(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記酸性化/塩基性化は、(F、Cl、Br、I)のハロゲンを有するハロゲン化水素、硫酸、亜硫酸、亜リン酸、リン酸、次亜リン酸、硝酸、スルファミン酸、カルボン酸、もしくは、有機スルホン酸の群から選択される酸、又は苛性ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、もしくは(重)炭酸ナトリウムの群から選択される塩基を添加することによって行われる、請求項2〜10のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
消費者産業における競争増加に伴い、企業は、食品消費者の目を引く商品となるように、食品の包装の様々な特徴に実質的に投資している。食品に加えて、ティッシュ、肌用の紙ワイプ、板、プラスチック(例えば、プラスチック製子供用玩具)、その他等の他の製品の包装/外観も関心を集めている。包装の人気の特徴は、色の鮮やかさ(color vibrancy)、色の濃さ、透明性、色合い(hue)、彩度、光沢、保色性等を含む。しかしながら、このような包装又は外観は、例えばアゾイック顔料を使用して調製された化学インクの使用を伴う。アゾイック顔料は、包装を透過して、又は接触移動による裏移り(set-off)によって、包装から製品への移動する性質を有する第1級芳香族アミン(PAA)等の一定の不純物を含む。第1級芳香族アミンは、出発物質の残留物として、又は出発物質の分解生成物として、顔料に存在する。食べ物の種類、印刷された包装の種類、インクの種類、接触時間、接触温度及び繰り返し使用の組合せにより、包装から食物への第1級芳香族アミンの移動が生じることがあり得、最終消費者を害する可能性がある。
【0003】
第1級芳香族アミンによる包装からの食材の汚染は、PIM又はプラスチック施行規則(Plastics Implementation Measure)として知られる、欧州規則EU/10/2011の添付書(Annex)II,§1によって厳しく規制されており、食物と接触するプラスチック及び積層プラスチック材料並びに物品が、当該食物に第1級芳香族アミンを放出することができないようにすることを要求し、(全体として)第1級芳香族アミンの食材1kg当たり検出限界0.01mgが検出限界としてみなされている。
また、スイス政府は、スイス規制(Swiss Ordinance)SR817.023.21において、第1級芳香族アミンの移動に関して同様の制限を適用し、その範囲は、例えば、インク、紙、板、再生セルロース、シリコーン、…を含む、食物接触用のすべての材料にまでさらに拡張されている。
【0004】
食材への第1級芳香族アミンの移動を回避する従来技術の1つは、出発物質として第1級芳香族アミン有しない、あるいは分解して第1級芳香族アミンを放出する化合物を有さない色指数(color indexes)、すなわち非アゾイック顔料、を使用することである。このような非アゾイック顔料のいくつかの例には、ジケトピロロピロール(DPP)、キノフタロン、又は無機顔料が含まれる。しかしながら、このような顔料は、アゾイック顔料にみられる必要な色特性を有さないことが多い。例えば、無機顔料は、典型的にはアゾイック顔料の5分の1以下の色の濃さを有し、アゾイック顔料ほど十分に幅広い色空間をカバーすることができず、一般的ではないが、典型的にはアゾイック顔料に対して低い彩度(chroma)及び低い透明性レベルを有する。また、非アゾイック顔料は、典型的にはアゾイック顔料よりも高価である。
【0005】
別の従来技術は、SunCure(サンケミカル社(Sun Chemical Corporation))等のUV硬化可能な、低移動インクを開示する。このような方法は、高度の架橋及び網化を使用して、すべての移動可能な不純物の固定化を行う。しかしながら、現在、当該方法においては、このようなインクは、UV硬化に適した基材への塗布に限定される。また、重合化及び続く硬化が不完全であるために、アクリルモノマー、光開始剤又は他の不純物の幼児食への放出がないことを保証することができないので、UV硬化可能な製品は、幼児及び小さい子供のための食べ物用の小さな包装には適していない。また、上述のSunCure等のUV硬化可能なインクは、包装材料との直接接触が必要となる、電子レンズ又はオーブンで使用可能な消耗品又は食製品における使用が制限される。また、上述の方法は、基板印刷に限定され、例えば、限定はされないが、マスターバッチ等の原料着色された(mass coloured)プラスチックには利点を有さない。
【0006】
WO2005105928A1(クラリアント プロドゥクテ ゲーエムベーハー(Clariant Produkte GmbH)に開示された別の例において、マイクロ反応器を使用し、続いて溶媒洗浄及び膜精密ろ過による高純度のナフトールAS顔料の製造が開示されている。このような方法は、残留第1級芳香族アミンの含有量が低い結果となるけれども、顔料生産毎に、目的に応じたパラメータセットが必要となる。また、当該方法は、例えば、マイクロ反応器、精製用膜及びATEX設備費への投資等の生産のための特別なコストを伴う。当該方法は、溶媒の切り替えによる凝集体の洗浄、微量溶媒除去、溶媒回復等のいくつかの綿密な工程の有効性を必要とするので、特別な生産時間も必要となる。さらに、前記方法は、赤ナフトールタイプのアゾイック顔料の製造のみに特化している。
【0007】
WO2009129455A8(サンケミカル社)によって開示されているような別の例によれば、C.I.ピグメントイエロー(Pigment Yellow)13及びC.I.ピグメントイエロー83の固溶体のインシトゥ(in situ)合成は、C.I.ピグメントイエロー13及びC.I.ピグメントイエロー83の個別合成に比べて第1級芳香族アミンの含有量を改善することができる。しかしながら、PAA含有量は、食物接触用途用の顔料における残留第1級芳香族アミンの20ppmよりも低い限界を指向する一般的傾向に対して、アニリン換算で370ppmとなお高いままとなっている。
【0008】
