特許第6770129号(P6770129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770129
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】有機発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20201005BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20201005BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201005BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20201005BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H01L27/32
   H05B33/14 A
   G09F9/30 365
   G09F9/00 366A
   G09F9/00 348Z
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-84837(P2019-84837)
(22)【出願日】2019年4月26日
(62)【分割の表示】特願2017-210204(P2017-210204)の分割
【原出願日】2017年10月31日
(65)【公開番号】特開2019-169472(P2019-169472A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2019年4月26日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0143899
(32)【優先日】2016年10月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】金 都 滿
【審査官】 小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−039003(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0311472(US,A1)
【文献】 特開2016−051527(JP,A)
【文献】 特開2011−209590(JP,A)
【文献】 特開2008−009189(JP,A)
【文献】 特開2013−160836(JP,A)
【文献】 特開2007−199341(JP,A)
【文献】 特開2015−050245(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/062009(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102043297(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103904097(CN,A)
【文献】 特開2007−234431(JP,A)
【文献】 特開2010−085803(JP,A)
【文献】 特開2007−322627(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/129065(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H01L 51/50 − 51/56
H05B 33/00 − 33/28
H01L 27/32
G06F 3/03 − 3/047
G09F 9/00 − 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域及び前記表示領域の外側の非表示領域を含む有機発光表示装置であって、
前記表示領域に位置する複数の薄膜トランジスタと、前記非表示領域に位置する下部パッド部とを含む薄膜トランジスタアレイ、
前記薄膜トランジスタアレイ上に位置する有機発光アレイ、
前記表示領域に対応するように位置する複数のタッチ電極と、前記非表示領域に位置し、複数の上部パッドを含む上部パッド部と、前記複数のタッチ電極と前記複数の上部パッドとの間を連結する複数のタッチルーティングラインを含むタッチ電極アレイ、
前記有機発光アレイと前記タッチ電極アレイの間に位置し、前記有機発光アレイと前記タッチ電極アレイを向き合うように合着する接着層、及び
複数の導電ボールを備え、前記非表示領域の前記上部パッド部と前記下部パッド部を合着し、一側が前記接着層の外側と接するシール材を含み、
前記薄膜トランジスタアレイは、前記シール材と前記接着層の境界に対応する領域に位置し、前記シール材と前記接着層を越えて延在する少なくとも一つの溝を備え、
前記接着層は、前記非表示領域における前記シール材に直接合着される第1の部分と、前記第1の部分から前記表示領域へと延設されて前記有機発光アレイと前記タッチ電極アレイを合着する第2の部分とを含み、
