(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
[第1実施形態]
本実施形態では、複数の物品が格納されている倉庫において、オーダに対応する物品を取り出し、当該物品の配送先に仕分けする作業を例に説明する。なお、本実施形態が適用されるのは倉庫に限らず、工場等でもよい。
【0014】
(システムの概略構成)
図1は、第1実施形態に係る物品搬送システムの概略構成を示す図である。
倉庫内に設置された物品搬送システムZには、物品を収納したトレイ(収納部)11が格納された固定棚6が複数設置されている。
【0015】
トレイ搬送車(搬送装置)2は、複数の固定棚6の間を巡回し、トレイ11を取り出し、取り出したトレイ11を順にトレイ搬送車2上に積載して保持する。そして、トレイ搬送車2は、所定のトレイ11をすべて取り出して積載すると、作業ステーションPに移動する。なお、トレイ搬送車2の詳細な構成は後記する。
作業者Opは、作業ステーションPで待機しており、トレイ搬送車2が複数のトレイ11を積載して搬送してくると、コントローラ1から送信された指示に従って所定のトレイ11から、所定の数の物品を取り出すピッキング作業を実施する。作業者Opは、例えば、作業ステーションPに設置されているステーション端末3に表示される内容を参照してピッキング作業を行う。
【0016】
作業者Opは、指示されたピッキング作業がすべて終了するとコントローラ1に作業終了を通知する。例えば、作業者Opはステーション端末3に備えられている作業終了ボタン(不図示)を押下することで、コントローラ1に作業終了を通知する。また、作業者Opが作業終了を通知しなくとも、作業ステーションPに設置したセンサ等から作業終了タイミングを自動的に検知し、コントローラ12に通知してもよい。ここで、センサはバーコードリーダ(不図示)等であり、作業者Opは物品に貼付されているバーコードを、バーコードリーダにかざすことで、バーコードリーダは、どの物品がピッキングされたかを判定する。そして、ピッキング対象となっている物品のすべてがピッキングされると、バーコードリーダが作業終了をコントローラ1に通知してもよい。
【0017】
トレイ搬送車2は、コントローラ1からのピッキング作業終了通知を受け、所定の固定棚6の位置にトレイ11をひとつずつ戻す。トレイ11を戻す位置は、取り出した位置に戻してもよいし、オーダの状況からトレイ11の使用頻度に応じて戻す位置を決定してもよい。また、トレイ搬送車2は、積載したトレイ11をそのまま所定の位置に降ろしてもよい。つまり、トレイ搬送車2は、固定棚6にトレイ11を戻さず、所定の位置に降ろしてもよい。
【0018】
(ハードウェア構成図)
図2は、第1実施形態に係る物品搬送システムのハードウェア構成例を示す図である。適宜、
図1を参照する。
物品搬送システムZは、WMS(Warehouse Management System)4、コントローラ1、トレイ搬送車2及びステーション端末3を有する。
<WMS>
WMS4は、倉庫又は工場内での物品に関するデータと作業に関するデータとを管理する。物品に関するデータには、例えば、物品の識別情報、及び当該物品が格納されたトレイ11の識別情報、固定棚6の位置情報等が登録された物品格納データ等がある。また、作業に関するデータには、例えば、配送先と当該配送先に配送される物品の識別情報との関係等が登録されたオーダ等がある。WMS4は、図示しない入力装置を介して入力されたオーダを基にオーダデータ151を生成して、コントローラ1へ送信する。また、物品格納データをコントローラ1へ送信する。
【0019】
<コントローラ>
コントローラ1は、WMS4から送信されたオーダを管理し、トレイ搬送車2にトレイ11の積載及び搬送の指示を行う。
コントローラ1は、一般的な計算機であり、メモリ101、送受信装置102、CPU(Central Processing Unit)103、入出力装置104及び記憶装置105を有する。メモリ101、入出力装置104、送受信装置102、CPU103及び記憶装置105は、バスを介して相互に接続されている。
CPU103は、各種演算処理を実行する。
記憶装置105は非揮発性の非一時的な記憶媒体であり、各種プログラム及び各種データが記憶される。
メモリ101は揮発性の一時的な記憶媒体である。メモリ101には、記憶装置105に記憶された各種プログラム及び各種データがロードされる。そして、CPU103がメモリ101にロードされた各種プログラムを実行し、メモリ101にロードされた各種データを読み書きする。その結果、メモリ101において、処理部110及び処理部110を構成するデータ受信処理部111、オーダ選択処理部112、トレイ検索部(収納部検索部)113、搬送車選択部(搬送装置選択部)114、経路生成部115、送信処理部116、指示処理部117が具現化している。
【0020】
データ受信処理部111は、WMS4からオーダデータ151を受信し、受信したオーダデータ151を記憶装置105に格納する。また、データ受信処理部111は、WMS4から物品格納データを受信し、受信した物品格納格データを記憶装置105の棚データ152、トレイデータ153、物品データ154として格納する。また、データ受信処理部111は、トレイ搬送車2や、ステーション端末3から送信された情報も受信する。
【0021】
オーダ選択処理部112は、データ受信処理部111で受信したオーダデータ151のうち、作業に使用するオーダをひとつ又は複数選択する。オーダは、受信した順に選択されてもよいし、何らかの基準に基づいて選択されてもよい。
トレイ検索部113は、オーダ選択処理部112で選択したオーダに該当する物品が収納されているトレイ11の位置を、トレイデータ153、棚データ152を検索することで検索する。
【0022】
経路生成部115は、搬送するトレイ11を取り出し、作業ステーションPに向かうトレイ搬送車2の巡回経路(適宜、経路と称する)を生成する。経路は地図データ155に記憶されているトレイ搬送車2が移動する対象エリアの地図座標を用いて検索、管理する。なお、経路は、このような地図座標ではなく、ノード、リンクのID等を用いてもよい。経路は、トレイ搬送車2が、ピッキング対象となっている、すべてのトレイ11格納位置にアクセスし、かつ最短の経路を求める。このような最短の経路は、例えば巡回セールスマン問題を解く組み合わせ最適化法を用いて求めることができる。
送信処理部116は、経路生成部115で作成した搬送順に基づく経路や、搬送するトレイ11に関する情報を指示として作成し、トレイ搬送車2に送信する。
また、送信処理部116は、WMS4や、ステーション端末3へも情報を送信する。
指示処理部117は、トレイ搬送車2が作業ステーションPに到着したときに送信する到着通知をコントローラ1が受信すると、オーダの識別情報、トレイ11の識別情報等を含むピッキング指示データを生成する。ピッキング指示データは、送信処理部116によってステーション端末3へ送信される。
【0023】
記憶装置105には、オーダデータ151、棚データ(記憶部)152、トレイデータ153、物品データ154及び地図データ155等が格納されている。
オーダデータ151は、WMS4によって生成され、送信されたピッキングのオーダに関するデータであり、配送される物品の識別情報、配送される物品の個数、配送先に関する情報等が登録される。
棚データ152は、倉庫内における固定棚6の位置や、トレイ11が格納されている位置に関するデータ等が登録される。
トレイデータ153は、個々のトレイ11の構造や、そのトレイ11に格納されている物品に関するデータ等が登録される。
物品データ154は、個々の物品に関するデータ等が登録される。
地図データ155は、トレイ搬送車2が走行する領域(ここでは倉庫)の地図に関するデータである。
【0024】
なお、オーダデータ151、棚データ152、トレイデータ153及び物品データ154については後記する。
また、本実施形態では、WMS4から送信される物品格納データを基に、オーダデータ151、棚データ152、トレイデータ153及び物品データ154が生成されるとしているが、これらのデータが、予め、コントローラ1の記憶装置105に格納されていてもよい。
【0025】
送受信装置102は、WMS4との間でデータを通信するインタフェースや、ステーション端末3との間でデータを通信するインタフェース等を有する。さらに、送受信装置102は、トレイ搬送車2との間でデータを通信するインタフェースも有する。なお、コントローラ1とWMS4及びステーション端末3とは、有線で接続されても無線で接続されてもよい。コントローラ1とトレイ搬送車2とは無線で接続されるものとする。
【0026】
<トレイ搬送車>
トレイ搬送車2は、コントローラ1から受信した指示に従って移動し、所定のトレイ11を固定棚6から取り出し、トレイ11を積載して搬送する。トレイ搬送車2は、指示されたすべてのトレイ11を取り出し終わると、作業ステーションPに移動する。トレイ搬送車2は、作業ステーションPに到着すると、到着通知をコントローラ1に送信する。
