(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769924
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】車高制御システム
(51)【国際特許分類】
B60G 17/015 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
B60G17/015 C
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-99863(P2017-99863)
(22)【出願日】2017年5月19日
(65)【公開番号】特開2018-192989(P2018-192989A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2019年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】神田 亮
(72)【発明者】
【氏名】徳満 淳
(72)【発明者】
【氏名】田中 渉悟
(72)【発明者】
【氏名】汐▲崎▼ 裕和
(72)【発明者】
【氏名】中村 友之
(72)【発明者】
【氏名】小久江 健
【審査官】
高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−185795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に対応して設けられた車高制御アクチュエータと、
その車高制御アクチュエータに圧力媒体を供給したり、前記車高制御アクチュエータから圧力媒体を排出させたりする圧力媒体給排装置と、
その圧力媒体給排装置と前記車高制御アクチュエータとの間に設けられた車高制御弁と、
その車高制御弁と前記圧力媒体給排装置との制御により、前記車高制御アクチュエータにおける圧力媒体の給排を制御することにより、前記車輪についての車高を制御する車高制御部と
を含む車高制御システムであって、
前記車高制御部が、前記圧力媒体給排装置の制御により、前記車高制御アクチュエータに、前記圧力媒体を供給または排出させた状態で、実際の車高の変化量である実変化量が、前記車高の制御における目標変化量より小さい制御用目標変化量に近づいた場合に、前記車高制御弁を閉とする給排制御部と、前記制御用目標変化量を、外気の温度に基づいて決定する目標変化量決定部とを含み、
前記目標変化量決定部が、前記制御用目標変化量を、前記温度が低い場合は高い場合より小さい値に決定するものであることを特徴とする車高制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪についての車高を制御する車高制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車高制御システムにおいては、車高が目標車高に対して低い場合に、エアシリンダにエアが供給されることにより車高が高くされ、車高が目標車高に対して高い場合に、エアシリンダからエアが排出させられることにより車高が低くされる。
特許文献2に記載の車高制御システムにおいては、車高を低くする車高制御において、目標車高である真の目標車高より大きい値が制御用目標車高とされて、実際の車高が制御用目標車高に近づいた場合に車高制御弁が閉とされる。上述の制御用目標車高は、車輪に加えられる荷重によって生じるオーバーシュートの大きさ(オーバーシュート量)に基づいて決定されるのであり、荷重が大きい場合は小さい場合より大きい値に決定される。また、車高を高くする車高制御において、制御用目標車高が真の目標車高より小さい値とされるが、制御用目標車高は、荷重が小さい場合は大きい場合より小さい値に決定される。このように、特許文献2に記載の車高制御システムにおいては、荷重によって生じるオーバーシュートに起因する実際の車高と真の目標車高との差を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−70615号公報
【特許文献2】特開2006−248278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、低温時にサスペンションのブッシュが硬くなることによって生じるオーバーシュートに起因する実際の車高の変化量と車高制御で決まる車高変化量の目標値との差を小さくすることである。
【0005】
本発明に係る車高制御システムにおいては、車高制御で決まる車高変化量の目標値である真の目標変化量より小さい値が制御用目標変化量とされ、その車高制御における実際の車高の変化量である実変化量が制御用目標変化量に近づいた場合に車高制御弁が閉とされる。また、制御用目標変化量は、外気の温度に基づいて決定される。
【0006】