前記少なくとも一つの溝は、前記シール材及び前記接着層で覆われ、前記複数のタッチルーティングラインの内の少なくとも2つと重畳する、有機発光表示装置。
【請求項2】
前記溝は、水平方向に直線状に形成される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記溝の長さは、前記シール材の横幅と同じかそれより大きい、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記溝の少なくとも一側端部は、前記シール材及び前記接着層の外側方向に突出した、請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記シール材及び前記接着層で覆われる前記溝の少なくとも一側端部は、前記シール材及び前記接着層の外側に突出する、請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記下部パッド部は、互いに離隔した複数の下部パッド電極を含み、
前記溝は前記下部パッド部の前記シール材と前記接着層の境界部から前記下部パッド電極の間を通じて前記下部パッド部の外側まで伸びた、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記溝の一側端部は前記下部パッド部の外側に位置し、前記シール材で覆われる、請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記溝の一側端部は前記下部パッド部の外側に位置し、前記シール材が形成される領域の外側に突出する、請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記表示領域及び前記非表示領域によって定義された下部基板及び前記下部基板上に位置する第1バッファ層をさらに含み、
前記薄膜トランジスタアレイは、前記第1バッファ層上に位置するゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜上に位置する少なくとも一つの下部層間絶縁膜及び前記少なくとも一つの層間絶縁膜上に位置する下部パッシベーション層を含み、
前記溝は、前記第1バッファ層、前記ゲート絶縁膜、前記少なくとも一つの層間絶縁膜及び前記下部パッシベーション層の少なくとも一つが除去されることによって形成される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記溝は前記薄膜トランジスタアレイに貫設されて前記接着層を外部に露出する、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記溝の一側端部は、前記シール材の一側端部と接触する接着層の外側に位置している、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記溝の一側端部は前記接着層と重畳し、前記溝の他側端部は前記シール材と重畳する、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記複数のタッチルーティングラインは、少なくとも、第1の方向の第1の部分と第2の方向の第2の部分とを含み、
前記少なくとも1つの溝は前記複数のタッチルーティングラインの前記第1の部分と前記第2の部分と重畳する、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの溝は、
前記複数のタッチルーティングラインのうちの第1の方向の少なくとも1つの第1の部分と重畳する少なくとも1つの第1の溝と、
前記第1の方向の少なくとも1つの第1の部分及び前記複数のタッチルーティングラインのうちの第2の方向の少なくとも1つの第2の部分と重畳する少なくとも1つの第2の溝とを含む、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記タッチ電極アレイは、前記シール材と前記接着層の境界に対応する領域に位置する少なくとも一つの溝を備える、請求項1乃至請求項14の一つに記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
表示領域及び前記表示領域外側の非表示領域によって定義される有機発光表示装置であって、
前記表示領域に位置する複数の薄膜トランジスタと、前記非表示領域に位置する下部パッド部とを含む薄膜トランジスタアレイ、
前記薄膜トランジスタアレイ上に位置する有機発光アレイ、
前記表示領域に対応するように位置する複数のタッチ電極と、前記非表示領域に位置し、複数の上部パッドを含む上部パッド部と、前記複数のタッチ電極と前記複数の上部パッドとの間を連結する複数のタッチルーティングラインを含むタッチ電極アレイ、
前記有機発光アレイと前記タッチ電極アレイの間に位置し、前記有機発光アレイと前記タッチ電極アレイを向き合うように合着する接着層、及び