WO2013066246A1(ザイロファンアクティエボラグ(Xylophane Aktiebolag))に開示されているような、さらに別の従来の例によれば、バリア層を基材に繰み込み、第1級芳香族アミンの移動を防止することができ、バリア層は、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)等の機能的バリア又はアルミニウム箔もしくは金属化プラスチック等の絶対的バリアとすることができる。また、ノヴァセット(Novaset)(フリントグループ(Flint Group))等の固定トップコートバリアは、印刷表面に塗布され、裏移りによる接触移動を排除することができる。しかしながら、このようなバリアは、全体的なコストを増大させると共に、プラスチック包装製造又は積層された多層テトラブリック(tetra-brik)タイプの容器のみに限定される。さらに、US5116649A(ウェストヴェイコ社(Westvaco Corporation))に開示されているように、EVOHに基づくバリアフィルムは、ナイロンを除いて、ほとんどのポリマー及び紙に対する接着力がほとんどなく、最終的には、EVOH樹脂は、湿気の作用に対して敏感であり、相対湿度の増加によってバリア性能が低下してしまうことになる。
【0009】
発明US4643770は、フラッシングプロセス(flushing process)を伴うインク用途用顔料の調製における遊離第1級脂肪族アミンの低減について記載する。脂肪族アミンは、とりわけ界面活性剤として使用され、顔料プレスケーキを含有する水と、フラッシングプロセスで使用される有機相との親和性を改善すると共に、選択的に顔料のアセトアセチル部から長鎖ケタミンを形成することによって、前記顔料の分散性を改善する。通常、顔料に対してモル等量大過剰の脂肪族アミンが使用されるので、当該プロセスは、大量の残留脂肪族アミンが生ずる。過剰の脂肪族(ジ)アミンが、インク調製に有害な影響を及ぼし、又は泡立ちを誘発し得ることは当業界に公知である。上述の特許は、顔料合成前に、結合剤のアセトアセチル部の一部(典型的には5モル%)のみをケタミンに変換することによる解決手段を提供する。しかしながら、それは脂肪族第1級アミンのみを検討していると共に、得られる顔料組成物は、なお、1%未満の残留脂肪族アミンを含んでおり、このため、顔料合成からppmレベルでの微量の第1級芳香族アミンのための解決手段を提示していない。
【0010】
結論として、記載した例は、PAA移動のないアゾイック顔料を達成することが困難でることを示している。
【0011】
したがって、コストを節約し、かつ効果的な、PAAの移動のないアゾイック顔料を製造する方法を開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、アゾイック顔料を製造する方法を開示する。当該方法は、合成プロセス、それに続く選択的な熱処理によって生産されるアゾイック顔料のスラリーを得る工程を含む。スラリーは、残留出発物質からの不純物として、及び/又は合成プロセスの副生成物として存在する第1級芳香族アミンを含む。当該方法は、スラリー中に含まれる第1級芳香族アミンの誘導体化(derivatization)、それに続いて、スラリー中に存在する顔料のカプセル化(encapsulation)をさらに含む。その後、スラリーは、選択的に、酸性化又は塩基性化される。最後に、スラリーはさらに処理され、これによって、非常に低い残留PAAレベルを有するアゾイック顔料を形成する。遊離残留芳香族アミン(以下、遊離PAA(free PAA)と称する)の誘導体化及び顔料のカプセル化はPAA含有量を付加的に又は相乗的に低減し、これにより、顔料から接触面へのPAAの移動リスクを最小化する。
【0014】
実施形態において、アゾイック顔料を製造する方法が提供され、当該方法は:
i)アゾイック顔料のスラリーを得る工程であって、スラリーが残留第1級芳香族アミン(PAA)を含む工程と;
ii)スラリーに誘導体化剤を添加することによってスラリー中の残留PAAを誘導体化する工程と;
iii)スラリー中の顔料をカプセル化する工程と;
i
v)スラリーを最終処理し、PAA移動のないカプセル化アゾイック顔料(encapsulated PAA migration free azoic pigment)を形成する工程と;を含み、
残留遊離PAAの誘導体化及び顔料のカプセル化は、付加的に又は相乗的に、PAA含有量を低減し、これによって顔料から接触面へのPAAの移動を抑制する。
【0015】
当該方法は、選択的に、スラリーの酸性化又は塩基性化の工程を含むことができる。この工程は、工程i)の後、又は工程ii)の後、又は工程iii)の後に行うことができる。
【0016】
さらに、当該方法は、選択的に、スラリーを後処理する(working up)方法を含むことができ、当該方法は、顔料をろ過及び洗浄し、顔料ペーストを得る工程と、ある量の溶媒を添加し、粒径分布の平衡に達するまで、10℃〜180℃、好ましくは15℃〜60℃からなる温度範囲において前記分散体を撹拌することによって顔料ペーストをリスラリー化する工程と、を含む。スラリーの後処理は、工程ii)の前、又は工程iii)の前に行うことができる。
【0017】
本発明の実施形態において、スラリーの遊離PAAの誘導体化は、スラリーへの誘導体化剤(derivatization agent)の添加を含み、誘導体化剤は、アルデヒド、ケトン、ハロゲン化アシル、ハロゲン化スルホニル、有機酸無水物、エポキシド、エポキシワックス、イソシアネート、(置換)アクリル酸、(置換)アクリル酸エステル、(置換)不飽和アルデヒド、(置換)不飽和ケトン、(置換)エチレンスルホン酸、ラクトン、ラクタム、ハロアルカン、又はこれらの組合せである。
【0018】
本発明の実施形態において、顔料のカプセル化は、カプセル化のためのスラリーへのモノマー、又はモノマーのセットの添加を含む。
【0019】
このようなモノマーは、ビニル基、限定はされないが、アクリレート基等の不飽和カルボキシ基、アクリルアミド基、メタクリレート基、不飽和スルホン基、オルガノシラン基、ハロシラン基、有機修飾シロキサン基、イソシアネート基、エポキシド基、ラクトン、ラクタム、もしくはこれらのいずれの組合せから選択される1つ又は複数の重合可能な官能基、又は二重層によるいずれかの被覆が得られる官能基を含むことができる。