車高制御アクチュエータを含むサスペンションには、複数のブッシュが含まれる。また、車高制御アクチュエータは、車輪側部材や車体側部材にブッシュを介して連結される。そのため、車高制御アクチュエータの作動により、ブッシュ等が弾性変形させられ、車高が変化させられる。しかし、ブッシュ等はゴム等で製造されたものであるため、温度が低い場合は高い場合より硬くなり、弾性変形し難くなる。そのため、例えば、車高を高くする車高制御であるアップ制御において、温度が低い場合は高い場合より、実変化量が目標変化量に近づき、車高制御弁が閉とされるまでの間に車高制御アクチュエータにより多くの圧力媒体が供給され、車高制御弁26が閉とされた時点の車高制御アクチュエータに収容された圧力媒体の圧力はより高くなる。その後、ブッシュ等が弾性変形し、車高が高くなり、圧力が低くなるのであり、オーバーシュートが生じる。このオーバーシュートの大きさであるオーバーシュート量は、温度が低い場合は高い場合より大きくなる。
【0007】
以上のことから、本車高制御システムにおいては、制御用目標変化量が温度に基づいて決定されるのであり、例えば、温度が低い場合は高い場合より、小さい値に決定される。その結果、低温時にサスペンションのブッシュが硬くなることによって生じるオーバーシュートに起因する実変化量と真の目標変化量との差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例1に係る車高制御システムを表す回路図である。
【
図2】上記車高制御システムの車高制御アクチュエータの周辺を表す図である。
【
図3】上記車高制御システムの車高制御ECUの周辺を表す概念図である。
【
図4】上記車高制御システムにおいて車高を低くするダウン制御が行われる状態を表す図である。
【
図5】上記車高制御システムにおいて車高を高くするアップ制御が行われる状態を表す図である。
【
図6】上記車高制御ECUの記憶部に記憶された車高制御プログラムを表すフローチャートである。
【
図7】上記記憶部に記憶された補正値決定テーブルを概念的に表すマップである。
【
図8】上記車高制御システムにおいて車高制御が行われた場合の車高の変化を表す図である。
【
図9】本発明の実施例2に係る車高制御システムにおいて、車高制御が行われた場合における車高とシリンダ圧との変化を表す図である。
【
図10】上記車高制御システムの記憶部に記憶された変数L(T)と温度との関係を表す図である。
【
図11】本発明の実施例3に係る車高制御システムの記憶部に記憶された補正値決定テーブルを表すマップである。
【
図12】従来の車高制御システムにおいて車高制御が行われた場合の温度に対する車高の変化を表す図である。
【
図13】従来の車高制御システムにおいて車高制御が行われた場合のタンク圧に対する車高の変化を表す図である。
【
図14】従来の車高制御システムにおいて車高制御が行われた場合の温度とヒステリシス幅との関係を示す図である。
【0009】
以下、本発明の一実施形態である車高制御システムについて図面に基づいて詳細に説明する。本車高制御システムにおいては、圧力媒体としてエアが利用される。
【実施例1】
【0010】
本実施例に係る車高制御システムにおいては、
図1,2に示すように、車両の左右前後の各々の車輪2FL,FR,RL、RRにおいて、サスペンションアーム4FL,FR,RL,RRと車体3との間に、それぞれ、車高制御アクチュエータとしてのエアシリンダ8FL,FR,RL,RRおよびショックアブソーバ10FL,FR,RL,RRと、図示しないサスペンションスプリングとが並列に設けられる。
以下、本明細書において、上述のエアシリンダ8、ショックアブソーバ10等について、車輪2の位置で区別する必要がある場合には、車輪2の位置を表す符号FL,FR,RL,RRを付して区別するが、車輪2の位置で区別する必要がない場合、総称を表す場合等には車輪2の位置を表す符号FL,FR,RL,RR等を省略して記載する。
【0011】
サスペンションアーム4は、例えば、車輪2にボールジョイントを介して連結されるとともに、車体3にゴムブッシュ3Xを介して連結される。また、ショックアブソーバ10は、アブソーバ本体と、アブソーバピストンとを含むが、アブソーバ本体は、サスペンションアーム4にゴムブッシュ4Xを介して取り付けられ、アブソーバピストン、エアシリンダ8のシリンダ本体11は、車体3にゴムブッシュ3Yを介して取り付けられる。
【0012】
エアシリンダ8は、それぞれ、上記シリンダ本体11と、シリンダ本体11に固定されたダイヤフラム12と、ダイヤフラム12およびショックアブソーバ10のアブソーバ本体に上下方向に相対移動不能に設けられたエアピストン14とを含み、これらの内部が圧力媒体室としてのエアチャンバ19とされる。
エアチャンバ19におけるエアの給排によりエアピストン14がシリンダ本体11に対して上下方向に相対移動させられ、それにより、ショックアブソーバ10においてアブソーバ本体とアブソーバピストンとが上下方向に相対移動させられるのであり、サスペンションアーム4と車体3との間の距離である車高が変化させられる。
【0013】