【0027】
トレイ搬送車2は、メモリ201、送受信装置202、CPU203、及び記憶装置204を有する。メモリ201、送受信装置202、CPU203及び記憶装置204は、バスを介して相互に接続されている。
CPU203は、各種演算処理を実行する。
記憶装置204は非揮発性の非一時的な記憶媒体であり、各種データが記憶される。
メモリ201は揮発性の一時的な記憶媒体である。メモリ201では、CPU203によって各種プログラムが実行され、各種データが読み書きされる。その結果、メモリ201において、処理部210及び処理部210を構成する移動制御部211、到着通知部212、取出制御部213、回転制御部214が具現化している。
【0028】
移動制御部211は、コントローラ1から送信された指示(経路)に従って、トレイ搬送車2を移動させる。
到着通知部212は、トレイ搬送車2が作業ステーションPに到着すると、トレイ搬送車2が作業ステーションPに到達した旨の情報である到着通知をコントローラ1へ送信する。
取出制御部213は、後記する取出装置22(
図3)を制御する。
回転制御部214は、後記する回転部271(
図14)を制御する。なお、トレイ搬送車2が回転部271を有さない場合、回転制御部214は省略されてもよい。
【0029】
記憶装置204には、コントローラ1から送信された指示に含まれている経路データ241や、経路データ241と自己位置とをマッチングするための地図データ242を有している。
【0030】
<ステーション端末>
ステーション端末3は、指示処理部117から受信したピッキング指示データに基づいて、該当トレイ11の位置から所定の数の物品を取り出す指示を表示装置304に表示する。作業者Opは表示装置304に表示されている指示に基づき物品のピッキング作業を実施する。ピッキング作業が終了すると、ステーション端末3はコントローラ1に作業終了通知を送信する。
【0031】
ステーション端末3は、メモリ301、送受信装置302、CPU303、表示装置304及び読取装置305を有する。メモリ301、送受信装置302、CPU303、表示装置304及び読取装置305は、バスを介して相互に接続されている。
CPU303は、各種演算処理を実行する。
メモリ301は揮発性の一時的な記憶媒体である。メモリ301では、CPU303によって各種プログラムが実行され、各種データが読み書きされる。この結果、処理部310及び処理部310を構成する表示処理部311、作業監視部312、通知部313が具現化している。
【0032】
表示処理部311は、コントローラ1から送信されたピッキング指示データに基づいて、ピッキング指示を表示装置304に表示させる。
作業監視部312は、読取装置305で読み取られた情報を基に、ピッキング作業の進捗度合いを監視する。
通知部313は、ピッキング作業が終了すると、作業終了通知をコントローラ1へ送信する。
【0033】
表示装置304は、作業者Opに対するピッキング指示を表示する。
読取装置305は、バーコードリーダや、RFIDリーダ等であり、物品に貼付されているバーコードや、RFIDタグの情報を読み取る。
【0034】
<トレイ搬送車の詳細な構成>
図3は、本実施形態に係るトレイ搬送車の外観例を示す図である。
トレイ搬送車2は、本体部21、取出装置22、格納部23を有している。本体部21の下部には、車輪が設置されており、前進、後進、方向転換等が可能である。
取出装置22は、固定棚6からトレイ11を取り出し、取り出したトレイ11を本体部21に設置されている格納部23に格納する。取出装置22の詳細は後記する。
【0035】
図4は、取出装置の具体的な構成例の一を示す図である。
図4に示すように、取出装置22は、上下伸縮部251、アーム部252及びキャッチャ部253を有している。
上下伸縮部251は、
図4に示すように、トレイ搬送車2の本体部21に回転可能に設置されており、例えば、内部に備えられている多段油圧シリンダで伸縮する多段伸縮シリンダであり、垂直方向(図中Z方向)に伸縮可能である。なお、上下伸縮部251は、この構成に限らない。
アーム部252は、上下伸縮部251の上部に設置され、例えば、
図4に示すような機構によって水平方向(図中X方向)に伸縮可能となっている。なお、アーム部252の伸縮機構は、
図4に示すような機構に限らず、直動ガイドレール機構等が用いられてもよい。
アーム部252の先端には、フォーク式のキャッチャ部253が取り付けられている。
【0036】
図5は、本実施形態に係るトレイの具体的な構成例の一を示す図である。
トレイ11には収納部601の左右の面にツメ602が設けられている。そして、このツメ602を前記したロボットハンドの先端にフォーク式のキャッチャ部253が引っ掛けることで、トレイ11を移動することを実現している。
また、トレイ11には前面、及び背面にフック603が設けられている(
図5において、背面のフック603は隠れている)。さらに、さらに、トレイ11の底部には凹型のへこみ部604が設けられている。フック603及びへこみ部604の用途については後記する。
なお、トレイ11にはフック603、ツメ602、へこみ部604を全て備える必要はなく、それぞれの構成を1つ、又は複数備える構成を採用することも可能である。
なお、トレイ11には、上部に蓋がついていないことを想定しているが、蓋が付いていてもよい。
【0037】
なお、トレイ11の面611は、矢印612の方向に開閉可能であり、作業者Opは面611を開けることで、トレイ11の中に入っている物品を取り出す。面611に対面する面613も同様に開閉可能である。ちなみに、
図1等では図が煩雑になるのを避けるため、面611が開閉可能となる構造については図示省略してある。
【0038】
次に、
図4と、
図5とを参照して、
図4に示す取出装置22によるトレイ11の運搬について説明する。
図4に示すように、アーム部252の先端にフォーク式のキャッチャ部253が取り付けられている。取出装置22は、上下伸縮部251による図中Y方向への回転、及び、上下伸縮部251及びアーム部252の伸縮により、キャッチャ部253をトレイ11の左右の面に設けられたツメ602(後記)の下部に差し入れる。その後、取出装置22は、上下伸縮部251を伸長させることで、トレイ11を持ち上げ、その後、アーム部252が縮退することで、トレイ11が固定棚6から引き出される。引き出したトレイ11をトレイ搬送車2の格納部23に格納する際には、トレイ11が引き出されるときの動作と反対の動作が行われる。
【0039】
<データ構成>
(オーダデータ)
図6は、本実施形態に係るオーダデータの例を示す図である。
オーダデータ151は、オーダID、物品ID、ピッキング個数及び配送先等の各欄を有している。
オーダIDは、オーダが生成されたときにWMS4によって付与されるオーダの識別情報である。
物品IDは、物品毎に付与されている識別情報である。
ピッキング個数は、ピッキングされる個数である。
配送先は、ピッキングされた物品の配送先である。
【0040】
(棚データ)
図7は、本実施形態に係る棚データの例を示す図である。
棚データ152は、棚ID、棚位置ID、トレイ位置及びトレイIDの各欄を有している。トレイ位置、トレイIDは、対の情報となっており、この対の情報が棚IDに対して複数格納されている。
棚IDは、固定棚6毎に付与されている識別情報である。
棚位置IDは、倉庫内における固定棚6の位置を示す識別情報である。棚位置IDは、図示しない棚位置データ等で座標と一対一に対応付けられているため、棚位置IDが定められると、倉庫内における固定棚6の位置も定まる。なお、棚位置IDと対応付けられる座標とは、固定棚6の中央部の座標が考えられるが、この他の部分の座標が用いられてもよい。
【0041】
トレイ位置はトレイ11が格納されている固定棚6における間口の位置を示し、トレイIDはトレイ11毎に付与されている識別情報である。例えば、トレイID「tr11」を有するトレイ11のトレイ位置は、棚ID「A1」を有する固定棚6の下から1段目、向かって左から1つ目の間口に格納されている(トレイ位置「1−1」)。同様に、トレイID「tr23」を有するトレイ11のトレイ位置は、棚ID「A1」を有する固定棚6の下から1段目、向かって左から2つ目の間口に格納されている(トレイ位置「1−2」)。
【0042】
(トレイデータ)
図8は、本実施形態に係るトレイデータの例を示す図である。
トレイデータ153は、トレイID、トレイ重量、縦サイズ、横サイズ、奥行きサイズ、物品ID及び個数の各欄を有している。
トレイIDは、トレイ11毎に付与されている識別情報である。
トレイ重量は、トレイ11の重量(中に格納されている物品の重量を含まない)である。
縦サイズは、トレイ11の縦方向(
図5のZ軸方向)の長さである。
横サイズは、トレイ11の横方向(