【0020】
このようなモノマーのセットは、[A]限定はされないが、ハロアルカン、有機酸、エステル、酸塩化物(アシルクロライド)、有機酸無水物、イソシアネート等の1つもしくは複数の官能性を有する1つ又は複数のモノマー、及び[B]アルコール、アミン、エポキシド等の1つもしくは複数の官能性を有する1つ又は複数のモノマー、又はこれらのいずれかの組合せ、又は二重層によるいずれかの被覆が得られるモノマーを備える。
【0021】
特別な実施形態において、遊離PAAとの反応に使用される誘導体化剤は、遊離PAAの誘導体化及び顔料のカプセル化のための二機能性剤(二官能性剤)(bifunctional agent)とすることができる。
【0022】
酸性化/塩基性化は、(Cl、Br、I)のハロゲンを有するハロゲン化水素、硫酸、亜硫酸、亜リン酸、リン酸、次亜リン酸、硝酸、スルファミン酸、カルボン酸、もしくは、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸の群から選択される酸、又は苛性ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、もしくは(重)炭酸ナトリウムの群から選択される塩基を添加することによって行われる。
【0023】
顔料ペーストのリスラリー化に使用される溶媒は、脱イオン水、ポリグリコールのエーテル、又はポリグリコールのエステルである。
【0024】
リスラリー化は、平衡状態における粒径が1μm未満、又は2μm未満、又は5μm未満となるまで、10℃〜180℃、好ましくは15℃〜60℃からなる温度範囲において行うことができる。
【0025】
本発明の実施形態において、本発明による方法から得られるアゾ系顔料が提供され、顔料における第1級芳香族アミンの含有量は20ppm未満、好ましくは10ppm未満、より好ましくは1ppm未満である。
【0026】
本発明による顔料は、インクに対して0.1〜50質量%の範囲でインクに混合されることに適したものとすることができる。このようなインクは、限定はされないが、水系アクリル、ミネラルオフセットインキ(mineral offset)、野菜オフセットインキ(vegetable offset)、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、溶媒系ニトロセルロース、セルロースアセテート、又はUV硬化可能インクのうちの1つとすることができる。
【0027】
本発明による顔料は、基材への添加に適したものとすることができる。
【0028】
このような基材は、限定はされないが、クラフト紙(Kraft)/積層紙/ミートペーパー/再生セルロース/板等のセルロースタイプ、又は(L)LDPE/PP/セルロースアセテート/PET/PA/PVC/シリコーン/…等のプラスチック、又は特に不織布のうちの1つとすることができる。
【0029】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照して読んだときに、以下の記載から明らかとなるであろう。図面において、同様の参照数字は、複数の図面を通して対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
アゾイック顔料は、食品又は非食品上に覆われる包装材料用の色指数として使用される。アゾイック顔料は、顔料から製品に移動する性質を有する第1級芳香族アミンを含んでいるので、製品の消費者に対して害を及ぼす可能性がある。移動を抑制する多くの方法が開発されてきた;しかしながら、当該方法は費用が高くつくと共に、顔料の用途を制限する。したがって、本発明は、コストを節約し、環境にやさしく、時間を節約する、PAA移動のないアゾイック顔料を製造する方法を開示する。
【0032】
本発明は、
図1に示すような例示的実施形態による、アゾイック顔料を製造する方法100を開示する。アゾイック顔料の例には、限定はされないが、C.I.ピグメントイエロー(Pigment Yellow)1、C.I.ピグメントイエロー2、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー4、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー6、C.I.ピグメントイエロー9、C.I.ピグメントイエロー10、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー62:1、C.I.ピグメントイエロー63、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー75、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー87、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー105、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー127:1、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー130、C.I.ピグメントイエロー133、C.I.ピグメントイエロー134、C.I.ピグメントイエロー136、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー165、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー167、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー169、C.I.ピグメントイエロー170、C.I.ピグメントイエロー172、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー182、C.I.ピグメントイエロー183、C.I.ピグメントイエロー188、C.I.