特許第6770057号(P6770057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770057
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】クロマノン誘導体の新規な製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/22 20060101AFI20201005BHJP
   C07C 51/285 20060101ALI20201005BHJP
   C07C 59/68 20060101ALI20201005BHJP
   C07C 51/08 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   C07D311/22
   C07C51/285
   C07C59/68
   C07C51/08
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-505681(P2018-505681)
(86)(22)【出願日】2016年8月3日
(65)【公表番号】特表2018-523662(P2018-523662A)
(43)【公表日】2018年8月23日
(86)【国際出願番号】KR2016008579
(87)【国際公開番号】WO2017023123
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0110245
(32)【優先日】2015年8月4日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514311689
【氏名又は名称】エイチケー イノ.エヌ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウンソン
(72)【発明者】
【氏名】コ,ドンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジェホン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソナ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,グァンド
(72)【発明者】
【氏名】ホ,スンピョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジユン
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−525504(JP,A)
【文献】 国際公開第08/151927(WO,A1)
【文献】 Thottumkara, Arun P. et al.,In situ generation of o-iodoxybenzoic acid (IBX) and the catalytic use of it in oxidation reactions in the presence of Oxone as a co-oxidant,Organic Letters,2005年,(2005), 7(14), 2933-2936
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iで表される化合物と下記化学式IVで表される化合物とを反応させ、下記化学式Vで表される化合物を製造する第1のステップ、
前記化学式Vで表される化合物に、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を反応させ、化学式IIの化合物を製造する第2のステップ、及び
前記化学式IIで表される化合物を酸の存在下で環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップを含む、化学式IIIで表される化合物の製造方法。
[化学式I]


[化学式II]


[化学式III]


[化学式IV]


[化学式V]


前記化学式IV中、Xはハロゲン原子であり、フルオロ、塩素、又はヨウ素から選択してもよい。
【請求項2】
前記Xは塩素である、請求項1に記載の化学式IIIで表される化合物の製造方法。
【請求項3】
前記化学式Iで表される化合物と前記化学式IVで表される化合物とを反応させ、前記化学式Vで表される化合物を製造する第1のステップにおける前記反応は、塩基下において行われるO−アルキル化反応である、請求項1に記載の化学式IIIで表される化合物の製造方法。
【請求項4】
前記塩基は、水素化カリウム、水素化ナトリウム、水素化リチウム、又はカリウムt−ブトキシドから選択されるいずれか一つである、請求項3に記載の化学式IIIで表される化合物の製造方法。
【請求項5】
前記化学式Vで表される化合物に、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を反応させる第2のステップは、極性溶媒下において行われる、請求項1に記載の化学式IIIで表される化合物の製造方法。
【請求項6】
前記極性溶媒は、水、メタノール、アセトニトリル、又はこれらの混合物である、請求項5に記載の化学式IIIで表される化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2015年8月4日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2015−0110245号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、5,7−ジフルオロクロマン−4−オン誘導体の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
クロマノン誘導体は、医薬及び化学分野において、物質そのもの又は物質の合成過程などに非常に多様に用いられる物質である。ところが、クロマノン誘導体の重要性にもかかわらず、これを容易に合成する方法はあまり報告されていない。
【0004】
国際公報WO2009/156072には、3,5−ジフルオロフェノールを出発物質として用いて5,7−ジフルオロクロマン−4−オンを製造する方法が記載されている。前記特許には、3,5−ジフルオロフェノールと3−クロロ−1−プロパノールのO−アルキル化反応を行い、酸化クロム(VI)を試薬として用いて酸化反応を行った後、最後にオキサリルクロリドとアルミニウムトリクロリドを試薬として環化反応を行い、60%の収率で5,7−ジフルオロクロマン−4−オンを製造する方法が記載されている。
【0005】
しかし、前記特許に記載の製造方法は、各ステップごとにシリカゲル相のカラムクロマトグラフィー精製が必要となり、工業的な大量合成工程には適していない。また、酸化クロム(VI)試薬を用いた酸化反応により3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロパン酸を製造する過程において、環境規制の厳しい重金属酸化剤である酸化クロム(VI)を用いるため、当該工程は、大量生産には非常に不向きである。また、前記反応で用いる溶媒は、出発物質に比べて150倍程度で反応した後には、廃液処理によるコストがさらにかかるといった問題もある。すなわち、前記WO2009/156072に記載の方法は、製造コストが高く、環境規制の厳しい重金属を用いるといった問題があり、大量生産に適した工程でない。
【0006】
また、国際公報WO2005/016896には、3,5−ジフルオロフェノールとアクリロニトリルを出発物質として5,7−ジフルオロクロマン−4−オンを製造する方法が記載されている。前記特許においては、3,5−ジフルオロフェノールとアクリロニトリルとのマイケル(Michael)反応を行い、35%の収率で3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロピオニトリルを製造した。次いで、濃塩酸で加水分解を行い、3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロピオン酸を76%の収率で製造した後、最後にチオニルクロリドを用いて環化し、5,7−ジフルオロクロマン−4−オンを73%の収率で製造した。しかし、前記特許に記載の製造方法もシリカゲル相のカラムクロマトグラフィー精製を行うため、一般的に工業的な大量合成工程には適していない。また最後の工程において、−65℃まで冷却する工程を必要とするため、実際の生産に適用できないといった問題がある。
【0007】
よって、医薬及び化学分野で非常に重要なファーマコフォアである5,7−ジフルオロクロマン−4−オンを、低コストで、環境規制も受けない一般的に使用可能な試薬と溶媒を用いて産業的に大量生産することができる、新規な製造方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開特許第2009/156072号
【特許文献2】国際公開特許第2005/016896号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、別途の精製工程を必要とせず、低コストで、一般的に使用可能な試薬と溶媒を用いて産業的に大量生産が可能であり、製法上環境規制も受けない、優れた5,7−ジフルオロクロマン−4−オン誘導体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
下記化学式Iで表される化合物から化学式IIで表される化合物を製造するステップ、及び
前記化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造するステップを含む、化学式IIIで表される化合物の製造方法を提供する。
[化学式I]