図5のX軸方向)の長さである。
奥行きサイズは、トレイ11の奥行き方向(
図5のY軸方向)の長さである。
物品IDは、該当するトレイ11に格納されている物品を示す識別情報である。
個数は、該当するトレイ11に格納されている物品の個数である。
例えば、トレイID「tr1」を有するトレイ11には、物品ID「st34」で示される物品が55個格納されている。
【0043】
(物品データ)
図9は、本実施形態に係る物品データの例を示す図である。
物品データ154は、物品に付与される識別情報である物品IDと、その物品の重量との各欄を有している。
なお、第1実施形態では、トレイデータ153のトレイ重量、縦サイズ、横サイズ、奥行きサイズの各欄及び物品データ154が省略されてもよい。
【0044】
(フローチャート)
図10は、第1実施形態に係るピッキングシステムにおける処理の手順を示すフローチャートである。適宜、
図1〜
図9を参照する。
まず、WMS4がオーダデータ151を送信し(S101)、コントローラ1のデータ受信処理部111がオーダデータ151を受信する(S102)。データ受信処理部111は、受信したオーダデータ151を記憶装置105に格納する。物品格納データは、予めWMS4から送信され、棚データ152、トレイデータ153、物品データ154として格納される。
次に、オーダ選択処理部112が、オーダデータ151の中から1つのオーダを選択する(S103)。具体的には、オーダ選択処理部112は記憶装置105のオーダデータ151から未処理のオーダレコードを1つ又は複数取得する。前記したように、オーダは、受信した順に選択されてもよいし、何らかの基準に基づいて選択されてもよい。なお、選択されるオーダの数は、格納部23の棚数等である。
次に、トレイ検索部113が、トレイデータ153、棚データ152を検索して、ピッキング対象のトレイ11の位置(トレイ位置)を検索する(S104)。
【0045】
トレイ位置の抽出は以下の手順で行われる。
(A1)まず、トレイ検索部113は、ステップS103で選択したオーダ(オーダレコード)からピッキング対象の物品IDを取得する。
(A2)次に、トレイ検索部113は、(A1)で取得した物品IDをキーとして、トレイデータ153を検索して、ピッキング対象となっている物品を収納しているトレイ11のトレイIDを取得する。
(A3)そして、トレイ検索部113は、(A2)で取得したトレイIDをキーとして、棚データ152を検索し、棚位置IDと、トレイ位置を取得する。
このとき、ひとつの種類の物品が複数のトレイ11に分かれて格納されている場合、対象トレイ検索部113は、該当する物品が格納されているすべてのトレイ11の位置及びトレイ11の識別情報を検索する。
【0046】
次に、オーダ選択処理部112は、すべてのオーダについて、トレイ位置の検索を完了したか否かを判定する(S105)。
ステップS105の結果、すべてのオーダについて、トレイ位置の検索を完了していない場合(S105→No)、オーダ選択処理部112はステップS103へ処理を戻す。
【0047】
ステップS105の結果、すべてのオーダについて、トレイ位置の検索を完了している場合(S105→Yes)、搬送車選択部114は、取得した棚位置IDを基に、トレイ搬送車2を選択する(S111)。このとき選択されるトレイ搬送車2は、取得されたトレイ位置に最も近いところを走行し、かつ、固定棚6を搬送中ではないトレイ搬送車2である。なお、コントローラ1は、トレイ搬送車2の位置を常に把握している。
【0048】
次に、経路生成部115は、ステップS111で選択したトレイ搬送車2の位置、棚位置ID及びトレイ位置を基に、経路を生成する(S112)。このとき、経路生成部115は、ピッキング対象となるトレイ11をすべて巡回し、かつ、経路距離が最短となるよう経路を生成する。
そして、送信処理部116は、ステップS111で選択したトレイ搬送車2に経路データ241を送信すると共に、オーダID、棚位置、トレイ位置を組とした搬送車制御情報を送信する(S113)。なお、棚位置は、前記したように棚位置IDをキーとして、図示しない棚位置データを検索することで取得される。
経路データ241、搬送車制御情報を受信したトレイ搬送車2の移動制御部211は、経路データ241に従って走行しながら、搬送車制御情報に含まれる棚位置、トレイ位置にてトレイ11を積載しつつ、作業ステーションPへ移動する(S114)。
【0049】
トレイ搬送車2の移動制御部211は、自身が作業ステーションPに到着したか否かを判定する(S115)。ステップS115の処理は公知の技術であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
ステップS115の結果、作業ステーションPに到着していない場合(S115→No)、移動制御部211はステップS114に処理を戻し、トレイ搬送車2は移動を続ける。
【0050】
ステップS115の結果、作業ステーションPに到着した場合(S115→Yes)、到着通知部212がコントローラ1へ到着通知を送信する(S121)。到着通知には、オーダID等が含まれている。
到着通知を受信したコントローラ1の指示処理部117は、到着通知に含まれているオーダIDをキーとして、オーダデータ151、トレイデータ153を検索し、オーダID、トレイID、物品ID、ピッキング個数等が組となったピッキング指示データを生成する(S122)。
そして、送信処理部116は、生成したピッキング指示データをステーション端末3へ送信する(S123)。
【0051】
ピッキング指示データを受信したステーション端末3の表示処理部311は、表示装置304にトレイID、物品ID、ピッキング個数といったピッキング情報を表示する(S124)。ステップS124は、表示処理部311は、格納部23におけるピッキング対象のトレイ11の位置を表示装置304に表示させてもよい。このような情報は、以下のようにして管理できる。すなわち、トレイ搬送車2の格納部23における各間口に識別情報を予め付しておく。コントローラ1の処理部110は、トレイ搬送車2の格納部23において、どの間口に、どのトレイ11を格納するかを決めておく。すなわち、処理部110は、トレイIDと、格納部23の間口の識別情報をひも付けて記憶しておく。この情報が、ステーション端末3へ送られることで、ステーション端末3の表示処理部311が、格納部23におけるピッキング対象のトレイ11の位置を表示装置304に表示させることができる。
作業者Opは、表示装置304の表示に従ってピッキングを行う。
【0052】
ステーション端末3の作業監視部312は、すべてのピッキングが終了したか否かを判定する(S125)。
例えば、作業監視部312は、以下の手順にて作業を監視する。ステーション端末3には、
図2で示すように、バーコードリーダや、RFIDリーダ等の読取装置305が設置されている。作業者Opは、ピッキング対象の物品をピッキングする毎に、物品に貼付されているバーコードや、RFIDタグを読取装置305にあてる。作業監視部312は、送信された物品に関する情報を基に、どの物品がどの数だけピッキングされたかを管理する。
【0053】
ステップS125の結果、すべてのピッキングが終了していない場合(S125→No)、作業監視部312はステップS125へ処理を戻す。
ステップS125の結果、すべてのピッキングが終了している場合(S125→Yes)、ステーション端末3の通知部313が作業終了通知をコントローラ1へ送信する(S131)。作業終了通知には、作業が終了したオーダのオーダID等が含まれている。
【0054】
作業終了通知を受信したコントローラ1の送信処理部116は、作業終了通知をWMS4へ送信する(S132)。作業終了通知を受信したWMS4はステップS101へ処理を戻り、新たなオーダデータ151をWMS4から受信する。
【0055】
なお、ステップS112及びステップS113の処理は、所定時間毎に行われてもよい。また、オーダ選択処理部112は、ステップS103において、トレイデータ153及び物品データ154を参照して、搬送するトレイ11の重量が所定の重量を超えないよう、オーダを選択してもよい。
【0056】
図11は、
図10の処理によって生成された経路の例を示す図である。
トレイ搬送車2は、固定棚6aに格納されているトレイ11A、固定棚6bに格納されているトレイ11B、固定棚6cに格納されているトレイ11C、格納6dに格納されているトレイ11D及びトレイ11Eを順に取り出す。その後、取出したトレイ11A〜11Eを積載して作業ステーションPに搬送する。ここで、コントローラ1は、待機しているトレイ搬送車2から最も近いトレイ11Aを最初の取出対象とし、次にトレイ11Aからから最も近い(距離が最も短くなる)トレイ11Bを次の巡回先とする。そして、コントローラ1は、同様に、トレイ11Bから距離の近いトレイ11Cを取出対象とし、以下、同様にトレイ11C→トレイ11D→トレイ11Eの順にトレイ搬送車2が巡回するよう経路
