特許第6770021号(P6770021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770021
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】受電装置及び無線電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20201005BHJP
【FI】
   H02J50/12
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-99818(P2018-99818)
(22)【出願日】2018年5月24日
(65)【公開番号】特開2019-205296(P2019-205296A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2019年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】辻 直樹
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−158471(JP,A)
【文献】 特表2016−531539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置から電力を無線で受電する共振回路と、
前記共振回路の出力電流を整流する整流回路と、
前記整流回路と負荷との間に接続される過電圧検出回路と、
を備え、
前記過電圧検出回路は、
前記整流回路と前記負荷との間に接続される第1スイッチ素子と、
前記第1スイッチ素子と並列に接続される第1容量素子と、
前記負荷と並列に接続される第2容量素子と、
前記過電圧検出回路の出力電圧が第1閾値電圧以上になると、前記第1スイッチ素子をオフにする制御回路と、
を備える受電装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第1スイッチ素子をオフにした後、前記過電圧検出回路の出力電圧が、前記第1閾値電圧より低い第2閾値電圧未満になるまで、前記第1スイッチ素子をオン不能にする
請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第1スイッチ素子がオン可能である場合、前記整流回路の出力電圧が、前記第1閾値電圧より低い第3閾値電圧以上になると、前記第1スイッチ素子をオンにする
請求項1又は請求項2に記載の受電装置。
【請求項4】
前記第1スイッチ素子は、前記整流回路に接続される第1端子と、前記負荷に接続される第2端子と、前記整流回路の出力電圧に応じた電圧を入力される制御端子と、を備える
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記第1スイッチ素子の制御端子に前記整流回路の出力電圧に応じた電圧を入力する第1分圧回路を備える
請求項4に記載の受電装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記整流回路に接続された第1端子と、前記第1スイッチ素子の制御端子に接続された第2端子と、前記整流回路の出力電圧に応じた電圧を入力される制御端子と、を備える第2スイッチ素子を備える
請求項4又は請求項5に記載の受電装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記第2スイッチ素子の制御端子に前記整流回路の出力電圧に応じた電圧を入力する第2分圧回路と、
前記第2分圧回路に接続される第1端子と、前記整流回路に接続される第2端子と、前記過電圧検出回路の出力電圧に応じた電圧を入力される制御端子と、を備える第3スイッチ素子と、
を備える請求項6に記載の受電装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第3スイッチ素子の制御端子に前記過電圧検出回路の出力電圧に応じた電圧を入力する第3分圧回路を備える
請求項7に記載の受電装置。
【請求項9】
送電装置と受電装置とを備えた無線電力伝送システムであって、
前記受電装置は、
前記送電装置から電力を無線で受電する共振回路と、
前記共振回路の出力電流を整流する整流回路と、
前記整流回路と負荷との間に接続される過電圧検出回路と、
を備え、
前記過電圧検出回路は、
前記整流回路と前記負荷との間に接続される第1スイッチ素子と、
前記第1スイッチ素子と並列に接続される第1容量素子と、
前記負荷と並列に接続される第2容量素子と、
前記過電圧検出回路の出力電圧が第1閾値電圧以上になると、前記第1スイッチ素子をオフにする制御回路と、
を備える無線電力伝送システム。
【請求項10】
前記送電装置は、前記第1スイッチ素子がオフした後、前記整流回路の出力電圧が前記第1閾値電圧未満になるまで送電を停止する
