特許第6769986号(P6769986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6769986熱可塑性ポリマーをベースとした金属導電性ホットメルトペースト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769986
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリマーをベースとした金属導電性ホットメルトペースト
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/363 20060101AFI20201005BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20201005BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20201005BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20201005BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20201005BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20201005BHJP
   C22C 13/00 20060101ALN20201005BHJP
【FI】
   B23K35/363 D
   C08L101/00
   C08K3/08
   H01B5/16
   H01B1/22 D
   B23K35/363 E
   !B23K35/26 310A
   !C22C13/00
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-549240(P2017-549240)
(86)(22)【出願日】2016年3月16日
(65)【公表番号】特表2018-516755(P2018-516755A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】US2016022633
(87)【国際公開番号】WO2016149361
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年3月8日
(31)【優先権主張番号】14/660,203
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 明
【審査官】 川口 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−055517(JP,A)
【文献】 特開平04−228288(JP,A)
【文献】 特開平11−045618(JP,A)
【文献】 特開2004−230426(JP,A)
【文献】 特開2007−069259(JP,A)
【文献】 特開2004−047421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/00−35/40
H01B 1/22
H01B 5/16
C08K 3/08
C08L 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子電極と、前記端子電極上に形成されたホットメルトポリマー層とを備える電気部品であって、前記電気部品は、抵抗器、キャパシタ、インダクタまたは半導体チップであり、前記ホットメルトポリマー層は、(i)100重量部の銀粉末、および(ii)1〜30重量部のポリマーを含み、前記ポリマーのメルトマスフローレート(MFR)は、120〜200℃および0.3〜8kgfで0.5〜20g/10分である、電気部品。
【請求項2】
抵抗器、キャパシタ、インダクタまたは半導体チップである電気部品を製造する方法であって、
本体を備える電気部品を提供する工程であって、少なくとも1種の端子電極が前記本体の上に形成される、工程と;
ホットメルトポリマーペーストを前記端子電極に適用する工程であって、前記ホットメルトポリマーペーストは、(i)100重量部の銀粉末、(ii)1〜30重量部のポリマーおよび(iii)溶媒を含み、前記ポリマーのメルトマスフローレートは、120〜200℃および0.3〜8kgfで0.5〜15g/10分である、工程と;
前記適用されたホットメルトポリマーペーストを乾燥させる工程と
を含む方法。
【請求項3】
端子電極と、前記端子電極上に形成されたホットメルトポリマー層とを備える電気部品であって、前記電気部品は、抵抗器、キャパシタ、インダクタまたは半導体チップであり、前記ホットメルトポリマー層は、(i)100重量部の銀粉末および(ii)1〜30重量部のポリマーを含み、前記ポリマーは、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ブチラール樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択される、電気部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品は、回路に実装され、はんだで接合される。はんだは、電気部品の端子電極の上に延ばされることが必要である。
