【文献】
Depigmenting activity of new kojic acid derivative obtained as a side product in the synthesis of cinnamate of kojic acid,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2012年,2004-2007
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
化粧料組成物は、特定の効能を発揮するために多様な有効成分を含んでいる。特に、皮膚は外部環境に直接露出されるので、外部の刺激によって皮膚が損傷しやすい。
ここで、皮膚損傷を防ぎ、各種効能を与えるための多くの物質が公知されていて、メチレンジオキシケイ皮酸コジル(kojyl methylenedioxycinnamate、商品名セレチノイド G、Seletinoid G
TM)は、これら物質の一つであって、特に抗老化、抗酸化、美白などに優れた効果がある。
【0003】
しかし、上記メチレンジオキシケイ皮酸コジルは、結晶性が強くて組成物内で溶解し難く、溶解された後も速いうちに再結晶化または析出が起きて、製品の皮膚吸収率や使用感を低下させる。このような問題点のため、メチレンジオキシケイ皮酸コジルは優れた効能を有しているにもかかわらず、実質的に化粧料組成物の有効成分として使いにくかった。
このようなメチレンジオキシケイ皮酸コジルの難溶性問題を改善するために、従来に様々な試みがあった。
【0004】
例えば、結晶性物質を溶解させようとする場合に主に使われる方法である、高分子からなるマイクロカプセルを利用した方法、メチレンジオキシケイ皮酸コジルと共に結晶性が強い一つ以上の別の物質を極性オイルに溶かして溶解度を高める試み(韓国公開特許10−2015−0062895)があった。
【0005】
しかし、前者の場合、高分子間の相溶性または高分子自体の結晶度によってカプセル内部での有効成分の溶解度が決まり、大概の場合、高分子カプセル内で独立に結晶が形成されて有効成分の放出速度が非常に遅くなるので、これの提供効率の落ちる短所があった。
また、後者の場合は、煩わしくて非経済的であり、著しい溶解度改善効果がないため、常用化には依然として限界があった。
したがって、メチレンジオキシケイ皮酸コジルの結晶性を低下させ、組成物内での安定性を維持させるためのより効果的方法の開発が必要な実情である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、有効成分であるメチレンジオキシケイ皮酸コジルを含む化粧料組成物内で発生する結晶化及び結晶析出を元から遮られる新しい化粧料組成物を提示する。
メチレンジオキシケイ皮酸コジル(Kojyl methylenedioxycinnamate)は、下記化学式1で表わされる:
化学式1
【化3】
【0015】
上記化学式1のメチレンジオキシケイ皮酸コジルは、IUPAC式で2−((3E)−4(2H,3H−ベンゾ[3,4−d]−1,3−ジオキソラン−5−イル)−2−オキソ−ブート−3−エニルオキシ)−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン)(2−((3E)−4(2H,3H−benzo[3,4−d]−1,3−dioxolan−5−yl)−2−oxo−but−3−enyloxy)−5−hydroxy−4H−pyran−4−one)と命名され、市場にはセレチノイド G(Seletinoid G
TM)という商品名で市販される。
【0016】
上記メチレンジオキシケイ皮酸コジルは、抗老化、美白、抗酸化など多様な皮膚効能があり、多様な剤形で化粧料組成物の有効成分として使われている。しかし、このような化合物は、結晶性が強いため組成物内で溶解し難く、溶解後にも時間が増加することにつれ、結晶化及びこれの析出問題があって、剤形安定化が大きく低下され、使用感を低める問題を引き起こす。
【0017】
ここで、本発明では上記化合物の結晶化を防止するための安定化剤として糖に脂肪酸が結合したグリコリピッドの一種であるマンノシルエリスリトールリピッド(manosyl erythritol lipids、MELs、以下「MEL」という)を使用する。
MELは下記化学式2で表わされる:
化学式2
【化4】
(上記化学式2で、
R
1及びR
2は同一または異なり、それぞれ独立にC2ないしC24の脂肪族アシル基で、R
3及びR
4は同一または異なり、それぞれ独立にアセチル基または水素である)。
【0018】
より好ましくは、R
1及びR
2は同一または異なり、それぞれ独立にC6ないしC18の脂肪族アシル基であってもよく、このとき、脂肪族アシル基は−C(=O)−(CH
2)
n−CH
3で表され、この時nは3ないし15であってもよい。
MELは、下記化学式3で定義されるMEL−A、MEL−B、MEL−C、またはMEL−Dのいずれか一つであってもよい。