[化学式II]

[化学式III]
【0011】
本発明の製造方法は、別途の精製工程を必要とせず、低コストで、環境規制も受けない一般的に使用可能な試薬と溶媒を用いて5,7−ジフルオロクロマン−4−オン誘導体を効率よく大量生産することができる。
【0012】
本発明は、
前記化学式Iで表される化合物と下記化学式IVで表される化合物とを反応させ、下記化学式Vで表される化合物を製造するステップ、及び
前記化学式Vで表される化合物に、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を反応させ、前記化学式IIの化合物を製造するステップを含む、化学式IIで表される化合物の製造方法を提供する。
[化学式IV]

[化学式V]
【0013】
前記化学式IV中、
Xはハロゲン原子であり、フルオロ、塩素、又はヨウ素から選択してもよい。
【0014】
前記化学式Iで表される化合物と前記化学式IVで表される化合物とを反応させ、前記化学式Vで表される化合物を製造する第1のステップにおいて、前記反応は、O−アルキル化反応である。
【0015】
前記O−アルキル化反応は、有機溶媒として、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを単独又は混合して用いることができ、好ましくは、ジメチルホルムアミドを用いることができる。
【0016】
また、O−アルキル化反応で用いられる塩基は、水素化カリウム、水素化ナトリウム、水素化リチウム、カリウムt−ブトキシド(potassium t−butoxide)などを用いることができ、好ましくは、水素化ナトリウムを用いることができる。
【0017】
前記有機溶媒下において、化学式Iで表される化合物と塩基は、10℃以下で、好ましくは0℃〜10℃で攪拌した後、化学式IVで表される化合物と混合し、60℃〜90℃でO−アルキル化反応を行ってもよい。
【0018】
前記化学式IVで表される化合物において、前記Xは塩素であることが好ましい。
【0019】
前記化学式Vで表される化合物に、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を反応させ、化学式IIの化合物を製造する第2のステップにおいて、反応には、極性溶媒、例えば、水、メタノール、アセトニトリル、又はその混合溶媒を用いる。
【0020】
極性溶媒下において、化学式Vで表される化合物は、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)と60℃〜90℃で反応が行われてもよい。
【0021】
前記反応は、従来知られている反応とは異なり、環境汚染により規制された試薬ではなく、一般的に危害のない2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を用いるため、大量生産工程に適しており、高い収率を示す。
【0022】
本発明は、
化学式Iで表される化合物を塩基下においてアクリロニトリルと反応させ、下記化学式VIで表される化合物を製造する第1のステップ、及び
化学式VIで表される化合物を加水分解し、化学式IIで表される化合物を製造する第2のステップを含み、
前記第1のステップの塩基は水酸化銅である、化学式IIで表される化合物の製造方法を提供する。
[化学式VI]
【0023】
前記化学式Iで表される化合物を、水酸化銅を塩基として用いてアクリロニトリルと反応させ、化学式VIで表される化合物を製造する第1のステップにおいて、前記反応は、マイケル付加反応(Michael addition reaction)であり、塩基として水酸化銅を用いて反応が行われる。本反応は、マイケル付加反応において水酸化銅を用いることにより、他の塩基源を用いるのに比べて、反応収率を大幅に向上させることができる。
【0024】
化学式VIで表される化合物を製造するステップは、75℃〜85℃で行われることが好ましい。
【0025】
前記化学式VIで表される化合物を加水分解し、化学式IIで表される化合物を製造する第2のステップにおいて、酸又は塩基の存在下で加水分解することにより化学式VIで表される化合物を合成する。酸は、硫酸、塩酸、又はリン酸から選択してもよく、好ましくは、硫酸である。塩基は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選択してもよく、好ましくは、水酸化ナトリウムである。
【0026】
化学式IIで表される化合物を製造するステップは、酸条件では、40℃〜60℃で行われることが好ましく、塩基条件では、還流条件で行われることが好ましい。
【0027】
本発明は、
化学式Iで表される化合物と化学式IVで表される化合物とを反応させ、化学式Vで表される化合物を製造する第1のステップ、
化学式Vで表される化合物に、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を反応させ、化学式IIの化合物を製造する第2のステップ、及び
化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップを含む、化学式IIIで表される化合物の製造方法を提供する。
【0028】
前記製造方法において、先に行われる二つのステップは、前述した通りである。
【0029】
化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップは、酸条件下において環化反応を行ってもよい。
