特許第6770054号(P6770054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770054
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20201005BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   A61M25/10
   A61M25/00 504
   A61M25/00 502
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-244511(P2018-244511)
(22)【出願日】2018年12月27日
(62)【分割の表示】特願2015-181288(P2015-181288)の分割
【原出願日】2015年9月15日
(65)【公開番号】特開2019-80939(P2019-80939A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2019年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】桂田 武治
(72)【発明者】
【氏名】久保 佑太
(72)【発明者】
【氏名】荻堂 盛貴
【審査官】 小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−055859(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01683540(EP,A1)
【文献】 国際公開第13/166209(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0209176(US,A1)
【文献】 特表平10−509057(JP,A)
【文献】 特開2012−249811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンと、
前記バルーンの先端に接合されたインナーシャフトと、
前記インナーシャフトの先端に接合されたチップと、を備えたバルーンカテーテルにおいて、
前記チップは、前記バルーンの外周を被覆するように後端方向に延びており、
前記バルーンの先端が前記インナーシャフトと前記チップの後端部とに挟まれた状態で、前記バルーンの前記先端と前記インナーシャフトと前記チップとが接合されており、
前記チップはチューブ状であって、ガイドワイヤが挿入される貫通孔が前後方向に沿って形成されており、
前記チップの前記貫通孔の内面には、前記インナーシャフトの先端が配置された段部が形成されており、前記チップの前記貫通孔内周面と前記インナーシャフトの内周面とが前記段部において段差無く接続されていることを特徴とするバルーンカテーテル。
【請求項2】
前記段部には、前記バルーンの先端が配置されている
請求項1に記載のバルーンカテーテル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管内の狭窄部等に挿入して、狭窄部等を拡張するバルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内の狭窄部等に挿入して、狭窄部等を拡張するバルーンカテーテルが既に提案されている。バルーンカテーテルは、主に、拡張体であるバルーンと、バルーンの基端に接合されたアウターシャフトと、バルーンとアウターシャフトとの内部に挿入されたインナーシャフトと、からなる。
【0003】
また、バルーンカテーテルのバルーンを拡張させた際に、バルーンとインナーシャフト又はアウターシャフトとの接合部が剥離してしまう問題を解決するために、種々の構成が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、インナーチューブの先端に先端チップが接合され、バルーンの末端シャフト部がインナーチューブに接合され、インナーチューブと先端チップとバルーンの末端シャフト部とがスリーブによって接合されたバルーンカテーテルが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、バルーンの後端が、チューブ体と熱収縮チューブとの間に挟まれたバルーンカテーテルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6918920号明細書
