた、回転可能な光伝導体構成要素の表面から現像された層を受容するように構成された転写媒体、および受容された層の少なくとも一部から3D部品を印刷するためにレイヤー・バイ・レイヤーの様式で転写構成要素から現像された層を受容するように構成されたプラテンを含む。
【0053】
UV硬化性トナーに関して、米国特許第7,250,238号明細書に開示されるように、印刷プロセスにおいてUV硬化性トナー組成物を利用する方法と同様に、UV硬化性トナー組成物を提供することは既知である。米国特許第7,250,238号明細書には、種々のトナーエマルションアグリゲーションプロセスが開示されており、このプロセスは、実施形態においては、硬化できるトナーの発生を可能にし、すなわちUV放射線、例えば約100nm〜約400nmを有するUV光への露光によるものである。米国特許第7,250,238号明細書において、製造されるトナー組成物は、種々の印刷用途、例えば温度感受性包装およびホイルシールの製造に利用できる。米国特許第7,250,238号明細書において、実施形態は、任意の着色剤、任意のワックス、スチレンから得られたポリマー、およびブチルアクリレート、カルボキシエチルアクリレートおよびUV光硬化性アクリレートオリゴマーから選択されるアクリレートを含むUV硬化性トナー組成物に関する。加えて、これらの態様は、着色剤、例えば顔料、任意のワックスおよびUV硬化性脂環式エポキシドから得られるポリマーを含むトナー組成物に関する。
【0054】
さらに、米国特許第7,250,238号明細書は、UV硬化性トナー組成物を形成する方法に関する。この方法は、スチレン、ブチルアクリレート、カルボキシメチルアクリレート、およびUV硬化性アクリレートから選択されるポリマーのラテックスを調製する工程;ラテックスを任意の顔料および任意のワックスと組み合わせ、第1のシステムを形成する工程;凝集剤を第1のシステムに添加し、アグリゲーションを誘導して、第2のシステムに分散したトナー前駆体粒子を形成する工程;トナー前駆体粒子を、ポリマーのガラス転移温度より高い温度に加熱し、トナー粒子を形成する工程;トナー粒子を洗浄する工程;および場合によりトナー粒子を洗浄し、次いで乾燥する工程を含む。
【0055】
一部の例示的な構造が添付の図面に示されるが、当業者は、図面が単純化された概略図であること、および以下に示される特許請求の範囲が、示されていないが、こうしたデバイスおよびシステムと共に共通して利用されるさらに多くの特徴(または可能性としてさらに少ない)を包含する。故に、出願人は、以下に示す特許請求の範囲を添付の図面によって限定することを意図しないが、代わりに、添付の図面は特許請求された特徴を実施できるようないくつかの方法を示すためだけに提供される。
【0056】
多くのコンピュータ処理デバイスは上記で議論される。チップに基づく中央処理装置(CPU)、インプット/アウトプットデバイス(グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、メモリ、コンパレータ、タンジブルプロセッサなどを含む)を含むコンピュータ処理デバイスは、周知であり、製造者、例えばDell Computers,Round Rock TX,USAおよびApple Computer Co.,Cupertino CA,USAによって製造される容易に入手可能なデバイスである。こうしたコンピュータ処理デバイスは、一般に、インプット/アウトプットデバイス、電源、タンジブルプロセッサ、電子記憶メモリ、配線などを含み、その詳細は、読者が本明細書に記載されるシステムおよび方法の顕著な態様に集中できるように、ここでは省略する。同様に、プリンタ、コピー機、スキャナおよびその他の同様の周辺機器は、Xerox Corporation,Norwalk,CT,USAから入手可能であり、こうしたデバイスの詳細は、簡略にし、読者を集中させるために本明細書では議論しない。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語プリンタまたは印刷デバイスは、いずれかの装置、例えばデジタルコピー機、製本機、ファックス機、多機能機などを包含し、これらは任意の目的のためにプリント表示機能を果たす。プリンタ、印刷エンジンなどの詳細は周知であり、示された顕著な特徴に本開示の焦点を絞り続けるために、本明細書では詳細に記載されない。本明細書のシステムおよび方法は、色、モノクロ印刷を行いまたはカラーまたはモノクロ画像データを取り扱うシステムおよび方法を包含できる。前述のすべてのシステムおよび方法は、静電複写および/または電子写真機および/またはプロセスに具体的に適用可能である。
【0058】
本発明の趣旨上、用語固定は、コーティングの乾燥、硬化、重合、架橋、結合または付加反応または他の反応を意味する。加えて、本明細書に使用される「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「上方」、「下方」、「下」、「未満」、「下にある」、「上」、「上にある」、「平行」、「垂直」などのような用語は、(特に断らない限り)図面において配向され、示されるような相対位置であることが理解される。「接触」、「の上に」、「直接接触して」、「隣接した」、「直接隣接した」などの用語は、少なくとも1つの要素が、(記載される要素を分離する他の要素を含まず)別の要素と物理的に接触することを意味する。さらに、自動化または自動的にという用語は、一旦プロセスが始動したら(機械またはユーザによって)、1つ以上の機械は、いずれかのユーザからのさらなるインプットがなければプロセスを行うことを意味する。本明細書の図面において、同じ識別数表示は、同じまたは同様のアイテムを同定する。
【0059】
上記で開示されたおよび他の特徴および機能、またはこれらの変更は、望ましくは、多くの他の異なるシステムまたは用途に組み合わせられ得ることが理解される。種々の現在予見できないまたは予期せぬ代替、変更、変形または改善は、当業者によって後に行われてもよく、これらはまた以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図する。特定の請求項自体に具体的に定義されない限り、本明細書のシステムおよび方法の工程または構成要素は、いずれかの特定の順序、数、位置、サイズ、形状、角度、色または材料に対する限定として、上記いずれの例からも暗示され得ることも取り込まれ得ることもない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14