(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る千鳥型のコンベアチェーンについて、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0010】
〔実施の形態〕
図1は、実施の形態における千鳥型のコンベアチェーン10の一部の構成を示す模式図である。本実施の形態における千鳥型のコンベアチェーン10は、複数のスプロケット12に巻き掛けられる。なお、
図1では、便宜上、千鳥型のコンベアチェーン10の一部および1つのスプロケット12だけが示されている。
【0011】
スプロケット12には、千鳥型のコンベアチェーン10の張力を調整するためのテンショナー14が設けられており、このテンショナー14によって千鳥型のコンベアチェーン10が緩むことなくスプロケット12に巻き掛けられる。なお、
図1では、便宜上、テンショナー14の一部だけが示されている。
【0012】
千鳥型のコンベアチェーン10は、スプロケット12の歯12aと噛み合うことで、そのスプロケット12の回転に連動して走行する。
図2は、千鳥型のコンベアチェーン10を上側から見た図である。千鳥型のコンベアチェーン10は、チェーン22と、複数のサイドローラ24と、複数の抑制部材26とを主に備える。
【0013】
チェーン22は、複数の一対の内プレート22aと複数の一対の外プレート22bとが複数の連結ピン22cを介して回動可能な状態で直列に連結された構造を有し、直列方向に沿って延在する。
【0014】
具体的に内プレート22aと外プレート22bとは、互いの端部が重なるように直列方向にシフトされており、互いに重なる端部に連結ピン22cが挿通されることで、内プレート22aと外プレート22bとが直列に連結される。連結ピン22cは、チェーン22の直列方向に沿って略一定間隔で配置され、当該チェーン22の直列方向とは略直交する方向に沿って延在する。
【0015】
なお、一対の内プレート22aの間には、連結ピン22cが挿通される管状部材22dが設けられており、この管状部材22dによって一対の内プレート22aにおける幅方向の相対的な位置が固定される。また、この管状部材22dは、チェーン22の直列方向に沿って略一定間隔で配置されており、当該管状部材22dの間にスプロケット12の歯12a(
図1参照)が噛み込む。
【0016】
複数のサイドローラ24は、チェーン22とそのチェーン22上に置かれる搬送体(図示せず)との衝突などを和らげる緩衝用のローラであり、チェーン22の直列方向に沿って、一対の外プレート22bの両側に千鳥状に配置される。
【0017】
これらのサイドローラ24は、外プレート22bよりも外側に延在する連結ピン22cに対して回転可能に設けられる。具体的には、例えば、外プレート22bの外側の面に円管状のブシュ24aが固定され、そのブシュ24aの外周面をサイドローラ24が回転可能に取り付けられる。なお、円管状のブシュ24aの管内には連結ピン22cが挿通され、その挿通された連結ピン22cの端部が割ピンもしくはカシメなどによってブシュ24aに固定される。
【0018】
複数の抑制部材26は、サイドローラ24と干渉する異物FMが直列方向において隣り合うサイドローラ24の間の隙間SPに入ることを抑制するものである。サイドローラ24の間の隙間SPに入ってサイドローラ24と干渉する異物FMとしては、例えば、作業者の指、あるいは、作業者が装着している装着物などが挙げられる。
【0019】
複数の抑制部材26は、チェーン22を挟んでサイドローラ24と対になるよう直列方向に沿ってチェーン22の両側に千鳥状に配置され、連結ピン22cにおいてサイドローラ24が設けられる側の端部とは逆側の端部に設けられる。この逆側の端部は、連結ピン22cのうち外プレート22bよりも外側に延在する部分である。
【0020】
つまり、連結ピン22cにおいて、サイドローラ24が設けられる側の端部と、抑制部材26が設けられる側の端部とは、チェーン22の直列方向に沿って交互に反転する。なお、連結ピン22cにおける長手方向の2つの端部のうち、サイドローラ24が設けられる側の端部が連結ピン22cの一方の端部とし、抑制部材26が設けられる側の端部が連結ピン22cの他方の端部とする。