【特許文献2】特開2009−56297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のバルーンカテーテルにあっては、バルーンの末端シャフト部が、インナーチューブの外周に接合しているだけであるため、バルーンを拡張させた際にバルーンがインナーチューブから剥離し易いという問題がある。さらに、先端チップは、インナーチューブの先端とスリーブの内周面とに接合しているものの、接合強度が乏しいため、先端チップがインナーチューブから破断し易いという問題もある。具体的には、バルーンを拡張するために内圧を高めると、バルーンの末端シャフト部がインナーチューブから剥離し易くなり、さらに内圧が増大すると、バルーン及びインナーチューブが先端方向に延びてしまい、これにより後端から押されたスリーブが剥離し易くなって、先端チップがインナーチューブから破断してしまう。
【0008】
ここで、上記特許文献2に開示されている熱収縮チューブを、仮に上記特許文献1のスリーブに代えて使用したとしても、先端チップがインナーシャフトから破断する問題を解決することはできない。
【0009】
そこで本発明は、従来のスリーブや熱収縮チューブを用いることなく、バルーンがインナーシャフトから剥離しにくく、かつ、チップがインナーシャフトから破断することを抑制できるバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、バルーンと、前記バルーンの先端に接合されたインナーシャフトと、前記インナーシャフトの先端に接合されたチップと、を備えたバルーンカテーテルにおいて、前記チップは、前記バルーンの外周を被覆するように後端方向に延びており、前記バルーンの先端が前記インナーシャフトと前記チップの後端部とに挟まれた状態で、前記バルーンの前記先端と前記インナーシャフトと前記チップとが接合されていることを特徴とする。
【0011】
かかる構成にあっては、前記バルーンの先端が、前記インナーシャフトと前記チップの後端部とに挟まれた部分に位置しており、かかる状態で、前記バルーンの前記先端と前記インナーシャフトと前記チップとが接合されているため、前記バルーンの先端がインナーシャフトから剥離しにくくなる。また、従来のスリーブや熱収縮チューブ等を用いることがないため、全体として部品点数を少なくすることができる。さらに、前記チップが前記バルーンを被覆する長さや面積を調整することで、チップとバルーンとの接合強度を最適化することができるため、チップがインナーシャフトから破断するおそれを確実に低減することができる。
【0012】
また、前記バルーンの前記先端と前記インナーシャフトと前記チップとが接合した接合部において、前記インナーシャフトの外周面は、凹凸形状を有している構成が提案される。
【0013】
かかる構成にあって、前記インナーシャフトの外周面に、前記バルーンの先端と対向する位置に凹凸形状が形成されていると、バルーンの先端とインナーシャフトの外周面との接合面積を増加させることができ、その結果、バルーンの先端がインナーシャフトから剥離しにくい構成となる。例えばバルーンに高い圧力が加えられた場合でも、凹凸形状によるアンカー効果により、バルーンの先端がインナーシャフトの外周面に形成された凹凸形状に引っ掛かってインナーシャフトから剥離しにくくなる。
【0014】
さらに、前記インナーシャフトの外周面における凹凸形状は、前記インナーシャフトの内部に埋め込まれたコイル体により形成されている構成が提案される。
【0015】
このように前記コイル体の外形により前記凹凸形状が形成されていることで、前記インナーシャフトの外周面に凹凸形状を形成する工程を別途設ける必要がなくなり、凹凸形状を形成するための工程を簡素化することができる。
【0016】
また、前記接合部における前記バルーンの前記先端の内周面は、前記インナーシャフトの外周面が有する凹凸形状に対応する凹凸形状を有している構成が提案される。
【0017】
かかる構成にあっては、前記バルーンの先端と前記インナーシャフトの外周面との接合面積をさらに増加させることができ、その結果、バルーンの先端がインナーシャフトからより一層剥離しにくい構成となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のバルーンカテーテルは、バルーンがインナーシャフトから剥離しにくく、かつ、チップがインナーシャフトから破断することを抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1にかかるバルーンカテーテルの部分断面平面図である。
図2】実施例1にかかるバルーンカテーテルの部分拡大断面図である。
図3】実施例1にかかるバルーンカテーテルの各部位を分解して示す拡大縦断面図であり、(a)はチップを示し、(b)はインナーシャフトを示し、(c)はバルーンを示している。
図4】実施例2にかかるバルーンカテーテルの部分拡大断面図である。