【0030】
前記酸は、硫酸、塩酸、又はリン酸から選択してもよく、好ましくは、硫酸である。酸存在下における反応は、40℃〜60℃で反応させるのが好ましい。
【0031】
本発明は、
化学式Iで表される化合物を塩基下においてアクリロニトリルと反応させ、化学式VIで表される化合物を製造する第1のステップ、
化学式VIで表される化合物を加水分解し、化学式IIで表される化合物を製造する第2のステップ、及び
化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップを含み、
前記第1のステップの塩基は水酸化銅である、化学式IIIで表される化合物の製造方法を提供する。
【0032】
前記製造方法において、先に行われる二つのステップは、前述した通りである。
【0033】
化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップは、酸条件下において環化反応を行ってもよい。
【0034】
反応条件は、前記記載の化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップの内容が適用されてもよい。化学式VIから化学式IIIへの反応は、In−situ反応により行ってもよい。
【0035】
例えば、本発明に係る化学式IIIで表される化合物の製造方法は、下記反応式Iで表すことができる。
[反応式I]
【0036】
前記式のように、化学式Iで表される化合物から化学式IIで表される化合物の製造は、化学式Iで表される化合物に化学式IVで表される化合物を処理してO−アルキル化反応を行った後、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を処理して化学式IIで表される化合物を合成するか、又はアクリロニトリルと反応させた後、加水分解して製造してもよい。
【0037】
化学式IIで表される化合物から化学式IIIで表される化合物の製造は、酸存在下において化学式IIで表される化合物を添加した後、環化反応を行って製造してもよい。
【0038】
本発明に係る化学式IIで表される化合物の製造方法は、下記反応式II−1で表すことができる。
[反応式II−1]
【0039】
前記反応式II−1のように、ジメチルホルムアミド下において、化学式Iで表される化合物と水素化ナトリウムを反応させ、化学式IVの化合物とO−アルキル化反応を行い、化学式Vで表される化合物を製造する。製造された化学式Vで表される化合物を2−ヨード安息香酸及びペルオキシ一硫酸カリウムと反応させ、化学式IIで表される化合物を製造する。
【0040】
本発明に係る化学式IIで表される化合物の製造方法は、下記反応式II−2で表すことができる。
[反応式II−2]
【0041】
前記反応式II−2のように、水酸化銅下においてアクリロニトリルを反応させ、化学式VIの化合物を製造し、酸処理により加水分解を行って、化学式IIで表される化合物を製造する。
【0042】
本発明に係る化学式IIIで表される化合物の製造方法は、好ましくは、下記反応式I−1で表すことができる。
[反応式I−1]
【0043】
前記反応式I−1のように、ジメチルホルムアミド下において、化学式Iで表される化合物と水素化ナトリウムとを反応させ、化学式IVの化合物とO−アルキル化反応を行い、化学式Vで表される化合物を製造する。製造された化学式Vで表される化合物を2−ヨード安息香酸及びペルオキシ一硫酸カリウムと反応させ、化学式IIで表される化合物を製造した後、硫酸を処理して環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する。
【0044】
本発明に係る化学式IIIで表される化合物の製造方法は、好ましくは、下記反応式I−2で表すことができる。
[反応式I−2]
【0045】
前記反応式I−2のように、水酸化銅下においてアクリロニトリルを反応させ、化学式VIの化合物を製造し、酸処理により加水分解を行った後、環化反応させ、化学式IIIの化合物を製造する。ここで、硫酸処理反応は、In−situ反応により行ってもよい。
【発明の効果】
【0046】
本発明の製造方法は、別途の精製工程を必要とせず、低コストで、環境規制も受けない一般的に使用可能な試薬と溶媒を用いて5,7−ジフルオロクロマン−4−オンを効率よく産業的に大量生産することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、下記実施例及び実験例により、本発明をより詳細に説明する。しかし、下記実施例及び実験例は、本発明を例示するためのものであって、これら実施例及び実験例によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0048】
以下に記載の試薬及び溶媒は、特別な記載がない限り、Sigma Aldrichから購入したものであり、H−NMRは、Bruker NMR 400MHzで測定した。
【0049】
実施例1:3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロパン−1−オールの製造