901を生成する。
【0057】
(トレイ搬送車における各機構の変形例)
図12は、第1実施形態における取出装置の他の変形例を示す図である。
図12における取出装置22bは、上下伸縮部251、テレスコピックアーム252bを有している。
上下伸縮部251は、
図4に示す機構と同様であるので、ここでの説明を省略する。
テレスコピックアーム252bは各アーム281A,281B,281Cを有している。このうち、アーム281A,281Bの上部には、例えば、ピニオンギアが設けられており、このピニオンギアと噛み合うラックギア(不図示)がアーム281B,281Cの下部に備えられている。そして、ピニオンギアが回転することにより、テレスコピックアーム252bが図中X方向に直線的に伸縮する。ここでは、テレスコピックアーム252bが3段のアーム281A,281B,281Cを有する構造であるが、3段に限らない。
【0058】
次に、
図5と
図12とを参照して、
図12における取出装置22bによるトレイ11の運搬について説明する。
図5に示すように、トレイ11には前面、及び背面にフック603が設けられている(
図5において、背面のフック603は隠れている)。
図5に示すトレイ11の下部に設けられているへこみ部604に、
図12に示すテレスコピックアーム252bが上下、前後に移動されることで差し入れられる。その後、上下伸縮部251が伸長されることで、トレイ11が持ち上げられ、その後、テレスコピックアーム252bが縮退することで、トレイ11が固定棚6から引き出される。引き出したトレイ11をトレイ搬送車2の格納部23に格納する際には、トレイ11が引き出されるときの動作と反対の動作が行われる。
【0059】
図13は、第1実施形態における格納部の他の変形例の一を示す図である。
図13に示す格納部23Aは、固定棚6の幅に設けられた2つの枠に複数のツメ部261が枠の内側に向けて設けられている。このツメ部261で、
図5に示すトレイ11のツメ602が支えられることで、格納部23Aはトレイ11を格納する。
【0060】
図14は、第1実施形態に係るトレイ搬送車の構成例の一を示す図である。
図14において、
図3と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示すトレイ搬送車2Aは、
図3の格納部23Bの下部に回転部271が設けられている。トレイ搬送車2Aが、作業ステーションP(
図1)に到着すると、この回転部271が回転することにより、格納部23Bの取出し口が作業者Opの方向に向けられる。トレイ搬送車2Aの処理部210が、自身がどちらに向いているかを検知することは容易であるので、回転制御部214がどの程度、回転部271を回転させるかを算出することは容易である。
なお、トレイ11のフック603は、
図14に示すように面611を開閉させる際の取っ手にもなる。
【0061】
図14に示す構成とすることで、トレイ搬送車2Aが作業ステーションPに到着すると、トレイ11の取出し口を作業者Opのいる方向に向けることが可能となるので、ピッキング作業の効率を向上させることができる。
【0062】
また、
図14に示すトレイ搬送車2Aでは、格納部23Bが直方体の形を有しており、その側面それぞれにトレイ11の取出口が備えられている。取出装置22が格納部23Bにトレイ11を格納する際には、回転部271が格納部23Bを回転させることで、それぞれの側面に設けられている取出口へトレイ11を順に格納する。また、作業者Opがトレイ11を取り出す際には、回転部271が格納部23Bを回転させることで、それぞれの側面に設けられている取出口からトレイ11が順に取り出される。
このようにすることで、トレイ搬送車2Aが、
図1に示すトレイ搬送車2より多くのトレイ11を搬送することができる。
なお、
図14では、格納部23Bの形状を直方体の形を有しており、その側面それぞれにトレイ11の取出口が備えられている形としたが、これに限らず、
図3に示すような格納部23を有してもよい。
【0063】
前記したように、格納部23Bの各間口に予め識別情報を付しておくことで、どのトレイ11が、どの間口に格納されているかが管理される。この情報が、トレイ搬送車2へ送信されることで、トレイ搬送車2の回転制御部214(
図2)は、回転部271をどの程度回転させるかを決定することができる。
【0064】
図15は、第1実施形態に係るトレイ搬送車の別の構成例の一を示す図である。
図15に示すトレイ搬送車2Bの格納部23Cは、例えば、ポール267に対して、2段のテレスコピックアーム264が上下方向(Z軸方向)に複数備えられている。縮退状態にある各テレスコピックアーム264上に固定棚6から取り出されたトレイ11が載置される。トレイ11がテレスコピックアーム264上に載置された状態で、トレイ搬送車2Bは、作業ステーションPに向かう。トレイ搬送車2Bが作業ステーションPに到達すると、作業者Opのいる方向へテレスコピックアーム264が伸長することで、トレイ11が作業者Opに差し出される。
なお、トレイ11が載置される箇所は、
図15のようなテレスコピックアーム264ではなく、単なる板状のものとしてもよい。
【0065】
図15に示す構成とすることで、トレイ搬送車2Bが作業ステーションPに到着すると、トレイ11が作業者Opに差し出されるので、ピッキング作業の効率を向上させることができる。
ポール267は回転可能に備えられており、トレイ搬送車2Dが作業ステーションPに到着すると、ポール267が回転し、テレスコピックアーム264上のトレイ11の取り出し口が作業者Opの方向に向くようにする。
図15では、ポール267が回転して、トレイ11の取り出し口が作業者Opの方向に向いている状態を示している。
【0066】
図16は、第1実施形態に係るトレイ搬送車の別の構成例を示す図である。
図16に示すトレイ搬送車2Cにおける取出装置22aは、上下伸縮部251、アーム部252a及びキャッチャ部253aを有している。
上下伸縮部251は、
図4に示す機構と同様であるので、ここでの説明を省略する。
アーム部252aは棒状の形状を有しており、上下伸縮部251の上部内部に設置されているステッピングモータ等でアーム部252aが図中X軸方向に直線的に伸縮する。なお、アーム部252aは
図16に示す構造に限らず、
図4に示すような機構等でもよい。
アーム部252aの先端に取り付けられているキャッチャ部253aはフックとなっている。
また、格納部23Dは、ポール263に複数のフック262が設けられている構成を有している。
【0067】
ここで、
図5と
図16とを参照して、
図16に示す取出装置22aの動作について説明する。
図16に示す、キャッチャ部253aのフックが、
図5に示すトレイ11のフック603にひっかけられた後、上下伸縮部251が伸長することで、トレイ11が持ち上げられる。その後、アーム部252aが縮退することで、トレイ11が固定棚6から引き出される。引き出したトレイ11をトレイ搬送車2Cの格納部23Dに格納する際には、トレイ11が引き出されるときの動作と反対の動作が行われる。
また、ポール263は回転可能に備えられており、トレイ搬送車2Cが作業ステーションPに到着すると、ポール263が回転し、ピッキング対象のトレイ11が作業者Opの方向に向くようにする。
【0068】
格納部23Dの各フック262に予め識別情報を付しておくことで、どのトレイ11が、どの間口に格納されているかが管理される。この情報が、トレイ搬送車2へ送信されることで、トレイ搬送車2の回転制御部214(
図2)は、ポール263をどの程度回転させるかを決定することができる。
【0069】
図16に示す構成とすることで、トレイ搬送車2Cが作業ステーションPに到着すると、ピッキング対象のトレイ11が作業者Opのいる方向に向けられるので、ピッキング作業の効率を向上させることができる。
また、
図16に示すように、ポール263の周方向にいろいろな方向にフック262が設けられている。このようにすることで、作業ステーションPにトレイ搬送車2Cが移動した際に、このポール263を回転させることで作業者Opがトレイ11中の商品をピッキングすることを容易にしている。
【0070】
第1実施形態によれば、トレイ搬送車2はコントローラ1の指示に従って固定棚6から複数のトレイ11を取り出し、そのトレイ11をまとめて作業ステーションPに搬送する。これにより、作業ステーションPにおいて作業者Opは一度の搬送で搬送されてきたトレイ11から、該当物品を多数取り出すことができ、作業者Opのピッキング効率を向上させることができる。
【0071】
第1実施形態に係る物品搬送システムZによれば、ピッキング作業に必要なトレイ11だけを搬送することができることから、特許文献2に記載の技術のように無駄なトレイ11を運ぶことがなくなる。このため、全体的なトレイ搬送車2の移動距離を減らすことができ、トレイ搬送車2の稼働効率を向上させることができる。また、トレイ搬送車2の数を減らすことができ、コストを削減することも可能となる。