【0003】
欧州特許第0720187号明細書には、銀粒子およびガラスフリットを含有する組成物から作られている端子電極を有する、多層キャパシタが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的は、優れたはんだ付け性を有する電気部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、端子電極および端子電極上に形成されたホットメルトポリマー層を備える電気部品であって、ホットメルトポリマー層は、(i)100重量部の金属粉末および(ii)1〜30重量部のポリマーを含み、ポリマーのメルトマスフローレート(MFR)は、120〜200℃および0.3〜8kgfで0.5〜20g/10分である、電気部品に関する。
【0006】
本発明の別の態様は、本体を備える電気部品を用意する工程であって、少なくとも1つの端子電極が本体上に形成される、工程と;ホットメルトポリマーペーストを端子電極上に適用する工程であって、ホットメルトペースポリマーペーストは、(i)100重量部の金属粉末、(ii)1〜30重量部のポリマーおよび(iii)溶媒を含み、ポリマーのメルトマスフローレート(MFR)は、120〜200℃および0.3〜8kgfで0.5〜15g/10分である、工程と;適用されたホットメルトポリマーペーストを乾燥させる工程とを含む、電気部品を製造する方法に関する。
【0007】
本発明の別の態様は、端子電極および端子電極上に形成されたホットメルトポリマー層を備える電気部品であって、ホットメルトポリマー層は、(i)100重量部の金属粉末および(ii)1〜30重量部のポリマーを含み、ポリマーは、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ブチラール樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂およびそれらの混合物からなる群から選択される、電気部品に関する。
【0008】
優れたはんだ付け性を有する電気部品は、本発明によって提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、電気部品の概略断面図である。
図2図2は、基板上に電気部品を実装する工程での電気装置の製造方法を説明するための概略断面図である。
図3図3は、リフローさせる工程での電気装置の製造方法を説明するための概略断面図である。
図4図4は、実施例1および比較例1におけるリフローはんだ付けの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
電気部品および電気部品をはんだ付けする方法が、以下に図1図3に沿って説明される。
【0011】
電気部品
キャパシタとしての電気部品100を図1に示す。電気部品100は、端子電極104およびその端子電極上に形成されたホットメルトポリマー層105を備える。端子電極は、回路などの外部導電性要素と電気的および物理的に接合された電極と定義される。図1中のキャパシタは、本体101および本体101の両側での端子電極104ならびに両端子電極上のホットメルトポリマー層105を備える。
【0012】
キャパシタの本体101は、ある実施形態において、セラミック層102および内部電極層103からなる積層体である。
【0013】
端子電極104は、ある実施形態において、焼成型電極または硬化型電極であることができる。焼成型電極は、ある実施形態において、典型的には導電性粉末、ガラスフリットおよび有機ビヒクルを含む導電性ペーストを適用し、導電性ペーストを焼成することによって形成することができる。硬化型電極は、別の実施形態において、導電性粉末および熱硬化性ポリマーを含む熱硬化性導電性ペーストを適用し;熱硬化性導電性ペーストを加熱することによって形成することができる。
【0014】
端子電極のための導電性粉末は、ある実施形態において、銀、銅、ニッケルまたはそれらの混合物であることができる。
【0015】
端子電極は、ある実施形態において10〜50μm厚さである。
【0016】
ホットメルトポリマー層105は、端子電極104上に形成される。ホットメルトポリマー層は、リフロー温度で溶融されると定義される。リフローは、はんだペーストを熱によって溶融させ、電気部品を回路に付着させるプロセスである。
【0017】
ホットメルトポリマー層105は、ある実施形態において、ホットメルトポリマーペーストを適用する、例えば、ディッピング、スクリーン印刷および端子電極104上での転写印刷によって形成される。ホットメルトポリマー層105は、金属粉末およびポリマーおよび溶媒を含む。次いで、適用されたホットメルトポリマーペーストは、完全に乾燥させて、溶媒を除去する。乾燥温度は、ある実施形態において50〜200℃、ある実施形態において60〜180℃、別の実施形態において90〜160℃であることができる。
【0018】
