【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
下記化学式Iで表される化合物から化学式IIで表される化合物を製造するステップ、及び
前記化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造するステップを含む、化学式IIIで表される化合物の製造方法を提供する。
[化学式I]
[化学式II]
[化学式III]
【0011】
本発明の製造方法は、別途の精製工程を必要とせず、低コストで、環境規制も受けない一般的に使用可能な試薬と溶媒を用いて5,7−ジフルオロクロマン−4−オン誘導体を効率よく大量生産することができる。
【0012】
本発明は、
前記化学式Iで表される化合物と下記化学式IVで表される化合物とを反応させ、下記化学式Vで表される化合物を製造するステップ、及び
前記化学式Vで表される化合物に、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を反応させ、前記化学式IIの化合物を製造するステップを含む、化学式IIで表される化合物の製造方法を提供する。
[化学式IV]
[化学式V]
【0013】
前記化学式IV中、
Xはハロゲン原子であり、フルオロ、塩素、又はヨウ素から選択してもよい。
【0014】
前記化学式Iで表される化合物と前記化学式IVで表される化合物とを反応させ、前記化学式Vで表される化合物を製造する第1のステップにおいて、前記反応は、O−アルキル化反応である。
【0015】
前記O−アルキル化反応は、有機溶媒として、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを単独又は混合して用いることができ、好ましくは、ジメチルホルムアミドを用いることができる。
【0016】
また、O−アルキル化反応で用いられる塩基は、水素化カリウム、水素化ナトリウム、水素化リチウム、カリウムt−ブトキシド(potassium t−butoxide)などを用いることができ、好ましくは、水素化ナトリウムを用いることができる。
【0017】
前記有機溶媒下において、化学式Iで表される化合物と塩基は、10℃以下で、好ましくは0℃〜10℃で攪拌した後、
化学式IVで表される化合物と混合し、60℃〜90℃でO−アルキル化反応を行ってもよい。
【0018】
前記化学式IVで表される化合物において、前記Xは塩素であることが好ましい。
【0019】
前記化学式Vで表される化合物に、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を反応させ、化学式IIの化合物を製造する第2のステップにおいて、反応には、極性溶媒、例えば、水、メタノール、アセトニトリル、又はその混合溶媒を用いる。
【0020】
極性溶媒下において、
化学式Vで表される化合物は、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)と60℃〜90℃で反応が行われてもよい。
【0021】
前記反応は、従来知られている反応とは異なり、環境汚染により規制された試薬ではなく、一般的に危害のない2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を用いるため、大量生産工程に適しており、高い収率を示す。
【0022】
本発明は、
化学式Iで表される化合物を塩基下においてアクリロニトリルと反応させ、下記化学式VIで表される化合物を製造する第1のステップ、及び
化学式VIで表される化合物を加水分解し、化学式IIで表される化合物を製造する第2のステップを含み、
前記第1のステップの塩基は水酸化銅である、化学式IIで表される化合物の製造方法を提供する。
[化学式VI]
【0023】
前記化学式Iで表される化合物を、水酸化銅を塩基として用いてアクリロニトリルと反応させ、
化学式VIで表される化合物を製造する第1のステップにおいて、前記反応は、マイケル付加反応(Michael addition reaction)であり、塩基として水酸化銅を用いて反応が行われる。本反応は、マイケル付加反応において水酸化銅を用いることにより、他の塩基源を用いるのに比べて、反応収率を大幅に向上させることができる。
【0024】
化学式VIで表される化合物を製造するステップは、75℃〜85℃で行われることが好ましい。
【0025】
前記化学式VIで表される化合物を加水分解し、化学式IIで表される化合物を製造する第2のステップにおいて、酸又は塩基の存在下で加水分解することにより化学式VIで表される化合物を合成する。酸は、硫酸、塩酸、又はリン酸から選択してもよく、好ましくは、硫酸である。塩基は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選択してもよく、好ましくは、水酸化ナトリウムである。
【0026】
化学式IIで表される化合物を製造するステップは、酸条件では、40℃〜60℃で行われることが好ましく、塩基条件では、還流条件で行われることが好ましい。