反応器に水素化ナトリウム36kgとジメチルホルムアミド439kgとを投入し、0℃に冷却した。これとは別に、ジメチルホルムアミド165kgに3,5−ジフルオロフェノール116kgを溶解し、5℃以下で反応器に滴加した後、攪拌した。また、ジメチルホルムアミド165kgに3−クロロ−1−プロパノール108kgを溶解し、反応器に滴加した後、80℃に昇温して反応させた。反応が終わった後、20℃に冷却し、ジイソプロピルエーテル839kg及び精製水530kgを投入した。その後、濃塩酸48kgを滴加して攪拌した。層分離後に、有機層に5%水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム29kg+精製水579kg)を投入して攪拌し、有機層を分離し、40℃で真空濃縮して3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロパン−1−オール(167kg、100%、in−situ)を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.84(quint,2H),3.54(dd,2H),4.06(t,2H),4.57(t,1H)
【0050】
実施例2:3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロパン酸の製造
反応器に3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロパン−1−オール167kg、アセトニトリル882kg、及び精製水552kgを投入した後、攪拌し、2−ヨード安息香酸11kg及びペルオキシ一硫酸カリウム227kgを投入し、80℃で攪拌した。反応が終わった後、5℃以下に冷却し、酢酸エチル1201kg及び精製水1339kgを投入して攪拌した。析出した固体をろ過し、酢酸エチル300kg、精製水335kgを用いて洗浄した。ろ液を40℃で真空濃縮し、ヘプタン569kgを投入し、20℃に冷却して攪拌した。ろ過後に、40℃で真空乾燥し、3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロパン酸(142kg、79%)を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=2.69(t,2H),4.19(t,2H),6.68−6.81(m,3H),12.4(s,1H)
【0051】
実施例3:5,7−ジフルオロクロマン−4−オンの製造
反応器Aに濃硫酸345kgを投入して10℃に冷却し、3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロパン酸142kgを滴加した。50℃で攪拌した後、反応が終わると20℃に冷却した。反応器Bに精製水1421kgを投入し、0℃に冷却した。前記反応器Aの反応物を10℃以下に維持しつつ、前記反応器Bにゆっくりと滴加し、ジクロロメタン1890kgを加えて攪拌した。有機層を分離した後、精製水1421kgを加え、5%炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム14kg+精製水284kg)を用いてpH7.5に合わせた。有機層を分離して40℃で真空濃縮し、ヘプタン483kgを投入して攪拌した。ろ過後に、40℃で真空乾燥し、5,7−ジフルオロクロマン−4−オン(109kgで、84%)を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=2.77(t,2H),4.57(t,2H),6.81−6.95(m,2H)
【0052】
実施例4:3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロパンニトリルの製造
反応器に3,5−ジフルオロフェノール13kgとアクリロニトリル21kgとを投入した後、攪拌した。水酸化銅5kgを投入し、80℃で48時間還流した。反応が終わった後、常温に冷却し、50℃で濃縮した。ジクロロメタン100Lと精製水50Lを投入して攪拌した。有機層に精製水50Lを投入した後、攪拌して有機層を分離した。その後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、溶媒を減圧除去することにより、3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロパンニトリル(11kg、60%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=2.87(t,2H),4.19(t,2H),6.44−7.54(m,3H)
【0053】
実施例5:5,7−ジフルオロクロマン−4−オンの製造
反応器Aに濃硫酸30kgを投入した。3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)プロパンニトリル11kgを10〜20℃で投入し、50℃に昇温して攪拌した。反応が終わると常温に冷却した。反応器Bに精製水100Lを投入し、0℃に冷却した。反応器Aの反応物を反応器Bに投入した。ジクロロメタン110Lを投入し、5%炭酸ナトリウム水溶液を用いてpH7に調節した。攪拌した後、有機層を分離した。減圧濃縮した後、ヘプタン55Lを投入して攪拌した後、ろ過した。40℃で真空乾燥し、5,7−ジフルオロクロマン−4−オン(9kg、80%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=2.81(t,2H),4.55(t,2H),6.44−6.53(m,2H)