ホットメルトポリマー層105は、ある実施形態において、端子電極104の全表面上に形成することができる。ホットメルトポリマー層105は、別の実施形態において、端子電極104上に部分的に形成することができる。ホットメルトポリマー層105は、その上に実装されるはんだペーストとの少なくとも接合の領域で端子電極上に形成することができる。端子電極104の表面の少なくとも70%は、別の実施形態において、ホットメルトポリマー層105で被覆することができる。端子電極104は、別の実施形態において、ホットメルトポリマー層105で全体的に被覆することができる。
【0019】
ホットメルトポリマー層は、ある実施形態において1〜30μm厚さ、別の実施形態において3〜25μm厚さ、別の実施形態において5〜15μm厚さである。
【0020】
ホットメルトポリマー層は、ある実施形態において、ガラスフリットをまったく含まない。
【0021】
ホットメルトポリマー層は、ある実施形態において、硬化剤も架橋剤もまったく含まない。
【0022】
図2に示されるとおりに、電気部品100は、ある実施形態において、電気回路ボード上に実装される。
【0023】
その表面上に回路202を有する基板201が準備される。基板201は、ある実施形態において、剛性または柔軟性であることができる。基板201は、別の実施形態において、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、セラミック基板、低温共焼成セラミック(LTCC)基板、ポリマーフィルム、ガラス基板、セラミック基板、またはそれらの組み合わせであることができる。回路202は、ある実施形態において、めっき金属、金属箔、または厚膜導電性ペーストで作製することができる。
【0024】
はんだペースト203は、ある実施形態において、回路202上に印刷される。はんだペースト203は、典型的にははんだ粉末および融剤を含む。はんだ粉末は、低融点を有する金属を含有する金属合金である。はんだペースト203は、ある実施形態において、Sn/Pb、Sn/Pb/Bi、Sn/Sb、Sn/Cu、Sn/Ag/Cu、Sn/Zn/Bi、Sn/Zn/Al、Sn/Ag/In/BiおよびSn/Ag/Cu/Niならびにそれらの混合物からなる群から選択されるはんだ粉末を含む。
【0025】
はんだペースト203は、別の実施形態において、鉛不含である。鉛不含はんだは、環境に優しいが、しばしば鉛含有はんだと比較してはんだ付け性がより低くなる。本発明の電気部品は、鉛不含はんだペーストの使用においてさえも、十分なはんだ付け性を有することができる。
【0026】
はんだペースト、例えば、Senju Metal Industry Co.,LtdからのEco solder(登録商標)、Ishikawa Metal Co.,Ltd.からのEvasol(登録商標)およびMatsuo Handa Co.,Ltd.からのFine solder(登録商標)は、市場で購入可能である。
【0027】
キャパシタ100は、図2に示されるとおりに、ホットメルトポリマー層105がその上にくるように、はんだペースト203上に実装される。
【0028】
次いで、アセンブリは、リフローされる。加熱は、アセンブリを、リフローオーブンの中を通って、もしくは赤外ランプ下を通過させることによって、またはホットエアペンシルで個別の接合点をはんだ付けすることによって行われてもよい。
【0029】
リフロー中に、はんだは、端子電極104および回路202を物理的および電気的に接続することができる。リフロー温度は、ある実施形態において100〜350℃、別の実施形態において150〜310℃、別の実施形態において200〜290℃である。リフロー時間は、ある実施形態において1〜60秒、別の実施形態において4〜30秒、別の実施形態において6〜20秒である。加熱温度および時間は、それらの組み合わせ、例えば、低温で長時間、および高温で短時間を考慮して調整可能である。
【0030】
はんだペースト203は、図3に示されるように、溶融して、リフロー中にホットメルトポリマー層を融合するにつれて、端子電極104上を上方に延びる。ホットメルトポリマー層105中の金属粉末は、溶融はんだ203と一緒の合金中に溶融することができる。ホットメルトポリマー層中のポリマーは、溶融はんだがその比較的高い比重のために端子電極上を延びるにつれて、離れることができる。はんだの比重は、ある実施形態において7〜10g/cm3である。ポリマーの比重は、ある実施形態において0.8〜2.0である。
【0031】
電気部品100は、ある実施形態において、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、または半導体であり得る。
【0032】
ホットメルトポリマー層を形成するためのホットメルトポリマーペーストが、以下に説明される。ホットメルトポリマーペーストは、(i)100重量部の金属粉末、(ii)1〜30重量部のポリマーおよび(iii)溶媒を含む。
【0033】
(i)金属粉末
金属粉末は、ある実施形態において、銀、銅、金、パラジウム、白金、ロジウム、ニッケル、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、亜鉛、ビスマス、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。金属粉末は、別の実施形態において、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、ビスマス、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。金属粉末は、別の実施形態において、銀であり得る。