請求項に記載の無線電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電装置及び無線電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線電力伝送システムでは、受電装置の状態を送電装置へフィードバックするために、Bluetooth(登録商標)などの無線通信が利用されている。送電装置が、受電装置からのフィードバックに基づいて送電する電力を調整することにより、受電装置における過電圧の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−5991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、無線通信の通信頻度では、負荷変動などによる受電装置の状態の急変に対応できず、受電装置で過電圧が発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、受電装置における過電圧の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る受電装置は、送電装置から電力を無線で受電する共振回路と、前記共振回路の出力電流を整流する整流回路と、前記整流回路と負荷との間に接続される過電圧検出回路と、を備え、前記過電圧検出回路は、前記整流回路と前記負荷との間に接続される第1スイッチ素子と、前記第1スイッチ素子と並列に接続される第1容量素子と、前記負荷と並列に接続される第2容量素子と、前記過電圧検出回路の出力電圧が第1閾値電圧以上になると、前記第1スイッチ素子をオフにする制御回路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の各実施形態によれば、受電装置における過電圧の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】無線電力伝送システムの一例を示す図。
図2】受電装置の具体例を示す図。
図3】無線電力伝送システムの動作の一例を示すタイミングチャート。
図4】受電装置の具体例を示す図。
図5】受電装置の具体例を示す図。
図6】受電装置の具体例を示す図。
図7】受電装置の具体例を示す図。
図8】受電装置の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重畳した説明を省略する。
【0010】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る無線電力伝送システム100について、図1図4を参照して説明する。本実施形態に係る無線電力伝送システム100は、磁界共鳴方式により送電装置1から受電装置2に無線で電力を送電するシステムである。
【0011】
図1は、無線電力伝送システム100の一例を示す図である。図1の無線電力伝送システム100は、送電装置1と、受電装置2と、負荷3と、を備える。
【0012】
送電装置1は、受電装置2に無線で電力を送電する装置であり、共振回路11と、駆動回路12と、電源13と、制御回路14と、を備える。
【0013】
共振回路11は、交流磁界を発生させる回路であり、容量素子C1と、コイルL1と、を備える。容量素子C1は、第1端子と、第2端子と、を備える。容量素子C1の第1端子は、駆動回路12の第1出力端子に接続され、容量素子C1の第2端子は、コイルL1の第1端子に接続される。コイルL1は、送電コイルであり、交流磁界を発生させる。コイルL1は、第1端子と、第2端子と、を備える。コイルL1の第1端子は、容量素子C1の第2端子に接続され、コイルL1の第2端子は、駆動回路12の第2出力端子に接続される。
【0014】
駆動回路12は、共振回路11に交流電流I1を供給し、共振回路11に交流磁界を発生させる回路であり、スイッチ素子S1,S2を備える。スイッチ素子S1,S2は、回路を開閉可能な素子であり、それぞれ第1端子と、第2端子と、制御端子と、を備える。スイッチ素子S1の第1端子は、電源13の第1端子に接続され、スイッチ素子S1の第2端子は、スイッチ素子S2の第1端子に接続され、制御端子は制御回路14に接続される。スイッチ素子S2の第1端子は、スイッチ素子S1の第2端子に接続され、スイッチ素子S2の第2端子は、電源13の第2端子に接続され、制御端子は制御回路14に接続される。スイッチ素子S1の第2端子及びスイッチ素子S2の第1端子の接続点は、駆動回路12の第1出力端子に相当する。スイッチ素子S2の第2端子は、駆動回路12の第2出力端子に相当する。
【0015】
スイッチ素子S1,S2が交互に開閉することにより、共振回路11に交流電流I1が供給される。スイッチ素子S1,S2は、例えば、バイポーラトランジスタ、又はMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるが、これに限られない。スイッチ素子S1,S2として、回路を開閉可能な任意の素子を利用できる。
【0016】
電源13は、定電圧源であり、第1端子と、第2端子と、を備える。電源13の第1端子(高圧側端子)は、スイッチ素子S1の第1端子に接続され、電源13の第2端子(低圧側端子)は、スイッチ素子S2の第2端子に接続される。
【0017】