複数の導電ボールを備え、前記非表示領域の前記上部パッド部と前記下部パッド部を合着するシール材を含み、
前記タッチ電極アレイは、前記シール材と前記接着層の境界に対応する領域において前記複数のタッチルーティングラインの間にそれぞれ位置する複数の溝を備え、
前記複数の溝は、前記接着層及び前記シール材を外部に露出させるために前記タッチ電極アレイを貫通し、
前記接着層は、前記非表示領域における前記シール材に直接合着される第1の部分と、前記第1の部分から前記表示領域へと延設されて前記有機発光アレイと前記タッチ電極アレイを合着する第2の部分とを含む、有機発光表示装置。
【請求項17】
前記表示領域及び前記非表示領域によって定義された上部基板及び前記上部基板の一側全面に位置する第2バッファ層をさらに含み、
前記タッチ電極アレイは、前記第2バッファ層の下部に位置する少なくとも一つの第1上部パッシベーション層と、前記第1上部パッシベーション層の下部に位置する第2上部パッシベーション層とを含み、
前記複数の溝は、前記第2バッファ層、前記第1上部パッシベーション層及び前記第2上部パッシベーション層の少なくとも一つが除去されることによって形成される、請求項16に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
前記薄膜トランジスタアレイは、前記シール材と前記接着層の境界に対応する領域に位置する少なくとも一つの溝を備える、請求項16又は17に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
前記薄膜トランジスタアレイに含まれる前記溝は、前記シール材及び前記接着層で覆われ、前記複数のタッチルーティングラインの内の少なくとも2つと重畳する、請求項18に記載の有機発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光表示装置に関するもので、より詳しくは有機発光アレイとタッチスクリーンの合着時にパッド部と表示領域の間に発生する空隙を除去することができる有機発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多様な情報を画面で具現する映像表示装置は情報通信時代の核心技術で、もっと薄くてもっと軽くし、携帯が可能でありながらも高性能の方向に発展している。したがって、陰極線管(CRT)の欠点である重さ及び体積を減らすことができる平板表示装置で有機発光層の発光量を制御して映像を表示する有機発光表示装置などが脚光を浴びている。
【0003】
有機発光表示装置は多数の画素がマトリックス状に配列されて画像を表示することになる。ここで、各画素は、発光素子と、その発光素子を独立的に駆動する多数のトランジスタからなった画素駆動回路とを備える。
【0004】
このような有機発光表示装置は自発光の有機発光素子を用いるので、別の光源を要求しなく、超薄型ディスプレイの具現が可能なので、近来には有機発光素子を用い、発光セルの内部にタッチスクリーンを含むインセルタッチ(In−Cell Touch)構造の有機発光表示装置に関する研究が活発に行われている。
【0005】
これらインセルタッチ構造の有機発光表示装置は、有機発光素子が備えられた有機発光アレイとタッチスクリーンが対向するように配置され、接着層(Adhesive layer)によって合着される。また、タッチスクリーンのパッド部は有機発光表示パネルのパッド部側に対向し、導電性ボールを含む異方性導電性フィルム(Anisotropic Conductive Film;ACF)によってボンディング(bonding)される。
【0006】
一般に、有機発光アレイとタッチスクリーンを合着する合着工程において、前記接着層及び異方性導電性フィルムは熱硬化工程によって硬化する。ところが、有機発光表示装置が大型化するにしたがって前記合着工程のための熱硬化時間も増加する。このように合着工程で熱を加える時間が増加するにしたがって前記接着層などからのガス放出(outgassing)現象が発生する。この時に発生した放出ガスは接着層の異方性導電性フィルム間の空間にトラップされることによって接着層と異方性導電性フィルム間の空間が満たされない空隙が発生する。このような空隙が発生する領域の上側にはタッチスクリーン用配線が位置し、前記空隙はタッチスクリーン用配線の信頼性を低下させる原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記問題点を解決するために案出されたもので、有機発光アレイとタッチスクリーンの合着時にパッド部と表示領域の間に発生する空隙を除去することができる有機発光表示装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明による有機発光表示装置は表示領域及び非表示領域によって定義され、薄膜トランジスタアレイと、有機発光アレイと、タッチ電極アレイ及び前記タッチ電極アレイと有機発光アレイを向き合うように合着する接着層とを含む。
【0009】
