(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シミュレートされる地震の複数のシナリオについての前記第1の損害および前記第2の損害を、前記機械学習モデルを用いて再計算する工程であって、各シナリオはシミュレートされる震動データを含む、工程と、
前記複数のシナリオから前記第1の損害および前記第2の損害を集約して、前記改装措置からの予想便益を識別する工程と
をさらに含む請求項1に記載の方法。
各特徴についての前記現脆弱性関数が、地震によって引き起こされる構造物が受ける震動に基づいて、前記建築物の前記特徴が該地震後に損害を受ける確率を表現する請求項1に記載の方法。
前記新しい脆弱性関数の平均が前記改装措置に基づき、前記新しい脆弱性関数が、前記現脆弱性関数よりも低い、前記シミュレートされる地震によって引き起こされる損害の確率を予測する請求項1に記載の方法。
前記機械学習モデルに用いられる前記特徴が建築環境特徴、自然環境特徴、または瞬間ライン特徴に分類され、前記建築環境特徴が、構造物位置、前記構造物が建築された年、前記構造物の階数、および前記構造物の建築物材料を含む請求項1に記載の方法。
各特徴についての前記現脆弱性関数が、地震によって引き起こされる構造物が受ける震動に基づいて、前記建築物の前記特徴が該地震後に損害を受ける確率を表現する請求項9に記載のシステム。
前記機械学習モデルに用いられる前記特徴が建築環境特徴、自然環境特徴、または瞬間ライン特徴に分類され、前記建築環境特徴が、構造物位置、前記構造物が建築された年、前記構造物の階数、および前記構造物の建築物材料を含む請求項9に記載のシステム。
各特徴についての前記現脆弱性関数が、地震によって引き起こされる構造物が受ける震動に基づいて、前記建築物の前記特徴が該地震後に損害を受ける確率を表現する請求項14に記載の機械可読記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、火災、地震、水、風などの現象によって引き起こされる構造的損害を予測するのに適したネットワーク環境を示す、いくつかの例示的実施形態によるネットワーク図である。ネットワーク環境100は、ネットワーク190を介してすべて互いに通信可能に結合された、サーバ・マシン110、データベース115、ならびにデバイス130および150を含む。サーバ・マシン110は、ネットワーク・ベースのシステム105(例えば、デバイス130および150に1つまたは複数のサービスを提供するように構成されたクラウド・ベースのサーバ・システム)のすべてまたは一部を形成することができる。サーバ・マシン110ならびにデバイス130および150はそれぞれ、全体的または部分的に、
図26を参照しながら以下で説明されるようなコンピュータ・システムで実装することができる。サーバ・マシン110は、ユーザ・デバイス150から受け取ったデータを操作して、データベース115による使用のために、データを使用可能にし、またはデータをフォーマットするアルゴリズムを含むことができる。
【0017】
図1には、関連するユーザ・デバイス130、150内に、例えば地震損害データを入力することのできる2人の例示的ユーザ132および152も示されている。例えば、デバイス130は、ユーザ132に属するデスクトップ・コンピュータ、車両コンピュータ、タブレット・コンピュータ、ナビゲーション・デバイス、ポータブル・メディア・デバイス、スマートフォン、またはウェアラブル・デバイス(例えば、スマート・ウォッチまたはスマート・グラス)でよい。ユーザ・デバイス130、150は、本明細書で示されるGUIのうちの1つまたは複数を生成することができる。データベース115は、地震、洪水、火災損害、風などの現象に関する履歴データを含むことができ、建築環境データおよび自然環境データを含む。
【0018】
図1に示されるマシン、データベース、またはデバイスのいずれも、そのマシン、データベース、またはデバイスについての本明細書で説明される機能のうちの1つまたは複数を実施するための専用コンピュータとなるようにソフトウェア(例えば、1つまたは複数のソフトウェア・モジュール)によって修正された(例えば、構成またはプログラムされた)汎用コンピュータで実装することができる。例えば、本明細書で説明される方法のうちの任意の1つまたは複数を実装することのできるコンピュータ・システムが、
図26を参照しながら以下で論じられる。本明細書では、「データベース」はデータ記憶リソースであり、テキスト・ファイル、テーブル、スプレッドシート、リレーショナル・データベース(例えば、オブジェクト・リレーショナル・データベース)、非リレーショナル・データベース、トリプル・ストア、階層データ・ストア、またはそれらの任意の適切な組合せとして構築されたデータを記憶することができる。さらに、
図1に示されるマシン、データベース、またはデバイスのうちの任意の2つ以上を単一のマシンとして組み合わせることができ、任意の単一のマシン、データベース、またはデバイスについての本明細書で説明される機能を、複数のマシン、データベース、またはデバイスの間で細分することができる。
【0019】
ネットワーク190は、マシン、データベース、およびデバイス(例えば、サーバ・マシン110とデバイス130)の間の通信を可能にする任意のネットワークでよい。したがって、ネットワーク190は、ワイヤード・ネットワーク、ワイヤレス・ネットワーク(例えば、モバイルまたはセルラ・ネットワーク)、またはそれらの任意の適切な組合せでよい。ネットワーク190は、プライベート・ネットワーク、公衆ネットワーク(例えば、インターネット)、またはそれらの任意の適切な組合せを構成する1つまたは複数の部分を含むことができる。したがって、ネットワーク190は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、携帯電話ネットワーク(例えば、セルラ・ネットワーク)、ワイヤード電話ネットワーク(例えば、簡易電話システム(POTS)ネットワーク)、ワイヤレス・データ・ネットワーク(例えば、Wi−FiネットワークまたはWiMAXネットワーク)、またはそれらの任意の適切な組合せを組み込む1つまたは複数の部分を含むことができる。ネットワーク190のうちの任意の1つまたは複数の部分は、伝送媒体を介して情報を通信することができる。本明細書では、「伝送媒体」とは、マシンによる(例えば、そのようなマシンの1つまたは複数のプロセッサによる)実行のための命令を通信する(例えば、送信する)ことのできる任意の無形(例えば、一時的)媒体を指し、そのようなソフトウェアの通信を可能にするデジタルもしくはアナログ通信信号または他の無形媒体を含む。
【0020】
図2A〜2Bは、米国政府の科学機関である米国地質調査所(USGS)のウェブサイト内で与えられる、選択された「Did You Feel It」(DYFI)質問の例示的グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)のスクリーンショト202および204の例示的実施形態を示す。
【0021】
地震などの自然災害の後、緊急対応センタが多数の911呼出しを受ける。例えば、マグニチュード6.0のナパ地震では、数千の911呼出しが受けられ、対応チームがそれらのすべての呼出しに対処するのに数日かかった。これらの呼出しは、先着順に優先順位付けされる。しかしながら、呼出しのうちの一部は、助けを求めるものではなく、単に地震について当局に通知するために行われたものであった。さらに、最も損害を受けたエリアは機能する電話網を有さなかったので、呼出しの大部分は、ナパ自体からではなく、近隣エリアから来たものであった。緊急マネージャの仕事の一部は、例えば、管轄区域の対応する機関が連邦緊急管理機関(FEMA)援助または大統領宣言の権限がある場合、管轄区域が宣言しているか否かを把握することである。ある緊急マネージャは、通常は低速運転車で自分の管轄区域を巡回し、紙の地図およびバインダを使用して損害を手書きする、風防ツアーと呼ばれる技法を用いる。特定の管轄区域が宣言しているかどうかを把握するのに、緊急マネージャは数週かかることがある。さらに、風防ツアーの精度はかなり低く、例えばナパ2014年地震では、どのエリアが宣言しているかを判断するのに緊急マネージャは90日かかり、いくつかのエリアが見過ごされた。
【0022】
緊急対応チームは、必要のある人々を助けることを目的とするが、自然災害後の対応を優先順位付けすることは難しい。本明細書で提示される実施形態は、損害が最大であったのはどこかを推定し、使いやすいインターフェース・ツールを提供して、救援を優先順位付けすべきなのはどこかを示すことによって、緊急対策センタ(EOC)、対応チーム(例えば、消防署)、災害計画機構、コミュニティ・リーダ、他の政府機関、会社現地マネージャなどに貴重なツールを提供する。
【0023】
地震損害を推定するために使用することのできる多くのタイプのデータがある。データの1タイプは、地震後の人々の印象である。米国地質調査所(USGS)のウェブサイトは、回答者が地震の間に何を感じ、見たかをレポートする、「Did You Feel It?」(DYFI)と呼ばれるオンライン地震後調査フォームを有する。
【0024】
例えば、
図2Aのスクリーンショト202は、地震をどれほど強く感じたか、地震がどれほど続いたか、回答者はどのように反応したかなどの、地震に関するいくつかの簡単な質問を回答者に尋ねるユーザ・インターフェースである。
図2Bのスクリーンショト204は、可能性のある損害事象のリストを、各事象の隣のチェックボックスと共に回答者に提示する。次いで回答者は、損害が加えられた、壁に細い亀裂がある、天井タイルまたは照明固定具が落ちた、煙突に亀裂があるなどの、地震に関連する事象を選択することができる。
【0025】
USGSは、デューイ手順およびデングラ手順を使用して各調査回答についてのコミュニティ10進強度(CDI:Community Decimal Intensitis)値を計算し、データを集約し、最終的に、各郵便番号または他の地理的関心領域についての集約CDI値をレポートする。コミュニティ10進強度(CDI)は個々の観測ではなく、エリアにわたる地震の影響の尺度である。
【0026】
例示的実施形態では、各回答について計算されるCDI値は、機械学習のための分類と見なされる。CDI値は、災害後検査レポート(例えば、赤、黄、および緑タギング・データ)、上空または衛星画像などを含む他の損害指標によって補強することができる。例示的実施形態では、解析の範囲は、都市ブロック、または単一家族住居、または商業建築物、または特殊建築物(例えば、病院、消防署)に対する損害を推定することに制限することができる。例示的実施形態は、地震エンジニアリングの知識が限られた個々の住居所有者が、地震ハザード・レベルの範囲にわたって損害状態を判定し、各ハザード・レベルから予想損失を計算することを可能にすることができる。さらに、家計計画に関する、情報に基づく決定を行なうのに有用であることがある、予想年間損失を求めることができる。単一住居についての損害推定は、例えば緊急対応者および都市計画者用の計画ツールとして使用するために、コミュニティまたはブロック・レベルで集約することができる。政策決定者は、本明細書で提示される構造的損害を推定するために使用される確率ベースのリスク方法に基づいて、計画および政策決定を行なうために、より良好に情報を受けることができる。
【0027】
国勢調査ブロックは、100パーセント・データ(家屋のサンプルではなく、すべての家屋から収集されたデータ)の作表のために米国国勢調査局によって使用される最小の地理的単位である。国勢調査ブロックは、通常は街路、道路、または小川によって境界が定められる。都市では、国勢調査ブロックは、都市ブロックに対応することがあるが、道路が少ない地方エリアでは、ブロックが他の特徴によって限定されることがある。国勢調査ブロックの人口は大きく変動する。2010年現在の国勢調査では、4,871,270ブロックが、報告された人口が0であったが、大型アパートメントによって全体的に占められるブロックは数百人の居住者を有することがある。国勢調査ブロックはブロック・グループにグループ化され、ブロック・グループは国勢調査地域にグループ化される。
【0028】
例示的1実施形態では、本明細書ではブロックとも呼ばれる都市ブロックが、国勢調査ブロックによって定義され、他の例示的実施形態は、国勢調査ブロック・グループや国勢調査地域などの異なるエリアとして都市ブロックを定義することができる。
【0029】
一般には、ブロックは、地理的エリアによって境界を画された連続的領域であり、各ブロックは、同一のサイズまたは異なるサイズを有することができる。例えば、ブロックは、サイズが1エーカー(4046.86m
2)から10エーカー(40468.6m
2)に及ぶことがあるが、他のエーカー数を使用することもできる。高人口密度エリアでは、ブロックは1/2エーカー(2023.43m
2)の小ささでよいが、より人口の少ないエリアでは、ブロックは100エーカー(404686m
2)以上を含むことができる。ブロックは0以上の構造物を含むことができる。
【0030】
いくつかの例示的実施形態では、定義を簡略化するために、地図上のグリッドによってブロックを定義することができ、グリッドの各正方形または長方形がブロックである。建築物が複数のブロック内に位置する場合、建築物は、建築物の最大の部分を有するブロック内にあると見なされる。他の例示的実施形態では、アプリケーション開発者により、地理的エリアを複数のブロックに分割することによってブロックが定義される。
【0031】
さらに、例えば、地震の直後に、コミュニティ内の災害対応センタが、損害の範囲および深刻さについての推定を調べ、そのコミュニティ内の住居(または任意の他の物理的構造物)がどれほど影響を受けるかを判定し、その後で、推定に基づいて対応作業および回復作業を調整することができる。
【0032】
太平洋地震エンジニアリング研究(PEER:Pacific Earthquake Engineering Research)センタによって開発された性能ベースの地震エンジニアリング(PBEE)方法は、地震による構造物の性能評価および後続の損害および損失推定に対する論理的で段階的な手法に従う。フレームワークは厳格で確率的であり、地震学、構造エンジニアリング、損失モデリング、リスク管理などの規律からの入力を利用して、最終的に地震結果のデータを生成する。
【0033】