【0072】
また、特許文献1の技術では、初期に設計した棚の位置や、棚の段数を変更する等といったレイアウトの変更が困難である。これに対して、第1実施形態に係る物品搬送システムZによれば、棚データ152、トレイデータ153、物品データ154のデータを変更するだけで、初期に設計した固定棚6の位置や、固定棚6の段数を変更する等といったレイアウトの変更を容易に行うことができる。
【0073】
さらに、第1実施形態に係る物品搬送システムZによれば、ピッキングに必要なトレイ11のみを搬送することができるため、特許文献2に記載の技術のように棚毎搬送するシステムよりも、1回の搬送で可能なピッキング量を増加させることができる。このため、第1実施形態に係る物品搬送システムZは、作業効率を向上させることができる。
【0074】
[第2実施形態]
(トレイ搬送車)
図17は、第2実施形態に係るトレイ搬送車の構成例を示す図である。なお、
図17において、
図3と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、トレイ11に蓋がついており、トレイ11を積重させることができる場合について記載する。
トレイ搬送車2Fは、
図3における格納部23を有しておらず、代わりに、トレイ11を積重させる積重部291を有している。
なお、トレイ搬送車2Fの取出装置22におけるキャッチャ部253は、トレイ11の幅に応じて、フォークの幅を変えることができるが、ここでは、その機構についての図示及び具体的な説明を省略する。
【0075】
第2実施形態における物品搬送システムZのハードウェア構成は、経路生成部115が以下の処理を行うこと以外は
図2に示すハードウェア構成図と同様である。
第2実施形態において経路生成部115は、トレイ検索部113で検索した複数のトレイ11を積重した場合、トレイ搬送車2に搭載可能な高さ以下であるか判定を行う。また、経路生成部115トレイ11同士の積重が可能な順を判定する。例えば、小さなトレイ11の上部には大きなトレイ11を積重することができない、等のあらかじめ定めたルールに基づく。経路生成部115は、トレイ11の積重順を判定するが、複数の積重パターンがあれば、すべて列挙する。そして、経路生成部115は、列挙された積重パターンから適当なひとつのパターンを選択する。なお、トレイ11のサイズが同じものが複数含まれていれば、同じサイズのどのトレイ11を上又は下にしてもよいので、すべての重ね順を列挙する。このように、第2実施形態において、経路生成部115は、トレイ11の取り出し順も計算して積重していくよう、経路を生成する。
以下、
図18を参照して、経路生成部115の具体的な処理を説明する。
【0076】
(フローチャート)
図18は、第2実施形態に係るピッキングシステムの経路生成に係る処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図18は、
図10のステップS112の処理を詳細に説明するものである。適宜、
図2、
図7〜
図9を参照する。
まず、経路生成部115は、ピッキング対象となっているトレイ11に優先順位を付加する(S201)。このとき、経路生成部115は、サイズの大きなトレイ11の優先順位を高くし、小さなトレイ11の優先順位を低くする。あるいは、経路生成部115は、重いトレイ11の優先順位を高くし、サイズの小さなトレイ11の優先順位を低くする。トレイ11のサイズと、トレイ11の重量とのどちらの優先順位を高くするかは、管理者等が設定可能であるが、ここでは、トレイ11のサイズの優先順位を重量より高くすることとする。また、経路生成部115は、トレイ11のサイズの優先順位と、重量の優先順位とを乗算した値をトレイ11の優先順位としてもよい。
【0077】
そして、経路生成部115は、優先順位を基に経路を生成する(S202)。ここで、経路生成部115は、各トレイ11が格納されている固定棚6(トレイ11の格納場所)を中継地点とする。そして、優先順位の高いトレイ11の格納場所から順に巡回する経路を作成する。
このとき、経路生成部115は、トレイデータ153を参照し、優先順位の高い順からトレイ11を選択するたびに、選択されたトレイ11の高さを累積加算する。そして、経路生成部115は、累積加算の結果が所定の閾値を超えると、現在選択されているトレイ11の前に選択されたトレイ11までを積重対象とする。このようにすることで、経路生成部115は、過積重を防止することができる。
【0078】
なお、同じ優先順位のトレイ11が存在する場合、経路生成部115は、以下のように、すべての経路を作成する。例えば、同じ優先順位のトレイ11「A」、「B」、「C」があり、トレイ11「A」〜「C」より優先順位の低いトレイ11「D」が存在する場合、以下の6通りの経路を作成する。
(1)A→B→C→D (2)A→C→B→D (3)B→C→A→D (4)B→A→C→D (5)C→A→B→D (6)C→B→A→D
【0079】
その後、経路生成部115は、経路を決定する(S203)。ここで、経路生成部115は、前記(1)〜(6)のように複数の経路が生成された場合、最も作業ステーションPまでの距離が短い経路を選択することで、経路を決定する。ここで、サイズ順でトレイ11を積重することを想定しているが、重量順でトレイ11を積重する場合でも同様の処理で経路を生成することができる。
【0080】
図19は、第2実施形態に係る経路生成処理で生成された巡回経路を示す図である。
固定棚6aには一番サイズの大きいトレイ11Fが格納されている。また、固定棚6bには最も小さいサイズのトレイ11Jが格納されている。固定棚6cには、トレイ11Fの次にサイズの大きいトレイ11Gが格納されている。そして、固定棚6dには、最も小さいサイズのトレイ11Iと、トレイ11Iの次にサイズの小さいトレイ11Hが格納されている。つまり、各トレイ11の大きさは、トレイ11F>トレイ11G>トレイ11H>トレイ11I=トレイ11Jの順となっている。
【0081】
経路生成部115は、トレイデータ153の縦サイズ、横サイズ及び奥行きサイズの欄を参照して、トレイ11F〜11Jのサイズを比較し、最もサイズの大きいトレイ11Fから取り出すよう経路を設定する。次に、経路生成部115は、トレイ11Fの次にサイズの大きいトレイ11Gを取り出すよう経路を設定する。そして、経路生成部115はトレイ11Gの次にサイズの大きいトレイ11Hを取り出すよう経路を設定する。トレイ11I及びトレイ11Jのサイズは、同じであるので、経路生成部115は、トレイ11I→トレイ11Jの経路及びトレイ11J→トレイ11Iの経路の両方を生成する。そして、経路生成部115は、作業ステーションPまでの経路の距離が最も短くなるトレイ11Iを先に取り出すトレイ11とする。つまり、経路生成部115は、トレイ11I→トレイ11Jの経路を選択する。
この結果、経路
902が経路生成部115によって生成される。
【0082】
なお、第2実施形態では、トレイ11の重量が、トレイデータ153に格納されているトレイ重量と、トレイデータ153と物品データ154から算出される物品の総重量とから求められるものとしているが、これに限らない。例えば、固定棚6の各間口に重量検知器が備えられ、これによってトレイ11の重量が測定されてもよい。
【0083】
トレイ11を積重させる場合において、サイズの小さいトレイ11の上部にサイズの大きいトレイ11を設置することは、バランスの面から困難である。第2実施形態によれば、トレイ11のサイズによって、固定棚6から取り出す順番を決定し、さらに複数のトレイ11を積重することで、移動の効率化を行うことができる。
つまり、トレイ搬送車2Fが、
図3に示すような格納部23にトレイ11を格納するのではなく、トレイを積重することにより、トレイ11を搬送する際には、搬送中にトレイ11がくずれないよう、トレイ11を積重する必要が生じる。本実施形態に係る物品搬送システムZによれば、トレイ11を大きい順もしくは重い順に積重するので、搬送中にトレイ11がくずれることを防止することができる。
【0084】
[第3実施形態]
図20は、第3実施形態に係る物品搬送システムの概略構成を示す図である。
第3実施形態では、取出装置22を有していない搬送ユニット7を利用することで、作業効率を向上させることを目的とする。
図20において、
図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
物品搬送システムZaにおいて、トレイ搬送車2は、ひとつ又は複数の搬送ユニット7を接続している。なお、トレイ搬送車2は搬送ユニット7を接続せず、単独で移動してもよい。搬送ユニット7は、取出装置22を有しておらず、上部にトレイ11が搭載可能な格納部23を有している。つまり、搬送ユニット7は、取出装置22を有していない以外はトレイ搬送車2と同様の構成を有している。搬送ユニット7は、図示しない連結器等によってトレイ搬送車2と物理的に連結可能である。トレイ搬送車2と、搬送ユニット7とが物理的に接続されている場合、動力はトレイ搬送車2が有するものとする。