前記薄膜トランジスタアレイの非表示領域には複数の下部電極を含む下部パッド部が備えられ、タッチ電極アレイの非表示領域には複数の上部電極を含む上部パッド部が備えられ、上部パッド部と下部パッド部は導電ボールを含むシール材によって合着され、前記シール材の一側は接着層と接する。
【0010】
前記薄膜トランジスタアレイの前記非表示領域には、前記シール材と前記接着層が接する領域に対応する領域に位置する少なくとも一つの溝が備えられる。
【0011】
溝は長軸を水平方向とする線形に形成されるとかあるいは前記下部電極を通って前記下部パッド部の外側部まで伸びるように備えられることができる。
【0012】
一方、溝はタッチ電極アレイにも備えられることができる。この場合、溝は、前記接着層とシール材が接する領域に対応するように、タッチ電極アレイに備えられたタッチ電極と前記上部電極を連結する複数のルーティングラインの間に形成され、前記タッチ電極アレイに全く貫設されるように形成されて前記接着層及びパッド部を外部に露出する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の溝は、接着層とシール材が合着されるときに発生する放出ガスによる気泡をトラップするとか接着層とシール材の合着時に前記放出ガスを接着層及びシール材の外部に排出させる通路として機能することができる。すると、接着層などから発生した放出ガスは前記溝を通じて外部に排出されるので、接着層とシール材の境界部には接着層が全く満たされて空隙が発生しない。この時、接着層とシール材の境界部にはルーティングラインが位置することになるが、空隙なしに満たされた接着層によってルーティングラインの下部が支持されるので、ルーティングラインの断線の不良を予防し、有機発光表示装置の信頼性が向上する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例による有機発光表示装置を説明するための概略図である。
図2図1のI−I’線についての概略断面図である。
図3】本発明の第1実施例による溝が形成される位置と形態を説明するために図1のA部を拡大した概略図である。
図4図3のII−II’線及びB領域の断面を説明するための概略図である。
図5】本発明の第2実施例による溝を説明するための概略図である。
図6図5の溝が形成される領域に沿って縦方向に切断した断面を説明するための模式図である。
図7】本発明の第3実施例による溝を説明するための模式図である。
図8】前記溝が形成された部分及びB領域の断面を含む断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施例を説明する。明細書全般にわたって同じ参照番号は実質的に同じ構成要素を意味する。以下の説明で、本発明に係わる技術あるいは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、以下の説明で使われる構成要素の名称は容易な明細書作成を考慮して選択されたもので、実際製品の部品の名称と違うこともあり得る。
【0016】
位置関係についての説明の場合、例えば‘〜上に’、‘〜上部に’、‘〜下部に’、‘〜のそばに’などのように二つの部分の位置関係が説明される場合、‘直ぐ’又は‘直接’が使われない限り、二つの部分の間に一つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0017】
たとえ、第1、第2などが多様な構成要素を敍述するために使われるが、これらの構成要素はこれらの用語に制限されない。これら用語はただ一構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。よって、以下で言及される第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよい。
【0018】
図面に示した各構成のサイズ及び厚さは説明の便宜のために示したものであり、本発明が図示の構成のサイズ及び厚さに必ずしも限定されるものではない。
【0019】
以下、添付図面に基づいて本発明の多様な実施例を詳細に説明する。
【0020】
図1及び図2は本発明の実施例による有機発光表示装置を説明するための概略図である。図1及び図2のように、本発明の有機発光表示装置は互いに異なるサイズの下部基板1000と上部基板3000のそれぞれの内側面に形成された有機発光素子アレイ150とタッチ電極アレイ230が接着層400によって合着されている。
【0021】
ここで、これらアレイを形成するに際して、それぞれの下部基板1000又は上部基板3000に形成した後、レーザーの照射又は食刻などの方法で上部基板及び下部基板を除去することができる。この場合、図面の下部基板1000及び上部基板3000は削除可能である。
【0022】