例示的実施形態では、過去のカリフォルニア地震についてのDYFIデータがアクセスされて、損害推定アルゴリズムがトレーニングされる。DYFIデータは、50個の地震事象からの少なくとも1,000個の回答を有し、より最近の事象、高人口密度エリアを中心とする事象、およびより大きいマグニチュードの事象への偏りを有する、事象からの情報を含む。供給されるデータは、マグニチュード3.4(サンフランシスコ湾エリア、2011年4月)から7.2(バハ、2010年4月)に及ぶ。しかしながら、DYFIデータは、使用することのできるデータの1例に過ぎず、任意の他の地理的エリアまたはソースからのデータを使用して、解析することもできることを理解されたい。別のソース・データは、地震エンジニアリング研究所によって維持される地震クリアリングハウス、または赤、黄、および緑タギング・データを含む他のリポジトリでよい。
【0034】
DYFIデータセットから収集された特徴は、家屋位置、損害状態(CDI)、および住居損害の説明を含む。別のデータ源はUSGSであり、USGSは、地震マグニチュード、震動の持続時間、震央位置、スペクトル加速度(例えば、震動マップ)、土壌タイプ、高度、および様々な再来期間でのスペクトル加速度を含むデータを提供する。別のデータ源は米国国勢調査であり、米国国勢調査は、家屋サイズ、家屋年数、家屋価格などの特徴についてのデータを提供する。
【0035】
さらに、2つ以上の情報を組み合わせ、または計算することによって、他のタイプのデータから特徴を導出することができる。例えば、導出される特徴には、5つの異なる損害状態を入力する確率(FEMA技術マニュアルからのHazus)、スペクトル変位、および煙突亀裂の確率が含まれる。
【0036】
Vs30は土壌条件を記述するパラメータであることに留意されたい。コンピューティング・デバイスを使用して地動パラメータSdを以下のように計算することができる。
【0037】
【数1】
上式で、Saは、地震の地動強度パラメータであるスペクトル加速度であり、Tは推測構造周期(例えば、0.35秒または0.4秒、しかし他の値も可能である)である。推測構造周期は、建築物構造のサイズ(例えば、住居)に応じてHazusガイドラインから求めることができる。
【0038】
図3は、いくつかの例示的実施形態による煙突脆弱性関数300を示す。本明細書では脆弱性曲線とも呼ばれる脆弱性関数は、何らかの望ましくない事象が発生する(例えば、資産−施設または構成要素−が何らかの明確に定義された限界状態に達し、またはそれを超過する)確率を、環境励起の何らかの尺度(通常は、地震、ハリケーン、または他の極度の負荷条件での加速度、変形、または力の尺度)の関数として表現する数学関数である。脆弱性関数は、望ましくない限界状態に抵抗するための資産の能力の累積分布関数を表す。
【0039】
例えば、建築物に関連する特徴(例えば、煙突、基礎、構造物の完全性、窓など)についての脆弱性関数は、地震によって引き起こされる建築物の震動に基づいて、地震後に特徴が損害を受ける確率を表現する。
【0040】
脆弱性曲線は、構造タイプ(建築材料)、サイズ、地震帯、使用される地震設計コード(これは構造物の位置および年数の関数である)などの多くのパラメータに依存する。いくつかの例示的実施形態では、損害は、N(なし)、S(軽度)、M(中程度)、E(大規模)、およびC(完全)と分類することができる。例示的実施形態では、P(損害なし)およびP(軽度の損害)が、記憶された脆弱性パラメータと共にSdを入力として使用することができる。Hazus脆弱性曲線パラメータを使用して(例えば、Hazus技術マニュアルを使用して)、5つの損害状態のそれぞれについて損害なしの確率を計算することができる。1つまたは複数のコンピューティング・デバイスを使用して、構造的、非構造的ドリフト感応性、および非構造的加速度感応性構成要素についての可能性のある損害状態を別々に計算することができる。
【0041】
脆弱性関数はしばしば2次元プロットとして表されるが、3次元以上を使用して脆弱性関数を作成することもでき、そのケースでは、2つ以上の特徴の効果が組み合わされ、損害状態が評価されることに留意されたい。さらに、脆弱性関数は静的ではなく、経時的に変化することがある。自然環境条件変化(例えば、地下水面および気候)、人工条件変化(例えば、構造的改装および新しい建築)により、より正確な損害予測を可能にするために経時的に脆弱性関数を修正することが必要とされることがある。所与の構造物が以前の地震のために受けた可能性のある損傷に基づいて、その所与の構造物についての脆弱性関数が変更されることもある。次いで、修正後の脆弱性関数を使用して、余震中の構造的損害を推定することができ、その結果、未修正の脆弱性関数からの予測よりも正確な損害予測が得られる。
【0042】
上記で論じたように、DYFIデータは、壁、煙突などに対する観測された損害についての情報を含むことができる。煙突亀裂の確率は、DYFI回答を、何らかのタイプの煙突損害がレポートされたか否かという2つのカテゴリにソートすることによって計算することができる。次いで、独立変数が例えば0.3秒の構造周期でのスペクトル加速度Saとなり、従属変数が煙突亀裂Pccの確率となるように、S字形脆弱性関数をロジスティック回帰を通じてフィットすることができる。いくつかの例示的実装では、S字形関数は累積対数正規関数によって近似される。
【0043】
脆弱性関数300は例示的煙突脆弱性曲線である。例示的実施形態では、確率1は、煙突損害に至らせた可能性のあるSa値に対応する。S字形曲線である例示的煙突脆弱性曲線はかなり急勾配であり、スペクトル加速度の値の上昇に対して、損害なしから何らかの損害にかなり急激に遷移することを示す。
【0044】
以下の式を用いて例示的経験的脆弱性曲線を導出することができる。
【0045】
【数2】
上式で、Pccは、スペクトル加速度を仮定して、構造物の煙突に亀裂が生じる確率の脆弱性推定であり、Saは地動強度パラメータであり、Erfは対数正規分布の付加誤差関数であり、μは平均であり、σは変数の自然対数の標準偏差である。この例では、μは3.07であり、σは0.5である。
【0046】
図4は、いくつかの例示的実施形態による、都市ブロック404ごとのブロック損害指数(BDI)を示す。震央緯度、経度、およびマグニチュードなどの基本地震情報を入力した後(これは自動化ステップでよい)、ウェブ・アプリケーションは地図を生成することができ、1例では、地図のそれぞれは、近隣エリア(例えば、震央から100km)の予測損害状態分布をそれぞれ与えることができる。
【0047】
地震エンジニアリング問題の非常に不確定な性質にも関わらず、PBEEフレームワークを機械学習で補強する結果、受け入れられる損害予測の精度が得られる。例示的実施形態では、SVMは、少なくとももっともらしい損害の表現を与える。実際に、このことは、コミュニティ全体の損害を推定するときに、機械学習がDYFIデータを待機することに取って代わることができることを意味する。さらに、この手法は、いくつかの実施形態では、コミュニティ全体の損害評価の地理的ギャップを埋めることができ、ほぼ即時の、かなり正確な結果を与える。任意のタイプの自然災害の直後の状況認識を向上させることができ、この手法に従って、コミュニティ・レベルで対応機器および人員のリソース割振りをより効率的にすることができる。本明細書で説明するいくつかの例示的実施形態はカリフォルニアを参照するが、本明細書で説明する方法およびシステムを任意の地理的エリアに適用できることに留意されたい。
【0048】
例示的実施形態では、包括的ハウジング・データが損害状態推定を改善することができる。さらに、本明細書で説明する方法は、構造物の現地震ヘルス、建築材料のタイプ、および横方向抵抗システムを考慮に入れて、任意のタイプの構造物の解析に適用することができる。例示的実施形態は、ビジネス、中層などを含む、コミュニティについてのより良好な損害解析を可能にすることができ、それによって損失のより正確な推定を与える。しかしながら、本明細書で説明する方法およびシステムを、火災損害、洪水損害、風損害などを予測することにも適用できることを理解されたい。
【0049】
損害状態を入力特徴に関係付ける(パラメトリック学習技法から抽出される)経験式が、いくつかの例示的実施形態で使用される。例示的実施形態では、より高いCDI値についてのデータを得るためにモンテカルロ法が使用される。利用可能なトレーニング・データがほとんどないからである。いくつかの環境では、必ずしも類似のシナリオではない、世界の他の部分での大きい事象(例えば、2010年の日本の東北)の震動強度値が、転移学習技法を使用して適用されて、他の領域に外挿される。転移学習技法を使用すると、深刻な大災害についての損害状態の予測が向上する。
【0050】
以下でより詳細に論じるように、アルゴリズムが地震後の損害を推定するとき、いくつかの例示的実装では、損害の推定が地図において都市ブロック404ごとに与えられる。
図4の例示的実施形態では、地図は都市ブロック404ごとの損害推定402を示し、損害が都市ブロック404の陰影(または色)によって表される。「損害推定」および「損害予測」という用語は、本明細書では機械学習アルゴリズムの出力を表すために用いられ、その違いは、「損害推定」が既に生じた事象(例えば、新しい地震)を指し、「損害予測」がまだ生じていない事象(例えば、マシン・シミュレートされる地震の効果)を指すことであるが、「予測」という用語は、地震後の損害を推定するのに用いられることがあることに留意されたい。損害データがまだ利用可能ではないからである。
【0051】
一般には、地震からの観測される損害状態に大きな変動が予想されることがある。例示的実施形態では、
図4に示されるように、損害は4つの損害状態に分類され、各損害状態には、CDIラベルの代わりにブロック損害指数(BDI)ラベル406が与えられる。所望の精度のレベルに応じて、分類の数およびスケーリング・システムは変化することがあるが、一般には、4つの損害状態のそれぞれの排他性および区別可能性に基づく妥当な手法がある。例示的1実装では、BDIラベル406は以下のように定義される。
【0052】
CDI≦4についてBDI=0、
CDI≦7についてBDI=1、
7<CDI≦9についてBDI=2、
9<CDIについてBDI=3
例示的1実装では、各BDIには、ユーザ・インターフェースのための色が割り当てられ、0が緑であり、1が黄であり、2がオレンジであり、3が赤であるが、他のカラー・マッピングも可能である。各都市ブロック404について、BDIは、その特定の都市ブロック404内の典型的建築物の最も可能性の高い損害指数を表す。例示的1実施形態では、典型的建築物は、都市ブロック404内の建築物についてのデータを平均することによって計算される。
【0053】
いくつかの例示的実施形態では、地震後の短い時間量で(例えば15分)、損害推定402が都市ブロック404ごとに与えられる。これらの推定402をEOCによって使用して、救援行動を優先順位付けすることができる。他の解決策では、EOCは911呼出しのヒート・マップを利用するが、最も損害を受けたエリアは電話サービスを有さないので、このことは判断を誤らせることがある。
【0054】
いくつかの例示的実施形態では、都市ブロック404についてのBDI 3は、ブロック内のすべての建築物が損害指数3を有することを意味するわけではない。様々な建築者が様々な構造物、年数などを有することがあり、したがって完全に都市が崩壊することはまれである可能性がある。例えば、ブロック内の建築物の少なくとも10%が損害指数3を有するときなど、ブロック内の少なくとも所定の割合の建築物が損害指数3を有するとき、都市ブロックはBDI 3を有すると言われる。割合しきい値を調節することができ、1パーセントから50パーセントまたは何らかの他のより大きい値の間で変動することがある。
【0055】
1つのビューでは、オペレータは割合しきい値を変更することができる。例えば、オペレータが損害指数3の少なくとも1つの建築物を有するすべての都市ブロック404を見たい場合、0.01%などの非常に小さい数までしきい値を下げることができる。
【0056】
図5は、例示的1実施形態による、実際のDYFIデータ502を、2014年8月(ナパ)地震のRF504、NN506、およびSVM508 BDI損害予測結果と比較するグラフィカル表現を示す。機械学習は、明示的にプログラムすることなくコンピュータに学習する能力を与える研究分野である。機械学習は、データから学習し、データに対する予測を行なうことのできるアルゴリズムの研究および構築を調査する。そのような機械学習アルゴリズムは、出力として表現されるデータ・ドリブン予測または決定を行なうために、例示的入力からモデルを構築することによって動作する。例示的実施形態はいくつかの機械学習アルゴリズムに関して提示されるが、本明細書で提示される原理を他の機械学習アルゴリズムに適用することができる。
【0057】
いくつかの例示的実施形態では、様々な機械学習アルゴリズムを使用することができる。例えば、損害を推定するためにランダム・フォレスト(RF)、ニューラル・ネットワーク(NN)、サポート・ベクトル・マシン(SVM)アルゴリズムを使用することができる。機械学習アルゴリズムの使用に関するより詳しい詳細が、
図9から15を参照しながら以下で与えられる。いくつかの例示的実施形態では、アンサンブル法を利用することができ、アンサンブル法は、損害を予測するために特徴をより良好に利用する目的で、複数の機械学習アルゴリズムを並列または順次に利用する方法である。
【0058】
RFは、予測力が相対的に低くなることを犠牲にして、近隣の地点の損害状態の変動などのアウトライアを処理する際に堅固である。さらに、RFは、無関係なデータを無視することに優れていることがある。SVMは、その高い精度潜在性および上書きに対する理論的保証のために考慮することができる。NNは、損害をアルゴリズム特徴と関係付ける式を生成するので考慮することができる。次いでこの式を使用して、損害と特徴との間の経験的関係を得ることができる。
【0059】
RF、SVM、およびNNアルゴリズムを実装した後、1つの例示的地震についての損害予測を実際のDYFIデータと比較した。
図5は、2014年8月(ナパ)地震についての、実際のDYFIデータ502と、RF504、NN506、およびSVM508によって与えられた推定とのグラフィカル比較を示す。損害状態の分布は、実際のDYFIデータ502分布と良く似ている。さらに、アルゴリズムは堅固に見え、アルゴリズムは、DYFI回答が記録されなかった領域についての損害状態を計算した。このことは、接続性の欠如のためにコミュニティが地震後に迅速にDYFIにアクセスすることができないエリア、または著しい損害が地震によって引き起こされるエリアで役立つことがある。下の2つの損害状態の間の境界は、オーバーフィッティングに対するSVMの抵抗のために、SVM508ではRF504よりもずっと改善されることに留意されたい。したがって、SVMは、この例示的地震では良好な機械学習モデルであると見なされた。
【0060】