制御回路14は、スイッチ素子S1,S2の開閉を制御することにより、共振回路11に供給する交流電流I1の周波数を制御し、共振回路11が発生させる交流磁界の周波数を制御する回路である。制御回路14は、共振回路11に流れる交流電流I1に基づいて、受電装置2で発生した過電圧を検出する。制御回路14は、過電圧を検出すると、スイッチ素子S1,S2の少なくとも一方をオフにし、送電を停止させる。制御回路14は、マイコンであってもよいし、ハードウェアであってもよい。
【0018】
なお、送電装置1の構成は、図1の例に限られない。例えば、送電装置1は、BluetoothやWi−Fi(登録商標)などの所定の通信方式で受電装置2と無線通信するための無線通信モジュールを備えてもよいし、電力を外部電源から供給されてもよい。
【0019】
受電装置2は、共振回路21と、整流回路22と、過電圧検出回路23と、制御回路24と、を備える。
【0020】
共振回路21は、共振回路11から無線で電力を受電する回路である。共振回路21は、容量素子C2と、コイルL2と、を備える。容量素子C2は、第1端子と、第2端子と、を備える。容量素子C2の第1端子は、コイルL2の第1端子に接続され、容量素子C2の第2端子は、整流回路22の第1入力端子に接続される。コイルL2は、受電コイルであり、コイルL1が発生させた交流磁界により交流電流を発生させ、整流回路22に入力する。コイルL2は、第1端子と、第2端子と、を備える。コイルL2の第1端子は、容量素子C2の第1端子に接続され、コイルL2の第2端子は、整流回路22の第2入力端子に接続される。
【0021】
整流回路22は、共振回路21から入力された交流電流を整流し、整流により得られた出力電流の電圧を第1出力端子から出力電圧V1として出力する回路である。出力電圧V1は、過電圧検出回路23に入力される。整流回路22は、第1入力端子と、第2入力端子と、第1出力端子と、第2出力端子と、を備える。整流回路22の第1入力端子は、容量素子C2の第1端子に接続され、整流回路22の第2入力端子は、コイルL2の第2端子に接続される。また、整流回路22の第1出力端子は、過電圧検出回路23の第1入力端子に接続され、整流回路22の第2出力端子は、過電圧検出回路23の第2入力端子に接続される。整流回路22は、例えば、ダイオードブリッジであるが、これに限られない。整流回路22として、交流電流を整流可能な任意の回路を利用できる。
【0022】
過電圧検出回路23は、過電圧を検出する回路である。ここでいう過電圧は、過電圧検出回路23の出力電圧V2が閾値電圧Vth1(第1閾値電圧)以上になることをいう。過電圧検出回路23は、第1入力端子と、第2入力端子と、第1出力端子と、第2出力端子と、を備える。過電圧検出回路23の第1入力端子は、整流回路22の第1出力端子(高圧側出力端子)に接続され、過電圧検出回路23の第2入力端子は、整流回路22の第2出力端子(低圧側出力端子)に接続される。また、過電圧検出回路23の第1出力端子は、負荷3の第1端子(高圧側端子)に接続され、過電圧検出回路23の第2出力端子は、負荷3の第2端子(低圧側端子)に接続される。すなわち、過電圧検出回路23は、整流回路22と負荷3との間に接続される。過電圧検出回路23は、整流回路22から入力された出力電圧V1に応じた出力電圧V2を出力する。出力電圧V2は、負荷3に入力される。過電圧検出回路23は、スイッチ素子S3(第1スイッチ素子)と、容量素子C3(第1容量素子)と、容量素子C4(第2容量素子)と、制御回路24と、を備える。
【0023】
スイッチ素子S3は、回路を開閉可能な素子であり、第1端子と、第2端子と、制御端子と、を備える。スイッチ素子S3の第1端子は、整流回路22の第1出力端子及び容量素子C3の第1端子(高圧側端子)に接続され、スイッチ素子S3の第2端子は、負荷3の第1端子、容量素子C3の第2端子(低圧側端子)、及び容量素子C4の第1端子(高圧側端子)に接続される。すなわち、スイッチ素子S3は、整流回路22と負荷3との間に直列に接続される。スイッチ素子S3の制御端子は、スイッチ素子S3の開閉を制御する制御信号を入力される。スイッチ素子S3の第1端子は、過電圧検出回路23の第1入力端子に相当し、スイッチ素子S3の第2端子は、過電圧検出回路23の第1出力端子に相当する。以下、スイッチ素子S3の第1端子、及び容量素子C3の第1端子の接続点をノードN1と称する。また、スイッチ素子S3の第2端子、容量素子C3の第2端子、及び容量素子C4の第1端子の接続点を、ノードN2と称する。ノードN1の電圧は、整流回路22の出力電圧V1に相当し、ノードN2の電圧は、過電圧検出回路23の出力電圧V2に相当する。スイッチ素子S3は、例えば、バイポーラトランジスタ、又はMOSFETであるが、これに限られない。スイッチ素子S3として、回路を開閉可能な任意の素子を利用できる。
【0024】
容量素子C3は、第1端子と、第2端子と、を備える。容量素子C3の第1端子は、ノードN1に接続され、容量素子C3の第2端子は、ノードN2に接続される。すなわち、容量素子C3は、スイッチ素子S3と並列に接続される。
【0025】