トレイ搬送車2は、固定棚6からトレイ11を取り出すと、各搬送ユニット7の格納部23に積載する。積載方法は、第1実施形態と同様である。つまり、トレイ搬送車2は、取出装置22を用いて、トレイ11を搬送ユニット7、トレイ搬送車2に積載していく。
【0085】
このように、第3実施形態によれば、トレイ搬送車2と搬送ユニット7とが連携することにより、第1実施形態に示す物品搬送システムZより、一度に多くのトレイ11を搬送することが可能となる。
また、搬送ユニット7は、独立に駆動装置を有していてもよく、トレイ搬送車2に追随して移動するようにしてもよい。この場合、搬送ユニット7はトレイ搬送車2と物理的に連結していても、連結していなくてもよい。
【0086】
第3実施形態によれば、第1実施形態の物品搬送システムZより作業の効率を向上させることができる。つまり、第1実施形態に示す物品搬送システムZより多くのトレイ11を一度に搬送することができるため、トータルの作業者Opの待ち時間を減らすことができ、第1実施形態の物品搬送システムZより作業の効率を向上させることができる。
また、搬送ユニット7には取出装置22を設置する必要がないため、すべてを取出装置22を備えたトレイ搬送車2とするよりコストを抑えることができる。
【0087】
なお、トレイ11が蓋を有していることで、積重可能である場合、搬送ユニット7を第2実施形態のトレイ搬送車2Fから取出装置22を除いた構成としてもよい。この場合、コントローラ1は第2実施形態と同様の経路生成し、順にトレイ搬送車2F及び搬送ユニット7にトレイ11を積重していくことで、サイズ順に積重して搬送することが可能となる。
例えば、コントローラ1の経路生成部115は、まず、サイズが大きい等、優先順位の高いトレイ11を搬送ユニット7及びトレイ搬送車2Fに積重するよう経路を生成する。そして、サイズが中くらいのトレイ11を搬送ユニット7及びトレイ搬送車2Fに積重するよう経路を生成する。最後に、経路生成部115は、最もサイズの小さいトレイ11を搬送ユニット7及びトレイ搬送車2Fに積重するよう経路を生成する。また、経路生成部115は、トレイデータ153を参照して、搬送ユニット7及びトレイ搬送車2Fに積重されるトレイ11の高さが所定の高さ以下となるようにする。
【0088】
[第4実施形態]
第4実施形態では、搬送車の選択及びトレイ搬送車2の渋滞が発生したときの対処について説明する。なお、第4実施形態における物品搬送システムZのハードウェア構成は
図2に示すハードウェア構成と同様であるので、ここでの図示及び説明を省略する。
第4実施形態において、搬送車選択部114は、倉庫内に複数存在するトレイ搬送車2のうち、トレイ11の搬送に最適なトレイ搬送車2を決定する。
【0089】
(フローチャート)
図21は、第4実施形態に係るコントローラの搬送車選択処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図21の処理は
図10のステップS121のタイミングで行われる処理である。適宜、
図2を参照する。
まず、搬送車選択部114は、倉庫内に存在する各トレイ搬送車2の位置を特定する(S301)。倉庫内に存在するトレイ搬送車2の位置特定は公知の技術であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、搬送車選択部114は、複数存在するトレイ搬送車2のうち、搬送作業を行っていないトレイ搬送車2を検索する(S302)。トレイ搬送車2が搬送作業を行っているか否かは、例えば、図示しないトレイ搬送車2のリストにおいて、搬送中のトレイ搬送車2にフラグを立てること等で容易に判定できる。
【0090】
そして、搬送車選択部114は、ステップS302で検索したトレイ搬送車2の中から、トレイ11を搬送するトレイ搬送車2を選択し(S303)、処理部110aは処理を
図10のステップS122へリターンする。
ステップS303において、作業を行っていないトレイ搬送車2が複数存在する場合、搬送車選択部114は、ステップS301で特定した各トレイ搬送車2の位置を基に、搬送対象のトレイ11が格納されている位置に最も近いトレイ搬送車2を選択する。また、搬送車選択部114は、搬送作業を行っていないトレイ搬送車2のうち、巡回経路の総走行距離が最も短くなるトレイ搬送車2を選択してもよい。この場合、経路生成部115は、搬送作業を行っていないトレイ搬送車2のそれぞれについて巡回経路を生成する。
【0091】
さらに、すべてのトレイ搬送車2が作業中であった場合、搬送車選択部114は、以下の処理を行ってもよい。すなわち、搬送車選択部114は、処理対象となっているトレイ搬送車2における作業の終了時間と、他のトレイ搬送車2が搬送対象となっているトレイ11の位置まで向かう時間とを比較する。そして、搬送車選択部114は、処理対象となっているトレイ搬送車2の作業終了後に次の作業を割り当てた方が、他のトレイ搬送車2に作業を割り当てるよりも早いと判定した場合、作業中のトレイ搬送車2を選択してもよい。この場合、搬送車選択部114は、各トレイ搬送車2の位置や、速度、予め入力されている推定作業時間等から、トレイ搬送車2の作業終了時間を推定する。
【0092】
第4実施形態によれば、トレイ搬送車2が複数存在する場合には、トレイ搬送車2の位置と作業状態から、適切なトレイ搬送車2に作業を割り振ることができる。
また、第4実施形態によれば、作業を行っていないトレイ搬送車2が複数存在する場合、搬送車選択部114は、対象のトレイ11が格納されている位置に最も近いトレイ搬送車2を選択することで、トレイ搬送車2がトレイ11の格納位置まで移動する距離を短くできる。これにより、物品搬送システムZbは、トレイ搬送車2の移動時間を短縮することができる。また、物品搬送システムZbは、トレイ搬送車2の搬送作業偏りを軽減することができる。
なお、搬送車選択部114によって作業対象となるトレイ搬送車2を決定すると、経路生成部115はトレイ搬送車2の現在の位置から各トレイ11の位置を鑑み、トレイ11を取り出すための搬送順序を作成する。この処理は、第1実施形態と同様の処理である。
【0093】
[第5実施形態]
(ハードウェア構成図)
図22は、第5実施形態に係る物品搬送システムのハードウェア構成例を示す図である。
第5実施形態に示す物品搬送システムZbは、トレイ搬送車2が搬送中に他のトレイ搬送車2の影響を軽減しながら移動する。
特に、トレイ搬送車2の渋滞が発生したときの対処について説明する。
なお、
図22において、
図2と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図22において、
図2と異なる点は、コントローラ1aの処理部110aが渋滞処理部(経路変更部)119を有している点である。
渋滞処理部119は、倉庫内において、トレイ搬送車2の渋滞が生じているか否かを判定し、渋滞が生じている場合、トレイ搬送車2に経路を変更するよう指示する。
なお、トレイ搬送車2及びステーション端末3については、
図2と同様であるので、その詳細な構成については図示及び説明を省略する。
【0094】
(フローチャート)
図23は、第5実施形態に係るコントローラの渋滞時における処理の手順を示すフローチャートである。
図23の処理は、適宜のタイミングで行われる処理である。適宜、
図22を参照する。
まず、渋滞処理部119が、渋滞が生じているか否かを判定する(S401)。渋滞処理部119は、経路の予約が不可能であることをコントローラ1aから通知されたり、トレイ搬送車2の速度が閾値以下である状態が所定時間続いているトレイ搬送車2を検出されたりすると、渋滞が発生していると判定する。なお、トレイ搬送車2は、経路生成部115が作成した経路のうち、一定区間又は一定時間毎に経路を予約し、予約が完了すると該区間を進行するが、他のトレイ搬送車2によって予約する区間が占拠されていると、トレイ搬送車2は、経路の予約が不可能である旨をコントローラ1aへ通知する。
【0095】
ステップS401の結果、渋滞が生じていない場合(S401→No)、コントローラ1aの渋滞処理部119は処理を終了する。
ステップS401の結果、渋滞が生じている場合(S401→Yes)、渋滞処理部119は、渋滞で進むことができないトレイ搬送車2を特定する(S402)。
そして、渋滞処理部119は、特定したトレイ搬送車2に対して、積載中止を指示し(S403)、経路生成部115は、作業ステーションPへ向かうよう指示。具体的には、経路生成部115は、現在のトレイ搬送車2の位置から作業ステーションPへ向かう経路を生成し、送信処理部116がトレイ搬送車2へ生成した経路を送信する。このとき、渋滞処理部119は、例えば、トレイ搬送車2の位置と、最初に生成した経路から、トレイ搬送車2が現在どのトレイ11を取出しているかを特定し、さらに残っているトレイIDをWMS4へ送信する。WMS4では、送信されたトレイIDを基に、新たにオーダデータ151を生成する。