損害および損失の全般的範囲は、同一の損害状態内でかなり類似していると想定することは妥当であることがある。PBEE手法で類似の仮定を行なうことができ、構造物が同程度の改装措置を受ける場合、構造物は同一の損害状態にあると言われる。SVMについての例示的調整パラメータである、C(ペナルティ)およびg(マージン)も求めることができる。
【0061】
図6は、最近隣関数を使用して複数のソースから同一の位置にデータを集約するための例示的実施形態を示す。例示的実施形態では、下位レベルCDIから中間レベルCDI(例えば、8未満)へのデータのひずみ/偏りをなくすために、データ前処理の最終ステージが実施される。各損害状態に関するほぼ等しい数のデータ点が、将来の予測において学習をより生産的かつ効果的にすることができる。上位CDI(例えば、8超)についてのデータ点の量を増大させるために、モンテカルロ・シミュレーションを使用することができる。次いで、データをランダムすることができ、例えば0から1の間に特徴をスケーリングすることができる。このスケーリングは、アルゴリズムが各特徴を迅速に処理し、ひずみのあるデータセットの可能性を回避することを可能にすることができる。いくつかの例示的実施形態では、「in−poly」関数が使用されて、ブロックが不規則な形状を有するときは特に、境界、例えば地震帯または都市ブロック内の特徴が地理的に関連付けられる。
【0062】
例示的実施形態では、前処理段階の最後に、CDIの範囲全体にわたる最も正確なデータだけが残ることができる。例示的実施形態では、この残りのデータは、トレーニング・データセットを定義または形成することができる。
図6の地図はエリアの衛星地図であり、正方形エリアに細分される。オペレータが地
図604にズームインする場合、CDI対応センタの位置、特定の住居の位置、またはShakeMapステーションなどの追加の注目点が識別される。
【0063】
図7は、いくつかの例示的実施形態による、予備データセットについての交差検証輪郭プロットを示す。いくつかの交差検証輪郭プロットが、モデルを調整する1例として作成された。トレーニング・セットが固定され、アルゴリズムのシーケンスが選ばれた後に、次の地震の後の損害を予測するためにモデルが使用されるとき、データをオーバーフィッティングまたはアンダーフィッティングすることを防止するために調整が行われた。例示的プロットでは、最良の精度は約70.92%であり、C=5.8およびg=10.4のときに生じる。線形、多項式、および他のRBFカーネル・オプションで実験した後の最良のフィットとしての例として、ガウス・カーネルが選ばれる。
【0064】
例示的実施形態では、前方および後方探索法が使用されて、正確な損害推定にどの特徴が他の特徴より貢献するかが判定される。例示的実施形態では、パラメータVs30、Sa、Sd、P(損害なし),P(軽度の損害)、およびP(煙突損害)が使用された。
【0065】
図8は、いくつかの例示的実施形態による、例示的住居曲線の予想損失を示す。いくつかの例示的実施形態では、損害率および構造物の交換価値を使用して構造的損害からの金銭的損失が計算するために、性能ベースの地震エンジニアリング手法が使用される。例示的実施形態では、経済的損失および回復時間の期待値が計算される。例えば、トレーニング・セット全体を使用して、Hazusからの修理コスト率が計算のために使用される。
【0066】
予想損失を計算するために、損害状態および各Hazus損害状態にある確率を仮定して、重みつき総和技法によって損失の重みつき総和を求めることができる。例示的実施形態では、構造的、非構造的ドリフト感応性、非構造的加速度感応性、および内容物が別々に考慮される。Hazus技術マニュアルから条件付き損失パラメータを採用することができる。
【0067】
住居の予想損失は、内容物を含まない、構造的要素および非構造的要素についての予想損失の総和と定義することができる。内容物の予想損失について同様のプロットを開発することができる。ステップ・サイズ0.01gを使用する、例えば0.01gから5.0gまでのハザード曲線にわたる数値積分によって、住居と内容物についての予想年間損失(EAL)を計算することができる。回復時間は、予想損失と同様の方式で計算することができる。回復パラメータは、Hazus技術マニュアルから得ることができ、建築時間だけではなく、資金調達、設計、意思決定などを得るための時間をも含む。各BDIでの損失および回復時間の平均および標準偏差を求め、それぞれのBDI予測に適用することができる。さらに、ブロック・レベルで損失推定を集約し、地図上に、またはレポートで表示することができる。
【0068】
図9は、いくつかの例示的実施形態による、様々な損害指数レベルについての脆弱性関数900を示す。上記で論じたように、脆弱性関数は、震動の関数として損害状態の確率を与える。FEMAは、建築物タイプ・フレームワークを最大で252タイプの建築物で定義し、領域内の各建築物は、これらの252タイプのうちの1つに割り当てられる。例えば、タイプは、建築材料、階数などに基づき、2階建て木造構造物について1タイプが定義される。さらに、適用可能なとき、地震または他の災害の効果に対する1つまたは複数のブロック内の建築物の反応をより良く表すために必要な場合、その建築物をFEMAフレームワーク以外の追加の建築物タイプに割り当てることができる。
【0069】
各構造物は、地震に対して様々に反応することがあり、したがって各タイプについて脆弱性関数が計算される。
図9の例示的実施形態では、脆弱性関数900が、1つの建築物タイプについて、4つの異なるタイプの損害について定義される。それに基づいて、5つの損害状態(なし、軽度、中程度、大規模、および完全)またはより高い損害の状態のうちの1つにある確率を求めることができる。例えば、1gの震動について、損害なしの確率は8%であり、軽度以上の損害の確率は25%であり、中程度以上の損害の確率は58%であり、大規模以上の損害の確率は91%であり、完全な損害の確率は9%である。このことは、一般には、同じ震動について、より高い損害の確率は低くなることを意味する。
【0070】
例示的1実施形態では、建築物の震動がその位置に従って求められた後に、これらの脆弱性曲線が使用されて、各建築物タイプについての損害が推定される。しかしながら、土壌タイプ、建築年数、建築物価格など、建築物タイプ以外に損害に影響を及ぼす別の要素がある。例えば、すべての2階建て木造建築物が同じ価格であるわけではなく、同一の品質で建築されるわけではない。したがって、これらの建築物に対して生じる損害は、著しく変動することがある。したがって、他の例示的実施形態は、建築物タイプ以外に別の特徴を利用して損害を推定する。
【0071】
機械学習アルゴリズムは損害を予測するために良好に機能する。これらのアルゴリズムは複数の特徴を解析し、加えられる損害に特徴がどのように相関するかを解析するからである。例えば、機械学習アルゴリズムは、損害を推定するために数百の特徴を考慮に入れることができる。
【0072】
図10は、地震損害を予測するための機械学習アルゴリズムの使用を示す例示的実施形態を示す。いくつかの例示的実施形態では、複数の地震1002、1004、1006からのデータが収集されて、アルゴリズムがトレーニングされる。例えば、データ源のうちの1つは建築物タギングでよい。地震後に、建築物検査官が建築物を訪問し、建築物に対する損害の深刻さに関するタグを割り当てる。これらのタグを使用して、BDI予測をリアル・タイムに修正することができる。
【0073】
先に論じたように、別のタイプのデータは、損害の人々の印象に関するDYFIデータであり、DYFIデータは、ウェブサイト上のエントリを通じて、または電話呼出しを通じて来ることがある。この情報は、様々なタイプの住居について、および様々なタイプの地震についてのデータを与え、このデータは、緯度、経度、および損害の尺度を含めてジオコーディングされる。地震の後に得られた新しいDYFIデータ点をリアル・タイム・データ入力として使用することができ、初期リアル・タイムBDI予測を向上させ、改善することができる。他のリアル・タイム・データ・ソースには、スマートフォン・アプリケーション、手動ユーザ入力、建築物タギング・データ、衛星画像、ドローン画像などが含まれる。これらの追加のデータ・ソースを使用して、地震後に時間が進むにつれて、例えば数日後に、初期BDI予測の精度を修正および改善することができる。さらに、信念伝播、オンライン学習、マルコフ・モデルなどの工程をリアル・タイム・データと共に使用して、BDI予測を改善することができる。
【0074】
例示的実施形態では、単一家族住居範囲(または任意の他の選択された建築物構造)内に適合するように、アルゴリズム・トレーニングのためのデータの前処理が実施され、例として、DYFI回答は地震中の建築物構造の位置を列挙しないことがある。例示的実施形態では、解析が単一家族住居に関して実施されるとき、単一家族住居に関係しないデータを除去することができる。次に、例示的実施形態では、USGSによってジオロケートされないすべての回答データを除去して、精度を向上させることができる。例示的実施形態では、(例えば、少なくとも1000個の回答が残る)データベース内で与えられる50個の地震からのデータがトレーニング・セットについて使用された。例えば、プライバシー制約のために、USGSデータは、2桁の緯度および経度精度でDYFIデータを公にレポートすることがあり、ジオロケートされる地点は地震によって影響を受けた構造の真の位置から最大で約0.6km離れていることがあることを意味する。一方、タギング・データは厳密な構造物に識別可能であることがある。
【0075】
さらに、地震のそれぞれについて、USGSのShakeMapウェブサイトからのスペクトル加速度情報を得ることができる。これらのShakeMapファイルは、状態全体にわたる強い運動ステーションからのデータだけではなく、規則的で密接に配置された間隔の3つの減衰関数からの重みつき寄与を使用する補間スペクトル縦座標をも含むことができる。スペクトル加速度、高度、土壌などの本明細書で説明する機械学習特徴の多くの位置は、4桁の小数の緯度および経度の精度まで利用可能であるので、DYFIデータの2桁の少数の精度は、他のソースからのデータと厳密には整合しないことがある。この地理的不一致を改善するために、最近隣関数を使用して、スペクトル加速度の最も近い値を各DYFI回答に割り当てることができる。DYFI回答の1km以内のShakeMapデータ点がなかった場合、DYFI回答をトレーニング・セットから除外することができる。同様に、ハウジング・データをDYFI回答に使用するとき、最近隣関数を使用することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、
図10に示されるように、建築環境データ1008、自然環境データ1012、およびセンサ・データとも呼ばれる瞬間ライン・データ1010という3つのタイプの特徴が識別される。建築環境データ1008は、建築物、橋、道路、空港などの人間によって建築された何らかのものに関するデータを含む。建築環境データ1008は、建築物のタイプ、年数、サイズ、材料、タイプ、階数、脆弱性関数などを含む。
【0077】
「自然環境」とは、土壌、ダム、川、湖などの自然に存在する物体または構造物を指す。自然環境データ1012は、土壌タイプ、土壌密度、土壌液化などの土壌に関する特徴、地下水面に関するデータ、高度などを含む。例えば、1つの土壌パラメータは土壌Vs30のシヤー波速度である。このデータはUSGSまたはFEMAから得ることができる。
【0078】
さらに、瞬間ライン・データ1010とは、情報をオープンに利用可能にするUSGSまたは他の実体によって運用されることのある地震計から得られたデータなどによる、地震中に得られたセンサ・データを指す。震動情報は、1つまたは複数の散乱した測定ステーションを通じて得られるが、震動は、様々な位置全体にわたって地面がどれほど移動しているかを予測する地動予測式を利用して、関心領域全体にわたって推定される。センサ・データはまた、建築物およびインフラストラクチャ上に配置された加速度計または他のセンサからも得ることができる。さらに、スマートフォン、ラップトップ、および他のコンピューティング・デバイス内の加速度計からのデータを瞬間ライン・データとして取り込むことができる。S波とP波のどちらも瞬間ライン・データとしてリアル・タイムに使用することができる。
【0079】
損害1014のレベルは、推定または予測すべき変数である。トレーニングのために、損害データが様々な入力特徴に関連付けられ、各特徴と損害との間の相関が確立される。いくつかの例示的実施形態では、BDI損害、すなわち0(例えば、損害なし)、1、2、または3(例えば、構造物の完全な崩壊)の形で推定損害が提示されるが、他のタイプの損害評価カテゴリも利用することができる(例えば、基礎損害)。
【0080】
すべてのデータが収集された後に、機械学習アルゴリズム・トレーニング1016が行われ、アルゴリズムは損害を推定する準備ができている。新しい地震が発生するとき、新しい地震データ1018が得られる(例えば、USGSウェブサイトからダウンロードされる)。機械学習アルゴリズム1020は、新しい地震データ1018を入力として使用して、損害推定402を生成する。
【0081】
図11は、いくつかの例示的実施形態による、本明細書ではアルゴリズム学習とも呼ばれる、損害を予測するための機械学習アルゴリズム・トレーニング1016のための方法を示す。上記で論じたように、いくつかの例示的実施形態では、トレーニング・セット・データは、建築環境データ1008、自然環境データ1012、および瞬間ライン・データ1010を含む。これらのカテゴリの各々は、建築環境データ1008についてのB
1、B
2、B
3、自然環境データ1012についてのN
1、N
2、N
3、瞬間ライン・データ1010についてのI
1、I
2、およびI
3などの、1つまたは複数のタイプのデータを含む。例えば、B
1は、特定の家屋についてのデータであり、煙突上の亀裂、家屋についての任意の他の損害情報などのDYFI情報を含むことができる。さらに、瞬間ライン・データ1010について、保存されたライブ・データがトレーニングのために使用される。データは1つまたは複数の地震に対応することができる。例示的1実施形態では、52個の異なる地震についてのデータが利用される。
【0082】
データ点の各々は、1つまたは複数の特徴1102および損害1014のレベルに相関付けられる。これは、特徴のそれぞれと、引き起こされた損害との間の関係を評価する(1106)ためのトレーニング・セットである。評価が行われた後は、アルゴリズム1020は損害を推定または予測する準備ができている。
【0083】
