(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動接点は、前記上側接触部よりも前記可動接点の径方向外側にあって、前記キー本体の押し込みによって、前記上側接触部の接する前記接点の径方向外側に配置される別の接点に接触可能となるように、前記別の接点と接触若しくは非接触の状態で対向させて配置される外側接触部を、さらに備える請求項1に記載の押釦スイッチ用部材。
前記可動接点は、その平面視にて中央部を含む領域に第一貫通孔を有しており、前記操作キーの押し込みによって前記第一貫通孔の周囲にて前記キー本体と接触する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の押釦スイッチ用部材。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る押釦スイッチ用部材の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る押釦スイッチ用部材を構成する操作キーの透過平面図(1A)および当該透過平面図内のA−A線で切断したときのA−A線断面図(1B)をそれぞれ示す。
図2は、第1の実施形態に係る押釦スイッチ用部材を構成するドーム状の可動接点の平面図(2A)および当該平面図内のB−B線で切断したときのB−B線断面図(2B)をそれぞれ示す。
図3は、
図1の操作キーの下方に
図2のドーム状の可動接点を固定した第1の実施形態に係る押釦スイッチ用部材を回路基板上に配置した状態の透過平面図、当該透過平面図内のC−C線で切断したときのC−C線断面図および当該透過平面図内のD−D線で切断したときのD−D線断面図をそれぞれ示す。
図4は、
図3の押釦スイッチ用部材を裏側斜め方向から見た裏面斜視図を示す。なお、以後、「上」、「上方」あるいは「上側」は、基板から押釦スイッチ用部材に向かう方向を意味する。「下」、「下方」あるいは「下側」は、押釦スイッチ用部材から基板に向かう方向を意味する。また、「径方向外側」は、特定の対象物の平面視にて中心から仮想円を描いたときの仮想円の拡径方向を意味する。「径方向内側」は、上述の仮想円の縮径方向を意味する。「平面視にて」とは、基板に押釦スイッチ用部材を配置した側の面を上にして、上方から見たときを意味する。
【0025】
第1の実施形態に係る押釦スイッチ用部材30は、ドーム状の可動接点(以後、単に、「可動接点」という)20と、可動接点20の突出側に離間して対向配置される操作キー10とを備え、操作キー10を可動接点20の方向に押圧して、可動接点20を基板(回路基板ともいう)40上の少なくとも2つの接点41,42を導通させる押釦スイッチ用部材である。
【0026】
(1)操作キー
操作キー10は、キー本体11と、キー本体11の外周囲に接続されており、当該キー本体11の基板40側への押圧によって変形可能に構成されるドーム部12と、ドーム部12の外周囲に接続され、基板40上に固定される足部14と、を備える。また、操作キー10は、好ましくは、
図1に示すように、ドーム部12と足部14との間に、基板40と隙間を介在して対向する2つの中間部13を備える。2つの中間部13は、操作キー10の平面視にて中央部を挟んで対向する位置に形成されており、可動接点20との接続部位に相当する。操作キー10は、中間部13の上方に、下方に窪む凹部15を備えている。このため、中間部13は、足部14の上下方向の長さ(厚さ)よりも薄く形成されている。凹部15に対応する中間部13は、可動接点20における後述の帯部25との接着箇所となる。操作キー10を押圧操作すると、ドーム部12が次第に変形し、これに伴い、下方変形力と、足部14がXY方向の外側へ力が働き変形しようとする力が働く。中間部13を薄くして小さな力で伸びやすく変形することにより、可動接点20の固定部に係る応力を低減させることができ、その結果、可動接点20の下方への応力と外側へ引っ張られる方向への力を逃がすことができる。この実施の形態では、凹部15を設けることで中間部13を薄型化しており、可動接点の帯部25と足部14の間にクリアランス(中間部13の薄膜部)をも設けている。ただし、凹部15は、必須の構成ではなく、例えば、可動接点20を押圧変形させるよりも大きな荷重でスイッチを入れるようにする用途の場合、ドーム部12の厚さを変更するなどの他の手段を講じて当該用途に合致した押釦スイッチ用部材30を作製するために、ドーム部12の厚さの変更と凹部15の形成、ドーム部12の厚さの変形と凹部15の非形成、あるいはドーム部12の厚さの非変更と凹部15の非形成などの手段を用いることができる。
【0027】
キー本体11は、略直方体の形状を有しており、基板40から浮上した状態でドーム部12に支持されている。キー本体11は、平面視にて略中央下側に、基板40に向かって略円柱状に突出した押し子16を備える。また、操作キー10は、キー本体11の下部(押し子16の位置)に、キー本体11の下動にて、後述する照光手段を収納可能な凹部17を備える。凹部17は、押し子16の下面の略中央部分から上方に向かって窪む。凹部17の面積は、押し子16の下面の面積よりも小さい。凹部17は、その底面をキー本体11の上面近傍まで到達させているが、キー本体11を貫通してはいない。ドーム部12は、角筒形状を有し、キー本体11側から基板40側に貫通し、かつ基板40側に向かって拡径する部材である。ドーム部12は、キー本体11を基板40の方向に押し下げると、その途中でドーム部12が変形し、その後、押し下げを解除すると元の形状に戻るように設計された薄肉状の弾性材料から成る。この実施形態では、ドーム部12を含む操作キー10全体を弾性材料から構成するが、ドーム部12のみを弾性材料で構成しても良い。足部14は、平面視にて長方形(正方形も含む)の薄板であり、中間部13以外の部位を基板40に接触させる形状を有する。
【0028】
操作キー10は、その構成材料として、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴムあるいはスチレンブタジエンゴム等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系あるいはフッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を用いるのが好ましい。上記以外の操作キー10の構成材料として、スチレンブタジエンゴム(SBR)あるいはニトリルゴム(NBR)を用いても良い。また、上記構成材料に、酸化チタン、カーボンブラックに代表されるフィラーを混ぜても良い。基板40上のLED(照光手段の一例)50から発する光を操作キー10の外方向に透光させるには、操作キー10の少なくとも一部を透光性とする。操作キー10全体をシリコーンゴムなどの透光性材料から構成すれば、LED50から操作キー10の任意の場所を通じて発光可能である。一方、操作キー10の構成材料に透光性の低い材料を用いた場合であっても、凹部17の底面とキー本体11の上面との厚さを薄く形成すれば、LED50から凹部17の方向にのみ透光させることも可能である。
【0029】
(2)可動接点
可動接点20は、平面視にて長方形(正方形を含む)であって、対向する2辺から帯状に径方向外側に延出する帯部25を備える。また、可動接点20は、平面視にて略中央部分をキー本体11側に突出させたドーム形状を有する。可動接点20は、その平面視にて中央部を含む領域に、上下方向に貫通する略円形の第一貫通孔22を有する。第一貫通孔22は、押し子16よりも小さい面積で形成されている。このため、操作キー10を基板40側に押し込むと、キー本体11の下側に位置する押し子16は、第一貫通孔22の周囲に接触でき、可動接点20の第一貫通孔22周辺を基板40方向に押し下げることができる。なお、第一貫通孔22は、可動接点20の平面視にて中央部を含む限り、第一貫通孔22の中心と可動接点20の中央部とを一致させるように形成しなくとも良い。以後、他の実施形態でも同様である。
【0030】
可動接点20は、第一貫通孔22の周囲にあって円環状かつドーム形状の上側接触部21と、上側接触部21の外周囲に平面視にて円環状に形成されていて下方に急角度で曲がる段差部23と、段差部23の径方向外側に連接する裾板部24と、を備える。上述の帯部25は、裾板部24より径方向外側へと延出しており、上側接触部21より径方向外側にあって、操作キー10のキー本体11よりも径方向外側に固定される外側固定部に相当する。帯部25は、操作キー10の中間部13に固定可能に、可動接点20に形成されている。このため、可動接点20と操作キー10との接続部は、可動接点20の帯部25のみである。上側接触部21は、操作キー10の下方に可動接点20を固定した際に、キー本体11の直下部位(押し子16の位置)と離間して配置される部位であって、キー本体11の押し込みによって接点(第二接点という)42と接触することができる。また、可動接点20が押圧されて反転したときに、可動接点20の端部の振動が当該端部と接する弾性部材により吸収される。このため、可動接点20の操作音が小さくなり、もって優れた消音効果を発揮することができる。これ以後の実施の形態において、重複した説明を省くが、同様の効果が得られる。この際、段差部23は、上側接触部21の撓み変形の支点となり得る。
【0031】
可動接点20は、上側接触部21よりも可動接点20の径方向外側にあって、キー本体11の押し込みによって、上側接触部21の接する第二接点42の径方向外側に配置される別の接点(第一接点という)41に接触可能となるように、第一接点41と非接触の状態で対向させて配置される外側接触部26を、さらに備えるのが好ましい。外側接触部26と第一接点41との隙間は、操作キー10の基板40の方向への押し込みの際に外側接触部26と第一接点41とが接触可能であれば、特に制約されない。この実施形態では、外側接触部26と第一接点41との隙間を0.03〜0.1mmの範囲内としている。なお、外側接触部26は、第一接点41と接触していても良い。
【0032】
外側接触部26は、
図2に示すように、可動接点20の裾板部24を上面から下面に向かって凹ませて形成されるカップ形状部位である。外側接触部26は、裾板部24の四つ角に1個ずつ、合計4個形成されている。このため、キー本体11の押し込み時に、可動接点20は、4箇所で第一接点41と接触できる。ただし、外側接触部26の数は、1個以上であれば、特に限定されない。可動接点20と第一接点41との接触時に、可動接点20が傾かないようにするためには、外側接触部26を可動接点20の中央を挟んで対向する位置に2個1組で、1組若しくは2組以上備えるのがより好ましい。なお、外側接触部26を備えずに、上側接触部21等の他の部位を第一接点41に接触可能に構成することもできる。このような構成については、後述の別の実施形態で説明する。
【0033】