ピグメントイエロー190、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー191:1、C.I.ピグメントイエロー194、C.I.ピグメントイエロー198、C.I.ピグメントイエロー200、C.I.ピグメントイエロー203、C.I.ピグメントイエロー204、C.I.ピグメントイエロー205、C.I.ピグメントイエロー206、C.I.ピグメントイエロー213、C.I.ピグメントオレンジ(Pigment Orange)1、C.I.ピグメントオレンジ2、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ19、C.I.ピグメントオレンジ22、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ62、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ67、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ74、C.I.ピグメントオレンジ79、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red)266、C.I.ピグメントレッド267、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド273、C.I.ピグメントレッド274、C.I.ピグメントレッド276、C.I.ピグメントレッド277、C.I.ピグメントレッド278、C.I.ピグメントレッド280、C.I.ピグメントレッド281、C.I.ピグメントバイオレット(Pigment Violet)25、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット44、C.I.ピグメントバイオレット50、C.I.ピグメントブルー(Pigment Blue)25、C.I.ピグメントブラウン(Pigment Brown)1、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、又はC.I.ピグメントブラウン42が含まれる。
【0033】
図1に示すように、方法100は複数の工程を含む、しかしながら、以下に開示された方法工程の順序は、当業者が本発明を理解するための例示である。方法100は、アゾ系顔料のスラリーがインシトゥ処理によって得られる工程102で開始する。好ましくは、スラリーは、アゾ系顔料の合成、これに続く選択的な熱処理のプロセスによって得られる。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、スラリーは、50℃〜100°の温度範囲に加熱することができる。スラリーは、スラリー中に存在する残留PAA含有量を含む。
【0035】
顔料スラリーが得られた後、当該方法は、遊離PAAの誘導体化を行う工程104に進む。誘導体化工程104は、
図4に示されているように、スラリー中に存在する不必要な残留第1級芳香族アミンを、アミン官能基と誘導体化剤との化学反応によって無害の誘導体に変換する。いくつかの実施形態によれば、誘導体化は、所定量の誘導体化剤の添加を含む。さらに、誘導体化工程104は、所定時間、所定の温度範囲及び所定のpHレベルで行われる。
【0036】
本発明の実施形態において、遊離PAAの誘導体化は、0.01〜4時間の範囲の時間で、10〜99℃の温度範囲内で、4〜13の範囲のpH値で行われる。
【0037】
誘導体化剤製品群は、限定はされないが、アルデヒド、ケトン、ハロゲン化アシル、ハロゲン化スルホニル、有機酸無水物、エポキシド、エポキシワックス、イソシアネート、イソチオシアネート、(置換)アクリル酸及びそれらの対応エステル、(置換)アクリルアミド、(置換)不飽和アルデヒド、(置換)不飽和ケトン、(置換)エチレンスルホン酸、ハロアルカン、ラクトン、ラクタム、過酸化水素、有機過酸化物、亜硝酸ナトリウム、ホスゲン、塩化チオニル、カルボニルジイミダゾール、又はこれらのいずれかの組合せを含むことができる。好ましくは、塩化アシル、塩化スルホニル又はエチレンスルホン酸の塩が使用される。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、誘導体化剤の濃度は、スラリー合成後の容器中の第1級芳香族アミンの残留量に依存し、例えば、アゾイック顔料に対して誘導体化剤0.5〜20モル%である。誘導体化工程によって得られる誘導体の種々の例には、限定はされないが、シッフ塩基、アミド、スルホンアミド、エトキシレート化アミン、カルバメート、尿素誘導体、脱アミノ化アミン、タウリン誘導体、アザ−マイケル付加によるベータアミノ酸もしくはこれらの対応エステル、ベータアミノアミド、ベータアミノケトン、又はこれらのいずれかの誘導体の組合せが含まれる。例においては、合成から得られるアゾ系顔料スラリーの誘導体化は、激しく撹拌しながら、40℃で、28%苛性ソーダでスラリーをpH9にすることによって行われる。その後、1%塩化ベンゾイルをスラリーに添加し、顔料スラリーを40℃で1〜4時間撹拌する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、工程104でのスラリーのpHが遊離PAAの誘導体化に必要な所定のpH条件の範囲内にない場合、pHは誘導体化の前に調整される。したがって、pH調整工程が、最適な誘導体化条件を達成するために遊離PAAの誘導体化前に行うことができる。酸性化/塩基性化は、(F、Cl、Br、I)のハロゲンを有するハロゲン化水素、硫酸、亜硫酸、亜リン酸、リン酸、次亜リン酸、硝酸、スルファミン酸、カルボン酸、もしくはメタンスルホン酸等の有機スルホン酸の群から選択される酸、又は苛性ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、もしくは(重)炭酸ナトリウムの群から選択される塩基を添加することによって行われる。
【0039】