いくつかの例示的実施形態では、損害1014のレベルについてのデータの一部はトレーニング段階(例えば、1016)では使用されず、アルゴリズムの精度をテストするために予約される。例えば、利用可能なデータの80%がアルゴリズムをトレーニングするために使用され、データ1108の20%がアルゴリズム1110をテストするために使用される。テスティングのために10%、30%などの異なるデータ量を予約することができ、テストのためにデータの異なるセグメントを予約することができる。
【0084】
アルゴリズム1110をテストするために、データ1108の20%が、データ1108が新しい地震によって生み出されたかのようにアルゴリズムに供給される。次いで、アルゴリズムは損害推定を提示し、損害推定が実際の損害と比較され、アルゴリズムの予測精度1112が求められる。
【0085】
データの一部が建築物レベルで利用可能であるが(例えば、特定の建築物に加えられる損害)、いくつかの例示的実施形態では、予測はブロック・レベルでの損害を指すことに留意されたい。
【0086】
ときには、ブロック内のすべての建築物についてのデータが存在せず、したがって損害外挿が実施される。例えば、地震の後、建築物検査官が20個の建築物のブロック内の3つの建築物に赤色タグ(すなわち、損害指数3)を与える場合、すなわち、20個の建築物のうちの3つが損害を有し、残りの建築物は損害がなく、またはわずかな損害を有する。
【0087】
いくつかの例示的実施形態では、各建築物のタイプが識別され、建築物の脆弱性関数がタイプに基づいて識別される。次いで、建築物ごとの異なる効果が、異なる脆弱性関数を有する各建築物のためであるという構造エンジニアリング仮定が行われる。震動、土壌などの他の特徴は、ブロック全体についてほぼ等しいからである。
【0088】
いくつかの例示的実施形態では、建築物のタイプは未知であるが、建築物のうちの5%が損害を受けたことが知られていることがある。このケースでは、震動に基づいて損害に対応する脆弱性関数が識別され、次いでその脆弱性関数が建築物に割り当てられる。
【0089】
機械学習アルゴリズムをテストするために、イントラ地震、インター地震、地理的分割、およびホールドアウト・クロス検証という4つのタイプの検証手順がある。イントラ地震検証では、学習およびテスティングが同じ地震からのデータで実施される。例えば、アルゴリズムはナパ地震データの80%に関してトレーニングされ、次いで、アルゴリズムがナパ地震データの残りの20%に関してテストされる。これは最も容易なタイプの学習である。
【0090】
インター地震検証では、トレーニングが複数の過去の地震(例えば、20個の地震)からのデータに関して行われ、次いで別の実際の地震(例えば、ナパ地震)の効果を予測するためにアルゴリズムが使用される。したがって、ナパ地震からのデータなしに学習が行われ、ナパ地震からのデータで検証が実施される。
【0091】
地理的分割検証では、異なる地理的位置からのデータに関してテスティングが実施される。ホールドアウト・クロス検証では、テスティングのために使用されるホールドアウト・データが複数回変更される。例えば、データの90%が学習のために使用され、データの10%がテスティングのために予約されるが、10%はそれぞれのときに変更される。アルゴリズムは、最良のモデルが得られるまで改良し続ける。20%や30%などの異なる量のデータをホールドアウトすることが可能である。
【0092】
図12は、例示的1実施形態による、512個のテスティング地点についての損害の予測のためのコンフュージョン・マトリックスを示す。別の例示的実施形態では、異なる数のテスティング地点を使用できることを理解されたい。コンフュージョン・マトリックスは、真の値が知られており、またはエンジニアリング判断に基づいて仮定されるテスト・データのセットに関する分類モデルの性能を記述するために使用される表である。
【0093】
テスティング精度は、どれほどのデータ点が正しく予測されたかを判定することによって測定される。
図12の例示的実施形態では、テーブル1202は、実際のBDIと予測BDIとの間の相関を記述する。例えば、実際のBDIは、BDI 2を有する107個の都市ブロックを含んだ。例示的データ内の107個のBDI 2のうち、SVMモデルは97個(91%)を正しく分類し、BDI 0について3つ、およびBDI 1について7つ誤分類した。さらに、例示的データ内の195個のBDI 0のうち、SVMモデルは172個(88%)を正しく分類し、23個をBDI 1と誤分類した。与えられた例では、最も不十分な分類はBDI 1のものであり、203個のうち66が誤分類された。したがって、この例示的データセットについて、モデルは損害の低いレベルについて正確さが低かった。しかしながら、低いレベルの損害は、(例えば、住居の)構造がある程度は弾性のままであるので、一般には損害の主要な部分に寄与しないことを考慮すると、このことは重大ではない要素であることがある。言い換えれば、より高いレベルの損害を予測するときに、正確であることが通常はより重要となり、対応センタは主にこうしたより高いレベルの損害に関心がある。特定の使用ケースに基づいて、各分類レベルについてのモデルの性能を、他の分類レベルに対して調整することができる。
【0094】
図13は、いくつかの例示的実施形態によるアルゴリズムの性能比較を示す。
図13は、RF、SVM、およびNNアルゴリズムについて得られる精度値の一部を示す。
図13に示される結果は例であり、他のデータセットが異なる結果を生成することがあることに留意されたい。したがって、
図13に示される例示的実施形態を排他的または限定的なものと解釈すべきではなく、例示的なものと解釈すべきである。
【0095】
最終特徴リストを使用して、2014年8月(ナパ)地震について、SVMモデルについてのFスコアは0.879であった。損害予測でのランダム性およびアウトライアの量を仮定すると、このFスコアはかなり良好な結果を示す。
【0096】
図14は、予測精度に基づくアルゴリズムの選択のための例示的実施形態を示す。上記で論じたように、損害を推定するために複数のアルゴリズム1020を使用することができ、精度1112を予測するためにアルゴリズム1016をトレーニングすることを様々な方式で実施することができる。
【0097】
アルゴリズムがテストされた後に、最良のアルゴリズムが選択されるが、最良のアルゴリズムは、目標およびデータセットに応じて変化することがある。他の例示的実施形態では、目標に応じて複数のアルゴリズムからの推定を組み合わせることができる。
【0098】
機械学習では、分類問題および回帰問題という2つのタイプの問題がある。分類問題は、項目をいくつかのカテゴリのうちの1つに分類することを目指す。例えば、この物体はリンゴか、それともオレンジか?我々のケースでは、損害と損害なしとの間で分類することが重要である。
【0099】
回帰アルゴリズムは、例えば実数である値を与えることによって、いくつかの項目を定量化することを目指す。いくつかの例示的実施形態では、損害または損害なしを判定するために分類が使用され、損害のレベルを求めるために回帰が使用される。例えば、アルゴリズムは、損害値1.3を得ることができ、目標に応じて、1.3は、最も近い整数、例えば1に丸められることがあり、または丸められないことがある。
【0100】
テスティング中に、アンサンブル法が高いレベルの精度を与えた。アンサンブル法は、複数の学習アルゴリズム、分類と回帰の両方を利用して、予測性能を改善するからである。回帰モデルはBDI 1、2、および3の間を予測することに優れているが、分類器はゼロと非ゼロとの間を区別することにより優れていることが観測された。
【0101】
いくつかの例示的実施形態では、緊急対応マネージャは、最高レベルの損害であるBDI 2および3に特に関心があるので、アルゴリズムの選択は、BDIラベル2および3を正しく得ることに偏る。損害なしまたは低い損害は、助けを受けることにとってそれほど重要ではなく、BDI 2およびBDI3はずっと重要である。このことは、アルゴリズムを選択するとき、BDI 2およびBDI 3をより良好に予測するアルゴリズムが、BDI 0およびBDI 1を予測することなどの他のカテゴリについてより良好に実施することのできる他のアルゴリズムに優先して選ばれることを意味する。
【0102】
損害を予測する際の問題の1つは、学習のために最良の可能なデータを選択することである。知覚データの一部は、「私は煙突が壊れた」、「私の写真フレームが私の正面で移動していた」などの人々のレポートを含むことがある。しかしながら、このタイプのデータは、BDI分類には役立たないことがある。
【0103】
このタイプの損害情報を活用するために、本明細書でミニ機械学習モデルと呼ばれる他の機械学習方法が使用される。ミニ機械学習モデルでは、追加の損害データが利用されて、BDI分類アルゴリズムによって使用することのできる他の要素が予測され、カスケーディングモデルと呼ばれる方法である。例えば、どれほどの人々が起こされたか、または地震によってどれほどの壊れた煙突が引き起こされたかを推定し、損害を推定するためにこの情報を使用することが可能である。
【0104】
別の問題は、高マグニチュード地震によって引き起こされる損害を推定することに関係する。カリフォルニア地震についてのデータが利用可能であり、そのデータは、リヒター尺度で最大7.1のマグニチュードの地震を含む。しかしながら、このデータは大規模地震(例えば、7.5地震)を予測するのに十分であるか?という疑問が残る。
【0105】
例示的1実施形態では、転移学習技法が利用されて、大規模地震の効果が予測される。帰納転移、または転移学習は、ある問題を解決する間に得た知識を記憶し、それを異なるが関連する問題に適用することに焦点を当てる機械学習での研究問題である。
【0106】
メキシコ、チリ、ペルー、エクアドル、日本、ニュージーランドでの地震など、大規模地震を経験した他の国々からのデータが収集される。データはUSGSによって提供されないので、利用可能なデータのタイプは異なるが、それでもなお損害データとして有用である。転移学習は、カリフォルニア、または米国の他の部分での大規模地震を予測するために、この異なるタイプのデータの使用を可能にする。
【0107】
図15は、ノースリッジ1994年地震からの損害のスクリーンショトの例示的実施形態を示す。さらに、例示的実施形態では、DYFI CDI(例えば、0〜3でスケーリングされる)を予測BDIと視覚的に比較するために視覚的比較が実施される。
【0108】
RF BDI 1502およびSVM BDI 1504が、スケーリング済みCDI損害1506と比較される。この例示的実施形態では、SVM BDI 1504プロットは、特により低い損害状態で、アウトライアのより少ない、より滑らかな境界を予測した。したがって、例示的実施形態では、機械学習モデルは、DYFIデータが存在しない場合、知識ギャップを補足することができる。
【0109】
DYFIデータについての例示的スケーリング済みCDI損害1506はそれほど大規模ではなく、したがってRFおよびSVM性能と視覚的に比較することはいくらか困難である。しかしながら、一般には、予測された損害と記録された損害との間の傾向は同様であるように見える。SVM BDI 1504は、震央付近でより高い損害状態をより良好に取り込むように見える。
【0110】
図16は、領域内の損害推定を提示するためのグラフィカル・ユーザ・インターフェースのスクリーンショトの例示的実施形態である。
図16は、コミュニティ災害対応センタ用のツールのユーザ・インターフェースの部分である。例示的実施形態では、本明細書で説明される機械学習モデルを実装し、起こりそうな損害に関する教育された予測を行なうために、ウェブ・アプリケーションが提供される。ウェブサイトの基本的実施形態では、管理者がRails、Python、JavaScript(登録商標)、および他のプログラミング言語上で動作する、サーバ上のバックグラウンド・プログラムを活動化するとき、ユーザが時間スロットを要求する。例示的実施形態では、アプリケーションの2つのメイン・モード、すなわち住居所有者モードおよびコミュニティ災害対応センタ・モードが提供される。
【0111】
通常、USGSは、各事象後の数秒以内にShakeMapを発行する。いくつかの例示的実施形態では、どんな前処理も行なうことなくShakeMapデータを直接的にアップロードすることができ、損害推定ツールが、(例えば、0.3秒での)スペクトル加速度を自動的に考慮することができる。ShakeMapが複数のスペクトル加速度を含むとき、調整後モデルは、どのスペクトル加速度が建築物材料、年数、高さなどの構造または構造的特徴に最も影響を及ぼすかを学習する。
【0112】
図16では、地
図1604がマグニチュード6.02地震についての損害推定を示す。エリアの一部は解析されず(例えば、構造物がほとんど、または全くない荒野エリア)、残りのエリアは、カラー・コーディングされたBDI損害と共に提示される。オペレータは、所望のエリアに関するより良好な詳細を得るためにズームインまたはズームアウトすることができる。
【0113】
入力エリア1602は、データを選択するためのフィルタ・オプションを提供する。例えば、BDIカテゴリを選択するためのフィルタが提供される。オペレータは、BDI 3を閲覧することを選択し、最も損害を受けたエリアのクイック・ビューを得ることができる。さらに、人口統計または建築物タイプなどに関するフィルタなどの他のフィルタが利用可能である。オペレータは、少なくとも15人の子供を有するブロック、または高齢者の少なくとも10%を有するブロックを選択することができる。高齢者は通常、非高齢者よりも多くの注意を必要とするので、これは有用である。
【0114】
さらに、オペレータは、住居構造が全体の少なくとも50%であるブロックを提示することを選択することができる。このようにして、オペレータは、工業地帯と住居地帯との間で選択することができる。
【0115】
人口統計は、対応センタ・オペレータにとって重要である。単にコンピュータ・プログラムが損害を推定したために対応チームを送ることを正当化することは難しいことがあるからである。しかしながら、追加の人口統計情報を有することにより、推定損害が高く、多数の高齢居住者を有するエリアにサービスするようにオペレータが決定を行なうことが可能となる。
【0116】
図17は、領域内の損害推定を提示するためのグラフィカル・ユーザ・インターフェースのスクリーンショトの例示的実施形態である。地
図1704は、いくつかのBDI 3エリアおよびいくつかのBDI 2エリアを含む、地震エリアのより詳細なビューを示す。さらに、オペレータは、マップ1704をクリックし、エリアのストリート・ビュー1706を得ることができ、このことは、対応チームと対話するときに有用であることがある。
【0117】
オペレータが統計ビューに切り換える場合、損害推定ツールが、人口、平均建築物年数、人口密度などの、選択されたブロックまたはエリアについての統計を提示することに留意されたい。