容量素子C4は、第1端子と、第2端子と、を備える。容量素子C4の第1端子は、ノードN2に接続され、容量素子C4の第2端子(低圧側端子)は、整流回路22の第2出力端子及び負荷3の第2端子に接続される。すなわち、容量素子C4は、負荷3と並列に接続される。容量素子C4の第2端子は、過電圧検出回路23の第2入力端子及び第2出力端子に相当する。以下、容量素子C4の第2端子、整流回路22、及び負荷3の接続点をノードN3と称する。ノードN3は、グラウンドに接続されてもよい。
【0026】
制御回路24は、過電圧を検出すると共に、スイッチ素子S3の開閉を制御することにより、過電圧の検出結果を送電装置1に通知する回路である。制御回路24は、通常時にはスイッチ素子S3をオンにし、過電圧を検出するとスイッチ素子S3をオフにする。スイッチ素子S3をオフにすると、過電圧検出回路23の負荷容量が小さくなり、出力電圧V1が急激に上昇する。出力電圧V1が上昇すると、送電装置1が供給する交流電流I1が急激に増加する。したがって、送電装置1は、交流電流I1の大きさに基づいて、受電装置2で発生した過電圧を検出することができる。制御回路24は、マイコンであってもよいし、ハードウェアであってもよい。
【0027】
なお、受電装置2の構成は、図1の例に限られない。例えば、受電装置2は、BluetoothやWi−Fiなどの所定の通信方式で送電装置1と無線通信するための無線通信モジュール、フィルタ回路、増幅回路などを備えてもよい。
【0028】
負荷3は、受電装置2が無線で受電した電力を供給される。負荷3は、第1端子と、第2端子と、を備える。負荷3の第1端子は、ノードN2に接続され、負荷3の第2端子は、ノードN3に接続される。負荷3は、例えば、IC(Integrated Circuit)、バッテリ、又はセンサであるが、これに限られない。
【0029】
図2は、受電装置2の具体例を示す図である。図2の例では、スイッチ素子S3は、PチャネルのMOSFET(以下「PMOS」という。)であり、ソース端子(第1端子)と、ドレイン端子(第2端子)と、ゲート端子(制御端子)と、を備える。スイッチ素子S3のソース端子はノードN1に接続され、スイッチ素子S3のドレイン端子はノードN2に接続され、スイッチ素子S3のゲート端子は抵抗素子R1の第2端子、抵抗素子R2の第1端子、及びスイッチ素子S4(第2スイッチ素子)のドレイン端子に接続されている。以下、スイッチ素子S3のゲート端子、抵抗素子R1の第2端子、抵抗素子R2の第1端子、及びスイッチ素子S4のドレイン端子の接続点をノードN4と称する。スイッチ素子S3のゲート端子には、出力電圧V1に応じた電圧(ノードN4の電圧)が入力される。
【0030】
図2の例では、制御回路24は、抵抗素子R1〜R6と、スイッチ素子S4と、スイッチ素子S5(第3スイッチ素子)と、を備える。
【0031】
抵抗素子R1,R2は、第1端子と、第2端子と、をそれぞれ備える。抵抗素子R1の第1端子はノードN1に接続され、抵抗素子R1の第2端子はノードN4に接続される。抵抗素子R2の第1端子はノードN4に接続され、抵抗素子R2の第2端子はノードN3に接続される。すなわち、抵抗素子R1,R2は、ノードN1とノードN3との間に直列に接続されており、出力電圧V1を分圧した電圧(ノードN4の電圧)をスイッチ素子S3のゲート端子に入力する分圧回路(第1分圧回路)を構成している。
【0032】
スイッチ素子S4は、PMOSであり、ソース端子(第1端子)と、ドレイン端子(第2端子)と、ゲート端子(制御端子)と、を備える。スイッチ素子S4のソース端子はノードN1に接続され、スイッチ素子S4のドレイン端子はノードN4に接続され、スイッチ素子S4のゲート端子は抵抗素子R3の第2端子及び抵抗素子R4の第1端子に接続されている。以下、抵抗素子R3の第2端子及び抵抗素子R4の第1端子の接続点をノードN5と称する。スイッチ素子S4のゲート端子には、スイッチ素子S5がオンの際に出力電圧V1に応じた電圧(ノードN5の電圧)が入力される。
【0033】
抵抗素子R3,R4は、第1端子と、第2端子と、をそれぞれ備える。抵抗素子R3の第1端子はノードN1に接続され、抵抗素子R3の第2端子はノードN5に接続される。抵抗素子R4の第1端子はノードN5に接続され、抵抗素子R4の第2端子はスイッチ素子S5のドレイン端子に接続される。すなわち、抵抗素子R3,R4は、ノードN1とスイッチ素子S5のドレイン端子との間に直列に接続されており、出力電圧V1とスイッチ素子S5のドレイン電圧との差を分圧した電圧(ノードN5の電圧)をスイッチ素子S4のゲート端子に入力する分圧回路(第2分圧回路)を構成している。
【0034】
スイッチ素子S5は、NチャネルのMOSFET(以下「NMOS」という。)であり、ドレイン端子(第1端子)と、ソース端子(第2端子)と、ゲート端子(制御端子)と、を備える。スイッチ素子S5のドレイン端子は抵抗素子R4の第2端子に接続され、スイッチ素子S5のソース端子はノードN3に接続され、スイッチ素子S5のゲート端子は抵抗素子R5の第2端子及び抵抗素子R6の第1端子に接続されている。以下、抵抗素子R5の第2端子及び抵抗素子R6の第1端子の接続点をノードN6と称する。スイッチ素子S5のゲート端子には、出力電圧V2に応じた電圧(ノードN6の電圧)が入力される。