ここで、前記フィルム基板1000上には第1基材120、第1バッファ層130、薄膜トランジスタアレイ140及び有機発光アレイ150が順に位置し、前記有機発光アレイ150を覆うように保護層160が位置している。前記上部基板3000上には第2基材210、第2バッファ層220及びタッチ電極アレイ230が配置できる。ここで、前記タッチ電極アレイ230は前記有機発光アレイ150と向き合うように位置する。この際、前記接着層400によって直接接触する面はそれぞれ下部では保護層160であり、上部ではタッチ電極アレイ230である。
【0023】
前記第1バッファ層130及び第2バッファ層220はそれぞれ表示領域と非表示領域が定義されており、タッチ電極アレイ230、有機発光アレイ150及びパッド部を除いた薄膜トランジスタアレイ140内の薄膜トランジスタは前記表示領域内に形成される。そして、非表示領域の一部に上部パッド部2350及び薄膜トランジスタアレイの下部パッド部が定義される。
【0024】
ここで、第1基材120及び第2基材210はレーザーの照射又は食刻工程において上部基板及び下部基板のガラス素材の外に内部アレイの損傷を防止するために備えられることができる。場合によっては、前記第1基材120及び第2基材210がフレキシブル(Flexible)基板の特徴を有するように形成できる。この場合、前記第1及び第2基材120、210は下部基板1000及び上部基板3000を取り替えることもできる。この場合、下部基板1000及び上部基板3000は除去できる。また、場合によっては第1及び第2基材120、210が削除されることもできる。前記第1及び第2基材120、210はポリイミド(polyimide)又はフォトアクリル(photoacryl)などの高分子物質からなる。
【0025】
そして、前記第1バッファ層130及び第2バッファ層220はそれぞれ同種の酸化膜(SiO)又は窒化膜(SiNx)のような無機膜を積層するとかあるいは異種の無機膜を交互に積層することでなる。前記第1及び第2バッファ層130、220は、前記下部基板1000上に前記上部基板3000を合着する後続の工程で前記有機発光アレイ150に水分又は外気が透湿することを防止するバリアーとして機能する。
【0026】
そして、前記タッチ電極アレイ230と一緒に上部パッド部2350が形成される。
【0027】
前記上部パッド部2350は、前記接着層400による上下合着過程で、導電性ボール455を含むシール材450によって薄膜トランジスタアレイ140の下部パッド部に接続される。前記接着層400は透湿防止の機能を有し、前記有機発光アレイ150を覆う保護層160と直接対面して接することで、前記保護層160が有する機能に加え、有機発光アレイ150に外気が入ることを防止し、水分の透湿をより確かに防止する。また、シール材450は導電ボール455を含む異方性導電性フィルム(Anisotropic Conductor Film;ACF)であり得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0028】
ここで、前記パッド部を含む薄膜トランジスタアレイ140は前記タッチ電極アレイ230より一側が突出するように形成できる。突出した部分には、前記タッチ電極アレイ230及び薄膜トランジスタアレイ140と有機発光アレイ150を一緒に駆動するための信号を伝達するICが備えられることができる。
【0029】
図示しなかったが、前記IC、薄膜トランジスタアレイ140の駆動パッド、下部パッドは複数の下部電極を含み、前記ICと配線によって連結される。そして、前記ICは、ガラスの除去後、FPCB(Flexible Printed Circuit Board)(図示せず)とボンディングで連結され、FPCBに備えられたコントローラによって制御できる。前記下部パッドは表示領域外側の非表示領域のうち前記上部パッド部と対応する領域にゲートライン又はデータラインを成す金属と同一層に形成される。
【0030】
前記上部パッド部2350は前記第2バッファ層220上に形成され、前記下部基板1000が相対的に突出した部分と隣接した辺の両外側に分割されて形成される。そして、分割形成された上部パッド部2350において、両外側部の一側部はタッチ電極アレイのうちX軸方向の第1電極の電圧印加又は検出のための複数のタッチパッド電極に区分されて形成され、残りの一側部はY軸方向の第2電極の電圧印加又は検出のための複数のタッチパッド電極に区分されて形成される。
【0031】
前記上部パッド部2350と接続する導電性ボール455は前記薄膜トランジスタアレイ140の外側部に形成されたダミー電極(図示せず)に電気的に接続する。
【0032】
薄膜トランジスタアレイ140は接着層400とシール材450の境界部に対応する位置に少なくとも一つの溝2300を含む。図1の溝2300は薄膜トランジスタアレイ140に形成されるが、便宜上、上部基板3000側から見るときの薄膜トランジスタアレイ140上の溝2300の形状が透視されるように示した。
【0033】
図3は本発明の第1実施例による溝2300が形成される位置と形態を説明するために、図1のA部を拡大した概略図である。
【0034】