このようにすることで、作業予定であったが、他のトレイ搬送車2の影響によって作業が完遂できなかったトレイ11が存在しても、この作業については次の搬送に作業を繰り越すことができる。
【0096】
そして、トレイ搬送車2の移動制御部211は作業ステーションPへトレイ搬送車2を移動させる(S404)。
なお、
図24の処理は省略されてもよい。
【0097】
このように、第5実施形態では、トレイ搬送車2の渋滞が生じていると判定され場合、トレイ11の取出作業を停止し、トレイ搬送車2を作業ステーションPへ向かわせる。
このようにすることで、トレイ搬送車2の渋滞が生じていても、とりあえず、積載しているトレイ11を作業ステーションPに搬送することができるので、時間短縮を図ることができる。
つまり、他のトレイ搬送車2による干渉があっても、状況に応じて搬送経路や搬送作業を変更することによって、効率のよい搬送を実施することができる。
【0098】
なお、トレイ搬送車2が複数台同じ領域で運行している場合、コントローラ1aは、他のトレイ搬送車2の位置と作業状況から、指示された経路を変更し、その時点において最短時間で移動できる経路へ変更してもよい。
【0099】
また、第5実施形態において、経路の予約が不可能であるか否かで渋滞の検出を行っているが、これに限らない。例えば、トレイ搬送車2同士で互いの位置を通知し合い、所定範囲に所定台数以上のトレイ搬送車2がある場合、トレイ搬送車2の処理部210が、渋滞が発生していると判定してもよい。あるいは、トレイ搬送車2の速度が所定速度以下になったら、渋滞処理部119は渋滞が発生していると判定してもよい。
また、コントローラ1aは経路決定時点で他のトレイ搬送車2の移動や作業状態を予測し、他のトレイ搬送車2の存在によって渋滞や待ちが発生する場合には、他のトレイ搬送車2を迂回するように経路を決定してもよい。
【0100】
[第6実施形態]
図24は、第6実施形態に係る物品搬送システムの概略構成を示す図である。
図24において、
図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図24では、固定棚6と移動棚61とが混在する場合について説明する。
物品搬送システムZcにおいて、固定棚6に格納されているトレイ11は、トレイ搬送車2によって搬送される。搬送方法は、第1〜5実施形態の手法による。
移動棚61は、トレイ11又は物品を格納しており、棚搬送車(棚搬送装置)62によって搬送される。
移動棚61は、床下に棚搬送車62が入り込める程度の空間を有している。棚搬送車62は移動棚61の下に入り込み、移動棚61自体を持ち上げて搬送する。
棚搬送車62による移動棚61の搬送は、公知の技術であるため、棚搬送車62の詳細な処理については説明を省略する。
なお、移動棚61には、トレイ11又は物品が格納されている。
【0101】
移動棚61は、トレイ搬送車2によって、一度持ち上げられると複数種類の物品を搬送することが可能であるため、例えば、多頻度品が主に格納される。一方、固定棚6には、例えば、低頻度品を格納し、必要なトレイ11のみを搬送することが可能である。このように、第6実施形態によれば、利用頻度に応じて物品の格納先を変える等、柔軟な物品の格納が可能となる。なお、利用頻度ではなく、他の基準に基づいて格納先が選択されてもよい。
【0102】
(ハードウェア構成図)
図25は、第6実施形態に係る物品搬送システムのハードウェア構成例を示す図である。
図25において、
図2と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図25において、
図2と異なる点は、物品搬送システムZcが、棚搬送車62を有している点である。さらに、
図25において、
図2と異なる点は、コントローラ1bの処理部110bが、搬送車種選択部(搬送装置種選択部)120を有している点である。さらに、
図25において、
図2と異なる点は、コントローラ1bの記憶装置105が、棚データ152aを有している点である。
搬送車種選択部120は、ピッキング対象となっている棚の種類に応じて、搬送車の種類(トレイ搬送車2、棚搬送車62)を選択する。
棚データ152aについては、後記する。
なお、トレイ搬送車2及びステーション端末3については、
図2と同様であるので、その詳細な構成については図示及び説明を省略する。
また、棚搬送車62は、公知の技術であるため、その詳細な構成については図示及び説明を省略する。
【0103】
(棚データ)
図26は、第6実施形態に係る棚データの例を示す図である。
図26に示す棚データ152aが、
図7に示す棚データ152と異なる点は、棚種の欄を有している点である。
棚種は、該当する棚の種類(固定棚6を示す「固定」、移動棚61を示す「移動」)が格納されている。
【0104】
(フローチャート)
図27は、第6実施形態に係るピッキングシステムにおける処理の手順を示すフローチャートである。
図27は、
図10のステップS111で行われる処理である。適宜、
図25及び
図26を参照する。
まず、搬送車種選択部120は、棚データ152aを参照して棚種情報を取得する(S501)。
具体的には、
図10のステップS104の段階で取得された棚IDをキーとして、棚データ152aの棚種の欄を参照することで、棚種情報を取得する。
【0105】
次に、搬送車種選択部120は、棚種が固定棚6であるか、移動棚61であるかを判定する(S502)。
ステップS502の結果、棚種が固定棚6である場合(S502→固定棚)、搬送車種選択部120は、搬送車として、トレイ搬送車2を選択し(S503)、
図10のステップS112の処理へリターンする。
また、ステップS502の結果、棚種が移動棚61である場合(S502→移動棚)、搬送車種選択部120は、棚搬送車62を選択し(S504)、経路生成部115は棚搬送車62へ送信するための経路を生成する(S505)。棚搬送車62の経路は公知の技術であるので、ここでの説明を省略する。
【0106】
なお、第6実施形態において、トレイ搬送車2に関する処理は第1実施形態に示す処理と同様であり、棚搬送車62に関する処理は公知の技術であるので、具体的な説明は省略する。
第6実施形態によれば、物品の使用頻度等の状態に応じて棚(固定棚6と移動棚61)や、搬送車(トレイ搬送車2、棚搬送車62)を使い分けることにより、ピッキングステーションへの搬送効率を向上させることができ、ピッキング効率を向上させることができる。
【0107】
[第7実施形態]
第7実施形態の説明の前に、第7実施形態に係る物品搬送システムZdの課題と目的を説明する。通常の固定棚6や、移動棚61では、作業者Opの手の届く高さの固定棚6や、移動棚61が用いられる。このため、固定棚6や、移動棚61の上方に無駄な空間ができてしまう。また、第6実施形態に示すような棚搬送車62による移動棚61を用いる場合も、棚搬送車62で持ち上げることができる移動棚61の重量や、高さに制限ができてしまうため、やはり、移動棚61の上方に無駄な空間ができてしまう。
第7実施形態では、ピッキング作業の効率を向上させつつ、棚の上方を有効に利用することができることを目的とする。
【0108】
(システムの概略構成)
図28は、第7実施形態に係る物品搬送システムの概略構成を示す図である。なお、
図28において、
図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
物品搬送システムZdにおいて、固定棚6aは、下部に空間を有している。固定棚6aの棚段には物品が格納されたトレイ11が格納されたり、物品が直接格納されたりしている。物品搬送システムZdにおけるトレイ搬送車2は、第1〜第4実施形態と同様の構成を有するトレイ搬送車2の取出装置22によって、固定棚6aに格納されたトレイ11を取り出す。
移動棚61は、一定の高さを持つ棚である。移動棚61は、第6実施形態と同様、下方に棚搬送車62が侵入可能な空間を有している。第6実施形態と同様、棚搬送車62が移動棚61の下部空間に入り込み、移動棚61を持ち上げて搬送することで移動棚61が搬送される。
そして、移動棚61は固定棚6aの下部空間に設置される。
【0109】
このように、固定棚6aと移動棚61を上下方向に位置することにより、倉庫の上空間(移動棚61の上方の空間)を活用でき、倉庫内の保管効率を高めることができる。
また、トレイ搬送車2が上方に位置する固定棚6aの取り出し作業に時間を有する場合には、固定棚6aには低頻度品が格納される。これにより、時間がかかる上方の固定棚6aへのアクセス回数を減らすことができ、ピッキング作業全体の効率を上げることができる。
【0110】