図5】実施例3にかかるバルーンカテーテルの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のバルーンカテーテルを具体化した実施例を詳細に説明する。ただし、本発明は下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。図1から図5において、左側が体内に挿入される先端側(遠位側)であり、右側が医師等の手技者によって操作される後端側(近位側、基端側)である。
【0021】
〔実施例1〕
例えば心臓の血管内の狭窄部の治療に用いられるバルーンカテーテル10は、図1に示すように、バルーン20Aと、アウターシャフト30と、コネクタ40と、インナーシャフト50Aと、チップ60と、コアワイヤ90と、を備えている。
【0022】
前記バルーン20Aは、狭窄部を拡張する機能を有し、樹脂製の部材からなる。そして、前記バルーン20Aの先端22Aは、インナーシャフト50Aの先端とチップ60とに接合され、前記バルーン20Aの後端23は、アウターシャフト30の先端に接合されている。なお、前記バルーン20Aにおける先端22Aの接合構造については、後で詳述する。
【0023】
前記アウターシャフト30は、流体を供給する機能を有し、前記流体を供給するための拡張ルーメン36を構成する管状部材からなる。さらに、前記アウターシャフト30は、先端側から順に、先端アウターシャフト部31と、ガイドワイヤポート部33と、中間アウターシャフト部35と、後端アウターシャフト部37と、を有している。なお、前記ガイドワイヤポート部33は、先端アウターシャフト部31と、中間アウターシャフト部35と、インナーシャフト50Aと、が接合する部分となる。
【0024】
前記先端アウターシャフト部31には、前記インナーシャフト50Aが挿入されており、前記先端アウターシャフト部31と前記インナーシャフト50Aとの間には、前記拡張ルーメン36が形成されている。また、前記後端アウターシャフト部37は、いわゆるハイポチューブと呼ばれる金属製の管状部材からなる。そして、前記後端アウターシャフト部37の先端が、中間アウターシャフト部35の後端に挿入されて接合されている。また、前記後端アウターシャフト部37の後端には、コネクタ40が取り付けられている。そして、コネクタ40に取り付けられるインデフレータ(図示せず)からバルーン20Aを拡張するための造影剤や生理食塩水などの流体が供給されると、流体は拡張ルーメン36を通ってバルーン20A内に流入し、バルーン20Aが拡張する。
【0025】
なお、前記先端アウターシャフト部31と前記中間アウターシャフト部35とは、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、又はポリエステルエラストマー等の樹脂からなるチューブで構成されることが好ましい。また、前記後端アウターシャフト部37は、ステンレス鋼(SUS304)やNi−Ti合金等の超弾性合金で構成されることが好ましい。
【0026】
前記インナーシャフト50Aは、内部にガイドワイヤ(図示せず)を挿入するためのガイドワイヤルーメン51を形成している。また、インナーシャフト50Aの後端は、アウターシャフト30のガイドワイヤポート部33に接合されることによって、後端側ガイドワイヤポート54が形成されている。さらに、前記インナーシャフト50Aの先端に配置されたチューブ状のチップ60には、先端側ガイドワイヤポート69が形成されている。
【0027】
また、前記バルーン20Aの内部における前記インナーシャフト50Aの外周には、円筒形状をなしたマーカ部材70が配置されている。
【0028】
前記インナーシャフト50Aは、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、又はポリエステルエラストマー等の樹脂で構成されることが好ましい。前記チップ60は、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等の柔軟な樹脂で形成されていることが望ましい。また、前記マーカ部材70は、放射線不透過性の金属材料である白金やタングステン等で構成されることが好ましい。
【0029】
また、前記後端アウターシャフト部37の先端の内周面には、コアワイヤ90が取り付けられている。前記コアワイヤ90は、断面が円形であり、先端に向かって細径化されたテーパ状の金属製線材で構成されている。そして、前記コアワイヤ90は、中間アウターシャフト部35とガイドワイヤポート部33とを通過して、先端アウターシャフト部31まで延出形成されている。さらに、前記コアワイヤ90は、ガイドワイヤポート部33の後端付近に、押圧部92を有している。これにより、コアワイヤ90に押し込み力や回転力が作用した際に、押圧部92がガイドワイヤポート部33に当接することで、押し込み力や回転力が先端アウターシャフト部31とインナーシャフト50Aとに伝達される。