【0035】
抵抗素子R5,R6は、第1端子と、第2端子と、をそれぞれ備える。抵抗素子R5の第1端子はノードN2に接続され、抵抗素子R5の第2端子はノードN6に接続される。抵抗素子R6の第1端子はノードN6に接続され、抵抗素子R6の第2端子はノードN3に接続される。すなわち、抵抗素子R5,R6は、ノードN2とノードN3との間に直列に接続されており、出力電圧V2を分圧した電圧(ノードN6の電圧)をスイッチ素子S5のゲート端子に入力する分圧回路(第3分圧回路)を構成している。
【0036】
次に、無線電力伝送システム100の動作について説明する。図3は、無線電力伝送システム100の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0037】
まず、送電装置1が無線による送電を開始する。具体的には、制御回路14が、駆動回路12の駆動(スイッチ素子S1,S2の開閉制御)を開始する。これにより、図2に示すように、所定の周波数を有する交流電流I1が共振回路11に供給される。共振回路11に交流電流I1が供給されると、コイルL1が交流電流I1と同一の周波数を有する交流磁界を発生させる。
【0038】
送電中の送電装置1に受電装置2が接近すると、コイルL2が交流磁界により、交流電流を発生させ、当該交流電流を整流回路22に入力する。整流回路22は、交流電流を入力されると、当該交流電流を整流し、整流により得られた出力電流を抵抗素子R1,R2に流すことにより出力電圧V1を発生させる。過電圧検出回路23は、整流回路22から出力電圧V1が入力されると、出力電圧V1に応じた出力電圧V2を出力する。この出力電圧V2が負荷3にされ、出力電圧V2に応じた電力が負荷3に供給される。
【0039】
ここで、図2の過電圧検出回路23の動作について詳細に説明する。過電圧検出回路23のスイッチ素子S1〜S3は、出力電圧V2が出力されていない場合、受電装置2が受電を開始するまで、いずれもオフである。受電装置2が受電を開始すると、容量素子C3,C4が充電され、図3に示すように、出力電圧V1,V2が上昇する。
【0040】
出力電圧V1が閾値電圧Vth3(第3閾値電圧)以上になると、スイッチ素子S3のゲート−ソース間電圧(ノードN1,N4間の電位差)がゲート閾値電圧以上となり、図3に示すように、スイッチ素子S3がオンになる。これにより、過電圧検出回路23の負荷容量から容量素子C3が除去され、負荷容量が大きくなる。閾値電圧Vth3は、抵抗素子R1,R2により、閾値電圧Vth1,Vth2より低く設定される。
【0041】
一方、出力電圧V2が閾値電圧Vth2(第2閾値電圧)以上になると、スイッチ素子S5のゲート−ソース間電圧(ノードN3,N6間の電位差)がゲート閾値電圧以上となり、図3に示すように、スイッチ素子S5がオンになる。これにより、抵抗素子R3,R4及びスイッチ素子S5に電流が流れだし、ノードN5の電圧が低下する。閾値電圧Vth2は、抵抗素子R5,R6により、閾値電圧Vth1より低く設定される。
【0042】
以降、整流回路22及び過電圧検出回路23から、負荷3に応じた出力電圧V1,V2がそれぞれ出力される。出力電圧V2は、スイッチ素子S3がオンである間、出力電圧V1に伴って変動する。
【0043】
受電装置2の受電中に負荷3が変動し、出力電圧V2が閾値電圧Vth1以上になる(過電圧が検出される)と、スイッチ素子S4のゲート−ソース間電圧(ノードN1,N5間の電位差)がゲート閾値電圧以上となり、図3に示すように、スイッチ素子S4がオンになる。これにより、スイッチ素子S4に電流が流れだし、スイッチ素子S3のゲート−ソース間電圧(ノードN1,N4間の電位差)がゲート閾値電圧未満となり、図3に示すように、スイッチ素子S3がオフになる。以降、スイッチ素子S4は、当該スイッチ素子S4がオンの間、スイッチ素子S3がオン不能となるように設計される。
【0044】
スイッチ素子S3がオフになると、容量素子C3が容量素子C4に直列に接続されることにより、過電圧検出回路23の負荷容量が小さくなり、図3に示すように、出力電圧V1が急激に上昇する。出力電圧V1が上昇すると、共振回路21の交流電圧が上昇し、図3に示すように、送電装置1が供給する交流電流I1が急激に増加する。この際、負荷3に出力される出力電圧V2は、容量素子C3,C4の容量比に応じて出力電圧V1よりも緩やかに上昇するため、負荷側への過電圧は抑制される。なお、容量素子C3の容量は、容量素子C4の容量よりも小さくなるように設定されている。
【0045】
送電装置1の制御回路14は、交流電流I1が閾値電流Ith以上になったことを検出すると、受電装置2で過電圧が発生したと判断し、スイッチ素子S1,S2の少なくとも一方をオフにし、送電を停止する。送電装置1からの送電は、出力電圧V2が少なくとも閾値電圧Vth1未満になるまで停止させることが好ましい。具体的には、出力電圧V2が閾値電圧Vth2以下になった場合に送電の停止を解除すればよい。なお、送電装置1は、送電を停止する代わりに、送電周波数の変更や、電源13の電圧を低下させることにより、受電装置2への電力の供給量を減らしてもよい。