可動接点20は、その構成材料として、導電性を有する金属材料を用いることができる。例示的な金属材料としては、ステンレススチール、アルミニウム、アルミニウム合金、炭素鋼、銅、銅合金(青銅、りん青銅、黄銅、白銅、洋白など)、銀あるいは上記金属から選択される2以上の合金を挙げることができる。特に好ましい金属材料はSUS301であるが、SUS301以外のオーステナイト系ステンレススチール、あるいはマルテンサイト系ステンレススチール、フェライト系ステンレススチール若しくはアーステナイト−フェライト二相系ステンレススチール等を用いても良い。また、可動接点20を樹脂ベースの材料から構成しても良い。例えば、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートあるいはポリカーボネート等の透明な樹脂の一面に、カーボン、銀あるいは銅の膜を形成して、逆椀状に成形加工を施して可動接点20を製造することもできる。可動接点20を金属あるいは樹脂のいずれで構成する場合であっても、可動接点20の少なくとも固定電極接触面側の表面を、耐食性、耐塵性あるいは導電性の安定化のために、メッキや蒸着等の表面処理を単層または複層で施すことができる。当該表面処理としては、金めっき(厚さ:約0.05μm)と封孔処理との併用が特に好ましい。金めっきの厚みは、耐食性の観点においては、理論的には厚い程望ましい。しかし、現実的にはコストの観点から制約され、0.01μm以上1.00μm以下、好ましくは0.03μm以上0.50μm以下、さらに好ましくは0.05μm以上0.30μm以下である。上記以外の例示的な表面処理としては、金めっき、ニッケルめっきと金めっきと封孔処理、ニッケルめっきと金めっき、ニッケルめっき、銀めっき、ニッケルめっきと銀めっき、銀めっきと封孔処理(硫化防止処理(=変色防止処理))、ニッケルめっきと銀めっきと封孔処理(硫化防止処理(=変色防止処理))、カーボン系導電インク若しくはカーボン系導電塗料の塗布を挙げることができる。また、表面処理に、金合金、銀合金、パラジウム、パラジウム合金、タングステンあるいはタングステン合金を用いても良い。
【0034】
(3)基板
図3に示すように、基板40は、好ましくは、可動接点20の第一貫通孔22の直下位置に、照光手段としてのLED50を固定する。基板40は、LED50の外周囲に第二接点42を、その第二接点42の外周囲に第一接点41を、それぞれ備える。第一接点41は、キー本体11の押し下げによって下降する外側接触部26が接触可能な位置にある。第二接点42は、第一接点41と離間して配置され、キー本体11の押し下げによって下降する上側接触部21が接触可能な位置にある。この実施形態では、第一接点41および第二接点42の両方を閉じた円環形状の接点としている。このため、可動接点20の外側接触部26が第一接点41と接触しても、スイッチはオンにならない。可動接点20の上側接触部21が第二接点42と接触したときに、第一接点41と第二接点42とを可動接点20が繋ぐように回路が形成され、この結果、スイッチをオンにすることができる。ただし、第一接点41および第二接点42の形状、さらにはそれらの有無については、種々変形可能である。代表的な変形例については、後述する。
【0035】
第一接点41および第二接点42は、その表面を基板40から露出した状態にて基板40の下方に一部を埋設するように基板40に形成されているが、基板40の表面に形成されていて、基板40の下方に埋設されていなくとも良い。また、LED50は、基板40の表面に固定されているが、その一部を基板40の下方に埋設されていても良い。キー本体11を押し下げた際に、LED50と押し子16との接触を回避するために、キー本体11に凹部17を形成しているが、LED50を基板40に埋設するなどして、上記接触が生じない場合には、凹部17を形成しなくとも良い。
【0036】
第一接点41および第二接点42は、金属の中でも比較的導電性の高い材料、例えば、金、銀、銅、アルミニウム青銅、アルミニウム合金あるいはそれらの2以上の合金から好適に構成される。なお、第一接点41および第二接点42は、それらの表面を耐食性や導電性の安定化のために、メッキを単層若しくは複層で施しても良い。メッキとしては、金、銀、ニッケルなどのメッキ、あるいはそれらの1以上を主成分とする合金メッキを例示できる。また、LED50以外の照光手段としては、例えば、フィラメント加熱型の電球を挙げることができる。
【0037】
図5は、
図3の基板およびその各種変形例の平面図を示す。
【0038】
(5A)の基板40は、
図3を参照して説明した基板である。これ以外に、(5B)に示すように、半割円環状の2つの接点41a,41bの内側に、半割円環状の2つの接点42a,42aを配置し、さらにその内側にLED50を配置した基板40を用いても良い。このため、可動接点20の外側接触部26が第一接点41a,41aと接触した際に、第一接点41a,41aの間を可動接点20が繋ぐように回路が形成され、この結果、一段目のスイッチをオンにすることができる。続いて、可動接点20の上側接触部21が第二接点42a,42aと接触した際に、第二接点42a,42aの間を可動接点20が繋ぐように回路が形成され、二段目のスイッチをオンにすることができる。
【0039】
また、LED50は、この実施形態に係る押釦スイッチ用部材30にとって必須の構成部ではない。このため、LED50を配置しない場合には、(5C)、(5D)または(5E)に示す基板40を用いることができる。(5C)の基板40は、円環状の第一接点41の内側に、円形の第二接点42bを配置する基板である。このため、可動接点20の外側接触部26が第一接点41と接触しても、スイッチはオンにならない。可動接点20の上側接触部21が第二接点42bと接触したときに、第一接点41と第二接点42bとを可動接点20が繋ぐように回路が形成され、この結果、スイッチをオンにすることができる。(5D)の基板40は、半割円環状の2つの第一接点41a,41aの内側に、半円形状の第二接点42c,42cを配置する基板である。このため、(5B)の基板40と同様の二段スイッチを構成できる。また、(5E)の基板40は、半割円環状の2つの第一接点41a,41aの内側に、半円櫛歯状の2つの接点42d,42dを、互いにかみ合わせた状態で離間配置する。半円櫛歯状の第二接点42d,42dを配置すると、第二接点42d,42dをより確実に導通できる。また、(5B)の基板40と同様の二段スイッチを構成できる。
【0040】
さらに、可動接点20の上側接触部21を基板40上の接点に接触させるだけであれば、(5F)の基板40を用いても良い。この基板40は、半円櫛歯状の2つの第一接点41b,41bを、互いにかみ合わせた状態で離間配置する。外側接触部26は、第一接点41b,41bの径方向外側に配置され、導通手段として機能しない。可動接点20の上側接触部21が第一接点41b,41bと接触したときに、第一接点41b,41bを可動接点20が繋ぐように回路が形成され、この結果、スイッチをオンにすることができる。なお、基板40は、押釦スイッチ用部材30の構成要素に含まれていても、含まれていなくとも良い。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る押釦スイッチ用部材について説明する。第2の実施形態において、第1の実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、かつその構成あるいは動作について第1の実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
【0042】
図6は、第2の実施形態に係る押釦スイッチ用部材の透過平面図(6A)および当該透過平面図内のE−E線(押釦スイッチ用部材の中央部分で折れ曲がる線)で切断したときのE−E線断面図(6B)をそれぞれ示す。
図7は、
図6の押釦スイッチ用部材を裏側斜め方向から見た裏面斜視図を示す。
【0043】
第2の実施形態に係る押釦スイッチ用部材80は、ドーム状の可動接点70と、可動接点70の突出側に離間して対向配置される操作キー60とを備え、操作キー60を可動接点70の方向に押圧して、可動接点70を基板40上の少なくとも2つの接点(第一接点41,第二接点42)を導通させる押釦スイッチ用部材である。
【0044】
(1)操作キー
操作キー60は、キー本体61と、キー本体61の外周囲に接続されており、当該キー本体61の基板40側への押圧によって変形可能に構成されるドーム部62と、ドーム部62の外周囲に接続され、基板40上に固定される足部64と、を備える。また、操作キー60は、好ましくは、
図6に示すように、ドーム部62と足部64との間に、基板40と隙間を介在して対向する2つの中間部63を備える。2つの中間部63は、操作キー60の平面視にて中央部を挟んで対向する位置に形成されており、可動接点70との接続部位に相当する。操作キー60は、中間部63の上方に、下方に窪む凹部65を備えている。このため、中間部63は、足部64の上下方向の長さ(厚さ)よりも薄く形成されている。凹部65は、第1の実施の形態において説明した凹部15と同様の作用・効果を発揮し得ると共に、凹部15と同様、必須の構成ではない。
【0045】
キー本体61は、略円筒形状を有しており、基板40から浮上した状態でドーム部62に支持されている。キー本体61は、平面視にて略中央下側に、基板40に向かって略円柱状に突出した押し子66を備える。また、操作キー60は、キー本体61の略中央部に、その外側から可動接点70に向かって上下に貫通する第二貫通孔67を備える。第二貫通孔67は、キー本体61の下動にて、照光手段としてのLED50を収納可能な部位である。第二貫通孔67の面積は、押し子66の下面の面積よりも小さい。ドーム部62は、略円筒のスカート形状を有しており、キー本体61側から基板40側に貫通し、かつ基板40側に向かって拡径する部材である。ドーム部62は、キー本体61を基板40の方向に押し下げると、その途中でドーム部62が変形し、その後、押し下げを解除すると元の形状に戻るように設計された薄肉状の弾性材料から成る。この実施形態では、ドーム部62を含む操作キー60全体を弾性材料から構成するが、ドーム部62のみを弾性材料で構成しても良い。足部64は、平面視にて長方形(正方形も含む)の薄板であり、中間部63以外の部位を基板40に接触させる形状を有する。操作キー60の構成材料は、第1の実施形態に係る操作キー10と同様である。操作キー60は、第二貫通孔67を備えているため、透光性でなくとも良い。
【0046】
(2)可動接点
可動接点70は、平面視にて円形であって、直径方向に対向する位置において、帯状に径方向外側に延出する帯部75を備える。また、可動接点70は、平面視にて略中央部分をキー本体61側に突出させたドーム形状を有する。可動接点70は、その平面視にて中央部を含む領域に、上下方向に貫通する略円形の第一貫通孔72を有する。第一貫通孔72は、押し子66よりも小さい面積で形成されている。このため、操作キー60を基板40側に押し込むと、キー本体61の下側に位置する押し子66は、第一貫通孔72の周囲に接触でき、可動接点70の第一貫通孔72周辺を基板40方向に押し下げることができる。