【0118】
損害を推定するために使用される別の特徴は余震処理と呼ばれ、余震処理は、先の事象に関連する以前の損害データを考慮することを含む。例えば、ある日に6.0地震が発生し、その結果、窓が壊れるなど、特定の建築物についての損害が生じる。次の日に、6.0地震があり、しかし特定の建築物は、先の地震のために損害の影響をより受けやすいことがある。次いで、建築物は追加の損害を受け、それは、以前の地震が生じなかった場合よりも大きい損害となる。
【0119】
アルゴリズムは、建築物を損なった以前の損害を考慮に入れるので、建築物についての脆弱性関数が変更される。いくつかの例示的実施形態では、建築物についての脆弱性関数が、損害の確率を増加させるように変更される。
【0120】
いくつかの例示的実施形態では、信念伝播と呼ばれる技法が、損害推定精度を改善するために使用される。信念伝播は、アルゴリズムの精度を改善するためにアルゴリズムに供給される、事象後に収集された追加のデータを考慮に入れる。例えば、地震後に、緊急マネージャは現場に行き、建築物に対する実際の損害についてのデータを収集し、次いで損害推定アルゴリズムを管理するオペレータにデータを送り戻し、または電子アプリケーション、テキスト・メッセージなどを通じて手動もしくは自動でデータをアップロードする。
【0121】
例えば、建築物について損害2が推定されたが、建築物検査官は、損害が3であることを示す。次いで、損害推定プログラムは、その建築物についてラベルを2から3に変更し、この追加の情報が近隣の建築物を通じて伝播され、それによって、近隣の建築物についての予測の精度が改善される。この新しいデータは、アルゴリズム推定能力を改善する。例えば、アルゴリズムの精度を5%から10%だけ改善することができ、したがって数時間後に、損害推定の精度は、最大で90から95%となることができる。さらに、建築物が修復された後に、建築物の脆弱性関数は、その元の状態に戻る。
【0122】
図18は、いくつかの例示的実施形態による、損害シミュレーションを実施するための方法のフローチャートである。このフローチャート内の様々な操作が順番に提示され、説明されるが、操作の一部またはすべてを異なる順序で実行することができ、組み合わせ、もしくは省略することができ、または並列に実行できることを当業者は理解されよう。
【0123】
いくつかの例示的実施形態では、仮想地震によって引き起こされる損害を推定するためにシミュレーションが実施される。例えば、震動データがシミュレートされ、対応するShakeMapデータが作成され、次いでShakeMapデータがアルゴリズムに入力される。さらに、モデルが作成され、損害の推定が提示される。
【0124】
損害をシミュレートすることは、対応マネージャにとって重要な特徴である。それによって、マネージャは様々な破壊的事象について計画を立てることが可能となるからである。何が生じ得るかを知ることによって、マネージャは、対応のための計画(例えば、収容能力計画)、または危険な状態にある建築物を改装するための計画を準備することができる。損害シミュレーション・ツールはまた、大災害の仮想効果に基づいて訓練演習を可能にするので、訓練のためにも有用である。
【0125】
例示的1実施形態によれば、操作1802では、地図が損害シミュレーション・ツール上に提示され、オペレータは、震央が位置する地図上のエリアを選択することができる。操作1802から、方法は操作1804に進み、地震断層が地図上に提示される。さらに、ツールは、各断層について推定される最大マグニチュードはどうかを提示する。
【0126】
操作1806では、地震の位置およびマグニチュードについてのオペレータによる選択の入力が受け取られる。操作1808では、選択された地震について震動データがシミュレートされる。規定のしきい値より上の震動を感じると予想される各ブロック内の1つまたは複数の地点で震動を予測することができる。いくつかの地動予測式(GMPE)のうちの1つまたは組合せを使用して震動を予測することができる。GMPEは、土壌についての自然特徴、断層までの距離、破断の深さなどを組み込み、特定のマグニチュードの特定の位置での地震からの地盤震動の強度を推定する。
【0127】
操作1808から、方法は操作1810に進み、前述のように損害が推定される。操作1812では、損害の推定または予測が提示され、オペレータには、実際の実施のケースと同様のインターフェースが提供される。オペレータは、推定損害が高いエリアがどこに位置するかを確認することができる。さらに、オペレータは、人口統計に関する統計データを得るためのフィルタ、または何らかの他のタイプのフィルタを適用することができる。
【0128】
危険が高いので改装法律を実施すべきであるエリアについて結果を使用することができ、または結果は、ハイ・リスク・エリアの近くに病院を配置することなどによって病院についての位置をマネージャが選択することを支援することができる。さらに、結果を使用して、位置特有の危険に基づいて保険料および控除金額を計算することもでき、特定の病院が患者で圧倒されるまでに都市が持ちこたえることのできる最大地震マグニチュードを求めること、ある病院が地震中に崩壊した場合に都市全体の緊急対応に対する影響を求めること(弾性検査)など、既存のリソースの収容能力解析を実施することもできる。
【0129】
図19は、地震断層を示すインターフェースのスクリーンショトの例示的実施形態である。オペレータが入力エリア1902内の領域を選択した後、地
図1904は、エリアおよびエリア内の地震断層を示す。オペレータが断層の上にカーソルを動かす場合、断層の名前、断層に関して検出された最大マグニチュード、断層が生成することのできる最大推定マグニチュード地震などの追加の情報が提供される。最大マグニチュードを提供する目的は、可能性の低いシナリオについての推定を提供するのではなく、現実的なシミュレーションを実施することである。
【0130】
図20は、地震の位置およびマグニチュードを選択するためのインターフェースのスクリーンショトの例示的実施形態である。オペレータが震央を選択した後、地震の位置を示すためにグラフィカル・ディスプレイ2004が提示される。さらに、緯度および経度が提示される。オペレータが「シミュレーションを要求」というラベルのボタンを選択したとき、シミュレーションが開始される。数分以内に、シミュレーションが完了し、損害予測が提示される。
【0131】
図21は、都市ブロックごとにシミュレーション・データを提示するためのユーザ・インターフェースのスクリーンショトの例示的実施形態である。シミュレーションのために提示される情報は、
図16に示される実際の地震後の損害を推定するためのユーザ・インターフェースと非常に類似している。インターフェースは、フィルタ・エリア2102、カラー・コーディングされた地
図2104、および任意選択のストリート・ビュー2106を含む。
【0132】
実際の地震のケースと同様に、オペレータはフィルタを入力し、追加の情報を得るための様々なオプションを使用し、またはBDI 3を有するエリアなどの特定の損害データに焦点を合わせることができる。
【0133】
図22は、いくつかの例示的実施形態による、人口統計ごとのいくつかの損害表を示す。
図22は、ユーザが統計データを得ることを選択するときに提示される例示的ユーザ・インターフェースを示す。統計データは、世帯収入レベルについての表2202を含むことができる。表2202は、特定の収入レベル内のどれほどの建築物が特定の損害指数に関連付けられかを示す。各BDIレベルについて1つの行があり、各収入レベル(例えば、10K未満、10K〜30K、30K〜50Kなど)について1つの列がある。統計データはまた、現在の地震と以前の地震との間の違いに関する統計、近隣の構造物と比較した損害に関する統計などをも含むことができる。
【0134】
表2208は、年齢グループによる統計を与える。3つの列は、16歳以下の子供、16歳から65歳の間の大人、および少なくとも65歳の高齢者に年齢グループを分割する。各行は、BDI損害レベルの1タイプについてのものである。
【0135】
表2204は、建築物年数による統計情報を与える。この場合も、各行はBDIレベルのうちの1つに対応し、各列は、構造物が建築された期間についてのものである。例えば、列は、1940年以前に建築された建築物、または1940年から1959年の間に建築された建築物などを含む。各セルでは、建築物の数と、BDI損害クラス内のこの年数の建築物の割合という2つの値が与えられる。
【0136】
表2206は、住居、商業、または政府という建築物タイプによる統計データを与える。この表では、各BDIクラスは列に関連付けられ、建築物タイプは各行に関連付けられる。各セル内の値は、この特定のBDI損害についての建築物のカウントを特定する。表2210は、居住者人口に関する統計情報を提供し、各列はBDIクラスに関連付けられ、各行は居住者のタイプに関連付けられる。
【0137】
図23は、いくつかの例示的実施形態による、特殊建築物について提供される詳細を示す。対応センタ・マネージャは、病院、市役所、消防署などの特別な追跡を必要とする特殊建築物を識別することができる。オペレータは、構築物のタイプ、年数、担当者などを含む、これらの建築物についての追加の情報を入力することができる。これらの重要な建築物について、ツールは、単に都市ブロック・レベルの推定ではなく、建築物損害推定を計算する。
【0138】
ツールは、これらの特殊建築物についての特定の損害情報を提供する。
図23は、マネージャが建築物をクリックするときに提示される情報を示す。いくつかの実施形態では、提示される情報2300は、建築物の名前、住所、損害推定、および様々なタイプの損害についての信頼レベルを含む。
図23の例示的実施形態では、カテゴリ0で71%の確率、およびカテゴリ1で29%の確率の損害が推定される。
【0139】
図24は、建築物構造(例えば、住居)に関するデータを入力するためにウェブサイトを介してアクセス可能なGUIのスクリーンショトの例示的実施形態を示す。
図24はサンプル住居所有者モジュールを示す。
【0140】
平均的な住居所有者は地震エンジニアリングについてほとんど知らないことがあるが、リスク露出に関心があることがある。したがって、ウェブ・アプリケーションによって提供されるユーザ入力はほとんどないことがあり、通常は住居所有者の知識内のものであることがある。
【0141】
入力ゾーンは、ユーザ(例えば、住居所有者)が物理構造またはその内容物に関する情報を入力するためのフィールドを示す。このことは「予測フォーム」によって達成することができる。次いで、本明細書で説明する方法およびシステムを(例えば、リモート・サーバによって)実施して、予測結果を提供することができる。
【0142】
例示的実施形態では、ウェブサイトは、ユーザが住居位置、住居の交換価値(構造的および非構造的構成要素を含むが、財産価値を含まない)、内容物の交換価値などを入力することを可能にすることができる。ウェブサイトは、2475年、475年、50年、および20年の再来期間に対応するハザード曲線からのSa強度を使用して、4つのBDI予測を行なうことができる。アルゴリズムは、ハザード・レベル当たり10個の予測を行なうことができ、平均BDIを取り、最も近い整数に丸める。例えば、損失計算を求めるために、ウェブサイト内に含まれる方法または機能が、すべての10回の反復の重みつき平均を取る。さらに、ユーザは、ユーザが毎年直面する可能性のある潜在的損失の概念、ならびにすべての4つのハザード・レベルについての回復時間も得ることができる。この情報は、地震リスクに対して資産を保護するために、家計計画の際に有用であることがある。
【0143】
図25は、いくつかの例示的実施形態による、地震後の損害の規模および範囲を予測するための方法のフローチャートである。このフローチャートでの様々な操作が順番に提示され、説明されるが、操作の一部またはすべてを異なる順序で実行することができ、組み合わせ、もしくは省略することができ、または並列に実行できることを当業者は理解されよう。
【0144】
操作2502は、複数の特徴を識別するためのものであり、各特徴が、地震によって構造物に引き起こされる構造的損害の表示に相関付けられる。操作2502から、方法は操作2504に進み、1つまたは複数のハードウェア・プロセッサを使用して、機械学習が実施され、1つまたは複数の地震によって引き起こされる破壊が解析され、損害推定アルゴリズムが得られ、機械学習は、識別された複数の特徴に基づく。
【0145】
操作2504から、方法は、新しい地震についての震動データにアクセスするための操作2506に進む。操作2508では、1つまたは複数のハードウェア・プロセッサを使用して、損害推定アルゴリズムおよび震動データを利用して、地理的領域についてブロック・レベルで地震損害が推定される。
【0146】
操作2508から、方法は、地理的領域の少なくとも一部の地図内のブロック・レベルでの地震損害をディスプレイ画面上に提示させるための操作2510に進む。
いくつかの実装では、ブロック・レベルで地震損害を推定することは、ブロック内の構造物の特徴に基づいて、各ブロックについての構造物の統計分析を実施すること、および各ブロック内の構造の統計分析に基づいて、ブロック・レベルで地震損害を推定することを含む。
【0147】
いくつかの例示的実施形態では、複数の特徴は、建築環境、自然環境、またはセンサ・データに分類される。建築環境は、建築された構造物についてのものであり、自然環境は、自然に生じる構造物についてのものであり、瞬間ラインは、1つまたは複数の位置での1つまたは複数のセンサからの震動データを含む。
【0148】
いくつかの例示的実施形態では、建築環境特徴は、構造物位置、構造物サイズ、構造物価格、建築年数、階数、商業または住居構造物、構造物の建築材料、存在する煙突、および階数のうちの1つまたは複数を含む。さらに、自然環境特徴は、土壌タイプ、土壌密度、土壌液化、高度、および地下水面のうちの1つまたは複数を含む。瞬間ライン特徴は、地震マグニチュード、地震の持続時間、地震震央、スペクトル加速度、およびスペクトル変位を含む。
【0149】
いくつかの例示的実施形態では、方法は、複数の機械学習アルゴリズムの精度を求めること、および最良の精度を有する機械学習アルゴリズムを選択することをさらに含む。
いくつかの例示的実施形態では、震動データにアクセスすることは、新しい地震後にUSGSからShakeMap情報を受け取ること、新しい地震後に損害検査データにアクセスすること、得られた損害検査データを損害推定アルゴリズムに入力すること、および得られた損害検査データを入力した後に地震損害を再推定することをさらに含む。
【0150】