化学式3
【化5】
(上記化学式3で、
R
5及びR
6は同一または異なり、アセチル基または水素で、nまたはmは6ないし10の定数である)。
【0019】
好ましくは、MEL−Aは上記化学式3において、R
5及びR
6がアセチル基である場合の化合物であり、MEL−BはR
5が水素で、R
6がアセチル基である場合の化合物であり、MEL−CはR
5がアセチル基で、R
6が水素である場合の化合物であり、MEL−DはR
5及びR
6いずれも水素である場合の化合物である。
上記MELは、界面活性を有するバイオ界面活性剤(biosurfactants)の一つである。
【0020】
バイオ界面活性剤は、微生物から製造できるもので、生分解性が高くて低毒性であり、人体皮膚に無害で、優れた補湿能あるので、皮膚保護効果を有する。また、最小表面張力は29dyne/cm、Michel形成濃度(CMC)は15μM(10mg/l)で、既存に使われる化学合成界面活性剤に準ずる程度の表面活性を示す物質である。
【0021】
上記MELの製造は、本発明で特に限定されないし、公知によって生産が可能である。一例として、カンジダ属(Candida sp.)、トルロプシス属(Torulopsis sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)、バシラス属(Bacillus sp.)、アルカリゲネス属(Alcaligenes sp.)、アシネトバクター属(Acinetobacter sp.)、ウスチラゴ属(Ustilago sp.)、ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)のいずれか一つ以上にあたる微生物から得られる。
【0022】
本発明では、化学式1のメチレンジオキシケイ皮酸コジルと共に化学式2のMELを安定化剤として一緒に使うことで、上記メチレンジオキシケイ皮酸コジルの低い剤形安定性によって発生する結晶化及び結晶析出を阻む。このような剤形安定性は、低温、室温及び高温でも同じ結果を示す。
【0023】
剤形安定性のために、従来知られている安定化剤、界面活性剤、エマルジョン化剤、分散剤など、多様な候補群の物質が可能であるが、有効成分の化学構造を考慮しなければならないし、このとき、全ての安定化剤で同一な効果を確保することができない。本発明の好ましい実験例1を通して、メチレンジオキシケイ皮酸コジルと共にMEL、エチルアルコール、ポリソルベート20、ジエトキシエチルコハク酸、及びグリセリル/ポリグリセリル−6イソステアレート/ベヘン酸エステルそれぞれを使って剤形を製造し、この結晶化傾向を確認した結果、時間が経つほどMELを含む組成物でのみ結晶化が起きずに、他の造成の使用で結晶化が深刻に発生することを確認した。
【0024】
また、実験例2を通して温度に対する結晶化傾向を確認した結果、MELを添加した場合、低温、室温及び高温のいずれにおいて優れた剤形安定性を示し、MELを未添加した場合、結晶化が深刻に発生した上、これは低温でさらに加速化する傾向を示した。
結晶化を通して剤形内で結晶が形成されれば有効成分の皮膚伝達が容易でないので、効能が減少するだけでなく、使用する時に異物が感じられて品質低下の要素になるので、これの防止がとても重要である。このような問題は、結局本発明でMELの使用を通して解消することができた。
【0025】
同時に、MELによって剤形安定性を高めることにより、有効成分であるメチレンジオキシケイ皮酸コジルを0.25重量%まで高濃度に含有できる利点がある。
一方、結晶化は剤形の安定性を意味し、これのために有効成分の含量、MELの含量、有効成分とMELの含量比が上記安定性と係った重要なパラメーターになる。
好ましくは、本発明の化粧料組成物は、総重量内でメチレンジオキシケイ皮酸コジルを0.05ないし0.25重量%、好ましくは0.05ないし0.15重量%で使用する。もし、その含量が上記範囲未満であれば、上記メチレンジオキシケイ皮酸コジルの使用によって得られる有効効果、すなわち抗老化、美白、抗酸化効果を確保することができない。これと逆に、上記範囲を超える場合は安定性が低下して結晶化が発生するおそれがある。
【0026】
また、MELは化粧料組成物の総重量内で0.25ないし5.0重量%、好ましくは0.25ないし2.0重量%で使用する。もし、その含量が上記範囲未満であれば、上記メチレンジオキシケイ皮酸コジルの安定化をなすことができないため結晶化が発生することがあるし、これと逆に、上記範囲を超える場合は効果上さほど差がないため非経済的であり、上記範囲で適切に使用する。
【0027】
特に、結晶化防止で重要なパラメーターの一つであるメチレンジオキシケイ皮酸コジルとMELの重量比は1:2.5超であれば可能であり、好ましくは1:2.5超ないし1:100、より好ましくは1:3ないし1:20の重量比で使用する。本発明の好ましい実験例2によれば、含量比による結晶化発生可否を確認した結果、メチレンジオキシケイ皮酸コジルとMELが1:2.5の重量比以下では結晶が表れ、それ以上の範囲で結晶化が発生しないことを確認した。