【0047】
可動接点70は、第一貫通孔72の周囲にあって円環状かつドーム形状の上側接触部71と、上側接触部71の外周囲に平面視にて円形状の屈曲部73と、を備える。上述の帯部75は、屈曲部73の一部から径方向外側に延出しており、上側接触部71より径方向外側にあって、操作キー60のキー本体61よりも径方向外側に固定される外側固定部に相当する。帯部75は、操作キー60の中間部63に固定可能に、可動接点70に形成されている。このため、可動接点70と操作キー60との接続部は、可動接点70の帯部75のみである。上側接触部71は、操作キー60の下方に可動接点70を固定した際に、キー本体71の直下部位(押し子66の位置)と離間して配置される部位であって、キー本体61の押し込みによって第二接点42と接触することができる。この際、屈曲部73は、上側接触部71の撓み変形の支点となり得る。
【0048】
可動接点70は、第1の実施形態に係る押釦スイッチ用部材30と異なり、外側接触部26を備えていない。上側接触部71の平面視にて外側部分は、第一接点41に接触可能な部分である。上側接触部71の上記外側部分と第一接点41との隙間は、操作キー60の基板40の方向への押し込みの際に上側接触部71と第一接点41とが接触可能であれば、特に制約されない。この実施形態では、上側接触部71の外側部分と第一接点41との隙間を0.03〜0.1mmの範囲内としている。なお、上側接触部71は、第一接点41と接触していても良い。可動接点70の構成材料は、第1の実施形態に係る可動接点20と同様である。
【0049】
(3)基板
基板40は、第1の実施形態で説明した基板と同様の構造を有するが、
図5の(5B)〜(5F)に示す他の形態の基板40を用いても良い。また、基板40は、押釦スイッチ用部材80の構成要素であっても、あるいは構成要素でなくとも良い。
【0051】
図8、
図9および
図10は、
図6の押釦スイッチ用部材(主として操作キー)の種々変形例の断面図を示す。
【0052】
(8A)に示す押釦スイッチ用部材80は、第二貫通孔67におけるキー本体61の上面側に、透光性材料から成る蓋部91を備える。このため、LED50から蓋部91を通して外部に発光可能である。蓋部91の材料としては、シリコーンゴムのような透光性を有するエラストマー、アクリル樹脂に代表される透光性を有する樹脂、ガラスあるいは透光性のセラミックスを例示できる。
【0053】
(8B)に示す押釦スイッチ用部材80は、第二貫通孔67を透光性材料から成る充填部92にて充填して成る。なお、LED50は、基板40内部に埋設され、基板40の上方に突出していない。充填部92とLED50との接触防止の観点からである。このような構成にすると、LED50から充填部92を通して外部に発光可能である。充填部92の構成材料としては、上記蓋部91と同様のものを用いることができる。
【0054】
(8C)に示す押釦スイッチ用部材80は、第二貫通孔67の長さ方向の途中に、透光性材料から成る蓋部91を備える。蓋部91の上方は凹部68である。なお、LED50は、基板40内部に埋設され、基板40の上方に突出していないが、蓋部91の下方に十分な凹部スペースがあれば、LED50を基板40の上方に突出して配置するようにしても良い。このような構成にすると、LED50から蓋部91を通して外部に発光可能となると共に、キー本体61の押圧時に指で確認しやすくなる。
【0055】
(9A)に示す押釦スイッチ用部材80は、第二貫通孔67の長さ方向の下方領域に、透光性材料から成る充填部92を備える。充填部92の上方は凹部68である。LED50は、基板40内部に埋設され、基板40の上方に突出していない。このような構成にすると、(8C)の押釦スイッチ用部材80と同様の効果が得られる。
【0056】
(9B)に示す押釦スイッチ用部材80は、第二貫通孔67における押し子66の下面側に、透光性材料から成る蓋部91を備える。LED50は、基板40内部に埋設され、基板40の上方に突出していない。このような構成にすると、(8C)の押釦スイッチ用部材80と同様の効果が得られる。
【0057】
このように、第二貫通孔67に、その長さ方向の一部若しくは全部に亘って、透光性の材料(蓋部91、充填部92など)を埋設することにより、操作キー60自体に透光性が無い場合でも、LED50から外に発光でき、かつ外から塵や埃も入りにくい。
【0058】
また、(9C)に示すように、操作キー60自体を透光性に優れた材料で構成すると、第二貫通孔67をキー本体61に形成しなくとも、LED50からキー本体61の外側に向けて発光させることができる。
【0059】
また、(9D)に示すように、LED50を基板40に設けない場合には、操作キー60自体を透光性のない材料で構成し、可動接点70に上述の第一貫通孔72を形成しなくても良い。
【0060】
さらに、(10A)に示すように、操作キー60自体を透光性に優れた材料で構成し、かつキー本体61の少なくとも天面(上面)に、その一部を遮光する遮光層69を形成すると、LED50からの光を遮光層69で覆われていない部分から発光できる。なお、遮光層69は、キー本体61の側面、ドーム部62などに形成されても良い。
【0061】
また、(10B)あるいは(10C)に示すように、キー本体61の構造を、その天面(上面)側と可動接点70側とを硬度の異なる材料から構成する多層構造としても良い。(10B)に示す押釦スイッチ用部材80は、キー本体61の上面側を樹脂層91、可動接点70側を当該樹脂層91より硬度の低いゴム層92とする。
【0062】
また、(10C)に示す押釦スイッチ用部材80は、キー本体61の上面側をゴム層92、可動接点70側を当該ゴム層92より硬度の高い樹脂層91とする。樹脂層91とゴム層92は、ともに透光性に優れるのが好ましい。ただし、第二貫通孔67を備える場合には、樹脂層91とゴム層92の少なくともいずれか一方は、透光性を有していなくても良い。
【0063】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る押釦スイッチ用部材について説明する。第3の実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、かつその構成あるいは動作について前述の各実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
【0064】
図11は、第3の実施形態に係る押釦スイッチ用部材(11A)およびその変形例(11B)の
図3のC−C線断面図と同様の断面図を示す。
【0065】
(11A)の押釦スイッチ用部材110は、操作キー100と、その下方に固定されるドーム状の可動接点20とを備える。可動接点20は、第1の実施形態に係る可動接点20と異なり、帯部25を備えていない。その余の構造は、第1の実施形態と共通する。操作キー100は、キー本体101と、キー本体101の外周囲に接続されており、当該キー本体101の基板40側への押圧によって変形可能に構成されるドーム部102と、ドーム部102の外周囲に接続され、基板40上に固定される足部104と、を備える。ドーム部102の上側には、環状の溝105が形成され、ドーム部102の薄肉化を実現している。キー本体101は、平面視にて中央部に、上面から可動接点20に向かって上下貫通する第二貫通孔107を備える。
【0066】
可動接点20の上側接触部21より径方向外側にある段差部23または/および裾板部24は、その一部をドーム部102の下側と接着される。このため、段差部23または/および裾板部24は、上側接触部21より径方向外側にあって、操作キー100のキー本体101よりも径方向外側に固定される外側固定部に相当する。ドーム部102と可動接点20との接着箇所は、ドーム部102の周に沿って環状であっても良く、あるいはドーム部102の周方向の複数箇所のみであっても良い。
【0067】
(11B)の押釦スイッチ用部材140は、操作キー120と、その下方に固定されるドーム状の可動接点130とを備える。可動接点130は、第2の実施形態に係る可動接点70と類似する構造を有するが、可動接点70と異なり、帯部75を備えていない。可動接点130は、皿を伏せた形状、いわゆる逆皿形状であって、その中心に第一貫通孔132を備える。第一貫通孔132の径方向外側は、環状の上側接触部131である。上側接触部131の平面視にて外側部分は、第一接点41に接触可能な部分である。上側接触部131の上記外側部分と第一接点41との隙間は、操作キー120の基板40の方向への押し込みの際に上側接触部131と第一接点41とが接触可能であれば、特に制約されない。この実施形態では、上側接触部131の外側部分と第一接点41との隙間を0.03〜0.1mmの範囲内としている。なお、上側接触部131は、第一接点41と接触していても良い。上側接触部131における第一貫通孔132の周辺部分は、キー本体121を可動接点130に向けて押し下げた際に、第二接点42に接触可能に構成される。可動接点130の構成材料は、第1の実施形態に係る可動接点20と同様である。
【0068】
操作キー120は、上述の操作キー100と類似して、キー本体121と、キー本体121の外周囲に接続されており、当該キー本体121の基板40側への押圧によって変形可能に構成されるドーム部122と、ドーム部122の外周囲に接続され、基板40上に固定される足部124と、を備える。ドーム部122の上側には、環状の溝125が形成され、ドーム部122の薄肉化を実現している。キー本体121は、平面視にて中央部に、上面から可動接点130に向かって上下貫通する第二貫通孔127を備える。
【0069】
可動接点130の上側接触部131の径方向外側部分は、少なくともその一部をドーム部122の下側と接着され、上側接触部131にあって、操作キー120のキー本体121よりも径方向外側に固定される外側固定部に相当する。ドーム部122と可動接点130との接着箇所は、ドーム部122の周に沿って環状であっても良く、あるいはドーム部122の周方向の複数箇所のみであっても良い。
【0070】
このように、操作キー100,120のドーム部102,122に可動接点20,130を固定すると、ドーム部102,122の上側接触部21,131が第一接点41に接触するときの衝撃を、ドーム部102,122の存在によって小さくでき、もって当該接触時の音をより小さくできる。ゴム状弾性体で構成されるドーム部102,122が衝撃緩衝材として機能するからである。
【0071】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る押釦スイッチ用部材について説明する。第4の実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、かつその構成あるいは動作について前述の各実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
【0072】
図12は、第4の実施形態に係る押釦スイッチ用部材の透過平面図(12A)および当該透過平面図内のF−F線で切断したときのF−F線断面図(12B)をそれぞれ示す。