図3のように、本発明によるタッチ電極アレイ230は、互いに交差する形状の第1タッチ電極2331及び第2タッチ電極2332と、前記第1及び第2タッチ電極2331、2332にそれぞれ信号を伝達する上部電極2351bとを含む。上部電極2351bは上部パッド部2350に形成され、前記上部電極2351bは前記薄膜トランジスタアレイの下部パッド領域に形成される下部電極と接続することができる。
【0035】
ここで、前記第1タッチ電極は、第1方向に配置され、それぞれが物理的に離隔した島状(island shape)の第1電極パターン2331と、前記第1電極パターン2331と違う層に隣り合う第1電極パターン2331を電気的に連結する金属ブリッジ231とを含んでなり、前記第2タッチ電極は、第1方向と交差する方向に配置され、前記第1電極パターン2331と同一形状の第2電極パターン2332と、前記第2電極パターン2332と一体型に隣り合う第2電極パターン2332を連結する連結パターン2332cとを含んでなることができる。
【0036】
表示領域A/Aの外側には、y軸方向に備えられ、タッチ電極アレイ230に備えられたタッチ電極と上部パッド部2350を連結するルーティングライン231b、231cが備えられている。
【0037】
図3を参照すると、接着層400とシール材450の境界部に対応する領域には溝2300が形成される。溝2300は少なくとも境界部と重畳する。 本発明の第1実施例において、前記溝2300は長軸を水平方向とする線形に形成される。この際、溝2300はシール材450の外側まで延設される。また、溝2300の長軸の長さはシール材450が形成された領域の横幅より長く形成できる。よって、溝2300はシール材450と接着層400の境界部から伸びて、表示パネルの側面、つまりシール材450と接着層400が位置しない部分まで備えられることができる。一方、溝2300はシール材450と接着層400のエッジ付近まで伸びて、溝2300の一側端部がシール材450及び接着層400で覆われるように形成されることもできる。
【0038】
図4図3のII−II’線及びB領域の断面を説明するための概略図である。図4を参照すると、本発明による有機発光表示装置のBで表示された断面を参照すると、表示領域A/Aの第1バッファ層130上に位置する薄膜トランジスタアレイ140は、複数の薄膜トランジスタを含む。薄膜トランジスタアレイ140をより詳細に説明すると、薄膜トランジスタアレイ140は、ソース領域109a及びドレイン領域109bを含む活性層104と、活性層上に位置するゲート絶縁膜106と、ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極102と、ゲート電極102を覆うように位置する層間絶縁膜112と、前記層間絶縁膜112及びゲート絶縁膜106をパターニングしてソース/ドレイン領域109a、109bを露出するように形成されたコンタクトホールと、前記ソース/ドレイン領域109a、109bと接続するソース電極108及びドレイン電極110を含む。ソース電極108及びドレイン電極110は下部パッシベーション層114で覆われている。
【0039】
この際、層間絶縁膜112及び下部パッシベーション層114は単層として示されているが、場合によっては2層以上で形成されることもできる。
【0040】
薄膜トランジスタアレイ140上には有機発光アレイ150が位置する。これをより詳細に説明すると、下部パッシベーション層114をパターニングしてドレイン電極110を露出するように形成されたコンタクトホールを通じてドレイン電極110と接続した第1電極116と、前記第1電極116及び前記下部パッシベーション層114上に位置して各画素開口部を定義するバンク絶縁膜124と、前記バンク絶縁膜124上に位置するスペーサー126と、前記第1電極116上に位置する発光層を含む有機層118と、前記有機層118上に位置する第2電極128とを含む。また、前述したように、有機発光アレイ150は保護層160によって密封されている。
【0041】
タッチ電極アレイ230は、 第2バッファ層220上に第1及び第2タッチ電極2331、2332が形成され、その上部に前記第1タッチ電極2331の一部を露出するコンタクトホールを備えた第1上部パッシベーション層232が形成された後、前記コンタクトホールを通じて隣接した第1タッチ電極2331を互いに連結するブリッジ231が形成され、その上部に第2上部パッシベーション層234が形成された構造を有することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。このように形成されたタッチ電極アレイ230は前記保護層160と接着層400を介して向き合うように合着された構造を有する。したがって、実際の表示装置において、前述したタッチ電極アレイ230は上下が反転した構造を有することになる。
【0042】