【0027】
本発明は、
化学式Iで表される化合物と化学式IVで表される化合物とを反応させ、化学式Vで表される化合物を製造する第1のステップ、
化学式Vで表される化合物に、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を反応させ、化学式IIの化合物を製造する第2のステップ、及び
化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップを含む、化学式IIIで表される化合物の製造方法を提供する。
【0028】
前記製造方法において、先に行われる二つのステップは、前述した通りである。
【0029】
化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップは、酸条件下において環化反応を行ってもよい。
【0030】
前記酸は、硫酸、塩酸、又はリン酸から選択してもよく、好ましくは、硫酸である。酸存在下における反応は、40℃〜60℃で反応させるのが好ましい。
【0031】
本発明は、
化学式Iで表される化合物を塩基下においてアクリロニトリルと反応させ、
化学式VIで表される化合物を製造する第1のステップ、
化学式VIで表される化合物を加水分解し、化学式IIで表される化合物を製造する第2のステップ、及び
化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップを含み、
前記第1のステップの塩基は水酸化銅である、化学式IIIで表される化合物の製造方法を提供する。
【0032】
前記製造方法において、先に行われる二つのステップは、前述した通りである。
【0033】
化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップは、酸条件下において環化反応を行ってもよい。
【0034】
反応条件は、前記記載の化学式IIで表される化合物を環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する第3のステップの内容が適用されてもよい。化学式VIから化学式IIIへの反応は、In−situ反応により行ってもよい。
【0035】
例えば、本発明に係る化学式IIIで表される化合物の製造方法は、下記反応式Iで表すことができる。
[反応式I]
【0036】
前記式のように、化学式Iで表される化合物から化学式IIで表される化合物の製造は、化学式Iで表される化合物に化学式IVで表される化合物を処理してO−アルキル化反応を行った後、2−ヨード安息香酸(2−Iodobenzoic acid)及びペルオキシ一硫酸カリウム(Potassium peroxymonosulfate)を処理して化学式IIで表される化合物を合成するか、又はアクリロニトリルと反応させた後、加水分解して製造してもよい。
【0037】
化学式IIで表される化合物から化学式IIIで表される化合物の製造は、酸存在下において化学式IIで表される化合物を添加した後、環化反応を行って製造してもよい。
【0038】
本発明に係る化学式IIで表される化合物の製造方法は、下記反応式II−1で表すことができる。
[反応式II−1]
【0039】
前記反応式II−1のように、ジメチルホルムアミド下において、化学式Iで表される化合物と水素化ナトリウムを反応させ、化学式IVの化合物とO−アルキル化反応を行い、化学式Vで表される化合物を製造する。製造された化学式Vで表される化合物を2−ヨード安息香酸及びペルオキシ一硫酸カリウムと反応させ、化学式IIで表される化合物を製造する。
【0040】
本発明に係る化学式IIで表される化合物の製造方法は、下記反応式II−2で表すことができる。
[反応式II−2]
【0041】
前記反応式II−2のように、水酸化銅下においてアクリロニトリルを反応させ、化学式VIの化合物を製造し、酸処理により加水分解を行って、化学式IIで表される化合物を製造する。
【0042】
本発明に係る化学式IIIで表される化合物の製造方法は、好ましくは、下記反応式I−1で表すことができる。
[反応式I−1]
【0043】
前記反応式I−1のように、ジメチルホルムアミド下において、化学式Iで表される化合物と水素化ナトリウムとを反応させ、化学式IVの化合物とO−アルキル化反応を行い、化学式Vで表される化合物を製造する。製造された化学式Vで表される化合物を2−ヨード安息香酸及びペルオキシ一硫酸カリウムと反応させ、化学式IIで表される化合物を製造した後、硫酸を処理して環化反応させ、化学式IIIで表される化合物を製造する。
【0044】
本発明に係る化学式IIIで表される化合物の製造方法は、好ましくは、下記反応式I−2で表すことができる。
[反応式I−2]
【0045】
前記反応式I−2のように、水酸化銅下においてアクリロニトリルを反応させ、化学式VIの化合物を製造し、酸処理により加水分解を行った後、環化反応させ、化学式IIIの化合物を製造する。ここで、硫酸処理反応は、In−situ反応により行ってもよい。