【0073】
第4の実施形態に係る押釦スイッチ用部材170は、ドーム状の可動接点160と、可動接点160の突出側に離間して対向配置される操作キー150とを備え、操作キー150を可動接点160の方向に押圧して、可動接点160を基板40上の少なくとも2つの接点(第一接点41,第二接点42)を導通させる押釦スイッチ用部材である。
【0074】
(1)操作キー
操作キー150は、キー本体151と、キー本体151の外周囲に接続されており、当該キー本体151の基板40側への押圧によって変形可能に構成されるドーム部152と、ドーム部152の外周囲に接続され、基板40上に固定される足部154と、を備える。ドーム部152の上側には、矩形環状の溝155が形成され、ドーム部152の薄肉化を実現している。キー本体151は、平面視にて中央部に、上面から可動接点160に向かって上下貫通する第二貫通孔157を備える。キー本体151は、略直方体形状を有しており、基板40から浮上した状態でドーム部152に支持されている。キー本体151は、平面視にて略中央下側に、基板40に向かって略円柱状に突出した押し子156を備える。足部154は、好ましくは、その径方向内側部分を、基板40に接しない凹部領域159とする。また、足部154は、その周状に1または2以上の空気流路158を備える。この実施形態では、操作キー150は、その中心を挟んで対向する位置に2つの空気流路158を備える。このため、第二貫通孔157を透光性の材料で塞いだ場合であっても、操作キー150の上下に応じて、操作キー150に囲まれた空間とその外部との間で空気の入出が可能となり、より精度の高い押圧を実現できる。
【0075】
第二貫通孔157は、キー本体151の下動にて、LED50を収納可能な部位である。第二貫通孔157の面積は、押し子156の下面の面積よりも小さい。ドーム部152は、略角筒のスカート形状を有しており、キー本体151側から基板40側に貫通し、かつ基板40側に向かって拡径する部材である。ドーム部152は、キー本体151を基板40の方向に押し下げると、その途中でドーム部152が変形し、その後、押し下げを解除すると元の形状に戻るように設計された薄肉状の弾性材料から成る。足部154は、平面視にて長方形(正方形を含む)の板である。操作キー150の構成材料は、第1の実施形態に係る操作キー10と同様である。操作キー150は、第二貫通孔157を備えているため、透光性でなくとも良い。
【0076】
(2)可動接点
可動接点160は、平面視にて長方形(正方形を含む)である。また、可動接点160は、平面視にて略中央部分をキー本体151側に突出させたドーム形状を有する。可動接点160は、その平面視にて中央部を含む領域に、上下方向に貫通する略円形の第一貫通孔162を有する。第一貫通孔162は、押し子156よりも小さい面積で形成されている。このため、操作キー150を基板40側に押し込むと、キー本体151の下側に位置する押し子156は、第一貫通孔162の周囲に接触でき、可動接点160の第一貫通孔162周辺を基板40方向に押し下げることができる。
【0077】
可動接点160は、第一貫通孔162の周囲にあって円環状かつドーム形状の上側接触部161と、上側接触部161の外周囲に平面視にて円環状に形成されていて下方に急角度で曲がる段差部163と、段差部163の径方向外側に連接する裾板部164と、を備える。裾板部164は、第1の実施形に係る裾板部24に比べて幅広く、足部154の内側に形成された凹部領域159にまで延出する。裾板部164は、段差部163の径方向外側に矩形環状に形成されており、その角部において操作キー150の凹部領域159に接着されている(12Aおよび12Bの接着部位Xを参照)。接着部位Xは、4箇所に限定されず、2箇所でも良い。この実施形態では、裾板部164は、操作キー150のキー本体151よりも径方向外側に固定される外側固定部に相当する。可動接点160と操作キー150との接続部は、裾板部164の接着部位Xのみである。上側接触部161は、操作キー150の下方に可動接点160を固定した際に、キー本体151の直下部位(押し子156の位置)と離間して配置される部位であって、キー本体151の押し込みによって第二接点42と接触することができる。この際、段差部163は、上側接触部161の撓み変形の支点となり得る。
【0078】
可動接点160は、段差部163よりも可動接点160の径方向外側にあって、キー本体151の押し込みによって第一接点41に接触可能となるように、第一接点41と非接触の状態で対向させて配置される外側接触部166を、さらに備えるのが好ましい。外側接触部166と第一接点41との隙間は、操作キー150の基板40の方向への押し込みの際に外側接触部166と第一接点41とが接触可能であれば、特に制約されない。この実施形態では、外側接触部166と第一接点41との隙間を0.03〜0.1mmの範囲内としている。なお、外側接触部166は、第一接点41と接触していても良い。
【0079】
外側接触部166は、第1の実施形態に係る外側接触部26と同様、可動接点160の裾板部164を上面から下面に向かって凹ませて形成されるカップ形状部位である。外側接触部166は、裾板部164の四つ角に1個ずつ、合計4個形成されている。このため、キー本体151の押し込み時に、可動接点160は、4箇所で第一接点41と接触できる。ただし、外側接触部166の数は、前述の外側接触部26と同様、1個以上であれば、特に限定されず、また、外側接触部166を可動接点160の中央を挟んで対向する位置に2個1組で、1組若しくは2組以上備えるのがより好ましい。可動接点160の構成材料は、第1の実施形態に係る可動接点20と同様である。
【0080】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る押釦スイッチ用部材について説明する。第5の実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、かつその構成あるいは動作について前述の各実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
【0081】
図13は、第5の実施形態に係る押釦スイッチ用部材の透過平面図(13A)および当該透過平面図内のG−G線で切断したときのG−G線断面図(13B)をそれぞれ示す。
【0082】
第5の実施形態に係る押釦スイッチ用部材200は、ドーム状の可動接点190と、可動接点190の突出側に離間して対向配置される操作キー180とを備え、操作キー180を可動接点190の方向に押圧して、可動接点190を基板40上の少なくとも2つの接点(第一接点41,第二接点42)を導通させる押釦スイッチ用部材である。
【0083】
(1)操作キー
操作キー180は、キー本体181と、キー本体181の外周囲に接続されており、当該キー本体181の基板40側への押圧によって変形可能に構成されるドーム部182と、ドーム部182の外周囲に接続され、基板40上に固定される足部184と、を備える。ドーム部182の上側には、円環状の溝185が形成され、ドーム部182の薄肉化を実現している。キー本体181は、平面視にて中央部に、上面から可動接点190に向かって上下貫通する第二貫通孔187を備える。キー本体181は、略円筒形状を有しており、基板40から浮上した状態でドーム部182に支持されている。キー本体181は、平面視にて略中央下側に、基板40に向かって略円柱状に突出した押し子186を備える。足部184は、好ましくは、その径方向内側部分を、基板40に接しない凹部領域189とする。
【0084】
第二貫通孔187は、キー本体181の下動にて、LED50を収納可能な部位である。第二貫通孔187の面積は、押し子186の下面の面積よりも小さい。ドーム部182は、略円筒のスカート形状を有しており、キー本体181側から基板40側に貫通し、かつ基板40側に向かって拡径する部材である。ドーム部182は、キー本体181を基板40の方向に押し下げると、その途中でドーム部182が変形し、その後、押し下げを解除すると元の形状に戻るように設計された薄肉状の弾性材料から成る。足部184は、平面視にて長方形(正方形を含む)の板である。操作キー180の構成材料は、第1の実施形態に係る操作キー10と同様である。操作キー180は、第二貫通孔187を備えているため、透光性でなくとも良い。
【0085】
(2)可動接点
可動接点190は、平面視にて円形であって、その中心部分をキー本体181側に突出させたドーム形状を有する。可動接点190は、その平面視にて中央部を含む領域に、上下方向に貫通する略円形の第一貫通孔192を有する。第一貫通孔192は、押し子186よりも小さい面積で形成されている。このため、操作キー180を基板40側に押し込むと、キー本体181の下側に位置する押し子186は、第一貫通孔192の周囲に接触でき、可動接点190の第一貫通孔192周辺を基板40方向に押し下げることができる。
【0086】
可動接点190は、第一貫通孔192の周囲にあって円環状かつドーム形状の上側接触部191と、上側接触部191の外周囲に平面視にて円環状の屈曲部193と、屈曲部193から径方向外側に延出する裾板部194と、を備える。裾板部194は、第2の実施形に係る外部固定部75を円環状にして屈曲部193の径方向外側に形成した部位であって、足部184の内側に形成された凹部領域189にまで延出する。裾板部194は、その周状等間隔で4つの接着部位Xにて、操作キー180の凹部領域189に接着されている(13Aおよび13Bの接着部位Xを参照)。接着部位Xは、4箇所に限定されず、2箇所でも良い。この実施形態では、裾板部194は、操作キー180のキー本体181よりも径方向外側に固定される外側固定部に相当する。可動接点190と操作キー180との接続部は、裾板部194の接着部位Xのみである。上側接触部191は、操作キー180の下方に可動接点190を固定した際に、キー本体181の直下部位(押し子186の位置)と離間して配置される部位であって、キー本体181の押し込みによって第二接点42と接触することができる。この際、屈曲部193は、上側接触部191の撓み変形の支点となり得る。
【0087】
可動接点190は、第1の実施形態に係る押釦スイッチ用部材30と異なり、外側接触部26を備えていない。上側接触部191の平面視にて外側部分または/および裾板部194は、第一接点41に接触可能な部分である。裾板部194と第一接点41との隙間は、操作キー180の基板40の方向への押し込みの際に上側接触部191と第一接点41とが接触可能であれば、特に制約されない。この実施形態では、裾板部194と第一接点41との隙間を0.03〜0.1mmの範囲内としている。なお、裾板部194は、第一接点41と接触していても良い。可動接点190の構成材料は、第1の実施形態に係る可動接点20と同様である。
【0088】
(荷重−変位曲線の一例)
図14は、第1の実施形態に係る押釦スイッチ用部材の荷重−変位曲線を示す。