【0034】
金属粉末の粒子は、ある実施形態において、薄片、球状、団塊状(nodular)またはそれらの混合の形態であり得る。金属粉末の粒子は、別の実施形態において、薄片の形態であり得る。金属粉末の粒子は、別の実施形態において、形状が球状であり得る。
【0035】
金属粉末の粒子直径(D50)は、ある実施形態において0.5〜20μm、別の実施形態において0.7〜15μm、別の実施形態において0.9〜10μm、別の実施形態において1〜5μm、別の実施形態において0.5〜2μm、別の実施形態において3〜5μmであり得る。このような粒子サイズを有する金属粉末は、有機ビヒクルに良く分散し得る。粒子直径(D50)は、MicrotracモデルX−100を用いてレーザ回折散乱法を使用することによって粉末直径の分布を測定することにより得られる。
【0036】
(ii)ポリマー
ホットメルトポリマー層は、金属粉末がその中に分散するポリマーを含む。ポリマーは、リフロー中に溶融する。ポリマーのメルトマスフローレート(MFR)は、120〜200℃および0.3〜8kgfで0.5〜20g/10分である。ポリマーのMFRは、120〜200℃および0.3〜8kgfで、別の実施形態において0.8〜15g/10分、別の実施形態において1.0〜10g/10分であり得る。このようなポリマーは、高温で流動化する。MFRは、溶融ポリマーの流れの容易さの尺度である。それは、ある温度について重力重量を介して印加された圧力によって、特定の直径および長さの毛細管を通って10分で流れる、グラム単位でのポリマーの質量と定義される。MFRは、ある実施形態において、JIS7210に従って測定され得る。
【0037】
MFRは、別の実施形態において120〜150℃、別の実施形態において180〜200℃の温度で測定され得る。MFRは、別の実施形態において0.5〜2.5kgf、別の実施形態において1.0〜1.5kgf、別の実施形態において3〜7kgf、別の実施形態において4〜6kgfの圧力で測定され得る。
【0038】
MFRは、130℃および5kgfで、別の実施形態において1〜10、別の実施形態において2〜8、別の実施形態において2.5〜7kgf、別の実施形態において2.5〜4である。MFRkgfは、190℃および1.2kgfで、別の実施形態において1〜10、別の実施形態において5〜10、別の実施形態において7〜9、別の実施形態において8〜10である。
【0039】
ポリマーの融点(Tm)は、ある実施形態において150〜400℃、別の実施形態において200〜350℃、別の実施形態において250〜300℃である。ポリマーは、その融点で液体に変わる。
【0040】
ポリマーは、ある実施形態において−25〜180℃のガラス転移点(Tg)を有する。ポリマーのTgは、ある実施形態において10〜150℃、別の実施形態において20〜120℃、別の実施形態において28〜100℃、別の実施形態において30〜85℃である。ポリマーは、そのガラス転移点で剛性結晶領域および弾性非晶質領域を変え始める。
【0041】
ポリマーの分子量(Mw)は、ある実施形態において500〜100,000、別の実施形態において1000〜80,000、別の実施形態において2,000〜50,000、別の実施形態において3,000〜25,000、および別の実施形態において5,000〜9,000である。
【0042】
ポリマーは、ある実施形態において、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ブチラール樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。ポリマーは、別の実施形態において、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0043】
ポリマーは、金属粉末100重量部に対して、別の実施形態において2〜25重量部、別の実施形態において3〜20重量部、別の実施形態において4〜15重量部、別の実施形態において6〜13重量部である。
【0044】
ポリマーは、ある実施形態において、熱可塑性であり得る。ホットメルトポリマーペーストは、別の実施形態において、熱硬化性ポリマーをまったく含まない。
【0045】
(iii)溶媒
溶媒は、ポリマーを溶解させるために使用され得る。溶媒は、端子電極上のホットメルトポリマーペーストを完全に乾燥させる間に蒸発する。
【0046】
溶媒は、金属粉末100重量部に対して、ある実施形態において2〜60重量部、別の実施形態において9〜50重量部、別の実施形態において15〜40重量部である。
【0047】
溶媒の沸点は、ある実施形態において120〜350℃、別の実施形態において160〜320℃、別の実施形態において200〜290℃であり得る。
【0048】
溶媒は、ある実施形態において、有機溶媒であり得る。
【0049】
溶媒は、別の実施形態において、テキサノール、テルピネオール、カルビトールアセテート、エチレングリコール、ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール、ジブチルアセテートプロピレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0050】