方法100は、顔料のカプセル化を行う工程106に進む。いくつかの実施形態によれば、カプセル化は、スラリー中の不純物を捕捉し、モノマーの適切な選択によりインシトゥ重合によって行うことができる。重合は、好ましくは、顔料粒子周りに均一なシェルを達成する、又は、均一なシェルが無い場合には、ネットを通じて不純物(PAA)を通さないほど十分に小さい穴を有するネットを達成する様々なポリマーストランドの合成を伴う。
【0040】
カプセル化工程は、10℃〜100℃、好ましくは30℃〜60℃の所定の温度範囲で、開始剤の存在下で、スラリーへのモノマー又はモノマーのセットの添加を含む。
【0041】
モノマーは、好ましくは、ビニル基、アクリレート基等の不飽和カルボキシ基、アクリルアミド基、メタクリレート基、不飽和ケトン、不飽和アルデヒド、不飽和スルホン基、オルガノシラン基、ハロシラン基、有機修飾シロキサン基、エポキシド基、ラクトン、ラクタム、又はこれらのいずれの組合せから選択することができる1つ又は複数の重合可能な官能基、又は二重層によるいずれかの被覆が得られる官能基を含む。
【0042】
モノマーのセットは、好ましくは、[A]限定はされないが、ハロゲン脱離基、有機酸、エステル、アシルハロゲン化物、有機酸無水物、ハロゲン化スルホニル、ニトリル、イソシアネート、イソチオシアネート、ケトン、アルデヒド、エポキシド、オルガノシラン、ハロシラン、有機修飾シロキサン、ラクトン、ラクタム、ビニル等の1つもしくは複数の官能基受容タイプの基を有する1つ又は複数のモノマー、及び[B]限定はされないが、アルコール、チオール、アミン等の1つもしくは複数の供与タイプの官能基の有する1つ又は複数のモノマー、又はこれらのいずれかの組合せ、又は二重層によるいずれかの被覆が得られるモノマーを備えることができる。
【0043】
開始剤は、例えば、過硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、遷移金属(例えばFe
2+)と化合した過酸化物、有機過酸化物(例えば過酸化ジベンゾイル)、アゾ(ビス)イソブチロニトリル、又は光開始剤(例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE819))とすることができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、
図4に示すように、二機能性剤を使用して、遊離PAAの誘導体化及びさらには顔料のカプセル化の両方を行うことができ、二機能性剤は、[A]第1級芳香族アミンのアミン官能性と反応するための1つ又は複数の官能基(例えば、上述の誘導体化剤と同様の官能性)、及び[B]限定はされないが、重合可能な官能基を有する上述のモノマー等の1つ又は複数の反応性モノマーを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、限定はされないが、ラクトン、ラクタム、又はエポキシド等の反応性官能基を含む誘導体化剤がモノマーでもあり、誘導体化剤と第1級芳香族アミンとの反応生成物が、それ自体で、過剰な誘導体化剤との自家重合を誘導することができるので、誘導体化及びカプセル化プロセス工程は同時に起きるであろう(
図4)。
【0046】
例において、カプセル化工程106は、誘導体化工程104後に、まず、スラリーを80℃に加熱し、続いて、10%ジプロピレングリコールジアクリレート(顔料に対する質量%)を添加することによって行われる。10%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を開始剤として添加し、続いて、80℃で2時間溶液を撹拌する。
【0047】
顔料のカプセル化は、アゾイック顔料の質量に対して、誘導体化工程104において添加される誘導体化剤の量よりも多い量のモノマーを必要とする。例えば、500nmの粒子周りの10nmの均質な閉じたシェルは、少なくとも12質量%の被覆を必要とする。顔料の密度は被覆の密度を規定する。
【0048】
顔料のカプセル化が行われた後、方法100は、選択的に、工程108で示されるようなスラリーの酸性化又は塩基性化を行う工程を含む。酸性化又は塩基性化は、それぞれ、スラリーへの酸又は塩基の添加を含む。酸の例には、限定はされないが、(F、Cl、Br、I)のハロゲンを有するハロゲン化水素、硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、硝酸、スルファミン酸、カルボン酸、限定はされないがメタンスルホン酸等の有機スルホン酸が含まれる。塩基の例には、限定はされないが、苛性ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、又は(重)炭酸ナトリウムが含まれる。
【0049】
酸性化は、微量の未反応アミンを除くために行われ、塩基性化は、微量の未反応カップリング剤を除くために行われる。例において、酸性化は、スラリーのpHが2未満であるときに行われ、塩基性化は、スラリーのpHが10〜12の範囲にあるときに行われる。
【0050】
工程110において、スラリーをろ過する。スラリーは、洗浄プロセスにさらに受け、これにより、工程112に示されるような顔料ペーストを形成する。洗浄プロセスは、水道水、浄化された川の水、RO水、脱イオン水又はこれらの組合せで行うことができる。洗浄水は、酸性、中性、又は苛性とすることができる。酸及び塩基の例は、酸性化/塩基性化工程108において使用されるものと同じである。酸又は塩基の濃度は、典型的には0.1〜10%、好ましくは0.2〜2%の範囲である。洗浄水は、5〜100℃の温度範囲を有することができる。ペーストは乾燥され、工程114において細かく砕いて粉末にされ、工程116に図示されるように、PAA移動のないカプセル化アゾイック顔料を提供する。
【0051】
次に、本発明による乾燥顔料は、インク調製においてさらに分散させることができる。このようなインクは、1m
2当たりインク0.1〜20gの添加量で基材に塗布することができる。
【0052】