なお、上述のように、ショックアブソーバ10はサスペンションアーム4、車体3にゴムブッシュ4X,3Yを介して取り付けられるとともに、サスペンションアーム4は、車体3にゴムブッシュ3Xを介して連結される。そのため、車高が変化させられる場合には、これらゴムブッシュ3X,3Y,4X等も変形させられる。
【0014】
エアシリンダ8のエアチャンバ19には、それぞれ、個別通路20および共通通路22を介して圧力媒体給排装置としてのエア給排装置24が接続される。個別通路20には、それぞれ、車高制御弁26が設けられる。車高制御弁26は常閉の電磁弁であり、ソレノイドへの供給電流の制御により開閉させられる。開状態において、双方向のエアの流れを許容し、ソレノイドに電流が供給されない閉状態において、エアチャンバ19から共通通路22へのエアの流れを阻止するが、共通通路22の圧力がエアチャンバ19の圧力より設定圧以上高くなると共通通路22からエアチャンバ19へのエアの流れを許容するものである。
【0015】
エア給排装置24は、コンプレッサ装置30、排出弁としての排気弁32、タンク34、切換え装置36、吸気弁44、リリーフ弁46等を含む。
コンプレッサ装置30は、コンプレッサ40と、コンプレッサ40を駆動する電動モータ42とを含み、電動モータ42の駆動によりコンプレッサ40が作動させられる。コンプレッサ40の吐出圧が高くなると、リリーフ弁46を経てエアが大気へ放出される。
タンク34は、エアを加圧した状態で収容するものであり、収容されるエアの量が多くなると、その収容されたエアの圧力であるタンク圧が高くなる。
【0016】
切換え装置36は、共通通路22、タンク34、コンプレッサ装置30の間に設けられ、これらの間のエアの流れる方向等を切り換えるものである。
図1に示すように、共通通路22とタンク34とが、互いに並列に設けられた第1通路50と第2通路52とによって接続され、第1通路50に、直列に2つの回路弁61,62が設けられ、第2通路52に、直列に2つの回路弁63,64が設けられる。また、第1通路50の2つの回路弁61,62の間に第3通路65が接続され、コンプレッサ40の吸気側部40aに接続され、第2通路52の2つの回路弁63,64の間に、コンプレッサ40の吐出側部40bに接続された第4通路66が接続される。
回路弁61〜64は常閉の電磁弁であり、ソレノイドへの供給電流の制御により開閉させられる。回路弁61〜64のソレノイドに電流が供給される開状態において双方向のエアの流れを許容し、ソレノイドに電流が供給されない閉状態において、一方の側から他方の側へのエアの流れを阻止するが、他方の側の圧力が一方の側の圧力より設定圧以上高くなると、他方の側から一方の側へのエアの流れを許容するものである。
回路弁61,63は、閉状態においてタンク34からのエアの流出を阻止するものであり、回路弁62は、閉状態において、共通通路22からのエアの流出を阻止するものであり、回路弁64は、閉状態において共通通路22へのエアの供給を阻止するものである。
【0017】
第3通路65の接続部65sと大気との間には吸気弁44が設けられる。吸気弁44は、接続部65sのエアの圧力が大気圧以上の場合に閉、大気圧より低い場合に開とされる逆止弁である。コンプレッサ40の作動により接続部65sのエアの圧力が大気圧より低くなると、フィルタ43、吸気弁44を経て大気からエアが吸い込まれる。
第4通路66の接続部66sには排気弁32が接続される。排気弁32は常閉の電磁弁であり、開状態において、第4通路66から大気へのエアの排出が許容され、閉状態において、第4通路66から大気へのエアの排出が阻止されるが、第4通路66のエアの圧力が大気圧より設定圧以上低くなると大気から第4通路66へのエアの供給が許容される。
また、第4通路66の接続部66sより第2通路側の部分には、ドライヤ70と流れ抑制機構72とが直列に設けられる。流れ抑制機構72は、互いに並列に設けられた、差圧弁72vと絞り72sとを含む。差圧弁72vは、第2通路側からコンプレッサ側へのエアの流れを阻止し、コンプレッサ側の圧力が第2通路側の圧力より設定圧以上高くなると、コンプレッサ40から第2通路52へのエアの流れを許容する。
【0018】
本実施例において、車高制御システムは、コンピュータを主体とする車高制御ECU80によって制御される。車高制御ECU80はCAN(Controller Area Network)82を介して他のECU等との間で通信可能とされている。車高制御ECU80は、
図3に示すように、実行部80c、記憶部80m、入出力部80i、タイマ80t等を含み、入出力部80iには、温度センサ82、車高切換えスイッチ88、タンク圧センサ90、シリンダ圧センサ91、車高センサ93、乗降関連動作検出装置95等が接続されるとともに、通信装置96、イグニッションスイッチ98等がCAN82を介して接続される。また、電動モータ42が駆動回路100を介して接続されるとともに、排気弁32、車高制御弁26、回路弁61〜64のソレノイドが接続される。