【0046】
送電装置1からの送電が停止されると、受電装置2の出力電圧V1,V2は低下する。以降、出力電圧V2が閾値電圧Vth2以上である間、スイッチ素子S3はオフのままであり、スイッチ素子S4,S5がオンのままである。
【0047】
出力電圧V2が閾値電圧Vth2未満になると、スイッチ素子S5のゲート−ソース間電圧(ノードN3,N6間の電位差)がゲート閾値電圧未満となり、図3に示すように、スイッチ素子S5がオフになる。スイッチ素子S5がオフになると、抵抗素子R3,R4に電流が流れなくなるため、スイッチ素子S4のゲート−ソース間電圧(ノードN1,N5間の電位差)が0(ゲート閾値電圧未満)となり、図3に示すように、スイッチ素子S4がオフになる。
【0048】
スイッチ素子S4がオフになると、スイッチ素子S3がオン可能となる。したがって、閾値電圧Vth3が閾値電圧Vth2より低く設定されている場合、スイッチ素子S4がオフになると、図3に示すように、スイッチ素子S3がオンになる。
【0049】
なお、送電装置1は、受電装置2で発生した過電圧を検出し、送電を停止した場合、所定時間後に自動的に送電を再開してもよいし、無線通信により受電装置2から送電を要求された場合に送電を再開してもよい。送電再開時に出力電圧V2が閾値電圧Vth1よりも高かった場合、上記の通り、交流電流I1が急激に増加するため、送電装置1により再び過電圧が検出される。
【0050】
以上説明した通り、本実施形態に係る受電装置2は、過電圧を検出すると、スイッチ素子S3をオフにし、過電圧検出回路23の負荷容量を小さくし、負荷3に出力される出力電圧V2を閾値電圧Vth1以上にならないように抑制するとともに、出力電圧V1を上昇させ、交流電流I1を増大させることにより、過電圧の発生を送電装置1に通知する。これにより、受電装置2は、過電圧の発生を送電装置1に瞬時に(無線通信の通信間隔より短い時間で)通知することができる。この結果、送電装置1は、受電装置2で過電圧が発生した場合、迅速に送電を停止し、受電装置2における過電圧の発生を抑制することができる。
【0051】
なお、図2の例では、制御回路24がハードウェアにより実現されているが、上述の通り、制御回路24は、プログラムを実行するマイコンにより実現されてもよい。
【0052】
また、抵抗素子R1は、単一の抵抗素子であってもよいし、直列又は並列に接続された複数の抵抗素子の組み合わせであってもよい。これは、抵抗素子R2〜R6についても同様である。
【0053】
また、容量素子C1は、単一の容量素子であってもよいし、直列又は並列に接続された複数の容量素子の組み合わせであってもよい。これは、容量素子C2〜C4についても同様である。
【0054】
また、図2の例では、スイッチ素子S3〜S5は、MOSFETであるが、バイポーラトランジスタであってもよい。この場合、上記の「Nチャネル」、「Pチャネル」、「ソース」、「ドレイン」、及び「ゲート」を、それぞれ「NPN型」、「PNP型」、「エミッタ」、「コレクタ」、及び「ベース」に読み替えればよい。
【0055】
また、図2の例では、スイッチ素子S3は、高圧側に設けられたが、低圧側に設けられてもよい。図4は、図2の受電装置2の変形例を示す図である。図4に示すように、スイッチ素子S3を低圧側に設ける場合には、図2の受電装置2の素子間の接続関係を維持したまま、スイッチ素子S3,S4をNMOSとし、スイッチ素子S5をPMOSとする。また、ノードN1を整流回路22の第2出力端子(低圧側出力端子)に接続し、ノードN2を負荷3の第2端子(低圧側端子)に接続し、ノードN3を整流回路22の第1出力端子(高圧側出力端子)及び負荷3の第1端子(高圧側端子)に接続する。また、容量素子C4の第1端子を低圧側端子とし、容量素子C4の第2端子を高圧側端子とする、というように、過電圧検出回路23の各素子の各端子の高圧側及び低圧側を入れ替える。また、過電圧検出回路23には、整流回路22の第2出力端子から出力電圧V3が入力され、過電圧検出回路23は、出力電圧V3に応じた出力電圧V4をノードN2から出力する。このような構成により、図4の受電装置2によれば、図2の受電装置2と同様の効果が得られる。なお、図4の例では、ノードN3の代わりに、ノードN2がグラウンドに接続されてもよい。
【0056】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る無線電力伝送システム100について、図5及び図6を参照して説明する。本実施形態では、制御回路24の他の例について説明する。図5は、受電装置2の具体例を示す図である。図5の例では、制御回路24は、抵抗素子R7,R8と、スイッチ素子S6と、比較器Cmp1,Cmp2と、を備える。他の構成は、図2の制御回路24と同様である。
【0057】