【0021】
図3は、抑制部材26の構成を示す模式図である。各々の抑制部材26は、例えば、連結ピン22cの他方の端部を被覆するキャップである。すなわち、抑制部材26は、連結ピン22cの外径よりも僅かに小さい内径の孔26aを有し、その孔26aに対して連結ピン22cが圧入されることで、連結ピン22cを軸として回転することなく連結ピン22cに固定される。なお、抑制部材26の材料は、特に限定されないが、例えば、金属製のチェーン22とは異なる樹脂などが挙げられる。
【0022】
この抑制部材26は、連結ピン22cの他方の端部を被覆することで、外プレート22bに挿通される連結ピン22cが外プレート22bから抜けることを防止し得る。ただし、連結ピン22cの他方の端部は、例えば、割ピンもしくはカシメによって外プレート22bに固定されていてもよい。
【0023】
このような抑制部材26によって、サイドローラ24と干渉する異物FMが直列方向において隣り合うサイドローラ24の間の隙間SPに入ることが抑制される。したがって、本実施の形態の千鳥型のコンベアチェーン10によれば、意図せず走行が停止することを抑制することができる。
【0024】
なお、本実施の形態における各々の抑制部材26は、サイドローラ24よりも外側に突出する部位を有している。このため、サイドローラ24よりも外側に突出する部位がない場合に比べて、サイドローラ24と干渉する異物FMがサイドローラ24の間の隙間SPに入ることを確実に抑制することができる。
【0025】
また、各々の抑制部材26は、チェーン22の直列方向において隣り合うサイドローラ24と非接触である。このため、抑制部材26によってサイドローラ24の回転が妨げられることを抑制することができる。
【0026】
また、チェーン22の直列方向における抑制部材26の長さL1は、チェーン22の直列方向におけるサイドローラ24の長さL2よりも小さい。このため、チェーン22の直列方向において隣り合うサイドローラ24を近づけ易くなる。
【0027】
〔変形例〕
以上、本発明の一例として上記実施の形態が説明されたが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることはもちろんである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0028】
なお、変更または改良を加えた形態の一部は変形例として以下に説明する。ただし、上記実施の形態において説明した構成と同等の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0029】
[変形例1]
上記実施の形態では、抑制部材26が連結ピン22cの他方の端部を被覆するキャップであった。しかし、
図4に示すように、抑制部材26は、連結ピン22cと一体に形成され、その連結ピン22cの外周面よりも外側に突出するピン頭部であってもよい。
【0030】
抑制部材26がピン頭部であっても、上記実施の形態と同様に、サイドローラ24と干渉する異物FMが直列方向において隣り合うサイドローラ24の間の隙間SPに入ることを抑制することができる。また、抑制部材26がピン頭部であっても、上記実施の形態と同様に、外プレート22bに挿通される連結ピン22cが外プレート22bから抜けることを防止し得る。
【0031】
[変形例2]
上記実施の形態では、抑制部材26が連結ピン22cの他方の端部を被覆するキャップであった。しかし、抑制部材26は、単に連結ピン22cを延長したものであってもよい。このようにすれば、抑制部材26がキャップである場合に比べて部品点数を削減することができる。
【0032】
[変形例3]
上記実施の形態では、抑制部材26がチェーン22の直列方向において隣り合うサイドローラ24よりも外側に突出する部位を有していた。しかし、抑制部材26は、チェーン22の直列方向において隣り合うサイドローラ24の隙間SP内に納まり、当該サイドローラ24よりも外側に突出していなくてもよい。
【0033】