【0028】
このように、メチレンジオキシケイ皮酸コジルとMELを含む化粧料組成物は、皮膚に適用する時、抗老化、美白、抗酸化効果を有し、皮膚美白及び皮膚弾力を増加させ、しわ生成を抑制することにより皮膚老化を防止することができる。
本発明による化粧料組成物は、化粧品学または皮膚科学的に許容できる媒質または基剤を含んで剤形化されてもよい。本発明の化粧品組成物に含まれる成分は、有効成分としての上記造成以外に、化粧料組成物に通常用いられる成分を含み、例えば、乳脂成分、補湿剤、軟化剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、除泡剤、粘増剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤などを含む。
【0029】
本発明の化粧料組成物は、当業界において通常製造される如何なる剤形としても製造されてもよく、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペイスト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、せっけん、界面活性剤−含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどで剤形化されてもよいが、これに限定されることはない。より詳細には、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレーまたはパウダーの剤形で製造されてもよい。
【0030】
本発明の剤形がペイスト、クリームまたはゲルの場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが利用されてもよい。
【0031】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーの場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーが利用されてもよく、特にスプレーの場合は、さらにクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進剤を含んでもよい。
【0032】
本発明の剤形が溶液または乳濁液の場合は、担体成分として溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が利用され、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、グリセリン、カーボマー、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセロール脂肪族エステル、カプリン酸カプリックトリグリセリド、水添加ポリデセン、セテアリルグルコシド、ソルビタンステアレート、ポリエチレングリコール、セテアリルアルコールなどがある。
【0033】
本発明の剤形が懸濁液の場合は、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガまたはトラカントなどが利用されてもよい。
【0034】
本発明の剤形が界面−活性剤含有のクレンジングの場合は、担体成分として脂肪族アルコール硫酸塩、脂肪族アルコールエーテル硫酸塩、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテル硫酸塩、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが利用されてもよい。
一例として、本発明による化粧料組成物は、乳濁液、つまりエマルジョン化された剤形であってもよい。
【0035】
エマルジョンは、化粧品産業で最も代表的に用いられる剤形システムであって、オイル相と水相を油化技術を利用して均一に分散した系を意味する。このようなエマルジョンは、連続相の造成によって多様な形態で製造が可能であり、油中水(W/O、water−in−oil)、水中油(O/W)、油中水中油中水(W/O/W)または油中水中油(O/W/O)型のエマルジョンが可能であり、本発明ではその形態を特に限定しない。
この時、水相部は水と共にポリオールを使用し、油相部はオイルを使い、前述の各種添加剤、安定化剤、界面活性剤、紫外線吸収剤などを各相に添加することができる。
水相部に使用する水は蒸溜水で、好ましくは脱イオン化した蒸溜水を使用し、全体重量%が100重量%を満たすように残部として使用する。
【0036】