溶媒は、基板に適用するのに好ましいようにホットメルトポリマーペーストの粘度を調整するために使用され得る。ポリマーペーストの粘度は、ある実施形態において、10rpmでスピンドル#14を用いてBrookfield HBTにより測定して10〜300Pa・sである。ディッピングの場合、導電性ペーストの粘度は、10〜120Pa・sであり得る。
【0051】
(iv)融剤
ポリマーペーストは、融剤をさらに含み得る。融剤は、はんだ付け対象の表面上の、酸化などの阻害因子を除去することによって、端子電極のはんだ付け性を増加させ得る。ポリマーペーストは、ある実施形態において0.1〜3重量部、別の実施形態において0.4〜2重量部、別の実施形態において0.5〜1.2重量部の融剤を含む。融剤は、リフロー後にホットメルトポリマー層に残存する。
【0052】
融剤、例えば、Tokyo Chemical Industry Co.,Ltd.からのA0001およびSenju Metal Industry Co.,Ltd.からのPO−F−1010Sは、市場で購入可能であり得る。
【0053】
(v)添加剤
添加剤、例えば、界面活性剤、分散剤、安定剤および可塑剤は、ペーストの所望の特性に基づいて、ポリマーペーストに添加することができる。
【0054】
別の実施形態において、ホットメルトポリマーペーストは、ガラスフリットをまったく含まない。
【0055】
別の実施形態において、ホットメルトポリマーペーストは、硬化剤も架橋剤もまったく含まない。
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
[1] 端子電極と、前記端子電極上に形成されたホットメルトポリマー層とを備える電気部品であって、前記ホットメルトポリマー層は、(i)100重量部の金属粉末、および(ii)1〜30重量部のポリマーを含み、前記ポリマーのメルトマスフローレート(MFR)は、120〜200℃および0.3〜8kgfで0.5〜20g/10分である、電気部品。
[2] 前記金属粉末が、薄片、球状、団塊状、またはそれらの混合である粒子を含む、[1]に記載の電気部品。
[3] 前記金属粉末が、0.5〜20μmの直径(D50)を有する粒子を含む、[1]に記載の電気部品。
[4] 前記金属粉末が、銀、銅、金、パラジウム、白金、ロジウム、ニッケル、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、亜鉛、ビスマス、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の電気部品。
[5] 前記ポリマーのガラス転移点が、−25〜180℃である、[1]に記載の電気部品。
[6] 前記ポリマーの分子量が、500〜100,000である、[1]に記載の電気部品。
[7] 前記ホットメルトポリマー層が、0.1〜3重量部の融剤をさらに含む、[1]に記載の電気部品。
[8] 前記ポリマーが、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ブチラール樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の電気部品。
[9] 前記電気部品が、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、または半導体チップである、[1]に記載の電気部品。
[10] 電気部品を製造する方法であって、
本体を備える電気部品を提供する工程であって、少なくとも1種の端子電極が前記本体の上に形成される、工程と;
ホットメルトポリマーペーストを前記端子電極に適用する工程であって、前記ホットメルトポリマーペーストは、(i)100重量部の金属粉末、(ii)1〜30重量部のポリマーおよび(iii)溶媒を含み、前記ポリマーのメルトマスフローレートは、120〜200℃および0.3〜8kgfで0.5〜15g/10分である、工程と;
前記適用されたホットメルトポリマーペーストを乾燥させる工程と
を含む方法。
[11] 前記金属粉末が、薄片、球状、団塊状またはそれらの混合である、[10]に記載の方法。
[12] 前記ポリマーが、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ブチラール樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[10]に記載の方法。
[13] 前記ホットメルトポリマーペーストが、0.1〜3重量部の融剤をさらに含む、[10]に記載の方法。
[14] 乾燥温度が、50〜200℃である、[10]に記載の方法。
[15] 前記電気部品が、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、または半導体チップである、[10]に記載の方法。
[16] 端子電極と、前記端子電極上に形成されたホットメルトポリマー層とを備える電気部品であって、前記ホットメルトポリマー層は、(i)100重量部の金属粉末および(ii)1〜30重量部のポリマーを含み、前記ポリマーは、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ブチラール樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択される、電気部品。