【0089】
図14に示す曲線は、操作キー10のキー本体11に荷重を加えてから可動接点20が第二接点42に接触するまで押し込み、その後、キー本体11の押し込みを解除するまでの往復の変位を表す。点Aは、押し子16と可動接点20の上側接触部21とが接触した点である。点Bは、可動接点20の変形開始点(ピーク荷重点)である。点Cは、可動接点20の上側接触部21が第二接点42に接した点である。点Dは、キー本体11への押圧を解除した点である。
【0090】
荷重の開始から点Aまでのストローク(L1)は、約0.5mmある。この長さは、可動接点20単独では実現できないほどに十分に長いストロークである。点Aから点Dまでの荷重曲線(H)は、可動接点20単独と同様、傾きの大きな曲線である。点Bから点Cまでのストローク(L2)は、約0.1mmである。この長さは、人間工学的に自然なスイッチ操作と感じるのに十分に長いストロークである。点Iは、約5Nである。このピーク荷重は、可動接点20単独のピーク荷重(約3.5N)より大きく、操作キー10の変形に要する荷重を加えたものとなっており、十分、高荷重対応可能な押釦スイッチ用部材30を実現できていると考えられる。
【0091】
(押釦スイッチ用部材の使用例)
図15は、
図3の押釦スイッチ用部材を複数個装着したマルチ操作キーの使用例を説明する図であって、自動車のハンドルにマルチ操作キーを組み込んだ状態の正面図(15A)、マルチ操作キーの表カバーを取り外した状態の正面図(15B)およびマルチ操作キーの15AにおけるH−H線断面図(15C)をそれぞれ示す。
【0092】
図15の(15A)に示すように、押釦スイッチ用部材30を複数個(ここでは、5個)装着したマルチ操作キー301は、自動車のハンドル300に組み込まれている。マルチ操作キー301は、中央キー310の周囲4方向に略等角度で、外周キー311,312,313,314を備える。マルチ操作キー301は、その表カバーを外すと(15B)に示すように表に露出するスイッチ部320を備える。スイッチ部320は、各キー310,311,312,313,314に対応して、各1個の押釦スイッチ用部材30を備える。足部14は、各キー310,311,312,313,314に共通する足部である。押釦スイッチ用部材30は、第4の実施の形態で説明した空気流路158を有しており、操作時の空気抵抗を軽減するようにしている。
【0093】
各押釦スイッチ用部材30は、その上方に、表カバーを構成する天板310,312,313をそれぞれ備える。天板310,312,313は、それぞれ独立して上下可動に構成されている。各天板310等は、その上方外周囲を筐体315にて囲われている。また、押釦スイッチ用部材30の集合体は、その外周囲を側壁330で囲われている。各押釦スイッチ用部材30は、基板40上に配置されている。また、基板40は、裏板340上に固定され、その外側部の上方部分を押釦スイッチ用部材30の足部14にて覆われている。裏板340は、基板40に達する貫通孔341を備える。基板40上の各接点(第一接点41等、第二接点42等)およびLED50は、貫通孔341を通じて、これらと電気的に接続する複数の電気配線342と接続する。
【0094】
このように、押釦スイッチ用部材30、あるいは他の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材80,110,140,170,200は、自動車のハンドル300に組み込まれることによって、自動車の運転の妨げにならないように種々の操作を実現可能であって、高ストロークおよび高クリック感触を有するスイッチとなる。加えて、押釦スイッチ用部材30,80,110,140,170,200は、優れた消音効果も発揮する。
【0095】
上述のように、本発明の押釦スイッチ用部材の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上記形態に限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0096】
例えば、第1の実施形態における帯部25、第2の実施形態における帯部75、第3の実施の形態における段差部23、裾板部24および上側接触部131の径方向外側の部位、第4の実施形態における裾板部164、第5の実施形態における裾板部194といった外側固定部と操作キー10,60,100,120,150,180との固定方法は、接着剤を用いた固定、両面テープを用いた固定、嵌合による固定、操作キー10等に溝を形成して当該溝に外側固定部を挿入する固定など、如何なる方法でも良い。
【0097】
また、可動接点20,70,130,160,190と操作キー10,60,100,120,150,180との固定位置は、可動接点20等のドーム頂上およびその近傍であって最も内側の接点(例えば、第二接点42)と接触する位置よりも可動接点20等の径方向外側の位置であれば、第3の実施形態における上側接触部131の径方向外側の部位、あるいは第1〜第5の各実施形態に示すように、上側接触部21等より径方向外側に連接する部位であっても良い。
【0098】
中間部13,63は、操作キー10,60の周に沿って3つ以上備えても良い。その場合、帯部25,75も中間部13,63の数に合わせて3つ以上形成しても良い。
【0099】
図4の各種基板40は、第1の実施形態のみならず、第2〜第5の実施形態においても選択して用いることができる。同様に、
図8〜
図10の各種操作キー60は、第1あるいは第3〜第5の各実施形態においても選択して用いることができる。
【0100】
基板40側に突出する外側接触部26,166は、必ずしも要しない。中間部13,63も同様に必ずしも要しない。LED50に代表される照光手段を可動接点20等の内側に配置しない場合には、第一貫通孔22,72,132,162,192を必ずしも要しない。また、第1の実施形態を例に挙げると、LED50と押し子16とが接触しない場合には、キー本体11に凹部17を形成しなくても良い。また、少なくとも2つの接点は、第一接点41と第二接点42とを含む場合に限定されず、第二接点42a,42aだけ、あるいは第一接点41b,41bだけで構成されても良い。また、可動接点20等と接点41,42との接触回数が2回であっても、接点の形態に応じて、導通回数を1回あるいは2回としても良い。
【0101】
第1〜第5の各実施形態における押釦スイッチ用部材30,80,110,140,170,200の各種構成要素は、組み合わせ不可能な場合を除き、互いに任意に組み合わせることができる。例えば、第1の実施形態および第2の実施形態の各構造を組み合わせて、平面視にて矩形の操作キー10に、平面視にて円形の可動接点70を固定しても良い。同様に、第4の実施形態および第5の実施形態の各構造を組み合わせて、平面視にて矩形の操作キー150に、平面視にて円形の可動接点190を固定しても良い。また、第4の実施形態における空気流路158は、第1〜第3または第5の実施形態において形成されても良い。
【0102】
(第6〜8の各実施形態)
従来から、メタルドームの中央頂上部位に対して押圧を加え、メタルドームの変形を利用してスイッチをオンさせる押釦スイッチ用部材が知られている(例えば、特開平10−188728号公報を参照。以後、特許文献4という。)。また、近年、押釦スイッチ用部材を組み込む機器の小型化に伴い、キーの小型化およびキー間の狭小化が進む中、各キーとメタルドームとの高精度の位置合わせの要求が高まっている。例えば、キーの押圧位置とメタルドームの中央頂上部位との間に位置ズレが生じると、良好なクリック感が得られない。このような問題を解決するため、接着剤を用いて、キーの直下にメタルドームの中央頂上部位を接着させた形態を有する押釦スイッチ用部材も開発されている(例えば、国際公開WO2012/153587号公報を参照。以後、特許文献5という。)。キーの直下にメタルドームを接着すると、キーとメタルドームの位置が固定されるため、常に、メタルドームの中央頂上部位を押圧することができ、良好なクリック感が得られる。
【0103】
特に、回路基板側に、メタルドームの中央に接触可能な第一固定接点と、メタルドームの外周囲に接触可能な第二固定接点とを形成し、メタルドームを回路基板から浮揚させた状態でキーに接続すると、キーからのメタルドームの押し下げにより第二固定接点とメタルドームの外周囲とが接触してスイッチをオンさせ、続いて、メタルドームの中央部と第一固定接点とが接触してスイッチをオンさせる二段スイッチを実現することもできる。
【0104】
しかし、特許文献4に開示される押釦スイッチ用部材では、メタルドームの上方にラバースイッチを配置するだけなので、ラバースイッチとメタルドームとの位置ズレが生じやすくなるという問題が生じる。また、押圧開始からメタルドームが変形してスイッチが入るまでのストロークが短いという問題もある。このような位置ズレおよび短いストロークは、操作感触の悪化を招くので好ましくない。
【0105】
また、特許文献5に開示される押釦スイッチ用部材は、操作キーの直下位置にある押し子とメタルドームの頂部とを接着しているため、上述のような位置ズレの問題はないが、接着に用いた接着剤に起因する別の問題が生じる。それは、接着剤の厚さのバラツキにより、押圧方向の寸法公差が大きく、良好な操作感触を保証することが難しくなることである。加えて、接着剤の存在領域では、メタルドームの変形が生じにくいため、メタルドーム本来の高クリック感が得られにくいという問題もある。
【0106】
本発明者らは、上記課題を解決するために、まず、操作キーの直下にある押し子とメタルドーム等の逆椀形状の可動接点の頂部とを離間させ、可動接点の外周囲を操作キーにおける押し子よりも径方向外側に固定した押釦スイッチ用部材を開発した。この押釦スイッチ用部材は、押し子がメタルドームの頂部に接触する分の距離が存在するため、押圧開始からスイッチを入力するまでのストロークをかせぐことができる。この結果を踏まえ、このストロークの長さを維持しつつ、操作キーの押圧によってメタルドームが接点に接続するまでの荷重をよりスムーズに上昇するようにして、より高いクリック感触を実現することができる。
【0107】
しかし、さらに高性能な押釦スイッチ用部材を開発するためには、次のいくつかの問題を検討する必要があることがわかった。その一つは、キーとメタルドームとの接着面積が小さいため、接着剤を用いた接着では十分な接着力が得られず、キーとメタルドームとが剥がれる場合があることである。もう一つは、接着剤を均一な厚さにて塗布することが難しいため、接着領域の一部において十分な接着力が得られない箇所が生じる場合があることである。さらなる一つは、キーとメタルドームとの間から接着剤がはみ出やすく、それによって、メタルドームの変形が阻害され、スイッチ感触が悪化する場合もあることである。
【0108】
以下の各実施の形態の目的は、本発明者らが先に開発した押釦スイッチ用部材のさらなる高性能化のためになされたものであり、高ストロークおよびドーム状の可動接点本来の高クリック感触を実現しやすく、加えて、ドーム状の可動接点とキーとの接着力のさらなる向上およびスイッチ感触のさらなる向上を実現可能な押釦スイッチ用部材を提供することである。