【0019】
温度センサ82は、外気の温度を検出するものであり、例えば、トランクルーム内に設けることができる。ブッシュ3X,3Y,4X等の温度は、温度センサ82によって検出された外気温度とほぼ同じであると推定することができる。車高切換えスイッチ88は、運転者によって操作されるものであり、車高の、L(Low),N(Normal),H(High)のうちのいずれかへの変更を指示する場合に操作される。タンク圧センサ90は、タンク圧を検出するものであり、シリンダ圧センサ91は、共通通路22に設けられ、車高制御弁26の開において、その開にある車高制御弁26(車輪)に対応するエアシリンダ8のエアチャンバ19の圧力であるシリンダ圧を検出する。また、すべての車高制御弁26の閉状態においては共通通路22のエアの圧力を検出する。車高センサ93は、前後左右の各車輪に対応してそれぞれ設けられ、車高を検出する。乗降関連動作検出装置95は、乗降に関連する動作の有無を検出するものであり、車両に設けられた複数のドアの各々に対応して設けられ、そのドアの開閉を検出するドア開閉センサ(カーテシランプセンサ)102、複数のドアの各々のロック、アンロックを検出するドアロックセンサ103等を含むものとすることができる。ドアの開閉、ドアロック、アンロックの動作の有無等に基づいて乗車、降車、発進の意図等が推定される。通信装置96は、予め定められた通信可能領域内において、運転者等が所持する携帯機104との間で通信を行うものであり、通信により、ドアのロック、アンロックが行われる場合もある。
また、本実施例における車高制御システム等は、バッテリ110の電力により作動可能なものである。バッテリ110の電圧は電圧モニタ112によって検出されるが、電圧モニタ112は車高制御ECU80に接続される。
【0020】
本実施例に係る車高制御システムにおいては、車高センサ93によって検出された前後左右の各輪の各々についての実際の車高である実車高H*の変化量である実変化量ΔH*が、その車高制御で決まる車高の変化量の目標値である真の目標変化量ΔHrefaに近づくように、エア給排装置24、車高制御弁26が制御されるのであり、車高制御が行われる。真の目標変化量ΔHrefaは、その車高制御で決まる目標車高である真の目標車高Hrefaと、車高制御が開始された時点における実車高H*0との差として取得される。真の目標車高Hrefaは、車高制御の本来の要求を満たす高さであり、例えば、(a)車両の走行状態に基づいて決まる車高とされる場合、(b)車高切換えスイッチ88によって指示された車高とされる場合、(c)予め定められた高さ(例えば、乗降が容易となる高さ)とされる場合等がある。なお、車高制御によっては、真の目標変化量ΔHrefaが決まる場合もある。
【0021】
そして、(d)走行状態に基づいて決まる目標車高と実車高との差(真の目標変化量)が設定値以上の場合、(e)車高切換えスイッチ88の操作により指示された車高である目標車高と実車高との差(真の目標変化量)が設定値以上である場合、(f)人の乗降が推定された場合等の予め定められた乗降条件が成立した場合等に車高制御の開始条件が成立したとされて、車高制御が開始される。
【0022】
例えば、車高を低くする車高制御であるダウン制御が行われる場合には、
図4に示すように、電動モータ42の駆動によりコンプレッサ40を作動させ、回路弁61、64を閉、回路弁62,63を開とするとともに、制御対象輪に対応する車高制御弁26を開とする。制御対象輪(
図4においては前後左右の4輪が制御対象輪である場合について記載した。
図5においても同じ)のエアシリンダ8のエアチャンバ19から、エアが排出させられてタンク34に供給される。
また、車高を高くする車高制御であるアップ制御が行われる場合には、
図5に示すように、回路弁61〜64を開とするとともに、制御対象輪に対応する車高制御弁26を開とする。タンク34に蓄えられたエアは、制御対象輪のエアシリンダ8のエアチャンバ19に供給される。それにより、制御対象輪についての車高が高くなる。
【0023】
一方、車高は、ブッシュ3X,3Y,4X等の弾性変形に伴って変化させられる。しかし、ブッシュ3X,3Y,4X等は、ゴム等で製造されたものである。ブッシュ3X,3Y,4Xは、温度が低い場合は高い場合より硬くなるため、変形し難くなり、車高が変化し難くなる。その結果、アップ制御において、温度が低い場合は高い場合より、実変化量ΔH*が真の目標変化量ΔHrefaに近づき、車高制御弁26が閉とされるまでに、エアチャンバ19に多くのエアが供給され、車高制御弁26が閉とされた時点におけるシリンダ圧が高くなる。その後、ブッシュ3X,3Y,4X等が、シリンダ圧に釣り合うまで変形させられる。車高が高くなり、シリンダ圧が低くなるが、この車高の上昇量であるオーバーシュート量ΔHoは、
図12に示すように、温度が低い場合は高い場合より大きくなる。
【0024】
また、アップ制御においては、