ただし、サイドローラ24と干渉する異物FMが直列方向において隣り合うサイドローラ24の間の隙間SPに入ることをより抑制するためには、サイドローラ24の幅の中間位置よりも外側に抑制部材26の先端が位置することが好ましい。また、抑制部材26の少なくとも一部がチェーン22の直列方向において隣り合うサイドローラ24よりも外側に突出することがより好ましい。
【0034】
[変形例4]
上記実施の形態では、一対の外プレート22bの両側の各々におけるサイドローラ24の設置間隔は1ピンおきであったが、3以上の奇数ピンおきであってもよい。同様に、一対の外プレート22bの両側の各々における抑制部材26の設置間隔は1ピンおきであったが、3以上の奇数ピンおきであってもよい。
【0035】
[変形例5]
上記実施の形態では、一対の内プレート22aの間に設けられる管状部材22dの外周面にローラが設けられていなかったが、当該ローラが設けられていてもよい。
【0036】
[変形例6]
上記実施の形態および上記変形例1〜5は、矛盾の生じない範囲で任意に組み合わされてもよい。
【0037】
〔技術的思想〕
上記実施の形態および変形例から把握し得る技術的思想について、以下に記載する。
【0038】
千鳥型のコンベアチェーン(10)は、直列方向に沿って延在するチェーン(22)と、直列方向に沿ってチェーン(22)の両側に千鳥状に配置される複数のサイドローラ(24)と、チェーン(22)を挟んでサイドローラ(24)と対になるよう直列方向に沿ってチェーン(22)の両側に千鳥状に配置され、サイドローラ(24)と干渉する異物(FM)が直列方向において隣り合うサイドローラ(24)の間の隙間(SP)に入ることを抑制する抑制部材(26)と、を備える。
【0039】
この千鳥型のコンベアチェーン(10)では、抑制部材(26)によって、サイドローラ(24)と干渉する異物(FM)が直列方向において隣り合うサイドローラ(24)の間の隙間(SP)に入ることが抑制される。したがって、意図せずチェーン(22)の走行が停止することを抑制することができる。
【0040】
チェーン(22)は、複数の一対の内プレート(22a)と複数の一対の外プレート(22b)とが複数の連結ピン(22c)を介して回動可能な状態で直列に連結された構造を有し、抑制部材(26)は、サイドローラ(24)が回転可能に設けられる連結ピン(22c)の端部側とは逆側の端部に設けられるようにしてもよい。このようにすれば、外プレート(22b)に抑制部材(26)が設けられる場合に比べて、同形のプレートを内プレート(22a)または外プレート(22b)として用いることができる。
【0041】
抑制部材(26)の少なくとも一部は、サイドローラ(24)よりも外側に突出するようにしてもよい。このようにすれば、サイドローラ(24)と干渉する異物(FM)が直列方向において隣り合うサイドローラ(24)の間の隙間(SP)に入ることを確実に抑制することができる。
【0042】
直列方向における抑制部材(26)の長さ(L1)は、直列方向におけるサイドローラ(24)の長さ(L2)より小さくするようにしてもよい。このようにすれば、直列方向において隣り合うサイドローラ(24)を近づけ易くなる。
【0043】
抑制部材(26)は、連結ピン(22c)を軸として回転することなく連結ピン(22c)に固定されるようにしてもよい。このようにすれば、抑制部材(26)と外プレート(22b)との摩擦などを抑制し易くなる。
【0044】
抑制部材(26)は、連結ピン(22c)の端部を被覆するキャップであってもよい。このようにすれば、サイドローラ(24)と干渉する異物(FM)が直列方向において隣り合うサイドローラ(24)の間の隙間(SP)に入ることを抑制するのみならず、外プレート(22b)から連結ピン(22c)が抜けることを防止することができる。
【0045】
抑制部材(26)は、連結ピン(22c)と一体に形成され連結ピン(22c)の外周面よりも外側に突出するピン頭部であってもよい。このようにすれば、サイドローラ(24)と干渉する異物(FM)が直列方向において隣り合うサイドローラ(24)の間の隙間(SP)に入ることを抑制するのみならず、外プレート(22b)から連結ピン(22c)が抜けることを防止することができる。また、抑制部材(26)が連結ピン(22c)と一体に形成されているため、部品点数を低減することができる。