【0109】
上記目的を達成するための一実施の形態に係る押釦スイッチ用部材は、逆椀状に突出する逆椀状部とその径方向外側の外延部とを備えるドーム状の可動接点と、その可動接点の突出側に対向配置される操作キーとを備え、操作キーを可動接点の方向に押圧して、可動接点の押圧方向に配置される基板上の接点に可動接点を導通させる押釦スイッチ用部材であって、操作キーは、キー本体と、キー本体よりもその径方向外側にあって基板上に固定される足部とを接続して備え、外延部の少なくとも一部の表面を覆い、外延部の少なくとも一部と足部とを固定する固定シートを備える。
【0110】
別の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材では、さらに、操作キーは、キー本体と足部との間に位置していてキー本体の基板側への押圧によって変形可能なドーム部を、さらに備えても良い。
【0111】
別の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材では、また、固定シートは、絶縁性基材と、その絶縁性基材の一方の面に備えられる接着層とを有し、固定シートは、接着層が外延部の表面から足部を覆うように配置されても良い。
【0112】
別の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材では、また、足部は、基板から離れる方向に窪む第一凹部を備え、外延部の少なくとも一部は、第一凹部に配置され、固定シートは、外延部の表面から覆うように足部に固定されても良い。
【0113】
別の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材では、また、外延部は、逆椀状部の周縁から径方向外側に平坦に拡がる平坦部と、その平坦部のさらに径方向外側に延出する延出部とを備え、延出部は、平坦部から第一凹部に到達する形態を有していても良い。
【0114】
別の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材では、第一凹部は、さらに、基板から離れる方向に窪む第二凹部を備え、延出部は第二凹部に収納されても良い。
【0115】
別の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材では、また、固定シートは、外延部と反対側の面を基板に接するようにしても良い。
【0116】
別の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材では、また、可動接点は、その平面視にて中央部を含む領域に第一貫通孔を有しており、操作キーの押し込みによって第一貫通孔の周囲にてキー本体と接触していても良い。
【0117】
別の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材は、さらに、基板における接点の径方向内側に備える照光手段から第一貫通孔を通して透光可能であっても良い。
【0118】
別の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材は、また、可動接点は、基板上の接点に向けて突出する突出部を備えても良い。
【0119】
次に、本発明に係る押釦スイッチ用部材の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、以後、「径方向外側」は、特定の対象物の平面視にて中心から仮想円を描いたときの仮想円の拡径方向を意味する。「径方向内側」は、上述の仮想円の縮径方向を意味する。「平面視にて」とは、基板に押釦スイッチ用部材を配置した側の面を上にして、上方から見たときを意味する。
【0120】
(第6の実施形態)
図16は、第6の実施形態に係る押釦スイッチ用部材を構成する操作キーの透過平面図を示す。
図17は、
図16の押釦スイッチ用部材のA−A線断面図および一部Bの拡大断面図をそれぞれ示す。
図18は、
図16の押釦スイッチ用部材を構成する各構成部材の平面図を示す。
図18では、各構成部材は、黒太矢印の方向に重ねられる。これは、後に示す
図21および
図24でも同様である。
【0121】
第6の実施形態に係る押釦スイッチ用部材401は、ドーム状の可動接点(以後、単に、「可動接点」という)420と、可動接点420の突出側に対向配置される操作キー410とを備え、操作キー410を可動接点420の方向に押圧して、可動接点420の押圧方向に配置される基板(「回路基板」ともいう)440上の接点442,442(さらには、接点441,441も含む)に可動接点420を接触させて、接点442,442等を導通させる押釦スイッチ用部材である。
【0122】
(1)操作キー
操作キー410は、キー本体411と、キー本体411よりもその径方向外側にあって基板440上に固定される足部413とを接続して備える。この実施形態において、操作キー410は、好ましくは、キー本体411と足部413との間に位置する部材であってキー本体411の基板440側への押圧によって変形可能なドーム部412を、さらに備える。キー本体411、ドーム部412および足部413の各形状は、
図16に示すように、平面視にて略四角形である。足部413は、平面視にて外周縁を基板440に接触させ、当該外周縁よりも径方向内側の領域を、基板440から浮かせた状態にて基板440上に配置されている。この実施形態では、足部413が基板440から浮いた領域を、基板440から離れる方向に窪む第一凹部414と称する。第一凹部414は、後述の可動接点420の外延部の一部若しくは全部を固定可能な部位である。この実施形態では、好ましくは、第一凹部414に、さらに、基板440から離れる方向(
図17では上方向)に窪む第二凹部415を備える。第二凹部415は、後述する可動接点420の延出部を収納する部位である。ここで、収納は、好適には、延出部を、第二凹部415内に、延出部の厚さ方向に沈める状態を含むように解釈される。このように、足部413は、基板440と隔てるように足部413の内方に窪む第一凹部414と、第一凹部414からさらに内方に窪む第二凹部415とを備え、二段階に凹部を備えた構造を有している。
【0123】
キー本体411は、可動接点420と対向する底面となる押圧部416を備える。押圧部416の形状は、平面視にて略円形である。この実施形態では、押圧部416は、操作キー410を可動接点420に向けて押圧していない状態では、可動接点420と接触していない。ただし、同状態において、押圧部416は、可動接点420に接触していても良い。ただし、この実施形態では、押圧部416は、可動接点420と固定されていない。キー本体411は、その天面から底面まで貫く貫通孔417を備える。貫通孔417の形状は、この実施形態では、平面視にて略円形である。貫通孔417は、後述する照光手段からの光をキー本体411の上方に透光させる機能を有するとともに、基板440に向けてキー本体411を押し込んだときに、照光手段と押圧部416とが接触しないようにする機能を有する。ただし、貫通孔417に代えて、透光性に優れた透光部材を配置し、照光手段との接触を防止する必要がある場合には、接触防止に最低限必要な凹部を、キー本体411の底面から内方に向かって形成しても良い。
【0124】
操作キー410は、その構成材料として、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴム等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系あるいはフッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を用いるのが好ましい。上記以外の操作キー410の構成材料として、スチレンブタジエンゴム(SBR)あるいはニトリルゴム(NBR)を用いても良い。また、上記構成材料に、酸化チタン、カーボンブラックに代表されるフィラーや着色剤を混ぜても良い。
【0125】
(2)可動接点
可動接点420は、平面視にて長方形(正方形を含む)であって、逆椀状に突出する逆椀状部421とその径方向外側の外延部とを備えるドーム状の接点である。逆椀状部421は、キー本体411の方向に突出し、基板440側を窪ませた薄肉状の部分である。この実施形態では、逆椀状部421の形状は、平面視にて略円形である。逆椀状部421は、この実施形態では、突出領域に、平面視にて略円形の第一貫通孔426を備える。キー本体411を基板440に向けて押圧すると、キー本体411の押圧部416は、逆椀状部421に接触し、可動接点420を変形させる。その結果、逆椀状部421の第一貫通孔426の外周縁領域が基板440上の接点442,442と接触する。可動接点420は、それまで互いに導通していなかった2つの接点442同士を電気的に接続する結果、2つの接点442,442を導通状態とする。なお、接点442,442は、互いに導通していない状態で基板440に形成されている限り、如何なる形状の接点でも良い。接点442の形状としては、例えば、長方形、半環形状、環形状、櫛歯形状などを例示できる。
【0126】
可動接点420は、逆椀状部421の径方向外側に段差部422を備える。この実施形態では、段差部422は、平面視にて略円形の部位である。段差部422は、その径方向外側の外延部と接続されている。段差部422は、逆椀状部421の周縁部から基板440の方向で、かつ当該周縁部から径方向外側に向かって傾斜する部位であり、逆椀状部421と、逆椀状部421よりも基板440に近い外延部とを繋いでいる。キー本体411を基板440に向けて押圧し、可動接点420の逆椀状部421に基板440方向の力が加わると、逆椀状部421は、段差部422の位置から変形する。
【0127】
外延部は、その少なくとも一部を第一凹部414に配置される部位である。この実施形態では、外延部は、逆椀状部421の周縁から径方向外側に平坦に拡がる平坦部423と、平坦部423のさらに径方向外側に延出する延出部424とを備える。平坦部423は、この実施形態では、段差部422に接続される平面視にて略四角形の板状部材である。延出部424は、この実施形態では、平坦部423の一組の対向二辺に備えられる合計2本の板状部材である。延出部424は、当該対向二辺から、外方向に向かって帯状に細長く延びる帯状部とも称することができる。延出部424は、平坦部423から、足部413の第一凹部414に到達する形態を有しており、さらに詳細には、第二凹部415に収納可能な形態を有している。延出部424の形態は、第二凹部415の外方向先端まで到達しない長さであっても良い。また、延出部424の形態は、第二凹部415の溝の深さに比べて略同一であるのが好ましい。特に、延出部424を第二凹部415に収納した状態にて、延出部424の基板440側の面と第一凹部414の基板440側の面とを面一にするように第二凹部415の深さを設定する方が好ましい。後述の固定シート430を操作キー410の第一凹部414に貼った際に、延出部424と第一凹部414とを略平坦で段差のない状態で固定できるからである。このような固定は、可動接点420を操作キー410に強固に固定するのに役立つ。