図5に示すように、タンク34と制御対象輪のエアシリンダ2とが連通させられる。タンク圧が高い場合は低い場合より、エアシリンダ2に供給されるエアの流量が大きくなり、アップ制御における実変化量ΔH*が真の目標変化量ΔHrefaに近づき、車高制御弁26が閉とされた時点におけるシリンダ圧が高くなり易い。そのため、
図13に示すように、タンク圧が高い場合のオーバーシュート量(ΔHo1)は、タンク圧が低い場合のオーバーシュート量(ΔHo2)より大きくなる(ΔHo1>ΔHo2)。
このように、オーバーシュートが生じると、実変化量ΔH*と真の目標変化量ΔHrefaとの差が大きくなる。その結果、制御ハンチングが生じたり、オートレベリング機能の作動回数が多くなったりする。
【0025】
以上のことから、本実施例においては、アップ制御において、実変化量ΔH*が、真の目標変化量ΔHrefaより小さい制御用目標変化量ΔHrefsに近づいた場合に車高制御弁26が閉とされるようにした。なお、制御用目標変化量ΔHrefsとは、車高制御において用いられる目標変化量であり、本実施例においては、真の目標変化量ΔHrefaからオーバーシュート量に基づいて決まる補正値Haを引いた値である(ΔHrefs=ΔHrefa−Ha)。
【0026】
補正値Haは、オーバーシュート量、すなわち、温度とタンク圧とに基づいて決まる値である。本実施例においては、温度とタンク圧とを変化させた場合のオーバーシュート量がシミュレーションまたは実測により予め取得される。そして、取得されたオーバーシュート量に基づいて補正値Haが設定され、
図7に示す補正値決定テーブルが作成され、車高制御ECU80の記憶部80mに記憶される。
図7に示すように、補正値Haは、温度が低い場合は高い場合より大きく、かつ、タンク圧が高い場合は低い場合より大きい値とされる。例えば、タンク圧PTが設定圧PTsより低い場合(PT<PTs)において、補正値Haは、温度Tが0℃以上である場合(T≧0℃)には0とされ、温度Tが0℃より低くT1以上である場合(0>T≧T1)に0より大きい補正値Ha1とされ、温度TがT1より低い場合(T<T1)には補正値Ha1より大きい補正値Ha2とされる(Ha2>Ha1>0)。また、タンク圧PTが設定圧PTs以上である場合(PT≧PTs)において、温度Tが0℃以上である場合には補正値0、温度Tが0℃より低くT1以上である場合(0>T≧T1)に0より大きい補正値Ha3、温度TがT1より低い場合(T<T1)には補正値Ha3より大きい補正値Ha4とされる(Ha4>Ha3>0)。これら補正値Ha1、Ha2、Ha3、Ha4は、後述するように不感帯幅dHより大きい値とされている。なお、タンク圧が設定圧PTs以上である場合の補正値Ha3,Ha4は、それぞれ、タンク圧が設定圧PTsより低い場合の補正値Ha1,Ha2より大きく、かつ、補正値の差(Ha4-Ha3)は補正値の差(Ha2-Ha1)より大きい。
【0027】
図6のフローチャートで表す車高制御プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、車高センサ93によって、前後左右の4輪についての実際の車高である実車高H*がそれぞれ検出され、S2において、タンク圧センサ90によって実際のタンク圧PT*が検出され、S3において、温度センサ82によって実際の外気の温度T*が検出される。そして、S4において、車高制御中であるか否かが判定される。車高制御中でない場合には、S5において、車高制御の開始条件が成立するか否かが判定される。
【0028】
開始条件が成立しない間、S1〜5が繰り返し実行されるが、そのうちに、開始条件が成立した場合には、S5の判定がYESとなり、S6において、真の目標変化量ΔHrefaが決定され、S7において、
図7に示す補正値決定テーブルと、タンク圧PT*、温度T*とに基づいて補正値Haが決定され、S8において、制御用目標変化量ΔHrefsが決定される。その後、S9において、開始処理が行われるのであり、エア給排装置24が制御され、制御対象輪の車高制御弁26が開とされ、
図5に示す状態とされる。
【0029】
次に、S1〜4が実行され、S10において、車高制御の終了条件が成立するか否かが判定される。実車高H*の変化量である実変化量ΔH*が制御用目標変化量ΔHrefsと不感帯幅dHとで決まる範囲内に達した場合(ΔHrefs+dH≧ΔH*≧ΔHrefs−dH)、すなわち、制御用目標変化量ΔHrefsに近づいた場合に、終了条件が成立したと判定される。
終了条件が成立しない間、S1〜4,10が繰り返し実行され、終了条件が成立した場合には、S11において、終了処理が行われるのであり、車高制御弁26が閉とされ、回路弁61〜64が閉とされる。
【0030】