パッド領域P/Aの第1バッファ層130上には下部電極1081が形成される。第1下部電極1081は層間絶縁膜112上に形成され、下部パッシベーション層114の一部が除去されて前記下部電極1081を露出するように形成できるが、必ずしもこれに限定されるものではない。下部電極1081は表示領域A/Aのゲート電極102と同じ物質で同時に形成されるとか又はソース/ドレイン電極108、110と同じ物質で同時に形成できる。
【0043】
パッド領域P/Aの第2バッファ層220上には上部電極2351bが形成される。上部電極2351bは第1上部パッシベーション層232上に形成され、上部電極2351b上に位置する第2上部パッシベーション層234の一部が除去されて前記上部電極2351bを露出するように形成できるが、必ずしもこれに限定されるものではない。一方、前記パッド領域P/Aにおいても前記上部電極2351bも上下が反転された構造を有するので、前記合着された構造において上部電極2351bは第1上部パッシベーション層232の下部に位置する。よって、第2上部パッシベーション層234は上部電極2311の下側に位置し、その一部が除去されて上部電極2311を露出する構造を有する。
【0044】
下部電極1081と上部電極2351bは導電ボール455を含むシール材450によって電気的に接続する。上部電極2351bは下部電極1081からのタッチ信号をルーティングライン231b、231cを介して各タッチ電極2331、2332に供給する役目をする。この際、ルーティングライン231b、231cとタッチ電極2331、2332は互いに異なる層に形成され、コンタクトホールを通じて電気的に接続した構造を有することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0045】
溝2300は、表示領域A/Aとパッド領域P/Aの間に、接着層400とシール材450が接する領域に対応するように薄膜トランジスタアレイ140に位置する。この際、溝2300は 第1バッファ層130、ゲート絶縁膜106、少なくとも一層の層間絶縁膜112及び下部パッシベーション層114の少なくとも一層が除去されることによって形成できる。このような溝2300は、接着層400とシール材450が合着されるときに発生する放出ガス(outgas)による気泡をトラップ(trap)するか、特に接着層400とシール材450の合着時に発生する前記放出ガスを接着層400及びシール材450の外部に排出させる通路として機能することができる。すると、接着層400などから発生した放出ガスは前記溝2300を通じて外部に排出されるので、接着層400とシール材450の境界部には接着層400が全く満たされることになり、空隙が発生しない。この際、接着層400とシール材450の境界部にはルーティングライン231bが位置するが、空隙なしに満たされた接着層400によってルーティングライン231bの下部が支持されるので、ルーティングライン231bの断線の不良を予防し、有機発光表示装置の信頼性が向上する効果を有する。
【0046】
溝2300は接着層400が位置しない領域まで延設されることによって放出ガスを外部に全く放出することができる。この際、溝2300の少なくとも一側端部は接着層400とシール材450が形成された領域の外部に突出した構造を有することができる。したがって、溝2300は合着過程で発生した放出ガスを外部に放出し、空隙の発生を防止する。
【0047】
また、溝2300は接着層400のルーティングライン231bなどの配線が位置しない領域に対応する位置まで伸びることによって溝2300の少なくとも一側端部を接着層400及びシール材450が覆うように形成され、空隙が発生しても構わない領域に放出ガスが集まって空隙を形成するようにすることができる。
【0048】
一方、溝2300は薄膜トランジスタアレイ140、第1バッファ層130及び第1基材120などに全く貫設されて接着層400を外部に露出することもできる。有機発光アレイ150は保護層160によって外気及び透湿から遮断されるので、接着層400が露出しても有機発光アレイ150は保護される。また、有機発光アレイ150とタッチ電極アレイ230の合着時、接着層400及びシール材450から発生する放出ガスは前記溝2300を通じて外部に放出できる効果を有する。
【0049】
図5は本発明の第2実施例による溝3300を説明するための概略図である。本発明の第2実施例による溝3300は接着層400とシール材450が接する領域に対応する位置からy軸方向に、つまり下部パッド電極1081の方向に伸びる。そして、溝3300は下部パッド電極1081の間の領域を通じて下部パッド部の外側まで伸び、表示パネルを正面から見たとき、下部パッド電極1081に全く貫設された形状を有する。よって、溝3300の一側端部は接着層400とシール材450が接する領域に対応するように位置し、溝3300の他側端部は下部パッド部を通じてシール材450の外側に対応する領域まで伸びることができる。この際、溝3300はシール材450で覆われる構造に形成できる。すると、有機発光アレイとタッチ電極アレイ230の合着時に溝3300を通じて放出された放出ガスはシール材450の内部配線などが位置しない領域に集まって空隙を形成することによって空隙の影響を最小化することができる。