したがって、誘導体化後のスラリー中における残留PAAが自家重合を誘導するか、又は顔料のカプセル化に使用されたモノマーもしくはモノマーセットとの化学親和性を示すので、誘導体化及びカプセル化は、相乗的に又は付加的に、顔料のPAA含有量を低減し、結果として、非常に低い残留PAA含有量を有する広範なアゾイック顔料が得られる。本明細書に開示された方法は、環境にやさしく、かつ上述の例に比べて低コストである。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明は、アゾイック顔料を製造する方法200を開示する。方法工程の調製メカニズムは、いくつかの工程を除いて、上記に記載の方法100の方法工程のメカニズムと同様とすることができる。
例えば、工程202、212、214、216及び218における、スラリー調製、遊離PAAの誘導体化、顔料のカプセル化、並びにろ過、乾燥及び粉砕を含む最終処理工程は、方法100の工程102〜116と同様である。しかしながら、方法200は、追加工程204、206、208及び210を行うことを含む。
【0054】
本発明の実施形態において、方法は、洗浄前に第1級芳香族アミンの残留量を十分に低くするために、工程204における選択的なスラリーの酸性化/塩基性化を行うことによってスラリーを後処理することを含むことができる。
【0055】
その後、後処理されたスラリーは工程206においてろ過され、続いて、工程208において洗浄され、顔料のペーストを作製する。方法は、顔料のリスラリー(reslurry)を調製する工程210へ進行する。顔料のリスラリーは、まず、所定の温度範囲で顔料ペーストにある量の溶媒を添加して分散体を形成することによって調製される。このようにして形成された分散体は、粒子サイズが平衡に達するまで撹拌される。
【0056】
例えば、後処理、ろ過及び洗浄後の顔料ペーストは、水(都市水道水、精製された川の水もしくはRO水、又は脱イオン水)中でリスラリー化される。他の溶媒も考慮することができる:例えば、グリコール系エステル(ダワノール(Dawanol)範囲参照)。好ましくは、脱イオン水を使用し、粒径分布が平衡に達するまで、10〜180℃、好ましくは15〜60℃、で高せん断分散システムを使用して、1〜20%乾燥含有量の顔料ペーストをリスラリー化する
【0057】
平衡状態における顔料ペーストの粒径は、<5μm、好ましくは<2μm、理想的には<1μmとすることができる。
【0058】
本発明の実施形態において、工程202における顔料スラリーの合成、これに続く選択的な熱処理、及び工程204における選択的な酸性化又は塩基性化を含む方法200を提供することができる。その後、スラリーは、方法100の工程110と同じ特徴及び要件で、工程206においてろ過され、工程208において洗浄される。洗浄された顔料ペーストは、工程210でリスラリー化され、続いて、工程212及び214において、それぞれ、遊離PAAの誘導体化及び顔料のカプセル化を行う。カプセル化後、工程216及び218において、それぞれ、カプセル化顔料をろ過及び洗浄し、乾燥し、並びに微細粉砕し、これにより、工程220において、PAA移動のないカプセル化されたアゾイック顔料を形成する。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、リスラリー化及び誘導体化/カプセル化によってアミンの残留量がごくわずかになるので、カプセル化又は誘導体化後の酸性化又は塩基性化は避けることができる。
【0060】
本発明のさらに別の実施形態によれば、アゾイック顔料を調製する方法300が開示される。各方法工程のメカニズムは、以下の工程を除いて、上述に記載された方法200の方法工程のメカニズムと同様とすることができる。例えば、工程302、306、314、312、310、308、316、及び318における、スラリー調製、遊離PAAの誘導体化、顔料のカプセル化、リスラリー調製、顔料ペーストの形成、並びにろ過、乾燥及び粉砕を含む最終処理工程は、それぞれ、方法200の工程202〜220と同様である。しかしながら、方法工程の配列は異なってもよい。方法300は、工程302におけるスラリーの合成、続いて、工程304における誘導体化を含む。
【0061】
遊離PAAの誘導体化後、未溶解の残留アミンが溶解されることを確実にするために、顔料スラリーは、工程306における選択的な酸性化又は塩基性化によって後処理することができ、その後、工程308においてスラリーをろ過することができる。工程310によって示されるように、スラリーは酸又は苛性温水で洗浄され、顔料ペーストを形成する。洗浄された顔料ペーストは、工程312においてリスラリー化され、続いて、工程314においてカプセル化される。その後、カプセル化された顔料は、工程316においてろ過される。
【0062】
最後に、顔料は、工程318において、洗浄、乾燥及び微細粉砕され、これにより、PAA移動のないカプセル化されたアゾイック顔料を形成する。
【0063】
本発明の好ましい実施形態及びその利点は、上記の詳細な説明において開示されているが、本発明は、それに限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみに限定される。当業者にとって容易に明らかであるように、本発明は、本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態において容易に実施することができる。したがって、本実施形態は、限定的なものではなく、単なる例示として考慮されるべきものであり、本発明の範囲は、前述の記載よりも特許請求の範囲によって示されており、したがって、特許請求の範囲に包含されることが意図されているすべての変更が範囲内にある。
【実施例】
【0064】
[実施例1(比較例)]
従来技術によって、3,3−ジクロロベンジジン二塩酸塩水和物50部から調製されたテトラゾタイズド(tetrazotized)3,3−ジクロロベンジジン(DCBと略される)の水溶液は、アセトアセチル−2,4−ジメチルアニリド60部及び苛性ソーダから調製されたカップリング剤の水溶液とpH4〜6.5で反応させ、アゾイック顔料スラリーが得られる。
スラリーの温度は80℃に調節する。スラリーを80℃で2時間撹拌し、ろ過する。ろ過された顔料ペーストをさらに洗浄、乾燥及び微細粉砕し、C.I.ピグメントイエロー13を提供する。
【0065】
[実施例2(方法100)]