【0030】
以下、前記バルーン20Aの先端22Aにおける接合構造を、図2図3に従って説明する。
【0031】
図2に示すように、前記バルーン20Aの前記先端22Aは、インナーシャフト50Aと、前記チップ60とに挟まれて相互に接合されている。かかる接続構造により、前記バルーン20Aの前記先端22Aが、インナーシャフト50Aから剥離してしまうことが抑制されている。
【0032】
さらに詳述すると、前記チップ60の内面には、図2図3(a)に示すように、前記バルーン20Aの先端22A及び前記インナーシャフト50Aの先端が当接することとなる段部62が形成されている。さらに、前記チップ60は、前記段部62から先端側ガイドワイヤポート69に向かって延びたテーパ形状のチップ先端部61と、前記段部62から後端に向かって延びたテーパ形状のチップ後端部64と、を具備している。なお、前記チップ後端部64のインナーシャフト50A側の内周面は、チップ後端接合内面65とされている。
【0033】
また、前記インナーシャフト50Aは、図2図3(b)に示すように、チューブ状の内層55と、前記内層55の外周に疎巻き状に巻回された金属製のコイル体56と、前記コイル体56の上に形成された外層57とを有している。そして、インナーシャフト50Aに埋め込まれた前記コイル体56の外形が、前記インナーシャフト50Aの先端における外周面58a上において凹凸形状を形成している。
【0034】
さらに、図2図3(c)に示すように、前記バルーン20Aの前記先端22Aにおけるインナーシャフト50A側の内周面は、バルーン先端接合内面25aとされており、前記バルーン先端接合内面25aには、凹凸形状が形成されている。そして、前記バルーン先端接合内面25aは、インナーシャフト50Aの先端の外周面58aの凹凸形状に対応するようにあらかじめ形成されている。
【0035】
そして、図2に示すように、前記インナーシャフト50Aの先端と前記バルーン20Aの先端22Aが、前記チップ60の段部62に当接した状態で、前記バルーン20Aの前記先端22Aのバルーン先端接合内面25aと、前記インナーシャフト50Aにおける凹凸形状が形成された外周面58aとが面接触し、かつ、前記チップ60のチップ後端部64によって、前記バルーン20Aの前記先端22Aの外周面24が被覆され、前記バルーン20Aの前記先端22Aと前記インナーシャフト50Aと前記チップ60とが接合されている。
【0036】
ここで、前記バルーン20Aの前記先端22Aと前記インナーシャフト50Aと前記チップ60とが接合した部位である接合部80Aが設けられる。そのため、バルーン20Aの内部に流体が導入されてバルーン20Aが拡張し、前記バルーン20Aの先端22Aとインナーシャフト50Aの先端とを互いに離開させようとする応力が発生した場合にも、バルーン20Aの先端22Aが前記チップ後端部64によって被覆されていることでバルーン20Aがインナーシャフト50Aから剥離してしまうことが抑制される。
【0037】
また、前記チップ60は、先端側ガイドワイヤポート69のチップ先端部61からチップ後端部64にわたって一体的に形成されているため、チップ60がインナーシャフト50Aから破断することも抑制される。
【0038】
しかもこれまでに述べた接合部80Aは、前記バルーン20Aと、前記インナーシャフト50Aと、前記チップ60とによって構成されており、その他の別部材を必要としないため、部品点数が増えることがない。更に、チップ60が、テーパ形状のチップ先端部61とテーパ形状のチップ後端部64とで構成されているため、バルーンカテーテル10Aを血管内の狭窄部に挿入した際、チップ先端部61とチップ後端部64とで狭窄部を径方向に押し広げることができ、かつ、チップ後端部64がバルーン20Aの先端22Aを被覆していることで、狭窄部によりバルーン20Aが損傷するおそれを低減できる。その結果、バルーン20Aに流体を導入した際、バルーン20Aがラプチャー(破裂)するおそれを低減できる。
【0039】
また、バルーン20Aのバルーン先端接合内面25aとインナーシャフト50Aの外周面58aとが、互いに対応する凹凸形状を有して面接触しているため、接合面積が増加するとともにアンカー効果が得られ、バルーン20Aの先端22Aがインナーシャフト50Aから剥離することをより一層効果的に防止している。
【0040】