いくつかの例示的実施形態では、複数の特徴は、建築材料、サイズ、地震帯、および地震設計コードに基づく構造物についての脆弱性曲線を含む。他の例示的実施形態では、ブロック・レベルでの地震損害が、災害対応センタ・モジュールのユーザ・インターフェース内に提示される。
【0151】
いくつかの例示的実施形態では、方法はまた、第1の構造に対する推定地震損害と、第1の構造の交換価値とに基づいて、第1の構造の経済的損失を推定することをも含む。いくつかの例示的実施形態では、機械学習を実施して、1つまたは複数の地震による破壊を解析することが、転移学習操作を適用して、第1の地理的エリア内の事象からのデータを第2の地理的エリア内のイベントに適用することをさらに含む。いくつかの例示的実施形態では、地震損害は、各ブロックを4つの損害状態のうちの1つに分類することを含む。いくつかの例示的実施形態では、各ブロックは、米国国勢調査局によって定義された国勢調査ブロックに対応する。いくつかの例示的実施形態では、BDI、および他の損害または経済的損失予測を、地図に加えて、または地図の代わりに、レポートの形でレポートすることができる。
【0152】
図26は、いくつかの例示的実施形態による、機械可読媒体2622(例えば、非一時的機械可読媒体、機械可読記憶媒体、コンピュータ可読記憶媒体、またはそれらの任意の適切な組合せ)から命令2624を読み取り、本明細書で論じる方法のうちの任意の1つまたは複数を全体的または部分的に実施することのできるマシン2600の構成要素を示すブロック図である。
【0153】
具体的には、
図26は、本明細書で論じる方法のうちの任意の1つまたは複数をマシン2600に実施させるための命令2624(例えば、ソフトウェア、プログラム、アプリケーション、アプレット、app、または他の実行可能コード)をその中で全体的または部分的に実行することのできるコンピュータ・システム(例えば、コンピュータ)の例示的形態のマシン2600を示す。
【0154】
代替実施形態では、マシン2600はスタンドアロン・デバイスとして動作し、または他のマシンに接続する(例えば、ネットワーク化する)ことができる。ネットワーク化配置では、マシン2600は、サーバ・クライアント・ネットワーク環境内のサーバ・マシンまたはクライアント・マシンの役割で動作することができ、または分散(例えば、ピアツーピア)ネットワーク環境内のピア・マシンとして動作することができる。マシン2600は、サーバ・コンピュータ、クライアント・コンピュータ、パーソナル・コンピュータ(PC)、タブレット・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、ネットブック、セルラ電話スマートフォン、セットトップ・ボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、ウェブ・アプライアンス、ネットワーク・ルータ、ネットワーク・スイッチ、ネットワーク・ブリッジ、またはマシンで行われるべき動作を指定する命令2624を順番に、もしくはその他の方法で実行することのできる任意のマシンでよい。さらに、単一のマシンだけが示されているが、「マシン」という用語は、命令2624を個々に、または一緒に実行して、本明細書で論じる方法のうちの任意の1つまたは複数のすべてまたは一部を実施するマシンの任意の集合を含むようにも理解されるものとする。
【0155】
マシン2600は、バス2608を介して互いに通信するように構成される、プロセッサ2602(例えば、中央演算処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、無線周波数集積回路(RFIC)、またはそれらの任意の適切な組合せ)、メイン・メモリ2604、およびスタティック・メモリ2606のうちの1つまたは複数を含むことができる。プロセッサ2602は、命令2624の一部またはすべてによって一時的または永続的に構成可能なマイクロサーキットを含むことができ、したがって、プロセッサ2602は、本明細書で説明する方法のうちの任意の1つまたは複数を全体的または部分的に実施するように構成可能となる。例えば、プロセッサ2602の1つまたは複数のマイクロサーキットのセットは、本明細書で説明する1つまたは複数のモジュール(例えば、ソフトウェア・モジュール)を実行するように構成可能でよい。
【0156】
マシン2600は、グラフィックス・ディスプレイ2610(例えば、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プロジェクタ、陰極線管(CRT)、またはグラフィックスまたはビデオを表示することのできる任意の他のディスプレイ)をさらに含むことができる。マシン2600はまた、英数字入力デバイス2612(例えば、キーボードまたはキーパッド)、カーソル制御デバイス2614(例えば、マウス、タッチパッド、トラックボール、ジョイスティック、運動センサ、視線追跡デバイス、または他のポインティング機器)、記憶ユニット2616、オーディオ生成デバイス2618(例えば、サウンド・カード、増幅器、スピーカ、ヘッドフォン・ジャック、またはそれらの任意の適切な組合せ)、およびネットワーク・インターフェース・デバイス2620をも含むことができる。
【0157】
記憶ユニット2616は、本明細書で説明する方法および機能のうちの任意の1つまたは複数を実施する命令2624が記憶される機械可読媒体2622(例えば、有形の非一時的機械可読記憶媒体)を含む。命令2624はまた、マシン2600による命令2624の実行前または実行中に、メイン・メモリ2604内、プロセッサ2602(例えば、プロセッサのキャッシュ・メモリ)内、またはその両方の中に、完全に、または少なくとも部分的に常駐することができる。したがって、メイン・メモリ2604およびプロセッサ2602を機械可読媒体(例えば、有形の非一時的機械可読媒体)と見なすことができる。ネットワーク・インターフェース・デバイス2620を経由して、ネットワーク190を介して命令2624を送信または受信することができる。例えば、ネットワーク・インターフェース・デバイス2620は、任意の1つまたは複数の転送プロトコル(例えば、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP))を使用して命令2624を通信することができる。
【0158】
いくつかの例示的実施形態では、マシン2600は、スマートフォンやタブレット・コンピュータなどのポータブル・コンピューティング・デバイスでよく、1つまたは複数の追加の入力構成要素2630(例えば、センサまたはゲージ)を有することができる。そのような入力構成要素2630の例には、イメージ入力構成要素(例えば、1つまたは複数のカメラ)、オーディオ入力構成要素(例えば、マイクロフォン)、方位入力構成要素(例えば、コンパス)、位置入力構成要素(例えば、全地球測位システム(GPS)受信機)、配向構成要素(例えば、ジャイロスコープ)、運動検出構成要素(例えば、1つまたは複数の加速度計)、高度検出構成要素(例えば、高度計)、およびガス検出構成要素(例えば、ガス・センサ)が含まれる。入力構成要素2630のうちの任意の1つまたは複数によって取り入れられる入力は、本明細書で説明するモジュールのいずれかによる使用のためにアクセス可能かつ利用可能にすることができる。
【0159】
本明細書では、「メモリ」という用語は、一時的または永続的にデータを記憶することのできる機械可読媒体を指し、限定はしないが、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、バッファ・メモリ、フラッシュ・メモリ、およびキャッシュ・メモリを含むように理解することができる。例示的実施形態では機械可読媒体2622が単一の媒体であるように示されているが、「機械可読媒体」という用語は、命令2624を記憶することができる単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むように理解すべきである。「機械可読媒体」という用語は、マシン2600による実行のための命令2624を記憶することのできる任意の媒体、複数の媒体の組合せを含むように理解されるものとし、したがって命令2624は、マシン2600の1つまたは複数のプロセッサ(例えば、プロセッサ2602)によって実行されるとき、本明細書で説明する方法のうちの任意の1つまたは複数を全体的または部分的にマシン2600に実施させる。したがって、「機械可読媒体」とは、単一の記憶装置またはデバイス、ならびに複数の記憶装置またはデバイスを含むクラウド・ベースの記憶システムまたは記憶ネットワークを指す。したがって「機械可読媒体」という用語は、限定はしないが、固体メモリ、光媒体、磁気媒体、またはそれらの任意の適切な組合せの形態の1つまたは複数の有形(例えば、非一時的)データ・リポジトリを含むように理解されるものとする。
【0160】
本明細書全体にわたって、複数の実例は、単一の実例として説明した構成要素、操作、または構造を実装することができる。1つまたは複数の方法の個々の操作が別々の操作として図示され、説明されるが、個々の操作のうちの1つまたは複数を同時に実施することができ、図示される順序に操作を実施する必要はない。例示的構成で別々の構成要素として提示される構造および機能を、組み合わせた構造または構成要素として実装することができる。同様に、単一の構成要素として提示した構造および機能を別々の構成要素として実装することができる。これらおよび他の変形、修正、追加、および改善は、本明細書の主題の範囲内に包含される。
【0161】
いくつかの実施形態は、ロジックもしくはいくつかの構成要素、モジュール、または機構を含むものとして本明細書で説明される。モジュールは、ソフトウェア・モジュール(例えば、機械可読媒体上、または伝送媒体内に記憶され、あるいは実施されるコード)、ハードウェア・モジュール、またはそれらの任意の適切な組合せを構成することができる。「ハードウェア・モジュール」は、いくつかの操作を実施することのできる有形(例えば、非一時的)ユニットであり、一定の物理的方式で構成または配置することができる。様々な例示的実施形態では、1つまたは複数のコンピュータ・システム(例えば、スタンドアロン・コンピュータ・システム、クライアント・コンピュータ・システム、またはサーバ・コンピュータ・システム)またはコンピュータ・システムの1つまたは複数のハードウェア・モジュール(例えば、プロセッサまたはプロセッサのグループ)を、ソフトウェア(例えば、アプリケーションまたはアプリケーション部分)によって、本明細書で説明するいくつかの操作を実施するように動作するハードウェア・モジュールとして構成することができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、ハードウェア・モジュールを機械的に、電子的に、またはそれらの任意の適切な組合せで実装することができる。例えば、ハードウェア・モジュールは、いくつかの操作を実施するように永続的に構成される専用回路またはロジックを含むことができる。例えば、ハードウェア・モジュールは、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)やASICなどの専用プロセッサでよい。ハードウェア・モジュールはまた、いくつかの操作を実施するようにソフトウェアによって一時的に構成されるプログラム可能ロジックまたは回路をも含むことができる。例えば、ハードウェア・モジュールは、汎用プロセッサまたは他のプログラム可能プロセッサ内に包含されるソフトウェアを含むことができる。ハードウェア・モジュールを機械的に実装し、専用の永続的に構成される回路で実装し、または(例えば、ソフトウェアによって構成される)一時的に構成される回路で実装するという決定は、コストおよび時間の考慮によって行なうことができることを理解されよう。
【0163】
したがって、「ハードウェア・モジュール」という語句は、有形実体を包含するように理解すべきであり、そのような有形実体を、一定の方式で動作するように、または本明細書で説明するいくつかの操作を実施するように、物理的に構築することができ、永続的に構成することができ(例えば、ハードワイヤード)、または一時的に構成する((例えば、プログラムする)ことができる。本明細書では、「ハードウェア実装モジュール」とはハードウェア・モジュールを指す。ハードウェア・モジュールが一時的に構成される(例えば、プログラムされる)実施形態を考慮すると、任意の一瞬にハードウェア・モジュールのそれぞれを構成し、またはインスタンス化する必要はない。例えば、ハードウェア・モジュールが、専用プロセッサとなるようにソフトウェアによって構成された汎用プロセッサを備える場合、汎用プロセッサを、異なる時間に(例えば、異なるハードウェア・モジュールを備える)それぞれ異なる専用プロセッサとして構成することができる。したがって、ソフトウェア(例えば、ソフトウェア・モジュール)は、ある瞬間に特定のハードウェア・モジュールを構成するように1つまたは複数のプロセッサを構成し、異なる瞬間に異なるハードウェア・モジュールを構成するように1つまたは複数のプロセッサを構成することができる。
【0164】
ハードウェア・モジュールは、他のハードウェア・モジュールに情報を提供し、または他のハードウェア・モジュールから情報を受け取ることができる。したがって、記載のハードウェア・モジュールは通信可能に結合されると見なすことができる。複数のハードウェア・モジュールが同時に存在する場合、ハードウェア・モジュールのうちの2つ以上の間の(例えば、適切な回路およびバスを介する)信号伝送を通じて通信を達成することができる。複数のハードウェア・モジュールが異なる時間に構成され、インスタンス化される実施形態では、例えば、複数のハードウェア・モジュールがアクセスすることのできるメモリ構造内の情報の記憶および検索を通じて、そのようなハードウェア・モジュール間の通信を達成することができる。例えば、あるハードウェア・モジュールは、操作を実施して、その操作の出力を、通信可能に結合されるメモリ・デバイス内に記憶することができる。次いで、別のハードウェア・モジュールが、その後でメモリ・デバイスにアクセスして、記憶された出力を取り出し、処理することができる。ハードウェア・モジュールはまた、入力または出力デバイスとの通信を開始することができ、リソース(例えば、情報の集合)に対して操作することができる。
【0165】
本明細書で説明する例示的方法の様々な操作は、(例えば、ソフトウェアによって)一時的に構成され、または関連する操作を実施するように永続的に構成される1つまたは複数のプロセッサによって少なくとも部分的に実施することができる。一時的に構成されるとしても、永続的に構成されるとしても、そのようなプロセッサは、本明細書で説明する1つまたは複数の操作または機能を実施するように動作するプロセッサ実装モジュールを構成することができる。本明細書では、「プロセッサ実装モジュール」とは、1つまたは複数のプロセッサを使用して実装されるハードウェア・モジュールを指す。