水相部に使うポリオールは補湿のために使用し、屈折率が1.3ないし1.5の範囲を有するもので、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エリスリトール、キシリトール、マルチトールグリセリン、ソルビトール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ペンタンジオール、イソプレングリコール及びこれらの組み合わせからなる群より選択された1種を使用する。上記ポリオールの含量は、全体組成物内で0.1〜20.0重量%で使用できる。
【0037】
油相部に使うオイルは、本発明で特に限定しないし、この分野で通常使うものであれば、いずれのものでも可能である。代表的に、ポリデセン及びパラフィンオイルを含むヒドロカーボン系オイル;セチルエチルヘキサノエート、グリセリルトリオクタノエート、オクチルドデシルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、オクチルパルミテートを含むエステル系合成オイル;シクロメチコン、ジメチコンを含むシリコンオイル;動物性オイル;マンゴバター、シェアバター、クプアスバター、マカダミアオイルを含む植物性オイル;エトキシレイテッドアルキルエステル系オイル;コレステロール;コレステリル硫酸塩;フィトスフィンゴシン;スフィンゴノイド脂質;バチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどのC10〜C40脂肪アルコール、カプリン酸/カプリックトリグリセリド、セラマイド及びこれらの混合物からなる群より選択された1種が使われてもよい。
【0038】
さらに、水相部及び油相部のいずれか一つ以上の相は、粘増剤をさらに含むことができる。代表的に、ソジウムアクリレートコポリマー、カーボマー、架橋または非架橋アクリル酸重合体、特に、多価作用基剤として架橋されたポリアクリル酸、例えば、GOODRICH社で市販する商標名「CARBOPOL」製品、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、セチルステアリルアルコール、酸化エチレン33モルを含むオキシエチレン化したセチルステアリルアルコールの混合物、グアガム、ザンタンガム及びこれらの組み合わせからなる群より選択された1種が可能である。上記粘増剤の含量は、全体組成物内で0.01〜10.0重量%で使用可能である。
【0039】
さらに、水相部及び油相部のいずれか一つ以上の相は、界面活性剤をさらに含んでもよい。
例えば、ソルビタンステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、グリセリルステアレート、ポリグリセリルステアレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオリエート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンオリエート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレート、ポリオキシエチレン水素化ひまし油などの天然油のポリオキシエチレンエーテル系化合物、またはポロキサマー168(Poloxamer168)、ポロキサマー407(Poloxamer 407)などのポリオキシプロピレンのポリオキシエチレンエーテル系化合物、ソジウムステアレート、ポタシウムステアレート、ソジウムラウレート、ソジウムラウリル硫酸塩、ソジウムラウレス硫酸塩(sodium laureth sulfate)、アンモニウムラウレス硫酸塩、ポタシウムセチルリン酸塩、PEG−100ジメチコン、ポリエチレングリコールモノイソステアレート、セテアリルオリベート、ソルビタンオリベート、水素化されたレシチン(Hydrogenated Lecithin)、アラキジルグルコシド、セテアリルアルコール、セテアリルグルコシド、ポリソルベート(Polysorbate)80及びポリソルベート(Polysorbate)60などが可能である。上記界面活性剤は、組成物の総重量対比10重量%以下で使用する。
【0040】
その他にも、必要な場合この分野で公知された水溶性/油用性生理活性成分、補湿剤、防腐剤、pH調節剤、脂肪酸、乳化剤、酸化防止剤、紫外線遮断剤、顔料、染料、香料、安定化剤などの添加剤をさらに添加することができ、この時、その種類及び含量は、当業者によって適切に選択されてもよい。
【0041】
エマルジョン剤形は、水を連続相にする水相部を製造し、オイルを連続相にする油相部を製造した後、これらの混合手順を変更して多様な形態で製造する。具体的に、水相部は50〜90℃、好ましくは60〜80℃で加熱して行い、油相部は50〜80℃、好ましくは65〜75℃で加熱してオイルに他の成分が十分に溶解できるように行う。
この時、撹拌は真空乳化槽内でホモミキサーを利用して2000〜4000rpm、好ましくは3000rpmの速度で3〜10分間撹拌する。
【0042】
本発明によるメチレンジオキシケイ皮酸コジルとMELは、上記水相部または油相部のいずれか一つの相に添加したり、最終エマルジョンを製造した後で添加してもよく、本発明の一実施例では水相部と油相部の混合段階後で添加した。