【0128】
平坦部423は、平面視にて略四つ角の位置であって基板440に対向する側の面に、基板440に向かって突出する4つの凸部425を備える。これら凸部425は、基板440上の接点442,442よりも径方向外側に位置する接点441,441と対向する位置に形成されている。この実施形態では、キー本体411を基板440に向けて押圧していない状態では、可動接点420の凸部425は、接点441,441と非接触状態である。キー本体411を基板440に向けて押圧すると、4つの凸部425は、接点441,441と接触する。これによって、接点441,441は、可動接点420を介して導通可能になる。さらに、キー本体411を基板440に向けて押し込むと、逆椀状部421の第一貫通孔426の周縁部が接点442,442に接触する。このように、キー本体411を基板440側に向けて押し込む距離に応じて、二段階のスイッチのオン若しくはオフの機能を発揮させることができる。このような機能を実現するには、4つの凸部425と接点441,441とが最初に接触し、次に逆椀状部421と接点442,442とが接触するように、凸部425と接点441との間の距離を、第一貫通孔426の周縁部と接点442との間の距離よりも短くするのが好ましい。なお、接点441,441は、互いに導通していない状態で基板440に形成されている限り、如何なる形状の接点でも良い。接点441の形状としては、例えば、長方形、半環形状、環形状、櫛歯形状などを例示できる。
【0129】
逆椀状部421は、この実施形態では、逆椀状部421の突出領域に、平面視にて略円形の第一貫通孔426を備える。したがって、可動接点420は、その平面視にて中央部を含む領域に第一貫通孔426を有しており、操作キー410の押し込みによって第一貫通孔426の周囲にてキー本体411と接触することができる。第一貫通孔426は、基板440において接点442,442の間に配置される照光手段の一例であるLED443からの光を、可動接点420からキー本体411の貫通孔417を抜けて外方向に導く機能を有する。すなわち、可動接点420は、基板440における接点441,441の径方向内側に備えるLED443から第一貫通孔426を通して透光可能な構成を有する。第一貫通孔426は、この実施形態では、キー本体411の貫通孔417と略同一の大きさにて形成されている。ただし、第一貫通孔426は、貫通孔417よりも小径あるいは大径に形成されていても良い。特に、第一貫通孔426を貫通孔417よりも小径に形成することによって、押圧部416が照光手段からの光を遮らないようにできるので、より好ましい。
【0130】
可動接点420は、好ましくは、前述の実施形態における可動接点20と同様の材料にて構成し、また、同様のメッキや蒸着等の表面処理を施したものとすることができる。可動接点420は、平坦部423に備える4つの凸部425を接点441,441と非接触状態にして、かつ逆椀状部421の第一貫通孔426の周縁部を接点442,442に非接触状態にするように、延出部424を操作キー410の足部413に固定される。
【0131】
(3)固定シート
固定シート430は、可動接点420の外延部の少なくとも一部(例えば、延出部424)の表面を覆い、外延部の少なくとも一部と足部413とを固定するシートである。より具体的には、固定シート430は、延出部424の基板440側の面を含めて第一凹部414の底面を覆い、さらに段差部422の途中まで覆う形態を有する。固定シート430は、
図18に示すように、その略中央に平面視にて略円形の大貫通孔431と、大貫通孔431の周囲に4個の小貫通孔432とを備える。大貫通孔431は、可動接点420の逆椀状部421の大部分を露出させる大きさを持つ。4個の小貫通孔432は、可動接点420の4個の凸部425の位置にあって、これら凸部425を貫通させる大きさを有する。
【0132】
固定シート430は、
図17に示すように、絶縁性基材433と、絶縁性基材433の一方の面に備えられる接着層434とを有する。固定シート430は、接着層434が可動接点420の外延部の上から足部413を覆うように配置される。より具体的には、固定シート430は、好ましくは、第一凹部414に接する外延部の上から覆うように足部413に固定される。固定シート430は、好ましくは、外延部と反対側の面(すなわち、絶縁性基材433側の面)を基板440に接するように、足部413の第一凹部414に貼り付けられている。この結果、操作キー410の押圧の繰り返しによって、第二凹部415に収納されている延出部424が第二凹部415から脱落して基板440側に移動する状況を有効に防ぐことができる。
【0133】
また、接着層434は、基板440側に部分的に突出せずに、略平坦になるのが好ましい。このため、可動接点420の延出部424の厚さを第二凹部415の深さとほぼ同一にするのが好ましい。固定シート430を第一凹部414に貼った際に、延出部424と第一凹部414とを略平坦で段差のない状態で固定することにより、延出部424の周囲に空気を入れず、固定シート430の接着層434と延出部424とを密着させることができる。また、接着剤により基板440を汚染して導電性を損ねたり、ストロークが設定よりも長くなってスイッチ感触や耐久性が悪化するのを避けることもできる。
【0134】
絶縁性基材433は、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、アクリル樹脂等の各種樹脂から好適に構成される。接着層434は、接着剤を含む層のみならず、粘着剤を含む層であっても良い。固定シート430の厚さは、特に制約されるものではなく、好ましくは15〜500μm、より好ましくは20〜300μm、さらにより好ましくは30〜200μmである。可動接点420に平坦部423を備えずに、逆椀状部421から段差部422を経て延出部424に接続される形態の可動接点420を用いる場合には、固定シート430の厚さを200μm以下、さらには100μm以下とするのが好ましい。スイッチの入力特性および固定シート430の耐久性を高める観点からである。
【0135】
固定シート430は、所望の絶縁性基材433と接着層434とを組み合わせて製造する他、市販の粘着剤付きフィルムあるいは市販の接着剤付きフィルムを用いても良い。例えば、シリコーン系粘着剤(若しくは接着剤)付きPETフィルム、シリコーン系粘着剤(若しくは接着剤)付きポリフェニレンサルファイドフィルム、シリコーン系粘着剤(若しくは接着剤)付きポリイミドフィルム、シリコーン系粘着剤(若しくは接着剤)付きフッ素樹脂フィルム、アクリル系粘着剤(若しくは接着剤)付きポリエステルフィルム等を市場にて入手可能である。耐熱性あるいは耐薬品性を要する場合には、絶縁性基材433に、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、フッ素樹脂を用いたものが好ましい。シリコーン系以外の粘着剤(若しくは接着剤)から成る接着層434を有する固定シート430を用いる際には、操作キー410との固定を高めるべく、少なくとも足部413における固定シート430との接着面に、ウレタンコート処理、表面改質処理(紫外線照射処理、コロナ処理、プラズマ照射処理、フレーム処理あるいはイトロ処理等)を施すのが好ましい。
【0136】
このように、延出部424あるいは延出部424を含めた平坦部423を、足部413の第一凹部414および第二凹部415と、固定シート430との間に挟み込んで固定することによって、接着剤がはみ出すリスクあるいは接着剤の厚さが不均一になるリスクを低減できる。操作キー410および可動接点420の各形状に起因して、両者410,420の接着面積が小さくならざるを得ないような場合であっても、延出部424等を第二凹部415と固定シート430との間に挟み込む形態を採用することによって、可動接点420が操作キー410から脱落するリスクを低減できる。また、可動接点420を操作キー410の足部413の裏面(基板440との対向面)に固定することで、可動接点420の形状上の制約に伴う接着強度の低下を最小限に抑えることができる。
【0137】
(4)基板
基板440は、その表面に、接点441,441と、接点442,442(接点の一例)とを配置している。基板440は、絶縁性に優れる材料にて形成されており、一例として、紙基材をフェノール樹脂で固めた紙フェノール基板、紙基材をエポキシ樹脂で固めた紙エポキシ基板、ガラスファイバで織った布をエポキシ樹脂で固めたガラスエポキシ基板、紙とガラス基材を混合して固めたガラスコンポジット基板の他、アルミナ等の絶縁性の高いセラミックスで形成されたセラミックス基板、テトラフルオロエチレン、ポリイミド等の絶縁性の高い樹脂で形成された樹脂基板を好適に挙げることができる。
【0138】
接点441,441は、
図17では、2個配置されているように見えるが、凸部425と同じ数(すなわち4個)であっても良い。接点442,442は、最低限2個存在すればよく、3個以上でも良い。
図17における接点441,441および接点442,442の数あるいは形態等は、例示に過ぎず、それぞれ、凸部425との接触および第一貫通孔426の外周縁部との接触によって通電可能となる接点であれば、如何なる数や形態等でも良い。また、接点441,441を基板440の内部に表面露出状態で埋設し、接点442,442を基板440上に貼り付けているが、その逆の形態としたり、全ての接点を基板440上に貼り付けたり、あるいは全ての接点を基板440の内部に表面露出状態で埋設しても良い。この実施形態では、接点441,441および接点442,442の両方を設けているが、例えば一段スイッチの場合には、接点441,441若しくは接点442,442のいずれか一組の接点のみを設けるだけで良い。
【0139】
この実施形態では、可動接点420の第一貫通孔426に対向する基板440上の所定位置に、照光手段の一例としてのLED443を備える。LED443の発光面は、第一貫通孔426の方向にある。LED443以外の照光手段として、熱フィラメントを備えた電球、有機ELあるいは無機ELなどを用いても良い。また、接点441あるいは接点442と同様、LED443等の照光手段を、基板440の表面ではなく、基板440に埋設しても良い。
【0140】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係る押釦スイッチ用部材について説明する。なお、第7の実施形態において、第6の実施形態と共通する構成については、同一の文言および/または符号を付し、その説明を第6の実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
【0141】
図19は、第7の実施形態に係る押釦スイッチ用部材を構成する操作キーの透過平面図を示す。