【0166】
同様に、本明細書で説明する方法を少なくとも部分的にプロセッサ実装することができ、プロセッサはハードウェアの1例である。例えば、方法の操作の少なくとも一部は、1つまたは複数のプロセッサまたはプロセッサ実装モジュールによって実施することができる。本明細書では、「プロセッサ実装モジュール」とは、ハードウェアが1つまたは複数のプロセッサを含むハードウェア・モジュールを指す。さらに、1つまたは複数のプロセッサはまた、「クラウド・コンピューティング」環境での、または「software as a service」(SaaS)としての、関連する操作の実施をサポートするように動作することができる。例えば、操作の少なくとも一部を(プロセッサを含むマシンの例として)コンピュータのグループによって実施することができ、これらの操作は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して、1つまたは複数の適切なインターフェース(例えば、アプリケーション・プログラム・インターフェース(API))を介してアクセス可能である。
【0167】
いくつかの操作の実施は、単一のマシン内にある1つまたは複数のプロセッサだけでなく、いくつかのマシンにわたって配置される1つまたは複数のプロセッサの間で分散することができる。いくつかの例示的実施形態では、1つまたは複数のプロセッサまたはプロセッサ実装モジュールは、単一の地理的位置(例えば、住居環境内、オフィス環境内、またはサーバ・ファーム内)に配置することができる。他の例示的実施形態では、1つまたは複数のプロセッサまたはプロセッサ実装モジュールは、いくつかの地理的位置にわたって分散することができる。
【0168】
図27は、いくつかの例示的実施形態による、損害防止のための改装の便益の判定を示す図である。本明細書では、改装措置は、地震または他の大災害後の建築構造への損害の確率を低減する、建築構造に対する変更である。具体的には、地震改装は、地震による地震活動、地動、または土壌破壊に対する構造物の抵抗力を高める既存の構造物の修正である。
【0169】
建築物を改装するには、支持壁筋かい、横方向筋かい、基礎ボルティング、ボルティング交換、敷土台へのアンカリング、外部ポスト・テンショニング、免震装置の設置、補助ダンパの追加、構造支持の追加、外壁の補強、外壁コンクリート柱の追加、およびその他などのいくつかの方式がある。
【0170】
市長は、住居所有者に建築物改装を行なうことを奨励することを考慮していることがあるが、市長は、市内の建築物を改装することに対して費やされる資金の投資の便益を最大にすることを望む。市長は、損害の危険が最も高い危険な建築物が何であるか、どんな潜在的改装措置が最大のリターンをもたらすか、地震のケースで改装のためにどれほどの資金が節約されるかなどを知ることを望む。
【0171】
損害予測システムは、ハイ・リスク建築物を識別し、改装を行なった建築物および行なわない建築物に対する損害を評価して便益値を提供し、改装措置に関連する便益を識別することなどによって、市長が気にかける問題のいくつかに答える能力を与える。例えば、損害予測システムは、領域内のどれほどの建築物が横方向筋かいから便益を受ける可能性があるか、および横方向筋かいが建築物に追加される場合、潜在的地震からの損害がどれほど減少するかを解析することができる。
【0172】
図10〜11を参照して上記で論じたように、データ・モデル2702は、建築環境データ1008、自然環境データ1012、および瞬間ライン・データ1010を含む。いくつかの例示的実施形態では、データ・モデル2702は、0から3の範囲の損害予測値を生成するために使用され、0は損害なしを意味し、3は構造物の完全な崩壊を意味する。他の例示的実施形態では、異なる損害予測値を利用することができる。これらの損害予測値は、構造物の緯度および経度、ならびに震動を生成した事象に結びつけられる。
【0173】
多くのケースでは、建築環境データ1008は、修理、改装、アップグレードなどの建築物に対する変化を示すライブ更新で、1年に1回など周期的にリフレッシュされる。例えば、海岸近くの土壌の部分が潮の変化で浸水が多くなり、または少なくなるとき、自然環境データ1012を更新することができ、センサ・データが処理され、改善されるとき、瞬間ライン・データ1010を更新することができる。しかしながら、一般には、自然環境データ1012および瞬間ライン・データ1010は、基本的にはリアル・タイムには変更されない。
【0174】
操作2704では、改装のためのパラメータが識別される。これらのパラメータは、改装の性質、コスト、およびどれほどの改装が適用されるかを含む。操作2706では、建築環境データ1008が改装パラメータに基づいて更新され、新しい建築環境データ2710が作成される。その結果、改装措置を適用した後の損害を推定するために新しいデータ・モデル2708が作成される。より詳しい詳細が、建築環境データ1008の更新に関して、
図28を参照して与えられる。
【0175】
改装措置は、建築物に対する1つまたは複数の処置、例えば基礎ボールを交換すること、および横方向筋かいを追加することを含むことができる。各改装措置は脆弱性曲線を変更し、改装措置が適用されるとき、損害の確率は低下する。単一の建築物、建築物のカテゴリ、または領域内の定義済み建築物のセットについて、改装解析を実施できることに留意されたい。例えば、解析は、領域内のすべての石造建築物が横方向筋かいで改装された場合に何が生じるかを求めることを含むことができる。
【0176】
いくつかの例示的実施形態では、様々なシナリオの下でいくつかのシミュレーション2712が実施され、シナリオのそれぞれで、改装によって与えられる便益を計算される。通常、シミュレーション2712は、経験および専門家の予測に基づく、可能性のある地震シナリオをカバーする。他の例示的実施形態では、便益を識別するために単一のシナリオが使用される(例えば、ロマ・プリータ断層内の所与の位置でマグニチュード6.2の地震があった場合、便益はどうなるか?)。
【0177】
各シナリオは、対応するシミュレートされた震動データ2714を有する。損害を推定するための機械学習アルゴリズムは、2つの異なるタイプの損害を計算する。第1の損害2716は、改装措置を行なわない建築物に対して引き起こされる損害であり、第2の損害2718は、改装措置を適用した後に建築物に対して引き起こされる損害である。
【0178】
操作2720では、2つの損害が比較され、改装による損害の違いが識別される。例えば、第1の損害2716は、地震による建築物に対する損害が$100,000の価値であることがあり、第2の損害2718は、改装を行なった建築物に対する損害が$5,000の価値であることがある。したがって、地震のケースでの改装の便益は$95,000である。さらに、便益/コスト比を計算することができ、改装に$10,000かかる場合、便益/コスト比は95,000を10,000で割ったものであり、すなわちコストの9.5倍の便益である。
【0179】
操作2722では、改装に関連する代表的便益を識別するために、複数のシミュレーション2712からのデータが集約される。改装コストがすべてのシミュレーションについて同一であると仮定すると、すべてのシミュレーションについての損害の違いが、平均を計算すること、各シナリオの確率に基づいて重みつき平均を計算すること、幾何平均を計算することなどによって集約される。次いで、代表的損害が改装のコストと比較され、便益/コスト比が識別される。
【0180】
図28は、いくつかの実施形態による、改装による脆弱性関数の変化を示す。改装は、地震後の損害の確率を低減する。このことは、建築物についての脆弱性関数が改装を反映するように変更されることを意味する。
【0181】
チャート2800は、それぞれ改装前および改装後の脆弱性関数2802および2804を示し、損害の確率(例えば、煙突亀裂)が、建築物が位置する緯度および経度でのスペクトル加速度に依存する。本明細書で提示される実施形態は、1つの脆弱性関数を参照しながら説明されるが、特定の構造についての建築環境データを定義するすべての特徴に同じ原理を適用することができる。例えば、建築物に対する損害を計算するために識別される20個の特徴があることがある。
【0182】
したがって、0.25gの震動について、チャート2800の例では、改装を行なわない建築物についての煙突亀裂の確率は約50%に等しい。この脆弱性関数2802は、1950年〜1960年に建築された2階建て木造建築物などの特定の建築物タイプについてのものである。
【0183】
改装の結果として、改装の結果としての建築物の弾性の向上を反映するために、新しい脆弱性関数2804が作成される。このことは、建築物が改装後に同一の0.25gの震動を受けた場合、煙突亀裂の確率は約32%となることを意味する。したがって、同一のレベルの震動について、損害の確率は50%から32%に変化している。
【0184】
いくつかの例示的実施形態では、脆弱性関数は平均および標準偏差を有し、新しい脆弱性関数2804は、元の脆弱性関数2802よりも高い平均と、低い標準偏差とを有する。平均がより高いので、脆弱性関数は右にシフトし、このことは、同一レベルの震動について損害の確率が低くなることを意味する。
【0185】
建築物が改装された後、適用可能な建築環境特徴のそれぞれについて、新しい脆弱性関数2804が求められる。いくつかの例示的実施形態では、機械学習アルゴリズムが利用されて、前の地震からのデータに基づいて新しい脆弱性関数2804が求められる。
【0186】
新しい脆弱性関数2804を作成するいくつかの方式がある。いくつかの例示的実施形態では、新しい脆弱性関数2804は、異なるタイプの建築物について定義された2つ以上の脆弱性関数の組合せとして表現される。例えば、新しい脆弱性関数2804は、タイプ14および15についての脆弱性関数の組合せである。いくつかの実施形態では、組合せを形成するために使用される脆弱性関数のそれぞれに確率が割り当てられる。次いで、新しい脆弱性関数2804を計算するために、脆弱性関数のそれぞれに重みが割り当てられる。例えば、新しい脆弱性関数2804は、確率60%を有するタイプ14についての脆弱性関数と、確率40%を有するタイプ15についての脆弱性関数との組合せである。他の実施形態は、3つ以上の脆弱性関数を利用して新しい脆弱性関数2804を形成することができる。
【0187】
他の例示的実施形態では、元の脆弱性関数2802に因子を適用することによって脆弱性関数が変更される。例えば、新しい脆弱性関数2804は、元の脆弱性関数2802の0.8倍に等しいが、他の因子も利用することができる。
【0188】
いくつかの例示的実施形態では、改装のために脆弱性関数をどのように変更するかを決定するために、実際の地震損害に関して解析が実施され、ある建築物が改装された可能性があり、他の建築物は改装されていないことを除いて、類似のエリア(例えば、同一のブロック)内に位置する類似のデータ・モデルを有する建築物の間で比較が行われる。改装を行なった建築物および改装を行なわない建築物に対する損害を解析することにより、どのように改装が損害に影響を及ぼすかを識別し、改装が損害の確率を決定する脆弱性曲線にどのように影響を及ぼすかを識別することが可能となる。
【0189】
図29は、いくつかの例示的実施形態による、建築物を改装する便益を判定するための方法2900のフローチャートである。このフローチャート内の様々な操作が順番に提示され、説明されるが、操作の一部またはすべてを異なる順序で実行することができ、組み合わせ、もしくは省略することができ、または並列に実行できることを当業者は理解されよう。
【0190】
操作2902では、ユーザ・インターフェースが、建築物または建築物タイプを選択するためのオプション、および選択された建築物または建築物タイプに適用すべき改装措置を選択するためのオプションと共に提示される。例えば、ユーザ・インターフェースは、建築年数、建築材料、位置、階数などの建築物特性を選択するためのオプションを提供する。
【0191】
さらに、ユーザ・インターフェースは、様々な種類の横方向筋かい、基礎ボルトの変更または追加、壁筋かいについてのオプションなどの、改装措置を選択するためのオプションを提供する。さらに、ユーザ・インターフェースは、1つの建築物についての改装の推定コストを入力するオプションをユーザに提供することができる。
【0192】
操作2902から、方法2900は操作2904に進み、建築物タイプが識別された場合、選択されたオプションに基づいてどの建築物が含まれるかに関する判定が行われる。ユーザが解析のために特定の建築物を提供する場合、指定された建築物は解析のために使用されるものである。
【0193】
操作2906では、改装のコストが推定される。しかしながら、改装のために予想されるコストをユーザが入力する場合、入力されたコストは、改装コストとしてシミュレーションで使用される。ユーザがコストを入力しない場合、損害推定プログラムは、経験、公に利用可能なデータ、専門家の推定、事前構成されたコスト表などに基づいて推定コストを識別する。
【0194】
操作2908では、
図28を参照しながら上記で説明したように、改装された建築物についての脆弱性曲線が修正されて、新しい脆弱性曲線が生成される。プログラムは、改装の推定される影響に基づいて、各建築物の「現状態」(例えば、脆弱性曲線の平均および標準偏差)を自動的にシフトする。アルゴリズムは、経験を反映する研究データに基づいて各「現状態」がどれほど調節されるかを決定し、調節は、モデルの252個の建築物タイプおよび様々な種類の改装措置のそれぞれについて異なることがある。
【0195】
その後で、複数のシミュレーション2916が実施され、各シミュレーションは異なるシナリオに対応し、シナリオは震央の位置および地震のマグニチュードを含む。他の例示的実施形態では、1つのシミュレーションを実施することができる。しかしながら、1つのシミュレーションだけが実施される場合、多くの異なるレベルの震動および震央位置が存在する可能性があるので、データが不完全であり、他の可能なシナリオに対処しないことがある。
【0196】
USGSは、様々なマグニチュードおよび様々な地震の位置についての可能性の高いシナリオを公表し、そのシナリオは、特定のエリアについての最も可能性の高いシナリオである。いくつかの例示的実施形態では、実施されるシミュレーションは、USGSによって提供される、エリアについての推定される可能性のあるシナリオに基づく。
【0197】
各シミュレーション2916は、操作2910、2912、および2914を含む。操作2910では、シナリオが、対応する地震データと共に識別される。識別されたシナリオについて、2つの損害が推定され、操作2912では、改装前の損害が推定され、操作2914では、改装後の損害が推定される。