なお、第7実施形態において、トレイ搬送車2に関する処理は第1実施形態に示す処理と同様であり、棚搬送車62に関する処理は公知の技術であるので、具体的な説明は省略する。
【0111】
[第8実施形態]
第8実施形態では、人が操作する機械と、トレイ搬送車2や、棚搬送車62等の自律装置が混在する場合について説明する。
(システムの概略構成)
図29は、第8実施形態に係る物品搬送システムの概略構成例を示す図である。なお、
図29において、
図1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図29に示す物品搬送システムZeにおいて、固定棚6a及び移動棚61は第6実施形態と同様の構成を有している。
つまり、第6実施形態と同様、固定棚6aの下部空間に、移動棚61が設置されている。固定棚6aの物品は、トレイ搬送車2や、作業者Opが操作するフォークリフト(非自律移動装置)80によって取り出される。作業者Opは、監督者や、コントローラ1d(
図30)の指示に従ってフォークリフト80を運転して物品を取り出したり、格納したりする。
【0112】
第8実施形態では、人が操縦するフォークリフト80と、トレイ搬送車2や、棚搬送車62が衝突せずに移動するようにするため、フォークリフト80の位置がコントローラ1dに通知される。
フォークリフト80には、付属として取り付け可能な自己位置を取得・送信でき、着脱可能なアタッチメント装置(位置通知装置)8が取り付けられている。
【0113】
(ハードウェア構成図)
図30は、第8実施形態に係る物品搬送システムのハードウェア構成例である。
図30に示す物品搬送システムZeは、コントローラ1d、トレイ搬送車2、ステーション端末3に加えて、フォークリフト80(
図29)に設置されるアタッチメント装置8を有している点で
図2に示す物品搬送システムZと異なっている。
【0114】
アタッチメント装置8は、メモリ801、送受信装置802、CPU803を有する。メモリ801、送受信装置802、CPU803は、バスを介して相互に接続されている。
CPU803は、各種演算処理を実行する。
メモリ801は揮発性の一時的な記憶媒体である。メモリ801では、CPU803によって各種プログラムが実行され、各種データが読み書きされる。その結果、メモリ801において、処理部810及び処理部810を構成する位置特定部811及び位置通知部812が具現化している。
【0115】
位置特定部811は、倉庫内におけるアタッチメント装置8の位置を推定する。位置の推定は、アタッチメント装置8に内蔵されている図示しないカメラが床面等に貼付されたマーカを読み取ることによって自己位置を取得する。又は、アタッチメント装置8に内蔵されている図示しないレーザスキャナによる周辺の形状認識と地図との照合によって自己位置が推定されてもよい。あるいは、倉庫内に設置されたビーコン等の発信情報によって自己位置が推定されてもよい。なお、自己位置の推定手法は、これらの手法に限らない。
位置通知部812は、位置特定部811で推定されたアタッチメント装置8の位置(フォークリフト80の位置)をコントローラ1dへ通知する
【0116】
また、コントローラ1dは、処理部110dが位置管理部(禁止領域設定部)121を有している点で、
図2に示すコントローラ1と異なっている。
位置管理部121は、アタッチメント装置8から受信したフォークリフト80の位置(アタッチメント装置8の位置)を地図データ155に基づいて管理する。そして、位置管理部121は、フォークリフト80が位置する地図のリンク上にはトレイ搬送車2が走行しないように設定する。すなわち、位置管理部121は、フォークリフト80の周囲所定範囲をトレイ搬送車2の走行禁止領域とする。
【0117】
(フローチャート)
図31は、第8実施形態に係る物品管理システムにおける処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図31の処理は、ピッキングシステムにおいて、所定の間隔で行われている処理である。適宜、
図30を参照する。
位置管理部121が、フォークリフト80に取り付けられている位置通知部812から、フォークリフト80の位置を取得する(S601)。
次に、位置管理部121が、取得したフォークリフト80の位置を基に、トレイ搬送車2及び棚搬送車62の走行禁止領域を設定する(S602)。
そして、位置管理部121は、送信処理部116を介して走行禁止領域をトレイ搬送車2及び棚搬送車62に通知する。
【0118】
以下、トレイ搬送車2における処理について記載するが、棚搬送車62においても同様の処理が行われる。
トレイ搬送車2の移動制御部211は、これから予約しようとする経路が走行禁止領域を通過するか否かを判定する(S603)。
ステップS603の結果、これから予約しようとする経路が走行禁止領域を通過しない場合(S603→No)、トレイ搬送車2の移動制御部211は処理を終了する。
ステップS603の結果、これから予約しようとする経路が走行禁止領域を通過する場合(S603→Yes)、トレイ搬送車2の移動制御部211は迂回経路を設定する(S604)。
なお、本実施形態では、トレイ搬送車2が迂回経路を設定するものとしたが、これから予約しようとする経路が走行禁止領域を通過することを検知したトレイ搬送車2の移動制御部211が、コントローラ1dに走行禁止領域を通過する旨と、自己位置とを送信し、コントローラ1dの経路生成部115が迂回経路を生成してもよい。
【0119】
図32は、第8実施形態に係る走行禁止領域の例を示す図である。
倉庫701の内部に棚702が設置されている。ここで、棚702は、固定棚6a及び移動棚61である。フォークリフト80が
図32に示す位置に存在すると、この位置から所定範囲の周辺の領域が走行禁止領域711となる。
【0120】
第8実施形態によれば、フォークリフト80等、人が操作する装置と、トレイ搬送車2や、棚搬送車62のような自律移動する装置とが混在する場合、フォークリフト80の位置をトレイ搬送車2や、棚搬送車62に通知するために、新たなフォークリフト80を導入することなく、着脱可能なアタッチメント装置8の利用により、汎用的なフォークリフト80を使用することができる。これにより、利便性の向上を図ることができるとともに、コストを抑えることができる。
また、フォークリフト80の位置の周辺が走行禁止領域として設定されることで、フォークリフト80とトレイ搬送車2や、棚搬送車62の衝突を防ぐように、トレイ搬送車2や、棚搬送車62を制御することができる。これより、安全性を向上させることができる。
【0121】
位置通知部812が、フォークリフト80の位置を逐次通知する場合、通知されたフォークリフト80の位置の時間変動から、コントローラ1d側でフォークリフト80の走行、停止の判定を行うことができる。コントローラ1dの位置管理部121は、このようなフォークリフト80の走行、停止状態の情報から、トレイ搬送車2が走行を制限する領域を適宜更新設定してもよい。例えば、位置管理部121は、停止中にはフォークリフト80が存在する地図データ155で定義する走行禁止領域でもトレイ搬送車2や、棚搬送車62が走行してもよいが、フォークリフト80が走行中であれば、走行方向の所定リンクを走行禁止領域とする、等と設定してもよい。
【0122】
なお、第8実施形態では人が操作する機械としてフォークリフト80を例に説明したが、これに限らない。また、自律移動体として棚搬送車62としたが、これに限らず、トレイ搬送車2としてもよい。
そして、第8実施形態では、アタッチメント装置8は、コントローラ1と通信を行っているが、アタッチメント装置8と、トレイ搬送車2及び棚搬送車62との間で通信が行われてもよい。
また、各実施形態において、トレイ搬送車2は、固定棚6からトレイ11を取り出しているが、これに限らず、移動棚61からトレイ11を取り出すようにしてもよい。
【0123】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0124】
また、前記した各構成、機能、各部110〜117,119〜121,210〜214,310〜313,810〜812、記憶装置105,204等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、
図2、
図22、
図25、
図30に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU103,203,303,803等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリ101,201,301,801や、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital:登録商標)カード、DVD(Digital Versatile Disc:登録商標)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。