従来技術によって、3,3−ジクロロベンジジン二塩酸塩水和物50部から調製されたテトラゾタイズド3,3−ジクロロベンジジンの水溶液は、アセトアセチル−2,4−ジメチルアニリド60部及び苛性ソーダから調製されたカップリング剤の水溶液とpH4〜6.5で反応させ、アゾイック顔料スラリーが得られる。
スラリーのpHは希釈水酸化ナトリウムでpH9に調整し、温度は40℃に調整する。塩化ベンゾイル1部をスラリーに添加し、スラリーを40℃で1時間撹拌する。
ジプロピレングリコールジアクリレート20部を顔料スラリーに添加し、続いて40℃で10%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液0.6部を添加する。40℃で1時間撹拌後、スラリーを80℃に加熱し、80℃でさらに2時間撹拌する。
得られたスラリーをろ過する。ろ過された顔料ペーストは、さらに洗浄、乾燥及び微細粉砕し、化学的に純粋なC.I.ピグメントイエロー13を提供する。
【0066】
[実施例3(方法200)]
3,3−ジクロロベンジジン二塩酸塩水和物50部及びアセトアセチル−2,4−ジメチルアニリド60部から上述の実施例1において調製されたような、合成後のC.I.ピグメントイエロー13の顔料スラリーを80℃に加熱し、80℃で2時間撹拌する。スラリーをろ過し、脱イオン水で洗浄する。
顔料ペーストは、粒径分布が平衡状態となり、平均粒径が少なくとも5μm未満となるまで、高せん断分散システムによって、40℃において、10%乾燥含有量を脱イオン水でリスラリー化する。
pHを希釈水酸化ナトリウムでpH9にし、続いて、スラリーに塩化ベンゾイル1部を添加する。スラリーを40℃で1時間撹拌する。
ジプロピレングリコールジアクリレート20部を顔料スラリーに添加し、続いて40℃で10%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液0.6部を添加する。40℃で1時間撹拌後、スラリーを80℃で加熱し、80℃でさらに2時間撹拌する。スラリーをろ過、洗浄、乾燥及び微細粉砕し、化学的に純粋なC.I.ピグメントイエロー13を提供する。
【0067】
[実施例4(方法300)]
3,3−ジクロロベンジジン二塩酸塩水和物50部及びアセトアセチル−2,4−ジメチルアニリド60部から上述の実施例1において調製されたような、合成後のC.I.ピグメントイエロー13の顔料スラリーは、希釈水酸化ナトリウムでpH9にし、温度は40℃に調整する。塩化ベンゾイル1部をスラリーに添加し、スラリーを40℃で1時間撹拌する。スラリーを80℃に加熱し、80℃で2時間撹拌する。スラリーをろ過し、脱イオン水で洗浄する。
顔料ペーストは、粒径分布が平衡状態となり、平均粒径が少なくとも5μm未満となるまで、高せん断分散システムによって、40℃において、10%乾燥含有量を脱イオン水でリスラリー化する。
ジプロピレングリコールジアクリレート20部を顔料スラリーに添加し、続いて40℃で10%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液0.6部を添加する。40℃で撹拌後、スラリーを80℃に加熱し、80℃でさらに2時間撹拌する。スラリーをろ過、洗浄、乾燥及び微細粉砕し、化学的に純粋なC.I.ピグメントイエロー13を提供する。
【0068】
[実施例5(方法200)]
3,3−ジクロロベンジジン二塩酸塩水和物50部及びアセトアセチル−2,4−ジメチルアニリド60部から上述の実施例1において調製されたような、合成後のC.I.ピグメントイエロー13の顔料スラリーを80℃に加熱し、80℃で2時間撹拌する。スラリーをろ過し、脱イオン水で洗浄する。
顔料ペーストは、粒径分布が平衡状態となり、平均粒径が少なくとも5μm未満となるまで、高せん断分散システムによって、60℃において、10%乾燥含有量を脱イオン水でリスラリー化する。
塩化ベンゾイル1部をスラリーに添加し、スラリーを60℃で1時間撹拌し、続いてpH5にpH調整する。20%臭化カリウム水溶液8.6部を顔料スラリーに添加し、続いて、60℃でビスフェノールAジグリシジルエーテル20部を滴下添加する。60℃で1時間撹拌後、スラリーを90℃に加熱し、90℃で1時間撹拌する。スラリーのpHを1.8にし、90℃でさらに1時間撹拌する。スラリーをろ過、洗浄、乾燥及び微細粉砕し、化学的に純粋なC.I.ピグメントイエロー13を提供する。
【0069】
[実施例6(方法200)]
3,3−ジクロロベンジジン二塩酸塩水和物50部及びアセトアセチル−2,4−ジメチルアニリド60部から上述の実施例1において調製されたような、合成後のC.I.ピグメントイエロー13の顔料スラリーを80℃に加熱し、80℃で2時間撹拌する。スラリーをろ過し、脱イオン水で洗浄する。
顔料ペーストは、粒径分布が平衡状態となり、平均粒径が少なくとも5μm未満となるまで、高せん断分散システムによって、40℃において、10%乾燥含有量を脱イオン水でリスラリー化する。
塩化ベンゾイル1部をスラリーに添加し、スラリーを40℃で1時間撹拌する。脂肪酸修飾ポリエステルヘキサアクリレート20部を顔料スラリーに添加し、続いて、40℃で10%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液0.6部を添加する。40℃で1時間撹拌後、スラリーを80℃に加熱し、80℃で1時間撹拌する。スラリーのpHを1.8にし、80℃でさらに1時間撹拌する。その後、スラリーをろ過、洗浄、乾燥及び微細粉砕し、化学的に純粋なC.I.ピグメントイエロー13を提供する。
【0070】
[実施例7(比較例)]
従来技術によって、テトラゾタイズド3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド(又はFast Red KD Base)を、3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド66.6部、濃塩酸87部及び亜硝酸ナトリウム12.3部から通常の方法で調製する。冷却されたジアゾニウム塩は、N−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキサミド49.7部、N−(4−クロロ−2,5−ジメトキシフェニル)−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキサミド6.3部、及び苛性ソーダから調製されたカップリング剤の水溶液とpH8〜9で反応させ、アゾイック顔料スラリーが得られる。