以上のように、本実施例においては、車高制御が車高変化量に基づいて行われるが、車高に基づいて行われるようにすることができる。例えば、S6において、真の目標車高Hrefaが取得され、S8において、制御用目標車高Hrefsが取得される。制御用目標車高Hrefsは、車高制御において用いられる目標車高であり、実車高H*が制御用目標車高Hrefsに近づいた場合に車高制御弁26が閉とされる。アップ制御において、真の目標車高Hrefaと真の目標変化量ΔHrefaとの間には(1)式(ΔHrefa+ H*0=Hrefa)が成立し、制御用目標車高Hrefsと制御用目標変化量ΔHrefsとの間には(2)式(ΔHrefs+ H*0=Hrefs)が成立する。また、制御用目標変化量ΔHrefsと真の目標変化量ΔHrefaとの間には、(3)式(ΔHrefs=ΔHrefa-Ha)が成立する。(3)式に、(1)式、(2)式を代入することにより、制御用目標車高Hrefsと真の目標車高Hrefaとの間の関係式(Hrefs=Hrefa-Ha)式が得られる。以上のように、制御用目標変化量ΔHrefsの決定は、制御用目標車高Hrefsの決定に対応する。また、S10において、実車高H*が、制御用目標車高Hrefsと不感帯幅とに基づいて決まる範囲内(Hrefs+dH≧H*≧Hrefs−dH)に入ったか否かが判定される。
【0031】
上記車高制御プログラムが実行され、アップ制御が行われた場合の車高の変化を
図8に示す。温度T*、タンク圧PT*、
図7の補正値決定テーブルに従って補正値Haが決定され、決定された補正値Haと、目標変化量ΔHrefa(目標車高Hrefa)とに基づいて制御用目標変化量ΔHrefs(制御用目標車高Hrefs)が決定される。
例えば、温度が−30℃である場合には、補正値がHa(-30)に、制御用目標変化量(制御用目標車高)がΔHrefs(-30){Hrefs(-30)}に決定され、温度が−15℃である場合には、補正値がHa(-15)に、制御用目標変化量(制御用目標車高)がΔHrefs(-15) {Hrefs(-15)}に決定され、温度が0℃である場合には、補正値が0に決定されるため、制御用目標変化量(制御用目標車高)は真の目標変化量ΔHrefa(真の目標車高Hrefa)と同じになる{ΔHrefa=ΔHrefs(0)、Hrefa=Hrefs(0)}。制御用目標変化量(制御用目標車高)は、ΔHrefs(-30)、ΔHrefs(-15)、ΔHrefs(0){Hrefs(-30)、Hrefs(-15)、Hrefs(0)}の順に大きくなる。そして、アップ制御中の実変化量ΔH*(実車高H*)が制御用目標変化量(制御用目標車高)ΔHrefs (Hrefs)に近づいた場合に、車高制御弁26が閉とされるが、
図8に示すように、その後に、オーバーシュートが生じることにより、実変化量ΔH*(実車高H*)を真の目標変化量(真の目標車高)ΔHrefa(Hrefa)に近づけることができる。その結果、制御ハンチングを抑制したり、オートレベリング機能の作動回数を減らしたりすること等ができる。
【0032】
以上のように、本実施例において、車高センサ93、タンク圧センサ90、温度センサ82、車高制御ECU80の
図7の補正値決定テーブルを記憶する部分、
図6のフローチャートで表される車高制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により車高制御部が構成され、そのうちの、S11を記憶する部分、実行する部分等により給排制御部が構成され、
図7の補正値決定テーブルを記憶する部分、S2,3,7,8を記憶する部分、実行する部分等により目標変化量決定部が構成される。
【0033】
なお、
図6のフローチャートにおいて、S7,8のステップは、S4の判定がYESとなった場合にも実行されるようにすることができる。その場合には、制御用目標変化量ΔHrefsが制御中の温度やタンク圧の変化に伴って変わるようにすることができる。
また、補正値決定テーブルにおいて、温度が0℃以上である場合の補正値が0とされているが、温度0℃以上である場合の補正値を0より大きい値とすることもできる。さらに、補正値は温度の変化に伴って連続的に変化する値とすることもできる。
また、ダウン制御においてもアップ制御における場合と同様に、オーバーシュートに基づいて制御用目標変化量が設定され、実変化量が制御用目標変化量に近づいた場合に車高制御弁26が閉とされるようにすることができる。
【実施例2】
【0034】
本実施例においては、車高制御が車高に基づいて行われる。また、制御用目標車高Hrefsが車高とシリンダ圧との変化のヒステリシスに基づいて決定される。
車高とシリンダ圧との変化の一例を
図9に示す。
図9には、−30℃、−15℃、0℃、20℃の各々において、実際の車高である実車高H*が真の目標車高Hrefaに近づいた場合に車高制御弁26が閉とされる場合の、実車高H*とシリンダ圧Pcとの変化を示す。
【0035】