【実施例】
【0056】
本発明は、以下の実施例によって例示されるが、限定されるものではない。
【0057】
実施例1および比較例1
ホットメルトポリマーペーストを、以下のとおり調製した。
【0058】
100重量部の球状銀粉末および10.5重量部のポリエステルポリマー(MFR 130℃および5kgfで6.59g/10分、Tg 36℃、Mw 16000、Nippon Synthetic Chemical Industry Co.,Ltd.からのNichigo−Polyester(登録商標)TP249)、溶媒としてジブチルカルビトールおよび添加剤を、金属粉末が十分に分散されるまで、混合器、続いて3本ロールミルで十分に混合した。MFRは、メルトインデクサ(D4003、Dynisco Corporate)により方法Aで測定した。ペースト粘度は、50rpmでスピンドル#14を用いてBrookfield HBTにより測定して約30Pa・sまで溶媒をさらに添加することによって調整した。銀粉末の粒子直径(D50)は、1.3μmであった。
【0059】
両側に端子電極を有するチップインダクタを調製した。端子電極は、熱硬化性導電性ペーストをスクリーン印刷し、続いて、170℃で30分間硬化させることによって作製した。電極は、91重量%の銅粉末および9重量%のフェノール樹脂からなった。端子電極は、40μm厚さであった。
【0060】
ホットメルトポリマー層を、上で調製されたポリマーペースト中にディッピングすることによって端子電極上に形成した。適用されたポリマーペーストを、120℃で30分間乾燥させると、10μm厚さのホットメルトポリマー層となった。
【0061】
Pb不含はんだペースト(Sn/Ag/Cu=96.5/3/0.5、M705、Senju Metal Industry Co.,Ltd.)を、セラミック基板上に印刷した。はんだペーストの印刷パターンは、3mm幅、3mm長および250μm厚さの2つの正方形であった。チップインダクタを、各端子電極としてはんだペーストパターン上に実装し、ホットメルトポリマー層がはんだペーストパターンの上に来て、続いて、260℃で10秒間リフローさせた。比較のために、ホットメルトポリマー層なしのチップインダクタを別個にはんだペースト上に実装した(比較例1)。
【0062】
はんだは、図4中の左に示されるとおりの比較例1におけるホットメルトポリマー層なしの電気部品と比較して、図4中の右に示されるとおりの実施例1における端子電極でより上方に延びた。
【0063】
実施例2〜実施例7および比較例2〜比較例3
ホットメルトポリマーペースト組成物を調べた。
【0064】
ホットメルトポリマーペーストは、表1に示される組成で調製した。球状および薄片状の銀粉末の粒子直径(D50)は、それぞれ、1.3μmおよび4.0μmであった。ポリマーのメルトマスフローレート(MFR)、ガラス転移点(Tg)および分子量(Mw)を以下に示す。
− フェノキシ樹脂:
MFR 1.17g/10分(190℃および1.2kgfで);
Tg 92℃;
Mw 52,000。
− ポリエステル樹脂A:
MFR 6.59g/10分(130℃および5kgfで);
Tg 36℃;
Mw 16000。
− ポリエステル樹脂B:
MFR8.68g/10分(190℃および1.2kgfで);
Tg 65℃;
Mw 16000。
− エポキシ樹脂:
MFR 2.72g/10分(130℃および5kgfで);
Tg 65℃;
Mw 7000。
− フェノール樹脂:
熱硬化性ポリマー。
【0065】
その上に形成された硬化型電極を有するセラミック基板を調製した。硬化型電極は、実施例1と同じ熱硬化性導電性ペーストをスクリーン印刷することにより形成した。硬化型電極のパターンは、25mm長さ、12mm幅および33μm厚さの四角形であった。
【0066】
上で調製したホットメルトポリマーペーストを、硬化型電極上にスクリーン印刷した。印刷されたホットメルトポリマーペーストを120℃で30分間乾燥させ、それにより、ペースト中の溶媒を蒸発させた。ホットメルトポリマー層は、25mm長さ、12mm幅および10μm厚さの四角形であった。
【0067】
実施例1と同じ鉛不含はんだペーストを、ホットメルトポリマー層上にスクリーン印刷した。はんだペーストパターンは、6mm直径および250μm厚さの円形であった。
【0068】
電極の層を有するセラミック基板、ホットメルトペーストおよびはんだペーストをホットプレート上に置き、260℃で10秒間リフローさせた。リフロー中、はんだペーストは、溶融して、電極上で延びた。
【0069】
室温まで冷却後、はんだ延び率(%)を、以下のとおりに延びたはんだ面積を実測することによって視覚的に測定した、(リフローはんだ面積)/(印刷はんだペースト面積)×100。
【0070】
はんだ延び率は、ホットメルトポリマー層を採用した実施例2〜実施例7で100%を上回った。その一方で、はんだ延び率は、熱硬化性ポリマー層を形成した比較例2および比較例3のすべてで、100%であり、延びなかった。
【0071】
【表1】
図1
図2
図3
図4