【0050】
また、溝3300の一部がシール材450の外側に突出する構造に形成されることもできる。すると、前記放出ガスは溝3300を通じて表示パネルの外部に全く放出されることによって空隙の発生を防止する効果を有する。
【0051】
図6図5の溝3300が形成される領域に沿って縦方向に切断した断面を説明するための断面図である。表示領域A/Aは図4で説明したものと同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0052】
第2実施例による溝3300も第1バッファ層130、ゲート絶縁膜106、パッシベーション層114及び少なくとも一つの層間絶縁膜112のうち少なくとも一層の一部が除去されることによって形成される。一方、溝3300は、以前の実施例と同様に、バッファ層130及び第1基材120の一部が除去されることによって溝3300が第1バッファ層130及び第1基材120と下部基板1000が備えられる場合には、下部基板1000まで貫設される構造に形成され、結局溝3300は接着層400及びシール材450を外部に露出するように形成されることもできる。このように、溝3300が第1バッファ層130及び第1基材120に貫設される構造に形成されれば、接着層400及びシール材450で発生する放出ガスが溝3300を通じて表示パネルの外部に直ぐ放出できる。
【0053】
図7は本発明の第3実施例による溝4300を説明するための模式図、図8は前記溝4300が形成された部分及び図7のB領域を含む断面図である。表示領域A/Aは第1及び第2実施例で説明したものと同じ構成を有するので、これについての詳細な説明は省略する。
【0054】
第3実施例による溝4300はタッチ電極アレイ230、つまり上部基板3000側に形成される。この際、各溝4300はシール材450と接着層400が接する領域に対応する領域のルーティングライン231bの間に形成される。そして、図8を参照すると、溝4300はタッチ電極アレイ230、第2バッファ層220及び第2基材210に全く貫設されて接着層400及びシール材450を外部に露出するように形成される。
【0055】
タッチ電極アレイ230が形成された側に溝4300を形成する場合、上部パッド部2350及びその周辺にはルーティングライン231bが位置するので、溝4300の形成に制約がある。よって、タッチ電極アレイ230側に溝4300を形成する時にはルーティングライン231bとの関係を考慮しなければならなく、ルーティングライン231bの間の空間に形成されることが好ましい。この際、溝4300が上部パッド部2350の外部に伸びる空間が足りないので、溝4300は、第1及び第2上部パッシベーション層232、234、第2バッファ層220、第2基材210及び上部基板3000が位置する場合には、上部基板3000に貫設されるように形成される。したがって、溝4300は接着層400及びシール材450を外部に露出し、タッチ電極アレイ230と有機発光アレイ150の合着時に発生する放出ガスが前記溝4300を通じて外部に放出される効果を有する。これにより、接着層400とシール材450は空隙なしにパッド領域P/Aと表示領域A/Aの間を満たすようになるので、ルーティングライン231b、231cの断線の不良を予防し、有機発光表示装置の信頼性が向上する効果を有する。
【0056】
第3実施例による溝4300は、第1実施例による溝2300または第2実施例による溝3300と組み合わせて形成されことができる。
【0057】
以上の説明は本発明を例示的に説明したものに過ぎなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様な変形が可能であろう。したがって、本発明の明細書に開示された実施例は本発明を限定するものではない。本発明の範囲は以降の特許請求範囲によって解釈されなければならなく、それと均等な範囲内にある全ての技術も本発明の範囲に含まれるものとして解釈されなければならないであろう。
【符号の説明】
【0058】
1000 下部基板
120 第1基材
130 第1バッファ層
140 薄膜トランジスタアレイ
150 有機発光アレイ
160 保護層
400 接着層
230 有機発光アレイ
2300、3300、4300 溝
231b、231c ルーティングライン
450 シール材
455 導電ボール
2351 上部電極
1081 下部電極
104 半導体層
106 ゲート絶縁膜
102 ゲート電極
109a、109b ソース/ドレイン領域
108、110 ソース/ドレイン電極
112 層間絶縁膜
114 下部パッシベーション層
232、234 上部パッシベーション層
231 ブリッジ
2331、2332 第1及び第2タッチ電極
116 第1電極
118 有機層
128 第2電極
126 スペーサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8