抵抗素子R7,R8は、第1端子と、第2端子と、をそれぞれ備える。抵抗素子R7の第1端子はノードN1に接続され、抵抗素子R7の第2端子は抵抗素子R8の第1端子、スイッチ素子S6のドレイン端子、及び比較器Cmp1の比反転入力端子に接続される。以下、抵抗素子R7の第2端子、抵抗素子R8の第1端子、及び比較器Cmp1の非反転入力端子の接続点をノードN7と称する。また、抵抗素子R8の第1端子はノードN7に接続され、抵抗素子R8の第2端子はノードN3に接続される。すなわち、抵抗素子R7,R8は、ノードN1とノードN3との間に直列に接続されており、出力電圧V1を分圧した電圧(ノードN7の電圧)を比較器Cmp1の非反転入力端子に入力する分圧回路を構成している。
【0058】
スイッチ素子S6は、NMOSであり、ドレイン端子(第1端子)と、ソース端子(第2端子)と、ゲート端子(制御端子)と、を備える。スイッチ素子S6のドレイン端子はノードN7に接続され、スイッチ素子S6のソース端子はノードN3に接続され、スイッチ素子S6のゲート端子は比較器Cmp2の出力端子に接続されている。
【0059】
比較器Cmp1は、コンパレータにより構成され、受電装置2の補助電源電圧Vccにより駆動される。比較器Cmp1は、非反転入力端子と、反転入力端子と、出力端子と、を備える。比較器Cmp1の非反転入力端子はノードN7に接続され、比較器Cmp1の反転入力端子は参照電圧Vref1を入力され、比較器Cmp1の出力端子はスイッチ素子S5のゲート端子に接続される。比較器Cmp1は、ノードN7の電圧と、参照電圧Vref1と、を比較し、比較結果を出力する。比較器Cmp1は、ノードN7の電圧が参照電圧Vref1より高い場合、1(補助電源電圧Vcc)を出力し、ノードN7の電圧が参照電圧Vref1より低い場合、0(ノードN3の電圧(例えば、接地電圧))を出力する。比較器Cmp1の比較結果(1又は0の出力信号)は、スイッチ素子S5のゲート端子に入力される。スイッチ素子S5は、比較器Cmp1から1を入力されるとオンになり、比較器Cmp1から0を入力されるとオフになる。
【0060】
比較器Cmp2は、コンパレータにより構成され、受電装置2の補助電源電圧Vccにより駆動される。比較器Cmp2は、非反転入力端子と、反転入力端子と、出力端子と、を備える。比較器Cmp2の反転入力端子はノードN6に接続され、比較器Cmp2の非反転入力端子は参照電圧Vref2を入力され、比較器Cmp2の出力端子はスイッチ素子S6のゲート端子に接続される。比較器Cmp2は、ノードN6の電圧と、参照電圧Vref2と、を比較し、比較結果を出力する。比較器Cmp2は、ノードN6の電圧が参照電圧Vref2より低い場合、1(補助電源電圧Vcc)を出力し、ノードN6の電圧が参照電圧Vref2より高い場合、0(ノードN3の電圧(例えば、接地電圧))を出力する。比較器Cmp2の比較結果(1又は0の出力信号)は、スイッチ素子S6のゲート端子に入力される。スイッチ素子S6は、比較器Cmp2から1を入力されるとオンになり、比較器Cmp2から0を入力されるとオフになる。
【0061】
以上のような構成により、本実施形態によれば、第1実施形態に比べて、閾値電圧Vth1,Vth2を正確に設定することができる。
【0062】
なお、抵抗素子R7は、単一の抵抗素子であってもよいし、直列又は並列に接続された複数の抵抗素子の組み合わせであってもよい。これは、抵抗素子R8についても同様である。
【0063】
また、図5の例では、スイッチ素子S6は、MOSFETであるが、バイポーラトランジスタであってもよい。
【0064】
また、図5の例では、スイッチ素子S3は、高圧側に設けられたが、低圧側に設けられてもよい。図6は、図5の受電装置2の変形例を示す図である。図6に示すように、スイッチ素子S3を低圧側に設ける場合には、図5の受電装置2の素子間の接続関係を維持したまま、スイッチ素子S3,S4をPMOSとする。また、ノードN1を整流回路22の第2出力端子(低圧側出力端子)に接続し、ノードN2を負荷3の第2端子(低圧側端子)に接続し、ノードN3を整流回路22の第1出力端子(高圧側出力端子)及び負荷3の第1端子(高圧側端子)に接続する。また、容量素子C4の第1端子を低圧側端子とし、容量素子C4の第2端子を高圧側端子とする、というように、過電圧検出回路23の各素子の各端子の高圧側及び低圧側を入れ替える。また、過電圧検出回路23には、整流回路22の第2出力端子から出力電圧V3が入力され、過電圧検出回路23は、出力電圧V3に応じた出力電圧V4をノードN2から出力する。また、過電圧検出回路23は、抵抗素子R3,R4,R7,R8、スイッチ素子S5,S6、及び比較器Cmp1の代わりに、抵抗素子R9〜R12、スイッチ素子S7,S8、及び比較器Cmp3を備える。
【0065】
抵抗素子R9,R10は、第1端子と、第2端子と、をそれぞれ備える。抵抗素子R9の第1端子はノードN1に接続され、抵抗素子R9の第2端子は抵抗素子R10の第1端子及び比較器Cmp3の非反転入力端子に接続される。以下、抵抗素子R9の第2端子、抵抗素子R10の第2端子、及び比較器Cmp3の非反転入力端子の接続点をノードN8と称する。抵抗素子R10の第1端子はノードN8に接続され、抵抗素子R10の第2端子はスイッチ素子S7のソース端子に接続される。
【0066】