アップ制御において、エアチャンバ19へのエアの供給に伴ってシリンダ圧Pcが増加し、車高H*が高くなるが、例えば、温度が−15℃である場合において、点P(-15)に達し、実車高H*が真の目標車高Hrefaに近づいた場合に、車高制御弁26が閉とされる。しかし、その後、さらに、車高H*が高くなり、シリンダ圧Pcが低下し、点Q(-15)に達する。そして、ダウン制御が行われ、エアチャンバ19からエアが流出させられることにより、シリンダ圧Pcが低下し、車高H*が低くなる。温度が−30℃である場合において、点P(-30)に達し、実車高H*が真の目標車高Hrefaに近づいた場合に、車高制御弁26が閉とされるが、その後、点Q(-30)に達するまで、車高H*が高くなり、シリンダ圧Pcが低下する。この車高制御弁26が閉とされてから車高とシリンダ圧とが釣り合うまで(点P〜点Qの間の部分)における車高の変化量に対するシリンダ圧の変化量の比率(グラフの勾配)−K(シリンダ圧の変化量ΔPc/車高の変化量ΔH)は、
図9に示すように、温度によらず、ほぼ一定であることが知られている。
また、
図9,14から、温度が低い場合は温度が高い場合より、ヒステリシスが大きいことがわかる。
【0036】
このシリンダ圧Pcと車高H*とがつり合う点Qは、車輪に加えられる荷重Fpと、シリンダ圧に応じた力F(Pc)、サスペンションスプリングの弾性力F(S)およびブッシュの弾性力F(V)の合力とがほぼ同じになる点である。
Fp=F(Pc)+F(S)+F(V)
車高が高くなると、サスペンションスプリングの弾性力、ブッシュの弾性力は小さくなり、シリンダ圧は高くなる。そのため、理論的に、車高と、シリンダ圧とが、
図9の細線A上に位置する場合に上式が成立する。
【0037】
例えば、真の目標車高Hrefaとシリンダ圧Pcとが釣り合う点は、車高Hrefaを表す線(細い一点鎖線L)と細線Aとが交差する点Bである。すなわち、点Bの車高Hrefaとシリンダ圧PcBとが釣り合う。そして、点Bを通って、傾き−Kの直線(細い破線E)を引いて、破線Eと、温度が−15℃である場合のシリンダ圧と車高との変化を示す線(太い一点鎖線)との交点Cが、アップ制御を終了させる点である。すなわち、アップ制御が開始されて、交点Cに達した場合に車高制御弁26が閉とされた場合には、その後の車高の増加と、シリンダ圧の減少とにより、点Bに達するのである。
【0038】
以上のことから、本実施例においては、シリンダ圧と車高との関係、温度、真の目標車高Hrefa、細線A、破線Eを使って、シリンダ圧と車高との関係を表すグラフと、破線Eとの交点を取得し、交点の車高が制御用目標車高Hrefs(-15)とされる。また、温度が−30℃である場合には、破線Eとシリンダ圧と車高との関係を表すグラフ(太い実線)との交点Dの車高が制御用目標車高Hrefs(-30)とされる。
【0039】
本実施例において、補正値Haは、傾き−Kの絶対値Kの逆数(1/K)にシリンダ圧の低下量ΔPcを掛けた値に対応する。また、シリンダ圧の低下量ΔPcは、
図9に示すように、温度が低い場合は高い場合より大きくなる、換言すれば、ヒステリシスが大きい場合は小さい場合より大きくなる値である。そこで、本実施例においては、点Pから点Qに達するまでのシリンダ圧の低下量ΔPcに応じた値、換言すれば、ヒステリシスに応じた値を係数L(T)として、予め取得して、テーブル化して記憶部80mに記憶させた。この係数決定テーブルの一例を
図10に示す。
図10に示すように、係数L(T)は、温度が低く、ヒステリシスが大きい場合は、温度が高く、ヒステリシスが小さい場合より、大きい値である。
以上のことから、補正値Haが下式に示すように表され、
Ha=L(T)×1/K
制御用目標車高Hrefsは下式に従って求めることができる。
Hrefs=Hrefa-L(T)×1/K
【0040】
このように、本実施例において、制御用目標車高Hrefsが真の目標車高Hrefaよりヒステリシスに基づいて決まる補正値Haだけ小さい値とされ、実車高H*が制御用目標車高Hrefsに近づいた場合に車高制御弁26が閉とされる。その後のオーバーシュートにより、実車高H*が真の目標車高Hrefaに近づくのであり、実車高H*と真の目標車高Hrefaとの差を小さくすることができる。
【実施例3】
【0041】
本実施例においては、制御用目標変化量ΔHrefsが、タンク圧が低い場合は高い場合より、小さい値に決定される。換言すれば、補正値Haが、タンク圧が低い場合は高い場合より大きい値に決定されるのである。タンク圧が低い場合は高い場合に比較して、アップ制御に要する時間が長くなる。また、タンク圧が非常に低い場合には、実変化量ΔH*が制御用目標変化量ΔHrefsに近づくことができない場合もある。そのため、タンク圧が低い場合には高い場合より、補正値Haが大きくされて、制御用目標変化量ΔHrefsが小さくされるのである。
【0042】
本実施例における補正値決定テーブルの一例を