なお、前記インナーシャフト50Aの外周面58aにおける凹凸形状は、前記内層55上に配置された前記コイル体56に樹脂を溶融状態で塗布して硬化させて凹凸形状が表出した外層57を形成してなるものであるため、当該凹凸形状を形成するための工程を別途構築する必要がなく、製造工程が増えない利点がある。
【0041】
〔実施例2〕
実施例2のバルーンカテーテル11の接合部80Bを、図4に従って説明する。なお、実施例1と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0042】
実施例2にあっては、実施例1のインナーシャフト50Aに代えて、単層のインナーシャフト50Bが用いられており、前記チップ60と、前記バルーン20Aの先端22Aと、前記インナーシャフト50Bとで、接合部80Bが構成されている。また、前記インナーシャフト50Bの外周面58bには凹凸形状が形成されており、かかる構成にあっても、実施例1のバルーンカテーテル10と同様に、部品点数を増やすことなく、前記バルーン20Aの先端22Aがインナーシャフト50Bから剥離してしまうことと、チップ60がインナーシャフト50Bから破断することと、狭窄部への挿入する際にバルーン20Aが損傷することと、を低減することができる。
【0043】
〔実施例3〕
実施例3のバルーンカテーテル12の接合部80Cについて、図5に従って説明する。なお、実施例1,2と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0044】
実施例3にあっては、実施例1のインナーシャフト50Aに代えて、単層のインナーシャフト50Cが用いられており、前記チップ60と、バルーン20Cの先端22Cと、前記インナーシャフト50Cとで、接合部80Cが構成されている。また、前記インナーシャフト50Cの外周面58cは、非凹凸形状の滑面となるように形成されている。また、バルーン20Cのバルーン先端接合内面25cも非凹凸形状の滑面となるように形成されている。かかる構成にあっても、実施例1のバルーンカテーテル10と同様に、部品点数を増やすことなく、バルーン20Cの先端22Cがとインナーシャフト50Cから剥離してしまうことと、チップ60がインナーシャフト50Cから破断することと、狭窄部への挿入する際にバルーン20Cが損傷することと、を低減することができる。
【0045】
なお、本発明は、上記実施例1〜3以外にも適宜変更可能である。例えば、インナーシャフト50A,50Bの外周面58a,58bにおける凹凸形状は、例えば疎巻きのコイル体56の形状に伴ったコイル状の凹凸形状に限られず、所定の間隔で凹部や凸部を設けたエンボス加工がなされたものであってもよいし、前記インナーシャフト50A,50Bの軸方向に沿って間欠的に形成された凹凸形状であってもよい。また、インナーシャフト50Aの外周面58aにおける凹凸形状は、インナーシャフト50Aに完全に埋めこまれたコイル体56により形成されているが、これに限定されない。例えば、(ア)コイル体56の外周面を外層57から一部露出させて、コイル体56と外層57とにより、インナーシャフト50Aの外周面58aにおける凹凸形状を形成してもよいし、(イ)外層57を用いずに、コイル体56と内層55とにより、インナーシャフト50Aの外周面58aにおける凹凸形状を形成してもよい。
【0046】
また、バルーンカテーテル10,11,12にあって、各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。したがって、例えばチップ60におけるチップ後端部64にあって前記チップ60の軸方向に沿った長さや、前記チップ60の径方向に沿った厚み等を自由に調整することが可能であり、これによりチップ60とバルーン20A,20Cの先端22A,22Cとインナーシャフト50A,50B,50Cとの接合強度を最適化するようにしてもよい。
【0047】
また、実施例1では、内層55の外周に断面形状が矩形状のコイル体56を巻回していたが、これに限定されない。コイル体56を構成する素線の断面形状は、円形や楕円形、あるいは多角形等であっても構わない。また、コイル体56を構成する素線は、金属素線に限らず、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)など樹脂素線を用いることもできる。更に、コイル体56の代わりに、複数の素線を網目状(メッシュ状)に編んだブレードを用いることもできる。
【符号の説明】
【0048】
10,11,12 バルーンカテーテル
20A,20C バルーン
22A,22C 先端
25a,25c バルーン先端接合内面(内周面)
50A,50B,50C インナーシャフト
58a,58b,58c 外周面
56 コイル体
60 チップ
80A,80B,80C 接合部
図1
図2
図3
図4
図5