スイッチ素子S7は、NMOSであり、ドレイン端子(第1端子)と、ソース端子(第2端子)と、ゲート端子(制御端子)と、を備える。スイッチ素子S7のドレイン端子はノードN3に接続され、スイッチ素子S7のソース端子は抵抗素子R10の第2端子に接続され、スイッチ素子S7のゲート端子は抵抗素子R11の第2端子及び抵抗素子R12の第1端子に接続される。以下、抵抗素子R11の第2端子及び抵抗素子R12の第1端子の接続点をノードN9と称する。
【0067】
比較器Cmp3は、コンパレータにより構成され、受電装置2の補助電源電圧Vccにより駆動される。比較器Cmp3は、非反転入力端子と、反転入力端子と、出力端子と、を備える。比較器Cmp3の非反転入力端子はノードN8に接続され、比較器Cmp3の反転入力端子は参照電圧Vref3を入力され、比較器Cmp3の出力端子はスイッチ素子S4のゲート端子に接続される。比較器Cmp3は、ノードN8の電圧と、参照電圧Vref3と、を比較し、比較結果を出力する。比較器Cmp3は、ノードN4の電圧が参照電圧Vref3より高い場合、1(補助電源電圧Vcc)を出力し、ノードN4の電圧が参照電圧Vref3より低い場合、0(ノードN1の電圧)を出力する。比較器Cmp3の比較結果(1又は0の出力信号)は、スイッチ素子S4のゲート端子に入力される。スイッチ素子S4は、比較器Cmp3から1を入力されるとオンになり、比較器Cmp3から0を入力されるとオフになる。
【0068】
抵抗素子R11,R12は、第1端子と、第2端子と、をそれぞれ備える。抵抗素子R11の第1端子はスイッチ素子S8のドレイン端子に接続され、抵抗素子R11の第2端子はノードN9に接続される。抵抗素子R12の第1端子はノードN9に接続され、抵抗素子R12の第2端子はノードN3に接続される。
【0069】
スイッチ素子S8は、NMOSであり、ドレイン端子(第1端子)と、ソース端子(第2端子)と、ゲート端子(制御端子)と、を備える。スイッチ素子S8のソース端子はノードN2に接続され、スイッチ素子S8のドレイン端子は抵抗素子R11の第1端子に接続され、スイッチ素子S8のゲート端子は比較器Cmp2の出力端子に接続される。すなわち、図6の例では、比較器Cmp2の出力端子は、スイッチ素子S6のゲート端子の代わりに、スイッチ素子S8のゲート端子に接続される。
【0070】
このような構成により、図6の受電装置2によれば、図5の受電装置2と同様の効果が得られる。
【0071】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る無線電力伝送システム100について、図7及び図8を参照して説明する。本実施形態では、制御回路24の他の例について説明する。図7は、受電装置2の具体例を示す図である。
【0072】
図7の制御回路24は、図5の制御回路24から抵抗素子R5,R6、スイッチ素子S6、及び比較器Cmp2を除去したものに相当する。言い換えると、図7の制御回路24は、図2の制御回路24から、抵抗素子R5,R6を除去し、抵抗素子R7,R8及び比較器Cmp1を追加したものに相当する。
【0073】
以上のような構成により、本実施形態によれば、第1実施形態に比べて、閾値電圧Vth1,Vth2を正確に設定することができる。また、以上のような構成であっても、過電圧の検出後に、送電装置1からの送電を停止し、送電停止期間内に容量素子C3に溜まっている電荷をR1〜R8により放電することによって、過電圧検出回路23を受電前の初期状態にリセットすることができる。このことにより、図5の制御回路24から抵抗素子R5,R6、スイッチ素子S6、及び比較器Cmp2を除去しても同様の効果を得ることができる。なお、容量素子C3を放電することにより出力電圧V1と出力電圧V2は同電位になることから、出力電圧V1を検出することは、出力電圧V2を検出することと同等である。したがって、送電装置1は、出力電圧V1が閾値電圧Vth1未満になった後に送電の停止を解除すればよい。言い換えると。送電装置1は、送電を停止してから出力電圧V1が閾値電圧Vth1未満になる時間に相当する時間が経過した時に送電を再開すればよい。
【0074】
また、図7の例では、スイッチ素子S3は、高圧側に設けられたが、低圧側に設けられてもよい。図8は、図7の受電装置2の変形例を示す図である。
【0075】
図8の制御回路24は、図6の制御回路24から抵抗素子R5,R6,R11,R12、スイッチ素子S7,S8、及び比較器Cmp2を除去したものに相当する。言い換えると、図8の制御回路24は、図4の制御回路24から、抵抗素子R3〜R6及びスイッチ素子S5を除去し、抵抗素子R9,R10及び比較器Cmp3を追加したものに相当する。
【0076】
このような構成により、図8の受電装置2によれば、図7の受電装置2と同様の効果が得られる。
【0077】
なお、本発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1:送電装置
2:受電装置
3:負荷
11:共振回路
12:駆動回路
13:電源
14:制御回路
21:共振回路
22:整流回路
23:過電圧検出回路
24:制御回路
S:スイッチ素子
R:抵抗素子
C:容量素子
L:コイル
N:ノード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8