図20は、
図19の押釦スイッチ用部材のA−A線断面図および一部Bの拡大断面図をそれぞれ示す。
図21は、
図19の押釦スイッチ用部材を構成する各構成部材の平面図を示す。
【0142】
第7の実施形態に係る押釦スイッチ用部材401aは、第6の実施形態に係る押釦スイッチ用部材401と可動接点420aおよび固定シート430aの形態を異にする。また、当該形態の相違に付随して、基板440上に接点441,441を設けていない。以下の第7の実施形態の説明では、第6の実施形態と異なる点について主に説明し、共通する点については、第6の実施形態の説明を代用することにして、ここでは繰り返しの説明を省略する。
【0143】
(1)可動接点
押釦スイッチ用部材401aを構成する可動接点420aは、第6の実施形態で説明した逆椀状部421の外周縁にある段差部422の径方向外側に、段差部422と略同心円状の平坦部423を備える。2つの延出部424は、平坦部423の外方向に延出する部材であって、平坦部423の径方向の延長線上に互いに対向配置されている。可動接点420aは、第6の実施形態と異なり、凸部425を備えていない。このため、操作キー410の押圧操作によって、第一貫通孔426の外周縁のみが基板440上の接点442,442と接触する。すなわち、押釦スイッチ用部材401aは、一段スイッチとしての機能を有する。
【0144】
(2)固定シート
押釦スイッチ用部材401aに備える固定シート430aは、第6の実施形態と異なり、凸部425を貫通させる小貫通孔432を備えておらず、大貫通孔431のみを備えている。また、固定シート430aは、絶縁性基材433を基板440から浮かせた状態で、足部413の第一凹部414と、第二凹部415に収納された延出部424との各表面を覆っている。すなわち、固定シート430aと基板440との間には、
図20に示すような隙間(Gap)が存在する。かかる隙間は存在しない方が好ましいが、固定シート430aが足部413からはがれにくい場合には、隙間を有していても良い。
【0145】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態に係る押釦スイッチ用部材について説明する。なお、第8の実施形態において、先に説明した各実施形態と共通する構成については、同一の文言および/または符号を付し、その説明を、先に説明した各実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
【0146】
図22は、第8の実施形態に係る押釦スイッチ用部材を構成する操作キーの透過平面図を示す。
図23は、
図22の押釦スイッチ用部材のA−A線断面図および一部Bの拡大断面図をそれぞれ示す。
図24は、
図22の押釦スイッチ用部材を構成する各構成部材の平面図を示す。
【0147】
第8の実施形態に係る押釦スイッチ用部材401bは、第6の実施形態に係る押釦スイッチ用部材401と、操作キー410b、可動接点420bおよび固定シート430bの各形態を異にする。また、当該形態の相違に付随して、基板440上に接点441,441を設けておらず、かつ接点442,442間の距離を小さくしている。以下の第8の実施形態の説明では、第6の実施形態と異なる点について主に説明し、共通する点については、第6の実施形態の説明を代用することにして、ここでは繰り返しの説明を省略する。
【0148】
(1)操作キー
押釦スイッチ用部材401bに備える操作キー410bは、第6の実施形態と異なり、キー本体411を貫通する貫通孔417を備えていない。これは、基板440に照光手段を備えていないため、基板440側から光を透光させる必要が無いからである。この点以外の構成は、第6の実施形態と共通する。
【0149】
(2)可動接点
押釦スイッチ用部材401bを構成する可動接点420bは、第6の実施形態で説明した逆椀状部421の外周縁にある段差部422の径方向外側に、段差部422と略同心円状の平坦部423を備える。2つの延出部424は、平坦部423の外方向に延出する部材であって、平坦部423の径方向の延長線上に互いに対向配置されている。可動接点420bは、第6の実施形態と異なり、凸部425および第一貫通孔426をともに備えていない。これは、第6の実施形態と異なり、基板440に照光手段および接点441,441を備えていないため、凸部425および第一貫通孔426が不要だからである。
【0150】
可動接点420bは、第6および第7の各実施形態と異なり、逆椀状部421の凹面側の底部(すなわち、突出頂面の反対側の位置)に、基板440上の接点442,442に向けて突出する突出部427を備える。接点442,442は、互いに導通していない状態にて、基板440に形成されている。接点442,442間の距離は、突出部427との接触によって導通可能な程度に小さい。操作キー410bの押圧操作によって、キー本体411の押圧部416は、可動接点420bの逆椀状部421の頂部を基板440側に押し込む。その結果、可動接点420bの逆椀状部421は、段差部422から変形して、基板440上の接点442,442と接触する。このように、押釦スイッチ用部材401bは、第7の実施形態と同様、一段スイッチとしての機能を有する。
【0151】
(3)固定シート
押釦スイッチ用部材401bに備える固定シート430bは、第6の実施形態と異なり、凸部425を貫通させる小貫通孔432を備えておらず、大貫通孔431のみを備えている。また、固定シート430bは、絶縁性基材433を基板440に接触可能な厚さを有する。したがって、第7の実施形態で説明したような隙間(Gap)は存在しない。
【0152】
(その他の実施形態)
以上、本発明の押釦スイッチ用部材の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、上述の各実施形態に限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0153】
図25は、第6の実施形態に係る押釦スイッチ用部材の各変形例であって、操作キーの足部の形態を変えた2つの例における
図17と同様の一部Bの拡大断面図(25A,25B)を示す。
【0154】
これら変形例では、操作キー410の足部413は、第6の実施形態と異なり、第二凹部415を備えていない。このため、可動接点420の延出部424は、足部413の第一凹部414から基板440側に、延出部424の厚さ分だけ突出している。固定シート430は、延出部424の表面から第一凹部414に固定されている。延出部424が第一凹部414から基板440側に突出している分だけ、固定シート430の接着層434は部分的に絶縁性基材433側に押し込まれている。ただし、(25A)の例は、(25B)と異なり、絶縁性基材433が基板440に接しているため、比較的、延出部424が第一凹部414から脱落しにくい。(25B)の例では、絶縁性基材433が基板440と離れているため、(25A)の例に比べると、延出部424が第一凹部414から脱落しやすい。これに対して、第6の実施形態は、第二凹部415が延出部424を収納しているので、延出部424の脱落のリスクは低い。以上より、第二凹部415の形成および固定シート430と基板440との接触の両構成を備えていない形態よりも、両構成の内の一方のみを備える形態の方が好ましく、両構成を備える方がより好ましいと考えられる。
【0155】
図26は、可動接点の各種変形例(26A〜26F)を示す。
【0156】
(26A)は、第6の実施形態に備える可動接点420に、さらに加えて、2つの延出部424を対向配置させた可動接点420cの平面図を示す。(26B)は、(26A)の可動接点420cの延出部424に代えて、平坦部423の周りを囲むように形成される延出部424dを備えた可動接点420dの平面図を示す。(26C)は、(26A)の可動接点420cの4本の延出部424を除外し、平坦部423eを円環状に形成した可動接点420eの平面図を示す。(26D)は、(26C)の可動接点420eの平坦部423eを除外し、4方向にそれぞれ延出する延出部424fを段差部422に接続し、各延出部424fに1個の凸部425を形成した可動接点420fの平面図を示す。(26E)は、(26D)の可動接点420fの4つの延出部424fを3つの延出部424gに変えた可動接点420gの平面図を示す。(26F)は、(26A)の可動接点420cの第一貫通孔426を設けない可動接点420hの平面図を示す。
【0157】
上記の各種変形例のように、平坦部423の形状およびその形成有無、さらには延出部424の数や形状、凸部425の数や形成位置、第一貫通孔426の有無等も自在に変更可能である。
図26の例示形態以外にも、種々形態を採用できる。例えば、(26C)の可動接点420eの平坦部423eを平面視にて略四角形としても良い。また、(26D)の可動接点420fにおいて、第一貫通孔426を設けなくとも良い。
【0158】
また、固定シート430,430a,430b(固定シート430等という)は、可動接点420,420a,420b,420c,420d,420e,420f,420g,420h(可動接点420等という)の外延部の少なくとも一部の表面を覆っている限り、延出部424,424d,424f,424g(延出部424等という)の基板440と対向する面の一部若しくは全面を覆っていても良い。また、足部413に第一凹部414を備えていなくても良い。その場合には、例えば、可動接点420等の外延部を、足部413の底面(基板440と対向する面)に重ねて、その表面に固定シート430等を貼り付けても良い。さらに、第一凹部414に第二凹部415を備えていなくても良い。その場合には、例えば、
図25に示す形態にて、固定シート430等を貼り付けても良い。
【0159】
また、操作キー410は、ドーム部412を備えていなくとも良い。例えば、キー本体411と足部413との間に、ドーム部412に代えて、キー本体411の上下動を可能にする薄い連結部を備えても良い。固定シート430等は、絶縁性基材433の両面に接着層434を有していても良い。その場合、例えば、足部413の裏面(第一凹部414、第二凹部415が存在しているか否かを問わない)と外延部との間に固定シート430等を挟んで、足部413と外延部とを固定しても良い。
【0160】
各実施形態における押釦スイッチ用部材401,401a,401bの各種構成要素は、組み合わせ不可能な場合を除き、互いに任意に組み合わせることができる。例えば、第6の実施形態および第7の実施形態の各構造を組み合わせて、可動接点420に凸部425を備えなくとも良い。また、第6の実施形態および第8の実施形態の各構造を組み合わせて、LED443を基板440に備えつつ、突出部427に相当する突出部を可動接点420に備えても良い。その場合、突出部を円筒状にして、円筒内にLED443を挿入可能にするのが好ましい。この結果、可動接点420を基板440に向かって押し込むと、円筒形状の突出部がLED443を囲みながら下方に移動して接点442,442に接触することができる。