図11に示す。本実施例においては、補正値Haは、温度が低い場合は高い場合より大きく、かつ、タンク圧が低い場合は高い場合より、大きい値に決定される。具体的には、温度Tが0℃以上である場合(T≧0)において、タンク圧PTが設定圧PTb以上である場合(PT≧PTb)には補正値が0とされ、タンク圧PTが設定圧PTbより低い場合(PT<PTb)には0より大きい補正値がHa5とされる。また、温度Tが0℃より低くT1以上である場合(0>T≧T1)において、タンク圧PTが設定圧PTb以上である場合には補正値がHa5とされ、タンク圧PTが設定圧PTbより低い場合には補正値がHa5より大きいHa6とされる(Ha5<Ha6)。また、温度Tが温度T1より低い場合(T<T1)において、タンク圧PTが設定圧PTb以上である場合には補正値がHa6とされ、タンク圧PTが設定圧PTbより低い場合には補正値がHa6より大きいHa7とされる(Ha5<Ha6)。なお、補正値の差(Ha6-Ha5)と補正値の差(Ha7-Ha6)とはほぼ同じである。
【0043】
以上のように、本実施例においては、タンク圧が低い場合に高い場合より、補正値が大きい値とされ、制御用目標変化量が小さい値とされる。その結果、車高制御時間が長くなったり、制御用目標車高に到達しなかったりすることを良好に回避することができる。
【0044】
なお、補正値は、温度やタンク圧の変化に伴って連続的に変化する大きさに決定することもできる等本発明は、上述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
3,4:ブッシュ 8:エアシリンダ 19:チャンバ 24:エア給排装置 26:車高制御弁 34:タンク 80:車高制御ECU 90:タンク圧センサ 93:車高センサ 95:乗降関連動作検出装置 99:車速センサ 102:ドア開閉センサ 104:ドアロックセンサ
【0046】
以下の各項に、特許請求可能な発明について説明する。
(1)車両の車輪に対応して設けられた車高制御アクチュエータと、
その車高制御アクチュエータに圧力媒体を供給したり、前記車高制御アクチュエータから圧力媒体を排出させたりする圧力媒体給排装置と、
その圧力媒体給排装置と前記車高制御アクチュエータとの間に設けられた車高制御弁と、
その車高制御弁と前記圧力媒体給排装置との制御により、前記車高制御アクチュエータにおける圧力媒体の給排を制御することにより、前記車輪についての車高を制御する車高制御部と
を含む車高制御システムであって、
前記車高制御部が、前記圧力媒体給排装置の制御により、前記車高制御アクチュエータに、前記圧力媒体を供給または排出させた状態で、実際の車高の変化量である実変化量が、前記車高の制御における目標変化量より小さい制御用目標変化量に近づいた場合に、前記車高制御弁を閉とする給排制御部と、前記制御用目標変化量を、外気の温度に基づいて決定する目標変化量決定部とを含むことを特徴とする車高制御システム。
本項に記載の車高制御システムには、(a)車高制御における実際の車高の変化量である実変化量が制御用車高変化量に近づいた場合に、車高制御弁が閉とされる車高制御システム、(b)アップ制御において、実際の車高である実車高が真の目標車高より低い制御用目標車高に近づいた場合に、車高制御弁が閉とされる車高制御システム、(c)ダウン制御において、実車高が真の目標車高より高い制御用目標車高に近づいた場合に、車高制御弁が閉とされる車高制御システム等が含まれる。
【0047】
(2)前記目標変化量決定部が、前記制御用目標変化量を、前記温度が低い場合は高い場合より小さい値に決定するものである(1)項に記載の車高制御システム。
【0048】
(3)前記圧力媒体給排装置が、前記圧力媒体を加圧して収容するタンクを備え、前記目標変化量決定部が、前記制御用目標変化量を、さらに、前記タンクに収容された圧力媒体の圧力であるタンク圧が高い場合は低い場合より、小さい値に決定するものである(1)項または(2)項に記載の車高制御システム。
温度が同じ場合において、タンク圧が高い場合は低い場合より制御用目標変化量が小さい値に決定される。
【0049】
(4)前記目標変化量決定部が、前記制御用目標変化量を、前記車高制御アクチュエータに収容された圧力媒体の圧力であるアクチュエータ圧と、前記車高との変化のヒステリシスが大きい場合は小さい場合より、小さい値に決定するものである(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車高制御システム。
【0050】
(5)前記圧力媒体給排装置が、前記圧力媒体を加圧して収容するタンクを備え、前記車高制御部が、前記制御用目標変化量を、前記タンクに収容された圧力媒体の圧力であるタンク圧が低い場合は高い場合より、小さい値に決定するタンク圧不足時決定部を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車高制御システム。
タンク圧が低い場合はタンク圧不足に起因して、実変化量を目標変化量に近づけるために要する時間が長くなる。また、実変化量を目標変化量に近づけることが困難な場合もある。そこで、本項に記載の車高制御システムにおいては、タンク圧が低い場合は高い場合より、制御用目標車高が低い値とされ、車高制御に要する時間が長くなり難くすることができる。