【0198】
操作2918では、様々なシナリオについての、改装を行なった場合、および改装を行なわない場合の推定される損害が比較される。データが集約され、改装によって予想便益についての代表値が識別される。上記で論じたように、平均、または各シナリオの発生の確率に基づく重みつき平均を計算することによって、データを集約することができる。
【0199】
操作2918から、方法は操作2920に進み、損害の違いおよび改装費用を比較することによって便益/コスト解析が実施される。様々な改装措置の便益/コスト解析について以下の
図31で1例が与えられる。
【0200】
プログラムは、様々な環境下で損害を推定する複雑さを隠し、コスト、便益、どこに資金を最良に費やすことができるかなど、意思決定者にとって理解が容易な値を提供する。FEMAからの1研究は、軽減に費やされる1ドルが地震損失の4ドルの低下を返すことを示す。例えば、都市が軽減に$1千万を費やす場合、地震後に、損失は$4千万低下することになる。
【0201】
しかしながら、研究は、一般的建築物損失および一般的軽減措置を参照するが、他の研究は、よりハイ・リスクの建築物に資金が費やされる場合、便益比は44対1にもなり得ることを示している。様々なタイプの軽減措置に関する危険および推定リターンをより良好に識別することにより、100対1以上など、その比がさらに高くなり得ることが予想される。例えば、建築物が地震で完全に崩壊する可能性があるケースを考慮すると、建築物の崩壊を回避することになる改装に費やされる資金は、高い便益/コスト比を表すことになる。
【0202】
図30は、いくつかの例示的実施形態による、ハイ・リスク建築物を改装する便益を判定するための方法3000のフローチャートである。このフローチャート内の様々な操作が順番に提示され、説明されるが、操作の一部またはすべてを異なる順序で実行することができ、組み合わせ、もしくは省略することができ、または並列に実行できることを当業者は理解されよう。
【0203】
図30の方法3000は、高い崩壊確率を有する建築物を識別し、次いでハイ・リスク建築物についての可能な改装シナリオを解析するためのものである。高い崩壊の確率を有する建築物の便益/コスト比は、60以上にもなる可能性がある。しかしながら、これらの建築物をまず識別しなければならず、ハイ・リスク建築物を識別するためにシミュレーションが実施されるのはそのためである。例えば、ほとんどのシミュレーションでのBDI 3に達する建築物はハイ・リスクと識別される。建築物がどのように建築されるかだけでなく、建築物の位置または建築物の自然環境(例えば、断層の近く、または緩い土壌の上に位置する)のために建築物がハイ・リスクとなることがあることに留意されたい。
【0204】
操作3002では、1つまたは複数のシミュレーション・シナリオが識別される。方法3000は単一のシミュレーションを参照しながら説明されるが、
図29を参照しながら上記で論じたように、複数のシミュレーションを実施することができる。シミュレーション・シナリオは、少なくとも震央位置およびマグニチュードを含むことができる。
【0205】
操作3004では、領域内の建築物について損害が推定され、操作3006では、所定のしきい値より高い損害の確率を有する建築物が、ハイ・リスク建築物として識別される。
【0206】
操作3008では、システムは、可能な改装措置およびそれぞれのコストを識別する。本発明者らの例示的実施形態では、ユーザは、考慮される改装措置、改装コスト、またはその両方を識別する。
【0207】
操作3010では、識別改装措置に基づいて、識別された建築物についての脆弱性曲線が変更される。操作3012では、識別された建築物が改装されている場合に、識別されたシナリオについて損害が推定される。
【0208】
操作3014では、改装措置のうちの1つまたは複数について便益/コスト解析が実施され、階層措置のそれぞれのコストと比較した、改装措置のそれぞれの潜在的便益が識別される。
【0209】
図31は、いくつかの例示的実施形態による、様々な改装措置についての推定便益を伴う表を示す。操作3104では、シナリオが決定され、操作3106では、可能な改装措置が識別される。操作3108では、建築物特性3102、データ・モデル、シナリオ、および識別された改装のうちの1つに基づいて損害が推定される。
【0210】
考慮される改装措置のそれぞれについて操作3108が反復される。すべてのシミュレーションが実施された後、様々な改装措置について各行でデータを表示する表3110などを介して、結果がユーザに提示される。
【0211】
各改装措置(例えば、横方向筋かいオプション・ナンバー1)について、建築物に対する改装を実施するコスト、ならびに改装を行なわない場合の推定損害(例えば、$2百万)、建築物が改装された後の推定損害(例えば、$200,000)、および損害の節約(例えば、$1.8百万)、および便益/コスト比(例えば、72)が示される。
【0212】
節約は、改装を行なわない場合の損害と、建築物が改装された後の損害との違いとして計算される。例えば、改装を行なわない場合の予想損害が$2百万であり、改装後の損害が$200,000である場合、節約は$1.8百万の差に等しい。便益/コスト比は、便益とコストとの間の比として計算される。したがって、便益が$1.8百万であり、コストが$25,000である場合、便益/コスト比は72である。
【0213】
ユーザは、表3110に目を通し、
図31の例での基礎ボルトの変更などの、最高のリターンを与える改装措置を識別することができる。さらに、ユーザは、横方向筋かいオプション・ナンバー1よりも費用がかかるが、より高い節約を生み出す横方向筋かいオプション・ナンバー2を実施することなどの最良の節約を調べることができる。さらに、表3110は、費用が低く、生み出す節約が低いが、それでもなお損害を低減するのに非常に効率的なものとなるいくつかのオプションを示すことができる。例えば、基礎ボルトを変更することにかかる費用はわずか$10,000であることがあり、他のオプションよりも節約が低いが、それでもなお$1.5百万という大きな節約を実現する。
【0214】
さらに、いくつかのシナリオでは、ユーザは、2つの改装オプションを組み合わせ、次いでシミュレーションを実施することを選択することができる。例えば、ユーザが横方向筋かいオプション・ナンバー1と、基礎ボルトの変更とを選択する別のエントリを作成することができる。これは横方向筋かいオプション・ナンバー2よりも費用が低いが、この組合せは、複合改装措置のためにより高い節約を生み出すことができる。要約すれば、便益表は、改装に費やされる公的資金の便益を最大にするための科学ベースのオプションを政策立案者に提供する。
【0215】
いくつかの例示的実施形態では、便益を再建のためのコストとして測定することができる。しかしながら、再建のためのコストは領域によって変化することがあり、モデルは、領域に基づく重み因子を考慮に入れる。
【0216】
図32は、いくつかの例示的実施形態による、地震によって建築物に対して引き起こされる損害の、建築物改装による違いを推定するための方法3200のフローチャートである。このフローチャート内の様々な操作が順番に提示され、説明されるが、操作の一部またはすべてを異なる順序で実行することができ、組み合わせ、もしくは省略することができ、または並列に実行できることを当業者は理解されよう。
【0217】
操作3202では、データベースがアクセスされ、建築物に対する構造的損害を予測するための現脆弱性関数が取り出される。操作3204では、方法3200は建築物の特徴を識別する。操作3204から、方法3200は、建築物の構造を改善するための改装措置を識別するための操作3206に進み、改装措置がコストに関連付けられる。
【0218】
操作3208では、1つまたは複数のプロセッサが、機械学習プログラムおよび現脆弱性関数を利用して、シミュレートされる地震後の建築物に対する第1の損害を推定する。操作3210では、1つまたは複数のプロセッサは、改装措置および現脆弱性関数に基づいて、建築物についての新しい脆弱性関数を求める。
【0219】
操作3210から、方法3200は、機械学習プログラムおよび新しい脆弱性関数を利用して、シミュレートされる地震後の建築物に対する第2の損害を1つまたは複数のプロセッサによって推定するための操作3212に進む。操作3214では、1つまたは複数のプロセッサは、第1の損害および第2の損害に基づいて、改装の結果として得られる損害の違いを求める。
【0220】
1態様では、方法3200は、シミュレートされる地震の複数のシナリオについての第1の損害および第2の損害を再計算すること、および複数のシナリオから第1の損害および第2の損害を集約して、改装からの予想便益を識別することをさらに含む。
【0221】
いくつかの例では、方法3200は、機械学習プログラムを使用して、シミュレートされる地震後の所定のしきい値より高い崩壊の危険を有する領域内の建築物を1つまたは複数のプロセッサによって識別すること、および識別した建築物についての改装の結果として得られる損害の違いを求めることをさらに含む。
【0222】
いくつかの例では、改装措置は、地震後の建築構造に対する損害の確率を低減する、建築構造に対して行われる変更である。
いくつかの例示的実施形態では、各特徴についての現脆弱性関数は、地震によって引き起こされる構造物が受ける震動に基づいて、特徴が地震後に損害を受ける確率を表現する。
【0223】
いくつかの例では、現脆弱性関数は平均および標準偏差を有し、それぞれの新しい脆弱性関数求めることが、現脆弱性関数の平均を増加させて新しい脆弱性関数を生成することをさらに含む。いくつかの例では、現脆弱性関数の平均の増加は改装措置に基づき、新しい脆弱性関数は、現脆弱性関数よりも低い、シミュレートされる地震によって引き起こされる損害の確率を有する。
【0224】
いくつかの例では、方法3200は、複数の潜在的改装措置についての、シミュレートされる地震についての損害節約を推定すること、および複数の潜在的改装措置についての損害節約を提示することをさらに含む。
【0225】
いくつかの例では、特徴が建築環境特徴、自然環境特徴、または瞬間ライン特徴に分類され、建築環境特徴は、構造物位置、構造物サイズ、構造物価格、構造物が建築された年、構造物の階数、構造物が商業用か、それとも住居用か、構造物の建築物材料、および構造物の煙突の存在または欠如のうちの1つまたは複数を含む。
【0226】
いくつかの例では、方法3200では、それぞれの新しい脆弱性関数を求めることは、2つ以上の事前定義された脆弱性関数の組合せである新しい脆弱性関数を割り当てることをさらに含み、組合せのそれぞれの事前定義された脆弱性関数はそれぞれの重みを有する。
【0227】
本明細書で論じる主題のいくつかの部分は、マシン・メモリ(例えば、コンピュータ・メモリ)内のビットまたはバイナリ・デジタル信号として記憶されたデータに対する操作のアルゴリズムまたは記号表現によって提示することができる。そのようなアルゴリズムまたは記号表現は、データ処理の技術者によって、自分の研究の題材を他の当業者に伝達するために使用される技法の例である。本明細書では、「アルゴリズム」は、所望の結果に至る、首尾一貫した操作または類似の処理のシーケンスである。この文脈では、アルゴリズムおよび操作は、物理量の物理的操作を含む。必須ではないが、通常は、そのような量は、マシンによって記憶し、アクセスし、移送し、組み合わせ、比較し、あるいは操作することのできる電気信号、磁気信号、または光信号の形態を取ることができる。主に一般的な使用法のために、「データ」、「コンテンツ」、「ビット」、「値」、「要素」、「シンボル」、「文字」、「用語」、「番号」、「数字」などの語を用いてそのような信号を参照することがときには好都合である。しかしながら、これらの語は好都合なラベルに過ぎず、適切な物理量に関連付けられるべきである。
【0228】
別段に明記されていない限り、「処理する」、「算出する(computing)」、「決定する」、「提示する」、「表示する」などの語を用いる本明細書の議論は、1つまたは複数のメモリ(例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、またはそれらの任意の適切な組合せ)、レジスタ、または情報を受け取り、記憶し、送り、もしくは表示する他のマシン構成要素内の物理的(例えば、電気的、磁気的、または光学的)量として表されるデータを操作または変換するマシン(例えば、コンピュータ)の動作または工程を指すことがある。さらに、別段に明記されていない限り、「a」または「an」という用語は、特許文書で一般的であるように、本明細書では1つの実例ではなく、1つまたは複数の実例を含むように用いられる。最後に、本明細書では、接続詞「または」は、別段に明記されていない限り、非排他的「論理和」を指す。
【0229】
本明細書全体にわたって、複数の実例が、単一の実例として説明した構成要素、操作、または構造を実装することができる。1つまたは複数の方法の個々の操作が別々の操作として図示され、説明されるが、個々の操作のうちの1つまたは複数を同時に実施することができ、図示される順序で操作を実施する必要はない。例示的構成で別々の構成要素として提示される構造および機能を、組み合わせた構造または構成要素として実装することができる。同様に、単一の構成要素として提示した構造および機能を別々の構成要素として実装することができる。これらおよび他の変形、修正、追加、および改善は、本明細書の主題の範囲内に包含される。
【0230】
本主題の概要が特定の例示的実施形態を参照しながら説明されるが、本開示の実施形態の広範な範囲から逸脱することなく、これらの例示的実施形態に対して様々な修正および変更を行なうことができる。本主題のそのような例示的実施形態が、単に便宜上のために、本明細書では個々にまたは集合的に「発明」という用語で参照され、実際に複数が開示される場合、本願の範囲を何らかの単一の開示または現在の概念に自発的に限定することは意図されない。
【0231】
本明細書で示される実施形態は、開示される教示を当業者が実施することを可能にするように十分に詳細に説明される。他の実施形態を使用することができ、それから導出することができ、したがって本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行なうことができる。したがって、詳細な説明は限定的な意味に理解されるべきではなく、様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲と、そのような特許請求の範囲に権利が与えられる均等物の全範囲のみによって定義される。