スラリーの温度を85℃に調節する。スラリーを85℃で3時間撹拌し、ろ過する。ろ過された顔料ペーストをさらに洗浄、乾燥及び微細粉砕し、C.I.ピグメントレッド184を提供する。
【0071】
[実施例8(方法200)]
上述の実施例7において調製されたような、ろ過及び洗浄後のC.I.ピグメントレッド184の顔料ペーストは、粒径分布が平衡状態となり、平均粒径が少なくとも5μm未満となるまで、高せん断分散システムによって、40℃において、10%乾燥含有量を脱イオン水でリスラリー化する。
pHを希釈水酸化ナトリウムでpH9にし、続いて、スラリーに塩化ベンゾイル1部を添加する。スラリーを40℃で1時間撹拌する。
ジプロピレングリコールジアクリレート20部を顔料スラリーに添加し、続いて、40℃で10%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液0.6部を添加する。40℃で1時間撹拌後、スラリーを80℃に加熱し、80℃でさらに2時間撹拌する。スラリーをろ過、洗浄、乾燥及び微細粉砕し、化学的に純粋なC.I.ピグメントレッド184を提供する。
【0072】
[実施例9(方法200)]
上述の実施例7において調製されたような、ろ過及び洗浄後のC.I.ピグメントレッド184の顔料ペーストは、粒径分布が平衡状態となり、平均粒径が少なくとも5μm未満となるまで、高せん断分散システムによって、40℃において、10%乾燥含有量を脱イオン水でリスラリー化する。塩化ベンゾイル1部をスラリーに添加し、スラリーを60℃で1時間撹拌し、続いて、pH5にpH調整する。20%臭化カリウム水溶液8.6部を顔料スラリーに添加し、続いて、60℃でビスフェノールAジグリシジルエーテル20部を滴下添加する。60℃で1時間撹拌後、スラリーを90℃に加熱し、90℃で1時間撹拌する。スラリーのpHを1.8にし、90℃でさらに1時間撹拌する。スラリーをろ過、洗浄、乾燥及び微細粉砕し、化学的に純粋なC.I.ピグメントレッド184を提供する。
【0073】
[実施例10(方法200)]
上述の実施例7において調製されたような、ろ過及び洗浄後のC.I.ピグメントレッド184の顔料ペーストは、粒径分布が平衡状態となり、平均粒径が少なくとも5μm未満となるまで、高せん断分散システムによって、40℃において、10%乾燥含有量を脱イオン水でリスラリー化する。
塩化ベンゾイル1部をスラリーに添加し、スラリーを40℃で1時間撹拌する。脂肪酸修飾ポリエステルヘキサアクリレート20部を顔料スラリーに添加し、続いて、40℃で10%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液0.6部を添加する。40℃で1時間撹拌後、スラリーを80℃に加熱し、80℃で1時間撹拌する。スラリーのpHを1.8にし、80℃でさらに1時間撹拌する。その後、スラリーをろ過、洗浄、乾燥及び微細粉砕し、化学的に純粋なC.I.ピグメントレッド184を提供する。
【0074】
[実施例11:水系インクにおける顔料の基準方法(control method)]
液体フレキソアクリルインク(flexo-acrylic ink)を以下の組成により調製する:
ジョンクリル(Joncryl)8078: 66%±0.01%
イソプロパノール: 12%±0.01%
水道水: 20%±0.01%
プロピレングリコール: 1%±0.01%
APMMEA: 1%±0.01%
【0075】
フレキソアクリルインクのpHを濃アンモニア水溶液でpH9〜9.2に調整する。上記実施例により調製された各顔料について、以下の表に従い、2つのインクを調製する(サンプル及び基準)。
【0076】
【0077】
調製されたインクは、スキャンデックス(skandex)型分散装置で60分間すりつぶす。例は、バーコーターn°2を使用してクロメコテ(Kromekote)型紙に12μmのウェットフィルム厚で調製する。得られた例は、測定角10°及びCIELa
*b
*色特性ΔE−ΔL−ΔC−ΔH用の標準光源D65を使用する分光光度計を用いて色評価する。
【0078】
表1は、上述のサンプルC.I.ピグメントイエロー13の色特性をまとめてある
−基準:マスタースタンダードカペルディアセタニルイエロー(master standard Cappelle Diacetanil Yellow)GR 1318C。
【0079】
【表1】
【0080】
表2は、上述のサンプルC.I.ピグメントレッド184の色特性をまとめてある
−基準:マスタースタンダードカペルナフトールカルミン(master standard Cappelle Naphtol Carmine)6B 8438C。
【0081】
【表2】
【0082】
[実施例12:顔料における残留遊離アミン定量化]
顔料約50mgをガラスフラスコに0.1mgの精度で秤量する。20±0.2gのガラスビーズを添加し、続いて、LC/MSグレードMeOH50mLを添加する。フラスコは、スキャンデックス(skandex)型分散装置で1時間振盪する。抽出物の一部を0.2μmのシリンジフィルターでろ過する。ろ過された抽出物をMQ水中の100mMギ酸アンモニウムバッファで10倍に希釈する。分析は、好ましくは、総流量0.42mL/分のMilli−Q型水及びLC−MSグレードメタノールからなる移動相グラジエント(mobile phase gradient)を使用してBEHカラム(長さ=50mm、直径2.1mm)におけるUPLC/MS−MSによって行う。
【0083】
表3は、上記サンプルにおいて合成されたC.I.ピグメントイエロー13における残留遊離芳香族アミンをまとめてある。
【0084】
【表3】
【0085】
表4は、上記サンプルにおいて合成されたC.I.ピグメントレッド PR184における残留遊離芳香族アミンをまとめてある。
【0086】
【表4】