このように製造された化粧料組成物は、既に言及したように、有効メチレンジオキシケイ皮酸コジルの機能を極大化し、剤形化後に結晶化が発生しないことによって剤形安定化を向上し、使用感を高める効果を確保することができた。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例を通して本発明の 化粧料組成物の製造方法を詳しく説明する。本発明は、これら実施例に限るものではないことは当たり前である。
【0044】
実験例1:安定化剤の種類による析出試験
(1)スキンケアエマルジョン組成物製造
下記表1で示す造成を利用してスキンケア用エマルジョンを製造した。先ず、原料1ないし4を混合して70℃で溶解して水相部を製造した後、原料5ないし11を70℃で溶解して油相部を製造した。次に、上記油相部を水相部に添加し、ホモミキサーで撹拌して1次油化した後、原料12を添加して粘増した。最終的に、気泡をとり除いて原料13及び14を添加した後、室温で冷却させてエマルジョン組成物を製造した。この時、MELとしては SurfMellow BBG (manufactured by Toyobo Co.、Ltd.)を使用した。
【0045】
【表1】
【0046】
(2)析出試験
上記実施例及び比較例で製造したエマルジョン組成物を製造直後、3週、及び10週目に光学顕微鏡(×500)及び偏光顕微鏡(×500)を用いて結晶の発生可否を下記に基づいて観察し、その結果を下記表2に示した。
<判断基準>
X:結晶が観察されない
黒三角:微細サイズの結晶観察
○:結晶観察
◎:大きいサイズの結晶観察
【0047】
【表2】
【0048】
上記表2を参照すれば、MELが含有された実施例1を除き、全ての条件で3週目に結晶析出現象が発生した。
特に、比較例1と比較例3、及び比較例5の組成物は、3週目から明らかに結晶が観察され、比較例3と比較例4は、3週目には微細に結晶が見えたが、10週目には結晶がはっきり観察されたので、安定しないことを確認した。
上記結果は、光学顕微鏡及び偏光顕微鏡の観察によって確認でき、その結果を
図1及び
図2に示した。
【0049】
図1及び
図2は、光学顕微鏡(×500)と偏光顕微鏡(×500)を利用して製造した後、製造直後、3週、10週目にあたる各組成物の結晶発生可否及び結晶の大きさを観察した結果である。
図1を見れば、MELが含有されていない比較例1の組成物は、製造直後には結晶が発生しなかったが、3週後から結晶が観察され、10週後には結晶の大きさがとても大きくなることを確認できる。
一方、
図2の実施例1の組成物の場合、MELを使用することで、10週後にも結晶が発生することなく、安定した状態を維持することが確認できる。
【0050】
実験例2:MELの含量による析出試験
安定化剤として使うMELの最適含量を確認するため、上記実施例1の組成物と同じ処方で行い、エマルジョン組成物を製造して析出試験を行った。この時、100重量%は精製水の含量を変化して調節した。
【0051】
【表3】
【0052】
上記表3を参照すれば、全体化粧料組成物内にMELが0.25重量%以上添加されるとメチレンジオキシケイ皮酸コジルの結晶化を抑制することができたし、特に、MELが0.5重量%以上添加されれば、10週後にも剤形安定性を維持できることが分かる。
このようなMELの含量は、メチレンジオキシケイ皮酸コジルの含量が0.1重量%である場合にあたり、以後、実験でMELとメチレンジオキシケイ皮酸コジルの含量比に対する実験を行った。
【0053】
実験例3:メチレンジオキシケイ皮酸コジルとMELの含量比による析出試験
メチレンジオキシケイ皮酸コジルとMELの含量比による結晶化可否を確認するため、上記実施例1の組成物と同じ処方行い、エマルジョン組成物を製造して析出試験を行った。この時、100重量%は精製水の含量を変化して調節した。
【0054】
【表4】
【0055】
上記表4を参照すれば、MELが添加されれば、3週までは結晶化が進まなかったし、10週後には12回及び13回試験で結晶が観察された。
このような結果は、メチレンジオキシケイ皮酸コジル対比MELを最小2.5倍を超過して添加すれば、結晶化を抑制することができることが分かる。
【0056】
実験例4:メチレンジオキシケイ皮酸コジルとMELの温度による析出試験
メチレンジオキシケイ皮酸コジルとMELの温度別安定性を確認するため、上記実施例1と比較例1のエマルジョン組成物を利用して、温度及び時間による結晶化発生可否を確認した。
【0057】
【表5】
【0058】
上記表5を見れば、実施例1の組成物は、室温を含めて低温及び高温でも結晶化が発生しなかったし、これは10週後にもそのまま維持して高い剤形安定性を示した。
これと比べて、比較例1の組成物は、MELの未使用によって室温でも結晶化が発生しており、このような現象は、低温でより深刻に起きて低温での析出現象が加速化することが分かる。